説明

割当方法およびそれを利用した基地局装置

【課題】 効率的な割当を実行したい。
【解決手段】 制御部30は、複数のサブチャネルの周波数多重によってタイムスロットが形成されながら、複数のタイムロットによって形成されたフレームが連続しており、複数のサブチャネルのうちの所定のサブチャネルにおいて、定期的にタイムスロットを端末装置に割り当てる。また、制御部30は、残りのサブチャネルにおいて、複数のタイムスロットのそれぞれに対して、端末装置を任意に割り当てる。RF部20からIF部26は、制御部30にて割り当てた端末装置と通信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、割当技術に関し、特に端末装置にタイムスロットを割り当てる割当方法およびそれを利用した基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて、基地局装置が複数の端末装置を接続する場合がある。基地局装置が複数の端末装置する際の形態のひとつが、TDMA/TDDである。TDMA/TDDでは、複数のタイムスロットによってフレームが形成されており、さらに複数のフレームが連続して配置される。また、ひとつのフレームに含まれた複数のタイムスロットの一部が上り回線のために使用され、残りのタイムスロットが下り回線のために使用される。このようなTDMA/TDDを使用した先行技術では、ひとつのフレームのうちの上り回線のために使用されるタイムスロットの数と、下り回線のために使用されるタイムスロットの数とが、トラヒックの違いに応じて設定される(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−186533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、無線通信において、限りある周波数資源の有効利用が望まれている。特に、通信速度の高速化に伴い、その要請はさらに高まっている。この要請に応えるための技術のひとつが、OFDMA(OrthogonalFrequency Division MultipleAccess)方式であり、これは、前述のTDMA/TDDと組合せ可能である。OFDMAとは、OFDMを利用しながら複数の端末装置を周波数多重する技術である。
【0005】
このようなOFDMAにおいて、複数の端末装置にサブキャリアを割り当てるためのスケジューリング処理が実行される。一方、一般的に、複数の端末装置のそれぞれにおいて通信されているデータの種類はさまざまであり、データの種類に応じて、要求される通信速度や遅延時間が異なる。このような状況下、各端末装置に対して同様な規則にもとづいてスケジューリング処理が実行されると、要求を満たさない端末装置が出現したり、無駄な割当が発生したりする。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、効率的な割当を実行するスケジューリング技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の基地局装置は、複数のサブチャネルの周波数多重によってタイムスロットが形成されながら、複数のタイムロットによって形成されたフレームが連続しており、複数のサブチャネルのうちの所定のサブチャネルにおいて、定期的にタイムスロットを端末装置に割り当てる第1割当部と、第1割当部での割当の対象となるサブチャネル以外のサブチャネルにおいて、複数のタイムスロットのそれぞれに対して、端末装置を任意に割り当てる第2割当部と、第2割当部および第1割当部にて割り当てた端末装置と通信する通信部と、を備える。
【0008】
この態様によると、複数のサブチャネルのうちの所定のサブチャネルにおいて、定期的な割当を実行しつつ、残りのサブチャネルにおいて、任意の割当を実行するので、通信についてのさまざまな要求を有する端末装置に対して、効率的な割当を実行できる。
【0009】
第2割当部は、複数のフレームをひとつの単位として、任意の割当を実行しており、通信部は、第2割当部での割当の対象となるサブチャネルに関する第1情報を送信するとともに、第2割当部での割当の対象となる端末装置に対して、単位内において割り当てたタイムスロットに関する第2情報を送信してもよい。この場合、複数の端末装置に対して共通の情報と、各端末装置に対する情報とを別々に送信するので、効率的に情報を送信できる。
【0010】
通信部は、第2割当部による所定の端末装置に対する単位内のタイムスロットの割当が、連続した単位にわたって同一であれば、第2情報の送信を中止するとともに、同一である旨を第1情報に含める。この場合、割り当てられたタイムスロットが同一であるときに、第2情報の送信を中止するので、伝送効率を改善できる。
【0011】
