動線計測システム
【課題】 受波信号の最初の立ち上りが小さく、その後徐々に大きくなる性質を有する圧電式の超音波発生素子を使用した場合でも、受波信号の誤検出を可及的に防止する。
【解決手段】 アレイセンサ2の基板1上の左右方向とこれに直交する上下方向に第1、第2及び第3センサS1,S2a,S3aを夫々直線状に配列し、かつ、音源から発生させる超音波の波長をλとするとき、第2センサS2aは第1センサS1からλ/2以下の間隔Lで配置するとともに、第3センサS3aは第1センサS1からn×λ(nは自然数)の間隔で配置する。制御部3は、第2センサS2aと第1センサS1の受波時間の差をn×λ/L倍して第3センサS3aの受波時間の予測値を求める予測手段と、第3センサS3aにおいて前記予測値から所定の時間範囲内に検出された受波信号のみを正しい信号として採用する確認手段を実行する。
【解決手段】 アレイセンサ2の基板1上の左右方向とこれに直交する上下方向に第1、第2及び第3センサS1,S2a,S3aを夫々直線状に配列し、かつ、音源から発生させる超音波の波長をλとするとき、第2センサS2aは第1センサS1からλ/2以下の間隔Lで配置するとともに、第3センサS3aは第1センサS1からn×λ(nは自然数)の間隔で配置する。制御部3は、第2センサS2aと第1センサS1の受波時間の差をn×λ/L倍して第3センサS3aの受波時間の予測値を求める予測手段と、第3センサS3aにおいて前記予測値から所定の時間範囲内に検出された受波信号のみを正しい信号として採用する確認手段を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を利用して検出対象の移動体の位置を追跡する動線計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば下記特許文献1に示すように、位置検出対象の移動体に搭載され超音波を発生可能な音源と、音源から送波された超音波を受波し電気信号に変換する複数個の受波素子が同一基板上に配列された超音波アレイセンサとを備え、超音波アレイセンサの各受波素子で超音波を受波した時間の時間差と各受波素子の配置位置とに基づいて移動体が存在する方位を求める動線計測システムが提案されている。
【特許文献1】特開2007−127663号公報
【0003】
図9は、従来の超音波アレイセンサの基板上に配列されたセンサA〜Cの位置関係を示す図であり、センサAとCの間は距離dを空けて配置されている。図9では、センサA〜Cが配置された面と垂直な方向から左寄りに角度θだけ回転した位置に音源がある。音源までの距離は、センサA〜C間の距離と比較して十分遠くにあるので、図9において、超音波91〜93はほぼ平行に入射していると考えることができる。
【0004】
超音波91〜93は、センサA〜Cの配置面に対して入射角θの角度で入射するため、例えば超音波93がセンサCに到達する時間は、超音波91がセンサAに到達する時間と比較すると、入射角θに依存した時間だけ遅れることとなる。センサAとCの音源までの距離の差は、dsin θの式で求めることができるから、音波速度をν(約340m/s)とすると、センサAとCの超音波の到達時間の差tは、t=dsin θ/νの式で求めることができる。
【0005】
図10〜図11は、図9のアレイセンサに、特許文献1の動線計測システムにおいて音源として利用されている熱励起式の超音波発生素子から送波された超音波を受波させた場合における受波信号の波形を示したものである。何れの図も、(a)がセンサAの受波信号、(b)がセンサBの受波信号、(c)がセンサCの受波信号を示している。
【0006】
熱励起式の超音波発生素子は、発熱体層の両端のパッド間に通電して発熱体層に温度変化を生じさせて超音波を発生させるので、発熱体層への通電を適宜に制御することで発生させる超音波の周波数を広範囲にわたって変化させることができる。図11では残響時間が若干長くなっているが、図10に示すような略1周期の超音波を発生させることもできる。
【0007】
センサA〜Cの受波信号は、図10〜図11に示すように同じ時間軸上に表示すると、一定の時間遅れを有するものとなる。そこで、例えば図10に示すように各波形の最初の立ち上がりに注目すると、立ち上がりの波形はセンサA、B、Cの順に一定時間分だけ遅延した位置に表れる。そして、図10における時間差tは、t=dsin θ/νの計算式で求められるものであるため、逆に、各センサの受波時間の差が分かれば、音源がどの方向に存在するか(入射角θの値)を知ることができる。特許文献1の動線計測システムは、このような方式により移動体の位置を追跡するものである。
【0008】
ところで、特許文献1では、例えば図10に示すような、最初の立ち上りの波形が大きく明確に表れる熱励起式の超音波発生素子を使用しているが、一般に市販されている圧電セラミックス素子(例えば村田製作所製のピエゾタイト(登録商標)等)を超音波発生素子として使用する場合、音圧を上げるため素子への電圧印加を交流電圧のように複数サイクル繰り返し印加する。このため、センサA〜Cの受波信号は、図12に示すように、最初の立ち上り(第1波)は極めて小さく、その後徐々に大きくなって例えば第7〜第10波目に最大になるという性質がある。
【0009】
そのため、第1波を検出するためには各センサの閾値を低いレベルに設定する必要があるが、閾値を低く設定するとセンサの感度が低下し、図12(b)に示すように、第1波を検出できずに第2波E1を誤検出したり、受波信号ではないノイズを拾ってしまう場合がある。
【0010】
また、例えば図13(a)に示すように、第4波を検出できるように閾値を高めに設定しても、センサによっては波形に歪がある場合があるため、図13(b)に示すように、第5波E2を検出し、半波長のずれが生じて検出誤差を生じる場合がある。
【0011】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、受波信号の最初の立ち上り(第1波)が大きく明確に表れる熱励起式の超音波発生素子ではなく、一般に市販されている圧電式の超音波発生素子を使用した場合でも、受波信号の誤検出を可及的に防止することができる動線計測システムを提供することを目的としている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
解決しようとする課題は、受波信号の最初の立ち上り(第1波)が小さく、その後徐々に大きくなる性質を有する圧電式の超音波発生素子を使用した場合でも、受波信号の誤検出を可及的に防止する点である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の問題点を解決するため、本発明の動線計測システムは、
超音波を発生可能な音源と、前記音源から送波された超音波を受波し電気信号である受波信号に変換する複数個のセンサが同一基板上に二次元的に配列されたアレイセンサと、前記受波信号を解析する制御部と、を備え、前記音源、前記アレイセンサのうち何れか一方を位置検出対象の移動体に搭載し、他方を所定の位置に配置した動線計測システムであって、
前記アレイセンサは、前記基板上の左右方向とこれに直交する上下方向に第1、第2及び第3センサを夫々直線状に配列し、かつ、前記音源から発生させる超音波の波長をλとするとき、前記第2センサは前記第1センサからλ/2以下の間隔Lで配置するとともに、前記第3センサは前記第1センサからn×λ(nは自然数)の間隔で配置し、
