説明

剥落防止構造およびこれを用いた剥落防止工法

【課題】タイルをコンクリート躯体に十分な付着強さをもって固定することができるタイルの剥落防止構造およびこれを用いた剥落防止工法を提供する。
【解決手段】モルタル3を介して、コンクリート躯体2に通し目地の目地割りで張り付けた複数のタイル4の剥落を防止する剥落防止構造7であって、鉛直方向の縦目地51の位置にそれぞれ縦通しで配設され、縦目地51を挟んで隣り合う2列の縦タイル列の表面縁部を一括して押える押え部材71と、押え部材71を、縦目地51の部分でコンクリート躯体2にアンカリングするアンカー手段72と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、張付け材を介して、コンクリート躯体に張り付けた複数のタイルが、温度変化や経年劣化に起因して、剥がれ落ちることを防止するための剥落防止構造およびこれを用いた剥落防止工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、既設建築物の外壁等のタイル壁において、コンクリート躯体に向って目地を切削し、タイルの木口を露出させ、コンクリート躯体に達する縦孔と、垂直方向または水平方向に延在した略半円形状の一文字溝と、を刻設し、縦孔および一文字溝にエポキシ樹脂を注入して、ステンレス鋼を略T字形状に形成した連結材を差し込むことでアンカリングする剥落防止構造が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−001991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のタイル剥落防止工法では、連結材の形状に合わせて目地部分を切削する必要があった。このような目地の切削作業は、タイルを損傷しないように行う必要があり、非常に手間がかかると共に、熟練を要するものと考えられる。また、各タイルは、その木口(端面)で接着されるため十分な付着(接着)強さをもって固定することができないという問題もあった。
【0005】
本発明は、タイルをコンクリート躯体に十分な付着強さをもって固定することができるタイルの剥落防止構造およびこれを用いた剥落防止工法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の剥落防止構造は、張付け材を介して、コンクリート躯体に通し目地の目地割りで張り付けた複数のタイルの剥落を防止する剥落防止構造であって、鉛直方向の縦目地の位置にそれぞれ縦通しで配設され、縦目地を挟んで隣り合う2列の縦タイル列の表面縁部を一括して押える押え手段と、押え手段を、縦目地の部分でコンクリート躯体にアンカリングするアンカー手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の剥落防止構造は、張付け材を介して、コンクリート躯体に張り付けた複数のタイルの、剥落を防止する剥落防止構造であって、水平方向の横目地の位置にそれぞれ横通しで配設され、横目地を挟んで隣り合う2行の横タイル行の表面縁部を一括して押える押え手段と、押え手段を、横目地の部分でコンクリート躯体にアンカリングするアンカー手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、押え手段が、縦目地または横目地に沿って配設され、この目地の位置でコンクリート躯体に固定(アンカーリング)されている。このため、例えば、ケミカルアンカーや打ち込みアンカー等のアンカー手段を用いて、1の押え手段を固定するだけで、その目地を挟んで隣り合う2列または2行の複数のタイルを一括して押えることができる。これにより、短時間で、かつ、簡単に、複数のタイルの剥落を防止することができる。
また、押え手段は、タイルの表面縁部を押えているため、タイルの付着強さは、押え手段の剛性およびアンカー手段の引き抜き強度により決まる。したがって、アンカー手段を十分な引き抜き強度でコンクリート躯体にアンカリングすることで、タイルを十分な付着強さでコンクリート躯体に固定することができる。
【0009】
本発明の剥落防止構造は、張付け材を介して、コンクリート躯体に馬踏み目地の目地割りで張り付けた複数のタイルの剥落を防止する剥落防止構造であって、鉛直方向の縦目地の位置にそれぞれ縦通しで配設され、縦目地を挟んで隣り合う任意の2つのタイルの表面縁部、および、横目地を挟んで2つのタイルに隣り合う任意の1つのタイルの表面部を、それぞれ複数段にわたって一括して押える押え手段と、押え手段を、縦目地の部分でコンクリート躯体にアンカリングするアンカー手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、押え手段が、縦目地に沿うと共に、タイルの表面部を縦断するように配設され、目地の位置でコンクリート躯体に固定(アンカーリング)されている。このため、任意のアンカー手段を用いて、1の押え手段を固定するだけで、馬踏み目地の目地割りで複数段にわたって張り付けられた複数のタイルを一括して押えることができる。これにより、短時間で、かつ、簡単に、複数のタイルの剥落を防止することができる。
