説明

加熱調理装置の異常報知システム

【課題】複数の加熱源それぞれの設定条件等を本体の近く及び本体とは別の箇所で簡単に確認することができる加熱調理器の異常報知システムを提供する。
【解決手段】複数の加熱源が配置された本体1には、各加熱源の通電を制御する通電制御回路と、これに接続された駆動回路244とが備えられている。駆動回路244は、調理の加熱条件と本体の動作状態等の報知情報を、本体1に設置された統合表示手段80に表示させるための出力部244Bと、本体1の近くに設置されている画像表示器60に表示させるための出力部244Cと、本体1とは別の場所に設置されている外部表示機器700の一般のテレビ受像機705に表示させるための出力部244Cとを有している。出力部244Cに接続された外部出力部600は、報知情報を変換するデータ変換部602やこれを商用電源800を経由して伝達するための電力線モデム603を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱調理装置の異常報知システム、特に、電気加熱源や電磁誘導加熱源により調理を行う加熱調理装置の異常報知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の加熱調理装置には、1つの本体(筐体)の上面部を、複数の電磁誘導加熱源で加熱する電磁調理器や、電磁誘導加熱源に加えて電気ヒータ等の輻射型加熱源でも加熱できるというタイプの複合型調理器がある(例えば特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2681994号公報
【特許文献2】特許第2712399号公報
【特許文献3】実開平3−50790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の加熱調理装置においては、加熱源が2個、多いものでは例えば5個もあるため、それらを個々に制御するにあたり、各熱源の入力スイッチや火力調節つまみなど複数の操作部を調整し、またその結果がランプや文字等によって加熱源毎に設けた表示部に表示されるので、それらの状態を別々に確認しなければならない。特に、多種類の調理に対応できる機能を持ったものになるほど、最初の調理メニューの選択や火力等の調理条件設定が煩わしいという問題点があった。また加熱調理装置の各種警報も調理装置のメーカが決めた英字記号や略号で表示され、調理器に付属している取扱説明書の中を調べて正確な意味を理解しなくてはならず、実際には一般の使用者にとって重要な警報であるかどうか直ぐに判断できないという問題点があった。
さらに最近では小火力で長時間の調理を行うことも求められる傾向にあり、調理装置の傍から主婦などの使用者が一時的に離れる場合が起こり得るが、そのような際に調理装置に何らかの重大な異常が発生した場合、離れている使用者に調理装置本体から知らせることが難しいという課題があった。
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、調理の加熱条件(火力や時間、温度等)をできるだけ共通の画面で確認できることを可能にし、また調理装置の動作状態を調理装置から離れた場所においても確認しやすくする加熱調理装置の異常報知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る加熱調理装置の異常報知システムは、加熱源の調理条件、前記加熱源の通電条件、前記加熱源の動作状況および前記加熱源を除く電気部品の運転状態の何れか1以上を含む報知情報と、異常状態を示す異常情報とを表示する表示手段を備えた加熱調理装置本体から、当該加熱調理装置本体の異常発生時に発せられる前記異常情報を受け取り、異常報知を行う異常報知システムにおいて、前記加熱調理装置本体は、前記報知情報と異常情報を、無線又は赤外線によって前記本体の外部に配置された外部表示機器に送信する出力部を備え、前記外部表示機器は、前記出力部から発せられる異常情報を受け取った場合に、当該異常状態を報知し、前記出力部に対して前記報知情報の提供を求める命令信号を発生させる制御部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の加熱調理装置の異常報知システムは以上の構成であるから、まず、各種の調理条件の設定状況や加熱調理装置の運転状態等の「報知情報」は、当該本体から離れた場所にある家庭用テレビや映像モニターなど特定の外部表示機器に表示させるための「報知信号」を、当該外部表示機器に送ることができる。このため、加熱調理装置が設置されている台所とは別個の空間(例えば、居間)において、この報知信号を利用して表示された報知情報を見ることができるから、加熱調理装置の側に付きっきりにならなくても、加熱調理装置の運転状態を監視することが可能となり、使用者(例えば、主婦)は調理とは別の作業をしながら、より安全に加熱調理装置を並行して使用することが可能となる。
また本発明の異常報知システムによれば、加熱調理装置本体で異常が発生した場合、その異常発生をその本体と離れた場所から無線又は赤外線によって受信し、外部表示機器によって異常状態であることが報知されるので、加熱調理装置本体と離れた場合において使用者は加熱調理装置の異常発生を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の態様1に係る加熱調理装置の異常報知システムを説明する加熱調理装置本体を示す全体斜視図。
【図2】図1に示す加熱調理装置本体の平面図。
【図3】図2に示す加熱調理装置本体の横断面図(その1)。
【図4】図2に示す加熱調理装置本体の横断面図(その2)。
【図5】図1に示す加熱調理装置本体の中央表示・入力部周辺を示す要部平面図。
【図6】図1に示す加熱調理装置本体における電気回路構成図。
【図7】図1に示す加熱調理装置本体の表示用回路等の主要構成を示すブロック図。
【図8】図1に示す加熱調理装置本体の中央表示・入力部周辺を示す要部平面図。
【図9】図8に示す中央表示・入力部の表示エリア区分を示す説明図。
【図10】図8に示す上面操作部と中央表示・入力部を示す平面図(その1)。
【図11】図8に示す上面操作部と中央表示・入力部を示す平面図(その2)。
【図12】図8に示す上面操作部と中央表示・入力部を示す平面図(その3)。
【図13】調理動作開始前の制御動作を説明するためのフローチャート(その1)。
【図14】調理動作開始前の制御動作を説明するためのフローチャート(その2)。
【図15】調理動作開始後の制御動作を説明するためのフローチャート(その1)。
【図16】調理動作開始後の制御動作を説明するためのフローチャート(その2)。
【図17】本発明の実施の態様2に係る加熱調理装置の異常報知システムを説明する加熱調理装置本体の中央表示・入力部と上面操作部の構造を示す平面図。
【図18】図17に示す加熱調理装置の要部の異常発生の場合を示す要部平面図。
【図19】外部表示機器の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施の態様1]
図1〜図16は、本発明の実施の態様1に係る加熱調理装置の異常報知システムを説明するものである。すなわち、図1は加熱調理装置の設置状態における全体斜視図であり、図2は全体の平面図、図3は全体の横断面図、図4は図3の横断面の位置から更に下方位置における横断面図、図5は本体前方の上部縦断面図である。
図6は全体の電気回路図、図7は表示用の駆動回路と外部出力部及び画像表示機器の主要構成を示すブロック図、図8は本体の上面操作部と中央表示・入力部周辺を示す要部平面図である。
図9は中央表示・入力部の画面を示す説明図、図10は上面操作部と中央表示・入力部を示す平面図、図11は上面操作部と中央表示・入力部を示す平面図、図12は上面操作部と中央表示・入力部を示す平面図である。
図13は調理動作開始前の制御動作を説明するためのフローチャート(その1)、図14は調理動作開始前の制御動作を説明するためのフローチャート(その2)、図15は調理動作開始後の制御動作を説明するためのフローチャート(その1)、図16は調理動作 開始後の制御動作を説明するためのフローチャート(その2)である。
なお、各図において同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0010】
(加熱調理装置本体)
図1において、加熱調理装置本体(以下、「本体」と称す)1は平面形状が長方形であって、金属板から形成された箱形状の本体ケース2と、本体ケース2の上面開口を塞ぐ金属製板から形成された額縁状の天板3と、から構成されている。
本体1の内部には、天板3に載置された被加熱物を加熱するための電磁エネルギー又は熱エネルギーを発生する後記する加熱手段6L、6R、7と、該加熱手段の調理条件を制御する後記する制御手段200と、該制御手段に前記調理条件を入力する後記する入力手段20〜23と、該入力手段に入力された前記調理条件を表示する表示手段(統合表示部)80とを備えている。以下、それぞれについて詳細に説明する。
【0011】
(天板)
天板3の上面は、非磁性ステンレス板又はアルミ板などから形成された額縁形状の枠体4によって縁取られ、その中央に設けられた大きな開口部は、耐熱強化ガラスや結晶化ガラス等の赤外線を透過させる材料からなる長方形状のトッププレート(上板に同じ)5によって密閉状態に覆われている。したがって、トッププレート5の上面から水滴などが枠体4を通じて本体1の内部に侵入しないようにしてある。
なお、トッププレート5の上面には、後記する加熱源6L、6R、7の位置を示す案内マーク6LM、6RM、7Mが、それぞれ表示されている。
【0012】
(右加熱源)
本体1の内部であって、トッププレート5の右側位置の下面側に、右側電磁加熱コイル(以下、「右加熱源」と称す)6Rが配置されている。右加熱源6Rの上端部がトッププレート5に接触又は微小間隙を置いて近接しており、電磁誘導加熱源となる。例えば、最大消費電力(最大火力)3kWの能力を備えたものが使用される。右加熱源6Rは誘導加熱コイル(以下、「右加熱コイル」と称す)220Rを渦巻状に1本又は複数本巻き、外形形状が円形になるように円盤形に成形されている。右加熱コイル220Rの直径(最大外径寸法)は約180mmである。
なお、トッププレート5に右加熱源6Rの上方に対応する位置に表示された円(図1において破線、図2において実線)である案内マーク6RMは、右加熱源6Rの外形位置を示すものではなく、適正な誘導加熱領域を示すものであって、印刷などによって形成されている。
【0013】
(左加熱源)
本体1の内部であって、トッププレート5の左側位置の下面側に、左側電磁加熱コイル(以下、「左加熱源」と称す)6Lが配置されている。左加熱源6Lの上端部がトッププレート5に接触又は微小間隙を置いて近接しており、電磁誘導加熱源となる。例えば、最大消費電力(最大火力)2.5kWの能力を備えたものが使用される。左加熱源6Lは誘導加熱コイル(以下、「左加熱コイル」と称す)220Lを渦巻状に1本又は複数本巻き、外形形状が円形になるように円盤形に成形されている。左加熱コイル220Lの直径(最大外径寸法)は約180mmであるが、右加熱コイル220Rの最大火力より小さいため、170mm程度に形成することができる。
なお、トッププレート5に左加熱源6Lの上方に対応する位置に表示された円(図1において破線、図2において実線)である案内マーク6LMは、右加熱源6RLの外形位置を示すものではなく、適正な誘導加熱領域を示すものであって、印刷などによって形成されている。
【0014】
左加熱源6Lと右加熱源6Rとは、それぞれ独立して通電とその電力量が制御され、火力も別個に設定できるように後記する通電制御回路200に電気的に接続されている。
図3、図5および図6に示すように、左加熱源6Lおよび右加熱源6Rの何れも、通電時に渦電流を発生するように渦状に巻かれた左加熱コイル220Lおよび右加熱コイル220Rと、左加熱コイル220Lおよび右加熱コイル220Rを収容した左保持枠335Lおよび右保持枠335Rと、左保持枠335Lおよび右保持枠335Rの下面の全体やその一部を覆うフェライト製板の左磁束漏れ防止板331Lおよび右磁束漏れ防止板331R等によって構成されている。
なお、以下の説明において、左右に配置された部材について共有する内容については、名称における「左、右」および符号における「L、R」の記載を省略する場合がある。
【0015】
そして、保持枠335は、円形で上面が開口した金属製の容器状であって、周囲壁面には、多数の通風孔330Pが設けられて、冷却風が通過するようになっている。保持枠335は、上面開口の縁が断熱材332を介してトッププレート5の下面に接触するように設置され、加熱コイル220の上面はトッププレート5の下面に対し一定の微小空隙を設けて対向するように設置されている。
【0016】
(中央加熱源)
本体1の内部であって、トッププレート5の左右中心線(図2および図3において一点鎖線CLにて示す)上で、かつ、トッププレート5の後部寄りの位置に、中央加熱源7が配置されている。中央加熱源7は、輻射によって加熱するタイプの電気ヒータ231(例えばニクロム線やハロゲンヒータ、ラジエントヒータ)が使用され、トッププレート5を通してその上方に置かれた鍋等の加熱調理装置具(図示せず)を加熱するものである。そして、例えば、最大消費電力(最大火力)1.2kWの能力を備えたものが使用されている。
【0017】
電気ヒータ231は断熱性の断熱カバー7Aの内部に収納されている。断熱カバー7Aは上面全体が開口した円形の容器形状を有している。断熱カバー7Aは、直径(最大外径寸法)が約180mmで、板厚が5mmになっている。
なお、トッププレート5に中央加熱源7の上方に対応する位置に表示された円(図1において破線、図2において実線)である案内マーク7Mは、中央加熱源7の外形位置を示すものではなく、適正な誘導加熱領域を示すものであって、印刷などによって形成されている。
【0018】
(前面操作部)
本体ケース2の右側前面に前面操作部10が設けられている。前面操作部10には、左加熱源6L、右加熱源6R、中央加熱源7及びオーブン調理やグリル調理用の電気ヒータ(図5参照、以下、「グリルヒータ」と称す)110Aの全ての電源を一斉に投入・遮断する主電源スイッチ201(図6参照)の操作ボタン11と、右加熱源6Rの通電とその通電量(火力)を制御する制御スイッチ(図示せず)の電気接点を開閉する右操作ダイアル12Rと、同じく左加熱源6Lの通電とその通電量(火力)を制御する左制御スイッチ12(図示せず)の左操作ダイアル12Lと、中央加熱源7の通電とその通電量(火力)を制御する制御スイッチ(図示せず)の中央操作ダイアル13と、が設けられている。
そして、前面操作部10には、左操作ダイアル12Lによって左加熱源6Lに通電が行われている状態でのみ点灯する左表示灯15と、右操作ダイアル12Rによって右加熱源6Rに通電が行われている状態でのみ点灯する右表示灯14とが設けられている。
【0019】
なお、左操作ダイアル12L、右操作ダイアル12R、および中央操作ダイアル13は、使用しない状態では、図1に示されるように、前面操作部10の表面から突出しないように内側へ押し込まれており、使用する場合には、使用者が指で一度押すと前方にバネ力によって突出し、回せる状態になるものである。そして、この段階で左加熱源6Lおよび右加熱源6R及び中央加熱源7にはそれぞれ通電が開始される。
そこで、突出している左操作ダイアル12L、右操作ダイアル12R、または中央操作ダイアル13の何れかを左右に回せば、その回動の量に応じて当該加熱源の通電量が決まり、火力設定が行えるようになっている。
【0020】
さらに、前面操作部の下部分には、タイマーダイアル16、17、18が設けられている。タイマーダイアル16、17、18は、それぞれ左加熱源6L、右加熱源6R、中央加熱源7を通電開始から所望の時間だけ通電し、該所望の時間を経過した後は自動的に電源を切るタイマースイッチ(図示せず)を操作するためのものである。
【0021】
(グリル室)
