包接複合体を含有する組成物
【課題】ポリマー及び治療剤の粒状複合体とポリマー及び錯生成剤の包摂複合体とを含有する組成物を提供する。
【解決手段】ポリマーは錯生成剤とホスト−ゲスト又はゲスト−ホスト相互作用で相互作用して包接複合体を形成する。本発明の組成物は、治療剤を送出して種々の疾患を治療するのに用いることができる。粒状複合体のポリマー及び錯生成剤の両方を用いて機能を組成物中に導入することができる。
【解決手段】ポリマーは錯生成剤とホスト−ゲスト又はゲスト−ホスト相互作用で相互作用して包接複合体を形成する。本発明の組成物は、治療剤を送出して種々の疾患を治療するのに用いることができる。粒状複合体のポリマー及び錯生成剤の両方を用いて機能を組成物中に導入することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、治療剤を送出するのに用いる組成物及び方法に関する。一層特に、発明は、ポリマー、治療剤、及び錯生成剤を含有し、ポリマーは錯生成剤とホスト−ゲスト又はゲスト−ホスト相互作用で相互作用して包接複合体を形成する組成物に関する。発明の組成物は、種々の疾患の治療において治療剤を送出するのに用いることができる。
【背景技術】
【0002】
シクロデキストリンは、天然のD(+)−グルコピラノース単位をα−(1,4)結合で含有する環状多糖である。最も一般的なシクロデキストリンは、アルファ(α)−シクロデキストリン、ベータ(β)−シクロデキストリン及びガンマ(γ)−シクロデキストリンであり、これらはそれぞれ6個、7個又は8個のグルコピラノース単位を含有する。構造上、シクロデキストリンの環状性質は、内部無極の又は疎水性空洞を有するトーラス又はドーナツ様形状を形成し、第二級ヒドロキシル基がシクロデキストリントーラスの一方の側に位置されかつ第一級ヒドロキシル基がシクロデキストリントーラスの他方の側に位置される。これより、(β)−シクロデキストリンを例として用いて、シクロデキストリンは、しばしば下記の通りに概略的に表される:
【化1】
第二級ヒドロキシル基が配置される側は、第一級ヒドロキシル基が配置される側に比べて一層広い直径を有する。シクロデキストリン内部空洞の疎水性は、種々の化合物を包接するのを可能にする。(Comprehensive Supramolecular Chemistry、3巻、J.L.Atwood等編、Pergamon Press(1996);T.Cserhati,Analytical Biochemistry,225:328−332(1995);Husain編、Applied Spectroscopy,46:652−658(1992);FR2,665,169)。
【0003】
シクロデキストリンは、シクロデキストリンの疎水性空洞に適合することができる種々の薬剤と包接複合体を形成することにより又はオリゴヌクレオチド及びそれらの誘導体のようなその他の生物学的に活性な分子と非共有性会合複合体を形成することによって種々の治療化合物の送達ビヒクルとして使用されてきた。例えば、米国特許第4,727,064号は、相当に小さい水溶性を有する薬剤及び非晶質の水溶性シクロデキストリンベースの混合物からなる医薬品について記載している。薬剤は、混合物のシクロデキストリンと包接複合体を形成する。米国特許第5,691,316号には、オリゴヌクレオチドについてのシクロデキストリンセルラー送達システムが記載されている。そのようなシステムでは、オリゴヌクレオチドはシクロデキストリンと非共有に複合化され、さもなくばオリゴヌクレオチドは、アダマンタンに共有結合されることができ、これは、立ち代わってシクロデキストリンと非共有に会合される。
【0004】
種々のシクロデキストリン含有ポリマー及びそれらの調製方法もまた当分野で知られている。(Comprehensive Supramolecular Chemistry、3巻、J.L.Atwood等編、Pergamon Press(1996))。不動化されたシクロデキストリンを含有するポリマーを製造するプロセスが米国特許第5,608,015号に記載されている。そのプロセスに従えば、シクロデキストリン誘導体がα,β−不飽和酸又はその誘導体の酸ハライドモノマーか或は末端イソシアネート基又はその誘導体を有するα,β−不飽和酸又はその誘導体のいずれかと反応させられる。シクロデキストリン誘導体は、シクロデキストリンをカルボニルハライドや酸無水物のような化合物と反応させることによって得られる。生成するポリマーは、シクロデキストリン単位を線状ポリマー主鎖をはずれて側鎖として含有する。
【0005】
米国特許第5,276,088号は、ポリビニルアルコール又はセルロース又はそれらの誘導体をシクロデキストリン誘導体と反応させることによるか或はシクロデキストリン誘導体をビニルアセテート又はメチルメタクリレートと反応させることよるのいずれかによってシクロデキストリンポリマーを合成する方法について記載している。再び、生成するポリマーは、シクロデキストリン部分をポリマーの主鎖をはずれてペンダント部分として含有する。
【0006】
超分子構造を有する生分解性の薬効のあるポリマーアセンブリーがWO96/09073 A1及び米国特許第5,855,900号に記載されている。そのアセンブリーは、薬剤をα、β、又はγ−シクロデキストリンに結合させ、次いで薬剤/シクロデキストリン化合物をポリマーの両端に結合される生分解性部分を有する線状ポリマーに沿って配列することによって調製される薬剤保持環状化合物を多数含む。そのようなアセンブリーは、疾患で起きる特定の生分解に応答して薬剤を放出することができると報告されている。これらのアセンブリーは、一般に「ネックレス−タイプ」シクロデキストリンポリマーと呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】仏国特許第2,665,169号明細書
【特許文献2】米国特許第4,727,064号明細書
【特許文献3】米国特許第5,691,316号明細書
【特許文献4】米国特許第5,608,015号明細書
【特許文献5】米国特許第5,276,088号明細書
【特許文献6】WO96/09073 A1
【特許文献7】米国特許第5,855,900号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Comprehensive Supramolecular Chemistry、3巻、J.L.Atwood等編、Pergamon Press(1996)
【非特許文献2】T.Cserhati,Analytical Biochemistry,225:328−332(1995);Husain編、Applied Spectroscopy,46:652−658(1992)
【非特許文献3】Comprehensive Supramolecular Chemistry、3巻、J.L.Atwood等編、Pergamon Press(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、例えば、増大された安定性(例えば生理学的条件下で)及び有効なターゲティング能力のような性質を示す一層有効な非バイラル送達システムについての要求が当分野に存在する。本発明は、そのような要求に答えるものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明は、ポリマー、治療剤、及び錯生成剤を含有する組成物を提供する。ポリマーは錯生成剤とホスト−ゲスト及び/又はゲスト−ホスト相互作用で相互作用して包接複合体を形成する。発明の組成物は、種々の疾患の治療において治療剤を送出するのに用いることができる。ポリマー及び錯生成剤は、両方とも機能を組成物中に導入するのに用いることができる。
【0011】
発明は、ポリマー及び治療剤の粒状複合体並びにポリマー及び錯生成剤の包接複合体を含む組成物を提供する。粒状複合体のポリマーは、ホスト機能を有することができ、ゲスト錯生成剤と包接複合体を形成する。代わりに、粒状複合体の少なくとも一種のポリマーは、ゲスト機能を有し、ホスト錯生成剤と包接複合体を形成する。別の実施態様では、ポリマー又は錯生成剤は、包接複合体を形成するホスト機能及びゲスト機能の両方を有することができる。これは、複数の錯生成剤を包接複合体を形成させ、それにより治療組成物と会合されるようになるのを可能にする。これは、また、複数の機能を発明の治療組成物中に導入するのも可能にする。
【0012】
発明は、また、治療組成物を調製する方法にも関する。その方法は、治療剤、ホスト又はゲスト機能を有するポリマー、及びゲスト又はホスト機能を有する錯生成剤を組み合わせて治療組成物を形成する。錯生成剤は、ポリマーと包接複合体を形成する。
【0013】
発明は、また、治療剤を送出する方法にも関する。その方法に従えば、発明の組成物を治療剤を必要としているのが認められる哺乳動物(例えばヒト又は動物)に治療上有効な量で投与する。これより、発明は、適した治療剤を送出するのに発明の組成物を使用する病気の治療を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】種々のアダマンタン−PEG分子の構造
【図2】GALA及びGALA−Ad改変された組成物の流体力学的径、実施例30。
【図3】GALA及びGALA−Ad改変された組成物のゼータ電位、実施例32。
【図4】BHK−21細胞によるGALA−Ad及びGALA改変された組成物の取込み、実施例31。
【図5】HUH−7細胞によるGALA−Ad及びGALA改変されたポリプレックスポリプレックス組成物の取込み、実施例33。
【図6】GALA及びGALA−Adで改変されたβ−シクロデキストリン−DMSコポリマー12ベースの組成物によるBHK−21細胞のルシフェラーゼトランスフェクション、実施例34。
【図7】GALA及びGALA−Ad改変されたポリプレックスのBHK−21細胞への毒性、実施例35。
【図8】グラフトによるポスト−DNA−複合化ペグ化についての略図、実施例39。
【図9】ポスト−DNA−複合化する間のPEI及び12粒状複合体並びにポリプレックスポリプレックス組成物の粒子サイズ、実施例39。
【図10】ペグ化によるポリプレックス組成物の塩安定化、実施例40。
【図10A】ペグ化によるポリプレックス組成物の安定化、実施例40。
【図11】PEG3400−FITCを有する12ポリプレックスの共送達、実施例42。
【図12】ラクトース−12の構造、実施例37。
【図13】12及びLAC−CDP6ポリプレックスのHUH−7細胞へのトランスフェクション、実施例43。
【図14】実験プロトコルの略図、実施例47。
【図15】粒子直径、実施例47。
【図16】複合体沈殿によるDNA損失、実施例47。
【図17】12/DNA複合体を改変するための包接複合体、実施例48。
【図18】改変されたポリプレックスのHepG2細胞へのトランスフェクション、実施例49。
【図19】競合置換実験、実施例52。
【図20】アダマンタン−PEG−トランスフェリン(Ad−PEG−Tf)の合成、実施例55。
【図21】トランスフェリンについての鉄ローディング、実施例55。
【図22】結合親和力トランスフェリン−PEG−Ad、実施例55。
【図23】リシン基を経たトランスフェリンカップリング、実施例56。
【図24】トランスフェリン−PEG−AdのPC3細胞上のトランスフェリンレセプターへの結合親和力、実施例57。
【図25】トランスフェリン及びPEG改変されたポリプレックスにおける粒子改変の関数としてのゼータ電位変動及び粒子サイズ、実施例58。
【図26】ゼータ電位測定、Ad−アニオン性−PEG、実施例62。
【図27】安定性測定、実施例62。
【図28】トランスフェリン錯生成剤を増大させる添加、実施例62。
【図29】ヒスチジル化された12の合成。
【図30】エンドソーム逸出についてのpH感応性ポリマー(第二級アミン含有ポリマーの合成)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書中で、化合物12をまたβCDP6と表示する。核酸及びカチオン性ポリマーを粒状複合体で有する複合体をポリプレックスと識別する。
発明は、治療剤を送出するための包接複合体を採用する組成物に関する。包接複合体は、付加物の特徴的な構造を有する分子化合物であり、化合物の内の一種(ホスト分子)が別の化合物の少なくとも一部を空間的に閉じ込める。閉じ込められた化合物(ゲスト分子)は、ホスト分子の空洞内にホストの骨組み構造に影響を与えないで位置される。利用可能な空洞のサイズ及び形状が、わずかに変形する他は、もっともしばしば実用的に変更されないままであるのが包接複合体の特有な特徴である。「ホスト」は、当分野で知られている任意のホスト化合物又は分子にすることができる。適した「ホスト」の例は、下記を含み、それらに限定しない:シクロデキストリン、カルセロンド、キャビタンド、クラウンエーテル、クリプタンド、ククルビツリル、カリキサラン、スフェロンド等。錯生成剤について適した包接ゲストの例は、当分野で知られているもの、例えばアダマンタン、ジアダマンタン、ナフタレン、及びコレステロールのようなものを含み、それらに限定しない。
【0016】
シクロデキストリンは、広範囲のイオン性及び分子種と相互作用することができる好適なホストであり、生成する包接化合物は、「ホスト−ゲスト」複合体のクラスに属する。ホスト−ゲスト関係を実現するためには、いくつもの要件を満足しなければならず;要件の内の一つは、ホスト及びゲスト分子の結合部位が立体電子の意味で補い合う関係にあるべきであることである。シクロデキストリンは、空洞のディメンジョンに適合するサイズを有する化合物と包接複合体を形成することができる。しかし、複合体形成の程度は、また、ゲスト分子の極性にも依存する。空洞よりも有意に大きい分子との複合体形成は、また、所定の基又は側鎖だけが炭水化物チャンネルの中に浸透するように実行できてもよい。J.Szejtli,Akademiai Kiado,Cyclodextrins and their inclusion complexes、ブタペスト、1982を参照。
【0017】
発明の組成物は、少なくとも一種のポリマー及び少なくとも一種の治療剤を、通常ポリマー及び治療剤の粒状複合体の形態で含有する。治療組成物は、また一種以上の錯生成剤も含有する。粒状複合体の少なくとも一種のポリマーは、錯生成剤とホスト−ゲスト又はゲスト−ホスト相互作用で相互作用してポリマーと錯生成剤との間で包接複合体を形成する。ポリマー及び一層特に錯生成剤を用いて機能を発明の組成物中に導入することができる。一実施態様では、粒状複合体の少なくとも一種のポリマーは、ホスト機能を有し、ゲスト機能を有する錯生成剤と包接複合体を形成する。別の実施態様では、粒状複合体の少なくとも一種のポリマーは、ゲスト機能を有し、ホスト機能を有する錯生成剤と包接複合体を形成する。それ以上の実施態様では、粒状複合体のポリマーは、ホスト機能及びゲスト機能の両方を含有し、ゲスト錯生成剤及びホスト錯生成剤と包接複合体を形成することができる。
【0018】
1.粒状複合体
治療剤及びポリマーの粒状複合体は、治療剤及びポリマーの組合せ又は統合である。粒状複合体は、一種以上の治療剤を多次元の網状組織内に含む会合された構造である。単一のポリマーを使用しても又はポリマーの混合物を使用してもよい。粒状複合体の少なくとも一種のポリマーは、粒状複合体の多次元のポリマー網状組織を形成することができるのに加えて、下記に検討する通りに、一種以上の錯生成剤と包接複合体を形成することができるホスト及び/又はゲスト機能を保持する。
【0019】
A.ポリマー
治療剤と粒状複合体を形成することができかつホスト及び/又はゲスト機能を有する任意のタイプのポリマーを発明の組成物において用いることができる。ポリマーは線状ポリマーでも又は枝分れポリマーでもよい。ポリマーはホモポリマーでも又はコポリマーでもよい。コポリマーを用いるならば、コポリマーはランダムコポリマーでも又は枝分れポリマーでもよい。ポリマーは、水分散性であるのが好ましく、水溶性であるのが一層好ましい。例えば、適したポリマーは、下記を含み、それらに限定しない:多糖、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアクリレート等。ポリマーは、治療医薬品使用のためには、低い毒性プロフィルを有すべきであり、毒性又は細胞毒性でないのが好ましい。下記に検討する通りに、発明の組成物において使用するための好適なポリマーは、シクロデキストリンベースのポリマーである。下記に記載する分子量3,000〜100,000の範囲を有する水溶性の線状シクロデキストリンコポリマーが好適であり、分子量3,000〜50,000を有するものが特に好適である。
【0020】
発明に従えば、粒状複合体におけるポリマーは、単一のポリマーでも又は2つ以上のポリマーの混合物としてもよく、2つ以上のポリマーは、同じポリマーでも又は異なるポリマーでもよい。粒状複合体の各々のポリマーは、更に架橋基を含有しても又は更に架橋基を含有するように改変してもよく、架橋基を通してポリマーを会合して粒状複合体を形成することを達成することができる。
【0021】
粒状複合体の少なくとも一種のポリマーは、包接複合体を形成することができるポリマーである。「包接複合体を形成することができるポリマー」とは、別の化合物(錯生成剤)又は化合物上の置換基と非結合相互作用(例えば、ファンデルヴァールス力、水素結合、双極子−双極子相互作用、イオン対現象、ソルオホビック(soluophobic)相互作用等)を経て1つ以上のホスト−ゲスト会合することができる任意のポリマーにすることができる。換言すると、少なくとも一種のポリマーは、ホスト又はゲスト機能を有して錯生成剤又は錯生成剤上の置換基と包接複合体を形成する。ホスト又はゲスト機能は、ポリマー主鎖の一部でも或は置換基として又はペンダントもしくは枝分れ鎖中に存在してもよい。ポリマー主鎖中にホスト機能を有するポリマーの例は、下記に記載する通りの線状シクロデキストリンポリマーである。ゲスト機能をポリマー主鎖の一部としてでなく有するポリマーの例は、ペンダントアダマンタン基を有するポリマーになろう。ポリマーと共に採用することができる適した「ホスト」のその他の例は、下記を含み、それらに限定しない:カルセロンド、キャビタナール、クラウンエーテル、クリプタンド、ククルビツリル、カリキサレン、スフェロンド等。そのようなホストに適した包接ゲストの例は、当業者に知られているもの、例えばアダマンタン、ジアダマンタン、ナフタレン、及びコレステロールのようなものを含み、それらに限定しない。
【0022】
好適な実施態様では、ポリマーは異なるタイプのホスト又はゲスト機能を含有してよく或はポリマーはホスト機能及びゲスト機能の両方を含有してよい。これは、異なる包接複合体について更に一層大きな融通性を所定のポリマー上に形成させるのを可能にする。同じポリマー上に多重ホスト、多重ゲスト、又はホスト機能及びゲスト機能の両方を有すると、発明の治療組成物中に包接複合体を経て導入することができる種々の機能を増大させる。
【0023】
ホスト−ゲスト重合の結果、ポリマーは錯生成剤と相互作用して包接複合体を形成する。非結合相互作用又は会合の結果、生成する包接複合体は、約>102、好ましくは、約>103、一層好ましくは約>104の結合定数を示す。結合定数は、約102〜106の範囲になるのが好ましい。
【0024】
粒状複合体のポリマーは、1つ以上のリガンドで改変することができる。リガンドは、粒状複合体を形成する際に又は形成した後に治療剤及び/又は粒状複合体のポリマーのリガンド改変を経て導入することができる。リガンドは、所望の細胞を標的にする又は所望の細胞に結合することを可能にする任意のリガンドにすることができる。当業者ならば理解するであろう通りに、細胞を標的にする又は細胞に結合することは、細胞レセプターアタッチメントを含むことができ、これは、立ち代わってレセプター媒介エンドサイトーシスに至り得る。2つ以上のリガンドを結合させるならば、リガンドは同じでも又は異なってもよい。適したリガンドの例は、下記を含み、それらに限定しない:ビタミン(例えば葉酸)、タンパク質(例えばトランスフェリン、及びモノクローナル抗体)、単糖類(例えばガラクトース)、ペプチド、及び多糖。リガンドの選定は、当業者ならば認識する通りに、所望するタイプの送出に応じて変えることができる。別の例として、リガンドは膜透過用又は膜透過性剤、例えばHIV−1からのTATタンパク質のようなものにすることができる。TATタンパク質は、バイラル転写活性化であり、細胞核の中に活発に移入される。Torchilin,V.P.等、PNAS.98,8786−8791,(2001)。
【0025】
発明の好適な実施態様では、粒状複合体のポリマーの内の少なくとも一種は、包接複合体を形成することができるホスト及び/又はゲスト機能を有する実質的に線状のポリマーである。実質的に線状のポリマーは、当分野で知られている任意の手段によって調製することができる。ポリマーは、包接複合体を形成することができる適したモノマー又はモノマーの混合物であって、それの少なくとも一種はホスト又はゲスト機能を有するものから調製することができる。ホスト又はゲスト機能は、ポリマー鎖内にあっても、ポリマーへのペンダント(又は枝分れする)でも、又は末端基として存在してもよい。代わりに、ポリマーを形成した後に、それを更にホスト又はゲスト機能を加えるように改変して(先に検討した通り)包接複合体を形成することができる実質的に線状のポリマーを形成してもよい。実質的に線状のポリマーは、ブロックコポリマーにすることができ、ブロックは、ホスト機能、水分散性及び/又は水溶性のような性質を導入する。そのようなブロックの例は、例えば、線状のポリエチレンイミン(PEI)、線状のシクロデキストリン含有ポリマー、ビス(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン(AEPD)、及びN2,N2,N3,N3−(3’−PEG5000アミノプロパン)−ビス(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアンモニウムジ−トリフルオロアセテート(AEPD−PEG)を含む。
【0026】
別の好適な実施態様では、粒状複合体を形成するのに用いるポリマーは、シクロデキストリン含有ポリマーであり、下記に記載する通りの実質的に線状のシクロデキストリンポリマーであるのが一層好ましい。ポリマーは、また、ポリエチレンイミン(PEI)でも又はペンダントシクロデキストリンを有するポリマーでもよい。線状のシクロデキストリンコポリマーは、シクロデキストリン部分をそのポリマー主鎖の一体部分として含有するポリマーである。ペンダントシクロデキストリン部分を主ポリマー鎖の部分として有するのでなくむしろポリマー主鎖から外れて結合させたポリマーもまた、発明の組成物において用いてよい。線状のシクロデキストリン含有ポリマーは、少なくとも1つのシクロデキストリン部分をポリマー主鎖の部分として含有する任意の線状ポリマーにすることができる。シクロデキストリン含有ポリマーは、水溶性であるのが好ましい。線状のシクロデキストリン含有ポリマーは、線状のシクロデキストリンコポリマー又は線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーであるのが一層好ましく、各々は下記に記載する通りである。ポリマー内のシクロデキストリン基は、ホスト機能をポリマーに与えてそれを包接複合体を形成するのを可能にする。包接複合体を形成することができる実質的に線状のポリマーは、更に更なる官能基(例えばチオール基)を含有しても又は更に更なる官能基(例えばチオール基)を含有するように改変してもよい。
【0027】
線状のシクロデキストリン含有ポリマー
粒状複合体を形成するのに用いることができる線状のシクロデキストリンコポリマーは、線状のコポリマー主鎖において置換された又は未置換のシクロデキストリン部分をシクロデキストリンの少なくとも1つのグルコピラノース環の2、3、又は6番位を通して線状のシクロデキストリンポリマーのシクロデキストリンを結合する二価部分に二機能結合させて含有する。WO00/01734に記載される通りに、そのような線状のシクロデキストリンコポリマーは、Ia、Ib式(下記)の反復単位又はそれらの組合せを有する。線状のシクロデキストリンコポリマー、それらの製法及び性質は、また、Gonzalez,H.,Hwang,S.及びDavis,M(1999)New class of polymers for the delivery of macromolecular therapeutics.Bioconjugate Chem,10,1068−1074並びにHwang,S.,Bellocq,N.及びDavis,M(2001)Effects of Structure of Beta−Cyclodextrin−Containing Polymers on Gene Delivery.Bioconjugate Chem,12(2),280−290に記載されており、これらの両方を本明細書中に援用する。
【化2】
【0028】
Ia及びIb式において、Cは置換された又は未置換のシクロデキストリンモノマーであり、AはシクロデキストリンCに結合された、すなわち共有結合されたコモノマーである。シクロデキストリンモノマーCプリカーサー(前駆物質)とコモノマーAプリカーサーとを重合させると、線状のシクロデキストリンコポリマーを生じる。単一の線状のシクロデキストリンコポリマー内で、シクロデキストリンモノマーC単位は、同じでも又は異なってもよく、同様に、コモノマーAも同じでも又は異なってもよい。
【0029】
シクロデキストリンモノマープリカーサーは、当分野で知られている任意のシクロデキストリン又はその誘導体にすることができる。上に検討した通りに、シクロデキストリンは、最も一般的に6〜8個の天然のD(+)−グルコピラノース単位をα−(1,4)結合で含有する環状多糖と定義される。シクロデキストリンモノマープリカーサーは、6、7及び8個のグルコース単位を有するシクロデキストリン、すなわちそれぞれアルファ(α)−シクロデキストリン、ベータ(β)−シクロデキストリン及びガンマ(γ)−シクロデキストリンであるのが好ましい。シクロデキストリン誘導体は、当分野で知られている任意の置換されたシクロデキストリンにすることができ、ここで、置換基は、下記に記載する通りのコモノマーAプリカーサーとの共重合を妨げない。シクロデキストリン誘導体は、中性でも、カチオン性でも又はアニオン性でもよい。適した置換基の例は、下記を含み、それらに限定しない:ヒドロキシアルキル基、例えばヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチルのようなもの;エーテル基、例えばジヒドロキシプロピルエーテル、メチル−ヒドロキシエチルエーテル、エチル−ヒドロキシエチル、及びエチル−ヒドロキシプロピルエーテルのようなもの;アルキル基、例えばメチルのようなもの;多糖、例えばグルコシル及びマルトシルのようなもの;酸基、例えばカルボン酸、亜リン酸、亜ホスフィン酸、ホスホン酸、リン酸、チオホスホン酸、及びスルホン酸のようなもの;イミダゾール基;スルフェート基;並びに保護されたチオール基。
【0030】
シクロデキストリンモノマープリカーサーは、更に下記に記載する通りに、シクロデキストリンモノマープリカーサーとコモノマーAプリカーサーとの共重合を助成する又はかかる共重合に影響を与えるように化学的に改変(例えば水素化、アミノ化)してよい。シクロデキストリンモノマープリカーサーの化学的改変は、各々のシクロデキストリン部分上の2つだけの位置で重合、すなわち二機能シクロデキストリン部分の生成を可能にする。各々のグルコピラノース環のC1〜C6位についてのナンバリング方式は、下記の通りである:
【化3】
【0031】
好適な実施態様では、重合は、シクロデキストリン部分の任意のC2、C3及びC6(これらの組合せを含む)の内の2つで行われる。例えば、1つのシクロデキストリンモノマープリカーサーを2つのC6位で重合させ、別のシクロデキストリンモノマープリカーサーをシクロデキストリン部分のC2及びC6位で重合させることができる。β−シクロデキストリンを例として用いて、シクロデキストリンにおける各々のグルコピラノース環の相対的な位置についてのレタリング方式は、下記の通りである:
【化4】
【0032】
線状のシクロデキストリンコポリマーの好適な実施態様では、シクロデキストリンモノマーCは、下記の一般式(II)を有する:
【化5】
(II)式において、n及びmは、他の2つのグルコピラノース環と共に、シクロデキストリンモノマーにおけるグルコピラノース単位の合計数を規定する整数を表わす。(II)式は、シクロデキストリン単位上の2つのC6位で重合させることができるシクロデキストリンモノマーを表わす。(II)式のシクロデキストリンの例は、下記を含み、それらに限定しない:6A,6B−ジデオキシ−α−シクロデキストリン(n=0、m=4)、6A,6C−ジデオキシ−α−シクロデキストリン(n=1、m=3)、6A,6D−ジデオキシ−α−シクロデキストリン(n=2、m=2)、6A,6B−ジデオキシ−β−シクロデキストリン(n=0、m=5)、6A,6C−ジデオキシ−β−シクロデキストリン(n=1、m=4)、6A,6D−ジデオキシ−β−シクロデキストリン(n=2、m=3)、6A,6B−ジデオキシ−γ−シクロデキストリン(n=0、m=6)、6A,6C−ジデオキシ−γ−シクロデキストリン(n=1、m=5)、6A,6D−ジデオキシ−γ−シクロデキストリン(n=2、m=4)、及び6A,6E−ジデオキシ−γ−シクロデキストリン(n=3、m=3)。
【0033】
別の好適な実施態様では、線状のシクロデキストリンコポリマーは、グルコース環開放されたシクロデキストリンモノマーC単位を含有することができ、ここで、シクロデキストリンのグルコピラノース環の内の1つ以上が、シクロデキストリン環システムを保ちながら開放されている。下記の一般式(III)は、グルコピラノース環開放されたシクロデキストリンを表し、環がC2、C3位で開放している。
【化6】
(III)式において、pは5〜7の範囲である。(III)式において、シクロデキストリンモノマーのD(+)−グルコピラノース単位の内の少なくとも1つは、環開放を受けてシクロデキストリン単位のC2及びC3位で重合を可能にしている。(III)式のシクロデキストリンモノマー、例えば2A,3A−ジアミノ−2A,3A−ジデオキシ−β−シクロデキストリン及び2A,3A−ジアルデヒド−2A,3A−ジデオキシ−β−シクロデキストリンのようなものは、マサチューセッツ、ウエストボロウのCarbomerから市販されている。(III)式のシクロデキストリンモノマーの例は、下記を含み、それらに限定しない:2A,3A−ジデオキシ−2A,3A−ジヒドロ−α−シクロデキストリン、2A,3A−ジデオキシ−2A,3A−ジヒドロ−β−シクロデキストリン、2A,3A−ジデオキシ−2A,3A−ジヒドロ−γ−シクロデキストリン、これらは、一般にそれぞれ2,3−ジデオキシ−α−シクロデキストリン、2,3−ジデオキシ−β−シクロデキストリン、及び2,3−ジデオキシ−γ−シクロデキストリンと呼ばれる。
【0034】
コモノマーAプリカーサーは、上記に記載した通りに、シクロデキストリンモノマープリカーサーと反応する際に、2つのシクロデキストリンモノマーを一緒に結合する任意の直鎖又は枝分かれした、対称又は不斉の化合物にすることができる。コモノマーAプリカーサーは、少なくとも2つの架橋基であって、それらを通してシクロデキストリンモノマーの反応及びこれより結合が達成されることができるものを含有する化合物である。各々のコモノマーAプリカーサーの、同じでも又は異なってもよく、末端でも又は内部でもよい可能な架橋基の例は、下記を含み、それらに限定しない:アミノ、酸、エステル、イミダゾール、及びアシルハライド基及びこれらの誘導体。好適な実施態様では、2つの架橋基は、同じでありかつ末端である。コモノマーAプリカーサーとシクロデキストリンモノマーとを共重合させる際に、2つのシクロデキストリンモノマーを、一方のシクロデキストリンモノマーの第一級ヒドロキシル側と別のシクロデキストリンモノマーの第一級ヒドロキシル側とを結合させるにより、一方のシクロデキストリンモノマーの第二級ヒドロキシル側と別のシクロデキストリンモノマーの第二級ヒドロキシル側とを結合させるにより、又は一方のシクロデキストリンモノマーの第一級ヒドロキシル側と別のシクロデキストリンモノマーの第二級ヒドロキシル側とを結合させるによって、一緒に結合させることができる。よって、そのような結合の組合せが最終のコポリマー中に存在し得る。
【0035】
最終のコポリマーのコモノマーAプリカーサー及びコモノマーAは、両方とも中性でも、カチオン性(例えば脱プロトン化された基、例えば第四級アンモニウム基のようなものを含有することによって)でも又はアニオン性(例えば、脱プロトン化された基、例えばスルフェート、ホスフェート又はカルボキシレートアニオン性基のようなものを含有することによって)でもよい。荷電されたコモノマーAプリカーサー又はコモノマーAの対イオンは、任意の適した対アニオン又は対カチオン(例えば、カチオン性コモノマーAプリカーサー又はコモノマーAの対アニオンは、ハライド(例えばクロリド)アニオンにすることができる)にすることができる。コポリマーのコモノマーAの電荷は、pH条件を調整することによって調整することができる。
【0036】
適したコモノマーAプリカーサーの例は、下記を含み、それらに限定しない:シスタミン、1,6−ジアミノヘキサン、ジイミダゾール、ジチオイミダゾール、スペルミン、ジチオスペルミン、ジヒスチジン、ジチオヒスチジン、スクシンイミド(例えばジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(DSP)及びジスクシンイミジルスベレート(DSS))並びにイミデート(例えばジメチル3,3’−ジチオビスプロピオン−イミデート(DTBP))。コモノマーAプリカーサーとシクロデキストリンモノマープリカーサーとを共重合させると、下記の一般式のコモノマーA結合を含有する線状のシクロデキストリンコポリマーを形成するに至る:-HNC(O)(CH2)xC(O)NH-,-HNC(O)(CH2)xSS(CH2)xC(O)NH-, -+H2N(CH2)xSS(CH2)xNH2+-,-HNC(O)(CH2CH2O)xCH2CH2C(O)NH-,=NNHC(O)(CH2CH2O)xCH2CH2C(O)NHN=,-+H2NCH2(CH2CH2O)xCH2CH2CH2NH2+-,-HNC(O)(CH2CH2O)xCH2CH2SS(CH2CH2O)xCH2CH2C(O)NH-,-HNC(NH2+)(CH2CH20)xCH2CH2C(NH2+)NH-,-SCH2CH2NHC(NH2+)(CH2)xC(NH2+)NHCH2CH2S-,-SCH2CH2NHC(NH2+)(CH2)xSS(CH2)xC(NH2+)NHCH2CH2S-,-SCH2CH2NHC(NH2+)CH2CH2(OCH2CH2)xC(NH2+)NHCH2CH2S-,
【化7−1】
【化7−2】
上記式において、x=1〜150、及びy+z=x。好ましくは、x=1〜30。一層好ましくは、x=1〜30。好適な実施態様では、コモノマーAは、ジスルフィド結合のような生分解性結合を含有する。コモノマーAは、また、エステルのような酸不安定な含有機能及び当業者に知られているその他のそのような酸不安定な基を含んでもよい。
【0037】
別の好適な実施態様では、コモノマーAプリカーサー、故にコモノマーAは、所望の用途を達成するために、選択的に選定することができる。例えば、小分子治療剤を送出するのに、荷電されたポリマーが必要でないかもしれず、コモノマーAは、ポリエチレングリコール基のような親水基であっても又はそのような親水基を含有して更に水溶性を増進させてもよい。DNA又はタンパク質のようなポリペプチド治療剤について、コモノマーAは、線状のシクロデキストリンコポリマーがポリペプチド治療剤と粒状複合体を形成する能力を増大させるカチオン電荷を保持するのが好ましい。また、線状のシクロデキストリンコポリマーがコモノマーA基の混合物を含有してよいことも理解される。
【0038】
線状のシクロデキストリンコポリマーは、適当な脱離基を分配させたシクロデキストリンモノマープリカーサーを脱離基を置換することができるコモノマーAプリカーサーと共重合させることによって調製することができる。脱離基は、同じでも又は異なってもよく、コモノマーAプリカーサーと共重合させる際に置換することができる当分野で知られている任意の脱離基にすることができる。
【0039】
線状のシクロデキストリンコポリマーは、シクロデキストリンモノマープリカーサーをヨウ素化してジヨウ素化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーを形成しかつジヨウ素化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーをコモノマーAプリカーサーと共重合させてIa、Ib式の反復単位、又はそれらの組合せを有する線状のシクロデキストリンコポリマー(各々については上に記載した通りである)を形成することによって調製することができる。
【0040】
線状のシクロデキストリンを調製する別の方法は、上に記載した通りのシクロデキストリンモノマーをヨウ素化してIVa、IVb、IVc式又はそれらの混合物のジヨウ素化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーを形成する:
【化8】
【0041】
