説明

動力伝達装置

【課題】搭載性を高くすることのできる動力伝達装置を提供する。
【解決手段】この装置は、機関出力軸10に連結されたコンバータハウジング20と、変速機入力軸11に連結されたタービンハブ34と、それらコンバータハウジング20およびタービンハブ34の係脱状態を変更する湿式のロックアップクラッチ機構50とを備える。また、変速機入力軸11に接触する形状に形成されてロックアップクラッチ機構50のピストン56を移動させるためのオイルを作動油室25に供給する作動油路11aと、変速機入力軸11に接触するように設けられて作動油路11aからタービンハブ34の取り付け部へのオイル漏れをシールするシール部材28とを備える。変速機入力軸11におけるタービンハブ34の取り付け部とシール部材28の接触部分とがそれぞれ同変速機入力軸11の軸線L1と直交する直線上において並ぶ位置に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の出力軸と自動変速機の入力軸との間でのトルク伝達を行うための動力伝達装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、内燃機関と自動変速機との間には、同内燃機関の出力軸と自動変速機の入力軸との間において伝達される回転トルクを調節するための動力伝達装置が設けられている。そうした動力伝達装置としては、トルクコンバータとロックアップクラッチ機構とを備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この動力伝達装置のロックアップクラッチ機構は、自動変速機の入力軸ともども回転するように同入力軸に連結された出力側部材と、内燃機関の出力軸ともども回転するとともにその軸線方向への相対移動が可能な状態で配設されたピストン部材と、それら出力側部材およびピストン部材の間に配設された摩擦部材とを備えている。また、上記ピストン部材はオイルの満たされたケースの内部を前記軸線方向において仕切るように配設されており、ケース内部へのオイル供給やオイル排出は自動変速機の入力軸(詳しくは同入力軸に接触するように形成された作動油路)を介して行われる。
【0004】
そして、ピストン部材によって仕切られる一方側の部分と他方側の部分とのオイル圧力の差によって同ピストン部材が自動変速機の入力軸に対してその軸線方向に移動することにより、ロックアップクラッチ機構の作動と非作動とが切り換えられる。詳しくは、ピストン部材が出力側部材に近づく方向に移動するようにオイル圧力の差が調節されると、ピストン部材が摩擦部材を間に挟んだ状態で出力側部材に押し付けられて同ピストン部材と出力側部材とが一体に回転するようになり、内燃機関の出力軸と変速機の入力軸とが一体に回転するようになる。一方、ピストン部材が出力側部材から離間する方向に移動するようにオイル圧力の差が調節されると、ピストン部材、摩擦部材および出力側部材の相対回転が許容されるようになり、トルクコンバータを介して内燃機関の出力軸と変速機の入力軸との間の動力伝達が行われるようになる。
【0005】
ここで、ロックアップクラッチ機構を作動させるための上記オイル圧力の差を効率よく発生させるためには、ピストン部材を移動させるべくオイルを供給するための作動油路内からの不要なオイル漏れが適正にシールされていることが望ましい。この点をふまえて特許文献1に記載の装置では、そうしたオイル漏れをシールするためのシール部材が自動変速機の入力軸と接触するように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−52747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、動力伝達装置にあっては、その搭載性(具体的には、その搭載位置についての自由度)を高くするために前記軸線方向における長さを短縮したいとの要求がある。また、動力伝達装置の搭載性を高くすることにより、同動力伝達装置に連結される内燃機関の搭載性も高くすることが可能になるため、この点からも動力伝達装置の上記軸線方向における長さの短縮が望まれる。
【0008】
前述した動力伝達装置にあっては、その内部に挿入される自動変速機の入力軸に、前記出力側部材とシール部材とを各別に取り付ける必要がある。そのため、出力側部材を取り付けるためのスペースとシール部材を取り付けるためのスペースとの分だけ自動変速機の入力軸の長さ、換言すれば動力伝達装置の上記軸線方向における長さが必要になり、これがその長さの短縮を阻む一因となっている。
【0009】
なお、前述したトルクコンバータとロックアップクラッチ機構とを備える動力伝達装置に限らず、例えばトルクコンバータが設けられない動力伝達装置など、自動変速機の入力軸に出力側部材が連結されるとともに同入力軸と接触するようにシール部材が取り付けられた動力伝達装置にあっては、動力伝達装置の搭載性に関する上述した実情は概ね共通している。