剛性支持部構造
【課題】アッパ部の剛性を最適化し得るようにする。
【解決手段】剛性支持体6が、車体強度部材1とダッシュパネル5との間に架設されるアッパ部7と、アッパ部7のダッシュパネル5側の端部から屈曲部8を有してコラムブラケット3の前側部分3aへ向けて斜め下方へ延びるロワ部9とを有する剛性支持部構造であって、剛性支持体6のロワ部9を、コラムブラケット3に達しない長さの短腕ロワ部31とすると共に、短腕ロワ部31と、コラムブラケット3の前側部分3aとを連結部材32を介在させて連結し、少なくとも短腕ロワ部31と連結部材32との間の連結部分に、所定値以上の荷重入力によって連結状態を解除可能な解除可能連結部35を設けるようにしている。
【解決手段】剛性支持体6が、車体強度部材1とダッシュパネル5との間に架設されるアッパ部7と、アッパ部7のダッシュパネル5側の端部から屈曲部8を有してコラムブラケット3の前側部分3aへ向けて斜め下方へ延びるロワ部9とを有する剛性支持部構造であって、剛性支持体6のロワ部9を、コラムブラケット3に達しない長さの短腕ロワ部31とすると共に、短腕ロワ部31と、コラムブラケット3の前側部分3aとを連結部材32を介在させて連結し、少なくとも短腕ロワ部31と連結部材32との間の連結部分に、所定値以上の荷重入力によって連結状態を解除可能な解除可能連結部35を設けるようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、剛性支持部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、車室内の前部にインストルメントパネルが設けられている。このインストルメントパネルの内部には、ほぼ車幅方向へ延びて左右の車体パネル間を連結する車体強度部材が配設されている。この車体強度部材は、クロスカービームや、ステアリングサポートメンバなどと呼ばれるものである。そして、従来より、このような車体強度部材を利用してステアリングコラムを支持させるようにした構造が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、図8に示すように、ほぼ車幅方向へ延びる車体強度部材1の下部に、ステアリングコラム2を支持可能なコラムブラケット3を取付ける。ステアリングコラム2は、車体強度部材1の下方に、ほぼ車両前後方向へ向け配設されている。このステアリングコラムは、通常、後上がりに傾斜されている。また、コラムブラケット3は、予め車体強度部材1に溶接固定されている(図9の溶接部4を参照のこと)。そして、ステアリングコラム2は、コラムブラケット3の下部に取付けられる。コラムブラケット3は、車体強度部材1の前側に位置する前側部分3aと、後側に位置する後側部分3bとを有している。ステアリングコラム2は、前側部分3aと後側部分3bとの2箇所の位置でコラムブラケット3に取付けられる。前側部分3aと後側部分3bとは、一体とされる場合と、別部材とされる場合とがある。この場合には、一体とされている。
【0004】
一方、車体強度部材1の前方には、車室前壁を構成するダッシュパネル5が配設されている。
【0005】
そして、車体強度部材1およびコラムブラケット3と、ダッシュパネル5との間を、剛性支持体6を介して連結する。この剛性支持体6は、ポストブラケットなどと呼ばれるものである。
【0006】
この剛性支持体6は、車体強度部材1とダッシュパネル5との間に架設されるアッパ部7を有している。また、アッパ部7のダッシュパネル5側の端部から屈曲部8を有してコラムブラケット3の前側部分3aへ向け斜め下方へ延びるロワ部9を有している。
【0007】
即ち、剛性支持体6は、側面視ほぼフ字状を呈している。この側面視ほぼフ字状の剛性支持体6は、図10に示すように、上側や前側の縁部に沿って補強フランジ部10を有している。即ち、補強フランジ部10は、アッパ部7の上側の縁部と、ロワ部9の前側の縁部に沿って設けられている。これらの補強フランジ部10は、強度が必要な部分は広幅に、また、強度が余り必要でない部分は狭幅に構成されている。また、剛性支持体6の屈曲部8におけるダッシュパネル5に対する取付部11は、ネジ穴とされている。このネジ穴は、ロワ部9の前側の縁部に沿った補強フランジ部10の上側の位置に形成されている。
【0008】
また、剛性支持体6におけるアッパ部7の後端部は、車体強度部材1に予め溶接固定される(図9の溶接部12を参照のこと)。また、剛性支持体6におけるロワ部9の下端部は、コラムブラケット3の前側部分3aに予め溶接固定される(図9の溶接部13を参照のこと)。これにより、車体強度部材1とコラムブラケット3の前側部分3aと側面視ほぼフ字状をした剛性支持体6との間に、三角形状の空間14を有するトラス構造体が構築される。
【0009】
なお、剛性支持体6の上側には、図8に示すように、ワイヤーハーネス15やダクト類16などが配設される。このワイヤーハーネス15は、車体強度部材1にほぼ沿って配索されるものである。
【0010】
このような構成において、剛性支持体6は、通常時には、トラス構造体として、ダッシュパネル5に車体強度部材1およびコラムブラケット3を支持させるように機能すると共に、ステアリングコラム2の振動を抑制させるように機能する。なお、振動抑制のためには、剛性支持体6の剛性は、高い程ほど良いとされている。
【0011】
そして、車体の前方からの荷重入力時には(図11の荷重18を参照のこと)、乗員側へ移動して来るダッシュパネル5に対して、図11に示すように、アッパ部7が、横にく字状に折れ曲がる(曲げ荷重19)ことによって、その影響を車体強度部材1へ伝えないように機能する。なお、アッパ部7がうまく横にく字状に折れ曲がるようにするためには、アッパ部7の剛性は、あまり高くしない方が良い。但し、アッパ部7の剛性を弱くし過ぎると、ダッシュパネル5の移動時の反力を受けて荷重を吸収することができなくなってしまうので、荷重吸収を行いつつ車体強度部材1に影響を伝えないようにするためには、アッパ部7の剛性は、あまり低くすることができない。
【0012】
そこで、アッパ部7には、これらの様々な要求を満たし得るような最適な剛性を与える必要がある。
【特許文献1】実公平6−11860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記剛性支持部構造では、上記した荷重入力によって、アッパ部7が、横にく字状に折れ曲がる際に、図12に示すように、アッパ部7と一体のロワ部9も引張られて横へ捩れる(捩れ荷重20)こととなるが、ロワ部9の剛性が高いと、アッパ部7の折れ曲がり性能に悪影響を与えてしまうことになるため、剛性支持体6の板厚を薄くするなどしてロワ部9の剛性が低くなるようにしていた。しかし、ロワ部9の剛性を下げることを優先して剛性支持体6の板厚を選定するなどしていたため、アッパ部7の剛性を最適化するのが非常に困難となっていた。
【0014】