前記制御部は、前記第2センサと前記第1センサの受波時間の差をn×λ/L倍して前記第3センサの受波時間の予測値を求める予測手段と、前記第3センサにおいて前記予測値から所定の時間範囲内に検出された受波信号のみを正しい信号として採用する確認手段とを備え、
前記確認手段により正しい信号と確認された第3センサの受波信号の受波時間と前記第1センサの受波時間の差と、前記第1、第3センサ間の距離に基づいて、前記音源から送波された超音波の入射角を求め、前記移動体の位置情報を検出することを最も主要な特徴点としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、熱励起式の超音波発生素子ではなく、受波信号が徐々に大きくなる圧電式の超音波発生素子を使用した場合でも、受波信号の誤検出を可及的に防止することができる。
【0015】
本発明において、アレイセンサの基板上に配列したセンサ間の距離を上記のように特定した理由は以下の点にある。
【0016】
熱励起式の超音波発生素子を使用した場合は、受波信号の最初の立ち上り(第1波)が大きく明確に表れるから、第1波を確実に検出することができ、第2波以降を誤検出するおそれがない。しかし、圧電式の超音波発生素子を利用する場合は、共振特性のQ値が大きく残響を伴い、音圧を上げるため素子への電圧印加を交流電圧のように複数サイクル繰り返し印加するため、第1波ではなく第7〜第10波が最大値となることもある。つまり、圧電式の超音波発生素子を利用する場合は、第1波が最大とは限らず、センサの閾値を越えた波形(仮に「第n波」とする。)を検出したとき、その前後の波形(第n+1波または第n−1波)も第n波と同程度の大きさの信号である可能性がある。そうすると、センサ間の距離がλ/2(λは超音波の波長)よりも大きいと、入射角θが0°以上のプラス側の角度で第n波を検出しているのか、入射角θが0°以下のマイナス側の角度で第n+1波を検出しているのかを判別することが困難である。そこで、本発明では、先ずは、第2センサを第1のセンサからλ/2以下の間隔の位置に配置し、いかなる入射角θに対しても第n+1波や第n−1波を誤検出するおそれを無くすようにした。
【0017】
しかしながら、センサ間の距離をλ/2以下とする場合は、超音波が各センサに到達する時間の時間差が極めて小さくなり、当該時間差から入射角を精度良く検出することが困難となる。そこで、本発明では、第3センサを第1センサからn×λ(nは自然数)の間隔を空けた位置に配置した。さらに、本発明では、アレイセンサから出力される受波信号を解析する制御部に、第2センサと第1センサの受波時間の差をn×λ/L倍して第3センサの受波時間の予測値を求める予測手段と、第3センサにおいて前記予測値から所定の時間範囲内に検出された受波信号のみを正しい信号として採用する確認手段を設けるようにした。
【0018】
こうすることにより、本発明では、確認手段により正しい信号と確認された第3センサの受波信号の受波時間とそれに対応する第1センサの受波信号の受波時間の差、及び、第1センサと第3センサ間の距離に基づいて、音源から送波された超音波の入射角を求めることができる。
【0019】
したがって、本発明では、各センサのノイズレベルよりも十分に高い任意の閾値を設定することにより、第1センサが閾値を越えた波形(第n波)を検出したとき、第2センサがその前後の波形(第n+1波または第n−1波)を誤検出するおそれが無く、しかも第1センサと第3センサの間には十分な時間差が得られるので、圧電式の超音波発生素子を利用する場合でも、一定の精度で受波信号を検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態の一例について、図1〜図8を用いて説明する。図1は、本実施例の動線計測システムの受信ユニットの構成を説明する断面図、図2はアレイセンサの基板上に配列した複数のセンサの位置関係を説明する図である。
【0021】
図1において、Rは受信ユニットであり、超音波を発生可能な音源から送波された超音波を受波するとともに受波した超音波を電気信号である受波信号に変換する複数個のセンサS1,S2a,S3aと、センサS2b,S3b(図1においては図示せず)が同一の基板1上に二次元的に配列されたアレイセンサ2と、アレイセンサ2からの受波信号を解析する制御部3と、これらの機器を格納する筐体4とで構成される。
【0022】
センサS1,S2a,S3aは、筐体4の上面板40の裏面に接する位置に配置されている。その接触位置には、図1に示すような、各センサS1,S2a,S3aの上面部の面積よりもサイズが小さい超音波導入孔41,42a,43aを設けている。
【0023】
図2は、アレイセンサ2の構成を説明する図である。アレイセンサ2は、基板1上の左右方向に第1センサS1、第2センサS2a、第3センサS3aを直線状に配列し、これに直交する上下方向にも第1センサS1、第2センサS2b、第3センサS3bを直線状に配列している。
【0024】
左右方向に配列したセンサは、音源から発生させる超音波の波長をλとするとき、第2センサS2aを第1センサS1からλ/2の間隔を空けて配置するとともに、第3センサS3aは第1センサS1から3λの間隔を空けて配置している。また、上下方向に配列したセンサについても、第2センサS2bを第1センサS1からλ/2の間隔を空けて配置し、第3センサS3bは第1センサS1から3λの間隔を空けて配置している。
【0025】
なお、図1では図示していないが、筐体4の上面板40には、センサS2b,S3bが接している部分にも、41,42a,43aと同様の超音波導入孔を設けている。本実施例では、上面板40に超音波導入孔を計5個開口させるとともに、超音波導入孔から筐体内に塵や水が浸入しないように、筐体4の上面板40の上部に超音波透過膜5を取り付けている。この超音波導入孔41,42a,43aと超音波透過膜5の構成の詳細については、後述する。
【0026】
図3は、本実施例の動線計測システムの送信ユニット6と受信ユニットRの構成を説明するブロック図である。本実施例の動線計測システムは、位置検出対象が大型店舗などの建物内で床面の上を移動する移動体(例えばショッピングカートなど)であり、間欠的に超音波を発生可能な音源61を備えた送信ユニット6を移動体に搭載し、一方、音源61から送波された超音波を受波するアレイセンサ2を有する受信ユニットRを例えば店舗の壁や柱、陳列棚、天井面などの定位置に設置し、受信ユニットRに対する音源61の相対位置を求め、移動体の移動状況を追跡し、動線計測を行うものである。
【0027】
音源61の超音波発生素子は、圧電セラミックス素子である村田製作所製のピエゾタイト(登録商標)を使用している。送信ユニット6は、音源61と、固有の識別情報信号を発信するID送信部62と、これらのドライバを制御する制御部63(マイクロコンピュータ)とを備えている。また、ID送信部62は、光、赤外線、もしくは電波からなり、トリガ信号を発信するトリガ信号発信器の機能も兼ね備えている。音源61からの超音波の送波開始タイミングやID送信部62からの識別情報信号の送信タイミングは、制御部63のマイクロコンピュータに適宜のプログラムを搭載して実行させることにより制御している。
【0028】
