説明

動画再生方法

【課題】動画を再生する際に、ユーザがデータの読み込み時間を待機することなく、更に、ネットワークにおける障害やトラフィックの影響を受けにくい方法を提供すること。
【解決手段】端末装置10と通信回線20を介して接続されたサーバ30が、複数の動画データをその識別データと関連付けて記憶し、端末装置10は、背景画像を構成する動画データに関する識別データの組み合わせおよび再生順序を示す順列データと、背景画像の先頭から所定の時間を含む動画データを先頭動画データとして記憶し、ユーザから背景画像の再生を要求するデータを受け付けたことに応じて、先頭動画データを再生しつつ、後続の順列データに対応する動画データをサーバ30から受信し、受信した動画データを、先頭動画データに続いて順列データに従って順次再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画データを再生する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラオケ装置等の動画を再生するシステムにおいては、歌唱者を撮影した画像と背景画像とを合成して、モニタに表示する方法が知られている。例えば、特許文献1には、合成する背景画像については外部からの入力を受け付け、ユーザが自由に選択できるようにするシステムが開示されている。
【0003】
これらのシステムでは、ユーザが選択した楽曲に対応付けて予め決められた内部記憶画像、あるいは、ユーザが選択した外部記憶画像等を読み込んで再生を開始する。
【特許文献1】特開2004−138772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の方法によれば、再生する動画は装置の内部あるいは外部に記憶したデータを読み込んだ後に再生するため、ユーザは読み込みにかかる時間を待機することになる。また、例えば動画選択時に先頭部分をプレビューする場合においても、同様に読み込み時間を待機することになる。
【0005】
更に、従来の方法では、記憶する動画データは連続性のある一連のものであって、データ全体の読み込みが成功しなければ再生が完結しない。よって、例えばネットワークを介して動画データを受信する場合には、通信障害やトラフィックによる影響を受け、ユーザ要求に応じた動画再生を行えないことが起こり易い。
【0006】
ここで、背景画像は、歌唱者等のメイン画像(前景画像)と合成するためのサブ画像であることから、上述のように連続性のある一連のものでなくてもよく、複数の短い動画データの組み合わせであっても、ユーザは違和感を覚えにくい。
【0007】
そこで本発明は、このような背景画像を再生する際に、ユーザがデータの読み込み時間を待機することなく、更に、ネットワークにおける障害やトラフィックの影響を受けにくい動画再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的のため、具体的には、以下のようなものを提供する。
【0009】
(1) ユーザの端末装置と通信回線を介して接続されたサーバが記憶している動画データを、前記端末装置からの要求に応じて、前記端末装置が背景画像として再生し、前景画像と合成して表示する方法であって、
前記サーバは、複数の前記動画データをその識別データと関連付けて記憶するサーバ記憶部を備え、
前記端末装置は、前記背景画像を構成する前記動画データに関する識別データの組み合わせおよび再生順序を示す順列データと、前記背景画像の先頭から所定の時間以上の再生時間を持つ前記動画データを先頭動画データとして記憶する端末記憶部を備え、
前記端末装置が、前記ユーザから再生する前記背景画像の選択を受け付けたことに応じて、前記先頭動画データを再生しつつ、後続の前記順列データに対応する前記動画データを前記サーバから受信するステップと、
前記端末装置が、受信した前記動画データを、前記先頭動画データに続いて前記順列データに従って順次再生するステップと、
を含む方法。
【0010】
このような構成によれば、ユーザの端末装置と通信回線を介して接続されたサーバが、複数の動画データをその識別データと関連付けて記憶し、端末装置は、背景画像を構成する前記動画データに関する識別データの組み合わせおよび再生順序を示す順列データと、前記背景画像の先頭から所定の時間以上の再生時間を持つ前記動画データを先頭動画データとして記憶し、前記端末装置が、前記ユーザから再生する前記背景画像の選択を受け付けたことに応じて、前記先頭動画データを再生しつつ、後続の前記順列データに対応する前記動画データを前記サーバから受信し、受信した前記動画データを、前記先頭動画データに続いて前記順列データに従って順次再生する。
