説明

剥離性半導体絶縁シールド

1又はそれ以上の膨潤剤、たとえば界面活性剤によって処理または接触された膨潤性ナノ粒子、たとえば層状ナノ粒子は、電源ケーブル内の絶縁シールドの熱安定性を改善し、そのような絶縁シールドにおける低レベルのNBRおよびビニルアセテートEVAコポリマーの使用も可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
代表的な電源ケーブルは一般に、第1または内部の半導体シールド層(導体またはストランドシールド)と、絶縁層と、第2または外部の半導体シールド層(絶縁シールド)と、金属テープまたはワイヤシールドと、保護ジャケットとを含むポリマー材料の複数の層によって包囲されているケーブルコア内に1又はそれ以上の導電体を含む。外部半導体シールドは、絶縁または剥離性のどちらかに結合可能であり、大半の用途では剥離性シールドを使用する。内部半導体シールドは一般に絶縁層に結合される。この構造内の追加の層、たとえば水分不浸透性物質が含まれることが多い。
【背景技術】
【0002】
ポリマー半導体シールドは、数十年に渡って多層化電源ケーブル構造で利用されてきた。一般にそれらは1キロボルト(kV)を超える電圧に対応する固体誘電体電源ケーブルを製造するために使用される。これらのシールドは、高電位導体と一次絶縁との間の、そして一次絶縁と接地または中性点電位との間の中間導電性の層を提供するために使用される。これらの半導体材料の体積抵抗率は通例、ICEA S-66-524、6.12節、またはIEC 60502-2(1997)、付録Cに述べられている方法を使用して完全電源ケーブル構造で測定したときに、10-1〜108オーム−cmの範囲内である。
【0003】
代表的な剥離性シールド組成物は、ポリオレフィン、たとえば高いビニルアセテート含有率を有するエチレン/ビニルアセテートコポリマー、導電性カーボンブラック、有機過酸化物架橋剤、および他の従来の添加剤、たとえば剥離力低下助剤として機能するニトリルゴム、加工助剤、および抗酸化剤を含有する。これらの組成物は通常、ペレット形で調製される。これらのようなポリオレフィン調合物は、米国特許4,286,023および欧州特許出願420 271に開示されている。
【0004】
絶縁シールドが絶縁層に付着することが重要であるが、絶縁シールドを短期間に比較的容易に剥離できることも重要である。通例の絶縁シールドが絶縁層に関して最適な剥離性を持たないことが見出されている。剥離性は、時間節約的であるだけではなく、スプライス(splice)または端子接続の品質を向上させるという点で非常に重要である。
【0005】
中電圧電源ケーブル用の半導体剥離性絶縁シールド(IS)組成物に利用される現在の原材料は通常、エチレン−ビニルアセテートコポリマー(EVA)およびニトリルブタジエンゴム(NBR)または単に高ビニルアセテート(33重量パーセント超のビニルアセテート)EVAコポリマーを含有する高度の極性ポリマーブレンドをベースとする。既知の剥離性絶縁シールド製品は、5〜20重量パーセントのNBRを含有する。しかしながらNBRは、ケーブルが熱エージング−応力緩和として既知の工程を受けるときに、半導体剥離性絶縁シールドと絶縁層との間の接着の著しい消失を引き起こすことが証明されている。
【0006】
この接着の消失は、絶縁物質が、絶縁層の融点より高い、たとえば100〜110℃の温度を受けたとき、冷却中にただちに結晶化しない低分子量種を含有する場合、特に激しい。接着の消失は、電源ケーブルに顧客の仕様を満足させないようにして、商業上の問題を生じさせる。接着の消失は、絶縁シールド中のNBRの濃度を最小限することによってできるだけなくすことが可能である。
【0007】
しかしながらNBRを最小限にすることは、別の問題を引き起こす−接着または剥離跳梁句が高すぎて、剥離性に関する顧客の要件を満たせなくなるであろう。
【0008】
一般に従来技術は、剥離性を提供するために大量のビニルアセテートを使用したが、大量のビニルアセテートは、一般にWO−0229829で述べられているような処理問題、装置腐食、焼結および高コストを引き起こす、残留酢酸を生じる。
【0009】
要約すると、許容される剥離性および熱安定性を達成するために、従来技術では3つの手法が使用されてきた:i)弱い熱安定性を生じた、少なくとも33重量パーセントのビニルアセテートおよびアクリロニトリル/ブタジエンゴム(NBR)を有するエチレン/ビニルアセテートコポリマーの絶縁シールドの提供;ii)弱い熱安定性を生じる、40重量パーセント以上のビニルアセテートを有し、NBRを含まないエチレン/ビニルアセテートの提供;およびiii)良好な安定性、しかし弱い剥離性を生じる、エチレン/エチルアセテートコポリマー絶縁シールドの提供。
【0010】
それゆえ、大量のビニルアセテートEVAコポリマーを必要とせずに、最小限の(5重量パーセント未満)NBRを含有する、またはNBRを含有しないIS調合物における良好な剥離性を提供できる新しい原材料技術を発明する必要性が、依然として対処されていない。
【0011】
ナノ粒子はEP 1 033 724 A1に述べられている電源ケーブル絶縁体によって使用されているが、絶縁シールド組成物において、または絶縁シールドによって使用されていない。その上、それらは剥離性問題の解決および剥離性問題に関連した熱安定性の改善のためには示唆されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって本発明の目的は、適切に剥離性であり、その接着力を緩めず、満足なレベルの熱安定性を維持する絶縁シールドによって包囲された、絶縁層を有する電源ケーブルを提供することである。他の目的および利点は、以下の明細書を参照することで明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
1又はそれ以上の膨潤剤、たとえば界面活性剤によって処理または接触される膨潤性ナノ粒子、たとえば層状ナノ粒子が電源ケーブル内の絶縁シールドの熱安定性を改善し、そのような絶縁シールド内での低レベルのNBRおよびビニルアセテートEVAコポリマーの使用も可能にすることが、予想外に見出された。膨潤性ナノ粒子は、1〜10,000nmの長さおよび1〜100mmの直径を有するナノクレイ、シリケート、カーボン単層ナノチューブ、カーボンナノチューブフィブリルおよび合成無機物を含む。膨潤剤は、絶縁シールド内でのポリマーとナノ粒子との相互作用を改善するために使用されて、ナノ粒子内にある層の剥離または延展を達成する。膨潤剤処理ナノ粒子は架橋型半導体剥離性絶縁シールド組成物中に存在するときに、半導体剥離性絶縁シールドと架橋型ポリオレフィン絶縁体との間の接着の熱安定性に驚くべきほど、そして著しく影響を及ぼす。
