説明

力センサとアクチュエータフィードバックとを有するタッチパッド

電子デバイスは、タッチセンサアレイと、力センサと、触覚フィードバックを提供するアクチュエータとを有するタッチパッドを利用する。タッチパッドはコンピュータ筐体に装着される。タッチパッドは、インクで被覆されたガラス層を有する矩形の平坦なタッチパッド部材を有し、タッチパッド部材は、容量性タッチセンサアレイを含む。力センサは、矩形の平坦なタッチパッド部材の4つの隅部の各々の下方に装着される。力センサは、ユーザにより平坦なタッチパッド部材の面に加えられた力の量を測定するために使用される。処理後の力センサ信号は、押下イベントと、解放イベントなどのボタン操作の有無を示す。検出されたボタン操作又はデバイスにおける他の動作に応答して、アクチュエータを制御するためのアクチュエータ駆動信号が生成される。ユーザは、信号処理パラメータと、触覚フィードバックパラメータとを調整するための設定を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年12月10日出願の米国特許出願第12/635,614号の優先権を請求するものであり、ここにその全てが援用される。
【0002】
本発明は、一般にタッチセンシティブ入力デバイスに関し、特にポータブルコンピュータなどの電子デバイスのタッチパッドに関する。
【背景技術】
【0003】
ポータブルコンピュータなどの電子デバイスは、ユーザ入力を受信するタッチパッドを有する。タッチパッドは、コンピュータに接続されたスタンドアロン構成要素の形態でも提供される。
【0004】
通常、タッチパッドは、ユーザの指又は他の外部物体の位置を監視する矩形の面を有する。ユーザは、タッチパッドの面上における指先の位置を調整することによりタッチパッドと対話する。タッチパッドは、コンピュータの表示画面上のカーソルの位置を制御するために又は他の適切な動作を実行するために使用される。マルチタッチ型タッチパッド構成の場合、タッチパッドの面に沿った1本以上の指の動きが、特定のコマンドとして解釈される。例えば、ユーザの指先がタッチパッドをスワイプする動作は、項目のリストを先へ進めることをコンピュータに指示するジェスチャとして使用される。
【0005】
通常、タッチパッドは関連するボタンを備える。典型的な構成では、タッチパッドの前方に1つ又は2つのスイッチ形ボタンが配置される。ユーザは、画面上でカーソルを位置決めするためにタッチパッドを使用する。カーソルを所望の場所に位置決めした後、ユーザはボタンのうち適切な1つを押下する。例えば、ボタンが1つの構成において、現在の画面上のカーソルの場所に対応する画面上オプションをクリックするために、そのボタンを押下する。ポータブルコンピュータはその操作に従って応答する。ボタンが2つの構成の場合、右側のボタンは右クリックコマンドに対応して使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
デバイスの外観を改善すると共に、ジェスチャコマンドを実行するためのタッチセンサ領域を拡大するために、ボタン機能を一体に組み込んだタッチパッドが開発された。この種の構成では、タッチパッドの後縁部にヒンジが配置され、タッチパッドの前縁部にスイッチが配置される。ユーザが十分な力でタッチパッドを押下すると、タッチパッドは、後縁部に関して回動し、スイッチを起動する。
【0007】
この種のタッチパッドは満足できる結果を実現する場合が多いが、タッチパッドの後縁部の付近でタッチパッドを押下する場合、一体形ボタンを操作することは難しい。更に、タッチパッドの感度と操作に関連する多様なユーザの期待を満足させることも難問である。
【0008】
従って、改良されたタッチパッドの提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ポータブルコンピュータや、他の機器のような電子デバイスは、力センサを含むタッチパッドを備える。触覚フィードバックも提供される。
【0010】
タッチパッドは、トラックパッド又はコンピュータトラックパッドと呼ばれる場合もある。タッチパッドは、タッチセンサを含む平坦なタッチパッド部材を有する。平坦なタッチパッド部材は、透明又は不透明なガラスなどの材料の層と、任意に形成されるガラス面上の不透明インクの層と、補強材と、プリント回路基板構造と、接着剤層などとから形成される。平坦なタッチパッド部材の構造は、全体として、一般に光がタッチパッドを透過しないような構成になっているので、タッチパッドの美観は向上し、外観のよくない内部構造がユーザの目に触れることはない。しかし、必要に応じて、タッチパッドにディスプレイ構造が組み込まれる(例えば、タッチスクリーンの機能を持たせるために又はタッチパッドの機能を向上するために)。本明細書において、タッチパッドが不透明である構成が一例として説明される場合もある。
【0011】
タッチセンサは、容量性電極のアレイ、光検出器(例えば、陰影感知タッチセンサの場合)、抵抗性センサアレイ又は他のタッチセンサ構造から形成される。タッチセンサを使用して、ユーザの指のような1つ以上の外部物体の場所が検出される。タッチセンサ信号は、ジェスチャコマンドを解釈する際に使用される。典型的なジェスチャでは、ユーザはタッチパッドの面に沿って1本以上の指を動かす。パッドに沿って動かされている指の数と、その場所と、動きの方向とを判定することにより、ジェスチャは認識され、適切な動作が実行される。
【0012】
タッチイベントの場所を判定するためにタッチセンサ信号を処理することに加えて、力センサからの信号が処理される。矩形のタッチパッドは4つの隅部を有する。力センサはそれら4つの隅部の各々の下方に装着される。ユーザがタッチパッドの面を押下すると、力センサは対応する4つの個別の力信号をピックアップする。それらの力信号は力信号処理回路を使用して処理される。例えば各力センサからの力信号は組み合わされ、押下イベントと、解放イベントとを識別するために、組み合わされた信号は力閾値と比較される。
【0013】
アクチュエータを使用して、触覚フィードバックが提供される。アクチュエータはアクチュエータ駆動信号により制御される。タッチパッドと対話する間、電子デバイスのユーザは、ジェスチャを行うと共に他のタッチ関連タスクを実行する。オンスクリーンオブジェクトを選択したい場合又はボタン操作イベントと従来関連していた種類の他のタスクを実行したい場合、ユーザはトラックパッドの面を押下する。十分な力が検出された場合、適切な動作が実行され、アクチュエータに駆動信号が印加される。アクチュエータはタッチパッドに動きを与える。例えば、アクチュエータは、結合部材を平坦なタッチパッド部材の縁部に押し込む。アクチュエータが動作中である場合にタッチパッド部材を側方へ(平坦なタッチパッド部材の平面に関して平面内で)簡単に動かすために、可撓性パッドが力センサの下方に形成される。これにより、アクチュエータの効率は向上する。アクチュエータは、ボタン押下イベントとボタン解放イベントとに応答して又は電子デバイスの他の基準をクリアしたことに応答してタッチパッドを動かす。
【0014】
タッチセンサ信号と、力センサ信号との処理方法を調整するために、デフォルト設定と、ユーザ定義済み設定とが使用される。例えば、タッチセンサ感度レベルと、力センサ感度レベルとが調整される。アクチュエータによりタッチパッド部材に与えられる触覚フィードバックの量及び種類も、デフォルト設定と、ユーザ定義済み設定とにより調整される。例えば、ユーザは、アクチュエータを駆動するためにいくつかの駆動電流波形のうちどの波形が使用されるべきかを選択する。駆動電流波形は、タッチパッドを動かす場合にユーザの耳に聞こえるような共振をほとんど発生せず、タッチパッドを無音で動作させることができるように構成される。必要に応じて、可聴フィードバックは、スピーカを使用して提供されるか又はタッチパッドの可聴振動を適宜発生するためにアクチュエータ駆動信号を変更することにより提供される。
【0015】
本発明の更なる特徴と、その性質と、種々の利点とは、添付の図面と、以下の好適な実施形態の詳細な説明とから更に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るタッチパッドを有する例示的な電子デバイスを示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る力センサと、フィードバックを提供するアクチュエータとを有するタッチパッドを示すタッチパッドを有する例示的な電子デバイスの内部の斜視図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る例示的なタッチパッドを示す展開斜視図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る湾曲に応答して力測定信号を生成する例示的な力センサを示す斜視図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係るセンサ圧縮に応答して力測定信号を生成する例示的な力センサを示す斜視図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に係る無負荷状態にある例示的な抵抗性力センサを示す横断面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に係る負荷状態に置かれた後の図6に示される種類の例示的な抵抗性力センサを示す横断面図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に係る力信号を生成するために力センサのコンデンサ板の間の距離がどのように利用されるかを示す斜視図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態に係るタッチパッドで使用される抵抗性力センサを示す概略図である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態に係るタッチパッドに動きを与えるために使用される例示的なアクチュエータを示す横断面図である。
【図11】図11は、本発明の一実施形態に係るアクチュエータとタッチパッドとの間に接続される相対的に短い側方結合部材を使用してアクチュエータがタッチパッドにどのようにして動きを与えるかを示す例示的なタッチパッドの平面図である。
【図12】図12は、本発明の一実施形態に係るアクチュエータに結合されるが、名目上はタッチパッドから離間して配置される相対的に短い結合部材を使用してアクチュエータがタッチパッドにどのようにして動きを与えるかを示す例示的なタッチパッドの平面図である。
【図13】図13は、本発明の一実施形態に係るアクチュエータとタッチパッドとの間に結合された相対的に長い結合部材を使用してアクチュエータがタッチパッドにどのようにして動きを与えるかを示す例示的なタッチパッドの平面図である。
【図14】図14は、本発明の一実施形態に係るアクチュエータとタッチパッドとの間に結合された湾曲部を有する結合部材を使用してアクチュエータがタッチパッドにどのようにして動きを与えるかを示す例示的なタッチパッドの平面図である。
【図15】図15は、本発明の一実施形態に係る互いに対して運動する結合構造を有するリンク装置を使用してアクチュエータがタッチパッドにどのようにして動きを与えるかを示す例示的なタッチパッドの平面図である。
【図16】図16は、本発明の一実施形態に係るタッチパッドに動きを与えるために使用される複数のアクチュエータを示す例示的なタッチパッドの平面図である。
【図17】図17は、本発明の一実施形態に係る垂直運動を水平運動に変換するリンク装置を使用してアクチュエータがタッチパッドにどのようにして動きを与えるかを示す例示的なタッチパッドの側面図である。
【図18】図18は、本発明の一実施形態に係る軸受を有する支持構造と、磁気保持構造とを有するタッチパッドを示す例示的なタッチパッドの横断面図である。
【図19】図19は、本発明の一実施形態に係る可撓性パッドに装着された力センサを有するタッチパッドを示す例示的なタッチパッドの側面図である。
【図20】図20は、本発明の一実施形態に係るばね構造を使用してタッチパッドが電子デバイス筐体構造にどのようにして装着されるかを示すタッチパッドの底面図である。
【図21】図21は、本発明の一実施形態に係るタッチパッド信号の収集と処理並びにタッチパッド信号に応答したタッチパッドの動きの制御に使用される回路を示す例示的なタッチパッドの図である。
【図22】図22は、本発明の一実施形態に係る押下イベントと、解放イベントなどのボタン操作イベントを検出するために力センサ信号の処理に使用される閾値を示す時間の関数として示された例示的な力センサ出力信号の特性図である。
【図23】図23は、本発明の一実施形態に係る平均値から信号を形成するためにタッチパッドの4つのセンサの各々からの信号がどのようにして組み合わされるかを示す特性図である。
【図24】図24は、本発明の一実施形態に係るタッチパッドの力センサからの力信号を処理することにより押下イベントが検出された場合に発生される例示的な押下信号を示す特性図である。
【図25】図25は、本発明の一実施形態に係るタッチパッドの力センサからの力信号を処理することにより解放イベントが検出された場合に発生される例示的な解放信号を示す特性図である。
【図26】図26は、本発明の一実施形態に係るタッチパッドの力センサからの力信号を処理することにより押下イベントと解放イベントとが検出されたことに応答して発生される例示的な押下−解放パルスを示す特性図である。
【図27】図27は、本発明の一実施形態に係るタッチパッドにおいて触覚フィードバックを提供するために使用されるほぼ等しい立ち上がり時間と立ち下がり時間を有する湾曲対称アクチュエータ駆動信号を示す特性図である。
【図28】図28は、本発明の一実施形態に係るタッチパッドにおいて触覚フィードバックを提供するために使用されるほぼ等しい立ち上り時間と立ち下がり時間を有する対称三角形アクチュエータ駆動信号を示す特性図である。
【図29】図29は、本発明の一実施形態に係るタッチパッドにおいて触覚フィードバックを提供するために使用される立ち下がり時間より短く速い立ち上り時間を有する非対称アクチュエータ駆動信号を示す特性図である。
【図30】図30は、本発明の一実施形態に係るタッチパッドにおいて触覚フィードバックを提供するために使用される立ち上り時間より短く速い立ち下がり時間を有する非対称アクチュエータ駆動信号を示す特性図である。
【図31】図31は、本発明の一実施形態に係るタッチセンサジェスチャ動作がまったく検出されなかった場合に押下イベント信号と解放イベント信号とを発生するために力信号がどのようにして処理されるかを示す図である。
【図32】図32は、本発明に係るタッチセンサジェスチャ動作が現れている場合に力信号に応答した押下イベント信号と解放イベント信号との発生がどのようにして抑止されるかを示す図である。
【図33】図33は、本発明の一実施形態に係るタッチセンサデータがどのようにして処理されるかと、力信号処理設定に従って処理される生力出力信号を力センサがどのようにして生成するかと、その結果生成された押下イベントデータと解放イベントデータとがドライバ設定に基づいてアクチュエータ駆動信号を生成するためにどのようにして使用されるかとを示す図である。
【図34】図34は、本発明の一実施形態に係る電子デバイスのタッチパッドのセットアップと動作に関連する例示的なステップを示すフローチャートである。
