説明

前頭洞を灌注する外科用機器、システム及び方法

ハンドルと、導入子42と、灌注通路60と、ノズル44と、アクチュエータ組立体46とを含む、患者の前頭洞の標的箇所を灌注する外科用機器22。導入子は、ハンドルから伸びて且つ基端セグメントと、末端セグメントとを画成する。基端セグメント110の少なくとも一部分は、剛性で且つ線形であり、また末端セグメント112の少なくとも一部分は、剛性で且つ比較的湾曲している。ノズルは、灌注通路と流体的に接続され、また導入子の末端114にて回転可能に保持される。アクチュエータ組立体は、ハンドルにより保持され且つノズルと接続されたアクチュエータ140を含む。アクチュエータの運動によりノズルは、導入子に対して回転する。導入子のサイズ及び形状は、人間の大人の鼻通路/前頭洞のサイズ及び形状に一致したものとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灌注剤(irrigant)を患者の前頭洞(frontal sinus)に送り込むシステム及び方法に関する。より特定的には、本発明は、例えば、細菌バイオフィルム(bacterial biofilms)を除去するとき、前頭洞を外科的に治療するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細菌バイオフィルムは、中耳(middle ear)のような耳の空洞、並びに鼻の空洞、例えば、前頭洞又は前顎洞(maxillary sinuses)を含む、多様な身体空洞内にて成長する。細菌の成長が確定したならば、細菌は、しばしば凝集し、分裂を停止し、且つポリサッカライド(polysaccharide)基質から成る保護性の細菌バイオフィルム層、即ち「スライム(slime)層」を形成し始める。
【0003】
保護性の細菌バイオフィルムは、伝統的な治療方法のみならず、身体の自然の免疫応答性を妨害する。特に、細菌は、白血球と応答するよう身体の免疫系を励起する外毒素を発生させる。しかし、細菌バイオフィルムは、細菌を攻撃する白血球の機能の効果を妨害する。バイオフィルムは、また、局所的に投与した抗生物質及びその他の薬剤に対する障壁として機能することもある。バイオフィルムを形成する細菌は、また、分割する細菌を殺す作用を果たす伝統的な抗生物質剤の治療に対する妨害物も提供する。特に、バイオフィルムを形成する状態にある細菌は、既に、細胞分裂を停止しており、かかる抗生物質をほぼ無効とする。
【0004】
機能的内視鏡下洞外科手術(FESS; Functional endoscopic sinus surgery)は、慢性的な鼻洞の炎症及び可能であれば、その他の洞の感染症を治療すべく使用される最小侵襲型の外科的方法である。FESSは、内視鏡の助けを受けた機器により洞の含気蜂巣及び洞口を開放する。現在、洞の外科的方法としてFESSを使用することは、広く受容されている。FESSの目的は、通常、洞の正常な排液を回復し且つそれらの換気を許容することである。しかし、FESSは、上述した細菌バイオフィルムの問題は取り扱わない。
【0005】
換気外科手術は、一部のバイオフィルムを偶発的に脱落させることがあるが、多くのバイオフィルムは、外科手術の後に残り、また、副鼻腔及びその他の身体箇所の細菌バイオフィルムを除去するため、更なる治療が要求される。この点に関して、加圧した灌注剤を送り込むことを介して細菌バイオフィルムを破壊する作用を果たすシステムが考えられている。かかるシステムの例は、同時に譲渡した米国特許出願第11/697,789号に記載されている。これらと共に、バイオフィルムの除去と関係しないその他の洞の灌注方法により、特定の標的箇所は、色々な機器の使用を妨げるであろう解剖学的障壁を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第11/697,789号
【特許文献2】米国特許出願第11/431,495号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の原理に従った幾つかの特徴は、患者の前頭洞の標的個所を灌注する外科用機器に関するものである。この外科用機器は、ハンドルと、細長い導入子と、灌注通路と、ノズルと、アクチュエータ組立体とを含む。導入子は、ハンドルから剛性に伸びて、基端セグメントと、末端にて終わる末端セグメントとを画成する。基端セグメントの少なくとも一部分は、比較的線形であり、末端セグメントの少なくとも一部分は、比較的湾曲している。より特定的に、ハンドルからの導入子の長手方向伸長方向に関して、末端セグメントの湾曲部分は、基端セグメントの比較的線形の部分と比較してより湾曲している。
【0008】
灌注通路は、導入子を貫通して伸びている。ノズルは、灌注通路と流体的に接続され、また、導入子の末端に維持されている。この点に関して、ノズルは、導入子に対して回転可能である。最後に、アクチュエータ組立体は、ハンドルにより維持され且つノズルと接続されたアクチュエータを含む。この形態により、アクチュエータの運動によってノズルは導入子に対して回転する。幾つかの実施の形態において、導入子は、大人の人間の鼻/前頭洞通路のサイズ及び形状に従ったサイズ及び形状とされている。その他の実施の形態において、機器は、導入子内に回転可能に配設された灌注組立体を更に含み、この灌注組立体は、比較的可撓性の末端管と接続された比較的剛性の基端管を含む。この構造によれば、可撓性の末端管は、導入子により画成された湾曲した形状と順応し且つ灌注通路を完成させる。
【0009】
本発明の原理に従ったその他の特徴は、患者の前頭洞の標的箇所を灌注するシステムに関する。前記システムは、外科用機器と、灌注源とを含む。前記外科用機器は、ハンドルと、細長い導入子と、灌注通路と、ノズルと、アクチュエータ組立体とを含む。前記導入子は、ハンドルから剛性に突き出し且つ比較的線形の基端セグメントと、長手方向に伸びる比較的湾曲した末端セグメントとを画成する。
