動力増殖装置
【課題】従来より動力を創り出す手段として、内燃機関とガスタービンが主力を成しており、石油や核燃料を燃焼又は核反応させてそれらの秘めている熱エネルギーを取り出し、更に回転エネルギーへと変換して、源動力を創成しているが、石油や核燃料を始終補給し続けなければならず、経済的負担が大きい。且つ、核物質からと石油の燃焼によって発生する有害物質に悩まされている。
【解決手段】一直線上に並べた一つの固定軸と複数のクランク軸を菱形のリンクで連結し、クランク半径の小さいクランク軸を入力用に、クランク半径の大きいクランク軸を出力用にして、入力用のクランク軸に小動力を与えると、出力用クランク軸からは増殖した大きな動力を取り出すことができる動力増殖装置。
【解決手段】一直線上に並べた一つの固定軸と複数のクランク軸を菱形のリンクで連結し、クランク半径の小さいクランク軸を入力用に、クランク半径の大きいクランク軸を出力用にして、入力用のクランク軸に小動力を与えると、出力用クランク軸からは増殖した大きな動力を取り出すことができる動力増殖装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力又は電磁力によって創成された、極小さな力、小動力を「種」にして、その種を元手にして、幾百倍、幾千倍に増殖することを第一義としているが、大動力を小動力に減少することもできる動力創成並びに伝達技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
動力を創り出す従来の主な技術には、
内燃機関、ガスタービン、水車、風車等があり歯車、チェーン、ベルト等を介して使用している。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術には次のような問題点がある。
ア)内燃機関は燃料と称する石油を初めとする諸物質と空気の混合物を燃焼させるため、排気の中には人体及び環境に悪影響を及ぼす物質が含まれている。
且つ、燃料を入手するための経済的負担は重い。
イ)ガスタービンは主に発電所等で発電機を稼動する為の動力源として用いられているが、石油やウラン等の鉱物資源を燃焼させたり、核反応によって発生する有害物質に悩まされているのと、燃料入手の為の経済的負担が重いのは内燃機関と同様である。
また、装置が大掛かりなのと、危険負担が大なために立地条件も限られる。
ウ)水車は水の持つ位置エネルギーを利用するので、気象条件、立地条件に限りがある。
エ)風車も風と称する気圧の差による空気の移動、すなわち大気の持つ位置エネルギーの利用であり、気象条件に左右され、立地条件が限られ、信頼性に欠ける。
オ)従来の技術はいずれも、ある物質の持つエネルギーを異種形態のエネルギーに変換するというエネルギー変換によって動力を創成し、歯車、チェーン、ベルト等を介して利用しているが、その過程に於て損失が多く非効率な手段である。
カ)社会情勢の動向によっては安定的なエネルギー源の供給が損われる可能性があり、この不安定要因を無害化すべく方策を講じることは、我が日本にとって重要である。
本発明はこれらの問題点を解決するためになされたものであり特に脱石油、脱原子力を主願になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
基本構成は、固定軸、入力用クランク軸、出力用クランク軸、菱形リンク、軸受、フレーム兼ケーシングから成っている。
最初に固定軸(1)を設けたら、固定軸から寸法Sの位置にクランク半径Rのクランク軸(2)を設け、次に固定軸とクランク軸(2)の軸芯を結ぶ線の延長上で、寸法SのN倍=NSの位置にクランク半径がRのN倍=NRのクランク軸を一つ又は複数設ける。
(図面ではスペースの都合で、N=3迄しかないが符号7(N=2)の位置にもクランク軸を設けることができるし、Nをもっと多くとればもっと多くのクランク軸を設けることができる。)
次に菱形リンクの端から数えて一つ目の菱形の片方の軸ピン穴を固定軸に、もう片方の軸ピン穴をクランク軸(2)のクランクピン(4)に装着し、最後N番目の菱形の終端の軸ピン穴をクランク軸(3)のクランクピン(6)に装着する。
菱形リンクは小さく軽くが基本である。
菱形の数は、図面1の構成では倍数Nと同数、図面2の構成ではN+1が基本である。
図面3の構成では左右の数が同じであればよい。
菱形リンクは入力用クランク軸のクランクピンの力と変位を正確に出力用クランク軸のクランクピンに伝達するのが役目である。
菱形の中心(1、4、5、6)を結ぶ線は一直線になり、この直線によって分割形成される全ての三角形は左右対称であり合同である。
つまり、各機素を連結する軸ピン用穴ピッチは全て同一寸法である。
故に、(1)と(4)の芯間距離をAとすれば(図面5)(1)と(6)の芯間距離はAのN倍=NAである。
(このAはクランク回転角θの関数であるから周期的に変化する。)
次に任意のクランク軸に回転力を与えると、菱形リンクが伸縮運動及び振り子運動を行ない、伝達経路となって、他のクランク軸も回転する。
ここで円滑な回転を伝えるための必要条件は、
サ)全てのクランク軸のクランク回転角θは常時一致していなければならない。
ということは、
各クランク軸の回転中心とクランクピンの芯を結ぶ線分は常時平行でなければならない。
シ)(1)と(4)と(5)と(6)の芯を結ぶ線は常時一直線になっていなければならない。
ス)前記サ)、シ)の条件を満足するには、三角形(1、2、4)と三角形(1、7、5)と三角形(1、3、6)は常時相似形を成していなければならない。
故に、NR/R=NS/S=NA/Aの関係が成り立つ。
これが円滑な回転を伝えるための必要不可欠な基本原則である。
そして、何れのクランク軸を入力用に、又出力用にするかは任意であるが、比較小さいクランク半径の方を入力用に、比較大きい方を出力用にした場合にはトルクを増殖し、その逆の場合はトルクを減少する。
又、入力用と出力用のクランク半径が等しい場合は、増殖も減少もしない。
また、図面1と図面2は固定軸を設ける位置が、クランク軸(2)とクランク軸(3)の軸間距離を外分するか内分するかの違いであって基本的な構成の代表として示したものである。
どちらも任意のクランク軸に与えられた回転方向、角速度は変えることなく、トルクのみを変化させて動力を増殖又は減少して他のクランク軸に伝達する機能を有する構成である。
図面3は内分方式で、それも等分の位置(N=1)に固定軸を設けたもので、どちらを入力用にして、どちらを出力用にしても、与えられたトルク、回転方向、角速度はどれも変化しない。