本体1の内部の下半分には、区画形成されたグリル室(以下、「加熱室」と称す)19が設けられている。加熱室19は、金属板により左右、上下及び背面側の壁面が形成され、上部天井付近および底部付近に設置された電気ヒータ(図示せず)を同時又は個別に通電してロースト調理(例えば焼き魚)、グリル調理(例えばピザやグラタン)や加熱室19内の雰囲気温度を設定して調理するオーブン調理(例えば、ケーキや焼き野菜)が行えるようになっている。例えば、上部天井付近には最大消費電力(最大火力)1200Wのグリルヒータ110A(図5参照)と、底部付近には最大消費電力800Wの電気ヒータ(110B。図示せず)がそれぞれ設けられる。
【0022】
加熱室19の前面開口71はドア70によって開閉自在に覆われ、ドア70は前後方向に移動自在になるよう加熱室19に支持機構(図示せず)によって保持されている。また、ドア70の中央開口部は耐熱ガラスによって形成されて窓72が設置され、加熱室19の内部が視認できるようになっている。さらに、ドア70には一体に形成された金属製の受皿73が設けられ、油の多い調理をする場合は通常受皿73の上には金属製の焼き網(図示せず)が置かれる。
【0023】
枠体4の後部中心部上面に右排気口74が設けられ、表面は使用者の指や異物等が入らないようにパンチングメタルや網、細かい格子で覆われている。右排気口74は加熱室19の内部まで排気ダクト76を介して連通しており、加熱室19の内部に発生した高温空気(調理物から発生した油煙を含む)が右排気口74から本体1の外部に排出される。
【0024】
また、枠体4の後部中央上面に左排気口75が設けられ、表面は使用者の指や異物等が入らないようにパンチングメタルや網、細かい格子で覆われている。左排気口75は、本体1の内部空間(後で述べる上方空間275)に連通している。
【0025】
(上面操作部)
天板3の上面、具体的には枠体4の前部に上面操作部20が配置されている。本体1の左右中心線CL(図1および図2参照)を挟んで、左側には左加熱源6Lの左火力設定用操作部22が、中央部には中央加熱源7及び加熱室に設置された電気ヒータ(図示せず)の中央操作部23が、右側には右加熱源6Rの右火力設定用操作部21が、それぞれ配置されている。
【0026】
(右火力設定用操作部)
図8において、右火力設定用操作部21には、使用者が1度押圧するだけで右加熱源6Rの火力を簡単に設定することができる右ワンタッチキー部24が設けられている。右ワンタッチキー部24は、弱火力キー25、中火力キー26、および強火力キー27の3つのワンタッチキーを備えている。例えば、弱火力キーは右加熱源6Rの火力を300Wに設定し、中火力キー26は750Wに設定し、強火力キーは2.5kWに設定する。
さらに、右ワンタッチキー部24の右端部に強火力キー(以下、「3kWキー」と称す)86が設けられ、右加熱源6Rの火力を強力(例えば、3kW)にしたい場合、これを押圧操作する。
【0027】
(左火力設定用操作部)
なお、左加熱源6Lの火力設定のための左火力設定用操作部22には、右火力設定用操作部21(右ワンタッチキー部24が設置されている)と同様なワンタッチキーが設置されている。したがって、例えば、火力を300W、750W、または2.5kWの何れかに設定できるようになっている。
【0028】
(中央操作部)
中央操作部23には、図8に示されるように、ロースト調理、オーブン調理及びグリル調理に用いられるグリルヒータ110A等の通電を開始する操作スイッチ(図示せず)の操作ボタン92と、その通電を停止する操作スイッチ(図示せず)の操作ボタン29が並べて設けられている。
また、中央操作部23には、グリルヒータ110A等によるグリル調理や左加熱源6L、右加熱源6Rによる電磁調理における制御温度を、1度ずつ加算的又は減算的に設定する温度調節スイッチ(図示せず)の操作ボタン300、310が横一列に設けられている。
【0029】
さらに、中央操作部23には便利メニューキー93が設けられている。すなわち、揚げ物調理(左加熱源6L、右加熱源6Rを使用)、揚げ物予熱状態表示(左加熱源6L、右加熱源6Rを使用し、油を所定の予熱温度まで加熱)、タイマー調理(左加熱源6L、右加熱源6R、中央加熱源7、加熱室19の内部に設けた二つのグリルヒータ110A等をタイマーカウンターにて設定した時間中だけ通電して調理)を設定する際に押圧すれば、簡単に中央表示・入力部80に所望の入力画面や状態表示画面を読み出せる。
【0030】
また、中央加熱源7の電源の入・切を操作するための制御スイッチ(図示せず)の操作ボタン94が設けられている。
さらに、操作ボタン29の右側には、ハードボタンからなる右IH便利メニューボタン93aが設けられており、これは右加熱源6Rについての各種の設定をするための設定ボタンである。同様な設定ボタンは左加熱源6Lについても設けられている(図示省略)。
【0031】
34Rは、タイマーカウンター(図示せず)をスタートさせるスタートスイッチ(以下、「タイマースイッチ」と称す)であり、操作部21の右端部に設けてあり、使用者が1度押圧すると、その時点から時間が計測され、トッププレート5の右前方隅部に設けられた右液晶表示部35R(トッププレート5の下面近傍にあり、トッププレート5を介してその上方)に表示光を透過させて経過時間が「分」と「秒」単位で表示される。
【0032】
同じく操作部21に右揚げ物選択スイッチ36Rが設けられ、使用者がこれを1度押圧すると、右加熱源6Rによる揚げ物(天ぷら)鍋の油の温度を180℃に初期設定することができ、その後使用者は右加熱源6Rの火力を、右操作ダイアル12Rを操作して揚げ物に適する任意の適温、例えば200℃に設定することができる。
【0033】
左側の左火力設定用操作部22にも、右火力設定用操作部21と同様に、左タイマースイッチ34Lと、左液晶表示部35L(図1参照)と、左揚げ物選択スイッチ36Lと、の3つが設けられている。そして、左タイマースイッチ34Lと右タイマースイッチ34R、左液晶表示部35Lと右液晶表示部35R、左揚げ物選択スイッチ36Lと右揚げ物選択スイッチ36R、とは、それぞれ本体1の左右中心線CLを挟んで左右対象的位置に設けられている。
【0034】
図8において、上記した6つの各種操作ボタン29、92、93、94、300、310、93a等は、表面が水や調理物の油などに耐える材質の薄い樹脂皮膜や金属皮膜で覆われており、使用者が指先で軽く押すことにより動作(内蔵した電気接点が導通し、入力信号発生)するように構成されている。
【0035】
さらに、図8に示すように入力キー群91が設けられている。このキー群は6つの独立して操作可能な入力キー83、95、96、97、98、99を備えており、これらキーは、表面が調理物の油などに絶える材質の薄い樹脂皮膜や金属皮膜で覆われており、使用者が指先で軽く押すことにより動作(内蔵した電気接点が導通し、入力信号発生)するように構成されている。
【0036】
上記のように、中央操作部23の各操作ボタンや入力キーを、接触式の入力キー(例えば特許第2712399号で紹介されている)を使用しなかった理由は、その種の接触式キーは静電容量の変化を検知して入力信号が発生するものであるため、調理中の水や油の飛散、また使用者が濡れた手で操作した場合などの状況を考えると、この種の加熱調理装置では誤動作が起こる懸念があるためである。これにより、実施の態様1ではより高い信頼性を確保しているが、本発明は上記接触式のキーを採用しても実現することができ、必ずしも押圧式のキーを使用しなければならない訳ではない。
【0037】
(火力表示ランプ)
トッププレート5の右前側で、右加熱源6Rと右火力設定用操作部21との間の位置に対応した位置に、右加熱源6Rの火力の大きさを表示する右火力表示ランプ40Rが設けられている。右火力表示ランプ40Rはトッププレート5を介して(透過させて)その下面から表示光を上面側に放つようにトッププレート5の下面近傍に設けられている。
同様に、左加熱源6Lの火力の大きさを表示する左火力表示ランプ40Lが、トッププレート5の左前側で、左加熱源6Lと左火力設定用操作部22との間の位置に対応した位置に設けられ、トッププレート5を介して(透過させて)その下面から表示光を上面側に放つようにトッププレート5の下面近傍に設けられている。
【0038】
なお、右加熱源6R用の右火力表示ランプ40Rは、火力120Wから最大火力3kWまで12段階で表示できるようになっている。そして、これら12段階の火力を発光で示すために、右火力表示ランプ40Rは、図6に示す回路図の通り12個の発光ダイオード246〜257(発光素子)を直線的に配置してある。例えば、火力1である場合は、発光ダイオード1の246のみが点灯し、その赤い光を使用者はトッププレート5の表面上から容易に目視することができる。
同様に、左加熱源6L用の左火力表示ランプ40Lは、図示していないが、火力120Wから最大火力2.5kWまでの間を11段階で表示できるようになっている。
【0039】
(主電源スイッチ)
主電源スイッチ201(図6参照)の操作ボタン11と、右加熱源6Rの通電とその通電量(火力)を制御する制御スイッチ(図示せず)の電気接点を開閉する右操作ダイアル12Rと、左加熱源6Lの通電とその通電量(火力)を制御する制御スイッチ(図示せず)の電気接点を開閉する左操作ダイアル12Lとにより、中央操作部23、右加熱源6Rの右火力設定用操作部21、左加熱源6Lの左火力設定用操作部22の電源が遮断される構成になっている。したがって、例えば主電源スイッチ201を開成(OFF)すれば、それ以後、右操作ダイアル12Rおよび左操作ダイアル12Lの操作は一斉に無効となる。
【0040】
(表示手段)
統合表示手段(以下「中央表示・入力部」と称す)80が、トッププレート5の左右方向の中央部で、前後方向の前側に設けられている。中央表示・入力部80は、液晶パネルを主体に構成され、トッププレート5を介して(透過させて)その下面から表示光を上面側に放つようにトッププレート5の下面近傍に設けられている。
中央表示・入力部80は、左加熱源6L、右加熱源6R、中央加熱源7及び加熱室19の内部に設けたグリルヒータ110A等の通電状態(火力や時間等)を入力したり、確認したりすることができるものである。すなわち、(i)加熱源6の機能(調理動作中であるかどうか等)と、(ii)中央加熱源7の機能(調理中であるかどうか等)と、(iii)グリル調理の場合には、加熱室19内部でグリル調理を行う場合の操作手順や機能(例えば、現在ロースタ、グリル、オーブンの調理の何れが行われているかどうか)と、が文字やイラスト、グラフなどによって表示されるものである。具体的な構造と表示動作については以下に説明する。
【0041】
図1において、60は本発明の加熱調理装置が設置された流し台64の設置空間である台所の壁65に取り付けられた液晶TV又は液晶モニター等の画像表示器であり、これはパソコンの画面として接続して使用されるような周知のものでも良い。61は画像表示器60の電源コード、62は画像表示器60に対して画像信号を送出する接続ケーブルで、後述する通電制御回路200に駆動回路244を介して接続される。
【0042】
画像表示器60の使用は使用者の任意であり、接続ケーブル62の端部にある接続プラグ62Aを簡単に調理装置本体1の出力端子244H(図7参照)から取り外せるので、電源接続口63に接続しない状態で加熱調理装置を使用しても何ら調理動作には影響がなく、また中央表示・入力部80の動作にも影響はない。画像表示器60の上面、左右側面、下面及び前面の5面全体はカバー66によって覆われ、画像表示器60の前面、すなわち加熱調理装置本体1に面する側は透明な材質で構成されているか、または透明な板で覆われた窓を設けており、画像表示器60に着脱自在に取り付けられている。
【0043】
中央表示・入力部80は、周知のドットマトリックス型液晶画面で構成されている。このため高精細(320×240ピクセルの解像度を備えているQVGAや640×480ドット、16色の表示が可能なVGA相当)の画面を実現でき、文字を表示する場合でも多数の文字を表示することができる。
図8はその一例を模式的に表示したものである。図8に記載のように、情報を表示する画面区域81は合計10個のエリアに割り当ててあり、
左加熱源6Lの対応エリアA1、A2と、
中央加熱源7の対応エリアB1、B2と、
右加熱源6Rの対応エリアC1、C2と、
グリルやオーブン調理用のグリルヒータ(加熱源に同じ)110A等の対応エリアDと、
使用者に各種調理における注意や参考情報を表示するガイドエリアEと、
上記入力キー群91の各入力キー83、95〜99に隣接し、そのキーで入力可能な機能を個別に表示する、互いに独立した6つの表示キー84、100、101、102、103、104を(仮想的に)表示するキー表示エリアFと、
Tips表示エリアGと、
をそれぞれ備えている。
【0044】
上記の合計10個の各エリア(表示領域)は、中央表示・入力部80の液晶画面の上に実現されたものではあるが、画面自体に物理的に個別に形成され、又は区画されているものではない。すなわち、画面表示のソフトウエア(マイコンのプログラム)により確立されたものであるので、そのソフトウエアによりその都度面積や形、位置を変えることは可能であるが、使用者の使い勝手を考え、左加熱源6L、中央加熱源7、右加熱源6Rなど各加熱源の並び順序に合わせて常に同じ並び順序にしている。つまり、画面上では左側に左加熱源6L、真中に中央加熱源7、右側に右加熱源6Rについての情報が表示される。
【0045】
左加熱源6Lに対応して、左加熱源6Lのための火力(加熱量)などの「第一条件」設定の正常状態を表示する第一の表示エリアA1と、左加熱源6Lのための調理時間、設定温度など(第一条件よりも多数の種類がある)「第二条件」の設定状態並びに「温度や電流、電圧などの物理量」異常状態を表示する第二の表示エリアA2と、の2つのエリアから構成されている。
【0046】
同様に、中央加熱源7に対応して、中央加熱源7のための火力などの「第一条件」設定の正常状態を表示する第一の表示エリアB1と、中央加熱源7のための調理時間、設定温度など(第一条件よりも多数の種類がある)「第二条件」の設定状態並びに「温度や電流、電圧などの物理量」異常状態を表示する第二の表示エリアB2と、の2つのエリアから構成されている。
【0047】
また、同様に、右加熱源6Rに対応して、右加熱源6Rのための火力などの「第一条件」設定の正常状態を表示する第一の対応エリアC1と、右加熱源6Rのための調理時間、設定温度など(第一条件より多数の種類がある)「第二条件」設定の正常状態並びに「温度や電流、電圧などの物理量」異常状態を表示する第二の表示エリアC2と、の2つのエリアから構成されている。
【0048】
図8において、キー表示エリアFと、6つの入力キー83、95〜99との配置関係が示されている。キー表示エリア部分Fに設けた6つの各キー(以下、表示キー又はソフトキーともいう)84、100〜104は、場面によって機能が変わる液晶画面内での仮想キーであり、実際の操作は各表示キー84、100〜104に対応して近接配置されている入力キー(F1〜F6、ファンクションキーともいう)83、95〜99を操作することにより、各表示キー84、100〜104を操作したことに相当する操作信号が(後述する通電制御回路200に)入力されることになる。
【0049】
入力キーを個別に表示する方法として、キー部分に文字を浮かび上がらせたり、発光ダイオード等により点灯させたり、キー部分の色彩や輝度を強調したり、色々な方法があるが、実施の態様1では、入力できる条件の前提となる各種パラメータ(対象となる加熱源、加熱温度や時間、通電量など)設定に必要な文字と記号(矢印など)を表示キー部分84、100〜104に表示するように構成している。
【0050】
表示キー104の右側手前には、ハードキーからなるインフォーメーションキー(Tipsキー)85が設けられている。このキーは、キー104の上方のTips表示エリアGに対応しており、その表示エリアに特定の記号、例えば参考情報(インフォーメーション)を意味する「i」を○で囲んだ記号(以下、「(i)」と称す)が表示された場合、このインフォーメーションキー85を押せば、調理に役立つ詳しい情報などを文字で中央表示・入力部80のガイドエリアEに表示させることができる。具体的には、つぎのような情報をガイドエリアEに表示する。