【0010】
灌注通路は、導入子を貫通して伸びて、ノズルは、灌注通路と流体的に連結され且つ、導入子の末端に回転可能に維持されている。このアクチュエータ組立体は、ハンドルにより維持されたアクチュエータを含み、このアクチュエータは、ノズルを導入子に対して回転させるよう作動可能である。最後に、灌注源は、灌注通路と流体的に接続されている。幾つかの実施の形態において、灌注源は、加圧した灌注剤を灌注通路に送り出すポンプを含む。その他の実施の形態において、灌注源は、表面活性剤、ゲル、抗菌剤、ステロイド、又は成長ホルモンのような液体を含む。
【0011】
本発明の原理に従った更にその他の特徴は、人間の患者の前頭洞の標的個所を灌注する方法に関する。この方法は、上述したような外科用システムを提供するステップを含む。導入子の末端セグメントは、外科的に患者の体内に挿入され、ノズルは、患者の前頭洞内に配置される。灌注剤の加圧した流れがノズルから前頭洞の標的箇所の表面に向けて分与される。この点に関して、ノズルは、加圧した流れが分与される間、外管に対して回転させる。幾つかの実施の形態において、この方法は、分与した加圧した灌注剤の流れを介して標的箇所の表面からバイオフィルム層の実質的な部分を機械的に除去するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明の原理による前頭洞の灌注システムを示す概略図。
【図1B】本発明の原理による別の前頭洞の灌注システムを示す概略図。
【図2】図1A及び図1Bのシステムと共に使用可能な、本発明の原理による、一部分を除去した、灌注システムを示す側面図。
【図3】図2の機器の末端部分を示す拡大斜視図である。
【図4】本発明による人間の解剖学的部位に対して前頭洞を灌注する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に記載した環境の特徴は、患者の前頭洞領域を灌注するシステム、方法及び機器に関する。幾つかの場合にて、本発明の特徴は、細菌バイオフィルムを減少させること、除去すること、又は防止することの1つ以上について、有用である。上述のことを考慮し、図1Aは、本発明の幾つかの実施の形態に従う外科用前頭洞灌注システム20を示し、そして、例えば、細菌バイオフィルムを除去するときに有用である。このシステム20は、外科用灌注機器22と、灌注源24と、コントローラ26とを含む。全体的な表現において、灌注源24は、例えば、送り込み導管28(例えば管)を介して流体即ち灌注剤を機器22まで提供する。コントローラ26は、システム20の作動の局面を制御し、また、機器22及び灌注源24と全体として関係したものとして示されている。
【0014】
システム20は、追加的な構成要素を含むことができる。例えば、別の前頭洞灌注システム20´は、図1Bに示され、内視鏡30と、光源32及び影像装置34のような、関連した構成要素とを含む選択随意の内視鏡システムと共に、システム20(図1A)と同一の構成要素を含む。全体的な表現において、内視鏡30は、伝統的な構造のものとし、光源32及び映像装置34は、以下に説明するように、外科用機器22がアクセスする外科領域の視覚化を促進することができる。しかし、その他の実施の形態において、内視鏡30及び関連した構成要素32、34は、システム20´と別個に又は分離して提供し且つ(又は)省いてもよい(図1Aのシステム20の場合のように)。
【0015】
外科用灌注機器22は、以下により詳細に説明するような多様な形態をとることができる。しかし、全体的な表現にて、機器22は、ハンドル40と、導入子42と、ノズル44と、アクチュエータ組立体46(全体として参照)とを含む。機器42は、ハンドル40から伸びており、また、最小侵襲的仕方にて患者の前頭洞領域内に外科的に挿入するサイズとされている。導入子42は、その末端にノズル44(全体として参照)を維持し、また、ノズル44と送り込み導管28との間の流体接続部を確立する灌注通路(図1A及び図1Bにて隠れている)とを維持する。
【0016】
ノズル44は、導入子42により回転可能に維持され、アクチュエータ組立体46は、ノズル44の回転可能な位置をわたってユーザの制御を実行する。更に、ハンドル40は、トリガー50を含む選択随意のトリガー組立体48(全体として参照)を維持する。トリガー50を押したとき、信号がコネクタ52を介してコントローラ26に送られ、機器22への灌注剤の送り込みを促す。これと代替的に、灌注剤の送り込みを開始するためシステム20、20´に機器22と分離した構成要素(例えば、フートスイッチ)を含めてもよい。
【0017】
本発明に従った外科用機器22の1つの形態が図2により詳細に示される。ハンドル40の一部分は、機器22の内部構成要素を一層良く図示し得るように図2の図にて省略されている。更に、導入子42を通って伸びる、機器22により形成された灌注通路60が全体として表示されている。色々な構成要素の詳細については以下に説明する。しかし、全体的な表現にて、ハンドル40は、前頭洞の標的箇所まで最小侵襲的に送り込み得るようにされた導入子42を維持する。この点に関して、導入子42は、ノズル44をその末端に維持し、また、例えば、バイオフィルムの除去方法を行うとき、このノズルを通して加圧した灌注剤(図示せず)の流れが送り込まれる。このことに鑑みて、アクチュエータ組立体46は、導入子42に対するノズル44の回転を実行すべくユーザによって作動可能である。
【0018】
ハンドル40は、多様な形態をとることができ、また、全体として、機器22の色々な構成要素のハウジングとして作用し且つ導入子42を保持する。幾つかの実施の形態において、ハンドル40は、グリップ部分80と、先端82とを画成するピストルのグリップ状の形状をしている。グリップ部分80は、ユーザの手で把持できるサイズ及び形状とされる一方、先端82は、導入子42と接続し得るようにされている。これと代替的に、その他の形態も受容可能である(例えば、ハンドル40は、図示したピストルのグリップ状の設計と異なるその他の形状及び(又は)サイズをとることができる)。