【0011】
このことにより、当該端末装置は、背景画像の先頭から所定の時間以上の再生時間を持つ先頭動画データを予め記憶しているので、ユーザからの要求があれば、読み込み時間を待つことなく直ちに再生を開始することができる。更に、先頭動画データの再生時間が、後続の動画データを受信するのに要する時間以上であれば、背景画像を構成する動画データを全て遅延なく再生することができる。
【0012】
また、背景画像は複数の動画データの組み合わせとして構成できるので、組み合わせを変えることで、別の背景画像が出来上がり、サーバの記憶容量に比べて多くの種類の背景画像を提供することができる。
【0013】
(2) 前記端末記憶部は、前記動画データに関する属性データを、前記識別データに関連付けて記憶し、
前記端末装置が、前記再生順序に従って次に再生を開始すべき前記動画データについて、未だ前記サーバからの受信が完了していない場合に、既に受信済みの動画データあるいは前記先頭動画データであって、前記属性データが当該再生を開始すべき動画データの属性データと等しいものを代わりに再生するステップを更に含む(1)に記載の方法。
【0014】
このような構成によれば、当該端末装置は、前記動画データに関する属性データを、前記識別データに関連付けて記憶し、前記再生順序に従って次に再生を開始すべき前記動画データについて、未だ前記サーバからの受信が完了していない場合に、既に受信済みの動画データあるいは前記先頭動画データであって、前記属性データが当該再生を開始すべき動画データの属性データと等しいものを代わりに再生する。
【0015】
このことにより、当該端末装置は、サーバからの動画データの受信に失敗した場合においても、代わりの動画データを用意することができ、背景画像の再生を完結することができる。その際、代わりの動画データはその属性データが等しいものとするので、ユーザに対して、動画データが入れ替わったことによる違和感を与えにくい。
【0016】
(3) 前記端末記憶部は、複数の前記背景画像それぞれに関する前記先頭動画データを記憶し、
前記端末装置が、前記ユーザから、複数の前記先頭動画データのうち一の選択を示す入力を受け付けたことに応じて、当該先頭動画データを繰り返し再生しつつ、当該先頭動画データを含む前記背景画像の再生の要求を待機するステップを更に含む(1)または(2)に記載の方法。
【0017】
このような構成によれば、当該端末装置は、複数の前記背景画像それぞれに関する前記先頭動画データを記憶し、前記ユーザから、複数の前記先頭動画データのうち一の選択を示す入力を受け付けたことに応じて、当該先頭動画データを繰り返し再生しつつ、当該先頭動画データを含む前記背景画像の再生の要求を待機する。
【0018】
このことにより、ユーザは、複数の先頭動画データをプレビューしながら、再生する背景画像を選択することができる。その際、先頭動画データは端末装置に予め記憶しているため、ユーザからの選択入力に応じて直ちにプレビュー再生を開始することができ、ユーザに対して画像切り替えに伴うストレスを感じさせない可能性がある。
【0019】
(4) 前記端末記憶部は、複数の前記背景画像それぞれに関する前記先頭動画データを記憶し、
前記端末装置が、複数の前記先頭動画データのうち所定数を同時に再生・表示しつつ、表示した前記先頭動画データのうち一の選択による、当該先頭動画データを含む前記背景画像の再生の要求を待機するステップを更に含む(1)または(2)に記載の方法。
【0020】
このような構成によれば、当該端末装置は、複数の前記背景画像それぞれに関する前記先頭動画データを記憶し、複数の前記先頭動画データのうち所定数を同時に再生・表示しつつ、表示した前記先頭動画データのうち一の選択による、当該先頭動画データを含む前記背景画像の再生の要求を待機する。
【0021】
このことにより、ユーザは、同時に複数の背景画像を見比べて選択をすることができるため、好みの画像が選択し易くなる可能性がある。更に、再生・表示する先頭動画データは端末装置に予め記憶しているので、ユーザは読み込みの時間を待つことはない。
