加熱調理器
【課題】調理物を載置する受け皿をスライドする時の摺動性に優れ、受け皿や調理室が傷つきにくくし、摺動時の音を軽減すること。
【解決手段】調理物を収納し加熱する調理室3と、調理室の底面に載置され、調理物を載置する受け皿4と、調理室の底面より下方に位置し、調理室の底面を加熱するヒーター6と、受け皿と連動して前後に移動して、調理室の前面開口を開閉するドア5とを備え、受け皿は、受け皿の底面と調理室の底面との間に隙間を設け、かつ受け皿の移動に調理室の底面24上を摺動する摺動部材11を設けた構成とした。
【解決手段】調理物を収納し加熱する調理室3と、調理室の底面に載置され、調理物を載置する受け皿4と、調理室の底面より下方に位置し、調理室の底面を加熱するヒーター6と、受け皿と連動して前後に移動して、調理室の前面開口を開閉するドア5とを備え、受け皿は、受け皿の底面と調理室の底面との間に隙間を設け、かつ受け皿の移動に調理室の底面24上を摺動する摺動部材11を設けた構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭の台所や業務用の厨房等で使用される加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加熱調理器の概略構成は、加熱調理器内に調理室を配し、調理物を載せる焼き網を載置した受け皿を収納し、加熱体としてはシーズヒーターと呼ばれる電熱線のジュール熱を用いて、調理物を加熱調理し、特に両面を同時に加熱するものが一般的である。
【0003】
しかし、このような構成では、調理室下方に設けられた加熱体に調理物から油脂や水分が滴下し、煙が多量に発生するとともに調理物に再付着し食味を損なう恐れがある。
【0004】
また、稀に油脂分に引火する恐れがある。このことから、調理室下方に設けられた加熱体への入力を抑制し、十分な熱量を加えることができないため、調理性能の低下につながっていた。さらに、下方に配置された加熱体が邪魔になり、調理室の底面の清掃性に欠けていた。
【0005】
これらの課題を解決する方法として、調理室底面を加熱するヒーターを有し、受け皿と調理室底面を加熱し、熱伝導により受け皿を加熱して調理物を加熱するものが知られている(例えば特許文献1)。
【0006】
図14は特許文献1記載の加熱調理器の断面図である。図のように調理室底面を加熱するヒーターを有し、載置皿と調理室底面は熱的に接続することにより、ヒーターによって調理室底面が加熱され、さらに調理室底面からの熱伝導によって載置皿が加熱され、調理物の下面が加熱される。
【0007】
上記構成にすることにより、ヒーターに調理油などが滴下して発火する可能性がないため、調理室下方に設けられた加熱体への入力を必要十分に加え載置皿を加熱することができ、調理物に必要な熱量を与えることで食味を向上させることができる。
【0008】
また、下部加熱手段に調理油が滴下することがないため、発煙によって調理物の香りが損なわれることがない。さらに、加熱中に調理物から飛散した飛沫などが調理室内の壁面に付着した場合においても、調理物を下方から加熱する加熱手段が無いため、掃除の際に手が引っ掛かったりすることなく清掃性に優れるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−207378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記の従来の構成の加熱調理器は、調理物を調理室内の載置皿に載置するために、載置皿を調理室前後にスライドする際に、載置皿の底面と調理室の底面が接触しているため、載置皿の底面および調理室の底面が傷つく恐れがあるとともに、載置皿に塗装を施している場合、こすれることによって塗装が剥離してしまう恐れがあった。さらに、載置皿の底面と調理室の底面が接触しているために摺動時の音が大きいという課題が
あった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は調理物を収納し加熱する調理室と、調理室の底面に載置され、調理物を載置する受け皿と、調理室の底面より下方に位置し、調理室の底面を加熱するヒーターと、受け皿と連動して前後に移動して、調理室の前面開口を開閉するドアとを備え、受け皿は、受け皿の底面と調理室の底面との間に隙間を設け、かつ受け皿の移動に調理室の底面上を摺動する摺動部材を設けた構成とした。
【0012】
これによって、受け皿の底面と調理室の底面との間に隙間が設けられており、受け皿の底面が調理室の底面に接触しないため、受け皿を調理室前後にスライドする際の、受け皿の底面および調理室の底面の傷つきや、受け皿の塗装の剥離を抑制することができる。さらに、摺動部材により摺動性の向上を図ることで、摺動時に発生する音を軽減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の加熱調理器は、調理室内の受け皿を調理室前後にスライドする際の、受け皿の底面および調理室の底面の傷つきや、受け皿の塗装の剥離に対する耐久性を向上するとともに、摺動部材による摺動性の向上と摺動時に発生する音の軽減により、使い勝手をよくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の断面図
【図2】本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の前面を開口した際の断面図
【図3】本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の斜視図
【図4】本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の前面を開口した際の斜視図
【図5】(a)本発明の第2の実施の形態における加熱調理器の調理室および棒状のヒーターの平面図(b)本発明の第2の実施の形態における加熱調理器の調理室および平面状のヒーターの平面図
【図6】本発明の第2の実施の形態における加熱調理器の受け皿の斜視図
【図7】本発明の第3の実施の形態における加熱調理器の正面からの断面図
【図8】本発明の第3の実施の形態における加熱調理器の摺動部材の斜視図
【図9】本発明の第4の実施の形態における加熱調理器の断面図
【図10】本発明の第4の実施の形態における加熱調理器の摺動部材の斜視図
【図11】本発明の第5の実施の形態における加熱調理器の摺動部材の斜視図
