加熱調理器
【課題】ヒータを移動可能に構成してマイクロ波加熱を行った場合に、加熱室内でのスパークや局所過熱の発生を防止することができる加熱調理器を得る。
【解決手段】被加熱物2を加熱するための高周波を発振する高周波発振器10と、高周波を加熱室3に導く導波管8と、加熱室3内に配置された可動ヒータ15と、可動ヒータ15を支持するヒータ駆動板金40と、可動ヒータ15を上下方向に移動させる駆動手段と、高周波発振器10および可動ヒータ15の加熱動作、並びに駆動手段を制御する制御手段100と、可動ヒータ15の移動領域のうち所定の領域に関する情報が予め記憶された記憶手段110とを備え、制御手段100は、可動ヒータ15の位置が所定の領域内にあるとき、高周波発振器10による加熱動作を行い、可動ヒータ15の位置が所定の領域内にないとき、高周波発振器10による加熱動作を行わない。
【解決手段】被加熱物2を加熱するための高周波を発振する高周波発振器10と、高周波を加熱室3に導く導波管8と、加熱室3内に配置された可動ヒータ15と、可動ヒータ15を支持するヒータ駆動板金40と、可動ヒータ15を上下方向に移動させる駆動手段と、高周波発振器10および可動ヒータ15の加熱動作、並びに駆動手段を制御する制御手段100と、可動ヒータ15の移動領域のうち所定の領域に関する情報が予め記憶された記憶手段110とを備え、制御手段100は、可動ヒータ15の位置が所定の領域内にあるとき、高周波発振器10による加熱動作を行い、可動ヒータ15の位置が所定の領域内にないとき、高周波発振器10による加熱動作を行わない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源の可動構造を有する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術においては、例えば、「調理部を調理室内の初期位置から調理位置に移動させるための移動部によって作用される飲食物を加熱する可動調理部と、マグネトロンとを有する調理室を備えている電子レンジの制御方法において、移動部の動作によって調理部を調理位置に移動させる前及び後に、飲食物を加熱するマグネトロンを作動させる段階と、移動部が調理部を移動させているとき、マグネトロンの動作を禁止する段階とを有していて、前記調理部及びマグネトロンは、移動後に、共に飲食物を加熱するように配置され、前記マグネトロンを作動させる段階は、前記移動部と前記マグネトロンを同時に作動させるためのコンビ調理運転が選択されたかを判断する段階と、前記コンビ調理運転が選択されると、前記調理部を初期位置から調理位置に移動させる段階と、前記調理部の位置を検出する段階と、前記調理部の検出された位置に基づき、前記調理部が所定の調理位置に到達したかを判断する段階と、前記調理部が前記所定の調理位置に到達すると、前記移動部を停止させる段階と、前記移動部が停止された状態で前記マグネトロンを作動させる段階とを含むことを特徴とする電子レンジの制御方法。」が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3860141号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加熱調理器において、火力を上げることは調理器の本質とも言える部分である。火力アップは調理時間短縮のほかに、「焦げ目」や「クリスプ感」などに代表される、おいしさ向上要因に対しても影響を与え、すばやく、かつおいしく調理することを可能にする。火力をアップすることの方策としてはヒータへの投入電力を上げることが考えられる。
しかし、実際は投入可能な電力には限界がある。例えば家庭用100Vの商用電源では、総電力で1500W程度が限界である。
また、仮に投入電力に限界がなかったとしても、無理に投入電力を増加させることは加熱室や筐体が高温になってしまい、電気部品への温度低減対策が必要になることや、筐体高温化によって使用者へ不快感を与える可能性が高まるなどの弊害がある。
【0005】
そこで効果的に加熱性能を上げる一つの手段として、加熱源であるヒータを被加熱物に近づけるという方法がある。ヒータを被加熱物に近づけることができれば、輻射加熱の効果や雰囲気温度が相対に上がることによる熱伝達の効果も向上することになる。
このようなことから、加熱調理においては、ヒータを移動可能に構成して、被加熱物とヒータとの距離を任意に設定可能とすることで、好みの仕上がりとすることが望まれている。
【0006】
一方、食品内部を高速に加熱するという視点では、一般に知られる電子レンジのようにマイクロ波加熱(高周波誘電加熱)が有効である。輻射や熱伝達では被加熱物の外側から加熱するために、被加熱物表面のみ加熱が進んでしまい、内部の加熱が十分でない状態が考えられる。相対的に内部を加熱しやすいマイクロ波加熱は、被加熱物の内部と表面の温度上昇のバランスを取るのに有効に働く。
このようなマイクロ波加熱においては、加熱室内を反射するマイクロ波が多重反射し、定在波に代表されるような加熱の強い部分と弱い部分ができ、被加熱物に温度が高い部分と低い部分とができやすい。このため、マイクロ波による加熱を均一に行うことが望まれている。
【0007】
また、ヒータを任意の位置に配置し、マイクロ波加熱を行う場合、加熱室内のヒータがマイクロ波の反射要素となるため、ヒータの位置によって、加熱室内を反射するマイクロ波の電界分布が変化することになる。
このため、ヒータの位置によっては、マイクロ波の定在波分布が局所的に集中し、スパークや局所過熱が生じる場合がある、という問題点があった。
【0008】
上記特許文献1の技術では、ヒータである移動部が停止された状態でマグネトロンを作動させるようにし、ヒータが移動中にはマグネトロンからの出力を停止する制御を行っている。このため、マグネトロンの作動中は常にヒータが所定の調理位置に位置するため、マイクロ波の電界分布が変化せず、被加熱物の温度が高い部分と低い部分とができやすい、という問題点があった。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ヒータを移動可能に構成してマイクロ波加熱を行った場合に、加熱室内でのスパークや局所過熱の発生を防止することができる加熱調理器を得るものである。
また、マイクロ波による加熱を均一化し易くすることができる加熱調理器を得るものである。
また、ヒータによる加熱を行う場合には、被加熱物とヒータとの距離を任意に設定することができ、使用者の好みに応じたきめ細かい仕上がりを提供できる加熱調理器を得るものである。
また、ヒータの移動位置を調理内容に応じて自動で設定することができる加熱調理器を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る加熱調理器は、被加熱物を収納する加熱室と、前記被加熱物を加熱するための高周波を発振する高周波発振器と、前記加熱室に接続され、前記高周波発振器から発振された高周波を前記加熱室に導く導波管と、前記加熱室内に配置された可動ヒータと、前記可動ヒータを支持するヒータ支持手段と、前記ヒータ支持手段を上下方向に駆動し、前記可動ヒータを上下方向に移動させる駆動手段と、前記高周波発振器および前記可動ヒータの加熱動作、並びに前記駆動手段を制御する制御手段と、前記可動ヒータの移動領域のうち所定の領域に関する情報が予め記憶された記憶手段とを備え、前記制御手段は、前記可動ヒータの位置が前記所定の領域内にあるとき、前記高周波発振器による加熱動作を行い、前記可動ヒータの位置が前記所定の領域内にないとき、前記高周波発振器による加熱動作を行わないものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ヒータを移動可能に構成してマイクロ波加熱を行った場合に、加熱室内でのスパークや局所過熱の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の本体斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の要部側断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の要部正断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の概略上面図である。
【図5】本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の背面斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の要部上断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1を示す加熱調理器のドア周辺の要部側断面図である。
【図8】本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の操作パネルを示す図である。
【図9】本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の制御ブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の調理手順のフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態2を示す加熱調理器の調理手順のフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態2を示す加熱調理器の可動ヒータの上下動を説明する模式図である。
【図13】本発明の実施の形態3を示す加熱調理器の調理手順のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の本体斜視図である。
なお、図1以後の図では見易さを勘案し、必要に応じてケース(外装)などをとりはずした説明図となっている。
【0014】
図1において、本体1の中には加熱室3が設けられている。加熱室3の前面には、開口を開閉するドア4が設けられている。使用者はドア4を開き、被加熱物2(図示せず)を加熱室3内に収納する。
また、ドア4には、ガラスなどで構成される視認窓19が設けられ、加熱室3内の被加熱物2の調理状態を確認することが可能である。
【0015】
本体1の前面には、操作パネル6が設けられている。
使用者は、被加熱物2を加熱室3内に収納してドア4を閉め、この被加熱物2を加熱すべく、操作パネル6を操作して加熱を実施する。
【0016】
図2は本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の要部側断面図である。
図3は本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の要部正断面図である。
図4は本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の概略上面図である。
以下、図1〜図4を参照して説明する。
【0017】
10は高周波の発振源である高周波発振器(マグネトロン)である。高周波発振器10は、高周波(以下「マイクロ波」ともいう。)を発振する。例えば一般家庭などで用いられる加熱調理器では周波数約2450MHzのマイクロ波を発振する。
高周波発振器10から発振されたマイクロ波は、導波管8を介し、アンテナ11へ伝播する構造となっている。
【0018】
加熱室3内の底面中央には高周波を透過する誘電体板7が設置されている。
誘電体板7は、例えばセラミックなどで構成され、加熱室3の底面板32と略平坦を保つようにして設置されている。
誘電体板7の下には加熱室3内への高周波を効果的に伝播するアンテナ11が設置される。
アンテナ11は、電界放射を目的としており、アルミなどの良導体で製造され、中空であるアンテナシャフト部の先端に平板部を接続、あるいは一体で構成したものである。
【0019】
アンテナ11は、アンテナモータ12により回転駆動される。
アンテナ11は、アンテナ室13内で回転することで、アンテナ11表面から伝播するマイクロ波の強弱や加熱室3内に起こる定在波によるマイクロ波の強弱による影響を極力排除する。これにより、アンテナ11上部に位置する被加熱物2の加熱を平準化し、ひいては加熱ムラを抑制する効果を持つ。
【0020】
9は温度検知手段である。温度検知手段9は、加熱室3の壁面温度や雰囲気温度を計測する。
温度検知手段9は、例えば赤外線センサやサーミスタなど任意の検知手段を用いることができる。
【0021】
誘電体板7の両側部分には、金属で構成された底面板32を介して、被加熱物2を下方向から加熱できるようにするための下ヒータ14が、両側それぞれに設置されている。
下ヒータ14は、加熱室3の底面外側に設置されたガラス管ヒータ30と、このガラス管ヒータ30を加熱室底面とともに略封止する反射板31により構成された構成となっている。
下ヒータ14は、ガラス管ヒータ30からの輻射熱と、反射板31から反射される赤外線とによって加熱室3の底面が加熱され、底面の温度を上昇させることによって、被加熱物2を加熱することが可能となる。
ガラス管ヒータ30は、一般に温度上昇が早く、反射板31からの熱線反射もあいまって、加熱室3底面を効率よく加熱することが可能である。
また、誘電体板7とは区画されて設置されているため、比熱が大きいセラミックなどで構成されることが多い誘電体板7に吸熱される熱が少なくなるため、結果として被加熱物2に届く熱が大きくなる効果がある。
【0022】
さらに、下ヒータ14は、加熱室3の底面下に設けられているため、可動ヒータ15が上下移動した場合であっても、可動ヒータ15の移動領域と干渉しない(接触しない)ようになっている。
なお、下ヒータ14の配置位置はこれに限るものではない。加熱室3の中央より下側の領域であって、可動ヒータ15の移動領域と干渉しない位置に固定設置することができる。
【0023】
また、底面板32の加熱室3側には、効率よく加熱室3側へ熱を輻射するために、高輻射塗装が施してある。
また、底面板32には、底面板32が熱収縮や膨張した際の強度を増すために、底面凸部38を設けてある。
底面凸部38は、角皿5を加熱室3底面に直接おく場合のガイドレールとしても利用可能である。
また、加熱室3の内壁側面の略中央には、角皿5をスライド可能に支持する角皿レール47が形成されている。
【0024】
15は可動ヒータである。可動ヒータ15は、例えばシーズヒータにより構成する。
この可動ヒータ15は、被加熱物2を上面から加熱するための熱源である。可動ヒータ15が上下移動することにより、被加熱物2への距離を変えることが可能となる。このため、被加熱物2の焼き上がり状態を任意に変えることが可能である。
【0025】
図5は本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の背面斜視図である。
図6は本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の要部上断面図である。
ここからは図1〜図6を参照して説明する。
【0026】
可動ヒータ15は、加熱室3背面に支持部を備え、支持部を兼用するヒータ駆動板金40が上下動する構成としている。
可動ヒータの口出し部(2箇所)をヒータ駆動板金40に固定するとともに、固定したヒータ駆動板金40自体が上下動するような構造である。
本実施の形態1では、図2、図5に示すように、可動ヒータ15は、側面視クランク状で平面視蛇行状に屈曲して形成されている。
また、可動ヒータ15の平面視蛇行状部分は、側面視において加熱室3の底面と略平行となるように支持されている。
なお、可動ヒータ15の形状はこれに限るものではなく、任意の形状とすることができる。例えば側面視直線状に形成しても良い。
【0027】
ヒータ駆動板金40にはラック41が固定されており、ヒータ駆動モータ43によりピニオン42が回転することでヒータ駆動板金40を直動、すなわち上下方向に動作させる。
本実施の形態1では、可動ヒータ15を加熱室3の天面近傍の位置(以下「ホームポジション」ともいう。)から、加熱室3の略中央の位置の範囲(移動領域)で移動可能に形成されている。
なお、可動ヒータ15の移動領域はこれに限るものではない。例えば加熱室3の天面近傍の位置から、加熱室3の底面近傍の位置までを移動領域としてもよい。
【0028】
可動ヒータ15の口出し部には、口出し部を囲うヒータチョーク45とヒータカバー46にて、高周波漏洩を防止する袋小路構造、いわゆるチョーク構造をつくり、加熱室3内に伝播する高周波の漏洩を防止する。
【0029】
なお、「ヒータ駆動板金40」は、本発明における「ヒータ支持手段」に相当する。
なお、「ラック41」、「ピニオン42」、および「ヒータ駆動モータ43」は、本発明における「駆動手段」に相当する。
【0030】
加熱室3内の天面の可動ヒータ15と近接する位置には、ガイシ44が設置されている。
このガイシ44は、万が一、可動ヒータ15が変形するなどした場合にも、可動ヒータ15が加熱室3の天面に接触しないようにする絶縁スペーサとして働き、可動ヒータ15の絶縁状態を保持することが可能である。
なお、ガイシ44の設置位置はこれに限るものではない。加熱室3の天面のうち、加熱室3の天面近傍に移動された可動ヒータ15と近接する位置の少なくとも一部に、ガイシ44を設けるようすればよい。
【0031】
