説明

加熱蒸散装置

【課題】蒸散液を収容し表面開口をガス透過性フィルムで塞いだカートリッジ型加熱蒸散容器から、効率よく蒸散液を蒸散することができる加熱蒸散装置を提供することである。
【解決手段】蒸散液を収容し表面開口をガス透過性フィルムで塞いだカートリッジ型加熱蒸散容器50を器体の発熱面12上に保持して、前記蒸散液を蒸散させるための加熱蒸散装置1であって、前記発熱面12が器体の凹部底面11に設けられ、該発熱面12を挟んで対向する壁部13内面に、前記発熱面12上に加熱蒸散容器50を案内するためのガイド溝14が形成されており、該ガイド溝14は、加熱蒸散容器50の表面が当接する一方の内側面から前記発熱面までの距離が加熱蒸散容器50の厚さと実質同一である加熱蒸散装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸散液を収容し表面開口をガス透過性フィルムで塞いだカートリッジ型加熱蒸散容器を加熱して蒸散剤を蒸散させる加熱蒸散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
殺虫原体、芳香剤等の蒸散液を収容するための容器として、例えば特許文献1には、蒸散液を収容し表面開口をガス透過性フィルムで塞いだカートリッジ型の加熱蒸散容器が記載されている。このカートリッジ型加熱蒸散容器は、蒸散液が容器からこぼれるのを防止できるので、運搬などの取り扱いが容易になると共に、蒸散液の液量を正確に知ることができる。
そこで、特許文献1に記載されているカートリッジ型の加熱蒸散容器を使用して、効率よく蒸散液を蒸散することができる加熱蒸散装置の開発が望まれている。
【特許文献1】国際公開第03/105579号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、蒸散液を収容し表面開口をガス透過性フィルムで塞いだカートリッジ型加熱蒸散容器から、効率よく蒸散液を蒸散することができる加熱蒸散装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)蒸散液を収容し表面開口をガス透過性フィルムで塞いだカートリッジ型加熱蒸散容器を器体の発熱面上に保持して、前記蒸散液を蒸散させるための加熱蒸散装置であって、前記発熱面が器体の凹部底面に設けられ、該発熱面を挟んで対向する壁部内面に、前記発熱面上に加熱蒸散容器を案内するためのガイド溝が形成されており、該ガイド溝は、加熱蒸散容器の表面が当接する一方の内側面から前記発熱面までの距離が加熱蒸散容器の厚さと実質同一である加熱蒸散装置。
(2)該ガイド溝は、他方の内側面が発熱面と実質同一面にあることにより、前記加熱蒸散容器の厚さと実質同一の間隙を有している前記(1)記載の加熱蒸散装置。
(3)加熱蒸散容器は、少なくとも発熱面上に位置する部位が薄い厚さを有する前記(1)または(2)記載の加熱蒸散装置。
(4)発熱面が傾斜姿勢で器体の凹部底面に設けられており、前記ガイド溝は発熱面の傾斜角度と実質同じ傾斜角度を有する前記(1)〜(3)のいずれかに記載の加熱蒸散装置。
(5)器体の上部に、器体の凹部を塞ぐための蓋体が開閉自在に設けられており、該蓋体は上部に気体蒸散口が設けられる前記(1)〜(4)のいずれかに記載の加熱蒸散装置。
(6)器体および蓋体の少なくとも一方に、または器体と蓋体との間隙を利用して、加熱蒸散容器の表面に空気を送るための空気取入れ口が設けられている前記(5)記載の加熱蒸散装置。
(7)器体は、発熱面よりも後方の凹部底面に第2の空気取入れ口が設けられている前記(5)または(6)記載の加熱蒸散装置。
(8)前記加熱蒸散容器のガス透過性フィルム部分のうち、前記器体の発熱面上に位置する部分の縦幅をH、横幅をL、傾斜角度をαとしたとき、傾斜角度αが10〜80度において、前記気体蒸散口の総面積が、式:LHcosαで算出される値以上である前記(5)〜(7)のいずれかに記載の加熱蒸散装置。
【0005】
本発明における「器体」は、発熱面とガイド溝が設けられ、耐熱性樹脂などの耐熱性素材から公知の方法により成形されるのが好ましい。
「蒸散液」としては、例えば殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、忌避剤、医薬品、芳香剤、消臭剤、防虫剤、化粧品等の蒸散性を有する蒸散液が使用される。
「ガス透過性フィルム」とは、液体である蒸散液は透過しないが、蒸散液から揮散した蒸散成分を透過させることができる機能を有するフィルムを意味し、透明ないし半透明であるのが好ましい。
「発熱面」とは、下部に発熱体を備えた放熱板の表面を意味し、発熱面の長さは、加熱蒸散容器の容器を確実に加熱する上で、該容器と実質同じ長さであるのが好ましい。
