説明

劣化パス検出システム、劣化パス検出方法及びコンピュータプログラム

【課題】コストを抑えながら、ネットワークの品質を改善するための対処に有効な劣化パスを効率的かつ適切に検出する。
【解決手段】劣化パス検出装置1は、測定端末Tに近い方から、測定ネットワーク全体を小さな木構造のトポロジに分解する。そして、分解した木構造のトポロジ内において、測定端末T間で測定を実施して劣化パスを検出するとともに、この木構造トポロジにおけるルートノードと測定端末Tとの間の劣化値が最大となる測定端末Tを抽出する。劣化パス検出装置1は、分解した木構造である各部分木のルートノードに接続されている1階層上のノードをルートノードとした新たな部分木を対象範囲とし、劣化値が最大となる測定端末T間で測定を実施して劣化パスを検出し、劣化値が最大となる測定端末Tを抽出することを繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、劣化パス検出システム、劣化パス検出方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、各ノード装置がネットワークシステムから取得した情報に基づいて所属先のクラスタを自律的に決定することによって、各ノード装置が複数のクラスタのうちいずれか1つのクラスタに所属するクラスタ化を行い、実際の品質測定については各クラスタ内の代表ノード間でのみフルメッシュの測定を行う品質測定方法が記載されている。この品質測定方法では、クラスタに所属する他のノードがネットワーク品質の測定結果を必要とする場合、代表ノードの測定結果を用いることによって全体の測定数を抑えることができ、また、ネットワークにかかる負荷を抑制することができる。その結果、ユビキタス時代に急激に増加すると予測される多ノード大規模分散ネットワーク環境下において、スケーラビリティを保ったままで効率的な品質測定を自動的に実施することが可能となり、ネットワーク管理や利用可能アプリケーションの把握、障害検知に有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−074202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術では、全体の測定数を抑えているものの、その測定方式から、ネットワークの全ての代表ノードに測定装置が必要となり、設置コストがかかってしまう。また、代表ノード以外に劣化要因が存在した場合、劣化パスは抽出できない。また、複数の劣化パスが抽出された場合は、対処に有効な劣化パスが適切に保守者等へ通知されない可能性もある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、コストを抑えながら、ネットワークの品質を改善するための対処に有効な劣化パスを効率的かつ適切に検出することができる劣化パス検出システム、劣化パス検出方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決すべくなされたもので、劣化パス検出装置と、複数のノードをリンクにより接続してなるネットワーク内の前記ノードに接続される測定端末とを備えた劣化パス検出システムであって、前記劣化パス検出装置は、前記ネットワークを前記測定端末が接続されている階層の前記ノードから順に選択し、選択した前記ノードをルートノードとした木構造のトポロジに分解する部分木ネットワーク構築部と、前記部分木ネットワーク構築部によって分解された前記木構造のトポロジにおいて、前記測定端末間による通信品質の測定を指示する測定指示実行部と、前記測定指示実行部による指示に応じて得られた前記測定端末間の通信品質の劣化値に基づいて劣化パスを検出するとともに、前記ルートノードとの間の劣化値が最大となる測定端末を特定する選定分析部(測定端末選定/劣化値分析部)とを備え、前記測定指示実行部は、前記木構造のトポロジにおいて前記選定分析部が特定した前記測定端末間による通信品質の測定を指示する、ことを特徴とする劣化パス検出システムである。
【0007】
また、本発明は、劣化パス検出装置と、複数のノードをリンクにより接続してなるネットワーク内の前記ノードに接続される測定端末とを備えた劣化パス検出システムであって、前記劣化パス検出装置は、測定端末が接続されている階層の前記ノードから順に選択し、選択した前記ノードをルートノードとし、前記測定端末をリーフノードとする木構造の部分木ネットワークを前記ネットワークから抽出する部分木ネットワーク構築部と、前記部分木ネットワーク構築部により抽出された前記部分木ネットワーク内の前記測定端末間による通信品質の測定を指示する測定指示実行部と、前記測定指示実行部による指示に応じて得られた前記測定端末間の通信品質の測定劣化値に基づいてさらに測定対象の前記測定端末を選択し、前記測定指示実行部に選択した前記測定端末間の通信品質の測定を指示し、測定によって得られた前記測定端末間の測定劣化値に基づいて前記部分木ネットワーク内の劣化パスを検出するとともに、前記ルートノードとの間の劣化値が最大となる前記測定端末を特定する選定分析部(測定端末選定/劣化値分析部)とを備え、前記部分木ネットワーク構築部は、前記ルートノードが最も下の階層である場合は前記ルートノードに接続される前記測定端末全てをリーフノードとし、前記ルートノードが最も下の階層ではない場合は、前記選定分析部によって選択された前記測定端末をリーフノードとした部分木ネットワークを抽出する、ことを特徴とする劣化パス検出システムである。
【0008】
また、本発明は、劣化パス検出装置と、複数のノードをリンクにより接続してなるネットワーク内の前記ノードに接続される測定端末とを備えた劣化パス検出システムであって、前記測定端末は、前記劣化パス検出装置からの指示を受け、他の前記測定端末との間で通信品質を測定する手段を備え、前記劣化パス検出装置は、測定端末が接続されている階層の前記ノードから順に選択し、選択した前記ノードをルートノードとし、前記測定端末をリーフノードとする木構造の部分木ネットワークを前記ネットワークから抽出する部分木ネットワーク構築部と、前記部分木ネットワーク構築部により抽出された前記部分木ネットワークにおける測定端末のペアを選択し、選択した前記測定端末のペア間における通信品質の測定を指示する測定指示実行部と、前記測定指示実行部による指示に対応して前記選択した前記ペア間の通信品質の測定結果を取得して劣化値を算出する劣化値取得部(測定結果受信/劣化値算出部)と、前記劣化値取得部が取得した前記測定端末間の測定劣化値に基づいて劣化パスの検出のために測定が必要な測定端末のペアを選択し、前記選択した測定端末のペア間の通信品質の測定を行なうよう前記測定指示実行部に指示し、前記劣化値取得部が取得した前記測定端末のペア間の測定劣化値によって前記部分木ネットワーク内のリンクの劣化値を取得して劣化パスを検出するとともに、前記ルートノードとの間の劣化値が最大となる前記測定端末を特定する選定分析部(測定端末選定/劣化値分析部)とを備え、前記部分木ネットワーク構築部は、前記ルートノードが最も下の階層である場合は前記ルートノードに接続される前記測定端末全てをリーフノードとし、前記ルートノードが最も下の階層ではない場合は、前記選定分析部によって選択された前記測定端末をリーフノードとした部分木ネットワークを抽出する、ことを特徴とする劣化パス検出システムである。
【0009】
また、本発明は、上述した劣化パス検出システムであって、前記選定分析部は、前記劣化値取得部が取得した前記測定端末間の測定劣化値に基づいて劣化パスの検出のために測定が必要な測定端末を選択し、前記選択した測定端末間の通信品質の測定を行なうよう前記測定指示実行部に指示し、前記劣化値取得部が取得した前記測定端末間の測定劣化値によって前記部分木ネットワーク内のリンクの劣化値を取得して劣化パスを検出し、劣化パスが検出された場合は、劣化パス内の各リンクの劣化値を補正した後、前記部分木ネットワーク内のリンクの劣化値に基づいてルートノードとの間の劣化値が最大となる測定端末を特定する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明は、劣化パス検出装置と、複数のノードをリンクにより接続してなるネットワーク内の前記ノードに接続される測定端末とを備えた劣化パス検出システムに用いられる劣化パス検出方法であって、前記劣化パス検出装置において、部分木ネットワーク構築部が、複数のノードをリンクにより接続してなるネットワークから測定端末が接続されている層の前記ノードを選択し、選択した前記ノードをルートノードとした木構造のトポロジに分解する最下層部分木ネットワーク構築過程と、測定指示実行部が、前記初期部分木ネットワーク構築過程において分解された前記木構造のトポロジにおいて、前記測定端末間による通信品質の測定を指示する最下層指示実行過程と、選定分析部(測定端末選定/劣化値分析部)が、前記指示に応じて得られた前記測定端末間の通信品質の劣化値に基づいて劣化パスを検出するとともに、前記ルートノードとの間の劣化値が最大となる測定端末を特定する選定分析過程と、前記部分木ネットワーク構築部が、現在のルートノードより一階層上位のノードを新たなルートノードとして選択し、前記ネットワークを選択した新たなノードをルートノードとした木構造のトポロジに分解する部分木ネットワーク構築過程と、前記測定指示実行部が、前記部分木ネットワーク構築過程において分解された木構造のトポロジにおいて、前記選定分析過程によって特定された前記測定端末間による測定を指示する指示実行過程とを有し、前記ネットワーク内の全てのノードについて処理を終了するまで前記選定分析過程からの処理を繰り返し実行する、ことを特徴とする劣化パス検出方法である。
【0011】
また、本発明は、劣化パス検出装置として用いられるコンピュータに、複数のノードをリンクにより接続してなるネットワークを、測定端末が接続されている階層の前記ノードから順に選択し、選択した前記ノードをルートノードとした木構造のトポロジに分解する部分木ネットワーク構築ステップと、前記部分木ネットワーク構築ステップにおいて分解された前記木構造のトポロジにおいて、前記測定端末間による通信品質の測定を指示する測定指示実行ステップと、前記測定指示実行ステップにおける指示に応じて得られた前記測定端末間の通信品質の劣化値に基づいて劣化パスを検出するとともに、前記ルートノードとの間の劣化値が最大となる測定端末を特定する選定分析ステップとを実行させ、前記測定指示実行ステップにおいては、前記木構造のトポロジにおいて前記選定分析ステップにおいて特定された前記測定端末間による通信品質の測定を指示する処理を実行させる、ことを特徴とするコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、すでに測定パスの測定結果を利用し、演算で求めることによって、フルメッシュにより通信品質を測定することなく全ノードを対象とした効率的な品質測定を実現することができる。これにより、ネットワークに負荷を最小限に抑えながら劣化パスを検出することが可能であるため、大規模ネットワークへの応用が容易である。加えて、劣化パス検出の際に必要となる測定機器は、ネットワーク外部のみに配置すればよく、各区間の品質算出のためにネットワーク内部に測定機器を設置する必要がない。よって、設置コストを抑えることが可能である。
本発明によれば、すでに検出された劣化パス内の劣化値を演算補正しながら測定処理を実施しているため、他の劣化パス内の劣化が解消されると、劣化状態が解消されてしまうパスの検出を抑えながら、網内の劣化パスを検出することが可能であり、また、この検出された劣化パスのほとんどは独立しているため、劣化パス検出時の無駄な切り分け作業を抑えることができ、早期の故障回復が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による劣化パス検出システムの全体構成図である。
【図2】同実施形態による劣化パス検出装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】同実施形態による劣化パス検出装置が処理に使用するデータのデータ構造を示す図である。
【図4】同実施形態による劣化パス検出装置における劣化パス検出処理全体の処理フローを示す図である。
【図5】同実施形態による劣化パス検出装置における部分木データ構築処理の処理フローを示す図である。
【図6】同実施形態による劣化パス検出装置における部分木内測定処理の処理フローを示す図である。
【図7】同実施形態による劣化パス検出装置における測定劣化パス処理の処理フローを示す図である。
【図8】同実施形態による劣化パス検出装置におけるリンク劣化値算出処理の処理フローを示す図である。
【図9】同実施形態による劣化パス検出装置における劣化区間候補抽出処理の処理フローを示す図である。
【図10】同実施形態による劣化パス検出装置における折り返し劣化分析処理の処理フローを示す図である。
【図11】同実施形態による劣化パス検出装置における折り返し劣化分析処理の処理フローを示す図である。
【図12】同実施形態による劣化パス検出装置における最大劣化区間抽出処理の処理フローを示す図である。
【図13】同実施形態による劣化パス検出装置における部分木データ再構築処理の処理フローを示す図である。
【図14】同実施形態による部分木データ構築処理を説明するための図である。
【図15】同実施形態による測定劣化パス処理を説明するための図である。
【図16】同実施形態による測定劣化パス処理を説明するための図である。
【図17】同実施形態によるリンク劣化値算出処理を説明するための図である。
【図18】同実施形態によるリンク劣化値算出処理を説明するための図である。
【図19】同実施形態による劣化区間候補抽出処理を説明するための図である。
【図20】同実施形態による劣化区間候補抽出処理を説明するための図である。
【図21】同実施形態による折り返し劣化分析処理を説明するための図である。
【図22】同実施形態による折り返し劣化分析処理を説明するための図である。
【図23】同実施形態による最大劣化区間抽出処理を説明するための図である。
【図24】同実施形態による部分木データ再構築処理を説明するための図である。
【図25】同実施形態による部分木データ再構築処理を説明するための図である。
【図26】同実施形態による部分木データ再構築処理を説明するための図である。
【図27】同実施形態による部分木データ再構築処理を説明するための図である。
【図28】同実施形態による部分木データ再構築処理を説明するための図である。
【図29】同実施形態による部分木データ再構築処理を説明するための図である。
【図30】同実施形態による部分木データ再構築処理を説明するための図である。
【図31】同実施形態による部分木データ再構築処理を説明するための図である。
【図32】同実施形態による部分木データ再構築処理を説明するための図である。
【図33】同実施形態による部分木データ再構築処理を説明するための図である。
【図34】同実施形態による部分木データ再構築処理を説明するための図である。
【図35】同実施形態による部分木データ再構築処理を説明するための図である。
【図36】同実施形態による部分木データ再構築処理を説明するための図である。
【図37】同実施形態による部分木データ再構築処理を説明するための図である。
【図38】同実施形態による部分木データ再構築処理を説明するための図である。
【図39】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図40】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図41】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図42】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図43】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図44】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図45】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図46】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図47】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図48】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図49】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図50】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図51】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図52】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図53】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図54】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図55】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図56】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図57】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図58】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図59】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図60】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図61】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図62】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図63】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図64】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図65】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図66】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図67】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図68】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図69】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図70】同実施形態による劣化パス検出装置の分析例を説明するための図である。
【図71】同実施形態による劣化パス検出装置により分析可能な測定対象ネットワークの例を示す図である。
【図72】図71の測定対象ネットワークを部分木に分割した例を示す図である。
【図73】図72に示す部分木ネットワークにおける劣化パスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0015】
[1. 構成]
図1は、本発明の一実施形態による劣化パス検出システムの全体構成を示す図である。
同図に示すように、複数のルータRから構成される測定対象ネットワーク内の劣化パスを検出する劣化パス検出システムは、ネットワークトポロジ情報記憶装置2を備えた劣化パス検出装置1と、測定対象ネットワークを構成するルータRに接続される測定端末Tとからなり、全ての測定端末Tと劣化パス検出装置1とは通信ネットワークにより接続されている。
同図において、測定対象ネットワークは、ツリー構造のネットワーク構成となっているが、部分木に分割が可能なネットワークであれば測定ネットワークの構造は問わない。
【0016】
本実施形態では、測定端末T及び測定対象ネットワーク内のルータR等の中継装置を「ノード」とし、測定端末T−ルータR間、および、ルータR−ルータR間の区間を「リンク」とする。
そして、木構造のトポロジにおいて、測定端末Tが設置される層を測定端末層とし、測定対象ネットワークにおいて、測定端末Tに近いルータR(ノード)から順に第一階層、第二階層、・・・、第N階層とグルーピングする。以下の説明において、「第i階層に含まれるノード」(iは、一、二、…、N)などと記載されている場合、第i階層に含まれる全てのノードを指し、例えば、「第二階層に含まれるノード」と記載されている場合、図1に示すトポロジにおいては、第二階層内の2つのノード(ルータR)を指す。
階層の数字が小さいほう、つまり、端末層に近い階層を低い階層、階層の数字が多いほうを高い階層とし、あるノードと接続されている1つ低い階層のノードを子ノード、あるノードと接続されている1つ高い階層のノードを親ノードとする。
【0017】
ネットワークトポロジ情報記憶装置2は、ネットワークトポロジ情報を記憶する。ネットワークトポロジ情報とは、測定対象ネットワークを構成するエレメント(ノード及びリンク)と、各測定端末Tとの接続関係を特定する情報である。各エレメント及び各測定端末Tは一意の識別情報を持つ。ネットワークトポロジ情報には、各エレメントの識別情報、各ノードが測定端末TであるかルータRであるかの種別、各ノードの通信アドレスの情報も含まれる。本実施形態では、ノードの識別情報をノードIDとし、ノードIDがxのノードをノードN[x]と記載する。特に、ノードIDがxの測定端末Tを測定端末T[x]とも記載する。また、図面中には測定端末T、ルータRのノードIDを[]内に記載する。
【0018】
劣化パス検出装置1は、ネットワークトポロジ情報記憶装置2に記憶されているネットワークトポロジ情報と、測定端末の識別情報とに基づいて測定端末T間の経路を特定することができる。劣化パス検出装置1は、測定端末Tに対して通信品質の測定(以下、通信品質の測定を単に「測定」とも記載する。)を指示し、その測定指示に応じて測定端末Tが送受信した通信パケットの伝送情報を受信する。劣化パス検出装置1は、測定端末T間の通信パケットの伝送情報送受信のタイムスタンプから、2地点間のIP(Internet Protocol)品質を算出する。ここではIP品質は、遅延やパケットロスを示す。
【0019】
測定端末Tは、一般の通信端末と同様に、測定端末同士でアクティブな通信が可能な装置である。測定端末Tは、劣化パス検出装置1から通信品質の測定指示により、他の測定端末Tの間での通信を実施し、通信パケットの伝送情報を劣化パス検出装置1に送信する。測定端末Tは、通信パケットを送受信した際の時刻を取得する。なお、各測定端末Tによる通信品質の測定時には時刻同期が行われているものとする。
【0020】
本実施形態の劣化パス検出装置1は、測定対象ネットワークを構成する機器間において、劣化と判定されるパスを検出するため、以下の処理を行なう。
(1)測定端末Tに近い方から、測定ネットワーク全体を小さな木構造のトポロジに分解する。
(2)分解した木構造のトポロジ内において、測定端末T間で測定を実施して劣化パスを検出するとともに、この木構造トポロジにおけるルートノードと測定端末Tとの間の劣化値が最大となる測定端末Tを抽出する。
(3)分解した木構造である各部分木のルートノードに接続されている1階層上のノードをルートノードとした新たな部分木を対象範囲とし、(2)において抽出した測定端末T間で測定を実施して劣化パスを検出し、劣化値が最大となる測定端末Tを抽出する。
(4)(3)の処理を繰り返し、トポロジ全体の劣化パスを検出する。
【0021】
上記処理は、以下の特徴を有する。
(a)各エレメントの劣化の和によって、End-Endで劣化となるパスの検出が可能である。
(b)他の劣化パス内の劣化が解消されると、劣化状態が解消されてしまうパスの検出を少なく抑えることにより、対処すべき劣化パスを効率的に認識することが可能である。
(c)複数の独立した劣化パスが同時に存在したとしても、1度の測定対象ネットワーク全体に対する測定において、False Negativeパス(劣化パスとなるパスが未検出となる状態)が存在しない。
【0022】
図2は、劣化パス検出装置1の構成を示す機能ブロック図である。
同図において、劣化パス検出装置1は、部分木ネットワーク構築部11、測定指示実行部12、測定結果受信/劣化値算出部13、測定端末選定/劣化値分析部14、記憶部15、及び、出力部16を備えて構成される。なお、ネットワークトポロジ情報記憶装置2は、劣化パス検出装置1内に備えられてもよく、劣化パス検出装置1と接続される外部の装置により実現してもよい。
【0023】
