説明

剥離ライナー及び感圧性接着シート

【課題】剥離性に優れ、なおかつ、湾曲した状態で保管した場合などにも、ライナー浮きが生じない、また、リサイクル性にも優れた、剥離ライナーおよび該剥離ライナーを含む感圧性シートを提供することにある。
【解決手段】本発明の剥離ライナーは、少なくとも3層の層構造を有する剥離ライナーであって、一方の表層が高密度ポリエチレンからなる層、他方の表層が低密度ポリエチレンからなる層であり、さらに低密度ポリエチレンのみを樹脂成分として含む中間層を有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離ライナー及び感圧性接着シートに関する。詳しくは、感圧性接着シート用に好適な剥離ライナー及び該剥離ライナーを有する感圧性接着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
感圧性接着シートは、一般的に、剥離機能を有するシート材(以下、剥離ライナーという)と該シート材に接する感圧性接着剤層(例えばアクリル系の感圧接着剤などからなる)を備えており、シート材と感圧性接着剤層との間で剥離させることができる。
【0003】
前記剥離ライナーの形成方法としては、従来より、シリコーン系剥離剤等を用い、剥離剤のみを硬化させる方法、あるいは、剥離ライナー基材の少なくとも感圧性接着剤層と接する側に剥離剤を塗布し硬化させる方法等が知られている(前者では剥離剤を硬化させてなる層のみからなる剥離ライナー、後者では当該剥離剤層を最外層とする積層構成の剥離ライナーが得られる)。また、近年においては、このようなコーティングを必要としない剥離ライナーとして、ポリエチレンやポリプロピレンからなる剥離ライナーが用いられている。これらにおいて、剥離力を低減させる手法としては、低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンを剥離層に用いることが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
ところで、感圧性接着シートは、例えば両面接着層を有する場合などには、片面を被着体に接着させ、もう片面には剥離ライナーを設けた状態で、切断、加工され、その後は使用時まである程度の期間保管されることがある。特に、自動車のウェザーストリップなどのように長い部材や柔軟な部材の場合には、省スペースの観点から、これらは巻いた状態で保管される場合がある。このように、剥離ライナーを設けた感圧性接着シートを湾曲した状態で保管する場合には、剥離ライナーが感圧性接着剤層から部分的に剥離して、いわゆる「ライナー浮き」が生じ、感圧性接着剤層が汚染されることがある。
【0005】
上記、ライナー浮きを抑制するためには、剥離力を高めた剥離ライナーを用いることが可能であるが、この場合、ライナー浮きは改善されるものの剥離機能が低下する。即ち、ライナー浮き抑制と剥離機能は二律背反(トレードオフ)の関係となっていた。また、ライナー浮きの抑制のためには、極性基を含有した材料を剥離層として用いる手法が知られているが(例えば、特許文献3参照)、これらはリサイクルが困難であるという問題点を有していた。剥離ライナーは使用後廃棄されるため、環境負荷の観点から、リサイクル性に優れたものが求められているのが現状である。
【0006】
【特許文献1】特公昭51−20205号公報
【特許文献2】特開昭55−80479号公報
【特許文献3】特許第3179516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点を解決しようとするものであり、目的は、剥離性に優れ、なおかつ、剥離ライナーの感圧接着剤層からのライナー浮き抑止性に優れた感圧性接着シートおよびこのシートに好適な剥離ライナーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の樹脂組成、積層構成からなる剥離ライナーによって、剥離力とライナー浮き抑止性の両立を達成しうることを見出した。また、感圧性接着剤層と剥離ライナーの剥離力と剥離ライナーの剛性が特定の関係にある場合に、特に優れた感圧性接着シートが得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、少なくとも3層の層構造を有する剥離ライナーであって、一方の表層が高密度ポリエチレンからなる層、他方の表層が低密度ポリエチレンからなる層であり、さらに実質的に低密度ポリエチレンのみを樹脂成分として含む中間層を有することを特徴とする剥離ライナーを提供する。
【0010】
さらに、本発明は、厚みが10〜500μmである前記の剥離ライナーを提供する。
【0011】
また、本発明は、前記の剥離ライナーと、少なくとも1層の感圧性接着剤層を含む感圧性接着シートであって、剥離ライナーと感圧性接着剤層の剥離力X(単位:N/mm)と、剥離ライナーの剛性Y[剥離ライナーのヤング率×(厚み)3](単位:N・mm)とが以下の関係を満たすことを特徴とする感圧性接着シートを提供する。
0<X≦0.285
0<Y<180X4+0.1
【0012】
さらに、本発明は、感圧性接着剤層が、アクリル系接着剤を主成分として形成された前記の感圧性接着シートを提供する。
【0013】
