説明

動力作業機

【課題】安全性を有し、かつ、比較的簡単な構造によって、適切な回転速度でエンジンを駆動する位置にスロットルレバーを容易に保持できる動力作業機を提供する。
【解決手段】刈払機において、スロットルレバー23に板バネ27が設けられ、ケース20aには板バネ27に対向するようにコ字部材21が設けられている。スロットルレバー23がアイドリング位置から所定の中間位置に達したとき、板バネ27の先端部27c、27cがコ字部材21の縁部21b、21bに当接する。これにより、スロットルレバー23の回動が止められ、作業者は中間位置で安定した状態でスロットルレバー23を保持できる。また、スロットルレバー23から手を離せば、リターンスプリング26の付勢力によりすぐにアイドリング位置に戻り、刈刃7の回転を停止させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの回転速度をスロットルレバーを操作することで制御し、作業を行う各種動力作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリン等を燃料として駆動されるエンジンを搭載し、該エンジンの回転速度をスロットルレバーを操作することで制御し、作業を行う各種動力作業機が知られている。
このような動力作業機として、主杆の一端部にエンジン、他端部に刈刃が取り付けられ、主杆に取り付けられたハンドルのグリップを握って、草等の刈払い作業を行う刈払機が挙げられる。図17には刈払機のハンドルのグリップ部分を示した。このハンドル71のグリップ72には、スロットルレバー73が設けられ、グリップ72を手で握った状態で、スロットルレバー73を指で操作するようになっている。
【0003】
スロットルレバー73は、A位置からB位置の範囲で回動可能であり、A位置にあるとき、エンジンは回転速度が最も低いアイドリング状態となり、B位置にあるとき、回転速度が最も高いフルスロットル状態となる。スロットルレバー73はA位置とB位置の範囲で任意の位置を取り得るが、安全を考慮してスロットルレバー73にはリターンスプリングが設けられ、どのような位置にあっても、指を離すとすぐにリターンスプリングの付勢力によりA位置に戻りエンジンがアイドリング状態に戻るようになっている。そのため、雑草の種類などの作業の内容に応じてエンジンの回転速度を調節する場合には、A位置とB位置の中間位置(例えばC位置)で、リターンスプリングに抗して、かつ、必要以上にエンジンの回転速度が上がらないように、スロットルレバー73を保持しなければならない。
【0004】
このように刈払い作業をしながら中間位置でスロットルレバーを維持し続けることは、作業者(操作者)にとって負担であった。
一方、中間位置でスロットルレバーをロックする構造を採用することは、安全上好ましくない。
そこで、通常の作業中はスロットルレバーから指を離しても一定の位置に保たれ、その状態からスロットルレバーをフルスロットル状態に操作することができ、さらに、ハンドルから手を離せばすぐにアイドリング状態に戻る刈払機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−226477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で提案されている技術は、スロットルレバーに対して所定のタイミングで係脱可能に構成されたセーフティレバーや、このセーフティレバーを動作させるための構成を要し、複雑な構造を有する。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、安全性を有し、かつ、比較的簡単な構造によって、適切な回転速度でエンジンを駆動する位置にスロットルレバーを容易に保持できる動力作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の動力作業機は、
アイドリング状態からフルスロットル状態までの範囲で回転速度を可変に制御されるエンジン(2)と、
一端部において前記エンジン(2)に接続されているスロットルワイヤ(18)と、
前記スロットルワイヤ(18)の他端部に接続され、前記エンジン(2)の回転速度を制御するために操作され、前記アイドリング状態に対応するアイドリング位置と前記フルスロットル状態に対応するフルスロットル位置との範囲を往復移動可能であるスロットルレバー(23、43、53、63)と、
前記スロットルレバー(23、43、53、63)を前記往復移動可能に支持する支持手段(20、30、40、50、60)と、
前記スロットルレバー(23、43、53、63)が前記アイドリング位置をとるように付勢する付勢手段(26)とを備え、
前記スロットルレバー(23、43、53、63)を前記アイドリング位置と前記フルスロットル位置の範囲で操作することによって、前記スロットルワイヤ(18)を介して前記エンジン(2)の回転速度を制御しながら所定の作業を行う動力作業機において、
前記支持手段(20、30、40、50、60)に対して位置がほぼ固定された固定体(21、20b、55、19)と、前記スロットルレバー(23、43、53、63)に連動して移動し、かつ、前記スロットルレバー(23、43、53、63)が、前記アイドリング位置から前記フルスロットル位置に移動する際に前記固定体(21、20b、55、19)に近づく方向に移動する移動体(23、43、51、63)と、
【0009】
前記スロットルレバー(23、43、53、63)が前記アイドリング位置から当該アイドリング位置と前記フルスロットル位置との途中となる所定の中間位置に達した際に、前記固定体(21、20b、55、19)および前記移動体(23、43、51、63)の両方に接触し、前記移動体(23、43、51、63)の前記固定体(21、20b、55、19)に近づく移動を規制することにより、前記中間位置から前記フルスロットル位置への前記スロットルレバー(23、43、53、63)の移動を規制する規制部材(27、31、41、52、61)とを備え、
前記規制部材(27、31、41、52、61)は、前記スロットルレバー(23、43、53、63)が所定の力より大きな力で前記中間位置からフルスロットル位置に向けて操作された際に、変形および/または移動することにより前記スロットルレバー(23、43、53、63)の前記中間位置から前記フルスロットル位置への移動を可能とすることを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載の発明においては、スロットルレバー(23、43、53、63)を支持する支持手段(20、30、40、50、60)に対して位置がほぼ固定された固定体(21、20b、55、19)と、前記スロットルレバーに連動して移動し、かつ、前記スロットルレバー(23、43、53、63)が、前記アイドリング位置から前記フルスロットル位置に移動する際に前記固定体(21、20b、55、19)に近づく方向に移動する移動体(23、43、51、63)と、移動体を介してスロットルレバー(23、43、53、63)の移動を規制する規制部材(27、31、41、52、61)とが備えられている。
【0011】
そして、スロットルレバー(23、43、53)が中間位置に達すると、固定体(21、20b、55)と移動体(23、43、51)との両方が、例えば、規制部材(27、31、41、52)に接触し、当該規制部材(27、31、41、52)により、移動体(23、43、51)を介してスロットルレバー(23、43、53、63)の移動が邪魔された状態となる。したがって、例えば、スロットルレバー(23、43、53、63)を軽く押した状態に操作することで、スロットルレバー(23、43、53、63)を中間位置に配置した状態に保持することが可能となる。
また、規制部材(61)を移動体(63)と固定体(19)の間に配置することで、スロットルレバー(63)が中間位置に保持される場合もある。
【0012】
そして、前記スロットルレバー(23、43、53、63)を、中間位置からフルスロットル位置に向けて所定の力より大きな力で操作した場合に、スロットルレバー(23、43、53、63)をフルスロットル位置とすることも可能となっている。
この際に、例えば、規制部材(27、31、41、52)が変形したり、移動したりすることになるが、それまでは、操作者の操作力が、規制部材(27、31、41、52)の移動や変形に要する力(所定の力)と同じか弱い状態となっているので、例えば、スロットルレバー(23、43、53)をグリップ(19)と共に軽く握っている状態を保持することで、中間位置に保持することができる。すなわち、スロットルレバー(23、43、53)は、機械的に固定された状態に保持されるわけではないが、作業者の簡単な操作で容易に保持された状態となる。
【0013】
また、規制部材(61)を移動体(63)と固定体(19)の間に配置することで、スロットルレバー(63)が中間位置に保持される場合には、規制部材(61)を移動体(63)と固定体(19)の間に配置する操作を辞めて、スロットルレバー(63)を付勢手段(26)の付勢力(所定の力)に抗して操作することで、中間位置からフルスロットル位置に移動することができる。
