説明

動的なフォイル張力による冷間フォイル転写方法

【課題】転写フォイルの許容できない張力変化を識別することができ、このような変化に少なくとも対抗することのできる方法を提供する。
【解決手段】制御回路(301、403)を含む制御システムが第1および/または第2の調整素子(12、13)の運動プロフィールに作用し、第1のプロセス量(z*)が前記制御回路(301、403)でシミュレートされ、該該第1のプロセス量(z*)は、転写フォイル(2)により第1および/または第2の調整素子(12、13)に作用する力(K、F3)または該調整素子(12、13)の実際の運動プロフィールに依存し、前記第1のプロセス量(z*)に依存して、ウェブ張力に対する尺度が計算され、および/またはウェブ張力の振幅が前記制御システム(300、400)により少なくとも制限される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写フォイルから印刷材料に転写層を少なくとも部分的に複写するための方法に関するものである。この方法では、転写フォイルと印刷材料が共通に転写スリットにより案内され、転写層が圧力の作用下で転写フォイルの担体層から剥離され、印刷材料に複写される。この方法のために、転写フォイルがストックローラから繰り出され、転写フォイルの運動方向で転写スリットの前方にある少なくとも第1の調整素子を介して前記転写スリットに案内される。ここでこの第1の調整素子は実質的に所定の運動プロフィールにしたがい、転写フォイルの推進速度が少なくとも一時的に変化するように転写フォイルにアクティブに作用する。
【背景技術】
【0002】
上位概念記載のフォイル複写装置は、印刷製品を加工する際に例えば光沢効果を形成するために使用される。このような機械は、ホットプレス・フォイル機とコールド・フォイルプレス機に分けられる。後者では転写層が印刷材料、例えば巻取り紙に圧力によってだけ複写され、付加的に熱は作用しない。通例、転写装置に前置された印刷機構を備えるコールド・フォイルプレス機では接着剤が印刷に使用される。したがってウェブには接着剤からなる印刷画像が印刷され、この印刷画像がフォイル転写機構内で使用される転写フォイルから転写層を写し取ることができ、この転写層が領域的にウェブに付着する。このようにして転写スリットにある転写層を圧力作用の下で、接着剤の塗布された領域にある転写フォイルから印刷材料へ部分的に複写することができる。
【0003】
したがって使用される印刷材料が巻取り紙形の印刷材料である場合、または転写層を印刷材料に領域的にだけ複写すべき場合、フォイル送り方向で相互に別個の転写層の領域を印刷材料に複写しなければならない。そのため使用されない転写フォイルの消費を抑えるために、転写フォイルの運動を転写フォイルの複写すべき領域に依存してタイミング制御することが公知である。例えば特許文献1では相互に結合された揺動ローラが提案されている。ここではこの揺動ローラの周囲を転写フォイルが案内され、揺動ローラは印刷材料の複写されない領域に依存して相互に同期して引き出され、また引き戻される。ここでは、繰り出し器と転写スリットの間に配置された揺動ローラの所定の運動プロフィールが、転写フォイルの蓄積機能と供給機能を決定する。この揺動ローラとともに転写フォイルが転写スリットで引き出され、また引き戻され、これにより転写フォイルの速度が変化される。ここでは複写過程中の転写フォイルの速度が印刷材料の速度に相当していることが重要であり、複写されない領域では転写フォイルが少なくとも制動されるか、理想的には、転写フォイル層の未だ複写されていない領域が新たな複写過程のために完全に使用可能になるまで引き戻されるべきである。
【0004】
このようなフォイルのタイミング制御の場合、とりわけウェブオフセット印刷機の印刷機構をフォイル転写機構として使用する場合、ウェブ張力のダイナミックな変化が重要である。
【0005】
未公開の特許文献2には、ウェブオフセット印刷機におけるフォイル転写装置が記載されている。この装置では2つの揺動エレメントがフォイルのタイミング制御のために引き出され、引き戻される。ここでは転写スリット前方の揺動装置の前と、転写スリット後方の揺動装置の後にそれぞれ1つの引出し部が設けられており、この引出し部によってフォイルがストックローラから引き出され、またはフォイル転写モジュールの集合ローラに引っ張られる。この引出し装置を介してウェブ張力を、転写スリットの前方と後方で相応に制御することができる。巻取り紙を加工処理する印刷機のオフセット印刷機構にブランケットドラムが使用される場合、ブランケットドラムにチャネルが存在し、ここでフォイルの張力が降下したり、または突然再び上昇するという問題が付加的に生じる。この問題の相応の説明と、引出し部を備える相応の装置の構造については前の特許文献2に記載されている。
【0006】
転写フォイルへのこのダイナミックな作用によって、タイミング制御中には転写スリットの前方と後方でウェブ張力が実質的に交互に降下および上昇する。これは、転写フォイルがチャネルに入り込み、続いてチャネルの端部で転写フォイルとブランケットとの間の摩擦により緊張するためである。加えてそこに記載された装置では、巻き掛けの幾何学的長さが一定ではない。さらにウェブ張力は、ウェブ供給のための反転個所で影響を受ける。このウェブ張力の変動をコントロールできないと、フォイルウェブにぶれが生じることがあり、このことはとりわけ巻取り紙を加工処理する印刷機では、カウンタドラムのグリッパの領域に問題を生じさせることがある。なぜならグリッパがこのようにぶれたウェブと接触することがあるからである。同じように有害なのは、ウェブが過度に引き伸ばされるとその被覆部に損傷が生じることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP 0 932 501 B1
【特許文献2】DE 10 2008 025 285
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明の課題は、転写フォイルの許容できない張力変化を識別することができ、このような変化に少なくとも対抗することのできる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1の方法によって解決される。
【0010】
ここでは制御回路が第1および/または第2の調整素子の運動プロフィールに作用し、制御システムが制御回路を有し、第1のプロセス量が制御回路でシミュレートされる。ここでこの第1のプロセス量は、転写フォイルによりこの調整素子に作用する力(K)または調整素子の実際の運動プロフィールに依存する。
【0011】
したがいこの第1のプロセス量に依存して、ウェブ張力に対する尺度が計算され、ウェブ張力の振幅が制御システムにより少なくとも制限される。
【0012】
この制御回路は調整素子の運動プロフィールを制御するためのものであるから、既存の制御システムを有利には本発明により補完することによりそのまま使用することができる。方法的には、この制御回路の第1のプロセス量を求めれば、この第1のプロセス量をウェブ張力に対する尺度として使用することができる。
【0013】
タイミング制御のために設けられた調整素子の運動プロフィールを達成するために、ここでは制御システムに目標値形成部と制御回路が設けられ、制御回路の調整部材に調整量が制御出力端から供給される。輪転システムの場合、調整量はトルクである。制御区間は、出力増幅部とアクチュエータを含む調整部材、ならびに揺動ローラの並進運動のための結合部材を含む。したがって本発明によれば、すでに既存の制御システムのエレメントをそのまま使用することができる。
【0014】
ウェブ張力のために計算された代替量の精度および時間特性に対する要求に応じて、措置が異なることは面倒である。本発明によればこの課題は、2つの異なる面倒な方法により解決される。
【0015】