【0014】
剥離性シールド組成物は一般に、極性ポリマー、たとえばこれに限定されるわけではないが、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、エチレン−エチルアクリレートコポリマー、少量またはゼロのニトリルゴム、カーボンブラック、膨潤剤処理ナノ粒子、および他の添加剤、たとえば加工助剤、抗酸化剤、架橋性過酸化物を含有する。膨潤剤処理ナノ粒子は、混合工程中にそれらを極性ポリマーと効果的に相互作用させる部分を含有すべきである。絶縁組成物用途への絶縁シールド層の接着のための熱安定性を提供するためにナノ粒子を処理するのに適した膨潤剤または界面活性剤は、これに限定されるわけではないが、有機部分を備えたオニウムイオン、たとえばAkzo NobelからArquadまたはArmeenという商標名で市販されている有機部分を備えた第4級アンモニウム塩、有機部分を備えたホスホニウムイオン、有機部分を備えたイミダゾリウムイオン、および有機部分を備えたスルホニウムイオンを含む。
【0015】
剥離性絶縁シールド調合物における膨潤性ナノ粒子の使用は、高価な極性ポリマーを必要とせずに、剥離性および接着の熱安定性の制御を提供する。膨潤性ナノ粒子は、追加の利点、たとえばEVAなどの低融点または粘性ポリマー中で使用されるときのペレット凝集に対する耐性の向上も提供する。
【0016】
本発明は架橋したときに、100℃での2週間の保管後に23℃において3ポンド/0.5インチを超える剥離力および23℃において24ポンド/0.5インチを超えない初期剥離力を有する電源ケーブル用絶縁シールドを提供するのに有効である、架橋型絶縁シールド組成物を含む。本発明の架橋絶縁シールドを提供するのに有効である架橋型絶縁シールド組成物は、エチレンとビニルエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよびその混合物から成る群より選択される不飽和エステルとのコポリマー;膨潤剤と接触させた膨潤性ナノ粒子;およびカーボンブラックの架橋型ブレンドを含む。コポリマー、ナノ粒子およびカーボンブラックは、硬化したときに100℃での2週間の保管後に23℃において3ポンド/0.5インチを超える剥離力および23℃において24ポンド/0.5インチを超えない初期剥離力を備えた絶縁シールドを提供する量であるべきである。
【0017】
一般に絶縁シールド組成物は、15〜40重量パーセントのエチレンおよび不飽和エステルのコポリマー、少なくとも1重量パーセントの、膨潤剤によって処理されたナノ粒子および10〜50重量パーセントのカーボンブラックを有する。架橋型絶縁シールド組成物はNBR含有量を最小限にしながら、なお接着力消失を最小限にして、許容される剥離性も提供する。一般に本発明の架橋型シールド組成物中には、5重量パーセント未満の、好ましくは1重量パーセント未満のNBRがある。
【0018】
本発明のケーブルは絶縁層に包囲された導電体または導電体のコアを含み、その絶縁層はナノ粒子を含む絶縁シールド層によって包囲され、それと隣接している。絶縁シールド層は、膨潤剤と接触されているナノ粒子を含む上述の架橋絶縁シールド組成物を含む。絶縁層は電源ケーブル絶縁に適したどの樹脂を含むことも可能であるが、一般的な絶縁層は、ポリエチレン、エチレン/プロピレンコポリマーゴム、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマーゴム、およびその混合物を含む。
【0019】
別の態様において、本発明は、より高い含有率のビニルアセテートEVAコポリマーおよびニトリルブタジエンゴムを必要とせずに、33重量パーセントのビニルアセテートEVAコポリマーと比較して同等の剥離性を達成するために、絶縁シールド調合物におけるより少量のビニルアセテート(28重量パーセント未満)EVAコポリマーを許容にする。より低い含有率のビニルアセテートを使用する絶縁シールドは熱的に安定であり、それゆえケーブル製造中により高い線速度を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の電源ケーブルでの絶縁に使用されるポリエチレンは、エチレンのホモポリマーまたはエチレンとアルファオレインとのコポリマーでありうる。「ポリエチレン」という用語は、エチレンと以下で述べる不飽和エステルとのコポリマーも含む。
【0021】
ポリエチレンは、高、中、低密度を有することができる。それゆえ密度は、0.860〜0.960グラム/立方センチメートルの範囲で変化できる。
【0022】
アルファオレフィンは、3〜12個の炭素原子、好ましくは3〜8個の炭素原子を有することができる。好ましいアルファオレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテンによって例示される。
【0023】
メルトインデックスは、1〜20グラム/10分の範囲が可能であり、好ましくは2〜8グラム/10分の範囲である。
【0024】
本発明で有用なエチレンポリマーは好ましくは気相中で製造される。そのエチレンポリマーは従来技法によって、溶液またはスラリーにおける液相中で製造することもできる。そのエチレンポリマーは高圧または低圧工程によって製造できる。低圧工程は通例、1000psiより低いの圧力にて実施され、高圧工程は通例、15,000psiを超える圧力にて実施される。一般にエチレンホモポリマーは高圧工程によって、コポリマーは低圧工程によって調製される。
【0025】
これらのポリマーを調製するために使用できる代表的な触媒系は、米国特許4,302,565に述べられた触媒系によって例示できる、マグネシウム/チタンベース触媒系;バナジウムベース触媒系、たとえば米国特許4,508,842、5,332,793、5,342,907、および5,410,003に述べられたようなバナジウムベース触媒系;クロムベース触媒系、たとえば米国特許4,101,445で述べられたクロムベース触媒系;メタロセン触媒系、たとえば米国特許4,937,299および5,317,036で述べらているメタロセン触媒系;または他の遷移金属触媒系である。これらの触媒系の多くは、Ziegler−NattaまたはPhillips触媒系と呼ばれることが多い。シリカ−アルミナ支持体上でクロムまたはモリブデンオキシドを使用する触媒系も有用である。
