説明

動画再生方法および動画再生装置

【課題】動画単位が複数連結されているような再生単位において、早送りまたは早戻し再生を行う場合に、目標倍速と実倍速との差が少ない再生方法を提供する。
【解決手段】早送りまたは早戻し再生を行う動画再生方法であって、動画単位が切り替わる際、早送り再生の場合は、既ジャンプ時間として、切り替わる前の動画単位における最後に表示した画像の再生時刻とその動画単位の終端時刻との差分を算出し(S104)、残ジャンプ時間として、既ジャンプ時間算出ステップで算出した既ジャンプ時間を指定倍速に応じたジャンプ時間から引いた値を算出し(S105)、再生開始時刻として、残ジャンプ時間算出ステップで算出した残ジャンプ時間を次の動画単位の先頭時刻に加えた時刻を算出し(S106)、再生開始時刻から動画を再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体等に格納された動画を再生する方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ番組の録画やデジタルビデオカメラの録画、またその録画データの保存において光ディスクが利用されるようになってきた。特に放送を録画した動画データは、DVD−VR(VideoRecording)フォーマットにより光ディスクに保存される。
【0003】
DVD−VR規格では、ユーザが識別できる1つの再生単位であるタイトル(プログラム/プレイリスト)の中に、1つの連続した動画の単位であるCELLが、複数記録できる規格となっている。
【0004】
DVD−VRフォーマットのディスク内には、異なる音声属性や映像属性の動画を記録することができる。1つのタイトルにCELLが複数存在すれば、これら属性の異なる複数のCELLを1タイトル内で順次再生することができる。
【0005】
ただし、タイトル内でCELLが切り替わる場合、再生する映像や音声の属性が変わることがあり、さらにディスクからリードするデータの物理的位置も変わることがあるため、同一タイトル内であっても、CELLが変われば、動画の連続性は途切れ、新たな動画としてCELL先頭から再生を行っている(DVD−VR規格については、例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−187354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のDVD−VR再生方法では、早送り/早戻しの制御は、同一CELL内であれば管理情報より次のジャンプ先を見つけることができるため、指定倍速に応じたジャンプ量を維持することが可能である。しかしながら、CELL境界では次に再生するCELLを新たな動画として先頭/終端から早送り/早戻しを行っているため、指定倍速に応じたジャンプ量よりも実際にジャンプする量が小さくなってしまうことにより、早送り/早戻し時の倍速設定と実際の再生速度に大きな差が生じるという問題点を有している。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点を解決するもので、指定倍速と実際の再生速度との差を少なくすることができる動画再生方法および動画再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の動画再生方法の一形態は、1つの連続した動画である動画単位を複数連結して構成される再生単位の再生において、動画中の1枚の画像を指定倍速に応じたジャンプ時間でジャンプさせながら再生する早送りまたは早戻し再生を行う動画再生方法であって、早送りまたは早戻し再生において動画単位をまたいでジャンプするときのジャンプ時間のうち、先の動画単位に配分すべき時間である既ジャンプ時間を算出する既ジャンプ時間算出ステップと、早送りまたは早戻し再生において動画単位をまたいでジャンプするときのジャンプ時間のうち、後の動画単位に配分すべき時間である残ジャンプ時間を前記既ジャンプ時間から算出する残ジャンプ時間算出ステップと、前記残ジャンプ時間に基づいて再生開始時刻を算出する再生開始時刻算出ステップと、前記再生開始時刻から前記動画を再生する再生ステップとを含み、前記動画単位が切り替わる際、早送り再生の場合は、前記既ジャンプ時間算出ステップでは、前記既ジャンプ時間として、切り替わる前の動画単位における最後に表示した画像の再生時刻とその動画単位の終端時刻との差分を算出し、前記残ジャンプ時間算出ステップでは、前記残ジャンプ時間として、前記既ジャンプ時間算出ステップで算出した既ジャンプ時間を指定倍速に応じたジャンプ時間から引いた値を算出し、前記再生開始時刻算出ステップでは、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間算出ステップで算出した残ジャンプ時間を次の動画単位の先頭時刻に加えた時刻を算出し、早戻し再生の場合は、前記既ジャンプ時間算出ステップでは、前記既ジャンプ時間として、切り替わる前の動画単位における最後に表示した画像の再生時刻とその動画単位の先頭時刻との差分を算出し、前記残ジャンプ時間算出ステップでは、前記残ジャンプ時間として、前記既ジャンプ時間算出ステップで算出した既ジャンプ時間を指定倍速に応じたジャンプ時間から引いた値を算出し、前記再生開始時刻算出ステップでは、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間算出ステップで算出した残ジャンプ時間を次の動画単位の終端時刻から引いた時刻を算出する。
【0010】
このような構成により、動画中の1枚の画像を指定倍速に応じたジャンプ時間でジャンプさせながら再生する早送りまたは早戻し再生を行う再生方法において、動画単位が切り替わる際に指定倍速に応じたジャンプ時間を維持することができるため、指定倍速と実際の再生速度との差を少なくするという効果を得ることができる。
【0011】
また、本発明の動画再生方法の別の一形態は、さらに、切り替わる前の動画単位における最後に表示すべき画像を再生した時の実時刻と、次の動画単位の最初に表示すべき画像を再生した時の実時刻との差分に指定倍速に応じた倍数を乗算した時間である切替処理補正時間を算出する切替処理補正時間算出ステップを含み、前記次の動画単位のさらに次の動画単位に切り替わる場合に、早送り再生の場合は、前記再生開始時刻算出ステップでは、さらに、前記再生開始時刻として、前記さらに次の動画単位の先頭時刻に前記切替処理補正時間算出ステップで算出した切替処理補正時間を加えた時刻を算出し、早戻し再生の場合は、前記再生開始時刻算出ステップでは、さらに、前記再生開始時刻として、前記さらに次の動画単位の終端時刻に前記切替処理補正時間算出ステップで算出した切替処理補正時間を引いた時刻を算出する。
【0012】
このような構成により、動画中の1枚の画像を指定倍速に応じたジャンプ時間でジャンプさせながら再生する早送りまたは早戻し再生を行う再生方法において、動画単位が切り替わる際にかかる時間を、再生時刻に補正を加えることで吸収し、指定倍速と実際の再生速度との差を少なくするという効果を得ることができる。
【0013】