ジヨウ素化されたシクロデキストリンは、当分野で知られている任意の手段によって調製することができる(例えばTabushi等、J.Am.Chem.106,5267−5270(1984);Tabushi等、J.Am.Chem.106,4580−4584(1984)を参照)。例えば、β−シクロデキストリンを無水ピリジンの存在においてビフェニル−4,4’−ジスルホニルクロリドと反応させてビフェニル−4,4’−ジスルホニルクロリドキャプトβ−シクロデキストリンを形成し、これを次いでヨー化カリウムと反応させてジヨード−β−シクロデキストリンを製造することができる。シクロデキストリンモノマープリカーサーを2つの位置だけでヨウ素化する。上に記載した通りに、ジヨウ素化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーをコモノマーAプリカーサーと共重合させることによって、また上に記載した通りに、Ia、Ib式又はそれらの組合せの反復単位を有する線状のシクロデキストリンコポリマーを調製することができる。適するならば、ヨウ素又はヨード基をその他の既知の脱離基に代えてよい。
【0042】
ヨード基又はその他の適当な脱離基を、上に記載した通りに、コモノマーAプリカーサーとの反応を可能にする基で置換することができる。例えば、IVa、IVb、IVc式又はそれらの混合物のジヨウ素化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーをアミノ化してVa、Vb、Vc式又はそれらの混合物のジアミノ化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーを形成することができる:
【化9】
【0043】
ジアミノ化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーは、当分野で知られている任意の手段によって調製することができる(例えばTabushi等、Tetrahedron Lett.18:1527−1530(1977);Mungall等、J.Org.Chem.1659−1662(1975)を参照)。例えば、ジヨード−β−シクロデキストリンをナトリウムアジドと反応させ、次いで還元してジアミノ−β−シクロデキストリンを形成することができる。シクロデキストリンモノマープリカーサーを2つの位置だけでアミノ化する。上に記載した通りに、ジアミノされたシクロデキストリンモノマープリカーサーをコモノマーAプリカーサーと共重合させて、また上に記載した通りに、Ia、Ib式、又はそれらの組合せの反復単位を有する線状のシクロデキストリンコポリマーを製造することができる。しかし、ジアミノされたシクロデキストリンモノマープリカーサーのアミノ機能を直接シクロデキストリン部分に結合させる必要はない。代わりに、アミノ機能は、シクロデキストリンモノマープリカーサーのヨード又はその他の適当な脱離基を、アミノ基含有部分、例えば−SCH2CH2NH2のようなもので置換することによって導入してVd、Ve、Vf、Vg、Vh式又はそれらの混合物のジアミノ化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーを形成することができる:
【化10】
【0044】
また、線状のシクロデキストリンコポリマーは、下記に記載する通りに、線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーを還元することによっても調製することができる。この方法は、コモノマーAが還元性部分又は基、例えばジスルフィド結合のようなものを含有しない限り実施することができる。
【0045】
線状のシクロデキストリンコポリマーは、少なくとも1つの酸化されたシクロデキストリンモノマーをコポリマー中に酸化されたシクロデキストリンモノマーがポリマー主鎖の一体部分になるように導入するように酸化することができる。少なくとも1つの酸化されたシクロデキストリンモノマーを含有する線状のシクロデキストリンコポリマーを、線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーと規定する。線状の酸化されたシクロデキストリンは、それで、置換された又は未置換のシクロデキストリン部分を線状のコポリマー主鎖においてシクロデキストリンの少なくとも1つのグルコピラノース環の2、3、又は6番位を通して線状のシクロデキストリンポリマーのシクロデキストリンを結合する二機能部分、すなわちコモノマーA部分に二機能結合させ、シクロデキストリン部分のグルコピラノース環を酸化させる。シクロデキストリンモノマーをシクロデキストリン部分の第二級ヒドロキシル側又は第一級ヒドロキシル側のいずれか上で酸化させることができる。線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマー中に酸化されたシクロデキストリンモノマーが1つよりも多く存在するならば、第一級ヒドロキシル側、第二級ヒドロキシル側、又は両方のいずれか上で酸化された同じ又は異なるシクロデキストリンモノマーが存在することができる。例示の目的で、酸化された第二級ヒドロキシル基を有する線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーは、例えばVIa又はVIb式の少なくとも1つの単位を有する:
【化11】
VIa又はVIb式において、Cは置換された又は未置換の酸化されたシクロデキストリンモノマーであり、Aは酸化されたシクロデキストリンCに結合された、すなわち共有結合されたコモノマーである。また、VIa及びVIb式において、第二級ヒドロキシル基を酸化すると、シクロデキストリン部分の開環及びアルデヒド基の形成に至る。
【0046】
線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーは、上に検討した通りの線状のシクロデキストリンコポリマーを酸化することによって調製することができる。線状のシクロデキストリンコポリマーの酸化は、当分野で知られている酸化技術によって行うことができる。(ヒサマツ等、Starch 44:188−191(1992))。オキシダント、例えば過ヨウ素酸ナトリウムのようなものを用いるのが好ましい。当業者ならば、標準の酸化条件下で、酸化度がコポリマー当たりで変わる又は酸化度をコポリマー当たりで変えることができることを理解しよう。これより、一実施態様では、線状の酸化されたコポリマーは、1つの酸化されたシクロデキストリンモノマーを含有することができる。別の実施態様では、コポリマーの実質的にすべて〜すべてのシクロデキストリンモノマーを酸化させるであろう。
【0047】
線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーを調製する別の方法は、上に記載した通りのジヨウ素化された又はジアミノ化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーを酸化して酸化されたヨウ素化された又はジアミノ化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーを形成しかつ酸化されたジヨウ素化された又はジアミノ化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーをコモノマーAプリカーサーと共重合させることを伴う。好適な実施態様では、VIIa、VIIb、VIIc式、又はそれらの混合物の酸化されたジヨウ素化されたシクロデキストリンモノマープリカーサー:
【化12】
【0048】
酸化されたシクロデキストリンモノマーは、上に記載した通りのIVa、IVb、IVc式又はそれらの混合物のジヨウ素化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーを酸化することによって調製することができる。別の実施態様では、VIIIa、VIIIb、VIIIc式、又はそれらの混合物の酸化されたジアミノ化されたシクロデキストリンモノマープリカーサー
【化13】
は、上に記載した通りのVIIa、VIIb、VIIc式、又はそれらの混合物の酸化されたジヨウ素化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーをアミノ化することによって調製することができる。
【0049】
なお別の実施態様では、IXa、IXb、IXc、IXd、IXe、IXf式、又はそれらの混合物の酸化されたジアミノ化されたシクロデキストリンモノマープリカーサー
【化14】
は、ヨード基又はその他の適当な脱離基を分配させた酸化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーのヨード基又はその他の適当な脱離基をアミノ基含有部分−SCH2CH2NH2で置換することによって調製することができる。
【0050】
代わりに、上に記載した通りの酸化されたジヨウ素化されたジカルボン酸、又はジアミノ化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーは、シクロデキストリンモノマープリカーサーを酸化して酸化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーを形成し、次いで上に記載した通りの酸化されたシクロデキストリンモノマーをジヨウ素化及び/又はジアミノ化することによって調製することができる。いずれのジアミノ化された酸化されたシクロデキストリンモノマーのアミン基は、望まない副反応を避けるためにそれらの保護された形態にすることができる。上に検討した通りに、シクロデキストリン部分をヨード基と異なるその他の脱離基及びその他のアミノ基含有機能で改変してよい。次いで、酸化されたジヨウ素化された又はジアミノ化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーをコモノマーAプリカーサーと共重合させて線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーを形成することができる。
【0051】
線状のシクロデキストリンコポリマー又は線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーは、少なくとも1つのコモノマーAプリカーサー又はコモノマーAプリカーサーの加水分解された生成物で終わる。シクロデキストリンコポリマーが少なくとも1つのコモノマーAプリカーサーで終わる結果、上に記載した通りの遊離の誘導体化(derivatizing)基が線状のシクロデキストリンコポリマー又は線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーにつき存在する。例えば、誘導体化基は、酸基又は加水分解して酸基にすることができる誘導体化基にすることができる。発明に従えば、誘導体化基を所望の通りに更に化学的に改変してシクロデキストリンコポリマーの性質、例えばコロイド状安定性及びトランスフェクション効率を増進させてよい。例えば、誘導体化基をPEGと反応させてPEGを末端基とするシクロデキストリンコポリマーを形成してコロイド状安定性を増進させることにより或はヒスチジン又はイミダゾール酢酸と反応させてイミダゾリルを末端基とするシクロデキストリンコポリマーを形成して細胞内(例えばエンドソーム放出)及びトランスフェクション効率を増進させることによって改変してよい。図29及び30を参照。
【0052】
それ以上のケミストリーをシクロデキストリンコポリマーに関して改変された誘導体化基を通して行ってよい。例えば、改変された誘導体化基を用いて線状のシクロデキストリンコポリマー又は線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーを同じ又は異なるシクロデキストリンコポリマー又は非シクロデキストリンポリマーに結合させることによってポリマー鎖を伸ばすことができる。付け加えるべきポリマーは、同じ又は異なる線状のシクロデキストリンコポリマー又は線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーにすることができ、これらは、また、更に改変するためにコモノマーAプリカーサーで終わることもできる。
【0053】
代わりに、上に記載した通りの末端の誘導体化基又は末端の改変された誘導体化基を含有する同じ又は異なる線状のシクロデキストリンコポリマー又は線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーを官能基又は改変された誘導体化基を通して反応させて一緒に結合させることができる。官能基又は改変された誘導体化基の反応の際に、生分解性部分、例えばジスルフィド結合のようなものが形成される。例えば、末端の誘導体化基のシステインによる改変を用いて遊離のチオール基を有する線状のシクロデキストリンコポリマー又は線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーを製造することができる。また遊離のチオール基を含有する同じ又は異なるシクロデキストリンコポリマーとの反応は、2つのコポリマーの間でジスルフィド結合を形成することになる。官能基又は改変された誘導体化基を異なる生分解のレート(例えば酵素生分解を経て)を示す結合を供するように選定し、それにより、所望ならば治療剤についての徐放システムを提供することができる。生成するポリマーを本明細書中に記載する通りにして架橋することができる。本明細書中に記載する通りの治療剤を、ポリマーを架橋する前に又はポリマーを架橋した後に、加えることができる。リガンドもまた改変された誘導体化基を通してシクロデキストリンコポリマーに結合させることができる。例えば、線状のシクロデキストリンコポリマー又は線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーをシクロデキストリンコポリマーに結合させたリガンドで改変することができる。リガンドをシクロデキストリンモノマーC又はコモノマーAを通してシクロデキストリンコポリマーに結合させることができる。リガンドをシクロデキストリンコポリマーのシクロデキストリン部分に結合させるのが好ましい。WO00/01734(本明細書中に援用する)を参照。
【0054】
枝分かれしたシクロデキストリン含有ポリマー
ホスト及び/又はゲスト機能を有する粒状複合体のポリマーは、また、実質的に枝分かれしたポリマー、例えば、枝分かれしたポリエチレンイミン(PEI)又は枝分かれしたシクロデキストリン含有ポリマー、好ましくは枝分かれしたシクロデキストリン含有ポリマーのようなものにすることもできる。枝分かれしたシクロデキストリン含有ポリマーは、ポリマー主鎖の一部になる及び/又はポリマー主鎖からペンダントすることができるシクロデキストリン部分を少なくとも1つ含有する任意の水溶性の枝分かれしたポリマーにすることができる。枝分かれしたシクロデキストリン含有ポリマーは、枝分かれしたシクロデキストリンコポリマー又は枝分かれした酸化されたシクロデキストリンコポリマーである。枝分かれしたシクロデキストリンコポリマー又は枝分かれした酸化されたシクロデキストリンコポリマーは、それぞれ上に記載した通りの線状のシクロデキストリンコポリマー又は線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーであって、それらから従属鎖が枝分かれされるものである。枝を出した従属鎖は、任意の飽和された又は不飽和の、線状の又は枝分かれした炭化水素鎖にすることができる。枝を出した従属鎖は、更に種々の誘導体化基又は置換基、例えば、ヒドロキシル、アミノ、酸、エステル、アミド、ケト、ホルミル、及びニトロ基のようなものを含有してよい。枝を出した従属鎖は、また、シクロデキストリン或はその他のホスト又はゲスト官能性部分を含有してもよい。枝を出した従属鎖は、また、リガンドで改変してもよい。そのようなリガンド改変は、枝を出した従属鎖におけるリガンドのシクロデキストリン部分への結合を含み、それに限定しない。
【0055】
枝分かれしたシクロデキストリン含有ポリマーは、枝分かれしたシクロデキストリンコポリマー又は枝分かれした酸化されたシクロデキストリンコポリマーであって、それらの枝を出した従属鎖がシクロデキストリン部分を含有するものであるのが好ましい。枝を出した従属鎖がシクロデキストリン部分を含有するならば、シクロデキストリン部分は、治療剤のカプセル化ばかりでなく包接複合体形成も助成することができる。枝を出した従属鎖のシクロデキストリン部分は、ポリマー主鎖中のシクロデキストリン部分と共に、包接複合体形成及び治療剤のカプセル化を助成するのが好ましい。枝分かれしたシクロデキストリン含有ポリマーは、ポリマー(例えば線状の又は枝分かれしたPEI)のシクロデキストリンモノマープリカーサーによる誘導体化(例えば置換)を含み、それに限定しない当分野で知られている任意の手段によって調製することができる。ペンダントシクロデキストリンを有するポリマーの例は、Tojima等、J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.36,1965(1998),Crini等、Eur.Polym.J.33,1143,(1997),Weickenmeier等、Maromol.Rapid Commun.17,731(1996),及びBachmann等、J.Carbohydrate Chemistry 17,1359(1998)に記載されており;これらの文献の各々を本明細書に援用する。(Weickenmeier論文は、シクロデキストリン側鎖ポリエステル、それらの合成及びアダマンタン誘導体の包接について記載している。)枝分かれしたシクロデキストリン含有ポリマーは、上に検討した通りに架橋することができる。
【0056】
発明において用いるためのポリ(エチレンイミン)(PEI)は、重量平均分子量約800〜約800,000ダルトンを有し、約2,000〜100,000ダルトンを有するのが好ましく、約2,000〜約25,000ダルトンを有するのが一層好ましい。PEIは、線状でも又は枝分かれしてもよい。適したPEI化合物は、Aldrich Chemical Companyからのポリエチレンイミン、Polysciencesからのポリエチレンイミン、並びにBASF Corporationから入手し得るPOLYMINポリ(エチレンイミン)及びLUPASOL(登録商標)ポリ(エチレンイミン)を含む数多くの供給元から市販されている。
【0057】
その他のホスト官能性ポリマー
上に検討した通りに、粒状複合体の少なくとも一種のポリマーは、包接複合体を形成することができるポリマーである。好適なシクロデキストリンホスト機能を有するポリマーを、種々の調製方法と共に上に記載した。ホスト機能を有する線状の又は枝分かれした任意のポリマーを、本発明の実施において同じようにして用いることができる。ポリマーにより用いることができる適した「ホスト」のその他の例は、キャビタンド、クラウンエーテル、クリプタンド、ククルビツリル、カリキサレン、スフェロンド等を含み、それに限定しない。これらのその他のホストのポリマーは、シクロデキストリン含有ポリマーについて上に記載したのと同じ方法で調製することができる。感心のあるホストをヒドロキシル基のような官能基を通して誘導体化してヨージド、トシレート等のような脱離基を結合させ及び脱離基を置換しかつホストコポリマーを形成する適したコモノマーAと反応させることができる。代わりに、ホストは、ホストにコモノマーAとの縮合反応を受けさせてホストコポリマーを形成するのを可能にするアミン又はカルボキシル基のような官能基を含有して又は含有するように誘導体化してよい。次いで、ポリマー主鎖中に並びにコポリマーが枝分かれしているならば、枝中にホスト機能の混合物を有するホストコポリマーを調製することができる。
【0058】
ゲスト官能性ポリマー
ゲスト官能性ポリマーは、ホスト官能性錯生成剤と包接複合体を形成することができるポリマー任意のポリマーにすることができる。ゲスト機能は、側鎖又は末端基上に存在することになるのが典型的である。ゲスト機能をポリマー主鎖の一部としてでなく有するポリマーの例は、ペンダントアダマンタン基を有するポリマーになろう。ポリマー中に組み込むことができる包接機能の例は、アダマンタン、ジアダマンタン、ナフタレン、及びコレステロールのような当分野で知られているものを含み、それらに限定しない。
【0059】
B.治療剤
発明に従えば、上に記載した通りに、少なくとも一種の治療剤がポリマー中にカプセル化されるようになって粒状複合体を形成する。「治療剤」なる用語は、薬理学的又は治療用途を有する任意の活性剤及び下記に検討する通りの殺菌性用途を有する活性な化合物又は薬剤を包含することを意図する。そのような治療剤(又は活性剤)の例を下記に検討する。カプセル化とは、任意の手段であって、それらによって、治療剤がポリマーと会合する(例えば、静電相互作用、疎水性相互作用、実際のカプセル化)手段と定義する。会合度は、当分野で知られている技術、例えば蛍光研究、DNAモビリティ研究、光の散乱、電子鏡検法を含む技術によって求めることができ、かつ治療剤に応じて変わることになる。送出のモードとして、例えば、上に記載した通りの粒状複合体のポリマー及びDNAから造られる多次元のポリマー網状組織を含有する治療組成物を、トランスフェクション、すなわちDNAの動物(例えばヒト)細胞中への取込みを助けるのに用いることができる。(Boussif,O.Proceedings of the National Academy of Sciences,92:7297−7301(1995);Zanta等、Biocunjugate Chemistry,8:839−844(1997);Gosselin等、”Efficient Gene Transfer Using Reversibly Cross−Linked Low Molecular Weight Polyethylenimine”,College of Pharmacy,The Ohio Statue University、ウエブ上で公表された、改訂原稿、2001年7月5日。)。治療剤が核酸ベース(例えばDNA)である時に、複合体を形成するポリマー、治療剤は、「ポリプレックス」の形態になることができる。ポリプレックスは、核酸と説明しているポリマーとの間の複合体である。Felgner等、”Nomenclature for Synthetic Gene Delivery Systems”,Hum.Gene Ther.8,511−512(1997)を参照。
【0060】
治療剤の任意の治療剤混合物を発明の組成物によって用いることができる。治療剤は、粒状複合体を形成する際に、生物学的又は治療的活性を保持しても又は保持しなくてもよい。治療混合物から、詳細には粒状複合体のポリマーから放出する際に、治療剤の活性が回復される。又は、プロドラッグの場合には、活性のための潜在性が回復される。よって、粒状複合体は、有利には、活性の損失、例えば生分解によるものに対して治療剤保護をもたらしかつ高められたバイオアベイラビリティを供する。これより、発明の組成物は、安定性、特に貯蔵又は溶液安定性を治療剤又は任意の活性な化学化合物に付与するのに用いることができる。親油性治療剤をカプセル化すると、親油性治療剤の、完全でないとしも、高められた溶解性をもたらす。治療剤を、粒状複合体又は治療組成物形成の前に又は後に更に改変してよい。
【0061】
治療剤は、当分野で知られているものを含む任意の親油性又は疎水性、合成又は天然の生物学的に活性な治療剤にすることができる。ニュージャージー、ホワイトハウスステーション在Merck and Co.,Inc.,The Merck Index,An Encyclopedia of Chemicals,Drugs,and Biologicals、第13版、2001。そのような治療剤の例は、下記を含み、それらに限定しない:小分子医薬品、抗生物質、ステロイド、ポリヌクレオチド(例えば、ゲノミックDNA、cDNA、mRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、内在性ウイルス、及びキメラポリヌクレオチド)、プラスミド、ペプチド、ペプチド断片、小分子(例えばドキソルビシン)、キレート剤(例えばデフェロキサミン(DESFERAL)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA))、自然産物(例えばTaxol、Amphotericin)、及びその他の生物学的に活性な高分子、例えばタンパク質及び酵素のようなもの。また、シクロデキストリンポリマーと包接複合体を形成するのにゲストとして使用する活性剤(治療剤)を列挙する米国特許第6,048,736号も参照。米国特許第6,048,736号の開示を本明細書中に援用する。小分子治療剤は、複合粒子内の治療剤にすることができるばかりでなく、更なる実施態様では、複合体においてポリマーに共有結合させることもできる。好ましくは、共有結合は、可逆性であり(例えば、プロドラッグ形態又はジスルフィドのような生分解性結合を通して)かつ治療剤を送出する別の方法を提供する。
【0062】
2.錯生成剤
発明に従えば、錯生成剤は、ホスト又はゲスト機能を有する化合物であって、対応するゲスト又はホスト機能を有する粒状複合体においてポリマーと包接複合体を形成することができるものである。上に記載した通りに、ホスト機能を有する粒状複合体のポリマー又はホスト機能を有するポリマーのモノマーを改変して包接複合体を形成するのに、ゲスト錯生成剤を使用することができる。また、上に記載した通りに、ホスト錯生成剤は、ポリマーゲスト機能へのホストとして作用することによって粒状複合体の少なくとも1つのポリマーと包接複合体を形成することができる。錯生成剤は、2つ以上の包接機能を有してよい。例えば、2つの包接機能を有する錯生成剤は、ゲスト、ゲスト;ホスト、ホスト;又はホスト、ゲスト錯生成剤にすることができる。錯生成剤は、また、複数のホスト及び/又はゲスト機能の混合物を有してもよい。錯生成剤は、また、有利な性質を発明の組成物に加える官能基も含有する。この官能基は、例えば、リガンド、親水性又は疎水性基、更なる治療剤等にすることができる。錯生成剤は、また、包接ゲスト又はホストと官能基との間にスペーサー基を含んでもよい。
【0063】
好ましくは、錯生成剤は、結合定数約>102を示し、約>103を示すのが好ましく、約>104を示すのが一層好ましい。結合定数は、約102〜106の範囲になるのが典型的である。錯生成剤に適した包接ゲストの例は、アダマンタン、ジアダマンタン、ナフタレン、コレステロール及びこれらの誘導体のような当分野で知られているものを含み、それらに限定しない。アダマンタン又はジアダマンタンを使用するのが好ましい。Amiel等、Int.J.Polymer Analysis & Characterization、1巻、289−300(1995);Amiel等、Journal of Inclusion Phenomena and Molecular Recognition in Chemistry,25:61−67(1996);Amiel等、Advances in Colloid and Interface Science,79,105−122(1999);及びSandier等、Langmuir,16,1634−1642(2000)。
【0064】
錯生成剤は、発明の組成物に利点をもたらす官能基を含有する。官能基は、ヒドロキシル又はアミン機能を簡単に加えることができるので、機能を導入する一方法である。好適な実施態様では、錯生成剤は、複合体を、例えば細胞接触、細胞間トラフィッキング、及び/又は細胞加入及び細胞放出を助成するように変えることができるばかりでなく、粒状複合体のポリマーと包接複合体を形成することができる。当分野で知られている任意のそのような基を使用することができる。適した「官能」基の例は、下記を含み、それに限定しない:リガンド、核局在化シグナル(Zanta等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,96,91−96頁(1999)を参照)、エンドソーム放出ペプチド、エンドソーム放出ポリマー、膜透過剤、又はこれらの混合物。核局在化シグナル(NLS)は、当分野で知られている任意の核局在化シグナルにすることができる。エンドソーム放出ペプチド又はポリマーは、当分野で知られている任意のエンドソーム放出ペプチド又はポリマーにすることができる(例えば、HA−2及びGALA)。”Gene delivery by negatively charged ternary complexes of DNA,cationic liposomes and transferrin or fusigenic peptides”Simoes S,Slepushkin V,Gaspar R,de Lima MCP,Duzgunes N,GENE THERAPY 5:(7)955−964 JUL 1998を参照。細胞膜透過用(又は細胞膜透過性剤)の例は、HIVからのTATタンパク質である。TATタンパクは、ウイルス性転写活性剤であり、細胞核の中に活動的に移入される。Torchilin,V.P.等、PNAS.98,8786−8791(2001)。
【0065】
錯生成剤は、また、特に生物学的条件下で溶解度を増大させ及び/又は安定化を付与するポリマーで機能化してもよい。組成物の安定化は、疎水基又は親油基を有する錯生成剤を使用することによって達成又は増進することができる。好適なタイプの疎水基は、ポリエチレングリコール又はポリエチレングリコール含有コポリマー(PEG)である。好適なポリエチレンエチレングリコールは、HO(CH2CH2O)zH式(ここで、zは2〜500、好まくは10〜300の範囲である)を有する。PEG 600、PEG 3400、及びPEG 5000が発明において使用することができるポリエチレングリコールの代表である。錯生成剤におけるPEGの分子量が大きい程、組成物の安定化が大きくなるのが普通である。PEGは、分子量が大きい程、好適であるのが普通である。好適な錯生成剤は、ペグ化(pegylated)アダマンタン又はペグ化ジアダマンタンである。錯生成剤として有用ないくつかのアダマンタン−PEG分子の構造を図1に示す。錯生成剤は、親油性(疎水性)を増大させのに、長鎖アルキル、脂肪酸、等のような親油基を含有することができる。親油基の選定は、所望する親油性の量に依存する。この検討から分かる通りに、錯生成剤は、所望する性質を組成物中に導入するために任意のタイプの機能で変性してよい。錯生成剤は、標準の有機技術を使用して調製することができる。異なる錯生成剤の混合物を採用すると、所望する組成物性質を達成する際の変種及び特異性の増大を可能にする。
【0066】
官能基を錯生成剤に結合させるのにスペーサー基を使用することができる。スペーサー基は、ゲスト錯生成剤又は官能基に悪影響を与えない当分野で知られている任意のスペーサー基にすることができる。例えば、スペーサー基は、直接結合にし、それで官能基を錯生成剤に直接結合させるようにすることができる。代わりに、スペーサー基は、生理学的pHにおいて水溶性、高度にアニオン性であり又は酸性条件下で融合性(fusogenic)能力を有する成分にすることができる。スペーサー基は、好ましくは包接複合体において錯生成剤とポリマーとの結合親和性を増進させる(例えばグルタミン酸残基、カルボン酸基等を含有するアニオン性スペーサー基)。スペーサー基は、また、還元性結合(例えばジスルフィド結合)を含有してもよく、それの還元は、錯生成剤から官能基を放出させるであろう。適したスペーサー基の例は、下記を含み、それらに限定しない:直接結合、ポリグルタミン酸、GALA及びポリエチレングリコール(PEG)。
【0067】
官能基は、また、更なる治療剤でもよい。治療剤は、錯生成剤に可逆的に結合させることができる(例えばプロドラッグ形態又は生分解性結合を通して)。これは、更なる治療剤を錯生成剤を経て送達する方法を提供する。
【0068】
上記の検討から理解することができるように、発明の組成物において採用する錯生成剤は、下記式の化合物である:
【化15】
式中
Jは、-NH-,-C(=O)NH-(CH2)d-,-NH-C(=O)-(CH2)d-,-CH2SS-,-C(=O)O-(CH2)e-O-P(=O)(O-(CH2)e-Y)O-,
【化16】
ペプチドもしくはポリペプチド残基、又は-NH-(C=O)-CH(R1)-NH-(C=O)-CH(R1)-NH-であり;
Yは、更なるホスト/ゲスト機能であり;
R1は、-(CH2)a-CO2H,エステルもしくはその塩;又は-(CH2)a-CONH2であり;
PEGは、-O(CH2CH2O)z- (式中、zは2〜500の範囲である)であり;
Lは、H,-NH2,-NH-(C=O)-(CH2)e-(C=O)-CH2-,-S(=O)2-HC=CH2-,-SS-,-C(=O)O-又は炭水化物残基であり;
aは0又は1であり;
bは0又は1であり;
dは0〜6の範囲であり;
eは1〜6の範囲であり;
nは0〜6の範囲であり;
yは0又は1であり;及び
xは0又は1である。
【0069】
錯生成剤は、また下記式の化合物にすることもできる:
【化17】
式中、変数は上記と同じであり、zは1〜5の範囲であり、qは1〜5の範囲であり、及びwは1〜5の範囲である。
【0070】
検討した通りに、ゲスト官能基の例は、アダマンチル、ナフチル、コレステロールを含み、それらに限定せず、好適なホスト官能基はシクロデキストリンである。式に示す通りのホスト官能基とゲスト官能基との混合物が錯生成剤に存在してよい。
【0071】
アダマンタンゲスト官能基を有する好適なクラスの錯生成剤は、下記式の化合物である:
【化18】
式中
Jは、-NH-,-C(=O)NH-(CH2)d-,-NH-C(=O)-(CH2)d-,-CH2SS-,-C(=O)O-(CH2)e-O-P(=O)(O-(CH2)e-Ad)O-,
【化19】
ペプチドもしくはポリペプチド残基、又は-NH-(C=O)-CH(R1)-NH-(C=O)-CH(R2)-NH-であり;
Adはアダマンチルであり;
Yは、更なるホスト/ゲスト機能であり;
R1は、-(CH2)a-CO2H,エステルもしくはその塩;又は-(CH2)a-CONH2であり;
PEGは、-O(CH2CH2O)z- (式中、zは2〜500の範囲である)であり;
Lは、H,-NH2,-NH-(C=O)-(CH2)e-(C=O)-CH2-,-S(=O)2-HC=CH2-,-SS-,-C(=O)O-又は炭水化物残基であり;
aは0又は1であり;
bは0又は1であり;
dは0〜6の範囲であり;
eは1〜6の範囲であり;
yは0又は1であり;及び
xは0又は1である。
【0072】
発明の治療組成物は、機能化された錯生成剤を使用することによって、細胞接触及び/又は細胞加入を助成するように変性する又は機能化することができる。その組成物は、複数の機能及び/又は利点を達成するために、異なる機能を有する錯生成剤を使用して2つ以上のタイプの包接複合体を形成することができる。上に記載した通りに、リガンドを使用して粒状複合体のポリマー又は錯生成剤を改変してよい。これより、発明に従えば、発明の組成物は、包接複合体を経て、リガンドを1つよりも多く含有し、こうして細胞ターゲティング及び/又は送出のための部位を1つよりも多く保持することができる。複数のリガンド−又はその他の−機能化された錯生成剤は、ペグ化された錯生成剤のような安定化又は溶解度機能を有する錯生成剤を加えることによって安定化することができる。
【0073】
ポリマーは、異なる官能化された錯生成剤の混合物と複数の包接複合体を形成することができることから、発明の治療組成物は、例えば、複数の治療剤、異なるリガンド及び/又は種々の安定化ポリマーを含有してよい。錯生成剤を治療剤又はプロドラッグで官能化する場合は、複数の包接複合体を形成することは、同じ治療組成物を用いて複数の治療剤を送出することを可能にする。リガンドが存在するならば、治療剤の組成物全体(又はカクテル)を特定の細胞タイプ、病気、又はその他の治療使用に向けることができる。
【0074】
官能化されたゲスト錯生成剤は、当分野で知られている任意の手段によって調製することができる。Amiel等、Int.J.Polymer Analysis & Characterization、1巻、289−300(1995);Amiel等、Journal of Inclusion Phenomena and Molecular Recognition in Chemistry,25:61−67(1996);Sandier等、Langmuir,16,1634−1642(2000)を参照。
【0075】
3.発明の治療組成物の製法
発明は、また、組成物を調製する方法にも関する。その方法は、治療剤、ホスト又はゲスト官能基を有するポリマー、及び錯生成剤を組み合わせて治療組成物を形成する。錯生成剤は、ゲスト又はホストとして作用し、ポリマーと包接複合体を形成する。別の実施態様では、初めに治療剤とポリマーとを組み合わせて粒状複合体を形成する。次いで、粒状複合体を錯生成剤と組み合わせて治療組成物の包接複合体を形成する。その組成物は、また、初めにポリマーを錯生成剤と混合し、次いでその混合物を治療剤と組み合わせて複合体、よって発明の組成物を形成することによって形成してもよい。
【0076】
A.ポリマー−剤粒状複合体の形成
治療剤及びポリマーの粒状複合体は、当分野で知られている任意の手段によって調製することができる。例えば、粒状複合体は、治療剤をポリマーと簡単に接触させ、混合し、又は分散させることによって形成することができる。例えば、ポリマーと治療剤とを両方が可溶性の溶媒中、ポリマーが可溶性であるが治療剤を分散させる溶媒中、又はポリマーと治療剤とを分散させるが粒状複合体を可溶性にする溶媒中で混合することができる。医薬品用途用では、溶媒は、任意の生理学的に許容し得る水溶液にすることができる。粒状複合体は、ポリマーと治療剤とを会合する、ポリマーを自己会合する、又は化学的手段によって形成することができる。粒状複合体のポリマーは、粒状複合体を形成する前に、実質的に会合された構造、例えばポリマーゲルとして存在しないのが普通である。しかし、粒状複合体の一部としてのポリマーは、ポリマー及び治療剤の性質に応じて、ゲルのような実質的に会合された構造を形成することができる。粒状複合体は、また、同じでも又は異なってもよいモノマーを治療剤の存在において重合させて線状の又は枝分かれしたポリマーを調製することもできる。粒状複合体は、また、同じでも又は異なってもよく、治療剤の存在において線状の又は枝分かれしたポリマーを形成することができるモノマーを重合させることによって調製することもでき、ここで、治療剤は重合用のテンプレートとして作用する。Trubetskoy等、Nucleic Acids Research、26巻、18号、4178−4185頁(1998)。