さらに、本発明は、感圧性接着剤層が、気泡及び/又は中空微小球状体を含有する感圧性接着剤層である前記の感圧性接着シートを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の剥離ライナーおよび感圧性接着シートは、剥離性に優れ、なおかつ、湾曲した状態で保管した場合などにも、ライナー浮きが生じない。また、極性基などを含有せず、各層がポリエチレンからなっているシンプルな構成であるため、リサイクル性にも優れる。このため、性能および環境性の観点からも、産業上有益である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、剥離ライナー、感圧性接着シートは、それぞれテープ状であってもよく、即ち、剥離テープ材、感圧性接着テープを含むものとする。
【0016】
本発明の剥離ライナーは、高密度ポリエチレンからなる表層、低密度ポリエチレンからなる表層、及び、樹脂成分として実質的に低密度ポリエチレンのみを使用した中間層の少なくとも3層を含む層構成を有する。なお、前記低密度ポリエチレンからなる中間層は、低密度ポリエチレンからなる表層とは別個の層である。また、本発明における「高密度ポリエチレン」とは、JIS K 6922−2に基づく密度が930(kg/m3)以上であるポリエチレンをいい、「低密度ポリエチレン」とは、JIS K 6922−2に基づく密度が865(kg/m3)以上930(kg/m3)未満であるポリエチレンをいう。本発明のおける「低密度ポリエチレン」とは、エチレンモノマーを高圧法により重合して得られる、長鎖分岐(分岐鎖長は特に限定されない)を有するもの、いわゆる「低密度ポリエチレン」や「超低密度ポリエチレン」と称するもの、及びエチレンと炭素数が3〜8のα−オレフィンモノマーとを低圧法により重合して得られる「直鎖状低密度ポリエチレン」(この場合の短鎖分岐の長さは炭素数1〜6)と称するもの、さらには上記密度範囲に包含される「エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー」の総称として定義される。
【0017】
本発明の一方の表層を構成する高密度ポリエチレンからなる層は、樹脂成分として、高密度ポリエチレンを主成分とする。具体的には、当該層を構成する樹脂成分中、高密度ポリエチレンを50重量%以上(例えば、50〜100重量%)含むことが必要であり、好ましくは60〜100重量%である。当該高密度ポリエチレンからなる表層は、高密度ポリエチレンのみを樹脂成分として含んでいてもよいし、他の樹脂成分が混合されていてもよい。
【0018】
上記高密度ポリエチレンとしては、密度が940(kg/m3)以上[例えば、940〜960(kg/m3)]であることが好ましく、より好ましくは942(kg/m3)以上[例えば、942〜960(kg/m3)]である。
【0019】
上記、他の樹脂成分としては、特に限定されないが、例えば、剥離性などの物性制御の観点から、低密度ポリエチレンが好ましい。他の樹脂が低密度ポリエチレンである場合には、これらの樹脂成分の混合比率は、高密度ポリエチレン100重量部に対して、0〜100重量部程度が好ましく、より好ましくは0〜67重量部である。混合比率が低い場合にはライナー浮き抑止効果が高くなり、混合比率が高くなると剥離性が良好となる傾向にあるため、混合比率は各特性と本発明のシート全体の柔軟性の観点から適量選択することができる。なお、樹脂成分として、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンを50:50の混合比で含む層は、本発明においては高密度ポリエチレンからなる層とする。
【0020】
本発明の表層を構成する高密度ポリエチレンからなる層には、樹脂成分以外にも、顔料、充填剤、滑剤、老化防止剤などの各種添加剤が、本発明の効果を損なわない範囲内で配合されていてもよい。
【0021】
本発明の中間層は、樹脂成分として、実質的に低密度ポリエチレンのみを含むことが必要である。具体的には、該中間層を構成する樹脂成分中、低密度ポリエチレンが95重量%以上を占めていることが必要であり、好ましくは99重量%以上である。また、ここでの「低密度ポリエチレン」は単独、あるいは複数のブレンドでもよく、上述の含有量は複数の低密度ポリエチレンの総量に対して適用される。上記低密度ポリエチレンには直鎖状低密度ポリエチレンが含まれる。本発明の剥離ライナーにおいては、中間層に上記の低密度ポリエチレンのみを使用した層を用いることにより、柔軟性が向上し、ライナー浮き抑止性を向上させることができる。なお、本発明の剥離ライナーは、上記低密度ポリエチレンのみを樹脂成分としてなる中間層以外の中間層(他の中間層)を有していてもよいが、「本発明の中間層」という場合には、本発明の剥離ライナーに必須の層としての低密度ポリエチレンのみを使用した中間層のことをいう。
【0022】
上記低密度ポリエチレンとしては、密度が890(kg/m3)以上、930未満(kg/m3)であることが好ましい。
【0023】
本発明の中間層には、樹脂成分以外の顔料、充填剤、滑剤、老化防止剤などの各種添加剤が、本発明の効果を損なわない範囲内で配合されていてもよい。
【0024】
本発明のもう一方の表層を構成する低密度ポリエチレンからなる層は、剥離性の観点から、樹脂成分として、低密度ポリエチレンを主成分とする。具体的には、当該層を構成する樹脂成分中、低密度ポリエチレンを50重量%以上(例えば、50〜100重量%)含むことが必要であり、好ましくは60〜100重量%である。当該低密度ポリエチレンからなる表層は、低密度ポリエチレンのみを樹脂成分として含んでいてもよいし、他の樹脂成分が混合されていてもよい。