一方、受信ユニットRには、前述したアレイセンサ2と、ID送信部62から送信された識別情報信号を受信するID受信部7と、アンプ8、入力された信号をデジタルデータに変換するADコンバータ部9、これらのドライバを制御する制御部3(マイクロコンピュータ)とを備えている。また、ID受信部7は、ID送信部62から送信されたトリガ信号を受信するトリガ信号受信器の機能も兼ね備えている。本発明では、アレイセンサ2から出力される受波信号を解析する制御部3のマイクロコンピュータに適宜のプログラムを搭載し、第2センサと第1センサの受波時間の差をn×λ/L倍して第3センサの受波時間の予測値を求める予測手段と、第3センサにおいて前記予測値から所定の時間範囲内に検出された受波信号のみを正しい信号として採用する確認手段を実行させるように構成した。なお、確認手段において許容する「所定の時間範囲」は任意に定めることができるが、例えば、予測手段により求めた予測値を基準として前後半波長分の時間範囲内とすることができる。確認手段において許容する時間範囲内に受波信号が検出されなかったときは、正しい受波信号ではないと判断し、エラー処理を行う。
【0029】
本発明の動線計測システムでは、図4に示すように、受信ユニットRを店舗の壁や柱、陳列棚、天井面などの所定位置に複数設置する。そして、各送信ユニット6の音源61の相対位置に関するデータは、受信ユニットRのADコンバータ部9、制御部3を介して所定のデータ列に変換され、さらに、出力部10を介して有線又は無線通信により中継装置11に送られ、最終的にはLAN回線を通じてコンピュータ装置12などの管理装置へ出力される。なお、出力部10は、例えばRS/485のようなシリアル転送方式のインタフェースや、SCSIのようなパラレル転送方式のインタフェースを採用することができる。
【0030】
コンピュータ装置12では、所定時間毎にカートの位置をプロットし、店内における顧客の動線を把握する。本システムを利用すれば、顧客が商品を購入するために店内をどのようなルートで移動したかを時間毎のデータで分析できるので、商品を効率良く販売する最適な商品レイアウトを決定することができる。
【0031】
なお、本実施例では、受信ユニットRを天井面などの定位置に設置し、送信ユニット6を移動体の方に搭載する例を開示しているが、これらは逆であっても良い。本発明は、アレイセンサ2を含む受信センサRの方を移動体に搭載し、音源61を含む送信ユニット6の方を定位置に配置することも可能である。
【0032】
次に、本発明の動線計測システムのデータ処理を説明する。図5は、基板1上に配列された複数のセンサを示しており、本実施例では、左右方向に配列されたセンサS1,S2a間の距離はλ/2、センサS1,S3aの距離は3λとなるよう、また、上下方向に配列されたセンサS1,S2b間の距離はλ/2、センサS1,S3bの距離は3λとなるように各センサが配置されている。
【0033】
いま、図5では、送信ユニット6の音源61からの超音波51,52,53は、センサS1,S2a,S3aが配置された面に対して垂直な方向から角度θ1だけ左側に回転した方向から入射している。音源61までの距離は、各センサ間の距離と比較して十分遠くにあるので、図5において、超音波51〜53はほぼ平行に入射していると考えることができる。また、超音波51,52,53とは別の超音波54,55は、センサS1,S2a,S3aが配置された面に対して垂直な方向から角度θ2だけ右側に回転した方向から入射している。超音波54,55も、ほぼ平行に入射していると考えることができる。
【0034】
超音波51〜53は、センサS1,S2a,S3aの配置面に対して入射角θ1の角度で入射するため、超音波53がセンサS3aに到達する時間は、超音波51がセンサS1に到達する時間と比較すると、入射角θに依存した時間だけ遅れることとなる。したがって、各センサの受波時間の差が分かれば、音源がどの方向に存在するか(入射角θの値)を知ることができる。
【0035】
図6は、音源61から送波された超音波の入射角θ1を求める本発明の方式を説明する図である。先ず、第1センサS1のノイズレベルよりも十分に高い任意の閾値を設定し、図6(a)に示すように、受波信号がその閾値を上方に越える点をPとする。
【0036】
本実施例では、センサS1,S2a間の距離をλ/2としている。したがって、θ1,θ2の角度が±50°以内ではP点から半波長以内の位置QにセンサS2aの検出信号が表れる。本発明では、第2センサS2aを第1のセンサS1からλ/2以下の間隔の位置に配置したので、センサの閾値を越える波形を検出したとき、その前後の波形を誤検出するおそれは無く、半波長以内の位置Qに検出される波形は、正しい信号と考えることができる。
【0037】
次に、本実施例では、センサS1,S3a間の距離を3λとしているので、制御部3により、PQ間の時間差TPQの6倍の時間位置Rに、第3センサS3aの受波信号が検出されると予測することができる。そして、制御部3は、第2センサS2aと第1センサS1の受波時間の差を6倍して第3センサS3aの受波時間の予測値を求める予測手段と、第3センサS3aにおいて前記予測値から前後半波長分の時間範囲内に検出された受波信号のみを正しい信号として採用する確認手段を実行する。
【0038】
そして、本実施例では、上記確認手段により正しい信号と確認された第3センサS3aの受波時間に基づいて、音源61から送波された超音波の入射角θ1を求めるようにしている。具体的には、図6におけるPR間の受波時間の差をTPR、音波速度を340m/sとすると、θ1は、以下の計算式で求めることができる。
3λ×sinθ1=340×TPR
sinθ1=(340×TPR)/3λ
θ1=sin-1((340×TPR)/3λ)
【0039】
また、基板1上に上下方向に配列したセンサS1,S2b,S3bの間でも、上記と同様の処理を行うことにより、音源61が存在する方位を二次元的に把握できる。また、マイナス側の角度から入射している超音波54,55の入射角θ2を求める場合についても同様に、上記の式で求めることができる。但し、この場合は、図6に示すように、第1センサS1よりも第2センサS2a、第3センサS3aの方が先に超音波を受波するので、図6のグラフにおいて、Q点とR点は、P点よりも左側の位置に現れることとなる。
【0040】
次に、図7〜図8を用いて、超音波導入孔と超音波透過膜のより好適な実施形態について説明する。図7は、基板1に配置された複数のセンサS1,S2a,S3a,S2b,S3b全体が含まれる角型の大きなサイズの超音波導入孔70を、筐体4の上面板40に1つ形成し、その開口部に防塵、防滴用の超音波透過膜5を貼り付けて超音波受信部を構成した第1実施例を示したものである。本発明者らが種々検討したところによると、上記第1実施例では、後述する第2実施例と比較すると、位置検出精度が低下することが判明した。
【0041】
その原因は、広い面積を有する超音波導入孔70から入ってきた超音波が、図7(b)に図示するように、超音波透過膜5とセンサS1,S2a,S3aを配置している基板1の間を何回か繰返し反射してセンサS1,S2a,S3aに入力してくる状態となり、反射せずに超音波透過膜5から直接入ってきた超音波と複合されることになり、超音波の位相から正しく方位を検出することが出来なくなる場合があるからである。
【0042】
そこで、本発明では、図8に示す第2実施例の構成を採用することが最も望ましい。第2実施例では、基板1上に配列されたセンサS1,S2a,S3a,S2b,S3bは、筐体4の上面板40の裏面に接する位置に配置されている。その位置には、図8に示すように、センサS1,S2a,S3a,S2b,S3bの上面部の面積よりもサイズが小さい超音波導入孔81,82a,83a,82b,83bを夫々設けている。
【0043】
