説明

創傷の負圧治療で使用するための接続装置

本発明は、創傷の負圧治療で使用するための接続装置(2)に関するものであり、負圧を供給可能な導通手段(4)と、導通手段(4)が負圧密閉式に保持される、導通手段(4)のための負圧密閉式の面状の第1の支持手段(6)とを有しており、支持手段(6)は、創傷を覆うとともに大気に対して密閉をするように閉止する負圧包帯に装着可能であり、導通手段(4)は負圧包帯のほうを向いている導通手段(4)の壁部にある少なくとも1つの開口部(14)および負圧包帯にある少なくとも1つの開口部を貫通して創傷空間と連通している。この接続装置は、導通手段(4)が可撓かつ平坦に構成されており、第1の支持手段(6)には張り出した切欠き(10)が構成されており、該切欠きの幅は導通手段(4)の幅と少なくとも同じ大きさであるとともに該切欠きの長さは最小15mmであり、導通手段(4)は切欠き(10)に入るように面状に延びるとともに、そのようにして切欠き(10)を貫通して使用時に負圧包帯のほうを直接向き、それにより導通手段(4)にある少なくとも1つの開口部(14)は負圧包帯にある少なくとも1つの開口部と直接的に連通することによって改良される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創傷の負圧治療で使用するための接続装置に関するものであり、負圧を供給可能な導通手段と、導通手段が負圧密閉式に保持される、導通手段のための負圧密閉式の面状の第1の支持手段とを有しており、支持手段は、創傷を覆うとともに大気に対して密閉をするように閉止する負圧包帯に装着可能であり、導通手段は、負圧包帯のほうを向いている導通手段の壁部にある少なくとも1つの開口部、および負圧包帯にある少なくとも1つの開口部を貫通して創傷空間と連通している。
【背景技術】
【0002】
近年、創傷の負圧治療、特に傷が深いために治癒にアプリオリに問題がある創傷の、負圧治療が次第に大きい意義を獲得している。ここで負圧治療とは、周囲の大気に暴露される身体領域または創傷領域が、あとでまた詳しく説明する手段により周囲に対して、すなわちわれわれが生活して呼吸している大気に対して、圧力密閉式ないし負圧密閉式に閉止され、閉止された創傷領域の内部で、同じくあとで説明する方式により大気圧に比べて低い圧力を、すなわち大気に対して相対的な負圧を印加して、恒常的に維持できることを意味している。ここで対象としている分野で負圧という用語を使うとき、それは典型的には0から500mmHg(mm水銀柱)だけ周囲の大気圧を下回る圧力領域を意味している。このことは創傷治癒を促進することが示されている。負圧密閉式の閉止のために、たとえば圧力密閉式ないし負圧密閉式のフィルム層を含むことができる負圧包帯が設けられ、このフィルム層は典型的には創傷を取り囲む健常な身体領域と接着され、それにより、このようにして密閉された閉止を実現することができる。負圧を生成する装置すなわち広義の負圧ポンプを起点として負圧を創傷空間へ導入し、そこで維持するために、ここで対象としている創傷を負圧治療するためのシステムでは、接続装置によって負圧包帯との協働で負圧を創傷空間の表面ないし内部へ引き込む、負圧を供給可能な導通手段を利用することができる。冒頭に述べた種類のこのような種類の接続装置は、たとえば特許文献1から公知である。負圧を創傷へ導入するために、管状のホースが利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006/052338A2号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、負荷や接触が生じたときに患者にとって快適であり、ないしは痛みを引き起こすことが少なく、技術的、経済的に是認できるコストで操作者適合的に各コンポーネントの密閉を具体化可能である、冒頭に述べた種類の接続装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は本発明によると、上述した種類の接続装置において、導通手段が可撓かつ平坦に構成されており、第1の支持手段には張り出した切欠き(ausladende Ausnehmung)が構成されており、該切欠きの幅は導通手段の幅と少なくとも同じ大きさであるとともに、該切欠きの長さは最小15mmであり、導通手段は前記切欠きに入るように面状に延びるとともに、そのようにして前記切欠きを貫通して使用時に負圧包帯のほうを直接向き、それにより導通手段にある最小1つの開口部は負圧包帯にある少なくとも1つの開口部と直接的に連通することによって解決される。
【0006】