部分木ネットワーク構築部11は、劣化パス検出のための測定対象となる、部分木ネットワークを抽出する。測定指示実行部12は、部分木ネットワーク構築部11が抽出した部分木ネットワーク内の測定端末Tに対して測定指示を送信する。また、測定端末選定/劣化値分析部14から受信した情報に基づき、測定端末Tに対し測定指示を送信する。測定結果受信/劣化値算出部13は、測定端末Tから通信パケットの伝送情報を受信し、受信情報から2台の測定端末T間の測定劣化値(遅延/ロス)の算出を行う。測定端末選定/劣化値分析部14は、測定結果受信/劣化値算出部13による測定結果に応じて、分析に必要な測定端末Tの選定を行うとともに、測定結果から劣化パスの検出や、ルートノード−リーフノード間の劣化値が最大となる測定端末Tの特定を行なう。なお、ルートノードとは、部分木ネットワークにおいて最も高い階層のノードであり、リーフノードとは、部分木ネットワークにおける測定端末層のノード(測定端末T)である。記憶部15は、劣化パス検出処理に用いられるデータを記憶する。出力部16は、検出された劣化パスを画面に表示する。あるいは、出力部16は、検出された劣化パスを印刷したり、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に書き込んだり、あるいは、ネットワークを介して接続される他のコンピュータに送信してもよい。
【0024】
劣化パス検出装置1内の各部による処理概要を説明する。
【0025】
(ステップS1):部分木ネットワーク構築部11は、第一階層に含まれるノードをルートノードとし、このノードに直接接続される測定端末Tをリーフノードとする部分木ネットワークを測定範囲として抽出する。
【0026】
(ステップS2):測定端末選定/劣化値分析部14は、各測定範囲である部分木ネットワークの測定端末Tに対し、網羅率100%となるように測定端末Tのペアを選択し、測定指示実行部12は、各ペア間での測定を実施するよう測定端末Tに指示を送信する。網羅率100%とは、部分木ネットワークに含まれる測定端末T全てが、選択されたペアの中に1回のみ使用されている状態である。ただし、測定端末Tが奇数台のときは、1台のみが2回使用される。
【0027】
(ステップS3):測定端末Tは、ペアとして指示された測定端末Tとの間で測定のための通信を行い、パケットの送受信を行なう。各測定端末Tは、送受信したパケットの情報(送信先、送信元、シーケンス番号など)、および、パケットを送受信した時刻を記録する。測定終了後、測定端末Tは、送受信パケット情報、パケットの送受信時刻、及び、自測定端末Tを特定するノード識別情報を含む測定結果情報を劣化パス検出装置1に送信する。
【0028】
(ステップS4):測定結果受信/劣化値算出部13は、測定端末Tから受信した測定結果情報を受信し、この受信した測定結果情報から、ある単位時間における各測定端末T間の測定劣化値(遅延時間/パケットロス率)を計算する。
【0029】
(ステップS5):測定端末選定/劣化値分析部14は、各パスの測定劣化値に応じて、分析に必要な測定端末Tを選定し、測定指示実行部12は選定した測定端末Tへ測定を指示する。測定結果受信/劣化値検出部13は、測定結果を受信して、測定端末選定/劣化値分析部14は劣化値の算出を行い、各測定範囲(部分木ネットワーク)内における劣化パスを検出し、ルートノード−リーフノード間の劣化値が最大となる測定端末Tを抽出する。
【0030】
(ステップS6):部分木ネットワーク構築部11は、第二階層に含まれるノードをルートノードとし、ステップS5で抽出した測定端末Tをリーフノードとする新たな測定範囲(部分木ネットワーク)を抽出する。
【0031】
(ステップS7):ステップS6において抽出した部分木ネットワークについてステップS2〜S4と同様の処理を行い、第二階層のノードをルートノードとする測定範囲(部分木ネットワーク)内における劣化パスを検出し、ルートノード−リーフノード間の劣化値が最大となる測定端末Tを抽出する。
【0032】
(ステップS8):以降、同様に各階層に含まれるノードをルートノードとし、抽出した測定端末Tをリーフノードとする測定範囲(部分木ネットワーク)を抽出し、各測定範囲(部分木ネットワーク)内の劣化パス検出、および最大劣化値となる測定端末Tの抽出の処理を、最上位階層のノードがルートノードとなるまで繰り返す。劣化パス検出装置1の出力部16は、検出した劣化パスを分析結果として出力する。
【0033】
他の劣化パス内の劣化が解消されると、劣化状態が解消されてしまうパスの検出を抑える効果を得るために、ステップS5の処理を詳細化すると、以下のステップS5’のようになる。
【0034】
(ステップS5’):測定端末選定/劣化値分析部14は、各パスの測定劣化値に応じて、分析に必要な測定端末Tを選定し、測定指示実行部12は選定した測定端末Tへ測定を指示する。測定結果受信/劣化値算出部13は、測定結果を受信して、劣化値の算出を行い、測定端末選定/劣化値分析部14は、算出結果から各測定範囲(部分木ネットワーク)内に劣化パスが存在するかどうかを分析する。
劣化パスが検出された場合、測定端末選定/劣化値分析部14は、劣化パス内の各リンクの劣化値を「0」に補正した後、部分木内の各リンクの劣化値に基づいて、ルートノード−リーフノード間の劣化値が最大となる測定端末Tを抽出する。
【0035】
劣化パス内の各リンクの劣化値をそのまま使用した場合、劣化箇所が含まれているパスは全て劣化パスとして検出されてしまうことになり、対処すべき範囲の絞り込みが困難となる。そこで、劣化パスを検出した場合、劣化パス内の各リンクの劣化値を「0」によって補正する処理を行い、その劣化箇所を含んだパスについては、計算上、その劣化パスが解消された状態での劣化値とすることにより、他の劣化パス内の劣化が解消されると、劣化状態が解消されてしまうパスの検出を抑える効果を得る事が可能となる。
尚、劣化パスが検出されなかった場合、補正処理は行われず、測定結果そのものから得られる各リンクの劣化値に基づいて、ルートノード−リーフノード間の劣化値が最大となる測定端末Tを抽出する事となる。
【0036】
[2. 劣化パス検出装置の処理]
続いて、フローチャートを用いて劣化パス検出装置1の処理フローを説明し、さらにこの処理フローの処理を具体的な例を挙げて説明する。
【0037】
[2.1 データ構成]
まず、劣化パス検出装置1が処理に用いるデータについて説明する。
図3は、劣化パス検出装置1の記憶部15に記憶されるデータのデータ構造を示す図である。同図に示すデータ構造は、通信品質(IP品質)の各劣化値や劣化補正値として、1種類の品質情報(例えば、遅延)のみを扱う場合のものである。
【0038】
ノード情報は、各ノードに対応しており、各ノード情報には、対応するノード(自ノード)に関する情報が格納され、自ノードに関する情報として子ノードに対応したノード情報も格納される。測定対象ネットワークは木構造(又は木構造に分割可能)であるため、1つのノード情報には、1以上の子ノードのノード情報が格納されることになる。また、自ノードに関する情報として、1以上の子ノードペア情報も格納される。
【0039】
同図において、ノード情報は、ノードID、リンク劣化値、子ノードペアリスト、子ノードリスト、部分木構成ノード、リンク合計劣化値、及び、リンク劣化補正値のデータからなる。
ノードIDは、各ノード情報が対応しているノード(自ノード)を一意に識別可能な識別子である。
リンク劣化値は、自ノードと、自ノードの親ノードとの間のリンク劣化値を示す。
子ノードペアリストは、自ノードをルートとする部分木において、測定時にペアとした子ノードを示す子ノードペア情報が格納されるリスト情報である。子ノードペア情報は、ペアとなった2つの子ノードのノードIDと、その2つの子ノードそれぞれに付随する測定端末T間の劣化値を示すパス劣化値とのデータからなる。
子ノードリストは、自ノードに接続されている子ノードのノード情報が格納されるリスト情報である。
部分木構成ノードは、自ノードと測定端末Tとの間のリンク劣化値の和が最大となる経路に属する子ノードを示す。ここでは、子ノードのノードIDが設定される。
リンク合計劣化値は、部分木構成ノードをたどってできる、自ノードから測定端末Tまでの経路上のノードに設定されているリンク劣化値の合計値を示す。
リンク劣化補正値は、劣化と判定されたパスに属する自ノードと親ノード間のリンク劣化値を示す。
【0040】
本実施形態では、1種類の品質情報だけを対象としたデータ構造を例に説明を記載するが、複数種類(遅延とロス)の品質情報を扱うようにしてもよい。複数種類(遅延とロス)の品質情報を扱う場合、それぞれの情報を格納する領域を用意するか、種類毎に図3に示すデータを利用しても良い。なお、本データ構造は一例であり、他のデータ構造を用いて処理を実施してもよい。
【0041】
図面においてノード情報の設定例を示す際、1行目はノードID、2行目はリンク劣化値、3行目は子ノードペアリスト、4行目は子ノードリスト、5行目は部分木構成ノード、6行目はリンク合計劣化値、7行目はリンク劣化補正値の設定値を示す。また、図面において子ノードペア情報の設定例を示す際、1行目及び2行目はノードID、3行目はパス劣化値を示す。また、ノード情報内において、子ノードリストペアリストは、子ノードペア情報が設定されているペアの子ノードの識別情報を記載して示し、子ノードリストは、ノード情報が設定されている子ノードの識別情報を記載して示す。
【0042】
また、ノードの部分木構成ノードを辿っていくことによって得られる測定端末Tを「ノードに付随する測定端末T」と記載する。あるノードに付随する測定端末Tを特定する場合、まず、そのノードのノード情報を読み出し、読み出したノード情報から部分木構成ノードを読み出す。そして、部分木構成ノードにノードIDが設定されていれば、その設定されているノードIDにより特定されるノード情報を読み出す処理を、部分木構成ノードが設定されていないノード情報に至るまで繰り返す。部分木構成ノードが設定されていないノード情報に設定されているノードIDで特定されるノード、つまり、部分木構成ノードがないノード情報に対応するノードが付随する測定端末Tである。また、このとき読み出されたノード情報は、あるノードから付随する測定端末Tに至るパスに存在するノードのノード情報である。
以下に示す処理の説明においては、ノードに付随する測定端末Tを特定する手順、及び、ノードから付随する測定端末Tに至るパスに存在するノードのノード情報を取得する手順は上記により行なうものとし、省略して記載する。
【0043】
[2.2 処理手順]
[2.2.1 劣化パス検出全体処理]
図4は、劣化パス検出装置1における劣化パス検出全体の処理フローを示す図である。
劣化パス検出装置1は、所定の時間毎周期的に、指定された時間になった場合に、あるいは、外部から分析指示が入力された場合に、劣化パス検出処理を起動する。まず、劣化パス検出装置1は、ネットワークトポロジ情報記憶装置2に記憶されているネットワークトポロジ情報を参照し、第一階層〜第N階層を順に処理対象の層として選択すると、ステップS20以降の処理を順に行なう(ステップS10)。さらに、ステップS10において選択された処理対象の層の全てのノードが選択されるまで、ステップS30〜S80までの処理を行なう(ステップS20)。
なお、劣化パス検出装置1の部分木ネットワーク構築部11は、ネットワークトポロジ情報を参照し、測定端末Tに接続されているルータRを第一階層のノードとして選択し、第一階層のルータRに接続されている未選択のルータRを第二階層のノードとして選択することを、全てのルータRが選択されるまで繰り返すことによって、第N階層までのルータRをノードとして選択することができる。なお、各ルータRが属している階層の情報を予めネットワークトポロジ情報に設定してもよい。
【0044】
劣化パス検出装置1は、処理対象の層でまだ選択していないノードを1つ選択し(ステップS30)、図5に示す部分木データ構築処理によって、木構造のネットワークである測定対象ネットワークを、ステップS30において選択したノードをルートノードとした部分木に分割し(ステップS40)、図6に示す部分木内測定処理によって、ステップS40において分割した部分木内で測定を行う(ステップS50)。劣化パス検出装置1は、ステップS50の測定結果に基づき、図9に示す劣化区間候補抽出処理によって、ルートノード−リーフノード間の劣化値が最大となる可能性が高い区間を抽出する(ステップS60)。抽出した区間と他の区間を結ぶパスが劣化パスとなるかを判定するため、図10及び図11に示す折り返し劣化分析処理によって、部分木内における劣化パスの有無の分析を行なう(ステップS70)。そして、図12に示す最大劣化区間抽出処理により、抽出済みの区間が部分木内におけるルートノードとリーフノード間における最大の劣化値の区間であるかを分析し、真にノードとリーフノード間の劣化値が最大となる区間を抽出する(ステップS80)。
劣化パス検出装置1の出力部16は、上記処理の終了後、検出された劣化パスを出力する(ステップS90)。
以下に、ステップS40〜ステップS80までの各処理の詳細を説明する。ステップS40〜ステップS80の各処理の入力パラメータはステップS30において選択されたノードである。なお、ステップS30において選択されたノード(ルータR)を「選択ノード」と記載する。
【0045】
[2.2.2 部分木データ構築処理]
[2.2.2.1 処理フロー]
図5は、劣化パス検出装置1の部分木ネットワーク構築部11による部分木データ構築処理の処理フローを示す図であり、図4のステップS40の詳細な処理を示している。なお、部分木の構築方法、部分木データの構造については、一例であり、これに限定するものではない。
【0046】
まず、劣化パス検出装置1の部分木ネットワーク構築部11は、選択ノードのノード情報を記憶部15に新規に生成して書き込み、この生成したノード情報のノードIDに、選択ノードのノードIDを書き込む(ステップS101)。続いて、部分木ネットワーク構築部11は、ネットワークトポロジ情報記憶装置2に記憶されているネットワークトポロジ情報を参照し、選択ノードの全ての子ノードのノードIDを抽出する(ステップS102)。
【0047】
部分木ネットワーク構築部11は、抽出した子ノードのノードIDが設定されているノード情報がまだ記憶部15に登録されていないと判断した場合(ステップS103:NO)、記憶部15にステップS102において抽出した子ノードのノード情報を新規に生成して書き込み、この生成した各ノード情報に、対応する子ノードのノードIDを書き込む(ステップS104)。さらに、部分木ネットワーク構築部11は、ステップS101において生成した選択ノードのノード情報内の子ノードリストに、ステップS104において生成した子ノードのノード情報を書き込む(ステップS105)。
【0048】
一方、ステップS102において抽出した子ノードのノードIDが設定されているノード情報がすでに記憶部15に登録されていると判断した場合(ステップS103:YES)、部分木ネットワーク構築部11は、記憶部15から子ノードのノードIDが設定されているノード情報を抽出し、ステップS101において生成した選択ノードのノード情報内の子ノードリストに、抽出した子ノードのノード情報を書き込む(ステップS105)。
【0049】
[2.2.2.2 具体例による処理の説明]
例えば、第二階層に1台のノードがあり、その子ノードとして第一階層にノードN[1]とノードN[2]があり、ノードN[1]には測定端末層のノードN[3]からノードN[5]の3台の測定端末Tが、ノードN[2]には測定端末層のノードN[6]からノードN[8]の3台の測定端末Tが接続されているネットワークを想定する。
図4に示す全体のアルゴリズムは、第一階層に含まれるノードから順に処理を行うため、この場合、ステップS30において最初に選択されるノードは、ノードN[1]もしくはノードN[2]のどちらかとなる。どちらの場合も部分木データ構築処理は同じであるため、ノードN[1]が選択された場合についについて説明する。
【0050】
(1)ノードN[1]が選択されたため、ノードN[1]に対応して、ノードID「1」が設定されたノード情報を生成し、記憶部15に登録する(ステップS101)。
【0051】
(2)ノードN[1]に接続される子ノードは、ノードN[3]〜ノードN[5]としての測定端末Tであり、これらの子ノードに対するノード情報は未生成であるため、ノードN[3]〜ノードN[5]のノード情報を生成し、記憶部15に登録する(ステップS102〜S104)。
これにより、ノードID「3」が設定されたノード情報、ノードID「4」が設定されたノード情報、及び、ノードID「5」が設定されたノード情報が生成される。
【0052】
(3)選択ノードであるノードN[1]と、子ノードであるノードN[3]〜ノードN[5]とを関連づけるため、選択ノードのノード情報に、(2)で生成した全ての子ノードのノード情報を子ノードリストとして書き込む(ステップS105)。
【0053】
他の第一階層に含まれるノードが選択ノードとなった場合も、上記と同様な処理を行う。ただし、第二階層以上のノードが選択ノードとなった場合、選択ノードのノード情報を生成するまでは同様であるが(ステップS101)、その子ノードのノード情報は既に生成済みである(ステップS102、S103:NO)。そのため、選択ノードのノード情報に子ノードリストとして、その生成済みの子ノードのノード情報のリストを追加する処理(ステップS105)を行う。
【0054】
[2.2.3 部分木内測定処理]
[2.2.3.1 処理フロー]
図6は、劣化パス検出装置1における部分木内測定処理の処理フローを示す図であり、図4のステップS50の詳細な処理を示している。本処理フローでは、部分木内における測定端末Tの選択方法と、選択した測定端末T間の測定によって得られる測定劣化値に基づく処理が含まれる。
【0055】
部分木内における最初の測定端末Tの選択方法は、以下の理由により、網羅率100%となるように選択している。
(a)網内の全てのエレメントを最低1回は通過するように測定しないと、劣化パスの検出漏れに繋がる可能性がある。
(b)最初の測定において、網羅率100%を超えるパスの測定をすると、劣化パス検出に不必要なパスとなる可能性があり、網に対して不必要に負荷を与えることになる。
つまり、まず網羅率100%での測定を行い、その測定結果を踏まえた測定を行うことで、必要最小限の測定となるようにしている。
【0056】
劣化パス検出装置1の測定端末選定/劣化分析部14は、選択ノードのノード情報に設定されている子ノードリストにより示される子ノードの中で、未選択の子ノードを選択し、全ての子ノードについて選択を終了するまで以下のステップS202〜S216の処理が行われる(ステップS201)。
【0057】
まず、測定端末選定/劣化分析部14は、選択ノードが第一階層に含まれるか判断する(ステップS202)。第一階層に含まれる場合(ステップS202:YES)、測定指示実行部12は、未選択の子ノードが2つ以上であれば(ステップS206:2つ以上)、未選択の子ノードの中からランダムに2つの子ノードを選択し(ステップS208)、未選択の子ノード数が1つであれば(ステップS206:1つ)、未選択の子ノードと、選択済みの子ノードからランダムに1つを選択する(ステップS207)。
【0058】
一方、選択ノードが第一階層に含まれない場合(ステップS202:NO)、測定端末選定/劣化分析部14は、未選択の子ノードが2つ以上であれば(ステップS203:2つ以上)、未選択の子ノードの中から、リンク合計劣化値最も大きい2つの子ノードを選択し(ステップS205)、未選択の子ノード数が1つであれば(ステップS203:1つ)、未選択の子ノードと、リンク合計劣化値が最小の選択済みの子ノードを選択する(ステップS204)。リンク合計劣化値は、選択ノードのノード情報に子ノードリストとして設定されている子ノードのノード情報から読み出す。
【0059】
ステップS208、または、ステップS205に続いて、測定端末選定/劣化分析部14は、子ノードペア情報を生成して記憶部15に書き込むと、生成した子ノードペア情報に、選択した2つの子ノードのノードIDを書き込む(ステップS209)。測定端末選定/劣化分析部14は、選択ノードのノード情報に、子ノードペアリストとしてステップS209において生成した子ノードペア情報を追加する(ステップS210)。測定端末選定/劣化分析部14が、選択した子ノードペアの2つの子ノードそれぞれに付随する測定端末Tを特定し、そのアドレス情報を読み出すと(ステップS211)、測定指示実行部12は、読み出したアドレスを用いて特定した測定端末Tに対して測定指示を出力する(ステップS212)。測定指示には、ペアとなる相手先の測定端末Tのアドレス情報が含まれる。
【0060】
劣化パス検出装置1からの測定指示を受信した測定端末Tは、相手先となるペアの測定端末Tに対して品質測定用のパケットを送信し、その結果得られた通信パケットの伝送情報を劣化パス検出装置1に返送する。劣化パス検出装置1の測定結果受信/劣化値算出部13は、測定指示を出力した測定端末Tから通信パケットの伝送情報を測定結果として受信すると(ステップS213)、測定結果により示される通信パケットのタイムスタンプ及びシーケンス番号に基づいて測定劣化値を得る。ここでは、遅延を得るものとする。測定端末選定/劣化値分析部14は、算出した測定劣化値を補正した後、ステップS210において追加した子ノードペア情報のパス劣化値に補正後の劣化値を書き込む(ステップS214)。測定劣化値の補正とは、測定パス内に含まれるノードのノード情報に設定されているリンク劣化補正値の合計を減算する処理である。
【0061】
測定端末選定/劣化値分析部14は、パス劣化値が「0」であった場合(ステップS215:YES)、選択した子ノードペアのノードIDが設定されているノード情報内のリンク劣化値に「0」を書き込む(ステップS216)。
【0062】
上記のステップS216までの処理を、選択ノードの全ての子ノードについて終了すると、測定端末選定/劣化値分析部14は、ステップS214においてパス劣化値を書き込んだ子ノードペア情報を参照し、上記において測定を行なった子ノードペアのうち、パス劣化値が劣化パスと検出するための所定の閾値を超えている子ノードペアを抽出する(ステップS217)。測定端末選定/劣化値分析部14は、ステップS217において抽出された子ノードペアがなかった場合(ステップS218:NO)、処理を終了し、呼び出し元に戻る。ステップS217において抽出された子ノードペアがあった場合(ステップS218:YES)、抽出した子ノードペアに付随する測定端末T間のパスを劣化パスとして検出し(ステップS219)、抽出した子ノードペアを入力として図7に示す測定劣化パス処理を実行する(ステップS220)。
【0063】
[2.2.3.2 具体例による処理の説明]
上述した処理フローに従い、網羅率100%の測定による部分木データに対する部分木内測定処理の内容を説明する。
【0064】
(1)測定端末選定/劣化分析部14は、選択ノードの子ノードから2つずつのペアを作成し、ペア毎の子ノードペア情報を生成する(ステップS201〜S209)。
ここでは、網羅率100%の測定を実施したいので、子ノードのペアは重複を最小限となるようにペアリングする。そして、ペアとした子ノードそれぞれに対し、子ノードペア情報を生成する。例えば、選択ノードがノードN[1]であり、その子ノードのうちノードN[2]とノードN[3]を子ノードペアとしたときの子ノードペア情報には、ノードID「2」、「3」が設定される。
【0065】
(2)続いて、測定端末選定/劣化分析部14は、(1)において生成した子ノードペア情報を選択ノードに関連付ける(ステップS210)。
例えば、選択ノードがノードN[1]、ノードN[1]の子ノードがノードN[2]、ノードN[3]、ノードN[10]、ノードN[11]であるとする。この場合、選択ノードのノード情報には、ノードID「1」、子ノードリスト「2、3、10、11」が設定されている。そして、ノードN[2]及びノードN[3]のペアと、ノードN[10]及びノードN[11]のペアが生成された場合、選択ノードのノード情報には、子ノードペアリストとして、ノードID「2」、「3」が設定された子ノードペア情報、ノードID「10」、「11」が設定された子ノードペア情報が設定される。
【0066】
(3)測定指示実行部12は、生成した子ノードのペアそれぞれに付随する測定端末T間で測定を実施し、測定結果受信/劣化値算出部13は、測定端末Tから受信した測定結果に基づいて測定劣化値を算出する。測定端末選定/劣化値分析部14は、測定劣化値から測定パス内に含まれるノードのノード情報に設定されているリンク劣化補正値を減算し、減算結果を子ノードペア情報のパス劣化値に設定する(ステップS211〜S215)。
例えば、図14のように、選択ノードがノードN[1]、ノードN[1]の子ノードペアがノードN[2]及びノードN[3]、ノードN[2]に付随する測定端末Tが、子ノードであるノードN[4]に接続されたノードN[6]、ノードN[3]に付随する測定端末Tが、子ノードであるノードN[5]に接続されたノードN[7]であるとする。同図に示す関係にある測定端末T間、つまり、ノードN[6]−ノードN[7]間において品質測定を実施し、測定劣化値が「40」だったとする。
このとき、この測定パス内の各ノードに対するノード情報全てにリンク劣化補正値が設定されていなければ、ノードID「2」、「3」が設定されている子ノードペア情報のパス劣化値には、測定劣化値「40」がそのまま設定される。