【図12】本発明の第6の実施の形態における加熱調理器の調理室の凸部の斜視図
【図13】本発明の第6の実施の形態における加熱調理器の調理室の凸部および摺動部材の斜視図
【図14】特許文献1に記載された従来の加熱調理器の断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の発明は、調理物を収納し加熱する調理室と、調理室の底面に載置され、調理物を載置する受け皿と、調理室の底面より下方に位置し、調理室の底面を加熱するヒーターと、受け皿と連動して前後に移動して、調理室の前面開口を開閉するドアとを備え、受け皿は、受け皿の底面と調理室の底面との間に隙間を設け、かつ受け皿の移動に調理室の底面上を摺動する摺動部材を設けた構成としたものである。
【0016】
これにより、受け皿の底面と調理室の底面との間に隙間が設けられており、受け皿の底面が調理室の底面に接触しないため、受け皿を調理室前後にスライドする際の、受け皿の底面および調理室の底面の傷つきや、受け皿の塗装の剥離を抑制することができる。さら
に、摺動部材により摺動性の向上を図ることで、摺動時に発生する音を軽減することができる。
【0017】
第2の発明は、特に、第1の発明の摺動部材は、ヒーターの直上をさけた位置に設けた構成としたものである。
【0018】
これにより、ヒーターの直上をさけた位置に設けることで、ヒーターによる摺動部材への熱の影響を軽減し、摺動部材の耐熱性を確保できる。また、受け皿は熱により変形するので、熱影響の小さい位置に設けることにより、調理室の底面から受け皿の底面までの寸法が安定するため、安定した調理性能を確保することができる。
【0019】
第3の発明は、特に、第2の発明の摺動部材は、ヒーターの直上よりも調理室の側面側に設けた構成としたものである。
【0020】
これにより、ヒーターの直上よりも調理室の側面側に設けることで、ヒーターによる摺動部材への熱の影響を軽減し、摺動部材の耐熱性を確保できる。また、受け皿は熱により変形するが、ヒーターの直上よりも調理室の側面側の方が、受け皿の側面からも熱を放熱するため、調理室の中央側に比べ、受け皿が変形する熱影響が小さく、調理室の底面から受け皿の底面までの寸法がより安定するため、安定した調理性能を確保することができる。
【0021】
第4の発明は、特に、第1から3のいずれか1つの発明の受け皿は、前記受け皿の側面よりも調理室の側面側に突出した横摺動部材をさらに有する構成としたものである。
【0022】
これにより、横摺動部材が調理室の側面に先あたりするため、受け皿の側面の傷つきおよび塗装の剥離を抑制することができる。
【0023】
第5の発明は、特に、第4の発明の横摺動部材は、摺動部材に形成されたものである。
【0024】
これにより、摺動部材と横摺動部材を1部品で構成することができるため、組み立て性の向上を図ることができるとともに、コストを抑制することができる。
【0025】
第6の発明は、特に、第1から3のいずれか1つの発明において、受け皿は、前記受け皿の後面よりも調理室の後面側に突出した後摺動部材をさらに有した構成としたものである。
【0026】
これにより、後摺動部材が調理室の後面に先あたりするため、受け皿の後面の傷つきおよび塗装の剥離を抑制することができる。
【0027】
第7の発明は、特に、第6の発明において、後摺動部材は、摺動部材に形成されたものである。
【0028】
これにより、摺動部材と後摺動部材を1部品で構成することができるため、組み立て性の向上を図ることができるとともに、コストを抑制することができる。
【0029】
第8の発明は、特に、」第5または第7の発明において、横摺動部材と後摺動部材は、摺動部材に形成され、前記摺動部材は受け皿のコーナー部に設けた構成としたものである。
【0030】
これにより、摺動部材と横摺動部材と後摺動部材とを1部品で構成することができるた
め、組み立て性の向上を図ることができるとともに、コストを抑制することができる。
【0031】
第9の発明は、特に、第1から8のいずれか1つの発明の調理室は、底面に線上に突出した凸部を備え、摺動部材は前記凸部の上面を摺動する構成としたものである。
【0032】
これにより、摺動部材と調理室の底面との接触面積を小さくすることができ、摺動時に発生する音を軽減することができる。
【0033】
第10の発明は、特に、第1から9のいずれか1つの発明の調理室は、底面をガラスで構成したものである。
【0034】
これにより、調理室の底面の傷つきを抑制することができるとともに、清掃性も向上することができ、さらに摺動部材と調理室の底面との摺動性を向上することにより、摺動時に発生する音を軽減することができる。
【0035】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0036】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の断面図、図2は本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の前面を開口した際の断面図、図3は本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の斜視図、図4は本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の前面を開口した際の斜視図を示す。
【0037】
図1において、図のように、調理物2を収納し加熱する調理室3は加熱調理器1内に設けられており、調理物2を調理する際には、調理物2を、調理室3の底面に載置された受け皿4に載置する。
【0038】
調理室3の前面開口を開閉するため、調理室3の前面にはドア5が設けられている。加熱調理器1内には、調理室3の底面より下方に位置するヒーター6が備えられており、ヒーター6の熱により、調理室3の底面が加熱され、さらに調理室3の底面からの熱伝導および輻射熱により受け皿4が加熱され、そこからの熱伝導により調理物2が加熱される構成となっている。
【0039】
ヒーター6が調理室3の底面より下方に設けられていることにより、加熱体が調理室3内にないため、加熱体が邪魔になることがなく、清掃性の向上を図ることができる。
【0040】
さらに、調理室3下方に設けられた加熱体に調理物2から油脂や水分が滴下し、煙が多量に発生するとともに調理物2に再付着し食味を損なう恐れや、油脂分に引火する恐れがない。