(1)ユーザーの操作・意図とは関係ない動作に対するお知らせ(切り忘れ防止/脱煙フィルター自動クリーニング等)。
(2)自動調理(揚げ物、自動グリル)を安全に、また上手に使いこなすために行ってもらいたい内容。
(3)調理全般に関して加熱調理装置特有の癖(焼きムラ等)のお知らせ。
(4)加熱調理装置の安全面のお願いや・警報内容、警報に対する対応方法。
【0051】
(動作説明)
図8および図10は、表示キー84、100〜104と入力キー(ファンクションキー)83、95〜99の表示例を示している。6つの表示キー84、100〜104はそれぞれその下方に個別にLEDがそれぞれ配置されており、操作場面毎に有効な入力用表示キーを点灯する。例えば、図10に示す表示キー100〜104は有効(アクティブ状態)になっている。図中、「AM」はアクティブ状況にあることを模式的に示したアクティブマークである。実際はこのような特定形状の点灯を行うだけではなく、表示キー84、100〜104の全域や輪郭だけを明るくし、又は色を変える等の方法で、アクティブ状況にあることを示しても良い。
【0052】
表示キー84、100〜104の内、操作しても無効なキーについては、グレイアウト(コントラスト及び文字内容を薄く表示する)や非表示(キー外形形状のみを薄く表示する)により区別をするようにしている。図10では、1つの表示84だけが、グレイアウトや非表示になっている(実際には「初期画面」という文字さえ表示されない)。
【0053】
また、ファンクションキー83、95〜99についても、その下方に個別に設けたLEDの点灯有無により、有効なファンクションキーが目視で区別できるようにしている。
図10において、表示キー84に対応するファンクションキー83は、LEDが点灯しておらず、このLEDが点灯していないファンクションキー83を押しても、後述する通電制御回路200の中には有効な操作信号が上面操作部20より取り込まれない(通電制御回路200の動作を定める制御プログラムに対し、有効な操作指令信号にならない)。
【0054】
つまり、実施の態様1では、使用者が中央表示・入力部80を見た場合、所望の表示キーを少しでも早く、簡単に認識・理解できるよう不要な表示キーにはこのように何も選択する機能名や加熱源の名称を表示しないようにプログラムしてある。また、入力が有効な表示キーは文字や発光、色などで判別できるようにしている。さらに、その有効な表示キーに対応するファンクションキー83、95〜99も、それが有効な(アクティブ)状態であることを色や光等で表示している。
【0055】
以上の通り、6つの表示キー84、100〜104のアクティブ状態と、6つのファンクションキー83、95〜99のアクティブ状態とは、入力の場面毎に変化するが、常に両者は対応している。例えば、図10において、表示キー100が有効である(アクティブマークAMが点灯してアクティブ状態であることが示されている)場面では、ファンクションキー95も有効(アクティブ状態)になっている。
【0056】
図10では、中央表示・入力部80の画面区域81が初期状態を表示しているため、表示キー84に対応するファンクションキー83は非アクティブになっており、このキー83を押圧しても、これに対応する表示キー84では入力操作できないことを示している。
表示キー84には「初期画面」との説明文字が表示されているが、既に初期画面になっているので、表示キー84を操作する必要性がないからである(この初期画面という表示自体を表示キー84に表示させないこともできるが、実施の態様1の説明上、図10では表示させている)。
【0057】
図8で、「戻る」という表示キー100は、調理条件の入力などを行っていく過程で一つ前の入力画面や表示画面に戻したい場合に押すものである。「初期画面」の表示キー84は、どのような段階でも一挙に初期画面に戻したい場合に操作する。
【0058】
図11は、図10の状態から使用者が3kWキー86(図8参照)を押した場合の中央表示・入力部80と入力キー(ファンクションキー)83、95〜99の表示例を示した説明図である。3kWキー86が押されると、3kWキー86の入力信号で通電制御回路200にメニュー選択の指令が入力され、その制御回路はこの中央表示・入力部80に対し、図11の画面を表示するよう指令を出す。
【0059】
中央表示・入力部80における、右加熱源6RのエリアC2は自動的に面積が数倍に拡大され、表示エリアC1に表示された文字で、その火力のレベルが12段階中の12(最大値)である3kWに設定されることが分かる。この火力については下げることはできないので、火力を下げるための表示キー102は非アクティブであり、これに対応したファンクションキー97は非アクティブになる。
【0060】
通電時間は初期設定では2分、5分、10分の内から、2分が表示されるので、この2分を5分に変えたい場合は、3kWキーを再度押すか、又は時間や温度を増加させる「→」の記号が表示された表示キー103を操作するため、ファンクションキー98を押せば良い。この場合、時間を(5分や10分に)長くするためのファンクションキー98はアクティブ表示になっており、逆に時間を短くするための表示キー102に対応するファンクションキー97はグレイアウトになっている(2分以下に下げることはできないため)。しかし、もし5分に設定したあと、2分に戻す場合は、このファンクションキー97はアクティブになっているので、ファンクションキー97を押せば良い。
【0061】
図11に示す通り、中央表示・入力部80のガイドエリアEには調理時間が2分、5分、10分の内から選べること。またその選ぶ方法は3kWキーを押すか、又は「→」、「←」の記号が表示された表示キー102、103をファンクションキー97、98で操作すれば良いことが使用者は容易に認識できる。
【0062】
以上のように、ガイドエリアEには、例えば50文字までの文字表示ができるようにしてあり、その主な表示内容は、各種キーの操作機能の説明や操作手順の補助等、また重要な警報(異常運転状態の報知を含む)である。
【0063】
図12に、図10の状態から使用者が右IH便利メニューキー(図8参照、以下「キー」と称す)93aを押した場合の中央表示・入力部80とファンクションキー83、95〜99の表示例が示されている。すなわち、キー93aが押されると、中央表示・入力部80における、右加熱源6RのエリアC2は自動的に面積が拡大され、左側には各種の調理メニュー(例えば、揚げ物、煮込み等)が表示され、煮込みに適する火力として火力レベルが12段階中の5である625W(弱火力)に初期設定されることが分かる。
この火力は初期設定値以外に使用者が希望する火力に変更することができるので、火力を1段階落として563W以下にしたい場合は、(その場面は図で示していないが)表示キー102を操作すべく、ファンクションキー97を1回押せば、1段階さがり、2回押せば2段階(500W)に下げることができる。逆に火力を上げる場合は、ファンクションキー98を押せば良い。
【0064】
また、通電時間は上下方向の矢印が示された表示キー101を操作すれば、入力される条件が「通電時間」になる。つまり、図12において「時間:0分」という部分の時間設定が可能になる。そこで調理時間を2分に設定したい場合、ファンクションキー98を2回押す。
図12は、このように時間を設定する段階にあるため、時間(0分)を下げる(短くする)ことはないから、表示キー102が対応するファンクションキー97は非アクティブ状態である(ファンクションキー97を押しても何も入力できない)。
【0065】
時間設定を行わずに、また火力設定をやり直したい場合、図12の状態から表示キー101に対応したファンクションキー96を押せば、表示キー101の矢印表示の通り、入力対象を、「時間」からその上方位置に表示されている「火力」に移動させることができ、時間の欄から火力の欄に入力対象を変えることができる。
【0066】
また、調理メニューの機能設定の段階で、「煮込み」から「切タイマー」に変更したい場合は、ファンクションキー96を押せば、煮込み→保温→揚げ物→切タイマーのように巡回するから、切タイマーのところに合わせれば良い。
【0067】
切タイマーとは加熱源6の火力をレベル1(120W)、2(300W)、3(563W)〜8(1kW)の内から選び、1時間30分(90分)以内の連続調理をタイマーにより行うことができるようにした機能であり、例えば、火力「8」で29分間だけ右加熱源6Rを通電して調理を行なうという使用ができる。なお、切タイマー運転の場合の加熱源は、中央加熱源7でも使用可能である。
【0068】
図8において、右加熱源6Rが通電され加熱中であることを点灯や点滅で示す通電マーク50が設けられている。通電マーク50は図8に示すように、各加熱源の名称を表示した右位置に現れる。
【0069】
(制御回路)
図6は、この調理装置の制御回路の全体を示す図であり、該制御回路は、1つ又は複数のマイクロコンピュータを内蔵して構成されている通電制御回路200によって形成されている。通電制御回路200は、入力部と、出力部と、記憶部と、演算制御部と、の4つの部分から構成され、定電圧回路232を介して直流電源が供給されて、全ての加熱源(加熱手段)と中央表示・入力部80(表示手段)を制御する中心的な制御手段の役目を果たすものである。
【0070】
図6において、主回路の母線202A、202Bに200V電圧の電力を供給する商用電源202が接続され、主回路の一方の母線202Aに主電源スイッチ201が設けられている。そして、商用電源202に対し、互いに並列に接続された右加熱源6R用の右加熱源回路206Rと、右加熱源回路206Rと同様に構成された左加熱源6L用の左加熱源回路206Lと、中央加熱源7用の中央回路207と、グリル・オーブン用加熱源用のグリル回路208と、が設けられている。
【0071】
右加熱源回路206Rは、誘導加熱コイル220と、母線202A、202Bに入力側が接続された整流ブリッジ回路221と、この直流側出力端子に接続されたコイル222及び平滑化コンデンサ223からなる直流回路と、コイル222とコンデンサ223の接続点に1端が接続された加熱コイル220及び共振コンデンサ224の並列回路からなる共振回路と、この共振回路の他端にコレクタ側が接続されたスイッチング手段となるIGBT225と、を備えている。
【0072】
IGBT225のエミッタは、平滑化コンデンサ223と整流ブリッジ回路221の共通接続点に接続されている。フライホイールダイオード226のアノードがエミッタ側になるようIGBT225のエミッタとコレクタ間に接続されている。
【0073】
図6において、電流検出センサー227が、加熱コイル220と共振コンデンサ224の並列回路からなる共振回路225に流れる電流を検出する。電流検出センサー227の検出出力は通電制御回路200の入力部に供給され、誘導加熱に不適当な鍋などが用いられた場合や、何らかの事故などによって正規の電流値に比較して所定値以上の差の過少電流や過大電流が検出された場合は、通電制御回路200により駆動回路228を介してIGBT225が制御され、瞬時に誘導加熱コイル220の通電を停止するようになっている。
【0074】
右加熱源回路206Rは、誘導加熱コイル220と、コイル222及び平滑化コンデンサ223からなる直流回路と、駆動回路228と、この駆動回路によりスイッチング制御される上記IGBT225と、共振回路220と、フライホイールダイオード226と、整流ブリッジ回路221と、から構成されている。
【0075】
左加熱源回路206Lは、右加熱源回路206Rと同等の回路構成であるので説明は省略する。なお、左加熱源6Lの最大火力は、例えば、上記したように2.5kWであり、右加熱源6Rの最大火力設定3.0kWよりも小さく設計されている。また、左加熱源回路206Lおよび右加熱源回路206Rは、所謂フル・ブリッジ回路で構成しても良い。
【0076】
電流検出センサー227は、図示していないが、左加熱源回路206Lやグリル回路208、中央回路207にもそれぞれ同様に設けられている。
【0077】
中央回路207は、電磁リレー230と電気ヒータ231との直列回路を有し、この回路の両端が上記母線202A、202Bにそれぞれ接続されている。
【0078】
通電制御回路200から出力される駆動信号に基づき、赤外線の光信号を発生させる赤外線駆動回路233は、その駆動出力側に複数個(図6では3個のみ描かれている)の赤外線LED234、235、236の直列接続回路が接続されている。この直列接続回路の他端には抵抗237を介してトランジスタ238のコレクタが接続され、トランジスタ238のベースは赤外線駆動回路233に接続されている。なお、トランジスタ238のエミッタはアース接続されている。
【0079】
(トッププレート割れ検知)
図6において450は、ガラス製のトッププレート(上板に同じ)5が割れたことを電気的または機械的に検知して、所定の割れ検知信号を通電制御回路200に入力する割れ検知手段である。電気的に検出する手段としては、例えばトッププレート5の裏面に格子状又は網目状に貼付された導電性皮膜における電気抵抗値の変化を捉える方法がある。
また機械的に検知する手段としては、例えば圧力スイッチがある。この圧力スイッチとは、トッププレート5の下面には、通常、左加熱コイル220Lおよび右加熱コイル220R、その他これらを支える支持部材などの構造物が押し当てられているため、トッププレート5が割れた場合、その割れによってトッププレート5が局部的に上方に持ち上がり、これをトッププレート5に接触している圧力スイッチが検知して電気信号に変えるというものである。
【0080】
(換気装置)
本発明になる加熱調理装置の構成の一部ではなく、本発明の加熱調理装置に必須の装置や部品でもない換気装置239が、例えば、設置空間の上方となる台所の壁65(図1参照)上部などに設置されている。換気装置239は、換気用の排気ファンを駆動するファンモータ243と、制御部に内蔵された赤外線受光素子となるフォトダイオード240と、受信回路241と、制御回路242と、を有している。すなわち、フォトダイオード240が赤外線LED234〜236の直列回路から赤外線信号を受けると受信回路241を通じて制御回路242に信号が伝達され、その信号によりファンモータ243が回転駆動される。
【0081】
(表示手段の制御)
図6に示すように、中央表示・入力部80の液晶画面を駆動する駆動回路244は、表示専用のマイクロコンピュータを内蔵して構成されており、通電制御回路200の出力部から駆動信号が入力される。また、画像表示器60にも画像信号を供給するように電気ケーブル62により接続されている。
【0082】
(駆動回路)
図7に示すように駆動回路244は、専用のマイクロコンピュータを内蔵して構成された制御回路244Aを有している。
制御回路244Aは、入力部と、出力部と、記憶部と、演算制御部と、の4つの部分(図示しない)を備えている。その入力部に通電制御回路200からの駆動信号、例えば正常時の表示指令信号や異常動作時の表示指令信号等がそれぞれ入力される。
【0083】
244Bは中央表示・入力部80の液晶画面に表示信号を出力する出力部である。
244Cは画像表示器60に表示信号を出力する出力部であって、接続コード62の端部に設けた接続プラグ62Aを着脱自在に挿入するためのコネクタ244Hが電気的に接続されている。
244Dは後述する外部出力部600に対して表示指令信号を送信する出力部であって、表示指令信号を赤外線信号で送るための赤外線放射部244Gが接続されている。
【0084】
赤外線放射部244Gは、図示していないが、本体ケース2の側面や、天板3の上面に設けた放射窓を通じて本体1の外部へ赤外線信号を放射できるようになっており、本体1の外側側面や天板3の上面に設置された外部出力部600へ専用のケーブルを経由せずに信号を伝達することができる。
244Eは出力部244Dに対する制御回路244Aからの信号を停止するスイッチであり、外部出力部600を使用しない場合、使用者が開にしておけば良い。