本発明の別の態様は、割当方法である。この方法は、複数のサブチャネルの周波数多重によってタイムスロットが形成されながら、複数のタイムロットによって形成されたフレームが連続しており、複数のサブチャネルのうちの所定のサブチャネルにおいて、定期的にタイムスロットを端末装置に割り当てるとともに、他のサブチャネルにおいて、複数のタイムスロットのそれぞれに対して、端末装置を任意に割り当てる。
【0012】
複数のフレームをひとつの単位として、任意の割当を実行しており、任意の割当の対象となるサブチャネルに関する第1情報を送信するとともに、任意の割当の対象となる端末装置に対して、単位内において割り当てたタイムスロットに関する第2情報を送信してもよい。所定の端末装置に対する単位内のタイムスロットの任意の割当が、連続した単位にわたって同一であれば、第2情報の送信を中止するとともに、同一である旨を第1情報に含めてもよい。
【0013】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、効率的な割当を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2(a)】図1の通信システムにおけるフレーム構成を示す図である。
【図2(b)】図1の通信システムにおけるフレーム構成を示す図である。
【図2(c)】図1の通信システムにおけるフレーム構成を示す図である。
【図3】図1の通信システムにおけるサブチャネルの配置を示す図である。
【図4】図1の基地局装置の構成を示す図である。
【図5】図5(a)−(b)は、図1の通信システムにおいて通信開始時に送信される信号のフォーマットを示す図である。
【図6】図6(a)−(c)は、図1の通信システムにおいてスケジューリング割当の実行時に送信される信号のフォーマットを示す図である。
【図7】図7(a)−(b)は、図1の通信システムにおいてTCHの変更時に送信される信号のフォーマットを示す図である。
【図8】図1の通信システムによる通信の開始手順を示すシーケンス図である。
【図9】図1の通信システムによる定期的割当からスケジューリング割当への変更手順を示すシーケンス図である。
【図10】図1の通信システムによるスケジューリング割当から定期的割当への変更手順を示すシーケンス図である。
【図11】図4の基地局装置によるスケジューリング割当と定期的割当との間の変更手順を示すフローチャートである。
【図12】図4の基地局装置によるスケジューリング割当の実行手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本発明の実施例は、基地局装置と、少なくともひとつの端末装置によって構成される通信システムに関する。通信システムでは、複数のタイムスロットが時間分割多重されることによって、各フレームが形成され、複数のサブチャネルが周波数分割多重されることによって、各タイムスロットが形成されている。また、各サブチャネルは、マルチキャリア信号によって形成されている。ここで、マルチキャリア信号としてOFDM信号が使用されており、周波数分割多重としてOFDMAが使用されている。
【0017】
基地局装置は、各タイムスロットに含まれた複数のサブチャネルのそれぞれを端末装置に割り当てることによって、複数の端末装置との通信を実行する。ここで、複数の端末装置との通信において対象とされるデータには、複数の種類が存在する。また、種類に応じて要求される通信速度や遅延時間が異なる。例えば、音声通信の場合、データ通信と比較して一般的に短い遅延時間が要求される。また、データ通信においては、データの内容に応じて通信速度が異なる。このように要求が異なる端末装置に対して、同一の規則にもとづいてサブチャネルおよびタイムスロットを割り当てると、割当の効率が悪化する。
【0018】
短い遅延時間が要求される場合、定期的にサブチャネルおよびタイムスロットを割り当てることが好ましいが、短い遅延時間を要求しない端末装置に対して同様の割当を実行すると、無駄な割当が発生する。一方、複数の端末装置に対して公平な通信を実行するためには、ラウンドロビン方式にてサブチャネルおよびタイムスロットを割り当てることが好ましいが、端末装置の数が増加すると、遅延時間が長くなり、遅延時間に対する要求を満足しない端末装置が出現する。本実施例に係る基地局装置は、さまざまな要求を持った端末装置に対して、サブチャネルおよびタイムスロットを効率的に割り当てるために、次の処理を実行する。
【0019】
基地局装置は、複数のサブチャネルのうちの一部における割当規則(以下、当該規則に対応した割当を「定期的割当」という)と、残りにおける割当規則(以下、当該規則に対応した割当を「スケジューリング割当」という)とを別々に実行する。定期的割当とは、基地局装置が、各端末装置に対して、例えばフレーム周期にてタイムスロットを定期的に割り当てることに相当する。また、スケジューリング割当とは、基地局装置が、各端末装置に対して、タイムスロットを任意に割り当てることに相当する。基地局装置は、定期的割当を実行すべきサブチャネルに、短い遅延時間を要求する端末装置を割り当て、スケジューリング割当を実行すべきサブチャネルに、短い遅延時間を要求せず、さまざまな通信速度を要求する端末装置を割り当てる。
