説明

剥離可能な中心導体プレコートを有する同軸ケーブル

同軸ケーブルに、ケーブル端がコネクタを受信するよう作製中コアリングされる際に、プレコート層の除去を容易にするよう、特別に作製されたプレコート層が設けられる。ケーブルは、内部導体と、内部導体を囲む発泡性ポリオレフィン誘電体層と、前記誘電体層を囲む外部導体と、内部導体および誘電体層の間に配置されプレコート層を具えている。
プレコート層は、内部導体と共に第1ボンド接着境界面を形成し、誘電体層と共に第2ボンド接着面を形成し、第1(「A」)ボンドの軸方向剪断接着力の、第2(「B」)ボンドの軸方向剪断接着力に対する比率が1未満であり、内部導体と誘電体層の間にあるプレコート層によって形成される「A」ボンドの軸方向剪断接着力の、回転性剪断接着力に対する比率が5以上であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中心導体プレコートを有する同軸ケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばテレビジョン信号のようなRFシグナルを送信するため今日一般に使用される同軸ケーブルは、金属の内部導体と「同軸的に」コアを囲み外部導体として作用する金属シースから通常構成される。誘電体は内部導体を囲み、電気的にそれを金属シースから絶縁する。ある種の同軸ケーブルにおいては、空気が誘電体として使われ、電気絶縁スペーサは、周りのシース内に内部導体を保持するため、ケーブル全体に渡って間隔を開けた位置に設けられる。他の周知の同軸ケーブル構造においては、膨張させた発泡性プラスチック誘電体が内部導体を囲み、内部導体および周りの金属シースとの間の間隔を埋める。
【0003】
プレコート層は、これら同軸ケーブル設計の大部分にとって不可欠な部分である。プレコートは、膨張させた発泡体または固体の誘電体絶縁層の塗付前に、同軸ケーブルの内部導体の表面上にエマルジョン液として押し出されるか塗りつけられる、薄く、固体かまたは発泡体のポリマー層である。プレコートは普通、以下の物質、すなわち、ポリオレフィン、ポリオレフィン・コポリマー接着剤、耐食添加剤および充てん剤、の中の1つ以上から成る。プレコート層は、以下の目的のうちの1つ以上のために役立つものである。(1) プレコートは、その次に押し出される誘電体絶縁層を堆積させるための、より制御された表面を作製するのを可能にする。(2) プレコートは、周囲の絶縁体に対する中心導体の動きを減らすために、中心導体に誘電体物質の接着を促進する接着剤を加えるか又は加えずに用いられる。重要なこのタイプの動きは、中心導体に、開いた配電回路を作り出すフィールドコネクタの制御力から抜け出させ得る。この現象は一般に中心導体の「吸出し」として知られるフィールド障害を作り出す。(3) プレコートは、誘電シュリンク・バックを防止するため、プレコート層とそれに続く誘電体絶縁層の接着を促進する接着剤を付加するか接着剤無しで用いられる。(4) プレコートは、誘電体/中心導体接着境界面で水分の移動経路を減らすかまたは除去するために用いられる。同軸ケーブルの誘電体への水分の移動は、例えばRF減衰の増加のような、明らかな有害な影響を有する。
【0004】
上記の基準を満たしている現在利用可能なプレコートの設計の結果では、プレコート層がコネクタの取付けの前に中心導体からそれを取り除く余分の段階を要求するという欠点がある。同軸ケーブルの現場敷設の間、ケーブルの端は、ケーブルを他のケーブルにまたは、例えば増幅器のようなネットワーク電気設備に連結するコネクタを装着することを要する。ケーブル末端の作製は通常、ケーブルの直径の大きさに合う市販のコアリング工具を使用して行われる。発泡性誘電体を有する同軸ケーブルのために、コアリング工具は、内部導体および外部導体を曝したままにしておくために発泡性誘電体の一部に穴をあけるボート錐のようなビットを有する。この「コアリング」の段階後、ちょうどコネクタの取付けの前に、扱者は物理的に内部導体に接着されたままであるプレコート層を取り除くことが必要だった。所定の方法は、技術者がプレコート層をこするかまたは剥がして、内部導体の導電金属表面から取り除くために使用する、非金属の「刃」または引っかき道具を有するツールを使用する。
【0005】
同軸ケーブル製造業者CommScope社によって発行された、現場敷設マニュアル「ブロードバンド用建設マニュアル」9章1節および9章2節において規定されている手順によれば、現場作業者は、中心導体上のシールドをかき切って、引き抜いて中心導体を露出させるため非金属ツールを使用するように指示されている。導体は、銅が明るくて輝く場合、適切に露出されていると考えられる。この段階が適切に実行されない場合、または、この段階が例えばナイフまたはトーチのような誤ったツールで行われた場合、内部導体または他部材は損害を受け、ケーブルの電気および/または機械の性能およびネットワークの信頼性を減らすおそれがある。
【0006】
上記のことから、ケーブルに標準のコネクタを装着するよう準備作業を行う際、中心導体プレコート層が中心導体からより容易に、好ましくはコアリング段階の間に、取り除かれることができるということが、同軸ケーブルにとって必要だということは明白であろう。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、上記の通り標準のプレコートに与えられた重要な機能に役立つが、またケーブル末成端作業の初期段階中プレコートを容易に除去することを可能にするプレコート層を有する同軸ケーブルを提供するものである。特別に考案されたプレコート組成物、および/または剥離剤が、特別な工程環境に対し使われ、標準のコアリング工具を使用する成端作業の初期段階中、プレコート層の除去を容易にし得る。最初の成端作業(コアリング)段階中のプレコートの除去は、より効率的な接続化および/またはフィールドのスプライシング作業を可能にし、いかなる特別なプレコート除去ツールも必要とせず、フィールド技術者の技量の問題あるいはフィールド技術者による不適当な成端作業から生じるケーブルの損傷の源を除去することを可能にする。