また、上記したように、車体強度部材1と、コラムブラケット3の前側部分3aと、側面視ほぼフ字状をした剛性支持体6との間に予め形成される三角形状の空間14が、デッドスペースとなるため、インストルメントパネル内のスペース効率が充分良いとは言えなかった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明では、ほぼ車幅方向へ延びる車体強度部材、および、該車体強度部材の下部に取付けられてステアリングコラムを支持可能なコラムブラケットと、前記車体強度部材の前方に配設されて車室前壁を構成するダッシュパネルとの間を、剛性支持体を介して連結し、前記剛性支持体が、車体強度部材とダッシュパネルとの間に架設されるアッパ部と、該アッパ部のダッシュパネル側の端部から屈曲部を有して前記コラムブラケットの前側部分へ向けて斜め下方へ延びるロワ部とを有する剛性支持部構造において、前記剛性支持体のロワ部を、コラムブラケットに達しない長さの短腕ロワ部とすると共に、該短腕ロワ部と、コラムブラケットの前側部分とを連結部材を介在させて連結し、少なくとも短腕ロワ部と連結部材との間の連結部分に、所定値以上の荷重入力によって連結状態を解除可能な解除可能連結部を設けた剛性支持部構造を特徴としている。
【0016】
請求項2に記載された発明では、前記短腕ロワ部とコラムブラケットの前側部分との間に、車体強度部材にほぼ沿って配索されるワイヤーハーネスが通過可能な間隙部を設けた請求項1記載の剛性支持部構造を特徴としている。
【0017】
請求項3に記載された発明では、前記連結部材に、ワイヤーハーネスに対して結着可能な結着部を設けた請求項2記載の剛性支持部構造を特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、ほぼ車幅方向へ延びる車体強度部材、および、該車体強度部材の下部に取付けられてステアリングコラムを支持可能なコラムブラケットと、前記車体強度部材の前方に配設されて車室前壁を構成するダッシュパネルとの間を、剛性支持体を介して連結し、前記剛性支持体が、車体強度部材とダッシュパネルとの間に架設されるアッパ部と、該アッパ部のダッシュパネル側の端部から屈曲部を有して前記コラムブラケットの前側部分へ向けて斜め下方へ延びるロワ部とを有する剛性支持部構造において、前記剛性支持体のロワ部を、コラムブラケットに達しない長さの短腕ロワ部とすると共に、該短腕ロワ部と、コラムブラケットの前側部分とを連結部材を介在させて連結し、少なくとも短腕ロワ部と連結部材との間の連結部分に、所定値以上の荷重入力によって連結状態を解除可能な解除可能連結部を設けたことにより、以下のような作用効果を得ることができる。
【0019】
即ち、剛性支持体のロワ部を短腕ロワ部としてコラムブラケットの前側部分との縁を切るようにしたことにより、ロワ部が、アッパ部の折れ曲がり性能に悪影響を与えないようにすることができる。しかも、アッパ部を最大限に機能が発揮できる専用設計品とすることが可能となる。これにより、アッパ部に、最適な剛性を持たせることができるようになる。なお、ロワ部については、連結部材などとの関係から容易に必要性能を満足するように設計することが可能であるので特に支障はない。そして、連結部材を荷重入力によって連結状態が解除されるように構成したことにより、剛性支持体を、通常時には、連結部材が短腕ロワ部とコラムブラケットの前側部分との間を連結することにより、トラス構造体となって支持機能と振動抑制機能とを発揮し、荷重入力時には、連結部材の連結状態が解除されることにより、トラス構造体ではなくなって、アッパ部が確実に横にく字状に折れ曲がって荷重吸収などを行うようにすることが可能となる。
【0020】
請求項2の発明によれば、前記短腕ロワ部とコラムブラケットの前側部分との間に、車体強度部材にほぼ沿って配索されるワイヤーハーネスが通過可能な間隙部を設けたことにより、間隙部を通して剛性支持体の内側へワイヤーハーネスを入れることが可能となるため、これまで使用できなかったスペースを使用することが可能となり、インストルメントパネル内のスペース効率を向上することができるようになる。
【0021】
請求項3の発明によれば、前記連結部材に、ワイヤーハーネスに対して結着可能な結着部を設けたことにより、ワイヤーハーネスに予め連結部材を結着しておくことができるようになるので、組付時に、部品置場から連結部材をピックアップする作業をなくして、間隙部に直ちに連結部材を取付けることが可能となり、且つ、間隙部に連結部材を取付ける作業が、そのままワイヤーハーネスの固定作業となるので、その分、作業能率を向上することができる。更に、剛性支持体の内側にワイヤーハーネスを入れた後で、ワイヤーハーネスに予め結着した連結部材を間隙部に取付けることにより、ワイヤーハーネスの配索と、間隙部への連結部材の取付とを連携して行わせることができ、組付作業の段取りを良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施例について、図示例と共に説明する。
【実施例】
【0023】
図1〜図7は、この発明の実施例を示すものである。なお、基本的な構成については、図8、図9などを用いて説明したものとほぼ同様なので、必要に応じてこれらの図面を参照する。この際、同一ないし均等な部分については、同一の符号を付すようにしている。
【0024】
まず、構成について説明する。
【0025】
自動車などの車両には、車室内の前部にインストルメントパネルが設けられている。このインストルメントパネルの内部には、ほぼ車幅方向へ延びて左右の車体パネル間を連結する車体強度部材1が配設されている。この車体強度部材1は、クロスカービームや、ステアリングサポートメンバなどと呼ばれるものである。そして、このような車体強度部材1を利用してステアリングコラム(図8を参照のこと)を支持させるようにする。
【0026】
例えば、ほぼ車幅方向へ延びる車体強度部材1の下部に、ステアリングコラムを支持可能なコラムブラケット3を取付ける。ここで、車体強度部材1は、通常、金属製の丸パイプで主に構成されている。この車体強度部材1には、直線状のものや屈曲されたものなどが存在する。ステアリングコラムは、車体強度部材1の下方に、ほぼ車両前後方向へ向け配設されている。このステアリングコラムは、通常、後上がりに傾斜されている。また、コラムブラケット3は、予め車体強度部材1に溶接固定されている(図9の溶接部4を参照のこと)。そして、ステアリングコラムは、コラムブラケット3の下部に取付けられる。コラムブラケット3は、車体強度部材1の前側に位置する前側部分3aと、後側に位置する後側部分とを有している。ステアリングコラム2は、前側部分3aと後側部分との2箇所の位置でコラムブラケット3に取付けられる。前側部分3aと後側部分とは、一体とされる場合と、別部材とされる場合とがある。この場合には、別部材とされている。この別部材の前側部分3aは、上向きに開いたコ字形状を呈している。
【0027】
一方、車体強度部材1の前方には、車室前壁を構成するダッシュパネル5が配設されている。このダッシュパネル5は、エンジンルームと車室とを仕切る隔壁(縦壁部分)である。ダッシュパネル5は、縦壁部分の側部や底部に車体のサイドパネルやフロアパネルの少なくとも一部を一体に有することもある。ダッシュパネル5は、通常、一枚の金属板材をプレスすることによって形成されている。
【0028】
そして、車体強度部材1およびコラムブラケット3と、ダッシュパネル5との間を、剛性支持体6を介して連結する。この剛性支持体6は、ポストブラケットなどと呼ばれるものである。