且つ、クランク回転角による周期的なトルク変動もなく、安定した平滑な動力を伝達する機能を有する構成である。
動力を分配したり、合成するとき、また単に一定動力を伝達する場合等に用いる。
以下、図面1の基本構成を基に実際的な説明をする。
クランク軸(2)を入力軸、クランク軸(3)を出力軸と定め、回転方向は時計廻り、クランクピン(4)が固定軸と入力軸の間にあって、それぞれの芯が一直線に並んだときを、クランク回転角θ=0°とする。
又、図面5の線図に示されている、力の働く向きを表わす矢印は、一瞬間の状態であり、クランク回転により周期的に変化する。
さて、入力軸に与えられたトルク(TD)は、
トルク(T)=力(f)×距離(R)の法則により、入力軸(2)とクランクピン(4)の芯を結ぶ線分(2、4)に直角に働く力(f)をクランクピン(4)に生み出し、菱形リンクをクランクピン(4)で引掛けて運動させる。
力(f)は分力(F)と(P)に分かれて作用する。
分力(F)は、固定軸(1)と出力軸のクランクピン(6)の芯を結ぶ一直線上に生じて菱形リンクを伸縮運動させる。
分力(P)は、固定軸(1)と出力軸のクランクピン(6)の芯を結ぶ一直線に直角の向きに生じて、菱形リンクを固定軸(1)を支点に振れ角λ(ラムダ)で振り子運動させる。(図面7)
分力(F)と(P)はクランク回転角θの関数であり周期的に変動する。(図面7)、(図面8)
fとFの成す狭角をδ(デルタ)とすれば(図面6)
F=fcosδ、P=fsinδである。
θ=0°では P=f(最大)、F=0(最小)である。
クランクが回転する連れ菱形リンクは伸張し、Pは除々に減少し、Fは除々に増大する。
固定軸(1)とクランクピン(4)を結ぶ線とクランク半径Rである線分(2、4)が直角を成すときのクランク回転角θ=θZとすればθ=θZではP=0(最小)、F=f(最大)になる。
更にクランクが回転するに連れFは除々に減少し、Pは向きが逆になって除々に増大する。
θ=180°では再びP=f、F=0になる。
θ=180°を過ぎると菱形リンクは収縮し、Pは除々に減少しFは向きが逆になって除々に増大し、θ=(360°−θZ)で再びF=f、P=0になる。
更に回転すると、Fは除々に減少し、Pは向きが再び逆になって(元の向きになって)除々に増大し、θ=0°に戻って、P=f、F=0になる、この繰り返しである。
次に、入力軸のクランクピン(4)に生じた分力(F)と(P)が出力軸のクランクピン(6)に伝達される仕組みを説明する。
分力(F)は更に分力(M)に分けられる。
この分力(M)がリンク(4、8)とリンク(4、9)を介してリンク(1、8)とリンク(1、9)の軸ピン(8)と(9)を引張って又は押して固定軸(1)の廻りに、それぞれ別個にトルク(TM)を生む。
このトルク(TM)の大きさはリンク(4、8)とリンク(4、9)に固定軸(1)から下ろした垂線の交点を(14)とし、(1)と(14)の距離をCとすればトルク(TM)=力(M)×距離(C)である。
このトルク(TM)によって軸ピン(8)と(9)の芯間距離を伸縮する力(Q)が生じる。(図面5)
そして力(Q)の大きさはQ=TM÷A/2である。
こうして生じた力(Q)が次々と隣接リンクに伝播して行く。
軸ピン(8)と(9)に生じた力(Q)は、
次にリンク(8、4、10)とリンク(9、4、11)をクランクピン(4)を支点にして回転させ軸ピン(10)と(11)にも全く同じ大きさの偶力(Q)を生じさせる。
更に次のリンク(10、5、12)とリンク(11、5、13)を軸ピン(5)を支点にして回転させ軸ピン(12)と(13)にも全く同じ大きさの偶力(Q)を生じさせる。
最後にリンク(12、6)とリンク(13、6)をクランクピン(6)を支点にして回転させると同時にクランクピン(4)と軸ピン(5)の間にもクランクピン(4)を支点に軸ピン(5)との芯間距離を伸縮させる力(F)を軸ピン(5)にも生じさせると同時に軸ピン(5)とクランクピン(6)の間にも軸ピン(5)を支点にクランクピン(6)との芯間距離を伸縮させる力(F)をクランクピン(6)にも生じさせる。
分力(P)は、菱形リンクを固定軸(1)と出力軸のクランクピン(6)を結ぶ一本の棒と見なせば、固定軸(1)を支点、クランクピン(4)を力点、クランクピン(6)を作用点とした一本のてこである。
故に、力の釣り合いから
A:NA=P/N:Pの式が成り立つ。(図面5)
すなわち、分力(P)は出力軸のクランクピン(6)に於ては1/Nに減ってしまうが、分力(F)と協働してクランク軸(3)を回転させる。
次に、入力軸に与えられたトルク(TD)と出力軸から取り出せるトルク(TB)の関係を説明する。
入力軸に於ては(図面6)
固定軸(1)とクランクピン(6)の芯を結ぶ一直線上に入力軸(2)から下ろした垂線の支点を(15)とし、(4)と(15)の距離をX、(2)と(15)の距離をYとすれば分力(F)を生むために使われたトルク(TF)=力(F)×距離(Y)分力(P)を生むために使われたトルク(TP)=力(P)×距離(X)このトルク(TF)と(TP)は入力軸に与えられたトルク(TD)を分け合っているに過ぎないので、TF+TP=1=TDである。
すなわち、入力軸に於てはクランク回転角による周期的なトルク変動は無く、常時一定トルク(TD)である。
出力軸に於ては、
固定軸(1)とクランクピン(6)の芯を結ぶ一直線の延長上に出力軸(3)から下ろした垂線の交点を(16)とすれば、三角形(2、4、15)と三角形(3、6、16)は相似形なので
(6)と(16)の距離はXのN倍=NX
(3)と(16)の距離はYのN倍=NYであるから、
分力(F)により出力軸に生じるトルク(TFB)=力(F)×距離(NY)
分力(P)により出力軸に生じるトルク(TPB)=力(P/N)×距離(NX)
これを書き直すと、
TFB=N×FY、TPB=P/N×NX=PXとなり
出力軸に生じる総トルク(TB)は、
TB=TFB+TPB=N×FY+PXである。
つまり、分力(P)によるトルクは増えもしなければ減りもしないが、分力(F)によるトルクはN倍に増える。
故に、クランク回転角θ=0°と180°では、P=最大、F=0なのでTB=PX=TDとなり、これが最小トルクである。(図面(8)
θ=θZと(360°−θZ)のときは、F=最大、P=0なのでTB=N×FYとなり、これが最大トルクである。(図面7)