【0067】
一方、この測定パス内のノードに対するノード情報にリンク劣化補正値が設定されている場合、そのリンク劣化補正値の合計値を測定劣化値から減算し、減算結果を子ノードペア情報のパス劣化値に設定する。
例えば、ノードN[4]に対応したノード情報にリンク劣化補正値「10」、ノードN[7]に対応したノード情報にリンク劣化補正値「20」が設定されていたとすると、その合計値である「30」を測定劣化値「40」から減算し、減算結果「10」をノードID「2」、「3」が設定されている子ノードペア情報のパス劣化値に書き込む。
【0068】
(4)測定端末選定/劣化値分析部14は、子ノードペア情報のパス劣化値に設定された値が「0」の場合、子ノードペア情報に設定されている2つのノードIDに対するノード情報内のリンク劣化値に「0」を書き込む(ステップS215〜S216)。
例えば、ノードID「2」、「3」の子ノードペア情報のパス劣化値に「0」が設定されたとする。ノードID「2」が設定されているノードN[2]のノード情報、及び、ノードID「3」が設定されているノードN[3]のノード情報のリンク劣化値にも「0」を設定する。
【0069】
(5)子ノードペア全てに対して測定を実施し、パス劣化値の設定が完了したら、測定端末選定/劣化値分析部14は、劣化閾値を超えるパス劣化値が設定された子ノードペア情報を抽出する。抽出できた場合、その抽出された子ノードペア情報により特定される各ノードに付随する測定端末T間のパスを劣化パスとして検出するとともに、抽出された子ノードペア情報を測定劣化パス処理に渡す(ステップS217〜S220)。
【0070】
[2.2.4 測定劣化パス処理]
[2.2.4.1 処理フロー]
図7は、劣化パス検出装置1における測定劣化パス処理の処理フローを示す図である。
測定劣化パス処理には、部分木内における測定端末Tの選択方法と、選択した測定端末T間の測定によって得られる測定劣化値に基づく処理が含まれる。
【0071】
同図に示す測定劣化パス処理は、網羅率100%での測定によって得られた測定劣化値と測定パス内のノードに対応したノード情報内のリンク劣化補正値とから得られるパス劣化値が劣化閾値を超えた劣化パスが検出された際の処理である。
他の処理においても共通して言えることであるが、パス劣化値、および、劣化パス内の各リンクの劣化値を「0」と置くことにより、他のパスが検出済みの劣化パスの一部と重複することによって劣化パスとして検出されてしまう(他の劣化パス内の劣化が解消されると、劣化状態が解消されてしまうパスとなる)状態を抑制している。
また、ルートノードとリーフノード間の劣化値が2番目に高い区間が、他の部分木における最大劣化区間と接続されることによって、劣化パスとなる可能性があることから、部分木を再構築することによって、そのようなパスの検出を可能としている。
【0072】
同図において、劣化パス検出装置1の測定端末選定/劣化値分析部14は、図6のステップS219において劣化パスとして検出された子ノードペアの子ノードペア情報全てが選択されるまで、以下のステップS302〜S311までの処理を行なう(ステップS301)。
【0073】
まず、測定端末選定/劣化値分析部14は、図6のステップS219において劣化パスとして検出された子ノードペアの子ノードペア情報のうち、ステップS301において選択した子ノードペア情報以外の未選択の子ノードペア情報の数が1つであるか、2つ以上であるかを判断する(ステップS302)。2つ以上であると判断した場合(ステップS302:2つ以上)、測定端末選定/劣化値分析部14は、未選択の子ノードペア情報からランダムに2つの子ノードペア情報を選択し(ステップS303)、1つであると判断した場合(ステップS302:1つ)、選択ノードのノード情報に設定されている子ノードペアリストに設定されている子ノードペア情報の中から1つをランダムに選択するとともに、未選択の子ノードペア情報を選択する(ステップS304)。
【0074】
測定端末選定/劣化値分析部14は、ステップS303またはS304において選択した子ノードペア情報(本処理フローの説明では、「選択子ノードペア情報」と記載)により示される子ノードについて、図8に示すリンク劣化値算出処理を実行し、各子ノードと選択ノードとの間のリンク劣化値を算出する(ステップS305)。続いて、測定端末選定/劣化値分析部14は、選択ノードが第一階層のノードであるか否かを判断する(ステップS306)。
【0075】
選択ノードが第一階層のノードである場合(ステップS306:YES)、選択子ノードペア情報のパス劣化値に「0」を書き込む(ステップS307)。さらに、測定端末選定/劣化値分析部14は、この選択子ノードペア情報により示される子ノードのノード情報に対し、現在設定されているリンク劣化値をリンク劣化補正値に設定した後、リンク劣化値に「0」を設定する(ステップS308)。
【0076】
一方、選択ノードが第一階層のノードではない場合(ステップS306:NO)、測定端末選定/劣化値分析部14は、ステップS303またはS304において未選択の中から選択された選択子ノードペア情報から子ノードのノードIDを抽出し(ステップS309)、この抽出したノードIDの子ノードに対して図13に示す部分木再構築処理を行なう(ステップS310)。部分木再構築処理では、劣化パス内のルートノードとリーフノード間の劣化値に次いで2番目に高い区間が部分木の構成要素となるように、部分木を再構築する。測定端末選定/劣化値分析部14は、部分木再構築処理が終了すると、再構築処理後の各子ノードに付随する測定端末T間とのパスの中に含まれるノードのノード情報からリンク劣化値を読み出してその和を算出し、算出結果のリンク劣化値を子ノードペア情報のパス劣化値に設定する(ステップS311)。
【0077】
[2.2.4.2 具体例による処理の説明]
上述した処理フローに従い、網羅率100%の測定によって、劣化パスが検出された際の部分木データに対する処理を記載する。
例えば、図14に示す部分木において、選択ノードであるノードN[1]の子ノードペアであるノードN[2]、ノードN[3]それぞれに付随する測定端末T、すなわち、ノードN[6]−ノードN[7]間で品質測定を実施した結果、パス劣化値が「70」であり、劣化閾値を超えた場合を考える。この場合、ノードID「2」、「3」が設定された子ノードペア情報のパス劣化値には「70」が設定される。
【0078】
(1)劣化パスとなった子ノードペア情報を2つずつのペアとして、選択ノードと各子ノード間のリンクの劣化値を算出する(ステップS301〜S305)。
子ノードペア情報のペアリング方法は、抽出された子ノードペア情報が偶数個の場合と奇数個の場合で異なる。抽出された子ノードペア情報が偶数個の場合は、抽出された子ノードペア情報のみからペアリングを行う。奇数個の場合は、抽出された子ノードペア情報のみからペアリングを行なっていき、最後の1つの子ノードペア情報は、他の子ノードペア情報から1つを選択してペアリングする。また、後述するリンク劣化値算出処理によって、抽出した子ノードペア情報により示される子ノードと選択ノード間のリンク劣化値を算出する。
【0079】
(2)選択ノードが第一階層に含まれる場合は、その測定に利用した子ノードペア情報のパス劣化値を「0」に変更し、算出した選択ノードと各子ノード間のリンク劣化値を、各子ノードのノード情報のリンク劣化補正値に設定し、リンク劣化値には「0」を設定する(ステップS306〜S308)。
例えば、選択ノードが第一階層のノードN[10]であり、ノードN[10]にはノードN[11]、ノードN[12]としての2台の測定端末Tが接続され、ノードN[11]−ノードN[12]間の劣化値が「70」であったとする。部分木ネットワーク構築部11は、ノードID「11」、「12」の子ノードペア情報に現在設定されているパス劣化値「70」を「0」に書き換える。
また、ステップS305のリンク劣化値算出処理において、ノードN[10]−ノードN[11]間の劣化値は「40」、ノードN[10]−ノードN[12]間の劣化値は「30」であったとする。測定端末選定/劣化分析部14は、ノードID「11」のノード情報内にリンク劣化値「0」、及び、リンク劣化補正値「40」を書き込み、ノードID「12」のノード情報内には、リンク劣化値「0」、及び、リンク劣化補正値「30」を書き込む。
【0080】
(3)選択ノードが第一階層以外の場合、ステップS310における部分木データ再構築処理(詳細は後述)により、各子ノードに付随する測定端末Tが、劣化パス検出時に測定端末Tと異なるものに変わっている可能性がある(ステップS309〜S311)。
次に実施する劣化区間候補抽出処理を実施するためには、選択ノードの子ノードペア情報全てに対して、部分木構成と整合が取れたパス劣化値が付与されている必要がある。そのため、部分木データ再構築処理後の子ノードペア情報に設定されている2つのノードに付随する測定端末T間のパス内に属する各ノードのノード情報に設定されているリンク劣化値の和を算出し、算出結果をパス劣化値に設定する。
【0081】
図15(a)は、図14の部分木における各リンクのリンク劣化値を示し、図15(b)は、部分木内のノードのノード情報を示す図である。選択ノードN[1]の子ノードペアであるノードN[2]、ノードN[3]それぞれに付随する測定端末T、すなわち、ノードN[6]−ノードN[7]間で測定を行った結果、劣化パスとして検出され、ステップS306のリンク劣化値算出処理によって、選択ノードと各子ノード間のリンク劣化値が算出された状態を示したものである。選択ノードと各子ノード間のリンク劣化値は、ノードN[1]−ノードN[2]間が「10」、ノードN[1]−ノードN[3]間が「0」である。
このとき、部分木データ再構築(ステップS310)処理を実施した結果、図16(a)に示すようにノードN[2]に付随する測定端末TがノードN[10]に、ノードN[3]に付随する測定端末TがノードN[11]に変更され、また、劣化パス内の各ノードのノード情報がそれぞれ変更されたとする。
【0082】
図16(b)に示すように、ノードN[2]のノード情報においては、リンク劣化値が「10」から「0」に、リンク合計劣化値が「30」から「10」に、リンク劣化補正値が「NULL」から「10」に更新され、ノードN[3]のノード情報においては、リンク劣化値が「0」から「0」に、部分木構成ノードが「5」から「9」に、リンク合計劣化値が「30」から「20」に、リンク劣化補正値が「NULL」から「0」に更新されている。
また、ノードN[4]のノード情報においては、リンク劣化値が「0」から「0」に、部分木構成ノードが「6」から「10」に、リンク合計劣化値が「30」から「10」に、リンク劣化補正値が「NULL」から「0」に更新され、ノードN[5]のノード情報においては、リンク劣化値が「20」から「0」に、部分木構成ノードが「7」から「8」に、リンク合計劣化値が「10」から「10」に、リンク劣化補正値が「NULL」から「20」に更新されている。
また、ノードN[6]のノード情報においては、リンク劣化値が「30」から「0」に、リンク劣化補正値が「NULL」から「30」に更新され、ノードN[7]のノード情報においては、リンク劣化値が「10」から「0」に、リンク劣化補正値が「NULL」から「10」に更新されている。
【0083】
これはつまり、部分木データ再構築処理によってノードN[2]ノードN[3]にそれぞれ付随する測定端末T間のパスが変更になったことを意味する。
よって、部分木ネットワーク構築部11は、ノードN[2]−ノードN[3]のペアを示す子ノードペア情報のパス劣化値として、各ノード(ノードN[2]、ノードN[3]、ノードN[4]、ノードN[9]、ノードN[10]、ノードN[11])のリンク劣化値(0,0,0,10,10,10)の和である「30」を設定する。すなわち、ノードID「2」、「3」の子ノードペア情報にパス劣化値「30」が設定される。
これまでの処理により、ノードN[2]−ノードN[3]のペアを示す子ノードペア情報のパス劣化値は、ステップS214において「70」が設定され、ステップS311において「30」に変更される。
【0084】
[2.2.5 リンク劣化値算出処理]
[2.2.5.1 処理フロー]
図8は、劣化パス検出装置1におけるリンク劣化値算出処理の処理フローを示す図である。
リンク劣化値算出処理では、部分木のルートノードである選択ノードと、選択ノードの4つの子ノード間それぞれのリンクの劣化値を算出する。
【0085】
同図において、測定端末選定/劣化値分析部14は、選択されている2つの子ノードペア情報それぞれに設定されているノードIDを読み出し、読み出したノードIDにより特定されるノード情報の全てにリンク劣化値が設定されているか否かを判断する(ステップS401)。全てのノード情報にリンク劣化値が設定されていると判断した場合(ステップS401:YES)、そのまま処理を終了する。特定されたノード情報の中にリンク劣化値が設定されていないものがあると判断した場合(ステップS401:NO)、測定端末選定/劣化値分析部14は、2つの子ノードペア情報の両方に同一のノードIDが設定されているか否かを判断する(ステップS402)。
【0086】
2つの子ノードペア情報の両方に同一のノードIDが設定されていると判断した場合(ステップS402:YES)、測定端末選定/劣化値分析部14は、一方の子ノードペア情報のみに設定されているノードIDを抽出する(ステップS403)。このとき、2つのノードIDが抽出される。測定端末選定/劣化値分析部14は、抽出した2つのノードIDにより特定されるノードに付随する測定端末Tを特定し、測定指示実行部12は、ネットワークトポロジ情報から特定した測定端末Tのアドレス情報を読み出すと、特定した測定端末Tに対して、相手先の測定端末Tのアドレス情報を設定した測定指示を出力する。劣化パス検出装置1からの測定指示を受信した測定端末Tは、相手先となるペアの測定端末Tに対して品質測定用のパケットを送信し、その結果得られた通信パケットの伝送情報を劣化パス検出装置1に返送する。劣化パス検出装置1の測定結果受信/劣化値算出部13は、測定指示を出力した測定端末Tから通信パケットの伝送情報を測定結果として受信し、測定劣化値を得る(ステップS404)。
【0087】
一方、2つの子ノードペア情報の両方に同一のノードIDが設定されていないと判断した場合(ステップS402:NO)、測定端末選定/劣化値分析部14は、2つの子ノードペア情報の一方に設定されているノードIDの中からランダムにノードIDを抽出すると(ステップS405)、この抽出したノードIDにより特定されるノードに付随する測定端末Tを特定する(ステップS406)。この特定した測定端末Tを端末Aとする。さらに、測定端末選定/劣化値分析部14は、他方の子ノードペア情報に設定されている2つのノードIDを抽出すると、この抽出した2つのノードIDにより特定されるノードそれぞれに付随する測定端末Tを特定する(ステップS407)。この特定した測定端末Tをそれぞれ端末B,端末Cとする。
測定指示実行部12は、ネットワークトポロジ情報から特定した端末A,B,Cのアドレス情報を読み出すと、端末A及び端末Bに対して、端末A−端末B間の測定指示を出力するとともに、端末A及び端末Cに対して、端末A−端末C間の測定指示を出力する。劣化パス検出装置1からの測定指示を受信した端末A,B,Cは、相手先となるペアの測定端末Tに対して品質測定用のパケットを送信し、その結果得られた通信パケットの伝送情報を劣化パス検出装置1に返送する。劣化パス検出装置1の測定結果受信/劣化値算出部13は、受信した通信パケットの伝送情報から、端末A−端末B間、端末A−端末C間の測定劣化値を得ると、この算出した測定劣化値を補正した後の端末間劣化値を得る(ステップS408)。
【0088】
測定端末選定/劣化値分析部14は、ステップS404において得られた測定劣化値、または、ステップS408において得られた補正処理後の端末間劣化値から、選択ノードと各測定端末Tの劣化値を算出する(ステップS409)。さらに、測定端末選定/劣化値分析部14は、子ノードペア情報内のノードIDにより特定される各子ノードと、親ノードである選択ノードとの間の劣化値を算出し、子ノードのノードIDにより特定されるノード情報内に算出したリンク劣化値を書き込む(ステップS410)。
【0089】
[2.2.5.2 具体例による処理の説明]
図8に示すリンク劣化値算出処理によって、選択ノードと選択ノードの子ノード間の劣化値を算出するための測定、および算出方法について説明する。
【0090】
(1)リンク劣化値算出処理に対する入力は、2つの子ノードペア情報である。これらに属するノードのノード情報全てにリンク劣化値が設定されていれば、新たに算出する必要がないので、本処理はスキップする(ステップS401)。
【0091】
(2)リンク劣化値を算出する場合、選択された子ノードペア情報に属するノードの状態によって、以下の2つが考えられる。
(状態1)図17(a)に示すように、選択ノードN[1]の一方の子ノードペアがノードN[2]−ノードN[3]であり、もう一方の子ノードペアがノードN[3]−ノードN[4]であるとする。ノードN[2]、[3]、[4]はそれぞれ、ノードN[10]、[11]、[12]の測定端末Tに接続されている。
(状態2)図18(a)に示すように、選択ノードN[1]の一方の子ノードペアがノードN[2]−ノードN[3]であり、もう一方の子ノードペアがノードN[4]−ノードN[5]であるとする。この場合、2つの子ノードペア情報に重複するノードが存在しない。
【0092】
(2−1):図17(a)に示す状態1の場合、2つの子ノードペア情報に重複するノードはノードN[3]であるため、図17(b)に示すように、一方の子ノードペアにのみ属しているノードN[2]及びノードN[4]を抽出し、抽出したノードに付随する測定端末T、すなわち、ノードN[10]−ノードN[12]間で測定を実施し、測定劣化値を算出する(ステップS402〜S404)。
【0093】
(2−2):図18(a)に示す状態2の場合、一方の子ノードペア(ノードN[2]−ノードN[3])からランダムにノードを抽出(例えばノードN[2])し、そのノードに付随する測定端末Tを端末A(ノードN[10])として抽出する(ステップS405〜S406)。
次に、他の子ノードペア(ノードN[4]、ノードN[5])それぞれに付随する測定端末Tを端末B(ノードN[12])、端末C(ノードN[13])として抽出する。そして、図18(b)に示すように、端末A−端末B、端末A−端末C間で測定を実施し、測定劣化値を算出する(ステップS407、S408)。
【0094】
(3)測定端末選定/劣化値分析部14は、ここでの測定によって得られた測定劣化値、ここでの測定パス内の各ノードのリンク劣化値/リンク劣化補正値、2つの子ノードペア情報に設定されているパス劣化値から、選択ノードと子ノードペア情報内の各ノードとの間の劣化値を算出し、算出結果を各子ノードのノード情報内のリンク劣化値に設定する(ステップS409、S410)。
選択ノードと子ノードペア情報内の各ノードとの間の劣化値算出手順の詳細を以下に示す。なお、算出方法は2つの子ノードペア情報に重複するノードの存在有無によって大きな違いはなく、方程式数が異なるだけなので、重複ノードがない場合にのみ記載する。
【0095】
(手順1)測定パス内に属するリンク劣化補正値を測定劣化値から減算する。
ノードN[10](端末A)−ノードN[12](端末B)間の測定劣化値が「60」であり、ノードN[10]のノード情報には、リンク劣化値「0」、リンク劣化補正値「30」が設定され、ノードN[12]のノード情報には、リンク劣化値「20」、リンク劣化補正値「0」が設定されている状態であったとする。
【0096】
このとき、ノードN[10]−ノードN[12]間の劣化値は「10」(=60(測定劣化値)−30(ノードN[10]のリンク劣化補正値)−20(ノードN[12]のリンク劣化値)となる。これは、ノードN[2]−ノードN[4]間の劣化値を意味している。
また、ノードN[10](端末A)−ノードN[13](端末C)間のパスについても同様の処理を行い、ノードN[2]−ノードN[5]間の劣化値を算出する。ここでは、算出結果が「20」であったとする。
【0097】
図18(c)に示すように、ノードN[1]−ノードN[2]間の劣化値を「L1」、ノードN[1]−ノードN[3]間の劣化値を「L2」、ノードN[1]−ノードN[4]間の劣化値を「L3」、ノードN[1]−ノードN[5]間の劣化値を「L4」とすると、上記の計算により、以下が成り立つことを意味する。
【0098】
L1+L3=10 …ノードN[2]−ノードN[4]間の劣化値(式1)
L1+L4=20 …ノードN[2]−ノードN[5]間の劣化値(式2)
【0099】
(手順2)2つの子ノードペア情報内のパス劣化値から、ノードペアそれぞれに付随する測定端末T間のパス内に属するノードのリンク劣化値を減算する。
ノードN[2]とノードN[3]の子ノードペア情報にリンク劣化値「30」が設定されており、ノードN[10]のノード情報にリンク劣化値「0」、リンク劣化補正値「30」が設定され、ノードN[11]のノード情報にリンク劣化値「10」、リンク劣化補正値「NULL」が設定されていたとする。
このとき、30(ノードN[2]とノードN[3]の子ノードペア情報に設定されているパス劣化値)−0(ノードN[10]のパス劣化値)−10(ノードN[11]のパス劣化値)=「20」は、ノードN[2]−ノードN[3]間の劣化値を意味する。
同様にしてノードN[4]−ノードN[5]間の劣化値を算出し、算出結果が「10」であったとする。このとき、以下が成立する。
【0100】
L1+L2=20 …ノードN[2]−ノードN[3]間の劣化値(式3)
L3+L4=10 …ノードN[4]−ノードN[5]間の劣化値(式4)
【0101】
得られた4つの(式1)〜(式4)からなる方程式を解くことで、以下を得る。
【0102】
L1=10、L2=10、L3=0、L4=10
【0103】
得られた結果を各ノードのリンク劣化値に設定する。つまり、ノードN[2]のノード情報にリンク劣化値「10(L1)」を、ノードN[3]のノード情報にリンク劣化値「10(L2)」を、ノードN[4]のノード情報にリンク劣化値に「0(L3)」を、ノードN[5]のリンク劣化値に「10(L4)」を書き込む。
【0104】
[2.2.6 劣化区間候補抽出処理]
[2.2.6.1 処理フロー]
図9は、劣化パス検出装置1における劣化区間候補抽出処理の処理フローを示す図である。
劣化区間候補抽出処理では、網羅率100%による測定パスの中から、パス劣化値が最大となる2つのパスを抽出し、その中から選択ノードと測定端末T間の劣化値が最大となる区間を抽出する処理である。ただし、網羅率100%の測定によって劣化パスとして検出済みのパスのパス劣化値は、検出時に「0」に補正処理されていることから、劣化と判定されていない範囲でパス劣化値が最も大きい2つのパスが対象となる。
パス劣化値が最大となる2つのパスを抽出する理由としては、そのパス内に選択ノードと測定端末T間の劣化値が最大となる区間が含まれている可能性が最も高いことから、そこから分析を始めているためである。劣化区間候補を抽出する過程において劣化パスが検出された場合、前述の測定劣化パス処置のフローチャートの説明と同様に、パス劣化値やリンク劣化値の「0」への補正処理、および部分木の再構築処理を実施する。
【0105】
同図において、まず、測定端末選定/劣化値分析部14は、選択ノードのノード情報に設定されている全ての子ノードペア情報のパス劣化値を読み出し、読み出したパス劣化値の最大値が「0」であるか否かを判断する(ステップS501)。最大値が「0」である場合(ステップS501:YES)、測定端末選定/劣化値分析部14は、選択ノードの全ての子ノードの中から、リンク劣化値が設定されている子ノード情報を特定し、この特定した子ノード情報に設定されているノードIDからランダムに1つを選択すると(ステップS502)、この選択した子ノードのノードIDを選択ノードのノード情報の部分木構成ノードに設定し、処理を終了する(ステップS513)。
【0106】
ステップS501において最大値が「0」ではないと判断した場合(ステップS501:NO)、測定端末選定/劣化値分析部14は、選択ノードのノード情報に設定されている全ての子ノードペア情報の中から、パス劣化値が最も大きい2つの子ノードペア情報を選択する(ステップS503)。測定端末選定/劣化値分析部14は、選択した子ノードペア情報について、図8に示すリンク劣化値算出処理を行い、選択した子ノードペア情報に設定されているノードIDにより特定される子ノードと、選択ノードとの間のリンク劣化値を算出する(ステップS504)。
【0107】
測定端末選定/劣化値分析部14は、ステップS503において選択した子ノードペア情報に設定されているノードIDを読み出し、読み出したノードIDにより特定される子ノードに付随する測定端末Tを特定すると、この特定した測定端末T全ての組み合わせのパスについて劣化値を算出する(ステップS505)。選択ノードからある子ノードに付随する測定端末Tまでのパスの劣化値は、当該子ノードのノード情報に設定されているリンク劣化値と、リンク合計劣化値との和となる。従って、選択ノードのノード情報に設定されている各子ノードのノード情報から、選択ノードと各ノードに付随する測定端末Tとのパスの劣化値が算出できる。測定端末Tの組み合わせに応じて、その算出した選択ノード−測定端末T間のパスの劣化値を加算し、測定端末T全ての組み合わせのパスについての劣化値を算出することができる。測定端末選定/劣化値分析部14は、ステップS505において算出した劣化値の中に、劣化閾値を超えるものがあるか否かを判断する(ステップS506)。
