説明

力率改善(PFC)コンバータで用いられるコントローラ、および力率改善(PFC)回路を制御する方法

【課題】力率改善(PFC)コンバータで用いられるコントローラを提供する。
【解決手段】パワーコンバータ100は、ac電圧源106をブリッジ整流器108に接続し、エネルギ蓄積インダクタL1114を介してパワースイッチ118に結合されている。コントローラ102の積分器154は、ac電圧源106の大きさに応答する入力電圧信号UVIN130とパワースイッチ118がオンであるときに流入する電流に応答する電流検知信号UIIN164を受て出力信号157を発生させる。オン/オフ論理156は、パワースイッチ118を駆動して、パワーコンバータ100のエネルギ伝達素子128を通る電力を制御する。オン/オフ論理156は、出力信号157がしきい値に達するとパワースイッチ118のオン期間を終了させる。積分器154の利得は、負荷126の大きさが一定であるときに一定となるよう調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
開示の分野
本発明は概して電源に関し、より具体的には、この発明は力率改善を行なう電源に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
電源は通常、電気コンセントによって提供された交流(「ac」)電力を直流(「dc」)に変換して電気装置または負荷に供給するために用いられる。電源設計の1つの重要な考慮すべき事項は、ac入力電圧波形に対する、ac電源から引込まれた入力電流の形状および位相である。ac電源の電圧波形は、名目上、正弦波である。しかしながら、多くのスイッチング電源がac源に与える非線形の負荷のために、電源がac源から引込む電流の波形は、非正弦波であり、および/またはac源電圧波形とは位相がずれている。これは、ac電源配電系統の損失の増大に繋がり、世界各地で、現在では、電源が引込む電流が確実に正弦波であり、かつ、ac電圧波形と位相が合うように電源製造業者に強要する立法上のまたは自発的な要件の主題になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような入力電流波形の補正は、力率改善(power factor correction)(PFC)と称され、力率改善の機能を行なうように特別に設計された電源への入力段をしばしば必要とする。入力ac電流および電圧波形が正弦波であり、完全に位相が合っている場合、電源の力率は1である。換言すれば、力率改善された入力は、ac源の両端に可変抵抗を結合することと等価の負荷をac源に与えることになる。PFC段によって負荷としてac源に与えられた抵抗は、PFC段出力負荷によって引込まれた電力に従って、ac源の二乗平均平方根電圧の関数として変更される。ac源電圧に対する入力電流の高調波歪みおよび/または位相変位が増大するにつれて、力率は減少して1を下回る。力率要件は典型的に、0.9よりも大きな力率を要求し、入力電流波形の高調波成分のための要件を有し得る。
【0004】
電源の力率を増大させる一般的な方法は、昇圧コンバータまたはフライバックコンバータを用いて、ac源電圧と位相が合っていながら理想的な正弦波形状に近い入力電流波形を確立することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本発明の教示に係る例示的なコントローラを含む昇圧コンバータの例示的な略図である。
【図2】本発明の教示に係る例示的なコントローラを示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の教示に係る例示的なコントローラを示す機能ブロック図の一部の図である。
【図4】本発明の教示に係る例示的なコントローラの動作を示すための例示的な積分スイッチ電流波形の図である。
【図5】本発明の教示に係る例示的なコントローラの動作を示すための例示的な積分スイッチ電流波形の図である。
【図6】本発明の教示に係る入力電圧センサ回路の一部の例の図である。
【図7】本発明の教示に係る例示的なコントローラの動作を示すためのエラー電圧対負荷の大きさの特性を示す図である。
【図8A】本発明の教示に係る別のコントローラ回路の一部の機能ブロック図である。
【図8B】本発明の教示に係る別の例示的なコントローラを含む昇圧コンバータの例示的な略図である。
【図9】典型的な1サイクル制御コントローラ回路の動作を示すための電圧対時間特性を示す図である。
【図10】本発明の教示に係る図8Aおよび図8Bの機能ブロック図の動作を示すための電圧対時間特性を示す図である。
【図11】本発明の教示に係る例示的なコントローラを含むフライバックコンバータの例示的な略図である。
【図12】本発明の教示に係る力率改善回路を制御するための例示的な方法を示すフロー図である。
【図13】本発明の教示に係る力率改善回路を制御するための別の例示的な方法を示すフロー図である。
【0006】
本発明の非限定的および非網羅的な実施例について、以下の図面を参照して説明する。図中、特別の定めのない限り、種々の図全体を通して、同様の参照番号は同様の部品を指す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
本発明の一局面において、説明の目的で本明細書に開示される方法および装置は、パワーコンバータを用いて入力電流波形の力率改善を行なう。以下の説明では、本発明を完全に理解できるようにするために、多くの具体的な詳細について記載している。しかしながら、本発明を実施するために具体的な詳細を利用する必要がないことは当業者にとって明白である。本発明を曖昧にすることを避けるために、実施に関連する周知の方法については詳細に記載しなかった。
【0008】
本明細書全体を通して「一実施例」、「実施例」、「一例」または「例」に言及することは、その実施例と関連付けて記載される特定の特徴、構造または特性が本発明の少なくとも1つの実施例または例に含まれることを意味している。したがって、本明細書全体を通して種々の場所に現われる「一実施例では」、「実施例では」、「一例では」または「例では」という句は、必ずしもすべてが同じ実施例を指しているわけではない。特定の特徴、構造または特性は、1つ以上の実施例または例の中で、組合せられてたとえば任意の好適な組合せおよび/または下位の組合せにされてもよい。
【0009】
以下に記載されるように、本発明の教示に係る種々の例は、力率改善(PFC)コンバータが、内部エラー信号に要求されるダイナミックレンジを低減する制御技術を用いることができるようにする。PFCコントローラ回路は典型的に、非常に幅広いダイナミックレンジを有するエラー信号で動作して、幅広い負荷および入力電圧範囲にわたって機能する。電力変換回路の分脈では、エラー信号とは、フィードバック信号と内部基準レベルとの差を増幅することによって導き出され、その差を減らすようにパワーコンバータを制御するために用いられる信号である。
【0010】