このように構成すれば、超音波導入孔81,82a,83a,82b,83bは各センサの近傍に個別に形成されるため、他の位置から入力してきた超音波と複合されることがなく、入射位置による超音波位相差を正しく検出することが可能となり精度の良い位置計測が可能となる。
【0044】
第2実施例の構成とした場合、外部の任意の方向から超音波導入孔を覗くと、内部にあるセンサが完全には見えない状態となるが、超音波は回り込みにより各センサに到達するので、実用上問題はない。また、超音波導入孔81,82a,83a,82b,83bのサイズは全て等しくしているので、回り込みにより各センサに到達する経路も等しいと考えることができるので、精度上も問題がない。
【0045】
超音波導入孔81,82a,83a,82b,83bの形状は、角型、丸型等、所望の形状が可能である。また、本発明者らが種々検討したところによると、例えば40KHzの超音波を使用する場合、辺長または直径は1〜4mmの範囲とすることが望ましいことが判明している。超音波導入孔の辺長または直径の設計の目安は、超音波の周波数によっても変わるが、超音波の波長をλとすると、空気中では1mm以上でλ/2mm以下の範囲とするのが好適である。超音波の周波数を40KHz、音速を340m/sとすると、波長λはおよそ8mmであることから、この場合、辺長または直径は1〜4mmの範囲とすることが望ましい。
【0046】
超音波透過膜5は、例えばポリエチレンテレフタレート製の膜を使用し、膜厚は1μm以上で6μm以下の範囲とすることが望ましい。この1〜6μmの範囲とすれば、超音波が透過したときでも減衰が小さく、実用上好ましいからである。
【0047】
以上説明したように、本発明の動線計測システムは、アレイセンサの基板上の左右方向とこれに直交する上下方向に第1、第2及び第3センサを夫々直線状に配列し、かつ、前記音源から発生させる超音波の波長をλとするとき、前記第2センサは前記第1センサからλ/2以下の間隔Lで配置するとともに、前記第3センサは前記第1センサからn×λ(nは自然数)の間隔で配置したので、熱励起式の超音波発生素子ではなく、受波信号が徐々に大きくなる圧電式の超音波発生素子を使用した場合でも、受波信号の誤検出を可及的に防止することができる。
【0048】
また、基板と、アレイセンサと、制御部を格納する筐体を有し、第1、第2及び第3センサは前記筐体の上面板の裏面に接する位置に配置するとともに、当該配置位置には前記第1、第2及び第3センサの上面部の面積よりもサイズが小さい超音波導入孔を夫々設け、さらに、前記超音波導入孔の上面を覆う超音波透過膜を取り付けた構成の動線計測システムによれば、防塵、防滴の目的でセンサを保護する超音波透過膜を取り付けた場合でも、入射位置による超音波位相差を正しく検出することが可能となり精度良く位置計測が可能となるので、さらに好適な効果が得られる。
【0049】
本発明は上記の実施例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範囲内で、適宜実施の形態を変更しても良いことはいうまでもない。例えば、超音波導入孔の形状は実施例に示した丸型に限らず、角型であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、ショッピングカートなどに取り付けて顧客の動線分析をするシステムに限らず、例えば、倉庫に保管してある部品や機器に超音波タグ(送信ユニット)を貼り付け、タグから間欠的に超音波とID信号を送信し、それらを受信ユニットで受信することにより、部品や機器の存在位置をリアルタイムで確認するシステムにも適用できる。また、人に超音波タグ(送信ユニット)を持たせ、人の現在位置を検出することにより、高齢者や障害者の徘徊行動を保護者に知らせる報知サービスなどにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の動線計測システムの受信ユニットの構成を説明する図である。
【図2】アレイセンサの基板上に配列したセンサの位置関係を説明する図である。
【図3】送信ユニットと受信ユニットの構成を説明するブロック図である。
【図4】店舗の天井面などに受信ユニットを複数設置する例を示した図である。
【図5】基板上に配列された複数のセンサに、角度θ1又はθ2の方向から超音波が入射している状態を説明する図である。
【図6】音源から送波された超音波の入射角を求める本発明の方式を説明する図である。
【図7】面積の大きい超音波導入孔を設けた第1実施例の説明図である。
【図8】面積の小さい超音波導入孔を夫々設けた第2実施例の説明図である。
【図9】従来の超音波アレイセンサの基板上に配列されたセンサの位置関係を示す図である。
【図10】熱励起式の超音波発生素子から送波された超音波をアレイセンサで受波させた場合における各センサの受波信号の波形を、同じ時間軸上に表示した図である。
【図11】熱励起式の超音波発生素子からの受波信号の他の例を示す図である。
【図12】圧電式の超音波発生素子から送波された超音波をアレイセンサで受波させた場合における各センサの受波信号の波形を、同じ時間軸上に表示した図である。
【図13】圧電式の超音波発生素子からの受波信号の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
S1 第1センサ
S2a,S2b 第2センサ
S3a,S3b 第3センサ
1 基板
2 アレイセンサ
3 制御部
4 筐体
40 上面板
41,42a,43a 超音波導入孔
5 超音波透過膜
6 送信ユニット
61 音源
81,82a,83a,82b,83b 超音波導入孔
R 受信ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を利用して検出対象の移動体の位置を追跡する動線計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば下記特許文献1に示すように、位置検出対象の移動体に搭載され超音波を発生可能な音源と、音源から送波された超音波を受波し電気信号に変換する複数個の受波素子が同一基板上に配列された超音波アレイセンサとを備え、超音波アレイセンサの各受波素子で超音波を受波した時間の時間差と各受波素子の配置位置とに基づいて移動体が存在する方位を求める動線計測システムが提案されている。
【特許文献1】特開2007−127663号公報
【0003】
図9は、従来の超音波アレイセンサの基板上に配列されたセンサA〜Cの位置関係を示す図であり、センサAとCの間は距離dを空けて配置されている。図9では、センサA〜Cが配置された面と垂直な方向から左寄りに角度θだけ回転した位置に音源がある。音源までの距離は、センサA〜C間の距離と比較して十分遠くにあるので、図9において、超音波91〜93はほぼ平行に入射していると考えることができる。
【0004】
超音波91〜93は、センサA〜Cの配置面に対して入射角θの角度で入射するため、例えば超音波93がセンサCに到達する時間は、超音波91がセンサAに到達する時間と比較すると、入射角θに依存した時間だけ遅れることとなる。センサAとCの音源までの距離の差は、dsin θの式で求めることができるから、音波速度をν(約340m/s)とすると、センサAとCの超音波の到達時間の差tは、t=dsin θ/νの式で求めることができる。
【0005】
図10〜図11は、図9のアレイセンサに、特許文献1の動線計測システムにおいて音源として利用されている熱励起式の超音波発生素子から送波された超音波を受波させた場合における受波信号の波形を示したものである。何れの図も、(a)がセンサAの受波信号、(b)がセンサBの受波信号、(c)がセンサCの受波信号を示している。