【0029】
この剛性支持体6は、車体強度部材1とダッシュパネル5との間に架設されるアッパ部7を有している。また、アッパ部7のダッシュパネル5側の端部から屈曲部8を有してコラムブラケット3の前側部分3aへ向け斜め下方へ延びるロワ部9を有している。
【0030】
即ち、剛性支持体6は、側面視ほぼフ字状を呈している。この側面視ほぼフ字状の剛性支持体6は、図2に示すように、上側や前側の縁部に沿って補強フランジ部10を有している。即ち、補強フランジ部10は、アッパ部7の上側の縁部と、ロワ部9の前側の縁部に沿って設けられている。これらの補強フランジ部10は、強度が必要な部分は広幅に、また、強度が余り必要でない部分は狭幅に構成されている。また、剛性支持体6の屈曲部8におけるダッシュパネル5に対する取付部11は、ネジ穴とされている。このネジ穴は、ロワ部9の前側の縁部に沿った補強フランジ部10の上側の位置に形成されている。
【0031】
また、剛性支持体6におけるアッパ部7の後端部は、車体強度部材1に予め溶接固定される(図9の溶接部12を参照のこと)。
【0032】
なお、剛性支持体6の近傍には、ワイヤーハーネス15(図2を参照のこと)やダクト類16(図3を参照のこと)などが配設される。このワイヤーハーネス15は、車体強度部材1にほぼ沿って配索されるものである。このワイヤーハーネス15は、車両に使用される各種の電線類を束ねたものである。
【0033】
以上の構成は、上記した従来例のものとほぼ同様である。
【0034】
そして、以上のような基本構成に対し、この実施例のものでは、剛性支持体6のロワ部9を、コラムブラケット3に達しない長さの短腕ロワ部31とする。
【0035】
そして、短腕ロワ部31と、コラムブラケット3の前側部分3aとを連結部材32を介在させて連結する。これにより、車体強度部材1とコラムブラケット3の前側部分3aと剛性支持体6および連結部材32との間に、三角形状の空間14を有するトラス構造体が構築され得るようにする。この連結部材32は、短腕ロワ部31と、コラムブラケット3の前側部分3aとの間に介装されて、荷重を伝達可能な荷重伝達部材とする。この場合、連結部材32は、その両端部が、荷重を無駄なく伝達できるように、短腕ロワ部31の延設方向に対して直角となるように構成され、また、相手側(短腕ロワ部31と、コラムブラケット3の前側部分3a)の対応する部分も、短腕ロワ部31の延設方向に対して直角となって、隙間無く線接触されるように構成される。この連結部材32は、例えば、樹脂製のものとしても(樹脂クリップ)、軽金属製のものとしても良い。この場合には、樹脂クリップとされている。
【0036】
更に、少なくとも短腕ロワ部31と連結部材32との間の連結部分(上側連結部分)に、所定値以上の荷重入力によって連結状態を解除可能な解除可能連結部35を設ける。この場合の荷重入力は、図7に示すように、車体の前方からのもの(荷重18)を指している。解除可能連結部35は、上記荷重18により短腕ロワ部31に作用する捩れ荷重20によって連結状態を解除させるものとする。この解除可能連結部35は、例えば、図3に示すような、ピン係止部36などとする。このピン係止部36は、短腕ロワ部31の下端部側面に貫通形成されたピン穴37と、連結部材32の上端部から、ピン穴37を覆うように突設された突片部32aから面直に突設されて、ピン穴37へ挿入係止可能なた係止ピン部38とを有している。
【0037】
また、短腕ロワ部31とコラムブラケット3の前側部分3aとの間の連結部分(下側連結部分)は、上記解除可能連結部35と同じ構造で連結するようにしても良いが、この場合には、上記下側連結部分は、ボルト39を用いて面直方向に締結固定するようにしている。この際、上記下側連結部分は、図1、図2に示すように、コラムブラケット3の前側部分3aに補助ブラケット41を溶接固定して、この補助ブラケット41の上端部と連結部材32の下端部との間を面直方向からボルト39で間接的に締結固定するようにしても、図4に示すように、連結部材32を延ばして、コラムブラケット3の前側部分3aと連結部材32の下端部との間をボルト39で直接的に締結固定させるようにしても良い。なお、補助ブラケット41を用いる場合には、補助ブラケット41は、トラス構造体を構築し得るように、短腕ロワ部31の延長線方向へ延びるものとする。この補助ブラケット41は、コラムブラケット3のコ字形状をした前側部分3aの内部にその下端部を挿入配置された状態で溶接固定されている。そして、例えば、図3では、連結部材32の下端部から、補助ブラケット41の上端部側面に形成されたボルト穴を覆うように突片部32bを突設し、この突片部32bに、対応するボルト穴を形成して、両ボルト穴を利用してボルト39で締結するようにしている。
【0038】
更に、図5に示すように、短腕ロワ部31とコラムブラケット3の前側部分3a(または、補助ブラケット41)との間に、車体強度部材1にほぼ沿って配索されるワイヤーハーネス15が通過可能な間隙部45を設ける。なお、ワイヤーハーネス15には、剛性支持体6と対応する部分に、上記した三角形状の空間14内へ通される迂回部分15aが設けられる。
【0039】
加えて、図6に示すように、連結部材32に、ワイヤーハーネス15に対して結着可能な結着部46を設ける。この結着部46は、ワイヤーハーネス15に外嵌可能なループ状のものなどとされている。連結部材32を樹脂製のもの(樹脂クリップ)とした場合には、結着部46は、連結部材32と一体成形することが可能である。なお、特に図示しないが、結着部46は、ダクト類16に対して結着可能なものとすることもできる。
【0040】
次に、この実施例の作用について説明する。
【0041】
コラムブラケット3と、短腕ロワ部31を有する剛性支持体6(いわゆるポストブラケット)と、補助ブラケット41(必要な場合)とは、車体強度部材1に対して予め取付けられた状態とされている。或いは、これらは、車体強度部材1の一部として予め備えられている。
【0042】
そして、車室内の前部を組立てる際には、例えば、作業台に車体強度部材1を設置し、車体強度部材1にほぼ沿ってワイヤーハーネス15を配索すると共に、間隙部45を通して剛性支持体6の内側にワイヤーハーネス15の迂回部分15aを入れた後で、ワイヤーハーネス15に予め結着した連結部材32を間隙部45に取付けて、短腕ロワ部31とコラムブラケット3の前側部分3a(または、補助ブラケット41)との間を連結して、間隙部45を閉じることにより、車体強度部材1とコラムブラケット3の前側部分3aと側面視ほぼフ字状をした剛性支持体6との間に、三角形状の空間14を有するトラス構造体を構築する。
【0043】
このようにして、作業台上で車室内の前部が組立てられたら、でき上がった組立体(いわゆるコックピットモジュール)を車体に搭載し、車体強度部材1の両端部をそれぞれ左右の車体パネルに連結すると共に、剛性支持体6の屈曲部8をダッシュパネル5に連結固定する。
【0044】
そして、剛性支持体6と連結部材32と(補助ブラケット41と)は、通常時には、トラス構造体として、ダッシュパネル5に車体強度部材1およびコラムブラケット3を支持させるように機能すると共に、ステアリングコラムの振動を抑制させるように機能する。なお、振動抑制のためには、剛性支持体6の剛性は、高い程ほど良いとされている。