出力軸に於てはこの最小トルクと最大トルクの範囲内で周期的なトルク変動がある。
が、倍数N=1の場合(図面3)では
最小トルクは、TB=PX=TD
最大トルクも TB=FY=TDとなるので、
トルク変動は起きないで、常時一定トルク(TD)である。
次に、この周期的に変動するトルクを平滑化したり、増殖するための実際的な方法を説明する。
基本構成一式を以って一ユニットとし、複数ユニットを直列接続又は並列接続に接続して用いる。
接続の仕方は、軸を直結する方式か図面3の構成を用いて連結するのが最良であるが歯車、チエーン等を用いてもよい。
各ユニットの配置の仕方は平面的、立体的、線形、方形、多角形、円形、放射円形等々任意である。
直列接続は増殖を目的とする。
1段目の出力軸に2段目の入力軸を接続し、2段目の出力軸に3段目の入力軸を接続するというようにして順次重ねて行く方法である。
クランク回転角は全ユニット同じになるように設定する。
すなわち1段目のクランク回転角θ=0°ならばその系列では2段目も、‥‥幾段目も全てθ=0°に初期設定を行う。
従って、トルクはべき乗倍に増えて行く。
今、各ユニットの倍数N=5とし、1段目の入力軸トルク(T0)=1とすると、1段目の出力軸トルク(T1)=1×5=5となり、2段目の入力軸トルクも同じT1で5である。
2段目の出力軸トルク(T2)=T1×5=5×5で25である。
3段目の入力軸トルクもT2で25である。
3段目の出力軸トルク(T3)=T2×5=25×5で125ということである。
並列接続は平滑化を目的とする。
各ユニットの入力軸は入力軸同志、出力軸は出力軸同志で接続する方法で、得られるトルクは各ユニットのトルクの総和である。
増殖率は低下するがトルク変動幅は実用上支障のない、ほぼ0と見なせる程に迄、平滑化することも可能である。
クランク回転角は、各々ずらして初期設定を行う。
ユニット数が2個の場合は、
クランク回転角を90°ずらすのが最良である。
ユニット▲1▼はθ=0°、ユニット▲2▼はθ=90°の状態で入力軸は入力軸、出力軸は出力軸同志で接続する。
ユニット数が3個以上の場合は、
クランク回転角を、360°÷ユニット数、間隔でずらす。
今、ユニット数8個とすると、360°÷8=45°である。
各ユニットに▲1▼番から▲8▼番迄の番号を順番に付けて、ユニット▲1▼はθ=0°、ユニット▲2▼はθ=45°。・・・・・・最後ユニット▲8▼はθ=315°ということである。
そうして、8個のユニット全ての入力軸は入力軸同志で、出力軸は出力軸同志で、図面3の構成で連結し、任意の一つのユニットの入力軸に入力トルク(TD)を与えると、各ユニットの入力トルクはTD/8となり、全ユニットに同じトルクを分配する。
出力トルクはクランク回転角θの関数であるから、各ユニットの出力トルク(TB)はそれぞれ異るので、その総和である合成トルクは変動幅が極めて小さく平滑化されており、任意の一つのユニットの出力軸から取り出すことができる。
直列接続と並列接続を適宜組み合わせて用いると効果は大である。以下に、その用法を示す。
図面9は、倍数N=5のユニット16個を用いて、軸を直結する方式で、ユニット▲1▼▲3▼▲5▼▲7▼▲9▼▲11▼▲13▼▲15▼をクランク角度を揃えて8段に直列接続し、同じ様にしてユニット▲2▼▲4▼▲6▼▲8▼▲10▼▲12▼▲14▼▲16▼を8段に直列接続したものを更に、ユニット▲1▼と▲2▼及び▲5▼と▲6▼及び▲9▼と▲10▼及び▲13▼と▲14▼及び▲15▼と▲16▼をクランク角度を90°ずらして並列接続したものである。(ユニット▲1▼▲5▼▲9▼▲13▼▲15▼がクランク回転角θ=0°のときユニット▲2▼▲6▼▲10▼▲14▼▲16▼がθ=90°ということである。)
つまり、これは基本的には2ユニットを並列接続したものを更に幾段にも直列接続して用いる用法である。
この用法は平滑化と増殖を同時に行うことができるが主目的は増殖にある。
まず最初に2ユニットを並列接続して一組にするのは最低トルクを引き上げる狙いからである。
使用するユニット数は比較的少なくて済み、入力は小さくてよく経済的である。
1段目の入力軸(17)に与えられたトルクを2とした場合、ユニット▲1▼、ユニット▲2▼各々の入力トルク(TD)は半分の1となる。
ここで初めに、入力トルク(TD)=1としてクランク回転角θごとの出力トルク(TB)=N×FY+PXを1°きざみに0°から360°迄予め計算して表にしておく。
そうして、ユニット▲1▼がθ=0°のときユニット▲2▼はθ=90°であるから0°と90°のトルク(TB)の和、1°と91°のトルクの和、・・・・・180°と270°のトルクの和、というようにしてユニット▲1▼と▲2▼のトルクの和を求めて表にすると、ユニット▲1▼がθ=63°でユニット▲2▼がθ=153°のときの合成トルクが6.24で最高トルク、ユニット▲1▼がθ=135°でユニット▲2▼がθ=225°のときの合成トルクは5.16で最低トルクである。
故に、1段目の出力軸であり2段目の入力軸である、軸(18)の軸トルクは5.16〜6.24の範囲で周期的に変動している。
ここ、軸(17)と軸(18)の間で幾倍に増えたかを見てみると、総入力2に対して合成出力5.16〜6.24であるから、合成出力÷総入力=増殖倍数なので、2で割ると、2.58倍〜3.12倍に増える。
しかし実際に利用するのは、2.5倍迄として、それ以上の部分は切り捨ててしまう。(又は軸にフライホイールを設けて有効利用するもよい。)
すると、ユニット▲3▼と▲4▼の関係もユニット▲1▼と▲2▼の関係と全く同じ関係に並列接続されているので、2段目の軸(18)と軸(19)の間でも2.5倍に増えて、軸(19)の軸トルクは2.5倍×2.5倍=6.25倍、
同じようにして、
3段目の軸(20)の軸トルクは6.25×2.5=15.625倍、
4段目の軸(21)の軸トルクは15.625×2.5=39.0625倍、
5段目の軸(22)の軸トルクは39.0625×2.5=97.65625倍、
6段目の軸(23)の軸トルクは97.65625×2.5=244.14062倍、
7段目の軸(24)の軸トルクは244.14062×2.5=610.35155倍、
8段目の軸(25)の軸トルクは610.35155×2.5=1525.8788倍。
ということは、単純計算で、
40W入力して、その内、装置の慣性モーメントやその他の諸損失で消費される分を20Wとすれば、残り20Wは正味入力であるから、出力軸(25)で負荷を稼働できる動力は、
