説明

動物外部寄生虫卵の孵化阻害組成物

【課題】優れた効力を有する動物外部寄生虫卵の孵化阻害組成物を提供する。
【解決手段】4−フェノキシフェニル 2−(2−ピリジルオキシ)プロピル エーテルと、(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジンとを含有する組成物は、動物外部寄生虫卵に対する優れた孵化阻害効果を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の外部寄生虫卵の孵化阻害組成物および孵化阻害方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動物に寄生する外部寄生虫を防除するために多くの化合物が開発され実用に供されてきた(例えば、非特許文献1参照。)。たとえば、フェニルピラゾール系化合物がノミの成虫に防除効力を有することが知られている(例えば、非特許文献2参照。)。しかしながら、これらの化合物により動物外部寄生虫の成虫及び幼虫を防除しても、動物外部寄生虫により動物体表に産み落とされていた卵が後に孵化・発育し、再び動物に寄生する場合があり、動物外部寄生虫の増殖を十分に抑制することが困難な場合がある。
一方、キチン合成阻害剤等がノミの卵に対して孵化阻害活性を示すことが知られているが、これらの化合物は必ずしも十分な効力を示さない場合もあるため、動物外部寄生虫の卵に優れた孵化阻害効力を有する組成物の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】ペスティサイドマニュアル(The Pesticide Manual)Fourteenth Edition(2006)、British Crop Protection Council(ISBN:1−901396−14−2)
【非特許文献2】Effect of topical application of fipronil in cats with flea allergic dermatitis.J. Am. Vet. Med. Assoc. 221, 254−257, Medleau, L. et al. (2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、優れた孵化阻害効力を有する動物外部寄生虫の孵化阻害組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記の課題を解決するため、鋭意検討した結果、4−フェノキシフェニル 2−(2−ピリジルオキシ)プロピル エーテルと、(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジンとを含有する組成物が、動物外部寄生虫の卵に対して優れた孵化阻害効力を有することを見出し、本発明に至った。
【0006】
すなわち、本発明は以下のものである。
[1]4−フェノキシフェニル 2−(2−ピリジルオキシ)プロピル エーテルと、(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジンとを含有する動物外部寄生虫卵の孵化阻害組成物。
[2][1]記載の組成物の有効量を、動物に投与することを特徴とする動物外部寄生虫卵の孵化阻害方法。
[3]動物外部寄生虫卵の孵化を阻害するための、[1]記載の組成物の使用。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、動物外部寄生虫卵の孵化を阻害することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の動物外部寄生虫卵の孵化阻害組成物(以下、本発明組成物と記す。)は、4−フェノキシフェニル 2−(2−ピリジルオキシ)プロピル エーテル(以下、本化合物Aと記す。)と、(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(以下、本化合物Bと記す。)とを含有する。
【0009】
本化合物Aは、特公平5−64140号公報に記載された化合物(一般名:ピリプロキシフェン)であり、例えば該公報に記載された方法に準じて製造することができる。
本化合物Bは、特許第2546003号公報に記載された化合物(一般名:クロチアニジン)であり、例えば該特許公報に記載された方法に準じて製造することができる。
【0010】
本発明組成物において、本化合物Aと、本化合物Bとの重量比は、通常1:1〜1:1000000、好ましくは1:10〜1:1000である。
【0011】
本発明により卵の孵化が阻害される動物外部寄生虫としては、例えば次のものが挙げられる。
ノミ目害虫としてはヒトノミ(Pulex irritans)等のPulex類、ネコノミ(Ctenocephalides felis)、イヌノミ(Ctenocephalides canis)等のCtenocephalides類、ケオプスネズミノミ(Xenopsylla cheopis)等のXenopsylla類、スナノミ(Tunga penetrans)等のTunga類、ニワトリノミ(Echidnophaga gallinacea)等のEchidnophaga類、ヨーロッパネズミノミ(Nosopsyllus fasciatus)等のNosopsyllus類等が挙げられ、シラミ目害虫としてはアタマジラミ(Pediculus humanus capitis)等のPediculus類、ケジラミ(Pthirus pubis)等のPhtirus類、ウシジラミ(Haematopinus eurysternus)、ブタジラミ(Haematopinus suis)等のHaematopinus類、ヒツジジラミ(Dalmalinia ovis)、ダマリニア・ボビス(Damalinia bovis)等のDamalinia類、ウシホソジラミ(Linognathus vituli)、ヒツジ体幹寄生ホソジラミ(Linognathus ovillus)等のLinognathus類、ケブカウシジラミ(Solenopotes capillatus)等のSolenopotes類等が挙げられ、ハジラミ目害虫としてはニワトリハジラミ(Menopon gallinae)等のMenopon類、トリメノポン類(Trimenopon spp.)