【0022】
(5) 前記端末装置が、前記ユーザから、複数の前記属性データのうち一の選択を受け付けるステップと、
前記端末装置が、前記選択をされた属性データに基づいて、前記動画データの組み合わせおよび再生順序を決定し、前記順列データを生成するステップと、
を更に含む(2)に記載の方法。
【0023】
このような構成によれば、当該端末装置は、前記ユーザから、複数の前記属性データのうち一の選択を受け付け、前記選択をされた属性データに基づいて、前記動画データの組み合わせおよび再生順序を決定し、前記順列データを生成する。
【0024】
このことにより、当該端末装置は、ユーザにより選択された属性データに基づいて、例えばジャンルの一致する動画データを集めた背景画像を構成し、順列データを記憶することができる。よって、ユーザは既存のデータとは異なる背景画像を楽しむことができ、また、再生される動画データが分からないために期待感を覚えたり、意外性を楽しんだりできる可能性がある。
【0025】
(6) 通信回線を介して接続されたサーバが記憶する動画データを、ユーザからの要求に応じて背景画像として再生し、前景画像と合成して表示する端末装置であって、
前記背景画像を構成する前記動画データを識別する識別データの組み合わせおよび再生順序を示す順列データを記憶する手段と、
前記背景画像の先頭から所定の時間以上の再生時間を持つ前記動画データを先頭動画データとして記憶する手段と、
前記ユーザから再生する前記背景画像の選択を受け付けたことに応じて、前記先頭動画データを再生しつつ、後続の前記順列データに対応する前記動画データを前記サーバから受信する手段と、
受信した前記動画データを、前記先頭動画データに続いて前記順列データに従って順次再生する手段と、
を備える端末装置。
【0026】
このような構成によれば、当該端末装置を運用することにより、(1)と同様の効果が期待できる。
【0027】
(7) 前記動画データに関する属性データを、前記識別データに関連付けて記憶する手段と、
前記再生順序に従って次に再生を開始すべき前記動画データについて、未だ前記サーバからの受信が完了していない場合に、既に受信済みの動画データあるいは前記先頭動画データであって、前記属性データが当該再生を開始すべき動画データの属性データと等しいものを代わりに再生する手段と、
を更に備える(6)に記載の端末装置。
【0028】
このような構成によれば、当該端末装置を運用することにより、(2)と同様の効果が期待できる。
【0029】
(8) 複数の前記背景画像それぞれに関する前記先頭動画データを記憶し、
前記ユーザから、複数の前記先頭動画データのうち一の選択を示す入力を受け付けたことに応じて、当該先頭動画データを繰り返し再生しつつ、当該先頭動画データを含む前記背景画像の再生の要求を待機する手段を更に備える(6)または(7)に記載の端末装置。
【0030】
このような構成によれば、当該端末装置を運用することにより、(3)と同様の効果が期待できる。
【0031】
(9) 複数の前記背景画像それぞれに関する前記先頭動画データを記憶し、
複数の前記先頭動画データのうち所定数を同時に再生・表示しつつ、表示した前記先頭動画データのうち一の選択による、当該先頭動画データを含む前記背景画像の再生の要求を待機する手段を更に備える(6)または(7)に記載の端末装置。
【0032】
このような構成によれば、当該端末装置を運用することにより、(4)と同様の効果が期待できる。
【0033】
(10) 前記ユーザから、複数の前記属性データのうち一の選択を受け付ける手段と、
当該選択をされた属性データに基づいて、前記動画データの組み合わせおよび再生順序を決定し、前記順列データを生成する手段と、
を更に備える(7)に記載の端末装置。
【0034】
このような構成によれば、当該端末装置を運用することにより、(5)と同様の効果が期待できる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、背景画像を再生する際に、ユーザがデータの読み込み時間を待機することなく、更に、ネットワークにおける障害やトラフィックの影響を受けにくい動画再生方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明に係る好適な実施形態の一例について、図面に基づいて以下に説明する。ここでは、カラオケシステムについて例示するが、実施形態はこれには限られず、その他コンテンツの作成等、様々なシステムに応用できる。