比較的面倒ではない変形形態では、制御と制御区間の伝達関数からのウェブ張力の分析的計算が、計算時間を節約する解決手段として使用される。複雑性を高めれば、いわゆるルーエンバーガー観測器または識別観測器を使用した面倒な推定方法によってウェブ張力を計算することができる。この観測器の変形例がいわゆるカルマンフィルタである。両方の場合とも推定方法は制御技術で公知である。両方の推定方法とも、前記課題の解決に適する。別の実施形態は、以下では簡単に観測器と称する識別観測器に関連するものである。開発方法自体にはここでは詳細に立ち入らない。いわゆる極値設定の簡単な方法により良好な結果を達成できることを述べるだけにしておく。
【0016】
ウェブ張力を分析的に計算するために、回転角と、アクチュエータおよび揺動ドラムの自由度を基準にするその導関数の微分式により制御区間を記述することができる。所属の伝達関数は、互いに代入するとアクチュエータでの回転角を、アクチュエータおよび揺動ドラムでのトルクの関数として送出する。ここで後者はウェブ張力に対する尺度を含む。このようにして得られた全体伝達関数は、アクチュエータでの調整トルクと、アクチュエータでの回転角に影響する揺動ドラムでの障害量の作用を記述する成分を含む。
【0017】
ここでは、アクチュエータであるモータの回転角発生器により制御される従来の揺動駆動部が前提とされる。
【0018】
制御を含めれば閉ループ制御回路の構造情報と、角度および回転数制御器からなる制御器カスケードの伝達関数により、アクチュエータでの回転角を最終的には除外することができる。
【0019】
制御パラメータを含めると、揺動ドラムでの障害トルクに対する伝達関数、ひいては制御器の調整トルクに依存するウェブ張力が得られる。
【0020】
計算では伝達関数の反転により、分子の自由度が分母の自由度より大きくなる。その結果、微分成分が発生し、これは数値的に不安定を引き起こす。
【0021】
このことはPT1フィルタまたはその他のフィルタにより阻止することができる。ここで分母の自由度は分子の自由度に適合され、ウェブ張力のためにこのようにして求められた値の消失時間が延長される。
【0022】
実際にはそこから所与の適用に対して欠点は生じない。それどころかさらなる制限も可能であり、微分項を備える1つまたは複数の成分を省略することができる。
【0023】
したがってさらなる実施形態では、第1のプロセス量が障害量に依存して計算される。この第1の障害量は制御回路の障害量であり、ウェブ張力自体に、または少なくとも転写フォイルのウェブ張力の変化に依存する。このようにして求められた第1のプロセス量から次に上に述べた本発明の評価量が導出される。この評価量が、転写フォイルのウェブ張力についての尺度である。したがってこのプロセス量は、障害量としての実際のウェブ張力に対する推定量または実際のウェブ張力の変化に対する推定量とすることができる。
【0024】
制御システムは通常のカスケード制御部または他の制御方法の他に、慣性力、重力および摩擦力に対する予制御部を有する。この予制御部が、実質的に決定要因と見なすことのできる制御回路のパラメータにより調整される。現代の駆動装置の学習運転と関連する自己調整機能が、この課題を容易にする。制御回路は、制御部と予制御部からの調整トルクの和により制御される。
【0025】
予制御部により支援されると、制御器出力側の調整トルク自体は、障害量が作用しない限り小さな値に留まる。なぜなら予制御部の不精度だけを調整すれば良いだけだからである。転写フォイルが制御区間に及ぼす作用は障害量として見なすことができ、制御偏差のために調整トルクに有意な作用を及ぼすようになる。
【0026】
改善形態では、ウェブ張力に対する尺度が第1のプロセス量に依存して求められ、このときウェブ張力の動的および/または静的成分が求められる。
【0027】
本発明の方法の複雑な実施形態は推定方法により実現される。この推定方法は精確で遅延のない結果を送出し、その際に微分成分による伝達関数の問題が生じない。観測器を使用すると、区間モデルの状態量に対する推定値からウェブ張力を計算することができる。この観測器は区間モデルを計算機にシミュレートする。アクチュエータおよび揺動ドラムの角度、およびそれらの微分値に対するこの区間モデルの推定値が、実際の値の近似値となる。
【0028】
ウェブ張力は、揺動エレメントの慣性、アクチュエータおよび揺動ドラムの結合駆動部の減衰およびバネ定数に対する既知の区間パラメータを用いて、推定値から直接計算することができる。そのために、区間モデルの基礎となるウェブ張力により惹起されるトルクと揺動トルクとの不均質な微分式において、回転角とその微分値が観測器の相応の推定値により置換される。
【0029】
すべての方法で共通するのは、検出が実質的にセンサを用いずに行われることである。これにより付加的にセンサ系を有利に省略することができる。典型的には測定ドラムの形態にある付加的センサ系は、フォイルウェブとの交互作用を常に形成することとなる。したがって、このようにウェブ張力がセンサにより妨害されることが本発明により回避される。
【0030】
本発明のとくに有利な拡張形態では、調整素子の運動プロフィールのための目標値が制御システムに設定され、前記の方法によって評価量が導出され、この評価量は少なくともウェブ張力のダイナミック成分に対する尺度であり、この評価量が比較量と比較され、比較結果に依存して目標値および/または目標値の変化が適合される。
【0031】
このことは、調整素子の運動プロフィールの目標値のためのウェブ曲線を変形することによって行うことができる。この場合、ウェブ張力が大きく増大する領域において、振幅の求められたウェブ張力に適合された正弦波曲線がウェブ曲線に重畳される。ここでは目標値曲線の勾配の減少を、ウェブ張力が減少するフェーズでの勾配の増大によって補償すべきである。これは節約能力を小さくしないためである。この補償はウェブ張力が増大する前に行うこともできる。しかしいずれにしろ転写層の複写フェーズの外で行う。
【0032】
このようにして有利には、ウェブ張力に対する精確な値を評価量として獲得する必要がなくなる。むしろ所望のウェブ張力に対して限界値を設定すれば十分である。評価量を導出し、比較量よりも大きなこの評価量の変化が、目標値または目標値の変化に対する設定値に入り込み、相応に変化させれば十分である。このようにして調整素子の運動プロフィールは、評価量と比較量との比較に依存して目標値を設定することにより適合され、ウェブ張力がダイナミックに変化することにより損傷したり、品質低下が発生したりすることがない。とりわけ制御システムは次のように構成される。すなわち既知のすべての物理的プロセス量、例えば調整素子の摩擦または調整素子のための駆動部の摩擦、またはフォイルと調整素子との摩擦、ならびに転写ドラムまたは転写スリットでの摩擦、または他の反転エレメントでの摩擦が制御回路のための予制御量にまとめられ、制御回路に残る障害量として調整素子とフォイルとの交互作用だけが残り、したがってこの障害量が制御回路の調整トルクに対する重要なパラメータとして使用されるように構成される。ここで制御システムとは、少なくとも制御回路と予制御部自体を含むものと理解すべきである。制御回路の調整トルクは、調整素子に作用するフォイル力の直接的関数である。そしてこのフォイル力はフォイル張力の直接的関数である。したがって調整トルクの変化はフォイル張力の変化に比例または少なくとも依存し、これを制御回路内で取り出して評価量の評価のために使用することができる。
【0033】
制御回路は本発明によれば、カスケード制御器とすることができ、転写フォイルをタイミング制御するための揺動ローラの運動プロフィールを制御するために用いる。
【0034】
本発明による別の補完的に実施形態では、第1のプロセス量の推定値が観測器により求められ、変更された目標値を求めるために、観測器の推定値が、少なくともフィルタ関数および/または伝達関数を適用するためのフィルタ機構にさらに供給され、変更された目標値が第1の調整素子の運動プロフィールの変化を引き起こし、これによりウェブ張力が所定の限界値を上回らなくなる。