【0020】
図1は、本発明の実施例に係る通信システム100の構成を示す。通信システム100は、基地局装置10、端末装置12と総称される第1端末装置12a、第2端末装置12b、第3端末装置12cを含む。
【0021】
基地局装置10は、一端に無線ネットワークを介して端末装置12を接続し、他端に図示しない有線ネットワークを接続する。また、端末装置12は、無線ネットワークを介して基地局装置10に接続する。基地局装置10は、複数の端末装置12に対して通信チャネルを割り当てることによって、複数の端末装置12との通信を実行する。具体的には、端末装置12が基地局装置10に対してチャネル割当の要求信号を送信し、基地局装置10は、受信した要求信号に応答して、端末装置12に通信チャネルを割り当てる。ここで、通信システム100における割当規則は、前述のごとく2種類存在し、それらは、定期的割当とスケジューリング割当と呼ばれる。詳細は後述するが、基地局装置10は、定期的割当を実行しながら、スケジューリング割当も実行する。
【0022】
また、基地局装置10は、端末装置12に割り当てた通信チャネルに関する情報を送信し、端末装置12は、割り当てられた通信チャネルを使用しながら、基地局装置10との通信を実行する。その結果、端末装置12から送信されたデータは、基地局装置10を介して、有線ネットワークに出力され、最終的に有線ネットワークに接続された図示しない通信装置に受信される。また、通信装置から端末装置12への方向にもデータは伝送される。ここで、スケジューリング割当を実行している端末装置12に対して、基地局装置10は、スケジューリング割当実行している旨を定期的に通知するとともに、当該端末装置12に割り当てている通信チャネルを定期的に通知する。これらの詳細は、後述する。
【0023】
以上の説明において、通信チャネルは、前述のサブチャネルとタイムスロットの組合せによって特定される。また、基地局装置10は、複数のタイムスロットと、複数のサブチャネルを有しているので、複数のタイムスロットによってTDMAを実行しつつ、複数のサブチャネルによってOFDMAを実行する。
【0024】
図2(a)−(c)は、通信システム100におけるフレーム構成を示す。図の横方向が時間軸に相当する。フレームは、8つのタイムスロットによって形成されている。また、8つのタイムスロットは、4つの上りタイムスロットと4つの下りタイムスロットから構成されている。ここでは、4つの上りタイムスロットを「第1上りタイムロット」から「第4上りタイムスロット」として示し、4つの下りタイムスロットを「第1下りタイムスロット」から「第4下りタイムスロット」として示す。また、図示したフレームは、連続して繰り返される。なお、フレームの構成は、図2(a)に限定されないが、ここでは、説明を明瞭にするために、フレームの構成を図2(a)として説明する。また、説明を簡潔にするために、上りタイムスロットと下りタイムスロットのいずれかについてのみ説明を行う場合もあるが、他方のタイムスロットも同様の説明が有効である。
【0025】
図2(b)は、図2(a)のうちのひとつのタイムスロットの構成を示す。図の縦方向が周波数軸に相当する。図示のごとく、ひとつのタイムスロットは、「第1サブチャネル」から「第16サブチャネル」までの「16」個のサブチャネルによって形成される。また、これらの複数のサブチャネルは、周波数分割多重されている。各タイムスロットが図2(b)のように構成されているので、タイムスロットとサブチャネルとの組合せによって、前述の通信チャネルが特定される。また、図2(b)のうちのひとつのサブチャネルに対応したフレーム構成が図2(a)であるとしてもよい。
【0026】
図2(c)は、図2(b)のうちのひとつのサブチャネルの構成を示す。図2(a)や図2(b)と同様に、図の横方向が時間軸に相当し、図の縦方向が周波数軸に相当する。また、周波数軸に対して、「1」から「29」の番号を付与しているが、これらは、サブキャリアの番号を示す。このように、サブチャネルは、マルチキャリア信号によって構成されており、特にOFDM信号によって構成されている。図中の「TS」は、トレーニングシンボルに相当し、既知の値によって構成される。また、「TS」中に制御信号が含まれてもよいものとする。「GS」は、ガードシンボルに相当し、ここに実質的な信号は配置されない。「PS」は、パイロットシンボルに相当し、既知の値によって構成される。「DS」は、データシンボルに相当し、送信すべきデータである。「GT」は、ガードタイムに相当し、ここに実質的な信号は配置されない。
【0027】
図3は、通信システム100におけるサブチャネルの配置を示す。図3では、横軸に周波数軸が示されており、図2(b)に示したタイムスロットに対するスペクトルが示される。ひとつのタイムスロットには、前述のごとく、第1サブチャネルから第16サブチャネルの16個のサブチャネルが周波数分割多重されている。各サブチャネルは、マルチキャリア信号、ここでは、OFDM信号によって構成されている。