【0008】
プレコートの構成要素は、ホモポリマーおよびコポリマーから選ぶことができ、ポリ・エチレンホモポリマー、アモルフォス、およびアタクチック・ポリプロピレン・ホモポリマー、ポリオレフィン・コポリマー(EVA, EAA, EEA, EMA, EMMA, EMAAを含むがこれらに限らず)、スチレンコポリマー、ポリビニルアセテート(PVAc)、ポリビニルアルコール(PVOH)、パラフィン蝋を含むが、これらに限るものではない。これらの構成要素は、単独で、または2つ以上のいかなる組合せおよび比率においても、用いることができる。構成要素の構成要素または混合物は、ホットメルト、熱プラスチックまたは熱硬化系の類に分類され得る。プレコート層は、化学反応に依って、溶剤担体から、またはエマルジョンとして、きれいに塗りつけられ得る。さらにまた、耐食添加剤を含んでもよい。
【0009】
プレコート層の接着性は、「A」ボンドおよび「B」ボンドに関して定められ得る。「A」ボンドは、中心導体およびプレコート層の接着境界面の接着剤である。「B」ボンドは、プレコート層とその周囲の誘電物質の接着境界面の接着剤である。プレコートの化学的性質は、平衡結晶化度、および/または「A」ボンドの強度が急速に得られるようなものでなければならない。これは、ケーブルの使用の前に、プレコートの経時効果が剥離不可能なボンドを生み出すのを防止するのに必要である。これは、プレコート構成要素を適当に選択し、ボンドの上限強度を制限するために「A」ボンドの接着境界面に移動する成核剤および/または添加剤を追加することにより達成され得る。それから、発泡性の誘電体組成物は、プレコートと誘電体の間のボンド(「B」ボンド)を生じる状況下で、プレコート上に塗りつけられる。
【0010】
本発明の目的の達成において、水分が内部導体に沿って軸方向に移動するのを防ぐために、プレコート組成物が充分な厚みおよび持続性を有することが重要である。プレコート組成物は、最終的に0.00254〜0.508mm(0.0001〜0.020インチ)までの厚さになるよう、内部導体に塗りつけられるのが好ましい。
【0011】
標準の市販の同軸ケーブルコアリング工具がコネクタを装着するためのケーブル端を作製するために用いるときにプレコート層に加えられる剪断力の結果として、プレコート層が完全にきれいに内部導体から取り除かれるような方法で、「A」ボンドの接着境界面と「B」ボンドの接着境界面のボンド強度が、制御されることが重要である。特に、内部導体およびプレコート間のボンド接着境界面の軸方向剪断接着強度、すなわち「A」ボンドの強度、と、プレコート層と誘電体の間の接着境界面の軸方向剪断接着強度、すなわち「B」ボンドの強度は、比率1未満であることが重要である。これは、プレコートを内部導体から取り除くときに、プレコートの残りが内部導体上に残されないように、接着の剥離がプレコートと内部導体間の接着境界面、すなわちボンド「A」で起こることを保証する。
【0012】
加えて、内部導体と誘電体間のプレコート層によって形成される接着が、導体の軸方向においてよりも内部導体の表面に対する接線の方向において非常に低い接着強度を有するべきだというのは、重要なことである。これは、プレコート「A」ボンドが与えられた機能(周囲の誘電体に関する内部導体の動きの減少および中心導体に沿った水分の移動の除去)を果たすため、軸方向に充分な接着強度を有することを保証する。その一方でプレコートは、コアリングの間プレコートに加えられ接線方向に働く剥離力によって、内部導体から容易に除去することが可能である。この点に関して、内部導体とプレコート層間のボンドの軸方向剪断接着強度の、ボンドの回転剪断接着強度に対する比率は、5以上および、より望ましくは7以上であることが好ましい。
【0013】
これらの目的は、本願明細書に記載されている、プレコート組成物および工程条件の適当な選択によって達成される。一実施例において、プレコート組成物は単独ポリマー構成要素を含む。一方、別の実施例では、2つ以上の構成要素が合成されるか、またはプレコート組成物に混ぜ入れられる。プレコート組成物は、接着剤、充てん剤、耐食添加剤、反応剤、剥離剤、架橋剤を含むことができ、担体、溶剤または乳化剤を伴う場合も伴わない場合もある。それから、プレコート組成物は、中心導体に接着する膜を生み出すように、最終的には0.00254〜0.508mm(0.0001〜0.020インチ)の厚さで内部導体に塗りつけられる。それから、絶縁化合物がプレコート上に塗り付けられ、プレコートおよび誘電体の間にボンド(「B」ボンド)を生じさせることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以上本発明を一般的に記述したが、以下では添付図面を参照して説明する。図面は必ずしも一定の率で縮尺したものではない。
【0015】
さて、本発明は以下に添付図面を参照して、より完全に記載されるものである。本発明のすべての実施例ではないが、幾つかの実施例が示される。実際、本発明は多くの異なった形態で実施することができ、本願明細書において記載される実施例に限られるものとして構成されるべきではない。むしろ、これら実施形態が与えられるのは、この開示が、適用可能な法律的要求事項を満たすためである。同じ参照数字は、同じ部材を示す。