【0037】
[システムの全体構成]
図1は、本発明の好適な実施形態の一例に係るシステム1の全体構成を表すブロック図である。
【0038】
端末装置10は、通信回線20を介してサーバ30と接続されている。端末装置10は、カラオケ装置60からの画像データ、およびカメラ40にて撮影する歌唱者の画像を取り込み、サーバ30から受信した背景画像と合成し、合成画像をモニタ50に送信する。
【0039】
ここで、カラオケ装置60は、従来公知のものでよく、スピーカ61およびマイク62と接続され、カラオケ装置60あるいは外部サーバに記憶される画像データをモニタ50に送信する。それと共に、歌唱者の音声をマイク62で拾い、同様にカラオケ装置60あるいは外部サーバに記憶される伴奏データと共に、スピーカ61より流す。
【0040】
[端末装置の構成]
図2は、本発明の好適な実施形態の一例に係る端末装置10の構成を表すブロック図である。
【0041】
端末装置10は、通信I/F部110、制御部120、記憶部130、カメラ入力部140、操作入力部150、ビデオ入力部160、ビデオ出力部170を備えている。
【0042】
通信I/F部110は、端末装置10を専用ネットワークまたは公共ネットワークを介して別の演算処理システムまたは記憶装置と接続できるようにするためのネットワーク・アダプタである。通信I/F部110は、通信回線20を介してサーバ30より、動画データを受信する。
【0043】
制御部120は、情報の演算、処理を行う情報演算処理装置(CPU)であり、端末装置10全体の制御を行う。制御部120は、記憶部130に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述のハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0044】
記憶部130は、制御部120と組み合わせてプログラムの実行に使用するローカルメモリ、大容量のバルクメモリ、および当該バルクメモリの検索を効率的に行うために使用するキャッシュメモリを含んでよい。記憶部130を実現するコンピュータ可読媒体としては、電気的、磁気的、光学的、電磁的に実現するものを含んでよい。
【0045】
カメラ入力部140は、カメラ40により撮影するカラオケにおける歌唱者の画像を取り込み、ビデオ入力部160は、カラオケ装置60から、例えば歌詞テロップ等の画像データを取り込む。
【0046】
これらの画像と、通信I/F部110より受信する背景画像となる動画データを、制御部120が合成し、ユーザに提示する画像を生成する。生成した画像は、ビデオ出力部170よりモニタ50に送信し、ユーザに提示する。
【0047】
操作入力部150は、ユーザによる操作入力の受付を行うものであり、キーボード、ポインティング・デバイス等を含んでよい。操作入力部150は、直接または介在I/Oコントローラを介して端末装置10と接続することができる。また、操作入力部150は、赤外線通信等の受信部であってもよく、この場合には、ユーザが操作するリモートコントローラからの操作入力信号を受信することにより、制御部120に制御信号を送信する。
【0048】
[動画データの記憶方法]
図3は、本発明の好適な実施形態の一例に係る動画データの記憶方法を示した概念図である。
【0049】
端末装置10には、再生可能な背景画像を、識別データの組み合わせと順序を示す順列データとして記憶する。例えば図3では、順列データとして、「001」で始まるもの、「002」で始まるもの、「003」で始まるものを記憶している。識別データ「001」で始まる順列データは、続いて「115」、「180」、「203」、「168」の順に再生することを示している。
【0050】
識別データ「001」、「002」、「003」に対応付けられた動画データは、背景画像を構成する先頭の動画データであって、端末装置10の記憶部130に記憶している。このため、ユーザからの再生要求に応じて、即座に再生を開始することができる。なお、待ち時間を少なくするためには、この先頭動画データは、端末装置10のメモリ上に予め展開されていることが好ましい。
【0051】