【0006】
熱励起式の超音波発生素子は、発熱体層の両端のパッド間に通電して発熱体層に温度変化を生じさせて超音波を発生させるので、発熱体層への通電を適宜に制御することで発生させる超音波の周波数を広範囲にわたって変化させることができる。図11では残響時間が若干長くなっているが、図10に示すような略1周期の超音波を発生させることもできる。
【0007】
センサA〜Cの受波信号は、図10〜図11に示すように同じ時間軸上に表示すると、一定の時間遅れを有するものとなる。そこで、例えば図10に示すように各波形の最初の立ち上がりに注目すると、立ち上がりの波形はセンサA、B、Cの順に一定時間分だけ遅延した位置に表れる。そして、図10における時間差tは、t=dsin θ/νの計算式で求められるものであるため、逆に、各センサの受波時間の差が分かれば、音源がどの方向に存在するか(入射角θの値)を知ることができる。特許文献1の動線計測システムは、このような方式により移動体の位置を追跡するものである。
【0008】
ところで、特許文献1では、例えば図10に示すような、最初の立ち上りの波形が大きく明確に表れる熱励起式の超音波発生素子を使用しているが、一般に市販されている圧電セラミックス素子(例えば村田製作所製のピエゾタイト(登録商標)等)を超音波発生素子として使用する場合、音圧を上げるため素子への電圧印加を交流電圧のように複数サイクル繰り返し印加する。このため、センサA〜Cの受波信号は、図12に示すように、最初の立ち上り(第1波)は極めて小さく、その後徐々に大きくなって例えば第7〜第10波目に最大になるという性質がある。
【0009】
そのため、第1波を検出するためには各センサの閾値を低いレベルに設定する必要があるが、閾値を低く設定するとセンサの感度が低下し、図12(b)に示すように、第1波を検出できずに第2波E1を誤検出したり、受波信号ではないノイズを拾ってしまう場合がある。
【0010】
また、例えば図13(a)に示すように、第4波を検出できるように閾値を高めに設定しても、センサによっては波形に歪がある場合があるため、図13(b)に示すように、第5波E2を検出し、半波長のずれが生じて検出誤差を生じる場合がある。
【0011】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、受波信号の最初の立ち上り(第1波)が大きく明確に表れる熱励起式の超音波発生素子ではなく、一般に市販されている圧電式の超音波発生素子を使用した場合でも、受波信号の誤検出を可及的に防止することができる動線計測システムを提供することを目的としている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
解決しようとする課題は、受波信号の最初の立ち上り(第1波)が小さく、その後徐々に大きくなる性質を有する圧電式の超音波発生素子を使用した場合でも、受波信号の誤検出を可及的に防止する点である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の問題点を解決するため、本発明の動線計測システムは、
超音波を発生可能な音源と、前記音源から送波された超音波を受波し電気信号である受波信号に変換する複数個のセンサが同一基板上に二次元的に配列されたアレイセンサと、前記受波信号を解析する制御部と、を備え、前記音源、前記アレイセンサのうち何れか一方を位置検出対象の移動体に搭載し、他方を所定の位置に配置した動線計測システムであって、
前記アレイセンサは、前記基板上の左右方向とこれに直交する上下方向に第1、第2及び第3センサを夫々直線状に配列し、かつ、前記音源から発生させる超音波の波長をλとするとき、前記第2センサは前記第1センサからλ/2以下の間隔Lで配置するとともに、前記第3センサは前記第1センサからn×λ(nは自然数)の間隔で配置し、
前記制御部は、前記第2センサと前記第1センサの受波時間の差をn×λ/L倍して前記第3センサの受波時間の予測値を求める予測手段と、前記第3センサにおいて前記予測値から所定の時間範囲内に検出された受波信号のみを正しい信号として採用する確認手段とを備え、
前記確認手段により正しい信号と確認された第3センサの受波信号の受波時間と前記第1センサの受波時間の差と、前記第1、第3センサ間の距離に基づいて、前記音源から送波された超音波の入射角を求め、前記移動体の位置情報を検出することを最も主要な特徴点としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、熱励起式の超音波発生素子ではなく、受波信号が徐々に大きくなる圧電式の超音波発生素子を使用した場合でも、受波信号の誤検出を可及的に防止することができる。
【0015】
本発明において、アレイセンサの基板上に配列したセンサ間の距離を上記のように特定した理由は以下の点にある。
【0016】
熱励起式の超音波発生素子を使用した場合は、受波信号の最初の立ち上り(第1波)が大きく明確に表れるから、第1波を確実に検出することができ、第2波以降を誤検出するおそれがない。しかし、圧電式の超音波発生素子を利用する場合は、共振特性のQ値が大きく残響を伴い、音圧を上げるため素子への電圧印加を交流電圧のように複数サイクル繰り返し印加するため、第1波ではなく第7〜第10波が最大値となることもある。つまり、圧電式の超音波発生素子を利用する場合は、第1波が最大とは限らず、センサの閾値を越えた波形(仮に「第n波」とする。)を検出したとき、その前後の波形(第n+1波または第n−1波)も第n波と同程度の大きさの信号である可能性がある。そうすると、センサ間の距離がλ/2(λは超音波の波長)よりも大きいと、入射角θが0°以上のプラス側の角度で第n波を検出しているのか、入射角θが0°以下のマイナス側の角度で第n+1波を検出しているのかを判別することが困難である。そこで、本発明では、先ずは、第2センサを第1のセンサからλ/2以下の間隔の位置に配置し、いかなる入射角θに対しても第n+1波や第n−1波を誤検出するおそれを無くすようにした。
【0017】
しかしながら、センサ間の距離をλ/2以下とする場合は、超音波が各センサに到達する時間の時間差が極めて小さくなり、当該時間差から入射角を精度良く検出することが困難となる。そこで、本発明では、第3センサを第1センサからn×λ(nは自然数)の間隔を空けた位置に配置した。さらに、本発明では、アレイセンサから出力される受波信号を解析する制御部に、第2センサと第1センサの受波時間の差をn×λ/L倍して第3センサの受波時間の予測値を求める予測手段と、第3センサにおいて前記予測値から所定の時間範囲内に検出された受波信号のみを正しい信号として採用する確認手段を設けるようにした。
【0018】
こうすることにより、本発明では、確認手段により正しい信号と確認された第3センサの受波信号の受波時間とそれに対応する第1センサの受波信号の受波時間の差、及び、第1センサと第3センサ間の距離に基づいて、音源から送波された超音波の入射角を求めることができる。
【0019】