また、タイルの付着強さは、押え手段の剛性およびアンカー手段の引き抜き強度により十分に担保されているため、タイルを十分な付着強さで、コンクリート躯体に固定することができる。
【0011】
この場合、押え手段は、縦目地の幅より幅広の板状に形成されていることが好ましい。
【0012】
また、この場合、押え手段は、横目地の幅より幅広の板状に形成されていることが好ましい。
【0013】
これらの構成によれば、加工が容易な板材で押え手段を形成することにより、押え手段を安価に製造することができる。なお、押え手段は、各目地の幅より、2〜10mm幅広に形成されていることが好ましい。
【0014】
また、この場合、アンカー手段は、コンクリート躯体に所定のピッチで穿孔した挿填穴に注入される接着剤と、挿填穴に、押え手段を貫通して挿填されるアンカーピンと、を有していることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、アンカー手段による固定を行うためには、目地からコンクリート躯体に向って、挿填穴を穿孔するのみである。このため、目地を所定の形状に切削する場合に比べて、穿孔作業中にタイルを破損してしまう虞が少ない。これにより、各タイルの美観を損ねることを適切に防止することができる。
また、十分な引き抜き強度でアンカーピンを固定することができるため、タイルを十分な付着強さでコンクリート躯体に固定することができる。
【0016】
さらに、本発明の剥落防止構造は、張付け材を介して、コンクリート躯体に通し目地の目地割りで張り付けた複数のタイルの、剥落を防止する剥落防止構造であって、鉛直方向の縦目地および水平方向の横目地に合致させて配設され、複数のタイルの表面四周縁部を一括して押える格子状の押え手段と、押え手段を、縦目地および横目地のうち少なくとも一方の部分でコンクリート躯体にアンカリングするアンカー手段と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、押え手段は、複数のタイルのそれぞれの表面四周縁部を押えた状態で、目地の位置で固定(アンカーリング)されている。このため、任意のアンカー手段を用いて、1の押え手段を固定するだけで、通し目地の目地割りで張り付けた複数のタイルを一括して確実に押えることができる。これにより、短時間で、かつ、簡単に、複数のタイルの剥落を防止することができる。
また、タイルの付着強さは、押え手段の剛性およびアンカー手段の引き抜き強度により十分に担保されているため、タイルを十分な付着強さで、コンクリート躯体に固定することができる。
【0018】
この場合、押え手段は、縦目地に対応する複数の縦格子部と、横目地に対応する複数の横格子部と、から成り、最外端に位置する縦格子部と最外端に位置する横格子部とから成る外枠は、直交する2辺にのみ設けられていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、押え手段の外枠が設けられていない部分に、他の押え手段の外枠部分を鉛直方向または水平方向から近接させることで、押え手段を上下(鉛直方向および水平方向)に複数連ねることができる。これにより、単位化された押え手段を必要な数だけ連ねることにより、仕上面の面積の大小に関わらず、各タイルの剥落を防止することができる。
なお、押え手段の外枠が設けられていない部分が連なる端部(辺)には、縦通しおよび横通しの押え手段を設けることが好ましい。
【0020】
本発明の剥落防止工法は、張付け材を介して、コンクリート躯体に通し目地の目地割りで張り付けた複数のタイルに対して、請求項1に記載の剥落防止構造を用いて行うタイルの剥落防止工法であって、鉛直方向の各縦目地にそれぞれ押え手段を配置する押え手段配置工程と、各縦目地に配置した押え手段を、アンカー手段によりコンクリート躯体にアンカリングするアンカー工程と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の剥落防止工法は、張付け材を介して、コンクリート躯体に張り付けた複数のタイルに対して、請求項2に記載の剥落防止構造を用いて行うタイルの剥落防止工法であって、水平方向の各横目地にそれぞれ押え手段を配置する押え手段配置工程と、各横目地に配置した押え手段を、アンカー手段によりコンクリート躯体にアンカリングするアンカー工程と、を備えたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の剥落防止工法は、張付け材を介して、コンクリート躯体に馬踏み目地の目地割りで張り付けた複数のタイルに対して、請求項3に記載の剥落防止構造を用いて行うタイルの剥落防止工法であって、鉛直方向の各縦目地、および、各縦目地の鉛直方向に連なるタイルの表面部にそれぞれ押え手段を配置する