【0108】
劣化閾値を超えるものがないと判断した場合(ステップS506:NO)、選択ノードの子ノードの中で、リンク劣化値とリンク合計劣化値の和が最大の子ノードを選択する(ステップS512)。具体的には、選択ノードのノード情報内に設定されている子ノードリストから子ノードのノード情報を読み出し、この子ノードのノード情報の中から、リンク劣化値とリンク合計劣化値の和が最大のノード情報を選択する。部分木ネットワーク構築部11は、ステップS512において選択した子ノードのノード情報内のノードIDを選択ノードのノード情報の部分木構成ノードに設定し、処理を終了すると呼び出し元に戻る(ステップS513)。
【0109】
ステップS506において劣化閾値を超えるものがあると判断した場合(ステップS506:YES)、測定端末選定/劣化値分析部14は、その劣化閾値を超えた測定端末T間のパスを劣化パスとして検出し(ステップS507)、検出した劣化パスに属する選択ノードの子ノード、つまり、ステップS505においてこの測定端末Tを付随する測定端末Tとして特定した子ノードを抽出する(ステップS508)。
【0110】
測定端末選定/劣化値分析部14は、選択ノードが第一階層のノードであると判断した場合(ステップS508−1:YES)、抽出した子ノードのノード情報に現在設定されているリンク劣化値をリンク劣化補正値に設定した後、リンク劣化値に「0」を設定する(ステップS514)。測定端末選定/劣化値分析部14は、選択ノードのノード情報に対応付けられている子ノードペア情報から、ステップS508において抽出した子ノードのノードIDが設定されている子ノードペア情報を抽出し、抽出した子ノードペア情報の現在のパス劣化値を、ステップS514において選択ノードのノード情報に設定したリンク補正値を減算した値に更新する(ステップS515)。その後、選択ノードについて、再帰的に劣化区間候補抽出処理を実行する(ステップS516)。
【0111】
一方、測定端末選定/劣化値分析部14は、選択ノードが第一階層のノードではないと判断した場合(ステップS508−1:NO)、ステップS508において抽出した子ノードを入力とし、後述する図13に示す部分木データ再構築処理を行なう(ステップS509)。部分木再構築処理では、ルートノードとリーフノード間の劣化値が、劣化パスに次いで2番目に高い区間が部分木の構成要素となるように、部分木を再構築する。測定端末選定/劣化値分析部14は、選択ノードのノード情報に対応付けられている子ノードペア情報の中から、ステップS508において抽出した子ノードのノードIDが含まれる子ノードペア情報を選択する(ステップS510)。測定端末選定/劣化値分析部14は、ステップS509の再構築処理後の各ノードに付随する測定端末T間のパスに含まれるノードのリンク劣化値の和を算出し、算出結果を子ノードペア情報のパス劣化値に設定する(ステップS511)。その後、選択ノードについて、再帰的に劣化区間候補抽出処理を実行する(ステップS516)。
【0112】
[2.2.6.2 具体例による処理の説明]
(1)選択ノードに設定されている子ノードペア情報内のパス劣化値の中から最も大きい値の2つの子ノードペア情報を抽出する(ステップS503)。
抽出した子ノードペア情報を利用して構成できる測定端末T間のパスの一部が、既に他のパスで劣化と判定されたパスの一部と重複する場合、重複箇所の劣化値は補正済みである。そのため、パス劣化値が最大となるパスに含まれる選択ノード−測定端末T間の区間が最も劣化パスの一部になる可能性が高いことから、そのような子ノードペア情報を抽出する。
【0113】
(2)(1)において抽出した2つの子ノードペア情報から、そこに含まれる選択ノードの子ノードを4つ特定し、この特定した4つの各ノードと選択ノードと間の劣化値をそれぞれ算出する。そしてこの算出した劣化値から、4つの子ノードに付随する測定端末T間が劣化パスとなるか否かを判定する(ステップS504〜S506)。
図19に示すように、図18と同様の部分木の場合、測定端末T[10]−測定端末T[11]間、及び、測定端末T[12]−測定端末T[13]間は、網羅率100%の測定により測定実施済みであり、測定端末T[10]と測定端末T[12]間、及び、測定端末T[10]と測定端末T[13]間はリンク劣化値算出処理により測定実施済みである。これにより、部分木内の各ノード間の劣化値がわかることから、測定していない測定端末[11]−測定端末[12]間、および、測定端末[11]−測定端末[13]間の劣化値を計算で求めることが出来る。つまり、測定端末T[11]−測定端末T[12]間の劣化値は、ノードN[10]、[2]、[4]、[12]のノード情報に設定されているリンク劣化値の合計であり、測定端末T[11]−測定端末T[13]間の劣化値は、ノードN[10]、[2]、[5]、[13]のノード情報に設定されているリンク劣化値の合計であり、
ステップS505においては、その未測定の測定端末間の劣化値を算出することで、4つのノードN[10]、[11]、[12]、[13]間の全てにおいて劣化パスとなるかどうか判定を行う。
【0114】
(3)どの測定端末T間の劣化値も、劣化閾値を超えない(劣化パスではない)場合、選択ノードと測定端末T間の劣化値が最大となる区間を抽出し、その区間に属する選択ノードの子ノードを選択ノードのノード情報の部分木構成ノードとして登録する(ステップS512、S513)。
図19において、ノードN[1]−測定端末[11]間の劣化値(ノードN[3]の劣化値とノードN[3]のリンク合計劣化値の和)が、他の3つの区間より大きい場合、選択ノードN[1]の子ノードであるノードN[3]を、選択ノードN[1]のノード情報の部分木構成ノードとして登録する。
【0115】
(4)4つの測定端末T間の全てにおいて劣化パスとなるかどうか判定を行い、劣化パスが検出できた場合、測定劣化パス処理のときと同様に、部分木データ再構築処理を実施し、抽出済みの子ノードペア情報内のパス劣化値を更新する(ステップS507〜S511、S514、S515)。
【0116】
(5)パス劣化値更新後、再度劣化区間候補抽出処理を実施する(ステップS516)。
劣化パスが検出されると、各子ノードペア情報のパス劣化値は変更される場合がある。図20は、パス劣化値が変更される例を示す図である。図20(a)に示す部分木において、測定端末T[A]−測定端末T[A’]間のパス劣化値が60、測定端末T[B]−測定端末T[B’]間のパス劣化値が50、測定端末T[C]−測定端末T[C’]間のパス劣化値が40、測定端末T[N]−測定端末T[N’]間のパス劣化値が30であったとする。この場合、図20(b)に示すように、劣化区間候補処理対象パスは、ノードN[A]−ノードN[A’]間のパスと、ノードN[B]−ノードN[B’]間のパスとなる。そして、選択ノード−ノードN[A]、ノードN[A’]、ノードN[B]、ノードN[B’]それぞれとの間のパス劣化値が、「40」、「20」、「40」、「10」であり、ノードN[A]−ノードN[B]間が劣化パスとして検出されたとする。
【0117】
このとき、選択ノード−測定端末T[A]間、および選択ノード−測定端末T[B]間は、劣化パスとして検出済みであり、リンク劣化値は「0」に補正される。よって、図20(c)に示すように、測定端末T[A]−測定端末T[A’]間のパス劣化値は、選択ノード−ノードN[A]間のパス劣化値「40」を減算した「20」、測定端末T[B]−測定端末T[B’]間のパス劣化値は、選択ノード−ノードN[B]間のパス劣化値「40」を減算した「10」となる。
各部分木において見つけたいものは、選択ノードと測定端末T間の劣化値が最大となる区間であり、図20に示す場合、測定端末T[C]−測定端末T[C’]間や、測定端末T[N]−測定端末T[N’]間の方が、劣化値が最大となる区間が含まれている可能性が高くなる。そのため、再度劣化区間候補抽出処理を実施している。
【0118】
[2.2.7 折り返し劣化分析処理]
[2.2.7.1 処理フロー]
図10及び図11は、劣化パス検出装置1における折り返し劣化分析処理の処理フローを示す図であり、図4のステップS70の詳細な処理を示している。
折り返し劣化分析処理では、劣化区間候補内の測定端末Tと、劣化区間候補の抽出に利用した2つのパス以外のパス内における測定端末T間の折り返しパスとが劣化パスとして検出されるかどうか分析する。
そこで、劣化区間候補の劣化値と、他のパスのパス劣化値とを比較することによって、可能性のある箇所だけ測定を実施し、劣化パスの有無の分析を行っている。劣化パスが検出された場合は、前述のとおり、パス劣化値やリンク劣化値の補正処理、および、部分木の再構築処理を実施する。
【0119】
図10において、測定端末選定/劣化値分析部14は、選択ノードのノード情報に設定されている部分木構成ノードからノードIDを読み出し、読み出したノードIDにより特定される子ノードのノード情報に設定されているリンク劣化値とリンク合計劣化値の和を算出する(ステップS601)。測定端末選定/劣化値分析部14は、選択ノードのノード情報の子ノードペアリストに設定されている子ノードペア情報の中から、リンク劣化値が設定されている子ノードのノードIDが設定されておらず、かつ、各子ノードペア情報に設定されているパス劣化値とステップS601において算出した和との合計が劣化閾値を超える子ノードペア情報を抽出する(ステップS602)。ステップS602において抽出できた子ノードペア情報がない場合(ステップS602:NO)、処理を終了する。
【0120】
ステップS602において抽出できた子ノードペア情報がある場合、測定端末選定/劣化値分析部14は、抽出した子ノードペア情報に設定されているパス劣化値が大きい順に選択し、以下の処理を行なう(ステップS604)。以下、本処理フローの説明ではこのステップS604で選択した子ノードペア情報を選択子ノードペア情報と記載する。
【0121】
測定端末選定/劣化値分析部14は、選択子ノードペア情報に設定されている2つの子ノードのノードIDのうち1つをランダムに選択し、選択したノードIDの子ノードに付随する測定端末Tを特定する(ステップS605)。本処理フローの説明では、特定した測定端末Tを「測定端末T1」、特定されなかったほうの測定端末Tを「測定端末T1’」と記載する。続いて、測定端末選定/劣化値分析部14は、選択ノードのノード情報の部分木構成ノードに設定されているノードIDを読み出し、このノードIDにより特定される子ノードに付随する測定端末T(本処理フローの説明では、「測定端末T2」と記載)を特定する(ステップS606)。
【0122】
測定指示実行部12は、ステップS605おいて特定された測定端末T1と、ステップS606において特定された測定端末T2との間で測定を行なう。測定指示実行部12は、ネットワークトポロジ情報から測定端末T1及びT2のアドレス情報を読み出すと、測定端末T1及びT2に対して測定指示を出力する。劣化パス検出装置1の測定結果受信/劣化値算出部13は、測定端末T1及びT2から通信パケットの伝送情報を測定結果として受信し、測定劣化値を得る(ステップS607)。
【0123】
測定端末選定/劣化値分析部14は、ステップS607において得られた測定劣化値に基づいて、選択ノード−測定端末T1間と、選択ノード−測定端末T1’間の劣化値をそれぞれ算出する(ステップS608)。
選択ノード−測定端末T2間の劣化値は、選択ノードから測定端末T2に至る経路上のノードのノード情報に設定されている劣化値を合計することによって算出することができる。よって、ステップS607の測定劣化値から選択ノード−測定端末T2間の劣化値を減算することによって、選択ノード−測定端末T1間の劣化値が算出できる。
また、測定端末T1−測定端末T1’間の劣化値は、選択した子ノードペア情報のパス劣化値から取得することができる。つまり、測定端末T1−測定端末T1’間のパス劣化値から、算出した選択ノード−測定端末T1間の劣化値を減算することで選択ノード−測定端末T1’間の劣化値が算出できる。
【0124】
測定端末選定/劣化値分析部14は、ステップS608において算出された劣化値に基づいて、選択ノードと、選択子ノードペア情報に設定されている各子ノードとの間の劣化値を算出し、選択子ノードペア情報により示される子ノードのノード情報に、ステップS608において算出されたリンク劣化値を設定する(ステップS609)。
選択ノードと測定端末T1が付随している子ノードとの間の劣化値は、ステップS608において算出した選択ノード−測定端末T1間の劣化値から、測定端末T1が付随している子ノードのノード情報に設定されているリンク合計劣化値を減算して得られる。
同様に、選択ノードと測定端末T1’が付随している子ノードとの間の劣化値は、ステップS608において算出した選択ノード−測定端末T1’間の劣化値から、測定端末T1’が付随している子ノードのノード情報に設定されているリンク合計劣化値を減算して得られる。
【0125】
続いて測定端末選定/劣化値分析部14は、選択ノードの部分木構成ノードに付随する測定端末Tから、選択子ノードペア情報により示される子ノードそれぞれに付随する全ての測定端末Tの組み合わせについて、測定端末T間の劣化値を算出する(ステップS610)。
図11において測定端末選定/劣化値分析部14は、ステップS610において算出した劣化値の中に劣化閾値を超えるものが存在するか否かを判断する(ステップS611)。劣化閾値を超える算出結果が存在しない場合(ステップS611:NO)、ステップS604に戻り、次にパス劣化値が大きい子ノードペア情報を選択して処理を行う。
【0126】
一方、劣化閾値を超える算出結果が存在した場合(ステップS611:YES)、測定端末選定/劣化値分析部14は、該当パスを劣化パスとして検出し(ステップS612)、この劣化パスとして検出したパスに属する選択ノードの子ノードを抽出する(ステップS613)。
【0127】
選択ノードが第一階層のノードであると判断した場合(ステップS614:YES)、測定端末選定/劣化値分析部14は、抽出した子ノードのノード情報に現在設定されているリンク劣化値をリンク劣化補正値に設定した後、リンク劣化値に「0」を設定する(ステップS618)。測定端末選定/劣化値分析部14は、選択ノードのノード情報にノードペアリストとして設定されている子ノードペア情報から、ステップS613において抽出した子ノードのノードIDが設定されている子ノードペア情報を抽出し、抽出した子ノードペア情報の現在のパス劣化値を、ステップS618において設定したリンク補正値を減算した値に更新する(ステップS619)。その後、選択ノードについて、劣化区間候補抽出処理を実行した後(ステップS620)、折り返し劣化分析処理を行なう(ステップS621)。
【0128】
選択ノードが第一階層のノードではないと判断した場合(ステップS614:NO)、部分木ネットワーク構築部11は、抽出した子ノードについて部分木データ再構築処理を行なう(ステップS615)。そして、測定端末選定/劣化値分析部14は、選択ノードの子ノードペア情報から、ステップS613において抽出した子ノードが含まれる子ノードペア情報を抽出すると(ステップS616)、再構築処理後の各子ノードに付随する測定端末T間のパスに含まれるノードのリンク劣化値の和を算出し、算出結果を子ノードペア情報のパス劣化値に設定する(ステップS617)。その後、選択ノードについて、劣化区間候補抽出処理を実行した後(ステップS620)、折り返し劣化分析処理を行なう(ステップS621)。
【0129】
[2.2.7.2 具体例による処理の説明]
折り返し劣化分析処理では、部分木内測定や劣化区間候補抽出処理において検出できなかった、部分木内での折り返し劣化パスの検出を行う。
【0130】
(1)劣化区間候補抽出処理によって抽出された選択ノードと測定端末Tとの間のパスと、他の選択ノードと測定端末Tとの間のパスを結ぶことで、劣化パスが検出できるか分析する(ステップS601、S602)。
これを行うために、抽出された選択ノードと測定端末Tとの間の劣化値と、リンク劣化値が設定されていないノードが属する子ノードペア情報のパス劣化値の和を算出し、算出結果が劣化閾値を超えるノードペアがあるかについて分析を行う。
既にリンク劣化値が設定されている選択ノードと測定端末Tとの間の区間同士を結ぶ、測定端末T間のパスは、既に劣化パスとなるかどうかの判定が実施済みであるため、リンク劣化値が設定されているノードが属するノードペアを除外している。
また、抽出された選択ノードと測定端末T間のパスと子ノードペア情報のパス劣化値の和が劣化閾値を超えない場合、そのノードペアに付随する測定端末Tと抽出された劣化区間候補の測定端末T間の劣化値は、劣化閾値を超えることはないので、除外している。
【0131】
図21に示す部分木の場合、劣化区間候補は、パス劣化値が「40」の選択ノード−測定端末T[A]間の区間であり、測定端末T[A]−測定端末T[A’]間のパス劣化値が「60」、測定端末T[B]−測定端末T[B’]間のパス劣化値が「40」、測定端末T[C]−測定端末T[C’]間のパス劣化値が「20」、測定端末T[N]−測定端末T[N’]間のパス劣化値が「10」であったとする。
【0132】
劣化閾値を「70」としたとき、劣化区間候補の劣化値「40」とパス劣化値の和が劣化閾値を超えるのは測定端末T[B]−測定端末T[B’]間となる。
測定端末T[B]−測定端末T[B’]間を考えた場合、その劣化値の分布としては、一方の選択ノード−測定端末T間の劣化値が「30」以上である状態B1や、両方の選択ノード−測定端末T間の劣化値が「30」未満である状態B2が考えられる。
測定端末T[B]−測定端末T[B’]間の劣化値の分布が状態B1のとき、測定端末T[A]−測定端末T[B’]間のパスが劣化閾値以上となり、劣化パスとなる可能性がある。従って、測定端末T[B]−測定端末T[B’]間については分析対象となる。
【0133】
一方、測定端末T[C]−測定端末T[C’]間のパスは、選択ノード−測定端末T間の劣化値が最大となる状態Cを考えたとしても、劣化区間候補と結ぶパスが劣化閾値を超えることはないので、分析対象から除外している。測定端末T[N]−測定端末T[N’]も同様に分析対象から除外している。
【0134】
(2)劣化区間候補の劣化値とパス劣化値の和が劣化閾値を超えるパスが抽出できた場合、劣化区間候補の測定端末Tと抽出したパスに属する一方の測定端末T間で測定を行い、抽出パスの選択ノード−測定端末T間の劣化値を算出する。また、算出結果から抽出パス内の選択ノードとその子ノード間の劣化値(子ノードのリンク劣化値)を算出し、子ノードのノード情報に設定する(ステップS605〜S609)。
【0135】
図22は、図21における分析対象を模式的に表した図である。同図に示すように、劣化区間候補抽出処理に利用したパス、すなわち、測定端末T[A]−測定端末T[A’]間は、そのパス内の各リンクの劣化値(リンク劣化値)が既知である。また、第一階層における処理により、ノードN[4]−測定端末T[B]間やノードN[5]−測定端末T[B’]間のリンク劣化値も既知である。
そこで、測定端末T[A]−測定端末T[B]’間で測定を行うことにより、ノードN[1]−ノードN[5]間の劣化値を算出し、ノードN[5]のリンク劣化値にその算出結果を設定する。
また、測定端末T[B]−測定端末T[B’]間は部分木内測定において測定を実施しており、パス劣化値が既知であることから、ノードN[1]−ノードN[5]間の劣化値が算出できれば、ノードN[1]−ノードN[4]間の劣化値も算出されるため、その算出結果をノードN[4]のリンク劣化値に設定する。
【0136】
(3)以上の計算から、ノードN[1](選択ノード)−ノードN[B](測定端末T[B])間、及び、ノードN[1]−ノードN[B’](測定端末T[B])間の各劣化値が算出できるため、図21に示す状態B1または状態B2のいずれに該当するかを判定できる。状態B1の場合、劣化閾値を超える測定端末T[A]−測定端末T[B’]間のパスを劣化パスとして検出する。また、劣化区間候補抽出処理と同様に、部分木データ再構築処理を実施し、抽出済みの子ノードペア情報内のパス劣化値を更新する(ステップS610〜S619)。
【0137】
(4)劣化区間候補抽出処理における説明と同様に、他のパス内の選択ノード−測定端末T間の劣化値が最大となる場合があるので、再度、劣化区間候補抽出処理を実施する(ステップS620)。
【0138】
[2.2.8 最大劣化区間抽出処理]
[2.2.8.1 処理フロー]
図12は、劣化パス検出装置1における最大劣化区間抽出処理の処理フローを示す図である。
最大劣化区間抽出処理では、部分木において、選択ノードと測定端末T間の劣化値が最大となる区間を決定する。ここまでの処理において、部分木内に存在する劣化パスは全て検出済みであり、また、検出された劣化パスに含まれるリンクの劣化値は「0」に補正済みであるため、部分木内の選択ノードと測定端末T間の劣化値が最大となる区間が、真の最大劣化区間となる。最大劣化区間の決定は、劣化区間候補の劣化値と他のパスのパス劣化値を比較し、劣化区間候補より大きい劣化値となりうるパスが存在する場合に限り測定によって分析を行い、真の最大劣化区間を抽出する。
【0139】
まず、測定端末選定/劣化値分析部14は、選択ノードのノード情報に設定されている部分木構成ノードから子ノードのノードIDを読み出し、読み出したノードIDにより特定される子ノードのノード情報からリンク劣化値を読み出すと、この読み出したリンク劣化値と、選択ノードのノード情報から読み出したリンク合計劣化値との和を算出し、これを基準劣化値とする(ステップS701)。測定端末選定/劣化値分析部14は、選択ノードのノード情報に対応づけられている子ノードペア情報の中から、リンク劣化値が設定されている子ノードのノードIDが設定されておらず、かつ、各子ノードペア情報に設定さている劣化値とステップS701において算出した基準劣化値を超える子ノードペア情報を抽出する(ステップS702)。ステップS702において抽出できた子ノードペア情報がない場合(ステップS702:NO)、選択ノードのノード情報に、合計劣化値として基準劣化値を設定する(ステップS714)。
【0140】
ステップS702において抽出できた子ノードペア情報がある場合、抽出した子ノードペア情報に設定されているパス劣化値が大きい順に選択し、以下の処理を行なう(ステップS704)。以下、本処理フローの説明ではこのステップS704で選択した子ノードペア情報を選択子ノードペア情報と記載する。
【0141】
測定端末選定/劣化値分析部14は、選択子ノードペア情報に設定されている2つの子ノードのノードIDのうち1つをランダムに選択し、選択したノードIDの子ノードに付随する測定端末Tを特定する(ステップS705)。本処理フローの説明では、特定した測定端末Tを「測定端末T1」、特定されなかったほうの測定端末Tを「測定端末T1’」と記載する。続いて、測定端末選定/劣化値分析部14は、選択ノードのノード情報の部分木構成ノードに設定されているノードIDを読み出し、このノードIDにより特定される子ノードに付随する測定端末T(本処理フローの説明では、「測定端末T2」と記載)を特定する(ステップS706)。
【0142】
測定指示実行部12は、ステップS705において特定された測定端末T1と、ステップS706において特定された測定端末T2との間の測定を行なう。測定指示実行部12は、これらの測定端末T1及びT2に対して測定指示を出力し、測定結果受信/劣化値算出部13は、測定指示を出力した測定端末T1及びT2から受信した測定結果から測定劣化値を得る(ステップS707)。
【0143】
測定端末選定/劣化値分析部14は、ステップS707において得られた測定劣化値に基づいて、選択ノードと−測定端末T1間と、選択ノード−測定端末T1’間の劣化値(以下、比較劣化値)をそれぞれ算出する(ステップS708)。これは、図10のステップS608と同様の処理により算出することができる。
さらに、測定端末選定/劣化値分析部14は、ステップS708において算出された劣化値に基づいて、選択ノードと、選択子ノードペア情報に設定されている各子ノードとの間の劣化値を算出し、選択子ノードペア情報により示される子ノードのノード情報に、ステップS708において算出されたリンク劣化値を設定する(ステップS709)。これは、図10のステップS609と同様の処理により算出することができる。
【0144】
続いて測定端末選定/劣化値分析部14は、基準劣化値を超える比較劣化値が存在するか否かを判断する(ステップS710)。基準劣化値を超える比較劣化値が存在すると判断した場合(ステップS710:YES)、測定端末選定/劣化値分析部14は、基準劣化値を超えるパスに属する選択ノードの子ノードを、選択ノードのノード情報に部分木構成ノードとして設定した後、最大劣化区間抽出処理を行い(ステップS711)、処理を終了して呼び出し元に戻る。
【0145】
