説明

加熱調理機

【課題】ヒータの破損を防止でき、水漏れも生じない加熱調理機を提供する。
【解決手段】ヒータ1の発熱部を加熱釜5内に挿入して取付けた加熱調理機であって、ヒータ1が、炭素質発熱体を石英ガラス管2に封入した赤外線ヒータであり、ヒータ1の基部を基部支持構造10で加熱釜5の側壁に取付け、ヒータ1の先端部を先端部支持構造20で加熱釜5の側壁に取付け、基部支持構造10と先端部支持構造20でヒータ1を両持ち支持している。基部支持構造10が、加熱釜5の側壁に固定される固定フランジ11と、固定フランジ11に対しボルトで取付けられる押えフランジ12と、固定フランジ11と押えフランジ12の間に配置されるOリング13,14とからなり、Oリング13,14は押えフランジ12によって固定フランジ11に挟まれて、ヒータ1の直管状部分の外周に密着するので、水漏れが生じない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理機に関する。さらに詳しくは、うどん等の麺類を熱湯中で茹でたり、湯煎したり、あるいは種々の食材を殺菌したり、レトルト食品や袋入り食品を加熱するために用いられる加熱調理機に関する。また、本発明の加熱調理機は、大規模店舗や大規模食堂等で用いられる大型の設備も小規模店舗で用いられる小型の設備も両方含むものである。
【背景技術】
【0002】
各種の調理加熱器のうち麺類の茹で上げや湯煎に用いられる加熱調理機には非特許文献1や特許文献1〜3記載のものがある。
非特許文献1記載の従来技術は、大型の加熱調理機として丸釜や長釜、回転釜などが開示されており、それらの加熱源には重油バーナーや蒸気が用いられている。
これらの設備は大型であるため規模の大きい事業所に適しているが、当然のこととして設備費が嵩み、ボイラ等の保守にも専門技能を要するという問題がある。したがって、小規模店舗には向いていない。
【0003】
一方、特許文献1〜3は小規模店舗向けの小型加熱調理機である。
特許文献1の加熱調理機は、加熱源にガスバーナを用いるものであるが、ガス漏れ等の事故があると被害が大きいという問題がある。
特許文献2の加熱調理機は、加熱釜の内部に金属製電気ヒータを直接挿入したものである。しかるに、加熱釜の熱湯には、麺類に含まれる塩分が溶出しており、この塩分で金属製電気ヒータが腐食しやすいという欠点がある。通常、腐食に耐えて使用できるのは数ヵ月であるので、交換頻度が高く経済的でない。
【0004】
特許文献3は、加熱体をパイプに挿入したものであり腐食を避けるには有用である。しかし、このようにパイプを用いたものでは、水をヒータで直接加熱できず、間接的に加熱することになるので、熱効率が悪いという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−17320号公報
【特許文献2】特開2002−65144号公報
【特許文献3】特開平11−253121号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】食品と科学 1977春季増刊号 昭和52年5月25日発行 89〜92頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、熱効率を高め、かつ腐食の問題を無くした技術として、石英ガラス製の外管の内部に赤外線を放射する炭素質発熱体を封入したヒータを用いた加熱調理機を開発した。このヒータは、外管を通して赤外線が透過するので、赤色に発光し、発熱量が多く、寿命が長いという特徴がある。
そして、この加熱調理機によれば、ヒータの外管が石英ガラス製である故に腐食せず、加熱釜内の湯を高温に沸かし上げ、茹で上げる麺の食感を良くできるという長所があることが見出された。
【0008】
しかるに、この新開発技術では、つぎの3つの問題があることが見出された。
(1)固定が困難
ヒータの外管が石英ガラスであって脆性があるため、加熱釜への機械的な固定が極めて困難であり、溶接等も不可能である。
(2)熱膨張率の違いによる水漏れ
加熱釜は腐食防止のためステンレス鋼等の金属で製造されるが、金属であるため熱膨張率が高く、一方、ヒータの石英ガラス管は熱膨張率が著しく低い。そのため、加熱釜の鋼板に孔を開けてヒータの石英ガラス管を取付けようとすると、既述のごとく溶接が不可能であるために、フランジ等の器具を用いた機械的結合をとらざるをえない。しかし、この場合は熱膨張率が30倍近く異なっているため、ヒータと加熱釜の取付部分との間に隙間が生じやすく、この場合は水漏れが生じるという欠点がある。
(3)ヒータの振動による水漏れ