ここで、早送り再生の場合は、前記再生開始時刻算出ステップでは、さらに、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間と前記切替処理補正時間の和を次の動画単位の先頭時刻に加えた時刻を算出し、早戻し再生の場合は、前記再生開始時刻算出ステップでは、さらに、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間と前記切替処理補正時間の和を次の動画単位の終端時刻から引いた時刻を算出してもよい。
【0014】
このような構成により、動画中の1枚の画像を指定倍速に応じたジャンプ時間でジャンプさせながら再生する早送りまたは早戻し再生を行う再生方法において、動画単位が切り替わる際に指定倍速に応じたジャンプ時間を維持することができ、かつ動画単位が切り替わる際にかかる時間を、ジャンプ時間に補正を加えることで吸収し、指定倍速と実際の再生速度との差を少なくするという効果を得ることができる。
【0015】
また、前記残ジャンプ時間算出ステップで算出した残ジャンプ時間が、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間よりも大きい場合に、早送り再生の場合は、前記再生ステップでは、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生せず、前記再生開始時刻算出ステップでは、さらに、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間から前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の先頭時刻に加えた時刻を算出し、早戻し再生の場合は、前記再生ステップでは、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生せず、前記再生開始時刻算出ステップでは、さらに、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間から前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の終端時刻から引いた時刻を算出してもよい。
【0016】
このような構成により、動画中の1枚の画像を指定倍速に応じたジャンプ時間でジャンプさせながら再生する早送りまたは早戻し再生を行う再生方法において、指定倍速に応じたジャンプ時間より小さい動画単位が複数存在している場合でも、指定倍速に応じたジャンプ時間を維持することができるため、指定倍速と実際の再生速度との差を少なくするという効果を得ることができる。
【0017】
また、前記切替処理補正時間算出ステップで算出した切替処理補正時間が、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間よりも大きい場合に、早送り再生の場合は、前記再生ステップでは、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生せず、前記再生開始時刻算出ステップでは、さらに、前記再生開始時刻として、前記切替処理補正時間から前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の先頭時刻に加えた時刻を算出し、早戻し再生の場合は、前記再生ステップでは、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生せず、前記再生開始時刻算出ステップでは、さらに、前記再生開始時刻として、前記切替処理補正時間から前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の終端時刻から引いた時刻を算出してもよい。
【0018】
このような構成により、動画中の1枚の画像を指定倍速に応じたジャンプ時間でジャンプさせながら再生する早送りまたは早戻し再生を行う再生方法において、前記切替処理補正時間と比較して小さい動画単位が複数存在している場合でも、動画単位が切り替わる際にかかる時間を、再生時刻に補正を加えることで吸収し、指定倍速と実際の再生速度との差を少なくするという効果を得ることができる。
【0019】
また、前記残ジャンプ時間と前記切替処理補正時間の和が、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間よりも大きい場合に、早送り再生の場合は、前記再生ステップでは、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生せず、前記再生開始時刻算出ステップでは、さらに、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間と前記切替処理補正時間の和から前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の先頭時刻に加えた時刻を算出し、早戻し再生の場合は、前記再生ステップでは、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生せず、前記再生開始時刻算出ステップでは、さらに、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間と前記切替処理補正時間の和から前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の終端時刻から引いた時刻を算出してもよい。
【0020】
このような構成により、動画中の1枚の画像を指定倍速に応じてジャンプさせながら再生する早送りまたは早戻し再生を行う再生方法において、動画単位が切り替わる際に指定倍速に応じたジャンプ時間を維持することができ、かつ動画単位が切り替わる際にかかる時間を、ジャンプ時間に補正を加えることで吸収し、指定倍速に応じたジャンプ時間より小さい動画単位が複数存在している場合や前記指定倍速に応じた倍数を乗算した時間である切替処理補正時間と比較して小さい動画単位が複数存在している場合でも、指定倍速に応じたジャンプ時間および経過時間を維持することができるため、指定倍速と実際の再生速度との差を少なくするという効果を得ることができる。
【0021】
なお、本発明は、上述のような動画再生方法として実現できるだけでなく、動画再生方法に含まれる各ステップを構成要素とするコンピュータ実行可能なプログラム、そのプログラムが格納されたDVD等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体、動画再生装置として実現することもできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明による動画再生方法および動画再生装置は、動画中の1枚の画像を指定倍速に応じてジャンプさせながら再生する早送りまたは早戻し再生を行う再生方法において、動画単位が切り替わる際に、指定倍速に応じたジャンプ時間を維持、または動画単位が切り替わる際の時間を、ジャンプ時間を変更することで吸収し、前記指定倍速に応じたジャンプ時間および経過時間を維持することにより、指定倍速と実際の再生速度との差を少なくするという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る動画再生装置の構成を示す機能ブロック図
