説明

加熱調理器

【課題】加熱調理器の施工時の作業において、作業者の作業性を向上させる加熱調理器を得る。
【解決手段】加熱調理器100は、誘導加熱コイル4L、4Rを有する本体1と、この本体1の上面を覆うトッププレート2とを備えている。また、本体1は、後部上面に形成された吸気口6と、この吸気口6の前方且つ下方に配置され、誘導加熱コイル4L、4R部を冷却する冷却ファン12と、一端が吸気口6と連通し、他端が冷却ファン12の入口に連通する吸気用ダクト11とを備えている。また、吸気用ダクト11は、吸気口6から浸入した水を下方へ落として前記冷却ファンへの流入を防止する水切りリブ15を複数備えている。これにより、施工時に加熱調理器をキッチンへ収納する作業において、加熱調理器の本体1の重量が作業者の指にかかる面積が大きくなるため、単位面積当たりの重量が減少して作業者の手の痛みが軽減され、作業性の向上が図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の加熱調理器において、フラットなトッププレート上に載置された鍋は、このトッププレートの下方に配設された加熱コイルから発せられた交番磁界により誘導加熱されるので、火を使わずに鍋を加熱することができる。加熱時には被加熱物(鍋)、加熱コイル、加熱コイルを制御する回路基板上の制御回路などからも発熱があるため、冷却ファンを用いて強制空冷が行われている。従来の加熱調理器において、冷却ファンを駆動することで、外気を吸気口から吸引し、冷却ファン経由で回路基板に通風し、さらに加熱コイルに通風することでこれらの冷却が行われる。
【0003】
このような加熱調理器では、調理中に鍋の煮こぼれあるいは、鍋の倒れが発生すると、吸気口や排気口に汁や水などの液体が浸入する。以下の話では液体は水であるとする。水が排気口から入っても、排気口と接続される部分には水に濡れても甚大な被害を受けるものがなく、底部に溜まった水は外部へ徐々に排出されていくので、それほど大きな問題ではない。これに対して、水が吸気口から入ると、冷却ファンの吸引力により、冷却ファンの下流の基板に流れ込み、この基板上の制御回路などに水が付着することで、ショートによる故障、発火や電子部品の劣化などの甚大な被害を及ぼす。
そこで、このような問題を解決するために、吸気口から冷却ファンまでの風路内に水の下流への浸入を阻止する防水構造(水切り板、遮蔽部材、排水口)を施した加熱調理器が知られている (例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−73452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、組込式の加熱調理器をキッチンに設置する時に、作業者は、図9(a)に示すように、加熱調理器本体の後部上面に設けられた吸気口から手を吸気口の直下に設けられた吸気用ダクト内に入れて、吸気用ダクトの下方から前方へほぼ垂直に折れ曲がった空間(この空間は冷却ファンが配置されている空間に連通する)の天井部を指で支えながら、トッププレートの前面をキッチンの上面に当てた状態で、ここを支点として本体後部を下方へ回動させながらトッププレートの後部下面がキッチンの上面に当接するまでゆっくりとキッチンの開口部から落とし込み、図9(b)に示すように完全に収納し終わったら手または指を放す。
しかしながら、特許文献1に記載の従来の組込式の加熱調理器においては、図9に示すように、吸気用ダクト内に水切り板(以下、水切りリブと呼ぶ)が設けられている。施工時に作業者は、吸排気カバーを外した状態で、吸気口から吸気用ダクト内へ手を入れて持つため、この水切りリブの先端が作業者の手または指に当接することになる。このため、作業者の手に加熱調理器本体の重量(約20kg)の半分(残りの半分はトッププレートの前面が支える)がかかり、しかも水切りリブの先端には角部が形成されているため、手または指のこの角部に当たった部分には圧力が集中して手が痛く、施工の際に苦痛による作業の遅延や、防護用の手袋を付けてから作業を行うなどにより作業の非効率を伴っていた。また、専用の取手を使用することが考えられるが、部品数の増加に伴うコスト上昇や部品の紛失、取手の取付け位置により意匠性が低下してしまうという問題が新たに発生する。
【0006】