【0014】
また、いずれにしても、スロットルレバー(23、43、53、63)が機械的に中間位置に保持されているわけではないので、作業者が操作系から手を離せば、スロットルレバーが付勢手段(26)の付勢力によってアイドリング位置に戻り、エンジン(2)がアイドリング状態となるので、高い安全性を有する。
【0015】
ここで、スロットルレバー(23、43、53、63)が保持される中間位置は、動力作業機を使って行う作業に応じて最も使用頻度の高い回転速度が得られる位置に設定することが好ましい。このように設定すれば、規制部材(27、31、41、52)を用いて作業者がスロットルレバー(23、43、53、63)を中間位置に保持することによって、適切な回転速度で作業できる。
【0016】
なお、スロットルレバー(23、43、53、63)は回動することで往復動作してもよいし、スライド移動であってもよい。また、付勢手段(26)は、金属や樹脂などからなる弾性力を有するものであればよく、例えば各種バネが挙げられる。付勢手段(26)は、スロットルレバー(23、43、53、63)を直接付勢するように構成されていてもよいし、スロットルワイヤ(18)をアイドリング状態にするよう付勢し間接的にスロットルレバー(23、43、53、63)を付勢するように構成されていてもよい。
【0017】
また、固定体(21、20b、55、19)は、支持手段(20、30、40、50、60)の一部であっても良いし、支持手段(20、30、40、50、60)全体であってもよいし、支持手段(20、30、40、50、60)に直接設けられたものであってもよいし、支持手段(20、30、40、50、60)に間接的(他の部材を介して)に設けられたものであってもよい。
【0018】
また、移動体(23、43、51、63)は、スロットルレバー(23、43、53、63)の一部であってもよいし、スロットルレバー(23、43、53、63)の全体であってもよいし、スロットルレバー(23、43、53、63)に直接設けられたものであってもよいし、スロットルレバー(23、43、53、63)に間接的(他の部材を介して)設けられたものであってもよい。また、規制部材(27、31、41、52)は、固定体(21、20b、55、19)もしくは移動体(23、43、51、63)のいずれかに取り付けられた状態でこれらのいずれかに接触した状態とっているものとしてもよい。また、規制部材(27、31、41、52)は、固定体(21、20b、55、19)および移動体(23、43、51、63)のいずれにも直接的には取り付けられず、間接的に他の部材を介して取り付けられていてもよい。
【0019】
請求項2に記載の動力作業機は、請求項1に記載の発明において、
前記スロットルレバー(23)が前記アイドリング位置から前記中間位置に移動した際に前記固定体(21)と前記移動体(23)との間に前記規制部材(27)が挟まれることにより、前記中間位置から前記フルスロットル位置への前記スロットルレバー(23)の移動が規制され、
前記スロットルレバー(23)が前記所定の力より大きな力で前記中間位置からフルスロットル位置に向けて操作された際に、前記規制部材(27)が前記固定体(21)と前記移動体(23)との間から外に出るように弾性変形することで、前記中間位置から前記フルスロットル位置への前記スロットルレバー(23)の移動を可能とすることを特徴とする。
【0020】
請求項2に記載の発明においては、前記スロットルレバー(23)が前記アイドリング位置から前記中間位置に移動した際に前記固定体(21)と前記移動体(23)との間に前記規制部材(27)が挟まれることにより、作業者が適度な力で操作している場合にスロットルレバー(23)の動きも止まり、容易にスロットルレバー(23)を中間位置に保持した状態に操作可能となる。
また、前記スロットルレバー(23)が前記所定の力より大きな力で前記中間位置からフルスロットル位置に向けて操作された際に、前記規制部材(27)が前記固定体(21)と前記移動体(23)との間から外に出るように弾性変形することで、前記中間位置から前記フルスロットル位置に前記スロットルレバー(23)を移動できる。
したがって、スロットルレバー(23)の動作を利用して移動体(23)と固定体(21)との間に規制部材(27)を挟むだけで中間位置でスロットルレバー(23)の移動を止められ、さらにスロットルレバー(23)を強く操作することで、当該スロットルレバー(23)を中間位置からフルスロットル位置に移動できるよう構成しているので、簡単な構造でスロットルレバーを中間位置に保持する操作を可能としている。
【0021】
請求項3に記載の動力作業機は、請求項1に記載の発明において、
前記スロットルレバー(23、43、53)が前記アイドリング位置から前記中間位置に移動した際に前記固定体(21、20b、55)と前記移動体(23、43、51)との間に前記規制部材(31、41、52)が挟まれることにより、前記中間位置から前記フルスロットル位置への前記スロットルレバー(23、43、53)の移動が規制され、
前記スロットルレバー(23、43、53)が前記所定の力より大きな力で前記中間位置からフルスロットル位置に向けて操作された際に、前記規制部材(31、41、52)が前記固定体(21、20b、55)と前記移動体(23、43、51)との間の距離が縮む方向に弾性変形することで、前記中間位置から前記フルスロットル位置への前記スロットルレバー(23、43、53)の移動を可能とすることを特徴とする。
【0022】
請求項3に記載の発明においては、前記スロットルレバー(23、43、53)が前記アイドリング位置から前記中間位置に移動した際に前記固定体(21、20b、55)と前記移動体(23、43、51)との間に前記規制部材(31、41、52)が挟まれることにより、作業者が適度な力で操作している場合にスロットルレバー(23、43、53)の動きも止まり、容易にスロットルレバー(23、43、53)を中間位置に保持した状態に操作可能となる。
また、前記スロットルレバー(23、43、53)が前記所定の力より大きな力で前記中間位置からフルスロットル位置に向けて操作された際に、前記規制部材(31、41、52)が前記固定体(21、20b、55)と前記移動体(23、43、51)との間の距離が縮む方向に弾性変形することで、前記中間位置から前記フルスロットル位置に前記スロットルレバー(23、43、53)を移動できる。
したがって、スロットルレバー(23、43、53)の動作を利用して移動体(23、43、51)と固定体(21、20b、55)との間に規制部材(31、41、52)を挟むだけで中間位置でスロットルレバー(23、43、53)の移動を止められ、さらにスロットルレバー(23、43、53)を強く操作することで、当該スロットルレバー(23、43、53)を中間位置からフルスロットル位置に移動できるよう構成しているので、簡単な構造でスロットルレバー(23、43、53)を中間位置に保持する操作を可能としている。
【0023】
請求項4に記載の動力作業機は、請求項3に記載の発明において、
前記固定体(55)は、前記スロットルワイヤ(18)の周囲で前記支持手段(50)に対してほぼ位置を固定され、
前記移動体(51)は、前記固定体(55)より前記エンジン(2)に近い位置で前記スロットルワイヤ(18)と一体に移動可能に当該スロットワイヤ(18)に固定され、
前記規制部材(52)は、前記固定体(55)と前記移動体(51)との間で前記スロットルワイヤ(18)の周囲に配置されたコイルバネ(52)からなり、
前記スロットルレバー(53)が前記アイドリング位置から前記中間位置に達した際に前記コイルバネ(52)が前記固定体(55)と前記移動体(51)とに挟まれ、
前記コイルバネ(52)を前記所定の力より大きな力で圧縮方向に弾性変形させることで前記スロットルレバー(53)の前記中間位置から前記フルスロットル位置への移動を可能とすることを特徴とする。
【0024】
請求項4に記載の発明においては、スロットルレバー(53)がアイドリング位置から中間位置に達したとき、スロットルワイヤ(18)の周囲に設けられた規制部材(52)であるコイルバネ(52)を、前記スロットルワイヤ(18)の周囲で前記支持手段(50)に対してほぼ位置を固定され固定体(55)とスロットルワイヤ(18)と共に移動する移動体(51)との間に挟むことでスロットルワイヤ(18)の動きが止められ、その結果スロットルレバー(53)が中間位置に保持された状態となる。また、コイルバネ(52)を弾性変形して圧縮することにより、スロットルレバー(53)を中間位置からフルスロットル位置に移動可能となる。