【図2】DVD−VRにおけるCELLが持つ情報を示す図
【図3】図1に示された制御部の詳細な機能構成を示す図
【図4】本発明の第1の切り替え方法において、早送りによって順方向にCELLが切り替わる際の次の再生開始時刻決定方法を示すフローチャート
【図5】本発明の第1の切り替え方法において、早戻しによって逆方向にCELLが切り替わる際の次の再生開始時刻決定方法を示すフローチャート
【図6】本発明の第2の切り替え方法において、早送りによって順方向にCELLが切り替わる際の次の再生開始時刻決定方法を示すフローチャート
【図7】本発明の第2の切り替え方法において、早戻しによって逆方向にCELLが切り替わる際の次の再生開始時刻決定方法を示すフローチャート
【図8】本発明の第3の切り替え方法において、早送りによって順方向にCELLが切り替わる際の次の再生開始時刻決定方法を示すフローチャート
【図9】本発明の第3の切り替え方法において、早戻しによって逆方向にCELLが切り替わる際の次の再生開始時刻決定方法を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では、1つの連続した動画である動画単位(ここでは、CELL)を複数連結して構成される1つの再生単位(ここでは、タイトル)が記録された記録媒体として、DVD−VR規格に準拠した光ディスクを用いて説明を行う。
【0025】
図1は、本発明に係る動画再生装置10の構成を示す機能ブロック図である。この動画再生装置10は、DVD−VR規格に従って動画が記録されたDVD等の記録媒体から動画を読み出して再生する装置であり、バス16で接続された制御部11、入出力部12、読み出し部13、再生部14および信号処理部15を備える。
【0026】
制御部11は、CPU、制御プログラムを格納したROM、RAM等から構成され、バス16を介して、各構成要素(入出力部12、読み出し部13、再生部14および信号処理部15)を制御する。
【0027】
入出力部12は、ユーザとの対話機能を果たすインターフェイス回路であり、リモコン、ボタン等を介して入力されるユーザからの指示(早送り再生、早戻し再生、指定倍速等)を取得したり、図示されていないLCD等のフロントパネルに各種情報を表示したり、外部機器として接続されるTVに対して操作メニュー等の映像信号を出力したりする。
【0028】
読み出し部13は、記録媒体20に格納された動画(圧縮された映像および音声)を読み出して再生部14に出力する処理部であり、光ヘッド、その駆動機構、読み出した信号を復調する回路等からなる。
【0029】
再生部14は、読み出し部13から出力された動画を復号して信号処理部15に出力するMPEGデコーダである。
【0030】
信号処理部15は、再生部14から出力された動画を映像信号および音声信号に変換して外部端子から出力するA/D変換器、増幅器等からなる。
【0031】
図2は、図1に示された記録媒体20に格納されているCELL情報の構造を示す図である。ここには、記録媒体20に格納されている動画を構成する複数のCELLのうちの一つ(CELL#i)に関するCELL情報のデータ構造が示されている。
【0032】
CELL情報#i(CI#i)21は、動画CELL情報(M_CI)22aまたは静止画CELL情報(S_CI)22bに分類される。
【0033】
動画CELL情報(M_CI)22aは、一般情報(M_C_GI)23aと、エントリポイント情報#1(M_C_EPI#1)23b〜エントリポイント情報#n(M_C_EPI#n)23cとから構成される。ここで、エントリポイント情報#1(M_C_EPI#1)23b〜エントリポイント情報#n(M_C_EPI#n)23cは、当該CELL#iが、CELLの再生順序を規定したプログラムチェーン内のどの位置に置かれるかを示す情報である。
【0034】
一般情報(M_C_GI)23aは、予備領域(reserved)24a、CELLタイプ(C_TY)24b、M_VOBIサーチポインタ番号(M_VOBI_SRPN)24c、C_EPIの個数(C_EPI_Ns)24d、CELL先頭時刻(C_V_S_PTM)24eおよびCELL終端時刻(C_V_E_PTM)24fから構成される。
【0035】
予備領域(reserved)24aは、将来の用途のために確保された記憶領域である。
【0036】
CELLタイプ(C_TY)24bは、当該CELLの種類を示す情報である。
M_VOBIサーチポインタ番号(M_VOBI_SRPN)24cは、当該CELlを構成するVOBU(Video Object Unit)の位置に関する情報である。VOBUは、0.4から1.2秒の動画単位であり、このVOBUの中にMPEG2のフォーマットにおける1つ以上のGOP(Group of Pictures)が含まれる。
【0037】
C_EPIの個数(C_EPI_Ns)24dは、エントリポイント情報#1(M_C_EPI#1)23b〜エントリポイント情報#n(M_C_EPI#n)23cの合計数(n個)を示す情報である。
【0038】
CELL先頭時刻(C_V_S_PTM)24eは、当該CELLの再生における先頭時刻を示す情報である。
【0039】
CELL終端時刻(C_V_E_PTM)24fは、当該CELLの再生における終端時刻を示す情報である。
【0040】
図3は、図1に示された制御部11の詳細な機能構成を示す図である。制御部11は、本発明に係る早送りおよび早戻し再生の制御を行うために、既ジャンプ時間算出部11a、残ジャンプ時間算出部11b、切替処理補正時間算出部11cおよび再生開始時刻算出部11dを有する。
【0041】
この制御部11は、早送りおよび早戻し再生において、読み出し部13および再生部14を制御することで、CELLを構成するVOBUの先頭Iピクチャを間引きながら再生と表示を行わせる。たとえば、再生部14は、制御部11による制御のもとで、0.5秒毎に存在するIピクチャを1枚おきに間引いて再生することで、2倍速の早送り再生をする。間引きの間隔であるジャンプ時間は、処理中に1枚のIピクチャを表示する実時間に目標倍速を掛けたものから算出できる。DVD−VR規格における時間であるPTS(Presentation Time Stamp)では最小単位を1/90000秒としており、例えば、1フレーム30fpsのテレビシステムにおいて、目標倍速が10倍、1枚のIピクチャを10フレーム表示した場合(この場合には、Iピクチャを表示する実時間(秒)=1/30×10)のジャンプ時間をPTSで表すと1/30×10×10×90000=300000となる。
【0042】
既ジャンプ時間算出部11aは、早送りおよび早戻し再生において、既ジャンプ時間を算出する処理部である。ここで、「既ジャンプ時間」とは、早送り再生(あるいは、早戻し再生)においてCELL#n−1(あるいは、CELL#n+1)からCELL#nへ動画単位をまたいでジャンプするときのジャンプ時間のうち、先の動画単位、つまり、CELL#n−1(あるいは、CELL#n+1)に配分すべき時間である。
【0043】