【0045】
そして、主に図7に示すように、車体の前方からの荷重入力時には(荷重18)、乗員側へ移動して来るダッシュパネル5に対して、アッパ部7が、横にく字状に折れ曲がる(曲げ荷重19)ことによって、その影響を車体強度部材1へ伝えないように機能する。即ち、車体強度部材1を後方へ移動させないように機能する。なお、アッパ部7がうまく横にく字状に折れ曲がるようにするためには、アッパ部7の剛性は、あまり高くしない方が良い。但し、アッパ部7の剛性を弱くし過ぎると、ダッシュパネル5の移動時の反力を受けて荷重を吸収することができなくなってしまうので、荷重吸収を行いつつ車体強度部材1に影響を伝えないようにするためには、アッパ部7の剛性は、あまり低くすることができない。
【0046】
そこで、アッパ部7には、これらの様々な要求を満たし得るような最適な剛性が与えられる。
【0047】
そして、上記した荷重入力によって、アッパ部7が、横にく字状に折れ曲がる際には、連結部材32の連結状態が解除されて、短腕ロワ部31がアッパ部7の折れ曲がり性能に悪影響を与えることのないようにする。よって、アッパ部7は、荷重吸収機能と、車体強度部材1の移動防止機能とを最大限に発揮する。この場合、連結部材32は、ピン係止部36が、破断されたり、抜けたりすることによって、連結状態が解除される。
【0048】
このように、この実施例によれば、ほぼ車幅方向へ延びる車体強度部材1、および、車体強度部材1の下部に取付けられてステアリングコラムを支持可能なコラムブラケット3と、車体強度部材1の前方に配設されて車室前壁を構成するダッシュパネル5との間を、剛性支持体6を介して連結し、剛性支持体6が、車体強度部材1とダッシュパネル5との間に架設されるアッパ部7と、アッパ部7のダッシュパネル5側の端部から屈曲部8を有してコラムブラケット3の前側部分3aへ向けて斜め下方へ延びるロワ部9とを有する剛性支持部構造において、剛性支持体6のロワ部9を、コラムブラケット3に達しない長さの短腕ロワ部31とすると共に、短腕ロワ部31と、コラムブラケット3の前側部分3aとを連結部材32を介在させて連結し、少なくとも短腕ロワ部31と連結部材32との間の連結部分に、所定値以上の荷重入力によって連結状態を解除可能な解除可能連結部35を設けたことにより、以下のような作用効果を得ることができる。
【0049】
即ち、剛性支持体6のロワ部9を短腕ロワ部31としてコラムブラケット3の前側部分3aとの縁を切るようにしたことにより、ロワ部9が、アッパ部7の折れ曲がり性能に悪影響を与えないようにすることができる。しかも、アッパ部7を最大限に機能が発揮できる専用設計品とすることが可能となる。これにより、アッパ部7に、最適な剛性を持たせることができるようになる。なお、ロワ部9については、連結部材32などとの関係から容易に必要性能を満足する(トラス構造体としての機能を果たし得る)ように設計することが可能であるので特に支障はない。
【0050】
そして、連結部材32を荷重入力によって連結状態が解除されるように構成したことにより、剛性支持体6を、通常時には、連結部材32が短腕ロワ部31とコラムブラケット3の前側部分3aとの間を連結することにより、トラス構造体となって支持機能と振動抑制機能とを発揮し、荷重入力時には、連結部材32の連結状態が解除されることにより、トラス構造体ではなくなって、アッパ部7が確実に横にく字状に折れ曲がって荷重吸収などを行うようにすることが可能となる。
【0051】
また、短腕ロワ部31とコラムブラケット3の前側部分3aとの間に、車体強度部材1にほぼ沿って配索されるワイヤーハーネス15が通過可能な間隙部45を設けたことにより、間隙部45を通して剛性支持体6の内側へワイヤーハーネス15を入れることが可能となるため、これまで使用できなかったスペースを使用することが可能となり、インストルメントパネル内のスペース効率を向上することができるようになる。例えば、ワイヤーハーネス15を車体強度部材1とコラムブラケット3の前側部分3aと剛性支持体6および連結部材32などとの間に形成される三角形状の空間14内へ入れることによって生じた空スペースの分だけダクト類16の断面積を大きくして空調性能を上げることなどが可能となる。
【0052】
更に、連結部材32に、ワイヤーハーネス15に対して結着可能な結着部46を設けたことにより、ワイヤーハーネス15に予め連結部材32を結着しておくことができるようになるので、組付時に、部品置場から連結部材32をピックアップする作業をなくして、間隙部45に直ちに連結部材32を取付けることが可能となり、且つ、間隙部45に連結部材32を取付ける作業が、そのままワイヤーハーネス15の固定作業となるので、その分、作業能率を向上することができる。更に、剛性支持体6の内側にワイヤーハーネス15を入れた後で、ワイヤーハーネス15に予め結着した連結部材32を間隙部45に取付けることにより、ワイヤーハーネス15の配索と、間隙部45への連結部材32の取付とを連携して行わせることができ、組付作業の段取りを良くすることができる。
【0053】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施例にかかる剛性支持部構造の側面図である。
【図2】図1の斜視図である。
【図3】図1の連結部材部分の拡大断面図である。
【図4】図1の変形例を示すほぼ同様の側面図である。
【図5】図2の分解斜視図である。
【図6】図5の連結部材部分の分解斜視図である。
【図7】図1の剛性支持体に作用する荷重などの状況を示す斜視図である。
【図8】従来例にかかる剛性支持部構造の側面図である。
【図9】図8の剛性支持体の取付状態を示す側面図である。
【図10】図8の剛性支持体の斜視図である。
【図11】図10の剛性支持体が変形した状況を示す斜視図である。
【図12】図11の剛性支持体に作用する荷重の状況を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 車体強度部材
3 コラムブラケット
3a 前側部分
5 ダッシュパネル
6 剛性支持体
7 アッパ部
8 屈曲部
9 ロワ部
15 ワイヤーハーネス
31 短腕ロワ部
32 連結部材
35 解除可能連結部
45 間隙部
46 結着部
【技術分野】
【0001】
この発明は、剛性支持部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、車室内の前部にインストルメントパネルが設けられている。このインストルメントパネルの内部には、ほぼ車幅方向へ延びて左右の車体パネル間を連結する車体強度部材が配設されている。この車体強度部材は、クロスカービームや、ステアリングサポートメンバなどと呼ばれるものである。そして、従来より、このような車体強度部材を利用してステアリングコラムを支持させるようにした構造が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、図8に示すように、ほぼ車幅方向へ延びる車体強度部材1の下部に、ステアリングコラム2を支持可能なコラムブラケット3を取付ける。ステアリングコラム2は、車体強度部材1の下方に、ほぼ車両前後方向へ向け配設されている。このステアリングコラムは、通常、後上がりに傾斜されている。また、コラムブラケット3は、予め車体強度部材1に溶接固定されている(図9の溶接部4を参照のこと)。そして、ステアリングコラム2は、コラムブラケット3の下部に取付けられる。コラムブラケット3は、車体強度部材1の前側に位置する前側部分3aと、後側に位置する後側部分3bとを有している。ステアリングコラム2は、前側部分3aと後側部分3bとの2箇所の位置でコラムブラケット3に取付けられる。前側部分3aと後側部分3bとは、一体とされる場合と、別部材とされる場合とがある。この場合には、一体とされている。