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、搭載性を高くすることのできる動力伝達装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関の出力軸に連結された入力側部材と、自動変速機の入力軸に取り付け部において連結された出力側部材と、前記入力側部材および前記出力側部材の係脱状態を変更する湿式のロックアップクラッチ機構と、前記入力軸に接触する形状に形成されて前記ロックアップクラッチ機構のピストン部材を移動させるためのオイルを同ピストン部材における前記出力側部材の取り付け部から離間する側の部分に供給する作動油路と、前記入力軸に接触するように設けられて前記作動油路から前記出力側部材の取り付け部へのオイル漏れをシールするシール部材とを備える動力伝達装置において、前記入力軸における前記出力側部材の取り付け部と前記シール部材の接触部分とがそれぞれ前記入力軸の軸線と直交する直線上において並ぶ位置に設定されることをその要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、出力側部材とシール部材とが自動変速機の入力軸に接触するように各別に設けられるとはいえ、上記出力側部材の取り付けのために必要な部分と上記シール部材の取り付けのために必要な部分とを同入力軸の軸線方向においてオーバラップさせることができる。そのため、出力側部材とシール部材とがそれらの取り付け部分が上記軸線方向において並ぶように配設される装置と比較して、上記軸線方向における動力伝達装置の長さのうちの上記出力側部材およびシール部材の取り付けのために必要な部分が占める長さを上述のオーバラップ分だけ短くすることができ、動力伝達装置の搭載性を高くすることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の動力伝達装置において、前記入力側部材は、その一部分が前記入力軸の先端を覆う形状に形成されるとともに、前記入力軸に対向する部分に同入力軸の軸線を中心軸とする円筒形状で突出する凸部が形成され、前記入力軸は、前記取り付け部より同入力軸の軸線側の部分に、前記凸部が挿入される環状の凹部が形成され、前記出力側部材は、前記入力軸の外周面に取り付けられ、前記シール部材は、前記凸部と前記凹部との間に設けられることをその要旨とする。
【0014】
上記構成によれば、自動変速機の入力軸における出力側部材の取り付け部をシール部材の接触部分より外周側の位置に設定することができるようになり、入力軸における出力側部材の取り付け部とシール部材の接触部分とを同入力軸の軸線と直交する直線上において並ぶように配置することができるようになる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の動力伝達装置において、前記ピストン部材は、前記入力側部材にその回転軸方向への相対移動が可能な状態で連結され、前記動力伝達装置は、前記ピストン部材に接触するように設けられて前記作動油路から前記出力側部材の取り付け部へのオイル漏れをシールする漏れ防止部材を備え、同漏れ防止部材の配設部分と前記入力軸における前記出力側部材の取り付け部とがそれぞれ前記入力軸の軸線と直交する直線上において並ぶ位置に設定されることをその要旨とする。
【0016】
上記構成によれば、上記出力側部材の取り付けのために必要な部分と上記漏れ防止部材の取り付けのために必要な部分とを自動変速機の入力軸の軸線方向においてオーバラップさせることができる。そのため、出力側部材と漏れ防止部材とがそれらの取り付け部分が上記軸線方向において並ぶように配設される装置と比較して、上記軸線方向における動力伝達装置の長さのうちの上記出力側部材および漏れ防止部材の取り付けのために必要な部分が占める長さを上述のオーバラップ分だけ短くすることができ、動力伝達装置の搭載性をより高くすることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の動力伝達装置において、前記入力側部材は、前記凸部と同一の中心軸で同凸部より外周側において円筒形状に突出する突部が形成され、前記ピストン部材は、前記入力側部材にその回転軸方向への相対移動が可能な状態で連結されるとともに、前記入力側部材の前記一部分側の外面が前記突部の外周面の周囲全周にわたって対向する形状に形成され、前記動力伝達装置は、オイル漏れを抑えるべく前記ピストン部材の外面と前記突部の外面との間に設けられた漏れ防止部材を備え、同漏れ防止部材の配設部分と前記入力軸における前記出力側部材の取り付け部とがそれぞれ前記入力軸の軸線と直交する直線上において並ぶ位置に設定されることをその要旨とする。
【0018】
上記構成によれば、上記漏れ防止部材の配設部分を入力軸における出力側部材の取り付け部やシール部材の接触部分より外周側の位置に設定することができるようになる。そのため、上記入力軸における出力側部材の取り付け部と漏れ防止部材の配設部分とを同入力軸の軸線と直交する直線上において並ぶ位置に設定することができる。これにより、上記入力軸への出力側部材の取り付け部と上記漏れ防止部材の配設部分とが上記入力軸の軸線方向において並ぶように配置される装置と比較して、動力伝達装置の回転軸方向における長さを短縮することができ、同動力伝達装置の搭載性をより高くすることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の動力伝達装置において、前記ロックアップクラッチ機構は、前記ピストン部材および前記出力側部材の間に設けられた摩擦部材を有し、前記ピストン部材は、前記入力側部材にその回転軸方向への相対移動が可能な状態で連結され、前記動力伝達装置は、前記入力側部材に連結されたポンプインペラおよび前記出力側部材に連結されたタービンランナを有する流体継手と、同流体継手の内部にオイルを供給するためのオイル通路とを備え、前記入力軸の軸線方向において前記ピストン部材、前記出力側部材、前記流体継手の順に並ぶように形成され、前記入力軸の内部に、前記出力側部材の取り付け部を迂回して延び、且つ前記オイル通路と前記出力側部材および前記ピストン部材の間に連通される部分とを連通する形状で延びる迂回油路が形成されることをその要旨とする。