【0025】
上記低密度ポリエチレンとしては、密度が890(kg/m3)以上、930未満(kg/m3)であることが好ましい。
【0026】
上記、他の樹脂成分としては、特に限定されないが、例えば、剥離性などの物性制御の観点から、高密度ポリエチレンが好ましい。他の樹脂が高密度ポリエチレンである場合には、混合比率は、低密度ポリエチレン100重量部に対して、0〜50重量部が好ましく、より好ましくは0〜20重量部、さらに好ましくは0〜10重量部である。
【0027】
本発明の表層を構成する低密度ポリエチレンからなる層には、樹脂成分以外にも、顔料、充填剤、滑剤、老化防止剤などの各種添加剤が、本発明の効果を損なわない範囲内で配合されていてもよい。
【0028】
なお、本発明においては、低密度ポリエチレンからなる表層と中間層を別個に設けることにより、表層に色素を含有させずに中間層のみを着色できる、表層と中間層のバランスを適宜コントロールして、剥離性と強度の関係を適切な範囲に保つことができるため、好ましい。
【0029】
本発明の剥離ライナーは、両方の表層を剥離層として使用することができる。特に高密度ポリエチレンからなる層を高剥離力側面、低密度ポリエチレンからなる層を低剥離力側面として使用することが好ましい。通常、高密度ポリエチレンからなる層上に感圧性接着剤層が設けられ、低密度ポリエチレンからなる層は、例えば、感圧性接着剤層と剥離ライナーからなるシートを巻回した形状の場合、背面層としてスムーズな巻き戻し性を発現するための役割を担う。
【0030】
本発明の剥離ライナーは、低密度ポリエチレンのみを樹脂成分としてなる中間層以外の中間層(他の中間層)を有していてもよい。このような他の中間層は、例えば、各層の層間接着力を向上させるための接着層や、着色層、その他の機能を付与するための層として設けられてもよい。
【0031】
本発明の剥離ライナーは樹脂成分として、実質的に、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンのみから構成される場合に、リサイクル性が向上するため好ましい。剥離ライナーの全樹脂成分に対して、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン以外の樹脂成分は20重量%未満が好ましく、より好ましくは10重量%未満である。
【0032】
本発明の剥離ライナーの厚みは、ライナーがロール状に巻かれて保管される際等には柔軟性を要する観点から、500μm以下であることが好ましく、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。また、ハンドリング性の観点から、厚みは10μm以上が好ましく、より好ましくは30μm以上、さらに好ましくは50μm以上、最も好ましくは100μm以上である。
【0033】
本発明の剥離ライナーにおいて、低密度ポリエチレンのみを樹脂成分としてなる中間層の厚みは、剛性を制御する観点から、5〜480μmが好ましく、より好ましくは10〜180μmである。また、表層を構成する高密度ポリエチレンからなる層の厚みは、剥離性の観点から、2.5〜250μmが好ましく、より好ましくは5〜100μmである。さらに、表層を構成する低密度ポリエチレンからなる層の厚みは、剥離性の観点から、2.5〜250μmが好ましく、より好ましくは5〜100μmである。上記以外の他の中間層の厚みは、層を設ける目的によっても異なり、特に限定されないが、50μm程度以下が好ましい。
【0034】
本発明の剥離ライナーのヤング率は厚みとの関係で後述の剛性Yが適切な値となるように適宜選択できる。例えば、剥離ライナーの厚みが50〜200μmである場合には、ヤング率は30〜1400(N/mm2)が好ましく、より好ましくは50〜500(N/mm2)である。
【0035】
本発明の剥離ライナーは、溶融製膜法(Tダイ法、インフレーション法)、溶液製膜法などの公知慣用のシート形成手法によって製造することができる。本発明の剥離ライナーの積層方法としても、特に限定されず、共押出法、ドライラミネート法、ウェットラミネート法など公知慣用の方法を用いることができる。中でも、生産性の観点から、共押出法が好ましい。
【0036】
上記の中でも、特にTダイ製膜法を用いる場合には、耐熱性が良好となる傾向にあるため好ましい。耐熱性が良好となると、例えば、剥離ライナー付きの感圧性接着シートを貼付した状態で、被着体(例えば、ウェザーストリップゴム)にシリコーン塗布、シリコーン焼き付け工程(例えば、120℃×3分)を行う場合でも、剥離ライナーの浮きや剥がれが生じないため、これらの用途に好ましく用いることができる。
【0037】
本発明の感圧性接着シートは、上記の剥離ライナーと、少なくとも1層の感圧性接着剤層を含んで構成される。
【0038】
特に本発明の感圧性接着シートとしては、剥離ライナーと感圧性接着剤層の剥離力Xと、剥離ライナーの剛性Yとが、以下の不等式で決定される条件を満足する場合に、ライナー浮き抑止性と剥離機能が高いレベルで両立できるため好ましい。
0<X≦0.285、0<Y<180X4+0.1
【0039】