【図35】図35は、本発明の一実施形態に係る力センサと、フィードバックを提供するアクチュエータとを有するタッチパッドのようなタッチセンシティブ入出力デバイスを含む例示的なコンピューティングシステムを示す簡略化された概略図である。
【図36】図36は、本発明の一実施形態に係る力センサと、フィードバックを提供するアクチュエータとを有し、ディスプレイ構造が組み込まれたタッチパッドのようなタッチセンシティブ入出力デバイスを含む例示的なコンピューティングシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
電子デバイスはタッチセンシティブユーザ入力デバイスを備える。タッチセンシティブユーザ入力デバイスは、タッチスクリーン、更に典型的にはタッチパッドを含む。タッチパッドは、トラックパッドと呼ばれる場合もあり、ポータブルコンピュータのような電子デバイスで使用されることが多い。タッチパッドはスタンドアロンデバイスとして実現される。例えば、タッチパッドは、コンピュータのユニバーサルシリアルバス(USB)ポートへのタッチパッドのプラグイン接続を可能にするUSBケーブルを備える。タッチパッドは、工業用機器、商用機器、コンピュータマウス、キーボード、ゲーム機などでも使用される。説明を明確にするため、本明細書において、ポータブルコンピュータにおけるタッチパッドの使用(すなわち、ポータブルコンピュータトラックパッドとしての使用)が一例として説明される場合がある。しかし、これは単なる例である。タッチパッドと、他のタッチセンシティブ入力デバイスは、何らかの適切な電子機器の一部として実現される。
【0018】
タッチパッドは、力センサ及びタッチセンサ回路とを含む。タッチパッドに動きを与えるアクチュエータを使用して触覚フィードバックを提供しても良い。
【0019】
タッチパッドのタッチセンサは、抵抗接触技術、表面音波技術、容量技術、光検出器(例えば、外部物体により形成される周囲光の陰影を測定することにより位置を検出するシャドウ系センサの場合の光センサのアレイ)又は他の適切なタッチセンサ構成を使用して実現される。本明細書においては、容量性タッチセンサ技術を一例として説明する。タッチイベントを記録するために強制的な直接タッチを必要とするタッチ技術とは異なり、容量性タッチセンサは、タッチセンサの面に直接圧力がほとんど又はまったく加えられない場合でも、タッチイベントを検出する。これは、センサの面にごく近接する位置にユーザの指又は他の外部物体が存在することによって起こるキャパシタンスの変化を容量タッチセンサが測定するからである。
【0020】
タッチパッドのタッチセンサ機能を利用して、ユーザはタッチ入力を供給できる。例えば、ユーザはタッチパッドの面上の所望の場所に指先又はスタイラスを置く。ユーザは、タッチセンサに触れる場所を調整することにより画面上のカーソルの位置を調整するか、又は他の方法によって電子デバイスと対話する。必要に応じて、スクリーンに対する1箇所以上のタッチ場所の動きをコマンドに変換するジェスチャを利用する制御構成が実現される。一例として、タッチパッドの面に沿って特定の数の指をスワイプする動作は、項目のリストを先に進めるためのコマンド又はコンピュータ画面に表示されている資料をスクロールするためのコマンドとして解釈される。シングルタップコマンドと、マルチタップコマンドも、タッチパッドのタッチセンサ機能を使用して処理される。
【0021】
タッチパッドの力センサ機能を利用して、ユーザはボタン操作を実行する。一体形ボタンを含む従来のタッチパッドの場合、タッチパッドのボタン部分は、タッチパッドの前縁部の付近を強く押下することにより操作される。これにより、タッチパッドは下向きに回動するので、タッチパッドの前縁部の下方に配置されたスイッチが起動され、可聴クリック音が発生される。
【0022】
タッチパッドに力センサが含まれる場合、上記のようにタッチパッドを回動させる必要はない。ユーザがタッチパッドを押下した時点と、指を離した時点とを検出するために、力センサのうち1つ以上の力センサからの力信号が使用される。タッチパッドを大きく動かす必要がない(すなわち、タッチパッドはほぼ動くことなく水平の位置を保つ)ので、従来の構成では回動運動に対応するために確保されていたスペースを部品の収納に利用できる。圧電素子を使用して力センサが実現される典型的な構成では、ボタン押下荷重が最大の強さである場合でも、タッチパッドの変位はわずか0.05mmである。ユーザが期待するボタンを押下したという感触をユーザに戻すために、力フィードバックが使用される。例えば、ユーザが十分な力でタッチパッドを押下したと判定された場合、アクチュエータはタッチパッドを動かす。これにより、従来のタッチパッドのボタン操作イベントに似た感触がユーザの指に伝わる。アクチュエータは、タッチパッドを動かす時点でクリック音を発生するか、又はタッチパッドを無音で作動するように駆動される(例えば、主に亜音速成分を含む駆動信号を使用することにより)。必要に応じて、デフォルト設定及び/又はユーザ定義済み設定に従って、クリック音又は他の適切な音声がスピーカにより発生される。
【0023】
このように、力センサ信号は従来のボタン機能を模倣するために使用される。例えば、力センサ信号は、従来の回動式タッチパッドを十分に偏向させることができる力でユーザがタッチパッドを押下したことを検出するために使用される。これに応答して、アクチュエータはタッチパッドに力を加える。
【0024】
必要に応じて、力センサとタッチセンサとの双方を含むタッチパッドを使用して、異なる種類の機能又は追加機能が実現される。部分的に力信号入力値に依存し且つ部分的にタッチセンサ入力信号値に依存する機能も実現される。一例として、ジェスチャが現れている場合にボタン操作検出動作が抑止されるか、又は力センサによって十分な力が検出された場合、ジェスチャに基づくタッチセンサコマンドを処理するための通常の応答が抑止される。別の例として、片手によるセレクトアンドドラッグ機能が実現される。この種の構成の場合、ユーザが指で力センサに十分な力を加えると同時に、その指をタッチセンサに沿って動かすことにより、画面上の1つの項目が選択され、移動される。力センサは、タップコマンドを分類するためにも使用される。軽いタップは1つの種類の動作を与え、中程度の力によるタップは別の種類の動作を与え、強い力によるタップは、更に別の種類の動作を与える。タッチパッドの異なる部分に加えられた力は、それぞれ異なる種類の応答を与える。例えば、タッチパッドの左後隅を押下した場合、右後隅を押下した場合とは異なる動作が実行される。
【0025】
処理済みタッチパッド信号(力センサ信号及び/又はタッチセンサ信号)に応答して実行される動作は、オペレーティングシステムにより実行される応答、アプリケーションソフトウェアにより実行される応答、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせを使用して実現されるサービスにより実行される応答、デバイスハードウェアにおける応答、他の動作と、それらの応答の組み合わせとを含む。
【0026】
力信号及び/又はタッチ信号により影響を受ける応答の一例は、触覚フィードバック機能である。触覚フィードバックは、タッチフィードバック、フォースフィードバック、又はハプティック(haptic)フィードバックと呼ばれる場合もあり、検出されたある特定の動作に応答してタッチパッドの動きを発生させることを含む。例えば、タッチパッドの力センサが所定の閾値を超えた、指による押下を検出した場合、触覚フィードバックは生成される。力フィードバック構成を実現するために、ハードウェアと、必要に応じて、ファームウェア、オペレーティングシステムコード、アプリケーションコードなどのソフトウェアとが使用される。必要に応じて、特定のボタン押下又はタッチイベントとは無関係に、触覚応答を生成することもできる。例えば、Eメールが受信された場合又は予定されていたイベントが起こった場合に、力フィードバック機能を有するタッチパッドが振動する。本明細書において、この種のタッチパッド触覚機能の利用は、力フィードバック機能、触覚フィードバック機能、ハプティックフィードバックなどと呼ばれる。
【0027】
タッチセンサ、力センサ、及び/又は力フィードバック機能を含むタッチパッドは、ポータブル電子デバイス、付属品、携帯電話、埋め込みシステム又は他の何らかの適切な電子機器で実現される。説明を明確にするため、本明細書において、このようなタッチパッドがポータブル電子デバイスに含まれる構成が一例として説明される場合がある。
【0028】
タッチパッドを含むポータブルコンピュータのような例示的なポータブルデバイスを図1に示す。図1に示されるように、デバイス10は、筐体12のような筐体を有するポータブルコンピュータである。筐体12は、上部筐体12Aのような上方部分を有し、この部分は蓋又はカバーと呼ばれる場合もある。筐体12は、下部筐体12Bのような下方部分を更に有し、この部分は筐体基部又は主ユニットと呼ばれる場合もある。筐体の部分12A、12Bは、ヒンジ16(クラッチバレルヒンジと呼ばれる場合もある)のようなヒンジ構造を使用して互いに対して回動可能に装着される。ディスプレイ14は上部筐体12Aに装着される。キーボード18やタッチパッド20のような他の構成要素は、下部筐体12Bに装着される。
【0029】
タッチパッド20はタッチセンサを内蔵する平坦なタッチパッド部材を含む。タッチセンサは、タッチセンサ構造(例えば、タッチセンサ容量性電極)のアレイから形成される。一般に、タッチパッド20のタッチセンサ構造は、何らかの適切なタッチセンシティブ技術を使用して実現される。タッチセンシティブ機能を有するタッチパッド20を提供するために使用されるタッチセンサの例は、容量性タッチセンサ、抵抗感知に基づくタッチセンサ、表面音波タッチセンサ、光タッチセンサなどを含む。本明細書において、容量性タッチセンサに基づくタッチパッド20の例示的な構成が一例として説明される場合がある。しかし、これは単なる例である。ユーザの指、スタイラス又は他の外部物体の位置を感知する能力を有するタッチパッド20を提供するために、何らかの適切なタッチ技術が使用される。
【0030】
タッチパッドの面と外部物体とが直接接触した場合又は外部物体がタッチパッドの面にごく近接する位置にある場合(例えば、ユーザの指又は他の物体がタッチセンサ面から数mmの距離の中に入ったことを容量性タッチセンサが検出した場合)、ユーザによるタッチは感知される。タッチパッドのタッチセンサ部分が外部物体の位置により制御されるというイベントは、タッチ信号が外部物体とタッチパッドとの直接接触により発生されたのか又はタッチ信号が外部物体とタッチパッドとの近接に応答して発生されたのかに関わらず、通常、タッチイベントと呼ばれる。
【0031】
図1に示されるように、タッチパッド20は側方寸法XX、YYを有する。側方寸法XXは、タッチパッドの幅と呼ばれる場合もあり、X−Y−Z座標系22のX軸と平行である。側方寸法YYは、タッチパッドの長さと呼ばれる場合もあり、X−Y−Z座標系22のY軸と平行である。タッチパッド20を構成する構造は、X−Y−Z座標系22のZ軸と平行である寸法を更に有する。この寸法はタッチパッドの垂直寸法又は平面外寸法と呼ばれる場合もある。図1に示されるように、Z軸はX軸とY軸を含むX−Y平面に対して垂直である(すなわち、Z軸はタッチパッド20の平坦な露出面の平面に対して垂直である)。デバイス10の厚さを最小限に抑えるために、タッチパッド20と関連する構造の厚さを最小限に抑えることが効果的である。
【0032】
タッチパッド20のX−Y平面におけるユーザの指又は他の外部物体の場所は、タッチパッド20のタッチセンサを使用して感知される。Z軸に沿った上下動は力センサを使用して検出される。図2に示されるように、タッチセンサ20は平坦なタッチパッド部材24(トラックパッド部材と呼ばれる場合もある)を有する。タッチパッド部材24はタッチセンサを含む。タッチセンサは、平坦なタッチパッド部材24の側方X方向と側方Y方向に関する指26などの外部物体の位置を測定するために使用される。点32により示されるように、タッチパッド部材24と接触する外部物体が2つ以上ある(すなわち、2本以上の指がタッチしている)場合もある(例えば、ユーザがマルチタッチジェスチャコマンドを発生している場合)。本明細書において、1つの物体がタッチパッド部材24にタッチしているような構成が一例として説明される場合がある。しかし、これは単なる例である。1つの物体、2つの物体、3つの物体又は4つ以上の物体が同時にタッチパッド部材24にタッチしている場合もある。
【0033】
1つ以上の場所でタッチパッド部材24にタッチするほかに、ユーザはボタン操作イベントを発生させる場合がある。ボタン操作イベントはユーザがZ軸に沿った方向28に押し下げる押下イベントを含む(例えば、座標系22を参照)。ボタン操作イベントは解放イベントを更に含む。解放イベントでは、ユーザは、タッチパッド部材24に加えられている下向きの力の量を低減し、方向28に指26を動かすのを止める(例えば、方向30に指26を持ち上げることにより)。
【0034】
ボタン操作動作は、力印加イベントと呼ばれる場合もあり、力センサ34を使用して感知される。力センサ34は、一般に垂直方向に(Z軸に沿って)加えられる力に応答する。タッチパッド20には、1つの力センサ、2つの力センサ34、3つの力センサ34又は4つ以上の力センサが設けられる。力センサは、図2に示される部材24(一例として)のような矩形の平坦なタッチパッド構造の4つの隅部の下方に配置される。2つのセンサを有する構成の場合は、センサは部材24の両側縁部に配置される。3つのセンサを有する構成の場合、センサは三脚構成を形成するように分散される。センサが1つしか使用されない場合は、センサは、タッチパッド部材24の中心の下方に配置されるか又はタッチパッド部材24の縁部(例えば、前縁部)に沿って配置される。
【0035】
タッチパッド部材24の4つの隅部すべてに力センサ34を配置することの利点は、複数のセンサから力信号を収集して、並列処理できることである。力センサ信号は、平均化されるか、部材24におけるユーザの指の場所を簡単に確認するために処理されるか、又はデバイス10によりどのような種類の動作を実行すべきかを判定するために処理される。
【0036】
ボタン操作動作又は他の動作(例えば、ある特定のタッチイベント)の結果、力フィードバックが得られる。例えば、ユーザが方向28にタッチパッド部材24を押下した場合、力センサ34はわずかに圧縮し、部材24に力が加わったことを検出する。十分な下向きの力が検出された場合、アクチュエータ36は、タッチパッド部材24に動き(触覚フィードバック)を与えるために使用される。図2に示される例示的な構成の場合、アクチュエータ36は、側方へ延出するアーム40により平坦なタッチパッド部材24に結合される。アーム40は、例えばアクチュエータ36の出力部とタッチパッド部材24との間に堅固に接続された金属片(strip of matal)又は他の構造である。
【0037】