さらに、スロットルレバー(53)を中間位置で容易に保持するように操作でき、かつ、フルスロットル位置まで動作させることができる構造を、スロットルワイヤ(18)の周囲にコイルバネとストッパを設けることで構成しているので、比較的簡単な構造であり、また従来のスロットルレバー(53)自体の構造を変更する必要がなく、製造コストを低く抑えることができる。加えて、コイルバネ(52)の自由長や固定体(55)および/または移動体(51)の位置を変更するなどにより、スロットルレバー(53)を所望の位置に保持することができ、汎用性が高い。
【0025】
請求項5に記載の動力作業機は、請求項1に記載の発明において、
前記固定体(19)は、先端部に前記支持手段(60)に取り付けられるとともに操作者がスロットルレバー(63)の操作時に握ることが可能なグリップ(19)からなり、
前記移動体(63)は、スロットルレバー(63)からなり、
前記規制部材は、前記スロットルレバー(63)に回転可能に連結されたサブレバー(61)からなり
前記スロットルレバー(63)と前記サブレバー(61)とには、それぞれ、互いに係合することにより当該スロットルレバー(63)と当該サブレバー(61)との連結角度を所定角度以上となるように規制する角度規制手段(63bと61b)を備え、
前記角度規制手段(63bと61b)により前記スロットルレバー(63)と前記サブレバー(61)との連結角度が所定角度以上に規制された状態で、前記サブレバー(61)が前記スロットルレバー(63)との連結角度が小さくなる方向で、かつ、前記グリップに近づく方向に操作されることにより、前記スロットルレバー(63)と前記グリップ(19)との連結角度が前記所定角度となるとともに前記サブレバー(61)が前記グリップ(19)に接触した際に前記スロットルレバー(63)が前記中間位置に配置され、
前記スロットルレバー(63)が前記付勢手段(26)の付勢力より大きな力で前記フルスロットル位置に向けて操作された際に、前記スロットルレバー(63)と前記サブレバー(61)とが所定角度以上に開くことで前記スロットルレバー(63)が前記フルスロットル位置に移動可能とされていることを特徴とする。
【0026】
請求項5に記載の発明においては、移動体(61)としてのスロットルレバー(63)に対して回動可能に連結されたサブレバー(61)が規制部材(61)として設けられ、角度規制手段(63bと61b)により前記スロットルレバー(63)と前記サブレバー(61)との連結角度が所定角度以上に規制された状態で、前記サブレバー(61)が前記スロットルレバー(63)との連結角度が小さくなる方向で、かつ、前記グリップ(19)に近づく方向に操作されることにより、前記スロットルレバー(63)と前記グリップ(19)との連結角度が前記所定角度となるとともに前記サブレバー(61)が前記グリップ(19)に接触した際に前記スロットルレバー(63)が前記中間位置に配置される。すなわち、作業者の操作によりスロットルレバー(63)が中間位置に保持される。
また、スロットルレバー(63)が前記付勢手段(26)の付勢力より大きな力(所定の力より大きな力)で前記フルスロットル位置に向けて操作された際に、前記スロットルレバー(63)と前記サブレバー(61)とが所定角度以上に開くこと(移動体(61)と固定体(19)の間から外に移動すること)で前記スロットルレバー(63)が前記フルスロットル位置に移動することになる。
【0027】
なお、上記における括弧内の符号は、図面において対応する要素を便宜的に表記したものであり、したがって本発明は図面上の記載に限定されるものではない。これは、「特許請求の範囲」の記載についても同様である。
【発明の効果】
【0028】
本発明の動力作業機によれば、安全性を有し、かつ、比較的簡単な構造によって、適切な回転速度でエンジンを駆動する位置にスロットルレバーを保持するように容易に操作可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1〜図4は本発明の第1の実施の形態の刈払機(動力作業機)を示す図であって、図1は全体の側面図であり、図2〜図4は、この刈払機に設けられるスロットル制御装置等を示す図である。なお、図1において、一方のハンドルは図示を省略している。
【0030】
この刈払機は、アルミニウム合金製のパイプからなる主杆1を備えている。なお、主杆1は、カーボン繊維製、鉄製またはチタン合金製等のパイプにより適宜、構成することができる。この主杆1の一端部は、エンジン2のケース2aの筒部に挿入され、ボルト3により締め付けられることにより、エンジン2に連結されている。主杆1の外周面とエンジン2のケース2aとの間には防振ゴム(図示せず)を介在させ、エンジン2から主杆1に伝達されるエンジン2の振動が軽減されている。
【0031】
エンジン2の出力軸(図示せず)には、遠心クラッチ(図示せず)を介して伝動軸4の一端部が接続されており、この伝動軸4は、主杆1内を複数の軸受け5により回転自在に支持されて延びている。この伝動軸4の他端部は、主杆1の他端部に固定されたギヤケース6内のギヤ(図示せず)を介して、刈刃7に接続されている。前記ギヤにより、伝動軸4の回転方向および回転速度が変更されて刈刃7に伝達されるようになっている。主杆1には、刈刃7の近傍に飛散防護カバー8が取り付けられている。
このように構成された刈払機においては、エンジン2を駆動すると、動力が伝動軸4を介して刈刃7に伝わり、草刈作業等を行うことができる
【0032】
また、主杆1には、アルミニウム合金製のパイプからなる左右のハンドル15が取り付けられている。各ハンドル15は、主杆1に対して同一水平面内で直交するように取り付けられている水平部(図示せず)を有する略L字状に形成され、左右のハンドル15、15によりU字型に形成されている。左右のハンドル15、15は、主杆1の外周に固定された取付部材9に、左右のハンドル15、15の各基端部が左右から挿入され、締付ボルト12で締め付けられることにより、主杆1に取り付けられている。
さらに、主杆1には、吊り下げバンドを取り付けるための吊り金具10、および刈払機を持ち運ぶための主杆グリップ11が設けられている。
2つのハンドル15には、グリップ19が設けられている。グリップ19は、ハンドル15の先端側に設けられたグリップパイプ(図示せず)の周囲に軟質合成樹脂等からなる円筒形の部材を嵌め込んだものである。
【0033】
片方のハンドル15のグリップ19の上方(先端側)には、図2(a)、(b)および図3、図4に示すように、トリガー式のスロットルレバー23を有するスロットル制御装置20が設けられている。一方、この刈払機には、スロットルワイヤ(インナワイヤ)18(図11等に図示、図1ではインナワイヤを内部に収納した管状のアウタ17を図示)が設けられている。
このスロットルワイヤ18の一端部は、エンジン2のスロットル弁(図示せず)に接続され、主杆グリップ11の内側を通りながら主杆1に沿って、ハンドル15に達し、さらにグリップ19の内側を通って、他端部がスロットル制御装置20のスロットルレバー23に取り付けられている。この刈払機においては、スロットルワイヤ18をスロットルレバー23によって引っ張ることで、前記スロットル弁が開く程度(開度)を調節できるようになっている。そして、スロットルワイヤ18がスロットルレバー23によって引っ張られるほど、スロットル弁の開度が大きくなりエンジン2の回転速度が高くなるようになっている。
なお、スロットルワイヤ18は、アウタ17などによって覆われ保護されている(図11〜図13参照)。
【0034】
次に、スロットル制御装置20について説明する。
スロットル制御装置20は、ケース20aとこのケース20aに取り付けられたスロットルレバー23とを備える。
ケース20aは、硬質樹脂等により所定形状に形成された箱体であり、内側に、スロットルレバー23の基端部23aなどが収納されている。ケース20aのスロットルレバー23寄りの下部には、硬質樹脂等からなり、スロットルレバー23に向かうように開口を有し、横断面形状がコ字状に形成されたコ字部材(固定体)21が設けられている。このコ字部材21は、前から(図2(a)の左側から)見るとケース20aの側部20cよりも幅が狭く形成され、側部20cとコ字部材21との境には、段差20bが形成されている(図8(a)参照)
【0035】
スロットルレバー23は、エンジン2の回転速度を制御するために操作されるもので、上下に長く硬質樹脂等から形成されている。スロットルレバー23の上部分は、ケース20a内に収納され、図4(a)に示すように、鉤型に後方に屈曲し、その屈曲部23bにおいて、レバー取付軸25に対して回動自在となるように取り付けられている。
また、屈曲部23bからケース20a奥に向かうように基端部23aが形成されている。この基端部23aの側面には、所定の厚みを有する円環状に形成された円環部材24が基端部23aと一体に設けられ、この円環部材24の内側に形成された円形のくぼみに収まるようにして、前記スロットルワイヤ18の他端部が取り付けられている。さらに、円環部材24の一部から屈曲部23bに向かって細長く延出する延出部24bが形成され、この延出部24bに連続して、前記レバー取付軸25の周囲を取り囲むように3分の2程度の円環状に形成された円環部24aが形成されている。