「発熱体」は、例えば正特性サーミスターなどの半導体、PTCフィルムヒーター[(株)シーケイサーモ製]、ニクロム線、IHヒーター、マイクロ波加熱もしくは高周波誘導加熱ヒーター(分子の振動による摩擦によって発熱する原理を利用し、使用する周波数範囲は、マイクロ波加熱では2,450MHz、高周波誘導加熱では4MHz〜80MHzなど)、厚さ0.1〜1mm程度のステンレス箔の発熱抵抗体、昇温速度が速いポリイミド面状ヒーター等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「カートリッジ型加熱蒸散容器」は、アルミニウムなどの金属、耐熱性樹脂などの耐熱性素材から公知の方法により成形され、IHヒーター等で使用できる材質であってもよく、容器を置くと通電するように容器自体の少なくとも一部に導電材を設け、該容器をスイッチとしてもよい。なお、スイッチとする場合には、必要な絶縁処理を施すことは言うまでもない。
「ガイド溝」は、器体の壁部内面に形成され、凹部底面に設けた発熱面上にカートリッジ型加熱蒸散容器を案内するためのものであり、ガイド溝と加熱蒸散容器との接触は連続、不連続のいずれでもよく、例えば加熱蒸散容器と線状接触および/または点状接触するようにして過熱を防止するようにしてもよい。
「気体蒸散口」は、気化した蒸散液を加熱蒸散装置の外に拡散させるものであり、該気体蒸散口の形状および数は、気化した蒸散液が加熱蒸散装置の外に拡散できる形状および数であればよく、特に限定されるものではないが、安全性の上で格子を設けて区切るなどして手指が入り難い形状および大きさのものがよい。なお、蒸散を妨げない限り気体蒸散口の大きさは限定されないが、蓋体の強度などを考慮して、蓋体の総面積が20〜80cm2のとき、気体蒸散口の総面積は15cm2以下であることが好ましく、また、ガス透過性フィルムのうち発熱面上に位置する部分の縦幅をH、横幅をL、傾斜角度をαとしたとき、傾斜角度αが10〜80度において、気体蒸散口の総面積は、式:LHcosαで算出される値以上であることが好ましい。また、気体蒸散口が設けられる位置は、気化した蒸散液を効率よく加熱蒸散装置の外に拡散させるうえで、ガイド溝に挿し込まれた状態の加熱蒸散容器における容器の開口の上方に位置しているのが好ましい。
「蓋体」は、器体の上部に該器体の凹部を塞ぐために設けられるものであり、発熱面よりも後方に位置する壁部の内面に突設された突起によって開閉自在に軸支されているのが好ましく、さらに、気体蒸散口に手指が入ってしまったときに、手指を引くことで器体から外れ、発熱面から離れるように着脱自在、開閉自在に設けるのが好ましい。
「空気取入れ口」は、加熱蒸散容器の表面に空気を送るためのものであり、蒸散性を向上させる限り、大きさ、形状、位置などは限定されるものではない。
「第2の空気取入れ口」は、発熱面よりも後方の凹部底面に設けられるものであり、加熱蒸散装置の外部の空気が、該第2の空気取入れ口から装置の内部に導入され、気体蒸散口にかけて上昇気流が発生し、該上昇気流により気化した蒸散液が発熱面よりも後方に位置する蓋体へ付着するのが抑制され、蒸散液が蓋体に付着することによる薬剤ロスおよび美観の低下を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0006】
前記(1)によれば、カートリッジ型の加熱蒸散容器を保持して加熱するための発熱面を、器体の凹部底面に設け、該発熱面を挟んで対向する壁部内面に、前記発熱面上に加熱蒸散容器を案内するためのガイド溝を形成するので、加熱蒸散容器の出し入れが簡単になり、加熱蒸散容器の取り扱い性が向上すると共に、該ガイド溝は、加熱蒸散容器の表面が当接する一方の内側面から前記発熱面までの距離が加熱蒸散容器の厚さと実質同一であるので、該ガイド溝に加熱蒸散容器を挿し込んだ際には、容器裏面と発熱面とが均一に密着し、収容された蒸散液が効率よく加熱され、その結果、効率よく蒸散液を蒸散することができるという効果が得られる。
【0007】
前記(2),(3)によれば、ガイド溝は、他方の内側面が発熱面と実質同一面にあることにより、加熱蒸散容器の厚さと実質同一の間隙を有しており、加熱蒸散容器は、少なくとも発熱面上に位置する部位が薄い厚さを有するので、より効率よく蒸散液を蒸散でき、蒸散液が蒸散した際には、その気化熱により、発熱面周辺の熱履歴が低減されるので、器体と発熱面とが密接した構成であっても、発熱面周辺の器体が熱劣化することによる容器裏面と発熱面との密着性の低下が抑制され、長期にわたり優れた蒸散性を示すことができる。
【0008】
前記(4)によれば、発熱面が傾斜姿勢で器体の凹部底面に設けられており、ガイド溝が発熱面の傾斜角度と実質同じ傾斜角度を有するので、該ガイド溝に加熱蒸散容器を挿し込んだ際には、加熱蒸散容器に収容された蒸散液がガス透過性フィルムと接するようになるので、効率よく蒸散液を蒸散することができる。
【0009】
前記(5),(6)によれば、気体蒸散口が設けられた所定の蓋体と、加熱蒸散容器の表面に空気を送るための空気取入れ口とを設けるので、装置外部の空気が空気取入れ口から装置内部に導入され、該導入された空気によって蒸散液の蒸散が促進されるので、より効率よく蒸散液を蒸散できる。しかも、該空気取入れ口から気体蒸散口にかけて気流が発生する構成となり、気化した蒸散液が該気流に乗って加熱蒸散装置外に拡散されるので、蒸散液を広範囲に拡散することができる。
【0010】