244Fは出力部244Cに対する制御回路244Aからの信号を停止するスイッチであり、画像表示器60を使用しない場合、使用者が開にしておけば良い。
【0085】
スイッチ244Eおよびスイッチ244Fの開閉は上面操作部20に設けたキー(図示せず)で行なうもので、そのキーの操作により通電制御回路200に指令信号が送られ、制御回路244Aの出力が出力部244Cおよび出力部244Dに出されないようにしている(実際には、機械的なスイッチがある訳ではなく、スイッチ244Eおよびスイッチ244Fの機能は制御回路244Aの制御プログラムで実現している)。
【0086】
(外部出力部)
外部出力部600は、本体1とは別個に形成されており、本体1後方の台所の壁65(図1参照)や本体ケース2側面又は天板3の上に設置される。外部出力部600は調理装置本体1と別個に100Vの商用電源800に接続されている。つまり調理装置本体1が200Vの商用電源202が接続されているのに対し、外部出力部600はそれとは別個に100Vの商用電源800に接続されている。なお、外部出力部600の設置位置は、完全に自由ではなく、あくまでも赤外線放射部244Gからの信号を受信できる範囲に限られる。
この実施の態様1では、台所の壁65の上部に外部出力部600が取り付けられているものとして以下説明する。
【0087】
外部出力部600は、図7に示すように制御部601、データ変換部602、電力線モデム部603、CCD搭載の小型カメラ604及び半導体メモリー605を備えている。
制御部601は、駆動回路244からの信号(調理装置本体1の正常動作信号や異常動作の報知信号を含む)を受けてカメラ604をON/OFFする切り替え操作と、後述する外部表示機器700に対する各種指令信号送出動作、及び電力線モデム603から送られて来た信号に応じてカメラ604をON/OFFし、またカメラ604の監視データを半導体メモリー605に記録するよう指令を行なうものである。
なお、半導体メモリー605には、カメラ604が撮影した静止画像と駆動回路244から送られてきた異常動作の報知信号とを、記録日時等の補足データとともに一時的に保管しておく。そして、後述する外部表示機器700から所定の再生指令を制御部601が受けた場合は、制御部601はその画像と報知信号をデータ変換部602に読み出すことを指令し、読み出された画像と報知信号は外部表示機器700に送られる。
【0088】
データ変換部602はカメラ604から伝達される監視情報をデジタル監視データに変換し、汎用の圧縮方式(例えばMPEG)で圧縮して電力線通信用(以下「PLC」と称する)のデータに変換し、電力線モデム603に伝達する機能を有すると共に、電力線モデム603から送られて来た外部表示機器700からのPLC形式の指令信号(圧縮された遠隔操作指令信号を含む)を解凍(解読)し、制御部601に伝達する機能を有する。
【0089】
606は商用電源800のコンセント800Aに差し込まれて接続される電源プラグである。この実施の態様1では、外部出力部600は外部表示機器700に対する発信機機能だけではなく、外部表示機器700からの信号を受けて動作する受信機機能も有しているため、外部表示機器700によって遠隔制御できる。
しかしながら、本発明において、このような受信機機能は必須ではなく、外部表示機器700に対して調理装置本体1の駆動回路244からの信号(調理装置本体1の動作状態を特定できる文字や記号、図形、音等の伝達手段で報知する信号)を送出できれば良い。
なお、カメラ604は台所の壁65の上部位置から調理装置本体1の上面全体が撮影範囲に入るように方向がセットされている。
【0090】
(外部表示機器)
外部表示機器700は、本発明になる加熱調理装置の構成の一部ではなく、本発明の加熱調理装置に必須の装置や部品ではない。しかしながら、本発明の異常報知システムの中核を構成する装置である。この外部表示機器700は、例えば、調理装置の設置空間である台所、あるいは台所とは別の場所、例えば居間に設置されているものである。
外部表示機器700は、図7に示すように制御部701、データ変換部702、電力線モデム部703、一般のテレビ受像機705を備えている。
706はテレビ受像機705の画面を示す。また707は室内又は屋外に設置されたテレビ放送受信用のアンテナである。既存のテレビ受像機705に対し、制御部701、データ変換部702、電力線モデム部703を一体化したアダプター形式にしても良い。そうすればこのアダプターを別の部屋に持って行き、その部屋にある別のテレビ受像機でも利用できる。
【0091】
制御部701は、電力線モデム603から送られて来た信号(調理装置本体1の正常動作信号や異常動作信号を含む)を受けてテレビ受像機705をON/OFFする切り替え操作を行なう。また、前記した外部出力部600に対する各種指令信号送出動作、及び電力線モデム703から送られて来た信号に応じてそのデータをデータ変換部702に伝達するものである。
【0092】
データ変換部702は外部出力部600から伝達されるデジタル監視情報を解凍し、テレビ受像機705用データに変換し、また制御部701からの指令に応じてPLCのデータに変換し、電力線モデム703に伝達する機能を有する。
さらに、データ変換部702は、アンテナ707から受信した放送局からの映像と音声等の信号の中から、使用者がリモコン704で指定したチャンネルの信号を選択してテレビ受像機705に送出する。
【0093】
テレビ受像機705は通常チューナ機能を有しているので、アンテナからの信号はデータ変換部702で受信しない構成でも良いが、この実施の態様1ではデータ変換部702によって、放送局からの画像データに外部出力部600からの画像(静止画)を同時表示(画面に並べて表示する方式や親画面の中に子画面を入れる方式など)する処理を行なうため、所謂スーパーインポーズやピクチャー・イン・ピクチャー機能を持たせている。
【0094】
708は商用電源800のコンセント800Aに差し込まれて接続される電源プラグである。
なお、リモコン704はテレビ受像機705に付属しているもので良いが、市販されている各メーカ機種用の所謂共用リモコンでも良い。少なくともテレビ受像機705を起動(ON)したりOFFしたり、音量調節、チャンネル選択など基本的機能を発揮するものであれば良い。
【0095】
この実施の態様1では、外部表示機器700は外部出力部600からの受信機機能だけではなく、外部出力部600に対する送信機機能も有しているため、リモコン704によって遠隔制御できる。しかしながら、本発明を利用する場合においては、このような送信機機能、リモコン機能は必須ではなく、調理装置本体1の駆動回路244からの信号(調理装置本体1の動作状態を特定できる文字や記号、図形、音等の伝達手段で報知する信号)を受信できれば、他の方式や構成の機器でよい。したがって、例えば、家庭で使用しているパソコンやその他の画像表示モニター機器、あるいはインターフォン、防犯や火災報知等のための集中セキュリティシステムでも良い。
【0096】
また、外部表示機器700は、外部出力部600から最初の信号を受けた場合、テレビ受像機705の電源投入等の準備をし、その準備完了を外部出力部600へ送信し、その信号を外部出力部600が受けてから、その外部出力部600が報知情報を送信するようにしても良い。更にカメラ604を省略し、調理装置本体1から送られる報知データの大きさを小さくして、通信容量が制限されている既存のPLC等のインフラを使用した場合でも送信速度を落とさず、簡略なシステムで報知する構成にしても良い。
【0097】
右加熱源6Rの右火力表示ランプ40Rを点灯させる駆動回路245には、通電制御回路200から駆動信号が入力される。
右火力表示ランプ40Rは、図6に示すように、合計12個の発光ダイオード246〜257が互いに並列に接続されている回路を備えている。この並列回路の一端が駆動回路245に接続され、他端はそれぞれ抵抗258a〜258lを介して接地側接続点259に接続されている。また、左加熱源6L用の左火力表示ランプ40Lも同様に構成されているが、発光ダイオードの数は11個である。
【0098】
右加熱源6R用の右火力表示ランプ40Rは、上記したように、火力120Wから最大火力3kWまでの間を12個の発光ダイオードにより12段階に表示できるようになっている。
【0099】
左加熱源6L用の左火力表示ランプ40Lは、図示していないが、上記したように火力120Wから最大火力2.5kWまでの間を11個の発光ダイオードで11段階に表示できるようになっている。
【0100】
(温度センサー)
図6において、本体1の内部空間を一定の温度範囲に保つための冷却用ファン駆動回路260が設けられている。温度検出回路311には、後述する合計12個の温度センサーS1〜S7Lの温度データが入力される。
【0101】
各種温度センサーは次の通り各部分に配置されている。
S1は中央加熱源7用の中央回路207の電気ヒータ231近傍に設けた温度センサーである。
S2Aは右加熱源用回路206Rの誘導加熱コイル220Rの保持枠335底部外側に設けた温度センサーである。
S2Bは右加熱源用回路206Rの誘導加熱コイル220Rの内側中央空間部に設けた温度センサーで、主に鍋などの被加熱物Nからの輻射熱温度を検知する。
【0102】
S3Aは中央表示・入力部80の液晶基板の前部上面に設けた温度センサーである。
S3Bは同じく中央表示・入力部80の液晶基板の後部上面に設けた温度センサーである。
S4Aは左加熱源用回路206Lの誘導加熱コイル220Lの保持枠335底部に設けた温度センサーである。
S4Bは左加熱源用回路206Lの誘導加熱コイル220Lの内側中央空間部に設けた温度センサーで、主に鍋などの被加熱物Nからの輻射熱温度を検知する。
【0103】
S5は加熱室19の天井部に設けた温度センサーである。
S6Rは本体1内部の右空間部370Rに設けた複数の高電圧電気部品371Rを取り付けた冷却フィン372Rに固定した温度センサー(図4参照)である。
S6Lは本体1内部の左空間部370Lに設けた複数の高電圧電気部品371Rを取り付けた冷却フィン372Lに固定した温度センサーである。
【0104】
温度センサーS2と温度センサーS4とは、それぞれ1対の温度センサーから構成されている。すなわち、右加熱源6Rでは、金属製の容器状の右保持枠335R下面の覆うフェライト製板(磁束漏れ防止板)331Rの略中央部(円板形に巻いた誘導加熱コイル220Rの略中心直下)に一つの温度センサーS2Aを取り付け、保持枠330R内部で、かつ加熱コイル220Rの中央空間部にもう一方の温度センサーS2Bを配置している。
【0105】
同様に、左加熱源6Lでは、本体1の左右中心線CLを挟んで右加熱源6Rの温度センサーS2A及びS2Bと対照的な位置に、温度センサーS4Aおよび温度センサーS4Bをそれぞれ備えている。
なお、このように左加熱源6Lと右加熱源6Rに、それぞれ温度センサーを2個設けた目的は、保持枠335Lおよび保持枠335Rの内部と外部とで後記する冷却用ファン265および冷却用ファン266の冷却効果を検知させることにより、より正確に温度制御を実現しようとするものである。
1対の温度センサーS2A、S2B、および1対の温度センサーS4A、S4Bの個々の温度検出状態は異なり、異常温度と判定する基準温度も異なるが、左加熱源6Lおよび右加熱源6Rは主要な加熱源であり、かつ高温度になるので、温度センサーをそれぞれ一対設け、二重に監視することとしている。
【0106】
S7Rは図3に示すように、パワーモジュール321Rが取り付けられたヒートシンクにそれぞれ取り付けられた温度センサーである。
S7Lは図3に示すように、パワーモジュール321Lが取り付けられたヒートシンクにそれぞれ取り付けられた温度センサーである。
温度センサーS7Lおよび温度センサーS7Rによる検出温度情報は温度検出回路311に入力される。
【0107】
図6において、冷却用電動送風機(以下冷却用ファンと称する)261、262、263、264、265、266、267の運転開始、停止及び回転速度(送風能力)は、それぞれ冷却用ファン駆動回路260により制御される。
なお、冷却用ファン263の送風能力は、冷却用ファン264の送風能力より大きいものが選ばれている。この理由は、右側の右加熱コイル220Rの方が、最大火力が大きく、それだけ発生する熱量が大きくなるためである。
【0108】
前記のように、12個の温度センサーS1、S2A、S2B、S3A、S3B、S4A、S4B、S5、S6R、S6L、S7R、S7Lからの温度データは、それぞれ温度検出回路311を介して全て通電制御回路200に入力する構成になっている。
【0109】
冷却用ファン駆動回路260は、温度検出回路311からの温度測定状況に応じ、それぞれの温度測定部分が所定温度以上高温にならないように常に冷却用ファン261、262、263、264、265、266を運転して、風で冷却されている。
【0110】
なお、前記風冷によっても所定の温度以上に上昇した場合は、通電制御回路200に温度検出回路311から異常温度信号が入力され、左加熱源6Lまたは右加熱源6Rや電気ヒータ231等の加熱源の電源が遮断されたり、制限されたり、安全動作のための保護信号が通電制御回路200から各加熱源に向けて出力されたりする。
つまり異常検出手段はこの通電制御回路200と温度検出回路311と電流検出センサー227、前記したトッププレート割れ検知手段450等と、から構成されている。
【0111】
図6において、商用電源202から主電源スイッチ201により通電制御回路200を切り離す場合、その商用電源に代わり電源を供給する予備電源400が設けられている。例えば、充電池から構成されており、商用電源202から通電制御回路200の間で電気的に異常電流等の不具合が発生し、そのままでは危険な場合に通電制御回路200自身が主電源スイッチ201を開放する時に接続されて使用される。
【0112】
通電制御回路200の内部には、図示していないが不揮発性半導体記憶メモリーが内蔵されており、加熱調理装置本体1に異常が発生してから商用電源が切れるまでの情報を記憶している。これは次に再度加熱調理装置が起動した際に、通電制御回路200が前回の故障や不具合を判断し、不用意に通電しないようにするためである。また、加熱調理装置の修理業者やメーカが上記メモリーの故障履歴を読み出し、修理に役立てるようにすることもできる。また、通電制御回路200は、下記場合に限り、上面操作部20の各種キーの入力を制限する構成になっている。
【0113】
場合1:上面操作部20の操作を検知し、最後に使用された加熱源(例えば右加熱源6Rなど)の通電が停止してから所定時間(例えば2分)経過した場合。
場合2:何れの加熱源も通電されていない状態で、かつ上面操作部20における各種入力キー(6つのファンクションキー83、95〜99や、3kWキー86、6つの各種操作ボタン29、92、93、94、300、310、93a等)が操作されてから所定時間(例えば5分)経過した場合。
これにより使用者が加熱調理装置の前から離れている間に、何らかの原因で加熱調理の入力指令がされ、加熱が不用意に開始されてしまうことを防止している。この機能は、左加熱源6L、右加熱源6R及び中央加熱源7を、通電開始から所望の時間だけ通電し、以後自動的に電源を切るタイマースイッチ(図示せず)のタイマーダイアル16、17、18とは別のものである。
【0114】
一方、制限された状態から復帰させるには、以下の2つの方法に限られる。
方法1:本体ケース2の右側前面に設けられた前面操作部10にある左操作ダイアル12Lと、右操作ダイアル12Rと、中央操作ダイアル13などのいずれか一つを回動したり、前方に突出させたりする等の操作をする。
方法2:6つのファンクションキー83、95〜99の中で、通常の調理では使用することが有り得ない特殊な押し方(例えば6つの中の、離れている特定な2つを5秒間だけ押し続けること)をする。
【0115】
(本体内部の構造)
本体1の内部は、図5の縦断面図に示すように、加熱室19を左右両側から挟むように、本体1の底面から天井面に至るような寸法を有する左仕切板290Lと右仕切板290Rとが設けられ、左仕切板290Lと本体ケース2の左側壁との間で左空間部370Lが、右仕切板290Rと本体ケース2の右側壁との間で右空間部370Rが、それぞれ区画形成されている。