本発明は上記のような問題点を解決するために為されたものであり、その目的は、施工時の作業において、作業者の作業性を向上させる加熱調理器を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る加熱調理器は、加熱部を有する本体と、この本体の上面を覆うとともにキッチンの上面に載置されて本体を支持するトッププレートと、を備え、本体は、後部上面に形成された吸気口と、この吸気口の前方且つ下方に配置され、加熱部を冷却する冷却ファンと、一端が吸気口に連通し、ほぼ鉛直方向に配置された第1のダクトと、一端が第1のダクトに連通し、他端が冷却ファンの入口に連通し、ほぼ水平方向に配置された第2のダクトと、を有する吸気用ダクトと、を備え、第2のダクトの天井部の第1のダクトとの境界付近に吸気口から浸入した水を下方へ落として冷却ファンへの流入を防止する水切りリブを複数前後方向に並設したものである。
【0008】
また、本発明に係る加熱調理器は、加熱部を有する本体と、この本体の上面を覆うトッププレートと、を備え、本体は、後部上面に形成された吸気口と、この吸気口の前方且つ下方に配置され、加熱部を冷却する冷却ファンと、一端が吸気口と連通し、他端が冷却ファンの入口に連通する吸気用ダクトと、この吸気用ダクト内に設けられ、吸気口から浸入した水を下方へ落として冷却ファンへの流入を防止する水切りリブと、この水切りリブから落下した水の跳ね返りが冷却ファン側へ流入するのを防止する遮蔽板と、を備え、水切りリブの先端部は所定値よりも大きい幅を有し、その前方の端面は遮蔽板より後方に位置するものである。
【0009】
本発明に係る加熱調理器は、加熱部を有する本体と、この本体の上面を覆うとともにキッチンの上面に載置されて本体を支持するトッププレートと、を備え、本体は、後部上面に形成された吸気口と、この吸気口の前方且つ下方に配置され、加熱部を冷却する冷却ファンと、一端が吸気口に連通し、ほぼ鉛直方向に配置された第1のダクトと、一端が第1のダクトに連通し、他端が冷却ファンの入口に連通し、ほぼ水平方向に配置された第2のダクトとを有する吸気用ダクトと、この吸気用ダクトの第2のダクトの天井部と第1のダクトとの境界付近に設けられ吸気口から浸入した水を下方へ落として冷却ファンへの流入を防止する水切りリブと、を備え、第2のダクトの天井部の水切りリブの近傍の前後方向にその先端の高さが水切りリブの先端と同じかそれよりも低く、その面積が水切りリブの先端と同じかそれよりも大きい補助用リブを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、吸気用ダクトは、一端が吸気口に連通し、ほぼ鉛直方向に配置された第1のダクトと、一端が第1のダクトに連通し、他端が冷却ファンの入口に連通し、ほぼ水平方向に配置された第2のダクトと、を有し、第2のダクトの天井部の、第1のダクトとの境界付近に複数の水切りリブを備えたので、作業者の手または指が水切りリブの先端と当接する面積が拡大する。従って、施工時に加熱調理器本体の、作業者の手又は指の単位面積当たりにかかる重量が小さくなるため、作業者の手の痛みが軽減され、作業性の向上が図れる。
【0011】
本発明によれば、一端が吸気口に連通し、ほぼ鉛直方向に配置された第1のダクトと、一端が第1のダクトに連通し、他端が冷却ファンの入口に連通し、ほぼ水平方向に配置された第2のダクトとを有する吸気用ダクトと、この吸気用ダクトの第2のダクトの天井部と第1のダクトとの境界付近に設けられ、吸気口から浸入した水を下方へ落として前記冷却ファンへの流入を防止する水切りリブと、この水切りリブから落下した水の跳ね返りが冷却ファンへ流入するのを防止する遮蔽板と、を備え水切りリブの先端部は所定値よりも大きい幅を有し、且つその前方の端面は遮蔽板より後方に位置するので、作業者の手が水切りリブの先端と当接する面積が拡大する。従って、施工時に加熱調理器本体の、作業者の手又は指の単位面積当たりにかかる重量が小さくなるため、作業者の手の痛みが軽減され、作業性の向上が図れる。
【0012】