【0036】
この円環部24aとレバー取付軸25との間に、コイルバネであるリターンスプリング(付勢手段)26が介装されている。リターンスプリング26の一端部はケース20aの上壁を押すように当接し、一方、他端部の手前において前記延出部24bの側面に対して押すように当接している。したがって、スロットルレバー23は、リターンスプリング26により、延出部24bを介してレバー取付軸25を中心に時計方向に回るように常時付勢されている。これにより、スロットルレバー23と一体である円環部材24に取り付けられているスロットルワイヤ18も、エンジン2側に戻る方向、すなわちスロットル弁の開度が小さくなりエンジン2の回転速度を下げる方向に付勢されている。そして、スロットルワイヤ18がエンジン2側に最も引き寄せられた状態のとき、スロットル弁の開度が最も小さい(全閉状態)アイドリング状態となり、出力軸の回転速度の低下に基いて遠心クラッチが切れて刈刃7の回転が停止するようになっている。
【0037】
スロットルレバー23は、図2(b)に示すように横断面形状が前方に向かって細くなり、グリップ19側が開放した中空になるように形成されている。スロットルレバー23は、手でグリップ19を把持したとき指で操作可能であり、当該スロットルレバー23をリターンスプリング26の付勢力より大きな力でグリップ19に近づけるように引き寄せると、前記レバー取付軸25を中心にリターンスプリング26の付勢力に抗して反時計方向に回動するようになっている。
【0038】
そして、スロットルレバー23の回動角度によってエンジンの回転速度(スロットル弁の開度)を制御できるようになっている。すなわち、スロットルレバー23に力が加えられていないとき、図2(a)、(b)に示す初期位置をとる。このとき、リターンスプリング26の付勢力によりスロットルワイヤ18が最もエンジン2側に引かれアイドリング状態であり、この初期位置がアイドリング位置となる。このアイドリング位置から反時計方向に回動し、図3に示す中間位置に達すると、スロットルワイヤ18も所定長さ引っ張られる。この刈払機においては、スロットルレバー23がこの中間位置にあるときにエンジン2の回転速度が通常の刈払い作業に適した最も使用頻度が高い回転速度になるように予め設定されている。さらに、中間位置から回動し、図4に示すグリップ19と接触する位置に達したとき、スロットルワイヤ18が最も引っ張られたフルスロットル状態となる。このときのスロットルレバー23の回動位置がフルスロットル位置となる。
このように、スロットルレバー23は、アイドリング位置から所定の中間位置を経てフルスロットル位置の範囲を回動することで、エンジンの回転速度を制御するようになっている。
【0039】
このスロットルレバー(移動体)23の後部には、縦断面形状が略L字状の切欠23dが形成され、この切欠23dに、ケース20aのコ字部材21に対向するように、板バネ(規制部材)27が取り付けられている。板バネ27は、金属板などの弾性を有する材料から成形され、図2(c)に示すように、長方形の平板である基部27aと、この基部27aの両縁部に基部27aにほぼ直交するように一体に形成された弾性片27b、27bとから構成されている。基部27aの幅(弾性片27b、27bの間隔)は、コ字部材21の対応する幅よりも少し大きく形成されている。2つの弾性片27bには、それらの先端部27c近くで内側に突出するように曲げられた突部27dが形成され、さらに2つの先端部27cが八の字を描くように開いている。なお、本発明の規制部材である板バネ27は、移動体であるスロットルレバー23に取り付けられることで移動体に接触している。また、板バネ27は、移動体であるスロットルレバー23と連動して、スロットルレバー23をアイドリング位置からフルスロットル位置に移動する際に、固定体であるコ字部材21に近づくように移動する。
【0040】
そして、スロットルレバー23が前記中間位置にあるとき、板バネ27の先端部27c、27cが、図3(b)に示すように、コ字部材(固定体)21の側壁21a、21aの縁部21b、21bに当接するようになっている。すなわち、規制部材が移動体と固定体との両方に接触し、これらの間に挟まれた状態となる。これにより、作業者がスロットルレバー23を前記中間位置に保持する操作を容易に行える。
【0041】
さらに、当接状態を保持する力を超える力が板バネ27に加えられると、板バネ27の先端部27c、27c間にコ字部材21の縁部21b、21bが入っていき、突部27d、27dが側壁21a、21aに乗り上げながら、弾性片27c、27cの間にコ字部材21がほぼ入り込むようになっている。これにより、スロットルレバー23が、フルスロットル位置まで回動可能となる。このように弾性片27c、27cを弾性変形させる際の力が所定の力より大きな力となる。また、板バネ27の弾性片27c、27cは、変形および移動することによりスロットルレバー23の前記中間位置から前記フルスロットル位置への移動を可能としている。また、スロットルレバー23が所定の力より大きな力で中間位置からフルスロットル位置に向けて操作された際に、規制部材としての板バネ27が固定体としてのコ字部材21と前記移動体としてのスロットルレバー23との間から外に出るように弾性変形することで、中間位置から前記フルスロットル位置へのスロットルレバー23の移動を可能としている。
【0042】
なお、スロットルレバー23がフルスロットル位置にあるとき、板バネ27の弾性片27b、27bが、コ字部材21の側壁21a、21aを押さえつけるように挟んだ状態であるが、そのときの弾性力に基く把持する力(弾性片27b、27bと側壁21a、21aとの間の摩擦力)は、リターンスプリング26の付勢力よりは小さい。したがって、手を離せばスロットルレバー23は、リターンスプリング26の付勢力によりすぐにアイドリング位置に戻るようになっている。したがって、規制部材としての板バネ27は、スロットルレバー23のフルスロットル位置に向う移動のみを前記付勢手段の付勢力より大きな所定の力で阻止しており、アイドリング位置に向う移動は阻止しない。
【0043】
上記のような刈払機においては、スロットル制御装置20は、エンジン2の回転速度を制御する際に以下のように動作する。
エンジン2がアイドリング状態にあるとき、スロットルレバー23は、図2(a)および(b)に示すアイドリング位置にある。ここから、刈刃7を回転駆動するため、スロットルレバー23を握りグリップ19側へ引き寄せ、リターンスプリング26の付勢力より大きな力で、かつ上述のように板バネ27を弾性変形させる所定の力よりは小さな力で反時計方向に回動させる。所定角度回動すると、スロットルレバー23は、図3に示す中間位置に達し、板バネ27の先端部27c、27cがそれぞれ、コ字部材21の縁部21b、21bに当接し、スロットルレバー23の動きが止められ保持される。このとき、エンジン2は、刈払い作業に適した所望の回転速度で駆動される。
【0044】
さらに、作業中エンジン2の回転速度を上げる必要が生じたときは、スロットルレバー23を強く握り、前記所定の力より大きな力で反時計方向に回動させると、板バネ27の先端部27c、27cが開きつつ突部27d、27dがコ字部材21の縁部21b、21bを越える。これにより、スロットルレバー23の回動は阻止されなくなり、図4に示すように、グリップ19に接するフルスロットル位置まで回動する。スロットルレバー23がフルスロットル位置に達すると、板バネ27の内側にコ字部材21が入り込んだ状態となる。
【0045】
以上のように、本実施の形態の刈払機にあっては、スロットルレバー23に板バネ27が設けられ、ケース20aには板バネ27に対向するようにコ字部材21が設けられ、スロットルレバー23がアイドリング位置から所定の中間位置に達したとき、板バネ27の先端部27c、27cがコ字部材21の縁部21b、21bに当接するので、スロットルレバー23の回動が止められ、作業者は中間位置で楽に安定した状態でスロットルレバー23を保持できる。
【0046】
しかも、ある程度以上の力(所定の力より大きな力)でスロットルレバー23を握れば、板バネ27が変形することで、コ字部材21との係合が外れ、フルスロットル位置まで回動させ、エンジン2をフルスロットル状態にできる。また、スロットルレバー23はどのような位置にあっても、手を離せばリターンスプリング26の付勢力により、すぐにアイドリング位置に戻り、刈刃7の回転を停止させることができ、高い安全性を有する。
さらに、以上のような効果を得られるにもかかわらず、板バネ27を用いた簡単な構成であり、製造コストを低く抑えることができる。
【0047】
(第2の実施の形態)
図5〜図7は、本発明の第2の実施の形態の刈払機(動力作業機)に設けられるスロットル制御装置30を示す図である。この実施の形態の刈払機は、スロットル制御装置30の板バネの構造以外は第1の実施の形態の刈払機とほぼ同様であることから、以下では異なる構成を中心に説明する。
スロットル制御装置30においては、板バネ27の代わりに、板バネ(規制部材)31が設けられている。