【0016】
本発明の好ましい実施例に従って、図1は、例えばケーブル・テレビジョン信号、携帯電話信号、インターネット、データ等のRF信号の長距離送信のための、幹線および配線ケーブルとして通常用いられるタイプの同軸ケーブル10を図示する。通常、図1において図示されるケーブル10は、幹線および配線ケーブルとして使われるとき、約7.62mm及び50.8mm(約0.3及び約2.0インチ)からの直径を有する。
【0017】
図1に図示したように、同軸ケーブル10は、適切な電気伝導性物質から成る内部導体12と周囲の誘電体層14を具えている。内部導体12は、銅、銅張りアルミニウム、銅張り鋼またはアルミニウムから形成される。加えて、図1にて図示したように、ケーブル上の導体12は、通常固体導体である。図1に図示される実施形態において、ただ一つの内部導体12だけが示されケーブルの中央に軸心を同じくして位置するが、これがRF信号を送信するために用いられるタイプの同軸ケーブルの最も一般的な構成である。
【0018】
誘電体層14は中心導体12を囲んでいる。誘電体層14は、例えばポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリスチレンのような、適切なプラスチックから形成される、低損失誘電体である。単位長あたりの誘電体の重量、つまりは誘電定数を減らすため、誘電物質は膨張させたセルラー発泡性組成物、特に、水分の透過に対する抵抗があるので、クローズドセル発泡性組成物であるのが好ましい。誘電層14は、膨張させた発泡性プラスチック誘電体物質から成る連続的な円筒状の壁であるのが好ましく、例えば高密度ポリエチレンのような、発泡性ポリエチレンであるのがより好ましい。本発明の誘電体層14は、一般に略均一の密度を有する発泡性物質から成るにもかかわらず、誘電体の密度が放射状に中心導体12から誘電体層の外面へ連続的にあるいは階段状に増加するよう、誘電層14は勾配上あるいは段階的な密度を有することができる。例えば、発泡性固体薄層誘電体を用いることが出来、誘電体14は固体誘電体層に囲まれた低密度の発泡性誘電体層から成る。ケーブルの圧縮強度および曲げ加工性を強化し、中心導体12に沿って対臨界密度が0.10g/ccの低さにまでなるように、これらの構造を用いることが出来る。中心導体12に沿った発泡性誘電体14の低密度は、RF信号伝達の速度を強化して、信号の減衰を減らす。
【0019】
薄い重合プレコート層16は、中心導体12を囲み、中心導体を周囲の誘電体14に接着する。プレコート層16は、0.00254〜0.0508mm(0.0001〜0.020インチ)までの厚さを有するのが好ましく、0.00127〜0.0254mm(0.0005〜0.010インチ)までの厚さを有するのがより望ましく、そして、0.0127〜0.0254mm(0.005から0.010インチ)までの厚さを有するのが最も望ましい。
【0020】
密接に誘電体層14を囲んでいるのは、外部導体18である。図1において図示される実施例において、外部導体18は、管状の金属シースである。外部導体18は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、銅または銅合金のような、適切な電気伝導金属から形成される。
幹線および配線ケーブルの場合、外部導体18が機械的電気的に外からの影響からケーブルを遮閉し、同様にRF放射線の漏出を防止するために、外部導体18は機械的にも電気的にも連続的である。しかしながら、ある特別なケーブルの用途のため無線周波エネルギーの漏出を制御させるために、外部導体18には孔が開けられてよい。図1において図示される実施例において、外部導体18は管状構造に形成されている金属片から作られており、対向辺端同士がくっつけられ、20で示される連続的で長手方向の溶接部によってそのくっつけられた端同士が連続的に接合される。長手方向の溶接により製造される外部導体18がこの実施例では図示されているが、当業者は例えば継ぎ目のない管状金属シースを押出すなどの周知の他の方法も使用できる。
【0021】
外部導体18の内側表面は、その全体にわたって、誘電層14の外側表面までの周辺の範囲にわたって、接着剤22の薄い層により連続的に接着されるのが好ましい。任意の保護ジャケット(図示せず)が、外部導体18を囲んでもよい。外側の保護ジャケットのための適切な組成物には、例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンおよびゴムなどの、熱可塑性プラスチック被覆物質が含まれる。
【0022】
図2Aおよび2Bは、図1において図示されている本発明のケーブル10を製造する一方法を図示する。図2Aに図示したように、中心導体12は、例えばリール50のような適切な供給源から(図2Aにおいて左から右の)の所定経路に沿って、導出される。中心導体12は、最初、導体の表面上の水分または他の異物を取り除き、導体がプレコート層16を受けるよう準備するために導体を高温まで加熱する、予熱器51を通って前進するのが好ましい。予熱された導体はそれからクロスヘッド押し出し機52を通り、そこでポリマープレコート組成物が導体12の表面上へ押出される。プレコート組成物は、ポリエチレン・ホモポリマー、アモルファスおよびアタクチック・ポリプロピレン・ホモポリマー、ポリオレフィン・コポリマー(EVA, EAA, EEA, EMA, EMMA, EMAAを含むがこれらに限らず)、スチレンコポリマー、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、パラフィン・ワックス、の何れか、又はこれらのうちの2つ以上の混合体からなるグループから選択される、熱可塑性プラスチック・ホモポリマーまたはコポリマー組成物である。