説明

創傷閉鎖具及び創傷包帯

【課題】開放創に不都合な副作用を高めることなく治療的陰圧をかけることができる創傷被覆及び治療システムが明らかに必要である。現在そのような創傷被覆または治療システムの存在は知られていない。本発明が目指すのはこの必要性を満たすことである。
【解決手段】少なくとも2層以上を含む第一多孔性パッドは、相互に連通するセルを有する高分子発泡体と、複数の貫通孔を表面に有する2枚の可撓性プラスチックフィルムのシートとからなり、第一のシートは、創傷面とパッドとの間に置かれ、液体不透過性のフィルム状被覆部材が、第一多孔性パッドの上の第二多孔性パッド上に置かれ、フィルム状被覆部材は、創傷周囲の皮膚領域に密着するための粘着性周辺部を有し、接続手段が、フィルム状被覆部材を貫通して延び、第二多孔性パッドと流体連通し、陰圧源に接続し、創傷からの滲出液の流れを促進する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概ね外傷または手術によって発生した創傷を治療するために使用するデバイスに関するものである。より詳細に述べれば、本発明は一時的閉鎖及びその後の最終的閉鎖前の再開口が便利である腹部創傷のような開放創の治癒を容易にする創傷閉鎖具及び創傷包帯に関する。
【背景技術】
【0002】
術後感染の予防においては著しい進歩が見られる。さらに、種々の侵襲的手術を受けた患者、特に腹腔に関係する侵襲的手術を受けた患者の術後治療は、上記腹腔に再アクセスし、創傷及び内臓の最終的治癒を阻害することが多い腹膜炎やその他の感染症に取り組めるようになったために向上している。最適結果は術後感染またはその他の合併症が起きないことだが、そのような合併症はしばしば発生する。これらの発生を克服するために確立された方法は、一時的に創傷を閉鎖し、その後その創傷を再び開いて、腹腔を清浄にし、その種の合併症(最終的または確定的閉鎖前に治療しておかなければならないような合併症)を治療するという今や一般的な方法である。
【0003】
外科的閉鎖と題するノイマン(Neumann)らの米国特許第5,437,683号(この開示は参考として本明細書に組み込まれる)における基礎的記述は、腹部手術に関係する種々の合併症及び腹腔の術後清浄法を研究している。ノイマンらは、再アクセス可能の創傷閉鎖を確立するための若干複雑な解決法、すなわち創傷をカバーし、吸入管を備え、外側に広がって最終的閉鎖前に必要な際には再侵入できる比較的大きい密封可能の管になっているフレキシブルなファブリックまたはプレート様固定デバイスを教示している。
【0004】
腹腔手術後に一時的に壁を閉鎖するためのその他の方法が多数報告された。これらの方法を研究すれば、提案された種々の一時的閉鎖手法の適性を判断する客観的基準を決定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5437683号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
適切な一時的閉鎖は、簡単で、かつ適用し易く、腹部内容物を含むのに効果的でなければならず、腹部器官及び周囲組織の妨害を最小限にし、癒着や瘻形成を完全に阻止するとは言わないまでも最小限にとどめ、最終的閉鎖に向かうプロセスを促進するものでなければならない。
【0007】
多くの既存の一時的創傷閉鎖法に共通する問題は、組織と、創傷に接触する物質との癒着形成の問題である。そのような癒着は好ましくなく、創傷部位の最終的閉鎖に向けて準備するプロセスを複雑にする。ガーゼ、手術用タオル及び連続気泡フォーム(発泡体)のような有孔性物質を開放創傷部位に直接接触するように置いた場合、癒着形成を促進する表面積が大きくなり、その結果上記物質の除去がますます難しくなり、最終的閉鎖はさらに複雑になる。
【0008】
一時的創傷被覆物質の除去をより難しくする条件を作り出すことなく創傷部位上を陰圧に維持することは明らかに好ましい。好都合に層状になった創傷被覆物質は陰圧の適用及びその結果としての滲出液の除去を両方とも可能にする。このような被覆には、創傷部位に外傷を与えることなくその創傷を清浄にする目的で再侵入することができる。このような創傷被覆は腹部手術による開放創のために最も好ましい。これらのデバイス及び技術は難しい治癒過程を示すその他のタイプの開放創にも使用できる。
【0009】
開放創に不都合な副作用を高めることなく治療的陰圧をかけることができる創傷被覆及び治療システムが明らかに必要である。現在そのような創傷被覆または治療システムの存在は知られていない。本発明が目指すのはこの必要性を満たすことである。
【0010】
本発明の目的は開放創を一時的に被覆するのに役立ち、創傷からの滲出液を除去するために陰圧をかけることができる層状創傷包帯を提供することである。
【0011】
本発明のもう一つの目的は、創傷治癒を容易にするようなやり方で、創傷部位から液を除去するための陰圧をかけることができ、創傷包帯とその下の組織との間の癒着形成を最小にすることができる創傷包帯を提供することである。