残ジャンプ時間算出部11bは、早送りおよび早戻し再生において、残ジャンプ時間を算出する処理部である。ここで、「残ジャンプ時間」とは、早送り再生(あるいは、早戻し再生)においてCELL#n−1(あるいは、CELL#n+1)からCELL#nへ動画単位をまたいでジャンプするときのジャンプ時間のうち、後の動画単位、つまり、CELL#nに配分すべき時間(つまり、ジャンプ時間から既ジャンプ時間を差し引いた残り時間)である。
【0044】
切替処理補正時間算出部11cは、早送りおよび早戻し再生において、切替処理補正時間を算出する処理部である。ここで、「切替処理補正時間」とは、早送り再生(あるいは、早戻し再生)においてCELL#n−1(あるいは、CELL#n+1)からCELL#nへ切り替えるときに、CELL#n−1(あるいは、CELL#n+1)における最後に表示すべき画像を再生した時の実時刻と、CELL#nにおける最初に表示すべき画像を再生した時の実時刻との差分に指定倍速に応じた倍数を乗算した時間である。
【0045】
再生開始時刻算出部11dは、既ジャンプ時間算出部11aによって算出された既ジャンプ時間、残ジャンプ時間算出部11bによって算出された残ジャンプ時間、および、切替処理補正時間算出部11cによって算出されて切替処理補正時間の少なくとも一つに基づいて、早送りおよび早戻し再生においてCELLを切り替える際における切り替え後のCELLの再生開始時刻を算出する。制御部11は、この再生開始時刻算出部11dで算出された再生開始時刻から切り替え後のCELLが再生されるように、再生部14を制御する。
【0046】
なお、制御部11は、早送りおよび早戻し再生においてCELLが切り替わる際に、予めユーザによって選択された3種類の切り替え方法の少なくとも一つを用いて、指定倍速と実際の再生速度との差を少なくする制御をする。つまり、制御部11は、3種類の切り替え方法の少なくとも一つを用いて、切り替え後のCELLでの再生開始時刻を決定し、決定した時刻でそのCELLを再生させる。以下、その3種類の切り替え方法を説明する。
【0047】
(第1の切り替え方法)
図4は、動画単位であるCELLの境界において、早送り再生にてCELL#n−1からCELL#nへ切り替わる際、本発明の第1の切り替え方法に係る再生開始時刻決定方法を示すフローチャートである。
【0048】
最初に、ステップS101では、既ジャンプ時間算出部11aは、CELL#n−1の再生処理において最後に表示したフレームのPTSにジャンプ時間を加算して得られるジャンプ先位置を変数L1に代入する。
【0049】
次に、ステップS102では、既ジャンプ時間算出部11aは、前記ステップS101で算出された変数L1が図2に示したCELL#n−1の終端時刻を表すC_V_E_PTMより大きいかどうかをチェックする。大きいもしくは等しい場合は(S102でYES)、CELL#n−1が再生終了したと判断し、ステップS104へ進み、小さい場合は(S102でNO)、CELL#n−1が再生中であると判断し、ステップS103へ進む。
【0050】
次に、ステップS103では、再生部14は、CELL#n−1の変数L1に対応するフレームを再生し、ステップS101から再度実行する。
【0051】
次に、ステップS104では、既ジャンプ時間算出部11aは、CELL#n−1のC_V_E_PTMからCELL#n−1の最後に表示したフレームのPTSを減算して得られる既ジャンプ時間を変数J1に代入する。
【0052】
次に、ステップS105では、残ジャンプ時間算出部11bは、ジャンプ時間から前記ステップS104で算出された変数J1を減算して得られる残ジャンプ時間を変数J2に代入する。
【0053】
最後に、ステップS106では、再生開始時刻算出部11dは、図2に示したCELL#nの先頭時刻を表すC_V_S_PTMに前記ステップS105で算出された変数J2を加算することで、再生開始時刻を決定する。
【0054】
以上のようにCELLが切り替わる際の再生開始時刻を決定することで、DVD−VRの早送り再生において、ジャンプ時間を一定に保つことができるため、目標倍速と実倍速との差の減少が期待できる。
【0055】
図5は、早戻し再生にてCELL#n+1からCELL#nへ切り替わる際、本発明の第1の切り替え方法に係る再生開始時刻決定方法を示すフローチャートである。
【0056】
最初に、ステップS401では、既ジャンプ時間算出部11aは、CELL#n+1の再生処理において最後に表示したフレームのPTSからジャンプ時間を減算して得られるジャンプ先位置を変数L1に代入する。
【0057】
次に、ステップS402では、既ジャンプ時間算出部11aは、前記ステップS401で算出された変数L1がCELL#n+1のC_V_E_PTMより小さいかどうかをチェックする。小さいもしくは等しい場合は(S402でYES)、CELL#n+1が再生終了したと判断し、ステップS404へ進み、大きい場合は(S402でNO)、CELL#n+1が再生中であると判断し、ステップS403へ進む。
【0058】
次に、ステップS403では、再生部14は、CELL#n+1の変数L1に対応するフレームを再生し、ステップS401から再度実行する。
【0059】
次に、ステップS404では、既ジャンプ時間算出部11aは、CELL#n+1の最後に表示したフレームのPTSからCELL#n+1のC_V_S_PTMを減算して得られる既ジャンプ時間を変数J1に代入する。
【0060】
次に、ステップS405では、残ジャンプ時間算出部11bは、ジャンプ時間から前記ステップS404で算出された変数J1を減算して得られる残ジャンプ時間を変数J2に代入する。
【0061】
最後に、ステップS406では、再生開始時刻算出部11dは、CELL#nのC_V_E_PTMから前記ステップS405で算出された変数J2を減算することで、再生開始時刻を決定する。
【0062】
以上のようにCELLが切り替わる際の再生開始時刻を決定することで、DVD−VRの早戻し再生において、ジャンプ時間を一定に保つことができるため、目標倍速と実倍速との差の減少が期待できる。
【0063】
(第2の切り替え方法)
図6は、早送り再生にて、CELL#n−1からCELL#n、CELL#nからCELL#n+1へ切り替わる際、本発明の第2の切り替え方法に係る再生開始時刻決定方法を示すフローチャートである。
【0064】
最初に、ステップS201では、切替処理補正時間算出部11cは、第1の切り替え方法におけるステップS101、ステップS102、ステップS103と同様の方法によりCELL#n−1が再生終了したかどうかを判定する。
【0065】
次に、ステップS202では、切替処理補正時間算出部11cは、CELL#n−1の最後に表示すべきフレームを表示したときの実時刻を取得し、変数T1に代入する。
【0066】
次に、ステップS203では、再生部14は、CELL#nの再生を開始する。
次に、ステップS204では、切替処理補正時間算出部11cは、CELL#nの最初に表示すべきフレームを表示したときの実時刻を取得し、変数T2に代入する。
【0067】
次に、切替処理補正時間算出部11cは、ステップS205では、前記ステップS204で取得した変数T2から前記ステップS202で取得した変数T1を減算したものに指定倍速に応じた倍速を乗算して得られる切替処理補正時間を変数T3に代入する。
【0068】
