説明

動作状態診断システム、監視装置、制御方法、及びプログラム

【課題】被加工物に対して管状の電極の先端から電解液を吐出させ、電極の先端と被加工物との間に電圧を印加すると共に、被加工物に向けて電極を送り出して被加工物を穿孔加工する電解加工機について、加工動作の状態を診断すること。
【解決手段】電解加工機が電極を送り出す際に、特定の物理量が一定となるよう定量制御している場合、特定の物理量と相関関係のある別の物理量を測定する物理量測定手段と、電解加工機の加工動作の状態を監視する監視装置110とを備え、監視装置110は、物理量測定手段によって測定された物理量、又は当該物理量の周期的な変化量がしきい値を超えたか否か判定するしきい値判定部113と、物理量、又は物理量の周期的な変化量のいずれが、如何なるしきい値を超えたのか、その判定結果に基づいて、電解加工機の加工動作の状態について、如何なる動作不良が生じているか診断する動作状態診断部114とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作状態診断システム、監視装置、制御方法、及びプログラムに関する。特に本発明は、被加工物に対して管状の電極の先端から電解液を吐出させ、電極の先端と被加工物との間に電圧を印加すると共に、被加工物に向けて電極を送り出して被加工物を穿孔加工する電解加工機について、加工動作の状態を診断する動作状態診断システム、電解加工機の加工動作の状態を監視する監視装置、当該監視装置を制御する制御方法、並びに当該監視装置用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガスタービンやジェットエンジン等に用いられる静翼や動翼の冷却孔は、孔径が小さく、且つ孔径に対して孔の深さが深い小径深孔として形成されている。このような静翼や動翼等のように、ドリル加工ができない耐熱合金等に対して小径深孔を加工するには、電解加工法が用いられることが多い。
【0003】
図6は、電解加工法の原理を示す。電解加工法は、電極820を負極、被加工物900を正極として間隙を隔ててセットし、間隙に電解液を流しながら直流電圧をかけることにより加工する、電解作用を用いた金属の加工方法である。このような電解加工法においては、電極820と被加工物900との間隔を適切に設定しないと期待した加工ができない場合が発生する。一例として、電極820と被加工物900の短絡がしばしば発生するが、電極820と被加工物900とが短絡したまま加工しようとしても、電極820と被加工物900との間に電位差が発生しないため加工ができなくなる。
【0004】
図7は、電解加工機800の動作の一例を示す。電解加工機800の装置本体810は、被加工物900の上方に配置される。装置本体810の下面には、可撓性を有する電極820が吊るされるようにして装着されている。また、装置本体810と被加工物900との間には、電極ガイド830が配置される。電極ガイド830には、上面から下面の所定方向へ貫通する孔が形成されている。電極820は、電極ガイド830の孔に挿通される。そして、装置本体810が下方へ移動すると、電極820は、電極ガイド830の孔の向いている所定方向へ案内されるように送り出される。その結果、被加工物には、電極820が送り出される所定方向に延びる加工孔が形成される(例えば、図7(a)参照。)。
【0005】
このように、電極820は、装置本体810の移動に伴って、電極ガイド830の孔の中へ送り出されることになるが、その一部が孔の入口に引っ掛かったり、孔の内部での摩擦によりスティックしたりすることがしばしば発生する(例えば、図7(b)参照。)。そのまま装置本体810が下方へ移動し続けると、電極820は、その引っ掛かった部分から上側の部分が、電極ガイド830の上面と装置本体810の下面との間で押し潰されるようにして撓んでしまい、正しい送り方向へ送り出されなくなってしまう。電極820の一部が電極ガイド830の孔の入口や内部に引っ掛かったまま加工し続けると、停止している電極820の先端付近だけで電解作用が進んでしまい、その部分の加工孔が局所的に拡がってしまう。
【0006】
図8は、特許文献1のように電極を回転させながら加工を行う電解加工機800の動作の別の例を示す。この例における電解加工機800では、電極820が回転するように装置本体810に装着されている。電極820は、何ら異常がない場合、装置本体810に装着されている端部から被加工物900に望む先端まで、一様の軌跡をとるように、自身の軸心と同心で回転する(例えば、図8(a)参照。)。
【0007】
ところで、電極820は、装置本体810への装着時や動作時に無理な力が加えられ、塑性変形していることがしばしば発生する。電極820が塑性変形したまま加工すると、電極820は、自身の軸心と同心で回転せずに、偏心して回転する。そのため、電極820の回転軌跡は、装置本体810に装着されている端部から被加工物900に望む先端まで、一様の軌跡をとらない。その結果、電極820の先端は、回転に応じて、送り方向への前進と後退を繰り返すように動いてしまう。電極820が塑性変形したまま加工し続けると、電極820を送り出す速度に対する電極820の先端の位置が一定にならないため、被加工物900における加工孔の形状が意図しない形状となるおそれがある(例えば、図8(b)参照。)。
【0008】
このように、電解加工機800では、様々な問題がしばしば発生する。このような問題に鑑みた技術としては、短絡時の加工不良を早期に検出するための技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。この技術では、被加工物との間に電解電圧を印加すると共に被加工物との間に電解液を供給する加工部を、被加工物に対して接近離間する方向に移動させる。このとき、例えば、加工部に働く荷重のうち、接近離間方向成分の変化を検出することによって、電極の短絡を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−38774号公報
【特許文献2】特開2008−188730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2に記載の技術によると、例えば、加工部に働く荷重のうち、接近離間方向成分の変化を検出することによって、電極の短絡を検出する。しかしながら、特許文献2に記載の技術では、電極が電極ガイドに引っ掛かったり、電極が塑性変形したりする問題への対策方法は何ら開示していない。現状では、電解加工機の動作時に生じる電極の短絡以外のこれら問題について有効な対策は何ら提案されておらず、作業者が目視して、これら問題が発生していないか監視している。
【0011】
しかしながら、作業者の目視による監視では、発生している問題を迅速に発見することは困難である。そのため、現状は、問題を発見することができたとしても、既に加工孔の形状に不良が生じてしまっていることも多く、製品の歩留まりが低下してしまう。そこで、作業者が目視により監視する場合には、問題の発見の精度を上げるために、加工速度を落とす等の対策がとられている。ところが、その場合には、製品の生産効率が低下してしまう。
【0012】
このように、電解加工法では、製品の歩留まりと生産効率とを同時に向上させることが困難となっており、電極の短絡だけでなく、それ以外の問題についても機械的に発見することができる技術の提案が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によると、被加工物に対して管状の電極の先端から電解液を吐出させ、電極の先端と被加工物との間に電圧を印加すると共に、被加工物に向けて電極を送り出して被加工物を穿孔加工する電解加工機について、加工動作の状態を診断する動作状態診断システムであって、電解加工機が電極を送り出す際に、特定の物理量が一定となるよう定量制御している場合、特定の物理量と相関関係のある別の物理量を測定する物理量測定手段と、電解加工機の加工動作の状態を監視する監視装置とを備え、監視装置は、特定の物理量と相関関係のある別の物理量の許容値、又は当該物理量の周期的な変化量の許容値をしきい値として、物理量測定手段によって測定された物理量、又は当該物理量の周期的な変化量がしきい値を超えたか否か判定するしきい値判定部と、しきい値を超えたとしきい値判定部が判定した場合に、物理量、又は物理量の周期的な変化量のいずれが、如何なるしきい値を超えたのか、その判定結果に基づいて、電解加工機の加工動作の状態について、如何なる動作不良が生じているか診断する動作状態診断部とを有する。
【0014】
物理量測定手段は、電解加工機が電極を送り出す際に、電極に流れる電流が一定となるよう定電流制御している場合、電極の先端と被加工物との間に印加している電圧を測定してよい。
【0015】
しきい値判定部は、電極の先端と被加工物との間に印加される電圧の許容範囲の上限値をしきい値として、物理量測定手段によって測定された電圧がしきい値を超えたか否か判定し、動作状態診断部は、物理量測定手段によって測定された電圧がしきい値を超えたとしきい値判定部が判定した場合、電解加工機の加工動作の状態について、電極が正常に送り出されていない動作不良が生じていると診断してよい。
【0016】
電解加工機が、電極を回転させながら送り出して被加工物を穿孔加工する場合、しきい値判定部は、電極の先端と被加工物との間に印加される電圧の周期的な変化量の許容値をしきい値として、物理量測定手段によって測定された電圧の周期的な変化量がしきい値を超えたか否か判定し、動作状態診断部は、物理量測定手段によって測定された電圧の周期的な変化量がしきい値を超えたとしきい値判定部が判定した場合、電解加工機の加工動作の状態について、電極が正常に回転していない動作不良が生じていると診断してよい。
【0017】
物理量測定手段は、電解加工機が電極を送り出す際に、電極の先端と被加工物との間に印加される電圧が一定となるよう定電圧制御している場合、電極に流されている電流を測定してよい。
【0018】