石英ガラス製外管を用いたヒータには、特許第4614267号の赤外線ヒータが好ましいが、このヒータは通電使用時に直径方向の振動を生起するので、この振動でヒータと加熱釜の取付部分との間に隙間が生じて水漏れが生じやすい。
【0009】
本発明は上記事情に鑑み、加熱釜への固定が容易かつ確実であり、水漏れが生じない加熱調理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明の加熱調理機は、ヒータの発熱部を加熱釜内に挿入して取付けた加熱調理機であって、前記ヒータが、炭素質発熱体をガラス管に封入した赤外線ヒータであり、該ヒータの基部を、基部支持構造で前記加熱釜の側壁に取付け、該ヒータの先端部を、先端部支持構造で前記加熱釜の側壁に取付け、前記基部支持構造と前記先端部支持構造で前記ヒータを両持ち支持していることを特徴とする。
第2発明の加熱調理機は、第1発明において、前記基部支持構造が、前記加熱釜の側壁に固定される固定フランジと、該固定フランジに対しボルトで取付けられる押えフランジと、前記固定フランジと前記押えフランジの間に配置されるOリングとからなり、前記固定フランジと前記押えフランジは金属製であり、該Oリングはゴム製であって前記ヒータの直管状部分の外周に嵌められていることを特徴とする。
第3発明の加熱調理機は、第2発明において、前記Oリングは2本用いられ、金属製のカラーを入れて離間して配置され、かつ前記固定フランジに形成された環状凹部と前記押えフランジに形成された環状凹部に嵌めて固定されていることを特徴とする。
第4発明の加熱調理機は、第1発明において、前記先端部支持構造が、前記加熱釜の側壁に固定された円筒形の支持筒と、該支持筒に挿入される前記ヒータの先端部との間に挿入された円筒形の緩衝材とからなり、前記支持筒は金属製であり、前記緩衝材はゴム製であることを特徴とする。
第5発明の加熱調理機は、第4発明において、前記緩衝材は、円筒部と、該円筒部の一端が開放され他端には底板が取付けられており、該底板と前記円筒部の間には水が抜ける隙間が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1発明によれば、ヒータの発熱部は加熱釜内で直接水に接触するため効率よく湯を高温にすることができ、かつヒータは基部と先端が基部支持構造と先端部支持構造で両持ちされているので、安定して支持され、加熱釜とヒータの取付部分に隙間が生じにくく、水漏れが生じない。
第2発明によれば、ゴム製のOリングは押えフランジと固定フランジで挟まれたときの押圧力で変形され、Oリングの内周は、ヒータの直管状部分の外周に密着するので、水漏れが生じない。しかも、Oリングは弾力性があるために、金属製の固定フランジとヒータとの熱膨張率の差を吸収して、ヒータの破損を防ぎ、また、ヒータに振動が発生してもこれを吸収できる。このため水漏れを防止できる。
第3発明によれば、2本のOリングがヒータの外周において離れて位置しているので、加熱釜の側壁に近い方のOリングで基本的に水漏れを阻止し、万一水漏れが生じても、その外側のOリングでは必ず水漏れを阻止できるので、水漏れ防止効果が極めて高い。しかも、2本のOリングは押えフランジと固定フランジに形成された環状凹部内に嵌められて取付位置が動かないように拘束されているので、この点からも水漏れ効果が確実となる。
第4発明によれば、緩衝材は支持筒によってヒータの先端部との間に挟まれているので、ヒータに振動が発生してもこれを吸収できる。また、金属製の支持筒が加熱釜と同様の熱膨張率で熱膨張しても、ゴム製の緩衝材は少ししか熱膨張しないので、ヒータの先端部を保護することができる。
第5発明によれば、ヒータの先端が緩衝性のある底板に接触することによって保護されるので、ヒータの長寿命化が図れる。また緩衝材は円筒部と底板との間に水の抜ける隙間があいているので、水や湯が残らず、常に良好な衛生状態に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の加熱調理機におけるヒータの基部支持構造10の説明図である。
【図2】図1の基部支持構造10の分解図である。
【図3】ヒータの先端部支持構造20の説明図である。
【図4】本発明が適用される加熱調理機の一例の全体斜視図である。
【図5】図4の加熱調理機における加熱釜とヒータ1の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
以下の実施形態は、麺類を茹でたり湯煎するための加熱調理機である。
