説明

勤務実績管理システム

【課題】携帯電話を用いて勤務実績管理を効果的におこなうシステムを提供すること。
【解決手段】図1において労働者用携帯電話A1とデータ処理装置A2において、A1とA2の相互通信により勤務実績入力と勤務実績データの管理を行うシステムである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は携帯電話を入力装置として利用した勤務実績管理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】勤務実績管理方式は、従来のタイムレコーダーとタイムカードを利用した手段から、ネットワークとパーソナルコンピュータを組み合わせたシステムに移行しつつある。このシステムは、労働者がパーソナルコンピュータを用いて勤務実績データを入力し、ネットワークに接続されたデータ処理装置が入力された勤務実績データを管理する手段を提供するものである。
【0003】また、ネットワークとパーソナルコンピュータを組み合わせた前記システムにおいて、勤務実績の管理単位は、一般的に社員を特定する情報と該当勤務年月により管理していた。また、勤務実績の入力の認証にあたっては、ユーザー認識番号と暗証番号のみを利用することが一般的であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術に記述した方式では、パーソナルコンピュータとネットワークのインフラがない就労場所での勤務実績管理、またはパーソナルコンピュータの操作方法に習熟していない労働者に対しての勤務実績管理は困難であった。また、一般的に勤務実績の管理単位が社員を特定する情報と該当勤務年月により管理していたため、1ヶ月で複数の契約をもつパート社員や派遣社員には適用が困難であった。また、ユーザー認識番号と暗証番号のみの認証システムで入力した場合において、ユーザー認識番号と暗証番号が第三者に知られた場合に不正入力防止の手だてがなかった。そこで本発明は、就労場所でのインフラが不要な携帯電話を入力装置とし、パーソナルコンピュータの操作の操作に習熟していない労働者でも勤務実績を容易に入力する手段と、1ヶ月で複数の契約をもつ社員にも適用する手段と、第三者の不正入力防止手段を持った勤務実績管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】文字情報入力機能と文字情報通信機能をもつ携帯電話と、前記携帯電話との相互通信機能をもつデータ処理装置が相互通信する環境にあって、労働者別の労働契約にもとづく勤務条件をあらかじめ記憶する記憶手段、労働者別の勤務条件にもとづき勤務実績入力用の書式を生成する生成手段、前記生成手段により生成した労働者別の勤務実績入力用の書式を該当労働者の携帯電話に送信する送信手段、労働者が前記送信手段により受信した勤務実績入力用の書式に勤務実績を入力する入力手段、前記入力手段により入力された労働者別の勤務実績データを前記データ処理装置に送信する送信手段を備えて請求項1の発明は構成される。
【0006】請求項1の構成に加えて、労働者別の労働契約と勤務実績管理対象期間の組み合わせごとに特定できる勤務実績認識番号を生成する手段と、勤務実績認識番号ごとに勤務実績入力を該当労働者に行わせる手段を備えて請求項2の発明は構成される。
【0007】前述した請求項1の構成と請求項2の構成に加えて、勤務実績認識番号ごとに入力された勤務実績に、同一の勤務実績認識番号にて入力することを禁止する手段を備えて請求項3の発明は構成される。
【0008】前述した請求項1の構成と請求項2の構成に加えて、勤務実績認識番号とデータ処理装置の通信アドレスを組み合わせたハイパーリンク情報を含んだ文書を携帯電話に送信する手段と、前記ハイパーリンク情報をもとにした勤務実績入力用の書式を呼び出す手段を備えて請求項4の発明は構成される。
【実施例】