次に、再生開始時刻算出部11dは、ステップS206では、第1の切り替え方法におけるステップS101、ステップS102、ステップS103と同様の方法によりCELL#nが再生終了したかどうかを判定する。
【0069】
最後に、ステップS207では、再生開始時刻算出部11dは、CELL#n+1のC_V_S_PTMに前記ステップS205で算出された変数T3を加算することで、再生開始時刻を決定する。
【0070】
以上のようにCELLが切り替わる際の再生開始時刻を決定することで、DVD−VRの早送り再生において、CELLが切り替わる際にかかる時間を吸収することができるため、目標倍速と実倍速との差の減少が期待できる。
【0071】
図7は、早戻し再生にて、CELL#n+1からCELL#n、CELL#nからCELL#n−1へ切り替わる際、本発明の第2の切り替え方法に係る再生開始時刻決定方法を示すフローチャートである。
【0072】
最初に、ステップS501では、切替処理補正時間算出部11cは、第1の切り替え方法におけるステップS401、ステップS402、ステップS403と同様の方法によりCELL#n+1が再生終了したかどうかを判定する。
【0073】
次に、ステップS502では、切替処理補正時間算出部11cは、CELL#n+1の最後に表示すべきフレームを表示したときの実時刻を取得し、変数T1に代入する。
【0074】
次に、ステップS503では、再生部14は、CELL#nの再生を開始する。
次に、ステップS504では、切替処理補正時間算出部11cは、CELL#nの最初に表示すべきフレームを表示したときの実時刻を取得し、変数T2に代入する。
【0075】
次に、ステップS505では、切替処理補正時間算出部11cは、前記ステップS504で取得した変数T2から前記ステップS502で取得した変数T1を減算したものに指定倍速に応じた倍速を乗算して得られる切替処理補正時間を変数T3に代入する。
【0076】
次に、ステップS506では、再生開始時刻算出部11dは、第1の切り替え方法におけるステップS401、ステップS402、ステップS403と同様の方法によりCELL#nが再生終了したかどうかを判定する。
【0077】
最後に、ステップS507では、再生開始時刻算出部11dは、CELL#n−1のC_V_E_PTMから前記ステップS505で算出された変数T3を減算することで、再生開始時刻を決定する。
【0078】
以上のようにCELLが切り替わる際の再生開始時刻を決定することで、DVD−VRの早戻し再生において、CELLが切り替わる際にかかる時間を吸収することができるため、目標倍速と実倍速との差の減少が期待できる。
【0079】
(第3の切り替え方法)
図8は、早送り再生にて、CELL#n−1からCELL#n+iへ切り替わる際、本発明の第3の切り替え方法に係る再生開始時刻決定方法を示すフローチャートである。
【0080】
最初に、ステップS301では、再生開始時刻算出部11dは、第1の切り替え方法におけるステップS101、ステップS102、ステップS103と同様の方法によりCELL#n−1が再生終了したかどうかを判定する。
【0081】
次に、ステップS302では、再生開始時刻算出部11dは、第1の切り替え方法のステップS105で算出した変数J2と第2の切り替え方法のステップS205で算出した変数T3とを合計して得られる追加ジャンプ時間を変数K1に代入する。なお、変数K1に代入する値は、変数J2(残ジャンプ時間)もしくは変数T3(切替処理補正時間)でもよい。
【0082】
次に、ステップS303では、再生開始時刻算出部11dは、変数iを、そこに0を代入することで初期化する。
【0083】
次に、ステップS304では、再生開始時刻算出部11dは、CELL#n+iのC_V_E_PTMからCELL#n+iのC_V_S_PTMを減算することで得られるCELL#n+i再生時間を変数P1に代入する。
【0084】
次に、ステップS305では、再生開始時刻算出部11dは、変数K1が変数P1よりも大きいかどうかをチェックし、大きいもしくは等しい場合は(S305でYES)、ステップS306へ進み、小さい場合は(S305でNO)、ステップS308へ進む。
【0085】
次に、ステップS306では、再生開始時刻算出部11dは、変数K1から変数P1を減算することで、変数K1を更新する。
【0086】
次に、ステップS307では、再生開始時刻算出部11dは、変数iをインクリメントし、ステップS304から再度実行する。
【0087】
最後に、ステップS308では、再生開始時刻算出部11dは、CELL#n+iのC_V_S_PTMに変数K1を加算することで、再生開始時刻を決定する。
【0088】
以上のようにCELLが切り替わる際の再生開始時刻を決定することで、DVD−VRの早送り再生において、表示する必要のないIピクチャを再生しないことができるため、目標倍速と実倍速との差の減少が期待できる。
【0089】
図9は、早戻し再生にて、CELL#n+1からCELL#n−iへ切り替わる際、本発明の第3の切り替え方法に係る再生開始時刻決定方法を示すフローチャートである。
【0090】
最初に、ステップS601では、再生開始時刻算出部11dは、第1の切り替え方法におけるステップS401、ステップS402、ステップS403と同様の方法によりCELL#n+1が再生終了したかどうかを判定する。
【0091】
次に、ステップS602では、再生開始時刻算出部11dは、第1の切り替え方法のステップS405で算出した変数J2と第2の切り替え方法のステップS505で算出した変数T3とを合計して得られる追加ジャンプ時間を変数K1に代入する。なお、変数K1に代入する値は、変数J2(残ジャンプ時間)もしくは変数T3(切替処理補正時間)でもよい。
【0092】
次に、ステップS603では、再生開始時刻算出部11dは、変数iを、そこに0を代入することで初期化する。
【0093】
次に、ステップS604では、再生開始時刻算出部11dは、CELL#n−iのC_V_E_PTMからCELL#n−iのC_V_S_PTMを減算して得られるCELL#n−i再生時間を変数P1に代入する。
【0094】
次に、ステップS605では、再生開始時刻算出部11dは、変数K1が変数P1よりも大きいかどうかをチェックし、大きいもしくは等しい場合は(S605でYES)、ステップS606へ進み、小さい場合は(S605でNO)、ステップS608へ進む。
【0095】
次に、ステップS606では、再生開始時刻算出部11dは、変数K1から変数P1を減算することで、変数K1を更新する。
【0096】
次に、ステップS607では、再生開始時刻算出部11dは、変数iをインクリメントし、ステップS604から再度実行する。
【0097】
最後に、ステップS608では、再生開始時刻算出部11dは、CELL#n−iのC_V_E_PTMから変数K1を減算することで、再生開始時刻を決定する。
【0098】
以上のようにCELLが切り替わる際の再生開始時刻を決定することで、DVD−VRの早戻し再生において、表示する必要のないIピクチャを再生しないことができるため、目標倍速と実倍速との差の減少が期待できる。
【0099】