先頭の動画データを再生した後、端末装置10は、前述の順列データに基づいて、後続の識別データに対応した動画データを再生していくが、当該動画データはサーバ30に記憶しているため、まず端末装置10は、通信回線20を介してサーバ30から当該動画データを読み込む。このように、端末装置10は先頭の動画データのみを記憶するため、記憶部130の容量を効率的に使用することができる。
【0052】
なお、背景画像を構成する動画データは、図3に示す識別データ「180」のように、同一データを重複して利用してもよい。その場合には、当該識別データは、サーバ30の同一ファイルを指し示す。このことにより、無駄なく多種類の背景画像を用意することができる。
【0053】
[動画データテーブル]
図4は、本発明の好適な実施形態の一例に係る動画データテーブルを示す図である。
【0054】
動画データテーブルには、図3に示した識別データと動画データとの関連付けを記憶している。具体的には、識別データ(IDフィールド)と動画データのファイル名(ファイルフィールド)に加えて、動画の内容等を表す属性データ(属性フィールド)、保存場所が端末装置10かサーバ30かの区別(保存場所フィールド)、動画の再生時間(時間フィールド)を記憶する。
【0055】
例えば、図3の順列データで識別データが「001」の動画データは、「001.mpg」というファイル名で端末装置10に記憶され、「宇宙」に関する動画であって「30秒」の再生時間であることが読み取れる。同様に、後続の識別データが「115」の動画データは、属性データが等しく、ファイルはサーバ30に記憶されていることが読み取れる。
【0056】
[メイン処理]
図5は、本発明の好適な実施形態の一例に係るメイン処理の流れを示すフローチャートである。
【0057】
ステップS11では、端末装置10は、再生する背景画像の選択をユーザから受け付け、選択された背景画像の再生を開始する。
【0058】
このとき、端末装置10は、ユーザの選択を補助するためにプレビュー画面の表示を行う。具体的には、例えば、端末装置10に記憶している背景画像の先頭部分である先頭動画データを繰り返しプレビュー再生し、ユーザからの切り替え操作を受け付けることで、別の背景画像に対応する先頭動画データのプレビュー再生に切り替える。このようにしてプレビューされた先頭動画データの中から、ユーザは再生する背景画像を選択する。
【0059】
ここで、プレビューする先頭動画データは、端末装置10のメモリに記憶しているため、読み込みを待機することなく、即座にプレビューの切り替えを行うことができる。
【0060】
プレビューの方法としては、サムネイル形式とすることもできる。具体的には、例えば、図6に例示する背景画像選択画面で、所定の数(例では6)の背景画像の表示を比較することにより、ユーザは再生する背景画像を選択する。
【0061】
図6の例では、6種類の背景画像に対応する先頭動画データを同時にプレビュー再生している。ユーザによる選択候補がハイライト表示(上段中央)され、選択決定の入力を受け付けることにより、対応する背景画像の再生を開始する。
【0062】
なお、記憶している背景画像の種類が1画面よりも多い場合には、左右の切り替えで、新たな6種類の背景画像を表示させる。ここで、プレビューする背景画像は、先頭動画データの一部である静止画や、予め関連付けて記憶した静止画であってもよい。
【0063】
ステップS12では、端末装置10は、ステップS11にて選択された背景画像に対応する順列データを記憶部130から読み込む。これにより、端末装置10は、再生する背景画像を構成する複数の動画データと、その再生順序を取得する。その後、端末装置10は、ステップS13とステップS14の処理を並行して行う。
【0064】
ステップS13では、端末装置10は、ステップS12にて読み込んだ順列データの先頭の識別データを参照し、対応する先頭動画データを再生する。図3および図4の例では、例えば識別データ「001」に対応するファイル「001.mpg」を再生する。
【0065】
ステップS14では、端末装置10は、先頭動画データの後続の動画データをサーバ30に要求し、順次受信していく。図3および図4の例では、識別データ「001」に続く「115」に対応するファイル「115.mpg」をサーバ30から受信する。その後、順列データに従って、識別データ「180」、「203」、「168」に対応する動画データを順次受信する。
