説明

加熱可能な通信窓を有する被膜された窓ガラス

本発明は、広い面積にわたって電気的に加熱可能な透明窓ガラス(1)であって、
透明基板(2)上に付着される、導電性、透明の広い面を有する被膜(3)と、
導電性透明被膜(3)と電気的に接続される少なくとも2つの集電帯(4)と、
被膜(3)のない少なくとも1つの局所的に範囲を定められた領域(5)とを含み、
2つの電極(8.1)、(8.2)を有する少なくとも1つの発熱導体(8)が、被膜のない領域(5)内に付着され、第1の電極(8.1)が、導電性透明被膜(3)と電気的に接続され、第2の電極(8.2)が、導電性透明被膜(3)または集電帯(4)と電気的に接続される、透明窓ガラス(1)に関する。
さらに本発明は、その製造方法およびその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサおよびカメラシステムのための通信窓(communication window)を有する窓ガラス、その製造方法、ならびにその使用の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車両、飛行機、ヘリコプタ、および船は、次第に様々なセンサまたはカメラシステムを備えるようになってきている。例として、ビデオカメラ、暗視カメラ、残留光増幅器(residual light amplifier)、レーザ距離計、またはパッシブ赤外線検出器などのカメラシステムが挙げられる。同様に、自動車両同定システムが、例えば通行料を徴収するために次第に使用されるようになってきている。
【0003】
カメラシステムには、紫外線(UV)、可視(VIS)、および赤外線波長域(IR)の光を利用することができる。このようにして、暗闇および霧など気象条件の悪いときでも、物体、自動車両、および人々を正確に検知することができる。自動車両の場合、このようなカメラシステムは、車室のフロントガラスの背面に設置することができる。このようにして、道路交通の場合でも、カメラシステムによって危険な状況および障害物をタイミングよく検知する機能が実現される。
【0004】
しかしながら、それらは車両周囲の気象条件または気流に弱いため、このようなセンサは、放射線を透過する窓ガラスによってすべからく保護されなければならない。このようなセンサは、自動車両の内部に設置することができる。光学センサの最適な機能を確保するためには、汚れておらず結露しない窓ガラスが、どうしても必要不可欠である。結露および氷結によって、電磁放射の透過率が明らかに低下するため、明らかに機能性が阻害される。ワイパーシステムを水滴および土埃の粒子に対して使用することができるが、一般にこれは氷結には適さない。このような場合には、センサに関連する窓ガラスの部分を必要に応じて少なくとも短時間加熱して、中断されずにセンサを使用することを可能にするシステムが、必要不可欠である。
【0005】
次第に、窓ガラスは、導電性かつ可視光線に対して透明であり、例えば太陽光による過熱もしくは過冷却から室内を保護し、または電圧を印加することによって窓ガラスを選択的に暖める機能を有する、全表面被膜を有するようになってきている。しかしながら、導電性透明被膜を有する窓ガラスは、データ担持放射線(data−bearing radiation)がこのような被膜を十分に透過しないため、センサまたはカメラシステム用の透明保護窓ガラスとして適当ではない。そのため、窓ガラスは、一般に局所的に範囲を定められた領域に関して被膜が除去され、センサおよびカメラシステム用の通信窓が形成される。
【0006】
欧州特許出願公開第1605729号明細書には、通信窓を有する電気的に加熱可能な窓ガラスが開示されている。この通信窓は、加熱装置によって結露および氷のない状態に保たれる。加熱部品は、窓ガラスの通信窓の位置に積層される。加えて、さらに別の加熱部品を、窓ガラスの表面上に付着することができる。追加の加熱部品は、好ましくは、導電性ペーストを用いて窓ガラスの表面上に印刷される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1605729号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これを実現するためには、発熱導体に電気エネルギーを供給するために、通電帯を介する電源との電気的接触を確立する必要がある。