【0026】
ポリマーを調製する代表的な工程も、上述の特許に述べられている。代表的なインサイチューポリマーブレンドならびにそれを提供するための工程および触媒系は、米国特許5,371,145および5,405,901に述べられている。従来の高圧工程は、Introduction to Polymer Chemistry, Stille, Wiley and Sons, New York, 1962, pages 149-151に述べられている。高圧工程の代表的な触媒は、有機過酸化物である。工程は管状リアクターまたは攪拌オートクレーブにて実施できる。
【0027】
ポリエチレンの例は、エチレンのホモポリマー(HP−LDPE)、リニア低密度ポリエチレン(LLDPE)、および超低密度ポリエチレン(VLDPE)である。中および高密度ポリエチレンも使用できる。エチレンのホモポリマーは一般に、従来の高圧工程によって製造される。それは好ましくは、0.910〜0.930グラム/立方センチメートルの範囲の密度を有する。ホモポリマーは、1〜5グラム/10分の範囲のメルトインデックスを有することも可能であり、好ましくは0.75〜3グラム/10分の範囲のメルトインデックスを有する。
【0028】
LLDPEは0.916〜0.925グラム/立方センチメートルの範囲の密度を有することができる。メルトインデックスは1〜20グラム/10分の範囲が可能であり、好ましくは3〜8グラム/10分の範囲である。
【0029】
リニアでもあるVLDPEの密度は、0.860〜0.915グラム/立方センチメートルの範囲が可能である。VLDPEのメルトインデックスは、0.1〜20グラム/10分の範囲が可能であり、好ましくは0.3〜5グラム/10分の範囲である。エチレン以外のコモノマーによるLLDPEおよびVLDPEの部分は、コポリマーの重量に基づいて1〜49重量パーセントの範囲が可能であり、好ましくは15〜40重量パーセントの範囲である。
【0030】
第3のコモノマー、たとえば別のアルファオレフィンまたはジエン、たとえばエチリデンノルボルネン、ブタジエン、1,4−ヘキサジエン、またはアジシクロペンタジエンを含むことができる。第3のコモノマーは、コポリマーの重量に基づいて1〜15重量パーセントの量で存在可能であり、好ましくは1〜10重量パーセントの量で存在する。コポリマーがエチレンを含む2つまた3つのコモノマーを含有することが好ましい。
【0031】
上述のポリエチレンに加えて、絶縁体で使用するための別の好ましい樹脂はEPR(エチレン/プロピレンゴム)であり、これはエチレン/プロピレンコポリマー(EPM)およびエチレン/プロピレン/ジエンターポリマー(EPDM)の両方を含む。これらのゴムは、1.25〜1.45グラム/立方センチメートルの範囲の密度および10〜40の範囲の125℃におけるムーニー粘度(Mooney viscosity)(ML 1+4)を有する。プロピレンはコポリマーまたはターポリマー中に10〜50重量パーセントの量で存在し、ジエンは0〜12重量パーセントの量で存在する。ターポリマーで使用されるジエンの例は、ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、およびエチリデンノルボルネンである。ポリエチレンおよびEPRの混合物が考慮される。
【0032】
半導体シールドで最もよく使用される樹脂は、アモルファスから低および中程度の結晶度までの可変結晶度のエラストマー、好ましくはエチレンと不飽和エステルとのコポリマーである。本発明の絶縁シールドに関する限り、不飽和エステルはビニルエステル、アクリル酸エステル、またはメタクリル酸エステルである。
【0033】
エチレン/ビニルエステルコポリマーは、コポリマーの重量に基づいて15〜40重量パーセントのエステル含有率を有し、重要な態様において、15〜28重量パーセントのエステル含有率を有する。エチレン/アクリル酸またはメタクリル酸コポリマーは、15〜50重量パーセントのエステル含有率を有し、好ましくはコポリマーの重量に基づいて15〜40重量パーセントのエステル含有率を有する。
【0034】
エチレン/不飽和エステルコポリマーは通常、従来の高圧工程によって製造される。これらの高圧工程は通例、15,000psi(ポンド/平方インチ)を超える圧力にて実施される。コポリマーは0.900〜0.990グラム/立方センチメートルの範囲の密度を有することが可能であり、好ましくは0.920〜0.970グラム/立方センチメートルの範囲の密度を有する。コポリマーは10〜100グラム/10分の範囲のメルトインデックスを有することも可能であり、好ましくは20〜50グラム/10分の範囲のメルトインデックスを有する。メルトインデックスはASTM D−1238, Condition Eの下で決定される。メルトインデックスは190℃および2.16キログラムにて測定される。
【0035】
エステルは4〜20個の炭素原子を有することが可能であり、好ましくは4〜7個の炭素原子を有する。ビニルエステルの例は、ビニルアセテート、ビニルブチラート、ビニルピバラート、ビニルネオノナノアート、ビニルネオデカノアート、およびビニル2−エチルヘキサノアートである。ビニルアセテートが好ましい。アクリル酸およびメタクリル酸エステルの例は、ラウリルメタクリレート;ミリスチルメタクリレート;パルミチルメタクリレート;ステアリルメタクリレート;3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン;3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン;シクロヘキシルメタクリレート;n−ヘキシルメタクリレート;イソデシルメタクリレート;2−メトキシエチルメタクリレート;テトラヒドロフルフリルメタクリレート;オクチルメタクリレート;2−フェノキシエチルメタクリレート;イソボルニルメタクリレート;イソオクチルメタクリレート;オクチルメタクリレート;イソオクチルメタクリレート;オレイルメタクリレート;エチルアクリレート;メチルアクリレート;t−ブチルアクリレート;n−ブチルアクリレート;および2−エチルヘキシルアクリレートである。メチルアクリレート、エチルアクリレート、およびn−またはt−ブチルアクリレートが好ましい。アルキルアクリレートおよびメタクリレートの場合、アルキル基は1〜8個の炭素原子を有することが可能であり、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する。アルキル基は、たとえばオキシアルキルトリアルコキシシラン、または他の各種の基によって置換できる。