【0077】
ポリマー及び治療剤の使用量は、粒状複合体をアセンブルさせることができる任意の量にすることができる。ポリマーは、治療剤を超える量で使用することになるのが普通である。ポリマーを形成するのに使用するポリマーは、カチオン荷電されたコモノマーA又はPEIのようなポリアルキレンイミンによるようなカチオン又はアニオン電荷を帯びる時に及び治療剤がアニオン性ポリヌクレオチドのように電荷を帯びる時に、ポリマー対治療剤の比を電荷比と表わすことができる。電荷比は、ポリマーの電荷対治療剤の電荷の比の表現である。実施例に示す通りに、カチオン性シクロデキストリンポリマー及びアニオン性DNAの粒状複合体は、電荷比5+/−、すなわちシクロデキストリンポリマーからのカチオン性電荷5対DNAのアニオン性電荷1で配合するのが典型的である。電荷比は、粒状複合体を形成するのを可能にする任意の比にすることができかつ必要な最小電荷比を超えることができる。ポリマー及び/又は治療剤が荷電されていない場合には、ポリマー対治療剤の量又は比は、当分野で知られている通りに重量、モル又は濃度によって表わすことができる。
【0078】
発明に従えば、粒状複合体のポリマーは、また、治療剤及び多次元のポリマー網状組織を含む粒状複合体を形成するのに十分な条件下で処理してもよい。そのような多次元のポリマー網状組織は、WO00/33885に記載されており、それを本明細書中に援用する。WO00/33885に記載されている通りに、粒状複合体のポリマーを、多次元のポリマー網状組織を形成するのに十分な条件下で処理することは、粒状複合体のポリマー及び治療剤の会合を助成する、更なる薬剤又は反応体を加えることを含む任意の適した反応条件を用いて行うことができる。ポリマーは、インターポリマー共有結合、非共有結合(例えばイオン結合)、又は非共有相互作用(例えばファンデアワールス相互作用を経て)を経て会合させることができる。ポリマーのイントラポリマー共有結合、非共有結合、又は非共有相互作用を経た会合も同様に生じ得る。そのような会合の結果、粒状複合体のポリマーは相互作用して多次元のポリマー網状組織を形成する。
【0079】
発明の一実施態様では、治療剤及び多次元のポリマー網状組織を含む粒状複合体を形成することは、架橋反応を伴う。例えば、粒状複合体のポリマーが単一のポリマー分子であるならば、ポリマーを、架橋を助成する又は架橋を形成する分子、オリゴマー、又は異なるポリマーと反応させ、それで粒状複合体の単一のポリマー分子のイントラポリマー架橋又は粒状複合体の単一のポリマー分子との実際の架橋が生じるようにすることができる。同様に、粒状複合体のポリマーが二種以上のポリマーの混合物であるならば、ポリマーを、架橋を助成する又は架橋を形成する分子、オリゴマー、又は異なるポリマーと反応させることができる。生成する架橋は、粒状複合体のポリマーのイントラポリマー及び/又はインターポリマー、好ましくはインターポリマー架橋にすることができる。
【0080】
架橋剤は、当分野で知られている任意の架橋剤にすることができる。架橋剤は、粒状複合体のポリマー内で架橋を助成する又は粒状複合体のポリマーと実際に架橋していることができる任意のオリゴマー又はポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)ポリマー、ポリエチレンポリマー)にすることができる。架橋用オリゴマー又はポリマーは、粒状複合体のポリマーと同じでも又は異なってもよい。同様に、架橋剤は、粒状複合体のポリマーと架橋することができる任意の適した分子にすることができる。架橋剤は、それ自体リガンドを含有してよい。
【0081】
多次元のポリマー網状組織を形成する粒状複合体のポリマーのWO00/33885に記載されている通りの会合度は、部分会合から完全会合まで変わることができる。ポリマーの会合度を変えることにより、短鎖ポリマーを、短鎖ポリマーの解離する際の所望の特性を保持しながら長鎖ポリマーの特性を示すようにさせることができる。例えば、長鎖ポリマー特性は、総括の安定性、すなわち生分解耐性を、短鎖ポリマー特性が標的細胞内でDNA放出を助成しながら標的細胞に到達するまで、助成する。この二重性は、非生理学的及び生理学的の両方の条件で改良された安定性及び一層大きな保存寿命安定性を示す治療剤及び多次元のポリマー網状組織を含有する治療組成物をもたらす。治療組成物のポリマーの会合度を変えることは、また、治療剤の制御された送出も可能にする。
【0082】
粒状複合体の粒子サイズは、発明の組成物を形成するのに使用するポリマー及び治療剤に依存する。下記の実施例に示す通りに、粒子サイズは、50〜1000nm、好ましくは50〜500nmの範囲にすることができる。包接複合体を形成することは、粒子サイズを有意に増大させないのが典型的である。組成物は、離散した粒子としてのままである。下記に検討する通りに、ペグ化された錯生成剤を含有する組成物は、塩溶液中で優れた安定性を示す。有利には、組成物は、生理学的条件で安定であり、治療剤用送出ビヒクルとしての並びに種々の病気及び疾患の治療におけるそれらの使用を可能にする。
【0083】
B.包接複合体の形成
包接複合体は、当分野で知られている任意の手段によって調製することができる。例えば、包接複合体は、粒状複合体と錯生成剤とを簡単に接触させ、混合し、又は分散させることによって形成することができる。例えば、粒状複合体と錯生成剤とを両方が可溶性の溶媒中、粒状複合体又は錯生成剤が可溶性であるが他方を分散させる溶媒中、又は粒状複合体と錯生成剤とを分散させるが包接複合体を可溶性にする溶媒中で混合することができる。包接複合体は、ポリマーと治療剤とを混合するのに使用するのと同じ容器中で錯生成剤を粒状複合体に加えることによって形成するのが好ましい。医薬品用途用では、溶媒は、任意の生理学的に許容し得る水溶液にすることができる。
【0084】
錯生成剤を複合体粒子に包接複合体を形成する複合体のポリマー中に存在するホスト及び/又はゲスト官能基のモルに対して任意のモル比で加えてよい。錯生成剤は、ホスト及び/又はゲスト機能に対してモル比1:1で加えるのが普通である。組成物がポリマー上に少なくとも一種の錯生成剤及び少なくとも1つのホスト又はゲスト機能を含有する限り、低い方のモル比(ポリマー上の過剰のホスト及び/又はゲスト機能)を用いることができる。また、過剰の錯生成剤を用いてもよい。それで、錯生成剤対ポリマーホスト又はゲスト機能のモルのモル比は、0.01:1〜1:0.01の範囲にするのが典型的であり、0.5:1〜1:0.5にするのが好ましい。複数の錯生成剤を用いる時は、個々の錯生成剤のモル比は、組成物中に導入すべき所望の機能によって選定することができる。例えば、ペグ化された安定用錯生成剤がモル比0.9:1で存在しかつリガンドを含有する錯生成剤がほんの少量、例えば錯生成剤1〜2%で存在し得ることは、所定の組成にあり得る。そのような組成での錯生成剤の合計量は、上に検討した範囲内に入るのが典型的である。
【0085】
4.組成物及び治療方法
発明の治療組成物は、固体、液体、懸濁体、又はエマルションとして調剤することができる。発明の治療組成物は、静脈内へ注入することができる形態であるのが好ましい。発明の治療組成物を投与するその他の方法は、口径投与、吸入、局部適用、腸管外、静脈内、鼻腔内、眼内、頭蓋内又は腹腔内注入、及び肺投与のような当分野で知られている方法を含み、それらに限定しない。投与の方法は、治療組成物の製剤に依存するのがしばしばである。治療組成物は、投与する前に、例えば遠心分離、透析及び/又は凍結乾燥を含む当分野で知られている任意の手段によって分離しかつ精製することができる。
【0086】
発明は、有効量の発明の治療組成物並びに製薬的及び生理学的に許容されるキャリヤーを含む製薬組成物にも関する。適した固体又は液体生薬調剤は、例えば顆粒、粉末、被覆錠剤、マイクロカプセル、坐薬、シロップ、エリキシル、懸濁液、エマルション、ドロップ又は注入可能な溶液である。製薬組成物において一般的に用いられる添加剤は、賦形剤、分解剤、結合剤、コーティング剤、膨潤剤、流動促進剤(glidant)、滑剤、香味料、甘味料又は可溶化剤を含み、それらに限定しない。一層具体的に言えば、よく用いられる添加剤は、例えば、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、マンニトール及びその他の糖、タルク、ラクトアルブミン、ゼラチン、デンプン、セルロース及びその誘導体、動物及び植物油、ポリエチレングリコール並びに溶媒である。溶媒は、殺菌水及び一価アルコール又はグリセロールのような多価アルコールを含む。
【0087】
発明の治療組成物は、使用する治療剤のタイプに応じて、遺伝性又は後天性疾患、例えば、嚢胞性線維症、ゴーシェ病、筋ジストロフィー、AIDS、癌(例えば、多発性骨髄腫、白血病、黒色腫、及び卵巣癌腫)、心血管コンディション(例えば、進行性心不全、再狭窄、及び血友病)、並びに神経症状(例えば脳傷害)のようなものを治療するための種々の治療方法(例えば、DNAワクチン、抗生物質、抗ウイルス剤)において使用することができる。発明に従えば、治療方法は、治療剤を必要としているのが認められるヒト又は哺乳動物に、発明の治療組成物を治療上有効な量で投与する。治療上有効な量は、当業者ならば認識する通りに、ケース・バイ・ケースで決められることになる。考慮すべき要因は、治療すべき疾患及び疾患に悩むものの身体的特徴を含み、それらに限定しない。
【0088】
6.その他の実用性
発明の包接複合体は、また、農業産業において用いられる化学薬品を送達する際に実用性を見出すこともできる。発明の別の実施態様では、「治療剤」は、殺菌上及び農業上の実用性を有する生物学的に活性な化合物である。これらの生物学的に活性な化合物は、当分野で知られているものを含む。例えば、適した農業上生物学的に活性な化合物は、肥料、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤及び殺かび剤を含み、それらに限定しない。殺菌剤は、また、市営の水供給を処理するための水処理、冷却水、製紙における白濁水システムのような産業水システムにおいても用いられる。微生物の攻撃又は生分解を受け得る水性システムは、また、なめし革産業、繊維産業、及びコーティング又はペイント産業においても認められる。そのような殺菌剤及びそれらの使用の例は、米国特許第5,693,631号、同第6,034,081号、及び同第6,060,466号に個々に及び組み合わされて記載されており、これらの米国特許を本明細書中に援用する。上に検討したもののような活性剤を含有する組成物は、活性成分それ自体について知られているのと同じ方法で使用することができる。特に、そのような使用は薬理学的使用でないことから、複合体のポリマーは、製薬使用において要求される毒性プロフィルを必ずしも満足しなければならないと言うわけではない。
【0089】
7.実施例
下記の例は、発明を例示するために挙げる。しかし、発明は、これらの例に記載する特定の条件又は詳細に限定されないことを理解すべきである。
【0090】
物質.β−シクロデキストリン(インディアナ、ハモンドのCerestar USA,Inc.)を真空(<0.1mトル)で120℃において12時間乾燥させた後に使用した。ビフェニル−4,4’−ジスルホニルクロリド(ウイスコンシン、ミルウォーキーのAldrich Chemical Company,Inc.)をクロロホルム/ヘキサンから再結晶させた。ヨウ化カリウムを乳鉢及び乳棒で粉にしかつオーブン中で200℃において乾燥させた。他の試薬はすべて商業供給元から得、受け入れたままで更に精製しないで使用した。ポリマーサンプルを、Anspec RI検出器、Precision Detectors DLS検出器、及びProgel−TSK G3000PWXLカラムを装備したHitachi HPLCシステムで0.3M NaCl又は水を溶離剤として流量1.0mL/分で使用して分析した。
【実施例1】
【0091】
ビフェニル−4,4’−ジスルホニル−A,D−キャップトβ−シクロデキストリン、1(Tabushi等、J.Am.Chem.Soc.106,5267−5270(1984))
【0092】
磁気攪拌棒、Schlenkアダプター及び隔膜を装備した500mL丸底フラスコに、乾燥したβ−シクロデキストリン7.92g(6.98mモル)及び無水ピリジン(Aldrich Chemical Company,Inc.)250mLを仕込んだ。生成した溶液を窒素下で50℃において攪拌し、その間にビフェニル−4,4’−ジスルホニルクロリド2.204g(6.28mモル)を4つに等しく分けて15分間隔で加えた。50℃において更に3時間の間攪拌した後に、溶媒を真空で除き、残分を逆相カラムクロマトグラフィーに水中アセトニトリル0〜40%勾配溶離を用いて掛けた。画分を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析し、適当な画分を一緒にした。大量のアセトニトリルを回転蒸発器で除いた後に、生成した水性懸濁液を凍結乾燥乾固させた。これは、3.39g(38%)の1を無色固体としてもたらした。
【実施例2】
【0093】
6A,6D−ジヨード−6A,6D−ジデオキシ−β−シクロデキストリン,2(Tabushi等、J.Am.Chem.106,4580−4584(1984))
【0094】
磁気攪拌棒、Schlenkアダプター及び隔膜を装備した40mL遠心管に、1.02g(7.2mモル)の1、乾燥した粉末ヨウ化カリウム(Aldrich)3.54g(21.3mモル)及び無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(Aldrich)15mLを仕込んだ。生成した懸濁液を窒素下で80℃において2時間の間攪拌した。冷却して室温にした後に、固形分をろ過によって分離し、上澄みを収集した。固体沈殿を無水DMFの第二部分で洗浄し、上澄みを一緒にして真空で濃縮した。次いで、残分を水14mL中に溶解し、氷浴中で冷却した後に、テトラクロロエチレン(Aldrich)0.75mL(7.3mモル)を急速に攪拌しながら加えた。沈降生成物を中位のガラスフリット上でろ過し、小部分のアセトンで洗浄した後に、それをP2O5上で真空下で14時間の間乾燥させた。これは、0.90g(92%)の2を白色固体としてもたらした。
【実施例3】
【0095】
6A,6D−ジアジド−6A,6D−ジデオキシ−β−シクロデキストリン,3(Tabushi等、Tetrahedron Lett.18,1527−1530(1977))
【0096】
磁気攪拌棒、Schlenkアダプター及び隔膜を装備した100mL丸底フラスコに、β−シクロデキストリンジヨージド1.704g(1.25mモル)、アジ化ナトリウム(ニュージャージー、ギブズタウンのEM Science)0.49g(7.53mモル)及び無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(Aldrich)10mLを仕込んだ。生成した懸濁液を窒素下で60℃において14時間の間攪拌した。次いで、溶媒を真空で除いた。生成した残分を塩中0.2M溶液を造る程の水に溶解し、次いでBiorad AG501−X8(D)樹脂11.3gを通過させて残留塩を除いた。次いで、溶離剤を凍結乾燥乾固させて1.232g(83%)の3を白色非晶質固体として生じ、これを次の工程に更に精製しないで運んだ。
【実施例4】
【0097】
6A,6D−ジアミノ−6A,6D−ジデオキシ−β−シクロデキストリン,4(Mungall等、J.Org.Chem.1659−1662(1975))
【0098】
磁気攪拌棒及び隔膜を装備した250mL丸底フラスコに、β−シクロデキストリンビスアジド1.232g(1.04mモル)及び無水ピリジン(Aldrich)50mLを仕込んだ。この攪拌懸濁液に、トリフェニルホスフィン0.898g(3.42mモル)を加えた。生成した懸濁液を周囲温度で1時間の間攪拌した後に、濃アンモニア水10mLを加えた。アンモニアの添加は、急速なガス発生によって行い、溶液は均質になった。14時間した後に、溶媒を真空で除き、残分を水50mLですり砕いた。固形分をろ別し、ろ液を10%HClで酸性(pH<4)にした後に、それをToyopearl SP−650M(NH4+形態)樹脂を収容するイオン交換カラムにかけた。生成物4を0〜0.5M炭酸水素アンモニウムの勾配で溶離した。適当な画分を一緒にし、凍結乾燥乾固させて0.832g(71%)の生成物4をビス(炭酸水素)塩として生じた。
【実施例5】
【0099】
β−シクロデキストリン−DSPコポリマー,5
【0100】
20mLシンチレーションバイアルに、水1mL中4のビス(炭酸水素)塩92.6mg(7.65×10-5モル)の溶液を仕込んだ。溶液のpHを1M NaOHで10に調整した後に、クロロホルム1mL中ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(DSP、イリノイ、ロックフォードのPierce Chemical Co.)30.9mg(7.65×10-5モル)の溶液を加えた。生成した二相の混合物をVortexミキサーで0.5時間の間攪拌した。次いで、水性層をデカントし、フレッシュクロロホルム3×1mLで抽出した。次いで、ポリマー水溶液をToyopearl HW−40F樹脂上のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に水を溶離剤として使用して、かけた。画分をGPCによって分析し、適当な画分を凍結乾燥乾固させて85mg(85%)を無色非晶質粉末として生じた。
【実施例6】
【0101】
β−シクロデキストリン−DSSコポリマー,6
【0102】
β−シクロデキストリン−DSSコポリマー,6を、DSP試薬の代わりにジスクシンイミジルスベレート)(DSS、イリノイ、ロックフォードのPierce Chemical Co.)を用いた他はDSPポリマー、5と類似の方法で合成した。化合物6は、収率67%で得られた。
【実施例7】
【0103】
β−シクロデキストリン−DTBPコポリマー,7
【0104】
20mLシンチレーションバイアルに、水1mL中4のビス(炭酸水素)塩91.2mg(7.26×10-5モル)の溶液を仕込んだ。溶液のpHを1M NaOHで10に調整した後に、ジメチル3,3’−ジチオビス(プロピオンイミデート)・2HCl(DTBP、イリノイ、ロックフォードのPierce Chemical Co.)22.4mg(7.26×10-5モル)を加えた。生成した均質な溶液をVortexミキサーで0.5時間の間攪拌した。次いで、ポリマー水溶液をToyopearl HW−40F樹脂上のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にかけた。画分をGPCによって分析し、適当な画分を凍結乾燥乾固させて67mg(67%)の無色非晶質粉末を生じた。
【実施例8】
【0105】
ポリエチレングリコール(PEG)600ジ酸クロリド、8
【化20】
磁気攪拌棒及び還流凝縮器を装備した50mL丸底フラスコに、ポリエチレングリコール600ジ酸(ウイスコンシン、ミルウォーキーのFlula Chemical Corp)5.07g(約8.4mモル)及び無水クロロホルム(Aldrich)10mLを仕込んだ。この攪拌溶液に、チオニルクロリド(Aldrich)3.9mL(53.4mモル)を加え、生成した溶液を1時間の間還流に加熱し、その時間中ガス発生が明らかに分かった。生成した溶液を冷却させて室温にした後に、溶媒及び過剰のチオニルクロリドを真空で除いた。生成した油をドライボックス中に保存し、精製しないで使用した。
【実施例9】
【0106】
β−シクロデキストリン−PEG600コポリマー、9
【化21】
20mLシンチレーションバイアルに、6A,6D−ジアミノ−6A,6D−ジデオキシ−β−シクロデキストリン(4)のビス(炭酸水素)塩112.5mg(8.95×10-5モル)、トリエチルアミン(Aldrich)50μL(3.6×10-4モル)、及び無水のN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc,Aldrich)5mLを仕込んだ。次いで、生成した懸濁液をポリエチレングリコール600ジ酸クロリド、8 58mg(9.1×10-5モル)で処理した。生成した溶液をVortexミキサーで5分間攪拌し、次いで、25℃で1時間の間静置させ、その時間の間に溶液は均質になった。溶媒を真空で除き、残分をToyopearl HW−40F樹脂上のゲルパーミエーションクロマトグラフィーに水を溶離剤として使用して、かけた。画分をGPCによって分析し、適当な画分を凍結乾燥乾固させて無色非晶質粉末115mg(75%)を生じた。
【実施例10】
【0107】
6A,6D−ビス−(2−アミノエチルチオ)−6A,6D−ジデオキシ−β−シクロデキストリン、10(Tabushi,I;Shimokawa,K;Fugita,K.Tetrahedron Lett.1977、1527−1530)
【化22】
磁気攪拌棒及び隔膜を装備した25mL Schlenkフラスコに、エタノール中ナトリウム2−アミノエチルチオレートの0.81M溶液0.91mL(7.37mモル)を仕込んだ。 (Fieser, L. F.; Fiester, M. Reagents for Organic Synthesis ; Wiley: ニューヨーク、1967;3巻、265-266頁)。溶液を蒸発乾固させ、固体を無水のDMF(Aldrich)5mL中に再溶解した。6A,6D−ジヨード−6A,6D−ジデオキシ−β−シクロデキストリン(2)(100mg、7.38×10-5モル)を加え、生成した懸濁液を窒素下で60℃において2時間の間攪拌した。冷却して室温にした後に、溶液を真空で濃縮し、残分を水に再溶解した。0.1N HClで酸性にした後に、溶液をToyopearl SP−650Mイオン交換カラム(NH4+形態)にかけ、生成物を0〜0.4M炭酸水素アンモニウムの勾配で溶離した。適当な画分を一緒にし、凍結乾燥乾固させた。これは、80mg(79%)の10を白色粉末として生じた。
【0108】
ジシステアミンβ−CD10の代わりの合成
脱気水100mL中4.69g(3.17mモル)の2の溶液に、新たに昇華させたシステアミン0.489g(6.34mモル)を加えた。溶液を還流下で2時間の間攪拌した。溶液を、冷却して室温にしかつ1N HClで酸性にした後に、Toyopearl SP−650Mイオン交換カラム(NH4+形態)にかけ、生成物を0〜0.2M炭酸水素アンモニウムの勾配で溶離した。適当な画分を一緒にし、凍結乾燥乾固させた。この手順は、白色固体1.87g(収率39%)をもたらした。固体をTLC (シリカゲル、n-PrOH-AcOEt-H20-NH3aq 5/3/3/1、ニンヒドロンによる検出)によって特性表示し、これは、10に相当する主スポットを示した。マトリックス支援レーザー脱着/イオン化(MALDI)飛行時間(TOF)型質量スペクトルをPerSeptive Biosystems,Inc.によって供給される2メートルELITE計測器上で記録した。3について計算したMALDI-TOF m/z : 1252, 実測: 1253.5 [M+H] +, 1275.5 [M+Na] +, 1291.4 [M+K] +."C NMR (Bruker 500 MHz, D20) 8 ppm: 32.1 (S-CH2) and 38.8 (CH2-NH2), 32.9 (Sに隣接するC6), 60.2 (OHに隣接するC6), 70.8,71.4, 72.5 (C2, C3, C5), 81.8 (C4), 101.7 (Cl)。
【実施例11】
【0109】
β−シクロデキストリン(シスタミン)−DTBPコポリマー、11
【化23】
4mLバイアルに、0.1M NaHCO30.5mL中10のビス(炭酸水素)塩19.6mg(1.42×10-5モル)の溶液を仕込んだ。溶液を氷浴中で冷却した後に、ジメチル3,3’−ジチオビスプロピオンイミデート−2HCl(DTBP、イリノイ、ロックフォードのPierce Chemical Co.)4.4mg(1.4×10-5モル)を加えた。次いで、生成した溶液をVortexミキサーで攪拌し、0℃で1時間の間静置させた。反応を1Mトリス−HClで急冷した後に、0.1N HClで酸性にしてpH4にした。次いで、ポリマー水溶液をToyopearl HW−40F樹脂上のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにかけた。画分をGPCによって分析し、適当な画分を凍結乾燥乾固させた。これは、21.3mg(100%)の11を白色粉末としてもたらした。
【実施例12】
【0110】
β−シクロデキストリン(シスタミン)−DMSコポリマー、12
【化24】
磁気攪拌棒及び隔膜を装備した10mL Schlenkフラスコに、200mg(1.60×10-4モル)の10、トリエチルアミン(ウイスコンシン、ミルウォーキーのAldrich Chemical Co.)44μL(3.2×10-4モル)、ジメチルスベルイミデート−2HCl(DMS、イリノイ、ロックフォードのPierce Chemical Co.)43.6mg(1.60×10-4モル)、及び無水のDMF(ウイスコンシン、ミルウォーキーのAldrich Chemical Coc.)3mLを仕込んだ。生成したスラリーを窒素の定常流下で18時間の間80℃に加熱し、その時間の間、溶媒のほとんどが蒸発した。残った残分を水10mLに再溶解し、次いで生成した溶液を0.1N HClで酸性にしてpH4にした。次いで、この溶液を、Amicon Centricon. Plus-20 5,000 NMWL遠心ろ過器を通過させた。水2×10mL分で洗浄した後に、ポリマー溶液を凍結乾燥乾固させてオフホワイト非晶質固体41.4mg(18%)を生じた。
【0111】
代わりの合成: β−シクロデキストリン(シスタミン)−DMSコポリマーを先に記載される(Gonzalez等、1999)通りにして合成した。代表的な実験では、25mLバイアルに、0.5M Na2CO3500μL中に溶解したジシステアミンβ−CD10のビス(炭酸水素)塩(399.6mg、0.269mモル)の溶液を仕込んだ。ジメチルスベルイミデート・2HCl(DMS、イリノイ、ロックフォードのPierce Chemical Co.、73.5mg、0.269mモル)を加え、溶液を短時間遠心分離して成分を溶解した。生成した混合物を25℃において15時間の間攪拌した。次いで、混合物を水10mLで希釈し、1N HClを加えることによってpHを4よりも低くもたらした。次いで、この溶液をdH20中でSpectra/Por 7 MWCO 3500透析膜(Spectrum)に対して24時間の間透析した。透析された溶液を凍結乾燥乾固させた。13C NMR (Bruker 500MHz, D20) δppm:25.8,26.0,27.0,28.7,29.9,32.2,37.5,38.1,41.1,60.0,71.6, 72.3,72.6,80.8,101.4,167.9。
【実施例13】
【0112】
プラスミドとの固定性恒久的荷電型コポリマー複合化
【0113】
全般的に、水中の固定性荷電型CD−ポリマー及びDNAプラスミド溶液を等容量で適当なポリマー/プラスミド電荷比において混合する。次いで、混合物を室温で平衡に達しさせかつ自己集合させる。複合化成功を、混合物の小アリコートを0.6%アガロースゲルに移送し、DNAモービリティーについて調べることによってモニターする。遊離のDNAは、かけた電圧下で移動するのに対し、複合化されたDNAは、ウエルで遅延される。
【0114】
蒸留水中濃度0.1μg/μLのDNA1μgを10μLのコポリマー12とポリマーアミン:DNAホスフェート電荷比2.4、6、12、24、36、60、及び120において混合した。1μg/μLの配合緩衝剤(スクロース40%、ブロモフェノールブルー0.25%、及び5mM EDTAを含有する200mMトリス−アセテート(Gao等、Biochemistry 35:1027-1036 (1996))を各々の溶液に加えた。各々のDNA/ポリマーサンプルを1×TAE緩衝剤(4mMトリス−アセテート/1mM EDTA)中にEtBr6μg/100mLを含有する0.6%アガロース電気泳動ゲルにかけた。DNA/ポリマー複合化の程度は、ゲル移行パターンにおけるDNA減速によって示された。コポリマー(12)は、DNAを電荷比2以上で減速させ、これらの条件下での複合化を示した。
【実施例14】
【0115】
ルシフェラーゼレポーター遺伝子をコード化するプラスミドによるトランスフェクション研究
【0116】
BHK−21細胞を24のウエルプレート中で細胞密度細胞60,000/ウエルでトランスフェクトする24時間前に平板培養した。ルシフェラーゼ遺伝子をコード化するプラスミドを例13のようにしてCD−ポリマーと混合した。DNA/ポリマー複合体を含有する媒体溶液を培養された細胞に加え、37℃で24時間インキュベートした後にフレッシュ媒体に代えた。細胞は、トランスフェクトして48時間した後に溶解された。ルシフェラーゼ光アセイに適当な基質を細胞溶解産物に加えた。ルシフェラーゼ活性を、生成される光単位で測定して、照度計によって定量化した。DNA/ポリマー複合体は、BHK−21細胞を3よりも高い電荷比でトランスフェクトして良好な結果を得、最大のトランスフェクションは、ポリマーアミン:DNAホスフェート電荷比40においてであった。細胞溶解産物は、また、Lowryタンパク質アセイによって細胞生存度を求めるのにも使用した。(Lowry等、Journal of Biological Chemistry,193巻、265-275 (1951))。電荷比40まで、毒性は観測されなかった。
【実施例15】
【0117】
β−シクロデキストリン(シスタミン)−DMAコポリマー、13の合成
【化25】
磁気攪拌棒を装備した20mLシンチレーションバイアルに、180mg(0.131mモル)の10及びジメチルアジポイミデート(DMA、イリノイ、ロックフォードのPierce Chemical Co.)32mgを仕込んだ。これに、0.5M Na2CO3500μLを加えた。生成した溶液をホイルで覆い、一晩攪拌した。混合物を0.1N HClで酸性にし、Spectrapor MWCO 3,500膜を用いて2日間透析し、凍結乾燥させて光の散乱によって求めてMw=6kDaを有する白色非晶質固体41mgをもたらした。
【実施例16】
【0118】
β−シクロデキストリン(シスタミン)−DMPコポリマー、14の合成
【化26】
磁気攪拌棒を装備した20mLシンチレーションバイアルに、160mg(0.116mモル)の10及びジメチルピメルイミデート(DMP、イリノイ、ロックフォードのPierce Chemical Co.)30.1mgを仕込んだ。これに、0.5M Na2CO3500μLを加えた。生成した溶液をホイルで覆い、一晩攪拌した。次いで、混合物を0.1N HClで酸性にし、Spectrapor MWCO 3,500膜を用いて2日間透析し、凍結乾燥させて光の散乱によって求めてMw=6kDaを有する白色非晶質固体22mgをもたらした。
【実施例17】
【0119】
β−シクロデキストリン(シスタミン)−PEG600コポリマー、15
【化27】
磁気攪拌棒、Schlenkアダプター及び隔膜を装備した100mL丸底フラスコに、1.564g(1.25mモル)の10及び新たに蒸留したジメチルアセトアミド(DMAc、Aldrich)25mLを仕込んだ。スラリーに、トリエチルアミン0.7mL(4当量)及びDMAc5mL中8(2.39g、3.75当量)の溶液を加えた。生成した溶液をVortexミキサーで5分間攪拌し、次いで、25℃で1時間の間静置させ、その時間の間に溶液は均質になった。溶媒を真空下で除き、残分をToyopearl HW−40F樹脂上のゲルパーミエーションクロマトグラフィーに水を溶離剤として使用して、かけた。画分をGPCによって分析し、適当な画分を凍結乾燥乾固させてを無色非晶質粉末を生じた。
【実施例18】
【0120】
β−シクロデキストリン−トシレート、16の合成(Melton, L. D.及びSlessor, K. N., Carbohydrate Research, 18,29頁(1971))
【化28】
磁気攪拌棒、真空アダプター及び隔膜を装備した500mL丸底フラスコに、乾燥したβ−シクロデキストリン(8.530g、7.51mモル)及び乾燥したピリジン200mLを仕込んだ。溶液を冷却して0℃にした後に、トシルクロリド1.29g(6.76mモル)を加えた。生成した溶液を一晩暖めさせて室温にした。ピリジンを真空でできるだけ多く除いた。次いで、生成した残分を温水40mLから再結晶させて白色結晶固体7.54(88%)を生じた。
【実施例19】
【0121】
β−シクロデキストリン−トヨージド、17の合成
【化29】
磁気攪拌棒及びSchlenkアダプターを装備した丸底フラスコに、16、ヨウ化カリウム15当量、及びDMFを仕込んだ。生成した混合物を3時間の間80℃に加熱した後に、反応を冷却させて室温にする。次いで、混合物をろ過して沈殿を除き、液を蒸発乾固させ、0℃の水に再溶解させる。テトラクロロエチレンを加え、生成したスラリーを0℃において20分間激しく攪拌する。固体を中位のガラスフリット上に収集し、アセトンですり砕き、P2O5上で保存する。
【実施例20】
【0122】
β−シクロデキストリン−チオール−PEG追加ポリマー、18の合成
【0123】
工程1:β−シクロデキストリン−チオールの合成(K. Fujita等、Bioorg. Chem.,11巻、72頁(1982)及びK. Fujita等、Bioorg. Chem.,11巻、108頁(1982))
磁気攪拌棒及びSchlenkアダプターを装備した50mL丸底フラスコに、1.00g(0.776mモル)の16、チオ尿素(Aldrich)0.59g(7.75mモル)及び0.1N NaOH溶液7.8mLを仕込んだ。生成した混合物を窒素下で6時間の間80℃において加熱した。次に、水酸化ナトリウム0.62g(15.5mモル)を加え、反応混合物を窒素下で更に1時間の間80℃において加熱した。反応を冷却させて室温にした後に、10%HClでpH4.0にもたらした。合計の溶液容積を20mLにもたらし、次いで氷浴中で冷却した後に、テトラクロロエチレン0.8mLを加えた。反応混合物を0℃において0.5時間の間激しく攪拌した後に、沈降固体を微細なガラスフリットで収集した。固体を一晩ポンプで汲み出して白色非晶質固体0.60g(67%)を生じた。
【0124】
工程2:磁気攪拌棒及び還流凝縮器を装備した100mL丸底フラスコに、工程1で調製したβ−シクロデキストリン−チオール2.433g(2.11mモル)、官能化されたPEG(日本、東京、大妻女子大学のコヤマヨシユキから受け入れたペンダントオレフィンを有するPEG)0.650g及びdH2O50mLを仕込んだ。生成した混合物を1時間の間還流に加熱し、その時間中にβ−シクロデキストリン−チオールが溶解した。反応混合物を冷却させて室温にし、沈降固体を遠心分離によって除いた。上澄みをSpectra/Por 7 MWCO 1,000膜で水に対して透析した。溶液を凍結乾燥させて非晶質白色固体をもたらした。
【化30】
【実施例21】
【0125】
枝分かれしたPEI−シクロデキストリンポリマー、19の合成
【0126】
磁気攪拌棒を装備した20mLシンチレーションバイアルに、枝分かれしたPEI(25kD、Aldrich)及び17を仕込んだ。これに、脱気した炭酸ナトリウム緩衝剤を加えた。生成した溶液を80℃において4時間の間攪拌した。生成物を0.1N HClで酸性にし、Spectrapor MWCO 3,500膜を用いて2日間透析し、凍結乾燥させた。
【0127】
(実施例21−B)
枝分かれしたPEI(Mw1200、Aldrich)及び二官能化されたシクロデキストリンモノマー2(1当量)を乾燥したDMSO中で混合した。混合物を80℃において4日間攪拌し、Spectra/Por MWCO 10,000膜を用いて水に対して2日間透析し、凍結乾燥させた。
【実施例22】
【0128】
Ad−PEG3400−Adの合成
【0129】
1−アミノアダマンタン240mg(1.60mモル、Aldrich)及びPEG3400(SPA)2288mg(0.085mモル、Shearwater Polymers)を攪拌棒を装備したガラスバイアルに加えた。これにジクロロメタン5mLを加え、溶液を一晩攪拌した。翌日に、溶液をろ過してn−ヒドロキシスクシドイミド副生物を除き、ジクロロメタンを真空で除いた。残分を水に溶解し、遠心分離して過剰の1−アミノアダマンタンを除いた。次いで、上澄みを、MWCO=3500を有するPierce's Slide-A-Lyzerにおいて一晩透析した。次いで、溶液を凍結乾燥させてAd−PEG3400−Adの白色の毛羽の固体248mgをもたらした。
【実施例23】
【0130】
Ad−PEG3400−NH2の合成
【0131】