【0009】
本発明の目的は、通信窓用の改善された加熱装置を有する窓ガラスを提案することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、通信窓用の改善された加熱装置を有する窓ガラスの新しい製造方法、およびその新しい使用を発見することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的は、独立請求項1、12、および15に記載の特徴によって達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項の特徴によって示される。
【0012】
本発明によって得られる実質的な利点は、通信窓用の発熱導体によって電気的接触が形成されて、窓ガラスの導電性透明被膜を介して、この発熱導体に電力が供給される点である。電源電圧は、導電性透明被膜内の通信窓を亘って発生する電位降下によって、供給される。通信窓の発熱導体との追加的な、通常は不透明な、電気的な接続を割愛することができる。
【0013】
広い面を有する窓ガラスを加熱するための通常の電圧は、従来の自動車両の場合は14V DCまたは42V DCであるが、電気駆動部品を有する自動車両の場合は400V DC相当にもなる。
【0014】
通信窓に亘る電位降下は、等電位線に垂直な通信窓の寸法と複数の集電帯線の間の距離との比率から計算され、また、複数の集電帯の間の広い面を有する窓ガラスを加熱するための電圧供給の役割を担う。
【0015】
本発明の有利な実施形態では、すべての発熱導体の全抵抗は、局所的に範囲を定められた被膜のない領域の等価置換抵抗(equivalent substitute resistance)の70%から130%、好ましくは95%から105%である。
【0016】
等価置換抵抗は、局所的に範囲を定められた被膜のない領域と同じ寸法であり、かつ導電性透明被膜を有する、本発明に係る窓ガラスの領域の抵抗である。等価置換抵抗は、局所的に範囲を定められた被膜のない領域を形成する間に除去された被膜された領域の抵抗に相当する。等価置換抵抗は、残された発熱領域の電流の方向に測定される。
【0017】
本発明に係る窓ガラスのサイズは、自動車両における従来のグレージングの仕様に適合される。窓ガラスの高さおよび幅は、好ましくは、10cmから200cmである。窓ガラスは、好ましくは、接着促進高分子層を含む積層ガラス板として設計される。窓ガラスは、好ましくは、厚さが0.8mmから4mmのケイ酸塩ガラス板を含む。
【0018】
本明細書では、「幅」という用語は、垂直に配置された窓ガラスに関して、水平方向の寸法を意味し、「高さ」という用語は、垂直方向の寸法を意味する。
【0019】
通信窓の幅および高さは、自動車両用の従来のセンサおよびカメラシステムの要求に応じて設計される。本発明に係る通信窓は、好ましくは、5cmから200cmの幅および5cmから200cmの高さを有し、これにより、センサおよびカメラシステムのビーム経路の透明のための十分に大きな領域が得られる。特に好ましくは、通信窓は、ECE−R43:2004に従って、A視野の外側の、自動車両用グレージングの縁部領域に配置される。
【0020】
窓ガラスの導電性、透明被膜は、好ましくは、インジウムスズ酸化物、酸化亜鉛、酸化スズ、Ga、Al、Ag、Au、またはこれらの混合物を含有する階層を含む。導電性かつ透明被膜の厚さの全体は、好ましくは、20nmから1μmである。導電性、透明被膜は、可視光線に対して70%超の高い透過率を有する。赤外線放射は部分的に反射される。
【0021】
導電性被膜のシート抵抗は、好ましくは、0.5オーム/スクエアから100オーム/スクエアである。
【0022】
被膜は、好ましくは、窓ガラスの表面全体に付着される。被膜された窓ガラスの被膜は、部分的に除去されるが、好ましくは、その縁部上の被膜が除去される。
【0023】
センサおよびカメラシステムのビーム経路に熱出力を集中させるためには、本発明によれば、発熱導体を直線、蛇行線、または波線として設計することが有利である。
【0024】
発熱導体の熱出力は、その材料固有の電気抵抗、その長さ、その幅、およびその高さを用いて計算される。
【0025】