、トリノトン類(Trinoton spp.)、イヌハジラミ(Trichodectes canis)等のTrichodectes類、ネコハジラミ(Felicola subrostratus)等のFelicola類、ウシハジラミ(Bovicola bovis)等のBovicola類、ニワトリオオハジラミ(Menacanthus stramineus)等のMenacanthus類、ウェルネッキエラ類(Werneckiella spp.)、レピケントロン類(Lepikentron spp.)等が挙げられ、半翅目害虫としてはトコジラミ(Cimex lectularius)、ネッタイトコジラミ(Cimex hemipterus)等のCimix類、レジュヴァイアス・セニリス(Reduvius senilis)等のReduvius類、アリラス・クリタツス(Arilus critatus)等のArilus類、ロドニウス・プロリクス(Rhodnius prolixus)等のRhodnius 類、オオサシガメ(Triatoma rubrofasciata)等のTriatoma類、パンストロンギルス類(Panstrongylus ssp.)等が挙げられ、ダニ目害虫としてはローンスターチック(Amblyomma americanum)、アンブリオンマ・マクラタム(Ambryomma maculatum)等のAmblyomma類、ウシマダニ(Boophilus microplus)、ブーフィラス・アンヌラタス(Boophilus annulatus)等のBoophilus類、アメリカンドックチック(Dermacentor variabilis)、タイワンカクマダニ(Dermacentor taiwanicus)、デルマセントル・アンデルソニ(Dermacentor andersoni)等の Dermacentor類、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)、ヤマトチマダニ(Haemaphysalis flava)、ツリガネチマダニ(Haemaphysalis campanulata)等のHaemaphysalis類、ヤマトマダニ(Ixodes ovatus)、シュルツマダニ(Ixodes persulcatus)、ブラックレッグドチック(Ixodes scapularis)、西部クロアシマダニ(Ixodes pacificus)、イキソデス・ホロシクラス(Ixodes holocyclus)等のIxodes類、クリイロコイタマダニ(Rhipicephalus sanguineus)、リピセファラス・アペンディキュレイタス(Rhipicephalus appendiculatus)等のRhipicephalus 類、ナガヒメダニ(Argas persicus)等のArgas類、オルニトドルス・ヘルムシ(Ornithodorus hermsi)、オルニトドルス・ツリカタ(Ornithodorus turicata)等のOrnithodorus類、ヒツジキュウセンヒゼンダニ(Psoroptes ovis)、ウマキュウセンヒゼンダニ(Psoroptes equi)等のキュウセンヒゼンダニ類、クネミドコプテス・ミュタンス(Knemidocoptes mutans)等のKnemidocoptes類、ネコショウセンコウヒゼンダニ(Notoedres cati)、ネズミショウセンコウヒゼンダニ(Notoedres muris)等のNotoedres類、センコウヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)等のSarcoptes類、ミミヒゼンダニ(Octodectes cynotis)等のOtodectes類、ウサギズツキダニ(Listrophorus gibbus)等のListrophorus類、ショクヒヒゼンダニ類(Chorioptes spp.)、ヒカダニ類(Hypodectes spp.)、プテロリクス類(Pterolichus spp.)、サイトジテス類(Cytodites spp.)、ラミノシオプテス類(Laminosioptes spp.)、ワクモ(Dermanyssus gallinae)等のDermanyssus類、トリサシダニ(Ornithonyssus sylviarum)、イエダニ(Ornithonyssus bacoti)等のOrnithonyssus類、ミツバチヘギイタダニ(Varroa jacobsoni)等のVarroa類、イヌツメダニ(Cheyletiella yasguri)、ネコツメダニ(Cheyletiella blakei)等のCheyletiella類、オルニソケイレチア類(Ornithocheyletia spp.)、イヌニキビダニ(Demodex canis)、ネコニキビダニ(Demodex cati)等のDemodex類、ミオビア類(Myobia spp.)、プソレルガテス類(Psorergates spp.)、アカツツガムシ(Trombicula akamushi)、フトゲツツガムシ(Trombicula pallida)、タテツツガムシ(Trombicula scutellaris)等のTrombicula類が挙げられ、好ましくはノミ目が挙げられる。
【0012】
本発明組成物の投与対象となる動物としては、前記動物外部寄生虫の宿主となり得る動物が挙げられ、通常、家畜やペットとして飼養されている恒温動物および変温動物が挙げられる。恒温動物としては、例えば、哺乳動物としてウシ、スイギュウ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ラクダ、シカ、ファロージカ、トナカイ、ウマ、ロバ、イヌ、ネコ、ウサギ、フェレット、マウス、ラット、ハムスター、リス、サル等が挙げられ、さらには毛皮動物としてミンク、チンチラ、アライグマ等が挙げられ、鳥類としてはニワトリ、ガチョウ、シチメンチョウ、アヒル、ハト、オウム、ウズラ等が挙げられる。変温動物としては、例えば、爬虫類としてはリクガメ、ウミガメ、ミドリガメ、ゼニガメ、トカゲ、イグアナ、カメレオン、ヤモリ、ニシキヘビ、ナミヘビ、コブラ等が挙げられ、魚類としてはマス、コイ、およびウナギのような淡水魚および鹹水魚等が挙げられる。好ましくは恒温動物であり、より好ましくはイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ等の哺乳動物が挙げられる。