本発明の感圧性接着剤層と剥離ライナーの剥離力Xは、良好な剥離性を発揮する観点から、0(N/mm)より大きく、0.285(N/mm)以下であることが好ましく、より好ましくは0.15〜0.25(N/mm)である。剥離力Xが0.285(N/mm)を超えると、剥離ライナーを感圧性接着剤層から剥離することが困難となる場合があり、剥離力Xが0(N/mm)では粘着面を保護する機能が失われる。なお、上記剥離力Xは180°剥離試験により得られる値であり、具体的には、例えば、後述の剥離試験に示した測定方法により得られる。
【0040】
本発明の剥離ライナーの剛性Y[剥離ライナーのヤング率×(厚み)3]は、ライナー浮き抑止の観点から、0(N・mm)より大きく、180X4+0.1(N・mm)より小さいことが好ましい。剛性Yは、剥離ライナーの流れ方向のヤング率×(厚み)3で表される値であり、曲げ応力に対する変形のしやすさを表す。剥離ライナーの剛性Yが180X4+0.1以上である場合には、該剥離ライナーを有する感圧性接着テープを湾曲させた場合に、湾曲度合いにもよるが、剥離ライナーの反発力が粘着力に対して大きくなり、ライナー浮きを生じる場合がある。剛性Yは、より好ましくは0.01〜1.3(N・mm)であり、特に好ましくは0.01〜0.8(N・mm)である。なお、上記剛性Yは、具体的には、例えば、後述の剛性試験に示した測定方法により得られる。また、上記剥離力Xと剛性Yの関係[0<Y<180X4+0.1]は、実験による実測値をもとに多項式近似により得られた経験的知見である。
【0041】
本発明の感圧性接着シートに用いられる感圧性接着剤層が発泡体(気泡含有感圧性接着剤層)などのように体積変化が大きい場合や、感圧性接着剤層が厚い場合(例えば、100μm以上など)には、ライナー浮きが特に顕著に現れやすいため、上記X、Yを制御することが特に重要となる。
【0042】
本発明の感圧性接着剤層は、感圧性接着剤を主成分として形成される。感圧性接着剤層中、感圧性接着剤の含有量は50重量%以上が好ましく、より好ましくは90重量%以上である。
【0043】
上記感圧性接着剤としては、特に限定されないが、ポリアクリル酸エステルおよび/またはポリメタクリル酸エステル(以下、ポリ(メタ)アクリル酸エステルという、他も同様である)を含有するポリアクリル酸エステル系感圧性接着剤が好ましく用いられる。ポリアクリル酸エステル系感圧性接着剤は、アルキル(メタ)アクリレートを必須のモノマー成分とし、必要に応じて、これと共重合可能な改質用モノマー成分を重合(または共重合)したアクリル系ポリマーを主剤とする。前記重合方法方法としては、特に限定されず、UV重合法、溶液重合法またはエマルジョン重合法などの当業者にとって公知慣用の手法を用いることができる。中でも、特に厚手の感圧接着剤層を形成する場合などには、UV重合法が好ましく用いられる。
【0044】
前記アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどが好ましく例示される。共重合可能な改質用モノマー成分としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニルなどが好ましく例示される。改質モノマー成分を共重合する際の共重合比率(重量比)は特に限定されないが、アルキル(メタ)アクリレート/改質モノマーが100/0〜70/30が好ましく、さらに好ましくは97/3〜80/20である。ポリアクリル酸エステル系感圧性接着剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、各種の添加剤を含有してもよい。また、ポリアクリル酸エステル系感圧性接着剤は単独で用いてもよいし、2種以上を公知の混合方法、攪拌方法により混合して用いてもよい。
【0045】
本発明の感圧性接着剤層の厚みは、接着剤層の種類によっても異なり、特に限定されないが、1μm〜5mm程度である。例えば、気泡含有などの場合には、100μm〜4mmが好ましく、より好ましくは200μm〜3mmである。
【0046】
本発明の感圧性接着剤層は気泡を含有していてもよい。気泡を含有することによって、例えば、凹凸に対する追従性が向上するため好ましい。気泡の含有方法としては、特に限定されないが、例えば、感圧性接着剤組成物に界面活性剤を混合して、気泡を作製する方法が挙げられる。この様な界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤が特に好ましく例示される。
【0047】
この場合、感圧性接着剤組成物に混合可能な気泡量としては、特に制限されず、使用用途などに応じて、接着特性等を損なわない範囲で適宜選択できるが、例えば、感圧性接着剤組成物全体積に対して、下限は、応力緩和性の観点から、10体積%以上(より好ましくは11体積%以上、さらに好ましくは12体積%以上)、上限は、接着性の観点から、50体積%以下(より好ましくは40体積%以下、さらに好ましくは30体積%以下)が好ましい。
【0048】
上記気泡は、通常、球状(特に真球状)の形状を有しているが、いびつな形状の球状を有していてもよい。前記気泡において、その平均気泡径(直径)としては、特に限定されず、例えば、1〜1000μm(好ましくは10〜500μm、さらに好ましくは30〜300μm)の範囲から選択することができる。
【0049】