【0019】
ハンドル40は、その内部に色々な構成要素が収容される内部84を画成する。例えば、ハンドル40は、灌注管86を維持することができる。灌注管86は、ハンドル40の末端88から伸びており、また、先端82に向けて、従って導入子42に向けて方向決めされている。この点に関して、灌注管86は、図1Aに示した送り込み導管28の連続体として提供することができる。これと代替的に、ハンドル40は、灌注管86と送り込み導管28との間の流体接続部を提供する形態としたポートを形成し又は維持するようにしてもよい。しかし、灌注管86は、灌注流体を灌注源24(図1A)から導入子42まで導く働きをする。
【0020】
幾つかの実施の形態において、灌注管86は、以下に説明するように、アクチュエータ組立体46と接続された接続具90にて終わる。この点に関して、灌注組立体100(以下に説明)は、アクチュエータ組立体46の反対側から伸びており、接続具90は、灌注管86と灌注組立体100との間の流体接続部の少なくとも一部分を確立する。この形態によれば、灌注組立体100は、導入子42内に且つ導入子42を通って伸び且つ、ノズル44と流体的に接続されている。灌注管86、接続具90及び灌注組立体100は、全体的に、灌注通路60を形成し、前頭洞の灌注方法の一部として、この灌注通路を通って、灌注流体が灌注源24(図1A)からノズル44まで送り込まれる。これと代替的に、灌注通路60の多様なその他の形態が受容可能である。例えば、灌注通路60は、ハンドル40及び導入子42を通って直接伸びる均質体(例えば、灌注管86)により画成してもよい。
【0021】
導入子42は、全体として細長い形状を有し且つ、ハンドル40の先端82から伸びる鼻通路を介して患者の前頭洞内に最小侵襲的に挿入し得るサイズとされている。この点に関して、導入子42は、上述した灌注通路60をその長さに沿って維持し且つ、基端セグメント110と、末端セグメント112とを画成する。基端セグメント110は、先端82から伸びる一方にて、末端セグメント112は、基端セグメント10から伸びて、末端114にて終わる。このことに鑑みて、導入子42は、剛性である(例えば、手で加えた曲げ力に応答して弾性的に変形しない)ことを特徴としている。しかし、ノズル44は、導入子42によりその末端114に維持される。
【0022】
図2に示すように、ハンドル40からの導入子42の長手方向への伸びに関して、基端セグメント110は、比較的線形である(線状の形状の5%以内)一方、末端セグメント112は、比較的湾曲している(基端セグメント110の比較的線形の性質と比較して)。例えば、幾つかの実施の形態の場合、末端セグメント112は、基端セグメント110から伸びる上方に湾曲した曲率(図2の方向に関して)を画成し、末端114が基端セグメント110の垂直上方に(例えば、ハンドル40の後端88に関して)配置されるようにする。換言すれば、基端セグメント110は、線形の中心軸線Cを形成し、末端114は、図2に図示すように、距離Dだけ中心軸線Cから偏位されている。
【0023】
更に、中心軸線C(線形の基端セグメント110により画成されたように)と末端114の導入子42の中心軸線Tとの間に曲げ角度Θが確立される。この構造の場合、末端セグメント112と関係した曲率又は曲げ角度Θは、大人の人間の鼻/通路の前頭洞の正常な解剖学的曲率又は形状と一致し、これにより末端114は、ユーザによる最小の機器の関節動作状態にて患者の鼻の開口部(即ち、鼻孔)を通して且つ相応する前頭洞領域まで容易に送り込まれる。例えば、幾つかの実施の形態において、末端セグメント112は、5°−100°の範囲、また、幾つかの実施の形態にて65°−85°の範囲の曲げ角度Θを規定する。末端114は、2.5−51mm(0.1インチ−2.0インチ)の範囲、また、幾つかの実施の形態にて、19.1−31.8mm(0.75−1.25インチ)の範囲の距離Dだけ基端セグメント110の中心軸線Cの垂直上方に配置されている。
【0024】
1つの参考として、9−19mm(0.354−0.748インチ)の作用長さを有するようにこれらの寸法上のパラメータに従って湾曲した末端セグメント112を形成することは、前頭側の鼻の処置方法の実行を予想外に最適化することが判明した。これらと共に、少なくとも末端セグメント112に沿った導入子42の外径即ち長寸法は、上記の挿入技術に順応可能であり、また、6mm(0.236インチ)未満、また、幾つかの実施の形態にて、2.2−2.7mm(0.085−0.105インチ)の範囲にある。
【0025】
基端セグメント110は、所望の処置方法に適した多様の長さ(即ち、ハンドル40からの線状の伸びの長さ)を有することができる。幾つかの実施の形態において、導入子42の剛性な性質は、外科用ステンレススチール、プラスチック等のような剛性で外科的に安全な材料から均質な管又はスリーブとして導入子42を形成することにより実現される。これと代替的に、導入子42は、互いに組み付けた2つ又はより多数の別個の部品から成るものとしてもよい。更に、導入子42は、ノズル44を末端114に対して回転可能に組み立てるのを容易にする1つ又はより多くの造作部を含むことができる。
【0026】
例えば、導入子42が外管又はスリーブとして形成される実施の形態において、末端114は、ロール巻きしてノズル44の寸法に全体として相応する内径を規定し、これによりノズル44が末端114にて回転可能に捕捉されるようにすることができる。この受容可能な1つの方策にて、ロール巻きした末端114は、ノズル44が偶発的に脱落したときでさえ、ノズル44を導入子42に対して保持する働きをする。これらの環境下にて、ノズル44は、導入子42から患者の体内に移行することはない。これと代替的に、導入子42は、ノズル44の回転可能な取り付けを促進する追加的な構成要素(例えば、軸受面)を含むことができる。