たとえば、PFCコンバータにおいて、コンバータの出力電圧は典型的に、負荷条件にかかわらず、実質的に一定の名目値を有するように制御される。出力負荷条件の如何なる変化も、出力電圧を変化させる傾向があり(たとえば、出力負荷の急増は、出力電圧を降下させる)、これはひいては、電圧フィードバック信号を変化させ、したがってエラー信
号も変化させる。コントローラは、出力電圧を名目値に戻すために、エラー信号のこの変化に応答してパワーコンバータの動作を修正する。
【0011】
典型的な制御回路では、全出力負荷および低入力電圧(たとえば、85Vac)で動作するPFCコンバータにおいて、5Vのエラー電圧信号値が発生する。しかしながら、高入力電圧(たとえば、265Vac)で出力負荷が全負荷の20%であるときには、エラー電圧信号値は125mVに過ぎない。このエラー電圧信号は、より軽い負荷条件ではさらに低くなる。このような幅広い信号範囲のために、幅広い入力電圧および負荷範囲にわたって制御ループの安定性および応答を最適化することは困難である。さらに、非常に低い値の信号での動作により、電気ノイズに敏感になる可能性があり、これは、高電圧、高速スイッチング波形が重大な電気ノイズを作り出すPFC回路などの用途では懸案事項である。
【0012】
本発明の教示によれば、一例では、パワーコンバータへの入力電圧の値に応答する信号は、コンバータのパワースイッチに流入する電流から発生した電流信号を積分するように結合された積分器回路の利得を調整するように結合される。積分器回路の出力は、エラー電圧信号と比較されて、各スイッチングサイクルにおいてパワースイッチをオフにすべきときを判断する。積分器回路の利得をパワーコンバータ入力電圧に応答するようにすることによって、一例では、特定のパワーコンバータ出力負荷条件についてのエラー電圧信号の値は、パワーコンバータ入力電圧から独立して、実質的に一定である。これは、パワーコンバータ入力電圧の関数としての如何なる変更も実質的に取除くことによって、エラー信号に要求されるダイナミックレンジを大幅に低減する。
【0013】
したがって、一例では、エラー信号値は、負荷に実質的に比例するが、パワーコンバータ入力電圧から独立している。パワーコンバータの負荷の大きさに比例する信号を有することは有用であり、そのため、パワーコンバータ出力負荷条件についての情報を必要とする機能および特徴は、このような信号を制御入力として使用できる。一例では、パワーコンバータの出力負荷の大きさに実質的に比例するエラー信号を用いることができる特徴とは、出力負荷が減少するにつれてパワーコンバータの平均スイッチング周波数を低減する特徴である。この平均スイッチング周波数低減動作は、軽負荷条件またはスタンバイ条件下で高いパワーコンバータ効率を維持することに有益であり、これは、TV電源およびパーソナルコンピュータ電源などの多くの用途での要件になりつつある。
【0014】
図示するために、図1は、本発明の教示に係るパワーコンバータ100に含まれる例示的なコントローラ102の機能ブロック図を概して示す。示される例では、パワーコンバータ100は、パワーコンバータ100の入力においてacライン電流IG104およびacライン電圧VG106を受取る昇圧コンバータである。典型的に、acライン電流IG104およびacライン電圧VG106は、電気ソケットを介して配電系統(たとえば、発電所)によって提供される。示されるように、ブリッジ整流器108は、acライン電圧VG106を、大きさVIN110の実質的に平滑化されていないdc入力電圧波形101に変換する。示される例では、キャパシタ112は、非常に低い値を有しており、高周波数ノイズ電流をフィルタリングするためのものであり、整流された電圧波形101の平滑化を実質的にはもたらさない。
【0015】
図1の例に示されるように、インダクタL1114として示されるエネルギ蓄積素子は、一端においてブリッジ整流器108に結合され、反対側の端部においてパワースイッチSW118に結合される。動作時、パワースイッチSW118は、スイッチ118が電流を伝えることができるときには「オン」または「閉」状態であり、電流を伝えることができないときには「オフ」または「開」状態である。この例では、入力帰線(input return)120は、パワースイッチSW118に結合される。動作時、電流は、SW118がオ
ンであるときにはエネルギ蓄積素子114を流れ、パワースイッチSW118がオフである時間のうち少なくとも一部の間は、エネルギ蓄積素子114および出力ダイオードD1128を流れる。したがって、示される例では、エネルギ蓄積インダクタL1114は、本発明の教示によれば、パワースイッチSW118のスイッチングに応答して、エネルギをパワーコンバータ100の出力に伝達する。したがって、この例では、パワーコンバータ100は、ac電圧の供給源から負荷126にエネルギを伝達するように結合され、流れるエネルギの大きさは負荷の大きさの関数であり、一例では、出力電圧VOUT124および出力電流IOUT150の関数である。
【0016】
この例に示されるように、バルクキャパシタ122は、実質的に一定の出力電圧VOUT124を負荷126に供給するように結合される。一例では、負荷126はdc−dc電源への入力であってもよい。図1の例では、dc入力電圧VIN110を表わす入力電圧信号UVIN130は、コントローラ102によって受取られる。この例では、dc入力電圧110は、ac入力電圧106の大きさに応答する。示されるように、パワースイッチ電流検知信号UIIN164もコントローラ102によって受取られる。より具体的には、パワースイッチ電流ISW134に応答する電流検知信号164を発生させるために、たとえば電流変圧器などの電流検知回路、またはパワースイッチ118に結合されたディスクリートの検知抵抗器の両端の電圧、またはパワースイッチがオンであるまたは導通しているときにパワースイッチ118の両端で発生する電圧信号、またはパワースイッチ118の検知FET素子、またはパワースイッチ118の検知FET部分が用いられてもよい。図1の例では、出力電圧VOUT124を表わす出力電圧信号UVOUT136もコントローラ102によって受取られる。本発明の例示的な教示によれば、検知信号UVIN130、UIIN164およびUVOUT136は、電圧または電流の形態をしていてもよい。
【0017】
一例では、コントローラ102は、出力電圧VOUT124を調節し、「入力電圧VIN110」とも称されるdc入力電圧VIN110に比例するようにdc入力電流IIN111を制御するために、入力電圧信号UVIN130、入力電流信号UIIN164および出力電圧信号UVOUT136に応答してパワースイッチSW118のスイッチングを制御するスイッチング信号USW119を出力する。より具体的には、示される例では、コントローラ102は、出力電圧VOUT124を調節し、スイッチSW118の各スイッチングサイクルを制御することによってdc入力電流IIN111を制御する。スイッチングサイクルは、スイッチがオンである期間およびスイッチがオフであるそれに続く期間と定義される。たとえば、スイッチングサイクルは、スイッチSW118が導通できるオン期間に続いて、スイッチSW118が導通できないオフ期間を含んでいてもよい。別の例では、スイッチングサイクルは、スイッチSW118が導通できないオフ期間に続いて、スイッチSW118が導通できるオン期間を含んでいてもよい。オン期間は、スイッチングサイクル中にスイッチSW118が導通している期間と定義されてもよく、オフ期間は、スイッチングサイクル中にスイッチSW118が導通していない期間と定義されてもよい。