前記(7)によれば、発熱面よりも後方の凹部底面に第2の空気取入れ口を設けるので、該第2の空気取入れ口から装置内に上昇気流が発生する構成となり、該上昇気流により気化した蒸散液が発熱面よりも後方に位置する蓋体へ付着するのが抑制され、その結果、蒸散剤が蓋体に付着することによる加熱蒸散装置の薬剤ロスおよび美観の低下を防ぐことができる。
前記(8)によれば、傾斜角度αが10〜80度において、総面積が式:LHcosαで算出される値以上の気体蒸散口を蓋体の上部に設けるので、蒸散剤の蓋体への付着量が削減され、薬剤ロスおよび美観の低下を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の加熱蒸散装置について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明にかかる加熱蒸散装置の一実施形態を示す斜視図である。図2は、図1の蓋体を略し、本実施形態にかかる器体と、この器体に取付けられるカートリッジ型の加熱蒸散容器を示す斜視図である。図3(a)は、本実施形態にかかるカートリッジ型の加熱蒸散容器を示す平面図であり、図3(b)は、その概略断面図であり、図3(c)は、縦幅Hと傾斜角度αを示す概略説明図である。図4は、本実施形態にかかる加熱蒸散装置を示す概略断面図であり、図5は、図4のI−I線断面図である。
【0012】
図1に示すように、この加熱蒸散装置1は、器体10と、該器体10の凹部を塞ぐための蓋体30とを備えている。そして、図2に示すように、カートリッジ型の加熱蒸散容器50を矢印に示す方向に沿って器体10のガイド溝14に挿し込み、器体10の発熱面12上に保持して、蒸散液を蒸散させる。
【0013】
(カートリッジ型加熱蒸散容器)
カートリッジ型の加熱蒸散容器50は、図3(a),(b)に示すように、表面が開口し内部に蒸散液51を収容する容器52と、この容器52の開口を塞ぐガス透過性フィルム53とを備え、容器52の一端には、空気溜まり部54を形成するための拡張部55が該容器52の深さ方向に突出して形成されている。また、容器52の開口周縁には、フランジ状の鍔部56が形成されている。
【0014】
蒸散液51としては、例えば殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、忌避剤、医薬品、芳香剤、消臭剤、防虫剤、化粧品等の蒸散性を有する蒸散液が使用される。これらの蒸散液としては、蒸散性の有効成分に、これと相溶する水、脂肪族炭化水素、アルコール、グリコール、両親媒性物質などを加えたものであってもよく、あるいは殺虫原体などの原体をそのまま用いてもよい。ここで、殺虫原体とは、溶剤を含まない殺虫剤成分自体を意味し、2種以上の殺虫剤成分を混合したものであってもよい。また、殺虫原体などの原体に添加剤を含有した、いわゆる添加殺虫原体を用いてもよく、該添加剤としては、例えば効力増強剤、揮散調整剤、粒子径調整剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、着色剤などが挙げられる。
【0015】
前記殺虫原体としては、加熱により蒸散し、害虫に対して防除効果を示すものであればよく、例えばトランスフルトリン、フラメトリン、d-T80-フラメトリン、プラレトリン、d-T80-プラレトリン、エムペントリン、フェノトリン、レスメトリン、フタルスリン、d-T80-フタルスリン、アミドフルメト、メトフルトリン、ビフェントリン、プロフルトリン、ジノテフラン、およびこれらの異性体、誘導体、類縁体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの殺虫原体の蒸気圧は1.3×10-4(25℃)Pa[9.8×10-7(25℃)mmHg]以上、好ましくは1.3×10-4〜80(25℃)Pa[9.8×10-7〜6.0×10-1(25℃)mmHg]であるのがよい。前記忌避剤としては、例えばディート(N,N−ジエチル−m−トルアミド)、IR3535(登録商標)(3−[N−n−ブチル−N−アセチル]−アミノプロピオン酸エチルエステル)、p−メンタン−3,8−ジオールなどが挙げられる。前記芳香剤としては、例えばL−メントール、L−カルボン、D−リモネンなどが挙げられる。
【0016】
空気溜まり部54は、蒸散液51の減少に伴ってガス透過性フィルム53が容器52の底面に接触するのを阻止する機能を有するものである。これにより、加熱蒸散容器50内の蒸散液51の液量を正確に知ることができる。また、図4に示すように、器体10のガイド溝14に加熱蒸散容器50を挿し込んだ際には、空気溜まり部54を構成する拡張部55が発熱面12よりも後方の凹部底面11に当接するので、加熱蒸散容器50が必要以上にガイド溝14に挿し込まれることがない。
【0017】
蒸散開始前の容器52内における空気溜まり部54の容積(空気量)と、蒸散液51の容積(液量)との割合は、空気量と液量との比が、空気量:液量=1:0.1〜10程度、好ましくは1:0.1〜7程度、より好ましくは1:0.2〜5程度であるのがよい。
【0018】