なお、気泡に含まれる気体成分(気泡を形成するガス成分;「気泡形成ガス」と称する場合がある)としては、特に限定されず、窒素、二酸化炭素、アルゴンなどの不活性ガスの他、空気などの各種気体成分を用いることができる。気泡形成ガスとしては、気泡形成ガスを混合した後に、重合反応等の反応を行う場合は、その反応を阻害しないものを用いることが重要である。気泡形成ガスとしては、反応を阻害しないことや、コスト的観点などから窒素が好適である。
【0050】
また、感圧性接着剤層は中空微小球状体を含有していてもよい。中空微小球状体を含有することによって、例えば、剪断接着力を高めることができ、さらに加工性を向上させることができる。中空微小球状体は単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0051】
上記中空微小球状体としては、中空の無機系微小球状体であってもよく、中空の有機系微小球状体であってもよい。具体的には、中空微小球状体において中空の無機系微小球状体としては、例えば、中空ガラスバルーン等のガラス製の中空バルーン;中空アルミナバルーン等の金属化合物性の中空バルーン;中空セラミックバルーン等の磁器製中空バルーンなどが挙げられる。また、中空の有機系微小球状体としては、例えば中空アクリルバルーン、中空の塩化ビニリデンバルーン等の樹脂製の中空バルーンなどが挙げられる。なお、中空微小球状体の表面には、各種表面処理(例えば、シリコーン系化合物やフッ素系化合物等による低表面張力化処理など)が施されていてもよい。
【0052】
上記中空微小球状体の粒径(平均粒子径)としては特に制限されないが、例えば、1〜500μm(好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは10〜100μm)の範囲から選択することができる。
【0053】
上記中空微小球状体の比重としては、特に限定されないが、例えば、0.1〜0.8g/cm3(好ましくは0.12〜0.5g/cm3)の範囲から選択することができる。中空微小球状体の比重が0.1g/cm3よりも小さいと、中空微小球状体を感圧性接着剤組成物中に配合して混合する際に、浮き上がりが大きくなり、均一に分散させること難しくなり、一方、0.8g/cm3よりも大きいと、高価になり、コストが高くなる。
【0054】
上記中空微小球状体の使用量としては、特に限定されず、例えば、感圧性接着剤組成物層の全体積に対して、10〜50容積%(体積%)、好ましくは15〜40容積%となるような範囲から選択することができる。中空微小球状体の使用量が10容積%未満であると中空微小球状体を添加した効果が低く、50容積%を超えると接着力が低下する場合がある。
【0055】
上記の気泡及び/又は中空微小球状体を含有させた感圧性接着剤層については、例えば、特開2006−022189号記載の感圧性接着剤層等を用いることが可能である。
【0056】
本発明の感圧性接着剤層には、用途に応じて、適宜な添加剤が含まれていてもよい。例えば、感圧性接着剤の種類に応じて、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂などからなる常温で固体、半固体、あるいは液状のもの)、可塑剤、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、着色剤(顔料や染料など)、重量平均分子量が20000以上のフッ素系ポリマーを含有するフッ素系界面活性剤以外の界面活性剤などの適宜な添加剤を含んでもよい。また、例えば、光重合開始剤を用いて感圧性接着剤層を形成する場合、着色のために、光重合を阻害されない程度の顔料(着色顔料)を使用することができる。黒色の場合であれば、例えば、カーボンブラック等を用いることができる。
【0057】
本発明の剥離ライナーを有する感圧性接着シートのシート構成としては、例えば、(1)支持基材のない単層の感圧接着剤層と剥離ライナーからなる構成であってもよいし、(2)支持基材の両面にそれぞれ感圧性接着剤層と剥離ライナーを備えた両面接着性の感圧性接着シートであってもよい。なお、シート両面にそれぞれ剥離ライナーが設けられる場合には、本発明の剥離ライナーは少なくとも一方の面に設けられておればよい。
【0058】
また、本発明の感圧性接着シートは、たとえば、剥離ライナーの一方の表面(剥離面)に感圧性接着剤層(又は支持基材の両面に感圧性接着剤層が設けられた積層シート)が設けられた構造であって、ロール状に巻回する(又はシートを重ねる)ことにより、剥離ライナーの他方の表面(背面)が上記感圧性接着剤層のライナーが設けられていない側の表面に接するような構造であってもよい。
【0059】
なお、上記支持基材としては、感圧性接着テープ又はシートにおいて、公知慣用のものを用いることが可能であり、例えば、紙などの紙系基材;布、不職布、ネットなどの繊維系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体やこれらの積層体(特に、プラスチック系基材と他の基材との積層体や、プラスチックフィルム(又はシート)同士の積層体など)等の適宜な薄葉体を用いることができる。このようなプラスチックのフィルムやシートにおける素材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが挙げられる。これらの素材は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0060】