【0004】
一方、車体強度部材1の前方には、車室前壁を構成するダッシュパネル5が配設されている。
【0005】
そして、車体強度部材1およびコラムブラケット3と、ダッシュパネル5との間を、剛性支持体6を介して連結する。この剛性支持体6は、ポストブラケットなどと呼ばれるものである。
【0006】
この剛性支持体6は、車体強度部材1とダッシュパネル5との間に架設されるアッパ部7を有している。また、アッパ部7のダッシュパネル5側の端部から屈曲部8を有してコラムブラケット3の前側部分3aへ向け斜め下方へ延びるロワ部9を有している。
【0007】
即ち、剛性支持体6は、側面視ほぼフ字状を呈している。この側面視ほぼフ字状の剛性支持体6は、図10に示すように、上側や前側の縁部に沿って補強フランジ部10を有している。即ち、補強フランジ部10は、アッパ部7の上側の縁部と、ロワ部9の前側の縁部に沿って設けられている。これらの補強フランジ部10は、強度が必要な部分は広幅に、また、強度が余り必要でない部分は狭幅に構成されている。また、剛性支持体6の屈曲部8におけるダッシュパネル5に対する取付部11は、ネジ穴とされている。このネジ穴は、ロワ部9の前側の縁部に沿った補強フランジ部10の上側の位置に形成されている。
【0008】
また、剛性支持体6におけるアッパ部7の後端部は、車体強度部材1に予め溶接固定される(図9の溶接部12を参照のこと)。また、剛性支持体6におけるロワ部9の下端部は、コラムブラケット3の前側部分3aに予め溶接固定される(図9の溶接部13を参照のこと)。これにより、車体強度部材1とコラムブラケット3の前側部分3aと側面視ほぼフ字状をした剛性支持体6との間に、三角形状の空間14を有するトラス構造体が構築される。
【0009】
なお、剛性支持体6の上側には、図8に示すように、ワイヤーハーネス15やダクト類16などが配設される。このワイヤーハーネス15は、車体強度部材1にほぼ沿って配索されるものである。
【0010】
このような構成において、剛性支持体6は、通常時には、トラス構造体として、ダッシュパネル5に車体強度部材1およびコラムブラケット3を支持させるように機能すると共に、ステアリングコラム2の振動を抑制させるように機能する。なお、振動抑制のためには、剛性支持体6の剛性は、高い程ほど良いとされている。
【0011】
そして、車体の前方からの荷重入力時には(図11の荷重18を参照のこと)、乗員側へ移動して来るダッシュパネル5に対して、図11に示すように、アッパ部7が、横にく字状に折れ曲がる(曲げ荷重19)ことによって、その影響を車体強度部材1へ伝えないように機能する。なお、アッパ部7がうまく横にく字状に折れ曲がるようにするためには、アッパ部7の剛性は、あまり高くしない方が良い。但し、アッパ部7の剛性を弱くし過ぎると、ダッシュパネル5の移動時の反力を受けて荷重を吸収することができなくなってしまうので、荷重吸収を行いつつ車体強度部材1に影響を伝えないようにするためには、アッパ部7の剛性は、あまり低くすることができない。
【0012】
そこで、アッパ部7には、これらの様々な要求を満たし得るような最適な剛性を与える必要がある。
【特許文献1】実公平6−11860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記剛性支持部構造では、上記した荷重入力によって、アッパ部7が、横にく字状に折れ曲がる際に、図12に示すように、アッパ部7と一体のロワ部9も引張られて横へ捩れる(捩れ荷重20)こととなるが、ロワ部9の剛性が高いと、アッパ部7の折れ曲がり性能に悪影響を与えてしまうことになるため、剛性支持体6の板厚を薄くするなどしてロワ部9の剛性が低くなるようにしていた。しかし、ロワ部9の剛性を下げることを優先して剛性支持体6の板厚を選定するなどしていたため、アッパ部7の剛性を最適化するのが非常に困難となっていた。
【0014】
また、上記したように、車体強度部材1と、コラムブラケット3の前側部分3aと、側面視ほぼフ字状をした剛性支持体6との間に予め形成される三角形状の空間14が、デッドスペースとなるため、インストルメントパネル内のスペース効率が充分良いとは言えなかった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明では、ほぼ車幅方向へ延びる車体強度部材、および、該車体強度部材の下部に取付けられてステアリングコラムを支持可能なコラムブラケットと、前記車体強度部材の前方に配設されて車室前壁を構成するダッシュパネルとの間を、剛性支持体を介して連結し、前記剛性支持体が、車体強度部材とダッシュパネルとの間に架設されるアッパ部と、該アッパ部のダッシュパネル側の端部から屈曲部を有して前記コラムブラケットの前側部分へ向けて斜め下方へ延びるロワ部とを有する剛性支持部構造において、前記剛性支持体のロワ部を、コラムブラケットに達しない長さの短腕ロワ部とすると共に、該短腕ロワ部と、コラムブラケットの前側部分とを連結部材を介在させて連結し、少なくとも短腕ロワ部と連結部材との間の連結部分に、所定値以上の荷重入力によって連結状態を解除可能な解除可能連結部を設けた剛性支持部構造を特徴としている。
【0016】
請求項2に記載された発明では、前記短腕ロワ部とコラムブラケットの前側部分との間に、車体強度部材にほぼ沿って配索されるワイヤーハーネスが通過可能な間隙部を設けた請求項1記載の剛性支持部構造を特徴としている。
【0017】
請求項3に記載された発明では、前記連結部材に、ワイヤーハーネスに対して結着可能な結着部を設けた請求項2記載の剛性支持部構造を特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、ほぼ車幅方向へ延びる車体強度部材、および、該車体強度部材の下部に取付けられてステアリングコラムを支持可能なコラムブラケットと、前記車体強度部材の前方に配設されて車室前壁を構成するダッシュパネルとの間を、剛性支持体を介して連結し、前記剛性支持体が、車体強度部材とダッシュパネルとの間に架設されるアッパ部と、該アッパ部のダッシュパネル側の端部から屈曲部を有して前記コラムブラケットの前側部分へ向けて斜め下方へ延びるロワ部とを有する剛性支持部構造において、前記剛性支持体のロワ部を、コラムブラケットに達しない長さの短腕ロワ部とすると共に、該短腕ロワ部と、コラムブラケットの前側部分とを連結部材を介在させて連結し、少なくとも短腕ロワ部と連結部材との間の連結部分に、所定値以上の荷重入力によって連結状態を解除可能な解除可能連結部を設けたことにより、以下のような作用効果を得ることができる。