まず、図4および図5に基づき、本発明を適用した加熱調理機Aの基本構造を説明する。図示の加熱調理機Aは小型のもので、3本のヒータ1を用いたものである。加熱釜5は、それ自体公知のもので、ステンレス鋼等の金属製の釜である。図示の形状は四角形の立方体であるが、長四角形や丸形など種々の形態であってもよい。
【0014】
ヒータ1は加熱釜5の側壁5aから内部に差し込まれて取付けられている。この取付け支持構造が本発明の特徴であるが、その詳細は後述する。
このヒータ1の発熱部は加熱釜5の内部に位置しているので、直接水wまたは湯と接触して効率よく湯を沸かし上げることができる。
なお、6は角形の保護網で、加熱釜5内でヒータ1のガラス管2を囲うように取付けられている。この保護網6は、パンチングメタル製であり、ヒータ1の破損防止や麺の釜底5bへの落下防止、また水あるいは湯の対流を作るために設けられている。
【0015】
ヒータ1は、炭素質発熱体をガラス管2内に封し、かつ不活性ガスを充填した赤外線ヒータである。ガラス管とは石英ガラス管を用いたものが代表的であるが、石英製以外のガラス管を用いてもよい。また、ガラス管とは透明のものであっても有色のものであってもよい。なお、このヒータ1の詳細は特許第4614267号等に記載のとおりである。
本発明に用いるヒータ1は、水に赤外線を照射するので加熱効率が高く、外管のガラス管が腐食に強く、1000℃の高熱に耐える耐熱性を有する。このため、湯の沸騰時でも破損しない強度がある。なお、通電使用時にはヒータ1の直径方向に微振動が発生するという性質がある。
【0016】
ヒータ1のガラス管2は断面円形の直管状であり、その先端は突っている。
また、このヒータ1は、ヒータ1の一端部に充電部3を設けており、加熱釜5の外に配置できるようにしているので感電や漏電の恐れが小さいという特徴もある。4は充電部3から延びるリード線である。
なお、本明細書では、ヒータ1において、充電部3を設けている一端側を基部といい、その反対側を先端部という。この基部および先端部は、端の狭い部分を先すのではなく、支持するに適した範囲であれば、広い範囲に解釈してよい。
【0017】
つぎに、本発明の特徴である基部支持構造を説明する。
本発明の取付支持構造は、ヒータ1の基部を加熱釜5に取付ける基部支持構造10と、ヒータ1の先端部を加熱釜5内で支持する先端部支持構造20とからなる。
【0018】
まず、図1および図2に基づき、基部支持構造10を説明する。
この基部支持構造10は、固定フランジ11と押えフランジ12と2本のOリング13,14とカラー15とからなる。
図2に示すように、固定フランジ11は、厚板円盤状であってステンレス鋼等の金属製部材である。
この固定フランジ11には、厚肉の本体部11aの裏面から数mm程度突出した小径の係合突起部11bが形成されている。係合突起部11bの直径は図1に示す加熱釜5の側壁5aに形成された挿入孔5cの内径とほぼ同一である。
【0019】
そして、固定フランジ11の本体部11aには、Oリング13とカラー15を挿入する環状凹部11cが形成され、係合突起部11bにはヒータ1のガラス管2を通す丸孔11dが形成されている。
また、本体部11aには、雌ネジ孔11eが中心対称に数本、たとえば4本分が表面側から裏側に向け形成されている。
【0020】
押えフランジ12は、厚板円盤状であってステンレス鋼等の金属製部材である。
この押えフランジ12の本体部12aには、ヒータ1のガラス管を通す丸孔12dが形成され、かつその裏面側にOリング14を嵌める環状凹部12cが形成されている。
また、本体部12aには、ボルト挿通孔12eが中心対称に数本、たとえば4本が形成されている。
【0021】
Oリング13,14は、内径がヒータ1における円管状ガラス管2の外径とほぼ同じであり、外径は固定フランジ11の環状凹部11cの内径、あるいは押えフランジ12の環状凹部12cの内径より少し大きい環状のゴム製リングである。このような寸法であると、取付け時にOリング13,14がしっかりと固定される。
Oリング13,14は耐熱性を有するゴム製であることが好ましく、そのようなゴム素材としては、ふっ素ゴムがとくに好ましい。ふっ素ゴムであると、耐熱性が極めて高く、200℃以上の高温でもほとんど劣化しないという利点がある。
【0022】
カラー15は、円環状であって、ステンレス鋼等の金属製部材である。このカラー15の外径は固定フランジ11の環状凹部11cの内径とほぼ同じであり、その内径はヒータ1のガラス管2が通せる大きさである。
【0023】
つぎに、基部支持構造10の取付け方を図1に基づき説明する。
固定フランジ11は、係合突起部11bを加熱釜5の側壁5aの挿入孔5cに嵌めたうえで、溶接等により固定される。