また、本発明によれば、一端が吸気口に連通し、ほぼ鉛直方向に配置された第1のダクトと、一端が第1のダクトに連通し、他端が冷却ファンの入口に連通し、ほぼ水平方向に配置された第2のダクトとを有する吸気用ダクトと、第2のダクトの天井部と第1のダクトとの境界付近に配置され吸気口から浸入した水を下方へ落として冷却ファンへの流入を防止する水切りリブと、を備え、第2のダクトの天井部の水切りリブの近傍の前後方向にその先端の高さが水切りリブの先端と同じかそれよりも低く、その面積が水切りリブの先端と同じかそれよりも大きい補助用リブを備えたので、作業者の手が水切りリブの先端と当接する面積が拡大する。従って、施工時に加熱調理器本体の、作業者の手又は指の単位面積当たりにかかる重量が小さくなるため、作業者の手の痛みが軽減され、作業性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1〜5に係る加熱調理器をキッチンに組込んだ状態の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の要部の縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の別の例を示す要部の縦断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る加熱調理器のさらに別の例を示す要部の縦断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の要部の縦断面図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る加熱調理器の要部の縦断面図である。
【図7】本発明の実施の形態4に係る加熱調理器の要部の縦断面図である。
【図8】本発明の実施の形態5に係る加熱調理器の要部の縦断面図である。
【図9】組込式の加熱調理器をキッチンに設置する時の組込み方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態1に係る加熱調理器をキッチンに組込んだ状態の斜視図であり、図2は本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の要部の縦断面図である。図1に示すように、加熱調理器100は、天面が開口された箱状の本体1の上面に、耐熱性のガラス板と、これを囲むような額縁状の金属製枠体とで構成するトッププレート2が覆うように取り付けられるように構成されている。このトッププレート2には、鍋やフライパンなどの被加熱物Nが載置される。また、トッププレート2は、加熱調理器100をキッチン200に収納している状態で、キッチン200の上面開口部(図示せず)に載置されて、本体1を支えている。
なお、図1に矢印で示すように、作業者側(紙面の左下側)を前側とし、キッチンの奥側(紙面の右上側)を後側と呼ぶ。図2では、紙面の左側が前側であり、紙面の右側が後側である。
【0015】
本体1は金属板からなる本体ケース3で周囲を囲まれ、その本体1内の上部空間の前方の左右には、図2に示すようにトッププレート2に載置された被加熱物Nを誘導加熱する2つの独立した誘導加熱コイル4R、4Lが設けられている。またトッププレート2の左右の中央の後部下方には、ラジェントヒーターと呼ばれる速熱式の円形の電気ヒータ(図示せず)が配置され、トッププレート2を通してその下方から被加熱物Nを輻射熱で加熱するようになっている。
【0016】
また、図1に示すように、トッププレート2の表面には、本体1内の誘導加熱コイル4R、4Lと電気ヒータがそれぞれ配設された真上位置に、加熱領域を示す目的で円形の表示(「加熱口」ともいう)5R、5L、5Cが印刷等で形成されている。
【0017】
トッププレート2の上面手前側にある枠体の前側部には、加熱調理に関する操作を入力する操作部が設けられている。操作部は、例えば、液晶(LCD)画面によって文字や図形などを表示する表示部を備えている。表示部は、加熱調理に関する設定情報や、調理モードの選択表示、自動調理の進行状況、警告表示などが表示される。また加熱調理時の投入火力(加熱量)や調理時間(調理開始からの経過時間含む)などを文字や記号等の視角情報で表示する。
【0018】
トッププレート2の右後方部には、本体1の内部と連通し、本体1の内部に外気を取り込むための吸気口6が設けられている。また、トッププレート2の左後方部には、本体1の内部と連通し、本体1の内部に取り込んだ空気と、後述のグリル庫からの熱気を排出するための排気口7が設けられている。
【0019】
吸気口6および排気口7の上方には、全体が通気性を有する金属製の網又は格子状の吸排気口カバー8を設けて、本体1の内部への埃や異物侵入を防止している。
【0020】