一典型的組成物において、プレコート組成物は、ポリエチレンの重量で少なくとも50%を含んでおり、加えて、例えばアクリルまたはメタアクリル酸のような、カルボキシル酸を有するエチレンからなる一つ以上のコポリマーを含んでいてもよい。ポリエチレンが一つ以上のこの種のコポリマーと混合されるとき、コポリマーの中身は重量で25%未満であるのが好ましい。例えば、プレコート組成物は、少なくとも重量で50%、より望ましくは75%以上の低密度ポリエチレンとエチレン・アクリル酸コポリマーの混合物を含んでいてもよい。また、プレコート組成物は、一つ以上の充てん剤、耐食添加剤、反応剤、剥離剤および架橋剤を含んでいてもよい。プレコート組成物において使用されるポリエチレンポリマー構成要素は、少なくとも35g/10分、望ましくは少なくとも50g/10分、のメルトインデックス(MI)を有するのが好ましい。周知の通りに、メルトインデックスは熱可塑性プラスチック樹脂のグラム量として定義され、10分間のうちに2.0955mm(0.0825インチ)の直径の押出式流量計開口部を通して、190度で2.16kgの力でもって、押し出され得る。高いメルトインデックスは、結果としてプレコート層の引裂強度を比較的低くし、コアリング中にプレコート物質を中心導体から引き剥がす、または引き裂くのを容易にする。ボンドは性質として、接着的というより摩擦によるものか摩擦的であり、必要な軸方向のボンド強度を提供し、中心導体からの引剥しを容易にする。また、この特徴は、比較的低接着性コポリマーの中身(例えばEAA かEMA コポリマー)、またはプレコート組成物中にこの種のコポリマーを欠如させることによって強化される。また、このことは、プレコート層の水ブロッキング性を維持すると共に、中心導体の金属表面(Aボンド)よりむしろ、周囲の誘電(Bボンド)物質に優先的にプレコート層を接着することを可能にする。プレコート組成物の、更に幾つか図示する例には、50MI低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、80MI LDPEおよびEMMAコポリマー接着剤の、重量で80/20の混合、80MI LDPEおよびEAAコポリマー接着剤の、重量で80/20中の混合と、前述のうちの1つとミクロクリスタリンワックスの重量で最高5%との混合体が含まれる。
【0023】
プレコート層は、発泡性ポリマー組成物を被覆した中心導体の周りに同心的に連続的に塗着する第2の押し出し装置54を通される前に、冷却し凝固される。高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンは、ポリマー溶融体を形成するために、押し出し装置54の成核剤と結合するのが好ましい。押し出し機54を離れると即座に、発泡性ポリマー組成物は、発泡し、中心導体12の周りに誘電体層14を形成するために膨張する。
【0024】
発泡性ポリマー組成物に加えて、接着剤組成物は、接着剤層22を形成するために、発泡性誘電体層14の周りに発泡性ポリマー組成物と共に押し出されるのが好ましい。押し出し装置54は、接着剤を被覆したコア56を形成するため、ポリマー溶融体の周りに同心的に連続的に接着剤組成物を押出する。接着剤組成物は発泡性ポリマー組成物と共に押し出すのが好ましいが、接着剤を被覆したコア56を形成するため接着剤層22を誘電体層14に貼り付けるために、例えば吹き付けや漬浸または別の装置に押し出すなどの他の適切な方法もまた用いられ得る。あるいは、接着剤層22は、外部導体18の内側表面上に設けられ得る。
【0025】
押し出し装置54を離れた後、接着剤を被覆したコア56は、図2Bにおいて図示される製造工程へ進む前に、冷却されて、それから例えばリール58のような適切な容器へ収められるのが好ましい。あるいは、接着剤を被覆したコア56は、リール58に収められることなく、図2Bの製造工程へ連続して進むことができる。
【0026】
図2Bにて図示したように、接着剤を被覆したコア56は、リール58から引き出されることができて、同軸ケーブル10を形成するために、更に加工することができる。幅が狭く細長い細片Sは、アルミニウムから形成されるのが好ましいが、リール60のような適切な供給源から、前進するコア56周辺に向けられ、管状のシース18を形成するためコアをゆるく囲むために、ガイド・ロール62によって略円筒状の形に曲げられる。それから、細片Sの対向する長手方向の端同士は、当接しあうように動かされ、細片は、コア56をゆるく囲む電気的機械的に連続的なシース18を形成するため細片Sの当接しあう端同士を接合することによって長手方向の溶接部を形成する溶接装置64を通って、前進することが出来る。一旦シース18が長手方向に溶接されると、米国特許番号5,959,245に記載されているように、シースを卵形状に形成し、そのシースをスカーフ継手としてフラッシュ溶接することができる。あるいはまた、スカーフ継手にする工程後、コア56および周囲のシース18は、シースをコア56上に引き下げ、それによって誘電体14の圧縮を引き起こす、少なくとも一つの掘下げダイ66を直接通って前進する。シースは掘下げダイ66を通って前進するので、シース18の表面に潤滑剤が塗りつけられるのが好ましい。それから、任意の外側のポリマージャケットが、シース18上に押し出され得る。それから、このように生産されたケーブル10は、例えば記憶および発送用のリール72のような、適切な容器に収めることが出来る。
【0027】