【0020】
上記構成では、動力伝達装置の内部においてピストン部材によって仕切られた一方側の部分に出力側部材や摩擦部材、流体継手が配設される。そして、それら出力側部材、摩擦部材および流体継手に対して、その冷却のために、それぞれ適正量のオイルを供給する必要がある。また上記構成は、ピストン部材、摩擦部材、出力側部材、並びに自動変速機の入力軸によって区画された部分があり、その区画部分の内部にオイルが滞留し易い構造になっている。そのため、単に一本のオイル通路を介して流体継手にオイルを供給するようにすると、上記区画部分へのオイル流入量が不足することにより、ロックアップクラッチ機構(特に、その摩擦部材の周辺)へのオイル供給量の不足を招くおそれがある。
【0021】
この点、上記構成によれば、オイル通路および迂回油路によって上記区画部分の内部と流体継手の内部とにオイルを振り分けつつ供給することができるようになる。そのため、それら区画部分の内部および流体継手の内部それぞれに適正量のオイルを供給することができるようになり、ロックアップクラッチ機構や流体継手の冷却を適正に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を具体化した一実施の形態にかかる動力伝達装置の断面構造を示す断面図。
【図2】センターキャップの斜視構造を示す斜視図。
【図3】変速機入力軸の先端部分の斜視構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した一実施の形態にかかる動力伝達装置について説明する。
なお本実施の形態にかかる動力伝達装置は、車載内燃機関の出力軸と自動変速機の入力軸との間でのトルク伝達を行うべく内燃機関および自動変速機の間に取り付けられている。
【0024】
図1に、本実施の形態にかかる動力伝達装置の断面構造を示す。
本実施の形態にかかる動力伝達装置は、図1に示すように、コンバータハウジング20を備えており、このコンバータハウジング20の内部にはオイルが満たされている。
【0025】
コンバータハウジング20は、センターキャップ21、フロントカバー22、ポンプカバー23、および支持カバー24により構成されており、それらが溶接などによって互いに固着されている。センターキャップ21は内燃機関の出力軸(機関出力軸10)に連結されており、このセンターキャップ21にはフロントカバー22が取り付けられている。また、フロントカバー22にはポンプカバー23が取り付けられており、ポンプカバー23は自動変速機のケース(図示略)に回転可能に支持されている。コンバータハウジング20は、機関出力軸10ともども回転するように同機関出力軸10に連結されている。本実施の形態では、このコンバータハウジング20が入力側部材として機能する。また、本実施の形態では、コンバータハウジング20の一部分を構成するセンターキャップ21が、円柱形状に形成された自動変速機の入力軸(変速機入力軸11)の先端を覆うように設けられる。
【0026】
コンバータハウジング20の内部には流体継手として機能するトルクコンバータ30が設けられている。トルクコンバータ30は、大きくは、ポンプインペラ31とタービンランナ32とステータ33とにより構成されている。
【0027】
ポンプインペラ31はポンプカバー23に固定されており、コンバータハウジング20ともども回転する。
また、タービンランナ32はタービンハブ34を介して変速機入力軸11に連結されている。なおタービンハブ34は、その内周面と変速機入力軸11の外周面とがスプライン結合するように同変速機入力軸11に取り付けられており、同変速機入力軸11ともども回転するとともにその軸線L1方向への相対移動が可能になっている。
【0028】
さらに、ステータ33は、ステータシャフト35と連結ピース36とワンウェイクラッチ37とを介して自動変速機のケースに取り付けられて、ポンプインペラ31とタービンランナ32との間に配設される。ステータシャフト35は、内部を変速機入力軸11が貫通した状態で、一端が自動変速機のケースに固定されている。連結ピース36は、ステータシャフト35の外周部分にスプライン結合により取り付けられて、タービンハブ34と支持カバー24との間に配設されている。ワンウェイクラッチ37は、連結ピース36とステータ33との間に設けられている。このワンウェイクラッチ37は、タービンランナ32の回転速度が遅いときには連結ピース36にステータ33を固定するように作動し、タービンランナ32の回転速度が高くなると連結ピース36とステータ33との相対回転を許容するように作動する。
【0029】
トルクコンバータ30内へのオイルの供給は、変速機入力軸11とステータシャフト35との間隙W1を介して行われる。詳しくは、上記間隙W1は自動変速機に設けられたポンプ(図示略)の吐出側に連通されている。また間隙W1は、ステータシャフト35の先端付近に形成された貫通孔35aと連結ピース36における上記ステータシャフト35の連結部分に形成された連通溝36aとを介して、タービンハブ34と連結ピース36との間隙に連通されている。そして、上記間隙W1、貫通孔35a、連通溝36aといった順に流れてタービンハブ34と連結ピース36との間隙に流入したオイルは、タービンハブ34とステータ33との間隙を介してトルクコンバータ30の内部に流入する。本実施の形態では、上記間隙W1が、流体継手の内部にオイルを供給するためのオイル通路として機能する。