20W×1525.8788倍=30517.576W→30.517KWとなる。
図面10は倍数N=5のユニット8つを2つずつ軸を直結する方式で並列接続して4セットにまとめ、図面3の構成を用いて4セットを並列接続し一ブロックとして、2ブロックを2段に直列接続したものである。
すなわちこれは、8ユニットを並列接続してトルク変動が極めて小さい合成力を得てから、それを幾段にも直列接続して増殖し、質の高い平滑な大動力を創成するための用法である。
又、1段目の入力方法は図面3の構成を用いる代わりに小型の同期電動機等を4台用いて、4つのセットの入力軸に各々1台ずつ取り付けて分散入力しても良い。(角速度が同期していれば問題ない。)
比較的大きな入力を要するので、単独で用いるより図面9と併用して軸(25)の出力を軸(26)に供給して用いるのが理想的である。
図面10では8ユニットを一ブロックとしているがもっと多くのユニット数(4の倍数が良い。)を一ブロックにして並列接続することによりもっと高精度に平滑化された合成力を得ることも可能である。
直列接続の段数も、もっと多くの段数を重ねることによって更に大きく増殖された動力を得ることができる。
1段目の入力軸に与えられたトルクを8とすると、各セットには8/4=2のトルクが、各ユニットには2/2=1のトルクが分配される。
360°/8ユニット=45°であるから、各ユニットのクランク回転角θの初期設定を45°間隔でずらせばよい。
図面10ではユニット▲1▼とユニット▲3▼を組み合わせてセットにしているが、これは各セットごとのバランスを考慮した結果で、順序立ててユニット▲1▼とユニット▲2▼でセットにしても、それは任意である。
基本的には▲1▼から▲8▼迄45°間隔になっていることが重要である。
ここでも初めに、入力トルク(TD)=1として、クランク回転角θごとの出力トルク(TB)=N×FY+PXを1°きざみに0°から360°迄、予め計算して表にしておく。
そうして、ユニット▲1▼が0°のとき、ユニット▲2▼は45°、・・・・ユニット▲8▼は315°であるから、ユニット▲1▼から▲8▼迄の出力トルク(TB)の和を求めて表にする。
ユニット▲1▼が基準なのでユニット▲1▼で代表させて、
ユニット▲1▼が5°のときの合成トルク=23.998で最小トルク、
ユニット▲1▼が21°のときの合成トルク=24.002で最大トルク、
この最小、最大トルクの範囲内で周期的に変動している。
変動幅=最大−最小=0.004、増殖倍数=24÷8=3倍である。
直列接続で2段になっているので、軸(27)では増殖倍数=3×3=9倍である。
図面9と図面10を併用した場合は、軸(25)の出力30.517KWを軸(26)に入力して、諸損失分517Wを差し引いても30KWは正味入力である。
出力軸(27)では、30KW×9倍=270KWの出力を得る。
故に、入力40Wが270KWに増殖したことになる。
270KW÷40W=6750倍である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下、発明の実施の形態について説明する。
イ)図面11は図面9の入力軸(17)にモーターを設置し出力軸(25)に発電機を設置して、電力を継続して得るための実施形態である。
開閉器(28)を閉じるとバッテリーからモーターに電流が流れてモーターが起動し、装置は稼働する。
発電機で発電された電力は、電圧・電流調整・逆流防止・交流・直流交換等の制御を行うコントロールシステムを介して開閉器(29)を経由して負荷に供給し、一部はバッテリー及びモーターに環流させて継続的な運転を可能にする。
且つ、モーターの角速度をコントロールして、発電量を調整する。
ロ)図面10の入力軸(26)にモーターを設置し、出力軸(27)に発電機を設置して、図面11の開閉器(29)からの電力を軸(26)に設置したモーターに供給して、出力軸(27)に設置した発電機を稼働させて、より大きな電力を得る。
ハ)図面10の入力軸(26)にモーターを設置して、図面11の開閉器(29)からの電力をモーターに供給して装置を稼働させ、出力軸(27)からは機械力(回転力)を取り出す。
ニ)図面9の入力軸(17)に足踏みペダル又は手動ハンドルを用いて人力を入力し、出力軸(25)から機械力(回転力)を取り出す。
本発明は以上のような構成で、その用途は広範に渡り、各種機械の動力源として利用できる。
特に実施の形態(イ)と(ロ)は、家庭や事業所での発電設備として必要な所で、必要な時に、必要な量の電力を供給できる。
実施の形態(ハ)は、家庭電機製品や各種機器に組み込むことによってコードレス化が計れる。
実施の形態(ニ)は、自転車、車椅子、昇降作業台、ジャッキ、万力等に利用できる。
【発明の効果】
【0006】
○動力及び電力を得るために、燃料と称するものは一切使用しないので、燃料代は掛からない、煙りも出ない、有害物質も発生しない。
○従来のような発電所なる大掛かりな施設は不用になり、遠距離送電や屋外送電も無くなるので、送電線に起因する事故や電車の架線事故は無くなる。
○いつでも、どこでも、必要なだけ稼働させることができるので無駄がなく、災害にも強く、地域全体が停電するなどということは無くなる。
○簡便に安価な電気エネルギーが、ふんだんに使えるようになるので少なくとも家庭用のガス・石油類は原則不用になり、それに基づく災害が無くなる。
○農業・工業・運輸業等のエネルギー多消費型業種のコストが低下するので物価が下がり生活が楽になる。
○孤島、山奥、等人里離れた処と都市部との電力格差が解消する。
○自動車から、排気ガス・排熱・膨張音が無くなり環境が良くなる。
○大気汚染や騒音による障害が減少する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の正面図(I)
【図2】本発明の正面図(II)
【図3】本発明の正面図(III)
【図4】本発明の側面断面図
【図5】力の作用関係を表わす線図
【図6】力の作用関係を表わす線図
【図7】力の作用関係を表わす線図
【図8】力の作用関係を表わす線図
【図9】トルクの増殖を目的とする構成の線図
【図10】トルクの平滑化を目的とする構成の線図
【図11】本発明の実施の形態(イ)の構成図
【符号の説明】
(1)固定軸
(2)入力軸
(3)出力軸
(4)クランクピン
(5)軸ピン
(6)クランクピン