板バネ31は、金属や樹脂などの弾性を有する材料からなり、長方形の平板である基部31aと、この基部31aの下辺の両端部から延びている細長い板を折り返して形成された弾性片31b、31bとから構成される。これら弾性片31b、31bは、基部31aに向かって反るように弧状に曲げられ、上端部(先端部)31c、31cは全体の湾曲の径より小径となるように内側に丸められている。
板バネ31は、図5(a)に示すように、基部31aをスロットルレバー23の切欠23dに固定することで、スロットルレバー23に取り付けられる。
【0048】
ケース20aには、第1の実施の形態同様に、コ字部材(固定体)21が設けられ、板バネ31(規制部材)の上端部31c、31cがコ字部材21の縁部21b、21bに当接するようになっている。
すなわち、スロットルレバー(移動体)23が反時計方向に所定角度回動し、図6で示す所定の中間位置に達すると、板バネ31の先端部31c、31cが、コ字部材21の縁部21b、21bに当接するようになっている。これにより、規制部材としての板バネ31は、スロットルレバー23がアイドリング位置から当該アイドリング位置とフルスロットル位置との途中となる所定の中間位置に達した際に、固定体としてのコ字部材21および前記移動体としてのスロットルレバー23の両方に接触し、スロットルレバー23の子コ字部材体21に近づく移動を規制することにより、中間位置からフルスロットル位置へのスロットルレバー23の移動を規制することになる。
また、スロットルレバー23とコ字部材21との間に板バネ31が挟まれることで、スロットルレバー23を中間位置に保持するように操作可能としている。
よって、作業者がスロットルレバー23を前記中間位置に保持しやすくなる。
【0049】
さらに、当接状態を保持する力(所定の力)を超える力が加えられると、板バネ31の弾性片31b、31bの外面31d、31dが、上端部31c、31cから基部31aとの境に至るまでその長さ方向に沿って、コ字部材21の縁部21b、21bによって押される。これにより弾性片31b、31bは、基部31aとの境を折り目として基部31aに向かって折りたたまれていき、最終的には基部31aにほとんど重なる状態になることができる(図7)。これにより、スロットルレバー23が、フルスロットル位置まで回動可能となる。すなわち、規制部材としての板バネ31がスロットルレバー23とコ字部材21との間の距離が縮む方向に弾性変形することで、中間位置からフルスロットル位置へのスロットルレバー23の移動を可能としている。
【0050】
なお、第1の実施の形態における板バネ27とは異なり、スロットルレバー23がフルスロットル位置にあるときも、板バネ31はコ字部材21を挟んだ状態ではなく単に接触した状態であるので、手を離せばスロットルレバー23は、リターンスプリング26の付勢力と板バネ31の復帰力によりすぐにアイドリング位置に戻るようになっている。
【0051】
上記のような刈払機においては、スロットル制御装置30は、エンジン2の回転速度を制御する際に以下のように動作する。
エンジン2がアイドリング状態にあるとき、スロットルレバー23は、図5(a)および(b)に示すアイドリング位置にある。ここから、刈刃7を回転駆動するため、リターンスプリング26の付勢力より大きな力で、かつ上述のように板バネ31を弾性変形させる所定の力よりは小さな力でスロットルレバー23を握りグリップ19側へ引き寄せ、反時計方向に所定角度回動すると、図6に示すように中間位置に達し、板バネ31の上端部31c、31cがそれぞれ、コ字部材21の縁部21b、21bに当接し、スロットルレバー23の動きが止められる。このとき、エンジン2は、刈払い作業に適した所望の回転速度で駆動される。
さらに、作業中エンジン2の回転速度を上げる必要が生じたときは、スロットルレバー23を前記所定の力より大きな力で強く握り、反時計方向に回動させると、コ字部材21に押されながら板バネ31の弾性片31b、31bは基部31aに向かって折りたたまれるように弾性変形し、最終的には基部31aにほとんど重なる(図7)。これにより、スロットルレバー23は阻止されずに、フルスロットル位置まで回動する。
【0052】
以上のように、本実施の形態の刈払機にあっては、スロットルレバー23がアイドリング位置から前記中間位置に達したとき、板バネ31の上端部31c、31cがコ字部材21の縁部21b、21bに当接して、スロットルレバー23とコ字部材21とに挟まれ、スロットルレバー23の回動が止められ、作業者は中間位置で容易に安定した状態でスロットルレバー23を保持できる。
しかも、ある程度以上の力(前記所定の力より大きな力)でスロットルレバー23を握れば、板バネ31が弾性変形することでフルスロットル位置まで回動し、エンジン2をフルスロットル状態にできる。
また、スロットルレバー23が中間位置にあるときはリターンスプリング26の付勢力により、フルスロットル位置にあるときはリターンスプリング26の付勢力と板ばね31の復帰力により、手を離せばスロットルレバー23はすぐにアイドリング位置に戻り、刈刃7の回転を停止させることができ、高い安全性を有する。
さらに、以上のような効果を得られるにもかかわらず、板バネ31を用いた簡単な構成であり、製造コストを低く抑えることができる。
【0053】
(第3の実施の形態)
図8〜図10は、本発明の第3の実施の形態の刈払機(動力作業機)に設けられるスロットル制御装置40を示す図である。この実施の形態の刈払機は、スロットル制御装置40にねじりコイルバネ41が設けられている以外は第1の実施の形態の刈払機とほぼ同様であることから、以下では異なる構成を中心に説明する。
スロットル制御装置40に設けられているスロットルレバー43は、前記スロットルレバー23とほぼ同様に構成されているが、切欠は設けられていない。
また、ケース20aに設けられているレバー取付軸25に対して、同軸にバネ取付軸42が外方に突出するように嵌め込まれている(図8(a))。
このバネ取付軸42の周面に、ねじりコイルバネ(規制部材)41が取り付けられている。ねじりコイルバネ41の一端部41aは、ケース20aとコ字部材21との境に形成された段差(固定体)20bに突き当てられている。一方、ねじりコイルバネ41の他端部41bは、鉤型に曲げられ、その先に形成されたストッパピン41cが、スロットルレバー(移動体)43の後部43aに相対するように延びている。
【0054】
スロットルレバー43は、所定角度回動するとねじりコイルバネ41のストッパピン41cに当接するようになっている。
すなわち、スロットルレバー43が図8のアイドリング位置から反時計方向に所定角度回動し、図9で示すように所定の中間位置に達すると、スロットルレバー43の後部43aが、ねじりコイルバネ41のストッパピン41cに当接するようになっている。
言い換えれば、移動体としてのスロットルレバー43をアイドリング位置からフルスロットル位置側に移動すると、スロットルレバー43が固定体としての段差20bに近づき、規制部材としてのねじりコイルバネ41がスロットルレバー43と、段差20bとに接触し、かつ、スロットルレバー43と、段差20bとに挟まれた状態となる。
【0055】
これにより、スロットルレバー43の中間位置からフルスロットル位置への移動が規制され、作業者がスロットルレバー43を前記中間位置に保持しやすくなる。
さらに、当接状態を保持する力(所定の力)を超える力が加えられると、スロットルレバー43によりねじりコイルバネ41の付勢力に抗してストッパピン41cが押され、フルスロットル位置まで回動可能となる。すなわち、ねじりコイルバネ41およびリターンスプリング26が弾性変形する所定の力より大きな力で操作されると、スロットルレバー43を中間位置からフルスロットル位置に移動可能となる。
なお、スロットルレバー43がフルスロットル位置にあるとき、手を離せばスロットルレバー43は、ねじりコイルバネ41とリターンスプリング26の付勢力により、すぐにアイドリング位置に戻るようになっている。
【0056】
上記のような刈払機においては、スロットル制御装置40は、エンジン2の回転速度を制御する際に以下のように動作する。
エンジン2がアイドリング状態にあるとき、スロットルレバー43は、図8に示すアイドリング位置にある。ここから、刈刃7を回転駆動するため、リターンスプリング26の付勢力より大きな力で、かつ上述のようにねじりコイルバネ41を弾性変形させる所定の力よりは小さな力でスロットルレバー43を握りグリップ19側へ引き寄せ、反時計方向に所定角度回動すると、スロットルレバー43は図9に示すように中間位置に達し、ねじりコイルバネ41のストッパピン41cに当接し、スロットルレバー43の動きが止められる。このとき、エンジン2は、刈払い作業に適した所望の回転速度で駆動される。
さらに、作業中エンジン2の回転速度を上げる必要が生じたときは、スロットルレバー43を前記所定の力以上に強く握り、反時計方向に回動させると、スロットルレバー43がねじりコイルバネ41の付勢力(所定の力)に抗して、グリップ19に接するフルスロットル位置まで回動する(図10)。
【0057】
以上のように、本実施の形態の刈払機にあっては、スロットル制御装置40にねじりコイルバネ41が設けられ、スロットルレバー43がアイドリング位置から所定の中間位置に達したとき、ねじりコイルバネ41のストッパピン41cがスロットルレバー43の後部43aに当接するので、スロットルレバー43の回動が止められ、作業者は中間位置で容易に安定した状態でスロットルレバー43を保持できる。
しかも、前記所定の力より大きな力でスロットルレバー43を握れば、ねじりコイルバネ41が弾性変形することで、フルスロットル位置まで回動し、エンジン2をフルスロットル状態にできる。
また、スロットルレバー43が中間位置にあるときは前記リターンスプリング26により、フルスロットル位置にあるときはリターンスプリング26とねじりコイルバネ41の付勢力により、手を離せば瞬時にアイドリング位置に戻り、刈刃7の回転を停止させることができ、高い安全性を有する。
さらに、以上のような効果を得られるにもかかわらず、ねじりコイルバネ41を用いた簡単な構成であり、製造コストを低く抑えることができる。
【0058】
(第4の実施の形態)
図11〜図13は、本発明の第4の実施の形態の刈払機(動力作業機)に設けられるスロットル制御装置50を示す図である。この実施の形態の刈払機の全体の構成は、第1の実施の形態の刈払機とほぼ同様であるので以下では異なる構成を中心に説明する。
スロットル制御装置50に設けられているスロットルレバー53は、第1の実施の形態のスロットルレバー23と同様に、屈曲部53bおよび基端部53aを有し、基端部53aには円環部材24が設けられている。ただし、スロットルレバー53には、切欠は設けられていない。なお、第1の実施の形態同様にスロットルレバー53にはリターンスプリング26が設けられているが、図11〜図13では省略している。
【0059】
図11に示すように、グリップ19内やハンドルの傍には、前記スロットルワイヤ18が挿通しており、その表面を保護するため、細長い円筒形の管体によって覆われている。つまり、グリップ19内では第1アウタ16によって覆われ、その下方では第2アウタ17によって覆われている。スロットルワイヤ18は、それらアウタの内側をスライド移動自在になっている。
ハンドル15の脇において、第1アウタ16と第2アウタ17との間には所定長さ間隔が空けられ、そこに円筒形状に形成されたバネケーシング(固定体)55が設けられている。第1アウタ16の下端部16bと第2アウタ17の上端部17aはそれぞれ、バネケーシング55の上下に嵌め込まれている。
【0060】
バネケーシング55内を挿通しているスロットルワイヤ18の周りに、圧縮コイルバネ(規制部材)52が設けられている。圧縮コイルバネ52は、スロットルワイヤ18とは接しておらず、その上端部がバネケーシング55の天井面に取り付けられている。
さらに圧縮コイルバネ52の下方には円筒形状に形成されているストッパ(移動体)51が、スロットルワイヤ18と共に上下にスライド移動するように取り付けられている。
前述のように一端においてエンジン2に接続されているスロットルワイヤ18は、第2アウタ17、バネケーシング55、第1アウタ16を順に通り、第1アウタ16の上端部16aから出て、スロットルレバー53の基端部53aに設けられた円環部材24に接続されている。
【0061】
このスロットル制御装置50では、スロットルワイヤ18の動きをストッパ51で止めることで、スロットルレバー53を前記中間位置に保持するようになっている。
すなわち、スロットルレバー53が図11に示すアイドリング位置にあるとき、ストッパ51は圧縮コイルバネ52から離れている。この状態で、スロットルレバー53を反時計方向に回動させると、スロットルワイヤ18も上方向にスライド移動し、ストッパ51も共に上昇する。やがて図12に示すように、ストッパ51が圧縮コイルバネ52の下端部に当接する。このときのスロットルレバー53の回動位置が、前記中間位置となっている。
【0062】
言い換えると、スロットルレバー53がアイドリング位置からフルスロットル位置側に移動すると、固定体としてのバネケーシング55の天井面に、移動体としてのストッパ51が近づくように移動し、スロットルレバー53が中間位置に達すると、規制部材としての圧縮コイルバネ52がバネケーシング55の天井面と、ストッパ51との両方に接触するとともに、前記天井面とストッパ51との間に挟まれた状態となる。
これにより、作業者がスロットルレバー53を前記中間位置に保持しやすくなる。
さらに、圧縮コイルバネ52の付勢力およびリターンスプリング26の付勢力(所定の力)に抗する力(所定の力より大きな力)が加えられると、圧縮コイルバネ52は縮み、スロットルレバー53は図13に示すフルスロットル位置まで回動可能となる。
なお、フルスロットル位置にあるときスロットルレバー53の手を離せば、圧縮コイルバネ52とリターンスプリング26の付勢力により、すぐにアイドリング位置に戻るようになっている。
【0063】
上記のような刈払機においては、スロットル制御装置50は、エンジン2の回転速度を制御する際に以下のように動作する。
エンジン2がアイドリング状態にあるとき、スロットルレバー53は、図11に示すアイドリング位置にある。ここから、刈刃7を回転駆動するため、リターンスプリング26の付勢力より大きな力で、かつ上述のように圧縮コイルバネ52を弾性変形させる所定の力よりは小さな力でスロットルレバー53を握りグリップ19側へ引き寄せ反時計方向に所定角度回動すると、図12に示すように中間位置に達し、ストッパ51が圧縮コイルバネ52の下端部に当接し、スロットルレバー53の動きが止められる。このとき、エンジン2は、刈払い作業に適した所望の回転速度で駆動される。
さらに、作業中エンジン2の回転速度を上げる必要が生じたときは、スロットルレバー53を所定の力以上となる力で強く握り、圧縮コイルバネ52の付勢力(所定の力)に抗して反時計方向に回動させると、フルスロットル位置まで回動する(図13)。
【0064】
以上のように、本実施の形態の刈払機にあっては、スロットルワイヤ18にストッパ51が取り付けられ、ストッパ51の上方には圧縮コイルバネ52が設けられ、スロットルレバー53がアイドリング位置から所定の中間位置に達したとき、ストッパ51が、圧縮コイルバネ52に当接するので、スロットルレバー53の回動が止められ、作業者は中間位置で容易に安定した状態でスロットルレバー53を保持できる。
しかも、ある程度以上の力でスロットルレバー53を握れば、圧縮コイルバネ52が弾性変形することで、フルスロットル位置まで回動させ、エンジン2をフルスロットル状態にできる。
また、手を離せば、スロットルレバー53は中間位置にあるときはリターンスプリング26の付勢力により、フルスロットル位置にあるときはリターンスプリング26と圧縮コイルバネ52の付勢力により、瞬時にアイドリング位置に戻り、刈刃7の回転を停止させることができ、高い安全性を有する。
さらに、以上のような効果を得られるにもかかわらず、圧縮コイルバネ52を用いた簡単な構成であり、また従来のスロットルレバー自体の構造を変更する必要もなく、製造コストを低く抑えることができる。
加えて、圧縮コイルバネ52の自由長やストッパ51の位置を変更するなどにより、スロットルレバー53を所望の回動位置に保持することができ、汎用性が高い。
なお、圧縮コイルバネ52をバネケーシング55ではなく、ストッパ51に取り付けるものとしてもよく、スロットルレバー53を中間位置としたときに、圧縮コイルバネ52がバネケーシング55の天井面とストッパ51との両方に接触してこれらに挟まれた状態となれば、圧縮コイルバネ52をどの部材で支持するものとしてもよい。
【0065】
(第5の実施の形態)
図14〜図16は、本発明の第5の実施の形態の刈払機(動力作業機)に設けられるスロットル制御装置60を示す図である。この実施の形態の刈払機は、スロットル制御装置60のスロットルレバー63にサブレバー61が連結されている点以外は第1の実施の形態の刈払機とほぼ同様であることから、以下では異なる構成を中心に説明する。
スロットル制御装置60に設けられているスロットルレバー63の下端部63aには、サブレバー61を連結するため、取付ピン62が挿通するピン穴(図示せず)が設けられている。
【0066】
サブレバー(規制部材)61は、樹脂などにより、上下に細長く弓状に形成されている。このサブレバー61は、上端部に円板状に形成された連結部61aを、スロットルレバー(移動体)63に対して、その下端部63aの内部において、取付ピン62回りに回動自在であるように取り付けられて連結されている。