一方、基準劣化値を超える比較劣化値が存在しないと判断した場合(ステップS710:NO)、ステップS704に戻り、ステップS702において抽出した子ノードペア情報から次にパス劣化値が大きい子ノードペア情報を選択して処理を行い、ステップS702において抽出した子ノードペア情報について全て処理を行なうと、選択ノードのノード情報に、合計劣化値として基準劣化値を設定する(ステップS714)。測定端末選定/劣化値分析部14は、処理を終了して呼び出し元に戻る。
【0146】
[2.2.8.2 具体例による処理の説明]
最大劣化区間抽出処理では、部分木内の選択ノード−測定端末T間の劣化値が最大となる区間を決定する。
【0147】
(1)まず、劣化区間候補抽出処理によって抽出された選択ノードと測定端末T間の劣化値を超える劣化値を持つ、選択ノード−測定端末T間が存在するかどうか分析を行う(ステップS701、S702)。
これを行うために、抽出された選択ノードと測定端末T間の劣化値を超えるパス劣化値と、リンク劣化値が設定されていないノードとが設定されている子ノードペア情報のノードペアについて分析を行う。
既にリンク劣化値が設定されている選択ノードと測定端末T間の区間は、劣化区間候補抽出処理時に比較済みであるので、分析対象から除外している。
また、子ノードペア情報のパス劣化値が、抽出された選択ノードと測定端末T間の劣化値を超えない場合、そのノードペアに付随する測定端末Tと選択ノード間の劣化値は、抽出済みの劣化区間候補の劣化値を超えることはないので、除外している。
【0148】
図23に示す部分木の場合、劣化区間候補は、パス劣化値が「20」の選択ノード−測定端末T[A]間の区間であり、測定端末T[A]−測定端末T[A’]間のパス劣化値が「35」、測定端末T[B]−測定端末T[B’]間のパス劣化値が「30」、測定端末T[C]−測定端末T[C’]間のパス劣化値が「15」、測定端末T[N]−測定端末T[N’]間のパス劣化値が「10」である。
このとき劣化区間候補の劣化値「20」を超えるパス劣化値を持つパスは測定端末T[B]−測定端末T[B’]間となる。
【0149】
測定端末T[B]−測定端末T[B’]間を考えた場合、その劣化値の分布としては、選択ノードと一方の測定端末T(測定端末T[B’])との間の劣化値が「20」を超える状態B1や、選択ノードと両方の測定端末Tとの間の劣化値が「20」未満である状態B2が考えられる。
測定端末T[B]−測定端末T[B’]間の劣化値の分布が状態B1の場合、選択ノード−測定端末T[B’]間のパスが劣化区間候補の劣化値を超えることなり、部分木内における選択ノード−測定端末T間の劣化値が最大となる可能性があるので、測定端末T[B]−測定端末T[B’]間については分析対象となる。
一方、測定端末T[C]−測定端末T[C’]間のパスは、選択ノード−測定端末T間の劣化値が最大となる状態Cを考えたとしても、選択ノード−測定端末T間の劣化値が劣化区間候補の劣化値を超えることはないので、分析対象から除外している。
【0150】
(2)劣化区間候補の劣化値を超えるパスが抽出できた場合、劣化区間候補の測定端末Tと抽出したパスに属する一方の測定端末T間で測定を行い、抽出パスの選択ノード−測定端末T間の劣化値を算出する。また、算出結果から抽出パス内の選択ノードとその子ノード間の劣化値(子ノードのリンク劣化値)を算出し、子ノードのノード情報に設定する(ステップS705〜S709)。
図23の例の場合、測定端末T[A]−測定端末T[B]間、あるいは、測定端末T[A]−測定端末T[B’]間のいずれかで測定を行なう。なお、選択ノードの子ノードのリンク劣化値の算出方法は、折り返し劣化パス分析と同様である。
【0151】
(3)以上の計算から、抽出されたパスにおける選択ノード−測定端末T間の劣化値をそれぞれ算出し、図23に示す状態B1または状態B2のいずれであるかを判定する(ステップS710)。
判定結果として状態B1に該当した場合、劣化区間候補を超える劣化値を持つ選択ノード−測定端末T[B’]間を新たな劣化区間候補とし、新たな劣化区間候補内の選択ノードの子ノードを、選択ノードの部分木構成ノードに登録する(ステップS711)。
また、新たな劣化区間候補と基準とし、部分木内における最大劣化区間抽出処理を実施する(ステップS712)。これにより、部分木内において真に劣化値が最大となる選択ノード−測定端末T間を見つける。
【0152】
(4)ステップS710による判定により、劣化区間候補以外に、真に劣化値が最大となる選択ノード−測定端末T間が存在しなかった場合、選択ノードのノード情報に設定されている部分木構成ノードのリンク劣化値と、リンク合計劣化値との和を、各ノード情報のリンク合計劣化値に設定する(ステップS714)。
これにより、リンク合計劣化値が設定されているノードは、そのノードから測定端末T間の劣化値が最大となる区間の抽出が完了していることを意味し、またその区間の劣化値(その区間に属するノードのリンク劣化値の合計値)がわかることとなる。
【0153】
[2.2.9 部分木データ再構築処理]
[2.2.9.1 処理フロー]
図13は、劣化パス検出装置1による部分木データ再構築処理の処理フローを示す図である。部分木データ再構築処理では、劣化パスが検出された際、ルートノードとリーフノード間の劣化値が2番目に高い区間が、部分木の構成要素となるように、部分木を再構築する。
ルートノードとリーフノード間の劣化値が2番目に高い区間が、他の部分木における最大劣化区間と接続されることによって、劣化パスとなる可能性があり、そのようなパスの検出漏れ(False Negativeパスの存在)が無い様にするために本処理を行っている。
【0154】
図13において、部分木ネットワーク構築部11は、各抽出ノードから、当該抽出ノードそれぞれに付随する測定端末Tに至るまでのパスに属するノードのノード情報を読み出す(ステップS801)。測定端末選定/劣化値分析部14は、ステップS801において特定した測定端末Tのノード情報に対し、現在設定されているリンク劣化値をリンク劣化補正値に設定した後、リンク劣化値に「0」を設定する(ステップS802)。
【0155】
部分木ネットワーク構築部11は、特定した測定端末Tの親ノードのノード情報に設定されている子ノードペア情報を読み出し、読み出した子ノードペア情報の現在のパス劣化値を、ステップS802において測定端末Tのノード情報に設定したリンク補正値を減算した値に更新する(ステップS803)。
【0156】
部分木ネットワーク構築部11は、ステップS801において読み出したノード情報に対応するノードについて、第一階層から順に処理対象の層として選択し、ステップS805以降の処理を行う。
部分木ネットワーク構築部11は、処理対象の層に含まれるノードのうち、本処理フローにおいて未選択のノードについて以下のステップS806以降の処理を行う。
【0157】
部分木ネットワーク構築部11は、処理対象の層に含まれる未選択のノードを選択し(ステップS806)、この選択したノードのノード情報に対し、現在設定されているリンク劣化値をリンク劣化補正値に設定した後、リンク劣化値に「0」を設定する(ステップS807)。
【0158】
選択ノードが第一階層である場合(ステップS808:NO)、部分木ネットワーク構築部11は、ステップS806において選択した選択ノードについて劣化区間候補抽出処理を行ない(ステップS810)、最大劣化区間抽出処理を行なう(ステップS811)。
一方、ステップS806において選択した選択ノードが第二階層以上である場合(ステップS808:YES)、部分木ネットワーク構築部11は、この選択ノードのノード情報に設定されている部分木構成ノードからノードIDを読み出し、読み出したノードIDが設定されている子ノードペア情報を特定する。部分木ネットワーク構築部11は、特定した子ノードペア情報に設定されている2つのノードのノードIDから、各ノードに付随する測定端末Tを特定し、この特定した測定端末T間のパス内に属するノードのノード情報からリンク劣化値を読み出す。部分木ネットワーク構築部11は、この読み出したリンク劣化値の合計値を、特定した子ノードペア情報のパス劣化値として設定する(ステップS809)。その後、ステップS806において選択した選択ノードについて劣化区間候補抽出処理を行ない(ステップS810)、最大劣化区間抽出処理を行なう(ステップS811)。
【0159】
[2.2.9.2 具体例による処理の説明]
部分木データ再構築処理は、選択ノードが第二階層以上に属する部分木において劣化パスが検出された際、劣化パス内の選択ノードの子ノードから、それぞれの子ノードに付随する測定端末T間の部分木データを再構築する。
【0160】
図24は、部分木データ再構築処理の対象となる測定対象ネットワークの一部を示す。
同図において、ノードN[1]が選択ノードであり、測定端末T[A]−測定端末T[I]間のパスP1)が劣化パスとして検出された状態とする。また、点線で示した区間(例えばノードN[4]−測定端末T[A])は、各階層における処理において最大劣化区間として抽出された区間を示している。つまり、選択ノードがノードN[2]のときは、ノードN[2]−測定端末T[A]間が最大劣化区間となったことを示している。
【0161】
図25(a)に示すように、図24に示したノードN[1]の子ノードとして、ノードN[2]やノードN[3]等が存在し、ノードN[1]−ノードN[2]間の劣化値(ノードN[2]のリンク劣化値)が「10」、ノードN[1]−ノードN[3]間の劣化値(ノードN[3]のリンク劣化値)が「0」であったとする。このときのノードN[1]、ノードN[2]、ノードN[3]のノード情報を図25(b)に示す。
【0162】
また、図26(a)に示すように、図24に示したノードN[4]における子ノードペアとしては、測定端末T[A]−測定端末T[B]や、測定端末T[C]−測定端末T[D]等が存在し、測定端末T[A]−測定端末T[B]間のパス劣化値は「30」、ノードN[4]−測定端末T[A]間の劣化値(ノードN[A]のリンク劣化値)が「20」、ノードN[4]−測定端末T[B]間の劣化値(ノードN[B]のリンク劣化値)が「10」、ノードN[4]−測定端末T[C]間の劣化値(ノードN[C]のリンク劣化値)が「15」、ノードN[4]−測定端末T[D]間の劣化値(ノードN[D]のリンク劣化値)が「10」、それ以外のパス劣化値は「0」であったとする。このときのノードN[4]、ノードN[A]、ノードN[B]、ノードN[C]、ノードN[D]のノード情報、及び、ノードN[A]とノードN[B]、ノードN[C]とノードN[D]の子ノードペア情報を図26(b)に示す。
【0163】
また、図27(a)に示すように、図24に示したノードN[5]における子ノードペアとしては、測定端末T[E]や測定端末T[F]等が存在し、そのパス劣化値は「30」、ノードN[5]−測定端末T[E]間の劣化値(ノードN[E]のリンク劣化値)が「10」、ノードN[5]−測定端末T[F]間の劣化値(ノードN[F]のリンク劣化値)が「20」、それ以外のパス劣化値は「0」であったとする。このときのノードN[5]、ノードN[E]、ノードN[F]のノード情報、及び、ノードN[E]とノードN[F]の子ノードペア情報を図27(b)に示す。
【0164】
また、図28(a)に示すように、図24に示したノードN[6]における子ノードペアとしては、測定端末T[G]や測定端末T[H]等が存在し、そのパス劣化値は「10」、ノードN[6]−測定端末T[G]間の劣化値(ノードN[G]のリンク劣化値)が「0」、ノードN[6]−測定端末T[H]間の劣化値(ノードN[H]のリンク劣化値)が「10」、それ以外のパス劣化値は「0」であったとする。このときのノードN[6]、ノードN[G]、ノードN[H]のノード情報、及び、ノードN[G]とノードN[H]の子ノードペア情報を図28(b)に示す。
【0165】
また、図29(a)に示すように、図24に示したノードN[2]には、ノードN[4]、ノードN[5]、ノードN[6]の3つのノードが接続し、ノードN[2]−ノードN[4]間の劣化値(ノードN[4]のリンク劣化値)が「20」、ノードN[2]−ノードN[5]間の劣化値(ノードN[5]のリンク劣化値)が「0」、ノードN[2]−ノードN[6]間の劣化値(ノードN[6]のリンク劣化値)が「5」であったとする。このときのノードN[2]、ノードN[4]、ノードN[5]、ノードN[6]のノード情報、及び、ノードN[4]とノードN[5]、ノードN[5]とノードN[6]の子ノードペア情報を図29(b)に示す。
【0166】
また、図30に示すように、ノードN[3]と測定端末T[I]間の最大劣化区間の劣化値は「20」であったとする。
【0167】
つまり、測定端末T[A]−測定端末T[I]間のパスの劣化値は、ノードN[A]−ノードN[4]間の劣化値「20」、ノードN[4]−ノードN[2]間の劣化値「20」、ノードN[2]−ノードN[1]間の劣化値「10」、ノードN[1]−ノードN[3]間の劣化値「0」、ノードN[3]−測定端末T[I]間の劣化値「20」の和「70」として表され、劣化閾値「70」以上であることから、劣化パスとなっている。
図24〜図30を利用して、以降の説明を記載する。
【0168】
(1)部分木データ再構築処理の入力情報としては、劣化パス内に含まれる選択ノードの子ノードである。上図においては、ノードN[2]とノードN[3]が該当し、この2つのノードがフローチャートにおける「抽出ノード2つ」を示している。
以降の処理は、抽出ノード2つに対して処理を実施するが、同じ処理を行うので、抽出ノードN[2]に対する処理のみ記載する。
【0169】
(2)抽出ノードから、抽出ノードに付随する測定端末Tまでのパス内に属するノードを抽出する(ステップS801)。
図31に示すように、抽出ノードN[2]から抽出ノードN[2]に付随する測定端末Tまでのノードは、ノードN[2]からノード情報内の部分木構成ノードをたどることで得られ、それはノードN[4]およびノードN[A]である。つまり、抽出ノードN[2]に対しては、本処理によって「ノードN[2]/ノードN[4]/ノードN[A]」の3つが抽出されることになる。同様の処理は、抽出ノードN[3]に対しても行われる。
【0170】
(3)(2)において抽出したノードのうち測定端末Tのノード情報において、リンク劣化値をリンク劣化補正値に設定し、リンク劣化値に「0」を設定する。また、この測定端末Tの親ノードのノード情報に設定されている、各測定端末Tが属する子ノードペア情報においてパス劣化値を、リンク劣化補正値を減算した値に更新する(ステップS802、S803)。
図32に示すように、測定端末Tのノード(ノードN[A])のノード情報において、リンク劣化値をリンク劣化補正値に設定し、リンク劣化値に「0」を設定する。また、ノードN[A]の親ノードであるノードN[4]のノード情報に設定されている子ノードペア情報から、ノードT[A]が属する子ノードペア情報を特定し、この子ノードペア情報において、現在設定されているパス劣化値からリンク劣化補正値を減算し、減算結果をパス劣化値に設定する。
このような補正処理を行うことによって、この区間が他のパスの一部となったときに、劣化値が加算されて、劣化パスとして検出されることを抑制している。
なお、本処理はノードN[I]についても同様に実施される。
【0171】
(4)第一階層から順に、上位階層に向けて以降の処理を実施する。つまり、ノードN[2]−ノードN[A]間の第一階層のノードであるノードN[4]、および、ノードN[3]−ノードN[I]の間の第一階層に含まれるノードが処理対象となる(ステップS804〜S806)。
【0172】
(5)図33に示すように、(4)において選択されたノード(ノードN[4])のノード情報において、リンク劣化補正値にリンク劣化値を設定し、リンク劣化値に「0」を設定する(ステップS807)。
測定端末Tにおける処理と同様の理由で、リンク劣化値およびリンク劣化補正値を変更している。
【0173】
(6)選択されたノード(ノードN[4])は第一階層のノードであることから、ノードN[4]において劣化区間候補抽出処理、及び、最大劣化区間抽出処理を実施し、ノードN[4]をルートノードとする部分木における最大劣化区間を変更する(ステップS808、S810、S811)。
劣化区間候補抽出では、パス劣化値が最も大きい2つのパスを抽出し、その中からルートノードとリーフノード間の劣化値が最大となる区間を候補として抽出する処理を行うことになる。
これまでの処理によって、図34に示すように、ノードN[A]のリンク劣化値、およびノードN[A]−ノードN[B]間のパス劣化値が変更されており、その状態で劣化区間候補抽出が実施されることになる。
本例では、ノードN[A]−測定端末T[B]間およびノードN[C]−測定端末T[D]間のパス以外のパスのパス劣化値は「0」としているので、再度実施される劣化区間候補抽出処理においては、ノードN[A]−測定端末T[B]間およびノードN[C]−測定端末T[D]間のパスが抽出され、最も劣化値の大きいノードN[4]−測定端末T[C]間の区間が劣化区間候補として抽出されることになる。
もし、パス劣化値が「20」のパスが存在していれば、そのパスとノードN[C]−測定端末T[D]間のパスが抽出され、その中から劣化区間候補が抽出されるという動作をする。
ノードN[4]をルートノードとする部分木において、ノードN[4]で折り返すパスが劣化となるかどうかの分析処理は既に実施済みであることから、折り返し劣化分析処理は実施せず、最大劣化区間抽出処理を実施することとなる。
以上の処理により、図35に示すように、ノードN[4]における部分木構成ノードがノードN[C]に変更になるとともに、リンク合計劣化値「15」に変更となる。
これで第一階層に属するノードN[4]における部分木データ再構築処理は終了となる。
【0174】
(7)次に第二階層に属するノード(ノードN[2])を対象として、部分木データ再構築処理を実施する。まず、図36に示すように第一階層のノードと同様に、リンク劣化補正値にリンク劣化値を設定し、リンク劣化値に「0」を設定する(ステップS806、S807)。
なお、本処理以降の処理は、第二階層以上のノードにおいて共通の処理となる。
【0175】
(8)(7)において選択したノード(ノードN[2])は第二階層以上のノードであることから、ノード情報部分木構成ノードに設定されているノードIDが含まれる子ノードペア情報を特定し、その特定した子ノードペア情報に設定されている2つのノードに付随する測定端末T間のパスに属するノードのリンク劣化値の合計値をパス劣化値に設定する(ステップS808、S809)。
まず、ノードN[2]の部分木構成ノードはノードN[4]であることから、図37に示すように、ノードN[4]が含まれる子ノードペア情報を抽出し、ノード情報内の部分木構成ノードをそれぞれ辿り、付随する測定端末Tを特定する。
本例では、ノードN[4]が属する子ノードペア情報には、ノードN[5]が設定されていることから、ノードN[4]およびノードN[5]に付随する測定端末Tを抽出する。
ここで、ノードN[5]の情報はなにも変更されていないので、ノードN[5]に付随する測定端末TはノードN[F]であるが、ノードN[4]に付随する測定端末Tは上記(6)の処理によって図35に示すようにノードN[A]からノードN[C]に変更となっている。つまり、ノードN[4]とノードN[5]それぞれに付随する測定端末T間のパス劣化値が異なっていることを意味する。
そこで、測定端末T間のパス内に属するノードのリンク劣化値の合計を算出し、それをパス劣化値として設定する。
本例では、ノードN[C]−ノードN[F]間のパス内にあるノードのノード情報は、図38に示すようになっている。パス内にある各ノード、つまり、ノードN[C]、ノードN[4]、ノードN[2]、ノードN[5]、ノードN[F]のノード情報に設定されているリンク劣化値の合計「15+0+0+0+20」を算出し、その算出結果「35」をノードN[4]及びノードN[5]の子ノードペア情報にパス劣化値として設定する。
【0176】
(9)上記までの処理によって、ノードN[2]における各子ノードペア情報のパス劣化値を補正後、上記(6)と同様に、ノードN[2]をルートノードとして劣化区間候補抽出処理および最大劣化区間抽出処理を実施する。これにより、劣化として検出されたパスの各リンクの劣化値を「0」と置いたときの、ノードN[2]から測定端末T間の劣化値が最大となる区間を再抽出しなおす(ステップS810、S811)。
本例では、入力のノード(抽出ノード2つ)は第二階層のノードなので、部分木データ再構築処理が完了となるが、より上位階層のノードが抽出ノードとして入力された場合は、各ノードにおいて上記(7)〜(9)の処理を繰り返し実施する。
【0177】
[3. 処理例]
ここでは、具体的な測定対象ネットワークの例を用いて、劣化パス検出装置1の一連の動作を説明する。
【0178】
図39は、測定対象ネットワークを示す図であり、○で示した箇所がルータR、□で示した箇所が測定端末Tを意味している。また、ルータRや測定端末Tに振られている数字(1〜26)は、各ノードのIDを示している。また、ルータR間やルータR−測定端末T間を結んでいる線は、リンクを表している。
破線で示しているリンク(例えば、ノードN[1]−ノードN[2]間のリンク)や、ノード(例えば、ノードN[4])は劣化箇所を示しており、各劣化箇所に振られた数値は、該当箇所の劣化値(例えば、遅延時間)を示している。
【0179】
第一階層に含まれるノードは、ノードN[2]、[3]、[4]、[5]であり、第二階層に含まれるノードはノードN[1]である。ノードN[2]には測定端末T[6]〜[10]が接続され、ノードN[3]には測定端末T[11]〜[16]が接続され、ノードN[4]には測定端末T[17]〜[20]が接続され、ノードN[5]には測定端末T[21]〜[26]が接続されている。
【0180】
以下に、図39の測定対象ネットワークを例に、劣化パス検出装置1による劣化パス検出方法について、上述したフローチャートに従って説明を記載する。なお、ここでは劣化閾値は「70」とする。
【0181】
(1) 第一階層から順に上位階層に向かって処理を行う。最初に、第一階層が選択される(ステップS10)。
【0182】
(2) まず、第一階層に含まれるノードである「ノードN[2]」を選択する(ステップS20、S30)。図40〜図44に、この選択されたノードN[2]の部分木に対する処理を説明するための図を示す。
選択ノードがノードN[2]の部分木に対する処理は、本アルゴリズムの最も基本となる処理であり、部分木内で劣化パスが検出されない例を示している。
【0183】
(2.1) 選択ノードである「ノードN[2]」に対して部分木データ構築処理を実施する(ステップS40)。つまり、ここでの処理対象は図40(a)に示す範囲である。
【0184】
(2.1.1) まず、選択ノードに対するノード情報を生成する(ステップS101)。これにより、図41(a)に示すように、ノードID「2」が設定されたノード情報が生成される。
【0185】
(2.1.2) 続いて、トポロジ情報から、選択ノードであるノードN[2]の子ノードを抽出する。本例では、図40(a)に示すように、ノードN[2]の子ノードは、ノードN[6]からノードN[10]である(ステップS102)。抽出した子ノードのノード情報は未生成であることから、各子ノードのノード情報を生成する(ステップS103、S104)。図41(b)に生成した子ノードのノード情報を示す。
【0186】
(2.1.2) 選択ノードの子ノードリストに、生成した子ノードのノード情報を追加する(ステップS105)。図41(c)に、子ノードリスト追加後の選択ノードのノード情報を示す。
【0187】
(2.2) 選択ノードである「ノードN[2]」に対して部分木内測定処理を実施する(ステップS50)。
【0188】
(2.2.1) 選択ノードの子ノードであるノードN[6]からノードN[10]の中で未選択のノードに対して処理を行う(ステップS201)。
【0189】
(2.2.2) 選択ノードは第一階層に属しており、未選択の子ノードは2つ以上存在することから、ランダムに子ノードを2つ選択する。ここではノードN[6]とノードN[7]を選択したこととする(ステップS202、S206、S208)。
図42(a)に示すように、子ノードペア情報を生成し、選択した子ノードのノードIDを設定する(ステップS209)。
【0190】
(2.2.3) 図42(b)に示すように、生成した子ノードペア情報を選択ノードのノード情報に追加する(ステップS210)。
【0191】
(2.2.4) 選択した2つの子ノード(ノードN[6]とノードN[7])それぞれに付随する、2つの測定端末Tを特定する(ステップS211)。図41(b)に示すようにノードN[6]やノードN[7]のノード情報には部分木構成ノード情報が設定されていない、つまり測定端末Tであることを意味していることから、2つの子ノードに付随する測定端末Tは、ノードN[6]およびノードN[7]となる。
劣化パス検出装置1は、特定した測定端末Tに測定指示を出し、測定結果を受信する。また受信情報から特定した測定端末T間の測定劣化値を算出し、補正処理後、子ノードペア情報のパス劣化値に算出結果を設定する(ステップS212〜S214)。
補正処理とは、測定パス内の各ノードのノード情報内にあるリンク劣化補正値を、測定劣化値から減算する処理を示しているが、ノードN[6]−ノードN[7]を結ぶパス(ノードN[6]−ノードN[2]−ノードN[7])内のノード情報にリンク劣化補正値は設定されていないことから、補正処理は行われず、測定劣化値がそのままパス劣化値として子ノードペア情報内に格納される。