このように、導通手段は実質的に円形の断面をもつ管状に構成されるのではなく、平坦な形状を有しており、その幅は厚みよりもはるかに大きい。このことは材料の選択とあいまって、接続装置または導通手段に接触圧が及ぼされたときに患者にとって快適に感じられる可撓の導通手段をもたらす。すなわち点状の負荷がさほど生じることがなく、このような点状の負荷は当然ながら痛みを引き起こすことがあり、特に、痛みに敏感な新しい創傷の場合にはきわめて問題となる。さらには平坦な構成の帰結として、引っかかりや絡まりの危険が少ししか生じない。導通手段と支持手段の面状の構成により、創傷包帯のいっそう広い面積領域に圧力負荷が分散され、このことは上に説明した問題の観点から非常に好ましいことが判明している。
【0007】
本発明では、第1の支持手段に張り出した切欠きが構成されており、平坦な導通手段が長手方向区域でこの切欠きに面状に入るように延び、そのようにして、好ましくは他の材料を介在させることなく、この切欠きを貫通して負圧包帯のほうを向き、または負圧包帯に当接することにより、接続装置のこの繊細な領域の厚みがいっそう低減され、このことは、上に説明した問題の観点から好ましいことが判明している。
【0008】
支持手段にある張り出した切欠きは、原則としては縁部が開くように構成されていてよく、それにより導通手段は連続的に外からこの切欠きの中へ入るように延びることができる。しかしこの場合には密閉の問題が生じるため、支持手段にある張り出した開口部が円周方向で取り囲まれている実施形態のほうが優先される。その場合、導通手段はまず面状の支持手段に同じく面状に当接して延びてから、さらに支持手段の張り出した切欠きの中に入るように延びる。そうすれば、あとでまた詳細に検証する支持手段および大気に対する密封を、いっそう簡単に具体化可能である。
【0009】
発明思想のさらに別の構成では、切欠きの長さは最小20mm、特に最小30mm、さらには特に最小40mmであると好ましいことが判明している。
【0010】
負圧包帯における創傷と反対側の上面への本発明による接続装置の装着ないし付着は、それ自体任意の仕方で行うことができ、すなわち、たとえば付着媒介剤または追加のテープ状もしくはフィルム状の手段によって行うことができる。本発明の1つの好ましい実施形態では、第1の支持手段が負圧包帯のほうを向く側に接着剤コーティングを担持しているか、または、自己粘着性に構成されており、それによって接続装置は、負圧包帯の創傷と反対側の上面に直接付着可能であり、負圧密閉式に適用可能である。つまり支持手段とその接着剤コーティングは、この実施形態では、負圧包帯との好ましくは取外し可能な結合を具体化する。
【0011】
発明思想のさらに別の構成では、導通手段が第2の面状の支持手段により覆われ、そのようにして第1および第2の支持手段の間でサンドイッチ状に収容されることによって、導通手段が負圧密閉式に第1の支持手段に保持されると好ましいことが判明しており、第2の支持手段は、第1の支持手段の平面への投影で見て切欠きを全面的に覆っている。この別の発明思想では、経済的な仕方で製造可能かつ全体的に負担の少ない、支持手段に対する導通手段の密封を実現できることが示されている。この発明思想では、面状の当接に基づいて相互に良好に密封可能である、面状に重なり合う、すなわち面状に相互に当接する、可撓の平坦材料を利用することができる。
【0012】
この場合、第2の支持手段は第1の支持手段の長さに比べて導通手段の出口の領域で引っ込んでおり、それにより、そこで第1の導通手段の重なり合いのない領域が形成されると好ましいことが判明している。
【0013】
それぞれの支持手段の間で導通手段を特に出口領域で密封するために、これらの材料を直接的に、特に加硫接合の形式で熱的に相互に接合することができ、または、特にシリコンベースのシール素材を密封のために利用することも考えられよう。シール素材が導通手段の出口領域でのみ、それぞれの支持手段の間に設けられ、導通手段の周辺の領域を密封すれば足りることが判明している。シール素材は同時に、第1および第2の支持手段の間の付着を媒介するようにも作用する。
【0014】
さらに、第1および/または第2の支持手段が熱可塑性エラストマー、特にシリコンまたはポリウレタンまたは好ましくは親水コロイド材料、特に自己粘着性の親水コロイド材料で構成され、又はこのような材料を含んでいると好ましいことが判明している。ここでは親水コロイド材料が優先される。親水コロイド材料とは、親水コロイド(たとえばナトリウム・カルボキシメチルセルロース)が中で均一に分散しているマトリックス材料を意味している。自己粘着性の親水コロイド材料とは、親水コロイド(たとえばナトリウム・カルボキシメチルセルロース)が中で均一に分散している、感圧性の接着素材(たとえば合成ゴムをベースとした)を意味している。
【0015】