【0116】
右空間部370Rに設けられた冷却フィン372Rはアルミ等熱伝導性の良い素材で形成されており、その後部側には前記冷却用ファン261がモータFMに支持されている。そしてこのモータFMの駆動時には、本体ケース2の背面右側位置に多数形成した吸気孔(図示せず)から外気が右空間部370Rに吸引されるようになっている。
【0117】
同様に、左空間部370Lにも冷却用ファン263とモータFMが設置されており、そのモータFMの駆動時には、本体ケース2の背面左側位置に多数形成した吸気孔(図示せず)から外気が左空間部370L内に吸引される。
【0118】
右空間部370Rの前方の天井面近くには、下面に吸い込み口265Aを有し、かつ一端に吹出口265Bを有するケーシングを持った冷却用ファン265が水平に配置されている。冷却用ファン265は、冷却用ファン261で吸い込まれ上昇してくる空気を吸い込み口265Aで吸い込み、これを加熱室19の上方において本体1の内部を上下に区画する金属製仕切板270(図5参照)の上方へ吹き出す。
【0119】
仕切板270は、本体1の内部を加熱室19の上方において上下に区画する板であるため、仕切板270によって区画された上方空間275の右前方角部分から中央表示・入力部80の方向へ、冷却用ファン265からの冷却風が導入される(図3の矢印F1Rにて示す)。
【0120】
同様に、左空間部370Lの前方の天井面近くには、下面に吸い込み口266Aを有し、かつ一端に吹出口266Bを有するケーシングを持った冷却用ファン266が水平に配置されている。冷却用ファン266は、冷却用ファン262で吸い込まれ上昇してくる空気を吸い込み口266Aで吸い込み、これを加熱室19の上方において本体1の内部を上下に区画する金属製仕切板270の上方空間275へ吹き出す(図3の矢印F1Lにて示す)。
【0121】
仕切板270の左右前方部には、冷却用ファン266の吸い込み口266Aの直下位置と、冷却用ファン265の吸い込み口265Aの直下位置と、にそれぞれ連通口が開口し、それぞれ、左空間部370Lの内部の空気が冷却用ファン266により吸引される導入口と、右空間部370Rの内部の空気が冷却用ファン265により吸引される導入口と、になっている。
【0122】
加熱室19の天井壁面273は、全体が断熱材272で覆われている。また、加熱室19は、仕切板270によってその下方に区画形成された下方空間274の中に位置している。
【0123】
図5に示す通り、上方空間275の前部には、中央表示・入力部80の液晶画面を構成する正方形の液晶基板280が設けられている。液晶基板280はその底面側が断熱材281で覆われ、上面だけが開口した金属製又はプラスチック製のケース282の内部に格納され、トッププレート5の下面から所定の空隙283を保つようにケース282により仕切板270の上面に固定されている(固定部材は図示していない)。なお、ケース282の上端には外側に広がったフランジ部282Aが形成されている。
【0124】
ケース282の全周に亘り計4個の連通孔271が形成されている。液晶基板280の上方に冷却用ファン265、266からの風の一部が通過することにより、液晶基板が高温度にならないようにしている。ケース282の底面には風の流れる方向(図2に破線で示している方向)に、数列の放熱フィン284が一体に形成され、ケース282の空冷性能が高まるようにしてある。
【0125】
図5に示すように、天ぷらなどの揚げ物を調理した大型(大口径)の鍋Nがトッププレート5の上に長時間置かれた場合(一点鎖線にて示す)、特に、鍋Nの位置が正規の位置より中央表示・入力部80に接近し過ぎて置かれた場合、鍋Nからの熱が中央表示・入力部80に伝わりやすくなり、温度が異常に上がる原因になることが考えられるので、連通孔271を設けて冷却風の流れを良くしている。
【0126】
同じく、図5において、赤外線LED234(図6参照)が、液晶基板280の後端と断熱材281の間に設けた溝状空間291に配置されている。また、図示していないが他の赤外線LED235、236(図6参照)も直ぐ横に一列に置かれ、トッププレート5を透過して換気装置239の方角へ赤外線駆動信号を放射するようになっている。
なお、枠体4の上壁面や上面操作部20を構成する外表面の一部に開口を設け、その開口を赤外線透過材で覆い、この透過材の下方に上記赤外線LED234〜236の一部又は全部を設けても良い。
【0127】
本体1の上面操作部20の下方全体に亘って電気絶縁性取付基板(以下、「制御基板」と称す)292が水平に設けられている。制御基板292には、上面操作部20の各種入力スイッチ類、例えば操作ボタン92により操作される操作スイッチやファンクションキー97で操作される複数個のスイッチなど上面操作部20に関係のある電気部品群293が搭載されている。なお、これら電気部品群は比較的低圧・小電流が供給されるものに制限されている。
【0128】
制御基板292の下方に一定の空隙295を置いて制御基板292と略平行に、電気絶縁性取付基板(以下、「制御基板」と称す)294が設置されている。制御基板294の一部は中央表示・入力部80の液晶基板280の下方にまで至る大きさを有し、中央表示・入力部80やその駆動回路244を構成する表示用のマイクロコンピュータ等の電気部品類298が搭載されている。
一定の間隔で複数個設けた取付脚296A、296Bが、制御基板292、294を本体1の内部に固定している。また、取付脚296A、296Bの一部は仕切板270に載置固定されている。
【0129】
また、制御基板294の下方にも一定の空隙297が形成され、冷却用ファン265、266からの風が流通して雰囲気温度を下げるようになっている。これにより、トッププレート5自体やその上方から伝達される鍋N等の熱によって制御基板292、294上の電気部品類293、298が高温にならないようにしている。
【0130】
図3に示す通り、液晶基板280周辺のケース282やその周辺のトッププレート5は、冷却用ファン265、266から送られて来る冷却風の流れF1R、F1Lに晒されるため、それらにより冷却される。また同時に電気部品類293、298も冷却される。
【0131】
中央操作部23の操作スイッチ類と電気部品類293とは配線299によって連結され、同じくファンクションキー83、95〜99には配線299Bが連結されている。
【0132】
また、6つのファンクションキー83、95〜99等と枠体4との間には密封用シールパッキン材333が設置されている。
【0133】
(表示手段の配置)
中央表示・入力部80の液晶画面を構成する正方形の液晶基板280は、図2に示す縦寸法Hと横寸法Wがそれぞれ80mm程度であり、ケース282も正方形である。
ケース282は、左加熱源6Lと右加熱源6Rとの距離が略等しくなるように配置されている。すなわち、左加熱源6Lの加熱コイル220Lの最外周縁との距離(以下、「左右対向間隔」と称す)CBと、加熱コイル220Rの最外周縁との距離(以下、「左右対向間隔」と称す)SAと、は略同じに設定されている。
【0134】
左右対向間隔SBおよび左右対向間隔SAは、左加熱源6Lおよび右加熱源6Rの上方に置かれる鍋Nからの距離、輻射熱の強さ等を考慮し、一定の限度以上になっている。なお、鍋Nが置かれる位置は使用の都度一定ではなく、ばらつきが出るので、色々な可能性を考慮して左右対向間隔SBおよび左右対向間隔SAを決めている。
なお、図8以降の図面において、中央表示・入力部80の液晶画面が各種表示機能の説明上、横長の長方形に描いてあるが、上記したように正方形であってもよい。
【0135】
図3において、右加熱源6Rの加熱コイル220Rを収容した保持枠335Rの外周縁の最前の位置に接する直線を横方向直線RLとし、左加熱源6Lの加熱コイル220Lを収容した保持枠335L外周縁の最前の位置に接する直線を横方向直線LLとしている。このとき、横方向直線RLと横方向直線LLとが横方向の一直線上に一致している。
右加熱源6Rの右保持枠335Rの最後部と、左加熱源6Lの左保持枠335Lの最後部とを結ぶ直線を横方向直線BLにて示している(図2参照)。
【0136】
そうすると、前後方向を横方向直線RL(横方向直線LLに同じ)と横方向直線BLとによって挟まれ、左右方向を左加熱源6Lと右加熱源6Rとによって挟まれた範囲が、かかる加熱源が対向する空間(以下「対向空間」と称する)SSに相当している。
そして、中央表示・入力部80は、その最後部が対向空間SSの内部に入るように対向空間SS前方から対向空間SSの内側にまで設置されている。例えば、中央表示・入力部80は、液晶基板280の縦寸法(H)の三分の一以上の長さが対向空間SSに入っている。
【0137】
さらに、中央加熱源7の断熱性断熱カバー7Aの外周縁とケース282の胴部の最後端面との距離(以下、「前後対向間隔」と称す)SCは、左右対向間隔SAおよび左右対向間隔SBと同等か、若しくはそれよりも大きく設定されている。
特に、実施の態様1では中央加熱源7が熱輻射形の電気ヒータであるから、輻射熱の影響を極力減らすためには、誘導加熱タイプの左加熱源6L、右加熱源6Rの左右対向間隔SB、SAよりも、一定以上大きな前後対向間隔SCを確保している。
なお、ケース282の胴部とはフランジ部282Aを除いた部分をいい、図3では直線XLが、ケース282の胴部の最後部を示す位置である。この実施の態様において、SAは20mm、SBは20mm、SCは100mmである。
【0138】
図3において、仕切板270の後端部に吸気口320R、320Lがそれぞれ形成され、吸気口320R、320Lは左空間部370L、右空間部370Rにそれぞれダクト(図示せず)によって連結されている。なお、本体ケース2の背壁面に直接空気取り入れ口を開口させ、そこから外部の空気を取り入れるようにしても良い。
【0139】
仕切板270の上方空間275の左右後部に、1対の電気絶縁性素材から成形された保護カバー324R、324Lが設置されている。保護カバー324R、324Lは、平面形状は左右対称的になっており、背面側324Aと前面側が開口した逆U字断面形状を有している。
【0140】
放熱用フィンを有するヒートシンクに取り付けられたパワーモジュール321Rと、共振用コンデンサ224やコイル222等からなる高電圧・大電流が流れる電気回路部品群325Rと、によって高周波電力変換回路が構成されている。この高周波電力変換回路は保護カバー324Rで覆われた電気絶縁性の制御基板(図示せず)上に設置されている。
【0141】
中央加熱源7側の保護カバー324の壁面には傾斜させた案内面324Bが設けられている。左側の保護カバー324Lの下側にも、同様にパワーモジュール321Lや共振用コンデンサ224などを備えた高電圧・大電流の電気回路部品群325Lが収容されている。
【0142】
冷却用ファン263を囲むような形状を有したファンケース323は、背面側開口を吸込口323Aにし、前方には吹出口323Bを有している。なお、ファンケース323の内部には風を案内するガイド部材など風路の一部を構成する部材が設けてあるが、図示省略してある。また、冷却用ファン263はモータの回転軸263Aを備えている。
【0143】
ファンケース323は保護カバー324Rの前方端面に吸込口323Aを接続し、冷却用ファン263の運転時には、矢印FRに示すように吸気口320Rから空気を導入し、右加熱源6Rの加熱コイル220Rへ向かうような、矢印F2Rに示す冷却風が吹き出される。
また、中央加熱源7側のファンケース323の壁面には傾斜させた案内面323Cが設けられている。
【0144】
冷却用ファン264を囲むような形状を有したファンケース325は、背面側開口を吸込口325Aにし、前方には吹出口325Bを有している。なお、このファンケース325の形状は、左右中心線CLを挟んでファンケース323と左右対称形になっている。また、冷却用ファン264はモータの回転軸264Aを備えている。
【0145】
ファンケース325は、ファンケース323と同様に、その吸込口325Aを保護カバー324Lの前方端面に接続し、冷却用ファン264の運転時には、矢印FLに示すように吸気口320Lから空気を導入し、左加熱源6Lの加熱コイル220Lへ向かうような、矢印F2Lに示す冷却風が吹き出される。
【0146】
図3に示すように、左加熱源6Lおよび右加熱源6Rを冷却した冷却風の風路は、中央表示・入力部80の液晶画面から後方の左排気口75に至る間で、次第にその風路の幅が狭くなる。
つまり、仕切板270の上方には、ファンケース323、325の案内面323C、325C同士、保護カバー324R、324Lの左右の案内面324B同士で、風路が区画形成されているが、その風路は幅を順次狭くしながら左排気口75の真下に至っているためである。すなわち、図3に示したように中央加熱源7の横幅W1と、二つの右排気口74および左排気口75の幅の合計(以下、「横幅寸法W2」と称す)と、保護カバー324R、324L同士の間隔(以下、「対向壁面間寸法W3」と称す)と、の関係は、「W3>W2>W1」となっている。
【0147】
これにより図3に矢印F4で示したように、右排気口74に至る排気の風路の圧力損失を小さくしてスムーズに冷却風を本体1の外部へ放出することができる。なお、図3において326L、326Rは保護カバー324L、324Rの背面側324Aと本体ケース2背面との間を塞いだ板であり、これにより吸気口320L、320Rと左排気口75とが連通しないようにしている。
【0148】
一方、加熱室19から右排気口74に至るまでは排気ダクト76により区画され、途中で上方空間275と交わることが無い。したがって、上方空間275を流れる冷却風は加熱室19から排気ダクト76を経由して排出される排気に干渉されず、本体1の外部に排出される。
【0149】
仕切板270の下方空間で加熱室19の上方の雰囲気も、グリル調理時などグリルヒータ110Aの熱で温度が上昇する可能性がある。このため、図5に矢印F5で示すように強制的に対流を起こしたり、対流を促進したりする等の改良が適宜考えられる。なお、下方空間274の空気を最後はダクトで左排気口75の隣接位置(後方や横)に案内して、本体1の外部に排気するようにしても良い。
【0150】
(加熱調理装置の動作)
次に、上記の構成からなる加熱調理装置の動作の概要を図13〜図14に従って説明する。なお、以下の説明では動作の段階順に符号STと連続番号の組合せで表す。例えばST−1、ST−2のように示す。電源投入から調理準備開始までの基本動作プログラムが、通電制御回路200の内部にあるマイコンに格納されている。
【0151】
(通常ステップ1)電源プラグを200Vの商用電源に接続し、主電源スイッチ201を押す(ST−1)。
【0152】
(通常ステップ2)すると定電圧回路232を介して所定の低い電源電圧が通電制御回路200に供給される(ST−2)。
【0153】
(通常ステップ3)通電制御回路200が起動され、自身の制御プログラムを自己診断、チェックし、異常がない場合には冷却用ファンの駆動回路260、左加熱源6Lおよび右加熱源6Rの駆動回路228、中央表示・入力部80の液晶表示部の駆動回路244、をそれぞれ起動する(ST−3)。
【0154】
(通常ステップ4)さらに通電制御回路200は、トッププレート5の割れ検知手段450からの信号をチェック(ST−4)する。
【0155】
(通常ステップ5)割れ検知手段450からの異常信号が無い場合、次に通電制御回路200は左右加熱源206R、206Lに小電力を流し、その電流の状態から回路構成に異常がないことをチェックする(ST−5)。
【0156】
(通常ステップ6)さらに、冷却用ファン駆動回路260は冷却用ファン261、262、263、264、265、266、267を所定の定格電流で運転開始する(ST−6)。
【0157】
(通常ステップ7)温度検出回路311は合計12個所に設けた各温度センサーS1、S2A、S2B、S3A、S3B、S4A、S4B、S5、S6R、S6L、S7R、S7Lからの温度データを読み込み、そのデータを通電制御回路200に送る(ST−7)。