押え手段配置工程と、押え手段配置工程で配置した押え手段を、アンカー手段によりコンクリート躯体にアンカリングするアンカー工程と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の剥落防止工法は、張付け材を介して、コンクリート躯体に通し目地の目地割りで張り付けた複数のタイルに対して、請求項7に記載の剥落防止構造を用いて行うタイルの剥落防止工法であって、鉛直方向の各縦目地および水平方向の各横目地にそれぞれ押え手段を配置する押え手段配置工程と、各縦目地および各横目地に配置した押え手段を、アンカー手段によりコンクリート躯体にアンカリングするアンカー工程と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
これらの構成によれば、配置した押え手段は、目地の位置で、コンクリート躯体に固定(アンカリング)される。また、1の押え手段を固定するだけで、複数のタイルを一括して押えることができる。これにより、短時間で、かつ、簡単に、複数のタイルの剥落を防止することができる。
また、アンカー手段を十分な引き抜き強度でコンクリート躯体にアンカリングすることで、タイルを十分な付着強さでコンクリート躯体に固定することができる。なお、タイルの張り付け面は、既設・新設を問わない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】通し目地の目地割でタイルを張り付けた外壁および第1実施形態に係る剥落防止構造の一部を示した正面図である。
【図2】図1のA−A線における外壁および剥落防止構造の断面図である。
【図3】第1実施形態に係る押え部材の一部を示した斜視図である。
【図4】(a)は外壁に指標部材を固定した状態の正面図であり、(b)は指標部材の移動および固定について説明するための断面図である。
【図5】(a)は剥落防止工法の穿孔工程の説明図であり、(b)は接着剤注入工程の説明図であり、(c)はピン挿填工程の説明図である。
【図6】馬踏み目地の目地割でタイルを張り付けた外壁および第2実施形態に係る剥落防止構造の一部を示した正面図である。
【図7】(a)は第2実施形態に係る剥落防止構造の変形例を示した一部を示した正面図であり、(b)は第2実施形態の変形例に係る押え部材の一部を示した側面図である。
【図8】通し目地の目地割でタイルを張り付けた外壁および第3実施形態に係る剥落防止構造の一部を示した正面図である。
【図9】第3実施形態に係る押え部材を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図面に基づいて、本発明の第1実施形態に係る剥落防止構造およびこれを用いた剥落防止工法について説明する。この剥落防止構造は、タイル張りで構成された建物の外壁、吹き抜けやホールの内壁等、張付け材を介して、コンクリート躯体に張り付けられた複数のタイルの剥落を防止するものである。以下、一例として建物の外壁に施工する場合について説明する。なお、外壁(タイルの張り付け面)は、既設・新設を問わないが、ここでは既設の外壁の場合について説明する。
【0027】
図1は、通し目地の目地割でタイル4を張り付けた外壁1および第1実施形態に係る剥落防止構造7の一部を示した正面図である。図2は、図1のA−A線における外壁および剥落防止構造7の断面図である。図3は、第1実施形態に係る押え部材71の一部を示した斜視図である。
【0028】
図1に示すように、建物の外壁1は、通し目地の目地割りでタイル4を張り付けた壁面を有している。図2に示すように、建物の外壁1は、下地となるコンクリート躯体2と、コンクリート躯体2上に塗着させたモルタル3(張付け材)と、モルタル3上に張り付けられた複数のタイル4と、タイル4同士の継目に設けられた目地部5と、を備えている。なお、タイル4の種類(ユニットタイルも含む。)は問わないし、タイルに代えて石材等を用いてもよい。また、モルタル3は、複数層(例えば、下地用および張付け用等)設けてもよい。さらに、張付け材として、モルタル3に代えて接着剤を用いてもよい。
【0029】
第1実施形態では目地割りが通し目地であるため、目地部5は、鉛直方向に延びる縦目地51と、水平方向に延びる横目地52と、がそれぞれ複数直交して格子状に形成されている。
【0030】
このような外壁1では、温度変化や経年劣化に起因して、コンクリート躯体2とモルタル3との間や、モルタル3とタイル4との間に、浮き部6が生じ、タイル4が剥がれ落ちることがある。
そこで、タイル4の表面側に剥落防止構造7を設けることによりタイル4の剥落を防止している。
【0031】
図1および図2に示すように、剥落防止構造7は、鉛直方向に延びた縦目地51の位置にそれぞれ縦通しで配設された複数の押え部材71と、各押え部材71を縦目地51の部分でコンクリート躯体2にアンカリングするアンカー手段72と、を備えている。
【0032】