【0019】
即ち、剛性支持体のロワ部を短腕ロワ部としてコラムブラケットの前側部分との縁を切るようにしたことにより、ロワ部が、アッパ部の折れ曲がり性能に悪影響を与えないようにすることができる。しかも、アッパ部を最大限に機能が発揮できる専用設計品とすることが可能となる。これにより、アッパ部に、最適な剛性を持たせることができるようになる。なお、ロワ部については、連結部材などとの関係から容易に必要性能を満足するように設計することが可能であるので特に支障はない。そして、連結部材を荷重入力によって連結状態が解除されるように構成したことにより、剛性支持体を、通常時には、連結部材が短腕ロワ部とコラムブラケットの前側部分との間を連結することにより、トラス構造体となって支持機能と振動抑制機能とを発揮し、荷重入力時には、連結部材の連結状態が解除されることにより、トラス構造体ではなくなって、アッパ部が確実に横にく字状に折れ曲がって荷重吸収などを行うようにすることが可能となる。
【0020】
請求項2の発明によれば、前記短腕ロワ部とコラムブラケットの前側部分との間に、車体強度部材にほぼ沿って配索されるワイヤーハーネスが通過可能な間隙部を設けたことにより、間隙部を通して剛性支持体の内側へワイヤーハーネスを入れることが可能となるため、これまで使用できなかったスペースを使用することが可能となり、インストルメントパネル内のスペース効率を向上することができるようになる。
【0021】
請求項3の発明によれば、前記連結部材に、ワイヤーハーネスに対して結着可能な結着部を設けたことにより、ワイヤーハーネスに予め連結部材を結着しておくことができるようになるので、組付時に、部品置場から連結部材をピックアップする作業をなくして、間隙部に直ちに連結部材を取付けることが可能となり、且つ、間隙部に連結部材を取付ける作業が、そのままワイヤーハーネスの固定作業となるので、その分、作業能率を向上することができる。更に、剛性支持体の内側にワイヤーハーネスを入れた後で、ワイヤーハーネスに予め結着した連結部材を間隙部に取付けることにより、ワイヤーハーネスの配索と、間隙部への連結部材の取付とを連携して行わせることができ、組付作業の段取りを良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施例について、図示例と共に説明する。
【実施例】
【0023】
図1〜図7は、この発明の実施例を示すものである。なお、基本的な構成については、図8、図9などを用いて説明したものとほぼ同様なので、必要に応じてこれらの図面を参照する。この際、同一ないし均等な部分については、同一の符号を付すようにしている。
【0024】
まず、構成について説明する。
【0025】
自動車などの車両には、車室内の前部にインストルメントパネルが設けられている。このインストルメントパネルの内部には、ほぼ車幅方向へ延びて左右の車体パネル間を連結する車体強度部材1が配設されている。この車体強度部材1は、クロスカービームや、ステアリングサポートメンバなどと呼ばれるものである。そして、このような車体強度部材1を利用してステアリングコラム(図8を参照のこと)を支持させるようにする。
【0026】
例えば、ほぼ車幅方向へ延びる車体強度部材1の下部に、ステアリングコラムを支持可能なコラムブラケット3を取付ける。ここで、車体強度部材1は、通常、金属製の丸パイプで主に構成されている。この車体強度部材1には、直線状のものや屈曲されたものなどが存在する。ステアリングコラムは、車体強度部材1の下方に、ほぼ車両前後方向へ向け配設されている。このステアリングコラムは、通常、後上がりに傾斜されている。また、コラムブラケット3は、予め車体強度部材1に溶接固定されている(図9の溶接部4を参照のこと)。そして、ステアリングコラムは、コラムブラケット3の下部に取付けられる。コラムブラケット3は、車体強度部材1の前側に位置する前側部分3aと、後側に位置する後側部分とを有している。ステアリングコラム2は、前側部分3aと後側部分との2箇所の位置でコラムブラケット3に取付けられる。前側部分3aと後側部分とは、一体とされる場合と、別部材とされる場合とがある。この場合には、別部材とされている。この別部材の前側部分3aは、上向きに開いたコ字形状を呈している。
【0027】
一方、車体強度部材1の前方には、車室前壁を構成するダッシュパネル5が配設されている。このダッシュパネル5は、エンジンルームと車室とを仕切る隔壁(縦壁部分)である。ダッシュパネル5は、縦壁部分の側部や底部に車体のサイドパネルやフロアパネルの少なくとも一部を一体に有することもある。ダッシュパネル5は、通常、一枚の金属板材をプレスすることによって形成されている。
【0028】
そして、車体強度部材1およびコラムブラケット3と、ダッシュパネル5との間を、剛性支持体6を介して連結する。この剛性支持体6は、ポストブラケットなどと呼ばれるものである。
【0029】
この剛性支持体6は、車体強度部材1とダッシュパネル5との間に架設されるアッパ部7を有している。また、アッパ部7のダッシュパネル5側の端部から屈曲部8を有してコラムブラケット3の前側部分3aへ向け斜め下方へ延びるロワ部9を有している。
【0030】
即ち、剛性支持体6は、側面視ほぼフ字状を呈している。この側面視ほぼフ字状の剛性支持体6は、図2に示すように、上側や前側の縁部に沿って補強フランジ部10を有している。即ち、補強フランジ部10は、アッパ部7の上側の縁部と、ロワ部9の前側の縁部に沿って設けられている。これらの補強フランジ部10は、強度が必要な部分は広幅に、また、強度が余り必要でない部分は狭幅に構成されている。また、剛性支持体6の屈曲部8におけるダッシュパネル5に対する取付部11は、ネジ穴とされている。このネジ穴は、ロワ部9の前側の縁部に沿った補強フランジ部10の上側の位置に形成されている。
【0031】
また、剛性支持体6におけるアッパ部7の後端部は、車体強度部材1に予め溶接固定される(図9の溶接部12を参照のこと)。
【0032】
なお、剛性支持体6の近傍には、ワイヤーハーネス15(図2を参照のこと)やダクト類16(図3を参照のこと)などが配設される。このワイヤーハーネス15は、車体強度部材1にほぼ沿って配索されるものである。このワイヤーハーネス15は、車両に使用される各種の電線類を束ねたものである。
【0033】
以上の構成は、上記した従来例のものとほぼ同様である。
【0034】
そして、以上のような基本構成に対し、この実施例のものでは、剛性支持体6のロワ部9を、コラムブラケット3に達しない長さの短腕ロワ部31とする。
【0035】
そして、短腕ロワ部31と、コラムブラケット3の前側部分3aとを連結部材32を介在させて連結する。これにより、車体強度部材1とコラムブラケット3の前側部分3aと剛性支持体6および連結部材32との間に、三角形状の空間14を有するトラス構造体が構築され得るようにする。この連結部材32は、短腕ロワ部31と、コラムブラケット3の前側部分3aとの間に介装されて、荷重を伝達可能な荷重伝達部材とする。この場合、連結部材32は、その両端部が、荷重を無駄なく伝達できるように、短腕ロワ部31の延設方向に対して直角となるように構成され、また、相手側(短腕ロワ部31と、コラムブラケット3の前側部分3a)の対応する部分も、短腕ロワ部31の延設方向に対して直角となって、隙間無く線接触されるように構成される。この連結部材32は、例えば、樹脂製のものとしても(樹脂クリップ)、軽金属製のものとしても良い。この場合には、樹脂クリップとされている。