【0012】
本発明のまた別の目的は、創傷包帯とその下の組織との間の癒着形成を促進しないようなやり方で創傷部位から液を除去するための陰圧をかけることができる創傷包帯を提供し、さらに滲出液が陰圧効果を阻害するような過度の目詰まり経験せずに通過できる多孔性媒体を提供することである。
【0013】
本発明のさらにまた別の目的は、開放創を一時的に被覆するのに役立ち、創傷から滲出液を除去するために陰圧をかけることができ、他方、清浄化及び/または治療のために腹腔に反復アクセスできるように創傷部位から容易に取り除くことができる腹部創傷包帯を提供することである。
【0014】
これら及びその他の目的を実現するにあたって、本発明は、創傷部位の治癒を促進し、他方包帯の除去を阻止する癒着形成を制限するやり方で創傷部位に陰圧をかけることができる腹部創傷包帯を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明は、癒着を生じずに創傷部位からはく離できる創傷閉鎖具であって、前記閉鎖具は、相互に連通するセルを有する体液透過性の高分子発泡体の層を2層以上含み、第一シートに隣接する第一隣接部分と第二シートに隣接する第二隣接部分とに、それぞれ複数の穴を有し、これら第一隣接部分の穴と第二隣接部分の穴とが、平面視位置が合わないように軸線をずらせて配置されている、創傷上または創傷内に配置するための第一多孔性パッドと、複数の貫通孔を有する可撓性プラスチックフィルムからなり、前記第一多孔性パッドの一方の面と接触して、この第一多孔性パッドと前記創傷の表面との間に配置される第一シートと、複数の貫通孔を有する可撓性プラスチックフィルムからなり、前記第一多孔性パッドの一方の面と接触して、その周縁部が前記第一シートの周縁部と一体に封止されて囲包体を形成するとともに、接続手段が陰圧源に接続された使用状態において、創傷滲出液が、前記第一多孔性パッドと前記フィルムの貫通孔を通じて、外に引き出されるようになっている第二シートと、前記創傷の周囲の皮膚領域を封止するための接着性周辺部を有する液体不透過性のフィルム状被覆部材と、前記第二シートと前記フィルム状被覆部材との間に配置される第二多孔性パッドと、前記フィルム状被覆部材を貫通して延設され、前記第二多孔性パッドと流体連通する接続手段と、この接続手段に流体連通して、前記創傷から滲出する体液の流れを促進するための陰圧源と、を備える創傷閉鎖具を第1の要旨とする。
【0016】
また、本発明は、癒着を生じずに創傷部位から取り外すことのできる創傷包帯であって、前記包帯は、創傷表面と接触して配置されるための体液透過性の第一多孔性パッドと、高分子化合物を原料とする多孔質材料からなり、前記第一多孔性パッドの上方に配置される第二多孔性パッドと、前記創傷の周囲の皮膚領域を封止するための接着性周辺部を有し、前記第二多孔性パッドと創傷上に置かれるための前記第一多孔性パッドとを覆うように配置される液体不透過性のフィルム状被覆部材と、このフィルム状被覆部材を貫通して延設され、前記第二多孔性パッド及び第一多孔性パッドと流体連通するとともに、前記創傷から滲出する体液の流れを開始させるための陰圧源に接続される管状コネクターと、を備え、前記第一多孔性パッドが、相互に連通するセルを有し、これを上下方向に横断する複数の横断穴が分散して形成された高分子発泡体と、前記第一多孔性パッドの創傷接触面を構成し、前記高分子発泡体と前記創傷の表面との間に配置されるための弾性フィルム製の第一シートと、前記高分子発泡体におけるこの第一シートと反対側の面に配置され、前記第一シートとともにこの高分子発泡体を包み込む弾性フィルム製の第二シートと、から構成されている創傷包帯を第2の要旨とする。
【0017】
さらに、本発明は、癒着を生じずに創傷部位から取り外すことのできる創傷包帯であって、前記包帯は、創傷と接触して配置されるための体液透過性の第一多孔性パッドと、相互に連通するセルを有する高分子発泡体からなり、弾性フィルム製の第二シートの上に接するように配置される体液透過性の第二多孔性パッドと、前記創傷の周囲の皮膚領域を封止するための接着性周辺部を有し、前記第二多孔性パッドと創傷上に置かれる前記第一多孔性パッドとを覆うように配置される液体不透過性のフィルム状被覆部材と、このフィルム状被覆部材を貫通して延設され、前記第二多孔性パッドと流体連通するとともに、前記創傷から滲出する体液の流れを開始させるための陰圧源に接続される管状コネクターと、を備え、前記第一多孔性パッドは、相互に連通するセルを有する高分子発泡体からなり、これを上下方向に横断する複数の横断穴が分散して形成された発泡パッドと、この発泡パッドを包み込むように配置された第一及び第二の2つの弾性フィルム製シートの互いの周縁部どうしを一体的に封止することにより形成された弾性囲包体と、からなり、前記弾性フィルム製の第一シートは、前記発泡パッドを上下方向に横断するように設けられた横断穴と連通するように軸線を合わせて形成された複数の貫通孔を有し、前記弾性フィルム製の第二シートは、前記発泡パッドを上下方向に横断するように設けられた横断穴と連通しないように軸線をずらせて形成された複数の貫通孔を有している創傷包帯を第3の要旨とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一面により、創傷上または創傷中にある液体が透過できる多孔性パッドを含んでなる取り外し可能の創傷閉鎖具が提供され、上記多孔性パッドは相互に連通するセルを有する高分子発泡体(ポリマフォーム)と複数の貫通孔を表面に有する可撓性プラスチックフィルムのシートからなり、上記プラスチックフィルムは創傷面とパッドとの間に置かれ、液体不透過性のフィルム状被覆部材(ドレープ)が上記多孔性パッド上に置かれ、上記フィルム状被覆部材は創傷周囲の皮膚領域に密着するための粘着性周辺部を有し、接続手段が上記フィルム状被覆部材を貫通して延び、多孔性パッドと流体連通し、陰圧源に接続(連結)し、創傷からの滲出液の流れを促進する。
【0019】
可撓性プラスチックフィルムの孔は、創傷と接触するフィルム面積の充分小さい部分を占め、その結果、繊維状組織のシート内への成長は制限される。このようにして上記フィルムは創傷に付着せず、取り外しは比較的容易である。上記フィルムの孔はフィルムの有効面積の10%未満、特に5%未満、または1〜2%未満でなければならない。スリットまたはスロットの形の開口が好ましい。なぜならばこれらはフィルム面積の非常に小さい部分を占めるからである。
【0020】
スリットまたはスロットは一般的には長さが0.5〜2cm、例えば1〜1.5cmであり、10〜40mil間隔、例えば20〜30mil間隔に並んでいる。
【0021】
可撓性フィルムはその形を保持するのに十分なほど硬くなければならない。適切な材料は厚さ30〜80μm、例えば40〜60μmの可塑化PVCである。
【0022】
使用時に、上記フィルムをそれが創傷端を覆うような大きさに整える。網状ポリウレタンフォーム等の吸収性高分子発泡体を、創傷の境界内に合うような大きさに整える。整えた発泡パッドを、カットしたフィルム上に置き、その際そのフィルムの端がパッドの周囲を超えて、例えば約20〜80mm、好ましくは40〜60mm、典型的には約50mmだけ延びるようにする。弾性フィルム様材料からなる医療用被覆材(あるいは外科用被覆材:サージカルドレープ)を上記発泡パッド及び可撓性プラスチックフィルム上に、それらを包むように置き、創傷包帯全体を気密的に封止する。吸引管またはコネクターが上記医療用被覆材を通して高分子発泡体に、またはその近辺にとどくように配設される。上記吸引管またはコネクターは医療用被覆材に密着し、吸引管またはコネクターを陰圧源と結合することによってドレープの下の空間は大気圧より低い圧に維持される。好ましい吸引管コネクターヘッドは英国特許第2,329,127号及び米国特許第6,216,701号に記載されている。この開示は参考として本明細書に詳細に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】エンベロープ(囲包体)内の単一フォーム層とこれに重ねた第二フォーム層との組合わせの使用を示す本発明の第一の実施形態のデバイスの断面図である。
【図2】図1と同様であるがエンベロープ(囲包体)内のフォーム層が二層の場合の使用を示す本発明の第二の実施形態の断面図である。
【図3】単一の可撓性シートと、その上の単一フォーム層とを含む参考の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
つぎに、本発明の実施の形態を、図面にもとづいて詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0025】
医療用被覆材は一般的には薄い弾性フィルムであり、その一面が粘着性感圧接着剤で覆われている。通常、離型剤を塗布した保護シートがその接着剤表面と接触しており、使用直前にそれを剥がして接着面を露出する。本発明の目的では、上記保護シートを剥がす前に上記接着性弾性フィルムと保護フィルムの組を適切な大きさにカットする(そしてもし適切ならば、吸引管またはコネクターのための穴もカットされる)。
【0026】
適切な弾性フィルムにはポリウレタン及びポリブタジエンがある。市販のサージカルドレープ(医療用被覆材あるいは外科用被覆材)には3M社(3M Company)から“テガダーム(Tegaderm)”の商標で販売されているもの等がある。
【0027】