また、図2に示すように、加熱室3の天面には、加熱室3の内側に突き出したヒータ収納段差39を設けている。
このヒータ収納段差39を設けることで、可動ヒータ15が天面近傍の位置であるホームポジションに移動した際、加熱室3の天面の奥まった位置に収納され、可動ヒータ15が使用者の手に触れる可能性を低減させることができる。
なお、ヒータ収納段差39の位置はこれに限るものではない。加熱室3の天面のうち、加熱室3の天面近傍に移動された可動ヒータ15と、加熱室3の開口との間の少なくとも一部に、加熱室3内側に突き出したヒータ収納段差39を設けるようにすればよい。
【0032】
50はターンテーブルである。ターンテーブル50は、被加熱物2が載置され、加熱動作中に回転駆動される。
これにより被加熱物2を回転しながら加熱することが可能となり、均一加熱を実施しやすくなる。
【0033】
52はターンテーブル回転軸である。ターンテーブル回転軸52は、加熱室3背面から接続されているターンテーブルモータ53により回転する。
51はターンテーブル支持台である。ターンテーブル支持台51は、シリコンやPTFEなどの耐熱性の高い材料にて構成され、ターンテーブル50を支持するためのローラー54が設置されており、ターンテーブル回転軸52とともにターンテーブルを支持する。
【0034】
ターンテーブル50は、セラミックなどの高周波透過性の誘電体により形成する。これは高周波誘電加熱にもヒータ加熱にも適用可能とするためである。
ターンテーブル回転軸52の先端は、例えば傘歯車形状などの駆動力を伝達しやすい形状になっており、回転駆動力はターンテーブル50に伝えられ、回転することが可能となる。
一方、ターンテーブルモータ53側への接続は、加熱室3背面側に設けられたターンテーブル回転軸52のシャフト部分を挿して利用する。すなわち、加熱室3背面が、ターンテーブルモータ53と接続されたメス側、ターンテーブル回転軸52がオス側の関係となる。
本構成により、加熱室3底面にターンテーブル50を回転させるための駆動源を有する必要がなくなるため、底面給電部分、すなわち誘電体板7の部分を凹凸なく構成することが可能になる。
【0035】
図7は本発明の実施の形態1を示す加熱調理器のドア周辺の要部側断面図である。
図7に示すように、ドア4にはその開閉状態を検知する開閉検知スイッチ60が設置されている。
後述する制御手段100は、開閉検知スイッチ60によりドア4の開状態を検知し、開時には、高周波発振器10や、可動ヒータ15、下ヒータ14などの加熱源への電源供給をOFFにして加熱動作を停止させる。これにより、ドア4の開状態と加熱とが両立しない安全構造となっている。
【0036】
27はドアロックである。ドアロック27は、図示しない回転駆動手段により回動動作され、ドア4を閉じた状態に維持するロック状態と、ドア4を開閉可能とする解除状態とを切り換える。
なお、ドアロック27の構成はこれに限るものではない。ドア4を閉じた状態に維持するロック状態とドア4を開閉可能とする解除状態とを切り換えるものであれば良い。
後述する制御手段100は、可動ヒータ15が移動している間は、誤ってドア4が開かれないようにドアロック27をロック状態として、ドア4の開ができないようにする。動作の詳細は後述する。
【0037】
図8は本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の操作パネルを示す図である。
図8に示すように、操作パネル6は、設定入力手段16と、報知手段17とを有する。
報知手段17は、加熱時間や設定温度等の表示や、各種の注意喚起の報知を行う。
この報知手段17は、例えば、液晶(LCD)や各種発光素子(LEDなど)などにより構成することができる。
なお、本実施の形態1では表示により使用者に報知する場合を説明するが、本発明はこれに限るものではない。例えば音により報知するようにしても良い。
【0038】
設定入力手段16は、加熱開始や加熱時間の設定、目標加熱温度の設定などの入力操作を行う。
この設定入力手段16は、例えば、メンブレンシートを用いた接点ボタンにより構成され、使用者により接点ボタンが押下されることにより、入力操作を検知する。
なお、「設定入力手段16」は、本発明における「操作手段」に相当する。
【0039】
また、設定入力手段16は、ヒータ上下キー21、メニュー選択キー22、清掃キー23、コンビ加熱キー24を有している。
ヒータ上下キー21は、可動ヒータ15の移動量に関する操作の入力を行う。
メニュー選択キー22は、予め設定された1または複数の調理メニューを選択する操作の入力を行う。
清掃キー23は、使用者が清掃を行う際、可動ヒータ15をホームポジションから移動させることを許可する旨の操作の入力を行う。
コンビ加熱キー24は、高周波誘電加熱とヒータ加熱の両方を用いる調理(コンビ加熱)の開始操作の入力を行う。
【0040】
図9は本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の制御ブロック図である。
図9に示すように、制御手段100には、設定入力手段16からの操作入力、温度検知手段9の検知結果、および開閉検知スイッチ60の検知結果が入力される。
また、制御手段100は、高周波発振器10、アンテナモータ12、ターンテーブルモータ53、可動ヒータ15、ガラス管ヒータ30、ドアロック27、ヒータ駆動モータ43、および、報知手段17をそれぞれ制御する。
記憶手段110は、1または複数の調理メニューと、この調理メニューに応じた可動ヒータ15の位置に関する情報が記憶されている。
位置に関する情報としては、例えば、可動ヒータ15の加熱室3底面からの高さの情報が記憶される。
なお、位置に関する情報はこれに限るものではなく、加熱室3天面からの距離や、ラック41の移動量、ヒータ駆動モータ43の回転量など、可動ヒータ15の位置を特定できるものであればよい。
さらに、記憶手段110には、可動ヒータ15の移動領域のうち所定の領域に関する情報が予め記憶されている。
【0041】
制御手段100は、設定入力手段16からの入力操作により、ヒータ駆動モータ43を駆動させて、可動ヒータ15を入力された移動量に応じた位置に移動させる。
制御手段100は、後述する動作により記憶手段110の情報を参照し、可動ヒータ15を特定の位置または範囲に移動させるようにヒータ駆動モータ43を制御する。
【0042】
ここで、記憶手段110に予め記憶される所定の領域について説明する。
高周波発振器10を動作させてマイクロ波誘電加熱を実施する際は、加熱室3内を反射するマイクロ波が多重反射をした結果、定在波に代表されるような加熱の強い部分と弱い部分ができる。一方、加熱室3内を移動する可動ヒータ15はマイクロ波を反射するマイクロ波反射要素となるため、可動ヒータ15の位置によって、マイクロ波の電界分布が変化することになる。
このようなことから、可動ヒータ15の位置によっては、マイクロ波の定在波分布が局所的に集中し、スパークや局所過熱が生じる場合がある。
そこで、少なくとも加熱室3内に被加熱物2が収納されていない状態で、高周波発振器10を動作させた場合に、加熱室3内にスパークまたは局所過熱が生じない、可動ヒータ15の位置の範囲を、例えば実測や計算等で求め、所定の領域として予め記憶させる。
なお、少なくとも加熱室3内に被加熱物2が収納されていない状態とするのは、被加熱物2(調理容器等を含む)によっては、可動ヒータ15の位置にかかわらずスパークや局所過熱が生じる場合があるからである。
【0043】
次に、本実施の形態1の動作について説明する。
【0044】
図10は本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の調理手順のフローチャートである。
以下、図10の各ステップに基づき説明する。
【0045】
(S101)
使用者は、ドア4を開け、調理対象となる被加熱物2を加熱室3内に設置したあと、ドア4を閉じる。
被加熱物2は、誘電体板7の上、ターンテーブル50の上、または別途用意されている角皿5の上に載置される。
角皿5を設置する場合には、加熱室3内に構成されている角皿レール47に角皿5のフランジをかける形で設置される。
なお、調理メニューとして予熱モード(後述)を選択する場合には、本ステップS101を省略する。
【0046】
(S102)
次に、使用者は、設定入力手段16を操作して、加熱種別や調理メニューを選択する。
加熱種別とは、例えば、高周波発振器10によるマイクロ波加熱、可動ヒータ15および下ヒータ14によるヒータ加熱、またはその両方のコンビ加熱の何れかである。
調理メニューとは、予め設定された1または複数の調理内容(調理種)である。
使用者は、メニュー選択キー22を操作して、1または複数の調理メニューから所望の調理内容を選択する。なお、調理メニューを選択せずに、加熱種別と、加熱時間や設定温度とを選択・設定するようにしても良い。
【0047】
(S103)
制御手段100は、設定入力手段16のメニュー選択キー22から調理メニューを選択する操作が入力されたか否かを判断する。
メニュー選択キー22の操作がない場合には、ステップS105に進む。
【0048】
(S104)
制御手段100は、上記ステップS102で、設定入力手段16から調理メニューを選択する操作が入力されたと判断した場合、記憶手段110を参照し、選択された調理メニューに応じた位置に関する情報を取得する。
そして、制御手段100は、取得した位置に関する情報に応じて、ヒータ駆動モータ43を駆動する。ヒータ駆動モータ43の駆動力は、ピニオン42からラック41へと伝達され、可動ヒータ15が上下方向に可動される。
これにより、可動ヒータ15は、選択された調理メニューに応じた位置に移動する。
【0049】
例えば、記憶手段110には、調理メニュー「トースト4枚切り」に対応する可動ヒータ15の位置として、角皿5の上に被加熱物2である4枚切りのトーストが載置された場合、できるだけ当該被加熱物2の近傍まで可動ヒータ15を近づけるような位置の情報が記憶される。
制御手段100は、調理メニューとして「トースト4枚切り」が選択された場合、記憶手段110の情報に応じて、4枚切りのトーストが載置された場合に近接する位置に、可動ヒータ15を移動させる。
このように、被加熱物2の厚みが薄く、短時間に高火力で焼成する調理の場合には、被加熱物2の近傍まで可動ヒータ15を移動させる。
【0050】
また、例えば、記憶手段110には、調理メニューとして「ローストビーフ」に対応する可動ヒータ15の位置として、加熱室3内の天面に近い所定の位置の情報が記憶される。
制御手段100は、調理メニューとして「ローストビーフ」が選択された場合、記憶手段110の情報に応じて、加熱室3内の天面に近い所定の位置に、可動ヒータ15を移動させる。
このように、被加熱物2がローストビーフのような厚みがあり、時間をかけて均一に加熱して、できるだけ表面をまんべんなく焼成する調理の場合には、加熱室3内の高い位置に可動ヒータ15を移動させる。
【0051】
また、例えば、記憶手段110には、調理メニューとして、被加熱物2を収納せずに加熱室3内の温度を上昇させる「予熱モード」が記憶される。この「予熱モード」に対応する可動ヒータ15の位置として、加熱室3の略中央より下の位置の情報が記憶される。例えば、可動ヒータ15の移動領域の最も下の位置の情報が記憶される。
制御手段100は、調理メニューとして「予熱モード」が選択された場合、記憶手段110の情報に応じて、加熱室3の可動領域の最も下の位置に、可動ヒータ15を移動させる。
このように、可動ヒータ15が加熱室3の底面に近づくことにより、熱容量の大きい誘電体板7が加熱されやすくなり、また熱い空気は上部に移動する対流による加熱も利用できることとなり、効率よく加熱室3内全体を加熱することができ、予熱時間を短縮することが可能となる。
【0052】
(S105)
次に、使用者は、必要により、設定入力手段16のヒータ上下キー21を操作して、可動ヒータ15の移動量に関する操作の入力を行う。
制御手段100は、設定入力手段16のヒータ上下キー21から可動ヒータ15の移動量に関する操作が入力されたか否かを判断する。
ヒータ上下キー21の操作がない場合には、ステップS109に進む。
【0053】
この移動量に関する操作としては、例えばヒータ上下キー21の上キーまたは下キーを押下している時間に応じて移動量を無段階に操作しても良いし、ヒータ上下キー21が押下される度に所定の移動量だけ増加または減算するように段階的に操作しても良い。
なお、移動量に関する操作はこれに限るものではなく、可動ヒータ15の位置を指定するものであればよい。例えば、数値キーを設けて底面(または天面)からの距離を数値により指定しても良いし、可動ヒータ15の位置をそれぞれ指定する複数のキーを設けるようにしても良い。
【0054】
(S106)
制御手段100は、上記ステップS105で、設定入力手段16のヒータ上下キー21から可動ヒータ15の移動量に関する操作が入力されたと判断した場合、設定入力手段16からの入力操作に基づきヒータ駆動モータ43を駆動する。ヒータ駆動モータ43の駆動力は、ピニオン42からラック41へと伝達され、可動ヒータ15が上下方向に可動する。
これにより、制御手段100は、可動ヒータ15を移動量に応じた位置に移動させる。
【0055】
このように、使用者は、被加熱物2における所望の仕上がり状態にあわせて、視認窓19から可動ヒータ15と被加熱物2との距離と、仕上がりを確認しながら、任意の位置または予め設定されている位置にて可動ヒータ15を停止させて、加熱の準備を行う。
また、調理メニューに応じた位置に可動ヒータ15を移動させた後、使用者の操作により可動ヒータ15を可動させることで、可動ヒータ15の位置を微調整することも可能となる。
なお、本実施の形態1では、加熱調理を開始する前に可動ヒータ15を移動させる場合を説明するが、本発明はこれに限るものではない。例えば、可動ヒータ15での加熱調理中に、可動ヒータ15を移動させるようにしても良い。
【0056】
また、制御手段100は、上記ステップS104およびS106において、可動ヒータ15を可動させている際には、報知手段17により、可動ヒータ15が移動している旨を報知させる。
特に、可動ヒータ15が一旦加熱された直後に、連続調理を実施する際などは、可動ヒータ15が高温となっている。このような場合に、加熱室3内に使用者の手が入ると、誤って高温の可動ヒータ15に触れてしまう可能性がある。
上記の報知により、使用者に対して注意喚起を行うことが可能となり、使用者の火傷の確率を下げることが可能となる。
【0057】
この可動ヒータ15が移動している旨の報知としては、例えば、報知手段17に「ヒータ移動中注意」の表示をする。
なお、報知の方法はこれに限るものではない。例えば、ランプの点灯・点滅などの光による報知や、音や振動による報知も可能である。
【0058】
なお、本実施の形態1では、可動ヒータ15が移動している際に報知を行う場合を説明するが、本発明はこれに限るものではない。
制御手段100は、可動ヒータ15が、加熱室3の天面近傍の位置であるホームポジションにないとき、報知手段17により、可動ヒータ15がホームポジションにない旨を報知させるようにしても良い。
このような報知により、可動ヒータ15が使用者に触れられやすい位置にある場合に、使用者に対して注意喚起を行うことが可能となり、使用者が誤って可動ヒータ15に触れる可能性を低減させることができる。
【0059】
また、制御手段100は、上記ステップS104およびS106において、可動ヒータ15を可動させている際には、ドアロック27を動作させてドア4をロック状態にするようにしても良い。
これにより、可動ヒータ15が移動している際にドア4が開けられ、使用者の手が加熱室3内に入ることを防止し、使用者が誤って可動ヒータ15に触れる可能性を低減させることができる。
なお、制御手段100は、可動ヒータ15が加熱室3の天面近傍の位置であるホームポジションにないとき、ドアロック27を動作させてロック状態にするようにしても良い。
このような動作により、可動ヒータ15が使用者に触れられやすい位置にある場合に、ドア4が開けられることを防止し、使用者が誤って可動ヒータ15に触れる可能性を低減させることができる。
【0060】
(S107)
次に、制御手段100は、可動ヒータ15の位置が、記憶手段110に記憶された所定の領域内にあるか否かを判断する。
所定の領域内にある場合には、ステップS109に進む。
【0061】
(S108)
所定の領域内にない場合には、制御手段100は、上記ステップS102で設定された加熱種または調理メニューが、高周波発振器10による加熱動作を行うか否かを判断する。
高周波発振器10による加熱動作を行わない設定の場合には、ステップS109に進む。
一方、高周波発振器10による加熱動作を行う設定の場合、制御手段100は、報知手段17により、高周波発振器10による加熱動作を禁止する旨の報知をし、ステップS102に戻る。
なお、このとき制御手段100は、報知手段17により、可動ヒータ15の位置が所定領域にない旨を報知するようにしても良い。
【0062】
このように、制御手段100は、可動ヒータ15の位置が所定の領域内にあるとき、高周波発振器10による加熱動作を行い、可動ヒータ15の位置が所定の領域内にないとき、高周波発振器10による加熱動作を行わない。