【0158】
(通常ステップ8)以上のようにして通電制御回路200には、主要な構成部分の回路電流や電圧、温度などのデータが集まるので、調理前の異常監視制御として、異常加熱判定を行なう。例えば、中央表示・入力部80の温度がその液晶表示部の耐熱温度(例えば70℃)よりも21℃以下低い(49℃以下)場合は、異常高温ではないと判定する。逆に言えば50℃以上になると異常高温と判定される(ST−8)。
【0159】
(通常ステップ9)次に、電流検出センサー227は、加熱コイル220と共振コンデンサ224の並列回路からなる共振回路225に流れる電流を検出し、この検出出力は通電制御回路200の入力部に供給され、何らかの事故や導通不良などによって正規の電流値に比較して過少電流や過大電流が検出された場合は、通電制御回路200は異常と判定する(ST−9)。
【0160】
以上の自己診断ステップによって異常判定が無かった場合は「調理開始準備完了」となる。しかし異常判定が行なわれた場合は、「異常時処理1」が行なわれる。図13に示すとおり、トッププレート5の割れ検知手段450から異常信号が検知された場合は、前記した通常ステップ5(ST−5)以下を行なわず、直ちに「異常時処理1」が行なわれる。
【0161】
(調理前の異常時処理)
図14に従って調理前の「異常時処理1」を説明する。
(異常処理ステップ1)調理前の異常時処理では、まず異常の内容からその異常状態を加熱調理装置自身で是正できるかどうか判定する(ST−11)。例えば、中央表示・入力部80の温度がその液晶表示部の耐熱温度(例えば70℃)よりも21℃以上低くはなく、15℃低い(つまり55℃である)場合は、その液晶表示部を冷却用ファン262でより強力に冷却するか、または中央表示・入力部80の液晶表示部上方近傍のトッププレート5上に、高温の加熱調理装置具(例えば天ぷらを行なった直後の鍋)が置かれている場合も考えられるので、その鍋を使用者に注意喚起して移動させてもらえば良いので、この例の場合は是正可能という場合に該当する。
【0162】
しかし、異常状態を加熱調理装置自体で直接是正できないものと判断される異常データを受けた場合(上記のように、使用者に鍋の移動を促すことも含まれる)は、直ちに異常表示の動作に入る。なお、前記したトッププレート5の割れ検知手段450から異常信号が検知された場合は、直ちに異常表示の動作に入る。
【0163】
(異常処理ステップ2)是正処理が可能であると判断された異常情報については「異常の是正処理」が実行される(ST−12)。具体的な例としては、上記したように、中央表示・入力部80の温度がその液晶表示部の耐熱温度(例えば70℃)よりも20℃以上低くはなく、15℃低い(つまり55℃である)場合は、その液晶表示部を冷却用ファン265、266でより強力に冷却するため、冷却用ファン265と266の双方の供給電力を平常時よりも5%増加させて運転継続する。同時に冷却用ファン263、264による送風量も増加させる。
【0164】
(異常処理ステップ3)そして、次に異常有無の再判定処理を行なう(ST−13)。上記した異常高温の場合は、冷却用ファン265、266の強運転を開始した後、30秒間間隔で監視し、所定時間経過後(例えば3分後)に、再度中央表示・入力部80の温度を温度センサーS3A、S3Bにより測定した検出温度が、その液晶表示部の耐熱温度(例えば70℃)よりも15℃低い(つまり55℃である)状態よりも悪化し、60℃を超えている場合は、「危険状態」であると判断する。
【0165】
(異常処理ステップ4)そして、中央表示・入力部80が異常高温になっているとの警報メッセージをその液晶表示部にて表示する。具体的には表示エリアEに文字で異常の内容を表示する(ST−14)。
【0166】
(異常処理ステップ5)そして、この異常高温が例えば1分以内に解消されない場合には、通電制御回路200は49℃以下に低下するまで(但し、最長でも例えば5分間)冷却用ファン263、264、265、266を運転した後、予備電源400に接続を切り換え、主電源スイッチ201を強制的に開放し、商用電源202から切り離す。
これにより中央表示・入力部80の液晶表示部が高温で変形したり焼損したりする事故を未然に防止することができる。なお、トッププレート5の割れ検知手段450から異常信号が検知された場合は、そのまま使用開始した場合、危険である可能性もあり、調理装置自体では割れを修復するような是正処理は出来ないので、直ちに異常表示(ST−14)を行なって電源200を遮断する(ST−15)。
【0167】
(異常処理ステップ6)そして中央表示・入力部80に異常表示した時点から所定時間(例えば10分間)経過後、駆動回路244を介して中央表示・入力部80の通電を遮断する(ST−16)。
【0168】
(異常処理ステップ7)そして、通電制御回路200の不揮発性メモリー(図示せず)に、異常発生後、通電遮断までの上記経緯、異常な温度データ等を記憶させる。以上で異常処理が終了する。
【0169】
(調理モード)
次に、図15に従って調理前異常監視処理を終えたあとに調理モードに移行した場合について、右加熱源6Rを使用した場合を例にして説明する。
【0170】
(調理ステップ1)まず、前面操作部10の右操作ダイアル12Rを右か左へ回す(回した量に応じて火力が設定される)(ST−17)。
【0171】
(調理ステップ2)前面操作部10からの操作信号が通電制御回路200に入力され、また上面操作部20からの各種入力キー(95など)操作信号が通電制御回路200に入力され、火力レベルや加熱時間などの調理条件が設定される(ST−18)。
【0172】
(調理ステップ3)通電制御回路200が駆動回路228を駆動し、右加熱源回路206Rを駆動する。また中央表示・入力部80が駆動回路244に駆動されるので、その表示エリアC1、C2には火力や調理時間などの調理条件が表示される(ST−19)。
【0173】
(調理ステップ4)駆動回路228はIGBT225のゲートに駆動電圧を印加するので、加熱コイル220に高周波電流が流れる(ST−20)。これにより加熱コイル220からの高周波磁束により鍋が高温になる(ST−21)。これ以後は電磁誘導過熱調理動作(調理モード)に入る(ST−22)。
【0174】
(調理中の異常監視)
この加熱調理装置における調理中の異常監視制御は、図15に示す通りトッププレート5の割れ検知処理(ST−23)、異常加熱監視処理(ST−24)、異常電圧監視処理(ST−25)、異常電流監視処理(ST−26)の4つの監視段階を有している。
【0175】
調理中の異常加熱監視処理は、上記した調理前の異常監視制御における異常高温ではないかどうかの判定処理と同様であるが、加熱調理を開始した後であるから、過熱の原因としては左加熱源6Lおよび右加熱源6R、中央加熱源7などが加わる(図16の説明では、右加熱源6Rを使用していた場合であるので、左加熱源6Lおよび中央加熱源7は加熱原因にはならない)。
また、調理中の異常電流監視処理は、上記したように誘導加熱に不適当な鍋などが用いられた場合や何らかの事故などによって正規の電流値に比較して過少電流や過大電流が検出された場合を監視するものであり、この異常の対処方法のひとつは、通電制御回路200により駆動回路228を介してIGBT225を制御し、瞬時に誘導加熱コイル220の通電を停止することである。
【0176】
調理中の異常監視制御は、各種加熱源の調理中における異常監視制御の段階と、加熱調理装置本体1の異常監視制御(トッププレート5の割れ検知を含む)の2段階から構成されている。
調理中の加熱源異常監視は、右加熱源6Rの異常監視、左加熱源6Lの異常監視、中央加熱源7の異常監視、グリル調理等を行なう加熱室19の異常監視からなる。
【0177】
調理中における加熱調理装置本体1の異常監視制御の内、異常な温度の監視制御としては、本体1の左空間部370Lと右空間部370Rとの電気部品の異常温度監視、保護カバー324R、324L内部の高周波電力変換回路の異常温度監視、左加熱源6Lおよび右加熱源6Rの異常温度監視、中央表示・入力部80の温度異常監視から成る。
【0178】
実際の調理過程において、温度センサーS3Aの検出温度が、中央表示・入力部80の液晶表示部の耐熱温度(例えば70℃)よりも21℃以下低い(49℃以下)を超えて50℃になった場合は、異常高温と判定される。
【0179】
異常が是正可能なものであると判断され、しかも例えば右加熱源6Rが異常発生元であると判定判断された場合は、中央表示・入力部80において当該異常な加熱源6Rの表示エリアが拡大処理される。そして、表示エリアC2が拡大された状態を使用者が十分認識できる時間維持した後(例えば1分〜数分後)に、自動的に元のエリア面積の画面表示に戻るが、異常が発生している右加熱源6Rの名称の下に「高温異常」という警告表示が赤い文字などで表示される。
なお、通常画面に自動的に復帰せず、使用者が十分異常内容を確認し、確認のキー操作を行なった場合にのみ画面が元の状態に戻るようにしても良い。
【0180】
このような異常状態警告表示を行い、使用者に異常状態を是正するための注意喚起や協力、確認を求めるメッセージを表示エリアEで行なうことができる。
【0181】
次に、異常是正可能と判断された異常に対しては、異常是正処理が実行される。例えば右加熱源6Rが異常高温になっていると判定された場合は、次の順序で通電制御回路200が是正指令を発する。
(是正指令1)右加熱源6Rの右加熱コイル220Rを空冷している冷却用ファン263と、その上流側にある冷却用ファン261の回転数を増加させるため、その通電量を平常運転時に比較して(例えば5%)増大させ、冷却風量を増加させる。この状態を1分間継続しても改善の効果が現れない場合は、次に
(是正指令2)右加熱源の火力(電力)を(使用者が設定したものから)下げる。例えば、1段階下の火力、300W下の火力、又は10%の火力、の3者の内で、最大の火力までダウンさせる(3kW火力で使用していた場合は、2.7kWに下げる)。この場合表示エリアC2では火力を自動的に下げることを予告表示する。
【0182】
右加熱源6Rで異常が発生し、表示エリアC2が拡大された時点から所定の短時間(例えば1分〜3分)以内に高温異常状態が解消したかどうかを確認するため、通電制御回路200は異常の有無を再度判定する。但し、トッププレート5の割れ検知手段450から異常信号が検知された場合に、そのまま使用継続したのでは、危険である可能性もあり、調理装置自体では割れを修復するような是正処理は出来ないため、直ちにトッププレート5の下方に熱源がある右加熱源6Rは通電が停止される(左加熱源6L、中央加熱源7を使用していた場合にはそれらも通電停止される)。
【0183】
温度検出自体が数秒おきに行なわれており、通電制御回路200はその都度異常の有無を再判定しているので、1分以内でも、右加熱源6Rの温度センサーS2の検出温度が所定温度(例えば、300℃に)、あるいは液晶表示部の温度センサーの検出温度が所定温度(例えば70℃)になった場合、通電制御回路200はその異常の有無の再判定処理で、「危険状態」と判定する。
【0184】
異常状態の判定がされた場合は、右加熱源6Rの通電を停止する。そのため使用者が液晶画面表示を見れば、温度異常上昇で自動停止したことが容易に理解できる状態になる。
【0185】
上記再判定処理で、異常と判定された判定基準値以下(例えば右加熱源6Rの温度が280度未満に、また中央表示・入力部80の温度が49℃以下)に戻っていない限り、正常な加熱調理動作(正常調理モード)には復帰させず、再判定処理のステップに処理を戻すことを繰り返す。このように加熱源異常監視と本体1の異常監視が調理中に反復・継続して行なわれる。
なお、是正が可能と判断された異常に対しては、上記したように異常是正処理が実行されるが、通電制御回路200が是正指令を発して、是正結果を判断するまでの間、上記した各種加熱源の調理中における異常監視制御と加熱調理装置本体1の異常監視制御(トッププレート5の割れ検知を含む)を中断することは好ましくない。このため、実際には是正指令が出されたあと、次の監視処理ステップに進む。例えば図15において、異常加熱監視処理のステップ(ST−24)で、是正指令が出された後、瞬時に次の異常電圧監視処理(ST−25)に進む。このように是正結果が出るまでに時間を要するものは、制御を先に進めて、数秒以内に調理中の異常監視制御全て(ST−23からST−26)が実行できるようにする。
【0186】
なお、右加熱源6Rの通電停止指令を出し、右加熱源6Rの通電は停止されるが、その加熱源の加熱コイル220Rを冷却している冷却用ファン263は、前記通電停止後も2分間〜5分間運転継続する。
但し、冷却用ファン263からの異常電流が検出される等、冷却用ファン自体の故障であることが判明した場合は、その冷却用ファンへの通電も同時に停止する。また、この運転継続時間は、通電停止までの温度上昇の様子や室内気温、加熱源の運転火力大小等の条件に対応して通電制御回路200が予め決められた算式や数値テーブルから決定する。
【0187】
これにより、冷却用ファン262からの送風停止直後から右加熱源6Rの温度が急激に上昇するというオーバーシュート問題も未然に防ぐことができる。また、中央表示・入力部80の温度が高くなるという弊害も防ぐことができる。なお、トッププレート5の割れ検知手段450から異常信号が検知された場合は、冷却用ファン262、263の通電が直ちに停止される。これはそのまま継続運転した場合、トッププレート5の割れの程度によってはその下方、つまり調理装置本体1の内部に調理物の液体等が滴下、浸入して電気通電部分等に触れる危険があるからである。
【0188】
冷却用ファン263が運転されている間は、冷却用ファン261は運転される。冷却用ファン261は冷却用ファン265に対する冷気供給の役目もあるので、右加熱源6Rの異常で冷却用ファン263が停止しても、冷却用ファン261は運転継続される。
【0189】
一方、右加熱源6Rの使用中に、中央加熱源7も使用されていた場合、冷却用ファン263の運転と同時に冷却用ファン264も運転されているので、この場合は右加熱源6Rの通電を停止しても、冷却用ファン263は運転を継続させる。
何故ならば、中央加熱源7はラジアントヒータ等が使用され通電開始後短時間で高温になることが特長であるので、その加熱源7の周囲の空気を冷却していないと、上方空間275の後部やトッププレート5が高温になるからである。
【0190】
右加熱源6Rが火力強(例えば3kW)で使用されている状況と異なり、しかも右加熱源6Rは発熱を停止するので、冷却用ファン263、264の運転は弱運転に切り換えて継続される場合もある。また、この冷却用ファン264と同期して運転される冷却用ファン262も右加熱源6Rが通電停止され、その電源部分を構成する電気部品371Rは自己発熱しない状況にあるので、弱運転に自動的に切り換えられる場合もある。
【0191】
冷却用ファン263、264の運転能力切り換え制御は、中央加熱源7の温度センサーS1からの温度情報や、右加熱源6Rの加熱コイル220Rの温度センサーS2A、S2B、左加熱源6Lの加熱コイル220Lの温度センサーS4A、S4B、中央表示・入力部80の温度センサーS3A、S3B等の温度情報を見て通電制御回路200が最適値を決めるようになっている。
【0192】
異常状態で停止した加熱源の表示エリアにはその旨表示が行われ、表示面積が拡大された表示エリアC2に異常高温停止した旨が文字で示され、この状態で所定時間に渡って表示を継続したあと、表示エリアC2の面積は、他の加熱源6Lの表示エリアA2と同等の程度に戻り、他の加熱源の調理進捗状態や設定条件の確認が平常時と同様にできるようになる。
【0193】
中央表示・入力部80の液晶基板280は、左加熱源6L、中央加熱源7、右加熱源6Rの通電時には加熱された鍋Nの底部からの反射熱やトッププレート5からの輻射熱で加熱される。
また、使用した高温のてんぷら鍋がそのままトッププレート5上に置かれている場合もその高温の鍋(200℃近くある)からの熱を受ける。また、中央加熱源7の通電時には、その温度は300℃以上にもなる。断熱カバー7Aがあるものの、真上のトッププレート5が高温度になることやその上に置かれる鍋底からの反射熱を液晶基板280は受ける。