したがって、本発明では、各センサのノイズレベルよりも十分に高い任意の閾値を設定することにより、第1センサが閾値を越えた波形(第n波)を検出したとき、第2センサがその前後の波形(第n+1波または第n−1波)を誤検出するおそれが無く、しかも第1センサと第3センサの間には十分な時間差が得られるので、圧電式の超音波発生素子を利用する場合でも、一定の精度で受波信号を検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態の一例について、図1〜図8を用いて説明する。図1は、本実施例の動線計測システムの受信ユニットの構成を説明する断面図、図2はアレイセンサの基板上に配列した複数のセンサの位置関係を説明する図である。
【0021】
図1において、Rは受信ユニットであり、超音波を発生可能な音源から送波された超音波を受波するとともに受波した超音波を電気信号である受波信号に変換する複数個のセンサS1,S2a,S3aと、センサS2b,S3b(図1においては図示せず)が同一の基板1上に二次元的に配列されたアレイセンサ2と、アレイセンサ2からの受波信号を解析する制御部3と、これらの機器を格納する筐体4とで構成される。
【0022】
センサS1,S2a,S3aは、筐体4の上面板40の裏面に接する位置に配置されている。その接触位置には、図1に示すような、各センサS1,S2a,S3aの上面部の面積よりもサイズが小さい超音波導入孔41,42a,43aを設けている。
【0023】
図2は、アレイセンサ2の構成を説明する図である。アレイセンサ2は、基板1上の左右方向に第1センサS1、第2センサS2a、第3センサS3aを直線状に配列し、これに直交する上下方向にも第1センサS1、第2センサS2b、第3センサS3bを直線状に配列している。
【0024】
左右方向に配列したセンサは、音源から発生させる超音波の波長をλとするとき、第2センサS2aを第1センサS1からλ/2の間隔を空けて配置するとともに、第3センサS3aは第1センサS1から3λの間隔を空けて配置している。また、上下方向に配列したセンサについても、第2センサS2bを第1センサS1からλ/2の間隔を空けて配置し、第3センサS3bは第1センサS1から3λの間隔を空けて配置している。
【0025】
なお、図1では図示していないが、筐体4の上面板40には、センサS2b,S3bが接している部分にも、41,42a,43aと同様の超音波導入孔を設けている。本実施例では、上面板40に超音波導入孔を計5個開口させるとともに、超音波導入孔から筐体内に塵や水が浸入しないように、筐体4の上面板40の上部に超音波透過膜5を取り付けている。この超音波導入孔41,42a,43aと超音波透過膜5の構成の詳細については、後述する。
【0026】
図3は、本実施例の動線計測システムの送信ユニット6と受信ユニットRの構成を説明するブロック図である。本実施例の動線計測システムは、位置検出対象が大型店舗などの建物内で床面の上を移動する移動体(例えばショッピングカートなど)であり、間欠的に超音波を発生可能な音源61を備えた送信ユニット6を移動体に搭載し、一方、音源61から送波された超音波を受波するアレイセンサ2を有する受信ユニットRを例えば店舗の壁や柱、陳列棚、天井面などの定位置に設置し、受信ユニットRに対する音源61の相対位置を求め、移動体の移動状況を追跡し、動線計測を行うものである。
【0027】
音源61の超音波発生素子は、圧電セラミックス素子である村田製作所製のピエゾタイト(登録商標)を使用している。送信ユニット6は、音源61と、固有の識別情報信号を発信するID送信部62と、これらのドライバを制御する制御部63(マイクロコンピュータ)とを備えている。また、ID送信部62は、光、赤外線、もしくは電波からなり、トリガ信号を発信するトリガ信号発信器の機能も兼ね備えている。音源61からの超音波の送波開始タイミングやID送信部62からの識別情報信号の送信タイミングは、制御部63のマイクロコンピュータに適宜のプログラムを搭載して実行させることにより制御している。
【0028】
一方、受信ユニットRには、前述したアレイセンサ2と、ID送信部62から送信された識別情報信号を受信するID受信部7と、アンプ8、入力された信号をデジタルデータに変換するADコンバータ部9、これらのドライバを制御する制御部3(マイクロコンピュータ)とを備えている。また、ID受信部7は、ID送信部62から送信されたトリガ信号を受信するトリガ信号受信器の機能も兼ね備えている。本発明では、アレイセンサ2から出力される受波信号を解析する制御部3のマイクロコンピュータに適宜のプログラムを搭載し、第2センサと第1センサの受波時間の差をn×λ/L倍して第3センサの受波時間の予測値を求める予測手段と、第3センサにおいて前記予測値から所定の時間範囲内に検出された受波信号のみを正しい信号として採用する確認手段を実行させるように構成した。なお、確認手段において許容する「所定の時間範囲」は任意に定めることができるが、例えば、予測手段により求めた予測値を基準として前後半波長分の時間範囲内とすることができる。確認手段において許容する時間範囲内に受波信号が検出されなかったときは、正しい受波信号ではないと判断し、エラー処理を行う。
【0029】
本発明の動線計測システムでは、図4に示すように、受信ユニットRを店舗の壁や柱、陳列棚、天井面などの所定位置に複数設置する。そして、各送信ユニット6の音源61の相対位置に関するデータは、受信ユニットRのADコンバータ部9、制御部3を介して所定のデータ列に変換され、さらに、出力部10を介して有線又は無線通信により中継装置11に送られ、最終的にはLAN回線を通じてコンピュータ装置12などの管理装置へ出力される。なお、出力部10は、例えばRS/485のようなシリアル転送方式のインタフェースや、SCSIのようなパラレル転送方式のインタフェースを採用することができる。
【0030】
コンピュータ装置12では、所定時間毎にカートの位置をプロットし、店内における顧客の動線を把握する。本システムを利用すれば、顧客が商品を購入するために店内をどのようなルートで移動したかを時間毎のデータで分析できるので、商品を効率良く販売する最適な商品レイアウトを決定することができる。
【0031】
なお、本実施例では、受信ユニットRを天井面などの定位置に設置し、送信ユニット6を移動体の方に搭載する例を開示しているが、これらは逆であっても良い。本発明は、アレイセンサ2を含む受信センサRの方を移動体に搭載し、音源61を含む送信ユニット6の方を定位置に配置することも可能である。
【0032】
次に、本発明の動線計測システムのデータ処理を説明する。図5は、基板1上に配列された複数のセンサを示しており、本実施例では、左右方向に配列されたセンサS1,S2a間の距離はλ/2、センサS1,S3aの距離は3λとなるよう、また、上下方向に配列されたセンサS1,S2b間の距離はλ/2、センサS1,S3bの距離は3λとなるように各センサが配置されている。
【0033】
いま、図5では、送信ユニット6の音源61からの超音波51,52,53は、センサS1,S2a,S3aが配置された面に対して垂直な方向から角度θ1だけ左側に回転した方向から入射している。音源61までの距離は、各センサ間の距離と比較して十分遠くにあるので、図5において、超音波51〜53はほぼ平行に入射していると考えることができる。また、超音波51,52,53とは別の超音波54,55は、センサS1,S2a,S3aが配置された面に対して垂直な方向から角度θ2だけ右側に回転した方向から入射している。超音波54,55も、ほぼ平行に入射していると考えることができる。
【0034】
超音波51〜53は、センサS1,S2a,S3aの配置面に対して入射角θ1の角度で入射するため、超音波53がセンサS3aに到達する時間は、超音波51がセンサS1に到達する時間と比較すると、入射角θに依存した時間だけ遅れることとなる。したがって、各センサの受波時間の差が分かれば、音源がどの方向に存在するか(入射角θの値)を知ることができる。