【0036】
ナノ粒子は、層ならびに1〜10,000nmの範囲の長さおよび1〜100nmの直径を持つ粒径を有する粒子である。使用できる膨潤性ナノ粒子は、金属イオンによって結合されたSiO層を備えたシリケート鉱物を含む。これらのシリケート鉱物はナノクレイ、たとえばモンモリロナイト:Na0.6[(Al3.4Mg0.6Si820(OH)4)、フルオロマイカ:Na[Mg5.5Si8204]、サポナイト:Na[Mg6Si7AlO20(OH)4]、フルオロヘクトライト:Na0.5[Li0.5Mg5.5Si820(F)4]、ラポナイト:Na0.5[Li0.5Mg5.5Si820(OH)4]、セピオライト:Mg8Si1230(OH)4・nH2O、アタパルガイト:MgAl3Si820(OH)3nH2O、マガディアイト:NaSi713(OH)34H2Oおよび合成ヒドロタルサイト:Mg6Al2CO3(OH)164H2Oを含み、100〜1,000nmの長さおよび1〜10nmの直径を有するすべてが使用できる。1〜20nmの長さおよび3〜15nmの直径を有する単層カーボンナノチューブの膨潤性ナノ粒子ならびに1〜10ミクロン(1000〜10,000nm)の長さおよび100nmの直径を有するカーボンナノチューブフィブリルも使用できる。
【0037】
ナノ粒子、たとえば天然由来粘土物質は親水性鉱物である。そのため、それらはポリエチレンなどの非極性オレフィン性ポリマーと適合性でない。シリケート鉱物の場合に加えて、層はイオン、たとえばナトリウムの存在によって共に堅く結合される。それゆえその適合性および有機ポリマーと相互作用するための能力を改善するために、ナノ粒子はオニウムイオン、たとえばアンモニウム、ホスホニウム、スルホニウムおよびイミダゾリウムイオンの形の有機膨潤剤によって処理される。
【0038】
オニウムイオンの例は、アンモニウムイオン(−N3+)、トリメチルアンモニウムイオン(−N+(CH33)、トリメチルホスホニウムイオン(P+(CH33)、およびジメチルスルホニウムイオン(S+(CH32)を含む。
【0039】
使用できる膨潤剤のさらなる例は、Arquad 2HT−75(Azko Nobelより)として市販されているジ(水素化タローアルキル(tallowalkyl))ジメチルアンモニウムクロライド、Arquad 2C−75として市販されているジココアルキルジメチルアンモニウムクロライド、Arquad C−50として市販されているココアルキルトリメチルアンモニウムクロライド、トリフェニル、TPHDPとして市販されているn−ヘキサデシルホスホニウム、DMHDIとして市販されている1,2−ジメチル−3−n−ヘキサデシルイミダゾリウム、一般名で市販されている1:1オクタデシルアミンおよびHCl、DODABとして市販されているジオクタデシルジメチルアンモニウムブロミドを含む。
【0040】
オニウムイオンは、層状シリケート鉱物中の無機イオンを置換できる。加えて、オニウムイオンは、シリケート鉱物の通常は親水性の性質を有機不親和性から有機親和性に変換できる脂肪族末端を含有する。このイオン交換の間、鉱物は膨潤して層を膨張させ、それゆえポリマー分子との相互作用を促進する。ナノクレイの処理の詳細な説明は、本明細書に組み入れられている米国特許4,810,734に見出すことができる。
【0041】
ナノ粒子の性質を考慮すると、ナノ粒子は分散溶媒中の膨潤剤、たとえば界面活性剤−オニウムイオン化合物によって処理される。分散溶媒は、分散溶媒中に層状シリケートを分散させ、それによって層状シリケートが膨潤剤と容易に接触できるようにする。分散溶媒の種類は、使用する粘土鉱物、膨潤剤、およびポリマーによって異なる。好ましい分散溶媒は、粘土鉱物を均一に分散させ、膨潤剤およびモノマーとの良好な混和性を示す分散溶媒である。
【0042】
分散溶媒の例は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸、ギ酸、ピリジン、アニリン、フェノール、ニトロベンゼン、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン、クロロホルム、カーボンジスルフィド、プロピレンカーボネート、2−メトキシエタノール、エーテル、カーボンテトラクロライド、およびn−ヘキサンを含む。それらは単独でまたは相互に組合せて使用される。粘土鉱物がモンモリロナイトである場合は、分散溶媒の1つ以上の種類は好ましくは、水、メタノール、およびエタノールから選択される。
【0043】
膨潤剤は、ナノ粒子に、本明細書に述べたような熱エージングに耐える能力を備えた絶縁シールドを供給させるために効果的である。一般に、ナノ粒子は少なくとも1重量パーセント、好ましくは25〜55重量パーセントのレベルで存在する。
【0044】
半導体シールドを提供するために、組成物中に導電性粒子を包含させることも必要である。これらの導電性粒子は一般に、上で言及した粒状カーボンブラックによって提供される。有用なカーボンブラックは、20〜1000平方メートル/グラムの表面積を有することができる。表面積はASTM D4820−93a(多点B.E.T.窒素吸収)の下で決定される。カーボンブラックは半導体シールド組成物中で、絶縁シールド層の重量に基づいて10〜50重量パーセントの量で使用可能であり、好ましくは30〜40重量パーセントの量で使用される。標準導電率および高導電率カーボンブラックはどちらも使用できるが、標準導電率ブラックが好ましい。導電性カーボンブラックの例は、ASTM N550、N472、N351、N110に述べられているグレード、およびアセチレンブラックである。
【0045】