押え部材71は、縦目地51を挟んで隣り合う2列に並んだ各々のタイル4の表面縁部を一括して押えることができるように、全体として、縦目地51の幅より幅広の板状に形成されている。また、押え部材71は、アルミニウム合金やステンレス鋼等の耐食性の高い金属で、定尺に形成されている。すなわち、押え部材71は、加工が容易な定尺の板材で、安価に製造することができる。
【0033】
図2および図3に示すように、押え部材71は、鉛直方向に延在して整列した2列の各タイル4の表面縁部に当接する一対のタイル縁当接部73と、一対のタイル縁当接部73を連結すると共に縦目地51に当接する目地当接部74と、で一体に形成されている。
【0034】
一般的に目地部5は、タイル4の表面より数mm沈み込んでいる(図2参照)。このため、押え部材71も、タイル4の表面と縦目地51との凹凸に沿うように、凹凸断面を有している。すなわち、目地当接部74は、各タイル縁当接部73と同一の厚みで、かつ、各タイル縁当接部73の表面から数mm窪んで連接されている。
【0035】
また、目地当接部74には、後述するアンカーピン78が挿通するように厚み方向に貫通した貫通穴75が、等間隔で複数形成されている(図3参照)。貫通穴75は、縦目地51に対して任意の間隔で形成してかまわない。しかし、施工後の外壁1の意匠性を考慮して、縦目地51と横目地52との交差する部分に臨むように所定の間隔(第1実施形態では約300mm間隔)で形成することが好ましい。なお、第1実施形態に係る貫通穴75は、円形の開口であるが、上下方向に長径を有する楕円形の開口としてもよい。
【0036】
なお、押え部材71は、目地部5の幅に合わせて、任意の寸法に形成してよいが、第1実施形態では、板厚1mm、幅10mm、長さ4000mmのステンレス製の板材をプレス加工することで、押え部材71を形成している。また、第1実施形態に係る押え部材71では、各タイル縁当接部73と目地当接部74との段差が1mm程度に形成されている。さらに、各タイル縁当接部73の幅は、1〜5mmであることが好ましい。すなわち、押え手段は、各目地の幅より、2〜10mm程度幅広に形成されていることが好ましい。なお、施工後の外壁1の意匠性を考慮すると、各タイル縁当接部73の幅は狭い方がより好ましい。
【0037】
なお、各タイル縁当接部73と目地当接部74との段差は、タイル4の表面と縦目地51の表面との段差よりも僅かに小さく(低く)形成してもよい。ただし、押え部材71の板厚が薄い(1mm未満)場合には、各タイル縁当接部73と目地当接部74との段差を、タイル4の表面と縦目地51の表面との段差に合わせて加工することが好ましい。
【0038】
なお、図1において左端に設けた押え部材71は、一対のタイル縁当接部73を有している。しかし、外壁1の左右両端に位置する縦目地51に対しては、一方にのみタイル縁当接部73を有する押え部材71を別途設けてもよい。
【0039】
図2に示すように、アンカー手段72は、コンクリート躯体2に所定の間隔で穿孔された複数の挿填穴76に注入される接着剤77と、各挿填穴76に、押え部材71の各貫通穴75を貫通して挿填されるアンカーピン78と、を有している。
【0040】
各挿填穴76は、押え部材71の各貫通穴75に対応する位置に開口している。すなわち、第1実施形態に係る各挿填穴76は、縦目地51と横目地52とが交差する部分に穿孔されて開口している(図1参照)。各挿填穴76は、目地部5およびモルタル3を貫通し、かつ、コンクリート躯体2を所定の深さまで穿孔して形成されている。接着剤77は、注入器9を用いて各挿填穴76に注入される。なお、第1実施形態では、接着剤77としてエポキシ樹脂接着剤を用いているが、これに限らず、各種の有機接着剤や無機接着剤を用いてもよい。
【0041】
アンカーピン78は、ステンレス鋼等の耐食性の高い金属で形成されている。アンカーピン78は、貫通穴75の径および挿填穴76の径よりも太径に形成された円板状のピン頭部78aと、挿填穴76の径よりも僅かに細径に形成された棒状のピン胴部78bと、で一体に形成されている。貫通穴75を貫通して挿填穴76に挿填されたアンカーピン78は、ピン頭部78aが、貫通穴75の開口縁部に当接し、ピン胴部78bが、挿填穴76の最深部まで達する。
【0042】
ピン頭部78aは、目地当接部74の幅より小径に形成され、かつ、各タイル縁当接部73と目地当接部74との段差よりも薄い(第1実施形態では0.3〜0.5mm)円板状に形成されている。ピン胴部78bには、引抜き強度を高めるべくその外周面に雄ネジが螺刻されており、いわゆる全ネジを構成している。
【0043】
なお、ピン頭部78aの表面が、目地当接部74の表面と面一になるように、貫通穴75の周縁に座ぐり加工を施してもよい。また、ピン頭部78aを皿状に形成してもよい。この場合も同様に、貫通穴75をピン頭部78aに合わせて面取りし、ピン頭部78aの表面が、目地当接部74の表面と面一になるようにする。
【0044】