アクチュエータ36が制御信号により駆動されると、アクチュエータ36は、アーム40を平坦なタッチパッド部材24に対して接離させる(例えば、図2の例ではX軸と平行な横方向38に動かす)。アクチュエータ36により与えられる動きは、ボタン操作イベントに応答して与えられるので、この種の動きは触覚フィードバックと呼ばれる場合もある。ユーザは、ボタン操作イベントによってクリックした感触や音声が得られることを期待できる。アクチュエータ36を適切に駆動することにより、タッチパッド24の振動又は他の運動によりユーザに対して(例えば、ユーザの指26の先端に対して)所望の感触が発生する。実際には、タッチパッド部材24は筐体12B内部のほぼ固定された場所に装着されているので、力センサ34はタッチパッド部材24を相対的にわずかに垂直方向に動かすにすぎないが、例えばユーザは、パッド24が沈み込み、従来の機械式スイッチを操作したかのように感じる。必要に応じて、アクチュエータ36は、他の基準に応答して、バー40に力を加え、それによりタッチパッド部材24に力を加える(例えば、ある特定のソフトウェア条件が成立した場合、タッチパッド20のタッチセンサ部分を使用して感知されるある特定のジェスチャをユーザが行った場合など)。
【0038】
タッチパッド20は積層構造スタックから形成される。例えば、タッチパッド部材24は、タッチセンサ電極のアレイが形成されるプリント回路基板又は他の基板を含む。電極のアレイは、タッチパッド部材の大きさとほぼ等しい大きさであるので、タッチパッド部材と、電極のアレイとは、タッチパッドの能動面の全面に沿って延在する。
【0039】
タッチパッド部材24には、補強材と、滑らかなガラスカバー層と、インク層と、接着剤層とが更に組み込まれる。必要に応じて、それより少ない数の層でタッチパッド20を実現することにより、大きさと重量は最小限に抑えられる。例えば、タッチパッド20自体が十分に剛性であれば、ガラス層又はセラミック層を使用して、容量性電極が一体に形成され、補強材を含まない構成のタッチパッド20が実現される。タッチパッド部材24は剛性であるので、ユーザがタッチパッド部材の面を押下する場所に関わらず、ユーザによるボタン操作動作を力センサ34により確実に検出できる。タッチパッド20で剛性のタッチパッド部材を使用することにより、1つのアクチュエータ(又は他の適切な数のアクチュエータ)で、タッチパッド部材の全面にわたり触覚フィードバックを確実に効果的に発生できる(すなわち、グローバルアクチュエータ誘導運動)。タッチ面を形成するために使用されるタッチパッド部材24のセラミック層、ガラス層、プラスチック層又は他の層と、タッチパッド部材24のタッチセンサアレイとが可撓性である場合、タッチパッド部材24にステンレス鋼補強材又は他の適切な補強構造が組み込まれる。タッチパッド部材24は、別にステンレス鋼補強層を使用せずに、十分に厚いガラス層、セラミック層、プラスチック層又は複合材料層により補強される(例えば、タッチパッド部材24の層のうちいくつかの層を、1mm以上、2mm以上、3mm以上又は4mm以上(例として)の厚さのガラス、セラミック、プラスチック又は複合材料から形成することにより)。ディスプレイ14の矩形の形状に対応するので、通常タッチパッド部材24には矩形の形状が使用される。しかし、必要に応じて他の形状が使用される。この形状は単なる例である。必要に応じて、タッチパッド20を形成する際に、何らかの適切なタッチパッド構造が使用される。
【0040】
タッチパッド20で使用される例示的な一連の構造の展開斜視図が図3に示される。図3に示されるように、タッチパッド20は矩形の平坦なタッチパッド部材24を含む。平坦なタッチパッド部材24は筐体構造12Bに装着される。筐体構造12Bは、筐体壁の一部(例えば、図1の基部ユニット12Bの下部の壁)により形成されるか、内部筐体フレーム構造又はフレーム支持体により形成されるか、他の適切な支持構造により形成されるか、あるいはそれらの構造の組み合わせにより形成される。
【0041】
力センサ34はタッチパッド部材24の4つの隅部の各々に配置される。必要に応じて、力センサ34と筐体構造12Bとの間に装着パッド42のような装着パッドが配置される。装着パッド42はゲル又はフォームのような可撓性材料(flexible material)から形成される。パッド42に使用されるゲルはシリコーンなどの材料から形成される。シリコーンゲルパッドのようなパッドが力センサ34と筐体12Bとの間に配置される場合、アクチュエータ36により加えられる側方力(平面内力)に応答して、タッチパッド部材24は、X方向とY方向にわずかに(例えば、数千μ以下、数百μ以下など)動く。筐体12Bへのタッチパッド部材24の装着が堅固になりすぎると、タッチパッド部材24は、所望の量の触覚フィードバックを示さなくなると考えられる(すなわち、タッチパッド部材24の振動が過剰に減衰されてしまう)。装着パッド42は接着剤を使用して筐体12Bに結合される。力センサ34は接着剤により装着パッド42に結合される。更に、力センサ34を平坦なタッチパッド部材24に結合するために接着剤が使用される。ゲルパッド42があるために、剛性のタッチパッド部材24はきわめてわずかな距離だけ側方へ移動できるが、タッチパッド部材24は筐体12B内部でほぼ一定の場所にとどまる(すなわち、ユーザは、この動きを目視で認識できない)。関連するスイッチを作動するために回動運動が必要とされる従来の構成とは異なり、タッチパッド部材24にはヒンジ又は回動撓み部材は装着されておらず、タッチパッド部材24は、ボタン操作中や、触覚フィードバック中に実質的に回動も動きもしない。更に、タッチパッド部材24は一般に剛性構造として実現されるので、タッチパッド部材24は撓まない。ボタン操作中と、触覚フィードバックイベントの間、タッチパッド部材24は1つの剛性ユニットとして動作する。
【0042】
タッチパッド部材24の最上部の層56は、ガラス又は他の適切な材料(例えば、プラスチック、セラミックなど)の滑らかな層から形成される。容量性タッチセンサ構成の場合、層56の下方に位置する容量性電極への電磁的に遮蔽を防止するために、層56は誘電体で形成される。
【0043】
層56を形成する材料は透明である(例えば、透明ガラス)。この種の構成では、層56の下面を塗料又はインクの不透明層で覆うことが望ましい。例えば、層56の下方に銀色インクの層又は他の化粧被膜の層が配置される(例えば、インク層54を参照)。更に、層56は、不透明物質(例えば、暗色ガラス又はセラミック)から形成されても良い。層56が不透明物質から形成されるか又は下方に位置する不透明インクなどの不透明材料の層によって層56が不透明になっているかに関わらず、層56のようなタッチパッド部材24の構造は、通常、デバイス10の外側から下方の層構造が見えないようにするために十分な不透明度を有する。タッチパッド部材24の最上部の層を不透明構造から形成することにより、タッチパッド部材24の下部層にある外観のよくない構造がユーザの目に触れることはなくなる。1つ以上の不透明材料の層を使用することによりタッチパッド20の外観を改善できることもあるので、一般に、タッチパッド部材24を不透明に見せる構造(すなわち、タッチパッド部材24を光が透過するのを阻止するスタック構造)からタッチパッド部材24を形成することが望ましい。
【0044】
タッチスクリーンの一部としてタッチパッド20を使用することが望まれる場合(例えば、液晶ディスプレイタッチスクリーン、電子インクディスプレイタッチスクリーン又は他のタッチスクリーンを形成するために積層構造を形成する場合)、層56の上に不透明インクを配置しないのが好ましい。この場合、層56は、ディスプレイカバーガラスの層又は他の透明ディスプレイ構造から形成される。本明細書において、スタンドアロンタッチパッドが説明される場合もあるが、タッチパッド20のタッチセンサと、力センサと、アクチュエータ機構とは、タッチスクリーンディスプレイ又は他の何らかの種類の構成要素において使用される。スタンドアロンコンピュータトラックパッドは、単に一例として説明されるにすぎない。
【0045】
図3に示されるように、層56と、層54とをタッチセンサアレイ50に装着するために、感圧接着剤層52のような接着剤の層が使用される。タッチセンサアレイ50は、導電性コンデンサ電極から形成される(例えば、X−Y容量性タッチセンサを形成するために)。それらの電極は、層56の下側に金属、酸化インジウムスズなどの透明導電性材料又は他の導電性材料から形成されるか、あるいは、図3に示されるように、センサアレイ50を形成するためにプリント回路基板の片面又は両面に形成される。プリント回路基板は剛性又は可撓性である。電子デバイス10の剛性回路基板は、ガラス繊維充満エポキシ(例えば、FR4)のような材料から形成される。可撓性プリント回路基板(「フレックス回路」)は、ポリマー又は他の誘電体(例えば、ポリイミド)から成る可撓性シートの上の導電性トレースから形成される。
【0046】
タッチセンサアレイ50を補強材46に装着するために、感圧接着剤層48のような接着剤の層が使用される。補強材46は金属(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、チタンなど)のような硬質材料から形成される。ガラス、セラミック、炭素繊維複合材料、プラスチックなどの材料も使用される。軽量化を図るために、補強材46の一部は除去される(例えば、穴58を形成するために)。
【0047】
力センサ34は、圧電素子、力が加わるにつれて抵抗やキャパシタンス又はインダクタンスの変化を示す構造、あるいは他の何らかの適切な力感知構造から形成される。
【0048】
図4に示されるように、力センサ34は、湾曲可能な部材60(例えば、歪みゲージ構造)のように湾曲する構造から形成される。この種の力センサの場合、部材60が湾曲した場合の表面抵抗及び/又はバルク抵抗率の変化を検出するために、部材60のような部材の面にホイートストンブリッジ回路又は他の回路が配置される。部材60は、例えば上面に金属トレース62が形成された偏向可能な誘電体から形成される。トレース62はインターディジテイテッドフィンガ62A、62Bを含む。方向64に偏向されると、部材60は位置66をとる。この偏向により、部材60の面上に配置されたトレース62A、62B又は他の検出回路に測定可能な抵抗の変化が現れる。この抵抗変化は力センサ34に加えられている力の量を示す指標として使用される。
【0049】
更に、各力センサ34は、固体が圧縮される構造又は加えられる力の関数として平坦な面の離間距離が変化する構造としても実現される。一例として、図5に示される種類の構成を考える。図5の例では、力センサ34は上面66を有する。力センサ34に下向き方向28に力が加えられると、センサ34の上面は位置68まで動く。この位置において、センサ34の特性の変化を測定可能である。例えば、力センサ34は、センサ34の圧縮量に比例する電圧を発生する圧電材料から形成される。別の例として、力センサ34は、圧縮された場合に圧縮前とは異なる抵抗を示すフォーム又は他の圧縮可能材料から形成される。力センサ34の材料は、例えばポリマー−金属複合材料又はナノ粒子で充満されたポリマー(例えば、英国ノースヨークシャーのPeratech Limited of Richmond社より市販されている種類の量子トンネリング複合材料)である。インダクタンスの変化、磁気の変化又は他の測定可能な力依存特性を示す力センサも使用される。
【0050】
図6と図7の例の力センサ34により示されるように、力センサ34は圧縮可能な突起74を有する部材70のような構造を有するものとしてもよい。図6に示される位置では、部材70は部材72に対して圧縮されていないので、突起74は圧縮されていない。部材70に下向きの力が加えられると、図7に示されるように、突起74は圧縮し、変形する。部材70は抵抗性フォームから形成され、部材72は導体(一例として)から形成される。図7に示される圧縮状態にある場合、部材70と部材72との間の抵抗は図6に示される圧縮前の状態より低くなる。従って、部材70と部材72との間の抵抗の測定値は部材70に加えられた力の量を反映する。
【0051】
力センサ34は電極を有するものとしてもよい。例えば、図8に示されるように、力センサ34は、上部コンデンサ電極76と、下部コンデンサ電極78とを有する。電極76と電極78との間のキャパシタンスを測定することにより電極76と電極78との間の距離を判定するために、コンデンサセンサ回路80が使用される。電極76を下向きの方向82に動かす力が加えられると、キャパシタンス(従って、キャパシタンス出力信号OUT)は上昇し、これは力が加えられていることを示す。電極76と電極78との間にフォーム、他のエラストマー物質又は他の弾性構造が配置されるので、キャパシタンスの増加量は加えられた力の量を反映する。
【0052】
図9は、加えられる力の変化に応答して抵抗の変化を示す抵抗器84のような可変抵抗器に基づく力センサ34を示す。可変抵抗器84は、図4、図5、図6、図7に関連して説明した種類の構造を使用して形成される(例として)。抵抗測定回路86は、力に応答した抵抗変化を対応する力センサ出力信号(出力信号OUT)に変換するために使用される。
【0053】
上記の例が示すように、力センサ34は、加えられた力に応答して出力信号を生成する何らかの構造から形成される。典型的な例では、各力センサ34により生成される出力信号の量は、加えられた力の量に線形的、又は非線形的に比例する(すなわち、センサ34はアナログ力センサである)。必要に応じて、アナログセンサの代わりにドームスイッチ又は他の2進スイッチが使用される。この種の構成において、加えられた力が所定の閾値(すなわち、ドームスイッチの起動閾値)より大きいか又は小さいかを判定するために、ドームスイッチの状態(開成又は閉成)が使用される。
【0054】
図10は、図1のアクチュエータ36のような例示的なアクチュエータの横断面図である。アクチュエータ36は、ワイヤのラップ96を含むバレル94を有するソレノイドである。バレル94のワイヤは、端子88と端子90とに接続される。端子88と端子90とに電流が印加されると、磁気プランジャ92をバレル94の内部へ引き込む磁界が形成される。端子88と端子90とへ流れる電流を変調することにより、プランジャ92はバレル94の長手方向軸に沿って方向38に往復運動する。
【0055】
プランジャ92は、図2の結合部材40を形成する部分を有するか、又は図2の結合部材40のような部材に結合される。必要に応じて、アクチュエータ36は、リニアモータ、回転モータ又は他の電磁アクチュエータ構造から形成される。更に、アクチュエータ36は、圧電材料と、印加される電気信号に応答して運動を発生可能な他の構造とから形成される。
【0056】
図11の平面図に示されるように、アクチュエータ36はタッチパッド部材24の近傍に配置される。結合部材40は、アクチュエータ36の可動構造(例えば、図10のソレノイド36のプランジャ92)に直接結合されると共に、タッチパッド部材24の縁部(例えば、図3に示される層のうち1つ以上の層)に直接結合される。結合部材40の長さはソレノイド36の最大寸法より短い(一例として)。
【0057】
結合部材40をアクチュエータ36とタッチパッド部材24との双方に直接結合する必要はない。例えば、図12に示されるように、結合部材40とタッチパッド部材24との間に間隙98のような間隙が形成されてもよい。アクチュエータ36の近傍にも間隙は形成されてもよい。
【0058】
図13は、電子デバイス10内部のタッチパッド部材24から幾分離れた場所に装着されたアクチュエータ36を示す。結合部材40の長さは、例えば2〜5mm、5〜10mm、2〜20mm、10〜30mm又は30mmを超える長さである。結合部材40が長い場合、部材40の長さ(従って、アクチュエータ36とタッチパッド部材24との間隔)は、アクチュエータ36の最大寸法と等しいか、その2倍又は3倍であるか、あるいは3倍を超える。