絶縁シールド中にあるが、望ましくは絶縁シールド中にない別の成分は、アクリロニトリルとブタジエン(NBR)とのコポリマーである。本発明の利点を享受するために、NBRはコポリマー中に5重量パーセント未満の、好ましくは3重量パーセント未満の、重要な態様においては1重量パーセント未満〜0重量パーセントの量で存在すべきである。このコポリマーは、ニトリルゴムまたはアクリロニトリル/ブタジエンコポリマーゴムとしても既知である。密度はたとえば0.98グラム/立方センチメートルが可能であり、100度にて測定したムーニー粘度は(ML 1+4)50でありうる。
【0046】
絶縁シールドを作製するのに使用される絶縁シールド組成物中のポリマーは、架橋されている。これは、有機過酸化物によって、または照射によって開始されるフリーラジカル架橋反応を用いて従来方法で実施され、前者が好ましい。
【0047】
使用される有機過酸化物の量は、それが含まれる層の重量に基づいて有機過酸化物の0.2〜5重量パーセントの範囲が可能であり、好ましくは0.4〜2重量部の範囲である。有機過酸化物の架橋温度は、過酸化物分解の1分半減期(one-minute half-life)によって定義されるように、150〜250℃の範囲が可能であり、好ましくは170〜210℃の範囲である。架橋に有用な有機過酸化物の例は、ジクミルペルオキシド;ラウリルペルオキシド;ベンゾイルペルオキシド;t−ブチルペルベンゾアート;ジ(t−ブチル)ペルオキシド;クメンヒドロペルオキシド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチル−ペルオキシ)ヘキサン−3;2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(t−ブチル−ペルオキシ)ヘキサン;t−ブチルヒドロペルオキシド;イソプロピルペルカーボネート;およびアルファ、アルファ’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼンである。
【0048】
組成物に導入できる従来の添加剤は、抗酸化剤、カップリング剤、紫外線吸収剤または安定剤、帯電防止剤、顔料、染料、核形成剤、補強充填剤またはポリマー添加剤、スリップ剤、可塑剤、加工助剤、潤滑剤、粘度制御剤、粘着付与剤、ブロック防止剤、界面活性剤、伸展油、金属活性低下剤、電圧安定剤、難燃性充填剤および添加物、架橋剤、促進剤、および触媒、ならびに防煙剤によって例示される。添加剤および充填剤は、それが含まれる層の重量に基づいて、0.1重量パーセント未満〜50重量パーセント超の範囲の量で添加できる。
【0049】
抗酸化剤の例は:ヒンダードフェノール、たとえばテトラキス[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ−シンナメート)]メタン、ビス[(ベータ−3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−メチルカルボキシエチル)]スルフィド、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、およびチオジエチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート;ホスファイトおよびホスホナイト、たとえばトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトおよびジ−tert−ブチルフェニル−ホスホナイト、チオ化合物、たとえばジラウリルチオジプロピオナート、ジミリスチルチオジプロピオナート、およびジステアリルチオジプロピオナート;各種のシロキサン;ならびに各種のアミン、たとえば重合2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、4,4’−ビス(アルファ、アルファ−デメチルベンジル)ジフェニルアミン、およびアルキル化ジフェニルアミンである。抗酸化剤は、それが含まれる層の重量に基づいて0.1〜5重量パーセントの量で使用できる。
【実施例】
【0050】
以下の実施例は、これに限定されるわけではないが、添付請求項で定義される本発明の範囲を例証する。
【0051】
サンプル調製
剥離性シールド組成物は、180℃にて実験室用バッチミキサーまたは150mm Bussコニーダーで成分を混合することによって調製した。過酸化物は、2ロールミルでは100℃にて、またはヘンシェル(Henschel)ミキサーでは25℃にて予備混合調合物に添加した。
【0052】
小板(plaque)接着の実施例は、予備架橋させた熱可塑性小板を圧縮成形することと、続いて両方の小板を200℃にて15分間架橋させることによって準備した。
【0053】
電源ケーブルは、工業規模の連続加硫ラインでライン速度9.1m/分にて押出しおよび製造した。
【0054】
小板接着の試験方法
単一小板を絶縁シールド調合物ペレットおよび絶縁層調合物ペレットから圧縮成形によって準備した。圧縮成形の前に、ペレットを2ロールミル上で溶融させた。架橋が望ましい場合は、有機過酸化物を添加する。
【0055】
シールドペレットの圧縮成形の温度は100℃である。シールド調合物約65グラムを使用して、30ミル小板(30-mil plaque)を準備する。
【0056】
絶縁ペレットの圧縮成形の温度は130℃である。絶縁調合物約135グラムを使用して、125ミル小板を準備する。
【0057】
秤量した材料を2枚のMylar(商標)プラスチックシートに挟み、アルミ箔シートによってプレスプラテン(press platens)より隔離する。圧縮成形には、以下の代表的な圧力および周期を使用する:a)2000psi(ポンド/平方インチ)で5分間;b)50,000psiで3分間;次にc)50,000ポンドの急冷冷却圧力で10分間。
【0058】
次に2枚の単一小板(1枚はシールド小板、1枚は絶縁小板)を圧力下で硬化させることによって、接着小板サンドイッチ構造を作製する。Mylar(商標)シートを単一小板から除去し、過剰部を整形する。125ミルの整形絶縁小板を75ミル型に置く。絶縁小板の上端の少なくとも2インチをMylar(商標)シート片で覆って、「プルタブ」を形成する領域でのシールド小板への接着を防止する。次に30ミルシールド小板を絶縁小板の上へ置く。サンドイッチ構造をMylar(商標)シートによってプレスプラテンから隔離して、プレスに置く。次にプレスを閉じ、1000psiの圧力を130℃にて4分間維持する。次に蒸気をプレス内に190℃(180psig)にて導入する。次に20,000psiでの25分間の硬化サイクル(130℃から190℃への加熱の時間を含む)を実施し、20,000psiでの15分間の急冷冷却サイクルを続ける。
