説明

加速機能付き偏向電磁石システム

【課題】偏向電磁石に荷電粒子加速機能を付加させることにより、円形粒子加速器などで使用される加速機器の数を大幅に低減させることによって円形粒子加速器などの低価格化、小型化を可能にする。
【解決手段】偏向用励磁電流によって、第1偏向磁場用励磁コイル16、第2偏向磁場用励磁コイル17を励磁させて、磁性体15のギャップ14内に偏向磁力線20を生成させ、磁性体15のギャップ14に配置された真空空洞パイプ10中を通過する荷電粒子を偏向させながら、加速用励磁電流によって、加速用励磁コイル22を励磁させて、磁性体15内に加速用磁力線23を生成させるとともに、この加速用磁力線23によって磁性体15の両端部間に誘導電圧Vaを生成させ、磁性体15のギャップ14に配置された真空空洞パイプ4中を通過する荷電粒子を加速させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に円形粒子線加速器において使用される偏向電磁石システムに関し、特に粒子の加速機能を備えた偏向電磁石システムに関する。
【背景技術】
【0002】
陽子などの粒子を加速するシンクロトロン系の加速器として、従来、例えば図8に示すような構成の円形粒子加速器が知られている。
【0003】
図8に示す円形粒子加速器101は、陽子発生源(図示は省略する)、直線状に形成される真空空洞パイプ102、この真空空洞パイプ102に沿って配置される複数の直線加速器(図示は省略する)などによって構成されている。
【0004】
このような円形粒子加速器101においては、陽子発生源などで得られた陽子などの荷電粒子を直線加速器側に導いて、指定された速度まで加速させる入射路103と、リング状に形成される真空空洞パイプ104、真空空洞パイプ104に沿って配置される複数の加速機器105、複数の偏向電磁石106、1つの入射機器107、1つの出射機器108などによって構成される。
【0005】
そして、入射機器107を介して、入射路103から供給される荷電粒子を取り込み、指定された速度になるまで加速させるリング109と、直線状に形成され、その一端が出射機器108に連通される真空空洞パイプ110、この真空空洞パイプ110に沿って配置される電磁石(図示は省略する)などによって構成され、出射機器108を介して、リング109によって指定された速度まで加速させられた荷電粒子を取り込み、ターゲットまで導く出射路111とを備えている。
【0006】
ここで、加速器制御装置(図示せず)などから指示に基づき、入射路103に設けられた陽子発生源、複数の直線加速器を動作させて、指定された速度の荷電粒子を発生させるとともに、リング109に設けられた入射機器109、各加速機器105、各偏向電磁石106を動作させて、入射路103から出射される荷電粒子をリング109の真空空洞パイプ104内に導いて、指定された速度になるまで、加速させる。
【0007】
この後、リング109に設けられた出射機器108、出射路111に設けられた電磁磁石などを動作させて、リング109で加速された荷電粒子を取り込ませ、ターゲットまで導く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、このような円形粒子加速器101では、入射路103からリング109内に導入された荷電粒子を加速する際、複数の偏向電磁石106を使用して、荷電粒子の経路を制御しながら、複数の加速機器105を使用して、荷電粒子を加速させるようにしているので、リング109を構成する真空空洞パイプ109に沿って、多数の偏向電磁石106と、多数の加速機器105とを配置しなければならず、リング自体が大きくなってしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、このような従来技術に係る円形加速器の課題に鑑みてなされたものであって、円形粒子加速器などで使用される偏向電磁石に、本来の機能である偏向機能のほか、荷電粒子を加速させる加速機能を持たせることができ、これによってリングで使用される加速機器を大幅に低減、またはゼロにさせることができ、これによって加速器の低価格化、小型化を達成させることができる偏向電磁石システムを提供することを目的としている。
【0010】