次に、図4および図5を参照して、剥落防止構造7の施工手順(剥落防止工法)を説明する。この剥落防止工法は、穿孔位置を指し示す指標部材81を介して、押え部材71の貫通穴75に対応する位置に挿填穴76を穿孔する穿孔工程と、各縦目地51にそれぞれ押え部材71を配置する押え部材配置工程と、注入器9を用いて挿填穴76に接着剤77を注入する接着剤注入工程と、接着剤77が注入された挿填穴76にアンカーピン78を挿填するピン挿填工程と、を備えている。なお、請求項に言う「アンカー工程」とは、接着剤注入工程およびピン挿填工程を指す。
【0045】
剥落防止工法の説明に先立ち、指標部材81について簡単に説明する。図4(a)に示すように、指標部材81は、縦目地51と略同一幅で、長さ900mm程度の板状の部材である。指標部材81は、押え部材71の貫通穴75に対応する位置において厚み方向に貫通した指標穴82が複数(4つ)形成されている。各指標穴82は、挿填穴76の直径(ダイヤモンドコアビット86の直径)よりも僅かに太径となるように形成されている。なお、指標部材81の幅や長さ(指標穴82の形成数)は任意に設定してよい。
【0046】
続いて、剥落防止工法について説明する。先ず、穿孔工程では、指標部材81を、位置決めした状態で縦目地51に嵌め込み、表面から粘着テープ83を貼り付けて固定する(図4(a)参照)。そして、穿孔工具85に取り付けられたダイヤモンドコアビット86の先端を、指標部材81の指標穴82に差し込み、目地部5に接触させ、挿填穴76を穿孔する(図5(a)参照)。挿填穴76は、目地部5およびモルタル3を貫通してコンクリート躯体2を所定の深さまで穿孔を行って形成される。なお、第1実施形態では、挿填穴76の穿孔は、外壁1に対して直角に行い、コンクリート躯体2への穿孔深さは30mm以上となっている。また、挿填穴76は、アンカーピン78が遊嵌できるように一回り大きな径(1〜2mm太径)のストレート穴に形成する。その後、コンクリート躯体2の切粉等が挿填穴76内に残留しているため、切粉等をブロア等で噴気または真空集塵機等で吸引して除去する。もっとも、冷却水を用いる穿孔であって、冷却水と共に切粉が流出する場合には、切粉の除去作業を省略してもよい。
【0047】
なお、挿填穴76の穿孔(穿孔工程)は、外壁1(建物)の最上部から下方に向って順次実施することが好ましい。この場合、始めに外壁1の最上部に固定した指標部材81の全ての指標穴82に対応する挿填穴76を穿孔した後、粘着テープ83を剥がして指標部材81を下方に移動させる。そして、穿孔した挿填穴76のうち最下部に位置する挿填穴76(正確には最上部の挿填穴76以外の挿填穴76であればよい。)に、指標部材81の最上部の指標穴82(正確には最下部の指標穴82以外の指標穴82であればよい。)を合わせ、仮止めピン84を挿入する(図4(b)参照)。これにより、粘着テープ83を用いることなく、指標部材81が位置決めされた状態で固定される。そして、仮止めピン84を挿入した指標穴82を除く指標穴82の位置に挿填穴76を穿孔する。以降、同様の手順で、押え部材71の固定に必要な数の挿填穴76を穿孔する。
【0048】
このように、剥落防止構造7を構成するために外壁1に施す加工は、アンカーピン78を挿填するための挿填穴76を、目地部5からコンクリート躯体2に向って穿孔するのみである。このため、目地部5を所定の形状に切削する場合に比べて、穿孔作業中にタイル4を破損してしまう虞が少ない。これにより、各タイル4の美観を損ねることを適切に防止することができる。
【0049】
続く、押え部材配置工程では、穿孔した各挿填穴76に対し、各貫通穴75を合わせるようにして、押え部材71を各縦目地51に配置する。なお、押え部材配置工程は、次に説明する接着剤注入工程の後に実施してもよい。また、任意ではあるが、目地当接部74を縦目地51に対して接着してもよい。この場合、体積変化の少ない目地材や樹脂系接着剤を用いることが好ましい。
【0050】
なお、各タイル縁当接部73と目地当接部74との段差が、タイル4の表面と縦目地51の表面との段差よりも小さい場合、押え部材71を各縦目地51に配置すると、目地当接部74の裏面と、縦目地51の表面との間に空間ができる。このため、押え部材71が薄い場合、アンカーピン78の固定によって押え部材71が撓んでしまうことがある。この場合、目地当接部74と縦目地51との間の空間に目地材、接着剤(樹脂系)またはスペーサ(金属性・樹脂製)を設けてもよい(図示省略)。なお、第1実施形態に係る押え部材71は、アンカーピン78の固定によって殆ど撓まない剛性(厚み)を有しているため、縦目地51に対する押え部材71の接着は行っていない。
【0051】
接着剤注入工程では、注入器9のノズル91を挿填穴76に挿入し、穴底に突き当てる。また、注入器9の封止部材92を挿填穴76の開口縁部に当接させることで、ノズル91の突出寸法を調整する。そして、封止部材92により挿填穴76の開口縁部を封止した状態で、注入器9を操作(ポンピング)して、接着剤77を挿填穴76に十分に注入する(図5(b)参照)。なお、複数段階に分けて、ノズル91を後退させながら接着剤77の注入を行ってもよい。
【0052】
ピン挿填工程では、接着剤77が注入された各挿填穴76に対し、各貫通穴75を合わせて押え部材71を配設し、貫通穴75および挿填穴76にアンカーピン78のピン胴部78bを挿填する。アンカーピン78は、挿填穴76内の接着剤77を押し退けるように最深部に対し挿填されていく。それに伴い、接着剤77は、ピン胴部78bとなじむように隙間に流動し、さらにその一部は挿填穴76の開口部に向かって押し出されていく。ピン胴部78bの先端が最深部に達するところで、ピン頭部78aが、押え部材71の目地当接部74に当接し、貫通穴75を閉止する(図5(c)参照)。
【0053】
以上の構成によれば、押え部材71は、縦目地51に沿って、目地部の位置でコンクリート躯体に固定(アンカリング)される。また、押え部材71の一対のタイル縁当接部73は、縦目地51の両側に縦通しで並んだ複数のタイル4の表面縁部を一括して押える。つまり、1の押え部材71を固定するだけで、その縦目地51を挟んで隣り合う2列のタイル列を一括して押えることができる。また、第1実施形態に係る剥落防止工法では、外壁1全面に剥落防止構造7を施工するため、外壁1の全てのタイル4を打鍵して浮き部6を探査する必要がない。これにより、短時間で、かつ、簡単に、複数のタイル4の剥落を防止することができる。
【0054】
また、押え部材71は、各タイル4の表面縁部を押えているため、タイルの付着強さは、押え部材71の剛性およびアンカーピン78の引き抜き強度により決まる。したがって、アンカーピン78を十分な引き抜き強度でコンクリート躯体2にアンカリングすることで、各タイル4を十分な付着強さでコンクリート躯体2に固定することができる。なお、第1実施形態では、所謂ケミカル(接着系)アンカーを用いているが、その他のアンカー手段(例えば、打ち込みアンカー等)を用いてもよい。
【0055】
また、押え部材71が、縦目地51に沿って設けられているため、通し目地のパターンや各タイル4表面の意匠性を損なうことを適切に防止することができる。なお、押え部材71の表面やアンカーピン78のピン頭部78aは、タイル4または目地部5の色彩に合致するように焼付け塗装等により着色されていることが好ましい。また、あえて異なる色彩としてもよい。
【0056】
なお、第1実施形態に係る剥落防止構造7は、通し目地の目地割りでタイル4を張り付けた外壁1に限定されるものではなく、例えば、縦通し目地や縦張り千鳥目地など、鉛直方向に延在する縦目地51を有し、縦通しで押え部材71を配設可能な目地割りであれば適用することができる。
【0057】
なお、上述した第1実施形態では、押え部材71を縦目地51に沿って縦通しで固定していたが、押え部材71を横目地52に沿って横通しで固定してもよい。この場合、上述した通し目地の目地割りに限らず、馬踏み目地、縦馬踏み目地、縦横通し目地、イギリス張り、フランス張りまたはアメリカ張りなど、水平方向に延在する横目地52を有し、横通しで押え部材71を配設可能な目地割りであれば適用することができる。
【0058】
(第2実施形態)
次に、図6および図7を参照して、本発明の第2実施形態に係る剥落防止構造7について説明する。なお、第1実施形態に係るものと同様の説明は省略する。また、剥落防止構造7の施工手順(剥落防止工法)についても第1実施形態に係るものと同様であるため説明を省略する。
【0059】
図6に示すように、建物の外壁1は、馬踏み目地の目地割りでタイル4を張り付けた壁面を有している。押え部材71は、第1実施形態のものと同様に、縦目地51の位置にそれぞれ縦通しで配設されている。
【0060】
しかし、目地割りが馬踏み目地であるため、押え部材71は、縦目地51を挟んで隣り合う2つのタイル4の表面縁部と、その2つのタイル4に横目地52を挟んで隣り合う1つのタイル4の表面部と、を複数段(複数行)にわたって一括して押えている。なお、貫通穴75は、縦目地51または縦目地51と横目地52との交差部分に対応する位置に形成されている。
【0061】
この場合、第1実施形態に係る押え部材71を用いてもよいが、タイル4の表面部上に臨む部分で目地当接部74が省略された押え部材71を用いることが好ましい(図7(a)参照)。詳細には、図7(b)に示すように、押え部材71は、タイル4の表面部上に臨む部分が、押え部材71全体の幅で板状に形成されたタイル縁当接部73を有している。すなわち、タイル縁当接部73は、縦目地51部分では目地当接部74の左右に一対設けられており、他方、タイル4の表面部上では1枚の板状に形成されている。
【0062】
なお、この他にも、タイル4の表面部上に臨む部分において、目地当接部74が、くり抜かれた形状としてもよい。
【0063】