本例では、測定劣化値は「10」であることから、図42(b)に示すように、そのままパス劣化値に設定される。
【0192】
(2.2.5) 同様にして、ノードN[8]とノードN[9]の子ノードペア情報の生成、選択ノードのノード情報への子ノードペア情報の追加、ノードN[8]とノードN[9]間の測定、子ノードペア情報のパス劣化値への測定劣化値の設定を行なう(ステップS202、S206、S208〜S211)。図42(c)は、生成された子ノードペア情報と、子ノードペア情報が追加されたノード情報を示す図である。
ノードN[8]とノードN[9]間のパス劣化値は「0」であることから、図42(d)に示すように、ノードN[8]及びノードN[9]のノード情報のリンク劣化値に「0」を設定する(ステップS216)。
【0193】
(2.2.6) まだ未選択のノードはノードN[10]だけであるので、選択済みのノードとペアリングする。ここでは、ノードN[9]を選択し、ペアリングする。そして、他のペアと同様に、ノードN[9]とノードN[10]の子ノードペア情報の生成、選択ノードのノード情報への子ノードペア情報の追加、ノードN[9]とノードN[10]間の測定、子ノードペア情報のパス劣化値への測定劣化値の設定を行なう(ステップS202、S206、S207、S209〜S211)。図42(e)は、生成された子ノードペア情報と、子ノードペア情報が追加されたノード情報を示す図である。
【0194】
(2.3) 続いて、選択ノードである「ノードN[2]」に対して劣化区間候補抽出処理を実施する(ステップS60)。
選択ノードN[2]の子ノードペア情報に設定されているパス劣化値の最大値は「0」ではないため、パス劣化値の最も大きい2つの子ノードペア情報を抽出する(ステップS501、S503)。
選択ノードN[2]の子ノードペア情報は図42(b)、(c)、(e)に示す通りなので、パス劣化値「20」が設定されているノードN[9]及びノードN[10]の子ノードペア情報と、パス劣化値「10」が設定されているノードN[6]及びノードN[7]の子ノードペア情報が抽出される。
【0195】
(2.3.1) 抽出された2つの子ノードペア情報に基づいて、リンク劣化値算出処理を実施する。
抽出された子ノードペア情報に設定されている子ノード(ノードN[6]、ノードN[7]、ノードN[9]、ノードN[10])のノード情報の全てにリンク劣化値の値が設定されておらず、また、両方の子ノードペア情報に属するノードIDが存在しない(ステップS401、S402)。
【0196】
(2.3.2) 一方の子ノードペア情報からランダムにノードIDを抽出し、そのノードに付随する測定端末Tを特定し、これを測定端末T(A)と呼ぶ(ステップS405、S406)。
ここでは、ノードN[6]を選択したこととする。また、ノードN[6]は測定端末Tなので、ノードN[6]が測定端末T(A)となる。他方の子ノードペア情報に属するノード(ノードN[9]およびノードN[10])それぞれに付随する測定端末Tを特定し、これを測定端末T(B)、測定端末T(C)と呼ぶ(ステップS407)。ノードN[9]およびノードN[10]は測定端末Tなので、ノードN[9]を測定端末T(B)、ノードN[10]を測定端末T(C)とする。
【0197】
(2.3.3) 測定端末T(A)(ノードN[6])と測定端末T(B)(ノードN[9])間、及び測定端末T(A)(ノードN[6])と測定端末T(C)(ノードN[10])間で測定を実施し、測定端末間劣化値を得る。
測定端末T(A)(ノードN[6])と測定端末T(B)(ノードN[9])間の測定端末間劣化値は「0」、測定端末T(A)(ノードN[6])と測定端末T(C)(ノードN[10])間の測定端末間劣化値は「20」となる。
ここまでの処理によって、図43(a)に示す4つのパスの劣化値を得たことになる。
【0198】
(2.3.4) 続いて、リンク劣化値算出処理において記載した方程式を解くことによって、選択ノードと各測定端末T間の劣化値を算出する。また、各選択ノードと測定端末T間のノードのリンク劣化値/リンク劣化補正値を利用して、選択ノードと選択ノードの子ノード間の劣化値を算出し、各子ノードのノード情報内のリンク劣化値に算出結果を設定する(ステップS409、S410)。ここでは、選択ノードの子ノードが測定端末Tであることから、方程式の解が選択ノードとその子ノード間の劣化値となる。
【0199】
ノードN[2]とノードN[6]の劣化値を「L26」、ノードN[2]とノードN[7]の劣化値を「L27」、ノードN[2]とノードN[9]の劣化値を「L29」、ノードN[2]とノードN[10]の劣化値を「L210」と置くと、下記のような方程式および解を得る。
【0200】
L26+L27=10,L26+L29=0,L26+L210= 20,L29+L210=20
∴ L26=0,L27=10,L29=0,L210=20
【0201】
上記のようにして得られた結果を各子ノードのノード情報内のリンク劣化値に設定する。図43(b)は、リンク劣化値を設定した後の子ノードのノード情報を示す図である。
ここまでで、リンク劣化値算出処理は終了し、劣化区間候補抽出処理に戻る。
【0202】
(2.3.5) 続いて、抽出済みの子ノードペアに属するノードそれぞれに付随する測定端末T間の劣化値を算出する(ステップS505)。
【0203】
ノードN[6]−ノードN[7]間の劣化値:10
ノードN[6]−ノードN[9]間の劣化値:0
ノードN[6]−ノードN[10]間の劣化値:20
ノードN[7]−ノードN[9]間の劣化値:10(L27+L29=10)
ノードN[7]−ノードN[10]間の劣化値:30(L27+L210=30)
ノードN[9]−ノードN[10]間の劣化値:20
【0204】
(2.3.6) 算出した測定端末間の劣化値に、劣化閾値「70」を超えるパスは存在しないことから、選択ノードの子ノードの中で、リンク劣化値とリンク合計劣化値の和が最大の子ノードを抽出し、選択ノードの部分木構成ノードに登録する(ステップS506、S512、S513)。
リンク合計劣化値は、任意のノードから測定端末Tまでの劣化値の合計を意味していることから、測定端末Tのノードにおいてはこの値は存在しない。つまり、リンク劣化値が最大となる子ノード(測定端末T)が抽出対象であり、それはノードN[10]となる。図44(a)に示すように、ノードN[10]を選択ノードN[2]のノード情報における部分木構成ノードに登録する。
【0205】
(2.4) 選択ノードである「ノードN[2]」に対して折り返し劣化分析処理を実施する(ステップS70)。
【0206】
(2.4.1) 選択ノードに登録されている部分木構成ノードのリンク劣化値とリンク合計劣化値の和を算出する(ステップS601)。
これは、部分木内における選択ノード(ノードN[2])と測定端末T間の劣化値が最大となる可能性が高い劣化区間候補の劣化値を算出していることを意味する。ここでは、図44(a)に示すように、ノードN[2]の部分木構成ノードに登録されているノードは、ノードN[10]であり、図43(b)に示すように、ノードN[10]のリンク劣化値とリンク合計劣化値の和は「20」である。
【0207】
(2.4.2) 選択ノードの子ノードペア情報の中から、リンク劣化値が設定されている子ノードが属しておらず、かつパス劣化値と算出結果の和が劣化閾値を超える子ノードペアを抽出する(ステップS602)。
この時点で、選択ノード(ノードN[2])の子ノードであるノードN[6]〜ノードN[10]のノード情報は、ノードN[6]、[7]、[9]、[10]については図43(b)、ノードN[8]については図42(d)のように設定されており、全ての子ノード情報にリンク劣化値が設定済みとなっている。また、選択ノードの子ノードペア情報は、図42(b)、(c)、(e)のようになっている。
つまり、子ノードペア情報に設定されているノード(ノードN[6]からノードN[10])のノード情報には、リンク劣化値が設定されていないノードが存在せず、パス劣化値と算出結果の和が劣化閾値を超える子ノードペアが存在しない(ステップS603:NO)。
以上により、折り返し劣化分析はこれで終了となる。
【0208】
(2.5) 続いて、選択ノードである「ノードN[2]」に対して最大劣化区間抽出処理を実施する(ステップS80)。
折り返し劣化分析と同様に、選択ノードに登録されている部分木構成ノードのリンク劣化値とリンク合計劣化値の和を算出する(ステップS701)。先の折り返し劣化分析で、各ノード情報等の変更がないので、リンク劣化値とリンク合計劣化値の和は「20」であり、これを基準劣化値とする。また、リンク劣化値が設定されていない選択ノードの子ノードは存在しない。よって、図44(b)に示すように、選択ノードのリンク合計劣化値に基準劣化値「20」を設定する(ステップS702、S703、S714)。
【0209】
以上により、選択ノード(ノードN[2])をルートノードとする部分木における分析が完了となる。図40(b)は、分析完了後の部分木を示す。同図において劣化値が最大となるパスに属する子ノード及びリンク、ならびに、その劣化値を示している。このように、選択ノードと測定端末T間の劣化値が最大となるパスに属する選択ノードの子ノード(ノードN[10])が決定される。
【0210】
(3) 次に、第一階層に含まれるノードである「ノードN[3]」を選択する(ステップS30)。図45〜図49に、この選択されたノードN[3]に関する処理を説明するための図を示す。
選択ノードがノードN[3]の部分木の処理は、劣化区間候補抽出処理対象となる2つのパス以外に、選択ノード−測定端末T間の劣化値が最大となる区間が含まれている例を示している。
【0211】
(3.1) 選択ノードである「ノードN[3]」に対して部分木データ構築処理を実施する(ステップS40)。つまり、ここでの処理対象は図45(a)に示す範囲である。
ノードN[2]において実施した部分木データ構築処理と同様にして、選択ノードに対するノード情報、選択ノードの子ノード(ノードN[11]からノードN[16])に対するノード情報を生成し、選択ノードの子ノードリストに生成した子ノードのノード情報を追加する。図46(a)に生成した選択ノードのノード情報と、各ノード情報に追加した子ノードのノード情報を示す。
【0212】
(3.2) 選択ノードである「ノードN[3]」に対して部分木内測定処理を実施する(ステップS50)。
ノードN[2]における部分木内測定処理と同様に、子ノードペアを生成し、選択ノードに子ノードペア情報を追加する。また、各ペア内のノードそれぞれに付随する測定端末T間で測定を実施し、パス劣化値を算出する。ここでは、ノードN[11]−ノードN[12]、ノードN[13]−ノードN[14]、ノードN[15]−ノードN[16]をそれぞれペアとする。また、各ペアにおけるパス劣化値は、ノードN[11]−ノードN[12]間では「30(=15+15)」、ノードN[13]−ノードN[14]間では「25(=10+15)」、ノードN[15]−ノードN[16]間では「20(=0+20)」となる。
以上から、図46(b)に示すように子ノードペア情報が生成され、選択ノードのノード情報の子ノードペアリストが追加になる。
劣化閾値を超えるパス劣化値は存在しないので、本処理はこれで終了となる。
【0213】
(3.3) 続いて、選択ノードである「ノードN[3]」に対して劣化区間候補抽出処理を実施する(ステップS60)。
選択ノードN[3]の子ノードペア情報に設定されているパス劣化値の最大値は「0」ではないため、パス劣化値の最も大きい2つの子ノードペア情報を抽出する。ここでは、選択ノードN[3]の子ノードペア情報は図46(b)に示す通りのため、パス劣化値「30」が設定されているノードN[11]及びノードN[12]の子ノードペア情報と、パス劣化値「25」が設定されているノードN[13]及びノードN[14]の子ノードペア情報が抽出されることになる。
【0214】
(3.3.1) 抽出された2つの子ノードペア情報に基づいて、リンク劣化値算出処理を実施する。
選択ノードがノードN[2]であるときに実施したリンク劣化値算出処理と同様にして、ノードN[3]−ノードN[11]間、ノードN[3]−ノードN[12]間、ノードN[3]−ノードN[13]間、ノードN[3]−ノードN[14]間の各劣化値を算出し、各子ノード情報のリンク劣化値に設定する。算出結果は以下のようになる。
【0215】
ノードN[3]−ノードN[11]間の劣化値:15
ノードN[3]−ノードN[12]間の劣化値:15
ノードN[3]−ノードN[13]間の劣化値:10
ノードN[3]−ノードN[14]間の劣化値:15
【0216】
よって、ノードN[11]からノードN[14]のノード情報は図47(a)に示すようになる。
【0217】
次に、抽出済みの子ノードペアに属するノードそれぞれに付随する測定端末T間の劣化値を算出する。算出結果は以下のようになる。
【0218】
ノードN[11]−ノードN[12]間の劣化値:30
ノードN[11]−ノードN[13]間の劣化値:25
ノードN[11]−ノードN[14]間の劣化値:30
ノードN[12]−ノードN[13]間の劣化値:25
ノードN[12]−ノードN[14]間の劣化値:30
ノードN[13]−ノードN[14]間の劣化値:25
【0219】
上記により得られた測定端末間の劣化値の中に、劣化閾値「70」を超えるパスは存在しないことから、選択ノードの子ノードの中で、リンク劣化値とリンク合計劣化値の和が最大の子ノードであるノードを、選択ノードの部分木構成ノードに登録する。
ここでは、3区間の劣化値が最大であるので、ランダムに選択し、ノードN[11]を選択することとする。
以上により、図48(a)に示すように、ノードN[11]を選択ノードN[3]のノード情報における部分木構成ノードに登録する。
【0220】
(3.4) 選択ノードである「ノードN[3]」に対して折り返し劣化分析処理を実施する(ステップS70)。
図48(a)に示すように、選択ノードの部分木構成ノードに登録されているノードはノードN[11]であり、図47(a)に示すように、ノードN[11]のノード情報に登録されているリンク劣化値とリンク合計劣化値の和は「15」である。また、選択ノードに登録されている子ノードのノード情報の中で、ノードN[15]とノードN[16]のノード情報については図46(a)に示す設定内容のままであり、リンク劣化値に値が設定されていない。
選択ノードにおいて、ノードN[15]とノードN[16]はペアであり、子ノードペア情報は図46(b)に示すようになっている。
この子ノードペア情報に設定されているパス劣化値は「20」であり、部分木構成ノード(ノードN[11])のリンク劣化値とリンク合計劣化値の和は「15」であることから、2つの劣化値の和は「35(=20+15)」であり、劣化閾値「70」を超えない。
つまり、選択ノード(ノードN[3])をルートノードとする部分木内において、選択ノードで折り返す通信パスが劣化パスにはなりえないことを意味している。
以上により、折り返し劣化分析はこれで終了となる。
【0221】
(3.5) 続いて、選択ノードである「ノードN[3]」に対して最大劣化区間抽出処理を実施する(ステップS80)。
【0222】
(3.5.1) 部分木構成ノード(ノードN[11])を基準とした比較処理を実施する。
図47(a)に示す部分木構成ノード(ノードN[11])のリンク劣化値「15」とリンク合計劣化値「NULL」の和が基準劣化値であり、その値は「15」である。また、図46(b)に示す選択ノードの子ノードペア情報の中に、図46(a)に示すようにリンク劣化値が設定されてないノード(ノードN[15]、ノードN[16])が属する子ノードペア情報が存在し、図46(b)に示す子ノードペア情報からそのパス劣化値は「20」であり、基準劣化値を超える(ステップS703:YES)。
これは、パス劣化値は小さいが、選択ノードと各子ノードに付随する測定端末T間の劣化値が、劣化区間候補抽出処理によって抽出した選択ノードと測定端末T間の劣化値を超える可能性があることを意味している。
【0223】
ノードN[15]とノードN[16]間のパス劣化値は「20」であることから、図49に示す状態(a)もしくは状態(b)のような場合が考えられる。
状態(a)の時は、選択ノードと子ノード間の劣化値は、劣化区間候補の劣化値「15」を超えないため、選択ノードと子ノード間の劣化値が最大となる子ノードはノードN[11]であると言える。一方、状態(b)の時は、劣化区間候補の劣化値「15」を超え、選択ノードと子ノード間の劣化値が最大となる子ノードはノードN[15]となる。
そこでステップS704以降では、基準劣化値を超えるパス劣化値が設定されたパスが、このどちらの状態となるのか分析している。
【0224】
そこで、抽出された子ノードペア情報(ノードN[15]とノードN[16]が属する子ノードペア情報)に属するノードをランダムに選択する。ここでは、ノードN[15]を選択することとする。また、選択したノードに付随する測定端末Tを特定する。ここではノードN[15]が測定端末Tなので、ノードN[15]が特定対象の測定端末Tとなる(ステップS705)。
【0225】
選択ノードに登録されている部分木構成ノードに付随する測定端末Tを特定する(ステップS706)。
部分木構成ノードはノードN[11]であり、また、ノードN[11]は測定端末Tなので、特定対象の測定端末TはノードN[11]である。
【0226】
特定した測定端末T間で測定を実施し、測定劣化値を算出するとともに、選択ノードと各測定端末T間の劣化値(比較劣化値)を算出する(ステップS707、S708)。
ノードN[11]とノードN[15]間で測定した際の劣化値は「15」となる。ここで、ノードN[3]とノードN[11]間の劣化値を「L311」、ノードN[3]とノードN[15]間の劣化値を「L315」、ノードN[3]とノードN[16]間の劣化値を「L316」とおくと、以下が成り立つ。
【0227】
L311+L315=15,L315+L316=20,L311=15
∴ L315=0,L316=20
【0228】
ここでの処理対象部分木は、選択ノードが第一階層のノードであり、選択ノードの子ノードは測定端末Tのノードであるため、上記の計算結果が選択ノードと子ノード間の劣化値となる。そのため、図47(b)に示すように、計算結果を各子ノード(ノードN[15]とノードN[16])のリンク劣化値に設定する(ステップS709)。
【0229】
また、基準劣化値は「15」であり、比較劣化値はノードN[3]−ノードN[15]間の劣化値「0」およびノードN[3]−ノードN[16]間の劣化値「20」であることから、基準劣化値を超える比較劣化値が存在することになる(ステップS710:YES)。
図48(b)に示すように、基準劣化値を超えるパス(ノードN[3]−ノードN[16]間のパス)に属する選択ノードの子ノードであるノードN[16]を、選択ノードの部分木構成ノードに登録する(ステップS711)。
選択ノードにおける部分木構成ノードの変更が生じたため、新たな部分木構成ノードを利用して、再度、最大劣化区間抽出処理を実施する(ステップS712)。
【0230】
(3.5.2) 最大劣化区間抽出処理において、部分木構成ノード(ノードN[16])を基準とした比較処理を実施する。
図47(b)に示すノードN[16]の部分木構成ノードのリンク劣化値「20」とリンク合計劣化値「NULL」の和が基準劣化値であり、その値は「20」である。また、先の処理により、選択ノード(ノードN[3])の子ノードにリンク劣化値が設定されていないノードは存在しなくなった。そのため、図48(c)に示すように、選択ノードのリンク合計劣化値に基準劣化値「20」を設定する。
【0231】
以上により、選択ノード(ノードN[3])をルートノードとする部分木における分析が完了となる。図45(b)は、分析完了後の部分木を示す。同図において、劣化値が最大となるパスに属する子ノード及びリンク、ならびに、その劣化値を示している。このように、選択ノードと測定端末T間の劣化値が最大となるパスに属する選択ノードの子ノード(ノードN[16])が決定される。
【0232】
(4) 次に、第一階層に含まれるノードである「ノードN[4]」を選択する(ステップS30)。図50〜図53に、この選択されたノードN[4]に関する処理を説明するための図を示す。
選択ノードがノードN[4]の部分木の処理は、部分木内測定によって劣化パスが検出される例を示している。
【0233】
(4.1) 選択ノードである「ノードN[4]」に対して部分木データ構築処理を実施する(ステップS40)。つまり、ここでの処理対象は図50(a)に示す範囲である。
ノードN[2]において実施した部分木データ構築処理と同様にして、選択ノードに対するノード情報、選択ノードの子ノード(ノードN[17]からノードN[20])に対するノード情報を生成し、選択ノードの子ノードリストに生成した子ノードのノード情報を追加する。図51(a)に生成した選択ノードのノード情報と、各ノード情報に追加した子ノードのノード情報を示す。
【0234】
(4.2) 選択ノードである「ノードN[4]」に対して部分木内測定処理を実施する(ステップS50)。
ノードN[2]における部分木内測定処理と同様に、子ノードペアを生成し、選択ノードに子ノードペア情報を追加する。また、各ペア内のノードそれぞれに付随する測定端末T間で測定を実施し、パス劣化値を算出する。ここでは、ノードN[17]−ノードN[18]、ノードN[19]−ノードN[20]をそれぞれペアとする。また、各ペアにおけるパス劣化値は、ノードN[17]−ノードN[18]間では「70(=30+20+20)」、ノードN[19]−ノードN[20]間では「25(=20+5)」となる。
以上から、図51(b)に示すように子ノードペア情報が生成され、選択ノードのノード情報の子ノードペアリストが追加になる。
劣化閾値は「70」であり、ノードN[17]−ノードN[18]間のパス劣化値が「70」であることから、このパスを劣化パスとして検出する(ステップS217〜S219)。
【0235】
(4.2.1) 劣化パスとして抽出された子ノードペア情報を利用して、測定劣化パス処理を実施する(ステップS220)。
部分木内測定において劣化パスとして抽出された子ノードペア情報は1つだけであるため、選択ノードの子ノードペア情報から、抽出子ノードペア情報以外の子ノードペア情報をランダムに選択する。ここでは、ノードN[19]とノードN[20]の子ノードペア情報を選択する(ステップS302、S304)。
つまり、次のリンク劣化値算出処理対象2つの子ノードペア情報は、図51(b)に示す2つとなる。
【0236】
(4.2.1.1) 抽出された2つの子ノードペア情報に基づいて、リンク劣化値算出処理を実施する。
選択ノードがノードN[2]であるときに実施したリンク劣化値算出処理と同様にして、ノードN[4]−ノードN[17]間、ノードN[4]−ノードN[18]間、ノードN[4]−ノードN[19]間、ノードN[4]−ノードN[20]間の各劣化値を算出し、各子ノード情報のリンク劣化値に設定する。算出結果は以下のようになる。
【0237】
ノードN[4]−ノードN[17]間の劣化値:40
ノードN[4]−ノードN[18]間の劣化値:30
ノードN[4]−ノードN[19]間の劣化値:10
ノードN[4]−ノードN[20]間の劣化値:15
【0238】
よって、ノードN[17]からノードN[20]のノード情報は図52(a)に示すようになる。
【0239】
選択ノード(ノードN[4])は第一階層のノードであることから、図52(b)に示すように劣化パスとして抽出された子ノードペア情報のパス劣化値に「0」を設定し、この子ノードペア情報に属するノード(ノードN[17]およびノードN[18])それぞれのノード情報に対し、リンク劣化補正値にリンク劣化値を設定し、リンク劣化値に「0」を設定する(ステップS307、S308)。
【0240】
(4.3) 選択ノードである「ノードN[4]」に対して劣化区間候補抽出処理を実施する(ステップS60)。
選択ノードN[4]の子ノードペア情報に設定されているパス劣化値の最大値は「0」ではないため、パス劣化値の最も大きい2つの子ノードペア情報を抽出する。ここでは、選択ノードN[4]の子ノードペア情報は2つしかないため、パス劣化値「0」が設定されているノードN[17]及びノードN[18]の子ノードペア情報(図52(b))と、パス劣化値「25」が設定されているノードN[19]及びノードN[20]の子ノードペア情報(図51(b))が抽出されることになる。
【0241】
(4.3.1) 抽出された2つの子ノードペア情報に基づいて、リンク劣化値算出処理を実施する。
抽出された2つの子ノードペア情報に属するノードのノード情報は、ノードN[17]及びノードN[18]については、図52(b)に示すように、ノードN[19]及びノードN[20]については、図52(a)に示すようになっている。既に、全てのノードのリンク劣化値は算出済みであるため、新たな処理をせずに、リンク劣化値算出処理は終了となる(ステップS401:YES)。
【0242】
次に、抽出済みの子ノードペアに属するノードそれぞれに付随する測定端末T間の劣化値を算出する。算出結果は以下のようになる。
【0243】
ノードN[17]−ノードN[18]間の劣化値:0
ノードN[17]−ノードN[19]間の劣化値:10