【0041】
また、このことから、調理室3下方に設けられた加熱体への入力を抑制することなく、十分な熱量を加えることができるため、調理性能を低下させることがなく、調理性能の向上が図られている。
【0042】
本実施の形態においては、調理室3の上方に、上ヒーター7を備えた構成とし、上ヒーター7からの熱により、調理物2を上面からも加熱する構成とし、調理物2を上下から加熱調理する構成とし、調理物2を両面焼きすることによりさらに食味を向上させる構成としている。上ヒーター7は例えば、遠赤外線ヒーターのようなものでもよい。
【0043】
図2のように、受け皿4には嵌合部8を設け、ドア5に接続部9を設け、受け皿4の嵌合部8とドア5の接続部9を嵌め合わせることにより、調理室3の前面の開口を開閉するためドア5を前後させる際に、ドア5と連動して受け皿4も前後する構成となっている。なお、嵌合部8は受け皿4と別部品で構成してもよく、接続部9もドア5と別部品で構成してよい。
【0044】
また、本実施の形態においては、ドア5の開閉を行いやすいよう、加熱調理器1にレール10を設け、ドア5とレール10が連結した構成としている。レール10は図3のように調理室3の外側に設けたほうが、調理室3内で邪魔にならず清掃性がよい。
【0045】
図1、図2のように、受け皿4には摺動部材11が設けられており、受け皿4の底面と調理室3の底面との間に隙間を設ける構成となっており、摺動部材11は、受け皿4がドア5の開閉と連動して前後に移動する際に、調理室3の底面上を摺動する構成となっている。
【0046】
摺動部材11は、ねじなどで受け皿4に取り付ける構成とする。摺動部材11は、樹脂製のものでも金属製のものでもよく、また、これらにグリスなどを塗布したものでもよい。
【0047】
以上のように構成された加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0048】
摺動部材11を設けた構成にすることにより、受け皿4の底面と調理室3の底面との間に隙間が設けられ、受け皿4の底面が調理室3の底面に接触しないため、調理物2を調理室3内に収納する際など、受け皿4を調理室3前後に移動する際の、受け皿4の底面および調理室3の底面の傷つきを抑制することができる。
【0049】
また、受け皿4には、調理物2が固着しにくいようフッ素塗装などの塗装が施されていることが多い。摺動部材11を設けた構成にし、受け皿4の底面と調理室3の底面との間に隙間を設けることで上記のように傷つきを抑制するとともに、受け皿4の塗装の剥離を抑制することができる。
【0050】
さらに、摺動部材11を設けることにより、先行文献の従来の構成のように受け皿4の底面と調理室3の底面が接している構成に比べ、摺動部材11と調理室3の底面の接触面積が小さく、また摺動性の向上を図ることができるため、摺動時に調理室3の底面と受け皿4の底面がこすれて発生する音を軽減することができる。
【0051】
さらに、調理室3の底面の材質をガラスで構成することにより、調理室3の底面の傷つきを抑制することができるとともに、清掃性も向上することができ、摺動部材11と調理室3の底面との摺動性を向上することにより、摺動時に発生する音を軽減することができる。
【0052】
また、ヒーター6は誘導加熱手段であってもよく、調理室3の底面および受け皿4を加熱することもできる。
【0053】
また、受け皿4の材質は、例えば、アルミで構成することにより、熱伝導性が高く、調理物2を加熱調理する際の時間が短くなるとともに、温度分布がより均一になるため、調理性能を向上させることができる。
【0054】
(実施の形態2)
図5(a)は本発明の第2の実施の形態における加熱調理器の調理室および棒状のヒー
ターの平面図、(b)は本発明の第2の実施の形態における加熱調理器の調理室および平面状のヒーターの平面図、図6は本発明の第2の実施の形態における加熱調理器の受け皿の斜視図を示す。
【0055】
なお、本実施の形態の基本構成は実施の形態1と同じなので、異なる点を中心に説明する。また、実施の形態1と同じ要素には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0056】
図5(a)において、例えばヒーター6が棒状の場合、ヒーター6の直上をさけた位置である側面側の摺動部材配置位置21または中央側の摺動部材配置位置22に摺動部材11を設ける構成とする。
【0057】
図のようにヒーター6が2本の場合には、ヒーター6の外側または、2本のヒーター6の間などが挙げられる。
【0058】
図5(b)のようにヒーター6が平面状の場合は、その外側の摺動部材配置位置23に設ける構成とする。また、例えば、調理室の底面がアルミのダイキャストで構成されておりヒーター6を鋳込んだ形態のもの(図示せず)であれば、摺動部材11を設ける位置は、ヒーター6の直上をさけた位置とする。
【0059】
なお、図の摺動部材11を設ける位置は例であり、摺動部材11を設ける位置を限定するものではない。
【0060】
これにより、ヒーター6の直上をさけた位置に設けることで、ヒーター6による摺動部材11への熱の影響を軽減し、摺動部材11を樹脂で構成した場合でも耐熱性を確保できる。
【0061】
また、受け皿4は熱により変形するので、熱影響の小さい位置に設けることにより、調理室3の底面から受け皿4の底面までの寸法が安定するため、安定した調理性能を確保することができる。
【0062】
さらに、図5の(a)、図6に示すように、ヒーター6の直上よりも調理室3の側面側である、側面側の摺動部材配置位置21に摺動部材11を設けた構成にすることで、より熱影響の小さい位置に摺動部材11を設けることができる。
【0063】
受け皿4は熱により変形するが、ヒーター6の直上よりも調理室3の側面側の方が、受け皿4の側面からも熱を放熱するため、調理室3の中央側に比べ、受け皿4が変形する熱影響が小さく、調理室3の底面から受け皿4の底面までの寸法がより安定するため、安定した調理性能を確保することができる。
【0064】
(実施の形態3)
図7は、本発明の第3の実施の形態における加熱調理器の正面からの断面図、図8は、本発明の第3の実施の形態における加熱調理器の摺動部材の斜視図を示す。なお、本実施の形態の基本構成は実施の形態1と同じなので、異なる点を中心に説明する。また、実施の形態1と同じ要素には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0065】