【0035】
本発明の方法の択一的実施形態では、調整素子システムが少なくとも第1の調整素子、フォイルの運動方向で転写スリットの後方にある第2の調整素子、調整素子の駆動モータ、転写フォイル、および調整素子ならびに駆動モータと転写フォイルとの間を機械的に結合し、複写する機構を有する。第1のプロセス量は観測器によって求められる。この観測器は例えば制御技術的に周知のルーエンバーガー観測器である。この観測器は、状態量に対する少なくとも1つの推定値を、調整素子システムの駆動モータ、調整素子のシャフト、転写フォイルであるエレメントのそれぞれ1つの角速度と角度から求める。さらに回転角発生器を、調整素子の駆動モータの領域に設けることができる。この回転角発生器は、駆動モータの回転角に対する値を求める。さらに制御システムの制御回路の制御器の調整量を観測器に引き渡すべきであり、さらに観測器の状態量の推定値は、回転角発生器の値、調整量、および調整素子システムのメカニカルモデルを考慮して求めるべきである。このようにして求められた推定値は、所定の目標値として制御回路の制御器に供給され、引き続きフォイルの少なくとも第2の調整素子への力作用の変動が最小化される。
【0036】
このようにして観測器の状態量が、調整素子システムの種々の構成部材の物理的特性を考慮して、目標値として制御回路に引き渡される。調整素子の運動は観測器でモデル化される。ここでは目標値と実際値が使用され、ここから観測器は運動の状態量を求める。制御器内部の目標値および実際値として機能するこの状態量から調整量が形成される。したがってフォイルが調整素子に力学的に反作用することが実質的に生ぜず、これにより少なくとも第2の調整素子に対するフォイルの力作用の変動を最小にすることができる。発明の課題のこの択一的解決手段では、同様に推定方法が使用される。ここでは観測器を基礎とする区間モデルが決定的に拡張されている。本発明によれば、転写フォイルの反作用がもはや障害量と見なされず、反作用自体がプロセス量として処理される。ここでの目的は、フォイル運動の揺動を行う制御回路を、揺動運動がフォイル運動からだけ実行されるように構成し、実質的に別の外部の目標値、とりわけ別のセンサを必要としないようにすることである。
【0037】
揺動エレメントへの転写フォイルの反作用を区間モデルに含めると、この課題は、さらなる制御技術的機能、とりわけ揺動位置に対する目標値を送出する観測器の形態の推定方法を使用して、別の外部の設定を必要とせずに解決される。理想的な場合、揺動は転写フォイルの最小の力反作用により行われる。
【0038】
本発明によれば転写フォイルは、揺動ドラムを観測器の区間モデルにフレキシブルに結合する概念的質量として受け入れられる。この形態のモデリングは、装置の構造的特徴が考慮される場合、問題なく行うことができる。推定すべきなのは、とりわけその長さと転写フォイルの被覆質量が重要なパラメータを送出する伸長区間である。
【0039】
揺動エレメントに反作用する力が最小値になるよう努められるから、フォイル自体はバネ定数に対する有効な代替値と、フォイルの伸長区間および被覆質量の集中質量とにより、所与の構成に基づいて簡単にモデル化することができる。適用のためには機械工学で通常の近似計算を使用することができ、例えばバネの総質量の1/3が集中質量である。
【0040】
この方法は、フォイルをモデル化するパラメータ変動に対して頑強である。なぜなら揺動ドラムに及ぼすフォイルの力作用が短時間の過渡時間後に最小となるからである。限界値はパラメータに関係なくゼロに近似しようとする。なぜならこれは制御システムだからである。さらにフォイルの運動についての知識または仮定が存在する必要がない。なぜなら制御システムの設計の際にこれに関する前提条件を設けていないからである。したがって動的な反作用力は一般的な使用のもとで最小となる。
【0041】
制御のために例えば従来のカスケード制御器が使用される。このカスケード制御器は、観測器から送出されたフォイル位置と揺動位置の状態量の差をゼロに制御する。この制御は、これらの位置をカスケード制御器に、目標値および実際値として引き渡すことにより行われる。さらに予制御のために、すなわち制御を改善するために、観測器が同様に送出する位置の導関数が制御器カスケードに供給される。これにより少なくとも速度を制御することもできる。
【0042】
障害なしにフォイルを搬送するためには有意なウェブ張力が、軌道の静粛な動きを達成するために必要である。そのために本発明の制御システムの構造は、所望のウェブ張力の設定を可能にする。
【0043】
制御システムの他のプロセス量に関係なく、ウェブ張力の形成のための所定の力を制御システムに入力することができる。そしてこの力はオフセットとして、最小化されたダイナミックな力に重畳される。このようにしてウェブ張力を広い範囲で所定の値にもたらすことができ、ダイナミックな力が最小となる。その際、このウェブ張力を明確に測定する必要はない。
【0044】
有利な改善形態では制御システムの案内量として、転写フォイルのウェブ張力に対する値がオフセットとして設定される。このようにしてウェブ張力は、フォイルへの第2の調整素子の一定の力作用として、最小化された変動に重畳される。まず変動が最小化されれば、このようにして有利なウェブ張力を設定または調整することができる。
【0045】
本発明の別の有利な拡張形態では、実際のウェブ張力を転写機構内の実際の条件に転写中に適合するために、ダイナミックなプロフィールがこのオフセットのために設定される。
【0046】
これに対して択一的な実施形態では、相互に依存せずに、調整素子システムの駆動モータがリニアモータである。したがって回転角発生器の代わりに線形位置発生器が設けられ、調整素子の角速度および/または角度の代わりに速度と位置が推定され、または求められる。
【0047】
本発明の方法および制御回路への要求を最小にするために本発明では、ウェブ張力変動の最小化またはウェブ張力のオフセット設定を所定の期間でだけ行う。すなわち、フォイルの推進速度が、フォイル転写中の転写スリットにおける印刷材料の速度に相当するフェーズ以外の期間でだけ行うのである。したがって本発明の方法、とりわけウェブ張力変動の最小化またはウェブ張力に対するオフセット設定を、フォイルがタイミング制御されるときにだけ実施すればよい。これによりモデル計算で偏差が時間とともに増大することが阻止される。なぜならこのモデルの状態量が、タイミング制御フェーズの外で区間の実際の状態量に同期されるからである。これによりモデルのドリフトが対抗作用される。フォイルのタイミング制御が行われなければ、ウェブ張力変動の最小化またはオフセット設定も行われない。
【0048】
本発明の実施例から本発明のさらなる特徴が明らかとなるが、本発明はこの実施例に制限されるものではない。この実施例が図面に示されており、以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】タイミング制御を行うフォイル転写機構の構造を示す概略図である。
【図2】相応のフォイル転写機構を備えるフォイル転写装置を示す概略図である。
【図3】揺動エレメントとフォイルを備える制御システムの物理的概略図である。
【図4】図3の物理的システムを座標回転して説明する図である。
【図5】ウェブ張力を検出するための制御システムの基本図である。
【図6】観測器が拡張された、図5の制御システムの基本図である。
【図7】フォイルウェブを制御システムのエレメントとして備える制御システムの物理的概略図である。
【図8】回転パラメータを備える、図7の物理的システムの概略図である。
【図9】揺動エレメントに反作用するウェブ張力を低減するための制御システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1にはフォイル転写機構1が示されており、ここでは転写フォイル2が転写スリット3を通過する。