【0059】
サンドイッチ構造をプレスから外し、Mylar(商標)シートを外して、過剰部を整形して、サンドイッチ構造を5個のサンプルに切断する(それぞれ幅1.5インチx長さ6インチ)。さらなる試験の前に、これらのサンプルを23℃および相対湿度50%の温度および湿度が制御された部屋に一晩置く。
【0060】
0.5インチの細片で、各サンプルの中心にマークを付ける。黒色材料が絶縁小板まですべて切断されるように、かみそりを使用して各ラインに沿って切断する。剥離試験は、回転ホイールおよびInstron(商標)または同様の引張装置を使用して実施する。各サンプルがホイールに取付け、引張装置が中心細片をサンドイッチ小板から剥離し、それと同時にホイールが回転して、張力の方向に対して小板表面の垂直配置を維持するような方法で、中心ストリップを引張装置のジョーに取付ける。引張装置のジョーは試験中に20インチ/分の線速度で移動するものとし、未剥離材料0.5インチが残ったときに停止すべきである。試験より最大荷重および最小荷重を報告するが、剥離された最初および最後のインチを無視する。小板剥離力は最大荷重に等しい。
【0061】
Monsantoディスクレオメータ(MDR)の試験方法
剥離性シールド化合物の硬化度を測定するために、ここでは例としてAlpha Technologiesが製造した、ASTM D−5289で述べられているMoving Die Rheometer(MDR)2000と呼ばれる装置を使用する。MDR Mhは、サンプルの全硬化レベルを示す最大トルクであり、ポリマー調合物中の活性過酸化物の全量に直接関連している。材料のスコーチ(scorch)特性の正確な比較のために、MDR Mhは比較可能であるべきである。MDRによる全硬化を評価するために使用した条件は、182℃;0.5度弧(arc);100サイクル/分振動(oscillation);および12分間の試験時間である。トルクはポンド−インチ(lbs−in)の単位で報告する。実施例の全硬化レベルはほぼ比較可能である。
実施例1〜3および比較実施例4〜6
【0062】
6つの剥離性絶縁シールド調合物を評価した。表Iに示した成分および重量パーセントに加えて、調合物は、2.0重量パーセントのワックス(Kemamide W40として市販)、0.8重量パーセントの4,4’−ビス(アルファ、アルファ−ジメチル−ベンジル)−ジフェニレン(Naugard 445として市販)、および0.65重量パーセントのt−ブチルクミルペルオキシドとビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(D−446Bとして市販)とのブレンドも含有する。
【0063】
表Iは評価の結果を示す。
【表1】

【0064】
ナノクレイの予想外の挙動は、剥離性シールド組成物中のナノクレイの濃度上昇を伴って小板接着値が低下するに連れて、ただちに明らかとなる。実施例で使用したナノクレイは、40ナノメートルの隣接層間の距離であるD間隔を有する。
【0065】
比較例5は、表面処理を含有せず、16ナノメートルの平均粒径を有する、3重量パーセントのヒュームドシリカゲルを含有する。シリカゲルおよびモンモリロナイトの同様の化学構造を考えると、比較例5は、未処理ナノ粒子が界面活性剤/膨潤剤によって処理されたナノクレイと同じ効果を生じないことを示す。
【0066】
比較例6は、ダウケミカルカンパニーから市販されているHFDA−0693と呼ばれる市販の剥離性シールド化合物である。
【0067】
本発明の例示した調合物は、比較例6より低いVAコポリマーを使用し、ニトリルブタジエンゴムを含有せず、より低い接着を達成する。高VAコポリマーはより粘着性であり、材料が高温、たとえば30℃超に曝露されたときにペレット凝集問題を生じる。それゆえ低VAコポリマーの使用は、そのような粘着性問題を軽減できるであろう。

比較例6および実施例7〜9
【0068】
3つのさらなる剥離性シールド組成物(電源ケーブルとして)を比較例6の調合物に対して評価した。表IIに示した成分および重量パーセントに加えて、調合物は、36.0重量のパーセントカーボンブラック、2.0重量パーセントのワックス(Kemamide W40として市販)、および0.8重量パーセントの4,4’−ビス(アルファ、アルファ−ジメチル−ベンジル)ジ−フェニレン(Naugard 445として市販)も含有していた。
【0069】
表IIは評価の結果を示す。
【表2】

【0070】
表IIは、ナノクレイおよび5重量パーセントのニトリルブタジエンゴムを含有する(本発明の)剥離性シールド化合物の、熱エージング後の剥離張力の維持が、比較例6よりもはるかに高いことを示している。本発明の組成物は、10.5N/cm(3lb/0.5インチ)より高い剥離張力を有する事に関して、AEIC CS8仕様の要求事項を満足するために使用できる。

比較例10〜12
【0071】
ナノクレイのみを処理するために使用した界面活性剤が剥離性シールドと絶縁層との間の接着への作用に有効であったかどうかを判定するために、3つの比較例を評価した。表IIIに示した成分および重量パーセントに加えて、調合物は、36.0重量のパーセントカーボンブラック、2.0重量パーセントのワックス(Kemamide W40として市販)、0.8重量パーセントの4,4’−ビス(アルファ、アルファ−ジメチル−ベンジル)ジ−フェニレン(Naugard 445として市販)、および1.0重量パーセントのt−ブチルクミルペルオキシドとビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(D−446Bとして市販)とのブレンドも含有していた。
【0072】
比較例11および12は、処理したナノクレイ中に存在する界面活性剤の量の1.5倍を含有していた。処理したモンモリロナイト中に存在する界面活性剤の代表的なレベルは、30重量パーセントである;それゆえ3重量パーセントのナノクレイは、0.9重量パーセントの界面活性剤を含有する。
【0073】
唯一の観察できる効果は、より低いMDR最大トルクによって示されたように、硬化に対する負の影響であった。
【0074】