連結部61aには、直径方向外方に突出するように係止爪(係合部材)61bが設けられている。この係止爪61bは、スロットルレバー63とサブレバー61が所定の角度関係(連結角度)になったときに、スロットルレバー63の下端部63aの内壁部63b(係合部材)によって係止されるように(当接するように)なっている。これにより、サブレバー61とスロットルレバー63との角度関係は所定角度より小さくならないように規制され、一定の角度関係を保ちながら共に回動可能になる。なお、この際には、サブレバー61をグリップ(固定体)19に近づける方向で、スロットルレバー63とサブレバー61との連結角度が小さくなる方向に移動させる必要がある。すなわち、スロットルレバー63の回転移動方向がリターンスプリング26の付勢力に抗してグリップ19に近づく方向で、かつ、サブレバー61の回転移動方向が同じくグリップに近づく方向となっている必要がある。
サブレバー61は、グリップ19に当接可能であり、このグリップ19が本発明の固定体となる。また、係止爪61bと、内壁部(係合部材)63bとが、スロットルレバー63とサブレバー61との連結角度を所定角度以上に規制する角度規制手段となる。
【0067】
このスロットル制御装置60では、スロットルレバー63を前記中間位置に回動する際には、サブレバー61を操作するようになっている。
すなわち、スロットルレバー63がアイドリング位置(図14)にあるとき、サブレバー61はスロットルレバー63に対して回動自在な状態である。この状態で、サブレバー61を握りグリップ19側に引き寄せると、スロットルレバー63に対して反時計方向に回動し、やがて係止爪61bが内壁部63bに係止され、サブレバー61はそれ以上スロットルレバー63に対して回動できず、スロットルレバー63とサブレバー61との角度関係が規制された状態(所定の連結角度より小さくならない状態)になる。この規制された状態で、さらにサブレバー61をグリップ側に引き寄せると、スロットルレバー63は、サブレバー61と一体になって、グリップ19側に回転する。そして、サブレバー61の後部61cがグリップ19に当接し、サブレバー61とスロットルレバー63の回動が止まる。このときのスロットルレバー63の回動位置が、前記中間位置となっている(図15)。
すなわち、規制部材としてのサブレバー61が移動体としてのスロットルレバー63と、固定体としてのグリップ19との両方に接触した状態で、スロットルレバー63が中間位置に配置される。
【0068】
このように当接しているとき、握る力が強くなってもサブレバー61のみを握っている限り、サブレバー61がグリップ19に当接し、かつ、サブレバー61に対してスロットルレバー63の角度が規制されているので、スロットルレバー63は回動できず、その中間位置における状態が保持されるようになっている。
中間位置にあるスロットルレバー63を直接操作し反時計方向に回動させると、その動きによって、サブレバー61がスロットルレバー63に対して相対的に時計方向に回動することで係止爪61bと内壁部63bとによる規制(係合)が外れ、スロットルレバー63の回動が阻止されなくなり、フルスロットル位置まで回動可能となる(図16)。
すなわち、スロットルレバー63を中間位置からフルスロットル位置側に移動する際には、スロットルレバー63と先端部がグリップ19に当接したサブレバー61との連結角度が所定角度以上となる方向に移動することになり、上述の角度規制手段により規制される方向と逆になり、角度規制手段に規制されることなく、スロットルレバー63を中間位置からフルスロットル位置に移動することができる。
なお、スロットルレバー63がどの回動位置にあっても、手を離せば、リターンスプリング26の付勢力によりすぐにアイドリング位置に戻るようになっている。
【0069】
上記のような刈払機においては、スロットル制御装置60は、エンジン2の回転速度を制御する際に以下のように動作する。
エンジン2がアイドリング状態にあるとき、スロットルレバー63は、図14に示すアイドリング位置にある。ここから、刈刃7を回転駆動するため、リターンスプリング26の付勢力より大きな力で、サブレバー61を握りグリップ19側へ引き寄せると、反時計方向に回動することで、サブレバー61の係止爪61bがスロットルレバー63の内壁部63bによって係止され、サブレバー61とスロットルレバー63との連結角度が所定角度となった際に、それ以上連結角度を小さくできない状態となり、サブレバー61と共にスロットルレバー63も、反時計方向に回動する。スロットルレバー63が所定角度回動したとき、サブレバー61がグリップ19に当接し動きが止められ、図15に示すようにスロットルレバー63は中間位置に達する。これにより、エンジン2は、刈払い作業に適した所望の回転速度で駆動される。そのままサブレバー61を握っていれば、サブレバー61はグリップ19に当接した状態であり、スロットルレバー63もサブレバー61に対して角度が規制されているので、中間位置で保持される。
さらに、作業中エンジン2の回転速度を上げる必要が生じたときは、スロットルレバー63をリターンスプリング26の付勢力より大きな力で強く握って反時計方向に回動させると、サブレバー61は時計方向に回動し前記角度規制手段による角度の規制方向と反対方向、すなわち、スロットルレバー63とサブレバー61との連結角度を所定角度より大きくする方向に回転し、スロットルレバー63はフルスロットル位置まで回動する(図16)。
【0070】
以上のように、本実施の形態の刈払機にあっては、スロットルレバー63に対してサブレバー61が回動可能に連結され、スロットルレバー63の内壁部63bと、サブレバー61の係止爪61bにより、両者の連結角度を規制する角度規制手段が構成され、この角度規制手段によってスロットルレバー63とサブレバー61との連結角度が所定角度以下に規制されているときのサブレバー61が、グリップ19に当接すると、スロットルレバー63は前記中間位置に達するので、サブレバー61を握っている限りスロットルレバー63はその中間位置に確実に維持され、作業者は非常に安定した状態でスロットルレバー63を中間位置に保持できる。スロットルレバー63の保持のために力を加減したりすることが不要になるので刈払い作業も楽にできる。
しかも、フルスロットル位置にしたいときにはスロットルレバー63を直接握って引き寄せるだけで規制手段による規制が外れ、前記中間位置から前記フルスロットル位置まで移動可能になる。
また、サブレバー61およびスロットルレバー63から手を離せば、スロットルレバー63はリターンスプリング26の付勢力により、瞬時にアイドリング位置に戻り、刈刃7の回転を停止させることができ、高い安全性を有する。
さらに、以上のような効果を得られるにもかかわらず、サブレバー61をスロットルレバー63に連結した簡単な構成であり、製造コストを低く抑えることができる。
【0071】
なお、上記の各実施の形態では、本発明を刈払機に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、畑などに水や薬液を噴霧するための噴霧機、粉状あるいは粒状の薬剤を肥料などを散布する散布機、ごみや落ち葉などを集める背負い式ブロアなど、スロットルレバーを備え手動でエンジンの出力を制御しながら作業を行う各種動力作業機に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る刈払機を示す側面図である。
【図2】同、刈払機に設けられるスロットル制御装置を示す図であって、(a)はアイドリング位置にあるスロットルレバーの側面図、(b)は同図(a)の矢印方向から見たスロットルレバーと板バネの位置関係を示した断面図、(c)は板バネの斜視図である。
【図3】同、スロットル制御装置を示す図であって、(a)はスロットルレバーが中間位置にあるときの側面図、(b)は同図(a)の矢印方向から見たスロットルレバーと板バネの位置関係を示した断面図である。
【図4】同、スロットル制御装置を示す図であって、(a)はスロットルレバーがフルスロットル位置にあるときの一部破断した側面図、(b)は同図(a)の矢印方向から見たスロットルレバーと板バネの位置関係を示した断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る刈払機に設けられるスロットル制御装置を示す図であって、(a)はスロットルレバーがアイドリング位置にあるときの側面図、(b)は同図(a)の矢印方向から見たスロットルレバーと板バネの位置関係を示した断面図、(c)は板バネの斜視図である。
【図6】同、スロットル制御装置を示す図であって、(a)はスロットルレバーが中間位置にあるときの側面図、(b)は同図(a)の矢印方向から見たスロットルレバーと板バネの位置関係を示した断面図である。
【図7】同、スロットル制御装置を示す図であって、(a)はスロットルレバーがフルスロットル位置にあるときの側面図、(b)は同図(a)の矢印方向から見たスロットルレバーと板バネの位置関係を示した断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る刈払機に設けられるスロットル制御装置を示す図であって、(a)はスロットルレバーがアイドリング位置にあるときの正面図、(b)は同じく側面図である。
【図9】同、スロットル制御装置を示す図であって、スロットルレバーが中間位置にあるときの側面図である。