【0035】
図6は、音源61から送波された超音波の入射角θ1を求める本発明の方式を説明する図である。先ず、第1センサS1のノイズレベルよりも十分に高い任意の閾値を設定し、図6(a)に示すように、受波信号がその閾値を上方に越える点をPとする。
【0036】
本実施例では、センサS1,S2a間の距離をλ/2としている。したがって、θ1,θ2の角度が±50°以内ではP点から半波長以内の位置QにセンサS2aの検出信号が表れる。本発明では、第2センサS2aを第1のセンサS1からλ/2以下の間隔の位置に配置したので、センサの閾値を越える波形を検出したとき、その前後の波形を誤検出するおそれは無く、半波長以内の位置Qに検出される波形は、正しい信号と考えることができる。
【0037】
次に、本実施例では、センサS1,S3a間の距離を3λとしているので、制御部3により、PQ間の時間差TPQの6倍の時間位置Rに、第3センサS3aの受波信号が検出されると予測することができる。そして、制御部3は、第2センサS2aと第1センサS1の受波時間の差を6倍して第3センサS3aの受波時間の予測値を求める予測手段と、第3センサS3aにおいて前記予測値から前後半波長分の時間範囲内に検出された受波信号のみを正しい信号として採用する確認手段を実行する。
【0038】
そして、本実施例では、上記確認手段により正しい信号と確認された第3センサS3aの受波時間に基づいて、音源61から送波された超音波の入射角θ1を求めるようにしている。具体的には、図6におけるPR間の受波時間の差をTPR、音波速度を340m/sとすると、θ1は、以下の計算式で求めることができる。
3λ×sinθ1=340×TPR
sinθ1=(340×TPR)/3λ
θ1=sin-1((340×TPR)/3λ)
【0039】
また、基板1上に上下方向に配列したセンサS1,S2b,S3bの間でも、上記と同様の処理を行うことにより、音源61が存在する方位を二次元的に把握できる。また、マイナス側の角度から入射している超音波54,55の入射角θ2を求める場合についても同様に、上記の式で求めることができる。但し、この場合は、図6に示すように、第1センサS1よりも第2センサS2a、第3センサS3aの方が先に超音波を受波するので、図6のグラフにおいて、Q点とR点は、P点よりも左側の位置に現れることとなる。
【0040】
次に、図7〜図8を用いて、超音波導入孔と超音波透過膜のより好適な実施形態について説明する。図7は、基板1に配置された複数のセンサS1,S2a,S3a,S2b,S3b全体が含まれる角型の大きなサイズの超音波導入孔70を、筐体4の上面板40に1つ形成し、その開口部に防塵、防滴用の超音波透過膜5を貼り付けて超音波受信部を構成した第1実施例を示したものである。本発明者らが種々検討したところによると、上記第1実施例では、後述する第2実施例と比較すると、位置検出精度が低下することが判明した。
【0041】
その原因は、広い面積を有する超音波導入孔70から入ってきた超音波が、図7(b)に図示するように、超音波透過膜5とセンサS1,S2a,S3aを配置している基板1の間を何回か繰返し反射してセンサS1,S2a,S3aに入力してくる状態となり、反射せずに超音波透過膜5から直接入ってきた超音波と複合されることになり、超音波の位相から正しく方位を検出することが出来なくなる場合があるからである。
【0042】
そこで、本発明では、図8に示す第2実施例の構成を採用することが最も望ましい。第2実施例では、基板1上に配列されたセンサS1,S2a,S3a,S2b,S3bは、筐体4の上面板40の裏面に接する位置に配置されている。その位置には、図8に示すように、センサS1,S2a,S3a,S2b,S3bの上面部の面積よりもサイズが小さい超音波導入孔81,82a,83a,82b,83bを夫々設けている。
【0043】
このように構成すれば、超音波導入孔81,82a,83a,82b,83bは各センサの近傍に個別に形成されるため、他の位置から入力してきた超音波と複合されることがなく、入射位置による超音波位相差を正しく検出することが可能となり精度の良い位置計測が可能となる。
【0044】
第2実施例の構成とした場合、外部の任意の方向から超音波導入孔を覗くと、内部にあるセンサが完全には見えない状態となるが、超音波は回り込みにより各センサに到達するので、実用上問題はない。また、超音波導入孔81,82a,83a,82b,83bのサイズは全て等しくしているので、回り込みにより各センサに到達する経路も等しいと考えることができるので、精度上も問題がない。
【0045】
超音波導入孔81,82a,83a,82b,83bの形状は、角型、丸型等、所望の形状が可能である。また、本発明者らが種々検討したところによると、例えば40KHzの超音波を使用する場合、辺長または直径は1〜4mmの範囲とすることが望ましいことが判明している。超音波導入孔の辺長または直径の設計の目安は、超音波の周波数によっても変わるが、超音波の波長をλとすると、空気中では1mm以上でλ/2mm以下の範囲とするのが好適である。超音波の周波数を40KHz、音速を340m/sとすると、波長λはおよそ8mmであることから、この場合、辺長または直径は1〜4mmの範囲とすることが望ましい。
【0046】
超音波透過膜5は、例えばポリエチレンテレフタレート製の膜を使用し、膜厚は1μm以上で6μm以下の範囲とすることが望ましい。この1〜6μmの範囲とすれば、超音波が透過したときでも減衰が小さく、実用上好ましいからである。
【0047】
以上説明したように、本発明の動線計測システムは、アレイセンサの基板上の左右方向とこれに直交する上下方向に第1、第2及び第3センサを夫々直線状に配列し、かつ、前記音源から発生させる超音波の波長をλとするとき、前記第2センサは前記第1センサからλ/2以下の間隔Lで配置するとともに、前記第3センサは前記第1センサからn×λ(nは自然数)の間隔で配置したので、熱励起式の超音波発生素子ではなく、受波信号が徐々に大きくなる圧電式の超音波発生素子を使用した場合でも、受波信号の誤検出を可及的に防止することができる。
【0048】
また、基板と、アレイセンサと、制御部を格納する筐体を有し、第1、第2及び第3センサは前記筐体の上面板の裏面に接する位置に配置するとともに、当該配置位置には前記第1、第2及び第3センサの上面部の面積よりもサイズが小さい超音波導入孔を夫々設け、さらに、前記超音波導入孔の上面を覆う超音波透過膜を取り付けた構成の動線計測システムによれば、防塵、防滴の目的でセンサを保護する超音波透過膜を取り付けた場合でも、入射位置による超音波位相差を正しく検出することが可能となり精度良く位置計測が可能となるので、さらに好適な効果が得られる。
【0049】
本発明は上記の実施例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範囲内で、適宜実施の形態を変更しても良いことはいうまでもない。例えば、超音波導入孔の形状は実施例に示した丸型に限らず、角型であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、ショッピングカートなどに取り付けて顧客の動線分析をするシステムに限らず、例えば、倉庫に保管してある部品や機器に超音波タグ(送信ユニット)を貼り付け、タグから間欠的に超音波とID信号を送信し、それらを受信ユニットで受信することにより、部品や機器の存在位置をリアルタイムで確認するシステムにも適用できる。また、人に超音波タグ(送信ユニット)を持たせ、人の現在位置を検出することにより、高齢者や障害者の徘徊行動を保護者に知らせる報知サービスなどにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の動線計測システムの受信ユニットの構成を説明する図である。