熱出力の表面密度は、本発明によれば、通信窓内の発熱導体の空間配置によって、好ましくは、完全にまたは部分的に平行で、かつ狭く束ねられた網状経路によって、調節することができる。
【0026】
発熱導体の間の距離は、本発明によれば、好ましくは5mmから15mmである。
【0027】
発熱導体の幅は、本発明によれば、0.05mmから20mm、好ましくは0.1から5mm、特に好ましくは0.15mmから1mmである。
【0028】
本発明の一実施形態では、発熱導体は、低オーム接触線を介して電極で導電性、透明被膜と電気的に接続される。接触線の幅は、好ましくは、発熱導体の幅より広い。
【0029】
本発明の有利な実施形態では、発熱導体は、節点および少なくとも2本の接触線を介して導電性透明被膜と接続される。電流の流れが複数の接触線に分配されるため、接触線当たりの流量密度は低くなる。したがって、局所的に範囲を定められた領域および被膜のない領域の等価置換抵抗に対応する、発熱導体の全抵抗は、発熱導体および接触線の全抵抗から導き出される。
【0030】
本発明によれば、接触線および節点が櫛状に構成され、櫛の複数の先端が導電性透明被膜と接触することが特に有利である。通信窓の領域における電位降下および発生する電流は、導電性透明被膜と接触しない状態で、すでに均一化されている。導電性透明被膜に電流が不均一に分配されることに起因する不均一な熱負荷が、防止される。
【0031】
導電性透明被膜上の複数の接触線の間の距離は、好ましくは1mmから30mm、特に好ましくは5mmから15mmである。
【0032】
導電性透明被膜上の複数の接触線の間の本発明に係る距離が一定の場合に、接触線の熱負荷の特に有利な低減が得られる。
【0033】
接触表面の面積を増やすために、接触線は、0.5mmから100mmの長さ、好ましくは1mmから50mmの長さ、特に好ましくは3mmから10mmの長さにわたって導電性透明被膜と電気的に接続される。
【0034】
接触線の均一な温度分布は、本発明によれば、導電性透明被膜の等電位線に平行な、導電性被膜との接触領域を拡大することによって、得られる。このような拡大は、三角状、矩形状、楕円状、円状、または多角状にて実施することが好ましい。
【0035】
導電性かつ透明被膜で局所的過熱が抑制される。
【0036】
熱出力点は、特に有利には、スクリーン印刷用の導電性ペーストから、好ましくはスクリーン印刷用の銀含有ペーストから発熱導体を形成することによって、通信窓内に配置することができる。
【0037】
本発明の他の実施形態では、発熱導体は、金属線または金属線網を用いて、好ましくは銀線、金線、銅線、アルミニウム線、白金線、またはタングステン線を用いて形成することもできる。本発明のさらに他の実施形態では、発熱導体は、金属箔を用いて形成することもできる。
【0038】
好ましくは、集電帯および接触線は、本発明によれば、スクリーン印刷用の導電性ペーストから、好ましくはスクリーン印刷用の銀含有ペーストから形成される。
【0039】
熱導体の層厚さは、1μmから50μm、特に好ましくは5μmから30μmである。
【0040】
さらに、広い面積にわたって電気的に加熱可能な透明窓ガラスを製造するための、本発明に係る方法であって、導電性、透明被膜が透明窓ガラスに付着される方法が、見出された。導電性、透明被膜は、局所的に範囲を定められた領域に関して除去され、少なくとも2つの集電帯が、導電性、透明被膜に付着されて、導電性透明被膜と電気的に接続される。少なくとも1つの発熱導体および接触線が、付着されて、第1の電極で導電性透明被膜と電気的に接続される。第2の電極で、発熱導体および接触線は、導電性透明被膜または集電帯と接続される。
【0041】
導電性透明被膜は、好ましくは、気相からの物理蒸着および化学蒸着によって、特に好ましくは陰極スパッタリングによって付着される。
【0042】
本発明に係る方法の別の好ましい実施形態では、導電性、透明被膜は、局所的に範囲を定められた領域に関して、レーザアブレーションまたは機械的研磨によって除去される。
【0043】
本方法の好ましい実施形態では、集電帯、接触線、および/または発熱導体は、スクリーン印刷処理、インクジェット処理、パルスジェット処理、食刻ローラ処理、またはオフセット印刷処理によって形成される。
【0044】
上記の好ましい方法は、具体的には、集電帯、接触線、および発熱導体が、1つの処理ステップで付着されて、電気的に接続されるという有利性を有する。