【図10】同、スロットル制御装置を示す図であって、スロットルレバーがフルスロットル位置にあるときの側面図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る刈払機に設けられるスロットル制御装置を示す図であって、スロットルレバーがアイドリング位置にあるときの側面図で一部を破断して示している。
【図12】同、スロットル制御装置を示す図であって、スロットルレバーが中間位置にあるときの側面図で一部を破断して示している。
【図13】同、スロットル制御装置を示す図であって、スロットルレバーがフルスロットル位置にあるときの側面図で一部を破断して示している。
【図14】本発明の第5の実施の形態に係る刈払機に設けられるスロットル制御装置を示す図であって、スロットルレバーがアイドリング位置にあるときの側面図である。
【図15】同、スロットル制御装置を示す図であって、(a)はスロットルレバーが中間位置にあるときの側面図、(b)は同図(a)のスロットルレバーとサブレバーの連結部分の内部の拡大図である。
【図16】同、スロットル制御装置を示す図であって、(a)はスロットルレバーがフルスロットル位置にあるときの側面図、(b)は同図(a)のスロットルレバーとサブレバーの連結部分の内部の拡大図である。
【図17】従来の刈払機に設けられるスロットル制御装置の一例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0073】
2 エンジン
18 スロットルワイヤ
19 グリップ
20、30、40、50、60 スロットル制御装置
20b 段差
21 コ字部材
23、43、53、63 スロットルレバー
26 リターンスプリング
27、31 板バネ
41 ねじりコイルバネ
51 ストッパ
52 圧縮コイルバネ
61 サブレバー
61b 係止爪
63b 内壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイドリング状態からフルスロットル状態までの範囲で回転速度を可変に制御されるエンジン(2)と、
一端部において前記エンジン(2)に接続されているスロットルワイヤ(18)と、
前記スロットルワイヤ(18)の他端部に接続され、前記エンジン(2)の回転速度を制御するために操作され、前記アイドリング状態に対応するアイドリング位置と前記フルスロットル状態に対応するフルスロットル位置との範囲を往復移動可能であるスロットルレバー(23、43、53、63)と、
前記スロットルレバー(23、43、53、63)を前記往復移動可能に支持する支持手段(20、30、40、50、60)と、
前記スロットルレバー(23、43、53、63)が前記アイドリング位置をとるように付勢する付勢手段(26)とを備え、
前記スロットルレバー(23、43、53、63)を前記アイドリング位置と前記フルスロットル位置の範囲で操作することによって、前記スロットルワイヤ(18)を介して前記エンジン(2)の回転速度を制御しながら所定の作業を行う動力作業機において、
前記支持手段(20、30、40、50、60)に対して位置がほぼ固定された固定体(21、20b、55、19)と、前記スロットルレバー(23、43、53、63)に連動して移動し、かつ、前記スロットルレバー(23、43、53、63)が、前記アイドリング位置から前記フルスロットル位置に移動する際に前記固定体(21、20b、55、19)に近づく方向に移動する移動体(23、43、51、63)と、
前記移動体(23、43、51、63)が前記アイドリング位置から当該アイドリング位置と前記フルスロットル位置との途中となる所定の中間位置に達した際に、前記固定体(21、20b、55、19)および前記移動体(23、43、51、63)の両方に接触し、前記移動体(23、43、51、63)の前記固定体(21、20b、55、19)に近づく移動を規制することにより、前記中間位置から前記フルスロットル位置への前記スロットルレバー(23、43、53、63)の移動を規制する規制部材(27、31、41、52、61)とを備え、
前記規制部材(27、31、41、52、61)は、前記スロットルレバー(23、43、53、63)が所定の力より大きな力で前記中間位置からフルスロットル位置に向けて操作された際に、変形および/または移動することにより前記スロットルレバー(23、43、53、63)の前記中間位置から前記フルスロットル位置への移動を可能とすることを特徴とする動力作業機。
【請求項2】
前記スロットルレバー(23)が前記アイドリング位置から前記中間位置に移動した際に前記固定体(21)と前記移動体(23)との間に前記規制部材(27)が挟まれることにより、前記中間位置から前記フルスロットル位置への前記スロットルレバー(23)の移動が規制され、
前記スロットルレバー(23)が前記所定の力より大きな力で前記中間位置からフルスロットル位置に向けて操作された際に、前記規制部材(27)が前記固定体(21)と前記移動体(23)との間から外に出るように弾性変形することで、前記中間位置から前記フルスロットル位置への前記スロットルレバー(23)の移動を可能とすることを特徴とする請求項1に記載の動力作業機。
【請求項3】
前記スロットルレバー(23、43、53)が前記アイドリング位置から前記中間位置に移動した際に前記固定体(21、20b、55)と前記移動体(23、43、51)との間に前記規制部材(31、41、52)が挟まれることにより、前記中間位置から前記フルスロットル位置への前記スロットルレバー(23、43、53)の移動が規制され、
前記スロットルレバー(23、43、53)が前記所定の力より大きな力で前記中間位置からフルスロットル位置に向けて操作された際に、前記規制部材(31、41、52)が前記固定体(21、20b、55)と前記移動体(23、43、51)との間の距離が縮む方向に弾性変形することで、前記中間位置から前記フルスロットル位置への前記スロットルレバー(23、43、53)の移動を可能とすることを特徴とする請求項1に記載の動力作業機。
【請求項4】
前記固定体(55)は、前記スロットルワイヤ(18)の周囲で前記支持手段(50)に対してほぼ位置を固定され、
前記移動体(51)は、前記固定体(55)より前記エンジン(2)に近い位置で前記スロットルワイヤ(18)と一体に移動可能に当該スロットワイヤ(18)に固定され、
前記規制部材(52)は、前記固定体(55)と前記移動体(51)との間で前記スロットルワイヤ(18)の周囲に配置されたコイルバネ(52)からなり、
前記スロットルレバー(53)が前記アイドリング位置から前記中間位置に達した際に前記コイルバネ(52)が前記固定体(55)と前記移動体(51)とに挟まれ、
前記コイルバネ(52)を前記所定の力より大きな力で圧縮方向に弾性変形させることで前記スロットルレバー(53)の前記中間位置から前記フルスロットル位置への移動を可能とすることを特徴とする請求項3に記載の動力作業機。
【請求項5】
前記固定体(19)は、先端部に前記支持手段(60)に取り付けられるとともに操作者がスロットルレバー(63)の操作時に握ることが可能なグリップ(19)からなり、
前記移動体(63)は、スロットルレバー(63)からなり、
前記規制部材は、前記スロットルレバー(63)に回転可能に連結されたサブレバー(61)からなり
前記スロットルレバー(63)と前記サブレバー(61)とには、それぞれ、互いに係合することにより当該スロットルレバー(63)と当該サブレバー(61)との連結角度を所定角度以上となるように規制する角度規制手段(63bと61b)を備え、
前記角度規制手段(63bと61b)により前記スロットルレバー(63)と前記サブレバー(61)との連結角度が所定角度以上に規制された状態で、前記サブレバー(61)が前記スロットルレバーとの連結角度が小さくなる方向で、かつ、前記グリップ(19)に近づく方向に操作されることにより、前記スロットルレバー(63)と前記グリップ(19)との連結角度が前記所定角度となるとともに前記サブレバー(61)が前記グリップ(19)に接触した際に前記スロットルレバー(63)が前記中間位置に配置され、
前記スロットルレバー(63)が前記付勢手段(26)の付勢力より大きな力で前記フルスロットル位置に向けて操作された際に、前記スロットルレバー(63)と前記サブレバー(61)とが所定角度以上に開くことで前記スロットルレバー(63)が前記フルスロットル位置に移動可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の動力作業機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2009−108839(P2009−108839A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284843(P2007−284843)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】