加熱蒸散容器50に収容する蒸散液51の量は、使用する薬剤の蒸散性、単位時間当りの蒸散量、目標とする蒸散持続時間等に応じて適宜決定されるため、特に限定されるものではないが、蒸散液51として、例えば殺虫原体を用いた場合には、通常、約0.05〜3ml、好ましくは0.1〜1ml程度であればよい。また、殺虫原体の量は、重量では約75〜4500mg、好ましくは100〜1500mgであるのがよい。
【0019】
加熱蒸散容器50の形状は、拡張部55が形成された部分における開口から底面までの厚み、拡張部55が形成された部分以外の部分における開口から底面までの厚み、拡張部55の底面の大きさ、拡張部55の形状等は特に限定されず、材料コスト、許容されるサイズ、成形の容易さ、上記した空気溜まり部54の空気量と蒸散液51の液量との比などを考慮して決定すればよい。具体例を挙げると、例えば拡張部55が形成された部分における開口から底面までの厚みは1〜10mm程度とするのが好ましい。
【0020】
ここで、図3(b)に示すように、発熱面12上に保持された加熱蒸散容器50は、拡張部55以外の容器52の裏面が加熱される構成となる。このため、より効率よく蒸散液を蒸散するうえで、発熱面12上に位置する拡張部55が形成された部分以外の部分、すなわち容器52における開口から底面までの厚みは、薄い厚さを有するのが好ましく、具体的には、例えば0.5〜5mm程度、好ましくは0.6〜3mm程度とするのがよい。これにより、より効率よく蒸散液51が蒸散すると共に、蒸散液51が蒸散した際には、その気化熱により、発熱面12周辺の熱履歴が低減される。
【0021】
容器52の開口は、該容器52を傾斜させた状態で容器52の下端が先細形状となっている。このような下端が先細形状になっている容器52を発熱面12上に保持することによって、液残量が最終間際になると、収容された蒸散液の液面の低下速度が大きくなるので、加熱蒸散の終点がわかりやすくなる。
【0022】
蒸散液51の加熱温度は、蒸散液51の単位時間当りの蒸散量を考慮して適宜決定されるが、通常、発熱面12の表面温度を約50〜170℃、好ましくは約70〜130℃の範囲から適切な温度に設定するのがよい。このとき、蒸散液51として、例えば殺虫原体を用いた場合には、殺虫原体の温度は約45〜165℃、好ましくは約65〜125℃であるのがよい。また、ガス透過性フィルム53の表面温度は約40〜160℃、好ましくは60〜120℃であるのがよい。
【0023】
ガス透過性フィルム53は透明ないし半透明であるのが好ましい。これにより、目視により蒸散液51の残量を把握し、終点を容易に判別することができる。また、ガス透過性フィルム53は、液体である蒸散液51は透過しないが、蒸散液51から揮散した蒸散成分を透過させることができる機能を有する。このようなガス透過性フィルム53を例示すると、延伸または無延伸ポリプロピレン、ポリエチレン(例えば直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等)、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。
【0024】
これらのフィルムは単独で使用してもよく、あるいは2種以上を貼り合わせたものであってもよい。また、フィルムにレーザー光などにより微細な孔を多数あけた微多孔性フィルムも単独で、または他のガス透過性フィルムと貼り合わせるなどして好適に使用可能である。さらに、針などで孔をあけた多孔性フィルムも他のガス透過性フィルムと貼り合わせるなどして使用することができる。レーザーや針などで孔をあけた微多孔性ないし多孔性のフィルムの材料としては、ポリプロピレン、ナイロンなどのフィルムも使用することができる。ガス透過性フィルム53の厚さは約10〜100μm、好ましくは30〜70μmであるのがよい。
【0025】
また、ガス透過性フィルム53としては、使用中に膨潤したり、破れたり、表面で有効成分の結晶化(粉ふき)等が生じないものが好ましい。このようなフィルムとしては、例えば2種以上のフィルムを貼り合わせた複合フィルムを挙げることができる。具体的には、例えば前記ポリエチレンまたは無延伸ポリプロピレンの外面に延伸ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、穴あきフィルム(例えば穴あきポリエチレンテレフタレートフィルム等)等を貼り合わせた複合フィルムが挙げられる。
【0026】
容器52は、アルミニウムなどの金属、耐熱性樹脂などの耐熱性素材から公知の方法により成形される。また、容器52はIHヒーター等で使用できる材質であってもよく、容器52を置くと通電するように容器自体の少なくとも一部に導電材を設け、該容器をスイッチとしてもよい。なお、スイッチとする場合には、必要な絶縁処理を施すことは言うまでもない。この容器52に所定量の蒸散液51を注入して液層と空気溜まり部54とを設けた後、鍔部56上にガス透過性フィルム53の周縁部を重ね合わせ、熱接着などにより一体に接着する。なお、蒸散液51を注入する際には、蒸散液51を拡張部55に注入するようにするとよい。拡張部55は開口から底面までの深さが深いので、注入が容易であり、注入時に蒸散液51がこぼれにくくなる。