【0059】
図14の例に示されるように、結合部材40はまっすぐである必要はない。結合部材40は、例えば湾曲部100、102のような1つ以上の湾曲部を含む。
【0060】
図15は、アクチュエータ36と、タッチパッド部材24とが機械式リンク装置(リンク装置40)に結合される構成を示す。リンク装置40は、機械的な利点を利用することにより、アクチュエータ36により加えられる力の量を増減できるような構造を有する。リンク構造40のようなリンク装置を使用することにより、リンク装置を使用しない場合には実現不可能であると考えられる(例えば、装着を妨げる構造が存在するなどの理由により)電子デバイス10内の位置にアクチュエータ36を配置できるようになる。
【0061】
動作中、アクチュエータ36は部材40Cを方向110に動かす。部材40Cと部材40Bとは、回動点104で結合される。部材40Bは、回動点106に関してデバイスの筐体に対して回動する。アクチュエータ36が部材40Cを方向110に動かすと、部材40Bは必然的に回動点106に関して時計回り方向(方向112)に回転する。これにより、回動点108で部材40Bに結合されている部材40Aは方向114に動いてタッチパッド部材24に当接する。
【0062】
タッチパッド部材24に動きを与えるために、2つ以上のアクチュエータが使用できる。図16は、1対のアクチュエータがタッチパッド部材24に結合される例示的な構成を示す。左側のアクチュエータ36−1は、結合部材40−1を使用してタッチパッド部材24の左側縁部に結合され、右側のアクチュエータ36−2は、結合部材40−2を使用してタッチパッド部材24の右側縁部に結合される。アクチュエータ36−1と、アクチュエータ36−2とは、互いに関して180°位相がずれている信号(一例として)により駆動される。タッチパッド部材24が完全に剛性である構成では、複数のアクチュエータの使用は、タッチパッド部材24のすべての構造にグローバルな運動を効率よく与えるのに効果的である(すなわち、アクチュエータは、タッチパッド部材24全体にわたりほぼ一様な動きを発生させる)。アクチュエータとタッチパッド部材との間のエネルギー伝達効率を簡単に向上させるために、側方平面内作動が使用される。必要に応じて、タッチパッド部材24に垂直方向の動きを与えるために、1つ以上のアクチュエータが使用される。この種の作動構成は設計上の制約条件を満たす場合に好都合である。
【0063】
必要に応じて、タッチパッド部材24は、1つ以上の可撓性構造(例えば、ガラス又は金属の薄いシート、可撓性を示すプラスチック層など)を使用して実現される。可撓性ではあるが、多少の剛性も示す実施形態の場合、タッチパッド部材24の異なる領域に選択的に動きを与えるために2つ以上のアクチュエータが使用される。例えば、4つのアクチュエータがタッチパッド部材24に結合されている場合、1つのアクチュエータは、タッチパッドの左上隅に動きを与えるために、その他のアクチュエータとは無関係に駆動される(一例として)。多数のアクチュエータが使用される場合、更に集中した触覚フィードバックが提供される。
【0064】
上記の構成のような複数のアクチュエータを含む構成は、タッチパッド面の特定の一部分が押下された場合に、別の場所でタッチパッドと接触しているユーザの他の指又は物体を妨げることなく、ユーザに触覚による確認を与えるために使用される。例えば、異なるコマンドを実行するために、タッチパッド部材24はそれぞれ異なる場所で押下される。ユーザが1つの場所を押下すると、その場所は、1つ以上のアクチュエータにより動かされる。ユーザが異なる場所を押下すると、その場所の付近で力フィードバックを提供するために異なるアクチュエータが使用される。異なる領域におけるボタン押下の検出に応答してそれぞれ異なるアクチュエータ駆動信号が使用されるグローバルフィードバック構成も使用される。
【0065】
異なる場所においてそれぞれ程度の異なる触覚フィードバックを提供するためにアクチュエータが使用される構成は、可変作動方式と呼ばれる場合もある。可変作動方式は、力センサ信号及び/又はタッチセンサアレイ信号に基づきタッチパッド20のユーザに触覚フィードバック情報を提供するために使用される。必要に応じて、可変作動方式は他の作動方式と組み合わせて使用される。例えば、タッチパッド部材24のすべてにグローバルな動きを与える1つのアクチュエータを含む種類のグローバル作動方式は、ある種の動作の間(例えば、ある特定のソフトウェアアプリケーションの実行中)に使用され、可変作動方式は、他の動作の間(例えば、他のアプリケーションの実行中)に使用される。グローバルな動きは側方に与えられるが、局所的な動きは、垂直方向に向いたセンサ、1つ以上のセンサから成るそれぞれ異なる集合体などを使用して与えられる。
【0066】
図17は、タッチパッド部材24に動きを与えるために使用される例示的な作動構成の横断面図である。図17の例において、アクチュエータ36は、アクチュエータ36に駆動信号が印加された場合にプランジャ116が強制的に上向きの方向118に動かされるような向きに配置される。これにより、結合部材40の部分120は、方向118に引き上げられる。回動点112はデバイス筐体に結合されるので、部材40の縁部128は、部分120の動きによって方向126に動かされ、タッチパッド部材24の対応する左側縁部に当接する。
【0067】
図17に示される種類の構成は、タッチパッド部材24の垂直位置とは異なる垂直位置にアクチュエータ36を配置することが望まれる場合又はレイアウト上の制約条件を満たすことが望まれる場合に使用できる。
【0068】
タッチパッド部材24は、アクチュエータ36により何らかの適切な方向(例えば、横方向、垂直方向、側方変位方式と垂直変位方式との双方を同時に使用して斜め方向になど)に駆動される。
【0069】
タッチパッド部材24の縁部のうち1つに力が加えられた場合(例えば、補強部材の縦縁部に直接力が加えられるか又は補強部材の縁部にすぐ隣接する場所に配置された結合構造に力が加えられた場合)にタッチパッド部材24の剛性は最大になるので、タッチパッド部材24の側方への作動(すなわち、部材24を平面内で動かすような作動)は好都合である。タッチパッド部材24が矩形である場合、図11〜16の例に示されるように、部材24の狭いほうの端部のうち1つの端部で偏向を受けた場合、望ましくない撓みに対するタッチパッド部材24の耐性は最大になる。この種の構成では作動中に浪費されるエネルギーは少なくなる。更に、側方への作動は、他の種類の作動(例えば、Z軸と平行なタッチパッド部材24の一部分の垂直変位を含み、望ましくない不規則な「ドラム状」振動モードに至る可能性もある作動)より優れている。側方作動では、発生される雑音も垂直作動と比較して少なく、従って、特にタッチパッド部材24に関して筐体12Bに対するタッチパッド部材24の側方運動を可能にする装着方法が使用されている場合(例えば、図3のゲルパッド42が使用される場合)、垂直作動と比較して側方作動は効率が高い。雑音を最小限に抑えられるので、必要に応じて触覚フィードバックは無音で提供される。
【0070】
図18は、タッチパッド部材24の側方運動を容易にするために軸受が使用される例示的な構成を示す横断面図である。図18に示されるように、アクチュエータ36は筐体12Bの上部壁130に装着される。部材40はタッチパッド部材24とアクチュエータ36との間に結合されるので、アクチュエータ36はタッチパッド部材24を方向38に側方へ駆動する。下部筐体壁138又は他の適切な支持構造により支持されるシリコーン緩衝材132は、タッチパッド部材24の保持を簡単にするために使用される。磁気構造134と、それと係合する磁気構造136とは、互いに対して磁気吸引力を示すことにより、方向146への下向きの力を発生する。磁気構造134、136は共に磁石であるか、あるいは磁気構造134、136のうち一方は鉄の棒又は他の強磁性構造である。
【0071】
軸受構造(bearing structure)はタッチパッド部材24を支持する。例えば、軸受構造は、軸受マウント140と、軸受142とから形成される。アクチュエータ36によりタッチパッド部材24が方向38に動かされるにつれて、タッチパッド部材24の下面144に沿って玉142が転がる。このようにしてタッチパッド部材24の側方運動を容易にすることにより、アクチュエータ36を使用してタッチパッド部材24に触覚フィードバックを与えるために必要とされるエネルギーの量は減少される(すなわち、作動効率が向上する)。
【0072】
図19の側面図は、アクチュエータ36を使用して側方へ作動された場合にタッチパッド部材24がわずかに横方向38に動くことができるように、力センサ34がゲルパッド42又は他の装着構造に装着された構成を示す。タッチパッド部材24に力が加えられると、パッド42は幾分動く。タッチパッド部材24は筐体12Bに堅固に装着されていないので、アクチュエータ36のエネルギーは、タッチパッド部材24に効率よく伝達される。
【0073】
図20は、タッチパッド部材24が上部筐体壁130にある矩形の開口部にばね148を使用してどのように装着されるかを示すタッチパッド部材24の底面図である。ばね148は、薄板金片から打ち抜き加工又は切削加工された金属ばねであるか、あるいは上部筐体壁130の一部にばね148を直接切削加工することにより一体に形成される。図19の可撓性パッド42と同様に、図20のばね148は、アクチュエータ36により作動された場合にタッチパッド部材24を方向38に側方へ動かす。
【0074】
タッチパッド20の容量性タッチセンサの例示的な電極アレイの平面図を図21に示す。図21の例に示されるように、タッチパッドアレイ150は、基板50上の水平電極154と、垂直電極152とから形成される。基板50は、剛性又は可撓性のプリント回路基板材料又は他の適切な基板から形成される。経路156は、電極152、154からの電極信号をタッチセンサ処理回路158へ搬送するために使用される。タッチセンサ処理回路158は、電極152、154を使用して検出されたキャパシタンス変化を位置データに変換する(例えば、タッチパッド部材24上におけるユーザの指などの外部物体の位置を判定するために)。力センサ34は経路164を介して力信号を力センサ処理回路162に供給する。力センサ処理回路162は、各センサ34に加えられている(例えば、ユーザによりタッチパッドに加えられた力によって)力の量を判定するために生センサ信号を処理する。ドライバ回路166(例えば、可聴周波数増幅器又は他の出力ドライバ)は、アクチュエータ36に駆動信号を供給するために使用される。このようにして駆動された場合、アクチュエータ36は構造40のような結合構造を介してタッチパッドに動きを与える。
【0075】
回路162と、回路158とは、記憶処理回路160の一部を形成する。記憶処理回路160は、電子デバイス10の1つ以上のプリント回路基板上に実装された個別の素子と、集積回路とを含む。記憶処理回路160の記憶装置は、揮発性メモリ回路と、不揮発性メモリ回路とにより形成される。必要に応じて、電子デバイス10に情報を記憶するために、ハードディスクドライブと、他の媒体とが更に使用される。記憶処理回路160の処理回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)と、デジタル信号処理回路と、マイクロコントローラと、マイクロプロセッサと、他の回路とを使用して実現される。タッチパッド20を動作させるための機能を実現する場合、アプリケーションコード、オペレーティングシステム命令、ファームウェアなどのソフトウェアが使用される。例えば、アクチュエータ36がタッチパッド部材24に力を加えるべきか否かを判定する制御アルゴリズムを実現するために、ソフトウェアが使用される。回路162、ドライバ回路166、回路158などのハードウェアは、センサ信号を収集して処理するため及び適切な駆動信号をアクチュエータ36に印加するために使用される。
【0076】
典型的な例において、制御機能は、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを使用して実現される。例えば、力データと、センサデータとを収集するための処理アルゴリズムは、タッチセンサ及び力センサのハードウェア機能と、処理回路162、158などの関連する処理回路のハードウェア機能とを使用する。生センサ信号の処理が終了した後、適切な動作が実行される(例えば、ドライバ回路166のようなハードウェアを使用してアクチュエータ166に駆動信号を印加することにより)。特定のパターンのセンサデータの検出に応答して実行すべき動作を判定するために使用される制御アルゴリズムは、ハードワイヤードされる(例えば、専用回路を使用して)か、ソフトウェアを使用する。
【0077】
ユーザがタッチパッドの平坦な外面を押下した場合に生成される例示的な力信号が図22に示される。図22に示されるように、当初、力Fは時間の関数として増加する(例えば、ユーザがタッチパッドに下向きの力を徐々に強めながら加えている間に)。ユーザがタッチパッドの面から指を離すと、力センサにより測定される力の量は減少する。
【0078】
図22の力信号Fのような力信号を処理するために使用される信号処理アルゴリズムは、周波数依存フィルタリングアルゴリズム(例えば、低域フィルタ、帯域フィルタ、高域フィルタ)と、時間ベースアルゴリズムと、ヒステリシスを示すアルゴリズム(例えば、デバウンス機能性を実現するためのアルゴリズム)と、力値閾値を適用するアルゴリズムとを含む。一例として、記憶処理回路160(図21)は、力閾値FT1(例えば、雑音閾値)未満の大きさを有するすべての力信号を無視する。他の閾値(例えば、閾値FT2と、閾値FT3)を超える大きさの力信号及び/又はそれらの閾値を下回る力信号は、ボタン押下イベントと、ボタン解放イベントとに対応すると特徴付けられる。
【0079】
図23の特性図は、記憶処理回路160が複数の力センサ34からの信号をどのようにして処理するかを示す。図23の例では、タッチパッド20は、信号FFL(左前のセンサからの信号)と、信号FFR(右前のセンサからの信号)と、信号FBL(左後のセンサからの信号)と、信号FBR(右後のセンサからの信号)とをそれぞれ生成する4つの力センサ34を有する。ユーザの指の場所を判定するために又はユーザの力操作の性質に関する他の情報を取り出すために、それらの信号は処理される。1つの適切な構成において、組み合わせ力信号FAVGを生成するために、4つの個別の力信号は組み合わされる(例えば、デジタル加算され且つ/又はデジタル平均化される)。このような組み合わせ技術の使用は、雑音を低減し、力センサの精度を向上するのに効果的である。
【0080】
図22と図23に示される種類のアナログ力センサを処理することにより、記憶処理回路160は対応するデジタル信号を生成する。例えば、記憶処理回路160は、ユーザが押下イベントを完了したことを示すために、図24に示される種類のデジタルPRESS信号を生成し、ユーザが解放イベントを完了したことを示すために、図25に示される種類のデジタルRELEASE信号を生成する。PRESS信号の持続時間(t2−t1)と、RELEASE信号の持続時間(t4−t3)は一定であるか、又はPRESS信号とRELEASE信号は、クリアされるまで連続して印加される(例として)。図26は、組み合わせPRESS/RELEASE信号の立ち上がり端と立ち下がり端により押下イベントと解放イベントとがどのようにして表されるかを示す。