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力又は電磁力によって創成された、極小さな力、小動力を「種」にして、その種を元手にして、幾百倍、幾千倍に増殖することを第一義としているが、大動力を小動力に減少することもできる動力創成並びに伝達技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
動力を創り出す従来の主な技術には、
内燃機関、ガスタービン、水車、風車等があり歯車、チェーン、ベルト等を介して使用している。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術には次のような問題点がある。
ア)内燃機関は燃料と称する石油を初めとする諸物質と空気の混合物を燃焼させるため、排気の中には人体及び環境に悪影響を及ぼす物質が含まれている。
且つ、燃料を入手するための経済的負担は重い。
イ)ガスタービンは主に発電所等で発電機を稼動する為の動力源として用いられているが、石油やウラン等の鉱物資源を燃焼させたり、核反応によって発生する有害物質に悩まされているのと、燃料入手の為の経済的負担が重いのは内燃機関と同様である。
また、装置が大掛かりなのと、危険負担が大なために立地条件も限られる。
ウ)水車は水の持つ位置エネルギーを利用するので、気象条件、立地条件に限りがある。
エ)風車も風と称する気圧の差による空気の移動、すなわち大気の持つ位置エネルギーの利用であり、気象条件に左右され、立地条件が限られ、信頼性に欠ける。
オ)従来の技術はいずれも、ある物質の持つエネルギーを異種形態のエネルギーに変換するというエネルギー変換によって動力を創成し、歯車、チェーン、ベルト等を介して利用しているが、その過程に於て損失が多く非効率な手段である。
カ)社会情勢の動向によっては安定的なエネルギー源の供給が損われる可能性があり、この不安定要因を無害化すべく方策を講じることは、我が日本にとって重要である。
本発明はこれらの問題点を解決するためになされたものであり特に脱石油、脱原子力を主願になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
基本構成は、固定軸、入力用クランク軸、出力用クランク軸、菱形リンク、軸受、フレーム兼ケーシングから成っている。
最初に固定軸(1)を設けたら、固定軸から寸法Sの位置にクランク半径Rのクランク軸(2)を設け、次に固定軸とクランク軸(2)の軸芯を結ぶ線の延長上で、寸法SのN倍=NSの位置にクランク半径がRのN倍=NRのクランク軸を一つ又は複数設ける。
(図面ではスペースの都合で、N=3迄しかないが符号7(N=2)の位置にもクランク軸を設けることができるし、Nをもっと多くとればもっと多くのクランク軸を設けることができる。)
次に菱形リンクの端から数えて一つ目の菱形の片方の軸ピン穴を固定軸に、もう片方の軸ピン穴をクランク軸(2)のクランクピン(4)に装着し、最後N番目の菱形の終端の軸ピン穴をクランク軸(3)のクランクピン(6)に装着する。
菱形リンクは小さく軽くが基本である。
菱形の数は、図面1の構成では倍数Nと同数、図面2の構成ではN+1が基本である。
図面3の構成では左右の数が同じであればよい。
菱形リンクは入力用クランク軸のクランクピンの力と変位を正確に出力用クランク軸のクランクピンに伝達するのが役目である。
菱形の中心(1、4、5、6)を結ぶ線は一直線になり、この直線によって分割形成される全ての三角形は左右対称であり合同である。
つまり、各機素を連結する軸ピン用穴ピッチは全て同一寸法である。
故に、(1)と(4)の芯間距離をAとすれば(図面5)(1)と(6)の芯間距離はAのN倍=NAである。
(このAはクランク回転角θの関数であるから周期的に変化する。)
次に任意のクランク軸に回転力を与えると、菱形リンクが伸縮運動及び振り子運動を行ない、伝達経路となって、他のクランク軸も回転する。
ここで円滑な回転を伝えるための必要条件は、
サ)全てのクランク軸のクランク回転角θは常時一致していなければならない。
ということは、
各クランク軸の回転中心とクランクピンの芯を結ぶ線分は常時平行でなければならない。
シ)(1)と(4)と(5)と(6)の芯を結ぶ線は常時一直線になっていなければならない。
ス)前記サ)、シ)の条件を満足するには、三角形(1、2、4)と三角形(1、7、5)と三角形(1、3、6)は常時相似形を成していなければならない。
故に、NR/R=NS/S=NA/Aの関係が成り立つ。
これが円滑な回転を伝えるための必要不可欠な基本原則である。
そして、何れのクランク軸を入力用に、又出力用にするかは任意であるが、比較小さいクランク半径の方を入力用に、比較大きい方を出力用にした場合にはトルクを増殖し、その逆の場合はトルクを減少する。
又、入力用と出力用のクランク半径が等しい場合は、増殖も減少もしない。
また、図面1と図面2は固定軸を設ける位置が、クランク軸(2)とクランク軸(3)の軸間距離を外分するか内分するかの違いであって基本的な構成の代表として示したものである。
どちらも任意のクランク軸に与えられた回転方向、角速度は変えることなく、トルクのみを変化させて動力を増殖又は減少して他のクランク軸に伝達する機能を有する構成である。
図面3は内分方式で、それも等分の位置(N=1)に固定軸を設けたもので、どちらを入力用にして、どちらを出力用にしても、与えられたトルク、回転方向、角速度はどれも変化しない。
且つ、クランク回転角による周期的なトルク変動もなく、安定した平滑な動力を伝達する機能を有する構成である。
動力を分配したり、合成するとき、また単に一定動力を伝達する場合等に用いる。
以下、図面1の基本構成を基に実際的な説明をする。
クランク軸(2)を入力軸、クランク軸(3)を出力軸と定め、回転方向は時計廻り、クランクピン(4)が固定軸と入力軸の間にあって、それぞれの芯が一直線に並んだときを、クランク回転角θ=0°とする。
又、図面5の線図に示されている、力の働く向きを表わす矢印は、一瞬間の状態であり、クランク回転により周期的に変化する。
さて、入力軸に与えられたトルク(TD)は、
トルク(T)=力(f)×距離(R)の法則により、入力軸(2)とクランクピン(4)の芯を結ぶ線分(2、4)に直角に働く力(f)をクランクピン(4)に生み出し、菱形リンクをクランクピン(4)で引掛けて運動させる。
力(f)は分力(F)と(P)に分かれて作用する。
分力(F)は、固定軸(1)と出力軸のクランクピン(6)の芯を結ぶ一直線上に生じて菱形リンクを伸縮運動させる。