【0009】図1は本発明の構成図である。図1において携帯電話A1は文字情報入力機能と文字情報通信機能をもち、労働者1名単位あるいは複数労働者のグループ単位にて利用する。A2は勤務実績管理に関する情報処理を行うデータ処理装置であり、A3はデータ処理装置A2と接続されA2からデータを読み書きできる記憶装置である。携帯電話A1とデータ処理装置A2は交換回線あるいは専用線を経由した無線によって相互通信が可能な環境にある。記憶装置A3は少なくとも労働者用携帯電話A1の通信アドレスと個別労働者の関連づけ情報と労働者別の労働契約情報を予め保存している。また、労働者による入力された勤務実績データはデータ処理装置A2にて処理された後、記憶装置A3に保存される。
【0010】データ処理装置A2は記憶装置A3の情報を呼び出し、特定の労働者に対して情報を発信することができる。また、データ処理装置A2は特定の通信アドレスをもち、労働者用携帯電話A1から通信アドレスを受信することにより労働者用携帯電話A1に対して情報を送信する機能と、をもつ。
【0011】図2は、本発明のデータ処理手順である。ここで四角形は処理を表し、矢印は処理の順序をあらわす。以下にその処理手順を記述する。処理B1において、記憶装置A3に労働契約ごとに少なくとも労働者用携帯電話A1の通信アドレスと個別労働者の関連づけ情報と労働者別の労働契約情報を記憶させる。次に処理B2の前処理として処理B1において記憶した情報をデータ処理装置A2に読み込ませる。次に処理B2において、定期的あるいは非定期的に勤務実績管理対象期間を決定し、その対象期間に含まれる労働契約情報にもとづき、労働契約単位に勤務実績認識番号を生成する。ここで、勤務実績認識番号は過去に生成した番号と重複することのない番号とし労働者と契約と勤務実績管理対象期間の組み合わせにおいて特定されるものとする。さらに勤務実績認識番号をもとに労働契約情報を呼び出せる関連付け情報も生成する。次に処理B3において、データ処理装置A2の通信アドレスと勤務実績認識番号を組み合わせたハイパーリンク情報を含む文書を生成する。ここで、通信アドレスと勤務実績認識は、それぞれに変換可能な情報に置き換えることが出来る。次に、処理B4において、勤務実績認識番号単位ごとに、処理3で生成した文書を処理B2の前処理で読み込んだ労働者識別番号とその携帯電話A1の通信アドレスとの関連づけ情報を元に、各労働者へ送信する。したがって、該当する勤務実績管理対象期間に複数の契約のある労働者においては、勤務実績認識番号単位に複数の文書送信あるいは勤務実績認識番号単位に複数のハイパーリンク情報を含む単一文書が送信される。
【0012】次に処理B5において、該当労働者は処理B4にて送信された文書を携帯電話を用いて受信する。次に処理B6において、処理B5にて受信した文書を携帯電話の文字表示装置に表示させ、文書内のハイパーリンクを選択することにより勤務実績入力用の書式の呼び出しをデータ処理装置A2に対して行う。ここで該当労働者は、従来のパーソナルコンピュータを用いた勤務実績管理システムが用いていたユーザー認識番号と暗証番号の入力操作と比較して、ハイパーリンクの選択のみで容易に勤務実績入力用の書式を呼び出すことができる。
【0013】次に処理7において、処理6にて送信されたハイパーリンク情報をもとに、勤務実績認識番号を特定し、勤務実績認識番号を関連づけられた労働契約条件をもとに、少なくとも勤務実績入力対象日とその対象日ごとの労働時間を算出できる項目を入力する欄を含む勤務実績入力用の書式を生成する。ここで、労働者の勤務実績入力の利便性を計るため、労働契約条件にもとづき出勤時刻、退社時刻、休憩時間、1日の労働時間を既定値として入力欄に埋め込み、労働者はその既定値の修正のみで入力を完了するという手段を適用してもよい。また勤務実績入力用の書式には、勤務実績入力後の返送が容易に行えるように勤務実績認識番号情報とデータ処理装置A2の通信アドレスを含ませる。次に処理B8において、処理6にて呼び出した携帯電話に対して処理7にて生成した勤務実績入力用の書式を送信する。
【0014】次に処理9において、該当労働者は処理8にて送信された勤務実績入力用の書式を携帯電話に受信する。次に処理10において、勤務実績入力用の書式の入力欄に自己の勤務実績を携帯電話の入力機能を用いて行う。次に処理11において、勤務実績入力用の書式に含まれる勤務実績認識番号情報とデータ処理装置A2の通信アドレス情報をもとに携帯電話A1の文字情報通信機能を用いて、データ処理装置A2に処理10にて入力した勤務実績データを送信する。