本体1の左側下部には魚等の焙焼調理(「グリル調理」ともいう)を行うため、全面が開口した箱状のグリル庫9が設けられている。グリル庫9内には、庫内に載置された被調理物を加熱するための熱源となるグリルヒータ(図示せず)が備えられている。このグリルヒータは、例えばシーズヒータ等からなり、グリル庫9内の上部および下部に配置される。
【0021】
グリル庫9の前面には、グリル庫9の内部を視認できるような視認窓と取手とを有する扉10が設けられている。また、グリル庫9の内部において加熱時に排出される煙等の排気風は、本体1の奥部に設けた前記排気口7より排気される。
【0022】
図2に示すように、吸気口6の下流には吸気用ダクト11が構成され、この吸気用ダクト11の最終段には冷却ファン12が配設されている。冷却ファン12は、その駆動用モータ(図示せず)の回転軸が水平になっている、いわゆる横軸型である。
なお、この実施の形態1の冷却ファン12は、遠心型多翼式ファン(代表的なものとしてシロッコファン)を使用している。
【0023】
冷却ファンの下流では図2に示すように仕切り板13が配置されて風路が分岐され、主流は仕切り板13の下の風路を流れて回路基板14を通過した後上方へ流れて誘導加熱コイル4へ向かう。回路基板14には、共振コンデンサや、スイッチング手段となる電力制御用半導体であるIGBT、フライホイールダイオード等の電子部品が具備され、そのIGBTなどの電力制御用半導体スイッチング素子やその他発熱性部品が取り付けられたアルミ製の2つの放熱フィンを並べて配置している。また、仕切り板13の上部の風路には分岐流が流れて上昇し、誘導加熱コイル4へ向かう。冷却ファン12からの冷却風はこの誘導加熱コイル4を冷却した後、最終的には、トッププレート2の左後方部に形成した排気口7から室内へ放出される。
【0024】
グリル庫9の内部からの熱気と上部空間内の空気とは途中で合流して混合することはなく、排気口7の部分で互いに隣接した位置から室内へ放出される。
【0025】
吸気用ダクト11の上端は吸気口6と連通しており、吸気口6から鉛直方向に長い第1のダクト111とこの第1のダクト111とほぼ直交するように前方に延びた第2のダクト112とから構成されており、第2のダクト112の最終段に冷却ファン12が配置されている。そして、第1のダクト111と第2のダクト112の境界となる位置に浸入した水を水切りするための板で構成された水切りリブが第1のダクト111を構成する側壁から延設され、第2のダクト112の天井部11Aから突出した状態で設けられている。本実施の形態1では、図2に示すように吸気用ダクト11の第2のダクト111の天井部11Aに複数のほぼ同じ長さの水切りリブ15を設ける。この水切りリブ15により、吸気口6から浸入した水をその先端から落下させて下流の冷却ファン12や回路基板14への流入を防止すると共に下方に設けられた遮蔽板16により水切りリブ15から落下した水の跳ね返りによる微細な水滴の冷却ファン12側への飛散を遮蔽する。
また、加熱調理器100の本体1をキッチン200へ収納する時に作業者が吸気口6から本体1の吸気用ダクト11内へ手を入れて作業する際に、水切りリブ15の個数を複数にしたことにより、本体1の重量が作業者の指にかかる面積が大きくなるため、単位面積当たりの荷重が小さくなり、作業者の手の痛みが軽減され、作業性の向上が図れる。
なお、図3に示すように水切りリブ15を太くして先端の面積を拡大しても良い。すなわち、水切りリブの先端部の前方の端面が遮蔽板16よりも後方に位置する条件において、水切りリブ15の先端部の幅を第1のダクト111の側壁の厚さよりも大きい幅としても良い。この場合も上記と同様の効果を奏する。
さらに、図3に示すように、先端の面を複数の凹凸面151で構成してもよい。この場合、さらに先端と作業者の手または指との接触面積が拡大するので、単位面積当たりの荷重が小さくなり、作業者の手の痛みが軽減され、作業性の向上が図れる。複数の凹凸面151を滑らかに構成すれば、さらに同様の効果が増大する。
また、図4に示すように水切りリブ15Aの前方または側方の少なくとも一方には、下方へ行くに連れて幅が拡大する第1の部分152と、この第1の部分152の下方に延設され、その外周面が上下方向の外向きに凸の曲面である第2の部分153とで構成しても良い。この場合も先端の面積を拡大することができ、上記と同様の効果を奏する。
【0026】
実施の形態2.