分力(P)は、固定軸(1)と出力軸のクランクピン(6)の芯を結ぶ一直線に直角の向きに生じて、菱形リンクを固定軸(1)を支点に振れ角λ(ラムダ)で振り子運動させる。(図面7)
分力(F)と(P)はクランク回転角θの関数であり周期的に変動する。(図面7)、(図面8)
fとFの成す狭角をδ(デルタ)とすれば(図面6)
F=fcosδ、P=fsinδである。
θ=0°では P=f(最大)、F=0(最小)である。
クランクが回転する連れ菱形リンクは伸張し、Pは除々に減少し、Fは除々に増大する。
固定軸(1)とクランクピン(4)を結ぶ線とクランク半径Rである線分(2、4)が直角を成すときのクランク回転角θ=θZとすればθ=θZではP=0(最小)、F=f(最大)になる。
更にクランクが回転するに連れFは除々に減少し、Pは向きが逆になって除々に増大する。
θ=180°では再びP=f、F=0になる。
θ=180°を過ぎると菱形リンクは収縮し、Pは除々に減少しFは向きが逆になって除々に増大し、θ=(360°−θZ)で再びF=f、P=0になる。
更に回転すると、Fは除々に減少し、Pは向きが再び逆になって(元の向きになって)除々に増大し、θ=0°に戻って、P=f、F=0になる、この繰り返しである。
次に、入力軸のクランクピン(4)に生じた分力(F)と(P)が出力軸のクランクピン(6)に伝達される仕組みを説明する。
分力(F)は更に分力(M)に分けられる。
この分力(M)がリンク(4、8)とリンク(4、9)を介してリンク(1、8)とリンク(1、9)の軸ピン(8)と(9)を引張って又は押して固定軸(1)の廻りに、それぞれ別個にトルク(TM)を生む。
このトルク(TM)の大きさはリンク(4、8)とリンク(4、9)に固定軸(1)から下ろした垂線の交点を(14)とし、(1)と(14)の距離をCとすればトルク(TM)=力(M)×距離(C)である。
このトルク(TM)によって軸ピン(8)と(9)の芯間距離を伸縮する力(Q)が生じる。(図面5)
そして力(Q)の大きさはQ=TM÷A/2である。
こうして生じた力(Q)が次々と隣接リンクに伝播して行く。
軸ピン(8)と(9)に生じた力(Q)は、
次にリンク(8、4、10)とリンク(9、4、11)をクランクピン(4)を支点にして回転させ軸ピン(10)と(11)にも全く同じ大きさの偶力(Q)を生じさせる。
更に次のリンク(10、5、12)とリンク(11、5、13)を軸ピン(5)を支点にして回転させ軸ピン(12)と(13)にも全く同じ大きさの偶力(Q)を生じさせる。
最後にリンク(12、6)とリンク(13、6)をクランクピン(6)を支点にして回転させると同時にクランクピン(4)と軸ピン(5)の間にもクランクピン(4)を支点に軸ピン(5)との芯間距離を伸縮させる力(F)を軸ピン(5)にも生じさせると同時に軸ピン(5)とクランクピン(6)の間にも軸ピン(5)を支点にクランクピン(6)との芯間距離を伸縮させる力(F)をクランクピン(6)にも生じさせる。
分力(P)は、菱形リンクを固定軸(1)と出力軸のクランクピン(6)を結ぶ一本の棒と見なせば、固定軸(1)を支点、クランクピン(4)を力点、クランクピン(6)を作用点とした一本のてこである。
故に、力の釣り合いから
A:NA=P/N:Pの式が成り立つ。(図面5)
すなわち、分力(P)は出力軸のクランクピン(6)に於ては1/Nに減ってしまうが、分力(F)と協働してクランク軸(3)を回転させる。
次に、入力軸に与えられたトルク(TD)と出力軸から取り出せるトルク(TB)の関係を説明する。
入力軸に於ては(図面6)
固定軸(1)とクランクピン(6)の芯を結ぶ一直線上に入力軸(2)から下ろした垂線の支点を(15)とし、(4)と(15)の距離をX、(2)と(15)の距離をYとすれば分力(F)を生むために使われたトルク(TF)=力(F)×距離(Y)分力(P)を生むために使われたトルク(TP)=力(P)×距離(X)このトルク(TF)と(TP)は入力軸に与えられたトルク(TD)を分け合っているに過ぎないので、TF+TP=1=TDである。
すなわち、入力軸に於てはクランク回転角による周期的なトルク変動は無く、常時一定トルク(TD)である。
出力軸に於ては、
固定軸(1)とクランクピン(6)の芯を結ぶ一直線の延長上に出力軸(3)から下ろした垂線の交点を(16)とすれば、三角形(2、4、15)と三角形(3、6、16)は相似形なので
(6)と(16)の距離はXのN倍=NX
(3)と(16)の距離はYのN倍=NYであるから、
分力(F)により出力軸に生じるトルク(TFB)=力(F)×距離(NY)
分力(P)により出力軸に生じるトルク(TPB)=力(P/N)×距離(NX)
これを書き直すと、
TFB=N×FY、TPB=P/N×NX=PXとなり
出力軸に生じる総トルク(TB)は、
TB=TFB+TPB=N×FY+PXである。
つまり、分力(P)によるトルクは増えもしなければ減りもしないが、分力(F)によるトルクはN倍に増える。
故に、クランク回転角θ=0°と180°では、P=最大、F=0なのでTB=PX=TDとなり、これが最小トルクである。(図面(8)
θ=θZと(360°−θZ)のときは、F=最大、P=0なのでTB=N×FYとなり、これが最大トルクである。(図面7)
出力軸に於てはこの最小トルクと最大トルクの範囲内で周期的なトルク変動がある。
が、倍数N=1の場合(図面3)では
最小トルクは、TB=PX=TD
最大トルクも TB=FY=TDとなるので、
トルク変動は起きないで、常時一定トルク(TD)である。
次に、この周期的に変動するトルクを平滑化したり、増殖するための実際的な方法を説明する。
基本構成一式を以って一ユニットとし、複数ユニットを直列接続又は並列接続に接続して用いる。
接続の仕方は、軸を直結する方式か図面3の構成を用いて連結するのが最良であるが歯車、チエーン等を用いてもよい。
各ユニットの配置の仕方は平面的、立体的、線形、方形、多角形、円形、放射円形等々任意である。
直列接続は増殖を目的とする。
1段目の出力軸に2段目の入力軸を接続し、2段目の出力軸に3段目の入力軸を接続するというようにして順次重ねて行く方法である。
クランク回転角は全ユニット同じになるように設定する。
すなわち1段目のクランク回転角θ=0°ならばその系列では2段目も、‥‥幾段目も全てθ=0°に初期設定を行う。
従って、トルクはべき乗倍に増えて行く。
今、各ユニットの倍数N=5とし、1段目の入力軸トルク(T0)=1とすると、1段目の出力軸トルク(T1)=1×5=5となり、2段目の入力軸トルクも同じT1で5である。