図7において、受け皿4は、受け皿4の側面よりも調理室3の側面側に突出した横摺動部材31を設けた構成となっている。
【0066】
これにより、受け皿4が、摺動時などに左右方向に動いても、横摺動部材31が調理室3の側面に先あたりするため、受け皿4の側面の傷つきおよび塗装の剥離を抑制すること
ができる。
【0067】
図8において、横摺動部材31は、摺動部材11に形成されてなる構成としたものである。
【0068】
これにより、摺動部材11と横摺動部材31を1つの部品で構成することができるため、組み立て性の向上を図ることができるとともに、コストを抑制することができる。
【0069】
(実施の形態4)
図9は、本発明の第4の実施の形態における加熱調理器の断面図、図10は、本発明の第4の実施の形態における加熱調理器の摺動部材の斜視図を示す。なお、本実施の形態の基本構成は実施の形態1と同じなので、異なる点を中心に説明する。また、実施の形態1と同じ要素には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0070】
図9において、受け皿4は、受け皿4の後面よりも調理室3の後面側に突出した後摺動部材41を設けた構成となっている。
【0071】
これにより、受け皿4が、受け皿4の嵌合部8とドア5の接続部9を嵌め合わせがはずれ、摺動時に後方向に動いても、後摺動部材41が調理室3の後面に先あたりするため、受け皿4の後面の傷つきおよび塗装の剥離を抑制することができる。
【0072】
図10において、後摺動部材41は、摺動部材11に形成されてなる構成としたものである。
【0073】
これにより、摺動部材11と後摺動部材41を1つの部品で構成することができるため、組み立て性の向上を図ることができるとともに、コストを抑制することができる。
【0074】
(実施の形態5)
図11は、本発明の第5の実施の形態における加熱調理器の摺動部材の斜視図を示す。なお、本実施の形態の基本構成は実施の形態1と同じなので、異なる点を中心に説明する。また、実施の形態1と同じ要素には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0075】
図11において、横摺動部材31と後摺動部材41は、摺動部材11に形成され、受け皿4のコーナー部に摺動部材11を設けた構成となっている。
【0076】
これにより、摺動部材11と横摺動部材31と後摺動部材41とを1つの部品で構成することができるため、組み立て性の向上を図ることができるとともに、コストを抑制することができる。
【0077】
(実施の形態6)
図12は、本発明の第6の実施の形態における加熱調理器の調理室の凸部の斜視図、図13は、本発明の第6の実施の形態における加熱調理器の調理室の凸部および摺動部材の斜視図を示す。なお、本実施の形態の基本構成は実施の形態1と同じなので、異なる点を中心に説明する。また、実施の形態1と同じ要素には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0078】
図12、図13において、調理室の底面24に線上に突出した凸部51を設け、図のように摺動部材11は、摺動時に凸部51の上面を摺動する構成となっている。
【0079】
これにより、摺動部材11と調理室の底面24の凸部51との接触面積を小さくするこ
とができる。例えば、図のように凸部51の上面に角Rを設け、摺動部の下面にも角Rを設けることによりさらに、摺動部材11と調理室の底面24の凸部51との接触面積を小さくすることができる。
【0080】
接触する面積を小さくすることで、摺動時に発生する音を軽減することができる。また、例えば、凸部51を耐熱性のある樹脂で形成することにより、さらに摺動性の向上を図ることができ、摺動時に発生する音を軽減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上のように、本発明にかかる加熱調理器は、受け皿の底面が調理室の底面に接触しないため、受け皿を調理室前後にスライドする際の、受け皿の底面および調理室の底面の傷つきや、受け皿の塗装の剥離を抑制することが可能となるので、調理室のあるグリル装置を備えた調理器具全般の用途に有効である。
【符号の説明】
【0082】
1 加熱調理器
2 調理物
3 調理室
4 受け皿
5 ドア
6 ヒーター
10 レール
11 摺動部材
21 側面側の摺動部材配置位置
22 中央側の摺動部材配置位置
23 外側の摺動部材配置位置
24 調理室の底面
31 横摺動部材
41 後摺動部材
51 凸部
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭の台所や業務用の厨房等で使用される加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加熱調理器の概略構成は、加熱調理器内に調理室を配し、調理物を載せる焼き網を載置した受け皿を収納し、加熱体としてはシーズヒーターと呼ばれる電熱線のジュール熱を用いて、調理物を加熱調理し、特に両面を同時に加熱するものが一般的である。
【0003】
しかし、このような構成では、調理室下方に設けられた加熱体に調理物から油脂や水分が滴下し、煙が多量に発生するとともに調理物に再付着し食味を損なう恐れがある。
【0004】
また、稀に油脂分に引火する恐れがある。このことから、調理室下方に設けられた加熱体への入力を抑制し、十分な熱量を加えることができないため、調理性能の低下につながっていた。さらに、下方に配置された加熱体が邪魔になり、調理室の底面の清掃性に欠けていた。
【0005】
これらの課題を解決する方法として、調理室底面を加熱するヒーターを有し、受け皿と調理室底面を加熱し、熱伝導により受け皿を加熱して調理物を加熱するものが知られている(例えば特許文献1)。
【0006】
図14は特許文献1記載の加熱調理器の断面図である。図のように調理室底面を加熱するヒーターを有し、載置皿と調理室底面は熱的に接続することにより、ヒーターによって調理室底面が加熱され、さらに調理室底面からの熱伝導によって載置皿が加熱され、調理物の下面が加熱される。
【0007】
上記構成にすることにより、ヒーターに調理油などが滴下して発火する可能性がないため、調理室下方に設けられた加熱体への入力を必要十分に加え載置皿を加熱することができ、調理物に必要な熱量を与えることで食味を向上させることができる。