【0018】
図1の例では、コントローラ102は、パワースイッチオン/オフ論理156回路ブロックと、スイッチオフ期間制御回路151回路ブロックとを含む。本発明の教示によれば、コントローラ102は、電圧センサ回路160と、スイッチオン期間制御回路152とを含む。回路ブロック152は、積分器回路154と、エラー増幅器153と、パワースイッチオフ信号163をパワースイッチオン/オフ論理ブロック156に結合する比較器169とを含む。一例では、スイッチオフ期間制御回路ブロック151は、パワースイッチオン信号161をパワースイッチオン/オフ論理ブロック156に結合して、次のパワースイッチ118スイッチングサイクル期間を開始させる。
【0019】
図1の例では、積分器回路154は、電流検知信号164および電圧検知信号159を受取るように入力を結合させ、比較器169の1つの入力に結合された出力信号157を
提供する。コントローラ102は、積分器出力信号157がしきい値に達するとパワースイッチ118のオン期間を終了させるように結合される。一例では、このしきい値は、エラー増幅器153の出力信号158の値である。この例では、積分器回路154の利得は、負荷126の大きさが実質的に一定であるときにac入力電圧106の大きさから独立して出力信号157のしきい値が実質的に一定であるように電圧検知信号159に応答する。
【0020】
図1の例では、入力電圧検知信号159は、如何なる瞬間にも瞬間入力電圧VIN110を表わさず、むしろ、たとえば二乗平均平方根電圧値、平均電圧値またはピーク電圧値などの入力ac電圧の多くの半サイクル期間Tm133にわたって典型的には実質的に一定のままである値である。したがって、Vinセンサ回路160は、たとえば入力電圧源電圧106の二乗平均平方根電圧値、平均電圧値またはピーク電圧値のうちの1つに応答する電圧検知信号を発生させるように結合される。なお、他の例では、入力電圧110を検知するために電圧センサ160と入力電圧レール189との間に接続188を有する必要はない。このような場合、入力電圧110の値は、パワースイッチ118のデューティサイクルを測定することによって、またはパワースイッチ118のオン期間中のパワースイッチ118の電流増加の勾配を測定することによって、導き出すことができる。このような技術を用いて、接続188を必要とすることなく、入力電圧110を検知し、入力電圧のピーク値、二乗平均平方根値または平均値を導き出すことができる。
【0021】
上述のように、PFCコンバータ回路の1つの目的が、実質的に抵抗性の負荷を入力ac源に与えることであると説明することができる。したがって、正弦波入力ac電圧サイクルの半サイクル期間Tm133にわたって、入力電流IIN111も実質的に正弦波であるべきであり、入力整流電圧波形101と位相が合っているべきである。出力電圧124がバルクキャパシタ122で平滑化されるので、フィードバック電圧信号136およびエラー増幅器153の出力信号158は、いくつかのパワースイッチ118スイッチングサイクルにわたって実質的に変化しない。さらに、上述のように、電圧検知信号159もac半サイクル期間Tm133にわたって実質的に一定であるので、積分器回路154最大出力信号もac半サイクルにわたって実質的に一定であるべきである。経時的な電流Iの積分は、以下の式(1)に従って電荷Qを提供する。
【0022】
【数1】

【0023】
したがって、図1のコントローラの例では、パワースイッチ118オン期間ごとの電荷は、入力ac半サイクル期間Tm133にわたって実質的に一定であるということになる。逆に、電流が単位時間当たりの電荷に等しいので、実質的に正弦波であるように入力電流IIN111を変更するために、全体パワースイッチ118スイッチング周波数は、したがって、図1における整流された電圧波形101で変更される。この例では、これはオフ期間制御回路151の機能である。したがって、パワースイッチスイッチング期間は、典型的に、入力ac電圧106の最低値で最も高くなり(スイッチング周波数が最低になり)、入力電源の半波長サイクル中の瞬間電圧の大きさに従って変化して、本発明の教示に係る実質的に正弦波の入力電流IIN111を提供する。
【0024】
図1の例示的なコンバータ回路では、負荷126、したがって負荷電流150の所与の大きさについて、出力電力は実質的に一定である。しかしながら、入力電圧VG106が増大すると、入力電流IG104は減少することになる。なぜなら、コンバータ100がac源106に与えるエミュレートされた抵抗が、一定の出力電力を維持するために増え
なければならないためである。電力=V2/Rであるので、コンバータ100がac源に与える実効抵抗Rは、入力電圧VG106の二乗関数として増えなければならない。入力電圧から独立して実質的に一定のエラー増幅器158出力信号を維持するために、積分器154の利得は、入力電圧106の入力ピーク値/二乗平均平方根値または平均値の二乗に比例して変更されて、入力電圧VG106が増大するにつれて入力電流IIN111が低くなるにもかかわらず、パワースイッチ118オン期間が終了する時点での積分器出力電圧は、入力電圧VG106から独立して、確実に実質的に一定になる。なお、コントローラ102の実現例では、電圧検知信号159は、入力電圧信号130の二乗関数への近似であってもよい。一例では、電圧検知信号159は、入力電圧信号130の二乗関数への折れ線近似である。
【0025】
一例では、パワースイッチ118およびコントローラ102は、混成回路として単一のパッケージに2つのシリコンダイとして集積される。別の例では、パワースイッチ118およびコントローラ102は、モノリシックシリコンダイに集積される。さらに別の例では、パワースイッチ118およびコントローラ102は、別個のパッケージにおける別個のシリコンダイの中にある。
【0026】
図2は、一例では図1におけるコントローラ102の多くの局面を共有するコントローラ202の例示的な機能ブロック図200を概して示す。本発明の教示によれば、コントローラ202は、電圧センサ回路260と、スイッチオン期間制御回路252とを含む。スイッチオン期間制御回路252は、積分器回路254と、エラー増幅器253と、パワースイッチオフ信号263をパワースイッチオン/オフ論理ブロック256に結合する比較器269とを含む。一例では、スイッチオフ期間制御回路ブロック251は、パワースイッチオン信号262をパワースイッチオン/オフ論理ブロック256に結合して、次のパワースイッチ218スイッチングサイクル期間を開始させる。積分器回路254は、電流検知信号264を受取るように結合され、電流検知信号264は、この例では、パワースイッチ218の検知FET素子280によって発生する。積分器回路254はまた、電圧検知信号259を受取るように結合される。