【0028】
図4は、基地局装置10の構成を示す。基地局装置10は、RF部20、変復調部22、ベースバンド処理部24、IF部26、制御部30を含む。
【0029】
RF部20は、受信処理として、図示しない端末装置12から受信した無線周波数のマルチキャリア信号に対して周波数変換を実行し、ベースバンドのマルチキャリア信号を生成する。ここで、マルチキャリア信号は、図3のごとく形成されており、また、図2(a)の上りタイムスロットに相当する。さらに、RF部20は、ベースバンドのマルチキャリア信号を変復調部22に出力する。一般的に、ベースバンドのマルチキャリア信号は、同相成分と直交成分によって形成されるので、ふたつの信号線によって伝送されるべきであるが、ここでは、図を明瞭にするためにひとつの信号線だけを示すものとする。また、RF部20には、AGCやA/D変換部も含まれる。
【0030】
RF部20は、送信処理として、変復調部22から入力したベースバンドのマルチキャリア信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数のマルチキャリア信号を生成する。さらに、RF部20は、無線周波数のマルチキャリア信号を送信する。なお、RF部20は、受信したマルチキャリア信号と同一の無線周波数帯を使用しながら、マルチキャリア信号を送信する。つまり、図2(a)のごとく、TDD(TimeDivision Duplex)が使用されているものとする。また、RF部20には、PA(PowerAmplifier)、D/A変換部も含まれる。
【0031】
変復調部22は、受信処理として、RF部20から入力したベースバンドのマルチキャリア信号に対して、FFTを実行することによって、時間領域から周波数領域への変換を実行する。周波数領域に変換したマルチキャリア信号は、図2(b)や(c)のごとく、複数のサブキャリアのそれぞれに対応した成分を有する。なお、変復調部22は、タイミング同期、つまりFFTのウインドウの設定を実行し、ガードインターバルの削除も実行する。タイミング同期等には、公知の技術が使用されればよいので、ここでは、説明を省略する。また、変復調部22は、周波数領域に変換したマルチキャリア信号を復調する。なお、復調のために伝送路特性が推定されるが、伝送路特性は、サブキャリア単位に推定される。変復調部22は、復調した結果をベースバンド処理部24に出力する。
【0032】
変復調部22は、送信処理として、ベースバンド処理部24から受けつけたマルチキャリア信号に対して、変調を実行する。また、変復調部22は、変調したマルチキャリア信号に対して、IFFTを実行することによって、周波数領域から時間領域への変換を実行する。変復調部22は、時間領域に変換したマルチキャリア信号をベースバンドのマルチキャリア信号としてRF部20に出力する。なお、変復調部22は、ガードインターバルの付加も実行するが、ここでは説明を省略する。
【0033】
ベースバンド処理部24は、受信処理として、変復調部22から復調結果を受けつけ、復調結果を端末装置12単位に分離する。つまり、復調結果は、図3のごとく、複数のサブチャネルによって構成されている。そのため、ひとつのサブチャネルがひとつの端末装置12に割り当てられている場合、復調結果には、複数の端末装置12からの信号が含まれている。ベースバンド処理部24は、このような復調結果を端末装置12単位に分離する。ベースバンド処理部24は、分離した復調結果に対して、送信元の端末装置12を識別するための情報と宛先を識別するための情報とを付加して、IF部26に出力する。
【0034】
ベースバンド処理部24は、送信処理として、IF部26から、複数の端末装置12へのデータを受けつけ、データをサブチャネルに割り当て、複数のサブチャネルからマルチキャリア信号を形成する。つまり、ベースバンド処理部24は、図3のごとく、複数のサブチャネルによって構成されるマルチキャリア信号を形成する。なお、データが割り当てられるべきサブチャネルは、図2(c)のごとく予め決められており、それに関する指示は、制御部30から受けつけるものとする。ベースバンド処理部24は、マルチキャリア信号を変復調部22に出力する。
【0035】
IF部26は、受信処理として、ベースバンド処理部24から受けつけた復調結果を図示しない有線ネットワークに出力する。復調結果の宛先は、復調結果に付加された情報であって、かつ宛先を識別するための情報をもとに設定される。ここで、宛先を識別するための情報は、例えば、IP(InternetProtocol)アドレスによって示される。また、IF部26は、送信処理として、図示しない有線ネットワークから複数の端末装置12に対するデータを入力する。制御部30は、入力したデータをベースバンド処理部24に出力する。
【0036】