【0066】
ここで、先頭動画データ(識別データ「001」に対応する動画データ)は、後続の動画データを受信するのに要する時間以上の再生時間を有するものとする。具体的には、図7に動画データの受信および再生のスケジュールを例示する。
【0067】
図7において、まず、先頭動画データの再生を開始する。これを受けて、後続の動画データの受信を開始する。この例では、後続の動画データは4件で、それら全ての受信が完了した時点では、まだ先頭動画データの再生は終了していない。
【0068】
その後、先頭動画データの再生が終了すると、続いて、受信した後続の動画データの再生を開始する。このように、先頭動画データの再生中に後続の動画データの受信が完了すれば、ユーザに当該受信の間待機させることなく、端末装置10は、背景画像を構成する全ての動画データを連続して再生することができる。
【0069】
なお、図7の例では、先頭動画データの再生中に、後続の動画データ全ての受信を完了させることとしたが、方法はこれには限られない。図7の例では、bとB、cとC、dとD、eとEが重ならなければ、A〜Eの再生が途切れることはない。つまり、b〜eの受信にかかる時間はAの時間を越えてもよい。
【0070】
あるいは、先頭動画データは、後続の動画データの受信と重ならない限り、短くできるともいえる。このように、先頭動画データの再生時間については、後続の動画データの受信にかかる時間に応じて適切に算出することが可能となる。なお、先頭動画データの再生時間が足りない場合には、後続の動画データと結合し、新たな先頭動画データとして予め記憶部130に記憶しておいてもよい。
【0071】
このことにより、端末装置10は、先頭動画データを記憶する記憶部130の容量を効率的に使用することができ、背景画像の選択肢を増やすことができる。
【0072】
図5に戻って、ステップS15では、端末装置10は、ステップS14における後続の動画データの受信が成功したか否かを判別する。例えば、通信回線20の障害により受信できなかった場合や、トラフィックの影響により受信が間に合わなかった場合等、次に再生する動画データを準備できなかった場合、処理をステップS17に移す。後続の動画データを受信できた場合には、処理をステップS16に移す。
【0073】
ステップS16では、端末装置10は、図7で説明した通り、先頭動画データの再生に続いて、ステップS14にて受信した後続の動画データを再生する。
【0074】
ステップS17では、端末装置10は、受信に失敗した動画データに関する属性データを読み取る。具体的には、例えば、動画データテーブル(図4)の属性フィールドを参照し、当該動画データの内容(種類、ジャンル等)を表すデータを取得する。
【0075】
ステップS18では、端末装置10は、受信に失敗した動画データの代わりに再生する代替の動画データを検索する。具体的には、例えば、動画データテーブル(図4)の属性フィールドが、ステップS17にて取得した属性データと同じである動画データを検索する。
【0076】
このとき、検索対象となるのは、保存場所が端末装置10であるか、前述の処理において既に受信済みの動画データとする。このことにより、端末装置10は、代替の動画データについてサーバ30から受信する必要がなくなり、先行の動画データから連続して再生を続けることができる。
【0077】
ステップS19では、端末装置10は、ステップS18にて検索し、決定した代替の動画データを再生する。前述したように、背景画像は複数の動画データの組み合わせであって、一部を入れ替えたとしても、例えばジャンルが同じものであれば、ユーザに違和感を与える可能性は低いため、本処理が有効といえる。
【0078】
なお、ここでは、受信に失敗した動画データに代えて代替の動画データを再生することとしたが、この方法には限られず、例えば、失敗した動画データを省略し、受信が成功した動画データのみでリピート再生することとしてもよい。
【0079】
図8に、動画データの受信に失敗した場合の処理方法を模式的に例示する。例では、動画データA〜Eのうち、Cの受信に失敗した場合を示している。この場合、Cの再生を省略し、A、B、D、Eを再生する方法や、Cの代わりにFを再生する方法等により、前述の順列データにより定義された背景画像を補正し、生成を続行することができる。
【0080】
[順列データ作成処理]