【0008】
また、下部加熱手段に調理油が滴下することがないため、発煙によって調理物の香りが損なわれることがない。さらに、加熱中に調理物から飛散した飛沫などが調理室内の壁面に付着した場合においても、調理物を下方から加熱する加熱手段が無いため、掃除の際に手が引っ掛かったりすることなく清掃性に優れるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−207378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記の従来の構成の加熱調理器は、調理物を調理室内の載置皿に載置するために、載置皿を調理室前後にスライドする際に、載置皿の底面と調理室の底面が接触しているため、載置皿の底面および調理室の底面が傷つく恐れがあるとともに、載置皿に塗装を施している場合、こすれることによって塗装が剥離してしまう恐れがあった。さらに、載置皿の底面と調理室の底面が接触しているために摺動時の音が大きいという課題が
あった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は調理物を収納し加熱する調理室と、調理室の底面に載置され、調理物を載置する受け皿と、調理室の底面より下方に位置し、調理室の底面を加熱するヒーターと、受け皿と連動して前後に移動して、調理室の前面開口を開閉するドアとを備え、受け皿は、受け皿の底面と調理室の底面との間に隙間を設け、かつ受け皿の移動に調理室の底面上を摺動する摺動部材を設けた構成とした。
【0012】
これによって、受け皿の底面と調理室の底面との間に隙間が設けられており、受け皿の底面が調理室の底面に接触しないため、受け皿を調理室前後にスライドする際の、受け皿の底面および調理室の底面の傷つきや、受け皿の塗装の剥離を抑制することができる。さらに、摺動部材により摺動性の向上を図ることで、摺動時に発生する音を軽減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の加熱調理器は、調理室内の受け皿を調理室前後にスライドする際の、受け皿の底面および調理室の底面の傷つきや、受け皿の塗装の剥離に対する耐久性を向上するとともに、摺動部材による摺動性の向上と摺動時に発生する音の軽減により、使い勝手をよくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の断面図
【図2】本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の前面を開口した際の断面図
【図3】本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の斜視図
【図4】本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の前面を開口した際の斜視図
【図5】(a)本発明の第2の実施の形態における加熱調理器の調理室および棒状のヒーターの平面図(b)本発明の第2の実施の形態における加熱調理器の調理室および平面状のヒーターの平面図
【図6】本発明の第2の実施の形態における加熱調理器の受け皿の斜視図
【図7】本発明の第3の実施の形態における加熱調理器の正面からの断面図
【図8】本発明の第3の実施の形態における加熱調理器の摺動部材の斜視図
【図9】本発明の第4の実施の形態における加熱調理器の断面図
【図10】本発明の第4の実施の形態における加熱調理器の摺動部材の斜視図
【図11】本発明の第5の実施の形態における加熱調理器の摺動部材の斜視図
【図12】本発明の第6の実施の形態における加熱調理器の調理室の凸部の斜視図
【図13】本発明の第6の実施の形態における加熱調理器の調理室の凸部および摺動部材の斜視図
【図14】特許文献1に記載された従来の加熱調理器の断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の発明は、調理物を収納し加熱する調理室と、調理室の底面に載置され、調理物を載置する受け皿と、調理室の底面より下方に位置し、調理室の底面を加熱するヒーターと、受け皿と連動して前後に移動して、調理室の前面開口を開閉するドアとを備え、受け皿は、受け皿の底面と調理室の底面との間に隙間を設け、かつ受け皿の移動に調理室の底面上を摺動する摺動部材を設けた構成としたものである。
【0016】
これにより、受け皿の底面と調理室の底面との間に隙間が設けられており、受け皿の底面が調理室の底面に接触しないため、受け皿を調理室前後にスライドする際の、受け皿の底面および調理室の底面の傷つきや、受け皿の塗装の剥離を抑制することができる。さら
に、摺動部材により摺動性の向上を図ることで、摺動時に発生する音を軽減することができる。
【0017】
第2の発明は、特に、第1の発明の摺動部材は、ヒーターの直上をさけた位置に設けた構成としたものである。
【0018】
これにより、ヒーターの直上をさけた位置に設けることで、ヒーターによる摺動部材への熱の影響を軽減し、摺動部材の耐熱性を確保できる。また、受け皿は熱により変形するので、熱影響の小さい位置に設けることにより、調理室の底面から受け皿の底面までの寸法が安定するため、安定した調理性能を確保することができる。
【0019】
第3の発明は、特に、第2の発明の摺動部材は、ヒーターの直上よりも調理室の側面側に設けた構成としたものである。
【0020】
これにより、ヒーターの直上よりも調理室の側面側に設けることで、ヒーターによる摺動部材への熱の影響を軽減し、摺動部材の耐熱性を確保できる。また、受け皿は熱により変形するが、ヒーターの直上よりも調理室の側面側の方が、受け皿の側面からも熱を放熱するため、調理室の中央側に比べ、受け皿が変形する熱影響が小さく、調理室の底面から受け皿の底面までの寸法がより安定するため、安定した調理性能を確保することができる。
【0021】
第4の発明は、特に、第1から3のいずれか1つの発明の受け皿は、前記受け皿の側面よりも調理室の側面側に突出した横摺動部材をさらに有する構成としたものである。
【0022】
これにより、横摺動部材が調理室の側面に先あたりするため、受け皿の側面の傷つきおよび塗装の剥離を抑制することができる。
【0023】
第5の発明は、特に、第4の発明の横摺動部材は、摺動部材に形成されたものである。
【0024】