【図2】アレイセンサの基板上に配列したセンサの位置関係を説明する図である。
【図3】送信ユニットと受信ユニットの構成を説明するブロック図である。
【図4】店舗の天井面などに受信ユニットを複数設置する例を示した図である。
【図5】基板上に配列された複数のセンサに、角度θ1又はθ2の方向から超音波が入射している状態を説明する図である。
【図6】音源から送波された超音波の入射角を求める本発明の方式を説明する図である。
【図7】面積の大きい超音波導入孔を設けた第1実施例の説明図である。
【図8】面積の小さい超音波導入孔を夫々設けた第2実施例の説明図である。
【図9】従来の超音波アレイセンサの基板上に配列されたセンサの位置関係を示す図である。
【図10】熱励起式の超音波発生素子から送波された超音波をアレイセンサで受波させた場合における各センサの受波信号の波形を、同じ時間軸上に表示した図である。
【図11】熱励起式の超音波発生素子からの受波信号の他の例を示す図である。
【図12】圧電式の超音波発生素子から送波された超音波をアレイセンサで受波させた場合における各センサの受波信号の波形を、同じ時間軸上に表示した図である。
【図13】圧電式の超音波発生素子からの受波信号の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
S1 第1センサ
S2a,S2b 第2センサ
S3a,S3b 第3センサ
1 基板
2 アレイセンサ
3 制御部
4 筐体
40 上面板
41,42a,43a 超音波導入孔
5 超音波透過膜
6 送信ユニット
61 音源
81,82a,83a,82b,83b 超音波導入孔
R 受信ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を発生可能な音源と、前記音源から送波された超音波を受波し電気信号である受波信号に変換する複数個のセンサが同一基板上に二次元的に配列されたアレイセンサと、前記受波信号を解析する制御部と、を備え、前記音源、前記アレイセンサのうち何れか一方を位置検出対象の移動体に搭載し、他方を所定の位置に配置した動線計測システムであって、
前記アレイセンサは、前記基板上の左右方向とこれに直交する上下方向に第1、第2及び第3センサを夫々直線状に配列し、かつ、前記音源から発生させる超音波の波長をλとするとき、前記第2センサは前記第1センサからλ/2以下の間隔Lで配置するとともに、前記第3センサは前記第1センサからn×λ(nは自然数)の間隔で配置し、
前記制御部は、前記第2センサと前記第1センサの受波時間の差をn×λ/L倍して前記第3センサの受波時間の予測値を求める予測手段と、前記第3センサにおいて前記予測値から所定の時間範囲内に検出された受波信号のみを正しい信号として採用する確認手段とを備え、
前記確認手段により正しい信号と確認された第3センサの受波信号の受波時間と前記第1センサの受波時間の差と、前記第1、第3センサ間の距離に基づいて、前記音源から送波された超音波の入射角を求め、前記移動体の位置情報を検出することを特徴とする動線計測システム。
【請求項2】
前記基板と、前記アレイセンサと、前記制御部を格納する筐体を有し、前記第1、第2及び第3センサは前記筐体の上面板の裏面に接する位置に配置するとともに、当該配置位置には前記第1、第2及び第3センサの上面部の面積よりもサイズが小さい超音波導入孔を夫々設け、さらに、前記超音波導入孔の上面を覆う超音波透過膜を取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の動線計測システム。
【請求項3】
前記超音波導入孔は、角型又は丸型の何れかの形状とするとともに、角型とした場合の辺の長さ、又は丸型とした場合の直径は、1mm以上4mm以下の範囲としたことを特徴とする請求項2に記載の動線計測システム。
【請求項4】
前記超音波透過膜の膜厚を、1μm以上6μm以下の範囲としたことを特徴とする請求項2又は3に記載の動線計測システム。
【請求項1】
超音波を発生可能な音源と、前記音源から送波された超音波を受波し電気信号である受波信号に変換する複数個のセンサが同一基板上に二次元的に配列されたアレイセンサと、前記受波信号を解析する制御部と、を備え、前記音源、前記アレイセンサのうち何れか一方を位置検出対象の移動体に搭載し、他方を所定の位置に配置した動線計測システムであって、
前記アレイセンサは、前記基板上の左右方向とこれに直交する上下方向に第1、第2及び第3センサを夫々直線状に配列し、かつ、前記音源から発生させる超音波の波長をλとするとき、前記第2センサは前記第1センサからλ/2以下の間隔Lで配置するとともに、前記第3センサは前記第1センサからn×λ(nは自然数)の間隔で配置し、
前記制御部は、前記第2センサと前記第1センサの受波時間の差をn×λ/L倍して前記第3センサの受波時間の予測値を求める予測手段と、前記第3センサにおいて前記予測値から所定の時間範囲内に検出された受波信号のみを正しい信号として採用する確認手段とを備え、
前記確認手段により正しい信号と確認された第3センサの受波信号の受波時間と前記第1センサの受波時間の差と、前記第1、第3センサ間の距離に基づいて、前記音源から送波された超音波の入射角を求め、前記移動体の位置情報を検出することを特徴とする動線計測システム。
【請求項2】
前記基板と、前記アレイセンサと、前記制御部を格納する筐体を有し、前記第1、第2及び第3センサは前記筐体の上面板の裏面に接する位置に配置するとともに、当該配置位置には前記第1、第2及び第3センサの上面部の面積よりもサイズが小さい超音波導入孔を夫々設け、さらに、前記超音波導入孔の上面を覆う超音波透過膜を取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の動線計測システム。
【請求項3】
前記超音波導入孔は、角型又は丸型の何れかの形状とするとともに、角型とした場合の辺の長さ、又は丸型とした場合の直径は、1mm以上4mm以下の範囲としたことを特徴とする請求項2に記載の動線計測システム。
【請求項4】
前記超音波透過膜の膜厚を、1μm以上6μm以下の範囲としたことを特徴とする請求項2又は3に記載の動線計測システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−54439(P2010−54439A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221825(P2008−221825)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(304030497)株式会社プロアシスト (22)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(304030497)株式会社プロアシスト (22)
【Fターム(参考)】
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