【0013】
本発明組成物は、本化合物Aと本化合物Bとの混合物そのものでもよいが、本発明組成物は、通常、本化合物A、本化合物B及び不活性担体を含有する。本発明組成物は、通常、本化合物A、本化合物B及び、液体担体等の不活性担体を混合し、必要に応じて界面活性剤、その他の製剤用補助剤を添加して、皮膚外用剤、経口製剤、注射製剤、坐剤、体内埋め込み型製剤等に製剤化されている。
製剤形態にもよるが、本発明組成物は、本化合物A及び本化合物Bを通常0.001〜99重量%含有する。
【0014】
製剤化の際に用いられる液体担体としては、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノキシエタノール等のアルコールやグリコール類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の酸アミド類、N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドン等のアルキルピロリドン類、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、ミリスチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステル類、γ-ブチロラクトン、炭酸プロピレン、パラフィン油、シリコーンオイル、トリグリセリド、水これらの混合物などが挙げられる。
【0015】
なお、シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、高重合ジメチルシリコーンオイル、環状シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルが挙げられる。
【0016】
界面活性剤としては、例えば非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤が挙げられ、具体的には例えば、以下のものが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステルとしてステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン等が挙げられ、グリセリン脂肪酸エステルとしてステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、ステアリン酸ポリグリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル、オレイン酸ポリグリセリル等が挙げられ、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしてポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリポキシエチレンスチリルフェニルエーテル等が挙げられ、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしてヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられ、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルとしてはテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等が挙げられ、その他としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルフェノールポリグリコールエーテル等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ベタインとしてラウリルベタイン、ステアリルベタイン等が挙げられ、イミダゾリン誘導体としてはジ-ナトリウムN-ラウリル−p−イミノジプロピオネート等が挙げられ、その他としてレシチン等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸塩としてラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等が挙げられ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン等が挙げられ、アルキルベンゼンスルホン酸塩としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが挙げられ、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩としてはジポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ジポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム塩としてセチルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0017】
その他の製剤用補助剤としては、例えば酸化防止剤、着色剤、光安定剤、粘着剤等が挙げられ、具体的には例えば、酸化防止剤としてはBHT、BHA等、着色剤としては、赤色2号(アマランス)、赤色3号(エリスロシン)、黄色4号(タートラジン)、緑色3号(ファストグリーンFCF)、青色1号(ブリリアントブルーFCF)等の食用タール色素等、光安定剤としてはベンゾフェノン系化合物、ノバンチノール酸等、粘着剤としては、ベントナイト、コロイド状ケイ酸、セルロース誘導体、澱粉誘導体、ポリアクリレート、天然ポリマー、アルギン酸塩、ゼラチン等が挙げられる。