2段目の出力軸トルク(T2)=T1×5=5×5で25である。
3段目の入力軸トルクもT2で25である。
3段目の出力軸トルク(T3)=T2×5=25×5で125ということである。
並列接続は平滑化を目的とする。
各ユニットの入力軸は入力軸同志、出力軸は出力軸同志で接続する方法で、得られるトルクは各ユニットのトルクの総和である。
増殖率は低下するがトルク変動幅は実用上支障のない、ほぼ0と見なせる程に迄、平滑化することも可能である。
クランク回転角は、各々ずらして初期設定を行う。
ユニット数が2個の場合は、
クランク回転角を90°ずらすのが最良である。
ユニット▲1▼はθ=0°、ユニット▲2▼はθ=90°の状態で入力軸は入力軸、出力軸は出力軸同志で接続する。
ユニット数が3個以上の場合は、
クランク回転角を、360°÷ユニット数、間隔でずらす。
今、ユニット数8個とすると、360°÷8=45°である。
各ユニットに▲1▼番から▲8▼番迄の番号を順番に付けて、ユニット▲1▼はθ=0°、ユニット▲2▼はθ=45°。・・・・・・最後ユニット▲8▼はθ=315°ということである。
そうして、8個のユニット全ての入力軸は入力軸同志で、出力軸は出力軸同志で、図面3の構成で連結し、任意の一つのユニットの入力軸に入力トルク(TD)を与えると、各ユニットの入力トルクはTD/8となり、全ユニットに同じトルクを分配する。
出力トルクはクランク回転角θの関数であるから、各ユニットの出力トルク(TB)はそれぞれ異るので、その総和である合成トルクは変動幅が極めて小さく平滑化されており、任意の一つのユニットの出力軸から取り出すことができる。
直列接続と並列接続を適宜組み合わせて用いると効果は大である。以下に、その用法を示す。
図面9は、倍数N=5のユニット16個を用いて、軸を直結する方式で、ユニット▲1▼▲3▼▲5▼▲7▼▲9▼▲11▼▲13▼▲15▼をクランク角度を揃えて8段に直列接続し、同じ様にしてユニット▲2▼▲4▼▲6▼▲8▼▲10▼▲12▼▲14▼▲16▼を8段に直列接続したものを更に、ユニット▲1▼と▲2▼及び▲5▼と▲6▼及び▲9▼と▲10▼及び▲13▼と▲14▼及び▲15▼と▲16▼をクランク角度を90°ずらして並列接続したものである。(ユニット▲1▼▲5▼▲9▼▲13▼▲15▼がクランク回転角θ=0°のときユニット▲2▼▲6▼▲10▼▲14▼▲16▼がθ=90°ということである。)
つまり、これは基本的には2ユニットを並列接続したものを更に幾段にも直列接続して用いる用法である。
この用法は平滑化と増殖を同時に行うことができるが主目的は増殖にある。
まず最初に2ユニットを並列接続して一組にするのは最低トルクを引き上げる狙いからである。
使用するユニット数は比較的少なくて済み、入力は小さくてよく経済的である。
1段目の入力軸(17)に与えられたトルクを2とした場合、ユニット▲1▼、ユニット▲2▼各々の入力トルク(TD)は半分の1となる。
ここで初めに、入力トルク(TD)=1としてクランク回転角θごとの出力トルク(TB)=N×FY+PXを1°きざみに0°から360°迄予め計算して表にしておく。
そうして、ユニット▲1▼がθ=0°のときユニット▲2▼はθ=90°であるから0°と90°のトルク(TB)の和、1°と91°のトルクの和、・・・・・180°と270°のトルクの和、というようにしてユニット▲1▼と▲2▼のトルクの和を求めて表にすると、ユニット▲1▼がθ=63°でユニット▲2▼がθ=153°のときの合成トルクが6.24で最高トルク、ユニット▲1▼がθ=135°でユニット▲2▼がθ=225°のときの合成トルクは5.16で最低トルクである。
故に、1段目の出力軸であり2段目の入力軸である、軸(18)の軸トルクは5.16〜6.24の範囲で周期的に変動している。
ここ、軸(17)と軸(18)の間で幾倍に増えたかを見てみると、総入力2に対して合成出力5.16〜6.24であるから、合成出力÷総入力=増殖倍数なので、2で割ると、2.58倍〜3.12倍に増える。
しかし実際に利用するのは、2.5倍迄として、それ以上の部分は切り捨ててしまう。(又は軸にフライホイールを設けて有効利用するもよい。)
すると、ユニット▲3▼と▲4▼の関係もユニット▲1▼と▲2▼の関係と全く同じ関係に並列接続されているので、2段目の軸(18)と軸(19)の間でも2.5倍に増えて、軸(19)の軸トルクは2.5倍×2.5倍=6.25倍、
同じようにして、
3段目の軸(20)の軸トルクは6.25×2.5=15.625倍、
4段目の軸(21)の軸トルクは15.625×2.5=39.0625倍、
5段目の軸(22)の軸トルクは39.0625×2.5=97.65625倍、
6段目の軸(23)の軸トルクは97.65625×2.5=244.14062倍、
7段目の軸(24)の軸トルクは244.14062×2.5=610.35155倍、
8段目の軸(25)の軸トルクは610.35155×2.5=1525.8788倍。
ということは、単純計算で、
40W入力して、その内、装置の慣性モーメントやその他の諸損失で消費される分を20Wとすれば、残り20Wは正味入力であるから、出力軸(25)で負荷を稼働できる動力は、
20W×1525.8788倍=30517.576W→30.517KWとなる。
図面10は倍数N=5のユニット8つを2つずつ軸を直結する方式で並列接続して4セットにまとめ、図面3の構成を用いて4セットを並列接続し一ブロックとして、2ブロックを2段に直列接続したものである。
すなわちこれは、8ユニットを並列接続してトルク変動が極めて小さい合成力を得てから、それを幾段にも直列接続して増殖し、質の高い平滑な大動力を創成するための用法である。
又、1段目の入力方法は図面3の構成を用いる代わりに小型の同期電動機等を4台用いて、4つのセットの入力軸に各々1台ずつ取り付けて分散入力しても良い。(角速度が同期していれば問題ない。)
比較的大きな入力を要するので、単独で用いるより図面9と併用して軸(25)の出力を軸(26)に供給して用いるのが理想的である。
図面10では8ユニットを一ブロックとしているがもっと多くのユニット数(4の倍数が良い。)を一ブロックにして並列接続することによりもっと高精度に平滑化された合成力を得ることも可能である。
直列接続の段数も、もっと多くの段数を重ねることによって更に大きく増殖された動力を得ることができる。