FMOC−PEG3400−NH2347mg(0.110mモル、Shearwater Polymers)及び1−アミノアダマンタン155mg(1.0mモル、Aldrich)を攪拌棒を装備したガラスバイアルに加えた。これにジクロロメタン5mLを加え、生成した溶液を一晩攪拌した。翌日に、溶液をろ過してn−ヒドロキシスクシドイミド副生物を除き、ジクロロメタンを真空で除いた。残分を水に溶解し、ろ過して未反応の1−アミノアダマンタンを除いた。次いで、溶液を凍結乾燥させて水を除いた。生成した固体をDMF中ピペリジン20%中に20分間溶解することによってFMOC基を除いた。溶媒を真空で除き、残分を水に再溶解した。溶液を遠心分離して未溶解のFMOCを除き、次いで、Pierce's Slide-A-Lyzer, MWCO 3500において一晩透析した。次いで、溶液を凍結乾燥させてAd−PEG3400−NH2の白色の毛羽の固体219mgをもたらした。
【実施例24】
【0132】
アダマンタン−PEG3400−NH2(Ad−PEG3400−NH2)
【0133】
FMOC−PEG3400−NHS266mg(78.2μモル、Shearwater Polymers、アラバマ、ハンツビル)を磁気攪拌棒を装備したガラスバイアルに加えた。次いで、1−アダマンタン−メチルアミン10当量(1.5mモル、Aldrich)をジクロロメタン3mL中に溶解して加え、溶液を一晩室温で攪拌した。溶媒を真空で除き、残留する溶液に水を加えてPEG生成物を溶解した。溶液を20K rcfで10分間遠心分離し、その際にアダマンタン−メチルアミンが一層濃密な液として相分離した。水性層を収集し、水を真空で除いた。残留する粘稠な液をFMOC脱保護のためにDMF中ピペリジン20%中に再溶解し、室温で30分間攪拌した。溶媒を真空で除き、DMFで何回か洗浄し、水に再溶解し、アニオン性交換カラム上でランして未反応のPEGを除いた。初めの画分を収集し、凍結乾燥させて所望の生成物の白色の毛羽の粉末222mg(収率76%)を生じ、これをMALDI-TOF分析によって確認した。
【実施例25】
【0134】
アダマンタン−PEG3400−ラクトース(Ad−PEG3400−Lac)
【0135】
例24で調製した通りのAd−PEG3400−NH260mg(16.8μモル)、及びラクトース−モノスクシドイミル5当量(50mg、Pierce、イリノイ、ロックフォード)を攪拌棒を装備したガラスバイアルに加えた。50mM NaHCO32mLを加え、生成した溶液を一晩攪拌した。アミンの反応をTNBSアセイによってモニターした、これはアミン濃度を求めるものである。アミンが完全に反応した際に(アミン99%が反応した)、溶液を透析チュービング(Slide-A-Lyzer, MWCO=3500, Pierce)に移し、水に対して24時間の間透析し、凍結乾燥させて毛羽の白色粉末65.1mg(収率93%)を生じた。
【実施例26】
【0136】
Ad−PEG5000の合成
【0137】
PEG5000−NHS279mg(0.053mモル、Shearwater Polymers)を攪拌棒を装備したガラスバイアルに加えた。これに、1−アダマンタン−メチルアミン46μL(0.42mモル、Aldrich)をジクロロメタン3mLに溶解して加え、溶液を一晩室温で攪拌した。翌日に、溶液をろ過してn−ヒドロキシスクシドイミド副生物を除き、ジクロロメタンを真空で除いた。残分を水に溶解し、遠心分離した。過剰の1−アダマンタンメチルアミが相分離し、上部水性相を除き、MWCO=3500を有するPierce's Slide-A-Lyzerにおいて一晩透析した。次いで、溶液を凍結乾燥させてAd−PEG5000の白色の毛羽の固体253mgをもたらした。生成物を、Richards Scientific ELS検出器及びC18カラムを装備したBeckman Gold HPLCシステム上で分析し、純粋である(PEG5000−NHSの保持時間:10.7分;生成物の保持時間:12.0分;アセトニトリル/水勾配)ことを実測した。
アダマンタン−PEG5000(Ad−PEG5000)の代わりの合成
【0138】
PEG5000−NHS674mg(135μモル、Shearwater Polymers)を磁気攪拌棒を装備したガラスバイアルに加えた。1−アダマンタン−メチルアミン5当量(675μモル、Aldrich)をジクロロメタン10mL中に溶解して加え、溶液を一晩室温で攪拌した。溶媒を真空で除き、残留する溶液に水を加えた。溶液を20K rcfで10分間遠心分離し、その際にアダマンタン−メチルアミン相が一層濃密な液として相分離した。水性部分を収集し、水に対して24時間の間透析した(Slide-A-Lyzer, MWCO=3500)。溶液を凍結乾燥させて白色の毛羽の粉末530mg(収率75%、生成物の略図を下記に示す)を生じた。生成物を、Richards Scientific ELS検出器及びC18カラムを装備したBeckman Gold HPLCシステム上で分析し、純粋である(PEG5000−NHSの保持時間:10.7分;生成物の保持時間:12.0分;アセトニトリル/水勾配)ことを実測した。Ad−PEG3400を同様のプロトコルを用いて合成した(収率56%、生成物をMALDI-TOF分析によって確認した)。
【化31】
【実施例27】
【0139】
アダマンタン−(PEG5000)2(Ad−(PEG5000)2)
【0140】
(PEG5000)2−NHS315mg(30μモル、Shearwater Polymers)を磁気攪拌棒を装備したガラスバイアルに加えた。次いで、1−アダマンタン−メチルアミン10当量(300μモル、Aldrich)をDCM3mLに溶解して加え、溶液を一晩室温で攪拌した。溶媒を真空で除き、残留する溶液に水を加えてPEG生成物を溶解した。溶液を20K rcfで10分間遠心分離し、その際にアダマンタン−メチルアミンが一層濃密な液として相分離した。水性層を収集し、水に対して24時間の間透析した(Slide-A-Lyzer, MWCO=3500)。溶液を凍結乾燥させて白色の毛羽の粉末286mg(収率91%)を生じた。
【実施例28】
【0141】
アダマンタン−PEG3400−フルオレセイン(Ad−PEG3400−FITC)
【0142】
Ad−PEG3400−NH220mgを磁気攪拌棒を装備したガラスバイアル中の0.1M NaHCO33mL中に溶解した。この溶液に、DMSO中のフルオレセインイソチオシアネート(FITC,Sigma)3当量(4mg/mL、1.6mL)を加え、生成した溶液を暗がりで一晩攪拌した後に、透析チュービング(MWCO=3500)に移し、暗がりで水に対して48時間の間透析した。溶液を収集し、凍結乾燥させて黄色の毛羽の固体23mgを生じた。PEG3400−FITCをPEG3400−NH2(Shearwater Polymers)から同じプロトコルを用いて対照ポリマーとして合成して23mgを生じた。
【実施例29】
【0143】
GALAペプチドの合成
【0144】
自動合成装置を使用してBiopolymer Synthesis Facility (Beckman Institute, California Institute of Technology)によって、GALAペプチド(配列:W-E-A-A-L-A-E-A-L-A-E-A-L-A-E-H-L-A-E-A-L-A-E-A-L-E-A-L-A-A, MW 3032)を合成した。ペプチドを樹脂から開裂する前に、アダマンタン接合のために樹脂の三分の一を取って置いた。HPLCによるペプチドの分析は、純度が95%よりも大きいことを示した。1−アダマンタン−カルボン酸(Aldrich)をDDCカップリングケミストリーによってGALA−ペプチドのN−末端に接合させた。生成したペプチド(GALA−Ad、Mw3194)を樹脂から開裂した。HPLCによるペプチドの分析は、純度が90%よりも大きいことを示した。ペプチドの身元は、MALDI-TOF分析(Biopolymer Analysis Facility, Beckman Institute, California Institute of Technology)によって確認した。
【実施例30】
【0145】
GALAペプチドを用いた発明の組成物の調製
【0146】
プラスミド及びオリゴヌクレオチド。ルシフェラーゼ遺伝子をSV40プロモーターの制御下で含有するプラスミドpGL3-CV (Promega,ウイスコンシン、マディソン)をEsherichia Coliによって増幅しかつQiagen's Endotoxin-free Megaprepキット(カリフォルニア、バレンシア)を使用して精製した。フルオレセイン標識付けしたオリゴヌクレオチド(FITColigos, 25-mer, 5'-FITC-ACT GCT TAC CAG GGA TTTCAG TGC A-3')をBiopolymer Synthesis Facility (California Institute of Technology)によって合成した。
【0147】
粒子形成及び特性表示。発明の組成物を、等しい容積の12(dH2Oに溶解した)をDNA(dH2O中0.1mg/mL)と適当な電荷比で混合することによって調製した。次いで、50mMホスフェート緩衝サリーン(PBS、pH7.2)に溶解した同じ容積のGALA又はGALA−Adを複合体に加えた。例えば、粒子特性研究によって、プラスミドDNA2μg(20μL)を12(20mL)と電荷比5+/−で複合化した。次いで、GALA溶液、GALA−Ad溶液又は50mM PBS(対照サンプルについて)20μLを複合体に加えた。次いで、溶液を、1.2mL dH2Oを加えることによって希釈した。粒子のサイズ及び電荷を、ZetaPals動的光散乱検出器(Brookhaven Instruments Corporation,ニューヨーク、ホルツビル)を使用してそれぞれ動的光散乱法及びゼータ電位測定によって求めた。結果を、これらの測定値の平均±標準偏差として提示して図2に示す。電荷比5+/−で調製した12/pGL3-CV組成物の流体力学的径を動的光散乱法によって測定して260nmであるのを実測した。20μL中のプラスミドDNA2μgを等しい容積の12と電荷比5+/−で混合した。次いで、GALA又はGALA−Adを種々の比で粒子に加えた。流体力学的径を光散乱法測定によって求めた。結果を、これらの測定値の平均±標準偏差として提示する。GALAペプチドは、pH7.5における水溶性ランダムコイルコンフォメーションからpH5における水不溶性らせんへの転移を受ける。GALA及びアダマンタン改変されたGALA(GALA−Ad)ペプチドを50mM PBS(pH7.2)に溶解し、治療組成物に種々のペプチド/シクロデキストリン比で加えた。混合物をdH2Oで希釈し、粒子サイズを動的光散乱法によって求めた(図2)。図2は、GALA(破線)及びGALA−Ad(実線)改変されたペプチドの流体力学的径を示す。
【0148】
結果。粒子カウントレートは、加えたペプチドのすべての濃度について同じままであることから、ペプチドの添加は、組成物を乱さないようである。GALA及びGALA−Adの添加の関数としての粒子サイズプロフィルは、極めて類似している。流体力学的径は、250nm(GALA又はGALA−Ad1%)から400nm(GALA又はGALA−Ad10%)に増大する。ペプチドを一層多く加えるにつれて、粒子サイズは、再び減少して未改変の治療組成物の粒子サイズになる。径は、30%以上のGALA−Ad及び50%以上のGALAを加えることによりおよそ250nmに戻る。図2を参照。
【実施例31】
【0149】
GALA改変された組成物のBHK−21細胞への取込み
【0150】
細胞培養。BHK−21細胞をATCC(メリーランド、ロックビル)から購入し、HUH−7細胞は、Valigen(ペンシルバニア、ニュータウン)から惜しげもなく与えられた。両方の細胞系統を、37℃及びCO25%で作動させかつ4〜5日毎に通過させた給湿されたインキュベーター中で牛胎児血清10%、ペニシリン100単位/mL、ストレプトマイシン100μg/mL、及びアンホテリシン0.25μg/mLを補ったDMEM中で培養した。媒体及び栄養補給剤は、Gibco BRL(メリーランド、ガイザースバーグ)から購入した。
【0151】
培養された細胞による治療組成物の取込み。BHK−21細胞を6−ウエルプレート中で細胞15,000/ウエルで平板培養し、37℃で24時間の間インキュベートした。FITC-oligo5μgを12と電荷比5+/−で複合化した。5分の複合化時間の後に、50mM PBS(pH7.2)中のGALA又はGALA−Ad50μLを複合体に加えた。媒体を細胞から除き、細胞をPBSで洗浄した。トランスフェクトするために、Optimem900μLを各々の治療組成物溶液に加え、溶液全体を細胞に移した。細胞をトランスフェクション混合物と5時間の間インキュベートした後に、媒体を除き、細胞をPBSで2度洗浄した。細胞をトリプシン処理することによって収集しかつFACS分析のために準備した。細胞を洗浄緩衝剤(DNase及びMgCl2を含有するHank's Balanced Salt Solution)で2度洗浄し、500μL FACS緩衝剤(Hank's Balanced Salt Solution、牛血清アルブミン2.5mg/mL、プロピジウムヨージド10μg/mL)中に再懸濁させた。FACS分析は、FACS Caliburフローサイトメーター(Becton Dickinson, カリフォルニア、サンホセ)及びCellQuestソフトウエアを使用して行った。結果を図4に示す。図4a−dに示す通りに、BHK−21細胞(4a)を12/FITC-Oligo (4b), 12/FITC-Oligo/50% GALA (4c)及び12/FITC-Oligo/50% GALA-Ad (4d)でトランスフェクトした。取込みをフローサイトメトリー分析によって求めた。データを蛍光プロフィルとして提示し、細胞カウント数をy軸に沿ってプロットし、フルオレセイン蛍光強度をx軸に沿ってプロットする。
【実施例32】
【0152】
改変された複合体のゼータ電位
【0153】
20μL中のプラスミドDNA2μgを等容量の12と電荷比5+/−で混合した。次いで、GALA又はGALA−Adを種々の比で粒子に種々のペプチド/CD比で加えた後に、dH2Oで希釈した。粒子電荷は、電気泳動モービリティー測定によって求め、mVで表わす粒子ゼータ電位として提示した。12/pGL3-CV組成物の電荷比5+/−における粒子電荷をゼータ電位測定によって求めて+13mVであるのを実測した。ペプチドの存在における粒子のゼータ電位を求めて3つの測定値の平均±標準偏差として図3に提示した。
【0154】
結果。GALAペプチドは、pH7.2でアニオン性ペプチド(いくつかのグルタミン酸残基を含有する)であることから、GALA及びGALA−Adと組成物との会合は、それらのゼータ電位を減少させる。組成物は、GALA(−11mV)又はGALA−Ad(−23mV)30%によって負に荷電されるようになる。GALA+治療組成物溶液のゼータ電位は、この点で横ばい状態になり;GALAを一層多く加えるても、ゼータ電位をわずかに増大させるにすぎない(GALA150%において−15mV)。しかし、GALA−Ad濃度が大きくなると、粒子は、一層負に荷電されるようになる。GALA150%を加えた組成物は、ゼータ電位−42mVを有する。図3を参照。
【実施例33】
【0155】
組成物のDNA送達効率。
【0156】
HUH−7細胞:肝細胞癌系統HUH−7もまた12/FITC-Oligoにより電荷比5+/−及び12/FITC-Oligo/50% GALA-Ad組成物でトランスフェクトした。DNA取込みをBHK−21細胞について記載する通りにしてモニターした。トランスフェクトされていないHUH−7細胞についての蛍光プロフィルは、最初の十分位数に存在する(図5a)。FITC-Oligoを、12によりHUH−7細胞95%に送達するのに良好な結果が得られた(図5b)。GALA−Ad50%を組成物に加えると、BHK−21細胞によって観測される通りにFITC-Oligo取込みを2オーダーの大きさで抑制する(図5c)。
【実施例34】
【0157】
発明組成物のルシフェラーゼトランスフェクション効率
【0158】
GALA及びGALA−Ad改変された組成物のトランスフェクション能力を、ルシフェラーゼレポーター遺伝子を培養された細胞に送達することによって求めた。BHK−21細胞を24−ウエルプレート中で平板培養し、12と複合化したpGL-CV3(ルシフェラーゼ遺伝子を含有するプラスミド)1μgにより電荷比5+/−でトランスフェクトして粒状複合体を形成した。これらの粒状複合体を、GALA又はGALA−Adを種々のペプチド/シクロデキストリン比で加えることによって改変した。細胞は、トランスフェクトして48時間した後に溶解され、これらをルシフェラーゼ活性について分析し、結果を図6に示し、相対的光単位(RLU)で報告する。データを3つのサンプルの平均±SDとして報告する。バックグラウンド=300RLV。
【0159】
細胞は、12/pGL-CV3組成物によりトランスフェクトされて良好な結果が得られ、RLUは〜1×105であった。GALAの添加はトランスフェクション効率に大きな影響を与えなかった。しかし、GALA−Adによる組成物改変はトランスフェクションを大きく改変した。GALA1%を加えると、トランスフェクションを2倍増大させて2×105RLUにし、12/FITC-Oligo/10% GALAもまたトランスフェクションのわずかな増大(1.5×105RLU)を生じた。GALA100%を加えると、トランスフェクションを50%減小させて5×104RLUにした。
【実施例35】
【0160】
GALA及びGALA−Ad組成物の毒性。
【0161】
GALA及びGALA−Ad改変された組成物の毒性を、トランスフェクション実験で得られた溶解産物のタンパク質濃度を測定することによって求めた。BHK−21細胞を、12と複合化したpGL-CV3 1μgにより電荷比5+/−でトランスフェクトした。トランスフェクトする前に、GALA及びGALA−Adを種々の比で複合体に加えた。GALA(実棒)及びGALA−Ad(白棒)の存在におけるトランスフェクションについての細胞生存率を、トランスフェクトして48時間した後の合計のタンパク質濃度についてアセイしかつ各々のサンプルをトランスフェクトされていない細胞についてのタンパク質レベルによって標準化することによって求めた。タンパク質濃度を、3つの反復試験を平均しかつ12/pGL-CV3組成物単独によってトランスフェクトされた細胞の平均タンパク質濃度で割り、細胞生存分率として報告し、平均±SDとして報告する(図7)。GALA及びGALA−Adをトランスフェクション溶液に加えると、BHK−21細胞への観測し得る毒性を生じなかった。
【実施例36】
【0162】
ラクトース−β−シクロデキストリン−DMSコポリマー20(Lac−β−シクロデキストリン−DMSコポリマー20)
【0163】
12(20.5mg、3μモル)、α−ラクトース10当量(21mg、60μモル、Sigma)、及びナトリウムシアノボロヒドリド18.6mg(300μモル)をガラスバイアルに加えた。pH8.5のボレート緩衝剤1mLを固形分に加え、生成した溶液を短時間渦回転させた後に、37℃水浴中で30時間の間インキュベートした。溶液を、1M HClを加えることによって酸性にしてpH6.0にし、水に対して24時間の間透析した。ポリマーアミンについてのTNBSアセイは、接合87%を示した。化合物20の構造。
【実施例37】
【0164】
ラクトース−(CH2)6−β−シクロデキストリン−DMSコポリマー21(Lac−C6−β−シクロデキストリン−DMSコポリマー21)
【0165】
12(43.2mg、7.4μモル)及びモノ(ラクトシルアミド)モノ(スクシンイミジル)スベラート5.6当量(50mg、84μモル、Pierce)を、磁気攪拌棒を装備したガラスバイアルに加え、50mM NaHCO32mLに溶解した。反応を、ポリマーアミン末端基の消失をTNBSアセイによりモニターすることによってたどり、接合90%を示した。溶液を、1M HClを加えることによって酸性にしてpH5.0にし、生成した溶液をPierce MWCO 3500 Slide-A-Lyzerにおいて水に対して2日間透析した後に凍結乾燥させた。白色の毛羽粉末が収率70%で得られた。21の構造を図12に示す。
【実施例38】
【0166】
PEG3400を末端基とするβ−シクロデキストリン−DMSコポリマー22;Pre−DNA複合化ペグ化
【0167】
20.3mgの12(3μモル)及びFMOC−PEG3400−NHS10当量(190mg、60μモル)を磁気攪拌棒を装備したガラスバイアルに加え、pH8.5の50mM NaHCO31mLに溶解した。溶液を暗がりで室温において20時間の間攪拌し、次いで凍結乾燥させた。固体をDMF中ピペリジン20%0.5mL中に溶解し、30分間攪拌してFMOC脱保護した。溶媒を真空で除き、生成した粘稠な液を水に溶解し、0.1M HClを加えることによってpHを6.0よりも低くもたらした。ポリマーをアニオン交換クロマトグラフィーによって未反応のPEGから分離し、凍結乾燥させて白色の毛羽の粉末を生じた。22の構造を下記に示す。
【化32】
【0168】
Prep−DNA複合化ペグ化。12及び22の両方を、粒子サイズ測定のためにプラスミドDNAと混合した。βCDP6 12はプラスミドDNAを凝縮して流体力学的径;130nmを有する均一な粒子にするが、ペグ化された22はDNAを凝縮することができない。ポリマー末端にPEGが存在するとDNA凝縮を妨害する。
【実施例39】
【0169】
グラフトによるPost−DNA−複合化ペグ化
【0170】
使用する手順をOgris等、Gene Therapy, 6, 595-605 (1999)から変更した。dH2O500μL中のpGL3-CV5μgを等容量のPEI(dH2O中)と電荷比3+/−又は6+/−で混合した。12/DNA粒状複合体を電荷比5+/−で同じようにして調製した。粒状複合体の粒子直径を動的光散乱法(DLS)によって求めた。粒状複合体形成後、室温で2時間の間混合した溶液に、PEG5000−SPA(DMF中10mg/mL)を加えた。第二段階として、粒子サイズ測定後、pH7.2のPBS500μLを溶液に加えた。溶液を室温で30分間インキュベートした後に、最終の粒子サイズをDLSによって求めた。概略表示について図8を参照。
【0171】
ステージ1で、PEI/DNA又は12/DNA粒状複合体をdH2O1.2mL中で形成した。粒子のサイズを動的光散乱法(DLS)によって求めた。ステージ2で、PEG5000−SPAを粒状複合体溶液に加え、ポリマー第一級アミノ基と1時間の間反応させた。「ペグ化された」サンプルのサイズをDLSによって求めた。ステージ3について、pH7.2のPBS600μLを各々のサンプルに加えてペグ化された粒子の塩安定性をテストした。塩添加して30分した後に粒子サイズを求めて粒子凝集の程度を求めた。
【0172】
ステージ1について、PEI粒状複合体を電荷比3+/−又は6+/−で配合し、12/DNA粒状複合体プレックスを電荷比5+/−で配合した。PEG5000−SPAをPEIにOgris等、Gene Therapy, 6, 595-606, 1999によって公表された手順に従って10:1w/wで加えた。12をPEG100%、150%及び200%:アミン(モル%)でペグ化した。対照として、未反応のPEGもまた12に100%で加えた。各々のステージにおける粒子直径を図9の表に提示する。PEI粒状複合体は、ペグ化した際にサイズがわずかに増大した(電荷比3+/−について58nmから65nmに及び電荷比6+/−について55nmから60nmに)。ペグ化は、PEI粒状複合体を塩誘発される凝集に対して保護した。未改変のPEI粒子は、塩添加後に直径が800nmに増大し、ペグ化されたPEI粒状複合体は、サイズが78nm(電荷比6+/−について)及び115nm(電荷比3+/−について)にわずかに増大した。
【0173】
PEG5000−SPA150%及び200%を12ベースの粒状複合体に加えると、粒子直径を破壊を生じ;粒子カウントは激しく減少し、一貫した相関関数が観測されなかった。12をペグ化すると、同様にポリマー/DNA結合を妨げる。PEG5000−SPA100%でペグ化した後に、粒子サイズは67nmに保たれる。しかし、粒子サイズを時間の関数としてモニターすると、粒子がPEGを添加しておよそ30秒した後に崩壊され、その後、小さい粒子が再び観測されることを示した。従って、PEG5000−SPA100%を加えると、12の画分をペグ化し得る。ポリマー12をDNAに対して過剰に加える(電荷比5+/−で)ことから、粒子がそこで再配列し、それで未改変のポリマーがプラスミドDNAとポリプレックスを形成し、ペグ化されたポリマーの大部分が溶液中に遊離のままであるようになり得る。これらの粒子に塩添加すると、粒子凝集(300nm)を生じるが、未改変の12粒状複合体(700nm)程にはならない。要するに、DNA複合化ペグ化後にポリマー第一級アミノ基と反応させることは、高い電荷密度を有する高いMWポリマーについて有効であるようである。しかし、12との反応は、DNA複合化後でさえ、PEG5000−SPA100%添加における塩安定化の欠如及び一層高いPEG5000−SPA濃度による粒子破壊を生じる。
【実施例40】
【0174】
包接複合体形成によるpost−DNA−複合化ペグ化
【0175】
下記の手順を用いて、アダマンタン−PEG(Ad−PEG)分子を、予備形成した組成物の溶液にアダマンタン100%対シクロデキストリン(モル%)で加えた。次いで、PBSを溶液に加え、粒子サイズをDLSによって2分間隔でモニターした。結果を図10に示す。
【0176】
手順:dH2O600μL中のpGL3-CV2μgを等容量の12(dH2O中)と電荷比5+/−で混合した。所望の量のAd−PEG(dH2O中10mg/mL)を加え、粒子サイズをDLSによって求めた。pH7.2のPBS600μLを溶液に加え、粒子サイズを2分間隔で8分間モニターした。
【0177】
ペグ化されない12粒子の平均直径は、塩添加後8分以内で58nmから250nmに増大した。溶液中に遊離のPEGが存在することは、凝集を妨げなかった(塩添加後平均直径240nm)。しかし、線状Ad−PEG分子との包接複合体を経たペグ化は、長さ依存様式で粒子凝集を低減させた。塩添加して8分した後に、Ad−PEG3400でペグ化した粒子は、凝集して直径210nmになり、Ad−PEG3400−Lacでペグ化した粒子は、凝集して直径200nmになる。Ad−PEG5000でペグ化した粒子は、塩添加して8分した後に、直径が90nmに、塩添加して2時間した後に160nmに増大するにすぎない。Ad−(PEG5000)2で改変すると、凝集に与える影響は小さかった(塩添加後粒子直径200nm)。
【0178】
安定化もまたPEG密度依存様式で行われる(図10A)。塩添加して10分した後に測定した平均粒子直径は、未改変のポリプレックスについて4.7倍(58nmから272nmに)増大するが、アダマンタン150%又200%をシクロデキストリンに加えることによって改変したポリプレックスについては1.2倍増大するにすぎない。
【実施例41】
【0179】
post−複合化ペグ化による細胞取込みの低減
【0180】
工程1:トランスフェクション混合物を下記の通しにして調製した:等容量のカチオン性12をFITC-Oligo(水中0.1μg/μL)3μgにポリマー対DNAの電荷比3+/−で加えた。複合体に遊離のPEG又はAd−PEG5000(例40で調製した通り)をPEG:シクロデキストリン比1:1で加えた。
【0181】
工程2:HUH−7細胞を6−ウエルプレート中で細胞3×105/ウエルで平板培養し、DMEM4mL+FBS10%+抗生物質/抗真菌性4mL中に24時間の間保った。24時間した後に、細胞をPBSで洗浄し、工程1のトランスフェクション混合物を含有するOptimem1mLを細胞に加えた。15分インキュベートした後に、トランスフェクション媒体を除き、細胞をPBSで洗浄し、Optimem1mLを各々のウエルに加えた。細胞を37℃で更に30分間インキュベートした。次いで、細胞をCell Scrub Buffer (Gene Therapy Systems)で洗浄して表面会合された複合体及びPBSを除き、次いでトリプシン処理することによってウエルから引き離した。次いで、細胞をFITC-Oligo取込みについて準備しかつFACS分析によって分析した。結果を下記の表1に記載する。複合体をAd−PEG5000で改変すると、FITC-Oligo/ポリマー複合体の取込みを低減させる。
【0182】
【表1】
【実施例42】
【0183】
12/Ad−PEG3400−FITC組成物形成及び培養した細胞への送達
【0184】
BHK−21細胞を6−ウエルプレート中で細胞200,000/ウエルで平板培養し、37℃で24時間の間インキュベートした。oligo(dH2O中0.1mg/mL)3μgを等容量の12(dH2O中2mg/mL)と電荷比5+/−で複合化した。5分の複合化時間の後に、PEG−FITC又はAd−PEG−FITC(dH2O中10μg/mL)1.μLを複合体に加えた。媒体を細胞から除き、細胞をPBSで洗浄した。トランスフェクトするために、Optimem940μLを各々の治療組成物溶液に加え、溶液全体を細胞に移した。細胞をトランスフェクション混合物と4時間の間インキュベートした後に、媒体を除き、細胞をPBSで洗浄し、完全な媒体4mL中に加えた。細胞を37℃で更に24時間の間インキュベートした後に、媒体を除き、細胞をPBSで2度洗浄した。細胞をトリプシン処理することによって収集しかつFACS分析のために準備した。細胞を洗浄緩衝剤(DNase及びMgCl2を含有するHank's Balanced Salt Solution)で2度洗浄し、FACS緩衝剤(Hank's Balanced Salt Solution、牛血清アルブミン2.5mg/mL、プロピジウムヨージド10μg/mL)500μL中に再懸濁させた。FACS分析は、FACS Caliburフローサイトメーター(Becton Dickinson, カリフォルニア、サンホセ)及びCellQuestソフトウエアを使用して行った。図11は結果を示す。
【0185】
Ad−PEG3400−FITCにより包接複合体を形成すると、フルオレセイン取込みをAd−PEG3400−FITCでインキュベートした12にまさって増大した(43%対14%、図11)。媒体中の遊離のAd−PEG3400−FITCは、細胞中にピノサイトチック又はエンドサイトチック通路の一部として取り入れられ得る。しかし、Ad−PEG3400−FITCは、また、12に複合化される時に、細胞に入ることができる。12粒状複合体の低い比(10%)におけるAd−PEG3400−FITC改変は、インターナリゼーションを抑制しそうもない。むしろ、12粒状複合体は、容易に細胞表面に結合し、それらが内在化されると、Ad−PEG3400−FITCを細胞に共送達する。12粒状複合体補助(assisted)送達は、12/Ad−PEG3400−FITCトランスフェクトされる細胞において観測される一層高いフルオレセイン蛍光を生じる。この方法は、また、小分子治療剤を関心のある遺伝子と共に共送達するために適応させることもできる。
【実施例43】
【0186】
HU47細胞のトランスフェクション
【0187】
ルシフェラーゼトランスフェクション。HUH−7細胞を24−ウエルプレート中で細胞50,000/ウエルで平板培養し、37℃で24時間の間インキュベートした。pGL3-CVプラスミド(dH2O中0.1mg/mL)3μgを等容量の12又は21(図13を参照)と種々の電荷比で複合化した。媒体を細胞から除いた後にトランスフェクトし、細胞をPBSで洗浄した。Optimem600μLを各々の治療組成物溶液に加えてトランスフェクション溶液を形成し、それの230μLを3ウエルの各々に4時間の間加えた。4時間した後に、完全な媒体800μLを各々のウエルに加えた。トランスフェクトして24時間した後に、媒体を変え、トランスフェクトして48時間した後に、細胞をCell Culture Lysis Buffer (Promega,ウイスコンシン、マディソン)50μL中に溶解した。Promegaのルシフェラーゼアセイ試薬を用いてルシフェラーゼ活性を分析した。結果を図13に示す。
【実施例44】
【0188】
アダマンタン−誘導体化PEI(Ad−PEI)の合成
【0189】
ポリエチレンイミン(PEI)及びアダマンタンカルボン酸を乾燥したCH2Cl2中で混合しかつ冷却して0℃にする。DCC(1当量)、1−ヒドロキシベンゾイルトリアゾール(1当量)、及びトリエチルアミン(1当量)を混合物に加える。溶液をゆっくり温めて室温にし、16時間の間攪拌した。沈殿をろ過によって除き、次いで、溶媒を真空によって除く。残留する黄色がかった固体に水を加える。不溶性の固体を遠心分離によって除く。水溶液を透析バッグに注意深く移し、水に対して24時間の間透析する。凍結乾燥させた後に生成したPEI−CDが得られる。
【実施例45】
【0190】
シクロデキストリン−PEG(CD−PEG)の合成
【0191】
PEG−スクシンイミジルプロピオ酸(SPA)(Shearwater Polymers)及びシクロデキストリン−モノアミン(1.2当量)をDMSO中に溶解して室温で24時間の間攪拌する。シクロデキストリン−PEG生成物を透析によって精製する。
【実施例46】
【0192】
Ad−PEI/DNA粒状複合体の配合及び続くCD−PEGによる変性
【0193】
プラスミドDNA(dH2O中0.1μg/μL)1μgを実施例42のAd−PEIと電荷比5+/−で混合する。次いで、実施例46のCD−PEG(dH2O中に溶解した)を複合体に所望のCD:Ad比で加える。
【実施例47】
【0194】
ペグ化による安定化:高い濃度における配合
【0195】
プラスミドDNA4μgを等容量のポリマー混合物(シクロデキストリンポリマー12を電荷比2.5+/−で及びいくつかの場合では、アダマンタン−PEG5000又はPEG5000を1CD:1PEGで含有する)と0.1mg/mL〜4mg/mLの範囲の種々の最終DNA濃度で混合した(図14を参照)。溶液の半分を水1.2mLで希釈し、直径を動的光散乱法によって求めた。溶液の他の半分をQiagen Qiaquickカラムを通過させて溶液中に残留するDNAを抽出した。DNA濃度をλ=260におけるUV吸光度によって求めた。
【0196】
結果(図15及び16):アダマンタン−PEG5000で改変した小さくかつ均一な粒状複合体(直径<100nm)をDNA4mg/mLまで及びDNA4mg/mLを含む濃度で沈殿しないで配合することができる。未改変のポリプレックスは、0.2mg/mLよりも大きい濃度で大きな粒子(>300nm)を形成し、すべての配合濃度で広範な沈殿が観測される(>50%DNA損失)。
【実施例48】
【0197】
ポリプレックス表面改変による非特異的取込みの抑制
【0198】
BHK−21細胞を6−ウエルプレート中で平板培養した。細胞を、等容量の12により複合化したFITC-Oligo(トランスフェクション混合物の最終濃度:DNA0.05mg/mL)3μgで12/DNA電荷比2.5+/−でトランスフェクトした。次いで、粒状複合体を下記のリンカーで改変した:
アニオン性リンカー: WEAALAEALAEALAEAC
Ad-アニオン性リンカー: Ad-WEAALAEALAEALAEAC
Ad-PEG Ad-PEG5000
Ad-アニオン性リンカー-PEG Ad-WEAALAEALAEALAEAC-PEG5000
【0199】
Optimem1mLをトランスフェクション混合物に加え、全溶液を予備洗浄したBHK−21細胞(PBSですすいだ)に15分間移した。次いで、媒体を除き、細胞をCellScrubで洗浄し、トリプシン処理しかつFACS分析のために準備した。
【0200】
結果:包接ゲスト(アダマンタン)、スペーサー(アニオン性リンカー)、及び官能基(PEG5000)は、12/DNA粒状複合体を改変しかつ培養した細胞中への非特異的取込みを抑制する働きをする。図17を参照。最適な抑制は、3つすべての成分の組合せによって達成される。
【実施例49】
【0201】
肝癌細胞中へのガラクトース媒介される取込み
【0202】
HepG2細胞を24−ウエルプレート中で細胞50,000/ウエルで平板培養した。pCMV-Luc1μgを等容量の12と接触させ、下記に示す通りにして改変した。PEG含有複合化剤による改変をCD:PEG比2:1で実施し、ここで、CDは、12におけるシクロデキストリンを表わす。
【0203】
12/pCMV-Luc複合体 改変無し
Glu-PEG-Pep-Ad グルコース-PEG3400-CAEAEAEAE-Ad, 2 CD: 1 PEG
Gal-PEG-Pep-Ad ガラクトース-PEG3400-CAEAEAEAE-Ad, 2 CD: 1 PEG
PEG-Pep-Ad PEG5000-CAEAEAEAE-Ad, 2 CD: 1 PEG
【0204】
Optimem200μLを各々のトランスフェクション混合物に加え、各々のウエルの細胞に移した。トランスフェクトして4時間した後に、完全な媒体800μLを各々のウエルに加えた。媒体を除き、細胞をPBSで洗浄し、トランスフェクトして24時間した後に、完全な媒体1mLを各々のウエルに加えた。トランスフェクトして48時間した後に、細胞をPBSで洗浄し、溶解し、ルシフェラーゼ活性について分析した。記載したトランスフェクション手順をまた競合抑制剤としての1mMグルコース又は1mMガラクトースの存在において実施した。
【0205】
結果:Glu−PEG−Pep−Ad又はPEG−Pep−Adで改変した粒状複合体は、負のゼータ電位を有し、従って容易に細胞をトランスフェクトしない。しかし、Gal−PEG−Pep−Adで改変したポリプレックスは、遊離のガラクトースの存在において抑制される高いトランスフェクションを示し、これより肝癌細胞中へのガラクトース媒介されるトランスフェクションを立証する。図18を参照。
【実施例50】
【0206】
ジアダマンタン化合物の合成
【0207】
参考文献:Breslow等、JACS (1996) 118巻 8495-8496頁.