しきい値判定部は、電極に流れる電流の許容範囲の下限値をしきい値として、物理量測定手段によって測定された電流がしきい値を超えたか否か判定し、動作状態診断部は、物理量測定手段によって測定された電流がしきい値を超えたとしきい値判定部が判定した場合、電解加工機の加工動作の状態について、電極が正常に送り出されていない動作不良が生じていると診断してよい。
【0019】
電解加工機が、電極を回転させながら送り出して被加工物を穿孔加工する場合、しきい値判定部は、電極に流れる電流の周期的な変化量の許容値をしきい値として、物理量測定手段によって測定された電流の周期的な変化量がしきい値を超えたか否か判定し、動作状態診断部は、物理量測定手段によって測定された電流の周期的な変化量がしきい値を超えたとしきい値判定部が判定した場合、電解加工機の加工動作の状態について、電極が正常に回転していない動作不良が生じていると診断してよい。
【0020】
物理量測定手段は、電解加工機が電極を送り出す際に、電極の先端から吐出される電解液の流量が一定となるよう定流量制御している場合、電極内に供給している電解液の液圧を測定してよい。
【0021】
しきい値判定部は、電極内に供給される電解液の液圧の許容範囲の下限値をしきい値として、物理量測定手段によって測定された液圧がしきい値を超えたか否か判定し、動作状態診断部は、物理量測定手段によって測定された液圧がしきい値を超えたとしきい値判定部が判定した場合、電解加工機の加工動作の状態について、電極が正常に送り出されていない動作不良が発生していると診断してよい。
【0022】
電解加工機が、電極を回転させながら送り出して被加工物を穿孔加工する場合、しきい値判定部は、電極内に供給される電解液の液圧の周期的な変化量の許容値をしきい値として、物理量測定手段によって測定された液圧の周期的な変化量がしきい値を超えたか否か判定し、動作状態診断部は、物理量測定手段によって測定された液圧の周期的な変化量がしきい値を超えたとしきい値判定部が判定した場合、電解加工機の加工動作の状態について、電極が正常に回転していない動作不良が生じていると診断してよい。
【0023】
監視装置は、電解加工機の加工動作の状態について、特定の動作不良が生じていると動作状態診断部が診断した場合に、加工動作を停止させるべく電解加工機を制御する加工機制御部を更に有してよい。
【0024】
本発明の第2の形態によると、被加工物に対して管状の電極の先端から電解液を吐出させ、電極の先端と被加工物との間に電圧を印加すると共に、被加工物に向けて電極を送り出して被加工物を穿孔加工する電解加工機の状態を監視する監視装置であって、電解加工機が電極を送り出す際に、特定の物理量が一定となるよう定量制御している場合、特定の物理量と相関関係のある別の物理量の許容値、又は当該物理量の周期的な変化量の許容値をしきい値として、特定の物理量と相関関係のある別の物理量を測定する物理量測定手段によって測定された物理量、又は当該物理量の周期的な変化量がしきい値を超えたか否か判定するしきい値判定部と、しきい値を超えたとしきい値判定部が判定した場合に、物理量、又は物理量の周期的な変化量のいずれが、如何なるしきい値を超えたのか、その判定結果に基づいて、電解加工機の加工動作の状態について、如何なる動作不良が生じているか診断する動作状態診断部とを備える。
【0025】
本発明の第3の形態によると、被加工物に対して管状の電極の先端から電解液を吐出させ、電極の先端と被加工物との間に電圧を印加すると共に、被加工物に向けて電極を送り出して被加工物を穿孔加工する電解加工機の状態を監視する監視装置を制御する制御方法であって、電解加工機が電極を送り出す際に、特定の物理量が一定となるよう定量制御している場合、特定の物理量と相関関係のある別の物理量の許容値、又は当該物理量の周期的な変化量の許容値をしきい値として、特定の物理量と相関関係のある別の物理量を測定する物理量測定手段によって測定された物理量、又は当該物理量の周期的な変化量がしきい値を超えたか否か判定するしきい値判定段階と、しきい値を超えたとしきい値判定段階において判定された場合に、物理量、又は物理量の周期的な変化量のいずれが、如何なるしきい値を超えたのか、その判定結果に基づいて、電解加工機の加工動作の状態について、如何なる動作不良が生じているか診断する動作状態診断段階とを備える。
【0026】
本発明の第4の形態によると、被加工物に対して管状の電極の先端から電解液を吐出させ、電極の先端と被加工物との間に電圧を印加すると共に、被加工物に向けて電極を送り出して被加工物を穿孔加工する電解加工機の状態を監視する監視装置用のプログラムであって、監視装置を、電解加工機が電極を送り出す際に、特定の物理量が一定となるよう定量制御している場合、特定の物理量と相関関係のある別の物理量の許容値、又は当該物理量の周期的な変化量の許容値をしきい値として、特定の物理量と相関関係のある別の物理量を測定する物理量測定手段によって測定された物理量、又は当該物理量の周期的な変化量がしきい値を超えたか否か判定するしきい値判定部、しきい値を超えたとしきい値判定部が判定した場合に、物理量、又は物理量の周期的な変化量のいずれが、如何なるしきい値を超えたのか、その判定結果に基づいて、電解加工機の加工動作の状態について、如何なる動作不良が生じているか診断する動作状態診断部として機能させる。
【0027】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【発明の効果】
【0028】
以上の説明から明らかなように、この発明によれば、電解加工法によって被加工物を加工するにあたり、電極と被加工物との短絡だけでなく、電極が正常に送り出されていない動作不良や、電極が正常に回転していない動作不良をも検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】一実施形態に係る動作状態診断システム100の利用環境の一例を示す図である。
【図2】制御コントローラ110のブロック構成の一例を示す図である。
【図3】制御コントローラ110の動作フローの一例を示す図である。
【図4】制御コントローラ110の動作フローの一例を示す図である。
【図5】制御コントローラ110のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図6】電解加工法の原理を示す。
【図7】電解加工機の動作の一例を示す。
【図8】電解加工機の動作の別の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0031】
図1は、一実施形態に係る動作状態診断システム100の利用環境の一例を示す。動作状態診断システム100は、電解加工機1の加工動作の状態を診断するためのシステムである。
【0032】
電解加工機1は、動翼Xの翼頂部から翼根部に向けて複数の冷却孔Ha、b、c、・・・(以下、冷却孔Hと総称する。)を穿孔する装置である。具体的には、電解加工機1は、動翼Xの端面に対向させた管状の複数の電極棒2a〜f(以下、電極棒2と総称する。)の先端と、動翼Xの被穿孔部分との間に直流電圧を印加することによって、動翼Xの被穿孔部分を電解させて、動翼Xに穿孔加工を行う。電解加工機1は、複数の電極棒2を装着しているため、複数の冷却孔Hを同時に穿孔することができる。なお、動翼Xは、この発明における「被加工物」の一例であってよい。また、電極棒2は、この発明における「電極」の一例であってよい。また、以下の説明においては、穿孔方向の前方側である電極棒2の先端側を下方と称し、その反対側である電極棒2の基端側を上方と称する。
【0033】
電解加工機1は、複数の電極棒2の他に、複数のチャックホルダー4a〜f(以下、チャックホルダー4と総称する。)、2つの回転機構5A、B(以下、回転機構5と総称する。)、2つの駆動源6A、B(以下、駆動源6と総称する。)、複数のブラシ7a〜f(以下、ブラシ7と総称する。)、筐体8、電解液チャンバ9、及び昇降機構10を備えている。
【0034】
電極棒2は、可撓性を有する円筒形状の棒材である。電極2は、基端側の把持される部分とその反対側の先端部分以外の部分が絶縁されている。例えば、電極棒2は、チタン等の導電性材料によって形成される。
【0035】
筐体8は、断面視矩形状の箱体である。筐体8の内部には、チャックホルダー4、回転機構5、及びブラシ7がそれぞれ収容されている。また、筐体8の上壁80及び下壁81には、互いに上下に対向配置された一対の回転軸受82、83が複数配置されている。
【0036】
チャックホルダー4は、電極棒2の上部を把持する手段である。チャックホルダー4は、筐体8に複数配設されている。具体的には、チャックホルダー4は、一対の回転軸受82、83を介して筐体8に軸回転可能に支持されている。また、チャックホルダー4は、導電性を有する金属材料によって形成される。
【0037】
回転機構5は、複数のチャックホルダー4に対して相互に同期して軸回転力を付与する機構である。具体的には、回転機構5Aは、駆動ギヤ50A、及び複数の受動ギヤ51a〜cによって構成されている。駆動ギヤ50Aは、駆動源6aの駆動軸60aに軸支された歯車である。各受動ギヤ51a〜cは、それぞれチャックホルダー4a〜cに固定された歯車である。駆動ギヤ50Aは、受動ギヤ51aと噛合している。また、各受動ギヤは、隣り合う隣接ギヤと噛合している。そして、受動ギヤ51aは、駆動ギヤ50Aが回転すると、駆動ギヤ50Aとは反対回りに回転し、チャックホルダー4aに対して軸回転力を付与する。そして、受動ギヤ51bは、受動ギヤ51aが回転すると、受動ギヤ50aとは反対回りに回転し、チャックホルダー4bに対して軸回転力を付与する。そして、受動ギヤ51cは、受動ギヤ51bが回転すると、受動ギヤ51bとは反対回りに回転し、チャックホルダー4cに対して軸回転力を付与する。このようにして、回転機構5Aは、チャックホルダー4a〜cに対して相互に同期して軸回転力を付与する。同様に、回転機構5Bは、チャックホルダー4d〜fに対して相互に同期して軸回転力を付与する。
【0038】