上記発泡体は多層からなる。発泡体の上面に吸引管のコックまたはコネクターが置かれ、陰圧源に連結する。創傷と接触する可撓性プラスチックシートとこれとは分離した高分子発泡体部分とを使用する代わりに、上記発泡体をプラスチックフィルムのエンベロープ(封筒様の囲包体あるいは袋体)内に包んでもよい。この実施の形態において、プラスチックフィルムは弾性を有し、フィルムは発泡体の周囲より外側に延びている必要はない。しかし発泡体の周囲から、例えば約20〜80mm、より一般的には約40〜60mm、典型的には約50mmだけ延びるフィルムフランジを備えるのは好都合である。適切な弾性フィルム材料には、医療用被覆材に使用するものと同様な、ポリウレタン、PTFE、またはポリブタジエンフィルムがある。弾性フィルムは厚さ約30〜70μm、特に40〜60μm、典型的には約50μmを有するのが好ましい。種々の大きさの高分子発泡体片(slab)を多数切り取り、形を整え、弾性フィルム材料からなる囲包体(エンベロープ)内に包む。超音波または熱溶接を使用して上記フィルムを溶接し、囲包体を形成するのが好都合である。一般には腹部創傷は近似的に楕円の形をしており、発泡パッドも楕円形であるのが好ましい。発泡パッドの典型的サイズは長径が約280、320及び380mmで、短径が約140、175及び250mmである。厚さ約5〜10mm、例えば約6mmを有するポリウレタンフォームが適する。1インチあたり約30〜50の気孔(空隙:ポア)、例えば40の気孔を有する多孔性ポリウレタンフォームが好ましい。ポリエーテルフォームまたはポリビニルアルコールフォームを代わりに用いてもよい。多層発泡体を使用する場合、異なる層に異なる発泡体を使用できる。例えば下方フィルムと接触する層はポリビニルアルコールフォームで、それより上の層(一層または複数層)がポリウレタンフォームでもよい。
【0028】
上記多層の実施形態において、下方の少なくとも一つの発泡体層は弾性材料に包まれ、開放創内の組織と直接接触するように置かれる。参考の形態においては、単層の発泡体が用いられ、上記発泡体層を含む弾性材料の囲包体が開放創と直接接触した状態に置かれる。
【0029】
体液(滲出液)は陰圧によってフレキシブルな材料または弾性材料の孔(貫通孔)を通して、その後発泡体を通して引き出される。多層の実施形態において、体液は陰圧によって、弾性囲包体(エンベロープ)にある孔を通り、上記下方発泡体層(単層または複数層)を通り、再び弾性囲包体の孔を通り、それから包まれた下方発泡体層(単層または複数層)の上に位置する上方発泡体層を通して引き出される。
【0030】
多層の実施形態において、発泡体の下方層は比較的微細な多孔性であり、一方発泡体の上方層はより粗い。本発明の全ての実施形態において、接着性弾性シート、例えばサージカルドレープ(医療用被覆材)が全創傷を覆い、その端は創傷周囲の皮膚に密着する。適切な真空デバイスが吸引管コックまたはコネクターに取り付けられ、治療的陰圧をもたらす。
【0031】
本発明は、腹腔手術後の腹腔に反復アクセスすることを必要とする外科手術と組合わせて使用されるものである。本発明は創傷治癒とその最終的閉鎖の両方を容易にする取り外し可能の有効な創傷包帯を提供することに向けられる。
【0032】
本発明の包帯構成物を使用する際に必要な真空をもたらす陰圧系及び本明細書に記載の処置法の説明には、米国特許出願第09/951832号及びUSSN09/078,223号及び英国特許第2307180(WO94/20041及びWO97/18007)が参照される。これらの特許公報の開示は参考として本明細書に組み込まれる。陰圧は本明細書では1気圧未満の真空と定義される。陰圧をコントロールし、滲出液を集めて廃棄することも上記の参考資料に記載されている。このような系を本明細書に記載の包帯構造と組合わせて使用するやり方は一般の当業者には理解される。
【0033】
図1により、本発明の第一の実施形態を説明する。ここでは包帯の創傷接触層に単一の下方フォーム(発泡体)層が使用されている。図1も図2も本発明の包帯の部分分解図である。使用中、フォーム層と弾性材料からなる介在シートは互いにぴったりと、時には密封的に接触する。
【0034】
図1に示される完全な創傷包帯(10)は上部フォーム層(12)と下部フォーム層(36)を含む。下部フォーム層(36)はサージカルドレープ(医療用被覆材)の膜として使用される弾性材料(38)の2枚のシート内に包まれている。弾性シート(38)は、必要な強度と、創傷に直接接触する際に必要な弾力性とを両方有するポリウレタンフィルムから作るのが好ましい。もう一つの適切な材料はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。弾性シート(38)の周囲は、溶接または接着剤等によって、下部フォーム層(36)を取り巻くように封止される。弾性シート(38)は創傷癒着の形成に抵抗し、そのため創傷内の組織面及び創傷周囲と直接接触して置かれるのに適する。
【0035】
連続気泡フォームやメッシュ材料より、むしろこのような無孔性フィルム材料を創傷開口部と接触して置いた場合、癒着の発生は著しく減る。癒着は、時が経つと包帯の除去を難しく、または危険にする。しなやかでフレキシブルな下部層エンベロープ(囲包体)は創傷の上および/または中に容易に挿入される。下部層エンベロープは、所望に応じて、創傷上に置かれるか(この場合は上記層の端が創傷周囲の皮膚と接触する)、またはより好ましくは創傷内に挿入され、下部層エンベロープの上面が創傷上に露出しているかどちらかである。
【0036】