Zhang等、JACS (1993) 115巻 9353-9354頁
無水ピリジン(5mL)を、小さい磁気攪拌棒を収容する反応装置に入れ、氷浴中で冷却した。メチルジクロロホスフェート(1.0mL)を滴下して加えた。混合物を更に15分間冷たいままに保ち、その間にN−メチルピリジニウムジクロロホスフェートが形成した。アダマンタンエタノールをピリジン5mLに溶解して反応装置に加え、反応混合物を凍結させた後に反応装置をシールした。生成した混合物を一晩室温で攪拌した。次いで、シールした反応装置を開放し、生成した混合物を10%炭酸水素ナトリウム(50mL)中に注いだ。次いで、生成した溶液を真空で蒸発させた。残留する固体に水800mLを加え、生成物をエーテル150mLで抽出した。水性相を2N HClで酸性にしてpH=1.4にし、次いで3×150mLのCHCl3:nBuOH(7:3)で抽出した。有機層を水で洗浄し、混合した溶媒を真空で蒸発させて固体相を形成した。この固体をアセトン/ヘキサンで再結晶させ、白色固体を収率27%でもたらした。電気泳動質量分光分析は、純粋の所望の生成物を示した。
【実施例51】
【0208】
ジアダマンタン−PEG5000の合成
【化33】
ジクロロメタンをCaH2上で還流において一晩乾燥させ、次いで新たに蒸留た後にそれを反応において使用した。新たに蒸留したジクロロメタン(0.2mL)中のPEG−エポキシド(MW5000)の攪拌された溶液に、ジクロロメタン0.4mL中のビス(2−(1−アダマンチル)エチルホスフェート(例51に記載するジアダマンタン化合物)の溶液をゆっくり加えた。生成した溶液を35℃で4日間攪拌した。溶媒を真空で乾燥するまで除いた。形成された固体に水6mLを加え、沈殿を発生した。生成した混合物を室温で半時間の間攪拌し、次いで遠心分離して固体(未反応のジアダマンタン化合物)を除いた。上澄みを、水中で3500 MWCO膜に対して一晩透析し、凍結乾燥乾固させて白色固体を収率99%でもたらした。MaldiTof分析は、所望の生成物を示した。
【実施例52】
【0209】
Ad−PEG3400とジアダマンタン−PEG5000との間の競合置換実験
【0210】
競合吸着実験を、ジAd−PEG5000の溶液を、AdPEG3400と、ポリマーと、DNAとの予備成形した組成物に加えることによって行った。次いで、塩溶液を加え、粒子サイズを時間の関数として測定した。
【0211】
初めを、12溶液(水16.6μL+5mg/mLの12 2.61μL+12.5mg/mLのAdPEG34002.37μL)を加えることによって形成した。この組成物溶液の特性は、下記の通りである:
[DNA] = 0.05 mg/mL
AdPEG3400: CDのモル比 = 1 : 1
電荷比=3+/−
合計の配合容積 = 40 uL
【0212】
この組成物を10分インキュベートさせた後に、ジ−AdPEG5K溶液(10mg/mL)を加えた。この溶液の容積を、ジAdPEG5000とAdPEG3400とのモル比が1:1、1:2、1:4、又は1:6になるように決めた。例えば、比が1:2であった時は、ジAdPEG5000溶液2.38μLを加えた。
【0213】
更に10分インキュベートした後に、水1.2mLを加えて希釈し、それでDLS計測器によって読むことができるようにした。粒子サイズを10分間測定し、次いで600μLの1×PBSを組成物溶液に中に急速に混入した。次いで、粒子サイズを次の30分間1分毎に観測した。
【0214】
比較のために、他の2つの組成物溶液を配合した。1つの場合では、ジAdPEG5000を加えなかった。他の場合では、AdPEG3400を加えなかった。これらの条件下で、AdPEG3400を使用することによって、粒状複合体サイズは安定化されないことを見ることができる。塩は、平均粒子直径を30分の過程にわたり70nmから350nmに増大させる。しかし、ジAdPEG5000単独では塩への安定化を示さない。塩溶液を加えた後に、粒子サイズは一定のままである。これは、ジAdPEG5KがジAdPEG3400の量の1/6で存在する時でさえ、変わらない。結果を図19に示す。
【実施例53】
【0215】
pH感応性アダマンタン−PEG改変剤
【化34】
包接化合物ゲスト及びホストの間の会合定数は、ゲスト又はホストのいずれかを荷電する時に減少する。例えば、アダマンタンカルボン酸のプロトン化された形態(中性の形態)は、会合定数〜500,000を有するのに対し、アダマンタンカルボン酸のプロトン化されない(アニオン性)形態は、会合定数〜30,000を有する。これは、包接化合物を含有する物質にpH感応性挙動を組み込むのに使用することができる。例えば、を、アダマンタンに近い第二級を含有するアミンアダマンタン−PEG(Ad−PEG)で改変することができる。Ad−PEG化合物は、細胞エンドソーム内部で経験されるであろう通りに、について生理的pHで高い親和性を有するであろうが、酸性pHで一層容易に放出されるであろう。エンドソームにおける助成されたアンパッケージングは、ポリプレックスの細胞インターナリゼーションを有するDNA送達を助成するであろう。
【実施例54】
【0216】
pH感応性、加水分解性アダマンタン−PEG改変剤の合成
【0217】
PEG5k−NH2(132mg、0.0264mモル)を水に溶解し、冷却して0℃にした。混合物に、NaOH溶液(5N、0.053mL、0.264mモル、10当量)及び1−アダマンチルフルオロホルメート(52mg、0.264mモル、10当量)THF溶液(3mL)を加えた。混合物をそのような温度で5分間攪拌し、次いで温めて室温にし、2時間の間攪拌した。THFを真空下で除いた。不溶性固体を遠心分離によって除いた。残留する水溶液をSpectra/Por 7 MWCO 3,500膜に移し、水に対して1日間透析した。凍結乾燥させた後に、生成したアダマンタン−カルバメート−PEG5K(80mg)が得られた。この化合物の構造を1H NMR, HPLC及びMALDI TOF MSによって確認した。
加水分解性アダマンタン−シッフ塩基−PEGの合成
【0218】
PEG5K−ALD及び1−アダマンタンメチルアミン(1当量)をメタノール中に混入する。ギ酸数滴を、シッフ塩基を形成するための触媒として混合物に加える。混合物を60℃で12時間の間攪拌し、次いで溶媒を真空下で除く。混合物を水中で透析して所望のアダマンタン−シッフ塩基−PEG5kを生じる。
【実施例55】
【0219】
アダマンタン−PEG−トランスフェリン(Ad−PEG−Tf)の合成、図20
【0220】
1.炭水化物基を経たトランスフェリンカップリング
工程1:Ad−PEG−NH−NH2の合成
FMOC−NH−PEG5000−NHS(Shearwater Polymers、0.2mモル、1g)を攪拌棒を装備した丸底フラスコに加えた。これに、t−ブチルカルバゼート(Aldrich、1.5mモル、0.2112g)をジクロロメタン/エチルアセテート(1:1)7mLに溶解して加えた。生成した溶液を一晩室温で攪拌した。翌日に、溶媒を真空で除いた。生成した固体をジメチルホルムアミド中20%ピペリジン10mL中に5時間の間溶解することによってFMOC基を除いた。溶媒を真空で除き、残分を水に再溶解した。生成した溶液を遠心分離して未溶解のFMOCを除き、次いで、Pierce's Slide-A-Lyzer, 3500 MWCOにおいて一晩透析した。次いで、溶液を凍結乾燥させてH2N−PEG5000−NH−NH−CO−OtBu790mgをもたらした。
【0221】
次いで、N−ヒドロキシスクシンイミド(Aldrich、0.24mモル、27.3mg)及びアダマンタンカルボン酸(Aldrich、0.39mモル、71.2mg)を、ジクロロメタン7mL中に溶解したH2N−PEG5000−NH−NH−CO−OtBu(2)(0.16mモル、790mg)に加えた。この生成した溶液に、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(Aldrich、1.6mモル、0.326g)をジクロロメタン3mLに溶解して加えた。生成した溶液を一晩室温で攪拌した。翌日に、形成された固体を微細なガラスフリット上でろ過し、ろ液を回転蒸発器で真空下で濃縮した。残分を水10mLに溶解し、遠心分離して未反応のアダマンタンカルボン酸を除いた。溶媒を真空で除き、t−ブトキシカルボニル基を脱保護するために残分を4M HCl6mL中に再溶解した。生成した溶液を室温で4時間の間攪拌した。溶媒を真空で除き、残分を水に再溶解した。生成した溶液をPierce's Slide-A-Lyzer, 3500 MWCOにおいて一晩透析し、凍結乾燥させてAd−PEG5000−NH−NH2635mgをもたらした。
【0222】
工程2:トランスフェリン−PEG−Ad共役合成
30mMナトリウムアセテート緩衝剤(pH5)1mL中Human Transferrin(鉄が少ない)(Sigama−Aldrich)100mg(1.28μモル)の溶液にSephadex G-25 (Supelco)カラム上のゲルろ過を施した。生成したTransferrinを含有する溶液(280nmにおけるUV吸収をモニターする)4mLを冷却して0℃にし、過ヨウ素酸ナトリウム4mg(19μモル)を含有する30mMナトリウムアセテート緩衝剤(pH5)80μLを加えた。混合物を氷浴中かつ暗がりに2時間の間保った。低分子生成物を除くために、更なるゲルろ過(Sephadex G-25,30mMナトリウムアセテート緩衝剤(pH5)) を行った。これは、酸化されたTransferrin約85mg(1.09μモル)を含有する溶液を生じた。改変されたTransferrin溶液を、迅速に100mMナトリウムアセテート緩衝剤(pH5)1mL中Ad−PEG5000−NH−NH254.5mg(10.9μモル)を含有する溶液に加えた。生成した溶液を一晩室温で攪拌した。次いで、1M 炭酸水素ナトリウムを加えることによってpHを7.5にもたらし、ナトリウムシアノボロヒドリド9.5mg(150μモル)の4分割分を各々1時間の間隔で加えた。18時間した後に、ペグ化されたTransferrinを、Centricon YM-50,000 NMWI装置(Millipore)を使用して精製しかつ濃縮した。トランスフェリン、酸化緩衝剤(ナトリウムアセテートpH5)中のトランスフェリン及び新たに酸化したトランスフェリンについての鉄ローディング効率を求め、図21に示す。トランスフェリンを酸化すると、タンパク質の鉄ローディング効率を低下させる。
【0223】
工程3:トランスフェリン酸化によって合成したTransferrin−PEG−Adの鉄ローディング
アポ−トランスフェリンベースの化合物(アポ−トランスフェリン又はアポ−トランスフェリン−PEG−Ad)40mgをdH2O700μL中に溶解した。この溶液に、5mMクエン酸鉄200μL及び84mg/mLのNaHCO3100μLを加えた。この溶液を2〜3時間の間静置させ、次いでPBSに対して一晩透析した。鉄ローディング効率を、465nmにおける吸光度の比(酸化された鉄から)対280nmにおける吸光度の比(タンパク質中のトリプトファン残分から)を求めかつ市販されているホロ−トランスフェリンのA465/A280比に標準化することによって計算した。
【0224】
工程4:トランスフェリン−PEG−Ad(トランスフェリン酸化によって合成した)のPC3細胞上のトランスフェリンレセプターへの結合親和力
PC3細胞を種々の量の未標識のトランスフェリン及びトランスフェリン−PEG−Adを有する250nMフルオレセイン−トランスフェリン(FITC−TF)と共にインキュベートした。FITC−hTF細胞会合をFACS分析によって評価した。未標識のトランスフェリンは、FITC−hTFと極めて効率的に競合するのに対し、トランスフェリン−PEG−Adは、最もおそらくレセプターについての結合親和力の低減により、FITC−hTFとの競合が極めて不良である。結果を図22に示す。
【実施例56】
【0225】
リシン基を経たトランスフェリンカップリング、図23
【0226】
工程1:VS−PEG3400−Adの合成
ビニルスルホン−PEG3400−NHS(Shearwater Polymers、0.147mモル、0.5g)を攪拌棒を装備した丸底フラスコに加え、DMSO5mL中に溶解した。これに、アダマンタンメチルアミン(Aldrich、0.147mモル、0.0243g)を加えた。生成した溶液を室温で1時間攪拌した。溶媒を真空で除き、残分を水に再溶解した。生成した混合物を1000 MWCO膜(Spectra Por)に対して一晩透析した。次いで、溶液を凍結乾燥させてビニルスルホン−PEG3400−Ad0.49gをもたらした。
【0227】
工程2:トランスフェリン−PEG−Ad(Tf−PEG−Ad)共役合成
0.1Mナトリウムテトラボレート緩衝剤(pH9.4)10mL中Human Transferrin(鉄が少ない)(Sigama−Aldrich)250mg(3.21μモル)の溶液をビニルスルホン−PEG3400−Ad109mg(32.1μモル)に加えた。生成した溶液を室温で2時間の間攪拌した。ペグ化されたTransferrinを、未反応のビニルスルホン−PEG3400−AdからCentricon YM-50,000 NMWI装置(Millipore)を使用しかつ未反応のTransferrinからHydrophobic Interaction Column Butyl-650S (Tosoh Biosep) を使用して精製した(HPLC及びMALI-TOF分析によって確認した)。
【0228】
工程3:リシン基を経るカップリングによって合成したTransferrin−PEG−Adの鉄ローディング
アポ−トランスフェリン及びTf−PEG−Adを例55に記載した手順に従って鉄添加した。鉄ローディングの程度を記載した通りにして定量化した。リシン基を経るカップリングによって合成したTf−PEG−Adの鉄ローディング効率は、100%近かった。
【実施例57】
【0229】
Transferrin−PEG−Ad(リシン基を経るカップリングによって合成した)のPC3細胞上のトランスフェリンレセプターへの結合親和力
【0230】
PC3細胞を6−ウエルプレート中で細胞125,000/mlで平板培養した。24時間した後に、細胞を、種々の濃度のhTF、hTF−PEG−Ad(hTFを酸化することによって合成した)、hTF−PEG−Ad(VS−リシン反応によって合成しかつ精製した)及びhTF−(PEG−Ad)2(VS−リシン反応によって合成しかつ精製した)を混合した250nM FITC−Tfに暴露した。20分暴露した後の取込みをFACSによって求めた。リシン基カップリングによって合成したTf−PEG−Ad化合物は、トランスフェリン酸化によって合成したTf−PEG−ADと異なり、PC3細胞表面上のレセプターについてFITC−Tfと有効に競合する。結果を図24に示す。
【実施例58】
【0231】
Tf改変されたポリプレックスのゼータ電位
【0232】
12の等容量アリコートをプラスミドDNAのアリコート(DNA2μg、水中0.1mg/mL)に電荷比3+/−で加えて粒状複合体を形成した。次いで、ホロ−トランスフェリン又はholo−Tf−PEG−Ad(水中17mg/mL)を粒状複合体に加えた。粒子を、水1.2mLを加えることによって希釈し、ゼータ電位を、ZetaPals動的光散乱検出器(Brookhaven Instruments)で測定することによって求めた。結果を図25に示す。未改変のホロ−トランスフェリンは、粒状複合体と静電相互作用によって会合する。Tf2nモル/DNA1μgを加える時に、粒状複合体は中性に近づく。ホロ−Transferrin−PEG−Ad(図25においてTf−PEG−Adと表示する)は、粒状複合体に静電相互作用及び包接化合物相互作用の両方によって会合しそうである。従って、holo−Tf−PEG−Adの濃度が高くなるにつれて改変された粒子のゼータ電位が連続して減少することによって立証される通りに、holo−Tf−PEG−Adと粒子との会合が大きくなる。holo−Tf−PEG−Adで改変された粒状複合体は、Tf2nモル/1μgにおいて、負に荷電される(ゼータ電位〜7mV)。
【実施例59】
【0233】
Ad−Phos−PEG5000−ガラクトースの合成
【化35】
下記の化合物番号は、上記のスキームを参照する。
I.アダマンタンホスホン酸の合成。2.ジベンジルホスフィット(0.712g、2.71mモル)を乾燥CCl4中のアルゴン保護された1−アダマンタンメチルアミン(0.493g、2.98mモル)中に注射した。ジベンジルホスフィットを加えたほとんど直後に、白色沈殿が観察された。溶液を12時間の間攪拌した。混合物に、CH2Cl2(30mL)を加えた。有機相を希酸性水(pH4)で2度(2×mL)洗浄した。次いで、有機相をMgSO4で乾燥させた。溶媒を真空下で蒸発させた。生成した白色固体を、CH2Cl2とヘキサンとの溶媒混合物を用いて結晶させた。針結晶(0.69g)1が収率60%で得られた。結晶に、エタノール(40mL)中で10%Pd/C(200mg)を使用し圧力15psiの水素による水素化を16時間の間施した。結晶をろ過することによって除いた。ろ液溶媒を真空にすることによって除いた。2が定量的な収率で得られた。生成した化合物2を更に精製しないで用いた。
【0234】
II.NH2−PEG5000−ガラクトース4の合成。FMOC−NH−PEG5000−NHS(Shearwater、760mg、0.152mモル)をDMSO(3.7mL)中に溶解した。この溶液に、DMSO(14mL)中のガラクトサミン(385mg、1.52mモル)及びジイソプロピルアミン(0.264mL、1.52mモル)の溶液を加えた。溶液を20分間攪拌し、次いで3500 MWCO膜(Spectra/Por 7, Spectrum Lab, Inc.) を使用して水(4×4L)中で24時間の間透析した。次いで、溶液を凍結乾燥させてFMOC−NH−PEG5000−ガラクトース3 745mgをもたらした。3を、ピペリジン(3mL)を含有するDMF(12mL)中に溶解した。溶液を16時間の間攪拌した。次いで、DMFを高い真空下で除いた。生成した固体に、水40mLを加えた。白色固体を遠心分離することによって除いた。水溶液を、3500 MWCO膜(Spectra/Por 7, Spectrum Lab, Inc.) を使用して水(4×4L)中で24時間の間透析した。溶液を凍結乾燥させてNH2−PEG5000−ガラクトース4 625mgをもたらした。
【0235】
III.アダマンタン−Phos−PEG5000−ガラクトース5の合成。4(63mg、0.013mモル)をイミダゾール緩衝溶液(1mL、0.1N、pH=6.5)中に溶解する。この溶液に、CH3CN(4mL)中の2の溶液を加えた後に、次いで、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(EDC、100mg、40当量)を加える。溶液を室温で16時間の間攪拌する。溶液を、3500 MWCO膜(Spectra/Por 7, Spectrum Lab, Inc.) を使用して水(4×4L)中で透析し、次いで凍結乾燥させて5を生じる。
【実施例60】
【0236】
Ad−Glu−Glu−PEG5000−ガラクトースの合成
【化36】
下記の化合物番号は、上記のスキームを参照する。
I.H−Glu−Glu−アダマンタン7の合成。H−Glu(Bn)−OH(3.55g、15mモル)を、炭酸水素ナトリウム(1.26g、15mモル)を含有する水(16mL)中に溶解した。混合物に、THF(30mL)中のZ−Glu(Bn)−OSu(4.68g、10mモル)を加えた。混合物に、別のTHF30mL、CH3CN20mL、次いで2N NaOH10mLを加えた。溶液を室温で16時間の間攪拌した。THF及びCH3CNを高い真空下で蒸発させた。水性混合物に、1N HClを加えてpHを3に調整した。沈殿が観察された。混合物をクロロホルム(3×30mL)で抽出した。有機相をMgSO4で乾燥させた。MgSO4をろ過することによって除いた。有機溶媒を蒸発させて白色粘着性固体6をもたらした。6を次の工程反応用に精製しないで用いた。
【0237】
6(3.51mg、6.1mモル)を乾燥THF(40mL)中に溶解した。この溶液に、1−アダマンタンメチルアミン(1.007g、6.1mモル)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.93g、6.1mモル)、DCC(1.32g、6.4mモル)及びジイソプロピルエチルアミン(1.06mL、6.1mモル)をアルゴン下0℃で加えた。次いで、混合物を温めて室温にし、一晩の間攪拌した。沈殿をろ過した。次いで、THFを真空下で除いて黄色固体を生じた。黄色固体をメタノール中で結晶させて皿結晶6(2.1g、49%)をもたらした。次いで、6をメタノール40mL中に溶解し、水素化装置内で10%Pd/C200mgの存在において25〜30psiの水素下で振盪した。触媒を24時間の間ろ別した。メタノールを真空下で除いた後に、H−Glu−Glu−Ad7が定量的な収率で得られた。7を更に精製しないで用いた。
【0238】
II.Ad−Glu−Glu−PEG5000−ガラクトース9の合成。ビニルスルホン(VS)−PEG5000−NHS(Shearwater、423mg、0.085mモル)及びガラクトサミン(216mg、0.85mモル)をPBS溶液(2.25mL、1×、pH7.2)に加えた。溶液を1時間の間攪拌し、次いで3500 MWCO膜(Spectra/Por 7, Spectrum Lab, Inc.) を使用して水(4×4L)中で24時間の間透析した。次いで、溶液を凍結乾燥させた。生成物8を、MALDI−TOF及びHPLCを使用して分析した。8をホウ砂緩衝剤溶液(6mL、0.1N、pH9.4)中に溶解した。化合物7(121mg)をDMSO溶液(2mL)中に溶解し、次いでポリマー溶液に加えた。混合物を35℃で16時間の間攪拌し、次いで50℃で7時間の間攪拌した。HPLCを使用してこの反応をモニターした。ポリマーを、3500 MWCO膜を使用して透析しかつ凍結乾燥させてAd−Glu−Glu−PEG5000−ガラクトース9 419mgを収率90%でもたらした。
【実施例61】
【0239】
Ad−Glu−Glu−PEG5000の合成
【化37】
Ad−Glu−Glu−mPEG500010の合成。mPEG5000−SPA(Shearwater、300mg、0.06mモル)及び7、実施例60をDMSO(2mL)及びCH3CN(1mL)中に溶解した。混合物を室温で24時間の間攪拌した。次いで、溶液を、3500 MWCO膜(Spectra/Por 7, Spectrum Lab, Inc.) を使用して水(4×4L)中で24時間の間透析した。次いで、溶液を凍結乾燥させてAd−Glu−Glu−mPEG500010 276mgをもたらした。10をMALDI-TOF MS, HPLC及び1H NMRによって確認した。
【実施例62】
【0240】
トランスフェリン及びPEG−改変されたポリプレックスの配合
【0241】
Tf−PEG−AD(又はTf−(PEG−AD)2)及びPEG−AD(又はPEG−Glu−Glu−AD)で改変したポリプレックス(ポリマー対DNA電荷比3+/−)を下記の通りにして配合することができる。すべての成分を等容量で使用する。水中のTf−PEG−AD(又はTf−(PEG−AD)2)を水中の12の溶液に加える。この混合した溶液にPEG−AD(又はPEG−Glu−Glu−AD)のアリコートを加える。次いで、ポリマーの三成分混合物をDNA溶液に加える。溶液をピペットで取るによって穏やかに混合し、粒子サイズ、ゼータ電位、及び塩安定性を先に記載した通りにして求める。粒子のゼータ電位を、Tf−PEG−AD(又はTf−(PEG−AD)2)対PEG−AD(又はPEG−Glu−Glu−AD)の相対比を変えることによって調和させることができる。ゼータ電位変動及び粒子サイズの粒子改変の関数としてのいくつかの例を図26、27、及び28に示す。
【実施例63】
【0242】
アダマンタン−アニオン性ペプチド−PEG3400−ガラクトース/グルコース(Ad−pep−PEG−gal/glu)。自動合成装置を使用してBiopolymer Synthesis Facility (Beckman Institute, California Institute of Technology)によって、アニオン性ペプチド(配列:E-A-E-A-E-A-E-A-C)を合成した。ペプチドを樹脂から開裂する前に、アダマンタンカルボン酸(ACA,Aldrich)をDDCカップリングケミストリーによってペプチドのN−末端に接合させた。生成したペプチド(ACA-E-A-E-A-E-A-E-A-C,分子量1084)を樹脂から開裂し、MALDI-TOFによって分析した。
【0243】
NHS−PEG3400−VS(Shearwater Polymers)をグルコサミン又はガラクトサミン(Sigma)20当量とpH7.2のホスフェート緩衝サリーン中で室温で2時間の間反応させることによって、ガラクトース−及びグルコース−PEG3400−ビニルスルホン(gal/glu−PEG3400−VS)を調製した。溶液を水に対して広範囲に透析し、次いで凍結乾燥させた。アニオン性ペプチドのチオール(2当量)を、10mM TCEPを含有する50mM硼酸ナトリウム緩衝剤(pH9.5)中でガラクトース−PEG3400−VS又はグルコース−PEG3400−VSと反応させた。溶液を酸性にし、沈殿されたペプチド(pH9.0よりも下で不溶性)を遠心分離によって除いた。上澄みを捕集し、広範囲に透析し、かつ凍結乾燥させた。所望の生成物をMALDI-TOF分析によって確認した(略図を下記に示す)。
【化38】
【実施例64】
【0244】
ナフタレン−PEG5000の合成
【化39】
PEG5000−NHS500mg(0.1mモル、Shearwater Polymers)を攪拌棒を装備したガラスバイアルに加える。これに、1−ナフタレンメチルアミン146μL(1mモル、10当量、Aldrich)をジクロロメタン8mLに溶解して加え、溶液を16時間の間攪拌する。次いで、溶媒を真空下で除く。混合物に水20mLを加える。不溶性残分を遠心分離によって除く。水溶液を、Spectra/Por 3500 MWCO透析膜において24時間の間透析する。次いで、溶液を凍結乾燥させてナフタレン−PEG5000の白色の毛羽の固体をもたらす。生成物を、1H NMR, MALDI TOF MS,及び逆相HPLCを使用して分析する。ナフタレン−PEG3400を、同じプロトコルを用いて合成する(収率56%;生成物をMALDI-TOF分析によって確認する)。
【実施例65】
【0245】
ナフタレン−PEG5000−ガラクトースの合成
【化40】
ビニルスルホン(VS)−PEG5000−NHS(Shearwater Polymers、423mg、0.085mモル)及びガラクトサミン(216mg、0.85mモル)をPBS溶液(2.25mL、1×、pH7.2)に加えた。溶液を1時間の間攪拌し、次いで3500 MWCO膜(Spectra/Por 7, Spectrum Lab, Inc.) を使用して水(4×4L)中で24時間の間透析した。次いで、溶液を凍結乾燥させてビニルスルホン−PEG5000−ガラクトースを生じた。生成物を、MALDI−TOF及びHPLCを使用して分析した。ビニルスルホン−PEG5000−ガラクトース300mg(0.06mモル)をホウ砂緩衝剤溶液(3mL、0.1N、pH9.4)中に溶解する。1−ナフタレンメチルアミン(8.8μL、0.06mモル)をDMSO溶液(3mL)中に溶解し、次いでポリマー溶液に加える。混合物を55℃で36時間の間攪拌する。ポリマーを、3500 MWCO膜を使用して透析しかつ凍結乾燥させてナフタレン−PEG5000−ガラクトースをもたらす。
【0246】
上記の検討及び例は、単に所定の好適な実施態様の詳細な記述を提示するにすぎないと理解されるべきである。当業者にとり、種々の変更及び均等物を発明の精神及び範囲から逸脱しないでなすことができることは明らかであると思う。上に検討又は引用した特許、ジャーナル論文及びその他の文献をそれらのそっくりそのままの状態で本明細書中に援用する。
【技術分野】
【0001】
発明は、治療剤を送出するのに用いる組成物及び方法に関する。一層特に、発明は、ポリマー、治療剤、及び錯生成剤を含有し、ポリマーは錯生成剤とホスト−ゲスト又はゲスト−ホスト相互作用で相互作用して包接複合体を形成する組成物に関する。発明の組成物は、種々の疾患の治療において治療剤を送出するのに用いることができる。
【背景技術】
【0002】
シクロデキストリンは、天然のD(+)−グルコピラノース単位をα−(1,4)結合で含有する環状多糖である。最も一般的なシクロデキストリンは、アルファ(α)−シクロデキストリン、ベータ(β)−シクロデキストリン及びガンマ(γ)−シクロデキストリンであり、これらはそれぞれ6個、7個又は8個のグルコピラノース単位を含有する。構造上、シクロデキストリンの環状性質は、内部無極の又は疎水性空洞を有するトーラス又はドーナツ様形状を形成し、第二級ヒドロキシル基がシクロデキストリントーラスの一方の側に位置されかつ第一級ヒドロキシル基がシクロデキストリントーラスの他方の側に位置される。これより、(β)−シクロデキストリンを例として用いて、シクロデキストリンは、しばしば下記の通りに概略的に表される:
【化1】
第二級ヒドロキシル基が配置される側は、第一級ヒドロキシル基が配置される側に比べて一層広い直径を有する。シクロデキストリン内部空洞の疎水性は、種々の化合物を包接するのを可能にする。(Comprehensive Supramolecular Chemistry、3巻、J.L.Atwood等編、Pergamon Press(1996);T.Cserhati,Analytical Biochemistry,225:328−332(1995);Husain編、Applied Spectroscopy,46:652−658(1992);FR2,665,169)。
【0003】
シクロデキストリンは、シクロデキストリンの疎水性空洞に適合することができる種々の薬剤と包接複合体を形成することにより又はオリゴヌクレオチド及びそれらの誘導体のようなその他の生物学的に活性な分子と非共有性会合複合体を形成することによって種々の治療化合物の送達ビヒクルとして使用されてきた。例えば、米国特許第4,727,064号は、相当に小さい水溶性を有する薬剤及び非晶質の水溶性シクロデキストリンベースの混合物からなる医薬品について記載している。薬剤は、混合物のシクロデキストリンと包接複合体を形成する。米国特許第5,691,316号には、オリゴヌクレオチドについてのシクロデキストリンセルラー送達システムが記載されている。そのようなシステムでは、オリゴヌクレオチドはシクロデキストリンと非共有に複合化され、さもなくばオリゴヌクレオチドは、アダマンタンに共有結合されることができ、これは、立ち代わってシクロデキストリンと非共有に会合される。
【0004】
種々のシクロデキストリン含有ポリマー及びそれらの調製方法もまた当分野で知られている。(Comprehensive Supramolecular Chemistry、3巻、J.L.Atwood等編、Pergamon Press(1996))。不動化されたシクロデキストリンを含有するポリマーを製造するプロセスが米国特許第5,608,015号に記載されている。そのプロセスに従えば、シクロデキストリン誘導体がα,β−不飽和酸又はその誘導体の酸ハライドモノマーか或は末端イソシアネート基又はその誘導体を有するα,β−不飽和酸又はその誘導体のいずれかと反応させられる。シクロデキストリン誘導体は、シクロデキストリンをカルボニルハライドや酸無水物のような化合物と反応させることによって得られる。生成するポリマーは、シクロデキストリン単位を線状ポリマー主鎖をはずれて側鎖として含有する。
【0005】
米国特許第5,276,088号は、ポリビニルアルコール又はセルロース又はそれらの誘導体をシクロデキストリン誘導体と反応させることによるか或はシクロデキストリン誘導体をビニルアセテート又はメチルメタクリレートと反応させることよるのいずれかによってシクロデキストリンポリマーを合成する方法について記載している。再び、生成するポリマーは、シクロデキストリン部分をポリマーの主鎖をはずれてペンダント部分として含有する。
【0006】
超分子構造を有する生分解性の薬効のあるポリマーアセンブリーがWO96/09073 A1及び米国特許第5,855,900号に記載されている。そのアセンブリーは、薬剤をα、β、又はγ−シクロデキストリンに結合させ、次いで薬剤/シクロデキストリン化合物をポリマーの両端に結合される生分解性部分を有する線状ポリマーに沿って配列することによって調製される薬剤保持環状化合物を多数含む。そのようなアセンブリーは、疾患で起きる特定の生分解に応答して薬剤を放出することができると報告されている。これらのアセンブリーは、一般に「ネックレス−タイプ」シクロデキストリンポリマーと呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】仏国特許第2,665,169号明細書
【特許文献2】米国特許第4,727,064号明細書
【特許文献3】米国特許第5,691,316号明細書
【特許文献4】米国特許第5,608,015号明細書
【特許文献5】米国特許第5,276,088号明細書
【特許文献6】WO96/09073 A1
【特許文献7】米国特許第5,855,900号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Comprehensive Supramolecular Chemistry、3巻、J.L.Atwood等編、Pergamon Press(1996)
【非特許文献2】T.Cserhati,Analytical Biochemistry,225:328−332(1995);Husain編、Applied Spectroscopy,46:652−658(1992)
【非特許文献3】Comprehensive Supramolecular Chemistry、3巻、J.L.Atwood等編、Pergamon Press(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、例えば、増大された安定性(例えば生理学的条件下で)及び有効なターゲティング能力のような性質を示す一層有効な非バイラル送達システムについての要求が当分野に存在する。本発明は、そのような要求に答えるものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明は、ポリマー、治療剤、及び錯生成剤を含有する組成物を提供する。ポリマーは錯生成剤とホスト−ゲスト及び/又はゲスト−ホスト相互作用で相互作用して包接複合体を形成する。発明の組成物は、種々の疾患の治療において治療剤を送出するのに用いることができる。ポリマー及び錯生成剤は、両方とも機能を組成物中に導入するのに用いることができる。
【0011】