プレコートに剥離可能な性質を与えるためボンド強度を制御する際、プレコート層および中心導体12の表面の間の接着を強化するために、プレコートを塗りつける前に、内部導体を予熱器51で表面温度が23.88〜148.88℃(75〜300F)に予熱するのが好ましい。この範囲より低い予熱温度は、中心導体を十分に加熱することができず、その表面の水分、油分または他の異物を取り除くことができない。そのような異物は、導体とプレコート層間の接着境界面での整合的な接着(Aボンド)を妨げ、内部導体の表面に沿って、水分を移動させるおそれがある。同様に、この範囲より高い予熱温度はまた、中心導体の表面と接触しているプレコートポリマーを劣化させ、プレコート層を泡立たせ、あるいはそうでなければその整合性を失わせることにより、接着を妨げるおそれがある。
【0028】
プレコートおよび誘電体の塗付の間、誘電体の塗付の前に中心導体およびプレコート層の再加熱を制御することも重要である。被覆した導体が少しでも再加熱される場合、これらの層間の適切なBボンドを強化するため、再加熱温度は93.33℃(200F)未満であるべきである。誘電体層の塗付の前にこの温度より高い温度でプレコートおよび導体を加熱することは、これら2つの層の接着を阻害するおそれがある。工程のこの段階での過熱は、誘電体ポリマーをその処理範囲より高い温度に晒すことにより、プレコートと接触する誘電体層を分解させるおそれがある。結果として生じる、誘電体層におけるこのような分解および/または空隙は、Bボンド強度を減らし、プレコートおよび誘電体層間の水分移動のための経路をつくるおそれがある。
【0029】
Aボンド接着境界面およびBボンド接着境界面間のボンドの接着性を制御し、コネクタを装着するため、標準の市販の同軸ケーブルコアリング工具を使用してのケーブル末端の作製中に、剪断力がプレコート層に加えられた結果、プレコート層は完全にきれいに内部導体から取り除かれる。市販の同軸ケーブルコアリング工具には例えば、コネチカット州チェスターにある、Cableprep社のCablePrep SCT シリーズのコアリング工具、コネチカット州クロムウェルにあるリプリー社の、Cablematic CSTシリーズのコアリング工具、およびペンシルヴァニア州コーガンステーションにある、Lemco Tool社のCorstripシリーズのコアリング工具が含まれる。
【0030】
これらのコアリング工具は、工具がケーブルと関係して回転しながら、回転性剪断と軸方向剪断とを組み合わせてケーブルコアに加える切れ刃を具えている。コアリング工具は、同軸ケーブルを受けるよう適合し軸方向に延びている開放端と、覆いに装着され開口部へと軸を同じくして延びている切削工具を有する覆いを通常具えている。切削工具は、同軸ケーブルの外部導体内におさまるような大きさの外径を有するボートぎり、同軸ケーブルの内部導体を受けるため軸を同じくして延びている孔、および、コアリング工具がケーブル端に入っていく際に、誘電体物質の一部を除去する、少なくとも一つの切れ刃をコアリング部分の端に、通常具えている。標準の市販のコアリング工具を使用することに加えて、誘電体およびプレコート層をスライスするよりむしろ引き裂くことを促進するように切れ刃が特別に構成されたコアリング工具を用いることにより、優れた結果が得られることが認められる。
【0031】
本発明に従って得られる、制御されたボンドの接着力の特性は、同軸ケーブルの試験用標本に標準の試験法を行うことによって測定することができる。例えば、プレコートボンド接着境界面、すなわち「A」ボンド接着境界面および「B」ボンド接着境界面、の軸方向および回転性剪断接着力、は以下の通りにANSI/SCTE試験方法12 2001に基づいて修正された試験手順を使用して測定される。
【0032】
[幹線および配線同軸ケーブルのプレコートと中心導体との間の接着性ボンドを分離するのに必要な剪断力を決定するための試験]
1.0 範囲
1.1この試験は、固体管状外部導体を有する幹線および配線ケーブルのための、同軸ケーブルの中心導体と誘電体層またはプレコート層との間の接着性ボンドを分離するのに必要な、剪断力を決定するための試験である。ボンドを分離させる剪断力は、軸方向(平行移動の)および回転形式で決定される。
2.0 器材
2.1 管切り。
2.2 万能ナイフまたは他の鋭いナイフ。
2.3 中心導体への損傷を与えることなく、直線方向に外部導体を切削することができる鋸。(例えば、Dremel toolなど)
2.4 少なくとも1/32""の段階において印がつけられた定規。
2.5 引張り試験機(Instron446シリーズまたはSintech5Xまたは同等のもの)。
2.6 図3に図示され、ANSI/SCTE 12 2001に記載されている、中心導体とプレコート間のボンド引き抜き取付具。
2.7 図4にて図示した、中心導体とプレコート間の回転性ボンド試験機の取付具。
例えば、Pharmatron TM-200およびVibrac Torqo 1502、またはそれらと同等の機能を備えた計測器が許容される。
3.0 標本準備
3.1 長さ254〜304.8mm(10-12インチ)のケーブル標本を得る。
3.2 あるならば、外側ジャケットを取り外す。
3.3 端から測定し、標本の外部導体に25.4mm及び50.8mm(1及び2インチ)のところで印をつける。
3.4 管切りを使用し、各々の印のあるところで、深さは1.5875mm(1/16インチ)以下になるように、外側のシールドを切削する。
3.5 中心導体に切り傷をつけたり、損傷を与えないように注意しながら、上記の切り口で、残りの誘電体を切削する。
3.6 25.4mm及び50.8mm(1及び2インチ)間の切り口を除く標本全体に渡り、中心導体の軸に沿って外部導体を切削する。
試験標本および中心導体を乱したり損傷を与えることなく、25.4mm(1インチ)の長さの試験標本の両方の側から、外部導体および誘電体を除去する。