ノードN[17]−ノードN[20]間の劣化値:15
ノードN[18]−ノードN[19]間の劣化値:10
ノードN[18]−ノードN[20]間の劣化値:15
ノードN[19]−ノードN[20]間の劣化値:25
【0244】
上記により得られた測定端末間の劣化値の中に、劣化閾値「70」を超えるパスは存在しないことから、図53(a)に示すように、選択ノードの子ノードの中で、リンク劣化値とリンク合計劣化値の和が最大の子ノードであるノードN[20]を、選択ノードの部分木構成ノードに登録する。
【0245】
(4.4) 選択ノードである「ノードN[4]」に対して折り返し劣化分析処理を実施する(ステップS70)。
図53(a)に示すように、選択ノードの部分木構成ノードに登録されているノードはノードN[20]であり、図52(a)に示すように、ノードN[20]のリンク劣化値とリンク合計劣化値の和は「15」である。また、図52(a)及び図52(b)に示すように、選択ノード(ノードN[4])に登録されている子ノードN[17]〜[20]のノード情報には、リンク劣化値が設定されていないノードは存在しない。
よって、折り返し劣化分析はこれで終了となる。
【0246】
(4.5) 選択ノードである「ノードN[4]」に対して最大劣化区間抽出処理を実施する(ステップS80)。
図52(a)に示すノードN[20]の部分木構成ノード(ノードN[20])のリンク劣化値「15」とリンク合計劣化値「NULL]の和が基準劣化値であり、その値は「15」である。また、選択ノード(ノードN[4])に登録されている子ノードの中で、リンク劣化値が設定されていないノードは存在しないことから、図53(b)に示すように、基準劣化値「15」を選択ノードのリンク合計劣化値に設定する。
【0247】
以上により、選択ノード(ノードN[4])をルートノードとする部分木における分析が完了となる。図50(b)は、分析完了後の部分木を示す。同図において、劣化値が最大となるパスに属する子ノード及びリンク、ならびに、その劣化値を示している。このように、選択ノードと測定端末T間の劣化値が最大となるパスに属する選択ノードの子ノード(ノードN[20])が決定される。
【0248】
(5) 次に、第一階層に含まれるノードである「ノードN[5]」を選択する(ステップS30)。図54〜図59に、この選択されたノードN[5]に関する処理を説明するための図を示す。
選択ノードがノードN[5]の部分木の処理は、劣化区間候補抽出処理を行う範囲内には劣化パスは検出されないが、劣化区間候補と他のパスの選択ノード−測定端末T間を結ぶ区間とを結ぶようなパスが劣化パスとなる例を示している。
【0249】
(5.1) 選択ノードである「ノードN[5]」に対して部分木データ構築処理を実施する(ステップS40)。つまり、ここでの処理対象は図54(a)に示す範囲である。
ノードN[2]において実施した部分木データ構築処理と同様にして、選択ノードに対するノード情報、選択ノードの子ノード(ノードN[21]からノードN[26])に対するノード情報を生成し、選択ノードの子ノードリストに生成した子ノードのノード情報を追加する。図55(a)に生成した選択ノードのノード情報と、各ノード情報に追加した子ノードのノード情報を示す。
【0250】
(5.2) 選択ノードである「ノードN[5]」に対して部分木内測定処理を実施する(ステップS50)。
ノードN[2]における部分木内測定処理と同様に、子ノードペアを生成し、選択ノードのノード情報のノードペアリストに子ノードペア情報を追加する。また、各ペア内のノードそれぞれに付随する測定端末T間で測定を実施し、パス劣化値を算出する。ここでは、ノードN[21]−ノードN[22]、ノードN[23]−ノードN[24]、ノードN[25]−ノードN[26]をそれぞれペアとする。各ペアにおけるパス劣化値は、ノードN[21]−ノードN[22]間では「50(=30+20)」、ノードN[23]−ノードN[24]間では「60(=30+30)」、ノードN[25]−ノードN[26]間では「40(=0+40)」となる。
以上から、図55(b)に示すように子ノードペア情報が生成され、選択ノードのノード情報の子ノードペアリストが追加になる。
劣化閾値を超えるパス劣化値は存在しないので、本処理はこれで終了となる。
【0251】
(5.3) 選択ノードである「ノードN[5]」に対して劣化区間候補抽出処理を実施する(ステップS60)。
選択ノードN[5]の子ノードペア情報に設定されているパス劣化値の最大値は「0」ではないため、パス劣化値の最も大きい2つの子ノードペア情報を抽出する。ここでは、選択ノードN[5]の子ノードペア情報は、図55(b)に示す通りのため、パス劣化値「50」が設定されているノードN[21]及びノードN[22]の子ノードペア情報とパス劣化値「60」が設定されているノードN[23]及びノードN[24]の子ノードペア情報が抽出されることになる。
【0252】
(5.3.1) 抽出された2つの子ノードペア情報に基づいて、リンク劣化値算出処理を実施する。
選択ノードがノードN[2]であるときに実施したリンク劣化値算出処理と同様にして、ノードN[5]−ノードN[21]間、ノードN[5]−ノードN[22]間、ノードN[5]−ノードN[23]間、ノードN[5]−ノードN[24]間の各劣化値を算出し、各子ノード情報のリンク劣化値に設定する。算出結果は以下のようになる。
【0253】
ノードN[5]−ノードN[21]間の劣化値:30
ノードN[5]−ノードN[22]間の劣化値:20
ノードN[5]−ノードN[23]間の劣化値:30
ノードN[5]−ノードN[24]間の劣化値:30
【0254】
よって、ノードN[21]からノードN[24]のノード情報は図56(a)に示すようになる。
【0255】
次に、抽出済みの子ノードペアに属するノードそれぞれに付随する測定端末T間の劣化値を算出する。算出結果は以下のようになる。
【0256】
ノードN[21]−ノードN[22]間の劣化値:50
ノードN[21]−ノードN[23]間の劣化値:60
ノードN[21]−ノードN[24]間の劣化値:60
ノードN[22]−ノードN[23]間の劣化値:50
ノードN[22]−ノードN[24]間の劣化値:50
ノードN[23]−ノードN[24]間の劣化値:60
【0257】
上記により得られた測定端末間の劣化値の中に、劣化閾値「70」を超えるパスは存在しないことから、選択ノードの子ノードの中で、リンク劣化値とリンク合計劣化値の和が最大の子ノードであるノードを、選択ノードの部分木構成ノードに登録する。
ここでは、3区間の劣化値が最大であるので、ランダムに選択し、ノードN[21]を選択することとする。
以上により、ノードN[21]を選択ノードN[5]のノード情報における部分木構成ノードに登録する。
【0258】
(5.4) 選択ノードである「ノードN[5]」に対して折り返し劣化分析処理を実施する(ステップS70)。
選択ノードの部分木構成ノードに登録されているノードはノードN[21]であり、図56(a)に示すように、ノードN[21]のノード情報に登録されているリンク劣化値とリンク合計劣化値の和は「30」である。また、図56(a)に示すように、選択ノードに登録されている子ノードのノード情報の中で、ノードN[25]とノードN[26]のノード情報についてはリンク劣化値に値が設定されていない。
選択ノードにおいて、ノードN[25]とノードN[26]はペアであり、子ノードペア情報は図55(b)に示すようになっている。
この子ノードペア情報に設定されているパス劣化値は「40」であり、部分木構成ノード(ノードN[21])のリンク劣化値とリンク合計劣化値の和は「30」であることから、2つの劣化値の和は「70(=30+40)」であり、劣化閾値「70」以上となる(ステップS603:YES)。
つまり、部分木構成ノード(ノードN[21])に付随する測定端末Tと、抽出された子ノードペアのいずれかに付随する測定端末T間が劣化パスとなる可能性があることを意味している。
【0259】
ノードN[25]とノードN[26]間のパス劣化値は「40」であることから、図57に示す状態(a)もしくは状態(b)のような場合が考えられる。
状態(a)の時は、選択ノードとノードN[25]もしくは選択ノードとノードN[26]間の劣化値と、ノードN[21]のリンク劣化値とリンク合計劣化値の和が「70」未満となる。状態(b)のときは、選択ノードとノードN[25]もしくは選択ノードとノードN[26]間のいずれか一方と、ノードN[21]のリンク劣化値とリンク合計劣化値の和が「70」以上となる。
そこでステップS604以降では、劣化区間候補と他のパス内の選択ノード−測定端末T区間を結ぶことで、劣化パスとなるかどうか分析している。
【0260】
抽出された子ノードペア情報(ノードN[25]とノードN[26]が属する子ノードペア情報)に属するノードをランダムに選択する。ここでは、ノードN[25]を選択することとする。また、選択したノードに付随する測定端末Tを特定する。ここではノードN[25]が測定端末Tなので、ノードN[25]が特定対象の測定端末Tとなる(ステップS605)。
【0261】
選択ノードに登録されている部分木構成ノードに付随する測定端末Tを特定する(ステップS606)。
部分木構成ノードはノードN[21]であり、また、ノードN[21]は測定端末Tなので、特定対象の測定端末TはノードN[21]である。
【0262】
特定した測定端末T間で測定を実施し、測定劣化値を算出するとともに、選択ノードと各測定端末T間の劣化値を算出する(ステップS607、S608)。
ノードN[21]とノードN[25]間で測定した際の劣化値は「30」となる。ここで、ノードN[5]とノードN[21]間の劣化値を「L521」、ノードN[5]とノードN[25]間の劣化値を「L525」、ノードN[5]とノードN[26]間の劣化値を「L526」とおくと、以下が成り立つ。
【0263】
L521+L525=30,L525+L526=40,L521=30
∴ L525=0,L526=40
【0264】
ノードN[25]およびノードN[26]は、測定端末Tノードであることから、上記の計算結果が選択ノードと子ノード間の劣化値となる。そのため、図56(b)に示すように、計算結果を各子ノード(ノードN[25]とノードN[26])のノード情報のリンク劣化値に設定する(ステップS609)。
【0265】
各測定端末T(ノードN[21]、ノードN[25]、ノードN[26])間の劣化値は以下のようになる(ステップS610)。
【0266】
ノードN[21]−ノードN[25]間の劣化値:30
ノードN[21]−ノードN[26]間の劣化値:70
ノードN[25]−ノードN[26]間の劣化値:40
【0267】
このとき、劣化閾値「70」以上のパスが存在しているので、これを劣化パスとして検出する(ステップS611、S612)。劣化パスに属する選択ノードの子ノードは、ノードN[21]とノードN[26]である(ステップS613)。また、選択ノードは第一階層に属していることから、図56(c)に示すように、抽出した子ノード(ノードN[21]とノードN[26])のリンク劣化補正値にリンク劣化値を設定し、リンク劣化値に「0」を設定する(ステップS614、S618)。
【0268】
また、抽出した子ノード(ノードN[21]とノードN[26])が属するそれぞれの子ノードペア情報のパス劣化値から、子ノードのリンク劣化補正値を減算し、減算結果をそれぞれのパス劣化値に設定する(ステップS619)。
ノードN[21]およびノードN[26]が属する子ノードペア情報は図55(b)に示すようになっている。よって、図56(d)に示すように、それぞれの子ノードペア情報のパス劣化値から、属するノードのリンク劣化補正値を減算する。
【0269】
以上の処理により、劣化区間候補抽出処理によって抽出された部分木構成ノードに付随する測定端末Tと選択ノード間の劣化値は「0」に補正されたことになる。つまり、この時点で選択ノードに登録されている部分木構成ノードは、選択ノード(ノードN[5])をルートノードとする部分木内において、選択ノードと測定端末T間の劣化値が最大となる区間内の子ノードではない可能性がある。
そのため、再度、劣化区間候補抽出処理を実施すると共に、抽出された区間が劣化パスを構成するかどうか分析を行う(ステップS620、S621)。
【0270】
ここまでの処理によって、各ノード情報や子ノードペア情報は図58に示すようになっている。
【0271】
(5.4.1) 選択ノードである「ノードN[5]」に対して劣化区間候補抽出処理を実施する(ステップS620)。
図58に示すように、選択ノードN[5]の子ノードペア情報に設定されているパス劣化値の最大値は「0」ではないため、同様にして、パス劣化値の最も大きい2つの子ノードペア情報を抽出する。ここでは、パス劣化値「20」が設定されているノードN[21]及びノードN[22]の子ノードペア情報と、パス劣化値「60」が設定されているノードN[23]及びノードN[24]の子ノードペア情報を抽出する。
【0272】
(5.4.1.1) 抽出された2つの子ノードペア情報に基づいて、リンク劣化値算出処理を実施する。
抽出された子ノードペア情報に属するノード(ノードN[21]からノードN[24])全てにおいて、リンク劣化値が設定済みであることから、本処理は終了となる。
【0273】
抽出済みの子ノードペアに属する子ノードのリンク劣化値、およびリンク合計劣化値より、各子ノードに付随する測定端末T間の劣化値は、以下のようになる。
【0274】
ノードN[21]−ノードN[22]間の劣化値:20
ノードN[21]−ノードN[23]間の劣化値:30
ノードN[21]−ノードN[24]間の劣化値:30
ノードN[22]−ノードN[23]間の劣化値:50
ノードN[22]−ノードN[24]間の劣化値:50
ノードN[23]−ノードN[24]間の劣化値:60
【0275】
上記により得られた測定端末間の劣化値の中に、劣化閾値「70」を超えるパスは存在しないことから、選択ノードの子ノードの中で、リンク劣化値とリンク合計劣化値の和が最大の子ノードであるノードを、選択ノードの部分木構成ノードに登録する。
ここでは、2区間の劣化値が最大であるので、ランダムに選択し、ノードN[23]を選択することとする。
以上により、図59(a)に示すように、ノードN[23]を選択ノードN[5]のノード情報における部分木構成ノードに登録する。
【0276】
(5.4.2) 選択ノードである「ノードN[5]」に対して折り返し劣化分析処理を実施する(ステップS621)。
選択ノードの部分木構成ノードに登録されているノードはノードN[23]であり、図58に示すように、ノードN[23]のノード情報に設定されているリンク劣化値とリンク合計劣化値の和は「30」である。また、選択ノードのノード情報に子ノードリストとして設定されている子ノードのノード情報は図58に示すようになっており、リンク劣化値が設定されていないノード情報は存在しない。
よって、ノードN[5]をルートノードとする部分木内においては、劣化パスはこれ以上存在しない。
【0277】
(5.5) 選択ノードである「ノードN[5]」に対して最大劣化区間抽出処理を実施する(ステップS80)。
図58に示すように、部分木構成ノード(ノードN[23])のリンク劣化値「30」とリンク合計劣化値「NULL」の和が基準劣化値であり、その値は「30」である。
選択ノード(ノードN[5])に登録されている子ノードの中で、リンク劣化値が設定されていないノードは存在しないことから、図59(b)に示すように、基準劣化値「30」を選択ノードのノード情報のリンク合計劣化値に設定する。
【0278】
以上により、選択ノード(ノードN[5])をルートノードとする部分木における分析が完了となる。図54(b)は、分析完了後の部分木を示す。同図において、劣化値が最大となるパスに属する子ノード及びリンク、ならびに、その劣化値を示している。このように、選択ノードと測定端末T間の劣化値が最大となるパスに属する選択ノードの子ノード(ノードN[23])が決定される。
【0279】
以上により、第一階層に属するノードN[2]からノードN[5]までの処理が終了となり、第二階層のノードに対する処理に移行する。
【0280】
(6) 第二階層に含まれるノードである「ノードN[1]」を選択する(ステップS30)。図60〜図69に、この選択されたノードN[1]に関する処理を説明するための図を示す。
第二階層以上のノードが選択ノードのときの処理対象となる部分木は、選択ノードと選択ノードの子ノードを接続する部分木、および第一階層に属する各子ノード(ノードN[2]からノードN[5])と測定端末T間の劣化値が最大となる区間(各子ノードの部分木構成ノードをたどることで得られる測定端末Tまでの区間)から構成される。
本例では、図60に示す部分木が処理対象となる範囲である。
【0281】
図60において、第一階層のノードと測定端末T間のリンクに記載されている数値は、第一階層の各部分木における処理において算出済みの既知の劣化値である。
また、ノードN[1]とノードN[2]間の数値は、ノードN[1]とノードN[2]間のリンクに含まれる未知の劣化値である。
ノードN[1]とノードN[4]間の括弧付きの数値は、ノードN[4]に劣化値「20」があるため、計算上、ノードN[1]とノードN[4]間の劣化値として現れる、現時点では未知の劣化値である。
【0282】
選択ノードがノードN[1]の部分木の処理は、部分木内測定では劣化パスが検出されないが、劣化区間候補抽出処理で劣化パスが検出され、それに伴い部分木データ再構築処理が行われる例を示している。
【0283】
(6.1) 選択ノードである「ノードN[1]」に対して部分木データ構築処理を実施する(ステップS40)。
(6.1.1) まず、選択ノードに対するノード情報を生成する(ステップS101)。これにより、図61(a)に示すように、ノードID「1」が設定されたノード情報が生成される。
(6.1.2) 続いて、トポロジ情報から、選択ノードの子ノードを抽出する。本例では、ノードN[2]の子ノードは、ノードN[2]からノードN[5]である(ステップS102)。
抽出した子ノードのノード情報は生成済みであることから、図61(b)に示すようにノードN[2]からノードN[5]の子ノード情報を、生成したノードN[1]のノード情報の子ノードリストに追加する(ステップS103、S105)。ノードN[2]のノード情報は図44(b)に、ノードN[3]のノード情報は図48(c)に、ノードN[4]のノード情報は図53(b)に、ノードN[5]のノード情報は図59(b)に示すおとりである。
【0284】
(6.2) 選択ノードである「ノードN[1]」に対して部分木内測定処理を実施する(ステップS50)。
【0285】
(6.2.1) 選択ノードの子ノードであるノードN[2]からノードN[5]の中で未選択のノードに対して処理を行う(ステップS201)。
【0286】
(6.2.2) 選択ノードは第二階層に属しており、未選択の子ノードは2つ以上存在することから、その中からリンク合計劣化値の最も大きい2つの子ノードを選択する(ステップS202、S203、S205)。
この時点で未選択の子ノードは、全ての子ノードであり、各子ノードのノード情報は、ノードN[2]について図44(b)に、ノードN[3]については図48(c)に、ノードN[4]については図53(b)に、ノードN[5]について図59(b)に示すようになっていることから、リンク合計劣化値の最も大きいノードN[5]と2番目にリンク合計劣化値の最も大きいノードN[3]をペアとする。2番目にリンク合計劣化値の最も大きいノードはノードN[2]とノードN[3]であるが、ここではランダムにノードN[3]を選択したものとする。
【0287】
(6.2.3) 図62(a)に示すように、子ノードペア情報を生成し、選択した子ノードペアのノードIDを設定する。また、子ノードペア情報を選択ノードに追加する(ステップS209、S210)。
【0288】
選択した2つの子ノード(ノードN[3]とノードN[5])それぞれに付随する2つの測定端末Tを特定する(ステップS211)。ノードN[3]のノード情報に登録されている部分木構成ノードはノードN[16]であり、ノードN[16]は測定端末Tノードであるので、ノードN[3]に付随する測定端末TはノードN[16]となる。同様にして、ノードN[5]に付随する測定端末TはノードN[23]である。
特定した2つの測定端末T(ノードN[16]とノードN[23])間で測定を実施し、パス劣化値を算出する(ステップS212〜S214)。
本例では、パス劣化値は「50」であることから、図62(b)に示すように、子ノードペア情報のパス劣化値に算出結果を設定する。
【0289】
同様にして、ノードN[2]とノードN[4]を子ノードペアとし、子ノードペア情報の生成、選択ノードへの子ノードペア情報の追加を行う。また、各子ノード(ノードN[2]とノードN[4])それぞれに付随する測定端末T(ノードN[10]とノードN[20])間で測定を実施し、算出したパス劣化値「65」を子ノードペア情報に設定する(ステップS202、S203、S205、S209〜S214)。
以上の処理により、各情報は図62(c)に示すようになる。
パス劣化値は共に劣化閾値「70」未満であることから、これで部分木内測定処理を終了する。
【0290】
(6.3) 選択ノードである「ノードN[1]」に対して劣化区間候補抽出処理を実施する(ステップS60)。
選択ノードN[1]の子ノードペア情報に設定されているパス劣化値の最大値は「0」ではないため、パス劣化値の最も大きい2つの子ノードペア情報を抽出する(ステップS501、S503)。本例では、図62(b)及び(c)に示すように、ノードN[1]が持つ子ノードペア情報は2つしかないので、その2つが抽出されることになる。
【0291】
(6.3.1) 抽出された2つの子ノードペア情報に基づいて、リンク劣化値算出処理を実施する。
ノードN[2]におけるリンク劣化値算出処理と同様にして、ノードN[1]とノードN[1]の子ノード(ノードN[2]からノードN[5])それぞれに付随する測定端末T間の劣化値を算出する(ステップS401、S402、S405〜S409)。
ノードN[1]と各測定端末T間の劣化値は以下のようになる。
【0292】
ノードN[1]−ノードN[10](ノードN[2]に付随する測定端末T)間の劣化値:40
ノードN[1]−ノードN[16](ノードN[3]に付随する測定端末T)間の劣化値:20
ノードN[1]−ノードN[20](ノードN[3]に付随する測定端末T)間の劣化値:25
ノードN[1]−ノードN[23](ノードN[4]に付随する測定端末T)間の劣化値:30
【0293】
抽出した2つの子ノードペア情報内の各子ノードとその親ノード(選択ノード)間の劣化値を算出し、各子ノードのリンク劣化値に設定する(ステップS410)。
ここで、ノードN[1]の子ノード(ノードN[2]からノードN[5])におけるリンク合計劣化値(各子ノードから付随する測定端末Tまでの合計劣化値)がわかっており、それぞれ以下のようになっている。
【0294】
ノードN[2]からノードN[2]に付随する測定端末T(ノードN[10])間の劣化値:20
ノードN[3]からノードN[3]に付随する測定端末T(ノードN[16])間の劣化値:20
ノードN[4]からノードN[4]に付随する測定端末T(ノードN[20])間の劣化値:15
ノードN[5]からノードN[5]に付随する測定端末T(ノードN[23])間の劣化値:30
【0295】
以上から、ノードN[1]と各子ノード(ノードN[2]からノードN[5])間の劣化値は、以下のようになる。
ノードN[1]とノードN[2]間の劣化値:20(=(ノードN[1]とノードN[10]間の劣化値)−(ノードN[2]とノードN[10]間の劣化値)=40−20)
ノードN[1]とノードN[3]間の劣化値:0(=(ノードN[1]とノードN[16]間の劣化値)−(ノードN[3]とノードN[16]間の劣化値)=20−20)
ノードN[1]とノードN[4]間の劣化値:10(=(ノードN[1]とノードN[20]間の劣化値)−(ノードN[4]とノードN[20]間の劣化値)=25−15)
ノードN[1]とノードN[5]間の劣化値:0(=(ノードN[1]とノードN[23]間の劣化値)−(ノードN[5]とノードN[23]間の劣化値)=30−30)
【0296】
よって、ノードN[2]からノードN[5]のノード情報のリンク劣化値は図63に示すようになる。
ここまでで、リンク劣化値算出処理は終了し、劣化区間候補抽出処理に戻る。
【0297】
続いて、抽出済みの子ノードペアに属するノードそれぞれに付随する測定端末T間の劣化値を算出する(ステップS505)。
【0298】
ノードN[10]−ノードN[16]間の劣化値:60
ノードN[10]−ノードN[20]間の劣化値:65
ノードN[10]−ノードN[23]間の劣化値:70
ノードN[16]−ノードN[20]間の劣化値:45
ノードN[16]−ノードN[23]間の劣化値:50
ノードN[20]−ノードN[23]間の劣化値:55
【0299】
ノードN[10]−ノードN[23]間の劣化値が「70」であり、劣化閾値以上となるため、このパスを劣化パスとして検出すると共に、劣化パス内の選択ノードの子ノードを抽出する(ステップS506〜S508)。
ここで抽出されたノードは、ノードN[2]とノードN[5]となる。