表IIIは評価の結果を示す。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋したときに、100℃での2週間の保管後に23℃において3ポンド/0.5インチを超える剥離力および23℃において24ポンド/0.5インチを超えない初期剥離力を有する電源ケーブル用絶縁シールドを提供するのに有効であるポリマー樹脂組成物であって:
(a)エチレンとビニルエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよびその混合物から成る群より選択される不飽和エステルとのコポリマーと;
(b)膨潤剤と接触させたナノ粒子と;
(c)カーボンブラックと;
を含み、コポリマー、ナノ粒子およびカーボンブラックが、100℃での2週間の保管後に23℃において3ポンド/0.5インチを超える剥離張力および23℃において24ポンド/0.5インチを超えない初期剥離力を備えた架橋絶縁シールドを提供する量である;
ポリマー樹脂組成物。
【請求項2】
前記ナノ粒子が1nm〜10,000nmx1〜100nmの粒径を有する、請求項1に記載のポリマー樹脂組成物。
【請求項3】
前記膨潤剤がオニウムイオンである、請求項1または2に記載のポリマー樹脂組成物。
【請求項4】
前記組成物がフリーラジカル架橋剤をさらに含む、請求項1、2または3に記載のポリマー樹脂組成物。
【請求項5】
架橋したときに、100℃での2週間の保管後に23℃において3ポンド/0.5インチを超える剥離張力および23℃において24ポンド/0.5インチを超えない初期剥離力を有する電源ケーブル用絶縁シールドを提供するのに有効であるポリマー樹脂組成物であって:
(a)15〜40重量パーセントの、エチレンとビニルエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよびその混合物から成る群より選択される不飽和エステルとのコモノマーと;
(b)少なくとも1重量パーセントの、オニウムイオンを含む膨潤剤と接触させたナノ粒子と;
(c)10〜50重量パーセントのカーボンブラックと;
を含み、前記ナノ粒子および前記カーボンブラックが、架橋したときに100℃での2週間の保管後に23℃において3ポンド/0.5インチを超える剥離張力および23℃において24ポンド/0.5インチを超えない初期剥離力を備えた前記絶縁シールド組成物を提供する量である;
ポリマー樹脂組成物。
【請求項6】
前記オニウムイオンがアンモニウム、ホスホニウム、イミダゾリウムおよびスルホニウムイオンから成る群より選択される、請求項5に記載のポリマー樹脂組成物。
【請求項7】
前記ナノ粒子が、約100nm〜1,000nmx1〜10nmの範囲の粒径を有するシリケート鉱物、1〜20nmx3〜15nmの範囲の粒径を有する単層カーボンナノチューブ、および1000nm〜10,000nmx約100nmの範囲の粒径を有するカーボンナノチューブフィブリルから成る群より選択される、請求項5または6に記載のポリマー樹脂組成物。
【請求項8】
前記シリケート鉱物がモンモリロナイト、フルオロマイカ、サポナイト、フルオロヘクトライト、ラポナイト、セピオライト、アタパルガイトおよびマガディアイトから成る群より選択される、請求項7に記載のポリマー樹脂組成物。
【請求項9】
前記組成物がフリーラジカル架橋剤をさらに含む、請求項6、7または8に記載のポリマー樹脂組成物。
【請求項10】
電源ケーブルであって:
(a)導電体と;
(b)導電体を包囲する絶縁層と;
(c)絶縁層を包囲し、絶縁層と連続している絶縁シールド層であって、
(i)エチレンとビニルエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよびその混合物から成る群より選択される不飽和エステルとのコポリマーと;
(ii)オニウムイオンを含む膨潤剤と接触させたナノ粒子と;
(iii)カーボンブラックと;
を含み、前記コポリマー、前記ナノ粒子および前記カーボンブラックが、100℃での2週間の保管後に23℃において3ポンド/0.5インチを超える剥離張力および23℃において24ポンド/0.5インチを超えない初期剥離力を備えた前記絶縁シールドを提供する量である、ブレンドから調製される架橋組成物を含む絶縁シールド層と;
を含む、電源ケーブル。
【請求項11】
前記ナノ粒子が1nm〜10,000nmx1〜100nmの粒径を有する、請求項10に記載の電源ケーブル。
【請求項12】
前記オニウムイオンがアンモニウム、ホスホニウム、イミダゾリウムおよびスルホニウムイオンから成る群より選択される、請求項11に記載の電源ケーブル。
【請求項13】
前記ナノ粒子が、約100nm〜1,000nmx1〜10nmの範囲の粒径を有するシリケート鉱物、1〜20nmx3〜15nmの範囲の粒径を有する単層カーボンナノチューブ、および1000nm〜10,000nmx約100nmの範囲の粒径を有するカーボンナノチューブフィブリルから成る群より選択される、請求項11または12に記載の電源ケーブル。
【請求項14】
電源ケーブルであって:
(a)導電体と;
(b)導電体を包囲する絶縁層と;
(c)絶縁層を包囲し、絶縁層と連続している絶縁シールド層であって、
(i)15〜40重量パーセントの、エチレンとビニルエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよびその混合物から成る群より選択される不飽和エステルとのコモノマーと;
(ii)少なくとも1重量パーセントの、オニウムイオンを含む膨潤剤と接触させたナノ粒子と;
(iii)10〜50重量パーセントのカーボンブラックと;
を含み、前記ナノ粒子および前記カーボンブラックが、100℃での2週間の保管後に23℃において3ポンド/0.5インチを超える剥離張力および23℃において24ポンド/0.5インチを超えない初期剥離力を備えた前記絶縁シールドを提供する量である、ブレンドから調製される架橋組成物を含む絶縁シールド層と;
を含む、電源ケーブル。
【請求項15】
前記オニウムイオンがアンモニウム、ホスホニウム、イミダゾリウムおよびスルホニウムイオンから成る群より選択される、請求項14に記載の電源ケーブル。
【請求項16】
前記ナノ粒子が、約100nm〜1,000nmx1〜10nmの範囲の粒径を有するシリケート鉱物、1〜20nmx3〜15nmの範囲の粒径を有する単層カーボンナノチューブ、および1000nm〜10,000nmx約100nmの範囲の粒径を有するカーボンナノチューブフィブリルから成る群より選択される、請求項14または15に記載の電源ケーブル。