【0081】
押下イベントと解放イベントとは、力センサからの力信号に閾値を適用することにより識別される。一例として、平均力センサ信号FAVGがデフォルト値又はユーザ定義済み閾値を超えた場合、ユーザによるボタンの押下が識別される(PRESSのアサーション)。
【0082】
ユーザは、タッチセンサ信号と、力センサ信号とを処理するために使用される設定を調整しても良い。例えば、ユーザは、タイミングと、閾値と、他のフィルタリングパラメータとに影響を及ぼす感度設定を調整する。更に、ユーザは、アクチュエータ36に供給される駆動信号の種類を調整する。アクチュエータ信号の形状と大きさとは、一般に、アクチュエータによりタッチパッドに加えられる力の量と、与えられる動きの種類とに影響する。
【0083】
図27は、アクチュエータ36を駆動するために使用される滑らかな(湾曲する)対称の例示的なアクチュエータ駆動信号を示す。図28は、対称ではあるが、より尖鋭な形状の使用可能な駆動信号を示す。図29の例と、図30の例とは、非対称の信号を使用してアクチュエータが駆動される場合を示す。立ち上がり時間が短い信号(例えば、図29に示される種類の信号)は、立ち下がり時間が短い信号(例えば、図30に示される種類の信号)とは異なる品質の触覚フィードバックを生成しようとする。対称の駆動信号は、非対称の駆動信号とは明らかに異なる結果を生成する。必要に応じて、主に亜音速周波数の成分(例えば、20Hz未満の周波数、15Hz未満の周波数など)を示すことにより、触覚フィードバック機能を無音動作で実現できる駆動信号が使用される(例えば、可聴スピーカフィードバックがオフになっている場合)。更に、駆動信号は複数のピークを有する(例えば、二重パルスとして)か、又は他の複合的な波形を有する。ユーザの個人的な条件に適合するように処理設定とフィードバック設定とを制御するために、ユーザは電子デバイス10の設定を調整する。例えば、ユーザは、押下イベントが検出された場合に所望の駆動形状を生成し、解放イベントが検出された場合は異なる所望の駆動形状を生成するように記憶処理回路160に命令する。
【0084】
力信号と、タッチセンサ信号とは、記憶処理回路160により一体に処理されるようにしても良い。例えば、ジェスチャ動作が検出された場合、力センサ処理及び/又は力フィードバックは抑止される。これにより、不用意なボタン押下の検出が防止され、望ましくないフィードバックが防止される。
【0085】
一例として、図31の状況を考える。この状況において、ユーザはタッチセンサに沿って指を動かしていない(すなわち、ユーザはジェスチャコマンドを作成していない)。記憶処理回路160は、タッチパッド20のタッチセンサ部分により収集されたタッチセンサ信号を監視し、ジェスチャ動作がないと結論付ける。図31の左側の特性図の力Fのような力信号が検出されると、押下イベントと、解放イベントとを検出するために、力センサ処理動作が実行される。更に高レベルの処理と、それに対応するアクチュエータ36によるタッチパッド部材24の作動とを可能にするために、対応するPRESS信号と、RELEASE信号とが生成される。
【0086】
しかし、ユーザがタッチパッド20を使用してジェスチャを入力中である場合、ユーザの能動的なタッチセンサの使用は、記憶処理回路160により検出される。ユーザがジェスチャを行う場合、ユーザの指はタッチパッドの面に沿って動く。場合によっては、ジェスチャ中にユーザが不用意にタッチパッドの面に触れてしまうこともありうる。ジェスチャ動作を検出することにより、タッチパッド20の力フィードバック機能は瞬時に抑止される。図32に示されるように、力フィードバック機能が抑止された場合、図32の左側の特性図に示されるような種類の力Fが検出されても、PRESS信号とRELEASE信号は共に生成されない。従って、アクチュエータ36のドライバ回路には駆動信号は供給されないので、ジェスチャ動作が行われていない正常の動作中のボタン押下による力フィードバック感度のレベルには関係なく、ジェスチャ動作中、アクチュエータ36は触覚フィードバックを生成しない。
【0087】
必要に応じて、力フィードバックは手動操作により中止される(例えば、ユーザがジェスチャ機能を使用することを期待しているが、不用意なボタン押下を望まない場合)。更に、現在、どのアプリケーションが実行中であるか、ユーザがマルチユーザシステムにログインしているか否か、日時、他の条件の有無などに基づき、力フィードバックの強さも調整される。
【0088】
ボタン操作イベントが発生したことをユーザに簡単に報知するために、触覚フィードバックと協調して音声を生成しても良い(例えば、電子デバイス10のスピーカを使用する)。デフォルト音声と、ユーザが選択した音声とが生成される。必要に応じて、生成される音声は作動駆動信号の選択と関連付けられる。例えば、アクチュエータ駆動信号が図29に示される種類の形状を有する場合、アクチュエータ駆動信号が図30に示される種類の形状を有する場合とは異なる音声が生成される(一例として)。
【0089】
図33は、タッチパッド20の動作を調整するために力センサと、タッチセンサと、ドライバ設定とがどのようにして使用されるかを示す。図33に示されるように、1つ以上の力センサ34は、力データ(例えば、ユーザの指がタッチパッドをどの程度の力で押下しているかに関連するデータ)を生成する。タッチパッド20のタッチセンサアレイ168は、タッチデータ(例えば、タッチパッドのX−Y平面におけるユーザの指の位置に関連するデータ)を生成する。
【0090】
ユーザ定義済み力信号処理設定と、デフォルト力信号処理設定とは、信号処理回路162に供給される。それらの信号は、力閾値と、時間閾値と、周波数依存フィルタ基準と、力信号処理回路162により力データがどのようにして処理され、解釈されるかに影響を及ぼす他の基準とを含む。それらの設定に基づき、力信号処理回路162は、力データから処理済み力データ信号(例えば、押下データと解放データ)を生成する。
【0091】
ユーザ定義済みタッチ信号処理設定と、デフォルトタッチ信号処理設定とは、タッチセンサ処理回路158に供給される。それらの信号は、感度設定と、ユーザがキーボード18から入力している間のタッチ応答を抑止するための手のひら検査設定と、フィルタ設定と、タッチセンサ信号処理回路158によりタッチセンサアレイデータがどのようにして処理され、解釈されるかに影響を及ぼす他の適切な処理基準とを含む。それらの設定に基づき、タッチセンサ信号処理回路158は、タッチセンサ168により提供されたタッチデータから処理済みタッチデータ信号(例えば、指場所データ)を生成する。
【0092】
駆動信号発生器170は、デフォルトドライバ設定と、ユーザ調整済みドライバ設定とを使用して調整される。それらの設定は、例えばアクチュエータ36に供給される駆動制御信号の形状と大きさとを制御する設定を含む。駆動信号発生器170は専用ハードウェアで実現されるか、図21の記憶処理回路160の中の資源により実現されるか、又は他の適切な資源により実現され、アクチュエータ36に対してアクチュエータ制御信号を供給する。それらの信号はドライバ166(図21)を使用してアクチュエータ36へ駆動されるか、又はドライバ166の回路は駆動信号発生器170に組み込まれる。
【0093】
タッチパッド20を調整し、使用することに関連する例示的なステップのフローチャートが図34に示される。
【0094】
ステップ170において、タッチパッド20のデフォルト設定が記憶処理回路160に記憶される。例えば、記憶処理回路160の不揮発性メモリにファームウェア又は他のコードが埋め込まれる。このコードは、タッチパッド20の力センサのデフォルト設定と、タッチセンサアレイのデフォルト設定と、アクチュエータのデフォルト設定とを含む。
【0095】
ステップ172において、ユーザ調整可能設定がユーザから収集される。例えば、ユーザは、キーボードを使用するか、ボタンを押下するか、スイッチをスライドさせるか、音声コマンドを入力するか又は画面上のオプションと対話することにより、設定を供給する。ユーザにより調整されるタッチパッド設定は、アプリケーションソフトウェア設定、オペレーティングシステム設定、ファームウェア設定、ハードウェア設定などを含む。それらの設定は、図33に関連して説明した種類の力信号処理設定と、タッチセンサ設定と、ドライバ設定とを含む。
【0096】
ステップ174において、タッチパッドデータがタッチセンサ168と力センサ回路34とから収集される。このデータは電子デバイス10の動作中に継続して収集される(一例として)。
【0097】
ステップ176において、力データと、ステップ174で収集されたタッチデータとは、ユーザ供給済み力信号処理設定と、デフォルト力信号処理設定と、ユーザ供給済みタッチセンサ処理設定と、デフォルトタッチセンサ処理設定とを使用して処理される。ステップ176の処理動作の結果、処理済み力データと、処理済みタッチセンサデータ(例えば、X−Y指移動データと、力に基づくボタン操作データ)とが生成される。
【0098】
ステップ178において、ステップ176の処理動作に応答して、電子デバイス10と、タッチパッド20で適切な動作が実行される。例えば、電子デバイス10のオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムは、表示されたウィンドウを開くか又は閉じるための命令、特定の機能を開始又は停止するための命令などとしてボタン押下イベントを解釈する。ステップ176の処理動作に応答して、適切な制御信号によってアクチュエータ36を駆動することにより、タッチパッドの動きが生成される。アクチュエータ36を駆動するために使用される信号は、処理済みタッチ信号と、処理済み力信号と、アクチュエータ設定(例えば、種々の状況において図27〜図30のアクチュエータ駆動信号のうちどの信号が使用されるべきかを示す設定などのデフォルト駆動信号設定と、ユーザ供給済み駆動信号設定など)とにより影響を受ける。
【0099】
場合に応じてポータブルコンピュータのタッチパッドに関連して説明したが、本明細書において説明される種類のタッチパッド機能は、どのような電子機器でも使用される。タッチパッドの力センサの特徴は、デバイスがタッチセンサ機能を含むか否か、またアクチュエータを含むか否かに関わらず使用され、タッチセンサの特徴は、デバイスが力センサ機能を含むか否か、またアクチュエータを含むか否かに関わらず使用され、アクチュエータの特徴は、デバイスがタッチセンサ機能を含むか否か、また力センサ機能を含むか否かに関わらず使用される。
【0100】
説明された実施形態は、有線通信チャネル又は無線通信チャネル1002を介してコンピューティングシステム1003(図35)と対話するためにタッチ入力を受信するタッチI/Oデバイス1001(本明細書においてはタッチパッドと呼ばれる場合もある)を含む。タッチI/Oデバイス1001は、キーボード、マウスなどの他の入力デバイスの代わりに又はそのような入力デバイスと組み合わされてコンピューティングシステム1003にユーザ入力を供給するために使用される。コンピューティングシステム1003にユーザ入力を供給するために1つ以上のタッチI/Oデバイス1001が使用される。タッチI/Oデバイス1001は、コンピュータシステム1003と一体の部分である(例えば、ラップトップのタッチスクリーン)か、又はコンピュータシステム1003とは別の構成要素である。
【0101】
タッチI/Oデバイス1001は、全体又は一部が透明であるか、半透明であるか、透明ではないか、不透明であるか又はそれらの何らかの組み合わせであるタッチセンシティブパネルを含む。タッチI/Oデバイス1001は、タッチスクリーン、タッチパッド、タッチパッドとして機能するタッチスクリーン(例えば、ラップトップのタッチパッドの代わりに使用されるタッチスクリーン)、他の何らかの入力デバイスと組み合わされた又は一体に形成されたタッチスクリーン又はタッチパッド(例えば、キーボードに配設されたタッチスクリーン又はタッチパッド)、あるいはタッチ入力を受信するためのタッチセンシティブ面を有する何らかの多次元物体として実現される。
【0102】
一例において、タッチスクリーンとして実現されたタッチI/Oデバイス1001は、一部又は全体がディスプレイの少なくとも一部分を覆うように配置された透明及び/又は半透明のタッチセンシティブパネルを含む。本実施形態によれば、タッチI/Oデバイス1001は、コンピューティングシステム1003(及び/又は別の資源)から送信されたグラフィカルデータを表示するように機能すると共に、ユーザ入力を受信するように機能する。他の実施形態において、タッチI/Oデバイス1001は、タッチセンシティブ構成要素/デバイスがディスプレイの構成要素/デバイスと一体である一体形タッチスクリーンとして実現される。更に別の実施形態において、タッチスクリーンは、一次ディスプレイとして補助グラフィカルデータ又は追加のグラフィカルデータを表示すると共に、タッチ入力を受信するための補助ディスプレイ画面又は追加のディスプレイ画面として使用される。
【0103】
タッチI/Oデバイス1001は、容量測定、抵抗測定、光測定、音響測定、誘導測定、機械的測定、化学的測定又はデバイス1001に近接して起こる1回以上のタッチ又はニアタッチを測定可能な何らかの現象に基づき、デバイス1001に対する1回以上のタッチ又はニアタッチの場所を検出するように構成される。1回以上のジェスチャを識別し、追跡するように、検出されたタッチの測定値を処理するために、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア又はそれらの組み合わせが使用される。1つのジェスチャは、タッチI/Oデバイス1001に対する静止状態のタッチ、静止状態のニアタッチ、非静止状態のタッチ、非静止状態のニアタッチ、1回のタッチ又はニアタッチ、あるいは複数回のタッチ又はニアタッチに対応する。タッチI/Oデバイス1001に対して、タップする、押下する、揺らす、擦る、捻る、向きを変える、圧力を変えながら押下するなどの動作をほぼ同時に、連続して又は順次行うなど、特定の態様で1本以上の指又は他の物体を動かすことにより、ジェスチャは実行される。ジェスチャは、1本以上の他のいずれかの指の間の又はその指によるピンチング動作、スライド動作、スワイプ動作、回転動作、屈曲動作、ドラッグ動作又はタップ動作により特徴付けられるが、それらに限定されない。1つのジェスチャは、片手又は両手で実行されるか、一人又は二人以上のユーザにより実行されるか、あるいはそれらの組み合わせにより実行される。
【0104】