【0051】
転写スリット3は、転写ドラム5とカウンタドラム4により形成される。転写フォイル2はストックローラ7から繰り出され、前方の引出し部9により転写スリット3の方向に引き出される。ストックローラ7はここに図示しない摩擦シャフト上にあり、印刷材料21の速度よりも低い速度で駆動される。ストックローラ7の駆動は摩擦シャフトを介して行われる。転写フォイル2は前方引出し部9によりストックローラ7から引き出される。この前方引出し部9は、ストックローラ7の摩擦シャフトよりも高い速度で回転駆動される。それでも前方引出し部9は、印刷材料21の速度より低い速度で駆動される。これによりフォイル材料を節約するために、転写フォイル2をタイミング制御することができる。
【0052】
巻き取られた転写フォイル2は、タイミングモジュール11の前方揺動エレメント13と別の反転ローラ6を介して転写スリット3を通るように案内され、転写フォイルは転写ドラム5と巻付け角αをなす。転写スリット3の後方では転写フォイル2がさらに反転ローラ6を介して偏向され、後方揺動エレメント12に案内される。この後方揺動エレメントは転写フォイル2を反転し、後方引出し部10に供給する。後方引出し部10によってフォイル2は集合ローラ8に偏向される。集合ローラ8も摩擦シャフトに支承されており、この摩擦シャフトは後方引出し部よりも速く駆動される。このようにして摩擦シャフトと本来の集合ローラ8との間にスリップが生じる。このことはストックローラ7に対しても当てはまる。
【0053】
印刷材料21はカウンタドラム4を介して、転写フォイル2とともに転写スリット3を通過するよう案内される。ここに図示しない転写層を複写する際、転写フォイル2と印刷材料21は同じ速度である。
【0054】
転写ドラム5は、ここに詳細に図示されていないブランケットを有する。チャネル20も設けられており、これによりカウンタドラム4の側にあるグリッパを受け入れることができる。
【0055】
チャネル20の前方エッジ113が転写スリット3に入り込むと、揺動エレメント13と転写スリット3との間のウェブ張力が崩壊する。転写層が印刷材料21に複写される間、前方引出し部9と前方揺動エレメント13との速度の和が印刷材料21の速度を決定する。このために二重矢印で示した経路に沿って揺動エレメント13が加速方向18に移動する。チャネル20の前方エッジ113がカウンタドラム4と接触することにより、前方揺動エレメント13が後方揺動エレメント12から切り離される。降下したウェブ張力を今度は補償するために、前方揺動エレメント13がモータ15により、これが制動方向19にまず強力に加速されるよう駆動される。これによりこの領域では一定のウェブ張力が達成される。このために制御装置22が前方揺動エレメント13のモータ15を相応に制御する。チャネル20が転写スリット3の領域に完全に入り込むと、揺動エレメント13は低下された加速度で制動方向19に移動される。これにより転写フォイル2は静止状態に達するか、または引き戻される。転写フォイル2が引き戻されることによりウェブ張力が上昇し、これにより極端な場合には転写フォイル2の損傷が生じることもある。
【0056】
後方揺動エレメント12を運動させるために、制御装置22は後方揺動エレメントのモータ14と接続されている。
【0057】
図2は、フォイル転写装置100の一部を示す。このようなフォイル転写装置100は印刷機の中に組み込みことができる。巻取り紙21が、印刷機の従来の印刷機構である塗布機構101により、印刷スリット109を通過するように搬送される。この印刷スリット109では、印刷材料21に部分的に接着剤が塗布される。次に巻取り紙21はさらにフォイル転写機構1を通過して搬送される。すでに述べたように巻取り紙21は転写スリット3を通過するように案内される。この転写スリットで巻取り紙は転写フォイル2の転写層を、巻取り紙自体に接着剤が塗布された領域で写し取る。
【0058】
このように処理された巻取り紙2はさらに印刷機、すなわちフォイル転写装置を通過するように搬送され、巻取り紙は引き続き別の印刷機構103に移動される。この印刷機構103も印刷スリット109を有しており、この印刷スリットはブランケットドラム110とカウンタドラム111から形成される。さらに印刷機構103はインキ機構112を有する。印刷機構103では、転写フォイルが被覆された巻取り紙21が従来のように重ね刷りされる。
【0059】
図3は、図5に示された制御システム400の制御区間200の物理的概略図を示す。この制御区間は揺動ローラ202の駆動部201を有しており、この揺動ローラ202は有利には、図1ないし図2のタイミングモジュール11の前方揺動エレメント13である。この場合、ここに示された駆動部201はモータ15であり、図3は揺動ローラのための駆動部と制御区間の一般的原理を示すものである。駆動部201は、結合エレメント203と固定エレメント207を介して揺動ローラ202軸208と結合されている。結合エレメントは例えばベルト204、反転ローラ205および歯車206からなる。固定エレメントも結合エレメント203の構成部材である。ここには駆動部と揺動ローラについて取り扱う。例えばリニアシステムによるさらに精度を高めた構成も可能である。揺動ローラ202の周囲には転写フォイル2が案内される。揺動ローラ202は図1に示すように、二重矢印の方向に往復運動する。図3に示すように揺動ローラが方向209に移動されると、ウェブ力210が転写フォイル2に作用し、これが相応のウェブ張力となる。このウェブ力は、揺動ドラム202を方向209に移動させる力F2の関数である。ここに図示した例では、揺動ローラ202の側方位置が座標x2により示されている。このように運動される揺動ローラ202は質量M2を有する。
【0060】
少なくとも駆動部201、結合エレメント203およぶ揺動ローラ202を含むこの制御区間200の制御パラメータとして、ここにはバネ定数cと比減衰dが示されている。これらは制御区間のバネ特性と並進的に作用する減衰を表す。
【0061】
この図は転写フォイル2が、矢印211と212の方向に揺動ローラ202の周囲で案内されることを示す。この転写フォイル2の引出しは図1に示すように、フォイル集合ローラ8、引出し部9と10、および場合によりフォイルストックローラ7を介して行われる。この図は有利には前方揺動エレメント13に関連するものであり、とりわけ量的関係を、例えば転写フォイル2の送り速度と送り方向を基準にしては記述することのできない装置の概略図である。
【0062】
図4は、図3の物理的システムを回転パラメータとともに示す図である。
【0063】
ここで駆動部201に所属するパラメータは、指数1を備えるパラメータセット213により示されている。駆動部201の質量の代わりにここでは慣性モーメントJ1が使用され、さらにトルクT1と角度位置φ1が示されている。回転駆動部の代わりに線形駆動部を使用するならば、慣性モーメントT1と角度φ1に類似する相応する質量および位置が適用される。
【0064】
揺動エレメント自体は、その慣性J2に関するパラメータセット214を介して記述され、その位置x2と力F2はトルクT2と角度φ2に変換される。一般的に揺動ローラ202のパラメータは指数2により記述されている。ウェブ力210は、調整量215によりzとして記述される。これはウェブ張力に対する値である。
【0065】
駆動部201と揺動エレメント202との間にある結合エレメント203の線形システムのバネ定数と減衰度に対する相応のパラメータcとdも、座標回転してパラメータCとDとして記述される。
【0066】
制御区間200に対してこのようにして求められた回転パラメータとデータは図5に示された制御システム300で使用される。すなわち制御回路301で、P制御器302とPi制御器303のためのパラメータとして、制御区間200のための入力量としての調整量uを求めるために使用される。
【0067】