【0027】
各パワースイッチ218オン期間の開始時に、積分器回路キャパシタ240は、一例では図1における信号155と等価である信号255がトランジスタ241をオンにする動作によってリセットされる。次いで、積分器キャパシタ240は、パワースイッチ218のオン期間中に電流源234によって充電される。電流源234電流の値は、本発明の教示によれば、電流検知信号264および電圧検知信号259の両方に応答する。積分器回路254の出力信号257がエラー信号VERR258のしきい値を超えると、比較器269出力電圧は低くなり、パワースイッチオン/オフ論理ブロック256は、パワースイッチ218のオン期間を終了させる。図1を参照して記載したように、積分器回路の利得は、パワースイッチ218オン期間が終了するときに積分器回路の出力信号257を実質的に一定に保つために、入力電圧信号230のピーク/二乗平均平方根または平均の二乗に従って増大する。一例では、積分器キャパシタ240は10pFの値を有し、電圧検知信号259によって導入された利得率は、1〜17.5μA/Aの範囲である。
【0028】
図2をさらに参照して、この例では、エラー電圧信号VERR258は、出力コンバータ負荷の関数としてパワースイッチスイッチングサイクル期間を変更するためにも用いられる。本発明の教示によれば、エラー電圧信号VERR258は、コントローラ202が用いられるコンバータ、たとえば図1におけるコンバータ100への入力電圧から独立している。したがって、エラー電圧は、実質的には単に負荷の関数である。エラー電圧信号VERR258をオフ期間制御回路ブロック251に印加し、エラー電圧VERR258が下がったとき(すなわち、出力負荷が降下したとき)に比較器228の非反転入力での電圧を増大させる信号VERR′284を作り出す。これは、オフ期間、したがってパワースイッチ2
18のスイッチング期間を増大させる効果を有する。他の実施例では、信号284の電圧は、エラー電圧信号VERR258の値のある1つの範囲では一定に保持され、別の範囲では変更されることができ、その結果、パワースイッチ218の平均スイッチング周波数は、ある特定の負荷範囲にわたって一定に保持され、別の負荷範囲では変更されることが理解される。さらに、平均パワースイッチ218スイッチング周波数の変更は、負荷の関数として非線形または段階的になされ得ることが理解される。
【0029】
図3は、本発明の教示に係る、たとえば図1および図2で上述したコントローラの回路ブロックのいくつかの例を概して示す。回路300は、積分器回路354と、エラー増幅器353と、比較器369とを含む。エラー増幅器353の第1の入力は、一例では図1における電圧124であり得るパワーコンバータのdc出力電圧の大きさに応答するフィードバック信号336を受取るように結合される。エラー増幅器353の第2の入力は、一例では図1における電圧133であり得る基準電圧333を受取るように結合される。エラー増幅器353の出力は、エラー信号358を比較器369の第1の入力に印加するように結合される。積分器回路354の第1の入力は、パワースイッチがオンであるときに、一例では図1におけるパワースイッチ118または図2におけるパワースイッチ218であり得るパワースイッチに流入する電流に応答する電流検知信号364を受取るように結合される。積分器回路354の第2の入力は、一例では図1における入力電圧106に応答する図1における電圧検知信号159であり得るac入力電圧の大きさに応答する電圧検知信号359を受取るように結合される。積分器354の出力は、積分器出力信号357を比較器369の第2の入力に印加するように結合される。
【0030】
図3の回路ブロックが図1におけるコントローラ102または図2におけるコントローラ202に適用される例では、コントローラは、積分器出力信号357がエラー信号358のしきい値の大きさを超えると図1におけるパワースイッチ118または図2におけるパワースイッチ218のオン期間を終了させるように結合される。一例では、積分器回路354の利得は、パワースイッチオン期間が終了したときの積分器出力信号357の大きさが、負荷の大きさが一定であるときにac入力電圧の大きさから独立して、実質的に一定であるように電圧検知信号359に応答する。本発明の教示によれば、一例では、積分器回路354の利得は、一例ではたとえば図1における電圧106などの入力電圧に線形に比例する電圧検知信号359の二乗として変更される。別の例では、電圧検知信号359は、たとえば図1における電圧106などの入力電圧の二乗に比例し、積分器回路354の利得は、電圧検知信号359に線形に比例する。
【0031】
図4および図5は、たとえば図1におけるIOUT150などの一定の負荷電流を有する、一例では図1における積分器154、図2における積分器254または図3における積分器354からのものであり得る例示的な積分器出力信号波形を概して示す。
【0032】
示されるように、図4は、入力電圧、たとえば図1におけるVG106が低い値(たとえば、85〜115Vac)にあるときの例示的な積分器出力信号波形を示す。図5は、入力電圧、たとえば図1におけるVG106が高い値(たとえば、230Vac)にあるときの例示的な積分器出力信号波形を示す。図5に示される例では、上記の図1を参照して記載したように高い入力電圧ではパワースイッチ電流が低くなるにもかかわらず、たとえば図1における積分器回路154、図2における積分器回路254または図3における積分器回路354の調整された利得は、オン期間Ton471の終わりの図4における波形457の大きさに実質的に等しい積分器出力の大きさを、パワースイッチオン期間Ton571の終わりにもたらす。換言すれば、エラー信号458および558は、一例では図1における入力電圧VG106であり得る入力電圧から独立して、実質的に同じであるかまたは一定である。
【0033】
図6は、一例では図1における電圧センサ回路160および図2における電圧センサ回路260の一部と等価である電圧センサ回路の一部の一例を概して示す。図6の例示的な回路の場合、出力信号696は単に、一例では図1における信号130および図2における信号230と等価である入力信号630のピーク値である。一例では、出力信号696は、図1における電圧検知信号159および図2における電圧検知信号259を形成するように二乗される。他の回路実現例は、本発明の教示の恩恵を依然として受けながら入力信号630の二乗平均平方根値または平均値に応答する出力信号を提供できるであろう。他の例では、回路660は図1におけるコントローラ回路102および図2におけるコントローラ回路202に外付けにできることが理解される。
【0034】