【0027】
上述したように、幾つかの実施の形態において、導入子42を貫通して伸びる灌注組立体100により灌注通路60が少なくとも部分的に規定される。この点に関して、灌注組立体100は、導入子42により画成された曲率に順応すると共に、アクチュエータ組立体46の作動を介してノズル44を回転させるような形態とされている。このことに鑑みて、図2の灌注組立体100は、基端管120と、末端管122とを含む。基端管120は、アクチュエータ組立体46から伸びており、また、比較的剛性で且つ線形である。例えば、幾つかの実施の形態において、基端管120は、スチールにて形成され、また、皮下注射針と類似している。これと逆に、末端管122は、基端管120に装着され且つ可撓性である。
【0028】
より特定的には、末端管122は、導入子42の末端セグメント112により指定された湾曲した形状を容易に取るのに十分な可撓性を呈する。このため、例えば、末端管122は、熱可塑性の撓み管として提供することができる。ら旋状に切った金属管のようなその他の形態とすることも受容可能である。ノズル44は、基端管120に対向して末端管122に固定され、灌注組立体100は、ノズル44と流体的に接続した連続的な管腔又はその他の通路を有している。その他の実施の形態において、灌注組立体100は、追加的な管状の構成要素を含むことができる。更にその他の実施の形態にて、灌注組立体100は、単一の管を含む。しかし、最終的に組み立てたとき、灌注組立体100は、導入子42により画成された線形で且つ湾曲した形状に順応し、ノズル44と灌注通路60との流体的接続を確立する。
【0029】
ノズル44は、多様な形態を取ることができるが、幾つかの実施の形態において、扇状の噴霧パターンを生成させ得るようにされており、また、導入子42により回転可能に維持され又は導入子42の末端114に組み付けられている。1つの参考として、本発明の幾つかの特徴に従い、ノズル44を通じて発生された流体の流れによりバイオフィルムを物理的に破壊すべく外科用灌注機器22が利用される。図3の1つの形態によれば、ノズル44は、組織の「線」上にて機械的な破壊を生じさせる扇噴霧型のノズルである。ノズル44がその軸線の廻りにて回転したとき(以下に説明するように)、この線は、組織の比較的広い面積を拭き払うことができる。これと代替的に、ノズル44は、オリフィス型ノズルとしてもよい。
【0030】
このことに鑑みて、管状の本体とし、ノズル44が導入子42に組み付けた基部端130と、V字形の切欠き134が形成される、対向した、先端の半球状端部132とを画成するようにすることができる。幾つかの実施の形態において、図3に図示すように、V字形の切欠き134は、側部から見た噴霧パターンを発生させるようノズル44の側部136に沿って伸びる(従って、以下に説明するように、ノズル44を回転させることによってより広い面積をカバーする)ように形成されている。
【0031】
これと代替的に、V字形切欠き134は、ノズル44の軸線に対して中央に形成してもよい。しかし、ノズル44により発生された扇状の噴霧パターンの形状を制御するパラメータは、V字形の切欠き134の角度及びノズル44のオリフィス(図示せず)の内径であることが判明した。これらのパラメータに鑑みて、33.02mm(1.3インチ)の距離にて0.76mm(0.03インチ)のオリフィスのノズルにて得られた力に相当する噴霧力を発生させるとき、6mL/秒の供給量にて作動し得るようにしたノズルの形態は、V字形の切欠き134が25°−100°の範囲の内角と、6.45−4.51平方メートル(0.0001−0.0007平方インチ)の範囲の内径の開口部サイズとを規定する場合に実現可能であることが予想外に判明した。
【0032】
しかし、これと代替的に、ノズル44に対する多様なその他の形態も受容可能である。しかし、ノズル44は、導入子42に組み付けられる。このように、ノズル42の先端132は導入子42の末端114を超えて末端方向に突き出し、V字形の切欠き134により又はこのV字形の切欠きを通じて生成された噴霧パターンは導入子42による影響を受けないようにする。
【0033】
図2を再度、参照すると、アクチュエータ組立体46は、導入子42に対するノズル44のユーザの制御した動作又は回転を提供する形態とされ、また、幾つかの実施の形態において、アクチュエータ140と、流体継手142とを含む。アクチュエータ140は、制御ホイールとすることができ、この制御ホイールは、ハンドル40により回転可能に維持されて、制御ホイール/アクチュエータ140の少なくとも1つのセグメントが回転位置に関係なく外部に露出されるようにする。このようにして、例えば、ハンドル40は、開口144(図2にて部分的に隠れている)を形成し、この開口を通じてアクチュエータ140は部分的に突き出す。アクチュエータ/制御ホイール140は、ハンドル40に対して配置され、ユーザは、ハンドル40を保持するとき(例えば、グリップ部分80にて)、アクチュエータ/制御ホイールと容易に接触接続することができる。
【0034】
流体継手142は、アクチュエータ140に取り付けられ、また、内部通路(図示せず)を形成する。図2のこの受容可能な1つの配置によれば、流体継手142は、剛性な管状体(例えば、金属製)であり、第一の端部148に隣接する第一の軸受造作部146と、第二の端部152に隣接する第二の軸受造作部150とを更に画成する。軸受造作部146、150は、ハンドル40の相応する表面(例えば、リブ154)と合わさる形態とされ、このため、流体継手142はハンドル40に対し回転可能に維持される。流体継手142は、制御ホイール140に固定され、このため、制御ホイール140の回転と共に回転する(且つその逆に)。第一の端部148は、接続具90に流体的に装着し得る形態とされる一方、第二の端部152は、灌注組立体100(特に、図2の1つの実施の形態にて基端管120)に流体的に装着し得る形態とされている。この点に関して、流体継手142は、接続具90に回転可能に組み付けられる一方、流体継手142と基端管120との間の永久的な固定状態が提供される。