発明は、ポリマー及び治療剤の粒状複合体並びにポリマー及び錯生成剤の包接複合体を含む組成物を提供する。粒状複合体のポリマーは、ホスト機能を有することができ、ゲスト錯生成剤と包接複合体を形成する。代わりに、粒状複合体の少なくとも一種のポリマーは、ゲスト機能を有し、ホスト錯生成剤と包接複合体を形成する。別の実施態様では、ポリマー又は錯生成剤は、包接複合体を形成するホスト機能及びゲスト機能の両方を有することができる。これは、複数の錯生成剤を包接複合体を形成させ、それにより治療組成物と会合されるようになるのを可能にする。これは、また、複数の機能を発明の治療組成物中に導入するのも可能にする。
【0012】
発明は、また、治療組成物を調製する方法にも関する。その方法は、治療剤、ホスト又はゲスト機能を有するポリマー、及びゲスト又はホスト機能を有する錯生成剤を組み合わせて治療組成物を形成する。錯生成剤は、ポリマーと包接複合体を形成する。
【0013】
発明は、また、治療剤を送出する方法にも関する。その方法に従えば、発明の組成物を治療剤を必要としているのが認められる哺乳動物(例えばヒト又は動物)に治療上有効な量で投与する。これより、発明は、適した治療剤を送出するのに発明の組成物を使用する病気の治療を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】種々のアダマンタン−PEG分子の構造
【図2】GALA及びGALA−Ad改変された組成物の流体力学的径、実施例30。
【図3】GALA及びGALA−Ad改変された組成物のゼータ電位、実施例32。
【図4】BHK−21細胞によるGALA−Ad及びGALA改変された組成物の取込み、実施例31。
【図5】HUH−7細胞によるGALA−Ad及びGALA改変されたポリプレックスポリプレックス組成物の取込み、実施例33。
【図6】GALA及びGALA−Adで改変されたβ−シクロデキストリン−DMSコポリマー12ベースの組成物によるBHK−21細胞のルシフェラーゼトランスフェクション、実施例34。
【図7】GALA及びGALA−Ad改変されたポリプレックスのBHK−21細胞への毒性、実施例35。
【図8】グラフトによるポスト−DNA−複合化ペグ化についての略図、実施例39。
【図9】ポスト−DNA−複合化する間のPEI及び12粒状複合体並びにポリプレックスポリプレックス組成物の粒子サイズ、実施例39。
【図10】ペグ化によるポリプレックス組成物の塩安定化、実施例40。
【図10A】ペグ化によるポリプレックス組成物の安定化、実施例40。
【図11】PEG3400−FITCを有する12ポリプレックスの共送達、実施例42。
【図12】ラクトース−12の構造、実施例37。
【図13】12及びLAC−CDP6ポリプレックスのHUH−7細胞へのトランスフェクション、実施例43。
【図14】実験プロトコルの略図、実施例47。
【図15】粒子直径、実施例47。
【図16】複合体沈殿によるDNA損失、実施例47。
【図17】12/DNA複合体を改変するための包接複合体、実施例48。
【図18】改変されたポリプレックスのHepG2細胞へのトランスフェクション、実施例49。
【図19】競合置換実験、実施例52。
【図20】アダマンタン−PEG−トランスフェリン(Ad−PEG−Tf)の合成、実施例55。
【図21】トランスフェリンについての鉄ローディング、実施例55。
【図22】結合親和力トランスフェリン−PEG−Ad、実施例55。
【図23】リシン基を経たトランスフェリンカップリング、実施例56。
【図24】トランスフェリン−PEG−AdのPC3細胞上のトランスフェリンレセプターへの結合親和力、実施例57。
【図25】トランスフェリン及びPEG改変されたポリプレックスにおける粒子改変の関数としてのゼータ電位変動及び粒子サイズ、実施例58。
【図26】ゼータ電位測定、Ad−アニオン性−PEG、実施例62。
【図27】安定性測定、実施例62。
【図28】トランスフェリン錯生成剤を増大させる添加、実施例62。
【図29】ヒスチジル化された12の合成。
【図30】エンドソーム逸出についてのpH感応性ポリマー(第二級アミン含有ポリマーの合成)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書中で、化合物12をまたβCDP6と表示する。核酸及びカチオン性ポリマーを粒状複合体で有する複合体をポリプレックスと識別する。
発明は、治療剤を送出するための包接複合体を採用する組成物に関する。包接複合体は、付加物の特徴的な構造を有する分子化合物であり、化合物の内の一種(ホスト分子)が別の化合物の少なくとも一部を空間的に閉じ込める。閉じ込められた化合物(ゲスト分子)は、ホスト分子の空洞内にホストの骨組み構造に影響を与えないで位置される。利用可能な空洞のサイズ及び形状が、わずかに変形する他は、もっともしばしば実用的に変更されないままであるのが包接複合体の特有な特徴である。「ホスト」は、当分野で知られている任意のホスト化合物又は分子にすることができる。適した「ホスト」の例は、下記を含み、それらに限定しない:シクロデキストリン、カルセロンド、キャビタンド、クラウンエーテル、クリプタンド、ククルビツリル、カリキサラン、スフェロンド等。錯生成剤について適した包接ゲストの例は、当分野で知られているもの、例えばアダマンタン、ジアダマンタン、ナフタレン、及びコレステロールのようなものを含み、それらに限定しない。
【0016】
シクロデキストリンは、広範囲のイオン性及び分子種と相互作用することができる好適なホストであり、生成する包接化合物は、「ホスト−ゲスト」複合体のクラスに属する。ホスト−ゲスト関係を実現するためには、いくつもの要件を満足しなければならず;要件の内の一つは、ホスト及びゲスト分子の結合部位が立体電子の意味で補い合う関係にあるべきであることである。シクロデキストリンは、空洞のディメンジョンに適合するサイズを有する化合物と包接複合体を形成することができる。しかし、複合体形成の程度は、また、ゲスト分子の極性にも依存する。空洞よりも有意に大きい分子との複合体形成は、また、所定の基又は側鎖だけが炭水化物チャンネルの中に浸透するように実行できてもよい。J.Szejtli,Akademiai Kiado,Cyclodextrins and their inclusion complexes、ブタペスト、1982を参照。
【0017】
発明の組成物は、少なくとも一種のポリマー及び少なくとも一種の治療剤を、通常ポリマー及び治療剤の粒状複合体の形態で含有する。治療組成物は、また一種以上の錯生成剤も含有する。粒状複合体の少なくとも一種のポリマーは、錯生成剤とホスト−ゲスト又はゲスト−ホスト相互作用で相互作用してポリマーと錯生成剤との間で包接複合体を形成する。ポリマー及び一層特に錯生成剤を用いて機能を発明の組成物中に導入することができる。一実施態様では、粒状複合体の少なくとも一種のポリマーは、ホスト機能を有し、ゲスト機能を有する錯生成剤と包接複合体を形成する。別の実施態様では、粒状複合体の少なくとも一種のポリマーは、ゲスト機能を有し、ホスト機能を有する錯生成剤と包接複合体を形成する。それ以上の実施態様では、粒状複合体のポリマーは、ホスト機能及びゲスト機能の両方を含有し、ゲスト錯生成剤及びホスト錯生成剤と包接複合体を形成することができる。
【0018】
1.粒状複合体
治療剤及びポリマーの粒状複合体は、治療剤及びポリマーの組合せ又は統合である。粒状複合体は、一種以上の治療剤を多次元の網状組織内に含む会合された構造である。単一のポリマーを使用しても又はポリマーの混合物を使用してもよい。粒状複合体の少なくとも一種のポリマーは、粒状複合体の多次元のポリマー網状組織を形成することができるのに加えて、下記に検討する通りに、一種以上の錯生成剤と包接複合体を形成することができるホスト及び/又はゲスト機能を保持する。
【0019】
A.ポリマー
治療剤と粒状複合体を形成することができかつホスト及び/又はゲスト機能を有する任意のタイプのポリマーを発明の組成物において用いることができる。ポリマーは線状ポリマーでも又は枝分れポリマーでもよい。ポリマーはホモポリマーでも又はコポリマーでもよい。コポリマーを用いるならば、コポリマーはランダムコポリマーでも又は枝分れポリマーでもよい。ポリマーは、水分散性であるのが好ましく、水溶性であるのが一層好ましい。例えば、適したポリマーは、下記を含み、それらに限定しない:多糖、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアクリレート等。ポリマーは、治療医薬品使用のためには、低い毒性プロフィルを有すべきであり、毒性又は細胞毒性でないのが好ましい。下記に検討する通りに、発明の組成物において使用するための好適なポリマーは、シクロデキストリンベースのポリマーである。下記に記載する分子量3,000〜100,000の範囲を有する水溶性の線状シクロデキストリンコポリマーが好適であり、分子量3,000〜50,000を有するものが特に好適である。
【0020】
発明に従えば、粒状複合体におけるポリマーは、単一のポリマーでも又は2つ以上のポリマーの混合物としてもよく、2つ以上のポリマーは、同じポリマーでも又は異なるポリマーでもよい。粒状複合体の各々のポリマーは、更に架橋基を含有しても又は更に架橋基を含有するように改変してもよく、架橋基を通してポリマーを会合して粒状複合体を形成することを達成することができる。
【0021】
粒状複合体の少なくとも一種のポリマーは、包接複合体を形成することができるポリマーである。「包接複合体を形成することができるポリマー」とは、別の化合物(錯生成剤)又は化合物上の置換基と非結合相互作用(例えば、ファンデルヴァールス力、水素結合、双極子−双極子相互作用、イオン対現象、ソルオホビック(soluophobic)相互作用等)を経て1つ以上のホスト−ゲスト会合することができる任意のポリマーにすることができる。換言すると、少なくとも一種のポリマーは、ホスト又はゲスト機能を有して錯生成剤又は錯生成剤上の置換基と包接複合体を形成する。ホスト又はゲスト機能は、ポリマー主鎖の一部でも或は置換基として又はペンダントもしくは枝分れ鎖中に存在してもよい。ポリマー主鎖中にホスト機能を有するポリマーの例は、下記に記載する通りの線状シクロデキストリンポリマーである。ゲスト機能をポリマー主鎖の一部としてでなく有するポリマーの例は、ペンダントアダマンタン基を有するポリマーになろう。ポリマーと共に採用することができる適した「ホスト」のその他の例は、下記を含み、それらに限定しない:カルセロンド、キャビタナール、クラウンエーテル、クリプタンド、ククルビツリル、カリキサレン、スフェロンド等。そのようなホストに適した包接ゲストの例は、当業者に知られているもの、例えばアダマンタン、ジアダマンタン、ナフタレン、及びコレステロールのようなものを含み、それらに限定しない。
【0022】
好適な実施態様では、ポリマーは異なるタイプのホスト又はゲスト機能を含有してよく或はポリマーはホスト機能及びゲスト機能の両方を含有してよい。これは、異なる包接複合体について更に一層大きな融通性を所定のポリマー上に形成させるのを可能にする。同じポリマー上に多重ホスト、多重ゲスト、又はホスト機能及びゲスト機能の両方を有すると、発明の治療組成物中に包接複合体を経て導入することができる種々の機能を増大させる。
【0023】
ホスト−ゲスト重合の結果、ポリマーは錯生成剤と相互作用して包接複合体を形成する。非結合相互作用又は会合の結果、生成する包接複合体は、約>102、好ましくは、約>103、一層好ましくは約>104の結合定数を示す。結合定数は、約102〜106の範囲になるのが好ましい。
【0024】
粒状複合体のポリマーは、1つ以上のリガンドで改変することができる。リガンドは、粒状複合体を形成する際に又は形成した後に治療剤及び/又は粒状複合体のポリマーのリガンド改変を経て導入することができる。リガンドは、所望の細胞を標的にする又は所望の細胞に結合することを可能にする任意のリガンドにすることができる。当業者ならば理解するであろう通りに、細胞を標的にする又は細胞に結合することは、細胞レセプターアタッチメントを含むことができ、これは、立ち代わってレセプター媒介エンドサイトーシスに至り得る。2つ以上のリガンドを結合させるならば、リガンドは同じでも又は異なってもよい。適したリガンドの例は、下記を含み、それらに限定しない:ビタミン(例えば葉酸)、タンパク質(例えばトランスフェリン、及びモノクローナル抗体)、単糖類(例えばガラクトース)、ペプチド、及び多糖。リガンドの選定は、当業者ならば認識する通りに、所望するタイプの送出に応じて変えることができる。別の例として、リガンドは膜透過用又は膜透過性剤、例えばHIV−1からのTATタンパク質のようなものにすることができる。TATタンパク質は、バイラル転写活性化であり、細胞核の中に活発に移入される。Torchilin,V.P.等、PNAS.98,8786−8791,(2001)。
【0025】
発明の好適な実施態様では、粒状複合体のポリマーの内の少なくとも一種は、包接複合体を形成することができるホスト及び/又はゲスト機能を有する実質的に線状のポリマーである。実質的に線状のポリマーは、当分野で知られている任意の手段によって調製することができる。ポリマーは、包接複合体を形成することができる適したモノマー又はモノマーの混合物であって、それの少なくとも一種はホスト又はゲスト機能を有するものから調製することができる。ホスト又はゲスト機能は、ポリマー鎖内にあっても、ポリマーへのペンダント(又は枝分れする)でも、又は末端基として存在してもよい。代わりに、ポリマーを形成した後に、それを更にホスト又はゲスト機能を加えるように改変して(先に検討した通り)包接複合体を形成することができる実質的に線状のポリマーを形成してもよい。実質的に線状のポリマーは、ブロックコポリマーにすることができ、ブロックは、ホスト機能、水分散性及び/又は水溶性のような性質を導入する。そのようなブロックの例は、例えば、線状のポリエチレンイミン(PEI)、線状のシクロデキストリン含有ポリマー、ビス(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン(AEPD)、及びN2,N2,N3,N3−(3’−PEG5000アミノプロパン)−ビス(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアンモニウムジ−トリフルオロアセテート(AEPD−PEG)を含む。
【0026】
別の好適な実施態様では、粒状複合体を形成するのに用いるポリマーは、シクロデキストリン含有ポリマーであり、下記に記載する通りの実質的に線状のシクロデキストリンポリマーであるのが一層好ましい。ポリマーは、また、ポリエチレンイミン(PEI)でも又はペンダントシクロデキストリンを有するポリマーでもよい。線状のシクロデキストリンコポリマーは、シクロデキストリン部分をそのポリマー主鎖の一体部分として含有するポリマーである。ペンダントシクロデキストリン部分を主ポリマー鎖の部分として有するのでなくむしろポリマー主鎖から外れて結合させたポリマーもまた、発明の組成物において用いてよい。線状のシクロデキストリン含有ポリマーは、少なくとも1つのシクロデキストリン部分をポリマー主鎖の部分として含有する任意の線状ポリマーにすることができる。シクロデキストリン含有ポリマーは、水溶性であるのが好ましい。線状のシクロデキストリン含有ポリマーは、線状のシクロデキストリンコポリマー又は線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーであるのが一層好ましく、各々は下記に記載する通りである。ポリマー内のシクロデキストリン基は、ホスト機能をポリマーに与えてそれを包接複合体を形成するのを可能にする。包接複合体を形成することができる実質的に線状のポリマーは、更に更なる官能基(例えばチオール基)を含有しても又は更に更なる官能基(例えばチオール基)を含有するように改変してもよい。
【0027】
線状のシクロデキストリン含有ポリマー
粒状複合体を形成するのに用いることができる線状のシクロデキストリンコポリマーは、線状のコポリマー主鎖において置換された又は未置換のシクロデキストリン部分をシクロデキストリンの少なくとも1つのグルコピラノース環の2、3、又は6番位を通して線状のシクロデキストリンポリマーのシクロデキストリンを結合する二価部分に二機能結合させて含有する。WO00/01734に記載される通りに、そのような線状のシクロデキストリンコポリマーは、Ia、Ib式(下記)の反復単位又はそれらの組合せを有する。線状のシクロデキストリンコポリマー、それらの製法及び性質は、また、Gonzalez,H.,Hwang,S.及びDavis,M(1999)New class of polymers for the delivery of macromolecular therapeutics.Bioconjugate Chem,10,1068−1074並びにHwang,S.,Bellocq,N.及びDavis,M(2001)Effects of Structure of Beta−Cyclodextrin−Containing Polymers on Gene Delivery.Bioconjugate Chem,12(2),280−290に記載されており、これらの両方を本明細書中に援用する。
【化2】
【0028】
Ia及びIb式において、Cは置換された又は未置換のシクロデキストリンモノマーであり、AはシクロデキストリンCに結合された、すなわち共有結合されたコモノマーである。シクロデキストリンモノマーCプリカーサー(前駆物質)とコモノマーAプリカーサーとを重合させると、線状のシクロデキストリンコポリマーを生じる。単一の線状のシクロデキストリンコポリマー内で、シクロデキストリンモノマーC単位は、同じでも又は異なってもよく、同様に、コモノマーAも同じでも又は異なってもよい。
【0029】
シクロデキストリンモノマープリカーサーは、当分野で知られている任意のシクロデキストリン又はその誘導体にすることができる。上に検討した通りに、シクロデキストリンは、最も一般的に6〜8個の天然のD(+)−グルコピラノース単位をα−(1,4)結合で含有する環状多糖と定義される。シクロデキストリンモノマープリカーサーは、6、7及び8個のグルコース単位を有するシクロデキストリン、すなわちそれぞれアルファ(α)−シクロデキストリン、ベータ(β)−シクロデキストリン及びガンマ(γ)−シクロデキストリンであるのが好ましい。シクロデキストリン誘導体は、当分野で知られている任意の置換されたシクロデキストリンにすることができ、ここで、置換基は、下記に記載する通りのコモノマーAプリカーサーとの共重合を妨げない。シクロデキストリン誘導体は、中性でも、カチオン性でも又はアニオン性でもよい。適した置換基の例は、下記を含み、それらに限定しない:ヒドロキシアルキル基、例えばヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチルのようなもの;エーテル基、例えばジヒドロキシプロピルエーテル、メチル−ヒドロキシエチルエーテル、エチル−ヒドロキシエチル、及びエチル−ヒドロキシプロピルエーテルのようなもの;アルキル基、例えばメチルのようなもの;多糖、例えばグルコシル及びマルトシルのようなもの;酸基、例えばカルボン酸、亜リン酸、亜ホスフィン酸、ホスホン酸、リン酸、チオホスホン酸、及びスルホン酸のようなもの;イミダゾール基;スルフェート基;並びに保護されたチオール基。
【0030】
シクロデキストリンモノマープリカーサーは、更に下記に記載する通りに、シクロデキストリンモノマープリカーサーとコモノマーAプリカーサーとの共重合を助成する又はかかる共重合に影響を与えるように化学的に改変(例えば水素化、アミノ化)してよい。シクロデキストリンモノマープリカーサーの化学的改変は、各々のシクロデキストリン部分上の2つだけの位置で重合、すなわち二機能シクロデキストリン部分の生成を可能にする。各々のグルコピラノース環のC1〜C6位についてのナンバリング方式は、下記の通りである:
【化3】
【0031】
好適な実施態様では、重合は、シクロデキストリン部分の任意のC2、C3及びC6(これらの組合せを含む)の内の2つで行われる。例えば、1つのシクロデキストリンモノマープリカーサーを2つのC6位で重合させ、別のシクロデキストリンモノマープリカーサーをシクロデキストリン部分のC2及びC6位で重合させることができる。β−シクロデキストリンを例として用いて、シクロデキストリンにおける各々のグルコピラノース環の相対的な位置についてのレタリング方式は、下記の通りである:
【化4】
【0032】
線状のシクロデキストリンコポリマーの好適な実施態様では、シクロデキストリンモノマーCは、下記の一般式(II)を有する:
【化5】
(II)式において、n及びmは、他の2つのグルコピラノース環と共に、シクロデキストリンモノマーにおけるグルコピラノース単位の合計数を規定する整数を表わす。(II)式は、シクロデキストリン単位上の2つのC6位で重合させることができるシクロデキストリンモノマーを表わす。(II)式のシクロデキストリンの例は、下記を含み、それらに限定しない:6A,6B−ジデオキシ−α−シクロデキストリン(n=0、m=4)、6A,6C−ジデオキシ−α−シクロデキストリン(n=1、m=3)、6A,6D−ジデオキシ−α−シクロデキストリン(n=2、m=2)、6A,6B−ジデオキシ−β−シクロデキストリン(n=0、m=5)、6A,6C−ジデオキシ−β−シクロデキストリン(n=1、m=4)、6A,6D−ジデオキシ−β−シクロデキストリン(n=2、m=3)、6A,6B−ジデオキシ−γ−シクロデキストリン(n=0、m=6)、6A,6C−ジデオキシ−γ−シクロデキストリン(n=1、m=5)、6A,6D−ジデオキシ−γ−シクロデキストリン(n=2、m=4)、及び6A,6E−ジデオキシ−γ−シクロデキストリン(n=3、m=3)。
【0033】
別の好適な実施態様では、線状のシクロデキストリンコポリマーは、グルコース環開放されたシクロデキストリンモノマーC単位を含有することができ、ここで、シクロデキストリンのグルコピラノース環の内の1つ以上が、シクロデキストリン環システムを保ちながら開放されている。下記の一般式(III)は、グルコピラノース環開放されたシクロデキストリンを表し、環がC2、C3位で開放している。
【化6】
(III)式において、pは5〜7の範囲である。(III)式において、シクロデキストリンモノマーのD(+)−グルコピラノース単位の内の少なくとも1つは、環開放を受けてシクロデキストリン単位のC2及びC3位で重合を可能にしている。(III)式のシクロデキストリンモノマー、例えば2A,3A−ジアミノ−2A,3A−ジデオキシ−β−シクロデキストリン及び2A,3A−ジアルデヒド−2A,3A−ジデオキシ−β−シクロデキストリンのようなものは、マサチューセッツ、ウエストボロウのCarbomerから市販されている。(III)式のシクロデキストリンモノマーの例は、下記を含み、それらに限定しない:2A,3A−ジデオキシ−2A,3A−ジヒドロ−α−シクロデキストリン、2A,3A−ジデオキシ−2A,3A−ジヒドロ−β−シクロデキストリン、2A,3A−ジデオキシ−2A,3A−ジヒドロ−γ−シクロデキストリン、これらは、一般にそれぞれ2,3−ジデオキシ−α−シクロデキストリン、2,3−ジデオキシ−β−シクロデキストリン、及び2,3−ジデオキシ−γ−シクロデキストリンと呼ばれる。
【0034】
コモノマーAプリカーサーは、上記に記載した通りに、シクロデキストリンモノマープリカーサーと反応する際に、2つのシクロデキストリンモノマーを一緒に結合する任意の直鎖又は枝分かれした、対称又は不斉の化合物にすることができる。コモノマーAプリカーサーは、少なくとも2つの架橋基であって、それらを通してシクロデキストリンモノマーの反応及びこれより結合が達成されることができるものを含有する化合物である。各々のコモノマーAプリカーサーの、同じでも又は異なってもよく、末端でも又は内部でもよい可能な架橋基の例は、下記を含み、それらに限定しない:アミノ、酸、エステル、イミダゾール、及びアシルハライド基及びこれらの誘導体。好適な実施態様では、2つの架橋基は、同じでありかつ末端である。コモノマーAプリカーサーとシクロデキストリンモノマーとを共重合させる際に、2つのシクロデキストリンモノマーを、一方のシクロデキストリンモノマーの第一級ヒドロキシル側と別のシクロデキストリンモノマーの第一級ヒドロキシル側とを結合させるにより、一方のシクロデキストリンモノマーの第二級ヒドロキシル側と別のシクロデキストリンモノマーの第二級ヒドロキシル側とを結合させるにより、又は一方のシクロデキストリンモノマーの第一級ヒドロキシル側と別のシクロデキストリンモノマーの第二級ヒドロキシル側とを結合させるによって、一緒に結合させることができる。よって、そのような結合の組合せが最終のコポリマー中に存在し得る。
【0035】
最終のコポリマーのコモノマーAプリカーサー及びコモノマーAは、両方とも中性でも、カチオン性(例えば脱プロトン化された基、例えば第四級アンモニウム基のようなものを含有することによって)でも又はアニオン性(例えば、脱プロトン化された基、例えばスルフェート、ホスフェート又はカルボキシレートアニオン性基のようなものを含有することによって)でもよい。荷電されたコモノマーAプリカーサー又はコモノマーAの対イオンは、任意の適した対アニオン又は対カチオン(例えば、カチオン性コモノマーAプリカーサー又はコモノマーAの対アニオンは、ハライド(例えばクロリド)アニオンにすることができる)にすることができる。コポリマーのコモノマーAの電荷は、pH条件を調整することによって調整することができる。
【0036】
適したコモノマーAプリカーサーの例は、下記を含み、それらに限定しない:シスタミン、1,6−ジアミノヘキサン、ジイミダゾール、ジチオイミダゾール、スペルミン、ジチオスペルミン、ジヒスチジン、ジチオヒスチジン、スクシンイミド(例えばジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(DSP)及びジスクシンイミジルスベレート(DSS))並びにイミデート(例えばジメチル3,3’−ジチオビスプロピオン−イミデート(DTBP))。コモノマーAプリカーサーとシクロデキストリンモノマープリカーサーとを共重合させると、下記の一般式のコモノマーA結合を含有する線状のシクロデキストリンコポリマーを形成するに至る:-HNC(O)(CH2)xC(O)NH-,-HNC(O)(CH2)xSS(CH2)xC(O)NH-, -+H2N(CH2)xSS(CH2)xNH2+-,-HNC(O)(CH2CH2O)xCH2CH2C(O)NH-,=NNHC(O)(CH2CH2O)xCH2CH2C(O)NHN=,-+H2NCH2(CH2CH2O)xCH2CH2CH2NH2+-,-HNC(O)(CH2CH2O)xCH2CH2SS(CH2CH2O)xCH2CH2C(O)NH-,-HNC(NH2+)(CH2CH20)xCH2CH2C(NH2+)NH-,-SCH2CH2NHC(NH2+)(CH2)xC(NH2+)NHCH2CH2S-,-SCH2CH2NHC(NH2+)(CH2)xSS(CH2)xC(NH2+)NHCH2CH2S-,-SCH2CH2NHC(NH2+)CH2CH2(OCH2CH2)xC(NH2+)NHCH2CH2S-,
【化7−1】
【化7−2】
上記式において、x=1〜150、及びy+z=x。好ましくは、x=1〜30。一層好ましくは、x=1〜30。好適な実施態様では、コモノマーAは、ジスルフィド結合のような生分解性結合を含有する。コモノマーAは、また、エステルのような酸不安定な含有機能及び当業者に知られているその他のそのような酸不安定な基を含んでもよい。
【0037】
別の好適な実施態様では、コモノマーAプリカーサー、故にコモノマーAは、所望の用途を達成するために、選択的に選定することができる。例えば、小分子治療剤を送出するのに、荷電されたポリマーが必要でないかもしれず、コモノマーAは、ポリエチレングリコール基のような親水基であっても又はそのような親水基を含有して更に水溶性を増進させてもよい。DNA又はタンパク質のようなポリペプチド治療剤について、コモノマーAは、線状のシクロデキストリンコポリマーがポリペプチド治療剤と粒状複合体を形成する能力を増大させるカチオン電荷を保持するのが好ましい。また、線状のシクロデキストリンコポリマーがコモノマーA基の混合物を含有してよいことも理解される。
【0038】
線状のシクロデキストリンコポリマーは、適当な脱離基を分配させたシクロデキストリンモノマープリカーサーを脱離基を置換することができるコモノマーAプリカーサーと共重合させることによって調製することができる。脱離基は、同じでも又は異なってもよく、コモノマーAプリカーサーと共重合させる際に置換することができる当分野で知られている任意の脱離基にすることができる。
【0039】
線状のシクロデキストリンコポリマーは、シクロデキストリンモノマープリカーサーをヨウ素化してジヨウ素化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーを形成しかつジヨウ素化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーをコモノマーAプリカーサーと共重合させてIa、Ib式の反復単位、又はそれらの組合せを有する線状のシクロデキストリンコポリマー(各々については上に記載した通りである)を形成することによって調製することができる。
【0040】
線状のシクロデキストリンを調製する別の方法は、上に記載した通りのシクロデキストリンモノマーをヨウ素化してIVa、IVb、IVc式又はそれらの混合物のジヨウ素化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーを形成する:
【化8】
【0041】
ジヨウ素化されたシクロデキストリンは、当分野で知られている任意の手段によって調製することができる(例えばTabushi等、J.Am.Chem.106,5267−5270(1984);Tabushi等、J.Am.Chem.106,4580−4584(1984)を参照)。例えば、β−シクロデキストリンを無水ピリジンの存在においてビフェニル−4,4’−ジスルホニルクロリドと反応させてビフェニル−4,4’−ジスルホニルクロリドキャプトβ−シクロデキストリンを形成し、これを次いでヨー化カリウムと反応させてジヨード−β−シクロデキストリンを製造することができる。シクロデキストリンモノマープリカーサーを2つの位置だけでヨウ素化する。上に記載した通りに、ジヨウ素化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーをコモノマーAプリカーサーと共重合させることによって、また上に記載した通りに、Ia、Ib式又はそれらの組合せの反復単位を有する線状のシクロデキストリンコポリマーを調製することができる。適するならば、ヨウ素又はヨード基をその他の既知の脱離基に代えてよい。
【0042】
ヨード基又はその他の適当な脱離基を、上に記載した通りに、コモノマーAプリカーサーとの反応を可能にする基で置換することができる。例えば、IVa、IVb、IVc式又はそれらの混合物のジヨウ素化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーをアミノ化してVa、Vb、Vc式又はそれらの混合物のジアミノ化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーを形成することができる:
【化9】
【0043】
ジアミノ化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーは、当分野で知られている任意の手段によって調製することができる(例えばTabushi等、Tetrahedron Lett.18:1527−1530(1977);Mungall等、J.Org.Chem.1659−1662(1975)を参照)。例えば、ジヨード−β−シクロデキストリンをナトリウムアジドと反応させ、次いで還元してジアミノ−β−シクロデキストリンを形成することができる。シクロデキストリンモノマープリカーサーを2つの位置だけでアミノ化する。上に記載した通りに、ジアミノされたシクロデキストリンモノマープリカーサーをコモノマーAプリカーサーと共重合させて、また上に記載した通りに、Ia、Ib式、又はそれらの組合せの反復単位を有する線状のシクロデキストリンコポリマーを製造することができる。しかし、ジアミノされたシクロデキストリンモノマープリカーサーのアミノ機能を直接シクロデキストリン部分に結合させる必要はない。代わりに、アミノ機能は、シクロデキストリンモノマープリカーサーのヨード又はその他の適当な脱離基を、アミノ基含有部分、例えば−SCH2CH2NH2のようなもので置換することによって導入してVd、Ve、Vf、Vg、Vh式又はそれらの混合物のジアミノ化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーを形成することができる:
【化10】
【0044】
また、線状のシクロデキストリンコポリマーは、下記に記載する通りに、線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーを還元することによっても調製することができる。この方法は、コモノマーAが還元性部分又は基、例えばジスルフィド結合のようなものを含有しない限り実施することができる。
【0045】
線状のシクロデキストリンコポリマーは、少なくとも1つの酸化されたシクロデキストリンモノマーをコポリマー中に酸化されたシクロデキストリンモノマーがポリマー主鎖の一体部分になるように導入するように酸化することができる。少なくとも1つの酸化されたシクロデキストリンモノマーを含有する線状のシクロデキストリンコポリマーを、線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーと規定する。線状の酸化されたシクロデキストリンは、それで、置換された又は未置換のシクロデキストリン部分を線状のコポリマー主鎖においてシクロデキストリンの少なくとも1つのグルコピラノース環の2、3、又は6番位を通して線状のシクロデキストリンポリマーのシクロデキストリンを結合する二機能部分、すなわちコモノマーA部分に二機能結合させ、シクロデキストリン部分のグルコピラノース環を酸化させる。シクロデキストリンモノマーをシクロデキストリン部分の第二級ヒドロキシル側又は第一級ヒドロキシル側のいずれか上で酸化させることができる。線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマー中に酸化されたシクロデキストリンモノマーが1つよりも多く存在するならば、第一級ヒドロキシル側、第二級ヒドロキシル側、又は両方のいずれか上で酸化された同じ又は異なるシクロデキストリンモノマーが存在することができる。例示の目的で、酸化された第二級ヒドロキシル基を有する線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーは、例えばVIa又はVIb式の少なくとも1つの単位を有する:
【化11】
VIa又はVIb式において、Cは置換された又は未置換の酸化されたシクロデキストリンモノマーであり、Aは酸化されたシクロデキストリンCに結合された、すなわち共有結合されたコモノマーである。また、VIa及びVIb式において、第二級ヒドロキシル基を酸化すると、シクロデキストリン部分の開環及びアルデヒド基の形成に至る。
【0046】