図9は、本発明の好適な実施形態の一例に係る順列データ作成処理の流れを示すフローチャートである。前述の順列データは予め決定して端末装置10に登録してもよいが、本フローチャートでは、端末装置10がユーザからの入力に基づいて、順列データを自動で作成する処理を示す。
【0081】
ステップS21では、端末装置10は、ユーザから属性データの選択を示す入力を受け付ける。具体的には、例えば、動画データテーブル(図4)の属性フィールドに存在する属性データをリスト表示し、ユーザから選択入力を受け付ける。
【0082】
ステップS22では、端末装置10は、ステップS21にて受け付けた属性データに基づき、背景画像に含める動画データを検索する。具体的には、例えば、属性データが受け付けた当該属性データと等しい動画データを検索することとしてよい。
【0083】
ステップS23では、端末装置10は、ステップS22にて検索した動画データの中から、背景画像に含めるものを抽出し、その組み合わせと再生順序を決定する。具体的には、例えば、無作為に選択することとしてもよいし、選択回数の上位(人気が高いデータ)を優先的に選択する等、所定の規則に従って決定してもよい。
【0084】
なお、本処理においては、属性データに基づいて順列データを決定したが、方法はこれに限られず、例えば、フリーワードのキーワード入力を受け付け、動画データテーブル(図4)の属性フィールドとの関連度に基づいて動画データを検索することとしてもよい。このことにより、ユーザの思惑に近い動画データが選択され、効果的に背景画像が作成される可能性がある。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の好適な実施形態の一例に係るシステム1の全体構成を表すブロック図である。
【図2】本発明の好適な実施形態の一例に係る端末装置10の構成を表すブロック図である。
【図3】本発明の好適な実施形態の一例に係る動画データの記憶方法を示した概念図である。
【図4】本発明の好適な実施形態の一例に係る動画データテーブルを示す図である。
【図5】本発明の好適な実施形態の一例に係るメイン処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の好適な実施形態の一例に係る背景画像選択画面を示す図である。
【図7】本発明の好適な実施形態の一例に係る動画データの受信および再生のスケジュールを示す図である。
【図8】本発明の好適な実施形態の一例に係る動画データの受信に失敗した場合の処理方法を模式的に示す図である。
【図9】本発明の好適な実施形態の一例に係る順列データ作成処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0087】
1 システム
10 端末装置
20 通信回線
30 サーバ
40 カメラ
50 モニタ
60 カラオケ装置
61 スピーカ
62 マイク
110 通信I/F部
120 制御部
130 記憶部
140 カメラ入力部
150 操作入力部
160 ビデオ入力部
170 ビデオ出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの端末装置と通信回線を介して接続されたサーバが記憶している動画データを、前記端末装置からの要求に応じて、前記端末装置が背景画像として再生し、前景画像と合成して表示する方法であって、
前記サーバは、複数の前記動画データをその識別データと関連付けて記憶するサーバ記憶部を備え、
前記端末装置は、前記背景画像を構成する前記動画データに関する識別データの組み合わせおよび再生順序を示す順列データと、前記背景画像の先頭から所定の時間以上の再生時間を持つ前記動画データを先頭動画データとして記憶する端末記憶部を備え、
前記端末装置が、前記ユーザから再生する前記背景画像の選択を受け付けたことに応じて、前記先頭動画データを再生しつつ、後続の前記順列データに対応する前記動画データを前記サーバから受信するステップと、
前記端末装置が、受信した前記動画データを、前記先頭動画データに続いて前記順列データに従って順次再生するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記端末記憶部は、前記動画データに関する属性データを、前記識別データに関連付けて記憶し、