【0045】
さらに、広い面積にわたって電気的に加熱可能な透明窓ガラスの、熱放射を反射する加熱可能な通信窓を有する加熱可能なおよび/または積層ガラスのフロントガラスとしての使用が、見出された。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】広い面積にわたって電気的に加熱可能な透明窓ガラス(1)の例示的実施形態の平面図である。
【図2】図1に係る例示的実施形態の通信窓(5)の拡大図である。
【図3】広い面積にわたって電気的に加熱可能な透明窓ガラス(1)の例示的実施形態の他の通信窓(5)である。
【図4】広い面積にわたって電気的に加熱可能な透明窓ガラス(1)の例示的実施形態のさらに他の通信窓(5)である。
【図5】広い面積にわたって電気的に加熱可能な透明窓ガラス(1)の例示的実施形態のさらに他の通信窓(5)である。
【図6】広い面積にわたって電気的に加熱可能な透明窓ガラス(1)のさらに他の通信窓(5)である。
【図7】広い面積にわたって電気的に加熱可能な透明窓ガラス(1)の他の例示的実施形態の平面図である。
【図8】本発明に係る方法の詳細な例示的実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1および図2には、10cmの高さかつ20cmの幅の加熱可能な通信窓(5)を有する、本発明に係る100cmの高さかつ120cmの幅の自動車両用の積層ガラスのフロントガラス(1)が示されている。大表面加熱および熱保護の目的で、導電性、透明、かつ赤外線放射を反射する被膜(3)が、ガラス板(2)上に付着された。被膜(3)は、0.5オーム/スクエアのシート抵抗を有し、5nmから15nm厚の透明の銀層を含んでいた。ガラス板(2)の2つの縁部上で、導電性透明被膜(3)は、25μm厚の銀を含有する不透明な集電帯(4)と電気的に接続された。集電帯は、14Vの電圧源(図示せず)と電気的に接続された。集電帯の全体を流れる電流の流れは35Aであった。窓ガラス(1)の電気による熱出力の合計は、およそ500Wであった。窓ガラス(1)は、積層ガラス板として実現された。導電性透明被膜(3)は、積層ガラスのフロントガラス(1)の室内側に付着された。積層ガラスのフロントガラス(1)の透過率は、可視光線に対して少なくとも70%であった。赤外線放射は反射された。IRカメラ(図示せず)が、積層ガラスのフロントガラス(1)の上縁部の車両の室内を向く側に設置された。IRカメラのビーム経路およびその隣接領域では、赤外線放射を透過する通信窓(5)が、導電性、透明被膜(3)の開口として形成された。通信窓(5)内のIRカメラのビーム経路のすぐ近くのガラス板(2)の位置に、不透明で直線的な4つの発熱導体(8’、8’’、8’’’、8’’’’)が付着された。発熱導体(8’、8’’、8’’’、8’’’’)の線幅は0.5mmであった。発熱導体(8)は、並列に接続され、電気回路網を形成した。スクリーン印刷用の銀ペーストから形成された発熱導体(8)によって、25μmの層厚さが付加される。複数の発熱導体(8)の回路網を通る電流の流れを累積すると、およそ5.5Aであった。複数の発熱導体(8)の回路網の電位降下はおよそ1.4Vであった。複数の発熱導体(8)の回路網の熱出力を累積すると、およそ7.5Wであった。複数の発熱導体(8)の全抵抗、つまり、複数の発熱導体(8)の回路網のオーム抵抗は、およそ0.25オームであった。複数の発熱導体(8)の全抵抗は、通信窓(5)の等価置換抵抗に相当する。発熱導体(8’、8’’、8’’’、8’’’’)は、幅2mmかつ長さ5mmの接触線(7)を介して電極(8.1’、8.1’’、8.1’’’、8.1’’’’)で導電性透明被膜(3)と電気的に接続された。発熱導体(8’、8’’、8’’’、8’’’’)のいずれも、別の接触線(7)を直接介して2つの電極(8.2’、8.2’’、8.2’’’、8.2’’’’)で集電帯(4)と電気的に接続された。積層ガラスのフロントガラス(1)の通信窓(5)の領域に湿気、水、および氷が蓄積するのを防止することができた。発熱導体(8’、8’’、8’’’、8’’’’)の電圧供給は、導電性透明被膜(3)を利用することによって実現された。熱出力は、発熱導体(8’、8’’、8’’’、8’’’’)の回路網の電気比抵抗、層厚さ、長さ、および幅の組み合わせによって調節された。通信窓(5)の発熱導体(8’、8’’、8’’’、8’’’’)の電圧源を、導電性透明被膜(3)を介する単純な方法によって実現することができたことは、当業者には意外であり、予測できなかったことである。