駆動源6は、回転機構5を駆動させる原動機である。具体的には、駆動源6Aは、駆動軸60Aを軸回転させるモーターである。駆動源6は、筐体8の上面に載置されている。また、駆動軸60Aは、筐体8の上壁80を貫通して筐体8の内側に挿入され、駆動ギヤ50Aを軸支している。そして、駆動ギヤ50Aは、モーターの力で駆動軸60Aが回転することによって一緒に回転する。このようにして、駆動源6Aは、回転機構5Aを駆動させる。同様に、駆動源6Bは、回転機構5Bを駆動させる。
【0039】
ブラシ7は、軸回転する電極棒2に通電することを目的とした部品である。具体的には、ブラシ7には、軸回転する電極棒2を磨耗させないよう、カーボンや白金、チタン等、柔らかい材質が用いられる。また、ブラシ7は、軸回転する電極棒2に対して押し付けられるように接触している。
【0040】
また、ブラシ7a〜fには、電源ユニット130a〜f(以下、電源ユニット130と総称する。)がそれぞれ電気的に接続されている(図1では、電源ユニット130aのみ図示している。)。具体的には、電源ユニット130は、直流電源131を内蔵しており、直流電源131の負極がブラシ7に、直流電源131の正極が電源ユニット130に接続されている。また、電源ユニット130は、定電圧源として動作するよう制御される場合と、定電流源として動作するよう制御される場合とがある。
【0041】
電解液チャンバ9は、内部に電解液が貯留される箱体である。具体的には、電解液チャンバ9は、筐体8の上面に載置されている。そして、電解液チャンバ9の下壁91には、筐体8の上面に載置された状態において、筐体8の上壁80に形成されている複数の貫通孔とそれぞれ重なり合う位置に、複数の貫通孔が形成されている。この下壁91に形成された各貫通孔には、チャックホルダー4の上端から突出している各電極棒2の上部がそれぞれ挿通される。なお、壁91に形成された各貫通孔には、電解液チャンバ9内に貯留された電解液が漏れ出さないよう、Oリング状のシール材がそれぞれ嵌合される。電極棒2は、このシール材の内側に挿通されることになる。
【0042】
また、電解液チャンバ9の内部には、電解液チャンバ9の上壁90から下壁90に亘る複数の隔壁94が配設されている。これら隔壁94によって、電解液チャンバ9の内部は、複数の液室93a〜f(以下、液室93と総称する。)に分割される。そして、各液室93内には、それぞれ電極棒2が1本ずつ挿通された状態となる。
【0043】
また、電解液チャンバ9には、電解液を供給するための供給管95a〜f(以下、供給管95と総称する。)が液室93毎に接続されている。また、各供給管95は、電解液タンク等の電解液の供給源とも接続されている。供給源に貯留されている電解液は、各供給管95を通って各液室93内に供給されることになる。
【0044】
また、各供給管95には、流量制御弁96a〜f(以下、流量制御弁96と総称する。)がそれぞれ設けられている。流量制御弁96は、入力ポートと出力ポートとの間の流体通過部の開度を変化させることにより、流体の通過量を制御するものである。また、流体制御弁96は、流体通過部を通過する電解液の流量が一定となるよう、流体通過部の開度が電気的に制御される。
【0045】
昇降機構10は、電解加工機1を昇降させる機構である。具体的には、昇降機構10は、ボールネジ機構やシリンダー機構等の公知の往復動機構を用いた構成であってよい。
【0046】
このような電解加工機1の下方には、ワーク固定ジグ3が設置される。ワーク固定ジグ3は、動翼Xを固定する台座である。具体的には、ワーク固定ジグ3には、図示しない固定手段を備えている。そして、ワーク固定ジグ3には、動翼Xが翼根部を下にして翼頂部を上向きにした姿勢で載置され、固定手段によって固定される。
【0047】
また、電解加工機1とワーク固定ジグ3に載置された動翼Xとの間には、電極ガイド11が配設される。電極ガイド11は、電極棒2が押し出される方向を案内する部材である。具体的には、電極ガイド11は、その上部から下部に亘る複数のガイド孔14a〜f(以下、ガイド孔14と総称する。)が形成されたブロック状の部材である。各ガイド孔14は、各冷却孔Hの穿孔位置及び穿孔角度に対応した貫通孔である。各電極棒2は、電解加工機1が加工するに際し、各ガイド孔14にそれぞれ挿入される。そして、その状体のまま電解加工機1が加工し続けると、各電極棒2は、それぞれ各ガイド孔14を通って、電極ガイド11の下方へ所定の向きに押し出されることになる。
【0048】
このように構成された電解加工機1は、動翼Xの翼頂部から翼根部に向けて複数の冷却孔Hを穿孔する。具体的には、まず、ワーク固定ジグ3には、動翼Xを固定しておく。また、各電極棒2の下端は、電極ガイド11の対応するガイド孔14にそれぞれ挿通させておく。
【0049】
このような状態において、電解加工機1は、昇降機構10が駆動することによって徐々に下降する。電解加工機1が下降するにつれ、各電極棒2の下端は、動翼Xに徐々に近づくことになる。このとき、各電極棒2は、駆動源6によって回転機構5が駆動することにより、軸回転する。
【0050】
また、電解液チャンバ9の各液室93には、供給管95を介して電解液が供給される。そして、各液室93に供給された電解液は、電極棒2内を流通して電極棒2の下端から流出することになる。この状態で、各電極棒2の先端と動翼Xとの間には、電源ユニット130によって直流電圧がそれぞれ印加される。
【0051】
このようにして、動翼Xでは、各電極棒2の下端がそれぞれ対向している部分が電解され、複数の冷却孔Hが同時に穿孔され始める。各冷却孔Hは、電解加工機1が下降するにつれて、徐々に深く穿孔されることになる。このとき、各電極棒2は、電極ガイド11のガイド孔14によって案内されることで、それぞれ所定の方向に押し出される。その結果、動翼Xの各冷却孔Hは、各電極棒2が押し出される方向に非直線的に穿孔されることになる。
【0052】
このとき、電解加工機1では、電極ガイド11のガイド孔14に挿通された電極棒2が、電解加工機1が下降するのに伴って下方へ押し出されるときに、うまく押し出されず、電極ガイド11のガイド孔14の入口に引っ掛かってしまうことがある。また、電解加工機1では、電極棒2が塑性変形していると、その電極棒2が回転するにあたり、自身の軸心と同心で回転せずに偏心して回転してしまい、その電極棒2の下端が送り方向に対して前進と後退とを繰り返すような動作をとってしまう。また、電解加工機1では、動翼Xに電極棒2の先端が触れてしまうと、短絡が生じてしまう。
【0053】
このような電極棒2の引っ掛かり、塑性変形による偏心回転、及び短絡等の動作不良が生じた場合に、動作状態診断システム100は、いずれの動作不良が生じたかを迅速に診断すると共に、電解加工機1の加工動作を停止させるものである。
【0054】
動作状態診断システム100は、制御コントローラ110、複数の電圧計132a〜f(以下、電圧計132と総称する。(図1では、電圧計132aのみ図示している。))、複数の電流計133a〜f(以下、電流計133と総称する。(図1では、電流計133aのみ図示している。))、複数の流量計140a〜f(以下、流量計140と総称する。(図1では、流量計140aのみ図示している。))、及び複数の水圧計150a〜f(以下、水圧計150と総称する。(図1では、水圧計150aのみ図示している。))を備える。
【0055】
制御コントローラ110は、電解加工機1の加工動作の状態を監視すると共に、電解加工機1の加工動作を制御する装置である。具体的には、制御コントローラ110は、各駆動源6、昇降機構10、各流量制御弁96、各電源ユニット130、各流量計140、及び各水圧計150とそれぞれ電気的に接続されている。そして、制御コントローラ110は、各電源ユニット130、各流量計140、及び各水圧計150からそれぞれ出力される電気信号に基づいて、電解加工機1の加工動作の状態を監視する。また、制御コントローラ110は、各駆動源6、昇降機構10、各流量制御弁96、及び各電源ユニット130の動作を電気的に制御することによって、電解加工機1の加工動作を制御する。なお、制御コントローラ110は、この発明における「監視装置」の一例であってよい。
【0056】
電圧計132は、直流電源131の正極と負極間の電位差を測定する電気計器である。具体的には、電圧計132は、直流電源131と電気的に並列に接続された状態で電源ユニット130に内蔵されている。そして、電圧計132は、直流電源131の正極と負極間の電位差を測定すると、その値を示す電気信号を出力する。なお、電圧計132は、この発明における「物理量測定手段」の一例であってよい。
【0057】
電流計133は、直流電源131の出力電流を測定する電気計器である。具体的には、電流計133は、直流電源131の正極側に電気的に直列に接続された状態で電源ユニット130に内蔵されている。そして、電流計133は、直流電源131の出力電流を測定すると、その値を示す電気信号を出力する。なお、電流計133は、この発明における「物理量測定手段」の一例であってよい。
【0058】
流量計140は、電解液の流量を測定する装置である。具体的には、流量計140は、供給管95の流量制御弁96よりも下流に設けられている。そして、流量計140は、供給管95内を流れている電解液の流量を測定すると、その値を示す電気信号を出力する。なお、流量計140は、この発明における「物理量測定手段」の一例であってよい。
【0059】
水圧計150は、電解液の液圧を測定する装置である。具体的には、水圧計150は、液室93内に設けられている。そして、水圧計150は、電解液が流れることによって生じる液圧を測定すると、その値を示す電気信号を出力する。なお、水圧計150は、この発明における「物理量測定手段」の一例であってよい。
【0060】
このような構成の動作状態診断システム100において、制御コントローラ110は、電解加工機1が始動すると、各電源ユニット130、各流量計140、及び各水圧計150からそれぞれ出力される電気信号の入力を受け付ける。なお、電源ユニット130から出力される電気信号は、電圧計132から出力された電気信号と、電流計133から出力された電気信号とを含む信号である。
【0061】
そして、制御コントローラ110は、電源ユニット130を定電圧源として動作させる場合、電源ユニット130から出力される電気信号のうち、電圧計132から出力された電気信号によって示される電圧値が経時的に一定となるよう、電源ユニット130の動作を制御する。