【0035】
最終的に組み立てたとき、流体継手142の内部通路は、灌注管86と、接続具90と、灌注組立体100とを更に含む灌注通路60の一部分を形成する。このようにして、灌注剤は、灌注通路60に沿って灌注管86からノズル44まで流れる。更に、制御ホイール140の回転は流体継手142に伝達される。一方、流体継手142の回転は、灌注組立体100に、従って、ノズル44に伝達される(継手142は、例えば、接続具90が自在接続具である場合、接続具90に対して回転することが理解される)。幾つかの構造において、制御ホイール140、従って、ノズル44は、2方向に(即ち、時計回り及び反時計回り)に回転可能であり、ノズル44は、完全な360°の回転を通じて関節運動可能である。
【0036】
アクチュエータ組立体46の上述した説明は、ノズル44のユーザ制御による回転を実行する1つの受容可能な設計にしか過ぎない。このため、制御ホイール140/継手142は、その他の構成要素にて置換し又はその他の構成要素を含むことができる。例えば、アクチュエータ140は、摺動型の機構とすることができる。しかし、アクチュエータ140が制御ホイールとして提供される場合、制御ホイール140に沿って標識(図示せず)を設けることができ、この標識は、ハンドル40の外部から視認可能であり、ユーザに対して導入子42に対するノズル44の回転可能な位置、特に、ノズルにより発生された線型式の噴霧パターンの視覚的表示を提供する。これと代替的にこの標識は省略してもよい。
【0037】
最後に、外科用灌注機器22は、選択随意のトリガー組立体48を更に含むことができる。これらの実施の形態の場合、トリガー組立体48は、ハンドル40により維持され、また、起動部材又はトリガー50と、センサ160(全体として図示)と、コネクタ52とを含む。トリガー50は、グリップ部分80から外方に伸びて、また、例えば、グリップ部分80に対する摺動接触接続を介してユーザ(図示せず)により起動し得るようにされている。この点に関して、トリガー組立体48は、トリガー50を図2に示す伸びた位置(グリップ部分80に対して)まで偏倚させる働きをするその他の構成要素を更に含むことができる。
【0038】
このように、トリガー50の起動は、押し力を伴い、この押し力は、偏倚装置の力を超越し、このため、トリガー50を内方に摺動させるのに十分である。これと代替的に、その他の起動機構も受容可能である。センサ160は、トリガー50の起動(例えば、摺動運動)を表示する出力を提供し得るようにされており、このため、トリガー50の運動を感知するのに適した多様な形態をとることができる。一方、コネクタ52は、センサ160からの出力を伝播し又は伝達し得るようにされている。このように、コネクタ52は、多様な形態(例えば、図示した線162、管等)を取ることができ、また、図1Aに示すように、コントローラ26と接続されている(線にて又はワイヤレスにて)。例えば、コネクタ52は、センサ160と電子的に接続され、また、後端88を介してハンドル40から外方に突き出している。
【0039】
その他の実施の形態において、トリガー組立体48は、簡単な電気スイッチとし、コネクタの線162がスイッチからの出力をコントローラ26に伝達するようにする。更にその他の形態において、トリガー組立体48は省略してもよい(例えば、外科用灌注機器22と分離した別個の制御スイッチが提供される)。
【0040】
上記の説明に鑑みて、最終的に組み立てたとき、外科用灌注機器22は、導入子42の末端114からノズル44を介して収束し、加圧した噴霧又は流体の流れを送り出す構造とされている。この点に関して、灌注流体の供給は、灌注管86/灌注通路60を介して提供される。ハンドル40に対する末端114の、従ってノズル44の空間的方向は、導入子44により確実に維持される。これと逆に、ノズル44により発生された線噴霧パターンの空間的方向は、ユーザがアクチュエータ組立体46を介して(特に、アクチュエータ/制御ホイール140の操作により)「回転」させることができる。
【0041】
図1Aを参照すると、外科用灌注機器22(例えば、図2の機器22、又は係属中の出願が予定するその他の外科用灌注機器の形態)の正確な構造に関係なく、システム20のその他の構成要素は、多様な形態をとることができる。例えば、灌注源24は、リザーバ182と接続したポンプ180を含むことができる。幾つかの実施の形態において、ポンプ180は、外科的方法/内視鏡法と関連して通常使用されるもののような、蠕動ポンプであり、このポンプ180は、以下に説明するように、リザーバ182からの流体の流れを機器22まで加圧する働きをする。
【0042】
リザーバ182は、例えば、その教示内容の全体を参考として引用し、本明細書に含めた、2006年、5月10日に出願した、「バイオフィルムの細胞外ポリサッカライド溶解システム(Biofilm Extracellular Polysaccharide Solvating(EPS)System)」という名称の米国特許出願第11/431,495号に記載された灌注流体を含む灌注剤にて満たした1つ又はより多くのIVバッグを含むことができる。幾つかの実施の形態において、灌注剤は、細菌バイオフィルムの再成長を妨害し得るようにしたものを含む薬剤、界面活性剤、抗菌剤、ステロイド、成長ホルモン、バイオフィルムの接着力を減少させる化学剤等を含む。水又は食塩水のようなその他の灌注剤を採用することもできる。
【0043】