これにより、加熱室3内壁や可動ヒータ15を反射するマイクロ波が多重反射をした結果、加熱室3内で生じるスパークや局所過熱の発生を防止することができる。
また、可動ヒータ15や下ヒータ14による加熱では、可動ヒータ15の位置にかかわらず加熱動作を行うことが可能となる。
【0063】
(S109)
次に、使用者は、設定入力手段16を操作して、調理終了の目標となる被加熱物2の温度(終了温度)や、調理時間(終了時間)等を設定し、スタートキーなどで加熱調理を開始させる操作を行う。
なお、終了温度や終了時間等の設定は上記ステップS102で行うようにしても良い。
【0064】
(S110)
制御手段100は、設定入力手段16からの入力操作に基づき、可動ヒータ15、下ヒータ14のガラス管ヒータ30、および高周波発振器10の何れかまたは全てを駆動する。
また、制御手段100は、加熱動作中にドア4が開かれることがないよう、ドアロック27を駆動して、ドア4をロック状態にする。
なお、ドア4のロックは、設定入力手段16の操作により行うようにしても良い。
【0065】
(S111)
制御手段100は、温度検知手段9の温度検知結果を取得し、当該検知温度が、ステップS109で入力された調理終了の目標温度(終了温度)を超えたか否かを判断する。
終了温度を超えたと判断した場合は、ステップS113に進む。
【0066】
(S112)
ステップS111で終了温度を超えていないと判断した場合、制御手段100は、加熱時間が終了時間以上となったか否かを判断する。
加熱時間が終了時間未満である場合には、ステップS111に戻り加熱を継続する。
一方、加熱時間が終了時間以上である場合には、ステップS113に進む。
すなわち、被加熱物2の温度が終了温度に到達した場合、または、加熱時間が終了時間となった場合に、ステップS113に移行する。
【0067】
(S113)
制御手段100は、可動ヒータ15、下ヒータ14のガラス管ヒータ30、および高周波発振器10のうち駆動中の加熱手段への通電を停止させる。
【0068】
(S114)
次に、制御手段100は、ヒータ駆動モータ43を駆動し、可動ヒータ15を加熱室3の天面近傍の位置であるホームポジションに移動させる。
これにより、使用者が加熱室3を開いて被加熱物2を取り出す際には、可動ヒータ15が加熱室3内天面のホームポジションに位置するため、可動ヒータ15が使用者の手に触れる可能性を低減することができる。
さらに、図2に示すように、加熱室3の天面にはヒータ収納段差39を形成しているので、可動ヒータ15は加熱室3天面の開口から奥まった位置に収納され、使用者の手に触れる可能性をさらに低減することができる。
【0069】
なお、ステップS114においても、上記ステップS104およびS106と同様に、可動ヒータ15の移動中の報知を行い、ドア4をロック状態とする。
【0070】
(S115)
制御手段100は、ドアロック27を動作させてドア4を解除状態にする。
【0071】
(S116)
使用者は、ドア4を開け、被加熱物2を加熱室3から取り出し、調理手順を終了する。
なお、調理メニューとして予熱モードを選択した場合には、使用者は、ドア4を開け、調理対象となる被加熱物2を加熱室3内に設置したあとドア4を閉じ、所望の加熱を行わせる。
【0072】
なお、上記ステップの何れにおいても、制御手段100は、開閉検知スイッチ60によりドア4の開状態を検知したとき、可動ヒータ15をホームポジションに移動させるようにしても良い。
これにより、例えば加熱開始前にドア4が開いた場合や、加熱中に何らかの理由によりドア4が開いた場合、即時に可動ヒータ15をホームポジションに移動させることができ、使用者が誤って可動ヒータ15に触れる可能性を低減させることができる。
【0073】
なお、本実施の形態1では、調理メニューの選択に応じた可動ヒータ15の移動と、ヒータ上下キー21の操作に応じた可動ヒータ15の移動をともに実行可能な加熱調理器について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、何れか一方のみを行うするようにしても良い。
【0074】
なお、本実施の形態1では、高周波発振器10による加熱動作を行う前に、可動ヒータ15が所定の領域にあるか否かを判断したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、高周波発振器10による加熱動作を実行中に、常時、可動ヒータ15の位置が所定の領域にあるか否かを判断し、所定の領域をはずれた場合には、高周波発振器10の動作を停止させるようにしても良い。
【0075】
以上のように本実施の形態においては、可動ヒータ15の移動領域のうち所定の領域に関する情報が予め記憶された記憶手段110を備え、制御手段100は、可動ヒータ15の位置が所定の領域内にあるとき、高周波発振器10による加熱動作を行い、可動ヒータ15の位置が所定の領域内にないとき、高周波発振器10による加熱動作を行わない。
このため、高周波発振器10による加熱動作中は可動ヒータ15が所定の領域に位置することになり、加熱室3内壁や可動ヒータ15を反射するマイクロ波が多重反射をした結果、加熱室3内で生じるスパークや局所過熱の発生を防止することができる。
また、可動ヒータ15や下ヒータ14による加熱では、可動ヒータ15の位置にかかわらず加熱動作を行うことが可能となる。
また、可動ヒータ15が所定の領域内にある場合には、高周波発振器10によるマイクロ波加熱を行うことができる。よって、可動ヒータ15と高周波発振器10による加熱動作を行うことができ、使用者の任意の仕上がりを調整することを可能とし、ひいては調理の楽しさを演出することができる。
【0076】
また、所定の領域は、少なくとも加熱室3内に被加熱物2が収納されていない状態で、高周波発振器10を動作させた場合に、加熱室3内にスパークまたは局所過熱が生じない、可動ヒータ15の位置の範囲である。
このため、加熱室3内でのスパークや局所過熱の発生を防止することができる。
【0077】
また、制御手段100は、設定入力手段16からの入力操作に基づき駆動手段を制御し、可動ヒータ15を移動量に応じた位置に移動させ、可動ヒータ15による加熱動作を行う。
このため、可動ヒータ15による加熱を行う場合には、被加熱物2と可動ヒータ15との距離を任意に設定することができ、使用者の好みに応じたきめ細かい仕上がりを提供できる。
【0078】
また、記憶手段110は、1または複数の調理メニューと、該調理メニューに応じた可動ヒータ15の位置に関する情報が記憶され、制御手段100は、選択された調理メニューに応じた位置に、可動ヒータ15を移動させる。
このため、ヒータの移動位置を調理内容に応じて自動で設定することができる加熱調理器を得るものである。
【0079】
また、制御手段100は、可動ヒータ15を移動させているとき、ドアロック27を動作させてロック状態にする。
このため、可動ヒータ15が移動している際にドア4が開けられ、使用者の手が加熱室3内に入ることを防止し、使用者が誤って可動ヒータ15に触れる可能性を低減させることができる。
【0080】
実施の形態2.
本実施の形態2では、可動ヒータ15を所定の領域内で上下方向に移動させながら、高周波発振器10による加熱動作を行い、マイクロ波による加熱を均一化し易くする形態について説明する。
【0081】
なお、本実施の形態2の構成は上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
なお、以下の動作においては、高周波発振器10による加熱動作(第1の調理工程)のあと、可動ヒータ15による加熱動作(第2の調理工程)を実施するコンビ加熱の調理手順について説明する。
なお、「コンビ加熱」は、本発明の「連続調理モード」に相当する。
【0082】
図11は本発明の実施の形態2を示す加熱調理器の調理手順のフローチャートである。
図12は本発明の実施の形態2を示す加熱調理器の可動ヒータの上下動を説明する模式図である。
以下、図11の各ステップに基づき、図12を参照しながら説明する。
【0083】
(S201)
使用者は、ドア4を開け、調理対象となる被加熱物2を加熱室3内に設置したあと、ドア4を閉じる。
被加熱物2は、誘電体板7の上、ターンテーブル50の上、または別途用意されている角皿5の上に載置される。
角皿5を設置する場合には、加熱室3内に構成されている角皿レール47に角皿5のフランジをかける形で設置される。
【0084】
(S202)
次に、使用者は、設定入力手段16を操作して、加熱種別や調理メニューを選択する。
加熱種別とは、例えば、高周波発振器10によるマイクロ波加熱、可動ヒータ15および下ヒータ14によるヒータ加熱、またはその両方のコンビ加熱の何れかである。
調理メニューとは、予め設定された1または複数の調理内容(調理種)である。
使用者は、コンビ加熱を行う場合、コンビ加熱キー24を選択する。
また、メニュー選択キー22を操作して、1または複数の調理メニューから所望の調理内容を選択する。なお、調理メニューを選択せずに、加熱種別と、加熱時間や設定温度とを選択・設定するようにしても良い。
【0085】
(S203)
次に、使用者は、設定入力手段16を操作して、調理終了の目標となる被加熱物2の温度(終了温度)や、マイクロ波加熱からヒータ加熱に移行する温度(目標温度)、調理時間(終了時間)等を設定する。
なお、これらの設定は上記調理メニューに応じて予め設定しておいても良い。
使用者は、スタートキーなどで加熱調理を開始させる操作を行う。
【0086】
(S204)
制御手段100は、設定入力手段16からの入力操作に基づき、高周波発振器10を動作させ、マイクロ波加熱を開始する。
高周波発振器10により発振されたマイクロ波は、加熱室3内に伝播され、誘電加熱が実施される。
また、制御手段100は、加熱動作中にドア4が開かれることがないよう、ドアロック27を駆動して、ドア4をロック状態にする。
なお、ドア4のロックは、設定入力手段16の操作により行うようにしても良い。
【0087】
(S205)
制御手段100は、記憶手段110に記憶された所定の領域の情報を取得し、当該所定の領域内で可動ヒータ15を上下方向に移動(往復移動)させる。
すなわち、可動ヒータ15を所定の領域内で上下方向に移動させながら、高周波発振器10による加熱動作を行う。
【0088】
例えば図12に示すように、所定の領域が高さA〜Bである場合、制御手段100は、可動ヒータ15を、この高さA〜Bの範囲で上下に往復移動させる。
これにより、可動ヒータ15の位置によって、マイクロ波の電界分布が変化することになり、可動ヒータ15を固定した場合と比較して、被加熱物2の温度が高い部分と低い部分とができにくく、加熱ムラを低減することができる。
また、可動ヒータ15を移動させる範囲は、所定の領域内であるため、高周波発振器10を動作させながら可動ヒータ15を移動させても、加熱室3内でのスパークや局所過熱の発生を防止することができる。
【0089】
(S206)
次に、制御手段100は、温度検知手段9の温度検知結果を取得し、当該検知温度が、目標温度を超えたか否かを判断する。
目標温度を超えていない場合は、上記ステップS205を繰り返す。
一方、目標温度を超えたと判断した場合は、ステップS207に進み、第2の調理工程である可動ヒータ15による加熱動作に移行する。
【0090】
なお、目標温度は、ステップS203で入力するようにしても良いし、各調理メニュー毎に、調理の種類等に応じた温度を予め記憶手段110に記憶させるようにしても良い。
例えば、終了温度が100℃である場合には、第2の調理工程での温度上昇分を加味して、目標温度を60℃で停止するなど、仕上がり状態から推測される適当な温度を、記憶手段110に事前に記憶、設定しておくことで、良好な仕上がり状態とすることができる。
なお、「目標温度」は、本発明における「所定の温度」に相当する。
【0091】
(S207)
制御手段100は、高周波発振器10の動作を停止させる。
また、制御手段100は、記憶手段110を参照し、当該調理メニューに応じた可動ヒータ15の位置に関する情報を取得する。そして、制御手段100は、取得した位置に関する情報に応じて、ヒータ駆動モータ43を駆動し、可動ヒータ15を移動させる。
【0092】
ここでの可動ヒータ15の位置は、可動ヒータ15の移動領域内の任意の位置で設定することができる。
例えば、図12に示すように、制御手段100は、所定の範囲外である高さCの位置に、可動ヒータ15を移動させる。
このように、可動ヒータ15による調理を行う際には、被加熱物2により近づけることで、例えば焦げ目をつけておいしさをアップさせることが可能である。
【0093】
(S208)
制御手段100は、可動ヒータ15および下ヒータ14を駆動させ、第2の調理工程であるヒータによる加熱動作を開始させる。
【0094】
(S209)
制御手段100は、温度検知手段9の温度検知結果を取得し、当該検知温度が、ステップS203で入力された終了温度を超えたか否かを判断する。
終了温度を超えていないと判断した場合、本ステップS209を繰り返し、加熱を継続する。
【0095】
(S210)
一方、終了温度を超えたと判断した場合、制御手段100は、可動ヒータ15、下ヒータ14の加熱動作を停止させる。
【0096】
(S211)
次に、制御手段100は、ヒータ駆動モータ43を駆動し、可動ヒータ15を加熱室3の天面近傍の位置であるホームポジションに移動させる。
【0097】
(S212)
制御手段100は、ドアロック27を動作させてドア4を解除状態にする。
【0098】
(S213)
使用者は、ドア4を開け、被加熱物2を加熱室3から取り出し、調理手順を終了する。
【0099】
なお、上記ステップS206およびS209では、検知温度に基づき、第2の調理工程への移行や調理の終了を判断したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、ステップS203で設定された終了時間や、調理メニューに応じて予め設定された時間等に応じて、第2の工程への移行判断や調理終了判断をするようにしても良い。
【0100】
なお、本実施の形態2では、高周波発振器10による加熱動作の後に、可動ヒータ15による加熱動作を行う場合を説明したが、本発明はこれに限るものでない。例えば、第1の調理工程において、可動ヒータ15を所定の範囲内で往復移動させながら、当該可動ヒータ15による加熱と、高周波発振器10による加熱とを同時に行うようにしても良い。
【0101】
なお、本実施の形態2では、第1の調理工程の後に、第2の調理工程を行うコンビ加熱の場合を説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、第1の調理工程のみを行うようにしても良い。このような動作であっても、マイクロ波の電界分布が変化することになり、加熱ムラを低減することができる。
【0102】
以上のように本実施の形態においては、制御手段100は、可動ヒータ15を所定の領域内で上下方向に移動させながら、高周波発振器10による加熱動作を行う。
このため、可動ヒータ15の位置によって、マイクロ波の電界分布が変化することになり、可動ヒータ15を固定した場合と比較して、被加熱物2の温度が高い部分と低い部分とができにくく、加熱ムラを低減することができる。よって、マイクロ波による加熱を均一化し易くすることができる。特に、被加熱物2が大きい対象物である場合には、この効果は顕著である。
また、可動ヒータ15を移動させる範囲は、所定の領域内であるため、高周波発振器10を動作させながら可動ヒータ15を移動させても、加熱室3内でのスパークや局所過熱の発生を防止することができる。
また、マイクロ波の照射状態を変更させることが可能となり、効率よく加熱室3内にマイクロ波を導き、被加熱物2の加熱効率を向上させることが可能となる。
また、可動ヒータ15を固定した場合と比較して、高周波発振器10の自己発熱などの不具合の発生確率を下げることが可能となる。
【0103】
また、記憶手段110は、調理メニューとして、高周波発振器10を動作させる第1の調理工程と、可動ヒータ15を動作させる第2の調理工程とを有する連続調理モードが記憶され、第1の調理工程に対応した可動ヒータ15の位置が、所定の領域内の位置であり、第2の調理工程に対応した可動ヒータ15の位置が、可動ヒータ15の移動領域内の任意の位置である。
このため、マイクロ波反射要素である可動ヒータ15を動かしながらマイクロ波加熱する第1の調理工程の後に、可動ヒータ15を被加熱物2に応じた位置に移動させてヒータ加熱する第2の調理工程を行うことができ、被加熱物2の内部、表面の順に加熱することが可能となる。よって、調理の仕上がり、特に被加熱物2の表面にクリスプ感を与える仕上がりを可能とすることができる。
【0104】
また、本実施の形態2によれば、被加熱物2(食品等)の内部加熱に良好な特性を示すマイクロ波誘電加熱と、被加熱物2(食品等)の外部から輻射や熱伝達にて加熱するヒータ加熱の両方を実施することができ、調理の仕上がりを向上させることが可能となるのである。
特に、第1の調理工程で食品内部を加熱しやすくすることで、食品内部から食品表面への水分移動を促した上で、第2の調理工程として、輻射あるいは雰囲気からの熱伝達で食品表面を加熱することで、水分を飛ばす効果を持たせることが可能となり、水分含有量が小さい調理などではより効力を発揮しやすい。
【0105】
実施の形態3.