そして、ヒータ1のガラス管2を固定フランジ11内に通した状態で、Oリング13とカラー15を固定フランジ11の環状凹部11c内に嵌め、さらにOリング14を押えフランジ12の環状凹部12c内に嵌め、ボルト16を押えフランジ12のボルト挿入孔12eに通して固定フランジ11の雌ネジ孔11eにねじ込み、押えフランジ12を固定フランジ11に押し付けた状態で固定する。
【0024】
このとき、押えフランジ12で、Oリング13,14は圧縮され内径が収縮することによって、ヒータ1のガラス管2との密着性が高くなる。
固定フランジ11の丸孔11dと押えフランジ12の丸孔12dとカラー15の内径は、ガラス管2の外径より少し大きく、孔とガラス管2の外周面との間には若干の隙間があくようになっている。
【0025】
つぎに、図3に基づき先端部支持構造20を説明する。
21は、加熱釜5の側壁5aに取付けられた円筒形の支持筒である。この支持筒21は支持金具22に固定されており、支持金具22は緩衝材26を挟んで加熱釜5の側壁5aに固定されている。この支持筒21の取付位置は、基部支持構造10に対し対向する位置であって、高さ方向も水平方向も同じ位置である。なお、支持筒21と支持金具22はステンレス鋼等の金属製である。
【0026】
支持筒22の内面には緩衝材23を挿入し、その中にヒータ1のガラス管2の先端部が挿入される。
緩衝材23は板状材料を円筒形に巻いて挿入してもよく、最初から円筒形に成形したものをそのまま挿入してもよい。図示の緩衝材23は円筒部24とその底の三角形の底板25を一体に成形したものであり、円筒部24の内周と底板25の3辺との間には隙間があいている。この形状であると、円筒部24でヒータ1の直径方向の振動を吸収し、底板部25でヒータ1の突った先端を保護することができる。また、隙間が3ヵ所あるので緩衝材23の取付角度がどのようになっていても、いずれかの隙間から水や湯が抜け出るので緩衝材23内に残ることがなく、良好な衛生状態を常に保つことができる。
【0027】
緩衝材23は底付き円筒形という複雑な形状なので、成形性の良好なものが要求され、かつ耐熱性も備える必要があるので、この観点からシリコンゴム製であることが好ましい。シリコンゴム製を用いると、適度な成形性を有することからガラス管2に対する密着性が良くなり、しかも沸騰した湯に対しても劣化しにくい耐熱性も発揮することができる。
【0028】
図5に示すように、ヒータ1は基部支持構造10と先端部支持構造20で両持ち支持されている。基部支持構造10は、ヒータ1の基部側の端に限らず、その近辺であってヒータ1を実質的に両持ち支持できる部分であれば、任意に支持部分を選んでよい。
【0029】
上記の実施形態における取付構造全体の利点を、図1、図3および図5に基づき説明する。
(1)ヒータ1は基部支持構造10で基部が支えられ、先端部支持構造20で先端部が支えられて、両持ちされているので、ヒータ1の基部や先端に無理な力が加わることもない。そして、外管2がガラス製であることから腐食も生じないので、寿命が相当長くなる。
(2)ヒータ1の外管2は、その基部はOリング13、14により支持され、先端部は緩衝材23により支持されているので、直接金属と接しない。このため、脆性のあるガラス製の外管2であっても、金属製の加熱釜5にしっかり取付けることができる。
【0030】
基部支持構造10の利点は、次のとおりである。
(3)基部支持構造10における固定フランジ11と押えフランジ12とカラー15は加熱釜5と同じステンレス鋼であり、先端部支持構造20の支持筒21も加熱釜5と同じステンレス鋼であるので、熱膨張率は同じである。したがって、加熱釜の操業中は同じ膨張率で伸び縮みをする。たとえば、固定フランジ11と押えフランジ12は熱により膨張してガラス管2を通している丸孔11d,12dも少し大きくなる。しかしながら、Oリング13,14と緩衝材23は熱によってもほとんど膨張しないので、ガラス管2に対し密着したままであり、水漏れが生ずることはない。
(4)水漏れに対しては加熱釜5の側壁5aに近いOリング13でまず漏洩防止するが、仮にそこで水漏れが生じても、外側にあるOリング14との間にはわずかな量の水漏れしか生じない。したがって、外側のOリング14によって、完全に水漏れを阻止することができる。
(5)特許第4614267号発明を利用したヒータ1は通電使用中に微振動が生ずるが、2本のOリング13,14は押えフランジ12と固定フランジ11との間に挟まれ、かつ締め付けられているので、振動によってもヒータ1に対する密着性が損なわれることはない。このため、ヒータ1をしっかりと保持しつつ水漏れ防止機能も発揮できる。