【0018】
本発明の動物外部寄生虫卵の孵化阻害方法(以下、本発明阻害方法と記す。)は、本発明組成物の有効量を動物に投与することにより行われる。本発明阻害方法は、本発明組成物を動物に投与することにより、本発明組成物が外部寄生虫の卵に直接、及び/又は、外部寄生虫の成虫を介して卵に間接的に施用され、該卵の孵化を阻害することができる。なお、本発明組成物を動物に投与することにより、動物外部寄生虫の卵を殺卵することもできる。
【0019】
本発明阻害方法は、本発明組成物を宿主動物に経口又は非経口による投与を行うことができる。経口投与法としては、例えば、本発明組成物を経口製剤として、動物に投与する方法が挙げられる。非経口投与法としては、例えば、本発明組成物を皮膚外用剤、注射製剤、坐剤、体内埋め込み型製剤として、動物に投与する方法が挙げられる。
【0020】
本発明組成物を皮膚外用剤として動物に投与する場合は、本発明組成物は、例えばディップ剤、ダスト剤、粉末剤、スプレー剤、シャンプー、液剤、クリーム剤、軟膏剤、パップ剤、または、水中油型もしくは油中水型のエマルジョン剤の形態で用いることができ、スポットオン処理、ポアオン処理、浸漬、噴霧、塗布、入浴、洗浄、摩り込み、散布等により投与することができる。好ましい投与方法としては、スポットオン処理、ポアオン処理が挙げられる。
スポットオン処理とは、通常、宿主動物の頭部から尾部までの皮膚に液状の製剤を滴下または塗布する方法であり、ポアオン処理とは、通常、宿主動物の背中線に沿って液状の製剤を注ぐ方法である。なお、本発明組成物を液状の製剤とする場合は、上記の液体担体を用いることができる。
【0021】
本発明組成物を経口製剤として動物に投与する場合は、本発明組成物は、例えば動物用飼料、動物用飼料用添加剤、動物用飼料プレミックス、丸剤、液剤、ペースト剤、サスペンジョン剤、水剤、ゲル剤、錠剤、チュアブルタブレット、ボーラス剤、およびカプセル剤の形態で用いることができる。なお、本発明組成物を錠剤とする場合は、増量剤、賦形剤、希釈剤等の助剤を用いて成形することができる。かかる助剤としては、具体的には例えば、デンプン、セルロース、スクロース、ラクトース、ホルマリン− カゼイン、改良デンプン、ステアリン酸マグネシウム、燐酸水素カルシウム、高分散珪酸、タルク等が挙げられる。
【0022】
本発明組成物を注射製剤として動物に投与する場合は、反芻胃内注射、筋肉内注射、静脈内注射、または皮下注射により投与することができる。
【0023】
また、本発明組成物を動物に坐剤、または体内埋め込み型製剤として投与することができる。なお、本発明組成物を坐剤として投与する場合は、該坐剤の基剤として、例えば、カカオ脂、ラウリン脂、ポリエチレングリコール、グリセロゼラチン、ステアリン酸ナトリウム、ウィテップゾール、又はこれらの混合物を用いることができる。
【0024】
本発明阻害方法において、本発明組成物の動物への投与量は、通常本化合物Aと本化合物Bとの合計量で、宿主動物の体重1kgあたり、通常0.01〜1000mg、好ましくは1〜100mgである。
【実施例】
【0025】
以下、製剤例及び試験例等により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これ
らの例に限定されるものではない。
まず、本発明組成物の製剤例を示す。
【0026】
製剤例1
本化合物A30mg、本化合物B1mg、デキストリン69g、ジャガイモデンプン20g、動物用粉末飼料(オリエンタル酵母製、CE−2)6g、ゴマ油2g、水2gを混合、混練し、得られた粉末1gを金型に入れ、約8tonの圧力を加えて、錠剤を得る。
【0027】
製剤例2
本化合物A7.2g、本化合物B0.01g、ホスコS−55(丸石製薬株式会社製、C12からC18までの飽和脂肪酸のモノ、ジトリグリセリド混合物)92.79gを100℃下で溶融混和し、坐剤型に注いで、冷却固化して坐薬を得る。
【0028】
製剤例3
本化合物A20g、本化合物B1g、ジエチレングリコールモノエチルエーテル79gを混和し、液剤を得る。
【0029】
次に、本発明組成物が動物外部寄生虫の卵に対して優れた孵化阻害効果を有することを試験例として示す。
【0030】
試験例
本化合物A0.0285mgと、本化合物B28.5mgとをアセトン5mLに溶解し、該アセトン溶液0.2mLを、ろ紙(TOYO No.2;直径3.8cm)の片面に均一に塗布した(ろ紙面積11.3cm2より、本化合物A1mg/m2処理、本化合物B1000mg/m2処理に相当する)。乾燥後、該ろ紙をアルミ皿上に乗せ、該ろ紙上にネコノミ卵20個をろ紙上に乗せた。該アルミ皿をプラスチックシャーレ内に収め、デシケータ内で保管、3日後に孵化したネコノミ卵数を調査し、処理区の孵化率を求めた。なお、無処理のろ紙でも同様の試験を実施し、無処理区の孵化率を求めた。さらに以下の式により、孵化阻害率を算出した。
孵化阻害率(%)=100×(無処理区の孵化率−処理区の孵化率)/(無処理区 の孵化率)
【0031】
その結果、本発明組成物を処理した区では、孵化阻害率100%を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4−フェノキシフェニル 2−(2−ピリジルオキシ)プロピル エーテルと、(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジンとを含有する動物外部寄生虫卵の孵化阻害組成物。
【請求項2】
請求項1記載の組成物の有効量を、動物に投与することを特徴とする動物外部寄生虫卵の孵化阻害方法。
【請求項3】
動物外部寄生虫卵の孵化を阻害するための、請求項1記載の組成物の使用。

【公開番号】特開2012−6842(P2012−6842A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141410(P2010−141410)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】