たとえば創傷の被覆として使用するのに適した親水コロイド平坦材料は、Avery Dennison社(ベルギーのTurnhout所在)から商品名MED 5598Hで入手することができる。特に親水コロイド材料を含む、もしくは親水コロイド材料からなる面状の支持手段は、たとえばポリウレタンフィルムのような支持フィルムおよび/または剥離可能なリリースコーティングを含むことができる。前述した親水コロイド平坦材料は、一方の側にポリウレタンフィルムを有するとともに、これに向かい合う剥離可能なリリースコーティングを有している。
【0016】
導通手段が構成されるエラストマー材料は最大60、特に5〜60、特に10〜60、特に15〜50、特に15〜40、さらには特に15〜35のショアA硬度を有しているのが好ましい。ショアA硬度は2000年8月版のDIN53505に基づいて判定され、すなわち、この規格に記載されているように厚さ6mmのプレート状の平坦で平滑な試料体について23℃で判定される。本発明の1つの好ましい実施形態では、導通手段はシリコンをベースとして構成される。
【0017】
すでに指摘したとおり、本発明による接続装置は負圧包帯の平面に対して垂直方向で非常に平坦に構成されている。導通手段と支持手段からなる複合体の厚みは最大10mm、特に最大7mm、特に最大6mm、さらには特に最大5mmであるのが好ましい。
【0018】
平坦な導通手段の幅の大きさは最小10mm、特に最小15mm、さらには特に最小18mm、かつ特に最大30mm、さらには特に最大25mmである。
【0019】
平坦で可撓に構成された導通手段は、創傷空間へ負圧を導入するため、および場合により洗浄液や洗浄ガスを導入するため、および創傷分泌物を排出するために用いられるので、すなわち、好ましくは通路を形成する連通機能を有しているので、導通手段を複数のコンポーネントもしくは層で層状に構成するのでなく、その平面型の形状にもかかわらずホース状に構成し、すなわち、断面で見て円周方向で一体的に連続するように単一の材料で構成することが提案される。
【0020】
さらに、導通手段が内部に一体成形された、特に導通手段の材料と一体的に構成された、負圧が供給されたときに導通手段の委縮を防止する手段が設けられていると好ましいことが判明している。導通手段の委縮を防止するこの手段は、特に、上に説明した意味でホース状である導通手段に設けることができる。委縮を防止するこの手段は、たとえばリブや突起で構成されていてよい。この発明思想の発展例では、この手段が一貫して連続するように延びていると好ましいことが判明している。このとき導通手段は、押出成形部品として構成されているのが好ましい。
【0021】
さらに、導通手段が互いに圧力密閉式に隔離された複数の通路を含んでいると好ましいことが判明しており、導通手段はそのような場合にも一体的に構成されているのが好ましく、すなわち、通路を形成する複数の別々の手段をまとめたものではない。複数の通路は、接続装置の創傷のほうを向く端部の方向へと洗浄剤を案内することができる洗浄通路と、負圧供給ないし創傷分泌物の排出の役目をする、負圧を通す通路とを含むことができる。それにより、導通手段の内部で生じる場合がある詰まりも解消することができる。このとき各々の通路は、導通手段にある少なくとも1つの開口部と連通している。
【0022】
平坦な導通手段は長手方向にある程度の距離にわたって延びているのが好ましく、差込接続部または接着接続部を形成することができる図示しない移行部材または連結部材を介して、通常のねじれ剛性の高い円形ホースへと移行することができ、この円形ホースは、定置の機器として、または患者の身体で携帯可能な移動式の機器として構成されていてよい負圧生成装置へと通じている。移行部材または連結部材は、多通路の導通部材を多通路の円形ホースと連結するために構成されていてもよい。10〜60cmの長さが、平坦な導通手段の好都合な長手方向の長さであることが判明している。
【0023】
平坦な導通手段が製造者の側で負圧密閉式に結合される、接続装置の面状の第1および/または第2の支持手段は、同じく、5〜60、特に10〜60、特に15〜50、特に15〜40、さらには特に15〜35のショアA硬度の可撓のエラストマー材料で構成されているのが好ましい。面状の支持手段は、0.75〜3mm、特に1〜3mmの厚みを有しているのが好ましい。
【0024】
支持手段は、平坦な導通手段を保持して均等に支持する役目をする。したがってその面状の広さは、該当する創傷側の長手方向端部区域における導通手段の面状の広さよりも大きい。その意味で、第1の支持手段の面状の広さが、支持手段に対して垂直に投影した導通手段の面の最小1.5倍、好ましくは最小2倍であると好ましいことが判明している。それにより、導通手段を介して接触時に導入される力が広い面にわたって分散され、また、導通手段に及ぼされる曲げモーメントも負圧包帯に伝わらず、もしくはわずかな程度しか伝わらないからである。このような曲げモーメントは、プレート状の支持手段によって良好に吸収される。上に述べた面積比率は最大5、特に最大4であれば足りることが判明しており、2〜3の比率が好ましいことが判明している。