【0048】
図3には、図2に係る通信窓の、本発明に係る他の実施形態が示されている。導電性被膜(3)の領域における接触線(7)の熱負荷を軽減するために、発熱導体(8)はいずれも、節点(6)および複数の接触線(7)を介して導電性透明被膜(3)と電気的に接続された。
【0049】
図4には、本発明に係る櫛状の別の実施形態が示されている。複数の発熱導体(8)は、通信窓内の集電帯(6)に並列に接続された。集電帯(6)は、節点として直接ガラス板(2)上に付着され、導電性透明被膜(3)とは直接接触していなかった。それぞれの間の距離が5mmである接触線(7)によって、導電性透明被膜(3)との電気的接続が形成された。接触線(7)の流量密度は、発熱導体(8)の流量密度を下回っていた。接触線(7)の熱負荷は、導電性透明被膜(3)との接触領域で最小化された。
【0050】
図5には、本発明のさらに他の実施形態が示されている。接触線(7)は、導電性、透明被膜(3)を10mmの長さにわたって覆っており、三角形状に構成されていた。拡大部の最も長い縁は、導電性透明被膜(3)の等電位線と平行に伸長していた。接触線(7)を拡大することによって、流量密度が減少し、とりわけ導電性透明被膜(3)との接触領域が熱的に緩和された。通信窓(5)の中央に熱出力を集中させるために、発熱導体(8)は、0.15mmという比較的小さい線幅を有し、赤外線カメラのビーム経路のすぐ近くでは蛇行状に構成された。
【0051】
図6には、本発明の別の実施形態が示されている。発熱導体(8)および接触線(7)は、孔パターンを有するスクリーン印刷用ペーストから形成された。この実施形態によって、発熱導体(7)における電気シート抵抗および結果的に低密度をより正確に調節することができた。発熱導体(8)は、自動車両用窓ガラスのバンドフィルタ構造(band filter structure)に応じた形状に適合された。見る人にとって均一できれいな見た目が得られた。
【0052】
図7には、2つの通信窓(5)を有する、本発明に係る積層ガラスのフロントガラス(2)の平面図が示されている。1つ目の通信窓(5)は自動車両の上部領域に構成され、2つ目の通信窓(5)はフロントガラスのワイパーの通常の待機位置に構成された。このようにして、所定の位置で凍結されたフロントガラスのワイパーのための除氷表面を追加的に得ることができた。発熱導体(8)の接触線(7)は、電極(8.1)、(8.2)の両方で導電性被膜(3)と接続された。発熱導体(8)の最適な熱出力を、単一の電圧源を用い、導電性透明被膜(3)を介することによって、複数の通信窓(5)内に得ることができたことは、当業者には意外であり、予測できなかったことである。
【0053】
図1から図8で、参照符号は以下の意味を有している。
【符号の説明】
【0054】
(1) 透明窓ガラス/積層ガラスのフロントガラス
(2) 透明な、電気絶縁性の基板
(3) 導電性透明被膜
(4) 集電帯
(5) 導電性透明被膜(3)のない領域/通信窓
(6) 節点
(7) 接触線
(8) 発熱導体
(8.1)、(8.2) 発熱導体(8)の電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広い面積にわたって電気的に加熱可能な透明窓ガラス(1)であって、
透明基板(2)上に付着される、導電性、透明の広い面を有する被膜(3)と、
導電性透明被膜(3)と電気的に接続される少なくとも2つの集電帯(4)と、
被膜(3)のない少なくとも1つの局所的に範囲を定められた領域(5)と
を含み、
2つの電極(8.1)、(8.2)を有する少なくとも1つの発熱導体(8)が、被膜のない領域(5)内に付着され、第1の電極(8.1)が、導電性透明被膜(3)と電気的に接続され、第2の電極(8.2)が、導電性透明被膜(3)または集電帯(4)と電気的に接続される、透明窓ガラス(1)。
【請求項2】
発熱導体(8)の全抵抗が、被膜(3)のない局所的に範囲を定められた領域(5)の等価置換抵抗の70%から130%、好ましくは95%から105%である、広い面積にわたって電気的に加熱可能な、請求項1に記載の透明窓ガラス(1)。