コンピューティングシステム1003は、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を表示するためにグラフィカルデータによってディスプレイを駆動する。GUIは、タッチI/Oデバイス1001を介してタッチ入力を受信するように構成される。タッチスクリーンとして実現される場合のタッチI/Oデバイス1001は、GUIを表示する。あるいは、GUIはタッチI/Oデバイス1001とは別にディスプレイに表示される。GUIはインタフェース内の特定の場所に表示されるグラフィカル要素を含む。グラフィカル要素は、仮想スクロールホイール、仮想キーボード、仮想つまみ、仮想ボタン、何らかの仮想UIなどを含む多様な仮想入力デバイスの表示を含むが、それらには限定されない。ユーザは、GUIのグラフィカル要素と関連するタッチI/Oデバイス1001の1つ以上の特定の場所でジェスチャを実行する。他の実施形態において、ユーザは、GUIのグラフィカル要素の場所とは関係のない1つ以上の場所でジェスチャを実行する。タッチI/Oデバイス1001で実行されるジェスチャは、GUI中のカーソル、アイコン、メディアファイル、リスト、テキスト、すべて又は一部の画像などのグラフィカル要素を直接又は間接的に操作するか、制御するか、変更するか、移動するか、起動するか、開始するか又は一般的に影響を与える。例えば、タッチスクリーンの場合、ユーザは、タッチスクリーンのグラフィカル要素を介してジェスチャを実行することにより、そのグラフィカル要素と直接対話する。あるいは、タッチパッドは一般に間接的な対話を可能にする。ジェスチャは、表示されていないGUI要素にも影響を及ぼす(例えば、ユーザインタフェースを出現させる)か、又はコンピューティングシステム1003内の他の動作に影響を及ぼす(例えば、GUIの状態又はモード、アプリケーション、あるいはオペレーティングシステムに影響を及ぼす)。ジェスチャは、表示されたカーソルと関連してタッチI/Oデバイス1001で実行されるが、カーソルと関連して実行されない場合もある。例えば、タッチパッドでジェスチャが実行される場合、表示画面又はタッチスクリーンにカーソル(又はポインタ)が表示され、表示画面のグラフィカルオブジェクトと対話するために、カーソルはタッチパッドに対するタッチ入力を介して制御される。ジェスチャがタッチスクリーンで直接実行される他の実施形態において、ユーザは、カーソル又はポインタがタッチスクリーンに表示されている状態で、あるいは表示されていない状態で、タッチスクリーン上のオブジェクトと直接対話する。
【0105】
タッチI/Oデバイス1001に対するタッチ又はニアタッチに応答して又はそれに基づき、通信チャネル1002を介してユーザにフィードバックが提供される。フィードバックは、可変方式又は不変方式で、光通信により送信されるか、機械的に伝送されるか、電気的に伝送されるか、嗅覚を利用して伝達されるか、音声により伝達されるか、あるいは他の方法により伝達される。
【0106】
次に、通信デバイス(例えば、移動電話、スマートフォン)、マルチメディアデバイス(例えば、MP3プレイヤー、TV、ラジオ)、ポータブルコンピュータ又はハンドヘルドコンピュータ(例えば、タブレット、ネットブック、ラップトップ)、デスクトップコンピュータ、オールインワンデスクトップ、周辺装置、あるいはこれらの種類のデバイスのうち2つ以上の組み合わせを含むシステム構造2000を含むように適用可能な他の何らかのシステム又はデバイスを含むが、それらに限定されない何らかのポータブルデバイス又は非ポータブルデバイスの内部で実現されるシステム構造の実施形態に注目する。図36は、一般に1つ以上のコンピュータ可読媒体2001と、処理システム2004と、入出力(I/O)サブシステム2006と、無線周波数(RF)回路2008と、音声回路2010とを含むシステム2000の一実施形態を示すブロック図である。これらの構成要素は、1つ以上の通信バス又は信号回線2003により結合される。
【0107】
いくつかの実施形態において、システム2000は、iPod(Apple Computer, Inc.の商標)のようなMP3プレイヤーの機能性を含む。従って、システム2000は、iPodに適応するマルチピンコネクタを含む。いくつかの実施形態において、システム2000は、撮像アプリケーションで使用するためのCMOSイメージセンサ又はCCDイメージセンサのような1つ以上の光センサ(図示せず)をオプションとして含む。
【0108】
図36に示される構造はシステム2000の構造の単なる一例であること、並びにシステム2000は図示される数より多くの又は少ない構成要素、あるいは異なる構成の構成要素を含むことができることは明らかなはずである。図36に示される種々の構成要素は、1つ以上の信号処理回路及び/又は特定用途向け集積回路を含めて、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの何らかの組み合わせにおいて実現される。
【0109】
RF回路2008は、無線リンク又は無線ネットワークを介して1つ以上の他のデバイスとの間で情報を送受信するために使用され、アンテナシステム、RFトランシーバ、1つ以上の増幅器、同調器、1つ以上の発振器、デジタルシグナルプロセッサ、CODECチップセット、メモリなどを含むが、それらに限定されないこの機能を実行するための周知の回路を含む。いくつかの実施形態において、RF回路2008は、時分割多元接続(TDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、移動通信用グローバルシステム(GSM(登録商標))、拡張データGSM(登録商標)環境(EDGE)、広帯域符号分割多元接続(W−CDMA)、Wi−Fi(IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g及び/又はIEEE802.11nなど)、Bluetooth(登録商標)、Wi−MAX、HSDPA(高速ダウンリンクパケットアクセス)、VoIP(Voice over IP)(インターネットプロトコル))、Eメール用プロトコル、インスタントメッセージング及び/又はショートメッセージサービス(SMS)、あるいは本出願の出願日の時点ではまだ開発されていない通信プロトコルを含む他の何らかの適切な通信プロトコルを含むが、それらに限定されない1つ以上の通信プロトコルを使用して、他のデバイスとの間で通信を確立し、維持することが可能である。
【0110】
RF回路2008と、音声回路2010とは、周辺装置インタフェース2016を介して処理システム2004に結合される。インタフェース2016は、周辺装置と処理システム2004との間で通信を確立し、維持する種々の周知の構成要素を含む。音声回路2010は、音声スピーカ2050と、マイクロホン2052とに結合され、ユーザと他のユーザとの間のリアルタイム通信を可能にするためにインタフェース2016から受信された音声信号を処理する既知の回路を含む。いくつかの実施形態において、音声回路2010はヘッドホンジャック(図示せず)を含む。RF回路2008と、音声回路2010とにより受信された音声情報と、データ情報は(例えば、音声認識アプリケーション又は音声コマンドアプリケーション)、周辺装置インタフェース2016を介して1つ以上のプロセッサ2018へ送信される。1つ以上のプロセッサ2018は、媒体2001に記憶されている1つ以上のアプリケーションプログラム2030に合わせて種々のデータフォーマットを処理するように構成可能である。
【0111】
「データ」という用語は、媒体2001に記憶されている1つ以上のアプリケーションプログラム2030(例えば、ウェブブラウザ、Eメールなど)により使用されるテキスト、グラフィックス、ウェブページ、JAVA(登録商標)アプレット、ウィジェット、Eメール、インスタントメッセージ、音声、デジタル画像又はビデオ、ウィジェット、MP3などを含むが、それらに限定されない。いくつかの実施形態において、システム2000は、無線ネットワーク又は外部ポート2036を介して、ファイル、歌、デジタル画像、ビデオ、Eメール、ウィジェット、インスタントメッセージなどの種々のデータをインターネットからアップロードし、また、ダウンロードすることが可能である。
【0112】
周辺装置インタフェース2016は、システムの入力周辺装置と出力周辺装置をプロセッサ2018と、コンピュータ可読媒体2001とに結合する。1つ以上のプロセッサ2018は、コントローラ2020を介して1つ以上のコンピュータ可読媒体2001と通信する。コンピュータ可読媒体2001は、1つ以上のプロセッサ2018が使用するためのコード及び/又はデータを記憶する何らかのデバイス又は媒体である。コンピュータ可読媒体2001は、キャッシュと、主メモリと、二次メモリとを含むが、それらに限定されないメモリ階層を含む。メモリ階層は、RAM(例えば、SRAM、DRAM、DDRAM)、ROM、FLASH、ディスクドライブ、磁気テープ、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル汎用ディスク)のような磁気記憶装置及び/又は光記憶装置の何らかの組み合わせを使用して実現される。媒体2001は、コンピュータ命令又はデータを示す情報搬送信号を(信号が変調される搬送波と共に又は搬送波を含まずに)搬送するための送信媒体を更に含む。例えば、送信媒体は、インターネット(ワールドワイドウェブと呼ばれる場合もある)、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドローカルエリアネットワーク(WLAN)、ストレージエリアネットワーク(SAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)などを含むが、それらに限定されない通信ネットワークを含む。
【0113】
システム2000の種々の機能を実行するために、1つ以上のプロセッサ2018は、媒体2001に記憶されている種々のソフトウェア要素を実行する。いくつかの実施形態において、ソフトウェア要素は、オペレーティングシステム2022と、通信モジュール(又は命令のセット)2024と、タッチ処理モジュール(又は命令のセット)2026と、グラフィックスモジュール(又は命令のセット)2028と、1つ以上のアプリケーション(又は命令のセット)2030と、力センサ・フィードバックモジュール(又は命令のセット)2038とを含む。各モジュール及び上記のアプリケーションは、先に説明した1つ以上の機能と、本明細書において説明される方法(例えば、コンピュータ実現方法と、本明細書において説明される他の情報処理方法)とを実行するための命令のセットに対応する。それらのモジュール(すなわち、命令のセット)は、個別のソフトウェアプログラム、個別の手順又は個別のモジュールとして実現される必要はなく、従って、種々の実施形態において、これらのモジュールの種々のサブセットが組み合わされるか又は再配列される。いくつかの実施形態において、媒体2001は、先に挙げたモジュールとデータ構造のサブセットを記憶する。更に、媒体2001は、先に説明されていない追加のモジュールとデータ構造を記憶する。
【0114】
オペレーティングシステム2022(例えば、Darwin、RTXC、LINUX(登録商標)、UNIX(登録商標)、OS X、Windows(登録商標)又はVxWorksのような埋め込みオペレーティングシステム)は、種々の手順、命令のセット、ソフトウェア要素及び/又は一般システムタスク(例えば、メモリ管理、記憶装置制御、電力管理など)を制御し、管理するためのドライバを含み、種々のハードウェア要素とソフトウェア要素との間の通信を容易にする。
【0115】
通信モジュール2024は、1つ以上の外部ポート2036を介するか又はRF回路2008を介する他のデバイスとの間の通信を容易にし、RF回路2008及び/又は外部ポート2036から受信されたデータを処理するための種々のソフトウェア要素を含む。外部ポート2036(例えば、USB、FireFire(登録商標)など)は、他のデバイスに直接結合されるか、又はネットワーク(例えば、インターネット、無線LANなど)を介して間接的に結合されるように構成される。
【0116】
グラフィックスモジュール2028は、ディスプレイ面にグラフィカルオブジェクトをレンダリングし、動画化し、表示するための種々の既知のソフトウェア要素を含む。タッチI/Oデバイス2012がタッチセンシティブディスプレイ(例えば、タッチスクリーン)である実施形態において、グラフィックスモジュール2028は、タッチセンシティブディスプレイにオブジェクトをレンダリングし、表示し、動画化するための要素を含む。尚、「グラフィカルオブジェクト」という用語は、ユーザに対して表示可能なあらゆるオブジェクトを含み、オブジェクトは、テキスト、ウェブページ、アイコン、デジタル画像、アニメーションなどを含むがこれに限定されない。
【0117】
1つ以上のアプリケーション2030は、システム2000にインストールされたあらゆるアプリケーションを含む。アプリケーションは、ブラウザ、アドレス帳、連絡先リスト、Eメール、インスタントメッセージング、ワード処理、キーボードエミュレーション、ウィジェット、JAVA(登録商標)対応アプリケーション、暗号化、デジタル著作権管理、音声認識、音声複製、場所判定機能(全地球測位システム(GPS)により提供されるような機能)、音楽プレイヤー(MP3ファイル又はAACファイルなどの1つ以上のファイルに記憶された録音済みの音楽を再生する)などを含むがこれらに限定されない。
【0118】
タッチ処理モジュール2026は、タッチI/Oデバイスコントローラ2032を介してタッチI/Oデバイス2012から受信されたタッチ入力を受信することと、処理することとを含むが、それらに限定されないタッチI/Oデバイス2012と関連する種々のタスクを実行するための種々のソフトウェア要素を含む。
【0119】
システム2000は、本明細書において図33、図34と関連して説明したような方法/機能を実行する力センサ・フィードバックモジュール2038を更に含む。力センサ・フィードバックモジュール2038は、タッチデータと、力センサからの力データとを受信して処理し、それに応答して動作を実行する(例えば、アクチュエータ制御信号を使用してアクチュエータを駆動することにより)。モジュール2038は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの何らかの組み合わせとして実現される。力センサ・フィードバックモジュール2038は、媒体2001の中に常駐するものとして示されるが、モジュール2038のすべて又は一部は、システム2000内の他の構成要素の中で実現されるか、あるいは全体がシステム2000内の別の構成要素として実現される。
【0120】
I/Oサブシステム2006は、タッチI/Oデバイス2012と、電力制御、スピーカ音量調整、ベル音の音量調整、キーボード入力、スクロール、保留、メニュー、スクリーンロック、クリア、通信終了などの種々の機能を制御又は実行する1つ以上の他のI/Oデバイス2014とに結合される。タッチI/Oデバイス2012は、ユーザからのタッチ入力(例えば、ハードウェアのスキャン)を処理する種々の構成要素を含むタッチI/Oデバイスコントローラ2032を介して処理システム2004と通信する。1つ以上の他の入力コントローラ2034は、他のI/Oデバイス2014との間で電気信号を送受信する。他のI/Oデバイス2014は、物理的ボタン(例えば、押しボタン、ロッカボタンなど)、ダイヤル、スライダスイッチ、スティック、キーボード、タッチパッド、追加の表示画面又はそれらの何らかの組み合わせを含む。
【0121】