4.0 試験方法
4.1 軸方向試験
4.1.1 中心導体ボンド引き抜き取付具を引張り試験機に取り付ける。
4.1.2 中心導体の直径よりも3.0±1.0 mil. 大きい中心導体挿入部を選び、大きい方の外径を先に、試験標本の剥離された長い部分上に滑り込ませる。
4.1.3 標本を試験用取付具に挿入し、中心導体の長い端を引張り試験機に締結する。
4.1.4 引張り試験機を50.8mm(2.0 inch)/minのペースで動くようにセットし、試験を開始する。
4.1.5 中心導体のボンドが離れるまで試験を続け、試験中に観察された最大負荷を(ポンドで)記録する。
4.1.6 この試験を最低6つの標本に対して行う。
4.2 回転性試験
4.2.1 適切な固定器具を使い、標本を回転性のボンド試験機に挿入する。
4.2.2 試験機を1 rpmのペースで回転するようにセットし、試験を開始する。
4.2.3 誘電体またはプレコートが中心導体から離れるか、中心導体が壊れるまで、試験を続ける。
4.2.4 試験中に観察された最大トルク(インチ‐ポンド)で記録し、ボンドと中心導体が壊れたかどうかも記す。
4.2.5 この試験を最低6つの標本に対して行う。
5.0 データ分析
5.1 各々の標本につき平均負荷および標準偏差を計算して報告し、これらの結果を標本名、説明、外部導体および中心導体の寸法と、関連があると思われる他のいかなる特記事項をも報告する。
【0033】
プレコート層および中心導体の間のボンド接着境界面、すなわち「A」ボンドの軸方向の剪断強度と、プレコート層および誘電層間のボンド接着境界面、すなわち「B」ボンドの強度が、修正されたANSI/SCTE試験方法12 2001(以前はIPS-TP-102)、「幹線、支線および配線同軸ケーブル用中心導体と誘電体のボンド用試験方法」に以下の修正を加えたものに従って、測定される。取付具は、中心導体とプレコート層を合わせた外径よりも最低25%大きい、中心導体挿入のための穴を有する。プレコート層が部分的に中心導体に接着されたままになることなく、中心導体からきれいに剥離する場合、第1のボンド接着境界面(「A」)の軸方向剪断強度の、第2のボンド接着境界面(「B」)の軸方向剪断強度に対する比率は、1未満であると結論され得る。プレコート層が中心導体に接着されたままの場合、剪断強度比率が1より大きいと結論され得る。同様に、誘電体物質がプレコート層に接着されたままの場合、剪断強度比率は1より大きく、その破断は誘電体で起こったものであり、プレコートボンド接着境界面でおきたのではないと結論され得る。
【0034】
プレコート層および中心導体間のボンド接着境界面、すなわち「A」ボンドの回転性剪断強度と、プレコート層および誘電体層間のボンド接着境界面、すなわち「B」ボンドの回転性剪断強度が、上記の回転性試験手順を使って、測定される。また、コアリング工具によって加えられる、回転性の(あるいは接線方向の)剪断力のもとで、プレコート層が導体からきれいに剥離する場合、「A」ボンド接着境界面の回転性剪断強度の「B」ボンド接着境界面に対する比率は、1未満であるべきである。これは、試験を実行した後に試験標本の状態を検討することによって確証される。プレコート層が部分的に中心導体に接着されたままになることなく、中心導体からきれいに剥離する場合、第1のボンド接着境界面(「A」)の軸方向剪断強度の、第2のボンド接着境界面(「B」)の軸方向剪断強度に対する比率は、1未満であると結論され得る。プレコート層が中心導体に接着されたままの場合、剪断強度比率が1より大きいと結論され得る。誘電体物質がプレコート層に接着されたままの場合、剪断強度比率は1より大きく、その破断は誘電体で起こったものであり、プレコートボンド接着境界面でおきたのではないと結論され得る。
【0035】
破断が中心導体とプレコート間のボンド接着境界面、すなわち「A」ボンドで起きる際、軸方向剪断接着力が回転性剪断接着力よりも大きくなるように、ボンド接着力が制御されるのが好ましい。「A」ボンドの軸方向剪断接着力の、「A」ボンドの回転性剪断接着力に対する比率は、軸方向剪断接着力の平均値(ポンドで)を、回転性剪断接着トルク力の平均値(mm(インチ)とg(ポンド)で)で割ることにより決定される。内部導体と誘導体層の間にあるプレコート層によって形成される「A」ボンドの軸方向剪断接着力の、「A」ボンドの回転性剪断接着力に対する比率は、5以上、より望ましくは7以上であるのが好ましい。これらの値は、破断が「A」ボンド接着境界面で起きるとき、つまり、「A」ボンド強度の「B」ボンド強度に対する必須比率が1未満である標本で、上記の試験手順を使用して測定することができる。
【0036】
なお、本発明は、以下の例によって、更に記述されるものである。全てのパーセンテージは、特に明記しない限り重量当たりで記載されている。
【実施例】
【0037】
プレコート組成物は、以下の成分、すなわち80MI低密度ポリエチレン97.5%および、5.5MIエチレン・アクリル酸コポリマー(6.5%のアクリル酸含有)を合成することによって調整された。
【0038】
この組成物は、以下の手順と条件に従い、0.27559〜0.51435mm(0.1085〜0.2025インチ)の範囲の直径を持つ、銅で被覆したアルミニウムの導体に、塗りつけられた。中心導体は51.66℃(125F)に予熱された。組成物はポリマー押し出し工程を使って、厚さを制御しながら、塗りつけられた。塗付の厚さは、名目として平均0.2032mm(0.008インチ)の厚さに制御された。この構造は、室温に近づくよう冷却され、それからクローズドセル発泡性ポリエチレン誘電体層を塗りつけるために、発泡性ポリマー押し出し工程を通った。