【0030】
一方、トルクコンバータ30内からのオイルの排出は、ステータシャフト35と支持カバー24との間隙W2を介して行われる。詳しくは、トルクコンバータ30内のオイルの一部がステータ33とポンプカバー23との間隙、ステータ33と支持カバー24との間隙を経て上記間隙W2に流入し、同間隙W2を通じて前記ポンプの吸入側に戻されるようになる。
【0031】
また、コンバータハウジング20の内部にはダンパ機構40が設けられている。
ダンパ機構40は、その内周側の部分を構成するダンパプレート41と、外周側の部分を構成するダンパディスク42と、それらダンパプレート41およびダンパディスク42の間に設けられたダンパスプリング43とにより構成される。ダンパプレート41はタービンハブ34と一体に回転するように同タービンハブ34に固定されており、ダンパディスク42はダンパスプリング43を介してダンパプレート41に連結されている。またダンパスプリング43は、タービンハブ34の回転軸(詳しくは、変速機入力軸11の軸線L1)を中心とする円周方向に延びるように設けられる。そして、ダンパスプリング43がダンパプレート41とダンパディスク42との相対移動(詳しくは、上記軸線L1を回転中心とする相対回転)を許容するように伸縮することによって、ダンパ機構40を介して伝達される回転トルクの変動が減衰される。
【0032】
さらに、コンバータハウジング20の内部にはロックアップクラッチ機構50が設けられている。このロックアップクラッチ機構50は、大きくは、クラッチ板51と、係合部52と、摩擦部材として機能する二枚の摩擦板53,54と、ストッパ55と、ピストン部材として機能するピストン56とにより構成される。
【0033】
クラッチ板51は、リング形状に形成されて、その内周部分とダンパディスク42の外周部分とが係合するように同ダンパディスク42に取り付けられている。このクラッチ板51は、ダンパディスク42と一体回転するとともに、同ダンパディスク42に対して上記軸線L1方向に移動可能になっている。本実施の形態では、上記タービンハブ34、ダンパ機構40、およびクラッチ板51が出力側部材として機能する。
【0034】
係合部52は、上記軸線L1を中心として同軸線L1方向に延びる円筒形状に形成されて、一端がフロントカバー22に固定されている。
各摩擦板53,54は、共にリング形状に形成されて、上記クラッチ板51を間に挟むように配設されている。また、各摩擦板53,54は、その外周部分と上記係合部52の内周部分とが係合するように配設されており、係合部52(詳しくは、コンバータハウジング20)と一体回転するとともに、同係合部52に対して上記軸線L1方向に移動可能になっている。
【0035】
ストッパ55は、リング形状に形成されて、その外周部分が係合部52の内周部分に固定されている。ストッパ55は、上記クラッチ板51や摩擦板53,54より上記係合部52の先端側(図1における右側)に配設されており、それらクラッチ板51や摩擦板53,54の上記係合部52の先端側への移動を規制する。
【0036】
ピストン56は、中心部分に開口部56aを有する円盤形状に形成され、該開口部56aにセンターキャップ21の一部が挿入された状態で配設されている。またピストン56は、ストッパ55との間にクラッチ板51および各摩擦板53,54を挟む位置に配設されている。さらにピストン56は、その外周面が係合部52の内周面に係合するように配設されており、係合部52(詳しくは、コンバータハウジング20)と一体回転するとともに、同係合部52に対して上記軸線L1方向に移動可能になっている。このピストン56とセンターキャップ21との対向面には、その全周にわたって延びる形状のシール部材57が設けられている。このシール部材57により、ピストン56とセンターキャップ21との間隙を介してオイルが不要に流通することが抑えられる。本実施の形態では、シール部材57が漏れ防止部材として機能する。
【0037】
このように本実施の形態では、ロックアップクラッチ機構50として、クラッチ板51と摩擦板53,54との接触面にオイルが供給される湿式のクラッチ機構であり、複数の摩擦板53,54を備えた多板式のクラッチ機構が採用されている。
【0038】
コンバータハウジング20の内部には作動油室25が区画形成されており、上記ロックアップクラッチ機構50の作動態様の変更は同作動油室25に対するオイルの給排により行われる。本実施の形態では、この作動油室25が、ピストン部材における前記出力側部材の取り付け部から離間する側の部分として機能する。
【0039】
作動油室25は、詳しくは、次のように区画形成されている。ピストン56には、外周面が上記軸線L1方向に延びる形状であり、且つ外周部分が内周部分より摩擦板53,54側に突出する形状の段部56bが形成されている。またフロントカバー22には、内面が上記ピストン56の段部56bの外周面と平行に延びる形状の段部22aが形成されている。さらに、ピストン56の段部56bとフロントカバー22の段部22aとの間にはシール部材26が配設されている。そして、作動油室25は、ピストン56、フロントカバー22、シール部材57、センターキャップ21、シール部材26により区画形成される。
【0040】