【0015】次に処理12において、処理11にて送信された勤務実績データを受信する。次に処理13において、処理12にて受信した勤務実績データと過去に受信した勤務実績データとを勤務実績認識番号をもとに比較し、同一のものがあるかどうかチェックする。同一のものが無い場合は、B15において、勤務実績データを記憶装置A3に保存し処理を終了する。同一のものがある場合は、処理B14に進む。処理B14において、該当労働者に対して二重入力あるいは他者による不正入力の可能性がある旨の文書を生成し、該当労働者の携帯電話にその文書を送信し警告を行い、処理を終了する。つまり、第三者が該当労働者より先に入力した場合は警告により状況が判明し、第三者が該当労働者より後に入力した場合は入力を拒絶する手段を提供する結果、他者による不正入力が防止でき、勤務実績データの正確性を高めることが出来る。
【発明の効果】以上のように、本発明は、パーソナルコンピュータとネットワークのない就労場所においてもコンピュータによる勤務実績管理を可能とし、パーソナルコンピュータの操作方法に習熟していない労働者に対しても容易な操作方法を提供し、1ヶ月で複数の契約を持つ労働者にも適用でき、勤務実績の不正入力防止を実現する効果をもつ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成図である。
【図2】本発明のデータ処理手順である。
【符号の説明】
A1 携帯電話
A2 データ処理装置
A3 記憶装置
B1 労働契約情報と携帯電話情報を保存する処理
B2 勤務実績認識番号を生成する処理
B3 勤務実績入力指示文書生成処理
B4 勤務実績入力指示文書送信処理
B5 勤務実績入力指示文書受信処理
B6 勤務実績入力用の書式呼び出し処理
B7 勤務実績入力用の書式生成処理
B8 勤務実績入力用の書式送信処理
B9 勤務実績入力用の書式受信処理
B10 勤務実績入力処理
B11 勤務実績データ送信処理
B12 勤務実績データ受信処理
B13 二重入力チェック処理
B14 警告文書生成と送信処理
B15 勤務実績データ保存処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】文字情報入力機能と文字情報通信機能をもつ携帯電話と、前記携帯電話との相互通信機能をもつデータ処理装置と、を用いて勤務実績を記録する勤務実績管理システムであって、労働者別の労働契約にもとづく勤務条件をあらかじめ記憶する記憶手段と、労働契約ごとの条件にもとづき勤務実績入力用の書式を生成する生成手段と、前記生成手段により生成した労働者別の勤務実績入力用の書式を該当労働者の携帯電話に送信する送信手段と、労働者が前記送信手段により受信した勤務実績入力用の書式に勤務実績を入力する入力手段と、前記入力手段により入力された労働者別の勤務実績データを前記データ処理装置に送信する送信手段とを具備する、勤務実績管理システム。
【請求項2】さらに、労働者別の労働契約と勤務実績管理対象期間に応じて、勤務実績を一元的に管理するための勤務実績認識番号を生成し、その認識番号をもとに勤務実績を管理する機能を具備する、特許請求の範囲第1項記載の勤務実績管理システム。
【請求項3】さらに、特許請求の範囲第2項記載の勤務実績認識番号をもとに、二重入力を禁止することで勤務実績入力データの不正入力を防止する手段を具備する、特許請求の範囲第1項記載の勤務実績管理システム。
【請求項4】さらに、特許請求の範囲第2項記載の勤務実績認識番号とデータ処理装置の通信アドレスのハイパーリンクを含んだ文書を携帯電話に送信する送信手段と、前記送信手段により受信したハイパーリンクをクリックすることで勤務実績入力用の書式を前記データ処理装置から呼び出す手段を具備する、特許請求の範囲第1項記載の勤務実績管理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2002−99690(P2002−99690A)
【公開日】平成14年4月5日(2002.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−291407(P2000−291407)
【出願日】平成12年9月26日(2000.9.26)
【出願人】(300069107)スタッフネット株式会社 (1)
【Fターム(参考)】