【0039】
標本は上述の試験手順によって、軸方向形式と回転性形式で、ボンドを分離させるのに必要な剪断力を決定するために試験され、結果は以下の表に示されている。

標本 中心導体直径 回転性ボンド 軸方向ボンド ボンド比率
(in) 1in=25.4mm (in.lb)
1 0.1085 9 147 16
2 0.1235 12 184 15
3 0.1365 16 206 13
4 0.1655 19 249 13
5 0.1665 19 251 13
6 0.1935 29 284 10
7 0.2025 30 252 8
【0040】
従って本発明は、開示された特定の実施例に限るものではなく、修正および他の実施例が添付の請求の範囲内に含まれることを意図していると理解されるべきものである。特定の用語が本願明細書において使用されるが、それらは総称的および説明的な意味においてのみ用いられるものであり、限定を目的として用いられるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明の一実施例による同軸ケーブルの斜視図である。
【図2A】図2Aは、図1において図示される本発明の実施例に対応する同軸ケーブルを作る方法を図式を使って示す説明図である。
【図2B】図2Bは、図1において図示される本発明の実施例に対応する同軸ケーブルを作る方法を図式を使って示す説明図である。
【図3】図3は、プレコートおよび中心導体間の接着剤を分離させるために必要な軸方向の剪断力を試すために役立つ引張試験装置の概略図である。
【図4】図4は、プレコートおよび中心導体間の接着剤を分離させるために必要な回転剪断力を試すために役立つ引張試験装置の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部導体と、
前記内部導体を囲む誘電体層と、
前記誘電体層を囲む外部導体と、
前記内部導体と前記誘電体層の間に配置され、内部導体に対し第1ボンド接着境界面(「A」ボンド)を形成し、誘電体層に対し第2ボンド接着境界面(「B」ボンド)を形成するプレコート層を有する同軸ケーブルにおいて、
前記プレコート層は内部導体に沿って水分が軸方向移動するのを妨げるのに充分な厚さと連続性を有し、
前記第1および第2ボンド接着境界面の強度が、標準の市販の同軸ケーブルコアリング工具を使用して、コネクタを取り付けるためにケーブル端を処理する際、剪断力がプレコート層に加えられると、プレコート層が完全にきれいに内部導体から除去されるようにしたことを特徴とする同軸ケーブル。
【請求項2】
プレコート層が、0.00254〜0.0508mm(0.0001〜0.020インチ)までの厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載の同軸ケーブル。
【請求項3】
第1ボンド(「A」ボンド)の軸方向剪断強度の、第2ボンド(「B」ボンド)の軸方向剪断強度に対する比率が1未満であることを特徴とする、請求項1に記載の同軸ケーブル。
【請求項4】
「A」ボンドの軸方向剪断接着力の、「A」ボンドの回転性剪断接着力に対する比率が5以上であることを特徴とする、請求項3に記載の同軸ケーブル。
【請求項5】
「A」ボンドの軸方向剪断接着力の、「A」ボンドの回転性剪断接着力に対する比率が7以上であることを特徴とする、請求項4に記載の同軸ケーブル。
【請求項6】
誘電体層がクローズドセルポリオレフィン発泡体から成り、プレコート層がポリエチレン組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の同軸ケーブル。
【請求項7】
プレコート層が、ポリエチレン・ホモポリマー、アモルファスおよびアタクチック・ポリプロピレン・ホモポリマー、ポリオレフィン・コポリマー、スチレンコポリマー、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、パラフィン・ワックス、の何れか、又はこれらのうちの2つ以上の混合体からなるグループから選択される、ホモポリマーまたはコポリマー組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の同軸ケーブル。
【請求項8】
プレコート層が更に、1つ以上の充てん剤、耐食添加剤、反応剤、剥離剤および架橋剤を含むことを特徴とする、請求項7に記載の同軸ケーブル。
【請求項9】
プレコート層が、低密度ポリエチレンおよびエチレン・アクリル酸コポリマーの混合体から成ることを特徴とする、請求項7に記載の同軸ケーブル。
【請求項10】
低密度ポリエチレンが、少なくとも50g/10分のメルトインデックスを有することを特徴とする、請求項7に記載の同軸ケーブル。
【請求項11】
内部導体と、
前記内部導体を囲む発泡性ポリオレフィン誘電体層と、
前記誘電体層を囲む外部導体と、
前記内部導体および前記誘電体層の間に配置され、
熱可塑性プラスチック・ポリエチレン組成物から成り、
内部導体に対し第1ボンド接着境界面を形成し、誘電体層に対し第2ボンド接着境界面を形成し、
第1(「A」)ボンドの軸方向剪断強度の、第2(「B」)ボンドの軸方向剪断強度に対する比率が1未満であることを特徴とする、
プレコート層、
を具えた同軸ケーブル。
【請求項12】
第1(「A」)ボンドの回転性剪断接着強度の、第2(「B」)ボンドの回転性剪断接着強度に対する比率が1未満であることを特徴とする、請求項11に記載の同軸ケーブル。
【請求項13】
「A」ボンドの軸方向剪断接着力の、「A」ボンドの回転性剪断接着力に対する比率が5以上であることを特徴とする、請求項12に記載の同軸ケーブル。
【請求項14】