実際量yとして揺動エレメントの位置が、駆動部201の座標を回転して求められる。そのために、制御される駆動部のために通常の回転角発生器(ここには図示せず)を駆動部201の領域に設けることができる。
【0068】
駆動部201の角度位置φ1は、制御回路の差分素子304と微分素子305にさらに供給される。差分素子304は、駆動部201の位置φ1の実際値と案内量w’との差分を求める。この案内量w’は位置に対する目標値として、座標φ1における駆動部201の時間に依存して、外部から制御回路301に設定される。駆動部201または揺動ローラ202の速度は微分素子304を介して求められる。一方、相応する速度は目標値として案内量w’から、別の微分素子306を介して揺動ローラ202のために求められる。そこから生じる値は第2の差分素子307に引き渡される。PI制御器はこの差分から調整量を、P制御器の値を考慮して、駆動部201のトルクに対する入力量として発生する。この入力量は、速度φ1の目標位置と実際位置の差分およびdφ/dt1から決定されるダイナミックな量であり、したがって調整トルクとして、フォイル枚ウェブ2を案内する揺動エレメント202における力についての情報を提供する。
【0069】
フォイルウェブ2に作用するすべての力は、揺動エレメント202を運動させるために必要な力の成分を送出する予制御部を用いて求められる。座標を回転するとこの力は、トルクとしてカスケード制御器301の出力端に加算される。
【0070】
決定的なダイナミック力を補償する予制御部は予制御ブロックV325に含まれている。この予制御ブロックには変更された目標値w’が供給される。揺動スリットの慣性モーメントJ1とJ2、ならびに摩擦モーメントTVISKOSおよびTCoulombのために予制御部が必要である。予制御部については、カスケード制御器と同様、制御技術から公知の伝達素子に相当し、ここではそれ以上の説明は不要である。しかしとりわけ予制御部の使用は、この構成の機能に対する前提である。
【0071】
このようにして得られた、調整量uとしての駆動部201のトルクのダイナミック量は評価のために検出機構308に引き渡される。この検出機構は所定のアルゴリズムにしたがい、このトルク量から障害量z*を、制御区間200の障害量に対する推定量として求める。この障害量が揺動エレメントに作用するウェブ力を表す。
【0072】
図5に示されたブロックG308は、ウェブ力を求めるための伝達関数を含んでいる。
【0073】
図4の機械的システムの微分方程式を、図5の制御回路システムの制御回路と関連して立てると、ウェブ力z=TBahnkraftが得られる。このウェブ力の推定値z*がここでは伝達関数としてラプラス領域に示されている。
【0074】
ウェブ力により形成され、揺動エレメントに作用するトルクは次式から得られる。
【数1】

ここでカスケード制御は次にように変形される。
回転数制御器 K*(1+s*T)/(s*T) ただし1次元
は増幅率、Tは後調整時間。
位置制御器 K [1/s]
ただしKは増幅率。
【0075】
微分方程式から略号A、B、Cが、以下の表現のために使用される。
A=s*J1+s*D+C
B=s*D+C
C=s*J2+s*D+C
【0076】
実際に作用するウェブ力が障害量として制御区間200に作用する間、検出機構308はファイルされたアルゴリズムに基づいて、制御区間200の入力量または調整量としてのトルクのダイナミックな設定値から推定されたウェブ力z*を出力し、このウェブ力z*が一方では出力部309に転送される。この出力部309を介してこの値が表示することができ、例えば限界値を上回る際に転写フォイルの緊急停止に使用することができる。
【0077】
推定されたウェブ力z*はさらに目標値変更器310に出力される。この目標値変更器311は目標値発生器311から目標値wを、案内量w’に対する設定値として受け取る。この案内量w’が、揺動エレメントまたは揺動エレメント202の目標位置または揺動エレメント202の駆動部201の角度位置φ1の目標位置に対する値である。推定されたウェブ張力z*に依存して、次に目標値変更器310により目標値発生器311の設定された目標値wが変更される。この変更は、ウェブ張力が時間的に所定の閾値を越えて上昇することのないように適合された案内量w’が発生するように行われる。このためにとりわけ推定されたウェブ力z*の時間経過が使用され、時間経過に依存して、すなわち推定されたウェブ力の時間導関数に依存して、目標値wが相応に適合される。このために例えばウェブ力が危機的に上昇する場合には、目標値wに正弦波状の曲線を重畳することができる。この曲線は、危機的な上昇が発生する前に目標値の勾配をより急峻にし、これにより危機的な上昇の間には目標値曲線の勾配を低減する。ウェブ力変動は周期的であるので、適切な時点を求めることには何らの問題もない。目標値変更は、転写層を複写するための同期運転期間の外でだけ行って良いことは自明である。
【0078】
すでに述べたように差分素子304を介して、揺動エレメント位置または揺動エレメント202の駆動部201の角度位置の目標値と実際値との差が求められ、P制御器に引き渡される。推定されたウェブ力z*はウェブ張力に比例するから、この値を介して入力する値によりウェブ張力またはウェブ力の上昇、またはウェブ力の過度に急速な変化をダイナミックに回避することができる。
【0079】
図6にも、図5と同様の制御システムの原理が示されている。この制御システムでは、障害量としてシステムに作用するウェブ張力またはウェブ力zが、設定値を上回ることがない、またはその導関数が設定値を上回ることができないようにコントロールされる。
【0080】
そのために図6には、図5に示した要素に加えて観測器312が導入されている。図示の観測器は、制御技術から周知の標準的方法である。図5に示した制御システムとの相違は、ブロックG308が省略されていることである。なぜならこれは観測器312により置換されるからである。
【0081】
制御区間200’がここでは、マトリクスA、B、Cと積分器313により概略されている。観測器312はマトリクスA、B、Cを含み、これらのマトリクスは制御区間のマトリクスと同じように設けられている。観測器は積分器とこれらのマトリクスに加えて、マトリクスKを有する。このマトリクスKは観測器の構造に対する制御技術から一般的に公知である。これは観測器312と制御区間200’において状態空間を表す。観測器312と制御区間200’のマトリクスにはプロセスパラメータ、例えばバネ定数C、比減衰D、慣性モーメントI等が含まれる。これらのプロセスパラメータは構造的に設定されているものでない限り、先行の方法ステップで求め、決定しなければならない。マトリクスA、B、Cは、図4の物理的機能原理に基づき微分方程式を立て、マトリクス表現に代入することにより求められる。2つの質量店、弾性および減衰により、4次元のシステムが得られる。
【数2】

【0082】
マトリクスKは観測器のダイナミクスを決定し、例えば極値設定により求められる。これについては専門文献を参照されたい。
【0083】