本実施の形態3では、加熱室3内の任意の位置にマイクロ波の定在波分布を集中させ、または、加熱室3内にマイクロ波の定在波分布を拡散させるように、可動ヒータ15を移動させて、マイクロ波による加熱を行う形態について説明する。
【0106】
本実施の形態3の記憶手段110には、所定の領域内であって、高周波発振器10を動作させた場合に、加熱室3内の任意の位置にマイクロ波の定在波分布を集中させる可動ヒータ15の位置、および、加熱室3内にマイクロ波の定在波分布を拡散させる可動ヒータ15の位置に関する情報の少なくとも一方が、1または複数記憶されている。
なお、このマイクロ波の定在波分布を集中させる位置、および拡散させる位置は、例えば実測や計算等で求める。
なお、その他の構成は上記実施の形態1または2と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
【0107】
図13は本発明の実施の形態3を示す加熱調理器の調理手順のフローチャートである。
以下、図13の各ステップに基づき、上記実施の形態1、2との相違点を中心に説明する。
なお、以下の動作においては、高周波発振器10による加熱動作(第1の調理工程)のあと、可動ヒータ15による加熱動作(第2の調理工程)を実施するコンビ加熱の調理手順について説明する。
【0108】
(S301、S302)
上記ステップS201、S202と同様に、使用者は、被加熱物2を加熱室3内に設置し、設定入力手段16を操作して、コンビ加熱キー24を選択する。
【0109】
(S303)
制御手段100は、記憶手段110を参照し、所定の領域内であって、マイクロ波の定在波分布を集中させる可動ヒータ15の位置、または、マイクロ波の定在波分布を拡散させる可動ヒータ15の位置に関する情報の何れか1つを選択し、当該情報を取得する。ここでの選択は、例えば、ステップS302で設定された調理メニューに応じたものでも良いし、別途、使用者の操作により設定しても良い。
そして、制御手段100は、取得した位置に関する情報に応じて、ヒータ駆動モータ43を駆動する。ヒータ駆動モータ43の駆動力は、ピニオン42からラック41へと伝達され、可動ヒータ15が上下方向に可動される。
これにより、可動ヒータ15は、所定の領域内であって、マイクロ波の定在波分布を集中させる可動ヒータ15の位置、または、マイクロ波の定在波分布を拡散させる可動ヒータ15の位置に移動する。
【0110】
(S304、305)
上記ステップS203、S204と同様に、使用者は、終了温度や終了時間等を設定したあと調理を開始させる操作を行う。制御手段100は、高周波発振器10を動作させ、ドア4をロック状態にする。
【0111】
(S306)
次に、制御手段100は、高周波発振器10による加熱動作時間が目標時間を超えたか否かを判断する。
目標時間を超えていない場合は、本ステップS306を繰り返し、加熱を継続する。
一方、目標時間を超えたと判断した場合は、ステップS307に進み、第2の調理工程である可動ヒータ15による加熱動作に移行する。
【0112】
なお、目標時間は、ステップS304で入力するようにしても良いし、各調理メニュー毎に、調理の種類等に応じた時間を予め記憶手段110に記憶させるようにしても良い。
なお、「目標時間」は、本発明における「所定の時間」に相当する。
【0113】
(S307)
制御手段100は、高周波発振器10の動作を停止させる。
また、制御手段100は、記憶手段110を参照し、当該調理メニューに応じた可動ヒータ15の位置に関する情報を取得する。そして、制御手段100は、取得した位置に関する情報に応じて、ヒータ駆動モータ43を駆動し、可動ヒータ15を移動させる。
【0114】
ここでの可動ヒータ15の位置は、可動ヒータ15の移動領域内の任意の位置で設定することができる。
このように、可動ヒータ15による調理を行う際には、被加熱物2により近づけることで、例えば焦げ目をつけておいしさをアップさせることが可能である。
【0115】
(S308)
制御手段100は、可動ヒータ15および下ヒータ14を駆動させ、第2の調理工程であるヒータによる加熱動作を開始させる。
【0116】
(S309)
次に、制御手段100は、可動ヒータ15による加熱動作時間が終了時間を超えたか否かを判断する。
終了時間を超えていない場合は、本ステップS309を繰り返し、加熱を継続する。
一方、終了時間を超えたと判断した場合は、ステップS310に進む。
【0117】
(S310〜S313)
上記ステップS210〜S213と同様の動作により、加熱動作を停止し、可動ヒータ15をホームポジションに移動させ、ドア4のロックを解除にする。そして使用者は被加熱物2を取り出して調理手順を終了する。
【0118】
なお、上記ステップS306およびS309では、経過時間に基づき、第2の調理工程への移行や調理の終了を判断したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、ステップS304で設定された終了温度や、調理メニューに応じて予め設定された温度等に応じて、第2の工程への移行判断や調理終了判断をするようにしても良い。
【0119】
なお、本実施の形態3では、第1の調理工程の後に、第2の調理工程を行うコンビ加熱の場合を説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、第1の調理工程のみを行うようにしても良い。このような動作であっても、マイクロ波の定在波分布の集中または拡散が可能となる。
【0120】
以上のように本実施の形態においては、記憶手段110は、所定の領域内であって、高周波発振器10を動作させた場合に、加熱室3内の任意の位置に高周波の定在波分布を集中させる可動ヒータ15の位置、または、加熱室3内に高周波の定在波分布を拡散させる可動ヒータ15の位置に関する情報が、1または複数記憶され、制御手段100は、記憶手段110に記憶された位置の何れかに可動ヒータ15を移動させ、高周波発振器10による加熱動作を行う。
このため、可動ヒータ15の位置によるマイクロ波の反射状態が変化することを利用して、加熱室3内の任意の位置にマイクロ波の定在波分布を集中させることができ、被加熱物2の任意の位置を集中して加熱することが可能となる。
また、加熱室3内にマイクロ波の定在波分布を拡散させることができ、被加熱物2の加熱ムラを低減することができる。
また、可動ヒータ15を所定の範囲に配置することで、効率よく加熱室3内に高周波を導き、被加熱物2の加熱効率を向上させることができ、高周波発振器10の自己発熱などの不具合の発生確率を下げることが可能となる。
【0121】
また、高周波発振器10を動作させずに可動ヒータ15による加熱を行う際には、可動ヒータ15の位置は、可動ヒータ15の移動領域内の任意の位置で設定することができる。よって、可動ヒータ15による調理を行う際には、被加熱物2により近づけることで、例えば焦げ目をつけておいしさを向上させることが可能である。
【0122】
また、本実施の形態3によれば、被加熱物2(食品等)の内部加熱に良好な特性を示すマイクロ波誘電加熱と、被加熱物2(食品等)の外部から輻射や熱伝達にて加熱するヒータ加熱の両方を実施することができ、調理の仕上がりを向上させることが可能となるのである。
【符号の説明】
【0123】
1 本体、2 被加熱物、3 加熱室、4 ドア、5 角皿、6 操作パネル、7 誘電体板、8 導波管、9 温度検知手段、10 高周波発振器、11 アンテナ、12 アンテナモータ、13 アンテナ室、14 下ヒータ、15 可動ヒータ、16 設定入力手段、17 報知手段、19 視認窓、21 ヒータ上下キー、22 メニュー選択キー、23 清掃キー、24 コンビ加熱キー、27 ドアロック、30 ガラス管ヒータ、31 反射板、32 底面板、38 底面凸部、39 ヒータ収納段差、40 ヒータ駆動板金、41 ラック、42 ピニオン、43 ヒータ駆動モータ、44 ガイシ、45 ヒータチョーク、46 ヒータカバー、47 角皿レール、50 ターンテーブル、51 ターンテーブル支持台、52 ターンテーブル回転軸、53 ターンテーブルモータ、54 ローラー、60 開閉検知スイッチ、100 制御手段、110 記憶手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源の可動構造を有する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術においては、例えば、「調理部を調理室内の初期位置から調理位置に移動させるための移動部によって作用される飲食物を加熱する可動調理部と、マグネトロンとを有する調理室を備えている電子レンジの制御方法において、移動部の動作によって調理部を調理位置に移動させる前及び後に、飲食物を加熱するマグネトロンを作動させる段階と、移動部が調理部を移動させているとき、マグネトロンの動作を禁止する段階とを有していて、前記調理部及びマグネトロンは、移動後に、共に飲食物を加熱するように配置され、前記マグネトロンを作動させる段階は、前記移動部と前記マグネトロンを同時に作動させるためのコンビ調理運転が選択されたかを判断する段階と、前記コンビ調理運転が選択されると、前記調理部を初期位置から調理位置に移動させる段階と、前記調理部の位置を検出する段階と、前記調理部の検出された位置に基づき、前記調理部が所定の調理位置に到達したかを判断する段階と、前記調理部が前記所定の調理位置に到達すると、前記移動部を停止させる段階と、前記移動部が停止された状態で前記マグネトロンを作動させる段階とを含むことを特徴とする電子レンジの制御方法。」が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3860141号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加熱調理器において、火力を上げることは調理器の本質とも言える部分である。火力アップは調理時間短縮のほかに、「焦げ目」や「クリスプ感」などに代表される、おいしさ向上要因に対しても影響を与え、すばやく、かつおいしく調理することを可能にする。火力をアップすることの方策としてはヒータへの投入電力を上げることが考えられる。
しかし、実際は投入可能な電力には限界がある。例えば家庭用100Vの商用電源では、総電力で1500W程度が限界である。
また、仮に投入電力に限界がなかったとしても、無理に投入電力を増加させることは加熱室や筐体が高温になってしまい、電気部品への温度低減対策が必要になることや、筐体高温化によって使用者へ不快感を与える可能性が高まるなどの弊害がある。
【0005】
そこで効果的に加熱性能を上げる一つの手段として、加熱源であるヒータを被加熱物に近づけるという方法がある。ヒータを被加熱物に近づけることができれば、輻射加熱の効果や雰囲気温度が相対に上がることによる熱伝達の効果も向上することになる。
このようなことから、加熱調理においては、ヒータを移動可能に構成して、被加熱物とヒータとの距離を任意に設定可能とすることで、好みの仕上がりとすることが望まれている。
【0006】
一方、食品内部を高速に加熱するという視点では、一般に知られる電子レンジのようにマイクロ波加熱(高周波誘電加熱)が有効である。輻射や熱伝達では被加熱物の外側から加熱するために、被加熱物表面のみ加熱が進んでしまい、内部の加熱が十分でない状態が考えられる。相対的に内部を加熱しやすいマイクロ波加熱は、被加熱物の内部と表面の温度上昇のバランスを取るのに有効に働く。
このようなマイクロ波加熱においては、加熱室内を反射するマイクロ波が多重反射し、定在波に代表されるような加熱の強い部分と弱い部分ができ、被加熱物に温度が高い部分と低い部分とができやすい。このため、マイクロ波による加熱を均一に行うことが望まれている。
【0007】
また、ヒータを任意の位置に配置し、マイクロ波加熱を行う場合、加熱室内のヒータがマイクロ波の反射要素となるため、ヒータの位置によって、加熱室内を反射するマイクロ波の電界分布が変化することになる。
このため、ヒータの位置によっては、マイクロ波の定在波分布が局所的に集中し、スパークや局所過熱が生じる場合がある、という問題点があった。
【0008】
上記特許文献1の技術では、ヒータである移動部が停止された状態でマグネトロンを作動させるようにし、ヒータが移動中にはマグネトロンからの出力を停止する制御を行っている。このため、マグネトロンの作動中は常にヒータが所定の調理位置に位置するため、マイクロ波の電界分布が変化せず、被加熱物の温度が高い部分と低い部分とができやすい、という問題点があった。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ヒータを移動可能に構成してマイクロ波加熱を行った場合に、加熱室内でのスパークや局所過熱の発生を防止することができる加熱調理器を得るものである。
また、マイクロ波による加熱を均一化し易くすることができる加熱調理器を得るものである。
また、ヒータによる加熱を行う場合には、被加熱物とヒータとの距離を任意に設定することができ、使用者の好みに応じたきめ細かい仕上がりを提供できる加熱調理器を得るものである。
また、ヒータの移動位置を調理内容に応じて自動で設定することができる加熱調理器を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る加熱調理器は、被加熱物を収納する加熱室と、前記被加熱物を加熱するための高周波を発振する高周波発振器と、前記加熱室に接続され、前記高周波発振器から発振された高周波を前記加熱室に導く導波管と、前記加熱室内に配置された可動ヒータと、前記可動ヒータを支持するヒータ支持手段と、前記ヒータ支持手段を上下方向に駆動し、前記可動ヒータを上下方向に移動させる駆動手段と、前記高周波発振器および前記可動ヒータの加熱動作、並びに前記駆動手段を制御する制御手段と、前記可動ヒータの移動領域のうち所定の領域に関する情報が予め記憶された記憶手段とを備え、前記制御手段は、前記可動ヒータの位置が前記所定の領域内にあるとき、前記高周波発振器による加熱動作を行い、前記可動ヒータの位置が前記所定の領域内にないとき、前記高周波発振器による加熱動作を行わないものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ヒータを移動可能に構成してマイクロ波加熱を行った場合に、加熱室内でのスパークや局所過熱の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の本体斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の要部側断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の要部正断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の概略上面図である。