また、本発明は、1つの磁性体に偏向地場用励磁コイルと加速用励磁コイルとを効率良く、かつ相互に干渉しないように配置させながら、加速器で使用される加速機器の数を大幅に低減、またはゼロにさせることができ、これによって加速器の低価格化、小型化を達成させることができる偏向電磁石システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本願の請求項1に記載の偏向電磁石システムは、偏向磁力線を発生して、荷電粒子を偏向させる偏向電磁石システムにおいて、所定の磁気特性、所定の導電特性を持つ磁性材料によって構成され、中央部分に荷電粒子が通過するギャップが形成された中空パイプ状の磁性体と、この磁性体の外面、前記ギャップを通るように、前記磁性体の一側面側、または両側面側に所定の巻き数だけ、巻き付けられる1つ、または複数の偏向磁場用励磁コイルと、偏向用励磁電流を生成して、前記偏向磁場用励磁コイルを励磁させ、前記磁性体の前記ギャップ内に偏向磁力線を生成させる偏向用電源と、前記磁性体の外面、前記ギャップを通るように、前記磁性体の所定部分に、1ターン、または数ターンだけ、巻き付けられる加速用励磁コイルと、所定の周波数、所定の電圧値を持つ加速用励磁電流を生成して、前記加速用励磁コイルを励磁させ、前記磁性体内に加速磁力線を生成させるとともに、前記加速磁力線によって、前記磁性体の長手方向に、誘導電圧を発生させる加速用電流源とを備えたことを特徴としている。
【0012】
また、本願の請求項2に記載の本偏向電磁石システムにおいては、前記磁性体は断面中央部分にギャップが形成された窓枠型の中空パイプによって構成され、前記偏向磁場用励磁コイルは、前記磁性体の一側面に所定の巻き数だけ、巻き付けられる第1偏向磁場用励磁コイル、前記磁性体の他側面に所定の巻き数だけ、巻き付けられる第2偏向磁場用励磁コイルによって構成され、前記加速用励磁コイルは、前記磁性体の上面、または下面のいずれかに巻き付けられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る請求項1の偏向電磁石システムは、円形粒子加速器などで使用される偏向電磁石に、本来の機能である偏向機能のほか、荷電粒子を加速させる加速機能を持たせることができ、これによってリングで使用される加速機器を大幅に低減、またはゼロにさせることができ、これによって加速器の低価格化、小型化を達成させることができる。
【0014】
また、本発明に係る請求項2の偏向電磁石システムは、1つの磁性体に偏向地場用励磁コイルと加速用励磁コイルとを効率良く、かつ相互に干渉しないように配置させながら、加速器で使用される加速機器の数を大幅に低減、またはゼロにさせることができ、これによって加速器の低価格化、小型化を達成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による偏向電磁石システムを使用した円形粒子加速器の一形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す偏向電磁石システムの詳細な構成例を示す正面側断面図である。
【図3】図2に示す偏向電磁石システムの斜視図である。
【図4】図2に示す偏向電磁石システムの磁化曲線図である。
【図5】本発明による偏向電磁石システムを使用した円形粒子加速器の他の形態例を示す概略構成図である。
【図6】本発明による偏向電磁石システムの他の構成例を示す右側断面図である。
【図7】本発明による偏向電磁石システムの他の構成例を示す正面側断面図である。
【図8】従来から知られている円形粒子加速器の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.本発明の第1の実施形態
図1は、本発明による偏向電磁石システムを使用した円形粒子加速器の一形態を示す概略構成図である。
【0017】
この図に示す円形粒子加速器1は、陽子発生源(図示は省略する)、直線状に形成される真空空洞パイプ2、この真空空洞パイプ2に沿って配置される複数の直線加速器(図示は省略する)などによって構成される。
【0018】
ここで、陽子発生源などで得られた陽子などの荷電粒子は、直線加速器側に導かれ、指定された速度まで、加速させる入射路3と、リング状に形成される真空空洞パイプ4、真空空洞パイプ4に沿って配置される複数の偏向電磁石システム5、1つの高場入射機器(Hight Field 入射機器)6、1つの高場出射機器(Hight Field 出射機器)7などによって構成される。
【0019】