上記包帯全体(10)は図2及び図3の断面図に示すように概ね平らな輪郭を有する。上記包帯の形はこれを適用する創傷の大きさ及び形によって著しく変化する。8インチ×8インチの範囲から18インチ×18インチの範囲にまで及ぶ大きさを有する矩形または正方形が上記の腹部創傷に関連して適切に使用できる。その他のタイプの傷には、その他の寸法及び形、例えば円形、卵形、または長楕円形でさえ適する。卵形または楕円形の発泡体片の厚さ及び平面寸法の一般的大きさは上に記した。この基礎的構造は、これらの、またはその他の形及び大きさのいずれにおいても容易に形成される。
【0037】
弾性シート(38)には、上記弾性シートが形成する囲包体の上方壁(28)及び下方壁(30)に、複数の孔(32)、(34)がある。これらの孔(貫通孔)は長さ、直径または最大寸法が3mm(1/8インチ)〜6mm(1/4インチ)の範囲であり、形成された囲包体の表面の25〜75mm(1インチ〜3インチ)中心に分散している。これらの孔はスリットまたはスロット形であるのが好ましい。孔(貫通孔)の位置は、以後により詳細に述べるように、下部フォーム層(36)内に、そして下部フォーム層を通過(横断)するように配設された穴に関連づけられる。
【0038】
下部フォーム層(36)は、高度の網状構造及び吸引下における良好な透過性を有するポリウレタンフォームから構成するのが好ましい。相互に連絡するセルを最低90%、好ましくは95%有する発泡体が好ましい。好ましくは発泡体は1インチあたり20〜60の気孔を有する。好ましくは、上記ポリウレタンフォームは親水性ポリエーテルポリオールとトリレンジイソシアネートとを水の存在下で反応させることによって製造される。上記の反応で二酸化炭素が遊離する。それはガス状発泡剤となる。気孔の大きさは温度及び撹拌によってコントロールすることができる。最初に泡が形成されたチェンバー内にその泡を保持し、発泡剤によりさらに膨張させ、セル壁を破ることによって、網状化は高まる。
【0039】
上記のように、下部フォーム層(36)には、その層を上面から下面に貫通する多数の穴があいている。弾性エンベロープの孔(32)及び(34)に対するこれらの位置からわかるように、下部フォーム層(36)の穴は、創傷からの滲出液を引き入れる“シンク(水だめ)”を形成するようになっている。弾性エンベロープ(38)の下面にある孔(34)は、上記フォーム層(36)の穴に直接連通する位置に配置されている。
【0040】
弾性エンベロープ(38)の上方壁(28)の孔(32)は、それらが上記フォーム層(36)の穴及びエンベロープ(38)の下面(30)の孔と連通しないように、オフセットして(軸線をずらせて)配置されるのが好ましい。この仕方で、液は創傷からエンベロープ(38)の下面(30)にある孔(34)に、そして下部フォーム層(36)の“シンク”穴に引き入れられる。これらの液はその後下部フォーム層(36)のセルに引き込まれ、そこで分散し、その後再び弾性エンベロープ(38)の孔(この時はエンベロープ(38)の上方壁(28)の孔)を通過する。下部フォーム層/エンベロープを創傷の上または中に置く場合、示したような正しい孔の配置が必要である。
【0041】
先行技術において遭遇する問題は、滲出液の媒質の目詰まり及びそれに伴う破片による流れの停滞であった。真空源に向かう直通流路(この場合は吸引管)が形成されているケースの場合、陰圧源に向かう流れは、非常に速く目詰まりをおこす。本発明は、真空を分散させてこの流れを非局在化するものである。複数の発泡体(フォーム)層、及び弾性シートに間隔を置いて配設された孔が、この分散をもたらす。発泡体に中間(インターリーブ)層がなくても、このようにオフセットして(軸線をずらせて)形成された孔が、この目的を実現する。図1及び図2両方の黒矢印は包帯を通る滲出液の流れを示す。
【0042】
上部フォーム層(12)は創傷から液を引っ張る真空を分散させる最初のメカニズムを与える。図1に示すような目下のところ好ましい実施形態において、上部フォーム層(12)はポリウレタンフォームの下部層より硬い、目の粗いポリエステルベースの発泡体またはポリウレタンフォームである。例えば、上記フォーム(36)の下部層は目の粗いフォーム層1インチあたりの気孔の約1.5〜2倍の気孔を有する。一般的には目の粗いフォーム層は1インチあたり20〜30の気孔を有する。上部フォーム層(12)は、比較的強い陰圧の影響下でもその形状を保持するように、フレキシビリティが幾らか小さくなければならない。上部フォーム層(12)は、下部フォーム層(36)を含む弾性エンベロープ(38)の上方壁(28)と直接接触するように置かれる。上部フォーム層(12)を覆い、包帯の均衡をとるのが弾性ドレープ(14)である。それは好ましい実施の形態において、弾性エンベロープ(38)と同様の或る種のポリウレタンフィルムから作られる。
【0043】
ドレープ(14)は単一のシートであり、上部フォーム層(12)並びに創傷部位の周囲の付加的皮膚領域を完全に覆う十分な大きさにカットされている。永久的に粘着性であるアクリル接着剤のような感圧接着剤がドレープ(14)の少なくとも周辺に塗布され、皮膚に気密に封止され、包帯とその下にある創傷とを効果的に閉鎖する。