図7は、例示的なエラー信号電圧対負荷の大きさの特性を概して示す。特性770および771は、本発明の教示の恩恵を受けない例示的なコントローラにおける負荷の大きさ798の関数としての典型的なエラー電圧758特性を示し、ここでは、図1におけるブロック154、図2におけるブロック254および図3におけるブロック354によって示されるタイプの積分器は、それどころか、たとえば図1における106などのコンバータ入力ac電圧の二乗に実質的に比例する電圧検知信号を受取らない。特性770および771の例では、エラー電圧は、同じ負荷条件下であるが異なる入力電圧条件下で劇的に変化する。その一方で、特性772および773は、たとえば図1におけるコントローラ102および図2におけるコントローラ202などの本発明の教示の恩恵を受ける制御回路における、負荷の大きさの関数としての、同様に異なる入力電圧条件下での例示的なエラー電圧特性である。この例では、特性772および773が実質的に一致しているので、所与の負荷の大きさ798についてのエラー信号電圧758の値は実質的に入力電圧から独立していることが明らかである。
【0035】
図8A、図8B、図9および図10は、しばしば「1サイクル制御」と称される別の力率制御スキームを改良するための本発明の教示の利点を示す。「1サイクル制御」制御スキームを用いるコントローラの詳細については、多くの出典でカバーされている。このタイプのコントローラの機能を十分に説明するための2つの例示的な参考文献は、APEC05会議で提示されたインターナショナル・レクティファイヤ・コーポレイション(International Rectifier Corp.)による「1サイクル制御ICがPFC設計を簡略化する(One Cycle Control IC Simplifies PFC Designs)」、およびインターナショナル・レクティファイヤ・コーポレイションによるアプリケーションノート(Application Note)AN−1077である。
【0036】
本発明の教示に適用したときの「1サイクル制御」コントローラの主要な回路ブロックが図8Aに示され、図8Bは、本発明の教示に係るパワーコンバータ800に含まれる例示的なパワーコントローラ802の機能ブロック図である。図8Aに示される回路素子の各々は、入力電圧検知信号859以外は、APEC05会議で提示されたインターナショナル・レクティファイヤ・コーポレイションによる上記の参考文献「1サイクル制御ICがPFC設計を簡略化する」に登場する。
【0037】
一例では図8Bに示されるように入力電圧信号830から導き出すことができる入力電圧検知信号859を導入するという改良点は、図1におけるコントローラ102および図2におけるコントローラ202を参照して上述したものと類似している。なお、他の例では、入力電圧を検知するために電圧センサ860と入力電圧レール889との間に接続888を有する必要はない。このような場合、入力電圧の値は、パワースイッチ818のデューティサイクルを測定することによって、またはパワースイッチ818のオン期間中のパワースイッチ818の電流増加の勾配を測定することによって、導き出すことができる。このような技術を用いて、接続888を必要とすることなく、入力電圧を検知し、入力電圧のピーク値、二乗平均平方根値または平均値を導き出すことができる。
【0038】
続いて、「1サイクル制御」スキームを用いて、図8Bに示されるタイプの昇圧コンバータなどのパワーコンバータにおいて力率改善機能を提供するコントローラの主要な回路ブロックに適用された本発明の教示の利点について説明する。例示的なコントローラ802は、一例では、積分器回路854と、エラー増幅器853と、比較器869とを含む。図8Aにおける例示的な回路に示されるように、エラー増幅器853の第1の入力は、パワーコンバータのdc出力電圧の大きさに応答するフィードバック信号836を受取るように結合される。エラー増幅器853の第2の入力は、基準電圧833を受取るように結合される。エラー増幅器853の出力は積分器回路854の第1の入力に結合され、積分器回路854の第2の入力は、ac電圧の大きさに応答する電圧検知信号859を受取るように結合される。
【0039】
一例では、電圧検知信号は、コントローラ802が用いられるパワーコンバータ800の入力に印加されたac電圧806の大きさの二乗に比例する。積分器回路854の出力は、積分器出力信号857を比較器869の第1の入力に印加するように結合される。比較器869の第2の入力は、エラー増幅器853の出力に応答する信号、すなわちVERR858、およびパワースイッチがオンであるときにパワースイッチに流入する電流を検知することによって発生した信号864を受取るように結合される。
【0040】
なお、「1サイクル制御」コントローラはしばしば、例として代替的な電流センサ887の位置によって示されるようにコンバータに流入する入力電流を検知する。しかしながら、パワースイッチ818のオン期間中は、電流検知素子886および887が検知する電流は、実質的に同じである。パワースイッチのオン期間中に流れる電流に応答する電流検知信号が本発明の教示に関してコントローラ802によって用いられているので、パワーコンバータ800入力電流811またはパワースイッチ電流834のいずれかを検知できる。一例では、パワースイッチ818は、図8Bの昇圧コンバータに示されるように結合される。なお、図11を参照して以下に記載するように他のパワーコンバータトポロジーを用いることができる。
【0041】
図8Aおよび図8Bの例では、電流検知信号864は、利得段865を通って処理されて、増幅された信号878を発生させ、この増幅された信号878は、VERR信号858から減算される。結果として生じる信号879は、比較器回路869の第2の入力に印加される。したがって、比較器869の第2の入力に印加された信号は、エラー信号858および電流検知信号864の両方に応答する。
【0042】
図8Aの回路ブロック801がその一部である「1サイクル制御」コントローラ、たとえばコントローラ802は、比較器869の第2の入力信号879の大きさおよび積分器出力信号857の大きさが実質的に等しい値を有するときにパワースイッチ818のオン期間を終了させるように結合される。電圧検知信号859に応答する積分器回路854の利得は、パワースイッチのオン期間中の積分器出力信号の変化の割合が、一例ではVG806であるac入力電圧の大きさから独立して、実質的に一定であるようなものである。
【0043】
「1サイクル制御」スキームに適用された本発明の利点をさらに図9および図10に示す。特に、図9は、入力電圧検知信号859が積分器854に印加されない標準的な「1サイクル制御」スキームにおける例示的な特性を示す。図9は2組の曲線を示し、一方は、PFCパワーコンバータに対する低入力ac電圧に対応するローライン(low line)(LL)のためのものであり、一方は、PFCパワーコンバータに対する高入力ac電圧に対応するハイライン(high line)(HL)のためのものである。
【0044】
低ac入力電圧でのエラー信号VERRLL958は、高ac入力電圧でのエラー信号VERR
HL915とは相当に異なっている。これは、積分されたエラー信号出力波形957および918がac入力電圧次第で非常に異なるために起こる。高入力ac電圧で正確なパワースイッチオン期間TonHL917を達成するために、ローラインでの値958と比較して、ハイラインではエラー信号915を大幅に低減しなければならない。