本発明の感圧性粘着シートに、本発明の剥離ライナー以外の剥離ライナーが用いられる場合には、公知慣用の剥離ライナーを用いることが可能である。具体的には、例えば、剥離ライナー用基材の少なくとも一方の面に剥離処理層が形成されている剥離ライナー(セパレータ)を好適に用いることができる。このような剥離ライナー用基材としては、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、オレフィン系樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロンフィルム)、レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)や紙類(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など)の他、これらを、ラミネートや共押し出しなどにより、複層化したもの(2〜3層の複合体)等が挙げられる。また、剥離処理層を構成する剥離処理剤としては、特に制限されず、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などを用いることができる。剥離処理剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なお、本発明の剥離ライナーとそれ以外の剥離ライナーを共に用いる場合には、本発明の剥離ライナー以外の剥離ライナーを先に剥離して用いる。
【0061】
本発明の感圧性接着剤層を設ける方法としては、感圧性接着剤層や感圧性接着シートの形態によっても異なり、特に限定されないが、例えば、(1)剥離ライナー上に公知のコーティング手法を用いて、塗布、硬化する方法、(2)支持基材上に感圧性接着剤層を設けた後、剥離ライナーと貼り合わせる方法などが挙げられる。
【0062】
また、感圧性接着シートは、シート状、テープ状などの形態を有することができる。また、ロール状に巻回された形態であってもよい。
【0063】
本発明の感圧性接着シートは、湾曲した状態で保管されたり、感圧性接着剤層が変形しやすい気泡含有タイプなどの場合にも、剥離ライナーのライナー浮きが生じず、また、使用時には優れた剥離機能を発揮できる。このため、長い形状や複雑な形状の部材や柔軟な部材に対する接着シートや接着テープ用途として特に好ましく用いられる。具体的には、自動車のウェザーストリップや、その他のゴム材料接着用などの両面接着テープなどとして好ましく用いられる。
【0064】
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
【0065】
(1)剥離試験(剥離力X)
実施例、比較例で得られた感圧性接着シートから、7mm幅の短冊状の評価サンプルを作製した(長さ方向はシート流れ(MD)方向である)。
サンプルの感圧性接着シートからシリコーン処理を施したポリエステルフィルムを剥離し、厚さ50μmのポリエステルフィルム(東レ(株)製「ルミラー S−10」)に貼り合わせ、さらにポリエステルフィルムを剛性を支える板状体(SUS304BA板/50mm×150mm)に貼り合わせて固定した。
万能引張試験機(ミネベア(株)製「TG−1kNB」)を用いて、180°剥離試験を行った。剥離ライナー側を引っ張り、抵抗を測定し、剥離力X(N/mm)とした。
なお、試験は、JIS Z0237に準拠して行い、23℃、60%RHの雰囲気下、引張速度(クロスヘッドスピード)300mm/分で行った。また、試験回数は3回(平均値)とした。
剥離力Xが0.285(N/mm)を超える場合には、剥離が困難となり、剥離機能が不良となる。
【0066】
(2)剛性試験(剛性Y)
実施例、比較例で得られた感圧性接着シートのそれぞれの剥離ライナーについて、ダンベル3号(測定方向:流れ(MD)方向)に打ち抜き、評価サンプルとした。
万能引張試験機を用いて、原長(測定長)20mm、試料幅5mm、引張速度500mm/分で引張試験を行い、剥離ライナーのヤング率を測定した(測定回数:3回)。また、ダイヤルゲージを用いて剥離ライナーの厚みを測定した。
これらの測定値を用い、剥離ライナーの剛性Y[ヤング率×(厚み)3](N・mm)を算出した。
【0067】
(3)ライナー浮き
実施例、比較例で得られた感圧性接着シートから、7mm幅×100mm(流れ方向)の短冊状のサンプルを作製した。
サンプルの感圧性接着シートからシリコーン処理を施したポリエステルフィルムを剥離し、ウレタン系下塗り剤を塗布したポリ塩化ビニルシート(45mm幅×150mm長さ×1mm厚み、リケンテクノス(株)製)に貼り付け、5kgローラー(ローラー幅:65mm)を1往復させて圧着した。これを試験片とした。
24時間保存した後、長さ100mm×幅50mm×高さ30mmの箱状固定台に、試験片を、図2に示すように、剥離ライナーが内側になるように、楕円状に曲げて固定台に固定した。72時間後、ライナー浮き部分の長さを計測し、1試験片中の浮き部分の長さを合計した。なお、試験は、23℃、60%RHの雰囲気下で行った。
浮き部分の合計長さが10mm以下の場合は、ライナー浮き抑止性良好(○)、10mmを超える場合にはライナー浮き抑止性不良(×)と判断した。
【0068】
(4)耐熱試験(耐熱性)