【0062】
このとき、制御コントローラ110は、電流計133から出力された電気信号によって示される電流値の経時的な変化を監視する。状態が安定したときの電流値の予測値を予め求めておき、制御コントローラ110は、この予測値を基準に、予測値よりも大きい値の上限のしきい値と、予測値よりも小さい値の下限のしきい値とを設定し、電流計133から出力された電気信号によって示される電流値がこれらしきい値を超えないか監視する。
【0063】
例えば、電流計133aから出力された電気信号によって示される電流値が下限のしきい値を超えた場合、制御コントローラ110は、電極棒2aが正常に送り出されていない動作不良が生じていると診断する。具体的には、電極棒2aが正常に送り出されていない場合、動翼Xの冷却孔Haは、電極棒2aの先端が同じ位置に留まったまま電解作用が進行することによって、局所的に徐々に広くなる。その結果、その位置の電解液の量が徐々に増加するので抵抗値が徐々に大きくなり、それに伴って、定電圧制御されている電源ユニット130aの出力電流は、徐々に小さくなる。
【0064】
したがって、動作状態診断システム100では、冷却孔Hが理想的な状態に加工されていればあり得ない電流値をしきい値として、そのしきい値よりも電流値が小さくなったときに、電極棒2が正常に送り出されていない動作不良が生じていると診断するようにした。
【0065】
また、例えば、電流計133aから出力された電気信号によって示される電流値が上限のしきい値を超えた場合、制御コントローラ110は、電極棒2aが動翼Xに接触して短絡が生じたと診断する。
【0066】
また、制御コントローラ110は、電流計133から出力された電気信号によって示される電流値の周期的な変化量を監視している。具体的には、電極棒2が自身の軸心と同心で理想的に回転していれば、電極棒2の先端は、送り方向に対してあまり変動しない筈である。その場合、電流値は、経時的にほぼ一定となり、周期的にもあまり変化しない。そこで、制御コントローラ110は、電流値の周期的な変化量の許容値を基準にしきい値を設定し、電流計133から出力された電気信号によって示される電流値の周期的な変化量がしきい値を超えないか監視する。
【0067】
例えば、電流計133aから出力された電気信号によって示される電流値の周期的な変化量がしきい値を超えた場合、制御コントローラ110は、電極棒2aが正常に回転していない動作不良が生じていると診断する。具体的には、電極棒2aが偏心して回転する等して正常に回転していない場合、電極棒2aの先端は、回転に伴って、送り方向に対して周期的に前進したり後退したりする。その結果、電極棒2aの先端が前進しているときと後退しているときの抵抗となり得る電解液の量が異なるため、抵抗値は、回転周期に伴って周期的に変化することになる。そのため、定電圧制御されている電源ユニット130aの出力電流は、周期的に変化する。また、出力電流の周期的な変化量は、電極棒2aの前進しているときの位置と後退しているときの位置との差が離れるにつれ大きくなる。
【0068】
したがって、動作状態診断システム100では、回転棒2の先端の位置の変動が許容範囲内であればあり得ない電流値の周期的な変化量をしきい値として、そのしきい値よりも電流値の周期的な変化量が大きくなったときに、電極棒2が正常に回転していない動作不良が生じていると診断するようにした。
【0069】
ところで、電解棒2の先端と動翼Xとの間の電解量の増減は、電流値に依存する。即ち、電解量を一定に保つためには、電流を一定に保つことが望ましい。そこで、制御コントローラ110は、電解棒2と動翼Xとの間の抵抗値が安定した後、電源ユニット130を定電流源として動作させるよう制御する。具体的には、制御コントローラ110は、電源ユニット130を定電圧源として動作させるよう制御しているときに、電流計133から出力された電気信号によって示される電流値の経時的な変化が一定となった場合に、電解棒2と動翼Xとの間の抵抗値が安定したと判定する。その後、制御コントローラ110は、電源ユニット130を定電流源として動作させるため、電源ユニット130から出力される電気信号のうち、電流計133から出力された電気信号によって示される電流値が経時的に一定となるよう、電源ユニット130の動作を制御する。
【0070】
このとき、制御コントローラ110は、電圧計132から出力された電気信号によって示される電圧値の経時的な変化を監視している。具体的には、動翼Xの穿孔加工がある程度進んだ後は、電解棒2の先端と動翼Xとの間の電解液の量が変わらないため、電圧計132によって測定される電圧値は、経時的に一定となる筈である。このときの電圧値は、電解液や動翼Xの素材、定電流の設定値等から、予測値として予め算出しておくことができる。そこで、制御コントローラ110は、動翼Xの穿孔加工がある程度進んだ後の電圧値の予測値を基準に、予測値よりも大きい値の上限のしきい値と、予測値よりも小さい値の下限のしきい値とを設定し、電圧計132から出力された電気信号によって示される電圧値がこれらしきい値を超えないか監視する。
【0071】
例えば、電圧計133aから出力された電気信号によって示される電圧値が上限のしきい値を超えた場合、制御コントローラ110は、電極棒2aが正常に送り出されていない動作不良が生じていると診断する。具体的には、上記のように、電極棒2aが正常に送り出されていない場合、電解棒2aの先端付近の電解液の量が徐々に増加するので抵抗値が徐々に大きくなり、それに伴って、定電流制御されている電源ユニット130aによる印加電圧は、徐々に大きくなる。
【0072】
したがって、動作状態診断システム100では、冷却孔Hが理想的な状態に加工されていればあり得ない電圧値をしきい値として、そのしきい値よりも電圧値が大きくなったときに、電極棒2が正常に送り出されていない動作不良が生じていると診断するようにした。
【0073】
また、例えば、電圧計133aから出力された電気信号によって示される電圧値が下限のしきい値を超えた場合、制御コントローラ110は、電極棒2aが動翼Xに接触して短絡が生じたと診断する。
【0074】
また、制御コントローラ110は、電圧計133から出力された電気信号によって示される電圧値の周期的な変化量を監視している。具体的には、上記のように、電極棒2が自身の軸心と同心で理想的に回転していれば、電極棒2の先端は、送り方向に対してあまり変動しない筈である。その場合、電圧値は、経時的にほぼ一定となり、周期的にもあまり変化しない。そこで、制御コントローラ110は、電圧値の周期的な変化量の許容値を基準にしきい値を設定し、電圧計133から出力された電気信号によって示される電圧値の周期的な変化量がしきい値を超えないか監視する。
【0075】
例えば、電圧計133aから出力された電気信号によって示される電圧値の周期的な変化量がしきい値を超えた場合、制御コントローラ110は、電極棒2aが正常に回転していない動作不良が生じていると診断する。具体的には、上記のように、電極棒2aが偏心して回転する等して正常に回転していない場合、電極棒2aの先端と動翼Xとの間の抵抗値は、回転周期に伴って周期的に変化することになる。そのため、定電流制御されている電源ユニット130aによる印加電圧は、周期的に変化する。また、印加電圧の周期的な変化量は、電極棒2aの前進しているときの位置と後退しているときの位置との差が離れるにつれ大きくなる。
【0076】
したがって、動作状態診断システム100では、回転棒2の先端の位置の変動が許容範囲内であればあり得ない電圧値の周期的な変化量をしきい値として、そのしきい値よりも電圧値の周期的な変化量が大きくなったときに、電極棒2が正常に回転していない動作不良が生じていると診断するようにした。
【0077】
一方、制御コントローラ110は、電解液の流量を一定にするために、流量計140から出力された電気信号によって示される流量値が経時的に一定となるよう、流体制御弁96の流体通過部の開度を制御する。具体的には、制御コントローラ110は、電解加工機1が動作している間、流体制御弁96をこのように制御する。
【0078】
このとき、制御コントローラ110は、水圧計150から出力された電気信号によって示される液圧値の経時的な変化を監視している。具体的には、水圧計150によって測定される液圧は、電解加工が進行するにつれ、穿孔された孔の深さが深くなっていくので、徐々に高くなる筈である。何ら問題なく電解加工が進行しているときの液圧値は、電解液の流量や電解加工が進行する速さ等から、予測値として予め算出しておくことができる。そこで、制御コントローラ110は、何ら問題なく電解加工が進行しているときの液圧の予測値を基準に、予測値よりも小さい値の下限のしきい値を設定し、水圧計150から出力された電気信号によって示される液圧値がしきい値を超えないか監視する。
【0079】
例えば、水圧計150から出力された電気信号によって示される液圧値がしきい値を超えた場合、制御コントローラ110は、電極棒2aが正常に送り出されていない動作不良が生じていると診断する。具体的には、上記のように、電極棒2aが正常に送り出されていない場合、動翼Xの冷却孔Haは、電極棒2aの先端が同じ位置に留まったまま電解作用が進行することによって、局所的に徐々に広くなる。その結果、同じ流量の電解液を供給し続けたとしても、そのときの流路の液圧は、徐々に低くなる。
【0080】
したがって、動作状態診断システム100では、冷却孔Hが理想的な状態に加工されていればあり得ない液圧値をしきい値として、そのしきい値よりも液圧値が低くなったときに、電極棒2が正常に送り出されていない動作不良が生じていると診断するようにした。
【0081】
また、制御コントローラ110は、水圧計150から出力された電気信号によって示される液圧値の周期的な変化量を監視している。具体的には、上記のように、電極棒2が自身の軸心と同心で理想的に回転していれば、電極棒2の先端は、送り方向に対してあまり変動しない筈である。その場合、液圧は、経時的にほぼ一定となり、周期的にもあまり変化しない。そこで、制御コントローラ110は、液圧値の周期的な変化量の許容値を基準にしきい値を設定し、水圧計150から出力された電気信号によって示される液圧値の周期的な変化量がしきい値を超えないか監視する。