「A」ボンドの軸方向剪断接着力の、「A」ボンドの回転性剪断接着力に対する比率が7以上であることを特徴とする、請求項12に記載の同軸ケーブル。
【請求項15】
内部導体と、
前記内部導体を囲むクローズドセル発泡性ポリオレフィン誘電体層と、
前記誘電体層を囲み誘電体層に接着した外部導体と、
前記内部導体および前記誘電体層の間に配置され、
少なくとも35g/10分のメルトインデックスを有する低密度ポリエチレンおよびエチレン・アクリル酸コポリマーの混合体から成る熱可塑性プラスチック・ポリエチレン組成物から成り、
内部導体に対し第1ボンド接着境界面を形成し、誘電体層に対し第2ボンド接着境界面を形成し、
第1(「A」)ボンドの軸方向剪断接着力の、第2(「B」)ボンドの軸方向剪断接着力に対する比率が1未満であり、第1(「A」)ボンドの回転性剪断接着力の、第2(「B」)ボンドの回転性剪断接着力に対する比率が1未満であることを特徴とする、
プレコート層、
を具えた同軸ケーブル。
【請求項16】
導体を所定経路に沿って予熱器の中へ入れ、通らせて、導体を予熱することと、
第1押し出し装置の中で熱可塑性プラスチックポリマープレコート組成物を溶解することと、
予熱された導体を第1押し出し装置の中へ導入し、通過させて、溶解されたプレコート組成物の連続的な薄い被覆層を中心導体の表面へと押し出すことと、
プレコート組成物の層を冷却し固めることと、
導体とプレコート組成物の層の温度を93.33℃(200F)未満に保つことと、
導体とプレコート組成物の層を第2押し出し装置の中へ導入し、通過させて、被覆した導体の上に発泡性ポリマー組成物を押し出すことと、
導体を囲む発泡性誘電体を形成するため、発泡性ポリマー組成物を膨張させ、冷却し、固めることと、
発泡性誘電体を、同軸ケーブルの外部導体を形成する連続的な金属シースで囲むことと、
の各工程を具える、同軸ケーブルの製造方法。
【請求項17】
ポリマープレコート組成物が、ポリエチレン・ホモポリマー、アモルファスおよびアタクチック・ポリプロピレン・ホモポリマー、ポリオレフィン・コポリマー、スチレンコポリマー、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、パラフィン・ワックス、の何れか、又はこれらのうちの2つ以上の混合体からなるグループから選択される、ホモポリマーまたはコポリマー組成物であり、予熱段階で導体を表面温度37.77〜148.88℃(100〜300F)に加熱することを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第1押し出し装置が、プレコート層を0.00254〜0.508mm(0.0001〜0.020インチ)の厚さで形成することを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
導体を所定経路に沿って予熱器の中へ導入し、通過させて、導体を表面温度23.88〜148.88℃(75〜300F)に予熱することと、
第1押し出し装置の中で、少なくとも50g/10分のメルトインデックスを有する低密度ポリエチレンおよびエチレン・アクリル酸コポリマーの混合体から成る熱可塑性プラスチックポリマープレコート組成物を溶解することと、
予熱された導体を第1押し出し装置の中へ導入し、通過させて、溶解されたプレコート組成物の連続的な被覆層を0.00254〜0.508mm(0.0001〜0.020インチ)の厚さで中心導体の表面へと押し出すことと、
プレコート組成物の層を冷却し固めて、内部導体と共に第1ボンド接着境界面(「A」ボンド)を形成すること、
任意に導体とプレコート組成物の層を温度が93.33℃(200F)を超えないよう再加熱することと、
導体とプレコート組成物の層を第2押し出し装置の中へ導入し、通過させて、被覆した導体の上に発泡性ポリオレフィオンポリマー組成物を押し出すことと、
プレコート組成物の層と誘電体の間の第2ボンド接着境界面(「B」ボンド)に対し導体を囲む、クローズドセルポリオレフィン発泡性誘電体を形成するため、発泡性ポリマー組成物を広げ、冷却し、固めることと、
発泡性誘電体を、同軸ケーブルの外部導体を形成する連続的な金属シースで囲むことと、
第1(「A」)ボンドの軸方向剪断強度の、第2(「B」)ボンドの軸方向剪断強度に対する比率が1未満になるように、第1および第2ボンド接着境界面でボンド接着力を制御することと、
の各工程を具える、同軸ケーブルの製造方法。
【請求項20】
更に、第1(「A」)ボンドの回転性剪断強度の、第2(「B」)ボンドの回転性剪断強度に対する比率が1未満になるように、ボンド接着力を制御することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
更に、「A」ボンドの軸方向剪断接着力の、「A」ボンドの回転性剪断接着力に対する比率が5以上になるように、ボンド接着力を制御することを含む、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−506248(P2007−506248A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526916(P2006−526916)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/028441
【国際公開番号】WO2005/034147
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(506091517)コムスコープ インコーポレイテッド オブ ノース カロライナ (1)
【Fターム(参考)】