【図5】本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の背面斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の要部上断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1を示す加熱調理器のドア周辺の要部側断面図である。
【図8】本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の操作パネルを示す図である。
【図9】本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の制御ブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の調理手順のフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態2を示す加熱調理器の調理手順のフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態2を示す加熱調理器の可動ヒータの上下動を説明する模式図である。
【図13】本発明の実施の形態3を示す加熱調理器の調理手順のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の本体斜視図である。
なお、図1以後の図では見易さを勘案し、必要に応じてケース(外装)などをとりはずした説明図となっている。
【0014】
図1において、本体1の中には加熱室3が設けられている。加熱室3の前面には、開口を開閉するドア4が設けられている。使用者はドア4を開き、被加熱物2(図示せず)を加熱室3内に収納する。
また、ドア4には、ガラスなどで構成される視認窓19が設けられ、加熱室3内の被加熱物2の調理状態を確認することが可能である。
【0015】
本体1の前面には、操作パネル6が設けられている。
使用者は、被加熱物2を加熱室3内に収納してドア4を閉め、この被加熱物2を加熱すべく、操作パネル6を操作して加熱を実施する。
【0016】
図2は本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の要部側断面図である。
図3は本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の要部正断面図である。
図4は本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の概略上面図である。
以下、図1〜図4を参照して説明する。
【0017】
10は高周波の発振源である高周波発振器(マグネトロン)である。高周波発振器10は、高周波(以下「マイクロ波」ともいう。)を発振する。例えば一般家庭などで用いられる加熱調理器では周波数約2450MHzのマイクロ波を発振する。
高周波発振器10から発振されたマイクロ波は、導波管8を介し、アンテナ11へ伝播する構造となっている。
【0018】
加熱室3内の底面中央には高周波を透過する誘電体板7が設置されている。
誘電体板7は、例えばセラミックなどで構成され、加熱室3の底面板32と略平坦を保つようにして設置されている。
誘電体板7の下には加熱室3内への高周波を効果的に伝播するアンテナ11が設置される。
アンテナ11は、電界放射を目的としており、アルミなどの良導体で製造され、中空であるアンテナシャフト部の先端に平板部を接続、あるいは一体で構成したものである。
【0019】
アンテナ11は、アンテナモータ12により回転駆動される。
アンテナ11は、アンテナ室13内で回転することで、アンテナ11表面から伝播するマイクロ波の強弱や加熱室3内に起こる定在波によるマイクロ波の強弱による影響を極力排除する。これにより、アンテナ11上部に位置する被加熱物2の加熱を平準化し、ひいては加熱ムラを抑制する効果を持つ。
【0020】
9は温度検知手段である。温度検知手段9は、加熱室3の壁面温度や雰囲気温度を計測する。
温度検知手段9は、例えば赤外線センサやサーミスタなど任意の検知手段を用いることができる。
【0021】
誘電体板7の両側部分には、金属で構成された底面板32を介して、被加熱物2を下方向から加熱できるようにするための下ヒータ14が、両側それぞれに設置されている。
下ヒータ14は、加熱室3の底面外側に設置されたガラス管ヒータ30と、このガラス管ヒータ30を加熱室底面とともに略封止する反射板31により構成された構成となっている。
下ヒータ14は、ガラス管ヒータ30からの輻射熱と、反射板31から反射される赤外線とによって加熱室3の底面が加熱され、底面の温度を上昇させることによって、被加熱物2を加熱することが可能となる。
ガラス管ヒータ30は、一般に温度上昇が早く、反射板31からの熱線反射もあいまって、加熱室3底面を効率よく加熱することが可能である。
また、誘電体板7とは区画されて設置されているため、比熱が大きいセラミックなどで構成されることが多い誘電体板7に吸熱される熱が少なくなるため、結果として被加熱物2に届く熱が大きくなる効果がある。
【0022】
さらに、下ヒータ14は、加熱室3の底面下に設けられているため、可動ヒータ15が上下移動した場合であっても、可動ヒータ15の移動領域と干渉しない(接触しない)ようになっている。
なお、下ヒータ14の配置位置はこれに限るものではない。加熱室3の中央より下側の領域であって、可動ヒータ15の移動領域と干渉しない位置に固定設置することができる。
【0023】
また、底面板32の加熱室3側には、効率よく加熱室3側へ熱を輻射するために、高輻射塗装が施してある。
また、底面板32には、底面板32が熱収縮や膨張した際の強度を増すために、底面凸部38を設けてある。
底面凸部38は、角皿5を加熱室3底面に直接おく場合のガイドレールとしても利用可能である。
また、加熱室3の内壁側面の略中央には、角皿5をスライド可能に支持する角皿レール47が形成されている。
【0024】
15は可動ヒータである。可動ヒータ15は、例えばシーズヒータにより構成する。
この可動ヒータ15は、被加熱物2を上面から加熱するための熱源である。可動ヒータ15が上下移動することにより、被加熱物2への距離を変えることが可能となる。このため、被加熱物2の焼き上がり状態を任意に変えることが可能である。
【0025】
図5は本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の背面斜視図である。
図6は本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の要部上断面図である。
ここからは図1〜図6を参照して説明する。
【0026】
可動ヒータ15は、加熱室3背面に支持部を備え、支持部を兼用するヒータ駆動板金40が上下動する構成としている。
可動ヒータの口出し部(2箇所)をヒータ駆動板金40に固定するとともに、固定したヒータ駆動板金40自体が上下動するような構造である。
本実施の形態1では、図2、図5に示すように、可動ヒータ15は、側面視クランク状で平面視蛇行状に屈曲して形成されている。
また、可動ヒータ15の平面視蛇行状部分は、側面視において加熱室3の底面と略平行となるように支持されている。
なお、可動ヒータ15の形状はこれに限るものではなく、任意の形状とすることができる。例えば側面視直線状に形成しても良い。
【0027】
ヒータ駆動板金40にはラック41が固定されており、ヒータ駆動モータ43によりピニオン42が回転することでヒータ駆動板金40を直動、すなわち上下方向に動作させる。
本実施の形態1では、可動ヒータ15を加熱室3の天面近傍の位置(以下「ホームポジション」ともいう。)から、加熱室3の略中央の位置の範囲(移動領域)で移動可能に形成されている。
なお、可動ヒータ15の移動領域はこれに限るものではない。例えば加熱室3の天面近傍の位置から、加熱室3の底面近傍の位置までを移動領域としてもよい。
【0028】
可動ヒータ15の口出し部には、口出し部を囲うヒータチョーク45とヒータカバー46にて、高周波漏洩を防止する袋小路構造、いわゆるチョーク構造をつくり、加熱室3内に伝播する高周波の漏洩を防止する。
【0029】
なお、「ヒータ駆動板金40」は、本発明における「ヒータ支持手段」に相当する。
なお、「ラック41」、「ピニオン42」、および「ヒータ駆動モータ43」は、本発明における「駆動手段」に相当する。
【0030】
加熱室3内の天面の可動ヒータ15と近接する位置には、ガイシ44が設置されている。
このガイシ44は、万が一、可動ヒータ15が変形するなどした場合にも、可動ヒータ15が加熱室3の天面に接触しないようにする絶縁スペーサとして働き、可動ヒータ15の絶縁状態を保持することが可能である。
なお、ガイシ44の設置位置はこれに限るものではない。加熱室3の天面のうち、加熱室3の天面近傍に移動された可動ヒータ15と近接する位置の少なくとも一部に、ガイシ44を設けるようすればよい。
【0031】
また、図2に示すように、加熱室3の天面には、加熱室3の内側に突き出したヒータ収納段差39を設けている。
このヒータ収納段差39を設けることで、可動ヒータ15が天面近傍の位置であるホームポジションに移動した際、加熱室3の天面の奥まった位置に収納され、可動ヒータ15が使用者の手に触れる可能性を低減させることができる。
なお、ヒータ収納段差39の位置はこれに限るものではない。加熱室3の天面のうち、加熱室3の天面近傍に移動された可動ヒータ15と、加熱室3の開口との間の少なくとも一部に、加熱室3内側に突き出したヒータ収納段差39を設けるようにすればよい。
【0032】
50はターンテーブルである。ターンテーブル50は、被加熱物2が載置され、加熱動作中に回転駆動される。
これにより被加熱物2を回転しながら加熱することが可能となり、均一加熱を実施しやすくなる。
【0033】
52はターンテーブル回転軸である。ターンテーブル回転軸52は、加熱室3背面から接続されているターンテーブルモータ53により回転する。
51はターンテーブル支持台である。ターンテーブル支持台51は、シリコンやPTFEなどの耐熱性の高い材料にて構成され、ターンテーブル50を支持するためのローラー54が設置されており、ターンテーブル回転軸52とともにターンテーブルを支持する。
【0034】
ターンテーブル50は、セラミックなどの高周波透過性の誘電体により形成する。これは高周波誘電加熱にもヒータ加熱にも適用可能とするためである。
ターンテーブル回転軸52の先端は、例えば傘歯車形状などの駆動力を伝達しやすい形状になっており、回転駆動力はターンテーブル50に伝えられ、回転することが可能となる。
一方、ターンテーブルモータ53側への接続は、加熱室3背面側に設けられたターンテーブル回転軸52のシャフト部分を挿して利用する。すなわち、加熱室3背面が、ターンテーブルモータ53と接続されたメス側、ターンテーブル回転軸52がオス側の関係となる。
本構成により、加熱室3底面にターンテーブル50を回転させるための駆動源を有する必要がなくなるため、底面給電部分、すなわち誘電体板7の部分を凹凸なく構成することが可能になる。
【0035】
図7は本発明の実施の形態1を示す加熱調理器のドア周辺の要部側断面図である。
図7に示すように、ドア4にはその開閉状態を検知する開閉検知スイッチ60が設置されている。
後述する制御手段100は、開閉検知スイッチ60によりドア4の開状態を検知し、開時には、高周波発振器10や、可動ヒータ15、下ヒータ14などの加熱源への電源供給をOFFにして加熱動作を停止させる。これにより、ドア4の開状態と加熱とが両立しない安全構造となっている。
【0036】
27はドアロックである。ドアロック27は、図示しない回転駆動手段により回動動作され、ドア4を閉じた状態に維持するロック状態と、ドア4を開閉可能とする解除状態とを切り換える。
なお、ドアロック27の構成はこれに限るものではない。ドア4を閉じた状態に維持するロック状態とドア4を開閉可能とする解除状態とを切り換えるものであれば良い。
後述する制御手段100は、可動ヒータ15が移動している間は、誤ってドア4が開かれないようにドアロック27をロック状態として、ドア4の開ができないようにする。動作の詳細は後述する。
【0037】
図8は本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の操作パネルを示す図である。
図8に示すように、操作パネル6は、設定入力手段16と、報知手段17とを有する。
報知手段17は、加熱時間や設定温度等の表示や、各種の注意喚起の報知を行う。
この報知手段17は、例えば、液晶(LCD)や各種発光素子(LEDなど)などにより構成することができる。
なお、本実施の形態1では表示により使用者に報知する場合を説明するが、本発明はこれに限るものではない。例えば音により報知するようにしても良い。
【0038】
設定入力手段16は、加熱開始や加熱時間の設定、目標加熱温度の設定などの入力操作を行う。
この設定入力手段16は、例えば、メンブレンシートを用いた接点ボタンにより構成され、使用者により接点ボタンが押下されることにより、入力操作を検知する。
なお、「設定入力手段16」は、本発明における「操作手段」に相当する。
【0039】
また、設定入力手段16は、ヒータ上下キー21、メニュー選択キー22、清掃キー23、コンビ加熱キー24を有している。
ヒータ上下キー21は、可動ヒータ15の移動量に関する操作の入力を行う。
メニュー選択キー22は、予め設定された1または複数の調理メニューを選択する操作の入力を行う。
清掃キー23は、使用者が清掃を行う際、可動ヒータ15をホームポジションから移動させることを許可する旨の操作の入力を行う。
コンビ加熱キー24は、高周波誘電加熱とヒータ加熱の両方を用いる調理(コンビ加熱)の開始操作の入力を行う。
【0040】
図9は本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の制御ブロック図である。
図9に示すように、制御手段100には、設定入力手段16からの操作入力、温度検知手段9の検知結果、および開閉検知スイッチ60の検知結果が入力される。
また、制御手段100は、高周波発振器10、アンテナモータ12、ターンテーブルモータ53、可動ヒータ15、ガラス管ヒータ30、ドアロック27、ヒータ駆動モータ43、および、報知手段17をそれぞれ制御する。