【0194】
実施の態様1では、中央表示・入力部80の液晶基板280の温度上昇を抑制するため、冷却用ファン263、265により右側から空冷し、また左側からは冷却用ファン264、266で空冷するようにしている。
【0195】
中央加熱源7、左加熱源6L、右加熱源6Rの何れかが通電された場合、冷却用ファン263、264、265、266の4つが運転され、中央表示・入力部80の液晶基板280に向けて図3に示す矢印F1R、F1L、F2R、F2Lのように冷却用の空気を送る。このため、その空気の一部は液晶基板の底面側を通り、ケース282の底面と側面外側を冷却する。また、その空気の一部はケース282の全周に亘り計4個形成した連通孔271から液晶基板280の上方空間に入り、液晶基板280の上面温度が異常高温にならないように冷却する。
【0196】
冷却用ファン265、266から吹き出された風は、制御基板292と制御基板294との上下両面に沿っても流れるため、それら制御基板292、294に搭載された電気部品群293、298の温度上昇も抑制される。
トッププレート5の温度が上昇すると、制御基板292、294や電気部品群293、298も熱的影響を受けることになるが、上記したように冷却用ファン265、266から吹き出された風が流れ、周囲の雰囲気が停滞しないから異常温度上昇が防止される。
【0197】
液晶基板280の周辺を冷却する風の一部は、ケース282の底面に形成された数列の放熱フィン284に沿って後方に案内される。そして、冷却用ファン265、266から吹き出された風は冷却用ファン263、264からの冷却風と合流し、図3に示す矢印F3、F4のように本体1後方へ流れる向きを変え、中央加熱源7の周囲を冷却する。
当然ながらこのような一連の空気の流れにより、トッププレート5はその下面が冷却されるので、トッププレート5の上面(表面)の温度上昇も抑制され、使用者がトッププレート5に触れても火傷などの事故が防止される。
【0198】
(画像表示器の表示)
加熱調理装置が設置された流し台64の設置空間である台所の壁65に取り付けられた既存のテレビや液晶モニター等の画像表示器60を加熱調理装置本体1に接続していた場合、加熱調理装置本体1の中央表示・入力部80の液晶基板280の表示画面に表示されるのと同じ情報が、画像表示器60に表示される。従って、使用者は加熱調理装置本体1が設置された台所の壁方向に向いて大きな画面で加熱調理装置の運転状態を確認することができる。
なお、画像表示器60が一般のテレビ放送を受信して放映している場合には、例えば、スーパーインポーズ回路手段を経由して通電制御回路200や駆動回路244からの表示情報を画像表示器60に送れば、テレビ番組を視聴しながら、その画面の一部に加熱調理装置の調理条件情報や調理進捗情報、異常警報等を報知することが可能となる。
【0199】
(外部表示機器の表示)
次に、本発明になる加熱調理装置の構成の一部ではないが、本発明の異常報知システムの中核を構成する装置である外部表示機器700における、情報の処理と表示とについて説明する。
駆動回路244からの信号(調理装置本体1の正常動作信号や異常動作信号を含む)を受けて、制御部601はカメラ604をON/OFFする切り替え操作と、外部表示機器700に対する各種指令信号送出動作、及び電力線モデム603から送られて来た信号に応じてカメラ604をON/OFFし、またカメラ604の監視データを半導体メモリ605に記録するよう指令を行なう。
【0200】
具体的には、各種調理の完了となった時点でその旨終了情報が通電制御回路200から駆動回路244に送られると、このような調理終了と分かる情報(文字や記号等)は中央表示・入力部80の液晶基板280と画像表示部60に表示される。また、出力部244Dを介して外部出力部600の制御部601にも送信される。
例えば、前記した「タイマー調理」(左加熱源6L、右加熱源6R、中央加熱源7、加熱室19の内部に設けた2つのグリルヒータ110A等をタイマーカウンターにて設定した時間中だけ通電して調理)の場合、タイマーカウンターで設定した時間が経過すれば、その旨出力部244B、244C、244Dを介して設定時間の調理が終了したことを中央表示・入力部80や画像表示部60、外部出力部600にそれぞれ報知可能にする。
【0201】
また、前述した「切タイマー調理」では、加熱源6の火力をレベル1(120W)、2(300W)、3(563W)〜8(1kW)の内から選び、1時間30分(90分)以内の連続調理をタイマーにより行うことができるようにした機能であるので、このような調理でも調理時間終了を報知されることは意義がある。小火力で長時間かけた調理の場合、使用者が調理の途中でその場を離れている可能性があるからである。
【0202】
なお、使用者が調理装置の前で操作に臨んでいる場合には、調理完了しても終了情報が通電制御回路200から駆動回路244に送る必要性がない。これは使用者が調理装置の前に居る場合は、調理装置本体1の各種報知情報や鍋の様子から調理終了が分かるためである。少なくとも中央表示・入力部80には、通電停止中の表示が文字や記号等で出る。
【0203】
しかしながら、前記したタイマー調理のように、一定時間調理を継続するようにセットした場合は、そのような自動調理が終了した場合に、その時点で終了情報が通電制御回路200から駆動回路244に送られることに意義がある。すなわち、左加熱源6Lや右加熱源6Rなどを小火力で長時間使用し、おでんやシチュー等の煮込み料理をする場合、その終了まで主婦等使用者が調理装置本体1の前に常に居ない場合でも、離れた場所にある画像表示機器700に調理終了を報知できるからである。
【0204】
次に、画像表示機器700での報知について説明する。
(調理終了時報知)
外部出力部600では、その制御部601が駆動回路244からの報知信号を受けた場合、カメラ604を起動して調理装置本体1の様子を撮影し、そのカメラ604から伝達される監視情報(最新の撮影情報)をデータ変換部602によってデジタル監視データに変換すると共に、汎用の圧縮方式で圧縮してPLCのためのデータに変換する。
このデータ変換時には駆動回路244から送信された調理装置本体1からの報知信号もデータ変換し、これらデータを電力線モデム603に伝達する。なお、制御部601は、外部表示機器700を起動する命令信号(強制的にテレビ受像機705の電源を入れ、映像や音声情報を人間が確認できる状態にする命令信号、以下「起動コマンド」と称す)を発生し、変換した報知信号データの中に入れて外部表示機器700側へ送る。
【0205】
電力線モデム603に伝達されたPLCデータ(上記起動コマンドを含む)は、電源プラグ606と商用電源800のコンセント800Aを介して外部表示機器700に伝達される。
電力線通信モデム703が受けたPLCデータは、データ変換部702で解凍され、強制的にテレビ受像機705の電源を入れる命令信号(起動コマンド1)を確認して制御部701がテレビ受像機705の電源を投入する。
また、受信したPLCデータの内容がデータ変換部702で変換され、テレビ受像機705で報知可能にしてテレビ受像機705に送られる。そのため、テレビ受像機705では外部出力部からの報知情報に応じて画像や音等で「調理の終了状態」を報知する。
【0206】
一方、テレビ受像機705が既に使用(テレビ番組が視聴)されていた場合には、上記したように、このデータ変換部702は、一般の放送局からの画像データに外部出力部600からの画像(静止画)と、調理装置本体1からの報知情報の文字や画像等とを同時に表示する処理(例えば、画面に並べて表示する方式や親画面の中に子画面を入れる方式等)を行なうべく、所謂スーパーインポーズやピクチャー・イン・ピクチャー機能を持たせているので、テレビ番組の視聴を妨害することなく、調理の終了状態を視聴者に知らせることができる。
【0207】
この実施の態様1では、外部出力部600は外部表示機器700に対する発信機機能だけではなく、外部表示機器700からの信号を受けて動作する受信機機能も有している。換言すると、外部表示機器700によって外部出力部600を遠隔制御できる。
そのため、リモコン704でテレビ受像機705を起動して視聴する場合、制御部701から強制的に外部出力部600の監視データ提供を求める命令信号(起動コマンド2)を発生させ、調理終了前又は調理終了後の任意の時点でカメラ604による最新の撮影情報を外部表示機器700が入手してテレビ受像機705で視認することも可能である。
【0208】
(異常時報知)
この実施の態様1では、図14で説明した調理前の「異常時処理1」や図15で説明した調理中の「異常時処理2」に至るまでの全ての異常内容が、そのまま外部出力部600へ送信されるわけではない。それら全ての監視データを送信しようとすると、情報量が膨大になり、また使用者にとっては調理装置本体で自動的に是正可能なものまでもその都度報知されてしまい、かえって重要な報知情報を見落とすという弊害が考えられるからである。
【0209】
そこで、この実施の態様1では、図15および図16に示したように使用中の加熱源(左加熱源6L、右加熱源6R、中央加熱源7)を停止するような重大な異常に限って報知するようにしている。
具体的には図15に示した通り、トッププレート5の割れ検知処理(ST−23)、異常加熱監視処理(ST−24)、異常電圧監視処理(ST−25)、異常電流監視処理(ST−26)の4つの監視段階で異常と判定された場合に限って、上記の「調理終了時報知」と同様な処理を経て、外部出力部600では、カメラ604を起動して調理装置本体1の様子を撮影し、また調理装置本体1の駆動回路244から送信された異常状態の報知データも電力線モデム603を経由して外部表示機器700に伝達する。
この場合、制御部601は、外部表示機器700を起動する起動コマンドを発生するから、外部表示機器700のテレビ受像機705が視聴されていない場合であってもそれを起動する。そうすると、テレビ受像機705を通じて異常の発生とその内容(加熱源へ通電停止したこと等)、更には使用者として好ましい対応(異常な使用の注意や再発しないような助言等)があれば、当該対応を画像や文字、音等によって視聴者に知らせることができる。
【0210】
以上のように実施の態様1においては、左加熱源6Lと右加熱源6R、中央加熱源7、グリルヒータ110A、および電気ヒータ110B(以下、まとめて「複数の加熱源」と、それぞれを「各加熱源」と称す)を調理装置本体1に配置した加熱調理装置において、調理装置本体1には、前記複数の加熱源のそれぞれの加熱源の加熱条件を、文字や記号等の所定の表示形態で表示し本体の上方から視認可能な統合表示手段(中央表示・入力部)80と、
各加熱源の通電を制御する通電制御回路200と、
通電制御回路200から各加熱源への電源を制御する入力手段10、20とを設け、
通電制御回路200は、入力手段10、20からの操作指令信号で加熱条件を設定でき、
通電制御回路200は、調理の加熱条件と調理装置本体1の動作状態を統合表示手段80の表示画面に表示し、
調理装置本体1には、この外部にある表示機器700に対して、調理装置の動作状態を特定できる報知信号を送る外部出力部600を設けたので、
多種類の調理に対応できる加熱調理装置において、煩わしい調理条件の確認や調理実行の状況が調理装置本体1に設けた共通の画面280に表示されるから、これを見ながら調理を実行することができる。
【0211】
しかも、共通の表示手段80には、各加熱源と当該加熱源を除く電気部品、トッププレートの割れ等の異常発生状態も表示されるため、使用者が調理の途中においても異常の発生を迅速、かつ容易に認識することができ、安全性が向上する。
また、加熱調理装置が異常加熱等の状況になったことが、共通の表示画面80において使用者に報知されるため、異常状態のままの使用を避け、無用な混乱を招かないようにすることができる。
【0212】
加熱調理装置の上面部(トッププレートの下方を含む)に液晶表示画面等の表示手段を設けると、使用者が調理の途中でもそれを視認しやすいが、加熱調理装置の上面は複数の加熱源による加熱スペース(鍋を置くスペースなど)が必要であり、表示の情報量を増やすために単純に表示手段を大型化し、表示面積を広くするという手法が採用できない。
しかしながら、実施の態様1では、一つの共通な表示手段である中央表示・入力部80を複数の加熱源の設置空間スペースを有効に活用して配置(対峙する円筒に挟まれて形成される略三角柱の空間スペースに侵入するように配置)しているので、上記のような加熱スペースの制約がある中でも、十分な表示面積を確保することができ、その機能を十分に発揮させることが可能になっている。
【0213】
また、中央表示・入力部80には、特定の加熱源だけの調理条件を表示させた場合、当該調理の特有の注意事項、又は被加熱物の種類等の参考情報が自動的に表示されるガイドエリア81Eを設け、このガイドエリアに異常時の情報やその対処に関する情報等も異常時に表示させるようにしている。このため、調理条件の入力操作や調理の手助けをすることができ、利便性が向上すると共に、異常時における対処方法や異常運転にならない使用方法等の注意喚起も出来、使用者がより安心して、より安全に使用できる環境を提供することができる。
【0214】
さらに、本発明の実施の態様1によれば、台所に置かれた加熱調理装置本体1の運転状態が、当該装置自体の中央表示・入力部80や当該装置とは別個に設けた画像表示器60において文字、数字、記号、符号等の表示形式で報知されるため、使用者はその内容を見て調理の進行状況を確認することができる。
【0215】
さらに、特長として、調理装置本体1が設置された台所等の空間とは別の室内空間(例えば、居間など)に置かれている家庭用テレビなど特定の外部表示機器700においても、調理装置本体1の状況が報知されるようにすべく、調理完了や異常発生状態になった場合には、調理装置本体1から当該異常の発生状態を特定することができる報知信号を送るようにしている。このため、この報知信号を使用者が利用すれば、台所から離れた場所(居間等)でも調理の終了や異常発生を知ることができる。
【0216】
なお、実施の態様1においては、上記した特別な構成により、以下のような効果も同時に期待できる。
(1)トッププレートの下方空間274に左加熱源6Lおよび右加熱源6Rを配し、この間に別の中央加熱源(中央ラジエントヒータ等)7を配置し、下方空間274において左加熱源6Lおよび右加熱源6Rを冷却した冷却風が、中央加熱源7を冷却して本体1後部の右排気口74から排気されるように構成し、中央加熱源7の両側には、ファンケース323、325の案内面323C、325C同士、保護カバー324R、324Lの左右の案内面324B同士で、風路が区画形成されているので、それぞれの加熱源6L、6R、7を冷却した後の排気流をスムーズに左排気口75まで案内することができる。
【0217】
(2)上記風路は、左排気口75に近づくにその間隔が狭くなるように形成しているので、本体1の下方空間274を流れる冷却用空気をスムーズに排出することができる。
【0218】
(3)風路を区画形成する手段として、左右両側に設けた保護カバー324R、324Lや一対のファンケース323、325という構造物を利用しているので、新たな専用部品を設ける必要がなく、部品点数の増加を抑えたまま、排気流をスムーズにすることができる。
【0219】
(4)排気口の横幅(W2)は、ダクトの間隔W3と同等か、それより小さい寸法関係になっているので、上流から流れて来た排気流をスムーズに本体1の外部へ出すことができる。
【0220】
(5)中央表示・入力部80の液晶基板280周囲には、左加熱源6Lおよび右加熱源6Rを冷却した冷却用ファン263、264からの冷却風が供給されるので、本体1の下方空間274において液晶基板が異常な高温雰囲気に晒されることを防止することができる。
【0221】
(6)中央表示・入力部80の液晶基板280周囲には、冷却用ファン263、264からの冷却風に加え、左加熱源6Lおよび右加熱源6Rを経由していない冷却風も冷却用ファン265、266で供給されるので、液晶基板280が異常高温に晒されることを確実に防止することができる。