【0045】
それに比べて、図10は、図8における電圧検知信号859を導入した本発明の教示の恩恵を受ける回路によって発生する例示的な曲線を示す。示されるように、エラー信号858は、ここでは一定のままであることができ、その結果、パワースイッチのオン期間中の積分器出力信号1057の変化または勾配の割合が、ac入力電圧806の大きさから独立して、実質的に一定である。ここで、本発明の教示によれば、エラー信号の変化を必要とせずに正確なパワースイッチオン期間TonHL917を維持できる。
【0046】
「1サイクル制御」スキームに適用された本発明の教示の利点は、出力負荷および入力ac電圧の変化条件下で制御ループの応答および安定性を改良しながらエラー信号ダイナミックレンジを大幅に低減するという点で、図1および図2に関して先に記載したコントローラに適用されたものと類似している。加えて、エラー信号1058は負荷の関数であり、エラー信号1058を用いて、たとえば負荷の関数としてパワースイッチスイッチングサイクル期間変更を行なって、コントローラが用いられるパワーコンバータの軽負荷効率を改良できる。
【0047】
図11は、本発明の教示の恩恵を受けるコントローラを用いた別の例示的なパワーコンバータ構成1100を概して示す。図11に示される例では、パワーコンバータトポロジーは、フライバックコンバータである。フライバックコンバータ1100は、PFCコンバータ段として用いられることができ、入力および出力負荷1124を分離し、これは特定の用途では利点であり得る。フィードバック信号1136の経路の分離は、図11では破線によって示される。制御回路1102は、多くの局面を図1および図2のコントローラと共有している。一例では、図1におけるコントローラ102および図2におけるコントローラ202と比較した内部制御回路の唯一の修正点は、スイッチオフ期間制御回路ブロック1151にある。その相違点は別として、パワースイッチ1118オン期間制御回路1152は、制御回路ブロック152および252のすべての局面を実質的に共有する。動作時、電流は、パワースイッチ1118がオンであるときにはエネルギ蓄積素子1114巻線1115に流入し、パワースイッチ1118がオフである期間のうちの少なくとも一部の間はエネルギ蓄積素子巻線1116および出力ダイオードD11128に流入する。したがって、電流は、パワースイッチ1118のオン期間中はエネルギ伝達素子1114の少なくとも1つの巻線1115に流入し、パワースイッチ1118がオフである期間のうちの少なくとも一部の間はエネルギ伝達素子1114の少なくとも1つの巻線1116および出力ダイオード1128に流入する。
【0048】
上記の図8A、図8B、図9および図10を参照して記載した本発明の教示の恩恵を受けるように修正された「1サイクル制御」コントローラは、図11の例に類似のフライバックコンバータ構成でも用いられ得ることが理解される。
【0049】
昇圧およびフライバックコンバータトポロジーについてのみ説明の目的で上述したが、本発明の教示は、本発明の教示に係るバック(buck)−昇圧コンバータ、バックコンバータ、SEPICコンバータなどの力率改善に適用可能な多くの他のトポロジーに適用できることが理解される。
【0050】
図12は、本発明の教示に係る力率改善回路を制御するための例示的な方法を概して示すフロー図である。プロセスブロック1210において、コンバータ入力電圧を検知し、その電圧のピーク値または二乗平均平方根値または平均値に応答する信号を発生させる。
より具体的には、この例では、発生した信号は、ピーク/二乗平均平方根または平均入力電圧の二乗に比例する。次に、プロセスブロック1211において、フィードバック信号に応答するエラー信号を発生させる。プロセスブロック1212において、パワースイッチ118をオンにする。プロセスブロック1213において、ブロック1210において発生した入力電圧信号の値によって一部設定された利得を有するたとえば積分器154などの積分器回路によって、パワースイッチ電流に応答する信号、たとえば信号164を積分する。決定ブロック1214において、積分器出力信号をエラー信号と比較する。積分器出力信号がエラー信号よりも大きくなければ、プロセスブロック1213において積分を継続する。しかしながら、積分器出力信号がエラー信号よりも大きい場合、ブロック1215において、たとえばパワースイッチ118などのパワースイッチをオフにして、積分器回路をリセットする。決定ブロック1216において、パワースイッチオフ期間がいつ完了するか判断する。パワースイッチオフ期間が完了すると、フローチャートはブロック1210に戻る。
【0051】
図13は、本発明の教示に係る力率改善回路を制御するための別の例示的な方法を概して示すフロー図である。プロセスブロック1310において、コンバータ入力電圧を検知し、その電圧のピーク値または二乗平均平方根値または平均値に応答する信号を発生させる。より具体的には、この例では、発生した信号は、ピーク/二乗平均平方根または平均入力電圧の二乗に比例する。次に、プロセスブロック1311において、フィードバック信号に応答するエラー信号を発生させる。プロセスブロック1312において、たとえばパワースイッチ118などのパワースイッチをオンにする。プロセスブロック1313において、ブロック1310において発生した入力電圧信号の値によって一部設定された利得を有するたとえば積分器854などの積分器回路によって、たとえばエラー信号858などのエラー信号を積分する。プロセスブロック1314において、第2のエラー信号を発生させるために、電流検知信号は、利得率を乗じられ、ブロック1311において発生したエラー信号から減算される。決定ブロック1315において、積分器出力信号を第2のエラー信号と比較する。積分器出力信号が第2のエラー信号よりも大きくなければ、プロセスブロック1313において第1のエラー信号の積分を継続する。しかしながら、積分器出力信号が第2のエラー信号よりも大きい場合、ブロック1316において、パワースイッチをオフにして、積分器回路をリセットする。決定ブロック1317において、パワースイッチオフ期間がいつ完了するか判断する。パワースイッチオフ期間が完了すると、フローチャートはブロック1310に戻る。
【0052】
要約書に記載されるものを含む図示される本発明の例の上記の説明は、網羅的であるように意図されるものではなく、または開示される厳密な形態に限定されるように意図されるものではない。この発明の具体的な実施例および例は本明細書において例示の目的で記載されており、本発明のより広い精神および範囲から逸脱することなく、種々の等価の修正が可能である。
【0053】
これらの修正は、上記の詳細な説明に鑑みて、この発明の例に対してなされることができる。以下の特許請求の範囲の中で用いられる用語は、明細書および特許請求の範囲に開示されている具体的な実施例にこの発明を限定するように解釈されるべきではない。むしろ、その範囲は専ら以下の特許請求の範囲によって決まり、特許請求の範囲は、確立されたクレーム解釈の原理に従って解釈される。したがって、本明細書および図面は限定的ではなく例示的であると見なされる。