記憶手段110は、1または複数の調理メニューと、この調理メニューに応じた可動ヒータ15の位置に関する情報が記憶されている。
位置に関する情報としては、例えば、可動ヒータ15の加熱室3底面からの高さの情報が記憶される。
なお、位置に関する情報はこれに限るものではなく、加熱室3天面からの距離や、ラック41の移動量、ヒータ駆動モータ43の回転量など、可動ヒータ15の位置を特定できるものであればよい。
さらに、記憶手段110には、可動ヒータ15の移動領域のうち所定の領域に関する情報が予め記憶されている。
【0041】
制御手段100は、設定入力手段16からの入力操作により、ヒータ駆動モータ43を駆動させて、可動ヒータ15を入力された移動量に応じた位置に移動させる。
制御手段100は、後述する動作により記憶手段110の情報を参照し、可動ヒータ15を特定の位置または範囲に移動させるようにヒータ駆動モータ43を制御する。
【0042】
ここで、記憶手段110に予め記憶される所定の領域について説明する。
高周波発振器10を動作させてマイクロ波誘電加熱を実施する際は、加熱室3内を反射するマイクロ波が多重反射をした結果、定在波に代表されるような加熱の強い部分と弱い部分ができる。一方、加熱室3内を移動する可動ヒータ15はマイクロ波を反射するマイクロ波反射要素となるため、可動ヒータ15の位置によって、マイクロ波の電界分布が変化することになる。
このようなことから、可動ヒータ15の位置によっては、マイクロ波の定在波分布が局所的に集中し、スパークや局所過熱が生じる場合がある。
そこで、少なくとも加熱室3内に被加熱物2が収納されていない状態で、高周波発振器10を動作させた場合に、加熱室3内にスパークまたは局所過熱が生じない、可動ヒータ15の位置の範囲を、例えば実測や計算等で求め、所定の領域として予め記憶させる。
なお、少なくとも加熱室3内に被加熱物2が収納されていない状態とするのは、被加熱物2(調理容器等を含む)によっては、可動ヒータ15の位置にかかわらずスパークや局所過熱が生じる場合があるからである。
【0043】
次に、本実施の形態1の動作について説明する。
【0044】
図10は本発明の実施の形態1を示す加熱調理器の調理手順のフローチャートである。
以下、図10の各ステップに基づき説明する。
【0045】
(S101)
使用者は、ドア4を開け、調理対象となる被加熱物2を加熱室3内に設置したあと、ドア4を閉じる。
被加熱物2は、誘電体板7の上、ターンテーブル50の上、または別途用意されている角皿5の上に載置される。
角皿5を設置する場合には、加熱室3内に構成されている角皿レール47に角皿5のフランジをかける形で設置される。
なお、調理メニューとして予熱モード(後述)を選択する場合には、本ステップS101を省略する。
【0046】
(S102)
次に、使用者は、設定入力手段16を操作して、加熱種別や調理メニューを選択する。
加熱種別とは、例えば、高周波発振器10によるマイクロ波加熱、可動ヒータ15および下ヒータ14によるヒータ加熱、またはその両方のコンビ加熱の何れかである。
調理メニューとは、予め設定された1または複数の調理内容(調理種)である。
使用者は、メニュー選択キー22を操作して、1または複数の調理メニューから所望の調理内容を選択する。なお、調理メニューを選択せずに、加熱種別と、加熱時間や設定温度とを選択・設定するようにしても良い。
【0047】
(S103)
制御手段100は、設定入力手段16のメニュー選択キー22から調理メニューを選択する操作が入力されたか否かを判断する。
メニュー選択キー22の操作がない場合には、ステップS105に進む。
【0048】
(S104)
制御手段100は、上記ステップS102で、設定入力手段16から調理メニューを選択する操作が入力されたと判断した場合、記憶手段110を参照し、選択された調理メニューに応じた位置に関する情報を取得する。
そして、制御手段100は、取得した位置に関する情報に応じて、ヒータ駆動モータ43を駆動する。ヒータ駆動モータ43の駆動力は、ピニオン42からラック41へと伝達され、可動ヒータ15が上下方向に可動される。
これにより、可動ヒータ15は、選択された調理メニューに応じた位置に移動する。
【0049】
例えば、記憶手段110には、調理メニュー「トースト4枚切り」に対応する可動ヒータ15の位置として、角皿5の上に被加熱物2である4枚切りのトーストが載置された場合、できるだけ当該被加熱物2の近傍まで可動ヒータ15を近づけるような位置の情報が記憶される。
制御手段100は、調理メニューとして「トースト4枚切り」が選択された場合、記憶手段110の情報に応じて、4枚切りのトーストが載置された場合に近接する位置に、可動ヒータ15を移動させる。
このように、被加熱物2の厚みが薄く、短時間に高火力で焼成する調理の場合には、被加熱物2の近傍まで可動ヒータ15を移動させる。
【0050】
また、例えば、記憶手段110には、調理メニューとして「ローストビーフ」に対応する可動ヒータ15の位置として、加熱室3内の天面に近い所定の位置の情報が記憶される。
制御手段100は、調理メニューとして「ローストビーフ」が選択された場合、記憶手段110の情報に応じて、加熱室3内の天面に近い所定の位置に、可動ヒータ15を移動させる。
このように、被加熱物2がローストビーフのような厚みがあり、時間をかけて均一に加熱して、できるだけ表面をまんべんなく焼成する調理の場合には、加熱室3内の高い位置に可動ヒータ15を移動させる。
【0051】
また、例えば、記憶手段110には、調理メニューとして、被加熱物2を収納せずに加熱室3内の温度を上昇させる「予熱モード」が記憶される。この「予熱モード」に対応する可動ヒータ15の位置として、加熱室3の略中央より下の位置の情報が記憶される。例えば、可動ヒータ15の移動領域の最も下の位置の情報が記憶される。
制御手段100は、調理メニューとして「予熱モード」が選択された場合、記憶手段110の情報に応じて、加熱室3の可動領域の最も下の位置に、可動ヒータ15を移動させる。
このように、可動ヒータ15が加熱室3の底面に近づくことにより、熱容量の大きい誘電体板7が加熱されやすくなり、また熱い空気は上部に移動する対流による加熱も利用できることとなり、効率よく加熱室3内全体を加熱することができ、予熱時間を短縮することが可能となる。
【0052】
(S105)
次に、使用者は、必要により、設定入力手段16のヒータ上下キー21を操作して、可動ヒータ15の移動量に関する操作の入力を行う。
制御手段100は、設定入力手段16のヒータ上下キー21から可動ヒータ15の移動量に関する操作が入力されたか否かを判断する。
ヒータ上下キー21の操作がない場合には、ステップS109に進む。
【0053】
この移動量に関する操作としては、例えばヒータ上下キー21の上キーまたは下キーを押下している時間に応じて移動量を無段階に操作しても良いし、ヒータ上下キー21が押下される度に所定の移動量だけ増加または減算するように段階的に操作しても良い。
なお、移動量に関する操作はこれに限るものではなく、可動ヒータ15の位置を指定するものであればよい。例えば、数値キーを設けて底面(または天面)からの距離を数値により指定しても良いし、可動ヒータ15の位置をそれぞれ指定する複数のキーを設けるようにしても良い。
【0054】
(S106)
制御手段100は、上記ステップS105で、設定入力手段16のヒータ上下キー21から可動ヒータ15の移動量に関する操作が入力されたと判断した場合、設定入力手段16からの入力操作に基づきヒータ駆動モータ43を駆動する。ヒータ駆動モータ43の駆動力は、ピニオン42からラック41へと伝達され、可動ヒータ15が上下方向に可動する。
これにより、制御手段100は、可動ヒータ15を移動量に応じた位置に移動させる。
【0055】
このように、使用者は、被加熱物2における所望の仕上がり状態にあわせて、視認窓19から可動ヒータ15と被加熱物2との距離と、仕上がりを確認しながら、任意の位置または予め設定されている位置にて可動ヒータ15を停止させて、加熱の準備を行う。
また、調理メニューに応じた位置に可動ヒータ15を移動させた後、使用者の操作により可動ヒータ15を可動させることで、可動ヒータ15の位置を微調整することも可能となる。
なお、本実施の形態1では、加熱調理を開始する前に可動ヒータ15を移動させる場合を説明するが、本発明はこれに限るものではない。例えば、可動ヒータ15での加熱調理中に、可動ヒータ15を移動させるようにしても良い。
【0056】
また、制御手段100は、上記ステップS104およびS106において、可動ヒータ15を可動させている際には、報知手段17により、可動ヒータ15が移動している旨を報知させる。
特に、可動ヒータ15が一旦加熱された直後に、連続調理を実施する際などは、可動ヒータ15が高温となっている。このような場合に、加熱室3内に使用者の手が入ると、誤って高温の可動ヒータ15に触れてしまう可能性がある。
上記の報知により、使用者に対して注意喚起を行うことが可能となり、使用者の火傷の確率を下げることが可能となる。
【0057】
この可動ヒータ15が移動している旨の報知としては、例えば、報知手段17に「ヒータ移動中注意」の表示をする。
なお、報知の方法はこれに限るものではない。例えば、ランプの点灯・点滅などの光による報知や、音や振動による報知も可能である。
【0058】
なお、本実施の形態1では、可動ヒータ15が移動している際に報知を行う場合を説明するが、本発明はこれに限るものではない。
制御手段100は、可動ヒータ15が、加熱室3の天面近傍の位置であるホームポジションにないとき、報知手段17により、可動ヒータ15がホームポジションにない旨を報知させるようにしても良い。
このような報知により、可動ヒータ15が使用者に触れられやすい位置にある場合に、使用者に対して注意喚起を行うことが可能となり、使用者が誤って可動ヒータ15に触れる可能性を低減させることができる。
【0059】
また、制御手段100は、上記ステップS104およびS106において、可動ヒータ15を可動させている際には、ドアロック27を動作させてドア4をロック状態にするようにしても良い。
これにより、可動ヒータ15が移動している際にドア4が開けられ、使用者の手が加熱室3内に入ることを防止し、使用者が誤って可動ヒータ15に触れる可能性を低減させることができる。
なお、制御手段100は、可動ヒータ15が加熱室3の天面近傍の位置であるホームポジションにないとき、ドアロック27を動作させてロック状態にするようにしても良い。
このような動作により、可動ヒータ15が使用者に触れられやすい位置にある場合に、ドア4が開けられることを防止し、使用者が誤って可動ヒータ15に触れる可能性を低減させることができる。
【0060】
(S107)
次に、制御手段100は、可動ヒータ15の位置が、記憶手段110に記憶された所定の領域内にあるか否かを判断する。
所定の領域内にある場合には、ステップS109に進む。
【0061】
(S108)
所定の領域内にない場合には、制御手段100は、上記ステップS102で設定された加熱種または調理メニューが、高周波発振器10による加熱動作を行うか否かを判断する。
高周波発振器10による加熱動作を行わない設定の場合には、ステップS109に進む。
一方、高周波発振器10による加熱動作を行う設定の場合、制御手段100は、報知手段17により、高周波発振器10による加熱動作を禁止する旨の報知をし、ステップS102に戻る。
なお、このとき制御手段100は、報知手段17により、可動ヒータ15の位置が所定領域にない旨を報知するようにしても良い。
【0062】
このように、制御手段100は、可動ヒータ15の位置が所定の領域内にあるとき、高周波発振器10による加熱動作を行い、可動ヒータ15の位置が所定の領域内にないとき、高周波発振器10による加熱動作を行わない。
これにより、加熱室3内壁や可動ヒータ15を反射するマイクロ波が多重反射をした結果、加熱室3内で生じるスパークや局所過熱の発生を防止することができる。
また、可動ヒータ15や下ヒータ14による加熱では、可動ヒータ15の位置にかかわらず加熱動作を行うことが可能となる。
【0063】
(S109)
次に、使用者は、設定入力手段16を操作して、調理終了の目標となる被加熱物2の温度(終了温度)や、調理時間(終了時間)等を設定し、スタートキーなどで加熱調理を開始させる操作を行う。
なお、終了温度や終了時間等の設定は上記ステップS102で行うようにしても良い。
【0064】
(S110)
制御手段100は、設定入力手段16からの入力操作に基づき、可動ヒータ15、下ヒータ14のガラス管ヒータ30、および高周波発振器10の何れかまたは全てを駆動する。
また、制御手段100は、加熱動作中にドア4が開かれることがないよう、ドアロック27を駆動して、ドア4をロック状態にする。
なお、ドア4のロックは、設定入力手段16の操作により行うようにしても良い。
【0065】
(S111)
制御手段100は、温度検知手段9の温度検知結果を取得し、当該検知温度が、ステップS109で入力された調理終了の目標温度(終了温度)を超えたか否かを判断する。
終了温度を超えたと判断した場合は、ステップS113に進む。
【0066】
(S112)
ステップS111で終了温度を超えていないと判断した場合、制御手段100は、加熱時間が終了時間以上となったか否かを判断する。
加熱時間が終了時間未満である場合には、ステップS111に戻り加熱を継続する。
一方、加熱時間が終了時間以上である場合には、ステップS113に進む。
すなわち、被加熱物2の温度が終了温度に到達した場合、または、加熱時間が終了時間となった場合に、ステップS113に移行する。
【0067】
(S113)
制御手段100は、可動ヒータ15、下ヒータ14のガラス管ヒータ30、および高周波発振器10のうち駆動中の加熱手段への通電を停止させる。
【0068】
(S114)
次に、制御手段100は、ヒータ駆動モータ43を駆動し、可動ヒータ15を加熱室3の天面近傍の位置であるホームポジションに移動させる。
これにより、使用者が加熱室3を開いて被加熱物2を取り出す際には、可動ヒータ15が加熱室3内天面のホームポジションに位置するため、可動ヒータ15が使用者の手に触れる可能性を低減することができる。
さらに、図2に示すように、加熱室3の天面にはヒータ収納段差39を形成しているので、可動ヒータ15は加熱室3天面の開口から奥まった位置に収納され、使用者の手に触れる可能性をさらに低減することができる。
【0069】
なお、ステップS114においても、上記ステップS104およびS106と同様に、可動ヒータ15の移動中の報知を行い、ドア4をロック状態とする。