【0222】
(7)冷却用ファン265、266からの冷却風は、トッププレート5の前方下部に供給されるので、上面操作部20やその下方の制御基板292、294周囲の温度上昇が抑制され、各種電気部品群293や298の温度劣化を防止することができると共に、上面操作部20の各入力キー郡91、93、24、枠体4などの温度上昇も抑制することができ、使用者がそれらに触れた場合の火傷等の危険性を無くすことができる。
【0223】
中央表示・入力部80の表示画面(液晶画面)280を正方形にし、その後端の位置が右加熱源6Rの加熱コイル220R外周縁の最前位置RLおよび左加熱源6Lの加熱コイル220L周縁の最前位置LLの何れの位置よりも後ろの直線XLの位置にまで入り込む形にした。言い換えると対向空間SSの内側にまで液晶基板280が入り込む配置としているので、調理装置本体1の上方から、その液晶画面280によって左加熱源6L、右加熱源6R、中央加熱源7の加熱条件の確認や調理進捗状態、異常発生状態等を集中して把握することができる。すなわち、使用者が加熱源毎に個々の設置された画面を確認する負担に比べれば、大幅に負担を軽減することができる。
【0224】
以上のように、本発明の実施の態様1においては、多種類の調理に対応できる加熱調理装置において、各種の調理条件設定状況が調理装置本体に設けた共通の表示画面を見てその都度確認することができると共に、調理装置本体が設置された台所等の空間とは別の室内空間(居間等)に置かれた家庭用テレビなど特定の表示機器でも調理装置本体の状況を報知できるようにすべく、調理装置本体から調理完了や異常発生状態になった場合には、それらを特定できる報知信号を送るようにしているので、この報知信号を使用者が利用すれば、台所から離れた場所(居間等)でも調理の終了や異常発生を知ることができ、使い勝手が良く安全に使用できる加熱調理装置を提供することが可能となる。
【0225】
[実施の態様2]
図17および図18は、本発明の実施の態様2に係る加熱調理装置の異常報知システムを説明するものであって、図17は加熱調理装置本体の中央表示・入力部と上面操作部の構造とを示す平面図、図18は異常発生の場合における中央表示・入力部と上面操作部の構造とを示す平面図である。図19は外部表示機器の平面図である。
【0226】
実施の態様2に係る加熱調理装置では、実施の態様1の中央操作部23に設けていた入力キー群91を省略し、各種調理条件の入力等は中央表示・入力部80に設けた入力キーで行うようにしている。なお、実施の態様1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0227】
中央表示・入力部80は、実施の態様1と同様にドットマトリックス型液晶画面で構成されている。図18に記載のように、情報を表示する画面区域81は合計10個のエリアに割り当ててある。具体的には、
加熱源6Lの対応エリアA1、A2と、
中央加熱源7の対応エリアB1、B2と、
右加熱源6Rの対応エリアC1、C2と、
グリルやオーブン調理用の加熱源110A、110Bの対応エリアDと、
使用者に各種調理における注意や参考情報を表示するガイドエリアEと、
各種調理条件等を直接入力可能な機能を有する、互いに独立した6つの表示キー84、100、101、102、103、104を表示するキー表示エリアFと、
Tips表示エリアGと、
をそれぞれ備えている。
【0228】
中央表示・入力部80の液晶画面の最も上面を覆う透明なガラス製表面板の上には、上記6つの表示キー84、100、101、102、103、104の位置とそれぞれ対応した位置に、通電制御回路200に指令を与える上面操作部20の6つの入力キー484、500、501、502、503、504がそれぞれ独立して形成されている。
これらの入力キー484、500、501、502、503、504は、使用者が指などを触れることで静電容量が変化する接触式キーを採用しており、使用者がキー表面に軽く触れることで入力信号が発生するものである。
【0229】
その入力キーの部分(区域)を構成するガラス板上には、キーの入力機能を示す文字や図形、記号(図18のような矢印を含む)を印刷や刻印等で何ら表示していないが、これらキーの下方の液晶画面(キー表示エリアF)には、入力キー484、500、501、502、503、504の操作場面毎にキーの入力機能を示す文字や図形、記号(図12のような矢印を含む)を表示する構成になっている。
【0230】
そして入力キー484、500〜504の表面上方から使用者は、表示キー84、100〜104が表示した所定の入力機能文字(例えば、「初期画面」や「戻る」等の文字や矢印などの記号を含む)を視覚で確認できる。
しかも、アクティブ状況(キー操作すれば、通電制御回路200の動作を定める制御プログラムに対し、有効な操作指令信号になること)にあるキーを区別することができる。
【0231】
また、入力キー484、500〜504の内、操作しても無効なキーについては、図18の入力キー502に対応した表示キー102のように、表示キー84、100〜104自体が入力機能文字を液晶画面上で表示しないようにし、非アクティブ状態にあることを示すため、使用者はタッチ方式で入力可能な入力キー484、500〜504を、その操作の場面毎に容易に特定できるようになっている。
なお、図18では入力キー500には文字「戻る」、入力キー501、503には「矢印記号」、入力キー504には文字「決定」、がそれぞれ表示されているように描かれているが、異常状態で停止している場合は、そのような各キーの表示は行われない。初期画面に戻ることさえ可能であれば良いので、入力キー484だけをアクティブにして「初期画面」と表示している。
【0232】
図19において、709はテレビ受像機705(外部表示機器700の構成要素の一つ)を視聴している場合の画面上の映像を示し、放送局から送信されたデジタル又はアナログ放送番組のものである。WMは警告報知であり、この例では「異常高温のため停止したこと」を文字で知らせている。
【0233】
調理装置本体1の調理動作中、例えば右加熱源6Rに異常な高温状態が検知された場合、実施の態様2の通電制御回路200とは、駆動回路244を介して中央表示・入力部80に対し「表示エリアC2」の面積拡大指令信号を出して図18のように表示エリアC2の表示面積が最大限に拡大される。この時、警報を重視するため、他の加熱源のことは一切表示しない。つまり、例えば左加熱源6Lが同時に通電されて調理実行中であってもそのことは表示されない。
【0234】
表示エリアC2に異常状態の警報が表示されるのと同時に、ガイドエリアEには、例えば図18に示すように異常内容に応じた文字表示が出る。図18の例では表示エリアC2が拡大された時点から所定の短時間(例えば1分〜3分)以内に、右加熱源6Rが平常状態に戻る可能性があるため、3分後に使用再開できることを使用者に示し、それでも異常報知が再度行われた場合は、専門の業者に修理点検を依頼するよう使用者にアドバイスしている。
【0235】
一方、外部表示機器700のテレビ受像機705が、その時点で視聴している場合には、図19に示すように本来のテレビ放送の受像画面を遮らない程度で、かつ明瞭に視聴者に調理装置本体1の異常発生を知らせる警告報知WMの文字を表示させている。
なお、テレビ受像機705を使用者が視聴しておらず、その電源がリモコン704で切ってあった場合は、駆動回路244からの起動指令信号でテレビ受像機705の電源はONとなり、その画面706の全体に大きく上記の警告報知の文字が示される。なお、このような警告報知WMの形態は、文字だけではなく、音を併用しても良いし、また画面自体に点滅マークを表示させても良い。当然ながら調理装置本体1の異常内容と警告報知WMは対応したものでなければならないが、報知内容の詳しさは適宜設定すれば良い。
【0236】
以上のように実施の態様2においても、各種の調理条件設定状況が共通の表示画面80を見てその都度確認することができると共に、調理装置本体1が毅置された台所等の空間とは別の室内空間である居間など)に置かれた家庭用テレビ受像機705など特定の表示機器700でも調理装置本体1からの報知情報を利用することにより、台所等から離れた場所(居間等)でも調理の終了や異常発生を知ることができ、使い勝手が良く安全に使用することができる。
【0237】
前記実施の態様2では、駆動回路244と外部出力部600との間の情報伝達手段が赤外線放射部244Gからの赤外線であったが、これは直接ケ一ブルで電気的に接線することに代えても良く、あるいは他の無線通信でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0238】
以上より、本発明の加熱調理装置の異常報知システムは、複数の加熱源それぞれの設定条件等を共通の画面で確認できると共に、調理装置本体と、その本体と離れた場所でも調理装置の運転状態を確認することができるから、様々な複数の加熱源を備える各種加熱調理装置に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0239】
1 加熱調理装置本体(本体)、2 本体ケース、3 天板、4 枠体、5 トッププレート、6 加熱源、6LM 案内マーク、6R 右加熱源、6L 左加熱源、6RM 案内マーク、6LM 案内マーク、7 中央加熱源、7A 断熱カバー、7M 案内マーク、10 前面操作部、11 操作ボタン、12 左制御スイッチ、12L 左操作ダイアル、12R 右操作ダイアル、13 中央操作ダイアル、14 右表示灯、15 左表示灯、16 タイマーダイアル、19 加熱室、20 上面操作部、21 右火力設定用操作部、22 左火力設定用操作部、23 中央操作部、24 ワンタッチキー部、25 弱火力キー、26 中火力キー、27 強火力キー、29 操作ボタン、34L 左タイマースイッチ、34R 右タイマースイッチ、35L 左液晶表示部、35R 右液晶表示部、36L 左揚げ物選択スイッチ、36R 右揚げ物選択スイッチ、40L 左火力表示ランプ、40R 右火力表示ランプ、50 通電マーク、60 画像表示器、62 電気ケーブル、64 流し台、65 壁、70 ドア、71 前面開口、72 窓、73 受皿、74 右排気口、75 左排気口、76 排気ダクト、80 統合表示部(中央表示・入力部)、81 画面区域、81E ガイドエリア、83 入力キー(ファンクションキー)、84 表示キー、85 インフォーメーションキー、86 強火力キー(3kWキー)、91 入力キー群、92 操作ボタン、93 IH便利メニューボタン、93a 右IH便利メニューボタン(キー)、94 操作ボタン、95〜99 入力キー(ファンクションキー)、100〜104 表示キー、110A グリルヒータ(加熱源)、200 通電制御回路(制御手段)、201 主電源スイッチ、202 商用電源、202A 母線、206L 左加熱源回路、206R 右加熱源回路、207 中央回路、208 グリル回路、220 共振回路、220L 左加熱コイル(誘導加熱コイル)、220R 右加熱コイル(誘導加熱コイル)、221 整流ブリッジ回路、225 共振回路、226 フライホイールダイオード、227 電流検出センサー、228 駆動回路、230 電磁リレー、231 電気ヒータ、232 定電圧回路、233 赤外線駆動回路、241 受信回路、242 制御回路、243 ファンモータ、244 駆動回路、245 駆動回路、246〜257 発光ダイオード、258a〜258l 抵抗、259 接地側接続点、260 冷却用ファン駆動回路、261〜267 冷却用ファン、263A 回転軸、264A 回転軸、265A 吸い込み口、265B 吹出口、266A 吸い込み口、266B 吹出口、270 仕切板、271 連通孔、272 断熱材、273 天井壁面、274 下方空間、275 上方空間、280 液晶基板、281 断熱材、282 ケース、282A フランジ部、283 空隙、284 放熱フィン、290L 仕切板、290R 右仕切板、291 溝状空間、292 制御基板(電気絶縁性取付基板)、293 電気部品群、294 制御基板(電気絶縁性取付基板)、298 電気部品類、300 操作ボタン、311 温度検出回路、320L 吸気口、320R 吸気口、321L パワーモジュール、321R パワーモジュール、323 ファンケース、323A 吸込口、323B 吹出口、323C 案内面、324A 背面側、324B 案内面、324L 保護カバー、324R 保護カバー、325 ファンケース、325A 吸込口、325B 吹出口、325L 電気回路部品群、325R 電気回路部品群、330P 通風孔、330R 保持枠、331L 左磁束漏れ防止板、331R 右磁束漏れ防止板、332 断熱材、333 密封用シールパッキン材、335L 左保持枠、335R 右保持枠、370L 左空間部、370R 右空間部、371R 高電圧電気部品、372L 冷却フィン、372R 冷却フィン、400 予備電源、484 入力キー、500 入力キー、501 入力キー、502 入力キー、503 入力キー、504 入力キー、600 外部出力部、601 制御部、602 データ変換部、603 電力線モデム、604 カメラ、700 外部表示機器、701 制御部、702 データ変換部、703 電力線モデム、704 リモコン、705 テレビ受像器、800 商用電源、A1 第一の表示エリア(対応エリア)、A2 第二の表示エリア、AM アクティブマーク、B1 第一の表示エリア(対応エリア)、B2 第二の表示エリア、C1 第一の表示エリア(対応エリア)、C2 第二の表示エリア(対応エリア)、D 対応エリア、E ガイドエリア(表示エリア)、F キー表示エリア、G 表示エリア、N 鍋(被加熱物)、BL 横方向直線、CL 左右中心線、LL 横方向直線(最前位置)、RL 横方向直線(最前位置)、S1〜S7L 温度センサー、SA 左右対向間隔、SB 左右対向間隔、SC 前後対向間隔、SS 対向空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱源の調理条件、前記加熱源の通電条件、前記加熱源の動作状況および前記加熱源を除く電気部品の運転状態の何れか1以上を含む報知情報と、異常状態を示す異常情報とを表示する表示手段を備えた加熱調理装置本体から、当該加熱調理装置本体の異常発生時に発せられる前記異常情報を受け取り、異常報知を行う異常報知システムにおいて、
前記加熱調理装置本体は、前記報知情報と異常情報を、無線又は赤外線によって前記本体の外部に配置された外部表示機器に送信する出力部を備え、
前記外部表示機器は、前記出力部から発せられる異常情報を受け取った場合に、当該異常状態を報知し、前記出力部に対して前記報知情報の提供を求める命令信号を発生させる制御部を備えることを特徴とする加熱調理装置の異常報知システム。
【請求項2】
前記加熱調理装置本体の外部には、前記出力部から発せられる前記報知情報を受け取った場合に起動され、前記加熱調理装置本体の様子を撮影して、その撮影情報を前記外部表示機器に伝達するカメラが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理装置の異常報知システム。
【請求項3】
前記報知情報には、前記加熱源による調理動作の終了を示す情報が含まれ、当該調理動作の終了を示す情報が前記出力部から前記外部表示機器に送られることを特徴とする請求項2に記載の加熱調理装置の異常報知システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2012−89535(P2012−89535A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−27577(P2012−27577)
【出願日】平成24年2月10日(2012.2.10)
【分割の表示】特願2007−144646(P2007−144646)の分割
【原出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】