調整量u1、u2としてこの基本原理ではウェブ力zと、揺動ローラ202の駆動部201に対する設定トルクu1が設けられる。ウェブ力zは、実際のプロセスでは既知でなく、障害量として機能する。ここで択一的に調整量をベクトル量として表現することもできる。調整量は制御区間200にも、観測器312にも入力される。制御区間200から生じた実際量yが駆動部201の位置φ1として出力される間、観測器はプロセスパラメータに基づいて推定された実際量y*を求める。差分素子314を介してこれらの値の差が、観測器312のマトリクスKにフィードバックされる。すでに上に述べたように、マトリクスKは極値設定の方法により求めれば十分である。続いて観測器312での反復的方法により、一般的にx*またはその導関数dx*/dtとして記述される状態量が、実際値yと推定実際値y*の差がゼロになるよう適合される。次に観測器は推定値として状態量、すなわち位置φ1*、φ2*とその導関数を求める。ウェブ力z*の計算は、φ1*、φ2*、dφ2/dtおよびd2φ/dtから、差分素子315と316および検出素子317、318および319を用いて行われる。これらの検出素子では状態量が区間パラメータc、dおよびJと乗算される。ここでも計算されたウェブ力は推定された障害量z*の形態で目標値変更器310に引き渡される。目標値変更器310はすでに上に述べたように、変更された案内量w’を求め、これを制御回路301に引き渡す。この制御回路301で、すでに図5で説明したように駆動部202のトルクに対する調整量u1が求められる。図5で説明した実施形態と異なることは、調整量uがここではウェブ張力の検出に直接使用されないことである。さらに図5の実施形態による方法とは異なり、予制御部がウェブ張力の検出のために不要である。予制御部による制御の改善についてここでは触れない。
【0084】
同じエレメントには先行の図面で説明したのと同じ参照符合が付してある。
【0085】
計算技術的コストを高めれば、図5の実施例の検出機構G308は回避される。さらに観測器312によって、一般的状態量x*、dx*/dtおよびdx*/dtが求められ、これらから相応の検出素子317、318、319が、より正確にほぼ遅延なしで推定されたウェブ力を障害量z*として送出する。ウェブ力またはそれに比例するウェブ張力である障害量に対して反復的で近似したこの推定値により、それらの影響を正確に推定することができる。この推定値によっても、図5の実施形態に記載された措置を執ることができる。これによりウェブ張力を簡単に調整、制限することができ、またはその変動を最小にすることができる。相応にして付加的に出力309も可能である。
【0086】
本発明の別の択一的実施形態として図7は、制御区間200’の別の機械的概略を示す。この制御区間200’でもフォイルウェブ2自体が制御システムの構成部材とともに固有のエレメントとなる。ここでも同じエレメントには先行の図面と同じ参照符合が付してある。ここに図示されているのは、フォイル搬送機構1の前方揺動エレメント13ではなく、フォイル搬送機構1の後方揺動エレメント12である。とりわけ引出しローラ321と322を備える後方引出し部10が図示されており、これらの引出しローラはフォイルウェブ2が挟み込まれるスリット324を有する。
【0087】
図7に示され、以下に説明する方法は、前方揺動エレメントのタイミング制御から生じるウェブ張力変動の問題を解決するために、後方の揺動エレメントシステムで使用される。この構成の基本原理だけを示すから、図7では実際の揺動エレメントシステムの個々のエレメントの正確な配置構成に特別の注意は払われていない。したがってこの原理は一般的に適用可能であり、揺動エレメント202’周囲のフォイル2の正確な運動方向も物理的機能に対しては重要でない。
【0088】
しかし制御区間の説明に重要なのは引出し部である。この引出し部の締付け個所により、フォイルの近似的モデリングを、結合された集中質量エレメントと仮定することができる。この質量エレメントは引出し部とは反対側で揺動エレメントにより運動されるフォイルセグメントにより発生する。これは図7で太線で強調されている。したがって速度が揺動エレメントにより変化される全質量を考慮すべきである。揺動エレメントにより惹起されないが重畳されたフォイル運動は、ここでは機能的に重要な影響を持たない。図7に示すように揺動エレメント202’の運動は、位置x2での力F2の方向で、フォイルウェブに所属の位置x3で力F3を及ぼす。このフォイル力は、フォイルのそれぞれの部分区間で揺動エレメント202’の上方領域と揺動エレメント202’の下方領域に分れるから、揺動エレメントに作用する力f2のそれぞれ半分の大きさである。ここでも図3と同じプロセスパラメータcとdが示されている。しかし機能原理は、そのウェブ力が揺動エレメントに反作用するフォイル2から見るとより明白である。ここでは付加的に例えば測定または計算により、プロセスパラメータcとmを集中バネ定数および集中質量として量的に求めなければならない。比減衰dは無視することができる。ダイナミックに分析するために、転写フォイル2を少なくともスリット324から考察する。このスリットは分離個所として作用する分離部である。揺動ローラ202’は質量を伴うフォイル区間210を搬送する。このフォイル区間210の一部領域だけがここに図示されている。パラメータmはここではフォイル質量を表す。フォイルがさらに経過すると、ここに同様に図示しないさらなる案内エレメントが必要になる。しかしこの案内エレメントもダイナミック分析の点では分離部である。
【0089】
締付け個所は大きな摩擦を有する個所、またはフォイル2により加速される大きな質量を有する反転ローラであり、分離個所としても作用する。質量の小さい反転ローラは、これが実質的に巻取り紙と同期して走行する場合にはフォイル質量に加えることができる。すでに上に述べたように、パラメータを正確に求めることは重要ではない。なぜなら制御方法は常に収束するからである。しかしパラメータc、mの精度は、内部プロセス量の過渡時間に影響し、したがってダイナミックなウェブ力を最小にする揺動エレメント202’の応答時間に影響する。例えば有効質量mはフォイル2の被覆質量から求めることができ、バネの場合のような弾性延性の場合には総質量のほんの一部である。
【0090】
制御区間200’からの状態量をすべて同じに取り扱うことができるようにするため、この状態量は図4で説明したように、回転パラメータに変換される。このことが図8に示されており、フォイル2の無視できる比減衰Dは座標を回転して形式的に引き渡され、バネは回転システムでバネ定数Cを有する。フォイルのウェブ力は同様にトルクT3に、その位置は角度φ3に変換され、フォイルの有効質量Mは慣性モーメントJに変換される。これはパラメータセット325により示されている。駆動部201に対しても、図4のパラメータセット213に示したのと同じように同じように変換されるが、ここでは駆動部201に対する慣性モーメントとして指数Mが用いられている。揺動エレメントの慣性モーメントに対する指数として指数Tを有するパラメータセット214’に対しても同じことが当てはまる。ここでは付加的に粘性摩擦力とクーロン摩擦力がプロセスパラメータとして考慮されている。
【0091】
種々のパラメータを、座標を回転して説明することから出発して、図9には制御システム400の基本原理が示されている。この制御システム400は揺動エレメント202’に反作用するウェブ力F3を最小にする。したがって駆動部201は、ダイナミックなウェブ力F3が揺動エレメント202’に作用していないかのように揺動エレメント202’を運動させ、揺動エレメント202’はそのようなウェブ運動にしたがう。すでに述べたように、所望のウェブ力Tは一定であるか、またはプロフィールを備え、安定した運動のために重畳することができる。
【0092】
ここでも同じエレメントには先行の図面と同じ参照符合が付してある。
【0093】
ここでも拡張された制御区間200’が状態空間に図示されている。したがってこの制御区間を観測器312のために使用することができる。ここでも差分素子314を介する反復ループが、制御区間200’に対して推定された状態量x*、dx*/dt、およびdx*・dtをできるだけ正確に、観測器312からの推定量として出力するために使用される。
【0094】
マトリクスA、B、Cがここでも、図8の物理的機能原理に基づき微分方程式を立て、マトリクス表現に代入することにより求められる。
【0095】
3つの質量点、弾性および減衰により、6次元のシステムが得られる。
【数3】

【0096】
マトリクス成分はコンマにより、行はセミコロンにより分けられている。
【0097】
マトリクスKは観測器のダイナミクスを決定し、ここでも同様に極値設定により求めることができる。
【0098】