【0070】
(S115)
制御手段100は、ドアロック27を動作させてドア4を解除状態にする。
【0071】
(S116)
使用者は、ドア4を開け、被加熱物2を加熱室3から取り出し、調理手順を終了する。
なお、調理メニューとして予熱モードを選択した場合には、使用者は、ドア4を開け、調理対象となる被加熱物2を加熱室3内に設置したあとドア4を閉じ、所望の加熱を行わせる。
【0072】
なお、上記ステップの何れにおいても、制御手段100は、開閉検知スイッチ60によりドア4の開状態を検知したとき、可動ヒータ15をホームポジションに移動させるようにしても良い。
これにより、例えば加熱開始前にドア4が開いた場合や、加熱中に何らかの理由によりドア4が開いた場合、即時に可動ヒータ15をホームポジションに移動させることができ、使用者が誤って可動ヒータ15に触れる可能性を低減させることができる。
【0073】
なお、本実施の形態1では、調理メニューの選択に応じた可動ヒータ15の移動と、ヒータ上下キー21の操作に応じた可動ヒータ15の移動をともに実行可能な加熱調理器について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、何れか一方のみを行うするようにしても良い。
【0074】
なお、本実施の形態1では、高周波発振器10による加熱動作を行う前に、可動ヒータ15が所定の領域にあるか否かを判断したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、高周波発振器10による加熱動作を実行中に、常時、可動ヒータ15の位置が所定の領域にあるか否かを判断し、所定の領域をはずれた場合には、高周波発振器10の動作を停止させるようにしても良い。
【0075】
以上のように本実施の形態においては、可動ヒータ15の移動領域のうち所定の領域に関する情報が予め記憶された記憶手段110を備え、制御手段100は、可動ヒータ15の位置が所定の領域内にあるとき、高周波発振器10による加熱動作を行い、可動ヒータ15の位置が所定の領域内にないとき、高周波発振器10による加熱動作を行わない。
このため、高周波発振器10による加熱動作中は可動ヒータ15が所定の領域に位置することになり、加熱室3内壁や可動ヒータ15を反射するマイクロ波が多重反射をした結果、加熱室3内で生じるスパークや局所過熱の発生を防止することができる。
また、可動ヒータ15や下ヒータ14による加熱では、可動ヒータ15の位置にかかわらず加熱動作を行うことが可能となる。
また、可動ヒータ15が所定の領域内にある場合には、高周波発振器10によるマイクロ波加熱を行うことができる。よって、可動ヒータ15と高周波発振器10による加熱動作を行うことができ、使用者の任意の仕上がりを調整することを可能とし、ひいては調理の楽しさを演出することができる。
【0076】
また、所定の領域は、少なくとも加熱室3内に被加熱物2が収納されていない状態で、高周波発振器10を動作させた場合に、加熱室3内にスパークまたは局所過熱が生じない、可動ヒータ15の位置の範囲である。
このため、加熱室3内でのスパークや局所過熱の発生を防止することができる。
【0077】
また、制御手段100は、設定入力手段16からの入力操作に基づき駆動手段を制御し、可動ヒータ15を移動量に応じた位置に移動させ、可動ヒータ15による加熱動作を行う。
このため、可動ヒータ15による加熱を行う場合には、被加熱物2と可動ヒータ15との距離を任意に設定することができ、使用者の好みに応じたきめ細かい仕上がりを提供できる。
【0078】
また、記憶手段110は、1または複数の調理メニューと、該調理メニューに応じた可動ヒータ15の位置に関する情報が記憶され、制御手段100は、選択された調理メニューに応じた位置に、可動ヒータ15を移動させる。
このため、ヒータの移動位置を調理内容に応じて自動で設定することができる加熱調理器を得るものである。
【0079】
また、制御手段100は、可動ヒータ15を移動させているとき、ドアロック27を動作させてロック状態にする。
このため、可動ヒータ15が移動している際にドア4が開けられ、使用者の手が加熱室3内に入ることを防止し、使用者が誤って可動ヒータ15に触れる可能性を低減させることができる。
【0080】
実施の形態2.
本実施の形態2では、可動ヒータ15を所定の領域内で上下方向に移動させながら、高周波発振器10による加熱動作を行い、マイクロ波による加熱を均一化し易くする形態について説明する。
【0081】
なお、本実施の形態2の構成は上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
なお、以下の動作においては、高周波発振器10による加熱動作(第1の調理工程)のあと、可動ヒータ15による加熱動作(第2の調理工程)を実施するコンビ加熱の調理手順について説明する。
なお、「コンビ加熱」は、本発明の「連続調理モード」に相当する。
【0082】
図11は本発明の実施の形態2を示す加熱調理器の調理手順のフローチャートである。
図12は本発明の実施の形態2を示す加熱調理器の可動ヒータの上下動を説明する模式図である。
以下、図11の各ステップに基づき、図12を参照しながら説明する。
【0083】
(S201)
使用者は、ドア4を開け、調理対象となる被加熱物2を加熱室3内に設置したあと、ドア4を閉じる。
被加熱物2は、誘電体板7の上、ターンテーブル50の上、または別途用意されている角皿5の上に載置される。
角皿5を設置する場合には、加熱室3内に構成されている角皿レール47に角皿5のフランジをかける形で設置される。
【0084】
(S202)
次に、使用者は、設定入力手段16を操作して、加熱種別や調理メニューを選択する。
加熱種別とは、例えば、高周波発振器10によるマイクロ波加熱、可動ヒータ15および下ヒータ14によるヒータ加熱、またはその両方のコンビ加熱の何れかである。
調理メニューとは、予め設定された1または複数の調理内容(調理種)である。
使用者は、コンビ加熱を行う場合、コンビ加熱キー24を選択する。
また、メニュー選択キー22を操作して、1または複数の調理メニューから所望の調理内容を選択する。なお、調理メニューを選択せずに、加熱種別と、加熱時間や設定温度とを選択・設定するようにしても良い。
【0085】
(S203)
次に、使用者は、設定入力手段16を操作して、調理終了の目標となる被加熱物2の温度(終了温度)や、マイクロ波加熱からヒータ加熱に移行する温度(目標温度)、調理時間(終了時間)等を設定する。
なお、これらの設定は上記調理メニューに応じて予め設定しておいても良い。
使用者は、スタートキーなどで加熱調理を開始させる操作を行う。
【0086】
(S204)
制御手段100は、設定入力手段16からの入力操作に基づき、高周波発振器10を動作させ、マイクロ波加熱を開始する。
高周波発振器10により発振されたマイクロ波は、加熱室3内に伝播され、誘電加熱が実施される。
また、制御手段100は、加熱動作中にドア4が開かれることがないよう、ドアロック27を駆動して、ドア4をロック状態にする。
なお、ドア4のロックは、設定入力手段16の操作により行うようにしても良い。
【0087】
(S205)
制御手段100は、記憶手段110に記憶された所定の領域の情報を取得し、当該所定の領域内で可動ヒータ15を上下方向に移動(往復移動)させる。
すなわち、可動ヒータ15を所定の領域内で上下方向に移動させながら、高周波発振器10による加熱動作を行う。
【0088】
例えば図12に示すように、所定の領域が高さA〜Bである場合、制御手段100は、可動ヒータ15を、この高さA〜Bの範囲で上下に往復移動させる。
これにより、可動ヒータ15の位置によって、マイクロ波の電界分布が変化することになり、可動ヒータ15を固定した場合と比較して、被加熱物2の温度が高い部分と低い部分とができにくく、加熱ムラを低減することができる。
また、可動ヒータ15を移動させる範囲は、所定の領域内であるため、高周波発振器10を動作させながら可動ヒータ15を移動させても、加熱室3内でのスパークや局所過熱の発生を防止することができる。
【0089】
(S206)
次に、制御手段100は、温度検知手段9の温度検知結果を取得し、当該検知温度が、目標温度を超えたか否かを判断する。
目標温度を超えていない場合は、上記ステップS205を繰り返す。
一方、目標温度を超えたと判断した場合は、ステップS207に進み、第2の調理工程である可動ヒータ15による加熱動作に移行する。
【0090】
なお、目標温度は、ステップS203で入力するようにしても良いし、各調理メニュー毎に、調理の種類等に応じた温度を予め記憶手段110に記憶させるようにしても良い。
例えば、終了温度が100℃である場合には、第2の調理工程での温度上昇分を加味して、目標温度を60℃で停止するなど、仕上がり状態から推測される適当な温度を、記憶手段110に事前に記憶、設定しておくことで、良好な仕上がり状態とすることができる。
なお、「目標温度」は、本発明における「所定の温度」に相当する。
【0091】
(S207)
制御手段100は、高周波発振器10の動作を停止させる。
また、制御手段100は、記憶手段110を参照し、当該調理メニューに応じた可動ヒータ15の位置に関する情報を取得する。そして、制御手段100は、取得した位置に関する情報に応じて、ヒータ駆動モータ43を駆動し、可動ヒータ15を移動させる。
【0092】
ここでの可動ヒータ15の位置は、可動ヒータ15の移動領域内の任意の位置で設定することができる。
例えば、図12に示すように、制御手段100は、所定の範囲外である高さCの位置に、可動ヒータ15を移動させる。
このように、可動ヒータ15による調理を行う際には、被加熱物2により近づけることで、例えば焦げ目をつけておいしさをアップさせることが可能である。
【0093】
(S208)
制御手段100は、可動ヒータ15および下ヒータ14を駆動させ、第2の調理工程であるヒータによる加熱動作を開始させる。
【0094】
(S209)
制御手段100は、温度検知手段9の温度検知結果を取得し、当該検知温度が、ステップS203で入力された終了温度を超えたか否かを判断する。
終了温度を超えていないと判断した場合、本ステップS209を繰り返し、加熱を継続する。
【0095】
(S210)
一方、終了温度を超えたと判断した場合、制御手段100は、可動ヒータ15、下ヒータ14の加熱動作を停止させる。
【0096】
(S211)
次に、制御手段100は、ヒータ駆動モータ43を駆動し、可動ヒータ15を加熱室3の天面近傍の位置であるホームポジションに移動させる。
【0097】
(S212)
制御手段100は、ドアロック27を動作させてドア4を解除状態にする。
【0098】
(S213)
使用者は、ドア4を開け、被加熱物2を加熱室3から取り出し、調理手順を終了する。
【0099】
なお、上記ステップS206およびS209では、検知温度に基づき、第2の調理工程への移行や調理の終了を判断したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、ステップS203で設定された終了時間や、調理メニューに応じて予め設定された時間等に応じて、第2の工程への移行判断や調理終了判断をするようにしても良い。
【0100】
なお、本実施の形態2では、高周波発振器10による加熱動作の後に、可動ヒータ15による加熱動作を行う場合を説明したが、本発明はこれに限るものでない。例えば、第1の調理工程において、可動ヒータ15を所定の範囲内で往復移動させながら、当該可動ヒータ15による加熱と、高周波発振器10による加熱とを同時に行うようにしても良い。
【0101】
なお、本実施の形態2では、第1の調理工程の後に、第2の調理工程を行うコンビ加熱の場合を説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、第1の調理工程のみを行うようにしても良い。このような動作であっても、マイクロ波の電界分布が変化することになり、加熱ムラを低減することができる。
【0102】
以上のように本実施の形態においては、制御手段100は、可動ヒータ15を所定の領域内で上下方向に移動させながら、高周波発振器10による加熱動作を行う。
このため、可動ヒータ15の位置によって、マイクロ波の電界分布が変化することになり、可動ヒータ15を固定した場合と比較して、被加熱物2の温度が高い部分と低い部分とができにくく、加熱ムラを低減することができる。よって、マイクロ波による加熱を均一化し易くすることができる。特に、被加熱物2が大きい対象物である場合には、この効果は顕著である。
また、可動ヒータ15を移動させる範囲は、所定の領域内であるため、高周波発振器10を動作させながら可動ヒータ15を移動させても、加熱室3内でのスパークや局所過熱の発生を防止することができる。
また、マイクロ波の照射状態を変更させることが可能となり、効率よく加熱室3内にマイクロ波を導き、被加熱物2の加熱効率を向上させることが可能となる。
また、可動ヒータ15を固定した場合と比較して、高周波発振器10の自己発熱などの不具合の発生確率を下げることが可能となる。
【0103】
また、記憶手段110は、調理メニューとして、高周波発振器10を動作させる第1の調理工程と、可動ヒータ15を動作させる第2の調理工程とを有する連続調理モードが記憶され、第1の調理工程に対応した可動ヒータ15の位置が、所定の領域内の位置であり、第2の調理工程に対応した可動ヒータ15の位置が、可動ヒータ15の移動領域内の任意の位置である。
このため、マイクロ波反射要素である可動ヒータ15を動かしながらマイクロ波加熱する第1の調理工程の後に、可動ヒータ15を被加熱物2に応じた位置に移動させてヒータ加熱する第2の調理工程を行うことができ、被加熱物2の内部、表面の順に加熱することが可能となる。よって、調理の仕上がり、特に被加熱物2の表面にクリスプ感を与える仕上がりを可能とすることができる。
【0104】
また、本実施の形態2によれば、被加熱物2(食品等)の内部加熱に良好な特性を示すマイクロ波誘電加熱と、被加熱物2(食品等)の外部から輻射や熱伝達にて加熱するヒータ加熱の両方を実施することができ、調理の仕上がりを向上させることが可能となるのである。
特に、第1の調理工程で食品内部を加熱しやすくすることで、食品内部から食品表面への水分移動を促した上で、第2の調理工程として、輻射あるいは雰囲気からの熱伝達で食品表面を加熱することで、水分を飛ばす効果を持たせることが可能となり、水分含有量が小さい調理などではより効力を発揮しやすい。
【0105】
実施の形態3.