【0044】
コネクター(16)がドレープ(14)を切り取って作った孔に置かれ、シールパッチ(22)によってそこに固定される。好ましい実施の形態では円形であるシールパッチ(22)は、コネクター(16)の底部フランジ部及びドレープ(14)に付着する。この方法で、適切な吸引ラインをコネクター(16)上に置かれたチューブコネクター(18)に連結すると、陰圧が上部フォーム層(12)にかかる。フランジ部(20)は、液の流れを多孔性パッドからコネクター(16)の管状部分(18)に向けるチャンネル(流路)で形成された下面を有する。適切な吸引ヘッドコネクターが英国特許第2329127号及び米国特許第6216701号(WO99/13793)に示される。
【0045】
本発明の参考の形態が図3に示される。この参考の形態においては、処理の原理は同じであるが、包帯が一つの発泡体層を含むだけで、無孔性フィルム内の発泡体層が不要となる。使用する発泡体は、譲り受け人であるV.A.C.プロダクトで現在商品化されている黒色連続気泡ポリウレタンフォームである。
【0046】
図3により、半硬質プラスチック材料フレキシブルシート(38)、例えば可塑化PVC(ポリ塩化ビニル)から形成されたもの等が、切り整えた端が創傷の壁に沿うように、創傷と接触して置かれる。上記シートには、好ましくはスリットまたは狭いスロット状の孔(34)が形成されている。網状プラスチック発泡体がシート(38)の上に置かれる。吸引ヘッドコネクター(16)が、そのフランジ部分(20)が発泡体の上面と接触するようにして置かれ、サージカルドレープ(14)が発泡体及びシート(38)上に置かれ、この包帯を創傷にシールする。
【0047】
別個のシールパッチ(22)を使ってコネクターを包帯にシールする代わりに、英国特許第2329127号及び米国特許第6216701号に記載、説明されているように、このパッチはサージカルドレープ(医療用被覆材あるいは外科用被覆材)の一部でもよい。
【0048】
本発明の包帯構造は種々の異なる創傷タイプに関連する多数の環境で使用できる。手術に起因する腹部開放創の場合、弾性囲包体(エンベロープ)内に含まれる下部フォーム層がその創傷内に置かれ、その周辺は多分腹壁の筋膜及び腹膜下に延びる。上部フォーム層は、上記囲包体の露出した上表面に置くのに適した大きさにカットされる。その後適切な位置にコックを有するフィルム状被覆部材が上部フォーム層及び創傷上を覆い、それは全体的に創傷周囲の皮膚上に2インチ以上ひろがり、包帯を正しい位置に接着し、保持する。上記の吸引ラインを適用すると包帯全体が創傷に引き付けられ、包帯からの排出流の開始(促進)に役立つ。
【0049】
上部及び下部フォーム層の厚さは一部所望により、装着した際に包帯が平らな輪郭をもつように決められる。好ましい実施の形態において、より硬い上部フォーム層は、圧縮しない場合25〜75mm(1インチ〜3インチ)の範囲の厚さをもつことができる。その硬さは、通常の創傷吸引と関係する陰圧下で、圧縮率を80%〜90%に制限するものでなければならない。よりしなやかな下部フォーム層は、創傷内に容易に挿入できるように、5〜15mm、例えば5〜10mm(約1/4〜3/4インチ)の範囲の厚さをもたなければならない。
【0050】
本発明の構造は、開放創が内腔と関連していない場合等には、皮膚表面にも利用できる。このような場合、下部の弾性囲包体の周辺は創傷周囲の皮膚に接触できる。これは上部フォーム層を覆うフィルム状被覆部材の周囲が、下部の囲包体の外方に適切に延び、皮膚に接着し、包帯をシールする限り、適する。そこで下部の弾性囲包体が種々の形及びサイズにあらかじめ形成され、他方、上部フォーム層及びフィルム状被覆部材は包帯を創傷にあてる時に、適したサイズ及び形にカットされることが明白になる。
【0051】
図2は本発明のもう一つの好ましい実施の形態を開示する。この際図1の単一の下部フォーム層の代わりに二重のフォーム(発泡体)層が配設される。この実施の形態において、弾性エンベロープ(38)は第一の下部フォーム層(40)及び第二の下部フォーム層(42)を包含する。この配列が優位な点は、両フォーム層に散在するそれぞれの穴が、連通しないようにオフセットして配置されていることにある。弾性エンベロープ(38)の下方壁を中断して設けられた孔(34)は、第二(底部の)フォーム層(42)の“シンク”穴と連通するように位置を合わせて配置されている。弾性エンベロープ(38)の上方壁(28)を中断して設けられた孔(32)は、先に述べたように、上記エンベロープの下面の孔(34)と平面視位置が合わないようにオフセットして配置され、第一(頂上)フォーム層(40)に位置する“シンク”穴に連通するように位置を合わせて配置されている。この構造のもとでは、液流のさらなる分散が起こり、目詰まりをおこす破片の局在化を減らし、この包帯の有効寿命を延長する。この包帯のその他の構成要素、用途及び使用法は図1に関連して上に記載されている。