灌注源24は、幾つかの実施の形態にて、管セットである、送り込み導管28を介して機器22と接続されている。例えば、送り込み導管28は、ポート(図示せず)によって灌注管86(図1)と流体的に連通する(灌注管の一部として形成されたように)ことができる一方、このポートは、上述したように、ノズル44と流体的に連通している。更に、送り込み導管28は、例えば、上述したもののような、医薬の如き、医薬を灌注源24又はリザーバ182から流れる灌注剤(図示せず)内に導入するための補助的入口又はポート(図示せず)を含むことができる。
【0044】
コントローラ26は、システムの作動を制御し、また、灌注源と物理的に関係する設計とされているが、コントローラ26は、選択随意的に独立型の装置とし、又は例えば、機器22が設けられた提供されたコネクタ52を含んで、その他のシステムの構成要素の任意のものと物理的に関係させることができる。コントローラ26は、色々な機能を果たすことのできる多様な形態をとることができ、また、マイクロチップ、記憶装置及び(又は)その他の適当な制御電子機器を含むことができる。
【0045】
コントローラ26は、機器22及び灌注源24と連通状態に配置され、また、ハウジング184を含む。例えば、コントローラ26は、コネクタ52を介して機器22のトリガー組立体48と電子的に接続することができる。コントローラ26は、また、ポンプ180の作動を制御することによって、灌注源24と直接的に又は間接的に連通する状態に配置してもよい。これらと共に、コントローラ26は、傾斜起動、時間遅れ、種々の流れパターン等を含む、多様な所望の灌注プロフィールに従ってシステム20を作動させるようプログラム化し又は適応化してもよい。
【0046】
使用中、患者の前頭洞の位置にて多様な処置方法を実行すべく外科用灌注システム20(又は20´)を採用することができる。単に一例として、図4は、それぞれの鼻孔314a、314b及びそれらの相応する鼻通路316a、316bを通じてアクセスされる前額洞310a、310b及び前頭洞312a、312bのような、洞空洞を含む、患者の内部身体構造体300を示す。鼻孔314a、314bを含む、患者の外部造作は、破線にて示されていることを認識すべきである。
【0047】
上記の解剖学的形態に鑑みて、システム20、20´は、例えば、バイオフィルムの層を除去するため、前頭洞312a、312bの一方又は双方にて灌注に関係した色々な手順を実行するため採用することが可能である。例えば、標的箇所318は、前頭洞312a内に存在するものとして図4に示されている。一例としての方法に従い、標的箇所318は、細菌及び相応するバイオフィルム(図示せず)の関係した層を有する前頭洞312aの絨毛を持つ上皮である。その他の技術において、標的箇所318は、例えば、細菌バイオフィルムの層にて被覆した洞の詰め物又はステントのような、人工的な構造体(図示せず)である。
【0048】
図2及び図4を併せて参照し及びシステム20の上記の説明を参照することにより、例えば、細菌バイオフィルム(図示せず)を標的箇所318(前頭洞312a、312bの一方又は双方内の任意のその他の標的箇所)から除去するとき前頭洞312aを灌注する幾つかの方法は、導入子42の末端114、従って、ノズル44を治療すべき前頭洞312aに相応する鼻孔314aを通して送りこむステップを含む。特に、末端114/ノズル44は、鼻孔314aを通して且つ鼻通路316aを介して前頭洞312a内に挿入される。この点に関して、導入子42の末端セグメント112の比較的小さい外径は、この挿入の一部として可能な組織の外傷を最小にする。
【0049】
更に、末端セグメント112の曲率及び導入子42の全長は、看護人がハンドル40を手で操作する程度が最小の状態にて末端114/ノズル44を前頭洞312a内に比較的容易に導くことを許容する。例えば、ハンドル40を把持しつつ、ユーザは、簡単にハンドル40を上方に持ち上げ又は傾け、剛性な導入子42がこの動作を末端114/ノズル44まで直接、伝達し、鼻の通路316aを通して摺動させる。このため、機器22は、最小侵襲性の前頭洞の処置法に人間工学的に適合可能である。
【0050】
幾つかの実施の形態において、また、図1Bを更に参照すると、内視鏡30及び関連する構成要素32、34が提供され、また、導入子42/ノズル44を標的箇所318に対し適正に配置する際に採用される。これらと共に、機能的内視鏡下洞外科手術(FESS)は、導入子42の挿入前に又はこの挿入と同時に行なうこともできる。例えば、内視鏡30及び(又は)機器22は、FESS法の一部として、標的箇所318にアクセスするため、選択随意的に、望まれるその他の機器に適応させることができ且つ(又は)その機器と組み合わせて使用することができる。
【0051】
ノズル44が標的箇所318に望ましいように配置されたとき、ユーザ(図示せず)は、加圧された灌注剤の流れの標的箇所318への送り込みを促し、例えば、トリガー組立体48の作動を介して、実質的な量の細菌バイオフィルム(図示せず)を標的箇所318から除去し又は根絶することができる。これに応答して、信号がコントローラ26に送られる一方、このコントローラは、灌注源24(例えば、ポンブ180)の起動を促し、灌注剤の流れを上述した灌注通路60を通じて且つノズル44まで提供する。灌注剤の流れは、色々な実施の形態に従って、約2mL/秒から約12mL/秒の流量を含む、多様な流量にてノズル44を通じて導かれるようにすることが考えられる。幾つかの実施の形態において、システム20/20´は、ノズル44を通じてパルス流れを、また、その他の場合、実質的に連続的な流れを生じさせ、更にその他の場合、パルス状又は実質的に連続的な流れ以外の流れパターンを生じさせ得るようにされている。
【0052】