タッチI/Oデバイス2012がタッチスクリーンとして実現される場合、タッチI/Oデバイス2012は、ユーザに対する視覚出力をGUIに表示する。視覚出力は、テキストと、グラフィックスと、ビデオと、それらの何らかの組み合わせとを含む。視覚出力の一部又はすべては、ユーザ−インタフェースオブジェクトに対応する。タッチI/Oデバイス2012は、ユーザからのタッチ入力を受け入れるタッチセンシティブ面を形成する。タッチI/Oデバイス2012と、タッチスクリーンコントローラ2032とは(媒体2001中の何らかの関連するモジュール及び/又は命令のセットと共に)、タッチI/Oデバイス2012に対するタッチ又はニアタッチ(更には何らかの動き又はタッチの解放)を検出し、検出されたタッチ入力を1つ以上のユーザ−インタフェースオブジェクトのようなグラフィカルオブジェクトとの対話に変換する。デバイス2012がタッチスクリーンとして実現される場合、ユーザは、タッチスクリーンに表示されたグラフィカルオブジェクトと直接対話できる。あるいは、デバイス2012がタッチスクリーン以外のタッチデバイス(例えば、タッチパッド)として実現される場合、ユーザは、I/Oデバイス2014として実現された別の表示画面に表示されたグラフィカルオブジェクトと間接的に対話する。例示的な一実施形態において、タッチI/Oデバイス2012によりユーザから受信されるタッチ入力は、ユーザの1本以上の指に対応する。タッチI/Oデバイス2012と、タッチI/Oデバイスコントローラ2032とは、容量技術、抵抗技術、赤外線技術、光技術、表面音波技術、誘導タッチセンサ技術、機械式タッチセンサ技術、化学的タッチセンサ技術、並びにタッチI/Oデバイス2012に対する1回以上のタッチ又はニアタッチを判定する他のタッチセンサ構成又は他の素子を含むが、それらに限定されない複数のタッチセンシティブ技術のうちいずれかの技術を使用してタッチ入力を検出する。ユーザは、スタイラス、ペン、指などの何らかの適切な物体又は付属品を使用してタッチI/Oデバイス2012と接触する。
【0122】
タッチI/Oデバイス2012は、いずれも参考として本明細書に取り入れられている米国特許第6,323,846号公報(Westerman他)、米国特許第6,570,557号公報(Westerman他)及び/又は米国特許出願公開第2002/0015024A1号に記載されるマルチタッチセンシティブ面に類似している。
【0123】
タッチI/Oデバイス2012がタッチスクリーンである実施形態において、タッチスクリーンは、LCD(液晶ディスプレイ)技術、LPD(発光ポリマーディスプレイ)技術、OLED(有機LED)技術又はOEL(有機エレクトロルミネセンス)技術を使用するが、他の実施形態においては他の表示技術が使用される。
【0124】
タッチI/Oデバイス2012がタッチスクリーンとして実現されるいくつかの実施形態において、システム2000は、他のI/Oデバイス2014として実現されたタッチパッドを更に含む。いくつかの実施形態において、タッチパッドは、タッチスクリーンとは異なり、視覚出力を表示しないデバイスのタッチセンシティブ領域である。この場合、タッチパッドはタッチスクリーンとは別である。あるいは、タッチパッドはタッチスクリーンとして実現される。更に別の実施形態において、タッチスクリーンの一部は、タッチスクリーン以外でタッチ入力を受信するためのタッチパッドとして機能する非表示領域(例えば、タッチスクリーンの周囲に沿った領域)を含む。
【0125】
ユーザのタッチ入力と、表示されているものの状態及び/又はコンピューティングシステムの状態とに基づき、タッチI/Oデバイス2012によりフィードバックが提供される。フィードバックは、可変方式又は不変方式で、光を利用して伝送されるか(例えば、光信号又は表示される画像)、機械的に伝送されるか(例えば、触覚フィードバック、タッチフィードバック、力フィードバックなど)、電気的に伝送されるか(例えば、電気的刺激)、嗅覚を利用して伝送されるか、音声により伝送されるか(例えば、ブザー音など)、あるいはそれらの何らかの組み合わせを利用して伝送される。
【0126】
システム2000は、種々のハードウェア構成要素に給電する給電システム2044を更に含む。給電システム2044は、電力管理システムと、1つ以上の電源(例えば、バッテリ、交流電源(AC))と、再充電システムと、電源故障検出回路と、電力変換器又はインバータと、電源状態指示器(例えば、発光ダイオード(LED))と、ポータブルデバイスの発電、電力管理、電力配分と通常関連する他の何らかの構成要素とを含む。
【0127】
いくつかの実施形態において、周辺装置インタフェース2016と、1つ以上のプロセッサ2018と、メモリコントローラ2020とは、処理システム2004のような1つのチップで実現される。他のいくつかの実施形態において、それらは個別のチップで実現される。
【0128】
タッチI/Oデバイス1001に対して、ほぼ同時に1回以上のジェスチャが実行される場合がある。複数のジェスチャは、1回の間断のないストロークとして実行される。あるいは、1つのジェスチャが「切り取りとペースト」のように複数の分割された部分ジェスチャから構成される場合もある。タッチI/Oデバイス1001の異なる領域で同一のジェスチャが実行された場合、そのジェスチャがどの領域で実行されているかに応じて、異なるタッチ入力がコンピューティングシステム1003に供給される。
【0129】
尚、以上の説明の中で、1回以上のタッチ又はニアタッチがユーザの指によるタッチ面へのタッチ又はニアタッチに対応するものとしてタッチ面を説明したが、タッチI/Oデバイス1001にタッチ入力を与えるために、ユーザの1つ以上の他の身体部分(例えば、手のひら、手全体、頭部、鼻、耳、足、指の爪など)、受動スタイラス又は能動スタイラス、文書、物体の影(例えば、指の影)、非導電性物体又は導電性物体、受動物体又は能動物体、多次元物体又はそれらの何らかの組み合わせを含む他の物体が使用される。能動スタイラスの一例はライトペンである。更に、タッチI/Oデバイス1001にタッチ入力を与えるために、2種類以上の物体が同時に使用されるか又は異なる時点で使用される。
【0130】
一実施形態によれば、外部物体から入力を受信するトラックパッドであって、外部物体がタッチパッド部材にタッチした所定の場所を示すタッチセンサアレイ信号を収集するタッチパッドセンサアレイを有するタッチパッド部材と、各々がそれぞれ異なる場所でタッチパッド部材に接続され、外部物体がタッチパッド部材を押下している力の強さを示す力出力信号を生成する複数の力センサと、タッチパッド部材を側方へ作動するアクチュエータとを含むトラックパッドが提供される。
【0131】
別の実施形態によれば、タッチパッドセンサアレイは、容量性電極のアレイを有する容量性タッチセンサを含むトラックパッドが提供される。
【0132】
別の実施形態によれば、複数の力センサの各々は圧電力センサを含み、タッチパッド部材は、複数の力センサによりコンピュータ筐体内部の一定の場所に装着されるトラックパッドが提供される。
【0133】
別の実施形態によれば、アクチュエータは、少なくとも1つのワイヤのコイルを含み、タッチパッド部材は、ほぼ平坦であり、1つの平面内に位置し、アクチュエータは、タッチパッド部材に側方平面内運動を与えるトラックパッドが提供される。
【0134】
別の実施形態によれば、タッチパッド部材は、ほぼ平坦であり、複数の縁部を有し、アクチュエータは、縁部のうち1つに動きを与えるプランジャを有するソレノイドを含むトラックパッドが提供される。
【0135】
別の実施形態によれば、タッチパッド部材は、縁部を有する剛性でほぼ平坦な構造を含み、アクチュエータは、その縁部に結合され、縁部に側方平面内力を加えることによりタッチパッド部材を動かすトラックパッドが提供される。
【0136】
別の実施形態によれば、アクチュエータは、駆動信号により制御される電磁アクチュエータを含み、タッチパッド部材は、1つの平面内に位置する剛性のタッチパッド部材を含み、タッチパッド部材は、左縁部と、右縁部と、後縁部と、前縁部とを有し、左縁部と右縁部は、後縁部と前縁部より短く、アクチュエータは、左縁部と右縁部のうち選択された一方の縁部に結合され、アクチュエータは、タッチパッド部材を平面から外れるように垂直に動かすことなく、タッチパッド部材を平面内で水平に動かすトラックパッドが提供される。
【0137】
別の実施形態によれば、タッチパッド部材は、アクチュエータによりグローバルに作動される剛性で矩形の部材を含み、複数の力センサは4つの力センサを含み、各力センサは、タッチパッド部材のそれぞれ対応する隅部に配置され、各力センサは、外部物体がタッチパッド部材を押下している力の強さを示すそれぞれ別のアナログ力出力信号を生成するトラックパッドが提供される。
【0138】
別の実施形態によれば、4つの力センサの各々に結合された可撓性パッドを更に含むトラックパッドが提供される。
【0139】
別の実施形態によれば、可撓性パッドはゲルを含むトラックパッドが提供される。
【0140】
別の実施形態によれば、力センサは圧電力センサを含むトラックパッドが提供される。
【0141】
一実施形態によれば、電子デバイスであって、記憶処理回路と、記憶処理回路に結合されたトラックパッドとを含み、トラックパッドは、能動面と、能動面のほぼ全面に沿って延出するタッチパッド部材と、タッチパッド部材に結合されたタッチセンサアレイと、外部物体がタッチパッド部材を押下している力の強さを示す力センサ信号を生成し且つタッチパッド部材に結合される力センサと、力センサ信号に応答してタッチパッド部材を動かすことにより触覚フィードバックを生成し且つタッチパッド部材に結合されるアクチュエータとを有し、記憶処理回路は、トラックパッド上におけるジェスチャ動作を検出するためにタッチセンサアレイを使用するように構成され、記憶処理回路は、ジェスチャ動作の検出に応答してアクチュエータによるタッチパッド部材の動きを瞬時に抑止するように構成される電子デバイスが提供される。
【0142】
別の実施形態によれば、タッチパッド部材は、4つの縁部を有し、ほぼ1つの平面内に位置し、アクチュエータは、縁部のうち1つの縁部に結合され、ほぼその平面内でタッチパッド部材を動かす電子デバイスが提供される。
【0143】
別の実施形態によれば、記憶処理回路は、力センサ信号を処理して、ユーザがタッチパッド部材を押下した時点を示す押下データと、ユーザがタッチパッド部材と接触している指を離した時点を示す解放データとを生成する力信号処理回路を含む電子デバイスが提供される。
【0144】
別の実施形態によれば、力センサが圧電センサを含む電子デバイスが提供される。
【0145】
別の実施形態によれば、複数の可撓性パッドを更に含み、各可撓性パッドは、力センサのうち対応する1つの力センサに結合される電子デバイスが提供される。
【0146】
別の実施形態によれば、筐体構造を更に含み、複数の可撓性パッドは筐体構造に装着される電子デバイスが提供される。
【0147】
別の実施形態によれば、筐体構造は、可撓性パッドが装着されたコンピュータ筐体壁を含む電子デバイスが提供される。
【0148】
別の実施形態によれば、アクチュエータとタッチパッド部材との間に結合された結合構造を更に含む電子デバイスが提供される。
【0149】
別の実施形態によれば、結合構造は細長い金属部材を含む電子デバイスが提供される。
【0150】
別の実施形態によれば、細長い金属部材は、湾曲部を構成する複数の部分を有する電子デバイスが提供される。
【0151】
別の実施形態によれば、結合構造は機械式リンク装置を含む電子デバイスが提供される。
【0152】
別の実施形態によれば、機械式リンク装置は、少なくとも1つの部材と、部材の回転の中心である少なくとも1つのピボットとを含む電子デバイスが提供される。
【0153】
別の実施形態によれば、記憶処理回路は、ユーザ定義済み力信号処理設定を受信するように構成される電子デバイスが提供される。
【0154】
別の実施形態によれば、タッチセンサアレイはタッチデータを生成し、記憶処理回路は、記憶処理回路が力センサ信号をどのように処理するかを制御する第1のユーザ定義済み設定を受信するように構成されると共に、記憶処理回路が力センサ信号をどのように処理するかを制御する第2のユーザ定義済み設定を受信するように構成される電子デバイスが提供される。
【0155】
一実施形態によれば、タッチセンサアレイを有するタッチパッド部材と、タッチパッド部材に結合された力センサと、アクチュエータとを有するコンピュータトラックパッドを動作させる方法であって、トラックパッドのタッチパッド部材と接触している外部物体の場所をタッチセンサアレイによって判定することと、外部物体によりトラックパッドのタッチパッド部材に加えられた力の量を各力センサによって測定することと、少なくとも一部で力センサにより収集されたデータに基づき、トラックパッドのタッチパッド部材にアクチュエータによってグローバル運動を与えることとを含む方法が提供される。
【0156】
別の実施形態によれば、アクチュエータは、トラックパッドのタッチパッド部材に動きを与えるためにアクチュエータ駆動信号により駆動され、方法は、ユーザ定義済みドライバ設定を収集することと、トラックパッドのタッチパッド部材に動きを与える場合、少なくとも一部でユーザ定義済みドライバ設定に基づき、アクチュエータ駆動信号を生成することとを更に含む方法が提供される。
【0157】
別の実施形態によれば、ユーザ定義済みドライバ設定は、立ち下がり時間より立ち上がり時間のほうが速い非対称アクチュエータ駆動信号の使用を指定する設定を含む方法が提供される。
【0158】
別の実施形態によれば、ユーザ定義済みドライバ設定は、立ち上がり時間より立ち下がり時間のほうが速い非対称アクチュエータ駆動信号の使用を指定する設定を含む方法が提供される。
【0159】
別の実施形態によれば、ユーザ定義済みドライバ設定は、立ち上がり時間と立ち下がり時間がほぼ等しい対称アクチュエータ駆動信号の使用を指定する設定を更に含む方法が提供される。
【0160】
別の実施形態によれば、力センサは4つあり、各力センサは、トラックパッドのタッチパッド部材のそれぞれ対応する隅部の下方に配置され、力センサ信号は、アナログ力センサ信号を含み、トラックパッドのタッチパッド部材に加えられた力の量を測定することは、4つの力センサの各々から個別のアナログ力センサ信号を収集することと、収集されたアナログ力センサ信号を組み合わせることとを含む方法が提供される。
【0161】
別の実施形態によれば、アナログ力センサ信号を組み合わせることは、アナログ力センサ信号をデジタル平均化することを含む方法が提供される。
【0162】
一実施形態によれば、コンピュータトラックパッドシステムであって、容量性タッチセンサアレイを含み、4つの隅部を有する剛性で矩形のタッチパッド部材と、各々が4つの隅部のうち対応する1つの隅部に結合された4つの力センサと、剛性で矩形のタッチパッド部材の縁部に結合部材により結合され、アクチュエータ駆動信号に応答して剛性で矩形のタッチパッド部材のすべてに動きを与える少なくとも1つのアクチュエータと、容量性タッチセンサアレイからのタッチセンサデータと、力センサからのアナログ力データとを処理し、容量性タッチセンサアレイからのタッチセンサデータと、力センサからのアナログ力データとに基づき、アクチュエータに対してアクチュエータ駆動信号を生成する回路とを含むコンピュータトラックパッドシステムが提供される。
【0163】
別の実施形態によれば、4つの力センサの各々は、対応するアナログ力信号を生成し、回路は、4つの力センサからのアナログ力信号を処理して、平均力信号を生成するように構成されるコンピュータトラックパッドシステムが提供される。
【0164】