【0027】
上記のような加熱蒸散容器50は、使用に際して、器体10の発熱面12上に保持され、発熱面12からの熱によって内部の蒸散液51が加熱されると、蒸散した蒸散液51の蒸散成分が、ガス透過性フィルム53を透過して拡散される。
【0028】
(器体)
図2に示すように、器体10には、発熱面12が器体10の凹部底面11に、該凹部底面11から大部分が露出した状態で設けられている。具体的には、器体10は発熱面12を設ける上で、例えば耐熱性樹脂などの耐熱性素材から公知の方法により成形されるのが好ましい。また、本実施形態にかかる発熱面12とは、図4に示すように、下部に発熱体12aを備えた放熱板12bの表面を意味する。発熱面12の長さは、加熱蒸散容器50の容器52を確実に加熱する上で、容器52と実質同じ長さであるのが好ましい。
【0029】
発熱体12aとしては、例えば正特性サーミスターなどの半導体、PTCフィルムヒーター[(株)シーケイサーモ製]、ニクロム線、IHヒーター、マイクロ波加熱もしくは高周波誘導加熱ヒーター(分子の振動による摩擦によって発熱する原理を利用し、使用する周波数範囲は、マイクロ波加熱では2,450MHz、高周波誘導加熱では4MHz〜80MHzなど)、厚さ0.1〜1mm程度のステンレス箔の発熱抵抗体、昇温速度が速いポリイミド面状ヒーター等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
ここで、器体10には、発熱面12を挟んで対向する壁部13の内面に、発熱面12上に加熱蒸散容器50を案内するためのガイド溝14が形成されている。これにより、加熱蒸散容器50の出し入れが簡単になり、加熱蒸散容器50の取り扱い性が向上する。ガイド溝14と加熱蒸散容器50との接触は連続、不連続のいずれでもよく、例えば加熱蒸散容器50と線状接触および/または点状接触するようにして過熱を防止するようにしてもよい。
【0031】
また、ガイド溝14は、図4に示すガイド溝14に加熱蒸散容器50を挿し込んだ状態において、図5に示すように、加熱蒸散容器50の表面が当接する一方の内側面14aから発熱面12までの距離Tが、加熱蒸散容器50の厚さと実質同一である。これにより、該ガイド溝14に加熱蒸散容器50が着脱自在に保持されると共に、加熱蒸散容器50を挿し込んだ際には、容器52の裏面と発熱面12とが均一に密着し、収容された蒸散液51が効率よく加熱され、その結果、効率よく蒸散液51を蒸散することができる。
【0032】
さらに、本実施形態にかかるガイド溝14は、他方の内側面14bが発熱面12と実質同一面にあることにより、加熱蒸散容器50の厚さと実質同一の間隙を有している。これにより、より効率よく蒸散液51が蒸散すると共に、蒸散液51が蒸散した際には、その気化熱により、発熱面12周辺の熱履歴が低減されるので、発熱面12周辺の器体10が熱劣化することによる容器52の裏面と発熱面12との密着性の低下が抑制され、長期にわたり優れた蒸散性を示すことができる。前記加熱蒸散容器50の厚さとは、上記で説明した拡張部55が形成された部分以外の部分、すなわち容器52における開口から底面までの厚みを意味している。
【0033】
また、発熱面12は、傾斜姿勢で器体10の凹部底面11に設けられており、ガイド溝14は、発熱面12の傾斜角度と実質同じ傾斜角度を有するのが好ましい。これにより、該ガイド溝14に加熱蒸散容器50を挿し込んだ際には、加熱蒸散容器50に収容された蒸散液51がガス透過性フィルム53と接するようになるので、効率よく蒸散液51を蒸散することができる。具体的には、前記傾斜角度としては、水平方向に対して10〜90度程度、好ましくは10〜80度程度で、なお、加熱蒸散容器50が空気溜まり部54を有する場合においては、40〜80度程度の角度であるのがよい。
【0034】
器体10の凹部底面11における背部には、コンセントに挿し込まれる電源供給用のプラグ23がコード23aを介して設けられている。該コード23aの一端は、図4に示すように、発熱体12aと電気的に接続されている。さらに、凹部底面11の一方の側面は、電源スイッチ21を備えている。この電源スイッチ21は、電源を発熱体12aに供給する「ON」側と、電源を供給しない「OFF」側との間で切り替えることができるように構成されている。これにより、使用者が用事において、この電源スイッチ21を「ON」側に切り替えることで、発熱体12aに電源が供給される。また、発熱体の加熱温度が得られる限り、電池を用いてもよい。
【0035】
また、器体10は、発熱面12よりも前面の凹部底面11にパイロットランプ22を備えている。パイロットランプ22は透明又は半透明な樹脂等の部材で構成されており、器体10の内部にはパイロットランプ22の略下方側に発光体を備えている。そして、下記で説明する蓋体30を透明又は半透明な樹脂等の部材で構成すると、電源スイッチ21が「ON」側に切り替えられた際には、発光体が発光し、該発光体の光がパイロットランプ22を介して器体10および蓋体30の外側へ洩れるので、使用者はパイロットランプ22によって発熱体12aに電源が供給されているか否かを簡単に確認することができる。また、インテリア性も付与することができる。