作動油室25に対するオイルの給排は、センターキャップ21に形成された連通路21aと、変速機入力軸11の内部に形成された作動油路11aとを介して行われる。詳しくは、作動油路11aは変速機入力軸11の先端において開口する形状に形成されており、制御弁(図示略)を介してポンプの吐出側および吸入側に接続されている。また、変速機入力軸11の先端はセンターキャップ21の内部に挿入された状態になっている。さらに、上記連通路21aは、センターキャップ21の内部と外部(具体的には、フロントカバー22およびピストン56の間に位置する部分)とを連通する形状に形成されている。そして、上記制御弁の作動制御を通じて、作動油路11aや連通路21aを介した作動油室25内のオイルの給排を行うことによって、同作動油室25内のオイル圧力が調節される。なお、制御弁の作動制御は、車両の運転状態に応じたかたちで実行される。
【0041】
コンバータハウジング20の内部は、作動油室25と同作動油室25以外の部分、詳しくは上記変速機入力軸11、ステータシャフト35およびセンターキャップ21より外周側の部分において作動油室25を除く部分(以下、油圧室27とする)とに区画されている。
【0042】
本実施の形態では、上述のように作動油室25内のオイル圧力を調節することにより、同オイル圧力と油圧室27のオイル圧力との差が変化するようになる。本実施の形態では、ピストン56が、コンバータハウジング20内において、作動油室25と油圧室27とを仕切る位置に配設されている。そのため、上記オイル圧力の差の変化に伴ってピストン56が移動するようになり、これによりロックアップクラッチ機構50が作動するようになる。
【0043】
具体的には、作動油室25にオイルが供給されてそのオイル圧力が油圧室27のオイル圧力より高くなると、ピストン56が油圧室27側(図1における右側)に移動し、クラッチ板51と各摩擦板53,54との面圧が高くなってクラッチ板51および各摩擦板53,54が一体回転するようになり、ロックアップクラッチ機構50が係合状態になる。
【0044】
一方、作動油室25からオイルが排出されてそのオイル圧力が油圧室27のオイル圧力より低くなると、ピストン56が作動油室25側(図1における左側)に移動し、クラッチ板51と各摩擦板53,54との面圧が低くなって、クラッチ板51と各摩擦板53,54とが相対回転するようになり、ロックアップクラッチ機構50が脱離状態になる。
【0045】
本実施の形態では、変速機入力軸11とセンターキャップ21との間隙にシール部材28が設けられている。このシール部材28により、上記間隙を通じた作動油路11aからタービンハブ34の取り付け部側へのオイル漏れや同取り付け部側から作動油路11aへのオイル漏れといった不要なオイルの流通が抑えられる。これにより、上記作動油路11aを通じた作動油室25へのオイルの給排が的確に行われるようになり、同シール部材28が設けられない装置と比較して上記オイル圧力の差を効率よく発生させることができるようになる。
【0046】
なお本実施の形態では、作動油室25と油圧室27とのオイル圧力の差を効率よく発生させるために、上記シール部材28を配設することに加えて、ピストン56とセンターキャップ21との間に前記シール部材57が配設されており、ピストン56とフロントカバー22との間に前記シール部材26が配設されている。
【0047】
一般に、動力伝達装置では、その搭載性(搭載位置についての自由度)を高くするために自動変速機の入力軸の軸線方向における長さを短縮したいとの要求がある。そして、本実施の形態にかかる装置のようにトルクコンバータ30や多板式のロックアップクラッチ機構50を内蔵しているものでは、トルクコンバータが設けられない装置や単板式のクラッチ機構が設けられる装置と比較して上記軸線L1方向の長さが長くなり易いために、そうした要求も切実なものになっている。
【0048】
本実施の形態にかかる動力伝達装置では、変速機入力軸11にタービンハブ34とシール部材28とを設ける必要があり、それらを単に軸線L1方向に並ぶように配置すると、これが装置の軸線L1方向長さの短縮を妨げる一因となってしまう。この点に着目して、本実施の形態では、変速機入力軸11におけるタービンハブ34の取り付け部とシール部材28の接触部分とがそれぞれ同変速機入力軸11の軸線L1と直交する直線上において並ぶ位置に設定されている。
【0049】
これにより、上記タービンハブ34の取り付けのために必要な部分と上記シール部材28の取り付けのために必要な部分とを変速機入力軸11の軸線L1方向においてオーバラップさせることができる。そのため、タービンハブ34とシール部材28とがそれらの取り付け部分が上記軸線L1方向において並ぶように配設される装置と比較して、上記軸線L1方向における動力伝達装置の長さのうちのタービンハブ34およびシール部材28の取り付けのために必要な部分が占める長さを上述のオーバラップ分だけ短くすることができ、動力伝達装置の搭載性を高くすることができる。
【0050】
こうした構造は、センターキャップ21の形状と変速機入力軸11の先端部分の形状とを以下のように設定することにより実現される。
図2に、センターキャップ21の斜視構造を示す。
【0051】
同図2に示すように、センターキャップ21は断面円形状で延びるベース部21bを備えている。このベース部21bにおける上記変速機入力軸11(図1参照)の先端に対向する部分には、同変速機入力軸11の軸線L1を中心軸とする円筒形状で突出する第1凸部21cが形成されている。また、ベース部21bにおける上記変速機入力軸11(図1参照)の先端に対向する部分には、上記第1凸部21cと同一の中心軸で該第1凸部21cより外周側において円筒形状に突出する第2突部21dが形成されている。この第2突部21dの外周面には、前記シール部材57(図1参照)を取り付けるためのシール溝21eがその全周にわたって延びる形状に形成されている。