実施例4および比較例2で得られた感圧性接着シートから、7mm幅×100mm(流れ方向)の短冊状のサンプルを作製した。
サンプルの感圧性接着シートからシリコーン処理を施したポリエステルフィルムを剥離し、ウレタン系下塗り剤を塗布したポリ塩化ビニルシート(45mm幅×150mm長さ×1mm厚み、リケンテクノス(株)製)に貼り付け、5kgローラー(ローラー幅:65mm)を1往復させて圧着した。これを試験片とした。
24時間保存した後、耐熱試験でポリ塩化ビニルシートが変形しないように、ポリ塩化ビニルシートのサンプルと反対側の面を、ポリ塩化ビニルシートと同サイズのステンレス(SUS)板に、両面テープ(日東電工(株)製、「No.500」)を用いて貼り合わせ、オーブンで120℃で3分間熱処理した。
室温環境下に取り出した直後の試験片を観察し、剥離ライナーの浮きや剥がれが見られない場合は耐熱性良好(○)、浮きや剥がれが観察される場合には耐熱性不良(×)と判断した。
【実施例】
【0069】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0070】
実施例1
3層共押出インフレーション成形法により、下記組成物をシート状に押出成形し、剥離層(厚み:14μm)、中間層(厚み:43μm)、背面層(厚み:43μm)からなる剥離ライナー(厚み:100μm)を作製した。
剥離層:高密度ポリエチレン樹脂((株)プライムポリマー製、商品名「エボリュー SP4520」、密度942kg/m3
中間層及び背面層:低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン(株)製、商品名「ノバテック LD YF30」、密度920kg/m3
上記剥離ライナーに、アクリルフォームテープ(日東電工(株)製「A4008」、気泡含有の単層感圧性接着剤層)を、ライナーの剥離層面がテープの感圧接着剤層と接するように貼り合わせた。また、もう一方の感圧接着剤層には、シリコーン処理を施したポリエステルフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製「MRF38」)を貼り合わせ、感圧性接着シートを得た。
【0071】
実施例2
3層共押出インフレーション成形法により、下記組成物をシート状に押出成形し、剥離層(厚み:10μm)、中間層(厚み:20μm)、背面層(厚み:20μm)からなる剥離ライナー(厚み:50μm)を作製した。
剥離層:高密度ポリエチレン樹脂((株)プライムポリマー製、商品名「ハイゼックス 3300F」、密度950kg/m3)/低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン(株)製、商品名「ノバテック LD LF440HB」、密度925kg/m3
[上記高密度ポリエチレン/低密度ポリエチレンの混合比(重量比):60/40]
中間層及び背面層:低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン(株)製、商品名「ノバテック LD UF641」、密度927kg/m3
上記剥離ライナーを用いた以外は、実施例1と同様にして、感圧性接着シートを得た。
【0072】
実施例3
3層共押出インフレーション成形法により、下記組成物をシート状に押出成形し、剥離層(厚み:14μm)、中間層(厚み:43μm)、背面層(厚み:43μm)からなる剥離ライナー(厚み:100μm)を作製した。
剥離層:高密度ポリエチレン樹脂((株)プライムポリマー製、商品名「ハイゼックス 3300F」、密度950kg/m3
中間層及び背面層:低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン(株)製、商品名「ノバテック LL UF331」、密度923kg/m3
上記剥離ライナーを用いた以外は、実施例1と同様にして、感圧性接着シートを得た。
【0073】
実施例4
3層共押出Tダイ成形法により、下記組成物をシート状に押出成形し、剥離層(厚み:37μm)、中間層(厚み:52.5μm)、背面層(厚み:10.5μm)からなる剥離ライナー(厚み:100μm)を作製した。
剥離層:高密度ポリエチレン樹脂((株)プライムポリマー製、商品名「ハイゼックス 3300F」、密度950kg/m3
中間層及び背面層:低密度ポリエチレン樹脂(東ソー(株)製、商品名「OM05B」、密度924kg/m3
上記剥離ライナーを用いた以外は、実施例1と同様にして、感圧性接着シートを得た。
【0074】
比較例1
剥離ライナーとして、低密度ポリエチレン樹脂(日本ユニカー(株)製、商品名「NUC8160」)を原料とする、ポリエチレン単層押出成型フィルム(愛知プラスチック工業(株)製、厚み:100μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、感圧性接着シートを得た。
【0075】
比較例2
3層共押出インフレーション成形法により、下記組成物をシート状に押出成形し、剥離層(厚み:14μm)、中間層(厚み:43μm)、背面層(厚み:43μm)からなる剥離ライナー(厚み:100μm)を作製した。
剥離層:低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン(株)製、商品名「ノバテック LD UF641」、密度927kg/m3