これにより、摺動部材と横摺動部材を1部品で構成することができるため、組み立て性の向上を図ることができるとともに、コストを抑制することができる。
【0025】
第6の発明は、特に、第1から3のいずれか1つの発明において、受け皿は、前記受け皿の後面よりも調理室の後面側に突出した後摺動部材をさらに有した構成としたものである。
【0026】
これにより、後摺動部材が調理室の後面に先あたりするため、受け皿の後面の傷つきおよび塗装の剥離を抑制することができる。
【0027】
第7の発明は、特に、第6の発明において、後摺動部材は、摺動部材に形成されたものである。
【0028】
これにより、摺動部材と後摺動部材を1部品で構成することができるため、組み立て性の向上を図ることができるとともに、コストを抑制することができる。
【0029】
第8の発明は、特に、」第5または第7の発明において、横摺動部材と後摺動部材は、摺動部材に形成され、前記摺動部材は受け皿のコーナー部に設けた構成としたものである。
【0030】
これにより、摺動部材と横摺動部材と後摺動部材とを1部品で構成することができるた
め、組み立て性の向上を図ることができるとともに、コストを抑制することができる。
【0031】
第9の発明は、特に、第1から8のいずれか1つの発明の調理室は、底面に線上に突出した凸部を備え、摺動部材は前記凸部の上面を摺動する構成としたものである。
【0032】
これにより、摺動部材と調理室の底面との接触面積を小さくすることができ、摺動時に発生する音を軽減することができる。
【0033】
第10の発明は、特に、第1から9のいずれか1つの発明の調理室は、底面をガラスで構成したものである。
【0034】
これにより、調理室の底面の傷つきを抑制することができるとともに、清掃性も向上することができ、さらに摺動部材と調理室の底面との摺動性を向上することにより、摺動時に発生する音を軽減することができる。
【0035】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0036】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の断面図、図2は本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の前面を開口した際の断面図、図3は本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の斜視図、図4は本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の前面を開口した際の斜視図を示す。
【0037】
図1において、図のように、調理物2を収納し加熱する調理室3は加熱調理器1内に設けられており、調理物2を調理する際には、調理物2を、調理室3の底面に載置された受け皿4に載置する。
【0038】
調理室3の前面開口を開閉するため、調理室3の前面にはドア5が設けられている。加熱調理器1内には、調理室3の底面より下方に位置するヒーター6が備えられており、ヒーター6の熱により、調理室3の底面が加熱され、さらに調理室3の底面からの熱伝導および輻射熱により受け皿4が加熱され、そこからの熱伝導により調理物2が加熱される構成となっている。
【0039】
ヒーター6が調理室3の底面より下方に設けられていることにより、加熱体が調理室3内にないため、加熱体が邪魔になることがなく、清掃性の向上を図ることができる。
【0040】
さらに、調理室3下方に設けられた加熱体に調理物2から油脂や水分が滴下し、煙が多量に発生するとともに調理物2に再付着し食味を損なう恐れや、油脂分に引火する恐れがない。
【0041】
また、このことから、調理室3下方に設けられた加熱体への入力を抑制することなく、十分な熱量を加えることができるため、調理性能を低下させることがなく、調理性能の向上が図られている。
【0042】
本実施の形態においては、調理室3の上方に、上ヒーター7を備えた構成とし、上ヒーター7からの熱により、調理物2を上面からも加熱する構成とし、調理物2を上下から加熱調理する構成とし、調理物2を両面焼きすることによりさらに食味を向上させる構成としている。上ヒーター7は例えば、遠赤外線ヒーターのようなものでもよい。
【0043】
図2のように、受け皿4には嵌合部8を設け、ドア5に接続部9を設け、受け皿4の嵌合部8とドア5の接続部9を嵌め合わせることにより、調理室3の前面の開口を開閉するためドア5を前後させる際に、ドア5と連動して受け皿4も前後する構成となっている。なお、嵌合部8は受け皿4と別部品で構成してもよく、接続部9もドア5と別部品で構成してよい。
【0044】
また、本実施の形態においては、ドア5の開閉を行いやすいよう、加熱調理器1にレール10を設け、ドア5とレール10が連結した構成としている。レール10は図3のように調理室3の外側に設けたほうが、調理室3内で邪魔にならず清掃性がよい。
【0045】
図1、図2のように、受け皿4には摺動部材11が設けられており、受け皿4の底面と調理室3の底面との間に隙間を設ける構成となっており、摺動部材11は、受け皿4がドア5の開閉と連動して前後に移動する際に、調理室3の底面上を摺動する構成となっている。
【0046】
摺動部材11は、ねじなどで受け皿4に取り付ける構成とする。摺動部材11は、樹脂製のものでも金属製のものでもよく、また、これらにグリスなどを塗布したものでもよい。
【0047】
以上のように構成された加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0048】
摺動部材11を設けた構成にすることにより、受け皿4の底面と調理室3の底面との間に隙間が設けられ、受け皿4の底面が調理室3の底面に接触しないため、調理物2を調理室3内に収納する際など、受け皿4を調理室3前後に移動する際の、受け皿4の底面および調理室3の底面の傷つきを抑制することができる。
【0049】
また、受け皿4には、調理物2が固着しにくいようフッ素塗装などの塗装が施されていることが多い。摺動部材11を設けた構成にし、受け皿4の底面と調理室3の底面との間に隙間を設けることで上記のように傷つきを抑制するとともに、受け皿4の塗装の剥離を抑制することができる。
【0050】
さらに、摺動部材11を設けることにより、先行文献の従来の構成のように受け皿4の底面と調理室3の底面が接している構成に比べ、摺動部材11と調理室3の底面の接触面積が小さく、また摺動性の向上を図ることができるため、摺動時に調理室3の底面と受け皿4の底面がこすれて発生する音を軽減することができる。