ここで、高場入射機器6を介して、入射路3から供給される荷電粒子を取り込み、指定された速度になるまで加速させるリング8と、直線状に形成され、その一端が高場出射機器7に連通される真空空洞パイプ10、この真空空洞パイプ10に沿って配置される電磁石(図示は省略する)などによって構成され、高場出射機器7を介して、リング8によって指定された速度まで加速させられた荷電粒子を取り込み、ターゲットまで導く出射路11と、を備えている。
【0020】
そして、加速器制御装置(図示は省略する)などから指示に基づき、入射路3に設けられた陽子発生源、複数の直線加速器を動作させて、指定された速度の荷電粒子を発生させるとともに、リング8に設けられた高場入射機器6、各偏向電磁石システム5を動作させて、入射路3から出射される荷電粒子をリング8の真空空洞パイプ4内に導いて、指定された速度になるまで加速させる。
【0021】
この後、リング8に設けられた高場出射機器7、出射路11に設けられた電磁磁石などを動作させて、リング8で加速された荷電粒子を取り込ませ、ターゲットまで導く。
【0022】
各偏向電磁石システム5の各々は、図2の正面側断面図に示す如く所定の磁気特性、所定の導電特性を持つ中空の長手磁性材料によって構成され、断面中央に形成されたギャップ(開口部)14に真空空洞パイプ4が通される窓枠形状の磁性体15と、磁性体15のギャップ14および外面を通るように、指定された巻き数、例えばn1ターンだけ、磁性体15の一側面に巻き付けられる第1偏向磁場用励磁コイル16と、磁性体15のギャップ14および外面を通るように、指定された巻き数、例えばn2ターン(但し、n1≒n2)だけ、磁性体15の他側面に巻き付けられる第2偏向磁場用励磁コイル17と、を備える。
【0023】
また、偏向用励磁電流を発生して、第1偏向磁場用励磁コイル16を励磁させ、矢印A1方向の磁力線18を生成させるとともに、第2偏向磁場用励磁コイル17を励磁させ、矢印A2方向(矢印A1方向と同じ方向)の磁力線19を生成させ、磁性体15のギャップ14内に矢印B方向の偏向磁力線20を発生させる偏向用電源21と、磁性体15のギャップ、および外面を通るように、指定された巻き数、例えば1ターン、または数ターンだけ、磁性体15の上部面に巻き付けられる加速用励磁コイル22と、を備える。
【0024】
さらには、加速用励磁電流(高周波励磁電流)を発生して、加速用励磁コイル22を励磁させ、磁性体15の上部、右側面部、下部、左側面部を順次、通る矢印C方向の加速磁力線23を発生させるとともに、加速磁力線23によって、図3に示す如く磁性体15の先端、後端間に誘導電圧Vaを発生させる加速用電源23と、を備える。
【0025】
そして、加速器制御装置(図示は省略する)などから指示に基づき、リング8に設けられた高場入射機器6、各偏向電磁石システム5を動作させるとき、偏向用電流源21から、偏向用励磁電流、例えば数Hzの周波数を持ち、第1偏向磁場用励磁コイル16、第2偏向磁場用励磁コイル17に数十キロAtの起磁力を発生させるのに必要な電流値を持つ偏向用励磁電流を出力させて、第1偏向磁場用励磁コイル16、第2偏向磁場用励磁コイル17を励磁させる。
【0026】
これにより、図2に示す矢印A1方向の磁力線18と、矢印A2方向の磁力線19とが生成されて、磁性体15の各側面部、ギャップ14を通る偏向磁力線20が生成され、ギャップ14内に配置された真空空洞パイプ4中を通過する荷電粒子が右方向(または、左方向)に付勢されて、偏向させられる。
【0027】
またこの動作と並行し、加速用電源23から加速用励磁電流、例えば500Vの電圧値、数MHzの周波数、数Aの電流値を持つ加速用励磁電流を出力させて、加速用励磁コイル22を励磁させる。
【0028】
これによって、図2に示す磁性体15の上部、右側面部、下部、左側面部を順次、通る矢印C方向の加速磁力線23が生成されて、図3に示す如く磁性体15の先端、後端間に誘導電圧Vaが生成され、ギャップ14内に配置された真空空洞パイプ4中を通過する荷電粒子が矢印D方向(または、矢印D方向と逆方向)に加速される。
【0029】
このとき、偏向用励磁電流が供給された第1偏向磁場用励磁コイル16、第2偏向磁場用励磁コイル17によって、磁性体15内に図4のB−H磁化曲線図に示す磁化曲線24に沿った強さの偏向磁力線20が生成されるとともに、加速用励磁電流が供給された加速用励磁コイル22によって、図4の部分拡大図に示す如く磁化曲線25に沿った強さの加速磁力線23が生成されることから、加速用励磁電流の周波数に対応するように、偏向磁力線20の動作点が変動する。