実施の形態1では、水切りリブの先端には角部が含まれているため、角部に当たった場合にはその部分には圧力が集中して手が痛くなる場合があった。
本実施の形態2では、角部を除去する場合について説明する。
図1は本実施の形態2でも用いられる。
図5は本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の要部の縦断面図である。
図5に示すように、水切りリブ15Bの先端に角がないように丸いR部を持たせた。これにより、本体の重量が作業者の指に重量が集中的にかかる部分がなくなり、加熱調理器の重量は作業者の手または指に平均的にかかるため、作業者の手の痛みが軽減され、作業性の向上が図れる。
【0027】
実施の形態3.
上記実施の形態では、水切りリブ自体の構造を改造することにより、作業者の手の痛みを軽減させる場合について説明したが、水切りリブ15とは別体のリブを用いても良い。本実施の形態3ではこのような場合について説明する。
図1は本実施の形態3でも用いられる。
図6は本発明の実施の形態3に係る加熱調理器の要部の縦断面図である。
図6において、本発明の実施の形態3では水切りリブ15とは異なる補助用リブ17を用いている以外は図5と同様である。補助用リブ17は、板部171とこの板部171よりも幅が大きい基部172とから成り、基部172は吸気用ダクト11の天井部11Aに設けられたスリットに挿入され、上下に移動可能であり、補助用リブ17が上昇し、補助用リブ17の先端が水切りリブ15の先端よりも低い位置で基部172の上端がストッパー18に当接して停止するので補助用リブ17の上昇を防止できる。また、補助用リブ17が下降し、基部172の下端が、天井部11Aの上面と当接すると停止するので補助用リブ17の下降を防止できる。
また、補助用リブ17の板部171は、水切りリブ15よりも太く、その先端は丸い。この補助用リブ17に下向きに付勢力を有するバネ19を取り付けた。これにより、補助用リブ17の板部171は、施工時以外は図6(a)に示すように吸気用ダクト11の天井部11Aから下方に突出しており、施工時に加熱調理器本体の重量が作業者の指にかかる際に、指が水切りリブ15に当接する前に補助用リブ17に当たる。また、補助用リブ17は指に当接すると、上方向の指の力により上昇するが、図6(b)に示すようにストッパー18により補助用リブ17の先端が水切りリブ15の先端よりも低い位置で停止する。補助用リブ17の板部171は水切りリブ15よりも太く、その先端は丸いので、その先端の面積も水切りリブ15よりも大きい。従って、本体1の重量が作業者の指にかかる面積が大きくなり単位面積当たりの荷重が減少する。このため、作業者の手の痛みが軽減され、作業性の向上が図れる。
なお、ストッパー18の高さを適当に調整すれば、補助用リブ17だけでなく、水切りリブ15の先端にも同時に当たるので、本体の重量が作業者の指にかかる面積がさらに大きくなるため、作業者の手の痛みがさらに軽減され、作業性の向上が図れる。
また、補助用リブ17は、水切りの補助の役割も行う。
【0028】
実施の形態4.
図1は本実施の形態4でも用いられる。
図7は本発明の実施の形態4に係る加熱調理器の要部の縦断面図である。
図7において、水切りリブ15に隣接して補助用リブ17Aを設けた以外は図5と同様である。補助用リブ17Aは根元に設けられた回転軸173を中心として前後方向に回動自在であり、作業者により後方から前方へ向かう外力が働くと、回動することにより前方へ倒れる。また、補助用リブ17Aの太さは水切りリブ15の天井部11Aから突出する長さにほぼ等しい。通常は、後方へ向かうバネ170の付勢力により、補助用リブ17Aの長手方向は鉛直方向を向いており、その先端は最も低い位置にある。
施工時に加熱調理器本体の重量が作業者の指にかかる際に、指には補助用リブ17Aの先端が当たり、指の上向きの力により補助用リブ17Aの先端は回転軸を中心として前方へ回動することにより前方へ倒れる。従って、作業者の指は、今度は補助用リブ17Aの先端でなく、その側面に当たることになる。これにより、本体の重量が作業者の指にかかる面積が大きくなるため、作業者の手の痛みが軽減され、作業性の向上が図れる。
【0029】
実施の形態5.