なお、早送り再生におけるジャンプ処理(ステップS306およびS307)および早戻し再生におけるジャンプ処理(ステップS606およびS607)により、残ジャンプ時間と切替処理補正時間との和が、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間よりも大きい場合に、(1)早送り再生の場合は、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生しないで、再生開始時刻として、残ジャンプ時間と切替処理補正時間の和から次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の先頭時刻に加えた時刻を算出し、一方、(2)早戻し再生の場合は、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生しないで、再生開始時刻として、残ジャンプ時間と切替処理補正時間の和から次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の終端時刻から引いた時刻を算出している。これにより、動画中の1枚の画像を指定倍速に応じてジャンプさせながら再生する早送りまたは早戻し再生を行う再生方法において、指定倍速に応じたジャンプ時間より小さい動画単位が複数存在している場合や前記指定倍速に応じた倍数を乗算した時間である切替処理補正時間と比較して小さい動画単位が複数存在している場合でも、指定倍速に応じたジャンプ時間および経過時間を維持することができるため、指定倍速と実際の再生速度との差を少なくするという効果を得ることができる。
【0100】
なお、上述したように、ステップS302およびS602では、変数K1に代入する値として、変数J2(残ジャンプ時間)もしくは変数T3(切替処理補正時間)でもよい。変数K1に変数J2(残ジャンプ時間)を代入した場合には、早送り再生におけるジャンプ処理(ステップS306およびS307)および早戻し再生におけるジャンプ処理(ステップS606およびS607)により、以下のことがいえる。
【0101】
つまり、残ジャンプ時間が、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間よりも大きい場合に、(1)早送り再生の場合は、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生しないで、再生開始時刻として、残ジャンプ時間から次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の先頭時刻に加えた時刻を算出し、一方、(2)早戻し再生の場合は、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生しないで、再生開始時刻として、残ジャンプ時間から次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の終端時刻から引いた時刻を算出している。これにより、動画中の1枚の画像を指定倍速に応じたジャンプ時間でジャンプさせながら再生する早送りまたは早戻し再生を行う再生方法において、指定倍速に応じたジャンプ時間より小さい動画単位が複数存在している場合でも、指定倍速に応じたジャンプ時間を維持することができるため、指定倍速と実際の再生速度との差を少なくするという効果を得ることができる。
【0102】
また、変数K1に変数T3(切替処理補正時間)を代入した場合には、早送り再生におけるジャンプ処理(ステップS306およびS307)および早戻し再生におけるジャンプ処理(ステップS606およびS607)により、以下のことがいえる。
【0103】
つまり、切替処理補正時間が、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間よりも大きい場合に、(1)早送り再生の場合は、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生しないで、再生開始時刻として、切替処理補正時間から次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の先頭時刻に加えた時刻を算出し、一方、(2)早戻し再生の場合は、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生しないで、再生開始時刻として、切替処理補正時間から次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の終端時刻から引いた時刻を算出している。これにより、動画中の1枚の画像を指定倍速に応じたジャンプ時間でジャンプさせながら再生する早送りまたは早戻し再生を行う再生方法において、切替処理補正時間と比較して小さい動画単位が複数存在している場合でも、動画単位が切り替わる際にかかる時間を、再生時刻に補正を加えることで吸収し、指定倍速と実際の再生速度との差を少なくするという効果を得ることができる。
【0104】
以上、本発明に係る動画再生装置および動画再生方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、このような実施の形態に限定されるものではない。
【0105】
たとえば、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、実施の形態における3種類の切り替え方法を任意に組み合わせて得られる形態も、本発明に含まれる。
【0106】
また、実施の形態では、動画再生装置について説明したが、本発明に係る動画再生方法は、動画を再生する機能だけを備える再生装置に限られず、動画を記録する機能と再生する機能とを備える録画再生装置にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
以上のように、本発明によって、動画単位が複数連結されているような再生単位において、より正確な倍速による早送りまたは早戻し再生を実現することができ、映像の内容を確認しながら目的の場面に素早く、正確に、かつ容易にアクセスできるといった、高い利便性が要求されるDVDレコーダやプレーヤ、デジタルビデオカメラに内蔵される動画再生装置などに適用して有用である。
【符号の説明】
【0108】
10 動画再生装置
11 制御部
11a 既ジャンプ時間算出部
11b 残ジャンプ時間算出部
11c 切替処理補正時間算出部
11d 再生開始時刻算出部
12 入出力部
13 読み出し部
14 再生部
15 信号処理部
16 バス
20 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの連続した動画である動画単位を複数連結して構成される再生単位の再生において、動画中の1枚の画像を指定倍速に応じたジャンプ時間でジャンプさせながら再生する早送りまたは早戻し再生を行う動画再生方法であって、
早送りまたは早戻し再生において動画単位をまたいでジャンプするときのジャンプ時間のうち、先の動画単位に配分すべき時間である既ジャンプ時間を算出する既ジャンプ時間算出ステップと、
早送りまたは早戻し再生において動画単位をまたいでジャンプするときのジャンプ時間のうち、後の動画単位に配分すべき時間である残ジャンプ時間を前記既ジャンプ時間から算出する残ジャンプ時間算出ステップと、
前記残ジャンプ時間に基づいて再生開始時刻を算出する再生開始時刻算出ステップと、