【0031】
先端部支持構造20の利点は次のとおりである。
(6)緩衝材23は支持筒21によってヒータ1の先端部との間に挟まれているので、ヒータ1に振動が発生してもこれを吸収できる。また、金属製の支持筒21が加熱釜5と同様の熱膨張率で熱膨張しても、シリコン製の緩衝材23は少ししか熱膨張しないので、ヒータ1の先端部を保護することができる。
(7)ヒータ1の先端が緩衝性のある底板25に接触することによって保護されるので、ヒータ1の長寿命化が図れる。また緩衝材23は円筒部24と底板25との間に水の抜ける隙間があいているので、水や湯が残らず、常に良好な衛生状態に保つことができる。
【0032】
(他の実施形態)
前記ヒータ1は断面が円形であったが、断面形状は円形以外の四角やその他の形状であっても本発明を適用することができる。
また、ヒータ1は直管状であったが、これに限らずガラス管をU字形に折り返した非直管状であっても両持ちが可能であれば、本発明を適用できる。
【0033】
上記実施形態では、固定フランジ11の加熱釜5への固定は溶接であったが、これに限らず、ボルト止めその他の任意の手段を採用できる。
押えフランジ12の固定フランジ11に対する取付けは、4本のボルト16を用いたが、ボルト16の本数は任意であり、また、他の形式のクランプ等を用いてもよい。
【0034】
上記実施形態で支持筒21は円筒形であったが、このような全側面を囲むものでなくても、ヒータ1の先端部を保持することが他の構造であってもよい。たとえば、ヒータ1の先端部の下面と側面を囲み、かつ上面は何らかの押え片を設けた構造であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
上記実施形態は小型加熱調理機であったが、本発明は大型の加熱調理機にも何ら制限なく適用することができる。
また本発明は茹で麺機だけでなく、湯煎したり、殺菌や加熱調理する種々の加熱調理機に適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 ヒータ
2 ガラス管
10 基部支持構造
11 固定フランジ
12 押えフランジ
13 Oリング
14 Oリング
15 カラー
20 先端部支持構造
21 支持筒
23 緩衝材
24 円筒部
25 底板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータの発熱部を加熱釜内に挿入して取付けた加熱調理機であって、
前記ヒータが、炭素質発熱体をガラス管に封入した赤外線ヒータであり、
該ヒータの基部を、基部支持構造で前記加熱釜の側壁に取付け、
該ヒータの先端部を、先端部支持構造で前記加熱釜の側壁に取付け、
前記基部支持構造と前記先端部支持構造で前記ヒータを両持ち支持している
ことを特徴とする加熱調理機。
【請求項2】
前記基部支持構造が、前記加熱釜の側壁に固定される固定フランジと、
該固定フランジに対しボルトで取付けられる押えフランジと、
前記固定フランジと前記押えフランジの間に配置されるOリングとからなり、
前記固定フランジと前記押えフランジは金属製であり、
該Oリングはゴム製であって、前記ヒータの直管状部分の外周に嵌められている
ことを特徴とする請求項1記載の加熱調理機。
【請求項3】
前記Oリングは2本用いられ、金属製のカラーを入れて離間して配置され、かつ前記固定フランジに形成された環状凹部と前記押えフランジに形成された環状凹部に嵌めて固定されている
ことを特徴とする請求項2記載の加熱調理機。
【請求項4】
前記先端部支持構造が、前記加熱釜の側壁に固定された円筒形の支持筒と、該支持筒に挿入される前記ヒータの先端部との間に挿入された円筒形の緩衝材とからなり、
前記支持筒は金属製であり、前記緩衝材はゴム製である
ことを特徴とする請求項1記載の加熱調理機。
【請求項5】
前記緩衝材は、円筒部と、該円筒部の一端が開放され他端には底板が取付けられており、該底板と前記円筒部の間には水が抜ける隙間が形成されている
ことを特徴とする請求項4記載の加熱調理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−217778(P2012−217778A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89676(P2011−89676)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(501302843)四国厨房器製造株式会社 (4)
【Fターム(参考)】