図1は本実施の形態5でも用いられる。
図8は本発明の実施の形態5に係る加熱調理器の要部の縦断面図である。
図8に示すように、水切りリブ15の側面に隙間20を開けて仕切り板21を取り付け、図示しない上方でネジなどにより固定する。上記隙間20の範囲で補助用リブ17Bが上下に移動自在になるように設ける。また、水切りリブ15の先端部の側面には、仕切り板21との間に補助用リブ17Bの落下を防止するためのストッパー22が介在するように取付けられている。補助用リブ17Bが最も下に位置するときはストッパー22と当接するように水平に配置された第1の板174とこの第1の板174からほぼ下方に延設された第2の板175とこの第2の板175から延設され、下方に行くに連れて前方になるような傾斜を有する平板で構成された第3の板176と、この第3の板176から上方へ延設された第4の板177とから構成されている。
従って、通常は、水切りリブ15よりも補助用リブ17Bが下方に位置しており、水が侵入すると、仕切り板21を伝って下降し、さらに補助用リブ17Bの第2の板175を伝って下降し、さらに第3の板176を伝ってその下端で水が途切れて下方へ落下する。遮蔽板16の位置よりも水の落下地点が後方である必要があるが、設計上難しければ、遮蔽板16の上部を前方へ折り曲げるか、そのような傾斜をもった板を遮蔽板16に取り付けてもよい。
また、施工時に作業者の指がこの補助用リブ17Bに当接すると、補助用リブ17Bが上方へ移動して、補助用リブ17Bの第3の板176が水切りリブ15の先端に当接すると、停止する。これにより、指には水切りリブ15の先端でなく、補助用リブ17Bの第3の板176が当たることになる。この第3の板176は傾斜しているが、弾性を有しており、変形してほぼ水平な平面となるので、本体の重量が作業者の指にかかる面積が大きくなるため、作業者の手の痛みが軽減され、作業性の向上が図れる。なお、補助用リブ17Bは弾性を有する金属板で構成される。従って、手を放すと、元の形状に戻る。
【符号の説明】
【0030】
1 本体、2 トッププレート、3 本体ケース、4、4L、4R 誘導加熱コイル、5L、5R、5C 円形の表示(加熱口)、6 吸気口、7 排気口、8 吸排気口カバー、9 グリル庫、10 扉、11 吸気用ダクト、11A 天井部、12 冷却ファン、13 仕切り板、14 回路基板、15、15A、15B 水切りリブ、16 遮蔽板、17、17A、17B 補助用リブ、18 ストッパー、19 バネ、20 隙間、21 仕切り板、22 ストッパー、100 加熱調理器、111 第1のダクト、112 第2のダクト、151 凹凸面、152 第1の部分、153 第2の部分、170 バネ、171 板部、172 基部、173 回転軸、174 第1の板、175 第2の板、176 第3の板、177 第4の板、200 キッチン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部を有する本体と、この本体の上面を覆うとともにキッチンの上面に載置されて前記本体を支持するトッププレートと、を備え、
前記本体は、後部上面に形成された吸気口と、
この吸気口の前方且つ下方に配置され、前記加熱部を冷却する冷却ファンと、
一端が前記吸気口に連通し、ほぼ鉛直方向に配置された第1のダクトと、一端が前記第1のダクトに連通し、他端が前記冷却ファンの入口に連通し、ほぼ水平方向に配置された第2のダクトと、を有する吸気用ダクトと、を備え、
前記第2のダクトの天井部の前記第1のダクトとの境界付近に設けられ、下方に突出し、前記吸気口から浸入した水を下方へ落として前記冷却ファンへの流入を防止する水切りリブを複数前後方向に並設したことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記複数の水切りリブの先端の高さはほぼ同じであることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
加熱部を有する本体と、この本体の上面を覆うとともにキッチンの上面に載置されて前記本体を支持するトッププレートと、を備え、
前記本体は、後部上面に形成された吸気口と、
この吸気口の前方且つ下方に配置され、前記加熱部を冷却する冷却ファンと、
一端が前記吸気口に連通し、ほぼ鉛直方向に配置された第1のダクトと、一端が前記第1のダクトに連通し、他端が前記冷却ファンの入口に連通し、ほぼ水平方向に配置された第2のダクトとを有する吸気用ダクトと、
この吸気用ダクトの前記第2のダクトの天井部と前記第1のダクトとの境界付近に設けられ、下方に突出し、前記吸気口から浸入した水を下方へ落として前記冷却ファンへの流入を防止する水切りリブと、
この水切りリブから落下した水の跳ね返りが前記冷却ファンへ流入するのを防止する遮蔽板と、を備え、