【請求項3】
発熱導体(8)が直線状、蛇行状、または波状である、広い面積にわたって電気的に加熱可能な、請求項1または2に記載の透明窓ガラス(1)。
【請求項4】
発熱導体(8)の線幅が、0.05mmから20mm、好ましくは0.1mmから5mm、特に好ましくは0.15mmから1mmである、広い面積にわたって電気的に加熱可能な、請求項1から3のいずれか一項に記載の透明窓ガラス(1)。
【請求項5】
電極(8.1)、(8.2)が、少なくとも1本の接触線(7)と接続される、広い面積にわたって電気的に加熱可能な、請求項1から4のいずれか一項に記載の透明窓ガラス(1)。
【請求項6】
少なくとも2本の接触線(7)が、少なくとも1つの節点(6)に電気的に接続される、広い面積にわたって電気的に加熱可能な、請求項1から5のいずれか一項に記載の透明窓ガラス(1)。
【請求項7】
接触線(7)および節点(6)が櫛状に構成され、櫛の先端の形をした接触線(7)が、導電性透明被膜(3)と電気的に接触する、広い面積にわたって電気的に加熱可能な、請求項6に記載の透明窓ガラス(1)。
【請求項8】
接触線(7)の間の距離が、1mmから30mm、好ましくは5mmから15mmであり、および/または複数の発熱導体(8)の間の距離が5mmから15mmである、広い面積にわたって電気的に加熱可能な、請求項1から7のいずれか一項に記載の透明窓ガラス(1)。
【請求項9】
接触線(7)が、0.5mmから100mm、好ましくは1mmから50mm、特に好ましくは3mmから10mmの長さにわたって導電性被膜(3)と電気的に接続される、広い面積にわたって電気的に加熱可能な、請求項1から8のいずれか一項に記載の透明窓ガラス(1)。
【請求項10】
発熱導体(8)が、スクリーン印刷用の導電性ペースト、好ましくはスクリーン印刷用の銀含有ペーストを含む、広い面積にわたって電気的に加熱可能な、請求項1から9のいずれか一項に記載の透明窓ガラス(1)。
【請求項11】
発熱導体(8)の層厚さが、1μmから50μm、好ましくは5μmから30μmである、広い面積にわたって電気的に加熱可能な、請求項1から10のいずれか一項に記載の透明窓ガラス(1)。
【請求項12】
広い面積にわたって電気的に加熱可能な透明窓ガラス(1)の製造方法であって、
a.導電性、透明被膜(3)が、透明基板上に付着され、
b.導電性、透明被膜(3)が、局所的に範囲を定められた領域(5)に関して除去され、
c.少なくとも2つの集電帯(4)が、導電性、透明被膜(3)上に付着されて、導電性透明被膜(3)と電気的に接続され、
d.少なくとも1つの発熱導体(8)が、付着されることによって、第1の電極(8.1)で導電性透明被膜(3)と電気的に接続され、また、第2の電極(8.2)で導電性透明被膜(3)または集電帯(4)と電気的に接続される、製造方法。
【請求項13】
導電性、透明被膜(3)が、局所的に範囲を定められた領域(5)関して、レーザアブレーションまたは機械的研磨を用いて除去される、広い面積にわたって電気的に加熱可能な透明窓ガラス(1)の請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
集電帯(4)、接触線(7)、および/または発熱導体(8)が、スクリーン印刷処理、インクジェット処理、パルスジェット処理、食刻ローラ処理、またはオフセット印刷処理を用いて形成される、広い面積にわたって電気的に加熱可能な透明窓ガラス(1)の請求項12または13に記載の製造方法。
【請求項15】
通信窓を有する広い面積の自動車両グレージングにわたって電気的に加熱可能な透明窓ガラス(1)の、好ましくは通信窓を有する積層ガラスのフロントガラスとしての使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−513538(P2013−513538A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542465(P2012−542465)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068810
【国際公開番号】WO2011/069901
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】