【符号の説明】
【0054】
100 パワーコンバータ、102 コントローラ、118 パワースイッチ、126
負荷、154 積分器、156 パワースイッチオン/オフ論理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
力率改善(PFC)コンバータで用いられるコントローラであって、
パワースイッチに結合されたエネルギ伝達素子に結合された前記PFCコンバータの入力に結合されたac電圧源の大きさに応答する電圧検知信号を受取るように結合された積分器を備え、前記積分器は、前記パワースイッチがオンであるときに前記パワースイッチに流入する電流に応答する電流検知信号を受取るようにさらに結合され、前記積分器は、前記電圧検知信号および前記電流検知信号に応答して積分器出力信号を発生させ、前記コントローラはさらに、
前記パワースイッチをオンおよびオフに駆動して、前記PFCコンバータの出力に結合された負荷への、前記エネルギ伝達素子を通るエネルギの伝達を制御するように結合されたオン/オフ論理を備え、前記オン/オフ論理は、前記積分器出力信号がしきい値に達すると前記パワースイッチのオン期間を終了させるように結合され、積分器回路の利得は、前記しきい値が、前記負荷の大きさが一定であるときに前記ac電圧源の大きさから独立して実質的に一定であるように、前記電圧検知信号に応答して調整される、コントローラ。
【請求項2】
前記電圧検知信号は、acサイクル中の前記ac電圧源のピーク値に応答する、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記電圧検知信号は、前記ac電圧源の二乗平均平方根値に応答する、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記電圧検知信号は、前記ac電圧源の平均値に応答する、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記コントローラおよびパワースイッチは、混成回路として単一のパッケージに集積される、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項6】
前記コントローラおよびパワースイッチは、単一のダイ上にモノリシックに集積される、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項7】
前記電流検知信号は、前記パワースイッチの検知FET素子によって発生した信号から導き出される、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項8】
前記電流検知信号は、前記パワースイッチに結合された検知抵抗器の両端で発生した電圧信号から導き出される、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項9】
前記電流検知信号は、前記パワースイッチがオン状態であるときに前記パワースイッチの両端で発生した電圧信号から導き出される、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項10】
前記電流検知信号は、前記パワースイッチがオン状態であるときに前記パワースイッチの検知FET部分によって発生する検知FET信号から導き出される、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項11】
パワーコンバータは昇圧コンバータであり、前記エネルギ伝達素子はインダクタである、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項12】
パワーコンバータはフライバックコンバータであり、前記エネルギ伝達素子は変圧器である、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項13】
前記パワースイッチに結合された前記エネルギ伝達素子に結合された前記PFCコンバータの前記入力に結合された前記ac電圧源の大きさに応答する入力電圧信号を受取るように結合された電圧センサをさらに備え、前記電圧センサは、前記入力電圧信号に応答する前記電圧検知信号を発生させる、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項14】
基準電圧および前記PFCコンバータのdc出力電圧の大きさに応答するフィードバック信号を受取るように結合されたエラー増幅器をさらに備え、前記しきい値は、前記エラー増幅器の出力値である、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項15】
前記エラー増幅器からの前記しきい値および前記積分器出力信号を受取る比較器をさらに備え、前記比較器の出力は、前記積分器出力信号が前記しきい値に達すると前記オン/オフ論理に前記パワースイッチの前記オン期間を終了させるように結合される、請求項14に記載のコントローラ。
【請求項16】
力率改善(PFC)コンバータで用いられるコントローラであって、
パワースイッチに結合されたエネルギ伝達素子に結合された前記PFCコンバータの入力に結合されたac電圧源の大きさに応答する電圧検知信号を受取るように結合された積分器を備え、前記積分器は、前記パワースイッチがオンであるときに前記パワースイッチに流入する電流に応答する電流検知信号を受取るようにさらに結合され、前記積分器は、前記電圧検知信号および前記電流検知信号に応答して積分器出力信号を発生させ、前記コントローラはさらに、
基準電圧、および前記PFCコンバータのdc出力電圧の大きさに応答するフィードバック信号を受取るように結合されたエラー増幅器を備え、前記エラー増幅器は、エラー信号を発生させ、前記コントローラはさらに、
前記パワースイッチをオンおよびオフに駆動して、前記PFCコンバータの出力に結合された負荷への、前記エネルギ伝達素子を通るエネルギの伝達を制御するように結合されたオン/オフ論理を備え、前記オン/オフ論理は、前記積分器出力信号の大きさが前記エラー信号の大きさを超えると前記パワースイッチのオン期間を終了させるように結合され、積分器回路の利得は、パワースイッチオン期間が終了したときの前記積分器出力信号の大きさが、前記負荷の大きさが一定であるときに前記ac電圧源の大きさから独立して実質的に一定であるように、前記電圧検知信号に応答する、コントローラ。
【請求項17】
前記電圧検知信号は、acサイクル中の前記ac電圧源のピーク値に応答する、請求項16に記載のコントローラ。
【請求項18】
前記電圧検知信号は、前記ac電圧源の二乗平均平方根値に応答する、請求項16に記載のコントローラ。
【請求項19】
前記電圧検知信号は、前記ac電圧源の平均値に応答する、請求項16に記載のコントローラ。
【請求項20】
前記コントローラおよびパワースイッチは、混成回路として単一のパッケージに集積される、請求項16に記載のコントローラ。
【請求項21】