【0052】
本発明を幾つかの好ましい実施の形態と関連づけて述べた。本発明のこれらに代わる実施の形態及びその他の用途は、本発明の基礎的概念及び原理から逸脱することなく熟練せる当業者によって予期される。若干の材料が特殊の発泡体及びフィルム層に適することを記載した。種々の条件のもとで、包帯の種々の用途において、特に開放−及び再侵入可能−腹部創傷に関連して、幾つかの幾何学的形および寸法が適することを記載した。これらの幾何学的形及び寸法は制限するものではなく、包帯の基礎的層構造を使用できる種々の形及び大きさの代表として記載したものである。したがって本発明の範囲は前記の説明によって制限されるものではなく、添付の特定のクレームによって最も良く定義される。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の創傷閉鎖具及び創傷包帯は、一時的閉鎖及びその後の最終的閉鎖前の再開口が便利である腹部創傷のような開放創の治癒を容易にする。
【符号の説明】
【0054】
12 上部フォーム層(第二多孔性パッド)
14 ドレープ(フィルム状被覆部材)
16 コネクター(接続手段)
28 上方壁(第二シート)
30 下方壁(第一シート)
32,34 孔(貫通孔)
36 下部フォーム層(第一多孔性パッド)
38 弾性エンベロープ(囲包体)
40 第一の下部フォーム層(第二隣接部分)
42 第二の下部フォーム層(第一隣接部分)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
癒着を生じずに創傷部位からはく離できる創傷閉鎖具であって、前記閉鎖具は、
相互に連通するセルを有する体液透過性の高分子発泡体の層を2層以上含み、第一シートに隣接する第一隣接部分と第二シートに隣接する第二隣接部分とに、それぞれ複数の穴を有し、これら第一隣接部分の穴と第二隣接部分の穴とが、平面視位置が合わないように軸線をずらせて配置されている、創傷上または創傷内に配置するための第一多孔性パッドと、
複数の貫通孔を有する可撓性プラスチックフィルムからなり、前記第一多孔性パッドの一方の面と接触して、この第一多孔性パッドと前記創傷の表面との間に配置される第一シートと、
複数の貫通孔を有する可撓性プラスチックフィルムからなり、前記第一多孔性パッドの一方の面と接触して、その周縁部が前記第一シートの周縁部と一体に封止されて囲包体を形成するとともに、接続手段が陰圧源に接続された使用状態において、創傷滲出液が、前記第一多孔性パッドと前記フィルムの貫通孔を通じて、外に引き出されるようになっている第二シートと、
前記創傷の周囲の皮膚領域を封止するための接着性周辺部を有する液体不透過性のフィルム状被覆部材と、
前記第二シートと前記フィルム状被覆部材との間に配置される第二多孔性パッドと、
前記フィルム状被覆部材を貫通して延設され、前記第二多孔性パッドと流体連通する接続手段と、
この接続手段に流体連通して、前記創傷から滲出する体液の流れを促進するための陰圧源と、
を備えることを特徴とする創傷閉鎖具。
【請求項2】
前記第一シートを構成する可撓性プラスチックフィルムの貫通孔が、スリット形状またはスロット形状である請求項1記載の創傷閉鎖具。
【請求項3】
前記第一シートを構成する可撓性プラスチックフィルムが、弾性フィルム材料からなる請求項1または請求項2記載の創傷閉鎖具。
【請求項4】
前記接続手段が、前記フィルム状被覆部材と前記第二多孔性パッドとの間に配置されたフランジ部分と、前記フィルム状被覆部材を通して延設されて前記陰圧源に連結される管状部分と、を備えている請求項1〜3のいずれか一項に記載の創傷閉鎖具。
【請求項5】
前記接続手段のフランジ部分が、体液の流れを前記第二多孔性パッドから前記管状部分に向けるための流路を含む請求項4記載の創傷閉鎖具。
【請求項6】
前記第一及び第二シートを構成する可撓性フィルムの周縁部が一体に封止され、前記第一多孔性パッドの周縁部から外方に延びるフランジが形成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の創傷閉鎖具。
【請求項7】
前記第一シートの貫通孔が、これに関連する前記第二シートの貫通孔に対して平面視位置が合わないように軸線をずらせて形成されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の創傷閉鎖具。
【請求項8】
前記第一シートの貫通孔が、前記第一多孔性パッドの第一隣接部分の穴と連通するように軸線を合わせて配置され、前記第二シートの貫通孔が、前記第一多孔性パッドの第二隣接部分の穴と連通するように軸線を合わせて配置されている請求項1〜7のいずれか一項に記載の創傷閉鎖具。
【請求項9】
前記第一及び第二多孔性パッドが、相互に連通するセルを最低90%以上有する高分子発泡体から構成されている請求項1〜8のいずれか一項に記載の創傷閉鎖具。
【請求項10】
前記第一シートの有効領域における前記貫通孔の開口率が、10%以下である請求項1〜9のいずれかの一項に記載の創傷閉鎖具。