【0051】
さらに、調理室3の底面の材質をガラスで構成することにより、調理室3の底面の傷つきを抑制することができるとともに、清掃性も向上することができ、摺動部材11と調理室3の底面との摺動性を向上することにより、摺動時に発生する音を軽減することができる。
【0052】
また、ヒーター6は誘導加熱手段であってもよく、調理室3の底面および受け皿4を加熱することもできる。
【0053】
また、受け皿4の材質は、例えば、アルミで構成することにより、熱伝導性が高く、調理物2を加熱調理する際の時間が短くなるとともに、温度分布がより均一になるため、調理性能を向上させることができる。
【0054】
(実施の形態2)
図5(a)は本発明の第2の実施の形態における加熱調理器の調理室および棒状のヒー
ターの平面図、(b)は本発明の第2の実施の形態における加熱調理器の調理室および平面状のヒーターの平面図、図6は本発明の第2の実施の形態における加熱調理器の受け皿の斜視図を示す。
【0055】
なお、本実施の形態の基本構成は実施の形態1と同じなので、異なる点を中心に説明する。また、実施の形態1と同じ要素には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0056】
図5(a)において、例えばヒーター6が棒状の場合、ヒーター6の直上をさけた位置である側面側の摺動部材配置位置21または中央側の摺動部材配置位置22に摺動部材11を設ける構成とする。
【0057】
図のようにヒーター6が2本の場合には、ヒーター6の外側または、2本のヒーター6の間などが挙げられる。
【0058】
図5(b)のようにヒーター6が平面状の場合は、その外側の摺動部材配置位置23に設ける構成とする。また、例えば、調理室の底面がアルミのダイキャストで構成されておりヒーター6を鋳込んだ形態のもの(図示せず)であれば、摺動部材11を設ける位置は、ヒーター6の直上をさけた位置とする。
【0059】
なお、図の摺動部材11を設ける位置は例であり、摺動部材11を設ける位置を限定するものではない。
【0060】
これにより、ヒーター6の直上をさけた位置に設けることで、ヒーター6による摺動部材11への熱の影響を軽減し、摺動部材11を樹脂で構成した場合でも耐熱性を確保できる。
【0061】
また、受け皿4は熱により変形するので、熱影響の小さい位置に設けることにより、調理室3の底面から受け皿4の底面までの寸法が安定するため、安定した調理性能を確保することができる。
【0062】
さらに、図5の(a)、図6に示すように、ヒーター6の直上よりも調理室3の側面側である、側面側の摺動部材配置位置21に摺動部材11を設けた構成にすることで、より熱影響の小さい位置に摺動部材11を設けることができる。
【0063】
受け皿4は熱により変形するが、ヒーター6の直上よりも調理室3の側面側の方が、受け皿4の側面からも熱を放熱するため、調理室3の中央側に比べ、受け皿4が変形する熱影響が小さく、調理室3の底面から受け皿4の底面までの寸法がより安定するため、安定した調理性能を確保することができる。
【0064】
(実施の形態3)
図7は、本発明の第3の実施の形態における加熱調理器の正面からの断面図、図8は、本発明の第3の実施の形態における加熱調理器の摺動部材の斜視図を示す。なお、本実施の形態の基本構成は実施の形態1と同じなので、異なる点を中心に説明する。また、実施の形態1と同じ要素には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0065】
図7において、受け皿4は、受け皿4の側面よりも調理室3の側面側に突出した横摺動部材31を設けた構成となっている。
【0066】
これにより、受け皿4が、摺動時などに左右方向に動いても、横摺動部材31が調理室3の側面に先あたりするため、受け皿4の側面の傷つきおよび塗装の剥離を抑制すること
ができる。
【0067】
図8において、横摺動部材31は、摺動部材11に形成されてなる構成としたものである。
【0068】
これにより、摺動部材11と横摺動部材31を1つの部品で構成することができるため、組み立て性の向上を図ることができるとともに、コストを抑制することができる。
【0069】
(実施の形態4)
図9は、本発明の第4の実施の形態における加熱調理器の断面図、図10は、本発明の第4の実施の形態における加熱調理器の摺動部材の斜視図を示す。なお、本実施の形態の基本構成は実施の形態1と同じなので、異なる点を中心に説明する。また、実施の形態1と同じ要素には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0070】
図9において、受け皿4は、受け皿4の後面よりも調理室3の後面側に突出した後摺動部材41を設けた構成となっている。
【0071】
これにより、受け皿4が、受け皿4の嵌合部8とドア5の接続部9を嵌め合わせがはずれ、摺動時に後方向に動いても、後摺動部材41が調理室3の後面に先あたりするため、受け皿4の後面の傷つきおよび塗装の剥離を抑制することができる。
【0072】
図10において、後摺動部材41は、摺動部材11に形成されてなる構成としたものである。
【0073】
これにより、摺動部材11と後摺動部材41を1つの部品で構成することができるため、組み立て性の向上を図ることができるとともに、コストを抑制することができる。
【0074】
(実施の形態5)
図11は、本発明の第5の実施の形態における加熱調理器の摺動部材の斜視図を示す。なお、本実施の形態の基本構成は実施の形態1と同じなので、異なる点を中心に説明する。また、実施の形態1と同じ要素には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0075】
図11において、横摺動部材31と後摺動部材41は、摺動部材11に形成され、受け皿4のコーナー部に摺動部材11を設けた構成となっている。
【0076】
これにより、摺動部材11と横摺動部材31と後摺動部材41とを1つの部品で構成することができるため、組み立て性の向上を図ることができるとともに、コストを抑制することができる。
【0077】
(実施の形態6)