1段目の入力軸に与えられたトルクを8とすると、各セットには8/4=2のトルクが、各ユニットには2/2=1のトルクが分配される。
360°/8ユニット=45°であるから、各ユニットのクランク回転角θの初期設定を45°間隔でずらせばよい。
図面10ではユニット▲1▼とユニット▲3▼を組み合わせてセットにしているが、これは各セットごとのバランスを考慮した結果で、順序立ててユニット▲1▼とユニット▲2▼でセットにしても、それは任意である。
基本的には▲1▼から▲8▼迄45°間隔になっていることが重要である。
ここでも初めに、入力トルク(TD)=1として、クランク回転角θごとの出力トルク(TB)=N×FY+PXを1°きざみに0°から360°迄、予め計算して表にしておく。
そうして、ユニット▲1▼が0°のとき、ユニット▲2▼は45°、・・・・ユニット▲8▼は315°であるから、ユニット▲1▼から▲8▼迄の出力トルク(TB)の和を求めて表にする。
ユニット▲1▼が基準なのでユニット▲1▼で代表させて、
ユニット▲1▼が5°のときの合成トルク=23.998で最小トルク、
ユニット▲1▼が21°のときの合成トルク=24.002で最大トルク、
この最小、最大トルクの範囲内で周期的に変動している。
変動幅=最大−最小=0.004、増殖倍数=24÷8=3倍である。
直列接続で2段になっているので、軸(27)では増殖倍数=3×3=9倍である。
図面9と図面10を併用した場合は、軸(25)の出力30.517KWを軸(26)に入力して、諸損失分517Wを差し引いても30KWは正味入力である。
出力軸(27)では、30KW×9倍=270KWの出力を得る。
故に、入力40Wが270KWに増殖したことになる。
270KW÷40W=6750倍である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下、発明の実施の形態について説明する。
イ)図面11は図面9の入力軸(17)にモーターを設置し出力軸(25)に発電機を設置して、電力を継続して得るための実施形態である。
開閉器(28)を閉じるとバッテリーからモーターに電流が流れてモーターが起動し、装置は稼働する。
発電機で発電された電力は、電圧・電流調整・逆流防止・交流・直流交換等の制御を行うコントロールシステムを介して開閉器(29)を経由して負荷に供給し、一部はバッテリー及びモーターに環流させて継続的な運転を可能にする。
且つ、モーターの角速度をコントロールして、発電量を調整する。
ロ)図面10の入力軸(26)にモーターを設置し、出力軸(27)に発電機を設置して、図面11の開閉器(29)からの電力を軸(26)に設置したモーターに供給して、出力軸(27)に設置した発電機を稼働させて、より大きな電力を得る。
ハ)図面10の入力軸(26)にモーターを設置して、図面11の開閉器(29)からの電力をモーターに供給して装置を稼働させ、出力軸(27)からは機械力(回転力)を取り出す。
ニ)図面9の入力軸(17)に足踏みペダル又は手動ハンドルを用いて人力を入力し、出力軸(25)から機械力(回転力)を取り出す。
本発明は以上のような構成で、その用途は広範に渡り、各種機械の動力源として利用できる。
特に実施の形態(イ)と(ロ)は、家庭や事業所での発電設備として必要な所で、必要な時に、必要な量の電力を供給できる。
実施の形態(ハ)は、家庭電機製品や各種機器に組み込むことによってコードレス化が計れる。
実施の形態(ニ)は、自転車、車椅子、昇降作業台、ジャッキ、万力等に利用できる。
【発明の効果】
【0006】
○動力及び電力を得るために、燃料と称するものは一切使用しないので、燃料代は掛からない、煙りも出ない、有害物質も発生しない。
○従来のような発電所なる大掛かりな施設は不用になり、遠距離送電や屋外送電も無くなるので、送電線に起因する事故や電車の架線事故は無くなる。
○いつでも、どこでも、必要なだけ稼働させることができるので無駄がなく、災害にも強く、地域全体が停電するなどということは無くなる。
○簡便に安価な電気エネルギーが、ふんだんに使えるようになるので少なくとも家庭用のガス・石油類は原則不用になり、それに基づく災害が無くなる。
○農業・工業・運輸業等のエネルギー多消費型業種のコストが低下するので物価が下がり生活が楽になる。
○孤島、山奥、等人里離れた処と都市部との電力格差が解消する。
○自動車から、排気ガス・排熱・膨張音が無くなり環境が良くなる。
○大気汚染や騒音による障害が減少する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の正面図(I)
【図2】本発明の正面図(II)
【図3】本発明の正面図(III)
【図4】本発明の側面断面図
【図5】力の作用関係を表わす線図
【図6】力の作用関係を表わす線図
【図7】力の作用関係を表わす線図
【図8】力の作用関係を表わす線図
【図9】トルクの増殖を目的とする構成の線図
【図10】トルクの平滑化を目的とする構成の線図
【図11】本発明の実施の形態(イ)の構成図
【符号の説明】
(1)固定軸
(2)入力軸
(3)出力軸
(4)クランクピン
(5)軸ピン
(6)クランクピン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一直線上に並べた一つの固定軸と複数のクランク軸を菱形のリンクで連結し、任意のクランク軸に動力を与えるとその他のクランク軸からは、増殖又は減少又は増殖も減少もしない動力を取り出すことができる動力増殖装置。
【請求項1】
一直線上に並べた一つの固定軸と複数のクランク軸を菱形のリンクで連結し、任意のクランク軸に動力を与えるとその他のクランク軸からは、増殖又は減少又は増殖も減少もしない動力を取り出すことができる動力増殖装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−74675(P2009−74675A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284373(P2007−284373)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(507361206)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(507361206)
【Fターム(参考)】
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