制御部30は、端末装置12に対する通信チャネルの割当、基地局装置10全体のタイミング制御等を実行する。通信チャネルの割当は、サブチャネルとタイムスロットとの組合せを割り当てることに相当する。制御部30は、通信チャネルの割当として、定期的割当とスケジューリング割当を実行する。特に、制御部30は、各サブチャネルに対して、定期的割当の実行あるいはスケジューリング割当の実行を予め対応づける。制御部30は、複数のサブチャネルのうちの所定のサブチャネルにおいて、定期的割当を実行する。つまり、当該チャネルにおいては、定期的にタイムスロットを端末装置12に割り当てる。
【0037】
例えば、各フレームに含まれた「第3上りタイムスロット」と「第3下りタイムスロット」、つまりフレーム周期のタイムスロットが、第1端末装置12aに割り当てられる。なお、タイムスロットの割当は、定期的になるようになされればよく、フレーム周期だけに限らず、フレーム周期よりも長い周期にてなされてもよく、フレーム周期よりも短い周期にてなされてもよい。また、所定のサブチャネルは、トラヒックに応じて動的に選択されてもよいが、ここでは、説明を明瞭にするために、予め固定的に選択されているものとする。例えば、制御部30は、偶数番目のサブチャネルにおいて、定期的割当を実行する。
【0038】
また、制御部30は、定期的割当の対象となるサブチャネル以外のサブチャネルにおいて、スケジューリング割当を実行する。つまり、当該サブチャネルにおいては、複数のタイムスロットのそれぞれに対して、端末装置12が任意に割り当てられる。例えば、当該サブチャネルに割り当てるべき複数の端末装置12に対して、制御部30は、ラウンドロビン形式にてタイムスロットを割り当てる。また、制御部30は、端末装置12との通信量を反映させながら、タイムスロットの割当を決定してもよい。
【0039】
ここで、制御部30は、複数のフレームをひとつの単位(以下、「単位期間」という)として、スケジューリング割当を実行する。例えば、ひとつの単位は、「40」フレームに規定される。制御部30は、「40」フレームに含まれた「320」のタイムスロットのそれぞれに対する端末装置12の割当を決定し、所定期間経過後、制御部30は、次の「40」フレームに対する端末装置12の割当を決定する。また、制御部30は、割当の結果を端末装置12に通知するが、その際の信号フォーマット等については、後述する。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、定期的割当を実行すべきサブチャネルを「定期的サブチャネル」といい、スケジューリング割当を実行すべきサブチャネルを「スケジューリングサブチャネル」という。
【0040】
制御部30は、RF部20からIF部26を介して、図示しない端末装置12との間において、制御信号の送受信を実行する。制御信号には、複数の種類が存在するが、特に本実施例と関連の深いものとして、(1)新規接続時の制御信号、(2)スケジューリング割当実行時の制御信号、(3)チャネル切替時の制御信号を順に説明する。
【0041】
(1)新規接続時の制御信号
制御部30は、RF部20からIF部26を介して、図示しない端末装置12であって、かつ接続していない端末装置12から、無線リソース獲得要求SCCHを受信する。制御部30は、無線リソース獲得要求SCCHをもとに、当該端末装置12に対して、通信チャネルを割り当てる。その際、無線リソース獲得要求SCCHには、定期的割当を希望するか、あるいはスケジューリング割当を希望するかが示された情報が含まれており、制御部30は、その情報をもとに、定期的サブチャネルの割当あるいはスケジューリングチャネルの割当を決定する。制御部30は、端末装置12に対して定期的サブチャネルを割り当てる場合、当該定期的サブチャネルに含まれたタイムスロットを定期的に割り当てる。一方、制御部30は、端末装置12に対してスケジューリングサブチャネルを割り当てる場合、当該スケジューリングサブチャネルに含まれるタイムスロットを任意に割り当てる。
【0042】
制御部30は、以上のような割当の結果を無線リソース割当SCCHとして、IF部26からRF部20より図示しない端末装置12へ送信する。図示しない端末装置12は、受信した無線リソース割当SCCHの内容をもとに通信を実行する。図5(a)−(b)は、通信システム100において通信開始時に送信される信号のフォーマットを示す。なお、以下に示すフォーマットにおいて、送信元や送信先についての情報は省略される。図5(a)は、無線リソース獲得要求SCCHのフォーマットを示す。「メッセージ識別子」には、SCCHに対応した識別番号が示される。また、「サービスフロー識別子」には、無線リソース獲得要求SCCHに対応した識別番号が示される。その際、定期的割当を希望するか、あるいはスケジューリング割当を希望するかも示される。
【0043】