線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーは、上に検討した通りの線状のシクロデキストリンコポリマーを酸化することによって調製することができる。線状のシクロデキストリンコポリマーの酸化は、当分野で知られている酸化技術によって行うことができる。(ヒサマツ等、Starch 44:188−191(1992))。オキシダント、例えば過ヨウ素酸ナトリウムのようなものを用いるのが好ましい。当業者ならば、標準の酸化条件下で、酸化度がコポリマー当たりで変わる又は酸化度をコポリマー当たりで変えることができることを理解しよう。これより、一実施態様では、線状の酸化されたコポリマーは、1つの酸化されたシクロデキストリンモノマーを含有することができる。別の実施態様では、コポリマーの実質的にすべて〜すべてのシクロデキストリンモノマーを酸化させるであろう。
【0047】
線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーを調製する別の方法は、上に記載した通りのジヨウ素化された又はジアミノ化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーを酸化して酸化されたヨウ素化された又はジアミノ化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーを形成しかつ酸化されたジヨウ素化された又はジアミノ化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーをコモノマーAプリカーサーと共重合させることを伴う。好適な実施態様では、VIIa、VIIb、VIIc式、又はそれらの混合物の酸化されたジヨウ素化されたシクロデキストリンモノマープリカーサー:
【化12】
【0048】
酸化されたシクロデキストリンモノマーは、上に記載した通りのIVa、IVb、IVc式又はそれらの混合物のジヨウ素化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーを酸化することによって調製することができる。別の実施態様では、VIIIa、VIIIb、VIIIc式、又はそれらの混合物の酸化されたジアミノ化されたシクロデキストリンモノマープリカーサー
【化13】
は、上に記載した通りのVIIa、VIIb、VIIc式、又はそれらの混合物の酸化されたジヨウ素化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーをアミノ化することによって調製することができる。
【0049】
なお別の実施態様では、IXa、IXb、IXc、IXd、IXe、IXf式、又はそれらの混合物の酸化されたジアミノ化されたシクロデキストリンモノマープリカーサー
【化14】
は、ヨード基又はその他の適当な脱離基を分配させた酸化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーのヨード基又はその他の適当な脱離基をアミノ基含有部分−SCH2CH2NH2で置換することによって調製することができる。
【0050】
代わりに、上に記載した通りの酸化されたジヨウ素化されたジカルボン酸、又はジアミノ化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーは、シクロデキストリンモノマープリカーサーを酸化して酸化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーを形成し、次いで上に記載した通りの酸化されたシクロデキストリンモノマーをジヨウ素化及び/又はジアミノ化することによって調製することができる。いずれのジアミノ化された酸化されたシクロデキストリンモノマーのアミン基は、望まない副反応を避けるためにそれらの保護された形態にすることができる。上に検討した通りに、シクロデキストリン部分をヨード基と異なるその他の脱離基及びその他のアミノ基含有機能で改変してよい。次いで、酸化されたジヨウ素化された又はジアミノ化されたシクロデキストリンモノマープリカーサーをコモノマーAプリカーサーと共重合させて線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーを形成することができる。
【0051】
線状のシクロデキストリンコポリマー又は線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーは、少なくとも1つのコモノマーAプリカーサー又はコモノマーAプリカーサーの加水分解された生成物で終わる。シクロデキストリンコポリマーが少なくとも1つのコモノマーAプリカーサーで終わる結果、上に記載した通りの遊離の誘導体化(derivatizing)基が線状のシクロデキストリンコポリマー又は線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーにつき存在する。例えば、誘導体化基は、酸基又は加水分解して酸基にすることができる誘導体化基にすることができる。発明に従えば、誘導体化基を所望の通りに更に化学的に改変してシクロデキストリンコポリマーの性質、例えばコロイド状安定性及びトランスフェクション効率を増進させてよい。例えば、誘導体化基をPEGと反応させてPEGを末端基とするシクロデキストリンコポリマーを形成してコロイド状安定性を増進させることにより或はヒスチジン又はイミダゾール酢酸と反応させてイミダゾリルを末端基とするシクロデキストリンコポリマーを形成して細胞内(例えばエンドソーム放出)及びトランスフェクション効率を増進させることによって改変してよい。図29及び30を参照。
【0052】
それ以上のケミストリーをシクロデキストリンコポリマーに関して改変された誘導体化基を通して行ってよい。例えば、改変された誘導体化基を用いて線状のシクロデキストリンコポリマー又は線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーを同じ又は異なるシクロデキストリンコポリマー又は非シクロデキストリンポリマーに結合させることによってポリマー鎖を伸ばすことができる。付け加えるべきポリマーは、同じ又は異なる線状のシクロデキストリンコポリマー又は線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーにすることができ、これらは、また、更に改変するためにコモノマーAプリカーサーで終わることもできる。
【0053】
代わりに、上に記載した通りの末端の誘導体化基又は末端の改変された誘導体化基を含有する同じ又は異なる線状のシクロデキストリンコポリマー又は線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーを官能基又は改変された誘導体化基を通して反応させて一緒に結合させることができる。官能基又は改変された誘導体化基の反応の際に、生分解性部分、例えばジスルフィド結合のようなものが形成される。例えば、末端の誘導体化基のシステインによる改変を用いて遊離のチオール基を有する線状のシクロデキストリンコポリマー又は線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーを製造することができる。また遊離のチオール基を含有する同じ又は異なるシクロデキストリンコポリマーとの反応は、2つのコポリマーの間でジスルフィド結合を形成することになる。官能基又は改変された誘導体化基を異なる生分解のレート(例えば酵素生分解を経て)を示す結合を供するように選定し、それにより、所望ならば治療剤についての徐放システムを提供することができる。生成するポリマーを本明細書中に記載する通りにして架橋することができる。本明細書中に記載する通りの治療剤を、ポリマーを架橋する前に又はポリマーを架橋した後に、加えることができる。リガンドもまた改変された誘導体化基を通してシクロデキストリンコポリマーに結合させることができる。例えば、線状のシクロデキストリンコポリマー又は線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーをシクロデキストリンコポリマーに結合させたリガンドで改変することができる。リガンドをシクロデキストリンモノマーC又はコモノマーAを通してシクロデキストリンコポリマーに結合させることができる。リガンドをシクロデキストリンコポリマーのシクロデキストリン部分に結合させるのが好ましい。WO00/01734(本明細書中に援用する)を参照。
【0054】
枝分かれしたシクロデキストリン含有ポリマー
ホスト及び/又はゲスト機能を有する粒状複合体のポリマーは、また、実質的に枝分かれしたポリマー、例えば、枝分かれしたポリエチレンイミン(PEI)又は枝分かれしたシクロデキストリン含有ポリマー、好ましくは枝分かれしたシクロデキストリン含有ポリマーのようなものにすることもできる。枝分かれしたシクロデキストリン含有ポリマーは、ポリマー主鎖の一部になる及び/又はポリマー主鎖からペンダントすることができるシクロデキストリン部分を少なくとも1つ含有する任意の水溶性の枝分かれしたポリマーにすることができる。枝分かれしたシクロデキストリン含有ポリマーは、枝分かれしたシクロデキストリンコポリマー又は枝分かれした酸化されたシクロデキストリンコポリマーである。枝分かれしたシクロデキストリンコポリマー又は枝分かれした酸化されたシクロデキストリンコポリマーは、それぞれ上に記載した通りの線状のシクロデキストリンコポリマー又は線状の酸化されたシクロデキストリンコポリマーであって、それらから従属鎖が枝分かれされるものである。枝を出した従属鎖は、任意の飽和された又は不飽和の、線状の又は枝分かれした炭化水素鎖にすることができる。枝を出した従属鎖は、更に種々の誘導体化基又は置換基、例えば、ヒドロキシル、アミノ、酸、エステル、アミド、ケト、ホルミル、及びニトロ基のようなものを含有してよい。枝を出した従属鎖は、また、シクロデキストリン或はその他のホスト又はゲスト官能性部分を含有してもよい。枝を出した従属鎖は、また、リガンドで改変してもよい。そのようなリガンド改変は、枝を出した従属鎖におけるリガンドのシクロデキストリン部分への結合を含み、それに限定しない。
【0055】
枝分かれしたシクロデキストリン含有ポリマーは、枝分かれしたシクロデキストリンコポリマー又は枝分かれした酸化されたシクロデキストリンコポリマーであって、それらの枝を出した従属鎖がシクロデキストリン部分を含有するものであるのが好ましい。枝を出した従属鎖がシクロデキストリン部分を含有するならば、シクロデキストリン部分は、治療剤のカプセル化ばかりでなく包接複合体形成も助成することができる。枝を出した従属鎖のシクロデキストリン部分は、ポリマー主鎖中のシクロデキストリン部分と共に、包接複合体形成及び治療剤のカプセル化を助成するのが好ましい。枝分かれしたシクロデキストリン含有ポリマーは、ポリマー(例えば線状の又は枝分かれしたPEI)のシクロデキストリンモノマープリカーサーによる誘導体化(例えば置換)を含み、それに限定しない当分野で知られている任意の手段によって調製することができる。ペンダントシクロデキストリンを有するポリマーの例は、Tojima等、J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.36,1965(1998),Crini等、Eur.Polym.J.33,1143,(1997),Weickenmeier等、Maromol.Rapid Commun.17,731(1996),及びBachmann等、J.Carbohydrate Chemistry 17,1359(1998)に記載されており;これらの文献の各々を本明細書に援用する。(Weickenmeier論文は、シクロデキストリン側鎖ポリエステル、それらの合成及びアダマンタン誘導体の包接について記載している。)枝分かれしたシクロデキストリン含有ポリマーは、上に検討した通りに架橋することができる。
【0056】
発明において用いるためのポリ(エチレンイミン)(PEI)は、重量平均分子量約800〜約800,000ダルトンを有し、約2,000〜100,000ダルトンを有するのが好ましく、約2,000〜約25,000ダルトンを有するのが一層好ましい。PEIは、線状でも又は枝分かれしてもよい。適したPEI化合物は、Aldrich Chemical Companyからのポリエチレンイミン、Polysciencesからのポリエチレンイミン、並びにBASF Corporationから入手し得るPOLYMINポリ(エチレンイミン)及びLUPASOL(登録商標)ポリ(エチレンイミン)を含む数多くの供給元から市販されている。
【0057】
その他のホスト官能性ポリマー
上に検討した通りに、粒状複合体の少なくとも一種のポリマーは、包接複合体を形成することができるポリマーである。好適なシクロデキストリンホスト機能を有するポリマーを、種々の調製方法と共に上に記載した。ホスト機能を有する線状の又は枝分かれした任意のポリマーを、本発明の実施において同じようにして用いることができる。ポリマーにより用いることができる適した「ホスト」のその他の例は、キャビタンド、クラウンエーテル、クリプタンド、ククルビツリル、カリキサレン、スフェロンド等を含み、それに限定しない。これらのその他のホストのポリマーは、シクロデキストリン含有ポリマーについて上に記載したのと同じ方法で調製することができる。感心のあるホストをヒドロキシル基のような官能基を通して誘導体化してヨージド、トシレート等のような脱離基を結合させ及び脱離基を置換しかつホストコポリマーを形成する適したコモノマーAと反応させることができる。代わりに、ホストは、ホストにコモノマーAとの縮合反応を受けさせてホストコポリマーを形成するのを可能にするアミン又はカルボキシル基のような官能基を含有して又は含有するように誘導体化してよい。次いで、ポリマー主鎖中に並びにコポリマーが枝分かれしているならば、枝中にホスト機能の混合物を有するホストコポリマーを調製することができる。
【0058】
ゲスト官能性ポリマー
ゲスト官能性ポリマーは、ホスト官能性錯生成剤と包接複合体を形成することができるポリマー任意のポリマーにすることができる。ゲスト機能は、側鎖又は末端基上に存在することになるのが典型的である。ゲスト機能をポリマー主鎖の一部としてでなく有するポリマーの例は、ペンダントアダマンタン基を有するポリマーになろう。ポリマー中に組み込むことができる包接機能の例は、アダマンタン、ジアダマンタン、ナフタレン、及びコレステロールのような当分野で知られているものを含み、それらに限定しない。
【0059】
B.治療剤
発明に従えば、上に記載した通りに、少なくとも一種の治療剤がポリマー中にカプセル化されるようになって粒状複合体を形成する。「治療剤」なる用語は、薬理学的又は治療用途を有する任意の活性剤及び下記に検討する通りの殺菌性用途を有する活性な化合物又は薬剤を包含することを意図する。そのような治療剤(又は活性剤)の例を下記に検討する。カプセル化とは、任意の手段であって、それらによって、治療剤がポリマーと会合する(例えば、静電相互作用、疎水性相互作用、実際のカプセル化)手段と定義する。会合度は、当分野で知られている技術、例えば蛍光研究、DNAモビリティ研究、光の散乱、電子鏡検法を含む技術によって求めることができ、かつ治療剤に応じて変わることになる。送出のモードとして、例えば、上に記載した通りの粒状複合体のポリマー及びDNAから造られる多次元のポリマー網状組織を含有する治療組成物を、トランスフェクション、すなわちDNAの動物(例えばヒト)細胞中への取込みを助けるのに用いることができる。(Boussif,O.Proceedings of the National Academy of Sciences,92:7297−7301(1995);Zanta等、Biocunjugate Chemistry,8:839−844(1997);Gosselin等、”Efficient Gene Transfer Using Reversibly Cross−Linked Low Molecular Weight Polyethylenimine”,College of Pharmacy,The Ohio Statue University、ウエブ上で公表された、改訂原稿、2001年7月5日。)。治療剤が核酸ベース(例えばDNA)である時に、複合体を形成するポリマー、治療剤は、「ポリプレックス」の形態になることができる。ポリプレックスは、核酸と説明しているポリマーとの間の複合体である。Felgner等、”Nomenclature for Synthetic Gene Delivery Systems”,Hum.Gene Ther.8,511−512(1997)を参照。
【0060】
治療剤の任意の治療剤混合物を発明の組成物によって用いることができる。治療剤は、粒状複合体を形成する際に、生物学的又は治療的活性を保持しても又は保持しなくてもよい。治療混合物から、詳細には粒状複合体のポリマーから放出する際に、治療剤の活性が回復される。又は、プロドラッグの場合には、活性のための潜在性が回復される。よって、粒状複合体は、有利には、活性の損失、例えば生分解によるものに対して治療剤保護をもたらしかつ高められたバイオアベイラビリティを供する。これより、発明の組成物は、安定性、特に貯蔵又は溶液安定性を治療剤又は任意の活性な化学化合物に付与するのに用いることができる。親油性治療剤をカプセル化すると、親油性治療剤の、完全でないとしも、高められた溶解性をもたらす。治療剤を、粒状複合体又は治療組成物形成の前に又は後に更に改変してよい。
【0061】
治療剤は、当分野で知られているものを含む任意の親油性又は疎水性、合成又は天然の生物学的に活性な治療剤にすることができる。ニュージャージー、ホワイトハウスステーション在Merck and Co.,Inc.,The Merck Index,An Encyclopedia of Chemicals,Drugs,and Biologicals、第13版、2001。そのような治療剤の例は、下記を含み、それらに限定しない:小分子医薬品、抗生物質、ステロイド、ポリヌクレオチド(例えば、ゲノミックDNA、cDNA、mRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、内在性ウイルス、及びキメラポリヌクレオチド)、プラスミド、ペプチド、ペプチド断片、小分子(例えばドキソルビシン)、キレート剤(例えばデフェロキサミン(DESFERAL)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA))、自然産物(例えばTaxol、Amphotericin)、及びその他の生物学的に活性な高分子、例えばタンパク質及び酵素のようなもの。また、シクロデキストリンポリマーと包接複合体を形成するのにゲストとして使用する活性剤(治療剤)を列挙する米国特許第6,048,736号も参照。米国特許第6,048,736号の開示を本明細書中に援用する。小分子治療剤は、複合粒子内の治療剤にすることができるばかりでなく、更なる実施態様では、複合体においてポリマーに共有結合させることもできる。好ましくは、共有結合は、可逆性であり(例えば、プロドラッグ形態又はジスルフィドのような生分解性結合を通して)かつ治療剤を送出する別の方法を提供する。
【0062】
2.錯生成剤
発明に従えば、錯生成剤は、ホスト又はゲスト機能を有する化合物であって、対応するゲスト又はホスト機能を有する粒状複合体においてポリマーと包接複合体を形成することができるものである。上に記載した通りに、ホスト機能を有する粒状複合体のポリマー又はホスト機能を有するポリマーのモノマーを改変して包接複合体を形成するのに、ゲスト錯生成剤を使用することができる。また、上に記載した通りに、ホスト錯生成剤は、ポリマーゲスト機能へのホストとして作用することによって粒状複合体の少なくとも1つのポリマーと包接複合体を形成することができる。錯生成剤は、2つ以上の包接機能を有してよい。例えば、2つの包接機能を有する錯生成剤は、ゲスト、ゲスト;ホスト、ホスト;又はホスト、ゲスト錯生成剤にすることができる。錯生成剤は、また、複数のホスト及び/又はゲスト機能の混合物を有してもよい。錯生成剤は、また、有利な性質を発明の組成物に加える官能基も含有する。この官能基は、例えば、リガンド、親水性又は疎水性基、更なる治療剤等にすることができる。錯生成剤は、また、包接ゲスト又はホストと官能基との間にスペーサー基を含んでもよい。
【0063】
好ましくは、錯生成剤は、結合定数約>102を示し、約>103を示すのが好ましく、約>104を示すのが一層好ましい。結合定数は、約102〜106の範囲になるのが典型的である。錯生成剤に適した包接ゲストの例は、アダマンタン、ジアダマンタン、ナフタレン、コレステロール及びこれらの誘導体のような当分野で知られているものを含み、それらに限定しない。アダマンタン又はジアダマンタンを使用するのが好ましい。Amiel等、Int.J.Polymer Analysis & Characterization、1巻、289−300(1995);Amiel等、Journal of Inclusion Phenomena and Molecular Recognition in Chemistry,25:61−67(1996);Amiel等、Advances in Colloid and Interface Science,79,105−122(1999);及びSandier等、Langmuir,16,1634−1642(2000)。
【0064】
錯生成剤は、発明の組成物に利点をもたらす官能基を含有する。官能基は、ヒドロキシル又はアミン機能を簡単に加えることができるので、機能を導入する一方法である。好適な実施態様では、錯生成剤は、複合体を、例えば細胞接触、細胞間トラフィッキング、及び/又は細胞加入及び細胞放出を助成するように変えることができるばかりでなく、粒状複合体のポリマーと包接複合体を形成することができる。当分野で知られている任意のそのような基を使用することができる。適した「官能」基の例は、下記を含み、それに限定しない:リガンド、核局在化シグナル(Zanta等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,96,91−96頁(1999)を参照)、エンドソーム放出ペプチド、エンドソーム放出ポリマー、膜透過剤、又はこれらの混合物。核局在化シグナル(NLS)は、当分野で知られている任意の核局在化シグナルにすることができる。エンドソーム放出ペプチド又はポリマーは、当分野で知られている任意のエンドソーム放出ペプチド又はポリマーにすることができる(例えば、HA−2及びGALA)。”Gene delivery by negatively charged ternary complexes of DNA,cationic liposomes and transferrin or fusigenic peptides”Simoes S,Slepushkin V,Gaspar R,de Lima MCP,Duzgunes N,GENE THERAPY 5:(7)955−964 JUL 1998を参照。細胞膜透過用(又は細胞膜透過性剤)の例は、HIVからのTATタンパク質である。TATタンパクは、ウイルス性転写活性剤であり、細胞核の中に活動的に移入される。Torchilin,V.P.等、PNAS.98,8786−8791(2001)。
【0065】
錯生成剤は、また、特に生物学的条件下で溶解度を増大させ及び/又は安定化を付与するポリマーで機能化してもよい。組成物の安定化は、疎水基又は親油基を有する錯生成剤を使用することによって達成又は増進することができる。好適なタイプの疎水基は、ポリエチレングリコール又はポリエチレングリコール含有コポリマー(PEG)である。好適なポリエチレンエチレングリコールは、HO(CH2CH2O)zH式(ここで、zは2〜500、好まくは10〜300の範囲である)を有する。PEG 600、PEG 3400、及びPEG 5000が発明において使用することができるポリエチレングリコールの代表である。錯生成剤におけるPEGの分子量が大きい程、組成物の安定化が大きくなるのが普通である。PEGは、分子量が大きい程、好適であるのが普通である。好適な錯生成剤は、ペグ化(pegylated)アダマンタン又はペグ化ジアダマンタンである。錯生成剤として有用ないくつかのアダマンタン−PEG分子の構造を図1に示す。錯生成剤は、親油性(疎水性)を増大させのに、長鎖アルキル、脂肪酸、等のような親油基を含有することができる。親油基の選定は、所望する親油性の量に依存する。この検討から分かる通りに、錯生成剤は、所望する性質を組成物中に導入するために任意のタイプの機能で変性してよい。錯生成剤は、標準の有機技術を使用して調製することができる。異なる錯生成剤の混合物を採用すると、所望する組成物性質を達成する際の変種及び特異性の増大を可能にする。
【0066】
官能基を錯生成剤に結合させるのにスペーサー基を使用することができる。スペーサー基は、ゲスト錯生成剤又は官能基に悪影響を与えない当分野で知られている任意のスペーサー基にすることができる。例えば、スペーサー基は、直接結合にし、それで官能基を錯生成剤に直接結合させるようにすることができる。代わりに、スペーサー基は、生理学的pHにおいて水溶性、高度にアニオン性であり又は酸性条件下で融合性(fusogenic)能力を有する成分にすることができる。スペーサー基は、好ましくは包接複合体において錯生成剤とポリマーとの結合親和性を増進させる(例えばグルタミン酸残基、カルボン酸基等を含有するアニオン性スペーサー基)。スペーサー基は、また、還元性結合(例えばジスルフィド結合)を含有してもよく、それの還元は、錯生成剤から官能基を放出させるであろう。適したスペーサー基の例は、下記を含み、それらに限定しない:直接結合、ポリグルタミン酸、GALA及びポリエチレングリコール(PEG)。
【0067】
官能基は、また、更なる治療剤でもよい。治療剤は、錯生成剤に可逆的に結合させることができる(例えばプロドラッグ形態又は生分解性結合を通して)。これは、更なる治療剤を錯生成剤を経て送達する方法を提供する。
【0068】
上記の検討から理解することができるように、発明の組成物において採用する錯生成剤は、下記式の化合物である:
【化15】
式中
Jは、-NH-,-C(=O)NH-(CH2)d-,-NH-C(=O)-(CH2)d-,-CH2SS-,-C(=O)O-(CH2)e-O-P(=O)(O-(CH2)e-Y)O-,
【化16】
ペプチドもしくはポリペプチド残基、又は-NH-(C=O)-CH(R1)-NH-(C=O)-CH(R1)-NH-であり;
Yは、更なるホスト/ゲスト機能であり;
R1は、-(CH2)a-CO2H,エステルもしくはその塩;又は-(CH2)a-CONH2であり;
PEGは、-O(CH2CH2O)z- (式中、zは2〜500の範囲である)であり;
Lは、H,-NH2,-NH-(C=O)-(CH2)e-(C=O)-CH2-,-S(=O)2-HC=CH2-,-SS-,-C(=O)O-又は炭水化物残基であり;
aは0又は1であり;
bは0又は1であり;
dは0〜6の範囲であり;
eは1〜6の範囲であり;
nは0〜6の範囲であり;
yは0又は1であり;及び
xは0又は1である。
【0069】
錯生成剤は、また下記式の化合物にすることもできる:
【化17】
式中、変数は上記と同じであり、zは1〜5の範囲であり、qは1〜5の範囲であり、及びwは1〜5の範囲である。
【0070】
検討した通りに、ゲスト官能基の例は、アダマンチル、ナフチル、コレステロールを含み、それらに限定せず、好適なホスト官能基はシクロデキストリンである。式に示す通りのホスト官能基とゲスト官能基との混合物が錯生成剤に存在してよい。
【0071】
アダマンタンゲスト官能基を有する好適なクラスの錯生成剤は、下記式の化合物である:
【化18】
式中
Jは、-NH-,-C(=O)NH-(CH2)d-,-NH-C(=O)-(CH2)d-,-CH2SS-,-C(=O)O-(CH2)e-O-P(=O)(O-(CH2)e-Ad)O-,
【化19】
ペプチドもしくはポリペプチド残基、又は-NH-(C=O)-CH(R1)-NH-(C=O)-CH(R2)-NH-であり;
Adはアダマンチルであり;
Yは、更なるホスト/ゲスト機能であり;
R1は、-(CH2)a-CO2H,エステルもしくはその塩;又は-(CH2)a-CONH2であり;
PEGは、-O(CH2CH2O)z- (式中、zは2〜500の範囲である)であり;
Lは、H,-NH2,-NH-(C=O)-(CH2)e-(C=O)-CH2-,-S(=O)2-HC=CH2-,-SS-,-C(=O)O-又は炭水化物残基であり;
aは0又は1であり;
bは0又は1であり;
dは0〜6の範囲であり;
eは1〜6の範囲であり;
yは0又は1であり;及び
xは0又は1である。
【0072】
発明の治療組成物は、機能化された錯生成剤を使用することによって、細胞接触及び/又は細胞加入を助成するように変性する又は機能化することができる。その組成物は、複数の機能及び/又は利点を達成するために、異なる機能を有する錯生成剤を使用して2つ以上のタイプの包接複合体を形成することができる。上に記載した通りに、リガンドを使用して粒状複合体のポリマー又は錯生成剤を改変してよい。これより、発明に従えば、発明の組成物は、包接複合体を経て、リガンドを1つよりも多く含有し、こうして細胞ターゲティング及び/又は送出のための部位を1つよりも多く保持することができる。複数のリガンド−又はその他の−機能化された錯生成剤は、ペグ化された錯生成剤のような安定化又は溶解度機能を有する錯生成剤を加えることによって安定化することができる。
【0073】
ポリマーは、異なる官能化された錯生成剤の混合物と複数の包接複合体を形成することができることから、発明の治療組成物は、例えば、複数の治療剤、異なるリガンド及び/又は種々の安定化ポリマーを含有してよい。錯生成剤を治療剤又はプロドラッグで官能化する場合は、複数の包接複合体を形成することは、同じ治療組成物を用いて複数の治療剤を送出することを可能にする。リガンドが存在するならば、治療剤の組成物全体(又はカクテル)を特定の細胞タイプ、病気、又はその他の治療使用に向けることができる。
【0074】
官能化されたゲスト錯生成剤は、当分野で知られている任意の手段によって調製することができる。Amiel等、Int.J.Polymer Analysis & Characterization、1巻、289−300(1995);Amiel等、Journal of Inclusion Phenomena and Molecular Recognition in Chemistry,25:61−67(1996);Sandier等、Langmuir,16,1634−1642(2000)を参照。
【0075】
3.発明の治療組成物の製法
発明は、また、組成物を調製する方法にも関する。その方法は、治療剤、ホスト又はゲスト官能基を有するポリマー、及び錯生成剤を組み合わせて治療組成物を形成する。錯生成剤は、ゲスト又はホストとして作用し、ポリマーと包接複合体を形成する。別の実施態様では、初めに治療剤とポリマーとを組み合わせて粒状複合体を形成する。次いで、粒状複合体を錯生成剤と組み合わせて治療組成物の包接複合体を形成する。その組成物は、また、初めにポリマーを錯生成剤と混合し、次いでその混合物を治療剤と組み合わせて複合体、よって発明の組成物を形成することによって形成してもよい。
【0076】
A.ポリマー−剤粒状複合体の形成
治療剤及びポリマーの粒状複合体は、当分野で知られている任意の手段によって調製することができる。例えば、粒状複合体は、治療剤をポリマーと簡単に接触させ、混合し、又は分散させることによって形成することができる。例えば、ポリマーと治療剤とを両方が可溶性の溶媒中、ポリマーが可溶性であるが治療剤を分散させる溶媒中、又はポリマーと治療剤とを分散させるが粒状複合体を可溶性にする溶媒中で混合することができる。医薬品用途用では、溶媒は、任意の生理学的に許容し得る水溶液にすることができる。粒状複合体は、ポリマーと治療剤とを会合する、ポリマーを自己会合する、又は化学的手段によって形成することができる。粒状複合体のポリマーは、粒状複合体を形成する前に、実質的に会合された構造、例えばポリマーゲルとして存在しないのが普通である。しかし、粒状複合体の一部としてのポリマーは、ポリマー及び治療剤の性質に応じて、ゲルのような実質的に会合された構造を形成することができる。粒状複合体は、また、同じでも又は異なってもよいモノマーを治療剤の存在において重合させて線状の又は枝分かれしたポリマーを調製することもできる。粒状複合体は、また、同じでも又は異なってもよく、治療剤の存在において線状の又は枝分かれしたポリマーを形成することができるモノマーを重合させることによって調製することもでき、ここで、治療剤は重合用のテンプレートとして作用する。Trubetskoy等、Nucleic Acids Research、26巻、18号、4178−4185頁(1998)。
【0077】
ポリマー及び治療剤の使用量は、粒状複合体をアセンブルさせることができる任意の量にすることができる。ポリマーは、治療剤を超える量で使用することになるのが普通である。ポリマーを形成するのに使用するポリマーは、カチオン荷電されたコモノマーA又はPEIのようなポリアルキレンイミンによるようなカチオン又はアニオン電荷を帯びる時に及び治療剤がアニオン性ポリヌクレオチドのように電荷を帯びる時に、ポリマー対治療剤の比を電荷比と表わすことができる。電荷比は、ポリマーの電荷対治療剤の電荷の比の表現である。実施例に示す通りに、カチオン性シクロデキストリンポリマー及びアニオン性DNAの粒状複合体は、電荷比5+/−、すなわちシクロデキストリンポリマーからのカチオン性電荷5対DNAのアニオン性電荷1で配合するのが典型的である。電荷比は、粒状複合体を形成するのを可能にする任意の比にすることができかつ必要な最小電荷比を超えることができる。ポリマー及び/又は治療剤が荷電されていない場合には、ポリマー対治療剤の量又は比は、当分野で知られている通りに重量、モル又は濃度によって表わすことができる。
【0078】
発明に従えば、粒状複合体のポリマーは、また、治療剤及び多次元のポリマー網状組織を含む粒状複合体を形成するのに十分な条件下で処理してもよい。そのような多次元のポリマー網状組織は、WO00/33885に記載されており、それを本明細書中に援用する。WO00/33885に記載されている通りに、粒状複合体のポリマーを、多次元のポリマー網状組織を形成するのに十分な条件下で処理することは、粒状複合体のポリマー及び治療剤の会合を助成する、更なる薬剤又は反応体を加えることを含む任意の適した反応条件を用いて行うことができる。ポリマーは、インターポリマー共有結合、非共有結合(例えばイオン結合)、又は非共有相互作用(例えばファンデアワールス相互作用を経て)を経て会合させることができる。ポリマーのイントラポリマー共有結合、非共有結合、又は非共有相互作用を経た会合も同様に生じ得る。そのような会合の結果、粒状複合体のポリマーは相互作用して多次元のポリマー網状組織を形成する。
【0079】
発明の一実施態様では、治療剤及び多次元のポリマー網状組織を含む粒状複合体を形成することは、架橋反応を伴う。例えば、粒状複合体のポリマーが単一のポリマー分子であるならば、ポリマーを、架橋を助成する又は架橋を形成する分子、オリゴマー、又は異なるポリマーと反応させ、それで粒状複合体の単一のポリマー分子のイントラポリマー架橋又は粒状複合体の単一のポリマー分子との実際の架橋が生じるようにすることができる。同様に、粒状複合体のポリマーが二種以上のポリマーの混合物であるならば、ポリマーを、架橋を助成する又は架橋を形成する分子、オリゴマー、又は異なるポリマーと反応させることができる。生成する架橋は、粒状複合体のポリマーのイントラポリマー及び/又はインターポリマー、好ましくはインターポリマー架橋にすることができる。