【0082】
例えば、水圧計150から出力された電気信号によって示される液圧値の周期的な変化量がしきい値を超えた場合、制御コントローラ110は、電極棒2aが正常に回転していない動作不良が生じていると診断する。具体的には、上記のように、電極棒2aが偏心して回転する等して正常に回転していない場合、電極棒2aの先端は、回転に伴って、送り方向に対して周期的に前進したり後退したりする。その結果、電極棒2aの先端が前進しているときと後退しているときの、孔の中での深さが異なるため、液圧は、回転周期に伴って周期的に変化することになる。また、液圧の周期的な変化量は、電極棒2aの前進しているときの位置と後退しているときの位置との差が離れるにつれ大きくなる。
【0083】
したがって、動作状態診断システム100では、回転棒2の先端の位置の変動が許容範囲内であればあり得ない液圧の周期的な変化量をしきい値として、そのしきい値よりも液圧の周期的な変化量が大きくなったときに、電極棒2が正常に回転していない動作不良が生じていると診断するようにした。
【0084】
このように、動作不良が生じていると診断した場合、制御コントローラ110は、各駆動源6、昇降機構10、及び各電源ユニット130の動作を停止させるべく制御する。また、制御コントローラ110は、各流量制御弁96の流体通過部を完全に閉じるべく制御する。このようにして、電解加工機1は、電解加工の動作を停止することになる。
【0085】
また、制御コントローラ110は、電解加工機1について、如何なる状態にあるのかを示す情報をディスプレイ等に出力する。このようにして、作業者は、ディスプレイに表示された情報を確認することによって、電解加工機1の加工動作の状態を把握することができるようになる。
【0086】
なお、本実施形態では、説明が煩雑になることを防ぐことを目的として、動作状態診断システム100が一の制御コントローラ110を備える構成について説明したが、動作状態診断システム100は、複数の制御コントローラ110を備えてよい。
【0087】
図2は、制御コントローラ110のブロック構成の一例を示す。制御コントローラ110は、指示入力受付部111、信号入力受付部112、しきい値判定部113、動作状態診断部114、加工機制御部115、及び状態情報出力部116を有する。以下に、各構成要素の機能及び動作を説明する。
【0088】
指示入力受付部111は、電解加工機1の始動又は停止を指示する旨の入力を受け付ける。具体的には、電解加工機1には、例えば、電解加工機1を始動させるための始動ボタンと、電解加工機1の加工動作を停止させるための停止ボタンとが設けられている。始動ボタン、及び停止ボタンは、押下されることによって電気信号を出力する。指示入力受付部111は、始動ボタンから出力された電気信号の入力を受け付けると、始動ボタンが押下操作されたことを示すデータを加工機制御部115に送る。同様に、指示入力受付部111は、停止ボタンから出力された電気信号の入力を受け付けると、停止ボタンが押下操作されたことを示すデータを加工機制御部115に送る。
【0089】
信号入力受付部112は、電気信号の入力を受け付ける。具体的には、信号入力受付部112は、電源ユニット130、流量計140、及び水圧計150からそれぞれ出力された電気信号の入力を経時的に受け付ける。そして、信号入力受付部112は、電源ユニット130、及び水圧計150からそれぞれ出力された電気信号の入力を受け付けると、その電気信号をしきい値判定部113、及び加工機制御部115に送る。また、信号入力受付部112は、水圧計150から出力された電気信号の入力を受け付けると、その電気信号を加工機制御部115に送る。
【0090】
しきい値判定部113は、電極棒2の先端と動翼Xとの間に印加される電圧の許容値をしきい値として、電圧計132によって測定された電圧値がしきい値を超えたか否か判定する。具体的には、しきい値判定部113は、電源ユニット130が定電圧源、又は定電流源のいずれの動作方式で動作するよう制御されているのかを示すデータを加工機制御部115から受け取ると、その動作方式を記憶している。また、しきい値判定部113は、電極棒2の先端と動翼Xとの間に印加される電圧値の許容範囲の上限値と下限値とを、それぞれしきい値として記憶している。そして、しきい値判定部113は、電源ユニット130が定電流源として動作するよう制御されている場合、電源ユニット130から出力された電気信号を信号入力受付部112から受け取ると、その電気信号に含まれる電圧値が各しきい値を超えたか否か判定する。そして、しきい値判定部113は、電圧値がいずれかのしきい値を超えたと判定した場合、いずれのしきい値を超えたのかを示すデータを動作状態診断部114に送る。
【0091】
また、しきい値判定部113は、電極棒2の先端と動翼Xとの間に印加される電圧の周期的な変化量の許容値をしきい値として、電圧計132によって測定された電圧値の周期的な変化量がしきい値を超えたか否か判定する。具体的には、上記のように、しきい値判定部113は、電源ユニット130が定電圧源、又は定電流源のいずれの動作方式で動作するよう制御されているのかを示すデータを加工機制御部115から受け取ると、その動作方式を記憶している。また、しきい値判定部113は、電極棒2の先端と動翼Xとの間に印加される電圧値の周期的な変化量の許容値をしきい値として記憶している。そして、しきい値判定部113は、電源ユニット130が定電流源として動作するよう制御されている場合、電源ユニット130から出力された電気信号を信号入力受付部112から受け取ると、その電気信号に含まれている電圧値の周期的な変化量がしきい値を超えたか否か判定する。そして、しきい値判定部113は、電圧値の周期的な変化量がしきい値を超えたと判定した場合、その旨を示すデータを動作状態診断部114に送る。
【0092】
また、しきい値判定部113は、電極棒2に流れる電流の許容値をしきい値として、電流計133によって測定された電流値がしきい値を超えたか否か判定する。具体的には、上記のように、しきい値判定部113は、電源ユニット130が定電圧源、又は定電流源のいずれの動作方式で動作するよう制御されているのかを示すデータを加工機制御部115から受け取ると、その動作方式を記憶している。また、しきい値判定部113は、電極棒2に流れる電流値の許容範囲の上限値と下限値とを、それぞれしきい値として記憶している。そして、しきい値判定部113は、電源ユニット130が定電圧源として動作するよう制御されている場合、電源ユニット130から出力された電気信号を信号入力受付部112から受け取ると、その電気信号に含まれている電流値が各しきい値を超えたか否か判定する。そして、しきい値判定部113は、電流値がいずれかのしきい値を超えたと判定した場合、いずれのしきい値を超えたのかを示すデータを動作状態診断部114に送る。
【0093】
また、しきい値判定部113は、電極棒2に流れる電流の周期的な変化量の許容値をしきい値として、電流計133によって測定された電流値の周期的な変化量がしきい値を超えたか否か判定する。具体的には、上記のように、しきい値判定部113は、電源ユニット130が定電圧源、又は定電流源のいずれの動作方式で動作するよう制御されているのかを示すデータを加工機制御部115から受け取ると、その動作方式を記憶している。また、しきい値判定部113は、電極棒2に流れる電流の周期的な変化量の許容値をしきい値として記憶している。そして、しきい値判定部113は、電源ユニット130が定電圧源として動作するよう制御されている場合、電源ユニット130から出力された電気信号を信号入力受付部112から受け取ると、その電気信号に含まれている電流値の周期的な変化量がしきい値を超えたか否か判定する。そして、しきい値判定部113は、電流値の周期的な変化量がしきい値を超えたと判定した場合、その旨を示すデータを動作状態診断部114に送る。
【0094】
また、しきい値判定部113は、電極棒2内に供給される電解液の液圧の許容値をしきい値として、水圧計150によって測定された液圧値がしきい値を超えたか否か判定する。具体的には、しきい値判定部113は、電極部尾2内に供給される電解液の液圧の許容範囲の上限値と下限値とを、それぞれしきい値として記憶している。そして、しきい値判定部113は、水圧計150から出力された電気信号を信号入力受付部112から受け取ると、その電気信号によって示される液圧値がしきい値を超えたか否か判定する。そして、しきい値判定部113は、液圧値がいずれかのしきい値を超えたと判定した場合、いずれのしきい値を超えたのかを示すデータを動作状態診断部114に送る。
【0095】
また、しきい値判定部113は、電極棒2内に供給される電解液の液圧の周期的な変化量の許容値をしきい値として、水圧計150によって測定された液圧の周期的な変化量がしきい値を超えたか否か判定する。具体的には、しきい値判定部113は、電極棒2内に供給される電解液の液圧の周期的な変化量の許容値をしきい値として記憶している。そして、しきい値判定部113は、水圧計150から出力された電気信号を信号入力受付部112から受け取ると、その電気信号によって示される液圧値の主機的な変化量がしきい値を超えたか否か判定する。そして、しきい値判定部113は、液圧値の周期的な変化量がしきい値を超えたと判定した場合、その旨を示すデータを動作状態診断部114に送る。
【0096】