【0025】
平坦な導通手段は断面で見てたとえば長方形の形状を有することができ、両方の短辺は面取りされて構成されていてもよい。本発明の別の実施形態では、導通手段は断面で見て台形状に構成されている。そのとき短辺は、たとえば面状の支持手段の平面に対して25°から60°、特に35°〜50°の傾斜角で斜めに下がっており、片側または好ましくは両側の台形の側面は必ずしも直線状ではなく丸くなって延びることが十分にできる。
【0026】
導通手段の負圧包帯のほうを向いている面側または壁部にある開口部の個数や大きさの観点からは、負圧包帯にある対応する開口部およびそれに伴って創傷空間と連通するただ1つの開口部だけが設けられることが、それ自体としては考えられよう。しかしながら、負圧包帯のほうを向いている導通手段の長手方向区域に、導通手段の長さ1cmにつき複数の開口部、特に少なくとも2つの開口部が設けられていると好ましいことが判明している。このとき導通手段にある開口部の内のりの開口面積は、支持手段にある切欠きの面積の5から50%であると好ましいことも判明している。
【0027】
接続装置において負圧包帯のほうを向いて接着剤コーティングを備えている側は、全面的に、すなわち切欠きの領域を超えて、負圧包帯へ接続装置を適用する直前に剥離される剥離可能なリリース層を備えている。
【0028】
上に説明したすべての構成要件はそれ自体として、および相互の任意の組み合わせとして、および他の構成要件と組み合わせとして、発明の要部をなすものと見なされる。本発明のその他の構成要件、具体的事項、および利点は、添付の特許請求の範囲および図面の図示、および本発明の好ましい実施形態についての以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図面には次のものが示されている:
【図1】創傷の負圧治療で使用するための本発明による接続装置を示す斜視図である。
【図2】図1の接続装置を示す縮尺に忠実ではない概略断面図である。
【図3a】本発明による接続装置の導通手段を示す断面図である(切断面は長手方向に対して垂直方向)。
【図3b】本発明による接続装置の導通手段を示す断面図である(切断面は長手方向に対して垂直方向)。
【図3c】本発明による接続装置の導通手段を示す断面図である(切断面は長手方向に対して垂直方向)。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1と図2は、全体として符号2が付された、創傷の負圧治療で使用するための本発明による接続装置の異なる図面を示している。図示した接続装置2は、治療されるべき創傷を覆って大気に対して負圧密閉式に閉止する図示しない負圧包帯の創傷と反対を向いているほうの上面に、好ましくは取外し可能に装着される。
【0031】
接続装置2は、可撓のエラストマー材料からなる平坦な導通手段4と、面状に延びる第1の支持手段6と、面状に延びる第2の支持手段8とを含んでおり、これらの間に平坦な導通手段4がサンドイッチ状に収容されており、両方の面状の支持手段6,8は、平坦な導通手段4を保持して支持する。したがって、導通手段4に及ぼされる圧力や曲げ力または歪みは、互いに少なくとも部分的に重なり合う両方の支持手段6,8からなる複合体へ均等に導入されて、これにより吸収される。
【0032】
図2にもっとも良く見ることができるように、第1の下側の支持手段6には張り出した切欠き10が構成されており、その幅は導通手段4の幅にほぼ相当しており、それにより、導通手段4はこの切欠き10に面状に入るように延びることができる。したがって、この領域で導通手段4の長手方向区域12は、負圧包帯のほうを直接的に向いている。負圧包帯のほうを向く導通手段4の側壁のこの長手方向区域12には、図示しない負圧包帯の開口部、切込み、またはスリットと連通する複数の開口部14が構成されているのが好ましい。
【0033】
第1の支持手段6の負圧包帯のほうを向く下面は、図示している感圧接着剤コーティング16を備えているか、または自己粘着性とされている。切欠き10を含めた下面全体は、図示しない負圧包帯へ接続装置2を適用する直前に剥離される、2部分からなる剥離可能なリリースフィルム18で覆われている。
【0034】