【0036】
(蓋体)
図6は、図1の加熱蒸散装置における蓋体の開閉状態を説明するための要部を示す概略断面図である。図1,図6に示すように、蓋体30は、器体10の上部に該器体の凹部を塞ぐために設けられており、発熱面12よりも後方に位置する壁部13の内面に突設された突起25によって開閉自在に軸支されている。蓋体30は、下記で説明する気体蒸散口31に手指が入ってしまったときに、手指を引くことで器体10から外れ、発熱面12から離れるように着脱自在、開閉自在に設けるのが好ましい。
【0037】
また、蓋体30の下端部分と当接し、該蓋体30を器体10に固定するためのピン24が、凹部底面11における背部上端に略直角三角形状に突設されている。これにより、蓋体30を閉じる際には、蓋体30の下端部分が、先ず、ピン24の斜面に乗り上げ、ついで、ピン24の先端部分と当接して器体10に固定される。なお、ピン24の形状は、蓋体30を器体10に固定することができる形状であればよく、特に限定されるものではない。
【0038】
蓋体30は、透明又は半透明な樹脂等の部材で構成されているのが好ましい。これにより、上記した加熱蒸散容器50内の蒸散液51の液量を正確に知ることができる。また、パイロットランプ22によって発熱体12aに電源が供給されているか否かを簡単に確認することができる。
【0039】
蓋体30の上部には、図1に示すように、気化した蒸散液51を加熱蒸散装置1の外に拡散させるうえで、複数の気体蒸散口31が設けられている。この気体蒸散口31の形状および数は、気化した蒸散液51が加熱蒸散装置1の外に拡散できる形状および数であればよく、特に限定されるものではないが、安全性の上で図1に示すように格子を設けて区切るなどして手指が入り難い形状および大きさのものがよい。なお、蒸散を妨げない限り気体蒸散口31の大きさは限定されないが、蓋体30の強度などを考慮して総面積15cm2以下であることが好ましい。
【0040】
特に、本実施形態では、図3(a),(c)に示すように、ガス透過性フィルム53のうち発熱面12上に位置する部分の縦幅をH、横幅をL、傾斜角度をαとしたとき、傾斜角度αが10〜80度において、気体蒸散口31の総面積が、式:LHcosαで算出される値以上であることが好ましい。これにより、蒸散剤(蒸散液51)の蓋体30への付着量が削減され、薬剤ロスおよび美観の低下を防ぐことができる。したがって、気体蒸散口31の総面積は、式:LHcosαで算出される値以上であり、15cm2以下であるのが好ましい。
【0041】
前記Hは3〜30mm、前記Lは5〜50mm程度が好ましい。また、この容器全体の幅は4〜40mm、高さは6〜60mmが好ましい。さらに、傾斜角度αは、水平方向に対する角度を意味している。すなわち、図3(c)に示すように、発熱面12の傾斜方向を示す傾斜線12’と、水平方向(重力方向に直角である。)を示す水平線100とのなす角度が傾斜角度αとなる。
【0042】
気体蒸散口31が設けられる位置は、気化した蒸散液51を効率よく加熱蒸散装置1の外に拡散させるうえで、ガイド溝14に挿し込まれた状態の加熱蒸散容器50における容器52の開口の上方に位置しているのが好ましい。
【0043】
本実施形態では、図1,図4に示すように、器体10と蓋体30との間隙を利用して、加熱蒸散容器50の表面に空気を送るための空気取入れ口32が設けられている。これにより、図4に示すように、加熱蒸散装置1の外部の空気が、空気取入れ口32から矢印Aに示す方向に沿って装置1の内部に導入され、加熱蒸散容器50の表面にまで導入されると、該空気によって蒸散液51の蒸散が促進される。さらに、空気取入れ口32から気体蒸散口31にかけて矢印Aに示す方向に沿った気流が発生するので、気化した蒸散液51が該気流に乗って加熱蒸散装置1の外に拡散される。
【0044】
なお、空気取入れ口32は、蒸散性を向上させる限り、大きさ、形状、位置などは限定されるものではなく、器体10および蓋体30の少なくとも一方に設けられていてもよい。また、この空気取入れ口32に指をかけて蓋体30を押し上げることで、蓋体30を開けることができる。
【0045】
また、器体10には、図4に示すように、発熱面12よりも後方の凹部底面11に第2の空気取入れ口33が設けられている。これにより、加熱蒸散装置1の外部の空気が、第2の空気取入れ口33から矢印Bに示す方向に沿って装置1の内部に導入され、気体蒸散口31にかけて矢印Bに示す方向に沿った上昇気流が発生する構成となり、該上昇気流により気化した蒸散液51が発熱面12よりも後方に位置する蓋体30へ付着するのが抑制され、蒸散液51が蓋体30に付着することによる薬剤ロスおよび美観の低下を防ぐことができる。
【0046】