この構成によれば、押え部材71が、縦目地51に沿うと共に、タイル4の表面部を縦断するように配設され、目地部5の位置でコンクリート躯体2に固定されている。このため、アンカーピン78を用いて、1の押え部材71を固定するだけで、馬踏み目地の目地割りで複数段にわたって張り付けられた複数のタイル4を一括して押えることができる。これにより、短時間で、かつ、簡単に、複数のタイル4の剥落を防止することができる。また、押え部材71を縦目地51の配設間隔で複数設けた場合、押え部材71も、タイル4が張り付けられた面(仕上面)の一部として認識され、仕上面の意匠性を損なうことを適切に防止することができる。
【0064】
また、タイル4の付着強さは、第1実施形態のものと同様に、押え部材71の剛性およびアンカーピン78の引き抜き強度により十分に担保されているため、タイル4を十分な付着強さで、コンクリート躯体2に固定することができる。
【0065】
第2実施形態に係る剥落防止構造7は、馬踏み目地の目地割りでタイル4を張り付けた外壁1に限定されるものではなく、例えば、縦馬踏み目地、イギリス張り、フランス張りまたはアメリカ張りなどの目地割りの外壁1にも適用することができる。
【0066】
(第3実施形態)
次に、図8および図9を参照して、本発明の第3実施形態に係る剥落防止構造7について説明する。なお、第1実施形態に係るものと同様の説明は省略する。また、剥落防止構造7の施工手順(剥落防止工法)についても第1実施形態に係るものと同様であるため説明を省略する。
【0067】
図8に示すように、建物の外壁1は、通し目地の目地割りで張り付けられたタイル張りの壁面を有している。押え部材71は、縦目地51および横目地52に合致させて配設され、複数のタイル4の表面四周縁部を一括して押えることができるように格子状に形成されている。
【0068】
詳細には、図9に示すように、押え部材71は、縦目地51に対応する複数の縦格子部71aと、横目地52に対応する複数の横格子部71bと、を有している。縦格子部71aおよび横格子部71bには、タイル縁当接部73と目地当接部74とが、それぞれ形成されている。また、押え部材71は、最外端に位置する縦格子部71aと最外端に位置する横格子部71bとから成る外枠は、直交する2辺にのみ設けられている。外枠の無い2辺に位置する縦格子部71aおよび横格子部71bの端部(開放端部)は、1のタイル縁当接部73の幅だけ短く形成されている。これにより、隣接する押え部材71の最外端のタイル縁当接部73が適切にタイル4の表面縁部に当接することができる。なお、貫通穴75は、目地部5(縦目地51、横目地52または縦目地51と横目地52との交差部分)に臨む位置に形成されていればよい。
【0069】
この構成によれば、押え部材71は、それぞれのタイル4の表面四周縁部を押えた状態で、目地部5の位置で固定(アンカーリング)されている。これにより、容易に、十分な付着強さをもって、複数のタイルを一括して確実に押えることができる。
【0070】
また、押え部材71の外枠が設けられていない部分に、他の押え部材71の外枠部分を鉛直方向または水平方向から近接(接触)させることで、押え部材71を上下(鉛直方向および水平方向)に複数連ねることができる。このように単位化された押え部材71を必要な数だけ連ねることにより、タイル4が張り付けられた面(仕上面)の面積の大小に関わらず、各タイル4の剥落を防止することができる。なお、押え部材71の外枠が設けられていない部分が連なる端部(辺)には、縦通しおよび横通しの押え部材71を設けることが好ましい。さらに、押え部材71が縦目地51および横目地52に沿って設けられているため、通し目地のパターンや各タイル4表面の意匠性を損なうことを適切に防止することができる。
【0071】
なお、第3実施形態に係る剥落防止構造7は、通し目地の目地割りでタイル4を張り付けた外壁1に限定されるものではなく、例えば、縦通し目地、縦張り千鳥目地、馬踏み目地、縦馬踏み目地、縦横通し目地、イギリス張り、フランス張りまたはアメリカ張りなどに適用してもよい。この場合、目地部のパターンに合わせて押え部材71を形成する。
【0072】
また、四周に外枠を設けた押え部材71と、四周に外枠のない押え部材71と、を交互に設けて剥落防止構造7を構成してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1:外壁、2:コンクリート躯体、3:モルタル、4:タイル、7:剥落防止構造、51:縦目地、52:横目地、71:押え部材、71a:縦格子部、71b:横格子部、72:アンカー手段、77:接着剤、78:アンカーピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
張付け材を介して、コンクリート躯体に通し目地の目地割りで張り付けた複数のタイルの剥落を防止する剥落防止構造であって、
鉛直方向の縦目地の位置にそれぞれ縦通しで配設され、前記縦目地を挟んで隣り合う2列の縦タイル列の表面縁部を一括して押える押え手段と、
前記押え手段を、前記縦目地の部分で前記コンクリート躯体にアンカリングするアンカー手段と、を備えたことを特徴とする剥落防止構造。