本実施の形態3では、加熱室3内の任意の位置にマイクロ波の定在波分布を集中させ、または、加熱室3内にマイクロ波の定在波分布を拡散させるように、可動ヒータ15を移動させて、マイクロ波による加熱を行う形態について説明する。
【0106】
本実施の形態3の記憶手段110には、所定の領域内であって、高周波発振器10を動作させた場合に、加熱室3内の任意の位置にマイクロ波の定在波分布を集中させる可動ヒータ15の位置、および、加熱室3内にマイクロ波の定在波分布を拡散させる可動ヒータ15の位置に関する情報の少なくとも一方が、1または複数記憶されている。
なお、このマイクロ波の定在波分布を集中させる位置、および拡散させる位置は、例えば実測や計算等で求める。
なお、その他の構成は上記実施の形態1または2と同様であり、同一部分には同一の符号を付する。
【0107】
図13は本発明の実施の形態3を示す加熱調理器の調理手順のフローチャートである。
以下、図13の各ステップに基づき、上記実施の形態1、2との相違点を中心に説明する。
なお、以下の動作においては、高周波発振器10による加熱動作(第1の調理工程)のあと、可動ヒータ15による加熱動作(第2の調理工程)を実施するコンビ加熱の調理手順について説明する。
【0108】
(S301、S302)
上記ステップS201、S202と同様に、使用者は、被加熱物2を加熱室3内に設置し、設定入力手段16を操作して、コンビ加熱キー24を選択する。
【0109】
(S303)
制御手段100は、記憶手段110を参照し、所定の領域内であって、マイクロ波の定在波分布を集中させる可動ヒータ15の位置、または、マイクロ波の定在波分布を拡散させる可動ヒータ15の位置に関する情報の何れか1つを選択し、当該情報を取得する。ここでの選択は、例えば、ステップS302で設定された調理メニューに応じたものでも良いし、別途、使用者の操作により設定しても良い。
そして、制御手段100は、取得した位置に関する情報に応じて、ヒータ駆動モータ43を駆動する。ヒータ駆動モータ43の駆動力は、ピニオン42からラック41へと伝達され、可動ヒータ15が上下方向に可動される。
これにより、可動ヒータ15は、所定の領域内であって、マイクロ波の定在波分布を集中させる可動ヒータ15の位置、または、マイクロ波の定在波分布を拡散させる可動ヒータ15の位置に移動する。
【0110】
(S304、305)
上記ステップS203、S204と同様に、使用者は、終了温度や終了時間等を設定したあと調理を開始させる操作を行う。制御手段100は、高周波発振器10を動作させ、ドア4をロック状態にする。
【0111】
(S306)
次に、制御手段100は、高周波発振器10による加熱動作時間が目標時間を超えたか否かを判断する。
目標時間を超えていない場合は、本ステップS306を繰り返し、加熱を継続する。
一方、目標時間を超えたと判断した場合は、ステップS307に進み、第2の調理工程である可動ヒータ15による加熱動作に移行する。
【0112】
なお、目標時間は、ステップS304で入力するようにしても良いし、各調理メニュー毎に、調理の種類等に応じた時間を予め記憶手段110に記憶させるようにしても良い。
なお、「目標時間」は、本発明における「所定の時間」に相当する。
【0113】
(S307)
制御手段100は、高周波発振器10の動作を停止させる。
また、制御手段100は、記憶手段110を参照し、当該調理メニューに応じた可動ヒータ15の位置に関する情報を取得する。そして、制御手段100は、取得した位置に関する情報に応じて、ヒータ駆動モータ43を駆動し、可動ヒータ15を移動させる。
【0114】
ここでの可動ヒータ15の位置は、可動ヒータ15の移動領域内の任意の位置で設定することができる。
このように、可動ヒータ15による調理を行う際には、被加熱物2により近づけることで、例えば焦げ目をつけておいしさをアップさせることが可能である。
【0115】
(S308)
制御手段100は、可動ヒータ15および下ヒータ14を駆動させ、第2の調理工程であるヒータによる加熱動作を開始させる。
【0116】
(S309)
次に、制御手段100は、可動ヒータ15による加熱動作時間が終了時間を超えたか否かを判断する。
終了時間を超えていない場合は、本ステップS309を繰り返し、加熱を継続する。
一方、終了時間を超えたと判断した場合は、ステップS310に進む。
【0117】
(S310〜S313)
上記ステップS210〜S213と同様の動作により、加熱動作を停止し、可動ヒータ15をホームポジションに移動させ、ドア4のロックを解除にする。そして使用者は被加熱物2を取り出して調理手順を終了する。
【0118】
なお、上記ステップS306およびS309では、経過時間に基づき、第2の調理工程への移行や調理の終了を判断したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、ステップS304で設定された終了温度や、調理メニューに応じて予め設定された温度等に応じて、第2の工程への移行判断や調理終了判断をするようにしても良い。
【0119】
なお、本実施の形態3では、第1の調理工程の後に、第2の調理工程を行うコンビ加熱の場合を説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、第1の調理工程のみを行うようにしても良い。このような動作であっても、マイクロ波の定在波分布の集中または拡散が可能となる。
【0120】
以上のように本実施の形態においては、記憶手段110は、所定の領域内であって、高周波発振器10を動作させた場合に、加熱室3内の任意の位置に高周波の定在波分布を集中させる可動ヒータ15の位置、または、加熱室3内に高周波の定在波分布を拡散させる可動ヒータ15の位置に関する情報が、1または複数記憶され、制御手段100は、記憶手段110に記憶された位置の何れかに可動ヒータ15を移動させ、高周波発振器10による加熱動作を行う。
このため、可動ヒータ15の位置によるマイクロ波の反射状態が変化することを利用して、加熱室3内の任意の位置にマイクロ波の定在波分布を集中させることができ、被加熱物2の任意の位置を集中して加熱することが可能となる。
また、加熱室3内にマイクロ波の定在波分布を拡散させることができ、被加熱物2の加熱ムラを低減することができる。
また、可動ヒータ15を所定の範囲に配置することで、効率よく加熱室3内に高周波を導き、被加熱物2の加熱効率を向上させることができ、高周波発振器10の自己発熱などの不具合の発生確率を下げることが可能となる。
【0121】
また、高周波発振器10を動作させずに可動ヒータ15による加熱を行う際には、可動ヒータ15の位置は、可動ヒータ15の移動領域内の任意の位置で設定することができる。よって、可動ヒータ15による調理を行う際には、被加熱物2により近づけることで、例えば焦げ目をつけておいしさを向上させることが可能である。
【0122】
また、本実施の形態3によれば、被加熱物2(食品等)の内部加熱に良好な特性を示すマイクロ波誘電加熱と、被加熱物2(食品等)の外部から輻射や熱伝達にて加熱するヒータ加熱の両方を実施することができ、調理の仕上がりを向上させることが可能となるのである。
【符号の説明】
【0123】
1 本体、2 被加熱物、3 加熱室、4 ドア、5 角皿、6 操作パネル、7 誘電体板、8 導波管、9 温度検知手段、10 高周波発振器、11 アンテナ、12 アンテナモータ、13 アンテナ室、14 下ヒータ、15 可動ヒータ、16 設定入力手段、17 報知手段、19 視認窓、21 ヒータ上下キー、22 メニュー選択キー、23 清掃キー、24 コンビ加熱キー、27 ドアロック、30 ガラス管ヒータ、31 反射板、32 底面板、38 底面凸部、39 ヒータ収納段差、40 ヒータ駆動板金、41 ラック、42 ピニオン、43 ヒータ駆動モータ、44 ガイシ、45 ヒータチョーク、46 ヒータカバー、47 角皿レール、50 ターンテーブル、51 ターンテーブル支持台、52 ターンテーブル回転軸、53 ターンテーブルモータ、54 ローラー、60 開閉検知スイッチ、100 制御手段、110 記憶手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収納する加熱室と、
前記被加熱物を加熱するための高周波を発振する高周波発振器と、
前記加熱室に接続され、前記高周波発振器から発振された高周波を前記加熱室に導く導波管と、
前記加熱室内に配置された可動ヒータと、
前記可動ヒータを支持するヒータ支持手段と、
前記ヒータ支持手段を上下方向に駆動し、前記可動ヒータを上下方向に移動させる駆動手段と、
前記高周波発振器および前記可動ヒータの加熱動作、並びに前記駆動手段を制御する制御手段と、
前記可動ヒータの移動領域のうち所定の領域に関する情報が予め記憶された記憶手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記可動ヒータの位置が前記所定の領域内にあるとき、前記高周波発振器による加熱動作を行い、
前記可動ヒータの位置が前記所定の領域内にないとき、前記高周波発振器による加熱動作を行わない
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記可動ヒータを前記所定の領域内で上下方向に移動させながら、前記高周波発振器による加熱動作を行う
ことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記記憶手段は、
前記所定の領域内であって、前記高周波発振器を動作させた場合に、前記加熱室内の任意の位置に高周波の定在波分布を集中させる前記可動ヒータの位置、および、前記加熱室内に高周波の定在波分布を拡散させる前記可動ヒータの位置に関する情報の少なくとも一方が、1または複数記憶され、
前記制御手段は、
前記記憶手段に記憶された前記位置の何れかに前記可動ヒータを移動させ、
前記高周波発振器による加熱動作を行う
ことを特徴とする請求項1または2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記可動ヒータの移動量に関する操作の入力を行う操作手段を備え、
前記制御手段は、
前記操作手段からの入力操作に基づき前記駆動手段を制御し、前記可動ヒータを前記移動量に応じた位置に移動させ、
前記可動ヒータによる加熱動作を行う
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記記憶手段は、
1または複数の調理メニューと、該調理メニューに応じた前記可動ヒータの位置に関する情報が記憶され、
前記制御手段は、
選択された調理メニューに応じた前記位置に、前記可動ヒータを移動させる
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記記憶手段は、
前記調理メニューとして、前記高周波発振器を動作させる第1の調理工程と、前記可動ヒータを動作させる第2の調理工程とを有する連続調理モードが記憶され、
前記第1の調理工程に対応した前記可動ヒータの位置が、前記所定の領域内の位置であり、
前記第2の調理工程に対応した前記可動ヒータの位置が、前記可動ヒータの移動領域内の任意の位置である
ことを特徴とする請求項5記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記加熱室内の温度を検知する温度検知手段を備え、
前記制御手段は、
前記連続調理モードの前記第1の調理工程において、前記加熱室内の温度が所定の温度を超えたとき、前記第2の調理工程に移行する
ことを特徴とする請求項6記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記連続調理モードの前記第1の調理工程において、前記高周波発振器による加熱動作時間が所定の時間を超えたとき、前記第2の調理工程に移行する
ことを特徴とする請求項6記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記加熱室の開口を開閉するドアと、
前記ドアを閉じた状態に維持するロック状態と、前記ドアを開閉可能とする解除状態とを切り換えるドアロックと
を備え、
前記制御手段は、
前記可動ヒータを移動させているとき、前記ドアロックを動作させてロック状態にする
ことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記所定の領域は、
少なくとも前記加熱室内に被加熱物が収納されていない状態で、前記高周波発振器を動作させた場合に、前記加熱室内にスパークまたは局所過熱が生じない、前記可動ヒータの位置の範囲である
ことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の加熱調理器。
【請求項1】
被加熱物を収納する加熱室と、
前記被加熱物を加熱するための高周波を発振する高周波発振器と、
前記加熱室に接続され、前記高周波発振器から発振された高周波を前記加熱室に導く導波管と、
前記加熱室内に配置された可動ヒータと、
前記可動ヒータを支持するヒータ支持手段と、
前記ヒータ支持手段を上下方向に駆動し、前記可動ヒータを上下方向に移動させる駆動手段と、
前記高周波発振器および前記可動ヒータの加熱動作、並びに前記駆動手段を制御する制御手段と、
前記可動ヒータの移動領域のうち所定の領域に関する情報が予め記憶された記憶手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記可動ヒータの位置が前記所定の領域内にあるとき、前記高周波発振器による加熱動作を行い、
前記可動ヒータの位置が前記所定の領域内にないとき、前記高周波発振器による加熱動作を行わない
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記可動ヒータを前記所定の領域内で上下方向に移動させながら、前記高周波発振器による加熱動作を行う
ことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記記憶手段は、
前記所定の領域内であって、前記高周波発振器を動作させた場合に、前記加熱室内の任意の位置に高周波の定在波分布を集中させる前記可動ヒータの位置、および、前記加熱室内に高周波の定在波分布を拡散させる前記可動ヒータの位置に関する情報の少なくとも一方が、1または複数記憶され、
前記制御手段は、
前記記憶手段に記憶された前記位置の何れかに前記可動ヒータを移動させ、
前記高周波発振器による加熱動作を行う
ことを特徴とする請求項1または2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記可動ヒータの移動量に関する操作の入力を行う操作手段を備え、
前記制御手段は、
前記操作手段からの入力操作に基づき前記駆動手段を制御し、前記可動ヒータを前記移動量に応じた位置に移動させ、
前記可動ヒータによる加熱動作を行う
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記記憶手段は、
1または複数の調理メニューと、該調理メニューに応じた前記可動ヒータの位置に関する情報が記憶され、
前記制御手段は、
選択された調理メニューに応じた前記位置に、前記可動ヒータを移動させる
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記記憶手段は、
前記調理メニューとして、前記高周波発振器を動作させる第1の調理工程と、前記可動ヒータを動作させる第2の調理工程とを有する連続調理モードが記憶され、
前記第1の調理工程に対応した前記可動ヒータの位置が、前記所定の領域内の位置であり、
前記第2の調理工程に対応した前記可動ヒータの位置が、前記可動ヒータの移動領域内の任意の位置である
ことを特徴とする請求項5記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記加熱室内の温度を検知する温度検知手段を備え、
前記制御手段は、
前記連続調理モードの前記第1の調理工程において、前記加熱室内の温度が所定の温度を超えたとき、前記第2の調理工程に移行する
ことを特徴とする請求項6記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記連続調理モードの前記第1の調理工程において、前記高周波発振器による加熱動作時間が所定の時間を超えたとき、前記第2の調理工程に移行する
ことを特徴とする請求項6記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記加熱室の開口を開閉するドアと、
前記ドアを閉じた状態に維持するロック状態と、前記ドアを開閉可能とする解除状態とを切り換えるドアロックと
を備え、
前記制御手段は、
前記可動ヒータを移動させているとき、前記ドアロックを動作させてロック状態にする
ことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記所定の領域は、
少なくとも前記加熱室内に被加熱物が収納されていない状態で、前記高周波発振器を動作させた場合に、前記加熱室内にスパークまたは局所過熱が生じない、前記可動ヒータの位置の範囲である
ことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の加熱調理器。
【図1】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図12】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図12】
【公開番号】特開2012−78006(P2012−78006A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223563(P2010−223563)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】
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