また、選択ノード(ノードN[1])は第二階層であることから、抽出した2つのノード(ノードN[2]とノードN[5])を利用して、部分木データ再構築処理を実施する(ステップS508−1、S509)。
【0300】
(6.3.2) 抽出したノード(ノードN[2]とノードN[5])に対して、部分木データ再構築処理を実施する。
まず、各抽出ノードから抽出ノードそれぞれに付随する測定端末Tまでのパス内に属するノードを抽出する(ステップS801)。
ノードN[2]とそれに付随する測定端末T間のノードは、測定端末TのノードであるノードN[10]のみである。また、ノードN[5]に対しては、ノードN[23]のみである。つまり、S801においては、第一階層のノードN[2]とノードN[5]、測定端末TのノードN[10]とノードN[23]が抽出されることとなる。
本例では、抽出ノード(ノードN[2]、ノードN[5])が第一階層のノードなので、ステップS801において新たに抽出されるノードは測定端末Tのノードのみであるが、抽出ノードが第二階層以上の場合、抽出ノードと測定端末Tのノードの間のノードも抽出されることとなる。
【0301】
次に、測定端末Tのノードにおいて、リンク劣化補正値にリンク劣化値をそのまま設定し、リンク劣化値を「0」に変更する(ステップS802)。
測定端末Tのノードは、ノードN[10]とノードN[23]であることから、この2つのノードのノード情報内のリンク劣化値とリンク劣化補正値を図64(a)のように変更する。
【0302】
測定端末Tのノードの親ノードのノード情報に設定されている子ノードペア情報より、この測定端末Tのノードが属する子ノードペア情報を抽出し、パス劣化値から測定端末Tのノードのリンク劣化補正値を減算した値を、パス劣化値に設定する(ステップS803)。
【0303】
測定端末Tのノード(ノードN[10]とノードN[23])が属する子ノードペア情報は図64(b)に示すとおりである。
ノードN[10]のリンク劣化補正値は「20」であり、ノードN[10]が属する子ノードペア情報のパス劣化値は「20」であることから、パス劣化値は「0(=20−20)」となる。
同様に、ノードN[23]のリンク劣化補正値は「60」であり、ノードN[23]が属する子ノードペア情報のパス劣化値は「30」であることから、パス劣化値は「30(=60−30)」となる。
図64(b)の子ノードペア情報に新たに算出したパス劣化値を設定することにより、図64(c)に示すように更新される。
【0304】
次に、第一階層以上のノードに対して、下位層から順に処理を実施する(ステップS804、S805)。
第一階層に属するノードはノードN[2]とノードN[5]であることから、まずノードN[2]をランダムに選択する(ステップS806)。
【0305】
選択されたノードのノード情報における、リンク劣化補正値にリンク劣化値を設定し、リンク劣化値を「0」に変更する(ステップS807)。
本処理により、選択ノード(ノードN[2])におけるノード情報は図64(d)に示すようになる。
選択ノード(ノードN[2])は第一階層に属するノードであることから、補正処理後の状態において、劣化区間候補抽出処理および最大劣化区間抽出処理を実施する(ステップS810、S811)。
【0306】
(6.3.2.1) 選択ノードである「ノードN[2]」に対して劣化区間候補抽出処理を実施する(ステップS810)。
ここまでの部分木データ再構築処理によって、ノードN[2]をルートノードとする部分木の各情報は図65(a)に示すようになっている。選択ノードN[2]の子ノードペア情報に設定されているパス劣化値の最大値は「0」ではないため、パス劣化値の最も大きい2つの子ノードペア情報を抽出する。ここでは、選択ノードN[2]の子ノードペア情報は図65(a)に示す通りなので、パス劣化値「10」の子ノードペア情報とパス劣化値「0」の子ノードペア情報が抽出されることになる。パス劣化値「10」の子ノードペア情報は、ノードN[6]とノードN[7]のペアである。パス劣化値が「0」の子ノードペア情報は2つあるので、ランダムにノードN[8]とノードN[9]のペアを選択することとする。
【0307】
(6.3.2.1.1) 抽出された2つの子ノードペア情報に基づいて、リンク劣化値算出処理を実施する。
抽出された2つの子ノードペア情報内のノードに対応したノード情報(ノードN[6]からノードN[9])全てにリンク劣化値が既に設定済みなので、新たに算出処理はせずに、リンク劣化値算出処理は終了となる。
【0308】
ノードN[2]をルートノードとする部分木において、各測定端末T間の劣化値が劣化閾値を超えないので、図65(b)に示すように、選択ノード(ノードN[2])と測定端末T間の劣化値が最大となるノードであるノードN[7]を部分木構成ノードとして、ノードN[2]のノード情報に設定する。
【0309】
(6.3.2.2) 選択ノードである「ノードN[2]」に対して最大劣化区間抽出処理を実施する(ステップS811)。
部分木構成ノード(ノードN[7])のリンク劣化値とリンク合計劣化値の和が基準劣化値であり、その値は「10」である。選択ノード(ノードN[2])に登録されている子ノードの中で、リンク劣化値が設定されていないノードは存在しないことから、図65(b)に示すように、基準劣化値「10」を選択ノードであるノードN[2]のリンク合計劣化値に設定する。
以上により、選択ノード(ノードN[2])に対する処理が終了となる。
【0310】
次に、同じ第一階層に属するノードN[5]を選択ノードとし、処理を実施する(ステップS806)。
ノードN[2]における部分木データ再構築処理と同様に、選択ノード(ノードN[5])におけるリンク劣化補正値に現在のリンク劣化値「0」を設定し、リンク劣化値に「0」を設定する。
選択ノード(ノードN[5])は第一階層に属するノードであることから、補正処理後の状態において、劣化区間候補抽出処理および最大劣化区間抽出処理を実施する。
【0311】
(6.3.2.3) 選択ノードである「ノードN[5]」に対して劣化区間候補抽出処理を実施する(ステップS810)。
ここまでの部分木データ再構築処理によって、ノードN[5]をルートノードとする部分木の各情報は図66(a)に示すようになっている。選択ノードN[5]の子ノードペア情報に設定されているパス劣化値の最大値は「0」ではないため、パス劣化値の最も大きい2つの子ノードペア情報を抽出する。従って、パス劣化値「20」が設定されているノードN[21]及びノードN[22]の子ノードペア情報と、パス劣化値「30」が設定されているノードN[23]及びノードN[24]の子ノードペア情報の2つが抽出される。
【0312】
(6.3.2.3.1) 抽出された2つの子ノードペア情報に基づいて、リンク劣化値算出処理を実施する。
抽出された2つのノードペア内のノード情報(ノードN[21]からノードN[26])全てにリンク劣化値が既に設定済みなので、新たに算出処理はせずに、リンク劣化値算出処理は終了となる。
【0313】
ノードN[5]をルートノードとする部分木において、各測定端末T間の劣化値が劣化閾値を超えないので、図66(b)に示すように、選択ノード(ノードN[5])と測定端末T間の劣化値が最大となるノードであるノードN[24]を部分木構成ノードとして、ノードN[5]のノード情報に設定する。
【0314】
(6.3.2.4) 選択ノードである「ノードN[5]」に対して最大劣化区間抽出処理を実施する(ステップS811)。
部分木構成ノード(ノードN[24])のリンク劣化値「30」とリンク合計劣化値「NULL」の和が基準劣化値であり、その値は「30」である。選択ノード(ノードN[5])に登録されている子ノードの中で、リンク劣化値が付与されていないノードは存在しないことから、図66(b)に示すように、基準劣化値「30」を選択ノードであるノードN[5]に対応したノード情報のリンク合計劣化値に設定する。
以上により、選択ノード(ノードN[5])に対する処理が終了となる。
また、以上で劣化区間候補抽出処理にから呼ばれた部分木データ再構築処理(ステップS509)は終了となる。
【0315】
部分木データ再構築処理が終了すると、選択ノードの子ノードペア情報から、抽出ノードが含まれる子ノードペア情報を抽出する(ステップS510)。
ステップS508の処理によって抽出されたノードは、ノードN[2]とノードN[5]であったことから、選択ノード(ノードN[1])において、これらのノードが属する子ノードペア情報は図67(a)に示すようになる。
【0316】
再構築処理後の各子ノードに付随する測定端末T間のパスに含まれるノードのリンク劣化値の和を算出し、算出結果を子ノードペア情報のパス劣化値に設定する(ステップS511)。
ノードN[2]から付随する測定端末Tまでは、ノードN[2]、ノードN[7]が属している。この2つのノード情報は、図67(b)に示すようになっている。
また、ノードN[4]付随する測定端末Tまでは、ノードN[4]、ノードN[20]が属している。この2つのノード情報は、図67(c)に示すようになっている。
よって、図67(d)に示すように、ノードN[2]が属する子ノードペア情報のパス劣化値は、ノードN[2]のリンク劣化値「0」、ノードN[7]のリンク劣化値「10」、ノードN[4]のリンク劣化値「10」、ノードN[20]のリンク劣化値「15」、の和である「35」となる。
【0317】
同様にして、ノードN[5]から付随する測定端末Tまでは、ノードN[5]、ノードN[23]が属しており、また、ノードN[3]から付随する測定端末Tまでは、ノードN[3]、ノードN[16]が属している。それぞれのノード情報は、図67(e)に示すようになっている。
よって、ノードN[5]が属する子ノードペア情報のパス劣化値は、図67(f)に示すように、ノードN[3]のリンク劣化値「0」、ノードN[16]のリンク劣化値「20」、ノードN[5]のリンク劣化値「0」、ノードN[24]のリンク劣化値「30」、の和である「50」となる。
【0318】
以上までの処理により、選択ノード(ノードN[1])の部分木における各情報は図68に示すようになる。
【0319】
選択ノード(ノードN[1])の子ノードペア情報のパス劣化値が変化したことから、再度、選択ノードにおいて劣化区間候補抽出処理を実施する(ステップS516)。
【0320】
(6.3.3) 選択ノードである「ノードN[1]」に対して劣化区間候補抽出処理を実施する(ステップS516)。
選択ノードN[1]の子ノードペア情報に設定されているパス劣化値の最大値は「0」ではないため、パス劣化値の最も大きい2つの子ノードペア情報を抽出する。
本例では、図68に示すように、ノードN[1]が持つ子ノードペア情報は2つしかないので、その2つが抽出されることになる。
【0321】
(6.3.4) 抽出された2つの子ノードペア情報に基づいて、リンク劣化値算出処理を実施する。
既に、この2つの子ノードペア情報に属するノードのリンク劣化値は算出済みなので、特に何もせずに本処理は終了となる。
【0322】
抽出済みの子ノードペアに属するノードそれぞれに付随する測定端末T間の劣化値を算出する(ステップS505)。
【0323】
ノードN[7]−ノードN[16]間の劣化値:30
ノードN[7]−ノードN[20]間の劣化値:35
ノードN[7]−ノードN[24]間の劣化値:40
ノードN[16]−ノードN[20]間の劣化値:45
ノードN[16]−ノードN[24]間の劣化値:50
ノードN[20]−ノードN[24]間の劣化値:55
【0324】
いずれの測定端末間の劣化値も劣化閾値「70」未満であることから、リンク劣化値とリンク合計劣化値の和が最大の子ノードを抽出し、それを選択ノードの部分木構成ノードに設定する。
ここでは、ノードN[5]がリンク劣化値とリンク合計劣化値の和が最大であることから、図69(a)に示すように、ノードN[5]を選択ノードの部分木構成ノードに設定する。
【0325】
(6.4) 選択ノードである「ノードN[1]」に対して折り返し劣化分析処理を実施する(ステップS70)。
図69(a)に示すように、選択ノードの部分木構成ノードに登録されているノードはノードN[5]であり、ノードN[5]のリンク劣化値とリンク合計劣化値の和は図68のノードN[5]のノード情報に示すように「30」である。
また、選択ノード(ノードN[1])に登録されている子ノードであるノードN[2]、ノードN[3]、ノードN[4]、ノードN[5]のノード情報は図68に示すようになっており、リンク劣化値が設定されていないノードは存在しない。
よって、折り返し劣化分析はこれで終了となる。
【0326】
(6.5) 選択ノードである「ノードN[1]」に対して最大劣化区間抽出処理を実施する(ステップS80)。
上述のように、選択ノードの部分木構成ノードに登録されているノードはノードN[5]であり、ノードN[5]のリンク劣化値とリンク合計劣化値の和は「30」であり、これが基準劣化値となる。選択ノード(ノードN[1])に登録されている子ノードの中で、リンク劣化値が設定されていないノードは存在しないことから、図69(b)に示すように、ノードN[1]のノード情報のリンク合計劣化値に、基準劣化値「30」を設定する。
【0327】
以上により、選択ノード(ノードN[1])をルートノードとする部分木における分析が完了となる。
【0328】
また、全ての階層におけるノードに対する処理が完了したので、劣化パス検出装置1の出力部16は、この処理の中で劣化パスとして検出したパスを出力する(ステップS90)。これによって、劣化パス検出処理全てが完了となる。
【0329】
図70は、劣化パス検出装置1の出力部16の出力例を示す図である。
同図に示すように、ネットワークトポロジ情報から読み出したネットワークのトポロジを現すリンクに対して、検出した劣化パスの箇所を示している。同図においては、検出いした劣化パスとして、ノードN[10]−ノードN[2]−ノードN[1]−ノードN[5]−ノードN[23]のパス、ノードN[17]−ノードN[4]−ノードN[18]のパス、ノードN[21]−ノードN[5]−ノードN[26]のパスが示されている。
【0330】
[4. 部分木分割が可能なネットワークへの応用]
本実施の形態は、部分木ネットワーク自体ではなくとも、部分木分割可能なネットワークであれば適用可能である。
【0331】
図71は、本実施形態による劣化パス検出装置が分析可能な測定対象ネットワークを示す図である。同図に示す測定対象ネットワークは、部分木分割が可能である。なお、部分木への分割方法は問わないが、図4のステップS10の処理に示したように第一階層〜第N階層を順に選択していくことができる。
図72は、図71に示す測定対象ネットワークNWを部分木に分割した例を示す図である。図71に示すネットワークは、何らかの方法によって、図72に示す2つの部分木ネットワークNW1及びNW2に分割することができる。図71及び図72において、同じ符号を付したルータR1、R2は、同じノードを指している。そこで、図72に示す分割した各部分木ネットワークNW1及びNW2それぞれにおいて劣化値が最大となるパスを、本実施形態のアルゴリズムによって見つける。
【0332】
図73は、図72に示す部分木ネットワークNW1における劣化パスを示す図である。図73において二重線により示すパスが、部分木ネットワークNW1の劣化パス、つまり、劣化値が最大となる測定端末間のパスである。同様に、劣化パス検出装置1によって、部分木ネットワークNW2の劣化パスが検出される。 このように、部分木に分割可能なネットワークであれば、木構造以外のネットワークにおいても本実施形態の劣化パス検出装置によれば劣化パスの検出が可能となる。
【0333】
[5. 効果]
本実施形態によれば、すでに測定パスの測定結果を利用して測定パス(測定端末)の重複度を最小限に抑えることによって、フルメッシュにより通信品質を測定することなく全ノードを対象とした効率的な品質測定を実現することができる。これにより、ネットワークに負荷を最小限に抑えながら劣化パスを検出することが可能であるため、大規模ネットワークへの応用が容易である。加えて、劣化パス検出の際に必要となる測定機器は、ネットワーク外部のみに配置すればよく、各区間の品質算出のためにネットワーク内部に測定機器を設置する必要がない。よって、設置コストを抑えることが可能である。
本実施形態によれば、すでに検出された劣化パス内の劣化値を演算補正しながら測定処理を実施しているため、他の劣化パス内の劣化が解消されると、劣化状態が解消されてしまうパスの検出を抑えながら、網内の劣化パスを検出することが可能であり、また、この検出された劣化パスのほとんどは独立しているため、劣化パス検出時の無駄な切り分け作業を抑えることができ、早期の故障回復が可能である。
【0334】
[6. その他]
なお、上述の劣化パス検出装置1は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、劣化パス検出装置1の部分木ネットワーク構築部11、測定指示実行部12、測定結果受信/劣化値算出部13、測定端末選定/劣化値分析部14、及び、出力部16の動作の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでいうコンピュータシステムとは、CPU及び各種メモリやOS、周辺機器等のハードウェアを含むものである。
【0335】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0336】
1…劣化パス検出装置
11…部分木ネットワーク構築部
12…測定指示実行部
13…測定結果受信/劣化値算出部(劣化値取得部)
14…測定端末選定/劣化値分析部(選定分析部)
15…記憶部
16…出力部
2…ネットワークトポロジ情報記憶装置
R…ルータ
T…測定端末
N…ノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
劣化パス検出装置と、複数のノードをリンクにより接続してなるネットワーク内の前記ノードに接続される測定端末とを備えた劣化パス検出システムであって、
前記劣化パス検出装置は、
前記ネットワークを前記測定端末が接続されている階層の前記ノードから順に選択し、選択した前記ノードをルートノードとした木構造のトポロジに分解する部分木ネットワーク構築部と、
前記部分木ネットワーク構築部によって分解された前記木構造のトポロジにおいて、前記測定端末間による通信品質の測定を指示する測定指示実行部と、
前記測定指示実行部による指示に応じて得られた前記測定端末間の通信品質の劣化値に基づいて劣化パスを検出するとともに、前記ルートノードとの間の劣化値が最大となる測定端末を特定する選定分析部とを備え、
前記測定指示実行部は、前記木構造のトポロジにおいて前記選定分析部が特定した前記測定端末間による通信品質の測定を指示する、
ことを特徴とする劣化パス検出システム。
【請求項2】
劣化パス検出装置と、複数のノードをリンクにより接続してなるネットワーク内の前記ノードに接続される測定端末とを備えた劣化パス検出システムであって、
前記劣化パス検出装置は、
測定端末が接続されている階層の前記ノードから順に選択し、選択した前記ノードをルートノードとし、前記測定端末をリーフノードとする木構造の部分木ネットワークを前記ネットワークから抽出する部分木ネットワーク構築部と、
前記部分木ネットワーク構築部により抽出された前記部分木ネットワーク内の前記測定端末間による通信品質の測定を指示する測定指示実行部と、
前記測定指示実行部による指示に応じて得られた前記測定端末間の通信品質の測定劣化値に基づいてさらに測定対象の前記測定端末を選択し、前記測定指示実行部に選択した前記測定端末間の通信品質の測定を指示し、測定によって得られた前記測定端末間の測定劣化値に基づいて前記部分木ネットワーク内の劣化パスを検出するとともに、前記ルートノードとの間の劣化値が最大となる前記測定端末を特定する選定分析部とを備え、
前記部分木ネットワーク構築部は、前記ルートノードが最も下の階層である場合は前記ルートノードに接続される前記測定端末全てをリーフノードとし、前記ルートノードが最も下の階層ではない場合は、前記選定分析部によって選択された前記測定端末をリーフノードとした部分木ネットワークを抽出する、
ことを特徴とする劣化パス検出システム。
【請求項3】
劣化パス検出装置と、複数のノードをリンクにより接続してなるネットワーク内の前記ノードに接続される測定端末とを備えた劣化パス検出システムであって、
前記測定端末は、前記劣化パス検出装置からの指示を受け、他の前記測定端末との間で通信品質を測定する手段を備え、
前記劣化パス検出装置は、
測定端末が接続されている階層の前記ノードから順に選択し、選択した前記ノードをルートノードとし、前記測定端末をリーフノードとする木構造の部分木ネットワークを前記ネットワークから抽出する部分木ネットワーク構築部と、
前記部分木ネットワーク構築部により抽出された前記部分木ネットワークにおける測定端末のペアを選択し、選択した前記測定端末のペア間における通信品質の測定を指示する測定指示実行部と、
前記測定指示実行部による指示に対応して前記選択した前記ペア間の通信品質の測定結果を取得して劣化値を算出する劣化値取得部と、
前記劣化値取得部が取得した前記測定端末間の測定劣化値に基づいて劣化パスの検出のために測定が必要な測定端末のペアを選択し、前記選択した測定端末のペア間の通信品質の測定を行なうよう前記測定指示実行部に指示し、前記劣化値取得部が取得した前記測定端末のペア間の測定劣化値によって前記部分木ネットワーク内のリンクの劣化値を取得して劣化パスを検出するとともに、前記ルートノードとの間の劣化値が最大となる前記測定端末を特定する選定分析部とを備え、
前記部分木ネットワーク構築部は、前記ルートノードが最も下の階層である場合は前記ルートノードに接続される前記測定端末全てをリーフノードとし、前記ルートノードが最も下の階層ではない場合は、前記選定分析部によって選択された前記測定端末をリーフノードとした部分木ネットワークを抽出する、
ことを特徴とする劣化パス検出システム。
【請求項4】
前記選定分析部は、前記劣化値取得部が取得した前記測定端末間の測定劣化値に基づいて劣化パスの検出のために測定が必要な測定端末を選択し、前記選択した測定端末間の通信品質の測定を行なうよう前記測定指示実行部に指示し、前記劣化値取得部が取得した前記測定端末間の測定劣化値によって前記部分木ネットワーク内のリンクの劣化値を取得して劣化パスを検出し、劣化パスが検出された場合は、劣化パス内の各リンクの劣化値を補正した後、前記部分木ネットワーク内のリンクの劣化値に基づいてルートノードとの間の劣化値が最大となる測定端末を特定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の劣化パス検出システム。
【請求項5】
劣化パス検出装置と、複数のノードをリンクにより接続してなるネットワーク内の前記ノードに接続される測定端末とを備えた劣化パス検出システムに用いられる劣化パス検出方法であって、
前記劣化パス検出装置において、
部分木ネットワーク構築部が、複数のノードをリンクにより接続してなるネットワークから測定端末が接続されている層の前記ノードを選択し、選択した前記ノードをルートノードとした木構造のトポロジに分解する最下層部分木ネットワーク構築過程と、
測定指示実行部が、前記初期部分木ネットワーク構築過程において分解された前記木構造のトポロジにおいて、前記測定端末間による通信品質の測定を指示する最下層指示実行過程と、
選定分析部が、前記指示に応じて得られた前記測定端末間の通信品質の劣化値に基づいて劣化パスを検出するとともに、前記ルートノードとの間の劣化値が最大となる測定端末を特定する選定分析過程と、
前記部分木ネットワーク構築部が、現在のルートノードより一階層上位のノードを新たなルートノードとして選択し、前記ネットワークを選択した新たなノードをルートノードとした木構造のトポロジに分解する部分木ネットワーク構築過程と、
前記測定指示実行部が、前記部分木ネットワーク構築過程において分解された木構造のトポロジにおいて、前記選定分析過程によって特定された前記測定端末間による測定を指示する指示実行過程とを有し、
前記ネットワーク内の全てのノードについて処理を終了するまで前記選定分析過程からの処理を繰り返し実行する、
ことを特徴とする劣化パス検出方法。
【請求項6】
劣化パス検出装置として用いられるコンピュータに、
複数のノードをリンクにより接続してなるネットワークを、測定端末が接続されている階層の前記ノードから順に選択し、選択した前記ノードをルートノードとした木構造のトポロジに分解する部分木ネットワーク構築ステップと、
前記部分木ネットワーク構築ステップにおいて分解された前記木構造のトポロジにおいて、前記測定端末間による通信品質の測定を指示する測定指示実行ステップと、
前記測定指示実行ステップにおける指示に応じて得られた前記測定端末間の通信品質の劣化値に基づいて劣化パスを検出するとともに、前記ルートノードとの間の劣化値が最大となる測定端末を特定する選定分析ステップとを実行させ、
前記測定指示実行ステップにおいては、前記木構造のトポロジにおいて前記選定分析ステップにおいて特定された前記測定端末間による通信品質の測定を指示する処理を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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