本発明では2つの質量点しか備えない簡単な構成も可能であることを述べておく。この場合は、フォイル力F3がバネを介して揺動ローラ202’にモデル的に作用する。このばねは揺動エレメント202’への力作用を物理的にモデリングするためだけの代替素子である。したがってフォイル2の代用位置は、力F3とバネ定数cから簡単に計算することができ、これが目標値として機能する。バネ定数cは仮想と見なすことができ、広い領域で変化することができる。なぜなら制御は、フォイル2の代用位置と揺動エレメント202’の位置との差をいずれにしろ最小にするからである。
【0099】
ダイナミックなウェブ力を最小にするための揺動エレメント202’の制御原理は、上に述べたように必ずしも別のセンサを使用せずに行わなければならないものではない。例えば力センサを備える測定ドラムにより、ウェブ力を直接検出することができる。そのようにして得られた測定値は、測定ドラムのダイナミック特性を考慮してさらに処理し、例えば信号の固有振動を減衰するために使用することができる。このように処理された測定値により、ウェブ力を制御システムにより目標値に直接制御することができる。このことは制御器に、目標値−実際値の差を印加することにより行われる。ここでもカスケード制御器ならびに通常の予制御部および/または観測器を使用することができ、これらは調整トルクを駆動部201’に供給する。付加的センサの欠点についてはすでに述べた。
【0100】
この簡素化したモデルまたは構成により達成される結果は、不正確なダイナミック特性を有する。したがって以下では3つの質量点による解決手段を考察する。
【0101】
図6の制御システムとは異なり、揺動エレメント202’に反作用するウェブ力の障害量z*を求めるため、にここでは状態量dφ3*/dt、dφ2、3*/dt、およびφ2、3は使用せず、観測器312から取り出される目標値と実際値による補償制御が実行される。制御器の調整量からウェブ張力が求められる本発明の択一的実施形態とも異なり、制御器は揺動エレメント202’へのウェブ力F3をダイナミックに補償するための制御システムの構成部分である。揺動ローラ202’に作用するウェブ力F3をできるだけ小さくするために、ここでは揺動ローラ202’の角度位置とフォイルウェブ2を記述する状態量φ2*とφ3*が、制御回路403の差分素子401を介して公知のP制御器302に供給される。フォイル2の位置を記述する状態量φ3*がここでは案内量、すなわち揺動エレメント202’の実際位置φ2*に対する目標値として使用される。制御回路403の役目は、P制御器におけるφ2*とφ3*との差をゼロに近づけることである。この場合、揺動エレメント202’がフォイル2に正確に追従するという物理的効果が達成される。したがってフォイル2は揺動エレメント202’に力作用せず、揺動エレメント202’は擬似的に力なしで運動することができる。
【0102】
制御特性を改善するためにさらに、揺動エレメント202’とフォイル2の位置の導関数dφ2*/dtおよびdφ3*/dtが差分素子402を介し、速度差としてPI制御器403に引き渡される。このPI制御器はすでに図6に示されている。ここでも駆動部201に対するトルクu1が、制御区間200’に対する調整量または入力量として得られる。
【0103】
u1のさらなる調整量として非線形クーロン摩擦TCoulomb*に対する予制御トルクを、例えば図9には図示されていない特性曲線の形態で制御の改善のために加算すべきである。図9には図示されていないが粘性摩擦の予制御は、わずかな程度しか制御の改善に寄与しない。
【0104】
付加的に設定すべきウェブ力(ここではトルクTとして示す)を、所望のウェブ力F3に延性として制御で重畳することができ、これにより制御区間200’に対して共通の調整量u1が得られる。
【0105】
延性として重畳されたウェブ力はモデル化されたウェブ質量の位置をシフトさせる。このシフトにより生じた制御偏差がウェブ力に対する所要の対抗トルクを形成する。
【0106】
観測器213と制御区間200’内で考慮する他に、フォイル2のバネ定数Cもそのために使用される。座標を回転してプロットされたTが、Cを含む割り算素子404を介してP制御器302の入力端にフィードバックされ、これにより揺動質量の相応の位置偏差が制御器入力端で減算される。
【0107】
この区間の真のプロセス量は摩擦TCoulimb、Tviskosと所望のウェブ力TBahnkraftを含み、これらは図8で制御区間のために相応にモデル化されなければならない。
【0108】
ここに示した例では、座標回転されたF3での真のウェブ力が制御区間200’の入力量u3として示されている。これは揺動スリットの摩擦TCoulombと同じである。なぜなら生じた力は図9に示すように、周囲への切断力を形成するからである。
【0109】
この力についての特別の知識は必要ない。なぜなら観測器312を介して揺動エレメント202’の位置φ2*と、フォイル2の位置φ3*が相応に推定されるからである。引き続きこれらの位置の差は制御回路403でさらに最小化される。したがって実際に作用するウェブ力F3に関係なく、トルクu1だけを制御区間200’の駆動部201に入力すればよい。
【0110】
制御区間200’の過渡特性をさらに改善するために、付加的に別の予制御素子405が設けられている。この予制御素子405は観測器312から、機械装置全体の加速度に対する推定値dφ3*/dtを受け取り、駆動部201、揺動エレメント202’および結合エレメント203の作用する慣性モーメントJとJに依存して予測される所要のトルクを予制御値TPrestとして出力し、制御回路403の出力端に引き渡す。
【0111】
したがって制御システム400の前記構造では、タイミング制御により惹起され反作用するウェブ力F3を調整し、所望のウェブ張力を設定することによって、ウェブ張力を前もってコントロールすることができる。このことは揺動エレメント202’が、駆動部201とフォイル2の制御によって追従することにより行われる。このためにウェブ力F3を別個に検出する必要はない。
【0112】
転写層を印刷材料に複写するために同期運転をタイミング制御する間は前記の制御を中断することができ、これにより駆動部は同期運転のための正確な目標値を受け取る。
【0113】
ここに示したすべての場合で、ウェブ力および/またはウェブ張力を検出するための特別のセンサは必要ない。
このようなセンサにはコストが掛かり、実施形態によってはセンサが巻取り紙2に常に反作用するようになり、そのためセンサ自身が制御パラメータを不正確なものにすることとなる。このようなセンサがフォイル2の運転に作用することによって品質劣化も生じる。
【符号の説明】
【0114】
1 フォイル搬送機構
2 転写フォイル(巻取り紙)
3 転写スリット
4 カウンタドラム
5 転写ドラム
6 反転ローラ
α 巻付け角
7 ストックローラ
8 集合ローラ
9 前方引出し部
10 後方引出し部
11 タイミング制御モジュール
12 後方揺動エレメント
13 前方揺動エレメント
14,15 モータ
16,17 二重矢印
18 加速矢印
19 制動矢印
20 チャネル
21 印刷材料
22 制御装置
100 フォイル転写装置
101 複写機構
102 転写機構
103 印刷機構
105 転写スリット
106 転写ドラム
107 カウンタドラム
108 転写フォイル
109 印刷スリット
110 ブランケットドラム
111 カウンタドラム
112 インキ機構
113 前方エッジ
114 後方エッジ
200’,200 制御区間
201 駆動部
202’,202 揺動ローラ
203 結合エレメント
204 ベルト
205 反転ローラ
206 歯車
207 固定エレメント
208 軸
209 方向矢印
210 ウェブ力
211,212 運動矢印
214’,325,213,214 パラメータセット
215 障害量
300 制御システム
301 制御回路
302 P制御器
303 PI制御器
307,304 差分素子