図12は、本発明の第6の実施の形態における加熱調理器の調理室の凸部の斜視図、図13は、本発明の第6の実施の形態における加熱調理器の調理室の凸部および摺動部材の斜視図を示す。なお、本実施の形態の基本構成は実施の形態1と同じなので、異なる点を中心に説明する。また、実施の形態1と同じ要素には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0078】
図12、図13において、調理室の底面24に線上に突出した凸部51を設け、図のように摺動部材11は、摺動時に凸部51の上面を摺動する構成となっている。
【0079】
これにより、摺動部材11と調理室の底面24の凸部51との接触面積を小さくするこ
とができる。例えば、図のように凸部51の上面に角Rを設け、摺動部の下面にも角Rを設けることによりさらに、摺動部材11と調理室の底面24の凸部51との接触面積を小さくすることができる。
【0080】
接触する面積を小さくすることで、摺動時に発生する音を軽減することができる。また、例えば、凸部51を耐熱性のある樹脂で形成することにより、さらに摺動性の向上を図ることができ、摺動時に発生する音を軽減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上のように、本発明にかかる加熱調理器は、受け皿の底面が調理室の底面に接触しないため、受け皿を調理室前後にスライドする際の、受け皿の底面および調理室の底面の傷つきや、受け皿の塗装の剥離を抑制することが可能となるので、調理室のあるグリル装置を備えた調理器具全般の用途に有効である。
【符号の説明】
【0082】
1 加熱調理器
2 調理物
3 調理室
4 受け皿
5 ドア
6 ヒーター
10 レール
11 摺動部材
21 側面側の摺動部材配置位置
22 中央側の摺動部材配置位置
23 外側の摺動部材配置位置
24 調理室の底面
31 横摺動部材
41 後摺動部材
51 凸部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理物を収納し加熱する調理室と、前記調理室の底面に載置され、前記調理物を載置する受け皿と、前記調理室の底面より下方に位置し、前記調理室の底面を加熱するヒーターと、前記受け皿と連動して前後に移動して、前記調理室の前面開口を開閉するドアとを備え、前記受け皿は、前記受け皿の底面と前記調理室の底面との間に隙間を設け、かつ前記受け皿の移動に前記調理室の底面上を摺動する摺動部材を設けた加熱調理器。
【請求項2】
摺動部材は、ヒーターの直上をさけた位置に設けた請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
摺動部材は、ヒーターの直上よりも調理室の側面側に設けた請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
受け皿は、前記受け皿の側面よりも調理室の側面側に突出した横摺動部材をさらに有する請求項1から3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
横摺動部材は、摺動部材に形成された請求項4に記載の加熱調理器。
【請求項6】
受け皿は、前記受け皿の後面よりも調理室の後面側に突出した後摺動部材をさらに有した請求項1から3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
後摺動部材は、摺動部材に形成された請求項6に記載の加熱調理器。
【請求項8】
横摺動部材と後摺動部材は、摺動部材に形成され、前記摺動部材は受け皿のコーナー部に設けられた請求項5または7に記載の加熱調理器。
【請求項9】
調理室は、底面に線上に突出した凸部を備え、摺動部材は前記凸部の上面を摺動する請求項1から8のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項10】
調理室は、底面をガラスで構成した請求項1から9のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項1】
調理物を収納し加熱する調理室と、前記調理室の底面に載置され、前記調理物を載置する受け皿と、前記調理室の底面より下方に位置し、前記調理室の底面を加熱するヒーターと、前記受け皿と連動して前後に移動して、前記調理室の前面開口を開閉するドアとを備え、前記受け皿は、前記受け皿の底面と前記調理室の底面との間に隙間を設け、かつ前記受け皿の移動に前記調理室の底面上を摺動する摺動部材を設けた加熱調理器。
【請求項2】
摺動部材は、ヒーターの直上をさけた位置に設けた請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
摺動部材は、ヒーターの直上よりも調理室の側面側に設けた請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
受け皿は、前記受け皿の側面よりも調理室の側面側に突出した横摺動部材をさらに有する請求項1から3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
横摺動部材は、摺動部材に形成された請求項4に記載の加熱調理器。
【請求項6】
受け皿は、前記受け皿の後面よりも調理室の後面側に突出した後摺動部材をさらに有した請求項1から3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
後摺動部材は、摺動部材に形成された請求項6に記載の加熱調理器。
【請求項8】
横摺動部材と後摺動部材は、摺動部材に形成され、前記摺動部材は受け皿のコーナー部に設けられた請求項5または7に記載の加熱調理器。
【請求項9】
調理室は、底面に線上に突出した凸部を備え、摺動部材は前記凸部の上面を摺動する請求項1から8のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項10】
調理室は、底面をガラスで構成した請求項1から9のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−220146(P2012−220146A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88734(P2011−88734)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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