前記水切りリブの先端部は所定値よりも大きい幅を有し、且つその前方の端面は前記遮蔽板より後方に位置することを特徴とする加熱調理器。
【請求項4】
前記水切りリブの前方または側方の少なくとも一方は、下方へ行くに連れて幅が拡大する第1の部分と、この第1の部分の下方に延設され、その外周面が上下方向の外向きに凸の曲面である第2の部分と、を備えたことを特徴とする請求項3に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記水切りリブの先端の角部を丸くしたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記水切りリブの先端は複数の凹凸面で構成されることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
加熱部を有する本体と、この本体の上面を覆うとともにキッチンの上面に載置されて前記本体を支持するトッププレートと、を備え、
前記本体は、後部上面に形成された吸気口と、
この吸気口の前方且つ下方に配置され、前記加熱部を冷却する冷却ファンと、
一端が前記吸気口に連通し、ほぼ鉛直方向に配置された第1のダクトと、一端が前記第1のダクトに連通し、他端が前記冷却ファンの入口に連通し、ほぼ水平方向に配置された第2のダクトとを有する吸気用ダクトと、
この吸気用ダクトの前記第2のダクトの天井部と前記第1のダクトとの境界付近に設けられ、下方に突出し、前記吸気口から浸入した水を下方へ落として前記冷却ファンへの流入を防止する水切りリブと、を備え、
前記第2のダクトの天井部の前記水切りリブの近傍の前後方向にその先端の高さが前記水切りリブの先端と同じかそれよりも低く、その面積が前記水切りリブの先端と同じかそれよりも大きい補助用リブを備えたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項8】
前記補助用リブは、前記吸気口から浸入した水を下方へ落として前記冷却ファンへの流入を防止する水切り機能を備えたことを特徴とする請求項7に記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記第2のダクトの天井部は長手方向が左右方向のスリットを有し、
前記補助用リブは、前記天井部のスリットに挿入されて上下に移動自在の板部と、この板部の上部に一体で設けられ前記板部よりも幅が大きい基部と、から成る断面形状が略凸状のリブであり、
前記補助用リブの先端が前記水切りリブの先端よりも低い位置で、前記補助用リブの上昇を防止するストッパーを備え、
前記補助用リブが下降し、前記基部の下端が、前記第2のダクトの天井部の上面と当接すると、前記補助用リブは下降を停止することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記ストッパーと、前記補助用リブとの双方に接続され、下向きの付勢力を有する弾性体を備えたことを特徴とする請求項9に記載の加熱調理器。
【請求項11】
前記補助用リブは、上端部に前記第2のダクトの天井部によって支持された回転軸を有し、前記回転軸を中心として前後方向に回動自在であり、後方から前方へ向かう外力によりその側面が前記第2のダクトの天井部の下面と当接してほぼ水平な高さになるまでその先端が前方へ回動し、前記補助用リブの太さは前記第2のダクトの天井部から前記水切りリブが突出する長さにほぼ等しいことを特徴とする請求項7に記載の加熱調理器。
【請求項12】
前記回転軸と、前記補助用リブとの双方に接続され、下向きの付勢力を有する弾性体を備えたことを特徴とする請求項11に記載の加熱調理器。
【請求項13】
前記水切りリブはほぼ鉛直方向に垂下し、
前記水切りリブの側面と所定の幅の隙間を介して前記水切りリブの側面とほぼ平行に配置された仕切り板と、
この仕切り板と前記水切りリブの側面の先端部との間に配置されて前記水切りリブまたは前記仕切り板の少なくとも一方に固定され、前記補助用リブの落下を防止するストッパーと、を備え、
前記補助用リブは、前記隙間の内で上下に移動自在に配置され、
前記補助用リブが最も下に位置するときは前記ストッパーと当接するように配置された第1の板と、
この第1の板からほぼ下方に延設された第2の板と、
この第2の板から延設され、下方に行くに連れて前方になるような傾斜を有する第3の板と、
この第3の板から上方へ延設された第4の板と、から構成されることを特徴とする請求項7に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−49009(P2012−49009A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190558(P2010−190558)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】