前記端末装置が、前記再生順序に従って次に再生を開始すべき前記動画データについて、未だ前記サーバからの受信が完了していない場合に、既に受信済みの動画データあるいは前記先頭動画データであって、前記属性データが当該再生を開始すべき動画データの属性データと等しいものを代わりに再生するステップを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記端末記憶部は、複数の前記背景画像それぞれに関する前記先頭動画データを記憶し、
前記端末装置が、前記ユーザから、複数の前記先頭動画データのうち一の選択を示す入力を受け付けたことに応じて、当該先頭動画データを繰り返し再生しつつ、当該先頭動画データを含む前記背景画像の再生の要求を待機するステップを更に含む請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記端末記憶部は、複数の前記背景画像それぞれに関する前記先頭動画データを記憶し、
前記端末装置が、複数の前記先頭動画データのうち所定数を同時に再生・表示しつつ、表示した前記先頭動画データのうち一の選択による、当該先頭動画データを含む前記背景画像の再生の要求を待機するステップを更に含む請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記端末装置が、前記ユーザから、複数の前記属性データのうち一の選択を受け付けるステップと、
前記端末装置が、前記選択をされた属性データに基づいて、前記動画データの組み合わせおよび再生順序を決定し、前記順列データを生成するステップと、
を更に含む請求項2に記載の方法。
【請求項6】
通信回線を介して接続されたサーバが記憶する動画データを、ユーザからの要求に応じて背景画像として再生し、前景画像と合成して表示する端末装置であって、
前記背景画像を構成する前記動画データを識別する識別データの組み合わせおよび再生順序を示す順列データを記憶する手段と、
前記背景画像の先頭から所定の時間以上の再生時間を持つ前記動画データを先頭動画データとして記憶する手段と、
前記ユーザから再生する前記背景画像の選択を受け付けたことに応じて、前記先頭動画データを再生しつつ、後続の前記順列データに対応する前記動画データを前記サーバから受信する手段と、
受信した前記動画データを、前記先頭動画データに続いて前記順列データに従って順次再生する手段と、
を備える端末装置。
【請求項7】
前記動画データに関する属性データを、前記識別データに関連付けて記憶する手段と、
前記再生順序に従って次に再生を開始すべき前記動画データについて、未だ前記サーバからの受信が完了していない場合に、既に受信済みの動画データあるいは前記先頭動画データであって、前記属性データが当該再生を開始すべき動画データの属性データと等しいものを代わりに再生する手段と、
を更に備える請求項6に記載の端末装置。
【請求項8】
複数の前記背景画像それぞれに関する前記先頭動画データを記憶し、
前記ユーザから、複数の前記先頭動画データのうち一の選択を示す入力を受け付けたことに応じて、当該先頭動画データを繰り返し再生しつつ、当該先頭動画データを含む前記背景画像の再生の要求を待機する手段を更に備える請求項6または請求項7に記載の端末装置。
【請求項9】
複数の前記背景画像それぞれに関する前記先頭動画データを記憶し、
複数の前記先頭動画データのうち所定数を同時に再生・表示しつつ、表示した前記先頭動画データのうち一の選択による、当該先頭動画データを含む前記背景画像の再生の要求を待機する手段を更に備える請求項6または請求項7に記載の端末装置。
【請求項10】
前記ユーザから、複数の前記属性データのうち一の選択を受け付ける手段と、
当該選択をされた属性データに基づいて、前記動画データの組み合わせおよび再生順序を決定し、前記順列データを生成する手段と、
を更に備える請求項7に記載の端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−336055(P2007−336055A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163450(P2006−163450)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(301053992)株式会社日本ブレインウェア (17)
【Fターム(参考)】