図5(b)は、無線リソース割当SCCHのフォーマットを示す。「メッセージ識別子」には、SCCHに対応した識別番号が示される。「サービスフロー識別子」には、無線リソース割当SCCHに対応した識別番号が示される。「スロット番号」には、定期的割当の場合に割り当てられたスロット番号が示される。一方、スケジューリング割当の場合に、該当する単位期間が終了するまでのスロット番号が示されてもよいし、何も示されなくてもよい。「スケジューリング表示」には、スケジューリング割当がなされているか否かが示される。「サブチャネル番号」には、割り当てたサブチャネルの番号が示される。図4に戻る。
【0044】
(2)スケジューリング割当実行時の制御信号
制御部30は、IF部26からRF部20を介して、単位周期ごとに、スケジューリングサブチャネルを共有している端末装置12に対して、当該サブチャネルに関するスケジューリング情報報知SCHBCCHを報知する。スケジューリング情報報知SCHBCCHによって、多重ユーザ数および単位周期が通知される。また、スケジューリング情報報知SCHBCCHの報知に続いて、制御部30は、各端末装置12に対して、単位周期内において割り当てたタイムスロットに関するスケジューリングタイムスロット通知SCHSCCHを送信する。
【0045】
スケジューリングタイムスロット通知SCHSCCHには、スケジューリングされたタイムスロットに関する情報がビットマップ形式にて含まれる。また、スケジューリングされたタイムスロットは、単位周期内のみ有効である。図示しない端末装置12は、スケジューリング情報報知SCHBCCHをもとに単位周期を認識し、スケジューリングタイムスロット通知SCHSCCHをもとに使用すべきタイムスロットを認識する。
【0046】
図6(a)−(c)は、通信システム100においてスケジューリング割当の実行時に送信される信号のフォーマットを示す。図6(a)は、スケジューリング情報報知SCHBCCHのフォーマットを示す。「メッセージ識別子」には、SCHBCCHに対応した識別番号が示される。「多重ユーザ数」には、当該スケジューリングサブチャネルを共有している端末装置12の数が示される。「スケジューリング周期」には、単位周期の値が示される。
【0047】
図6(b)は、スケジューリングタイムスロット通知SCHSCCHのフォーマットを示す。「メッセージ識別子」には、SCHSCCHに対応した識別番号が示される。「サービスフロー識別子」には、スケジューリングタイムスロット通知SCHSCCHに対応した識別番号が示される。「タイムスロットマップ」には、スケジューリングされたタイムスロットに関する情報がビットマップ形式にて示される。
【0048】
図6(c)は、タイムスロットマップのフォーマットを示す。前述のごとく、タイムスロットマップには、単位周期におけるタイムスロットの割当が示される。ここで、単位周期は「40」フレームとされるので、単位周期には「320」のタイムスロットが含まれる。このようなタイムスロットには、「1」から「320」の番号が付与されており、図6(c)では、「#1」から「#320」と示される。また、割り当てられているタイムスロットが「1」と示され、それ以外のタイムスロットが「0」と示される。図4に戻る。
【0049】
(3)チャネル切替時の制御信号
制御部30は、基地局装置10と図示しない端末装置12との通信の実行中、通信量を測定する。例えば、制御部30は、送信バッファや受信バッファに蓄積されたデータ量を監視することによって、通信量を測定する。また、制御部30は、測定した通信量に応じて、定期的サブチャネルへの割当とスケジューリングサブチャネルへの割当とを切りかえる。例えば、定期的サブチャネルへの割当を実行している端末装置12の通信量が第1のしきい値よりも小さくなれば、制御部30は、スケジューリングサブチャネルに当該端末装置12を割り当てることを決定する。
【0050】
一方、スケジューリングサブチャネルへの割当を実行している端末装置12の通信量が第2のしきい値よりも大きくなれば、制御部30は、定期的サブチャネルに当該端末装置12を割り当てることを決定する。また、変更を決定した場合、制御部30は、IF部26からRF部20を介して、当該端末装置12に対してTCH変更指示を送信する。また、端末装置12が変更を了承した場合、制御部30は、RF部20からIF部26を介して、端末装置12からTCH変更応答を受けつける。その後、制御部30は、変更を実行する。
【0051】
図7(a)−(b)は、通信システム100においてTCHの変更時に送信される信号のフォーマットを示す。図7(a)は、TCH変更指示のフォーマットを示す。「メッセージ識別子」と「サービスフロー識別子」によって、TCH変更指示であることが示される。「変更内容」には、新たな割当が示される。「変更リソース数」には、変更がなされる端末装置12の数が示される。「スロット番号(1)」、「スケジューリング表示(1)」、「サブチャネル番号(1)」には、ひとつ目の端末装置12に対する新たな割当が具体的に示される。
【0052】
「スロット番号(N)」、「スケジューリング表示(N)」、「サブチャネル番号(N)」には、N番目の端末装置12に対する新たな割当が具体的に示される。図7(b)は、TCH変更応答のフォーマットを示す。「メッセージ識別子」と「サービスフロー識別子」によって、TCH変更応答であることが示される。図4に戻る。RF部20からIF部26は、制御部30にて割り当てた端末装置12と通信する。