【0030】
しかし、第1偏向磁場用励磁コイル16、第2偏向磁場用励磁コイル17の励磁量に対し、加速用励磁コイル22の励磁量が1/1000程度であることから、偏向磁力線20の変動を小さく抑えることができるとともに、磁性体15の鉄損失などの磁性体損失を小さく抑えることができ、加速磁力線23を重乗させる前の磁性体発熱量とほぼ同じ程度まで、磁性体15の磁性体発熱量を抑えさせることができる。
【0031】
これにより、複数の加速機器と、複数の偏向電磁石とを使用する従来の円形粒子加速器に比べ、図1に示す円形粒子加速器全体1では、複数の加速機器を無くした分だけ、円形粒子加速器全体1全体の発熱量を小さく抑えさせて、冷却媒体の使用量を少なくさせることができる。
【0032】
このように、この形態では、偏向用励磁電流によって、第1偏向磁場用励磁コイル16、第2偏向磁場用励磁コイル17を励磁させて、磁性体15のギャップ14内に偏向磁力線20を生成させ、磁性体15のギャップ14内に配置された真空空洞パイプ4中を通過する荷電粒子を偏向させるとともに、加速用励磁電流によって、加速用励磁コイル22を励磁させて、磁性体15内に加速磁力線23を生成させる。
【0033】
また、この加速磁力線23によって磁性体15の両端部間に誘導電圧Vaを生成させ、磁性体15のギャップ14内に配置された真空空洞パイプ4中を通過する荷電粒子を加速させるようにしているので、リング状に形成される真空空洞パイプ4、真空空洞パイプ4に沿って、複数の偏向電磁石システム5、1つの高場入射機器6、1つの高場出射機器7などによってリング8を構成させることができる(請求項1の効果)。
【0034】
これにより、高電圧、大電力を必要とする加速機器を削除できた分だけ、円形粒子加速器1の低価格化を達成させることができる。
【0035】
また、高電圧、大電力を必要とする加速機器を削除できた分だけ、真空空洞パイプ4の周囲に隙間が発生することから、隙間を小さくさせることにより、図5に示す如くリング8径自体を小さくさせ、円形粒子加速器1の小型化を達成させることができる。
【0036】
さらに、偏向磁力線20と、加速用励磁コイル22とが交差しないようにしているので、偏向磁力線20、加速磁力線23が相互に干渉しないようにさせることができ、これによって偏向電磁石システム5が持つ偏向電磁石機能と、加速機能とを独立させて機能させることができる(請求項2の効果)。
【0037】
また、磁性体15として、従来の偏向電磁石などで使用されている一般的なヨーク構造(窓枠構造)のものを使用させることができることから、従来の偏向電磁石とほぼ同じ部品で、偏向電磁石システム5を製造させることができる。
【0038】
また、本発明は、例えば、特開2008−234938号公報に開示されている電磁石の高速強地場化方法、パルス電磁石システムなどと、偏向電磁石システム5の技術とを併用させることにより、シンクロトロンなどにおける入出射機器、加速機器に用いている直線部を短縮させることができ、これによって、リング自体の小型化を促進させることができる。
【0039】
B.本発明の他の実施形態
上述した本発明の第1の実施形態では、磁性体15が持つ導電特性を利用し、磁性体15の両端部間に、加速磁力線23に対応する誘導電圧Vaを発生させるようにしているが、図6に示す如く磁性体15の外側に導電体30を取り付け、この導電体30の両端間に、加速磁力線23に対応する誘導電圧Vaを発生させるようにしても良い。
【0040】
導電体30は、磁性体15に外挿された金属パイプ、または塗布された金属膜などによって構成されており、その先端、後端が磁性体15のギャップ14内に折り曲げられ、磁性体15内に生成される加速磁力線23を半ターンだけ、囲むことにより、導電体30の両端間に、加速磁力線23の変化に応じた誘導電圧Vaを発生し、この誘導電圧Vaによって生じる加速電界により、ギャップ14内を通過する荷電粒子を加速する。
【0041】
このようにすることにより、磁性体15の導電特性が十分でない場合でも、導電体30が持つ導電性を利用し、荷電粒子を加速するのに必要な加速電界を生成させることができる。
【0042】