前記再生開始時刻から前記動画を再生する再生ステップとを含み、
前記動画単位が切り替わる際、
早送り再生の場合は、
前記既ジャンプ時間算出ステップでは、前記既ジャンプ時間として、切り替わる前の動画単位における最後に表示した画像の再生時刻とその動画単位の終端時刻との差分を算出し、
前記残ジャンプ時間算出ステップでは、前記残ジャンプ時間として、前記既ジャンプ時間算出ステップで算出した既ジャンプ時間を指定倍速に応じたジャンプ時間から引いた値を算出し、
前記再生開始時刻算出ステップでは、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間算出ステップで算出した残ジャンプ時間を次の動画単位の先頭時刻に加えた時刻を算出し、
早戻し再生の場合は、
前記既ジャンプ時間算出ステップでは、前記既ジャンプ時間として、切り替わる前の動画単位における最後に表示した画像の再生時刻とその動画単位の先頭時刻との差分を算出し、
前記残ジャンプ時間算出ステップでは、前記残ジャンプ時間として、前記既ジャンプ時間算出ステップで算出した既ジャンプ時間を指定倍速に応じたジャンプ時間から引いた値を算出し、
前記再生開始時刻算出ステップでは、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間算出ステップで算出した残ジャンプ時間を次の動画単位の終端時刻から引いた時刻を算出する
動画再生方法。
【請求項2】
さらに、
切り替わる前の動画単位における最後に表示すべき画像を再生した時の実時刻と、次の動画単位の最初に表示すべき画像を再生した時の実時刻との差分に指定倍速に応じた倍数を乗算した時間である切替処理補正時間を算出する切替処理補正時間算出ステップを含み、
前記次の動画単位のさらに次の動画単位に切り替わる場合に、
早送り再生の場合は、
前記再生開始時刻算出ステップでは、さらに、前記再生開始時刻として、前記さらに次の動画単位の先頭時刻に前記切替処理補正時間算出ステップで算出した切替処理補正時間を加えた時刻を算出し、
早戻し再生の場合は、
前記再生開始時刻算出ステップでは、さらに、前記再生開始時刻として、前記さらに次の動画単位の終端時刻に前記切替処理補正時間算出ステップで算出した切替処理補正時間を引いた時刻を算出する
請求項1記載の動画再生方法。
【請求項3】
早送り再生の場合は、
前記再生開始時刻算出ステップでは、さらに、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間と前記切替処理補正時間の和を次の動画単位の先頭時刻に加えた時刻を算出し、
早戻し再生の場合は、
前記再生開始時刻算出ステップでは、さらに、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間と前記切替処理補正時間の和を次の動画単位の終端時刻から引いた時刻を算出する
請求項2記載の動画再生方法。
【請求項4】
前記残ジャンプ時間算出ステップで算出した残ジャンプ時間が、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間よりも大きい場合に、
早送り再生の場合は、
前記再生ステップでは、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生せず、
前記再生開始時刻算出ステップでは、さらに、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間から前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の先頭時刻に加えた時刻を算出し、
早戻し再生の場合は、
前記再生ステップでは、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生せず、
前記再生開始時刻算出ステップでは、さらに、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間から前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の終端時刻から引いた時刻を算出する
請求項1記載の動画再生方法。
【請求項5】
前記切替処理補正時間算出ステップで算出した切替処理補正時間が、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間よりも大きい場合に、
早送り再生の場合は、
前記再生ステップでは、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生せず、
前記再生開始時刻算出ステップでは、さらに、前記再生開始時刻として、前記切替処理補正時間から前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の先頭時刻に加えた時刻を算出し、
早戻し再生の場合は、
前記再生ステップでは、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生せず、
前記再生開始時刻算出ステップでは、さらに、前記再生開始時刻として、前記切替処理補正時間から前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の終端時刻から引いた時刻を算出する
請求項2記載の動画再生方法。
【請求項6】
前記残ジャンプ時間と前記切替処理補正時間の和が、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間よりも大きい場合に、
早送り再生の場合は、
前記再生ステップでは、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生せず、
前記再生開始時刻算出ステップでは、さらに、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間と前記切替処理補正時間の和から前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の先頭時刻に加えた時刻を算出し、
早戻し再生の場合は、
前記再生ステップでは、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生せず、
前記再生開始時刻算出ステップでは、さらに、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間と前記切替処理補正時間の和から前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の終端時刻から引いた時刻を算出する
請求項3記載の動画再生方法。
【請求項7】
1つの連続した動画である動画単位を複数連結して構成される再生単位の再生において、動画中の1枚の画像を指定倍速に応じたジャンプ時間でジャンプさせながら再生する早送りまたは早戻し再生を行う動画再生装置であって、
早送りまたは早戻し再生において動画単位をまたいでジャンプするときのジャンプ時間のうち、先の動画単位に配分すべき時間である既ジャンプ時間を算出する既ジャンプ時間算出部と、