上記した本実施形態にかかる加熱蒸散装置1において、蒸散液51として、例えば上記殺虫原体を用いた場合には、加熱蒸散装置1は防除が要求される様々な害虫、例えばゴキブリ、ハエ、蚊、ヌカカ、アブ、ノミ、ナンキンムシなどの衛生害虫ないし吸血害虫、イガ、コイガなどの衣類害虫、コクヌストモドキ、コクゾウムシなどの貯穀害虫、イエダニ、ツメダニ、コナダニなどのダニ類、アリ、シロアリ、ナメクジなどの防除に適用可能である。また、その使用場所については、様々な場所で使用可能であり、例えば家庭内の居室、台所、食堂;畜舎、犬小屋、農園芸ハウス;押入れ、タンス等の衣類等収納庫、食物収納庫などで好適に使用することができる。
【0047】
なお、上記で説明した実施形態では、図5において、ガイド溝14が、他方の内側面14bが発熱面12と実質同一面にあることにより、加熱蒸散容器50の厚さと実質同一の間隙を有している場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、本発明にかかるガイド溝は、加熱蒸散容器の厚さと実質同一の間隙を有していなくてもよく、加熱蒸散容器の表面が当接する一方の内側面から前記発熱面までの距離が加熱蒸散容器の厚さと実質同一となるように構成されていればよい。
【0048】
図7は、他の実施形態にかかるガイド溝周辺を示す概略断面図である。なお、図7においては、図5の構成と同一または同等な部分には同一の符号を付して説明は省略する。図7に示すように、このガイド溝14’は、加熱蒸散容器50の厚さと実質同一の間隙を有するように構成されていないが、加熱蒸散容器50の表面が当接する一方の内側面14’aから発熱面12までの距離Tが、加熱蒸散容器50の厚さと実質同一となるように構成されている。この構成であっても、ガイド溝14’により加熱蒸散容器50の取り扱い性が向上すると共に、ガイド溝14’に加熱蒸散容器50を挿し込んだ際には、容器52の裏面と発熱面12とが均一に密着するので、効率よく蒸散液51を蒸散することができる。
【0049】
また、上記で説明した実施形態では、カートリッジ型の加熱蒸散容器50は、容器52の一端に空気溜まり部54を形成するための拡張部55が形成されている場合について説明したが、本発明にかかる加熱蒸散容器はこれに限定されるものではなく、拡張部55が形成されていない加熱蒸散容器であってもよい。
【0050】
また、プラグ23は、凹部底面11の背部にコード23aを介して設けられている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばコード23a自体が着脱自在でもよく、またコード23aを除くプラグ23のみが、凹部底面11の背部に垂直に立設された状態で設けられていてもよく、凹部底面11の底部から突出するように設けられていてもよい。
【0051】
さらに、プラグ23が、凹部底面11の背部から突出した状態と、底部から突出した状態との両方の位置を取り得るように、凹部底面11に可動に設けられてもよい。プラグ23を可動とすれば、例えば屋内の壁面に設けられたコンセントと上面にコンセントを有するテーブルタップとのいずれにおいても加熱蒸散装置1を取り付けることができる。
【0052】
パイロットランプ22は、器体10の発熱面12よりも前面の凹部底面11に備えている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば凹部底面11の側面に設けられていてもよい。また、電源スイッチ21自体が発光するように構成されていてもよく、例えば「ON」側の時は緑色の発光が点灯し、「OFF」側の時は赤色の発光が点灯するように構成されていてもよい。こうすれば、使用者が電源スイッチ21の発光に基いて加熱蒸散装置1および電源スイッチ21の位置がわかるので使い勝手が良い。
【0053】
以下、試験例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の試験例のみに限定されるものではない。
【0054】
[試験例1]
図1,図2に示す本発明の加熱蒸散装置を用いて、発熱体の発熱温度を111℃に設定し、全体が幅33.5mm×高さ35.4mmである加熱蒸散容器において幅22.9mm×高さ21.0mm×厚み(拡張部)3.0mmの空間に収容されたメトフルトリン125mgを24時間連続通電で30日間かけて全量を加熱蒸散させ、蓋体への薬剤付着率を調べた。
【0055】
具体的には、この試験に用いた加熱蒸散容器のガス透過性フィルムのうち、加熱蒸散容器の発熱面上に位置する部分の縦幅Hは1.2cm、横幅Lは2.65cm、傾斜角度αは50度であり、気体蒸散口の総面積は表1に示した6通りのものを用いた(試験No.1〜6)。また、ガス透過性フィルムは、延伸ポリプロピレン/低密度ポリエチレン/直鎖状低密度ポリエチレンの3層の積層であるOPP20/LDPE20/LLDPE20を用いた。なお、本試験例において式:LHcosαで算出される値は2.0cm2である。
【0056】
薬剤付着率は、蓋体の重量増加量を容器中の蒸散液の初期量125mgで割ることにより求めた。すなわち、薬剤付着率は、式:薬剤付着率(%)=[蓋体への薬剤付着量(mg)/125mg]×100から算出して求めた。その結果を表1に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