ノズル44から分与された灌注剤の流れは、標的箇所318に直接、衝突し、又はこの標的箇所を直接、打撃し、この標的箇所318を灌注する。例えば、バイオフィルムの除去方法にて、分与された灌注剤の流れは、バイオフィルム(図示せず)の実質的な部分又はその実質的に全部を機械的に刺激し、又は分裂させ且つ除去する。この点に関して、灌注剤の圧力及び(又は)流量は、絨毛を有する上皮層のような、下方の組織に実質的な損傷を与えることなく、バイオフィルムの機械的な除去を促進するよう選ばれることを認識すべきである。例えば、約344kpa(50psi)以下の圧力を選ぶことができるが、その他の圧力も受容可能である。
【0053】
加圧した灌注剤がノズル44から連続的に流れるとき、ユーザは、選択随意的に、アクチュエータ組立体46を介してノズル44を定期的に且つ(又は)連続的に回転させる。上述したように、幾つかの実施の形態において、ノズル44は、線状、扇状の噴霧パターンを発生させる。次に、ノズル44を回転させて、パスは、標的箇所318を横切って効果的に「拭き払い」、比較的大きい面積を治療する間、導入子42が比較的静止したままであるようにすることができる。この方策によれば、標的箇所318に対してノズル44を正確に位置決めする能力は、ノズル44から送り込んだ加圧した灌注剤は比較的広い表面積に作用することができるため、問題とならない。実際上、幾つかの実施の形態において、比較的大きい治療面積は、複雑化した光学素子を有する内視鏡の必要性を軽減し、また、実際上、機器22と共に専用の内視鏡を使用することを不要にすることができる。しかし、これと代替的に、ノズル44は、多様なその他の形態をとることができ、また(又は)ノズル44を導入子42に対して回転させる能力は提供する必要はない。
【0054】
1つの参考として、前頭洞の灌注手順の場合、前頭洞は、前頭洞内に送り込んだ灌注剤が自然に排出される開放システムの効果を果たす。このため、灌注システム20、20´は、標的箇所318から強制的に吸引する必要はない。しかし、必要/所望の場合、吸い込み又は吸引作用部又は構成要素を組み込んでもよい。
【0055】
ノズル44からの灌注剤の送り込みは、ユーザが必要と考える限り、継続することができる。所望の場合、上述した医薬の1つ又はより多くを投与する際、末端114/ノズル44を取り外す前、その他の灌注剤を前頭洞の標的箇所318にその後に送り込むことができる。ユーザが灌注剤の流れを停止(又は減少)させようとする場合、単にトリガー組立体48(又は、その他の外部装置)を解放すればよい。
【0056】
本発明のシステム、機器及び方法は、前頭洞の灌注が必要である、色々な病気を治療すべく使用される従来の技術及び装置に顕著に優る改良を実現するものである。この点に関して、灌注機器は、前頭洞への簡略したアクセスを実現するよう独特の形態とされ、また、比較的大きい灌注カバー面積を提供する。収束し、加圧した流体を使用してバイオフィルムの根絶を実行することにより、細菌バイオフィルムを除去するとき、機器が使用される実施の形態において、最小侵襲性の方法に基づいて患者に対しより完全な治療が提供される。更に、洞への応用にて、排液通路が回復し、治療箇所の換気が提供され(このため、バイオフィルムの再成長の機会を最小にする)、また、その他の機能的及び内視鏡下洞の外科的治療法(例えば、局所的医薬の投与等)を提供することができる。
【0057】
本発明は、好ましい実施の形態に関して説明したが、当該技術の当業者は、本発明の思想及び範囲から逸脱せず、形態及び細部の点にて変更を為すことが可能であることが認識されよう。例えば、本発明のシステム及び機器は、細菌バイオフィルムの除去法とは別に、前頭洞の灌注方法を実行するとき使用することができる。更に、システム及び機器は、手術室及び看護人の事務室環境を含む多様な環境内にて採用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の前頭洞の標的箇所を灌注する外科用機器であって、
ハンドルと、
前記ハンドルから伸びると共に、基端セグメントと、末端にて終わる末端セグメントとを画成する細長い導入子であって、比較的線形であるように前記基端セグメントの少なくとも一部分と、前記ハンドルから前記導入子の長手方向伸長方向に向けて前記比較的線形部分と比較して比較的湾曲するように前記末端セグメントの少なくとも一部分と、を剛性に形成する導入子と、
前記導入子を貫通して伸びる灌注通路と、
前記灌注通路と流体的に接続するノズルであって、前記導入子に対して回転可能であるように前記導入子の末端に維持されるノズルと、
前記ハンドルにより維持されると共に、前記ノズルと接続されたアクチュエータを含むアクチュエータ組立体と、を備え、
前記外科用機器は、前記アクチュエータの運動により前記ノズルが前記導入子に対して回転するように構成される、外科用機器。
【請求項2】
請求項1に記載の外科用機器であって、前記導入子内を伸びる灌注組立体を更に備え、前記灌注組立体が前記灌注通路の一部分を形成する、外科用機器。
【請求項3】
請求項2に記載の外科用機器であって、前記ノズルは、前記灌注組立体の末端に連結される、外科用機器。
【請求項4】
請求項2に記載の外科用機器であって、
前記灌注組立体は、基端管と、該基端管から伸びる末端管と、を含み、
前記末端管は、前記基端管の可撓性よりも大きい可撓性を有し且つ前記導入子により画成される曲率を取る、外科用機器。
【請求項5】
請求項4に記載の外科用機器であって、前記基端管は、比較的剛性である、外科用機器。
【請求項6】
請求項2に記載の外科用機器であって、前記灌注組立体が前記ノズルと前記アクチュエータ組立体を機械的に連結する、外科用機器。
【請求項7】
請求項1に記載の外科用機器であって、前記ノズルが扇形の噴霧パターンを生成するように構成される、外科用機器。
【請求項8】
請求項1に記載の外科用機器であって、前記ノズルが前記導入子に対して360°の回転角度にわたり回転可能である、外科用機器。
【請求項9】
請求項1に記載の外科用機器であって、前記アクチュエータ組立体は、
前記ハンドルに回転可能に固定したホイールと、