【0052】
図3に、変速機入力軸11の先端部分の斜視構造を示す。
同図3に示すように、変速機入力軸11にはその中心部分に作動油路11aが形成されており、その作動油路11aは変速機入力軸11の先端部分において開口している。また、変速機入力軸11の先端部分の外周面には、タービンハブ34を取り付けるためのスプライン溝11bが形成されている。さらに、変速機入力軸11の先端面、すなわちセンターキャップ21に対向する部分には、上記軸線L1を中心にその周囲全周にわたって延びる環状の凹部11cが形成されている。この凹部11cの上記軸線L1側の内周面には、シール部材28(図1参照)を取り付けるためのシール溝11dが周囲全周にわたって延びる形状で形成されている。
【0053】
そして図1に示すように、センターキャップ21は、その第1凸部21cが変速機入力軸11の凹部11cに挿入されるように配設される。これにより、変速機入力軸11における上記タービンハブ34の取り付け部(具体的には、スプライン11bが形成された部分)より上記軸線L1側の部分に上記凹部11cが配置されるようになり、この凹部11cにセンターキャップ21の第1凸部21cが挿入されるようになる。そして、上記シール部材28がシール溝11dに取り付けられているために、同シール部材28が変速機入力軸11の凹部11cの外面(詳しくは、内周面)とセンターキャップ21の第1凸部21cの外面(詳しくは、外周面)との間に配設されるようになる。
【0054】
本実施の形態では、このようにして変速機入力軸11におけるタービンハブ34の取り付け部とシール部材28の接触部分とが同変速機入力軸11の軸線L1と直交する直線上において並ぶように、それらタービンハブ34とシール部材28とが配設されている。
【0055】
また本実施の形態では、センターキャップ21の第2突部21dが変速機入力軸11の先端部分および同部分に取り付けられたタービンハブ34の外周側を覆うように、且つ第2突部21dの外周面とピストン56の内周面とが対向するように、同センターキャップ21が配設される。そして、第2突部21dの外周面に形成されたシール溝21eに前記シール部材57が取り付けられているために、同シール部材57がセンターキャップ21の外周面とピストン56の外面(詳しくは、内周面)との間に配設されるようになる。
【0056】
これにより、変速機入力軸11における上記タービンハブ34の取り付け部より軸線L1から離間する側の部分に上記シール部材57が配設されるようになる。また変速機入力軸11におけるタービンハブ34の取り付け部と上記シール部材57の配設部分とが同変速機入力軸11の軸線L1と直交する直線上において並ぶように、それらタービンハブ34とシール部材57とが配設されるようになる。
【0057】
そのため、変速機入力軸11へのタービンハブ34の取り付け部とシール部材57の配設部分とが同変速機入力軸11の上記軸線L1方向において並ぶように配置される装置と比較して、軸線L1方向における長さを短縮することができ、動力伝達装置の搭載性を高くすることができる。
【0058】
ここで本実施の形態では、コンバータハウジング20(詳しくは、油圧室27)の内部にトルクコンバータ30、ダンパ機構40、クラッチ板51、および摩擦板53,54が配設されており、それら部材30,40,51,53,54に対して、その冷却のために、それぞれ適正量のオイルを供給する必要がある。
【0059】
本実施の形態では、油圧室27の一部が変速機入力軸11、タービンハブ34、ダンパ機構40、クラッチ板51、摩擦板54、並びにピストン56によって区画されており、その区画部分にオイルが滞留し易い構造になっている。そのため、単に間隙W1を介してトルクコンバータ30の内部にオイルを供給すると、上記区画部分へのオイル流入量が不足することにより、ロックアップクラッチ機構50(特に、ピストン56やクラッチ板51と摩擦板54とが摺動する部分)へのオイル供給量の不足を招くおそれがある。
【0060】
この点をふまえて、本実施の形態では、変速機入力軸11の内部に、変速機入力軸11へのタービンハブ34の取り付け部を迂回して延び且つ同変速機入力軸11の凹部11cの底部と前記間隙W1とを連通する形状で延びる迂回油路29が形成されている。この凹部11cの底部はピストン56とタービンハブ34との間隙(詳しくは、上記区画部分の内部)に連通されている。
【0061】
これにより、上記間隙W1を介してトルクコンバータ30の内部にオイルを供給することに加えて、同間隙W1から分岐された迂回油路29を介して上記区画部分の内部にもオイルを供給することができるようになる。そして迂回油路29を介して区画部分に供給されたオイルは、トルクコンバータ30の内部やステータシャフト35と支持カバー24との間隙W2を経てポンプの吸入側に戻されるようになる。
【0062】