【0036】
更に、少なくとも短腕ロワ部31と連結部材32との間の連結部分(上側連結部分)に、所定値以上の荷重入力によって連結状態を解除可能な解除可能連結部35を設ける。この場合の荷重入力は、図7に示すように、車体の前方からのもの(荷重18)を指している。解除可能連結部35は、上記荷重18により短腕ロワ部31に作用する捩れ荷重20によって連結状態を解除させるものとする。この解除可能連結部35は、例えば、図3に示すような、ピン係止部36などとする。このピン係止部36は、短腕ロワ部31の下端部側面に貫通形成されたピン穴37と、連結部材32の上端部から、ピン穴37を覆うように突設された突片部32aから面直に突設されて、ピン穴37へ挿入係止可能なた係止ピン部38とを有している。
【0037】
また、短腕ロワ部31とコラムブラケット3の前側部分3aとの間の連結部分(下側連結部分)は、上記解除可能連結部35と同じ構造で連結するようにしても良いが、この場合には、上記下側連結部分は、ボルト39を用いて面直方向に締結固定するようにしている。この際、上記下側連結部分は、図1、図2に示すように、コラムブラケット3の前側部分3aに補助ブラケット41を溶接固定して、この補助ブラケット41の上端部と連結部材32の下端部との間を面直方向からボルト39で間接的に締結固定するようにしても、図4に示すように、連結部材32を延ばして、コラムブラケット3の前側部分3aと連結部材32の下端部との間をボルト39で直接的に締結固定させるようにしても良い。なお、補助ブラケット41を用いる場合には、補助ブラケット41は、トラス構造体を構築し得るように、短腕ロワ部31の延長線方向へ延びるものとする。この補助ブラケット41は、コラムブラケット3のコ字形状をした前側部分3aの内部にその下端部を挿入配置された状態で溶接固定されている。そして、例えば、図3では、連結部材32の下端部から、補助ブラケット41の上端部側面に形成されたボルト穴を覆うように突片部32bを突設し、この突片部32bに、対応するボルト穴を形成して、両ボルト穴を利用してボルト39で締結するようにしている。
【0038】
更に、図5に示すように、短腕ロワ部31とコラムブラケット3の前側部分3a(または、補助ブラケット41)との間に、車体強度部材1にほぼ沿って配索されるワイヤーハーネス15が通過可能な間隙部45を設ける。なお、ワイヤーハーネス15には、剛性支持体6と対応する部分に、上記した三角形状の空間14内へ通される迂回部分15aが設けられる。
【0039】
加えて、図6に示すように、連結部材32に、ワイヤーハーネス15に対して結着可能な結着部46を設ける。この結着部46は、ワイヤーハーネス15に外嵌可能なループ状のものなどとされている。連結部材32を樹脂製のもの(樹脂クリップ)とした場合には、結着部46は、連結部材32と一体成形することが可能である。なお、特に図示しないが、結着部46は、ダクト類16に対して結着可能なものとすることもできる。
【0040】
次に、この実施例の作用について説明する。
【0041】
コラムブラケット3と、短腕ロワ部31を有する剛性支持体6(いわゆるポストブラケット)と、補助ブラケット41(必要な場合)とは、車体強度部材1に対して予め取付けられた状態とされている。或いは、これらは、車体強度部材1の一部として予め備えられている。
【0042】
そして、車室内の前部を組立てる際には、例えば、作業台に車体強度部材1を設置し、車体強度部材1にほぼ沿ってワイヤーハーネス15を配索すると共に、間隙部45を通して剛性支持体6の内側にワイヤーハーネス15の迂回部分15aを入れた後で、ワイヤーハーネス15に予め結着した連結部材32を間隙部45に取付けて、短腕ロワ部31とコラムブラケット3の前側部分3a(または、補助ブラケット41)との間を連結して、間隙部45を閉じることにより、車体強度部材1とコラムブラケット3の前側部分3aと側面視ほぼフ字状をした剛性支持体6との間に、三角形状の空間14を有するトラス構造体を構築する。
【0043】
このようにして、作業台上で車室内の前部が組立てられたら、でき上がった組立体(いわゆるコックピットモジュール)を車体に搭載し、車体強度部材1の両端部をそれぞれ左右の車体パネルに連結すると共に、剛性支持体6の屈曲部8をダッシュパネル5に連結固定する。
【0044】
そして、剛性支持体6と連結部材32と(補助ブラケット41と)は、通常時には、トラス構造体として、ダッシュパネル5に車体強度部材1およびコラムブラケット3を支持させるように機能すると共に、ステアリングコラムの振動を抑制させるように機能する。なお、振動抑制のためには、剛性支持体6の剛性は、高い程ほど良いとされている。
【0045】
そして、主に図7に示すように、車体の前方からの荷重入力時には(荷重18)、乗員側へ移動して来るダッシュパネル5に対して、アッパ部7が、横にく字状に折れ曲がる(曲げ荷重19)ことによって、その影響を車体強度部材1へ伝えないように機能する。即ち、車体強度部材1を後方へ移動させないように機能する。なお、アッパ部7がうまく横にく字状に折れ曲がるようにするためには、アッパ部7の剛性は、あまり高くしない方が良い。但し、アッパ部7の剛性を弱くし過ぎると、ダッシュパネル5の移動時の反力を受けて荷重を吸収することができなくなってしまうので、荷重吸収を行いつつ車体強度部材1に影響を伝えないようにするためには、アッパ部7の剛性は、あまり低くすることができない。
【0046】
そこで、アッパ部7には、これらの様々な要求を満たし得るような最適な剛性が与えられる。
【0047】
そして、上記した荷重入力によって、アッパ部7が、横にく字状に折れ曲がる際には、連結部材32の連結状態が解除されて、短腕ロワ部31がアッパ部7の折れ曲がり性能に悪影響を与えることのないようにする。よって、アッパ部7は、荷重吸収機能と、車体強度部材1の移動防止機能とを最大限に発揮する。この場合、連結部材32は、ピン係止部36が、破断されたり、抜けたりすることによって、連結状態が解除される。
【0048】
このように、この実施例によれば、ほぼ車幅方向へ延びる車体強度部材1、および、車体強度部材1の下部に取付けられてステアリングコラムを支持可能なコラムブラケット3と、車体強度部材1の前方に配設されて車室前壁を構成するダッシュパネル5との間を、剛性支持体6を介して連結し、剛性支持体6が、車体強度部材1とダッシュパネル5との間に架設されるアッパ部7と、アッパ部7のダッシュパネル5側の端部から屈曲部8を有してコラムブラケット3の前側部分3aへ向けて斜め下方へ延びるロワ部9とを有する剛性支持部構造において、剛性支持体6のロワ部9を、コラムブラケット3に達しない長さの短腕ロワ部31とすると共に、短腕ロワ部31と、コラムブラケット3の前側部分3aとを連結部材32を介在させて連結し、少なくとも短腕ロワ部31と連結部材32との間の連結部分に、所定値以上の荷重入力によって連結状態を解除可能な解除可能連結部35を設けたことにより、以下のような作用効果を得ることができる。