一例として図示している事例では、第1の支持手段6の切欠き10は長方形に構成されており、それにより、導通手段4は面状かつ相補的に中に入るように延びることができる。第1の支持手段6は第2の支持手段8で覆われており、それにより、できる限り広い当接面ないし広い面状の接触領域が、第1および第2の支持手段6,8の間で切欠き10の周囲にもたらされるようになっている。ただし上側の支持手段8は下側の支持手段6に比べて、導通手段4の出口領域で引っ込んでいる。平坦な導通手段4と両方の支持手段6および8との間には、負圧密閉式の積層結合が構成される。これに加えて導通手段4の出口領域では、両方の支持手段の間にシール素材19が設けられている。シール素材19はたとえば反応性接着剤、特にシリコン接着剤である。
【0035】
両方の支持手段6,8は、本実施例では、好ましくは自己粘着性である親水コロイド層で構成されており、それにより、上に述べた追加の感圧接着剤コーティング16は不要となる。あるいはこれ以外の材料を支持手段に使用することもできる。
【0036】
導通手段4の構成は、図3aからcのさまざまな実施形態を用いて図示されている。導通手段4は、接続装置2の1つの好ましい実施形態では台形状に構成されており、その長手方向に沿って、第1の支持手段6に向かう方向で斜めに降下していく2つの側面20を含んでおり、導通手段4ないし支持手段6の延びる平面に対するその角度αは約40から50°である。図3aの導通手段4では、負圧を供給可能なただ1つの通路22が構成されている。図3bおよび3cに示す別案の実施形態では、2つないし3つの通路22が構成されており、図3bの一方の通路、または図3cの両方の外側の小さいほうの通路は、洗浄媒体を運び出すための洗浄配管としての役目を果たすことができる。
【0037】
好ましくはシリコンをベースとする可撓の材料からなり、さらに好ましくは一体的に構成された平面型の導通手段4は、その内面に、導通手段4の潰れを防止する手段24を備えるように構成されている。この手段24は、導通手段4と一体的に製作された、長手方向に連続するリブ26で構成されている。図3bおよび3cに示す導通手段4の実施形態では、この手段28は通路22の間の壁部(隔壁)で構成されている。
【0038】
図2には、導通手段4と支持手段6,8からなる複合体の厚みDがさらに図示されている。この厚みは最大7mm、特に最大5mm、さらに好ましくは2から4mmであるのが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷の負圧治療で使用するための接続装置(2)であって、負圧を供給可能な導通手段(4)と、前記導通手段(4)が負圧密閉式に保持される、前記導通手段(4)のための負圧密閉式の面状の第1の支持手段(6)とを有しており、前記支持手段(6)は、創傷を覆うとともに大気に対して密閉をするように閉止する負圧包帯に装着可能であり、前記導通手段(4)は、前記導通手段(4)の前記負圧包帯のほうを向いている壁部にある少なくとも1つの開口部(14)および前記負圧包帯にある少なくとも1つの開口部を貫通して創傷空間と連通している、そのような接続装置において、前記導通手段(4)は可撓かつ平坦に構成されており、前記第1の支持手段(6)には張り出した切欠き(10)が構成されており、該切欠きの幅は前記導通手段(4)の幅と少なくとも同じ大きさであるとともに該切欠きの長さは最小15mmであり、前記導通手段(4)は前記切欠き(10)に入るように面状に延びるとともに、そのようにして前記切欠き(10)を貫通して使用時に前記負圧包帯のほうを直接向き、それにより前記導通手段(4)にある少なくとも1つの開口部(14)は前記負圧包帯にある少なくとも1つの開口部と直接的に連通することを特徴とする接続装置。
【請求項2】
前記支持手段(6)の前記切欠き(10)の長さは最小20mm、特に最小30mm、さらには特に最小40mmであることを特徴とする、請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記第1の支持手段(6)は負圧包帯のほうを向く側に接着剤コーティング(16)を担持しているか、または自己粘着性に構成されており、それにより前記接続装置は、負圧包帯の創傷と反対を向いているほうの上面に直接付着するように負圧密閉式に適用可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の接続装置。
【請求項4】
前記導通手段(4)は、前記導通手段が第2の面状の支持手段(8)により覆われ、そのようにして第1および第2の前記支持手段(6,8)の間でサンドイッチ状に収容されることによって、前記第1の支持手段(6)で負圧密閉式に保持されており、前記第2の支持手段(8)は前記第1の支持手段(6)の平面への投影で見て前記切欠き(10)を全面的に覆っていることを特徴とする、先行請求項のうちいずれか1項または複数項に記載の接続装置。