本実施の形態では、こうした迂回油路29を設けることにより、同迂回油路29および上記間隙W1を介して上記区画部分の内部とトルクコンバータ30の内部とにオイルを振り分けつつ供給することができる。そのため、それら区画部分の内部およびトルクコンバータ30の内部それぞれに適正量のオイルを供給することができるようになり、ロックアップクラッチ機構50やトルクコンバータ30の冷却を適正に行うことができるようになる。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)変速機入力軸11におけるタービンハブ34の取り付け部とシール部材28の接触部分とをそれぞれ同変速機入力軸11の軸線L1と直交する直線上において並ぶ位置に設定した。そのため、タービンハブ34とシール部材28とがそれらの取り付け部分が上記軸線L1方向において並ぶように配設される装置と比較して、軸線L1方向における動力伝達装置の長さのうちのタービンハブ34およびシール部材28の取り付けのために必要な部分が占める長さを上述のオーバラップ分だけ短くすることができ、動力伝達装置の搭載性を高くすることができる。
【0064】
(2)変速機入力軸11における上記タービンハブ34の取り付け部より軸線L1側の部分に凹部11cを形成するとともに、同凹部11cにセンターキャップ21の第1凸部21cが挿入されるように同センターキャップ21を配設し、凹部11cの上記軸線L1側の内周面と第1凸部21cの外周面との間にシール部材28を配設した。そのため、変速機入力軸11におけるタービンハブ34の取り付け部とシール部材28の接触部分とが同変速機入力軸11の軸線L1と直交する直線上において並ぶように、それらタービンハブ34とシール部材28とを配設することができる。
【0065】
(3)変速機入力軸11におけるタービンハブ34の取り付け部とシール部材57の配設部分とが同変速機入力軸11の軸線L1と直交する直線上において並ぶように、それらタービンハブ34とシール部材57とを配設した。そのため、変速機入力軸11へのタービンハブ34の取り付け部とシール部材57の配設部分とが同変速機入力軸11の軸線L1方向において並ぶように配置される装置と比較して、動力伝達装置の軸線L1方向における長さを短縮することができ、動力伝達装置の搭載性を高くすることができる。
【0066】
(4)センターキャップ21をその第2突部21dが変速機入力軸11の先端部分および同部分に取り付けられたタービンハブ34の外周側を覆うように且つ第2突部21dの外周面とピストン56の内周面とが対向するように配設し、第2突部21dの外周面とピストン56の内周側の面との間にシール部材57を配設した。そのため、変速機入力軸11におけるタービンハブ34の取り付け部とシール部材57の配設部分とが同変速機入力軸11の軸線L1と直交する直線上において並ぶように、それらタービンハブ34とシール部材57とを配設することができる。
【0067】
(5)変速機入力軸11の内部に、同変速機入力軸11へのタービンハブ34の取り付け部を迂回して延び且つ同変速機入力軸11の凹部11cの底部と前記間隙W1とを連通する形状で延びる迂回油路29を形成した。そのため、前記区画部分の内部およびトルクコンバータ30の内部それぞれに適正量のオイルを供給することができるようになり、ロックアップクラッチ機構50やトルクコンバータ30の冷却を適正に行うことができるようになる。
【0068】
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・迂回油路29の延設形状は、変速機入力軸11へのタービンハブ34の取り付け部を迂回して延びる形状であり且つ前記区画部分に連通される部分と前記間隙W1とを連通するように延びる形状であれば、任意に変更可能である。そうした迂回油路29の延設形状としては、例えば迂回油路29の一方の端部が凹部11cの前記軸線L1より遠い側の内周面において開口する延設形状や、迂回油路29の一方の端部が変速機入力軸11の先端における凹部11cより外周側の部分において開口する延設形状などを採用することができる。
【0069】
・迂回油路29を省略してもよい。
・シール溝11dにシール部材28を取り付けることに代えて、センターキャップ21の第1凸部21cの外周面または内周面にシール溝を形成するとともに同シール溝にシール部材を取り付けたり、変速機入力軸11の凹部11cの軸線L1より遠い側の内周面にシール溝を形成するとともに同シール溝にシール部材を取り付けたりしてもよい。
【0070】
・シール部材57の配設部分を、変速機入力軸11の軸線L1方向と直交する直線上において同変速機入力軸11におけるタービンハブ34の取り付け部と並ばない位置に設定してもよい。同構成においては、第2突部21dを省略することができる。
【0071】
・本発明は、例えばタービンハブに摩擦板が直接取り付けられた動力伝達装置など、ダンパ機構が設けられない動力伝達装置にも適用することができる。
・本発明は、自動変速機の入力軸ともども回転するとともにその軸線方向への相対移動が可能な状態で同入力軸に取り付けられたピストンを備えて同ピストンがタービンハウジングに押し付けられることによって係合状態になるタイプのロックアップクラッチ機構、すなわち単板式のクラッチ機構が設けられた装置にも適用可能である。同構成では、ピストンがピストン部材および出力側部材として機能する。
【0072】
・本発明は、ステータが設けられない流体継手が設けられた装置にも適用することができる。
・例えばクラッチ機構の作動制御が車両発進時においては半クラッチ状態になるように且つ車両発進の完了後においては係合状態になるように実行される動力伝達装置など、流体継手が設けられない装置にも本発明は適用可能である。
【0073】