【請求項11】
前記第一シートの各貫通孔の長さが、それぞれ2cm以下である請求項1〜10のいずれかの一項に記載の創傷閉鎖具。
【請求項12】
前記第一シートの各貫通孔の長さが、それぞれ2cm以下であり、かつ、これら各貫通孔が、40mil以下の間隔で整列して形成されている請求項1〜11のいずれかの一項に記載の創傷閉鎖具。
【請求項13】
前記第一シートが、厚さ80μm以下の可塑化塩化ビニルシートからなる請求項1〜12のいずれかの一項に記載の創傷閉鎖具。
【請求項14】
癒着を生じずに創傷部位から取り外すことのできる創傷包帯であって、前記包帯は、
創傷表面と接触して配置されるための体液透過性の第一多孔性パッドと、
高分子化合物を原料とする多孔質材料からなり、前記第一多孔性パッドの上方に配置される第二多孔性パッドと、
前記創傷の周囲の皮膚領域を封止するための接着性周辺部を有し、前記第二多孔性パッドと創傷上に置かれるための前記第一多孔性パッドとを覆うように配置される液体不透過性のフィルム状被覆部材と、
このフィルム状被覆部材を貫通して延設され、前記第二多孔性パッド及び第一多孔性パッドと流体連通するとともに、前記創傷から滲出する体液の流れを開始させるための陰圧源に接続される管状コネクターと、を備え、
前記第一多孔性パッドが、
相互に連通するセルを有し、これを上下方向に横断する複数の横断穴が分散して形成された高分子発泡体と、
前記第一多孔性パッドの創傷接触面を構成し、前記高分子発泡体と前記創傷の表面との間に配置されるための弾性フィルム製の第一シートと、
前記高分子発泡体におけるこの第一シートと反対側の面に配置され、前記第一シートとともにこの高分子発泡体を包み込む弾性フィルム製の第二シートと、
から構成されていることを特徴とする創傷包帯。
【請求項15】
上記弾性フィルム製の第一及び第二シートに、複数の貫通孔が分散してそれぞれに形成されている請求項14記載の創傷包帯。
【請求項16】
前記弾性フィルム製第一シートの周縁部と、前記弾性フィルム製第二シートの周縁部とを一体的に封止することにより、前記第一多孔性パッドを構成する前記高分子発泡体を包み込む弾性囲包体が形成されているとともに、
前記第一シートの貫通孔が、前記第一多孔性パッドを構成する高分子発泡体の横断穴と連通しないように軸線をずらせて配置され、前記第二シートの貫通孔が、前記第一多孔性パッドを構成する高分子発泡体の横断穴と連通するように軸線を合わせて配置されている請求項15記載の創傷包帯。
【請求項17】
前記第一及び第二シートの有効領域における前記貫通孔の開口率が、10%以下である請求項15または請求項16記載の創傷包帯。
【請求項18】
前記第一及び第二シートにおける各貫通孔の長さが、それぞれ2cm以下である請求項15〜17のいずれかの一項に記載の創傷包帯。
【請求項19】
癒着を生じずに創傷部位から取り外すことのできる創傷包帯であって、前記包帯は、
創傷と接触して配置されるための体液透過性の第一多孔性パッドと、
相互に連通するセルを有する高分子発泡体からなり、弾性フィルム製の第二シートの上に接するように配置される体液透過性の第二多孔性パッドと、
前記創傷の周囲の皮膚領域を封止するための接着性周辺部を有し、前記第二多孔性パッドと創傷上に置かれる前記第一多孔性パッドとを覆うように配置される液体不透過性のフィルム状被覆部材と、
このフィルム状被覆部材を貫通して延設され、前記第二多孔性パッドと流体連通するとともに、前記創傷から滲出する体液の流れを開始させるための陰圧源に接続される管状コネクターと、を備え、
前記第一多孔性パッドは、
相互に連通するセルを有する高分子発泡体からなり、これを上下方向に横断する複数の横断穴が分散して形成された発泡パッドと、
この発泡パッドを包み込むように配置された第一及び第二の2つの弾性フィルム製シートの互いの周縁部どうしを一体的に封止することにより形成された弾性囲包体と、からなり、
前記弾性フィルム製の第一シートは、前記発泡パッドを上下方向に横断するように設けられた横断穴と連通するように軸線を合わせて形成された複数の貫通孔を有し、前記弾性フィルム製の第二シートは、前記発泡パッドを上下方向に横断するように設けられた横断穴と連通しないように軸線をずらせて形成された複数の貫通孔を有していることを特徴とする創傷包帯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−125730(P2011−125730A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35038(P2011−35038)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【分割の表示】特願2001−581901(P2001−581901)の分割
【原出願日】平成13年5月9日(2001.5.9)
【出願人】(502408034)ケーシーアイ ライセンシング インク (8)
【Fターム(参考)】