別の実施形態によれば、回路は、平均力信号を処理することにより、ボタン押下動作と、ボタン解放動作とを識別するように構成され、ボタン押下動作と、ボタン解放動作とは、ユーザにより剛性で矩形のタッチパッド部材に加えられた力を示すコンピュータトラックパッドシステムが提供される。
【0165】
別の実施形態によれば、回路は、ボタン押下動作と、ボタン解放動作とを識別することに応答して対応するアクチュエータ駆動信号を生成するように構成されるコンピュータトラックパッドシステムが提供される。
【0166】
別の実施形態によれば、回路は、回路が容量性タッチセンサアレイによって同時ジェスチャ動作を検出した場合、ボタン押下動作と、ボタン解放動作とを識別することに応答する対応するアクチュエータ駆動信号の生成を抑止するように構成されるコンピュータトラックパッドシステムが提供される。
【0167】
別の実施形態によれば、力センサはポリマー−金属複合力センサを含むコンピュータトラックパッドシステムが提供される。
【0168】
別の実施形態によれば、力センサは、力センサに力が加えられた場合に抵抗の変化を示す材料を含むコンピュータトラックパッドシステムが提供される。
【0169】
別の実施形態によれば、力センサは、力センサに力が加えられた場合にキャパシタンスの変化を示す電極を含むコンピュータトラックパッドシステムが提供される。
【0170】
別の実施形態によれば、力センサは歪みゲージを含むコンピュータトラックパッドシステムが提供される。
【0171】
別の実施形態によれば、剛性で矩形のタッチパッド部材は、矩形の平坦なガラス層と、ガラス層の少なくとも片方の面を被覆し、ガラス層を光が透過するのを阻止する不透明インクの層とを含むコンピュータトラックパッドシステムが提供される。
【0172】
以上の説明は、単に本発明の原理を例示しているにすぎず、当業者により本発明の趣旨の範囲から逸脱することなく種々の変形を実施可能である。上述の実施形態は、個別に実現されるか又は何らかの組み合わせで実現される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部物体から入力を受信するトラックパッドであって、
前記外部物体がタッチパッド部材にタッチした所定の場所を示すタッチセンサアレイ信号を収集するタッチパッドセンサアレイを有するタッチパッド部材と、
各々が異なる場所で前記タッチパッド部材に接続され、前記外部物体が前記タッチパッド部材を押下している力の強さを示す力出力信号を生成する複数の力センサと、
前記タッチパッド部材を側方へ作動するアクチュエータと、
を備えることを特徴とするトラックパッド。
【請求項2】
前記タッチパッドセンサアレイは、容量性電極のアレイを有する容量性タッチセンサを備えることを特徴とする請求項1に記載のトラックパッド。
【請求項3】
前記複数の力センサの各々は圧電力センサを備え、
前記タッチパッド部材は、前記複数の力センサによりコンピュータ筐体内部の一定の場所に装着されることを特徴とする請求項2に記載のトラックパッド。
【請求項4】
前記アクチュエータは、少なくとも1つのワイヤのコイルを備え、
前記タッチパッド部材は、ほぼ平坦であり、1つの平面内に位置し、
前記アクチュエータは、前記タッチパッド部材に側方平面内運動を与えることを特徴とする請求項1に記載のトラックパッド。
【請求項5】
前記タッチパッド部材は、ほぼ平坦であり、複数の縁部を有し、
前記アクチュエータは、前記縁部のうち1つの縁部に動きを与えるプランジャを有するソレノイドを備えることを特徴とする請求項1に記載のトラックパッド。
【請求項6】
前記タッチパッド部材は、縁部を有する剛性でほぼ平坦な構造を備え、
前記アクチュエータは、前記縁部に結合され、前記縁部に側方平面内力を加えることにより前記タッチパッド部材を動かすことを特徴とする請求項1に記載のトラックパッド。
【請求項7】
前記アクチュエータは、駆動信号により制御される電磁アクチュエータを備え、
前記タッチパッド部材は、1つの平面内に位置する剛性のタッチパッド部材を備え、
前記タッチパッド部材は、左縁部と、右縁部と、後縁部と、前縁部とを有し、
前記左縁部と前記右縁部は、前記後縁部と前記前縁部より短く、
前記アクチュエータは、前記左縁部と前記右縁部のうち選択された一方の縁部に結合され、前記アクチュエータは、前記タッチパッド部材を前記平面から外れるように垂直に動かすことなく、前記タッチパッド部材を前記平面内で水平に動かすことを特徴とする請求項1に記載のトラックパッド。
【請求項8】
前記タッチパッド部材は、前記アクチュエータによりグローバルに作動される矩形で剛性の部材を備え、
前記複数の力センサは4つの力センサを備え、各力センサは、前記タッチパッド部材のそれぞれ対応する隅部に配置され、各力センサは、前記外部物体が前記タッチパッド部材を押下している力の強さを示すそれぞれ別のアナログ力出力信号を生成することを特徴とする請求項7に記載のトラックパッド。
【請求項9】
前記4つの力センサの各々に結合された可撓性パッドを更に備えることを特徴とする請求項8に記載のトラックパッド。
【請求項10】
前記可撓性パッドはゲルを備えることを特徴とする請求項9に記載のトラックパッド。
【請求項11】
前記力センサは圧電力センサを備えることを特徴とする請求項10に記載のトラックパッド。
【請求項12】
電子デバイスであって、
記憶処理回路と、
前記記憶処理回路に結合されたトラックパッドで、前記トラックパッドは、能動面と、前記能動面のほぼ全面に沿って延出するタッチパッド部材と、前記タッチパッド部材に結合されたタッチセンサアレイと、前記タッチパッド部材に結合され、外部物体が前記タッチパッド部材を押下している力の強さを示す力センサ信号を生成する力センサと、前記タッチパッド部材に結合され、前記力センサ信号に応答して前記タッチパッド部材を動かすことにより触覚フィードバックを生成するアクチュエータとを有し、前記記憶処理回路は、前記トラックパッド上におけるジェスチャ動作を検出するために前記タッチセンサアレイを使用するように構成され、前記記憶処理回路は、前記ジェスチャ動作の検出に応答して前記アクチュエータによる前記タッチパッド部材の動きを瞬時に抑止するように構成されるトラックパッドと、
を備えることを特徴とする電子デバイス。
【請求項13】
前記タッチパッド部材は、4つの縁部を有して、ほぼ1つの平面内に位置し、
前記アクチュエータは、前記縁部のうち1つの縁部に結合され、ほぼ前記平面内で前記タッチパッド部材を動かすことを特徴とする請求項12に記載の電子デバイス。
【請求項14】
前記記憶処理回路は、前記力センサ信号を処理して、ユーザが前記パッド部材を押下した時点を示す押下データと、ユーザが前記タッチパッド部材にタッチしている指を離した時点を示す解放データとを生成する力信号処理回路を備えることを特徴とする請求項13に記載の電子デバイス。
【請求項15】
前記力センサは圧電センサを備えることを特徴とする請求項14に記載の電子デバイス。
【請求項16】
複数の可撓性パッドを更に備え、
各可撓性パッドは、前記力センサのうち対応する1つの力センサに結合されることを特徴とする請求項14に記載の電子デバイス。
【請求項17】
筐体構造を更に備え、
前記複数の可撓性パッドは、前記筐体構造に装着されることを特徴とする請求項16に記載の電子デバイス。
【請求項18】
前記筐体構造は、前記可撓性パッドが装着されたコンピュータ筐体壁を含むことを特徴とする請求項17に記載の電子デバイス。
【請求項19】
前記アクチュエータと前記タッチパッド部材との間に結合された結合構造を更に備えることを特徴とする請求項17に記載の電子デバイス。
【請求項20】
前記結合構造は細長い金属部材を備えることを特徴とする請求項19に記載の電子デバイス。
【請求項21】
前記細長い金属部材は、湾曲部を構成する複数の部分を有することを特徴とする請求項20に記載の電子デバイス。
【請求項22】
前記結合構造は機械式リンク装置を備えることを特徴とする請求項19に記載の電子デバイス。
【請求項23】
前記機械式リンク装置は、少なくとも1つの部材と、前記部材の回転の中心である少なくとも1つのピボットとを備えることを特徴とする請求項22に記載の電子デバイス。
【請求項24】
前記記憶処理回路は、ユーザ定義済み力信号処理設定を受信するように構成されることを特徴とする請求項12に記載の電子デバイス。
【請求項25】
前記タッチセンサアレイはタッチデータを生成し、
前記記憶処理回路は、前記記憶処理回路が前記力センサ信号をどのように処理するかを制御する第1のユーザ定義済み設定を受信するように構成されると共に、
前記記憶処理回路は前記力センサ信号をどのように処理するかを制御する第2のユーザ定義済み設定を受信するように構成されることを特徴とする請求項12に記載の電子デバイス。
【請求項26】
タッチセンサアレイを有するタッチパッド部材と、前記タッチパッド部材に結合された力センサと、アクチュエータとを有するコンピュータトラックパッドを動作させる方法であって、
前記トラックパッドの前記タッチパッド部材と接触している外部物体の場所を前記タッチセンサアレイによって判定するステップと、
前記外部物体により前記トラックパッドの前記タッチパッド部材に加えられた力の量を前記力センサによって測定するステップと、
少なくとも一部で前記力センサにより収集されたデータに基づき、前記トラックパッドの前記タッチパッド部材に前記アクチュエータによってグローバル運動を与えるステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項27】
前記アクチュエータは、前記トラックパッドの前記タッチパッド部材に動きを与えるためにアクチュエータ駆動信号により駆動され、
ユーザ定義済みドライバ設定を収集するステップと、
前記トラックパッドの前記タッチパッド部材に動きを与える場合、少なくとも一部で前記ユーザ定義済みドライバ設定に基づき、前記アクチュエータ駆動信号を生成するステップと、
を更に含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ユーザ定義済みドライバ設定は、立ち下がり時間より立ち上がり時間のほうが速い非対称アクチュエータ駆動信号の使用の指定の設定を含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ユーザ定義済みドライバ設定は、立ち上がり時間より立ち下がり時間のほうが速い非対称アクチュエータ駆動信号の使用の指定の設定を含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記ユーザ定義済みドライバ設定は、立ち上がり時間と立ち下がり時間がほぼ等しい対称アクチュエータ駆動信号の使用の指定の設定を更に含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記力センサは4つあり、各々は、前記トラックパッドの前記タッチパッド部材のそれぞれ対応する隅部の下方に配置され、前記力センサ信号は、アナログ力センサ信号を含み、前記トラックパッドの前記タッチパッド部材に加えられた力の量を測定するステップは、
前記4つの力センサの各々から個別のアナログ力センサ信号を収集するステップと、
前記収集されたアナログ力センサ信号を組み合わせるステップと、
を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記アナログ力センサ信号を組み合わせるステップは、前記アナログ力センサ信号をデジタル平均化するステップを含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
コンピュータトラックパッドシステムであって、
容量性タッチセンサアレイを含み、4つの隅部を有する矩形で剛性のタッチパッド部材と、
各々が前記4つの隅部のうち対応する1つの隅部に結合された4つの力センサと、
前記矩形で剛性のタッチパッド部材の縁部に結合部材により接続され、アクチュエータ駆動信号に応答して前記矩形で剛性のタッチパッド部材のすべてに動きを与える少なくとも1つのアクチュエータと、
前記容量性タッチセンサアレイからのタッチセンサデータと、前記力センサからのアナログ力データとを処理し、前記容量性タッチセンサアレイからの前記タッチセンサデータと、前記力センサからの前記アナログ力データとに基づき、前記アクチュエータに対して前記アクチュエータ駆動信号を生成する回路と、
を備えることを特徴とするコンピュータトラックパッドシステム。
【請求項34】
前記4つの力センサの各々は、対応するアナログ力信号を生成し、前記回路は、前記4つの力センサからの前記アナログ力信号を処理して、平均力信号を生成するように構成されることを特徴とする請求項33に記載のコンピュータトラックパッドシステム。
【請求項35】
前記回路は、前記平均力信号を処理することにより、ボタン押下動作と、ボタン解放動作とを識別するように構成され、前記ボタン押下動作と、前記ボタン解放動作は、ユーザにより前記矩形で剛性のタッチパッド部材に加えられた力を示すことを特徴とする請求項34に記載のコンピュータトラックパッドシステム。
【請求項36】
前記回路は、前記ボタン押下動作と、前記ボタン解放動作とを識別することに応答して前記対応するアクチュエータ駆動信号を生成するように構成されることを特徴とする請求項35に記載のコンピュータトラックパッドシステム。
【請求項37】
前記回路は、前記回路が前記容量性タッチセンサアレイによって同時ジェスチャ動作を検出した場合、前記ボタン押下動作と、前記ボタン解放動作とを識別することに応答する前記対応するアクチュエータ駆動信号の生成を抑止するように構成されることを特徴とする請求項36に記載のコンピュータトラックパッドシステム。
【請求項38】
前記力センサはポリマー−金属複合力センサを備えることを特徴とする請求項33に記載のコンピュータトラックパッドシステム。
【請求項39】
前記力センサは、前記力センサに力が加えられた場合に抵抗が変化する材料を含むことを特徴とする請求項33に記載のコンピュータトラックパッドシステム。
【請求項40】
前記力センサは、前記力センサに力が加えられた場合にキャパシタンスが変化する電極を含むことを特徴とする請求項33に記載のコンピュータトラックパッドシステム。
【請求項41】
前記力センサは歪みゲージを含むことを特徴とする請求項33に記載のコンピュータトラックパッドシステム。
【請求項42】
前記剛性で矩形のタッチパッド部材は、
矩形の平坦なガラス層と、
前記ガラス層の少なくとも片方の面を被覆し、前記ガラス層を光が通過するのを阻止する不透明インクの層と、
を備えることを特徴とする請求項33に記載のコンピュータトラックパッドシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公表番号】特表2013−513865(P2013−513865A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543185(P2012−543185)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/059145
【国際公開番号】WO2011/071837
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(503260918)アップル インコーポレイテッド (568)
【Fターム(参考)】