表1から明らかなように、この試験例の場合は、式:LHcosαで算出される値が2.0cm2であるが、2.0cm2以上の総面積を有する気体蒸散口を備えた試験No.1,2は、2.0cm2より小さい総面積を有する気体蒸散口を備えた試験No.3〜6よりも、薬剤付着率が低い値を示しているのがわかる。
【0059】
[試験例2]
前記試験例1において、傾斜角度αを50度に代えて70度にし、気体蒸散口の総面積を表2に示した3通りのものを用いた以外は、前記試験例1と同様にして、蓋体への薬剤付着率を調べた(試験No.7〜9)。その結果を表2に示す。なお、本試験例において式:LHcosαで算出される値は1.1cm2である。
【0060】
【表2】

【0061】
表2から明らかなように、この試験例の場合は、式:LHcosαで算出される値が1.1cm2であるが、1.1cm2以上の総面積を有する気体蒸散口を備えた試験No.8,9は、1.1cm2より小さい総面積を有する気体蒸散口を備えた試験No.7よりも、薬剤付着率が低い値を示しているのがわかる。また、傾斜角度αが10〜80度の範囲においても、50度、70度と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明にかかる加熱蒸散装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の蓋体を略し、本実施形態にかかる器体と、この器体に取付けられるカートリッジ型の加熱蒸散容器を示す斜視図である。
【図3】(a)は、本実施形態にかかるカートリッジ型の加熱蒸散容器を示す平面図であり、(b)は、その概略断面図であり、(c)は、縦幅Hと傾斜角度αを示す概略説明図である。
【図4】本実施形態にかかる加熱蒸散装置を示す概略断面図である。
【図5】図4のI−I線断面図である。
【図6】図1の加熱蒸散装置における蓋体の開閉状態を説明するための要部を示す概略断面図である。
【図7】他の実施形態にかかるガイド溝周辺を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 加熱蒸散装置
10 器体
11 凹部底面
12 発熱面
12a 発熱体
12b 放熱板
13 壁部
14,14’ ガイド溝
14a,14’a 一方の内側面
14b 他方の内側面
21 電源スイッチ
22 パイロットランプ
23 プラグ
23a コード
24 ピン
25 突起
30 蓋体
31 気体蒸散口
32 空気取入れ口
33 第2の空気取入れ口
50 加熱蒸散容器
51 蒸散液
52 容器
53 ガス透過性フィルム
54 空気溜まり部
55 拡張部
56 鍔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸散液を収容し表面開口をガス透過性フィルムで塞いだカートリッジ型加熱蒸散容器を器体の発熱面上に保持して、前記蒸散液を蒸散させるための加熱蒸散装置であって、
前記発熱面が器体の凹部底面に設けられ、該発熱面を挟んで対向する壁部内面に、前記発熱面上に加熱蒸散容器を案内するためのガイド溝が形成されており、
該ガイド溝は、加熱蒸散容器の表面が当接する一方の内側面から前記発熱面までの距離が加熱蒸散容器の厚さと実質同一である加熱蒸散装置。
【請求項2】
該ガイド溝は、他方の内側面が発熱面と実質同一面にあることにより、前記加熱蒸散容器の厚さと実質同一の間隙を有している請求項1記載の加熱蒸散装置。
【請求項3】
加熱蒸散容器は、少なくとも発熱面上に位置する部位が薄い厚さを有する請求項1または2記載の加熱蒸散装置。
【請求項4】
発熱面が傾斜姿勢で器体の凹部底面に設けられており、前記ガイド溝は発熱面の傾斜角度と実質同じ傾斜角度を有する請求項1〜3のいずれかに記載の加熱蒸散装置。
【請求項5】
器体の上部に、器体の凹部を塞ぐための蓋体が開閉自在に設けられており、該蓋体は上部に気体蒸散口が設けられる請求項1〜4のいずれかに記載の加熱蒸散装置。
【請求項6】
器体および蓋体の少なくとも一方に、または器体と蓋体との間隙を利用して、加熱蒸散容器の表面に空気を送るための空気取入れ口が設けられている請求項5記載の加熱蒸散装置。
【請求項7】
器体は、発熱面よりも後方の凹部底面に第2の空気取入れ口が設けられている請求項5または6記載の加熱蒸散装置。
【請求項8】
前記加熱蒸散容器のガス透過性フィルム部分のうち、前記器体の発熱面上に位置する部分の縦幅をH、横幅をL、傾斜角度をαとしたとき、傾斜角度αが10〜80度において、前記気体蒸散口の総面積が、式:LHcosαで算出される値以上である請求項5〜7のいずれかに記載の加熱蒸散装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−117086(P2007−117086A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266653(P2006−266653)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000100539)アース製薬株式会社 (191)
【Fターム(参考)】