中間層及び背面層:高密度ポリエチレン樹脂((株)プライムポリマー製、商品名「ハイゼックス 3300F」、密度950kg/m3)/低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン(株)製、商品名「ノバテック LD LF440HB」、密度925kg/m3
[上記高密度ポリエチレン/低密度ポリエチレンの混合比(重量比):60/40]
上記剥離ライナーを用いた以外は、実施例1と同様にして、感圧性接着シートを得た。
【0076】
比較例3
ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン(株)製、商品名「NC499A」、密度935kg/m3)を溶融温度150℃、プレス圧10MPaにてシート状にメルトプレス成型し、自然冷却して、剥離ライナー(180μm)を作製した。
上記剥離ライナーを用いた以外は、実施例1と同様にして、感圧性接着シートを得た。
【0077】
比較例4
ポリエチレン樹脂(ダウケミカル(株)製、商品名「Xu.59900.20」、密度940kg/m3)を溶融温度150℃、プレス圧10MPaにてシート状にメルトプレス成型し、自然冷却して、剥離ライナー(180μm)を作製した。
上記剥離ライナーを用いた以外は、実施例1と同様にして、感圧性接着シートを得た。
【0078】
比較例5
高密度ポリエチレン樹脂((株)プライムポリマー製、商品名「ハイゼックス5000SF」、密度956kg/m3)を溶融温度150℃、プレス圧10MPaにてシート状にメルトプレス成型し、自然冷却して、剥離ライナー(100μm)を作製した。
上記剥離ライナーを用いた以外は、実施例1と同様にして、感圧性接着シートを得た。
【0079】
比較例6
高密度ポリエチレン樹脂((株)プライムポリマー製、商品名「ハイゼックス7000F」、密度952kg/m3)を溶融温度150℃、プレス圧10MPaにてシート状にメルトプレス成型し、自然冷却して、剥離ライナー(150μm)を作製した。
上記剥離ライナーを用いた以外は、実施例1と同様にして、感圧性接着シートを得た。
【0080】
剥離試験、剛性試験、ライナー浮きの試験結果を表1および図1に示した。図1における○はライナー浮きを生じなかったシート(実施例1〜4、比較例5、6)のデータであり、×はライナー浮きを生じたシート(比較例1〜4)のデータである。また、グラフ中の曲線はY=180X4+0.1、点線はX=0.285を示している。表1の結果から明らかなとおり、本発明の特定の樹脂構成からなる剥離ライナー(実施例)は、剛性と剥離力が適切な範囲内にあり、優れた剥離機能とライナー浮き抑止性を示した。一方、本発明の特定の樹脂構成を有しない剥離ライナー(比較例)は、ライナー浮き抑止性が不十分であったり(比較例1〜4)、剥離性が不十分であり(比較例5、6)、剥離機能とライナー浮き抑止性の両立はできなかった。
【0081】
【表1】

【0082】
さらに、実施例4と比較例2については、耐熱試験を行い、耐熱性を比較した。その結果、本発明の感圧性接着シート(実施例4)は耐熱性が良好(○)である一方、比較例2の感圧性接着シートは耐熱性が不良(×)であった。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】実施例および比較例で得られた感圧性接着シートの剥離力Xに対する剥離ライナーの剛性Yの関係を示したグラフである。
【図2】「ライナー浮き」の評価方法における試験片の固定台に対する固定方法を示した概略上面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 箱状固定台
2 試験片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3層の層構造を有する剥離ライナーであって、一方の表層が高密度ポリエチレンからなる層、他方の表層が低密度ポリエチレンからなる層であり、さらに実質的に低密度ポリエチレンのみを樹脂成分として含む中間層を有することを特徴とする剥離ライナー。
【請求項2】
厚みが10〜500μmである請求項1に記載の剥離ライナー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の剥離ライナーと、少なくとも1層の感圧性接着剤層を含む感圧性接着シートであって、剥離ライナーと感圧性接着剤層の剥離力X(単位:N/mm)と、剥離ライナーの剛性Y[剥離ライナーのヤング率×(厚み)3](単位:N・mm)とが以下の関係を満たすことを特徴とする感圧性接着シート。
0<X≦0.285
0<Y<180X4+0.1
【請求項4】
感圧性接着剤層が、アクリル系接着剤を主成分として形成された請求項3に記載の感圧性接着シート。
【請求項5】
感圧性接着剤層が、気泡及び/又は中空微小球状体を含有する感圧性接着剤層である請求項3または4に記載の感圧性接着シート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−162264(P2008−162264A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275950(P2007−275950)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】