また、上述した形態では、磁性体15の一側面に第1偏向磁場用励磁コイル16を巻き付けるとともに、磁性体15の他側面に第2偏向磁場用励磁コイル17を巻き付け、これら第1偏向磁場用励磁コイル16、第2偏向磁場用励磁コイル17を励磁したときに発生する磁力線18、19で、磁性体15のギャップ14内に偏向磁力線20を生成させ、磁性体15のギャップ14内に配置された真空空洞パイプ4中を通過する荷電粒子を偏向させるようにしているが、図7に示す如く磁性体15のギャップ14内に1つの偏向磁場用励磁コイル35を配置し、この偏向磁場用励磁コイル35を励磁して、磁性体15のギャップ14内に偏向磁力線20を生成させるようにしても良い。
【0043】
このようにしても、上述した形態と同様に、磁性体15のギャップ14内に偏向磁力線20を生成させ、ギャップ14内を通過する荷電粒子を偏向させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、主に円形粒子線加速器において使用される偏向電磁石システムに関し、特に粒子の加速機能を備えた偏向電磁石システムに関するものであって、産業上の利用可能性を有する。粒子の加速機能を備えた偏向電磁石システムは、素粒子実験、原子核実験、医学利用(放射線治療)などを目的とした高エネルギー粒子線加速器の多機能化が見込まれ、一般的に普及されることが期待される。また、一般普及により、今までに困難であったバルク加工を対象にしたナノ材料の量産化への一歩である重イオン加速器に貢献することが期待されている。
【符号の説明】
【0045】
1:円形粒子加速器
2:真空空洞パイプ
3:入射路
4:真空空洞パイプ
5:偏向電磁石システム
6:高場入射機器
7:高場出射機器
8:リング
10:真空空洞パイプ
11:出射路
14:ギャップ
15:磁性体
16:第1偏向磁場用励磁コイル(偏向磁場用励磁コイル)
17:第2偏向磁場用励磁コイル(偏向磁場用励磁コイル)
18:磁力線
19:磁力線
20:偏向磁力線
21:偏向用電源
22:加速用励磁コイル
23:加速用電源
24:磁化曲線
25:磁化曲線
30:導電体
35:偏向磁場用励磁コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏向磁力線を発生して、荷電粒子を偏向させる偏向電磁石システムにおいて、
所定の磁気特性、所定の導電特性を持つ磁性材料によって構成され、中央部分に荷電粒子が通過するギャップが形成された中空パイプ状の磁性体と、
所定の巻き数だけ巻回された磁気コイルによって構成され、前記磁性体の前記ギャップ内に内挿、または前記磁性体の側面に外挿される1つ、または複数の偏向磁場用励磁コイルと、
偏向用励磁電流を生成して、前記偏向磁場用励磁コイルを励磁させ、前記磁性体の前記ギャップ内に偏向磁力線を生成させる偏向用電源と、
前記磁性体の外面、前記ギャップを通るように、前記磁性体の所定部分に、1ターン、または数ターンだけ、巻き付けられる加速用励磁コイルと、
所定の周波数、所定の電圧値を持つ加速用励磁電流を生成して、前記加速用励磁コイルを励磁させ、前記磁性体内に加速磁力線を生成させるとともに、前記加速磁力線によって、前記磁性体の長手方向に、誘導電圧を発生させる加速用電流源と、
を備えたことを特徴とする加速機能付き偏向電磁石システム。
【請求項2】
請求項1に記載の偏向電磁石システムにおいて、
前記磁性体は、断面中央部分にギャップが形成された窓枠型の中空パイプによって構成され、
前記偏向磁場用励磁コイルは、前記磁性体の一側面に所定の巻き数だけ、巻き付けられる第1偏向磁場用励磁コイル、前記磁性体の他側面に所定の巻き数だけ、巻き付けられる第2偏向磁場用励磁コイルによって構成され、
前記加速用励磁コイルは、前記磁性体の上面、または下面のいずれかに巻き付けられる、ことを特徴とする加速機能付き偏向電磁石システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−210560(P2011−210560A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77619(P2010−77619)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(504151365)大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構 (125)
【Fターム(参考)】