動作状態診断部114は、しきい値を超えたとしきい値判定部113が判定した場合、その判定結果に基づいて、電解加工機1の加工動作の状態について、如何なる動作不良が生じているか診断する。具体的には、動作状態診断部114は、例えば、電圧計132aから出力された電気信号によって示される電圧値が、上限のしきい値を超えたことを示すデータをしきい値判定部113から受け取ると、電解加工機1の加工動作の状態について、電極棒2aが正常に送り出されていない動作不良が生じていると診断する。また、動作診断部114は、例えば、電流計133aから出力された電気信号によって示される電流値が、下限のしきい値を超えたことを示すデータをしきい値判定部113から受け取った場合にも、電解加工機1の加工動作の状態について、電極棒2aが正常に送り出されていない動作不良が生じていると診断する。また、動作診断部114は、例えば、水圧計150aから出力された電気信号によって示される液圧値が、下限のしきい値を超えたことを示すデータをしきい値判定部113から受け取った場合にも、電解加工機1の加工動作の状態について、電極棒2aが正常に送り出されていない動作不良が生じていると診断する。また、動作診断部114は、例えば、電圧計132aから出力された電気信号によって示される電圧値が、下限のしきい値を超えたことを示すデータをしきい値判定部113から受け取ると、電解加工機1の加工動作の状態について、電極棒2aが短絡した動作不良が生じていると診断する。また、動作診断部114は、例えば、電流計133aから出力された電気信号によって示される電流値が、上限のしきい値を超えたことを示すデータをしきい値判定部113から受け取ると、電解加工機1の加工動作の状態について、電極棒2aが短絡した動作不良が生じていると診断する。また、動作状態診断部114は、例えば、電圧計132aから出力された電気信号によって示される電圧値の周期的な変化量が、しきい値を超えたことを示すデータをしきい値判定部113から受け取ると、電解加工機1の加工動作の状態について、電極棒2aが正常に回転していない動作不良が生じていると診断する。また、動作状態診断部114は、例えば、電流計133aから出力された電気信号によって示される電流値の周期的な変化量が、しきい値を超えたことを示すデータをしきい値判定部113から受け取った場合にも、電解加工機1の加工動作の状態について、電極棒2aが正常に回転していない動作不良が生じていると診断する。また、動作状態診断部114は、例えば、水圧計150aから出力された電気信号によって示される液圧値の周期的な変化量が、しきい値を超えたことを示すデータをしきい値判定部113から受け取った場合にも、電解加工機1の加工動作の状態について、電極棒2aが正常に回転していない動作不良が生じていると診断する。そして、動作状態診断部114は、このように、電解加工機1の加工動作の状態について、動作不良が生じていると診断すると、その旨を示すデータを加工機制御部115、及び状態データ出力部116に送る。
【0097】
加工機制御部115は、電解加工機1の加工動作を制御すべく、各駆動源6、昇降機構10、各流量制御弁96、及び各電源ユニット130の動作を制御する。具体的には、加工機制御部115は、始動ボタンが押下操作されたことを示すデータを指示入力受付部111から受け取ると、各駆動源6、昇降機構10、各流量制御弁96、及び各電源ユニット130を始動させるべく制御する。このとき、加工機制御部115は、予め設定された制御内容に基づいて、各駆動源6、及び昇降機構10の動作を制御する。また、このとき、加工機制御部115は、電解加工機130を定電圧源、又は定電流源のいずれかの動作方式で動作させるべく制御する。例えば、加工機制御部115は、電解加工機1が始動すると、電解加工機130を定電圧源として動作させるべく制御する。その場合、加工機制御部115は、電源ユニット130から出力された電気信号を信号入力受付部112から受け取ると、その電気信号に含まれている電圧値が経時的に一定となるよう、電源ユニット130を制御する。そして、加工機制御部115は、電源ユニット130が定電圧源として動作するよう制御されていることを示すデータをしきい値判定部113に送る。また、加工機制御部115は、例えば、電解加工機130を定電圧源として動作させるべく制御しているときに、電源ユニット130から出力された電気信号によって示される電流値が経時的に一定となった場合、電解加工機130を定電流源として動作させるべく制御する。その場合、加工機制御部115は、電源ユニット130から出力された電気信号を信号入力受付部112から受け取ると、その電気信号に含まれている電流値が経時的に一定となるよう、電源ユニット130を制御する。そして、加工機制御部115は、電源ユニット130が定電流源として動作するよう制御されていることを示すデータをしきい値判定部113に送る。また、加工機制御部115は、例えば、流量計140aから出力された電気信号を信号入力受付部112から受け取ると、その電気信号によって示される流量値が経時的に一定となるよう、流体制御弁96aの流体通過部の開度を制御する。また、加工機制御部115は、停止ボタンが押下操作されたことを示すデータを指示入力受付部111から受け取ると、各駆動源6、昇降機構10、各流量制御弁96、及び各電源ユニット130の動作を停止させるべく制御する。
【0098】
また、加工機制御部115は、電解加工機1の加工動作の状態について、特定の動作不良が生じていると動作状態診断部114が診断した場合、加工動作を停止させるべく電解加工機1を制御する。具体的には、加工機制御部115は、電解加工機1の加工動作の状態について、動作不良が生じていること示すデータを動作状態診断部114から受け取ると、各駆動源6、昇降機構10、各流量制御弁96、及び各電源ユニット130の動作を停止させるべく制御する。
【0099】
状態情報出力部116は、電解加工機1の加工動作の状態を示すデータを出力する。具体的には、状態情報出力部116は、電解加工機1の加工動作の状態について、動作不良が生じていると診断したことを示すデータを動作状態診断部114から受け取ると、如何なる動作不良が生じているのかを示すデータを、ディスプレイ等の出力手段に出力する。
【0100】
図3及び図4は、制御コントローラ110の動作フローの一例を示す。まず、電解加工機1に設けられた始動ボタンが押下操作されると、指示入力受付部111は、始動ボタンから出力された電気信号を受け付ける。このようにして、指示入力受付部111は、電解加工機1を始動するよう指示する旨の入力を受け付けることになる(S101)。
【0101】
そして、加工機制御部115は、電解加工機1を各駆動源6、昇降機構10、各流量制御弁96、及び各電源ユニット130を始動させるべく制御する(S102)。このようにして、各駆動源6が駆動することによって、各電解棒2は、回転する。また、各流量制御弁96の流体通過部の開度が制御されることによって、各電極棒2内には、一定流量の電解液が供給される。また、各電源ユニット130が定電圧制御されることによって、各電極棒2の先端と動翼Xとの間には、一定の電圧が印加される。また、昇降機構10が駆動することによって、電解加工機1は、徐々に加工する。その結果、各電極棒2の先端では、動翼Xとの間で電解作用が生じ、各冷却孔Hが徐々に形成されることになる。
【0102】
このとき、しきい値判定部113は、各電流棒2に流れる電流の許容範囲の上限値をしきい値として、各電流計133によって測定された電流値がしきい値を超えたか否か判定する(S103)。また、しきい値判定部113は、各電流棒2に流れる電流の許容範囲の下限値をしきい値として、各電流計133によって測定された電流値がしきい値を超えたか否か判定する(S104)。また、しきい値判定部113は、電極棒2内に供給される電解液の液圧の許容範囲の下限値をしきい値として、各水圧計150によって測定された液圧値がしきい値を超えたか否か判定する(S105)。また、しきい値判定部113は、電極棒2に流れる電流の周期的な変化量の許容値をしきい値として、各電流計133によって測定された電流値の周期的な変化量がしきい値を超えたか否か判定する(S106)。また、しきい値判定部113は、電極棒2内に供給される電解液の液圧の周期的な変化量の許容値をしきい値として、各水圧計150によって測定された液圧値の周期的な変化量がしきい値を超えたか否か判定する(S107)。
【0103】
そして、加工機制御部115は、各電流計133によって測定された電流値が一定になると(S108:Yes)、各電源ユニット130を定電流源として動作させるよう駆動する(S109)。また、電解加工機1の加工動作の状態について、何ら動作不良が生じなければ、しきい値判定部113は、各電流計133によって測定された電流値が一定になるまで、上記の処理を繰り返すことになる(S103:No→S104:No→S105:No→S106:No→S107:No→S108:Noの繰り返し。)。
【0104】
各電源ユニット130が定電流制御されるようになると、しきい値判定部113は、各電極棒2の先端と動翼Xとの間に印加される電圧の許容範囲の下限値をしきい値として、各電圧計132によって測定された電圧値がしきい値を超えたか否か判定する(S110)。また、しきい値判定部113は、各電極棒2の先端と動翼Xとの間に印加される電圧の許容範囲の上限値をしきい値として、各電圧計132によって測定された電圧値がしきい値を超えたか否か判定する(S111)。また、しきい値判定部113は、電極棒2内に供給される電解液の液圧の許容範囲の下限値をしきい値として、各水圧計150によって測定された液圧値がしきい値を超えたか否か判定する(S112)。また、しきい値判定部113は、各電極棒2の先端と動翼Xとの間に印加される電圧の周期的な変化量の許容値をしきい値として、各電圧計132によって測定された電圧値の周期的な変化量がしきい値を超えたか否か判定する(S113)。また、しきい値判定部113は、電極棒2内に供給される電解液の液圧の周期的な変化量の許容値をしきい値として、各水圧計150によって測定された液圧値の周期的な変化量がしきい値を超えたか否か判定する(S114)。
【0105】
電解加工機1の加工動作の状態について、何ら動作不良が生じなければ、しきい値判定部113は、電解加工機1の動作を停止するよう指示する旨の入力を指示入力受付部111が受け付けるまでの間、上記の処理を繰り返すことになる(S110:No→S111:No→S112:No→S113:No→S114:No→S115:Noの繰り返し。)。
【0106】
ところで、上記S103の処理において、例えば、電流計133aによって測定された電流値がしきい値を超えたとしきい値判定部113が判定した場合(S103:Yes)、動作状態診断部114は、電解加工機1の加工動作の状態について、電極棒2aが短絡した動作不良が生じていると診断する(S116)。