前記ホイールに固着され且つ、前記ハウジング内にて回転可能に維持された第一の継手であって、前記ノズルと接続された前記第一の継手と、
前記第一の継手と流体的に接続された第二の継手であって、前記ハウジングに対して固定されると共に、前記第一の継手と前記第二の継手との間の流体的接続が前記ホイールの回転により害を受けないままであるように、前記第一の継手と回転可能に関係付けられた前記第二の継手と、
前記第二の継手と接続されて且つ前記ハンドルから伸びる灌注管と、を含む外科用機器。
【請求項10】
請求項1に記載の外科用機器であって、
外部ポンプの起動を促し得るようにした電気スイッチ組立体を更に備え、該電気スイッチ組立体は、
前記ハンドルにより維持されたスイッチ機構と、
前記スイッチ機構と電気的に接続され且つ、前記ハンドルから伸びる線と、を含む、外科用機器。
【請求項11】
請求項1に記載の外科用機器であって、前記導入子の前記末端セグメントの前記湾曲した部分は、9−19mm程度の作用長さを有する、外科用機器。
【請求項12】
請求項1に記載の外科用機器であって、前記末端セグメントの前記湾曲した部分は、65°−85°の範囲の曲げ角度を規定する、外科用機器。
【請求項13】
外科用灌注機器を備える、人間の患者の前頭洞の標的箇所を灌注するシステムであって、前記外科用灌注機器は、
ハンドルと、
前記ハンドルから伸びると共に、基端セグメントと、末端にて終わる末端セグメントとを画成する細長い導入子であって、比較的線形であるように前記基端セグメントの少なくとも一部分と、前記ハンドルから前記導入子の長手方向伸長方向に向けて前記比較的線形部分と比較して比較的湾曲するように前記末端セグメントの少なくとも一部分とを剛性に形成する前記導入子と、
前記導入子を貫通して伸びる灌注通路と、
前記灌注通路と流体的に接続するノズルであって、前記導入子に対して回転可能であるように前記導入子の末端に維持されたノズルと、
前記ハンドルにより維持されると共に、前記ノズルと接続されたアクチュエータを含むアクチュエータ組立体と、を備え、
前記外科用灌注機器は、前記アクチュエータの運動により前記ノズルが前記導入子に対して回転するように構成され、
前記灌注通路と流体的に接続される灌注源を備える、灌注システム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、
前記導入子内に配設され、前記灌注通路の一部分を形成する灌注組立体を更に備える、システム。
【請求項15】
請求項13に記載のシステムであって、前記灌注源は、加圧した灌注剤を前記リザーバから前記灌注通路まで送り出すポンプを含み、灌注剤の加圧した流れがポンプの作動時、前記ノズルから分与されるように構成される、システム。
【請求項16】
請求項13に記載のシステムであって、前記灌注源は、界面活性剤、ゲル、抗菌剤、ステロイド及び成長ホルモンから成る群から選ばれた液体を含む、システム。
【請求項17】
外科用灌注機器を提供するステップ備える、人間の患者の前頭洞の標的箇所を灌注する方法において、前記外科用灌注機器は、
ハンドルと、
前記ハンドルから伸びると共に、基端セグメントと、末端にて終わる末端セグメントとを画成する細長い導入子であって、比較的線形であるように前記基端セグメントの少なくとも一部分と、前記ハンドルから前記導入子の長手方向伸長方向に向けて前記比較的線形部分と比較して比較的湾曲するように前記末端セグメントの少なくとも一部分とを剛性に形成する前記導入子と、
前記導入子を貫通して伸びる灌注通路と、
前記灌注通路と流体的に接続するノズルであって、前記導入子に対して回転可能であるように前記導入子の末端に維持されたノズルと、
前記ハンドルにより維持されると共に、前記ノズルと接続されたアクチュエータを含むアクチュエータ組立体と、を備え、
前記外科用灌注機器は、前記アクチュエータの運動により前記ノズルが前記導入子に対して回転するように構成され、
前記方法は、
前記導入子の前記末端セグメントを患者の鼻孔内に外科的に挿入するステップと、
前記ノズルを前記患者の前頭洞内に位置決めするステップと、
灌注剤の加圧した流れを前記ノズルから前頭洞の標的箇所の表面に向けて分与するステップと、
前記加圧した流れを分与しつつ、前記ノズルを前記導入子に対して回転させるステップと、を含む、灌注方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記標的箇所の表面は、細菌バイオフィルムの層を含み、更に、加圧した流れを分与するステップは、バイオフィルムの実質的な部分を前記標的箇所の表面から機械的に除去するステップを含む、方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、細菌バイオフィルムの再成長を妨害し得るようにした医薬を前記ノズルを通して前記標的箇所まで付与するステップを更に備える、方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法において、前記導入子の前記末端セグメントを外科的に挿入するステップは、前記鼻孔から患者の前頭洞までの曲率に相応する曲げ角度を形成する湾曲した末端セグメントを含む、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−518643(P2011−518643A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507515(P2011−507515)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/039239
【国際公開番号】WO2009/134577
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(504101304)メドトロニック・ゾーメド・インコーポレーテッド (28)
【Fターム(参考)】