305,306 微分素子
308 検出機構
309 出力部
310 目標値変更器
311 目標値発生器
312 観測器
313 積分器
314,315,316 差分素子
317,318,319 検出素子
320 運動矢印
321,322 引出しローラ
323 引出し部
324 スリット
325 予制御ブロックV
400 制御システム
401,402 差分素子
403 制御回路
404 割り算素子
405 予制御素子
F2 力
X2 座標
z* 推定されたウェブ力
z ウェブ力
z’* 障害量
w 目標値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写フォイルから印刷材料に転写層を少なくとも部分的に複写するための方法であって、
前記転写フォイルと前記印刷材料が転写スリットにより共通に案内され、前記転写層が圧力の作用下で前記転写フォイルの担体層から剥離され、前記印刷材料に複写され、
前記転写フォイルはストックローラから繰り出され、
写転フォイルの運動方向で転写スリットの前方にある、少なくとも1つの第1の調整素子を介して該転写スリットに案内され、および/または
転写フォイルの運動方向で転写スリットの後方にある、少なくとも1つの第2の調整素子を介して該転写スリットからさらに搬送され、
前記第1の調整素子は実質的に所定の運動プロフィールにしたがい、転写フォイルの推進速度が少なくとも一時的に変化するように転写フォイルにアクティブに作用し、
および/または前記第2の調整素子はウェブ運動に依存して調整される形式の方法において、
前記制御回路(301、403)を含む制御システムが前記第1および/または第2の調整素子(12、13)の運動プロフィールに作用し、
第1のプロセス量(z*)が前記制御回路(301、403)でシミュレートされ、
該該第1のプロセス量(z*)は、転写フォイル(2)により第1および/または第2の調整素子(12、13)に作用する力(K、F3)または該調整素子(12、13)の実際の運動プロフィールに依存し、
前記第1のプロセス量(z*)に依存して、ウェブ張力に対する尺度が計算され、および/またはウェブ張力の振幅が前記制御システム(300、400)により少なくとも制限される、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記制御回路(301、403)の第1の障害量(z)は転写フォイル(2)のウェブ張力に依存し、少なくとも該ウェブ張力の変化に依存し、
前記第1のプロセス量(z*)が該障害量(z)に依存して計算され、
該第1のプロセス量(z*)から、前記転写フォイル(2)のウェブ張力に対する尺度である運動量が導出される、ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の方法において、
前記ウェブ張力に対する尺度が、前記第1のプロセス量(z*)に依存して決定され、
該ウェブ張力の動的および/または静的な成分が決定され、
前記決定は実質的にセンサを使用せずに行われる、ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2乃至3のいずれか1項に記載の方法において、
前記調整素子(12、13)の運動プロフィールに対する目標値が前記制御システム(300、3400)に設定され、
前記第1のプロセス量(z*)から、ウェブ張力の少なくとも前記動的な成分に対する尺度である評価量が導出され、
該評価量が比較量(w)と比較され、
該比較の結果に依存して前記目標値(w’)および/または該目標値の変化が適合される、ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法において、
前記第1のプロセス量の推定値が観測器(312)により求められ、
変更された目標値(w’)を決定するために、前記観測器の推定値がフィルタ機構に少なくとも1つのフィルタ関数および/または伝達関数を適用するために供給され、
前記変更された目標値(w’)は前記第1の調整素子の運動プロフィールを変化させ、これにより前記ウェブ張力は所定の限界値を上回らない、ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、
調整素子システムが、少なくとも第1の調整素子(13)と、前記フォイル(2)の運動方向で前記転写スリット(3)の後方にある第2の調整素子(12)と、該調整素子(12、13)の駆動モータ(14、15)と、転写フォイル(2)と、前記調整素子(12、13)、前記駆動モータ(14、15)および前記転写フォイル(2)の間にある機械的結合搬送機構(203、204)とを有し、
前記第1のプロセス量(z*)が部分的に観測器(312)により求められ、
該観測器(312)は、状態量に対する少なくとも1つの推定値を、前記調整素子システムの駆動モータ(14、15)、調整素子(204)のシャフト、および転写フォイル(2)の角速度と角度から求め、
回転角発生器が、前記駆動モータ(14)または調整素子(12、13)の駆動モータ(14、15)の領域に設けられており、
該回転角発生器は、前記駆動モータ(14)または駆動モータ(14、m15)の回転角に対する値を検出し、
前記制御システム(400)の制御回路(403)の制御器の調整量(u1)が前記観測器(312)に引き渡され、
状態量に対する推定値が前記観測器(312)により、前記回転角発生器の値、前記調整量(u1)および前記調整素子システムの機械機構のモデルを考慮して求められ、
このようにして求められた推定値が目標値として、前記制御回路(403)の制御器に供給され、
少なくとも前記第2の調整素子に及ぼされる、前記フォイル(2)の力作用の変動が最小化される、ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法において、
前記制御システム(400)の案内量(T)として、前記転写フォイル(2)のウェブ張力に対する値がオフセットとして供給され、
これによりウェブ張力が前記第2の調整素子(12)への一定の力作用として、前記最小化された変動に重畳される、ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法において、
動的なプロフィールが前記オフセットに対して設定される、ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項7記載の方法において、
前記駆動モータ(14、15)の代わりにリニアモータが、前記回転角発生器の代わりに線形位置発生器が設けられており、
角速度と角度の代わりに速度と位置が推定され、または求められる、ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれか1項に記載の方法において、
ウェブ張力変動の最小化またはウェブ張力のオフセット設定は、前記フォイル(2)の推進速度が、フォイル転写中の転写スリット(3)における印刷材料(21)の速度に相当するフェーズ以外の期間でだけ行う、ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−228454(P2010−228454A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71835(P2010−71835)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(390009232)ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト (347)
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
【住所又は居所原語表記】Kurfuersten−Anlage 52−60, Heidelberg, Germany
【Fターム(参考)】