【0107】
また、上記S104の処理において、例えば、電流計133aによって測定された電流値がしきい値を超えたとしきい値判定部113が判定した場合(S104:Yes)、動作状態診断部114は、電解加工機1の加工動作の状態について、電極棒2aが正常に送り出されていない動作不良が生じていると診断する(S117)。
【0108】
また、上記S105の処理において、例えば、水圧計150aによって測定された液圧値がしきい値を超えたとしきい値判定部113が判定した場合にも(S105:Yes)、動作状態診断部114は、電解加工機1の加工動作の状態について、電極棒2aが正常に送り出されていない動作不良が生じていると診断する(S117)。
【0109】
また、上記S106の処理において、例えば、電流計133aによって測定された電流値の周期的な変化量がしきい値を超えたとしきい値判定部113が判定した場合(S106:Yes)、動作状態診断部114は、電解加工機1の加工動作の状態について、電極棒2aが正常に回転していない動作不良が生じていると診断する(S118)。
【0110】
また、上記S107の処理において、例えば、水圧計150aによって測定された液圧値の周期的な変化量がしきい値を超えたとしきい値判定部113が判定した場合にも(S107:Yes)、動作状態診断部114は、電解加工機1の加工動作の状態について、電極棒2aが正常に回転していない動作不良が生じていると診断する(S118)。
【0111】
また、上記S110の処理において、例えば、電圧計132aによって測定された電圧値がしきい値を超えたとしきい値判定部112が判定した場合(S110:Yes)、動作状態診断部114は、電解加工機1の加工動作の状態について、電極棒2aが短絡した動作不良が生じていると診断する(S119)。
【0112】
また、上記S111の処理において、例えば、電圧計132aによって測定された電圧値がしきい値を超えたとしきい値判定部112が判定した場合(S111:Yes)、動作状態診断部114は、電解加工機1の加工動作の状態について、電極棒2aが正常に送り出されていない動作不良が生じていると診断する(S120)。
【0113】
また、S112の処理において、例えば、水圧計150aによって測定された液圧値がしきい値を超えたとしきい値判定部112が判定した場合にも(S112:Yes)、動作状態診断部114は、電解加工機1の加工動作の状態について、電極棒2aが正常に送り出されていない動作不良が生じていると診断する(S120)。
【0114】
また、S113の処理において、例えば、電圧計132aによって測定された電圧値の周期的な変化量がしきい値を超えたとしきい値判定部112が判定した場合(S113:Yes)、動作状態診断部114は、電解加工機1の加工動作の状態について、電極棒2aが正常に回転していない動作不良が生じていると診断する(S121)。
【0115】
また、S114の処理において、例えば、水圧計150aによって測定された液圧値の周期的な変化量がしきい値を超えたとしきい値判定部112が判定した場合にも(S114:Yes)、動作状態診断部114は、電解加工機1の加工動作の状態について、電極棒2aが正常に回転していない動作不良が生じていると診断する(S121)。
【0116】
このように、電解加工機1の加工動作の状態について動作不良が生じていると動作状態診断部114が診断すると、加工機制御部115は、各駆動源6、昇降機構10、各流量制御弁96、及び各電源ユニット130の動作を停止させるべく制御する(S122)。このようにして、各駆動源6が停止することによって、各電解棒2は、回転を停止する。また、各流量制御弁96の流体通過部が閉められることによって、各電極棒2内には、電解液が供給されなくなる。また、各電源ユニット130が停止することによって、各電極棒2の先端と動翼Xとの間には、電圧が印加されなくなる。また、昇降機構10が停止することによって、電解加工機1は、下降しなくなる。その結果、電解加工機1は、電解加工のための動作を停止することになる。
【0117】
そして、状態データ出力部116は、如何なる動作不良が生じているのか示すデータをディスプレイに出力する(S123)。このようにして、ディスプレイには、如何なる動作不良が生じているのかを示す情報が表示されることになる。
【0118】
また、加工機制御部115は、電解加工機1の動作を停止するよう指示する旨の入力を指示入力受付部111が受け付けたときにも(S115:Yes)、各駆動源6、昇降機構10、各流量制御弁96、及び各電源ユニット130の動作を停止させるべく制御する(S122)。
【0119】
以上説明したように、動作状態診断システム100は、電解加工法によって動翼Xを加工するにあたり、電極棒2と動翼Xとの短絡だけでなく、電極棒2が正常に送り出されていない動作不良や、電極棒2が正常に回転していない動作不良をも検知することができる。
【0120】
図5は、制御コントローラ110をコンピュータ等の電子情報処理装置で構成した場合のハードウェア構成の一例を示す。制御コントローラ110は、CPU(Central Processing Unit)周辺部と、入出力部と、レガシー入出力部とを備える。CPU周辺部は、ホスト・コントローラ901により相互に接続されるCPU902、RAM(Random Access Memory)903、グラフィック・コントローラ904、及び表示装置905を有する。入出力部は、入出力コントローラ906によりホスト・コントローラ901に接続される通信インターフェイス907、ハードディスクドライブ908、及びCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ909を有する。レガシー入出力部は、入出力コントローラ906に接続されるROM(Read Only Memory)910、フレキシブルディスク・ドライブ911、及び入出力チップ912を有する。
【0121】
ホスト・コントローラ901は、RAM903と、高い転送レートでRAM903をアクセスするCPU902、及びグラフィック・コントローラ904とを接続する。CPU902は、ROM910、及びRAM903に格納されたプログラムに基づいて動作して、各部の制御をする。グラフィック・コントローラ904は、CPU902等がRAM903内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得して、表示装置905上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ904は、CPU902等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0122】
入出力コントローラ906は、ホスト・コントローラ901と、比較的高速な入出力装置であるハードディスクドライブ908、通信インターフェイス907、CD−ROMドライブ909を接続する。ハードディスクドライブ908は、CPU902が使用するプログラム、及びデータを格納する。通信インターフェイス907は、ネットワーク通信装置991に接続してプログラム又はデータを送受信する。CD−ROMドライブ909は、CD−ROM992からプログラム又はデータを読み取り、RAM903を介してハードディスクドライブ908、及び通信インターフェイス907に提供する。
【0123】
入出力コントローラ906には、ROM910と、フレキシブルディスク・ドライブ911、及び入出力チップ912の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM910は、制御コントローラ110が起動時に実行するブート・プログラム、あるいは制御コントローラ110のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ911は、フレキシブルディスク993からプログラム又はデータを読み取り、RAM903を介してハードディスクドライブ908、及び通信インターフェイス907に提供する。入出力チップ912は、フレキシブルディスク・ドライブ911、あるいはパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を接続する。
【0124】
CPU902が実行するプログラムは、フレキシブルディスク993、CD−ROM992、又はIC(Integrated Circuit)カード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。記録媒体に格納されたプログラムは圧縮されていても非圧縮であってもよい。プログラムは、記録媒体からハードディスクドライブ908にインストールされ、RAM903に読み出されてCPU902により実行される。CPU902により実行されるプログラムは、制御コントローラ110を、図1から図4に関連して説明した指示入力受付部111、信号入力受付部112、しきい値判定部113、動作状態診断部114、加工機制御部115、及び状態情報出力部116として機能させる。
【0125】
以上に示したプログラムは、外部の記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体としては、フレキシブルディスク993、CD−ROM992の他に、DVD(Digital Versatile Disk)又はPD(Phase Disk)等の光学記録媒体、MD(MiniDisk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。
【0126】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0127】
H 冷却孔
X 動翼
1 電解加工機
2 電極棒
3 ワーク固定ジグ
4 チャックホルダー
5 回転機構
6 駆動源
7 ブラシ
8 筐体
9 電解液チャンバ
10 昇降機構
11 電極ガイド
14 ガイド孔
50 駆動ギヤ
51 受動ギヤ
60 駆動軸
80 上壁
81 下壁
82 回転軸受
83 回転軸受