【請求項17】
前記シリケート鉱物がモンモリロナイト、フルオロマイカ、サポナイト、フルオロヘクトライト、ラポナイト、セピオライト、アタパルガイトおよびマガディアイトから成る群より選択される、請求項16に記載の電源ケーブル。
【請求項18】
架橋したときに、電源ケーブル用絶縁シールドを提供するのに有効であるポリマー樹脂組成物であって:
(a)15〜40重量パーセントの、エチレンとビニルエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよびその混合物から成る群より選択される不飽和エステルとのコモノマーならびに5重量パーセント未満のニトリルブタジエンゴムと;
(b)少なくとも1重量パーセントの、オニウムイオンを含む膨潤剤と接触させたナノ粒子と;
(c)10〜50重量パーセントのカーボンブラックと;
を含む、ポリマー樹脂組成物。
【請求項19】
前記オニウムイオンがアンモニウム、ホスホニウム、イミダゾリウムおよびスルホニウムイオンから成る群より選択される、請求項18に記載のポリマー樹脂組成物。
【請求項20】
前記組成物がフリーラジカル架橋剤をさらに含む、請求項18または19に記載のポリマー樹脂組成物。
【請求項21】
前記組成物が3重量パーセントを超えるニトリルブタジエンゴムを有さない、請求項18または19に記載のポリマー樹脂組成物。
【請求項22】
前記組成物が28重量パーセント未満のビニルアセテートコモノマーを有する、請求項18に記載のポリマー樹脂組成物。
【請求項23】
前記組成物が1重量パーセントを超えるニトリルブタジエンゴムを有さない、請求項21または22に記載のポリマー樹脂組成物。
【請求項24】
前記ナノ粒子が、約100nm〜1,000nmx1〜10nmの範囲の粒径を有するシリケート鉱物、1〜20nmx3〜15nmの範囲の粒径を有する単層カーボンナノチューブ、および1000nm〜10,000nmx約100nmの範囲の粒径を有するカーボンナノチューブフィブリルから成る群より選択される、請求項18または19に記載のポリマー樹脂組成物。
【請求項25】
前記シリケート鉱物がモンモリロナイト、フルオロマイカ、サポナイト、フルオロヘクトライト、ラポナイト、セピオライト、アタパルガイトおよびマガディアイトから成る群より選択される、請求項24に記載のポリマー樹脂組成物。
【請求項26】
電源ケーブルであって:
(a)導電体と;
(b)導電体を包囲する絶縁層と;
(c)絶縁層を包囲し、絶縁層と連続している絶縁シールド層であって、
(i)15〜40重量パーセントの、エチレンとビニルエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよびその混合物から成る群より選択される不飽和エステルとのコモノマーならびに5重量パーセント未満のニトリルブタジエンゴムと;
(ii)少なくとも1重量パーセントの、オニウムイオンを含む膨潤剤と接触させたナノ粒子と;
(iii)10〜50重量パーセントのカーボンブラックと;
を含み、前記ナノ粒子および前記カーボンブラックが、100℃での2週間の保管後に23℃において3ポンド/0.5インチを超える剥離張力および23℃において24ポンド/0.5インチを超えない初期剥離力を備えた前記絶縁シールドを提供する量である、ブレンドから調製される架橋組成物を含む絶縁シールド層と;
を含む、電源ケーブル。
【請求項27】
前記オニウムイオンがアンモニウム、ホスホニウム、イミダゾリウムおよびスルホニウムイオンから成る群より選択される、請求項26に記載の電源ケーブル。
【請求項28】
前記ナノ粒子が、約100nm〜1,000nmx1〜10nmの範囲の粒径を有するシリケート鉱物、1〜20nmx3〜15nmの範囲の粒径を有する単層カーボンナノチューブ、および1000nm〜10,000nmx約100nmの範囲の粒径を有するカーボンナノチューブフィブリルから成る群より選択される、請求項26または27に記載の電源ケーブル。
【請求項29】
前記シリケート鉱物がモンモリロナイト、フルオロマイカ、サポナイト、フルオロヘクトライト、ラポナイト、セピオライト、アタパルガイトおよびマガディアイトから成る群より選択される、請求項28に記載の電源ケーブル。
【請求項30】
前記ブレンドが3重量パーセントを超えるニトリルブタジエンゴムを有さない、請求項26に記載の電源ケーブル。
【請求項31】
電源ケーブル用絶縁シールドを作製する方法であって、シールドが100℃での2週間の保管後に23℃において3ポンド/0.5インチを超える剥離力および23℃において24ポンド/0.5インチを超えない初期剥離力を有し:
前記方法が:
(a)エチレンとビニルエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよびその混合物から成る群より選択される不飽和エステルとのコポリマーと;
(b)膨潤剤と接触させたナノ粒子と;
(c)カーボンブラックと;
をブレンドすることを含み、前記ブレンドが5重量パーセント未満のニトリルブタジエンゴムおよび28パーセント未満のビニルアセテートを有し、コポリマー、ナノ粒子およびカーボンブラックが、100℃での2週間の保管後に23℃において3ポンド/0.5インチを超える剥離張力および23℃において24ポンド/0.5インチを超えない初期剥離力を備えた架橋絶縁シールドを提供する量である;
方法。
【請求項32】
前記ブレンドが3重量パーセントを超えるニトリルブタジエンゴムを有さない、請求項31に記載の方法。

【公表番号】特表2007−509195(P2007−509195A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533624(P2006−533624)
【出願日】平成16年6月8日(2004.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/018234
【国際公開番号】WO2005/017014
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(591123001)ユニオン・カーバイド・ケミカルズ・アンド・プラスティックス・テクノロジー・コーポレイション (85)
【Fターム(参考)】