【請求項5】
前記第2の支持手段(8)は、前記第1の支持手段(6)の長さに比べて前記導通手段(4)の出口の領域で引っ込んでおり、それにより、そこで重なり合いのない前記第1の導通手段(6)の領域が形成されることを特徴とする、請求項4に記載の接続装置。
【請求項6】
第1および第2の前記支持手段(6,8)の間で密封をするためにシール素材(19)、特にシリコンベースのシール素材(19)が使用されており、該シール素材は、第1および第2の前記支持手段(6,8)の間の付着を好ましくは同時に媒介するように作用することができることを特徴とする、先行請求項のうちいずれか1項または複数項に記載の接続装置。
【請求項7】
第1および/または第2の前記支持手段(6,8)は、熱可塑性エラストマー、特にシリコンもしくはポリウレタン、または好ましくは親水コロイド材料、特に自己粘着性の親水コロイド材料で構成されており、またはこのような材料を含んでいることを特徴とする、先行請求項のうちいずれか1項または複数項に記載の接続装置。
【請求項8】
前記導通手段(4)が構成されるエラストマー材料は最大60、特に5〜60、特に10〜60、特に15〜50、特に15〜40、さらには特に15〜35のショアA硬度を有していることを特徴とする、先行請求項のうちいずれか1項または複数項に記載の接続装置。
【請求項9】
前記導通手段(4)と前記支持手段(6,8)からなる複合体の厚み(D)は最大10mm、特に最大7mm、特に最大6mm、さらには特に最大5mmであることを特徴とする、先行請求項のうちいずれか1項または複数項に記載の接続装置。
【請求項10】
前記導通手段(4)の幅の大きさは最小10mm、特に最小15mm、さらには特に最小18mm、かつ特に最大30mm、さらには特に最大25mmであることを特徴とする、先行請求項のうちいずれか1項または複数項に記載の接続装置。
【請求項11】
前記導通手段(4)は前記導通手段の長手方向に対して垂直な断面で見て円周方向でホース状に連続するように構成されていることを特徴とする、先行請求項のうちいずれか1項または複数項に記載の接続装置。
【請求項12】
前記導通手段(4)は内部に一体成形された、特に前記導通手段の材料と一体的に構成された、負圧が供給されたときに前記導通手段(4)の潰れを防止する手段(24)を有していることを特徴とする、先行請求項のうちいずれか1項または複数項に記載の接続装置。
【請求項13】
前記潰れを防止する手段(24)は特に前記導通手段(4)の長手方向に特に一貫して連続するように延びるリブ(26)または突起で構成されていることを特徴とする、請求項12に記載の接続装置。
【請求項14】
前記導通手段(4)は互いに圧力密閉式に隔離された複数の通路(22)を含んでおり、前記導通手段(4)は好ましくは一体的に構成されていることを特徴とする、先行請求項のうちいずれか1項または複数項に記載の接続装置。
【請求項15】
面状の第1および/または第2の前記支持手段(6,8)は5〜60、特に10〜60、特に15〜50、特に15〜40、さらには特に15〜35のショアA硬度の可撓のエラストマー材料で構成されていることを特徴とする、先行請求項のうちいずれか1項または複数項に記載の接続装置。
【請求項16】
前記第1の支持手段(6)の面状の広さは、 その切欠き(10)を含めて前記支持手段(6)に対して垂直に投影した前記導通手段(4)の面の最小1.5倍、特に最大5倍であることを特徴とする、先行請求項のうちいずれか1項または複数項に記載の接続装置。
【請求項17】
前記導通手段(4)は断面で見て台形状に構成されていることを特徴とする、先行請求項のうちいずれか1項または複数項に記載の接続装置。
【請求項18】
前記導通手段にある前記開口部(14)の内のりの開口面積は前記切欠き(10)の面積の5〜50%であることを特徴とする、先行請求項のうちいずれか1項または複数項に記載の接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【公表番号】特表2013−517810(P2013−517810A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549277(P2012−549277)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000009
【国際公開番号】WO2011/091947
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(500038020)パウル ハルトマン アクチェンゲゼルシャフト (64)
【Fターム(参考)】