【0049】
即ち、剛性支持体6のロワ部9を短腕ロワ部31としてコラムブラケット3の前側部分3aとの縁を切るようにしたことにより、ロワ部9が、アッパ部7の折れ曲がり性能に悪影響を与えないようにすることができる。しかも、アッパ部7を最大限に機能が発揮できる専用設計品とすることが可能となる。これにより、アッパ部7に、最適な剛性を持たせることができるようになる。なお、ロワ部9については、連結部材32などとの関係から容易に必要性能を満足する(トラス構造体としての機能を果たし得る)ように設計することが可能であるので特に支障はない。
【0050】
そして、連結部材32を荷重入力によって連結状態が解除されるように構成したことにより、剛性支持体6を、通常時には、連結部材32が短腕ロワ部31とコラムブラケット3の前側部分3aとの間を連結することにより、トラス構造体となって支持機能と振動抑制機能とを発揮し、荷重入力時には、連結部材32の連結状態が解除されることにより、トラス構造体ではなくなって、アッパ部7が確実に横にく字状に折れ曲がって荷重吸収などを行うようにすることが可能となる。
【0051】
また、短腕ロワ部31とコラムブラケット3の前側部分3aとの間に、車体強度部材1にほぼ沿って配索されるワイヤーハーネス15が通過可能な間隙部45を設けたことにより、間隙部45を通して剛性支持体6の内側へワイヤーハーネス15を入れることが可能となるため、これまで使用できなかったスペースを使用することが可能となり、インストルメントパネル内のスペース効率を向上することができるようになる。例えば、ワイヤーハーネス15を車体強度部材1とコラムブラケット3の前側部分3aと剛性支持体6および連結部材32などとの間に形成される三角形状の空間14内へ入れることによって生じた空スペースの分だけダクト類16の断面積を大きくして空調性能を上げることなどが可能となる。
【0052】
更に、連結部材32に、ワイヤーハーネス15に対して結着可能な結着部46を設けたことにより、ワイヤーハーネス15に予め連結部材32を結着しておくことができるようになるので、組付時に、部品置場から連結部材32をピックアップする作業をなくして、間隙部45に直ちに連結部材32を取付けることが可能となり、且つ、間隙部45に連結部材32を取付ける作業が、そのままワイヤーハーネス15の固定作業となるので、その分、作業能率を向上することができる。更に、剛性支持体6の内側にワイヤーハーネス15を入れた後で、ワイヤーハーネス15に予め結着した連結部材32を間隙部45に取付けることにより、ワイヤーハーネス15の配索と、間隙部45への連結部材32の取付とを連携して行わせることができ、組付作業の段取りを良くすることができる。
【0053】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施例にかかる剛性支持部構造の側面図である。
【図2】図1の斜視図である。
【図3】図1の連結部材部分の拡大断面図である。
【図4】図1の変形例を示すほぼ同様の側面図である。
【図5】図2の分解斜視図である。
【図6】図5の連結部材部分の分解斜視図である。
【図7】図1の剛性支持体に作用する荷重などの状況を示す斜視図である。
【図8】従来例にかかる剛性支持部構造の側面図である。
【図9】図8の剛性支持体の取付状態を示す側面図である。
【図10】図8の剛性支持体の斜視図である。
【図11】図10の剛性支持体が変形した状況を示す斜視図である。
【図12】図11の剛性支持体に作用する荷重の状況を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 車体強度部材
3 コラムブラケット
3a 前側部分
5 ダッシュパネル
6 剛性支持体
7 アッパ部
8 屈曲部
9 ロワ部
15 ワイヤーハーネス
31 短腕ロワ部
32 連結部材
35 解除可能連結部
45 間隙部
46 結着部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ車幅方向へ延びる車体強度部材、および、該車体強度部材の下部に取付けられてステアリングコラムを支持可能なコラムブラケットと、前記車体強度部材の前方に配設されて車室前壁を構成するダッシュパネルとの間を、剛性支持体を介して連結し、
前記剛性支持体が、車体強度部材とダッシュパネルとの間に架設されるアッパ部と、該アッパ部のダッシュパネル側の端部から屈曲部を有して前記コラムブラケットの前側部分へ向けて斜め下方へ延びるロワ部とを有する剛性支持部構造において、
前記剛性支持体のロワ部を、コラムブラケットに達しない長さの短腕ロワ部とすると共に、該短腕ロワ部と、コラムブラケットの前側部分とを連結部材を介在させて連結し、
少なくとも短腕ロワ部と連結部材との間の連結部分に、所定値以上の荷重入力によって連結状態を解除可能な解除可能連結部を設けたことを特徴とする剛性支持部構造。
【請求項2】
前記短腕ロワ部とコラムブラケットの前側部分との間に、車体強度部材にほぼ沿って配索されるワイヤーハーネスが通過可能な間隙部を設けたことを特徴とする請求項1記載の剛性支持部構造。
【請求項3】
前記連結部材に、ワイヤーハーネスに対して結着可能な結着部を設けたことを特徴とする請求項2記載の剛性支持部構造。
【請求項1】
ほぼ車幅方向へ延びる車体強度部材、および、該車体強度部材の下部に取付けられてステアリングコラムを支持可能なコラムブラケットと、前記車体強度部材の前方に配設されて車室前壁を構成するダッシュパネルとの間を、剛性支持体を介して連結し、
前記剛性支持体が、車体強度部材とダッシュパネルとの間に架設されるアッパ部と、該アッパ部のダッシュパネル側の端部から屈曲部を有して前記コラムブラケットの前側部分へ向けて斜め下方へ延びるロワ部とを有する剛性支持部構造において、
前記剛性支持体のロワ部を、コラムブラケットに達しない長さの短腕ロワ部とすると共に、該短腕ロワ部と、コラムブラケットの前側部分とを連結部材を介在させて連結し、
少なくとも短腕ロワ部と連結部材との間の連結部分に、所定値以上の荷重入力によって連結状態を解除可能な解除可能連結部を設けたことを特徴とする剛性支持部構造。
【請求項2】
前記短腕ロワ部とコラムブラケットの前側部分との間に、車体強度部材にほぼ沿って配索されるワイヤーハーネスが通過可能な間隙部を設けたことを特徴とする請求項1記載の剛性支持部構造。
【請求項3】
前記連結部材に、ワイヤーハーネスに対して結着可能な結着部を設けたことを特徴とする請求項2記載の剛性支持部構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−137577(P2008−137577A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−327899(P2006−327899)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
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