90 上壁
91 下壁
93 液室
94 隔壁
95 供給管
96 流量制御弁
100 動作状態診断システム
110 制御コントローラ
111 指示入力受付部
112 信号入力受付部
113 しきい値判定部
114 動作状態診断部
115 加工機制御部
116 状態情報出力部
130 電源ユニット
131 直流電源
132 電圧計
133 電流計
140 流量計
150 水圧計
901 ホスト・コントローラ
902 CPU
903 RAM
904 グラフィック・コントローラ
905 表示装置
906 入出力コントローラ
907 通信インターフェイス
908 ハードディスクドライブ
909 CD−ROMドライブ
910 ROM
911 フレキシブルディスク・ドライブ
912 入出力チップ
991 ネットワーク通信装置
992 CD−ROM
993 フレキシブルディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物に対して管状の電極の先端から電解液を吐出させ、前記電極の先端と前記被加工物との間に電圧を印加すると共に、前記被加工物に向けて前記電極を送り出して前記被加工物を穿孔加工する電解加工機について、加工動作の状態を診断する動作状態診断システムであって、
前記電解加工機が前記電極を送り出す際に、特定の物理量が一定となるよう定量制御している場合、前記特定の物理量と相関関係のある別の物理量を測定する物理量測定手段と、前記電解加工機の加工動作の状態を監視する監視装置とを備え、
前記監視装置は、
前記特定の物理量と相関関係のある別の物理量の許容値、又は当該物理量の周期的な変化量の許容値をしきい値として、前記物理量測定手段によって測定された物理量、又は当該物理量の周期的な変化量が前記しきい値を超えたか否か判定するしきい値判定部と、
前記しきい値を超えたと前記しきい値判定部が判定した場合に、前記物理量、又は前記物理量の周期的な変化量のいずれが、如何なるしきい値を超えたのか、その判定結果に基づいて、前記電解加工機の加工動作の状態について、如何なる動作不良が生じているか診断する動作状態診断部と
を有する動作状態診断システム。
【請求項2】
前記物理量測定手段は、前記電解加工機が前記電極を送り出す際に、前記電極に流れる電流が一定となるよう定電流制御している場合、前記電極の先端と前記被加工物との間に印加している電圧を測定する
請求項1に記載の動作状態診断システム。
【請求項3】
前記しきい値判定部は、前記電極の先端と前記被加工物との間に印加される電圧の許容範囲の上限値をしきい値として、前記物理量測定手段によって測定された電圧が前記しきい値を超えたか否か判定し、
前記動作状態診断部は、前記物理量測定手段によって測定された電圧が前記しきい値を超えたと前記しきい値判定部が判定した場合、前記電解加工機の加工動作の状態について、前記電極が正常に送り出されていない動作不良が生じていると診断する
請求項2に記載の動作状態診断システム。
【請求項4】
前記電解加工機が、前記電極を回転させながら送り出して前記被加工物を穿孔加工する場合、
前記しきい値判定部は、前記電極の先端と前記被加工物との間に印加される電圧の周期的な変化量の許容値をしきい値として、前記物理量測定手段によって測定された電圧の周期的な変化量が前記しきい値を超えたか否か判定し、
前記動作状態診断部は、前記物理量測定手段によって測定された電圧の周期的な変化量が前記しきい値を超えたと前記しきい値判定部が判定した場合、前記電解加工機の加工動作の状態について、前記電極が正常に回転していない動作不良が生じていると診断する
請求項2に記載の動作状態診断システム。
【請求項5】
前記物理量測定手段は、前記電解加工機が前記電極を送り出す際に、前記電極の先端と前記被加工物との間に印加される電圧が一定となるよう定電圧制御している場合、前記電極に流されている電流を測定する
請求項1に記載の動作状態診断システム。
【請求項6】
前記しきい値判定部は、前記電極に流れる電流の許容範囲の下限値をしきい値として、前記物理量測定手段によって測定された電流が前記しきい値を超えたか否か判定し、
前記動作状態診断部は、前記物理量測定手段によって測定された電流が前記しきい値を超えたと前記しきい値判定部が判定した場合、前記電解加工機の加工動作の状態について、前記電極が正常に送り出されていない動作不良が生じていると診断する
請求項5に記載の動作状態診断システム。
【請求項7】
前記電解加工機が、前記電極を回転させながら送り出して前記被加工物を穿孔加工する場合、
前記しきい値判定部は、前記電極に流れる電流の周期的な変化量の許容値をしきい値として、前記物理量測定手段によって測定された電流の周期的な変化量が前記しきい値を超えたか否か判定し、
前記動作状態診断部は、前記物理量測定手段によって測定された電流の周期的な変化量が前記しきい値を超えたと前記しきい値判定部が判定した場合、前記電解加工機の加工動作の状態について、前記電極が正常に回転していない動作不良が生じていると診断する
請求項5に記載の動作状態診断システム。
【請求項8】
前記物理量測定手段は、前記電解加工機が前記電極を送り出す際に、前記電極の先端から吐出される電解液の流量が一定となるよう定流量制御している場合、前記電極内に供給している電解液の液圧を測定する
請求項1乃至7のいずれかに記載の動作状態診断システム。
【請求項9】
前記しきい値判定部は、前記電極内に供給される電解液の液圧の許容範囲の下限値をしきい値として、前記物理量測定手段によって測定された液圧が前記しきい値を超えたか否か判定し、
前記動作状態診断部は、前記物理量測定手段によって測定された液圧が前記しきい値を超えたと前記しきい値判定部が判定した場合、前記電解加工機の加工動作の状態について、前記電極が正常に送り出されていない動作不良が発生していると診断する
請求項8に記載の動作状態診断システム。
【請求項10】
前記電解加工機が、前記電極を回転させながら送り出して前記被加工物を穿孔加工する場合、
前記しきい値判定部は、前記電極内に供給される電解液の液圧の周期的な変化量の許容値をしきい値として、前記物理量測定手段によって測定された液圧の周期的な変化量が前記しきい値を超えたか否か判定し、
前記動作状態診断部は、前記物理量測定手段によって測定された液圧の周期的な変化量が前記しきい値を超えたと前記しきい値判定部が判定した場合、前記電解加工機の加工動作の状態について、前記電極が正常に回転していない動作不良が生じていると診断する
請求項8に記載の動作状態診断システム。
【請求項11】
前記監視装置は、
前記電解加工機の加工動作の状態について、特定の動作不良が生じていると前記動作状態診断部が診断した場合に、加工動作を停止させるべく前記電解加工機を制御する加工機制御部
を更に有する請求項1乃至10のいずれかに記載の動作状態診断システム。
【請求項12】
被加工物に対して管状の電極の先端から電解液を吐出させ、前記電極の先端と前記被加工物との間に電圧を印加すると共に、前記被加工物に向けて前記電極を送り出して前記被加工物を穿孔加工する電解加工機の状態を監視する監視装置であって、
前記電解加工機が前記電極を送り出す際に、特定の物理量が一定となるよう定量制御している場合、前記特定の物理量と相関関係のある別の物理量の許容値、又は当該物理量の周期的な変化量の許容値をしきい値として、前記特定の物理量と相関関係のある別の物理量を測定する物理量測定手段によって測定された物理量、又は当該物理量の周期的な変化量が前記しきい値を超えたか否か判定するしきい値判定部と、
前記しきい値を超えたと前記しきい値判定部が判定した場合に、前記物理量、又は前記物理量の周期的な変化量のいずれが、如何なるしきい値を超えたのか、その判定結果に基づいて、前記電解加工機の加工動作の状態について、如何なる動作不良が生じているか診断する動作状態診断部と
を備える監視装置。
【請求項13】
被加工物に対して管状の電極の先端から電解液を吐出させ、前記電極の先端と前記被加工物との間に電圧を印加すると共に、前記被加工物に向けて前記電極を送り出して前記被加工物を穿孔加工する電解加工機の状態を監視する監視装置を制御する制御方法であって、
前記電解加工機が前記電極を送り出す際に、特定の物理量が一定となるよう定量制御している場合、前記特定の物理量と相関関係のある別の物理量の許容値、又は当該物理量の周期的な変化量の許容値をしきい値として、前記特定の物理量と相関関係のある別の物理量を測定する物理量測定手段によって測定された物理量、又は当該物理量の周期的な変化量が前記しきい値を超えたか否か判定するしきい値判定段階と、
前記しきい値を超えたと前記しきい値判定段階において判定された場合に、前記物理量、又は前記物理量の周期的な変化量のいずれが、如何なるしきい値を超えたのか、その判定結果に基づいて、前記電解加工機の加工動作の状態について、如何なる動作不良が生じているか診断する動作状態診断段階と
を備える制御方法。
【請求項14】
被加工物に対して管状の電極の先端から電解液を吐出させ、前記電極の先端と前記被加工物との間に電圧を印加すると共に、前記被加工物に向けて前記電極を送り出して前記被加工物を穿孔加工する電解加工機の状態を監視する監視装置用のプログラムであって、前記監視装置を、
前記電解加工機が前記電極を送り出す際に、特定の物理量が一定となるよう定量制御している場合、前記特定の物理量と相関関係のある別の物理量の許容値、又は当該物理量の周期的な変化量の許容値をしきい値として、前記特定の物理量と相関関係のある別の物理量を測定する物理量測定手段によって測定された物理量、又は当該物理量の周期的な変化量が前記しきい値を超えたか否か判定するしきい値判定部、
前記しきい値を超えたと前記しきい値判定部が判定した場合に、前記物理量、又は前記物理量の周期的な変化量のいずれが、如何なるしきい値を超えたのか、その判定結果に基づいて、前記電解加工機の加工動作の状態について、如何なる動作不良が生じているか診断する動作状態診断部
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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