【0053】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされた通信機能のあるプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0054】
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図8は、通信システム100による通信の開始手順を示すシーケンス図である。第1端末装置12aは、基地局装置10に対して、無線リソース獲得要求SCCHを送信する(S10)。基地局装置10は、第1端末装置12aに対して、通信チャネルの割当を実行した後に、第1端末装置12aに無線リソース割当SCCHを送信する(S12)。その後、第1端末装置12aと基地局装置10とは、TCHにて通信を実行する(S14)。
【0055】
図9は、通信システム100による定期的割当からスケジューリング割当への変更手順を示すシーケンス図である。前提として、第4サブチャネルが定期的サブチャネルに相当し、第3サブチャネルがスケジューリングサブチャネルに相当するものとする。第1端末装置12aと基地局装置10とが、第4サブチャネルにて通信を実行する(S30)。また、第2端末装置12bと基地局装置10とが、第3サブチャネルにて通信を実行する(S32)。基地局装置10は、第1端末装置12aの通信量の減少を検出する(S34)。基地局装置10は、第1端末装置12aに対して、第3サブチャネルへのTCH変更指示を送信する(S36)。第1端末装置12aは、基地局装置10に対して、TCH変更応答を送信する(S38)。
【0056】
基地局装置10は、スケジューリング情報報知SCHBCCHを報知する(S40、S42)。これらのステップは便宜上別のステップとして示されているが、スケジューリング情報報知SCHBCCHは、1回だけ送信される。また、基地局装置10は、第1端末装置12aに対して、スケジューリングタイムスロット通知SCHSCCH1を送信する(S44)とともに、第2端末装置12bに対して、スケジューリングタイムスロット通知SCHSCCH2を送信する(S46)。その後、第1端末装置12aと基地局装置10とが、第3サブチャネルにて通信を実行し(S48)、第2端末装置12bと基地局装置10とが、第3サブチャネルにて通信を実行する(S50)。
【0057】
図10は、通信システム100によるスケジューリング割当から定期的割当への変更手順を示すシーケンス図である。第1端末装置12aと基地局装置10とが、第3サブチャネルにて通信を実行する(S70)。また、第2端末装置12bと基地局装置10とが、第3サブチャネルにて通信を実行する(S72)。基地局装置10は、第1端末装置12aの通信量の増大を検出する(S74)。基地局装置10は、第1端末装置12aに対して、第4サブチャネルへのTCH変更指示を送信する(S76)。第1端末装置12aは、基地局装置10に対して、TCH変更応答を送信する(S78)。その後、第1端末装置12aと基地局装置10とが、第4サブチャネルにて通信を実行する(S80)。
【0058】
以上の構成による基地局装置10の動作を説明する。図11は、基地局装置10によるスケジューリング割当と定期的割当との間の変更手順を示すフローチャートである。端末装置12が定期的割当のサブチャネルを使用している場合(S100のY)、通信量が第1のしきい値よりも小さくなれば(S102のY)、制御部30は、スケジューリング割当のサブチャネルへの切替を決定する(S104)。通信量が第1のしきい値よりも小さくなければ(S102のN)、制御部30は、切替を決定しない。
【0059】
一方、端末装置12が定期的割当のサブチャネルを使用していない場合(S100のN)、つまりスケジューリング割当のサブチャネルを使用している場合、通信量が第2のしきい値よりも大きくなれば(S106のY)、制御部30は、定期的割当のサブチャネルへの切替を決定する(S108)。通信量が第2のしきい値よりも大きくなければ(S106のN)、制御部30は、切替を決定しない。その後、処理は終了される。
【0060】
図12は、基地局装置10によるスケジューリング割当の実行手順を示すフローチャートである。制御部30は、タイムスロットの割当を決定し(S120)、新たなタイマをスタートする(S122)。RF部20等は、スケジューリング情報報知SCHBCCHを報知する(S124)とともに、スケジューリングタイムスロット通知SCHSCCHを送信する(S126)。スケジュール周期が終了しなければ(S128のN)、制御部30は待機する。スケジュール周期が終了し(S128のY)、通信が終了していなければ(S130のN)、ステップ120に戻る。通信が終了すれば(S130)、処理は終了される。
【0061】