【請求項2】
張付け材を介して、コンクリート躯体に張り付けた複数のタイルの、剥落を防止する剥落防止構造であって、
水平方向の横目地の位置にそれぞれ横通しで配設され、前記横目地を挟んで隣り合う2行の横タイル行の表面縁部を一括して押える押え手段と、
前記押え手段を、前記横目地の部分で前記コンクリート躯体にアンカリングするアンカー手段と、を備えたことを特徴とする剥落防止構造。
【請求項3】
張付け材を介して、コンクリート躯体に馬踏み目地の目地割りで張り付けた複数のタイルの剥落を防止する剥落防止構造であって、
鉛直方向の縦目地の位置にそれぞれ縦通しで配設され、前記縦目地を挟んで隣り合う任意の2つのタイルの表面縁部、および、横目地を挟んで前記2つのタイルに隣り合う任意の1つのタイルの表面部を、それぞれ複数段にわたって一括して押える押え手段と、
前記押え手段を、前記縦目地の部分で前記コンクリート躯体にアンカリングするアンカー手段と、を備えたことを特徴とする剥落防止構造。
【請求項4】
前記押え手段は、前記縦目地の幅より幅広の板状に形成されていることを特徴とする請求項1または3のいずれかに記載の剥落防止構造。
【請求項5】
前記押え手段は、前記横目地の幅より幅広の板状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の剥落防止構造。
【請求項6】
前記アンカー手段は、
前記コンクリート躯体に所定のピッチで穿孔した挿填穴に注入される接着剤と、
前記挿填穴に、前記押え手段を貫通して挿填されるアンカーピンと、を有していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の剥落防止構造。
【請求項7】
張付け材を介して、コンクリート躯体に通し目地の目地割りで張り付けた複数のタイルの、剥落を防止する剥落防止構造であって、
鉛直方向の縦目地および水平方向の横目地に合致させて配設され、前記複数のタイルの表面四周縁部を一括して押える格子状の押え手段と、
前記押え手段を、前記縦目地および前記横目地のうち少なくとも一方の部分で前記コンクリート躯体にアンカリングするアンカー手段と、を備えたことを特徴とする剥落防止構造。
【請求項8】
前記押え手段は、
前記縦目地に対応する複数の縦格子部と、前記横目地に対応する複数の横格子部と、から成り、
最外端に位置する前記縦格子部と最外端に位置する前記横格子部とから成る外枠は、直交する2辺にのみ設けられていることを特徴とする請求項7に記載の剥落防止構造。
【請求項9】
張付け材を介して、コンクリート躯体に通し目地の目地割りで張り付けた複数のタイルに対して、請求項1に記載の剥落防止構造を用いて行うタイルの剥落防止工法であって、
鉛直方向の各縦目地にそれぞれ前記押え手段を配置する押え手段配置工程と、
前記各縦目地に配置した前記押え手段を、前記アンカー手段により前記コンクリート躯体にアンカリングするアンカー工程と、を備えたことを特徴とする剥落防止工法。
【請求項10】
張付け材を介して、コンクリート躯体に張り付けた複数のタイルに対して、請求項2に記載の剥落防止構造を用いて行うタイルの剥落防止工法であって、
水平方向の各横目地にそれぞれ前記押え手段を配置する押え手段配置工程と、
前記各横目地に配置した前記押え手段を、前記アンカー手段により前記コンクリート躯体にアンカリングするアンカー工程と、を備えたことを特徴とする剥落防止工法。
【請求項11】
張付け材を介して、コンクリート躯体に馬踏み目地の目地割りで張り付けた複数のタイルに対して、請求項3に記載の剥落防止構造を用いて行うタイルの剥落防止工法であって、
鉛直方向の各縦目地、および、前記各縦目地の鉛直方向に連なる前記タイルの表面部にそれぞれ前記押え手段を配置する押え手段配置工程と、
前記押え手段配置工程で配置した前記押え手段を、前記アンカー手段により前記コンクリート躯体にアンカリングするアンカー工程と、を備えたことを特徴とする剥落防止工法。
【請求項12】
張付け材を介して、コンクリート躯体に通し目地の目地割りで張り付けた複数のタイルに対して、請求項7に記載の剥落防止構造を用いて行うタイルの剥落防止工法であって、
鉛直方向の各縦目地および水平方向の各横目地にそれぞれ前記押え手段を配置する押え手段配置工程と、
前記各縦目地および前記各横目地に配置した前記押え手段を、前記アンカー手段により前記コンクリート躯体にアンカリングするアンカー工程と、を備えたことを特徴とする剥落防止工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−224983(P2012−224983A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90862(P2011−90862)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(506162828)FSテクニカル株式会社 (26)
【Fターム(参考)】