・本発明は、自動変速機の入力軸に出力側部材が取り付けられるとともに同変速機入力軸に接触するようにシール部材が設けられる動力伝達装置であれば適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
10…機関出力軸、11…変速機入力軸、11a…作動油路、11b…スプライン溝、11c…凹部、11d…シール溝、20…コンバータハウジング、21…センターキャップ、21a…連通路、21b…ベース部、21c…第1凸部、21d…第2突部、21e…シール溝、22…フロントカバー、22a…段部、23…ポンプカバー、24…支持カバー、25…作動油室、26…シール部材、27…油圧室、28…シール部材、29…迂回油路、30…トルクコンバータ、31…ポンプインペラ、32…タービンランナ、33…ステータ、34…タービンハブ、35…ステータシャフト、35a…貫通孔、36…連結ピース、36a…連通溝、37…ワンウェイクラッチ、40…ダンパ機構、41…ダンパプレート、42…ダンパディスク、43…ダンパスプリング、50…ロックアップクラッチ機構、51…クラッチ板、52…係合部、53,54…摩擦板、55…ストッパ、56…ピストン、56a…開口部、56b…段部、57…シール部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の出力軸に連結された入力側部材と、自動変速機の入力軸に取り付け部において連結された出力側部材と、前記入力側部材および前記出力側部材の係脱状態を変更する湿式のロックアップクラッチ機構と、前記入力軸に接触する形状に形成されて前記ロックアップクラッチ機構のピストン部材を移動させるためのオイルを同ピストン部材における前記出力側部材の取り付け部から離間する側の部分に供給する作動油路と、前記入力軸に接触するように設けられて前記作動油路から前記出力側部材の取り付け部へのオイル漏れをシールするシール部材とを備える動力伝達装置において、
前記入力軸における前記出力側部材の取り付け部と前記シール部材の接触部分とがそれぞれ前記入力軸の軸線と直交する直線上において並ぶ位置に設定される
ことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】
請求項1に記載の動力伝達装置において、
前記入力側部材は、その一部分が前記入力軸の先端を覆う形状に形成されるとともに、前記入力軸に対向する部分に同入力軸の軸線を中心軸とする円筒形状で突出する凸部が形成され、
前記入力軸は、前記取り付け部より同入力軸の軸線側の部分に、前記凸部が挿入される環状の凹部が形成され、
前記出力側部材は、前記入力軸の外周面に取り付けられ、
前記シール部材は、前記凸部と前記凹部との間に設けられる
ことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の動力伝達装置において、
前記ピストン部材は、前記入力側部材にその回転軸方向への相対移動が可能な状態で連結され、
前記動力伝達装置は、前記ピストン部材に接触するように設けられて前記作動油路から前記出力側部材の取り付け部へのオイル漏れをシールする漏れ防止部材を備え、同漏れ防止部材の配設部分と前記入力軸における前記出力側部材の取り付け部とがそれぞれ前記入力軸の軸線と直交する直線上において並ぶ位置に設定される
ことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項4】
請求項2に記載の動力伝達装置において、
前記入力側部材は、前記凸部と同一の中心軸で同凸部より外周側において円筒形状に突出する突部が形成され、
前記ピストン部材は、前記入力側部材にその回転軸方向への相対移動が可能な状態で連結されるとともに、前記入力側部材の前記一部分側の外面が前記突部の外周面の周囲全周にわたって対向する形状に形成され、
前記動力伝達装置は、オイル漏れを抑えるべく前記ピストン部材の外面と前記突部の外面との間に設けられた漏れ防止部材を備え、同漏れ防止部材の配設部分と前記入力軸における前記出力側部材の取り付け部とがそれぞれ前記入力軸の軸線と直交する直線上において並ぶ位置に設定される
ことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の動力伝達装置において、
前記ロックアップクラッチ機構は、前記ピストン部材および前記出力側部材の間に設けられた摩擦部材を有し、
前記ピストン部材は、前記入力側部材にその回転軸方向への相対移動が可能な状態で連結され、
前記動力伝達装置は、前記入力側部材に連結されたポンプインペラおよび前記出力側部材に連結されたタービンランナを有する流体継手と、同流体継手の内部にオイルを供給するためのオイル通路とを備え、前記入力軸の軸線方向において前記ピストン部材、前記出力側部材、前記流体継手の順に並ぶように形成され、前記入力軸の内部に、前記出力側部材の取り付け部を迂回して延び、且つ前記オイル通路と前記出力側部材および前記ピストン部材の間に連通される部分とを連通する形状で延びる迂回油路が形成される
ことを特徴とする動力伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−75059(P2011−75059A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228647(P2009−228647)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】