本発明の実施例によれば、複数のサブチャネルのうちの所定のサブチャネルにおいて、定期的割当を実行しつつ、残りのサブチャネルにおいて、スケジューリング割当を実行するので、通信についてのさまざまな要求を有する端末装置に対して、効率的な割当を実行できる。また、定期的サブチャネルへの割当によって遅延時間を短くでき、スケジューリングサブチャネルへの割当によって通信量に応じた調節を容易に実行できる。定期的サブチャネルとスケジューリングサブチャネルとを組み合わせることによって、柔軟な割当を実行できる。また、複数の端末装置に対して共通のスケジューリング情報報知SCHBCCHと、各端末装置に対するスケジューリングタイムスロット通知SCHSCCHとを別々に送信するので、効率的に情報を送信できる。
【0062】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0063】
本発明の実施例において、基地局装置10は、単位周期ごとにスケジューリングタイムスロット通知SCHSCCHを送信する。しかしながらこれに限らず、基地局装置10は、スケジューリング割当による端末装置12に対する単位周期内のタイムスロットの割当が、連続した単位周期にわたって同一であれば、スケジューリングタイムスロット通知SCHSCCHの送信を中止してもよい。その際、基地局装置10は、スケジューリング情報報知SCHBCCHに同一である旨を含める。本変形例によれば、割り当てられたタイムスロットが同一であるときに、スケジューリングタイムスロット通知SCHSCCHの送信を中止するので、効率的に情報を送信できる。
【符号の説明】
【0064】
10 基地局装置、12 端末装置、20 RF部、22 変復調部、24 ベースバンド処理部、26 IF部、30 制御部、100 通信システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサブチャネルの周波数多重によってタイムスロットが形成されながら、複数のタイムロットによって形成されたフレームが連続しており、複数のサブチャネルのうちの所定のサブチャネルにおいて、定期的にタイムスロットを端末装置に割り当てる第1割当部と、
前記第1割当部での割当の対象となるサブチャネル以外のサブチャネルにおいて、複数のタイムスロットのそれぞれに対して、端末装置を任意に割り当てる第2割当部と、
前記第2割当部および前記第1割当部にて割り当てた端末装置と通信する通信部と、
を備えることを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記第2割当部は、複数のフレームをひとつの単位として、任意の割当を実行しており、
前記通信部は、前記第2割当部での割当の対象となるサブチャネルに関する第1情報を送信するとともに、前記第2割当部での割当の対象となる端末装置に対して、単位内において割り当てたタイムスロットに関する第2情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
前記通信部は、前記第2割当部による所定の端末装置に対する単位内のタイムスロットの割当が、連続した単位にわたって同一であれば、第2情報の送信を中止するとともに、同一である旨を第1情報に含めることを特徴とする請求項2に記載の基地局装置。
【請求項4】
複数のサブチャネルの周波数多重によってタイムスロットが形成されながら、複数のタイムロットによって形成されたフレームが連続しており、複数のサブチャネルのうちの所定のサブチャネルにおいて、定期的にタイムスロットを端末装置に割り当てるとともに、他のサブチャネルにおいて、複数のタイムスロットのそれぞれに対して、端末装置を任意に割り当てることを特徴とする割当方法。
【請求項5】
複数のサブチャネルの周波数多重によってタイムスロットが形成されながら、複数のタイムロットによって形成されたフレームが連続しており、複数のサブチャネルのうちの所定のサブチャネルにおいて、定期的にタイムスロットを端末装置に割り当てるステップと、
他のサブチャネルにおいて、複数のタイムスロットのそれぞれに対して、端末装置を任意に割り当てるステップと、
無線ネットワークを介して、割り当てた端末装置と通信するステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図2(c)】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−205676(P2011−205676A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116105(P2011−116105)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【分割の表示】特願2006−351873(P2006−351873)の分割
【原出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】