早送りまたは早戻し再生において動画単位をまたいでジャンプするときのジャンプ時間のうち、後の動画単位に配分すべき時間である残ジャンプ時間を前記既ジャンプ時間から算出する残ジャンプ時間算出部と、
前記残ジャンプ時間に基づいて再生開始時刻を算出する再生開始時刻算出部と、
前記再生開始時刻から前記動画を再生する再生部とを備え、
前記動画単位が切り替わる際、
早送り再生の場合は、
前記既ジャンプ時間算出部は、前記既ジャンプ時間として、切り替わる前の動画単位における最後に表示した画像の再生時刻とその動画単位の終端時刻との差分を算出し、
前記残ジャンプ時間算出部は、前記残ジャンプ時間として、前記既ジャンプ時間算出部で算出した既ジャンプ時間を指定倍速に応じたジャンプ時間から引いた値を算出し、
前記再生開始時刻算出部は、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間算出部で算出した残ジャンプ時間を次の動画単位の先頭時刻に加えた時刻を算出し、
早戻し再生の場合は、
前記既ジャンプ時間算出部は、前記既ジャンプ時間として、切り替わる前の動画単位における最後に表示した画像の再生時刻とその動画単位の先頭時刻との差分を算出し、
前記残ジャンプ時間算出部は、前記残ジャンプ時間として、前記既ジャンプ時間算出部で算出した既ジャンプ時間を指定倍速に応じたジャンプ時間から引いた値を算出し、
前記再生開始時刻算出部は、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間算出部で算出した残ジャンプ時間を次の動画単位の終端時刻から引いた時刻を算出する
動画再生装置。
【請求項8】
さらに、
切り替わる前の動画単位における最後に表示すべき画像を再生した時の実時刻と、次の動画単位の最初に表示すべき画像を再生した時の実時刻との差分に指定倍速に応じた倍数を乗算した時間である切替処理補正時間を算出する切替処理補正時間算出部を備え、
前記次の動画単位のさらに次の動画単位に切り替わる場合に、
早送り再生の場合は、
前記再生開始時刻算出部は、さらに、前記再生開始時刻として、前記さらに次の動画単位の先頭時刻に前記切替処理補正時間算出部で算出した切替処理補正時間を加えた時刻を算出し、
早戻し再生の場合は、
前記再生開始時刻算出部は、さらに、前記再生開始時刻として、前記さらに次の動画単位の終端時刻に前記切替処理補正時間算出部で算出した切替処理補正時間を引いた時刻を算出する
請求項7記載の動画再生装置。
【請求項9】
早送り再生の場合は、
前記再生開始時刻算出部は、さらに、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間と前記切替処理補正時間の和を次の動画単位の先頭時刻に加えた時刻を算出し、
早戻し再生の場合は、
前記再生開始時刻算出部は、さらに、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間と前記切替処理補正時間の和を次の動画単位の終端時刻から引いた時刻を算出する
請求項8記載の動画再生装置。
【請求項10】
前記残ジャンプ時間算出部で算出した残ジャンプ時間が、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間よりも大きい場合に、
早送り再生の場合は、
前記再生部は、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生せず、
前記再生開始時刻算出部は、さらに、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間から前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の先頭時刻に加えた時刻を算出し、
早戻し再生の場合は、
前記再生部は、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生せず、
前記再生開始時刻算出部は、さらに、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間から前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の終端時刻から引いた時刻を算出する
請求項7記載の動画再生装置。
【請求項11】
前記切替処理補正時間算出部で算出した切替処理補正時間が、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間よりも大きい場合に、
早送り再生の場合は、
前記再生部は、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生せず、
前記再生開始時刻算出部は、さらに、前記再生開始時刻として、前記切替処理補正時間から前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の先頭時刻に加えた時刻を算出し、
早戻し再生の場合は、
前記再生部は、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生せず、
前記再生開始時刻算出部は、さらに、前記再生開始時刻として、前記切替処理補正時間から前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の終端時刻から引いた時刻を算出する
請求項8記載の動画再生装置。
【請求項12】
前記残ジャンプ時間と前記切替処理補正時間の和が、次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間よりも大きい場合に、
早送り再生の場合は、
前記再生部は、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生せず、
前記再生開始時刻算出部は、さらに、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間と前記切替処理補正時間の和から前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の先頭時刻に加えた時刻を算出し、
早戻し再生の場合は、
前記再生部は、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位を再生せず、
前記再生開始時刻算出部は、さらに、前記再生開始時刻として、前記残ジャンプ時間と前記切替処理補正時間の和から前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位全体の再生時間を引いた時間を、前記次の動画単位もしくは連続する複数の動画単位の次の動画単位の終端時刻から引いた時刻を算出する
請求項9記載の動画再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−259110(P2011−259110A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130531(P2010−130531)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】