前記コントローラおよびパワースイッチは、単一のダイ上にモノリシックに集積される、請求項16に記載のコントローラ。
【請求項22】
前記電流検知信号は、前記パワースイッチの検知FET素子によって発生した信号から導き出される、請求項16に記載のコントローラ。
【請求項23】
前記電流検知信号は、前記パワースイッチに結合された検知抵抗器の両端で発生した電圧信号から導き出される、請求項16に記載のコントローラ。
【請求項24】
前記電流検知信号は、前記パワースイッチがオン状態であるときに前記パワースイッチの両端で発生した電圧信号から導き出される、請求項16に記載のコントローラ。
【請求項25】
パワーコンバータは昇圧コンバータであり、前記エネルギ伝達素子はインダクタである、請求項16に記載のコントローラ。
【請求項26】
パワーコンバータはフライバックコンバータであり、前記エネルギ伝達素子は変圧器である、請求項16に記載のコントローラ。
【請求項27】
前記パワースイッチに結合された前記エネルギ伝達素子に結合された前記PFCコンバータの前記入力に結合された前記ac電圧源の大きさに応答する入力電圧信号を受取るように結合された電圧センサをさらに備え、前記電圧センサは、前記入力電圧信号に応答する前記電圧検知信号を発生させる、請求項16に記載のコントローラ。
【請求項28】
前記エラー信号および前記積分器出力信号を受取る比較器をさらに備え、前記比較器の出力は、前記積分器出力信号の大きさが前記エラー信号の大きさを超えると、前記オン/オフ論理に前記パワースイッチの前記オン期間を終了させるように結合される、請求項16に記載のコントローラ。
【請求項29】
力率改善(PFC)コンバータで用いられるコントローラであって、
パワースイッチに結合されたエネルギ伝達素子に結合された前記PFCコンバータの入力に結合されたac電圧源の大きさに応答する電圧検知信号を受取るように第1の入力を結合させた積分器と、
前記PFCコンバータのdc出力電圧の大きさに応答するフィードバック信号を受取るように第1の入力を結合させたエラー増幅器とを備え、前記エラー増幅器は、基準電圧を受取るように第2の入力を結合させ、前記積分器は、第2の入力を前記エラー増幅器の出力に結合させ、前記コントローラはさらに、
積分器出力信号を受取るように前記積分器の出力に第1の入力を結合させた比較器を備え、前記比較器は、前記エラー増幅器の前記出力に応答する第2の信号および前記パワースイッチがオンであるときに前記パワースイッチに流入する電流を受取るように第2の入力を結合させ、前記コントローラはさらに、
前記パワースイッチをオンおよびオフに駆動して、前記PFCコンバータの出力に結合された負荷への、前記エネルギ伝達素子を通るエネルギの伝達を制御するように結合されたオン/オフ論理を備え、前記オン/オフ論理は、前記第2の信号の大きさおよび前記積分器出力信号の大きさが実質的に等しい値を有するときに前記パワースイッチのオン期間を終了させるように結合され、前記積分器の利得は、前記パワースイッチの前記オン期間中の前記積分器出力信号の変化の割合が、前記ac電圧源の大きさから独立して実質的に一定であるように、前記電圧検知信号に応答する、コントローラ。
【請求項30】
前記電圧検知信号は、acサイクル中の前記ac電圧源のピーク値に応答する、請求項29に記載のコントローラ。
【請求項31】
前記電圧検知信号は、前記ac電圧源の二乗平均平方根値に応答する、請求項29に記載のコントローラ。
【請求項32】
前記電圧検知信号は、前記ac電圧源の平均値に応答する、請求項29に記載のコント
ローラ。
【請求項33】
前記コントローラおよびパワースイッチは、混成回路として単一のパッケージ内に集積される、請求項29に記載のコントローラ。
【請求項34】
前記コントローラおよびパワースイッチは、単一のダイ上にモノリシックに集積される、請求項29に記載のコントローラ。
【請求項35】
電流検知信号は、前記パワースイッチの検知FET素子によって発生した信号から導き出される、請求項29に記載のコントローラ。
【請求項36】
電流検知信号は、前記パワースイッチに結合された検知抵抗器の両端で発生した電圧信号から導き出される、請求項29に記載のコントローラ。
【請求項37】
電流検知信号は、前記パワースイッチがオン状態であるときに前記パワースイッチの両端で発生した電圧信号から導き出される、請求項29に記載のコントローラ。
【請求項38】
パワーコンバータは昇圧コンバータであり、前記エネルギ伝達素子はインダクタである、請求項29に記載のコントローラ。
【請求項39】
パワーコンバータはフライバックコンバータであり、前記エネルギ伝達素子は変圧器である、請求項29に記載のコントローラ。
【請求項40】
力率改善(PFC)回路を制御する方法であって、
ac電圧源を検知し、それに応答して電圧検知信号を発生させるステップと、
フィードバック信号に応答してエラー信号を発生させるステップと、
パワースイッチをオンにするステップと、
積分器出力信号を発生させるために、前記電圧検知信号に応答する利得を有する積分器で、前記パワースイッチにおけるスイッチ電流を積分するステップと、
前記積分器出力信号が前記エラー信号に達すると前記パワースイッチのオン期間を終了させるステップとを備える、方法。
【請求項41】
前記積分器出力信号が前記エラー信号に達する値が、負荷の大きさが一定であるときに前記ac電圧源の大きさから独立して実質的に一定であるように、前記電圧検知信号に応答して前記利得を調整するステップをさらに備える、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
力率改善(PFC)回路を制御する方法であって、
ac電圧源を検知し、それに応答して電圧検知信号を発生させるステップと、
フィードバック信号に応答してエラー信号を発生させるステップと、
パワースイッチをオンにするステップと、
積分器出力信号を発生させるために、前記電圧検知信号に応答する利得を有する積分器で前記エラー信号を積分するステップと、
第2のエラー信号を発生させるために、利得率を乗じたスイッチ電流検知信号を前記エラー信号から減算するステップと、
前記積分器出力信号の大きさが前記第2のエラー信号よりも大きい場合に前記パワースイッチのオン期間を終了させるステップとを備える、方法。
【請求項43】
前記パワースイッチの前記オン期間中の前記積分器出力信号の変化の割合が、前記ac電圧源の大きさから独立して実質的に一定であるように、前記電圧検知信号に応答して前記利得を調整するステップをさらに備える、請求項42に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−115105(P2010−115105A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249820(P2009−249820)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(501315784)パワー・インテグレーションズ・インコーポレーテッド (125)
【Fターム(参考)】