【0080】
架橋剤は、当分野で知られている任意の架橋剤にすることができる。架橋剤は、粒状複合体のポリマー内で架橋を助成する又は粒状複合体のポリマーと実際に架橋していることができる任意のオリゴマー又はポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)ポリマー、ポリエチレンポリマー)にすることができる。架橋用オリゴマー又はポリマーは、粒状複合体のポリマーと同じでも又は異なってもよい。同様に、架橋剤は、粒状複合体のポリマーと架橋することができる任意の適した分子にすることができる。架橋剤は、それ自体リガンドを含有してよい。
【0081】
多次元のポリマー網状組織を形成する粒状複合体のポリマーのWO00/33885に記載されている通りの会合度は、部分会合から完全会合まで変わることができる。ポリマーの会合度を変えることにより、短鎖ポリマーを、短鎖ポリマーの解離する際の所望の特性を保持しながら長鎖ポリマーの特性を示すようにさせることができる。例えば、長鎖ポリマー特性は、総括の安定性、すなわち生分解耐性を、短鎖ポリマー特性が標的細胞内でDNA放出を助成しながら標的細胞に到達するまで、助成する。この二重性は、非生理学的及び生理学的の両方の条件で改良された安定性及び一層大きな保存寿命安定性を示す治療剤及び多次元のポリマー網状組織を含有する治療組成物をもたらす。治療組成物のポリマーの会合度を変えることは、また、治療剤の制御された送出も可能にする。
【0082】
粒状複合体の粒子サイズは、発明の組成物を形成するのに使用するポリマー及び治療剤に依存する。下記の実施例に示す通りに、粒子サイズは、50〜1000nm、好ましくは50〜500nmの範囲にすることができる。包接複合体を形成することは、粒子サイズを有意に増大させないのが典型的である。組成物は、離散した粒子としてのままである。下記に検討する通りに、ペグ化された錯生成剤を含有する組成物は、塩溶液中で優れた安定性を示す。有利には、組成物は、生理学的条件で安定であり、治療剤用送出ビヒクルとしての並びに種々の病気及び疾患の治療におけるそれらの使用を可能にする。
【0083】
B.包接複合体の形成
包接複合体は、当分野で知られている任意の手段によって調製することができる。例えば、包接複合体は、粒状複合体と錯生成剤とを簡単に接触させ、混合し、又は分散させることによって形成することができる。例えば、粒状複合体と錯生成剤とを両方が可溶性の溶媒中、粒状複合体又は錯生成剤が可溶性であるが他方を分散させる溶媒中、又は粒状複合体と錯生成剤とを分散させるが包接複合体を可溶性にする溶媒中で混合することができる。包接複合体は、ポリマーと治療剤とを混合するのに使用するのと同じ容器中で錯生成剤を粒状複合体に加えることによって形成するのが好ましい。医薬品用途用では、溶媒は、任意の生理学的に許容し得る水溶液にすることができる。
【0084】
錯生成剤を複合体粒子に包接複合体を形成する複合体のポリマー中に存在するホスト及び/又はゲスト官能基のモルに対して任意のモル比で加えてよい。錯生成剤は、ホスト及び/又はゲスト機能に対してモル比1:1で加えるのが普通である。組成物がポリマー上に少なくとも一種の錯生成剤及び少なくとも1つのホスト又はゲスト機能を含有する限り、低い方のモル比(ポリマー上の過剰のホスト及び/又はゲスト機能)を用いることができる。また、過剰の錯生成剤を用いてもよい。それで、錯生成剤対ポリマーホスト又はゲスト機能のモルのモル比は、0.01:1〜1:0.01の範囲にするのが典型的であり、0.5:1〜1:0.5にするのが好ましい。複数の錯生成剤を用いる時は、個々の錯生成剤のモル比は、組成物中に導入すべき所望の機能によって選定することができる。例えば、ペグ化された安定用錯生成剤がモル比0.9:1で存在しかつリガンドを含有する錯生成剤がほんの少量、例えば錯生成剤1〜2%で存在し得ることは、所定の組成にあり得る。そのような組成での錯生成剤の合計量は、上に検討した範囲内に入るのが典型的である。
【0085】
4.組成物及び治療方法
発明の治療組成物は、固体、液体、懸濁体、又はエマルションとして調剤することができる。発明の治療組成物は、静脈内へ注入することができる形態であるのが好ましい。発明の治療組成物を投与するその他の方法は、口径投与、吸入、局部適用、腸管外、静脈内、鼻腔内、眼内、頭蓋内又は腹腔内注入、及び肺投与のような当分野で知られている方法を含み、それらに限定しない。投与の方法は、治療組成物の製剤に依存するのがしばしばである。治療組成物は、投与する前に、例えば遠心分離、透析及び/又は凍結乾燥を含む当分野で知られている任意の手段によって分離しかつ精製することができる。
【0086】
発明は、有効量の発明の治療組成物並びに製薬的及び生理学的に許容されるキャリヤーを含む製薬組成物にも関する。適した固体又は液体生薬調剤は、例えば顆粒、粉末、被覆錠剤、マイクロカプセル、坐薬、シロップ、エリキシル、懸濁液、エマルション、ドロップ又は注入可能な溶液である。製薬組成物において一般的に用いられる添加剤は、賦形剤、分解剤、結合剤、コーティング剤、膨潤剤、流動促進剤(glidant)、滑剤、香味料、甘味料又は可溶化剤を含み、それらに限定しない。一層具体的に言えば、よく用いられる添加剤は、例えば、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、マンニトール及びその他の糖、タルク、ラクトアルブミン、ゼラチン、デンプン、セルロース及びその誘導体、動物及び植物油、ポリエチレングリコール並びに溶媒である。溶媒は、殺菌水及び一価アルコール又はグリセロールのような多価アルコールを含む。
【0087】
発明の治療組成物は、使用する治療剤のタイプに応じて、遺伝性又は後天性疾患、例えば、嚢胞性線維症、ゴーシェ病、筋ジストロフィー、AIDS、癌(例えば、多発性骨髄腫、白血病、黒色腫、及び卵巣癌腫)、心血管コンディション(例えば、進行性心不全、再狭窄、及び血友病)、並びに神経症状(例えば脳傷害)のようなものを治療するための種々の治療方法(例えば、DNAワクチン、抗生物質、抗ウイルス剤)において使用することができる。発明に従えば、治療方法は、治療剤を必要としているのが認められるヒト又は哺乳動物に、発明の治療組成物を治療上有効な量で投与する。治療上有効な量は、当業者ならば認識する通りに、ケース・バイ・ケースで決められることになる。考慮すべき要因は、治療すべき疾患及び疾患に悩むものの身体的特徴を含み、それらに限定しない。
【0088】
6.その他の実用性
発明の包接複合体は、また、農業産業において用いられる化学薬品を送達する際に実用性を見出すこともできる。発明の別の実施態様では、「治療剤」は、殺菌上及び農業上の実用性を有する生物学的に活性な化合物である。これらの生物学的に活性な化合物は、当分野で知られているものを含む。例えば、適した農業上生物学的に活性な化合物は、肥料、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤及び殺かび剤を含み、それらに限定しない。殺菌剤は、また、市営の水供給を処理するための水処理、冷却水、製紙における白濁水システムのような産業水システムにおいても用いられる。微生物の攻撃又は生分解を受け得る水性システムは、また、なめし革産業、繊維産業、及びコーティング又はペイント産業においても認められる。そのような殺菌剤及びそれらの使用の例は、米国特許第5,693,631号、同第6,034,081号、及び同第6,060,466号に個々に及び組み合わされて記載されており、これらの米国特許を本明細書中に援用する。上に検討したもののような活性剤を含有する組成物は、活性成分それ自体について知られているのと同じ方法で使用することができる。特に、そのような使用は薬理学的使用でないことから、複合体のポリマーは、製薬使用において要求される毒性プロフィルを必ずしも満足しなければならないと言うわけではない。
【0089】
7.実施例
下記の例は、発明を例示するために挙げる。しかし、発明は、これらの例に記載する特定の条件又は詳細に限定されないことを理解すべきである。
【0090】
物質.β−シクロデキストリン(インディアナ、ハモンドのCerestar USA,Inc.)を真空(<0.1mトル)で120℃において12時間乾燥させた後に使用した。ビフェニル−4,4’−ジスルホニルクロリド(ウイスコンシン、ミルウォーキーのAldrich Chemical Company,Inc.)をクロロホルム/ヘキサンから再結晶させた。ヨウ化カリウムを乳鉢及び乳棒で粉にしかつオーブン中で200℃において乾燥させた。他の試薬はすべて商業供給元から得、受け入れたままで更に精製しないで使用した。ポリマーサンプルを、Anspec RI検出器、Precision Detectors DLS検出器、及びProgel−TSK G3000PWXLカラムを装備したHitachi HPLCシステムで0.3M NaCl又は水を溶離剤として流量1.0mL/分で使用して分析した。
【実施例1】
【0091】
ビフェニル−4,4’−ジスルホニル−A,D−キャップトβ−シクロデキストリン、1(Tabushi等、J.Am.Chem.Soc.106,5267−5270(1984))
【0092】
磁気攪拌棒、Schlenkアダプター及び隔膜を装備した500mL丸底フラスコに、乾燥したβ−シクロデキストリン7.92g(6.98mモル)及び無水ピリジン(Aldrich Chemical Company,Inc.)250mLを仕込んだ。生成した溶液を窒素下で50℃において攪拌し、その間にビフェニル−4,4’−ジスルホニルクロリド2.204g(6.28mモル)を4つに等しく分けて15分間隔で加えた。50℃において更に3時間の間攪拌した後に、溶媒を真空で除き、残分を逆相カラムクロマトグラフィーに水中アセトニトリル0〜40%勾配溶離を用いて掛けた。画分を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析し、適当な画分を一緒にした。大量のアセトニトリルを回転蒸発器で除いた後に、生成した水性懸濁液を凍結乾燥乾固させた。これは、3.39g(38%)の1を無色固体としてもたらした。
【実施例2】
【0093】
6A,6D−ジヨード−6A,6D−ジデオキシ−β−シクロデキストリン,2(Tabushi等、J.Am.Chem.106,4580−4584(1984))
【0094】
磁気攪拌棒、Schlenkアダプター及び隔膜を装備した40mL遠心管に、1.02g(7.2mモル)の1、乾燥した粉末ヨウ化カリウム(Aldrich)3.54g(21.3mモル)及び無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(Aldrich)15mLを仕込んだ。生成した懸濁液を窒素下で80℃において2時間の間攪拌した。冷却して室温にした後に、固形分をろ過によって分離し、上澄みを収集した。固体沈殿を無水DMFの第二部分で洗浄し、上澄みを一緒にして真空で濃縮した。次いで、残分を水14mL中に溶解し、氷浴中で冷却した後に、テトラクロロエチレン(Aldrich)0.75mL(7.3mモル)を急速に攪拌しながら加えた。沈降生成物を中位のガラスフリット上でろ過し、小部分のアセトンで洗浄した後に、それをP2O5上で真空下で14時間の間乾燥させた。これは、0.90g(92%)の2を白色固体としてもたらした。
【実施例3】
【0095】
6A,6D−ジアジド−6A,6D−ジデオキシ−β−シクロデキストリン,3(Tabushi等、Tetrahedron Lett.18,1527−1530(1977))
【0096】
磁気攪拌棒、Schlenkアダプター及び隔膜を装備した100mL丸底フラスコに、β−シクロデキストリンジヨージド1.704g(1.25mモル)、アジ化ナトリウム(ニュージャージー、ギブズタウンのEM Science)0.49g(7.53mモル)及び無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(Aldrich)10mLを仕込んだ。生成した懸濁液を窒素下で60℃において14時間の間攪拌した。次いで、溶媒を真空で除いた。生成した残分を塩中0.2M溶液を造る程の水に溶解し、次いでBiorad AG501−X8(D)樹脂11.3gを通過させて残留塩を除いた。次いで、溶離剤を凍結乾燥乾固させて1.232g(83%)の3を白色非晶質固体として生じ、これを次の工程に更に精製しないで運んだ。
【実施例4】
【0097】
6A,6D−ジアミノ−6A,6D−ジデオキシ−β−シクロデキストリン,4(Mungall等、J.Org.Chem.1659−1662(1975))
【0098】
磁気攪拌棒及び隔膜を装備した250mL丸底フラスコに、β−シクロデキストリンビスアジド1.232g(1.04mモル)及び無水ピリジン(Aldrich)50mLを仕込んだ。この攪拌懸濁液に、トリフェニルホスフィン0.898g(3.42mモル)を加えた。生成した懸濁液を周囲温度で1時間の間攪拌した後に、濃アンモニア水10mLを加えた。アンモニアの添加は、急速なガス発生によって行い、溶液は均質になった。14時間した後に、溶媒を真空で除き、残分を水50mLですり砕いた。固形分をろ別し、ろ液を10%HClで酸性(pH<4)にした後に、それをToyopearl SP−650M(NH4+形態)樹脂を収容するイオン交換カラムにかけた。生成物4を0〜0.5M炭酸水素アンモニウムの勾配で溶離した。適当な画分を一緒にし、凍結乾燥乾固させて0.832g(71%)の生成物4をビス(炭酸水素)塩として生じた。
【実施例5】
【0099】
β−シクロデキストリン−DSPコポリマー,5
【0100】
20mLシンチレーションバイアルに、水1mL中4のビス(炭酸水素)塩92.6mg(7.65×10-5モル)の溶液を仕込んだ。溶液のpHを1M NaOHで10に調整した後に、クロロホルム1mL中ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(DSP、イリノイ、ロックフォードのPierce Chemical Co.)30.9mg(7.65×10-5モル)の溶液を加えた。生成した二相の混合物をVortexミキサーで0.5時間の間攪拌した。次いで、水性層をデカントし、フレッシュクロロホルム3×1mLで抽出した。次いで、ポリマー水溶液をToyopearl HW−40F樹脂上のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に水を溶離剤として使用して、かけた。画分をGPCによって分析し、適当な画分を凍結乾燥乾固させて85mg(85%)を無色非晶質粉末として生じた。
【実施例6】
【0101】
β−シクロデキストリン−DSSコポリマー,6
【0102】
β−シクロデキストリン−DSSコポリマー,6を、DSP試薬の代わりにジスクシンイミジルスベレート)(DSS、イリノイ、ロックフォードのPierce Chemical Co.)を用いた他はDSPポリマー、5と類似の方法で合成した。化合物6は、収率67%で得られた。
【実施例7】
【0103】
β−シクロデキストリン−DTBPコポリマー,7
【0104】
20mLシンチレーションバイアルに、水1mL中4のビス(炭酸水素)塩91.2mg(7.26×10-5モル)の溶液を仕込んだ。溶液のpHを1M NaOHで10に調整した後に、ジメチル3,3’−ジチオビス(プロピオンイミデート)・2HCl(DTBP、イリノイ、ロックフォードのPierce Chemical Co.)22.4mg(7.26×10-5モル)を加えた。生成した均質な溶液をVortexミキサーで0.5時間の間攪拌した。次いで、ポリマー水溶液をToyopearl HW−40F樹脂上のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にかけた。画分をGPCによって分析し、適当な画分を凍結乾燥乾固させて67mg(67%)の無色非晶質粉末を生じた。
【実施例8】
【0105】
ポリエチレングリコール(PEG)600ジ酸クロリド、8
【化20】
磁気攪拌棒及び還流凝縮器を装備した50mL丸底フラスコに、ポリエチレングリコール600ジ酸(ウイスコンシン、ミルウォーキーのFlula Chemical Corp)5.07g(約8.4mモル)及び無水クロロホルム(Aldrich)10mLを仕込んだ。この攪拌溶液に、チオニルクロリド(Aldrich)3.9mL(53.4mモル)を加え、生成した溶液を1時間の間還流に加熱し、その時間中ガス発生が明らかに分かった。生成した溶液を冷却させて室温にした後に、溶媒及び過剰のチオニルクロリドを真空で除いた。生成した油をドライボックス中に保存し、精製しないで使用した。
【実施例9】
【0106】
β−シクロデキストリン−PEG600コポリマー、9
【化21】
20mLシンチレーションバイアルに、6A,6D−ジアミノ−6A,6D−ジデオキシ−β−シクロデキストリン(4)のビス(炭酸水素)塩112.5mg(8.95×10-5モル)、トリエチルアミン(Aldrich)50μL(3.6×10-4モル)、及び無水のN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc,Aldrich)5mLを仕込んだ。次いで、生成した懸濁液をポリエチレングリコール600ジ酸クロリド、8 58mg(9.1×10-5モル)で処理した。生成した溶液をVortexミキサーで5分間攪拌し、次いで、25℃で1時間の間静置させ、その時間の間に溶液は均質になった。溶媒を真空で除き、残分をToyopearl HW−40F樹脂上のゲルパーミエーションクロマトグラフィーに水を溶離剤として使用して、かけた。画分をGPCによって分析し、適当な画分を凍結乾燥乾固させて無色非晶質粉末115mg(75%)を生じた。
【実施例10】
【0107】
6A,6D−ビス−(2−アミノエチルチオ)−6A,6D−ジデオキシ−β−シクロデキストリン、10(Tabushi,I;Shimokawa,K;Fugita,K.Tetrahedron Lett.1977、1527−1530)
【化22】
磁気攪拌棒及び隔膜を装備した25mL Schlenkフラスコに、エタノール中ナトリウム2−アミノエチルチオレートの0.81M溶液0.91mL(7.37mモル)を仕込んだ。 (Fieser, L. F.; Fiester, M. Reagents for Organic Synthesis ; Wiley: ニューヨーク、1967;3巻、265-266頁)。溶液を蒸発乾固させ、固体を無水のDMF(Aldrich)5mL中に再溶解した。6A,6D−ジヨード−6A,6D−ジデオキシ−β−シクロデキストリン(2)(100mg、7.38×10-5モル)を加え、生成した懸濁液を窒素下で60℃において2時間の間攪拌した。冷却して室温にした後に、溶液を真空で濃縮し、残分を水に再溶解した。0.1N HClで酸性にした後に、溶液をToyopearl SP−650Mイオン交換カラム(NH4+形態)にかけ、生成物を0〜0.4M炭酸水素アンモニウムの勾配で溶離した。適当な画分を一緒にし、凍結乾燥乾固させた。これは、80mg(79%)の10を白色粉末として生じた。
【0108】
ジシステアミンβ−CD10の代わりの合成
脱気水100mL中4.69g(3.17mモル)の2の溶液に、新たに昇華させたシステアミン0.489g(6.34mモル)を加えた。溶液を還流下で2時間の間攪拌した。溶液を、冷却して室温にしかつ1N HClで酸性にした後に、Toyopearl SP−650Mイオン交換カラム(NH4+形態)にかけ、生成物を0〜0.2M炭酸水素アンモニウムの勾配で溶離した。適当な画分を一緒にし、凍結乾燥乾固させた。この手順は、白色固体1.87g(収率39%)をもたらした。固体をTLC (シリカゲル、n-PrOH-AcOEt-H20-NH3aq 5/3/3/1、ニンヒドロンによる検出)によって特性表示し、これは、10に相当する主スポットを示した。マトリックス支援レーザー脱着/イオン化(MALDI)飛行時間(TOF)型質量スペクトルをPerSeptive Biosystems,Inc.によって供給される2メートルELITE計測器上で記録した。3について計算したMALDI-TOF m/z : 1252, 実測: 1253.5 [M+H] +, 1275.5 [M+Na] +, 1291.4 [M+K] +."C NMR (Bruker 500 MHz, D20) 8 ppm: 32.1 (S-CH2) and 38.8 (CH2-NH2), 32.9 (Sに隣接するC6), 60.2 (OHに隣接するC6), 70.8,71.4, 72.5 (C2, C3, C5), 81.8 (C4), 101.7 (Cl)。
【実施例11】
【0109】
β−シクロデキストリン(シスタミン)−DTBPコポリマー、11
【化23】
4mLバイアルに、0.1M NaHCO30.5mL中10のビス(炭酸水素)塩19.6mg(1.42×10-5モル)の溶液を仕込んだ。溶液を氷浴中で冷却した後に、ジメチル3,3’−ジチオビスプロピオンイミデート−2HCl(DTBP、イリノイ、ロックフォードのPierce Chemical Co.)4.4mg(1.4×10-5モル)を加えた。次いで、生成した溶液をVortexミキサーで攪拌し、0℃で1時間の間静置させた。反応を1Mトリス−HClで急冷した後に、0.1N HClで酸性にしてpH4にした。次いで、ポリマー水溶液をToyopearl HW−40F樹脂上のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにかけた。画分をGPCによって分析し、適当な画分を凍結乾燥乾固させた。これは、21.3mg(100%)の11を白色粉末としてもたらした。
【実施例12】
【0110】
β−シクロデキストリン(シスタミン)−DMSコポリマー、12
【化24】
磁気攪拌棒及び隔膜を装備した10mL Schlenkフラスコに、200mg(1.60×10-4モル)の10、トリエチルアミン(ウイスコンシン、ミルウォーキーのAldrich Chemical Co.)44μL(3.2×10-4モル)、ジメチルスベルイミデート−2HCl(DMS、イリノイ、ロックフォードのPierce Chemical Co.)43.6mg(1.60×10-4モル)、及び無水のDMF(ウイスコンシン、ミルウォーキーのAldrich Chemical Coc.)3mLを仕込んだ。生成したスラリーを窒素の定常流下で18時間の間80℃に加熱し、その時間の間、溶媒のほとんどが蒸発した。残った残分を水10mLに再溶解し、次いで生成した溶液を0.1N HClで酸性にしてpH4にした。次いで、この溶液を、Amicon Centricon. Plus-20 5,000 NMWL遠心ろ過器を通過させた。水2×10mL分で洗浄した後に、ポリマー溶液を凍結乾燥乾固させてオフホワイト非晶質固体41.4mg(18%)を生じた。
【0111】
代わりの合成: β−シクロデキストリン(シスタミン)−DMSコポリマーを先に記載される(Gonzalez等、1999)通りにして合成した。代表的な実験では、25mLバイアルに、0.5M Na2CO3500μL中に溶解したジシステアミンβ−CD10のビス(炭酸水素)塩(399.6mg、0.269mモル)の溶液を仕込んだ。ジメチルスベルイミデート・2HCl(DMS、イリノイ、ロックフォードのPierce Chemical Co.、73.5mg、0.269mモル)を加え、溶液を短時間遠心分離して成分を溶解した。生成した混合物を25℃において15時間の間攪拌した。次いで、混合物を水10mLで希釈し、1N HClを加えることによってpHを4よりも低くもたらした。次いで、この溶液をdH20中でSpectra/Por 7 MWCO 3500透析膜(Spectrum)に対して24時間の間透析した。透析された溶液を凍結乾燥乾固させた。13C NMR (Bruker 500MHz, D20) δppm:25.8,26.0,27.0,28.7,29.9,32.2,37.5,38.1,41.1,60.0,71.6, 72.3,72.6,80.8,101.4,167.9。
【実施例13】
【0112】
プラスミドとの固定性恒久的荷電型コポリマー複合化
【0113】
全般的に、水中の固定性荷電型CD−ポリマー及びDNAプラスミド溶液を等容量で適当なポリマー/プラスミド電荷比において混合する。次いで、混合物を室温で平衡に達しさせかつ自己集合させる。複合化成功を、混合物の小アリコートを0.6%アガロースゲルに移送し、DNAモービリティーについて調べることによってモニターする。遊離のDNAは、かけた電圧下で移動するのに対し、複合化されたDNAは、ウエルで遅延される。
【0114】
蒸留水中濃度0.1μg/μLのDNA1μgを10μLのコポリマー12とポリマーアミン:DNAホスフェート電荷比2.4、6、12、24、36、60、及び120において混合した。1μg/μLの配合緩衝剤(スクロース40%、ブロモフェノールブルー0.25%、及び5mM EDTAを含有する200mMトリス−アセテート(Gao等、Biochemistry 35:1027-1036 (1996))を各々の溶液に加えた。各々のDNA/ポリマーサンプルを1×TAE緩衝剤(4mMトリス−アセテート/1mM EDTA)中にEtBr6μg/100mLを含有する0.6%アガロース電気泳動ゲルにかけた。DNA/ポリマー複合化の程度は、ゲル移行パターンにおけるDNA減速によって示された。コポリマー(12)は、DNAを電荷比2以上で減速させ、これらの条件下での複合化を示した。
【実施例14】
【0115】
ルシフェラーゼレポーター遺伝子をコード化するプラスミドによるトランスフェクション研究
【0116】
BHK−21細胞を24のウエルプレート中で細胞密度細胞60,000/ウエルでトランスフェクトする24時間前に平板培養した。ルシフェラーゼ遺伝子をコード化するプラスミドを例13のようにしてCD−ポリマーと混合した。DNA/ポリマー複合体を含有する媒体溶液を培養された細胞に加え、37℃で24時間インキュベートした後にフレッシュ媒体に代えた。細胞は、トランスフェクトして48時間した後に溶解された。ルシフェラーゼ光アセイに適当な基質を細胞溶解産物に加えた。ルシフェラーゼ活性を、生成される光単位で測定して、照度計によって定量化した。DNA/ポリマー複合体は、BHK−21細胞を3よりも高い電荷比でトランスフェクトして良好な結果を得、最大のトランスフェクションは、ポリマーアミン:DNAホスフェート電荷比40においてであった。細胞溶解産物は、また、Lowryタンパク質アセイによって細胞生存度を求めるのにも使用した。(Lowry等、Journal of Biological Chemistry,193巻、265-275 (1951))。電荷比40まで、毒性は観測されなかった。
【実施例15】
【0117】
β−シクロデキストリン(シスタミン)−DMAコポリマー、13の合成
【化25】
磁気攪拌棒を装備した20mLシンチレーションバイアルに、180mg(0.131mモル)の10及びジメチルアジポイミデート(DMA、イリノイ、ロックフォードのPierce Chemical Co.)32mgを仕込んだ。これに、0.5M Na2CO3500μLを加えた。生成した溶液をホイルで覆い、一晩攪拌した。混合物を0.1N HClで酸性にし、Spectrapor MWCO 3,500膜を用いて2日間透析し、凍結乾燥させて光の散乱によって求めてMw=6kDaを有する白色非晶質固体41mgをもたらした。
【実施例16】
【0118】
β−シクロデキストリン(シスタミン)−DMPコポリマー、14の合成
【化26】
磁気攪拌棒を装備した20mLシンチレーションバイアルに、160mg(0.116mモル)の10及びジメチルピメルイミデート(DMP、イリノイ、ロックフォードのPierce Chemical Co.)30.1mgを仕込んだ。これに、0.5M Na2CO3500μLを加えた。生成した溶液をホイルで覆い、一晩攪拌した。次いで、混合物を0.1N HClで酸性にし、Spectrapor MWCO 3,500膜を用いて2日間透析し、凍結乾燥させて光の散乱によって求めてMw=6kDaを有する白色非晶質固体22mgをもたらした。
【実施例17】
【0119】
β−シクロデキストリン(シスタミン)−PEG600コポリマー、15
【化27】
磁気攪拌棒、Schlenkアダプター及び隔膜を装備した100mL丸底フラスコに、1.564g(1.25mモル)の10及び新たに蒸留したジメチルアセトアミド(DMAc、Aldrich)25mLを仕込んだ。スラリーに、トリエチルアミン0.7mL(4当量)及びDMAc5mL中8(2.39g、3.75当量)の溶液を加えた。生成した溶液をVortexミキサーで5分間攪拌し、次いで、25℃で1時間の間静置させ、その時間の間に溶液は均質になった。溶媒を真空下で除き、残分をToyopearl HW−40F樹脂上のゲルパーミエーションクロマトグラフィーに水を溶離剤として使用して、かけた。画分をGPCによって分析し、適当な画分を凍結乾燥乾固させてを無色非晶質粉末を生じた。
【実施例18】
【0120】
β−シクロデキストリン−トシレート、16の合成(Melton, L. D.及びSlessor, K. N., Carbohydrate Research, 18,29頁(1971))
【化28】
磁気攪拌棒、真空アダプター及び隔膜を装備した500mL丸底フラスコに、乾燥したβ−シクロデキストリン(8.530g、7.51mモル)及び乾燥したピリジン200mLを仕込んだ。溶液を冷却して0℃にした後に、トシルクロリド1.29g(6.76mモル)を加えた。生成した溶液を一晩暖めさせて室温にした。ピリジンを真空でできるだけ多く除いた。次いで、生成した残分を温水40mLから再結晶させて白色結晶固体7.54(88%)を生じた。
【実施例19】
【0121】
β−シクロデキストリン−トヨージド、17の合成
【化29】
磁気攪拌棒及びSchlenkアダプターを装備した丸底フラスコに、16、ヨウ化カリウム15当量、及びDMFを仕込んだ。生成した混合物を3時間の間80℃に加熱した後に、反応を冷却させて室温にする。次いで、混合物をろ過して沈殿を除き、液を蒸発乾固させ、0℃の水に再溶解させる。テトラクロロエチレンを加え、生成したスラリーを0℃において20分間激しく攪拌する。固体を中位のガラスフリット上に収集し、アセトンですり砕き、P2O5上で保存する。
【実施例20】
【0122】
β−シクロデキストリン−チオール−PEG追加ポリマー、18の合成
【0123】
工程1:β−シクロデキストリン−チオールの合成(K. Fujita等、Bioorg. Chem.,11巻、72頁(1982)及びK. Fujita等、Bioorg. Chem.,11巻、108頁(1982))
磁気攪拌棒及びSchlenkアダプターを装備した50mL丸底フラスコに、1.00g(0.776mモル)の16、チオ尿素(Aldrich)0.59g(7.75mモル)及び0.1N NaOH溶液7.8mLを仕込んだ。生成した混合物を窒素下で6時間の間80℃において加熱した。次に、水酸化ナトリウム0.62g(15.5mモル)を加え、反応混合物を窒素下で更に1時間の間80℃において加熱した。反応を冷却させて室温にした後に、10%HClでpH4.0にもたらした。合計の溶液容積を20mLにもたらし、次いで氷浴中で冷却した後に、テトラクロロエチレン0.8mLを加えた。反応混合物を0℃において0.5時間の間激しく攪拌した後に、沈降固体を微細なガラスフリットで収集した。固体を一晩ポンプで汲み出して白色非晶質固体0.60g(67%)を生じた。
【0124】
工程2:磁気攪拌棒及び還流凝縮器を装備した100mL丸底フラスコに、工程1で調製したβ−シクロデキストリン−チオール2.433g(2.11mモル)、官能化されたPEG(日本、東京、大妻女子大学のコヤマヨシユキから受け入れたペンダントオレフィンを有するPEG)0.650g及びdH2O50mLを仕込んだ。生成した混合物を1時間の間還流に加熱し、その時間中にβ−シクロデキストリン−チオールが溶解した。反応混合物を冷却させて室温にし、沈降固体を遠心分離によって除いた。上澄みをSpectra/Por 7 MWCO 1,000膜で水に対して透析した。溶液を凍結乾燥させて非晶質白色固体をもたらした。
【化30】
【実施例21】
【0125】
枝分かれしたPEI−シクロデキストリンポリマー、19の合成
【0126】
磁気攪拌棒を装備した20mLシンチレーションバイアルに、枝分かれしたPEI(25kD、Aldrich)及び17を仕込んだ。これに、脱気した炭酸ナトリウム緩衝剤を加えた。生成した溶液を80℃において4時間の間攪拌した。生成物を0.1N HClで酸性にし、Spectrapor MWCO 3,500膜を用いて2日間透析し、凍結乾燥させた。
【0127】
(実施例21−B)
枝分かれしたPEI(Mw1200、Aldrich)及び二官能化されたシクロデキストリンモノマー2(1当量)を乾燥したDMSO中で混合した。混合物を80℃において4日間攪拌し、Spectra/Por MWCO 10,000膜を用いて水に対して2日間透析し、凍結乾燥させた。
【実施例22】
【0128】
Ad−PEG3400−Adの合成
【0129】
1−アミノアダマンタン240mg(1.60mモル、Aldrich)及びPEG3400(SPA)2288mg(0.085mモル、Shearwater Polymers)を攪拌棒を装備したガラスバイアルに加えた。これにジクロロメタン5mLを加え、溶液を一晩攪拌した。翌日に、溶液をろ過してn−ヒドロキシスクシドイミド副生物を除き、ジクロロメタンを真空で除いた。残分を水に溶解し、遠心分離して過剰の1−アミノアダマンタンを除いた。次いで、上澄みを、MWCO=3500を有するPierce's Slide-A-Lyzerにおいて一晩透析した。次いで、溶液を凍結乾燥させてAd−PEG3400−Adの白色の毛羽の固体248mgをもたらした。
【実施例23】
【0130】
Ad−PEG3400−NH2の合成
【0131】
FMOC−PEG3400−NH2347mg(0.110mモル、Shearwater Polymers)及び1−アミノアダマンタン155mg(1.0mモル、Aldrich)を攪拌棒を装備したガラスバイアルに加えた。これにジクロロメタン5mLを加え、生成した溶液を一晩攪拌した。翌日に、溶液をろ過してn−ヒドロキシスクシドイミド副生物を除き、ジクロロメタンを真空で除いた。残分を水に溶解し、ろ過して未反応の1−アミノアダマンタンを除いた。次いで、溶液を凍結乾燥させて水を除いた。生成した固体をDMF中ピペリジン20%中に20分間溶解することによってFMOC基を除いた。溶媒を真空で除き、残分を水に再溶解した。溶液を遠心分離して未溶解のFMOCを除き、次いで、Pierce's Slide-A-Lyzer, MWCO 3500において一晩透析した。次いで、溶液を凍結乾燥させてAd−PEG3400−NH2の白色の毛羽の固体219mgをもたらした。
【実施例24】
【0132】
アダマンタン−PEG3400−NH2(Ad−PEG3400−NH2)
【0133】
FMOC−PEG3400−NHS266mg(78.2μモル、Shearwater Polymers、アラバマ、ハンツビル)を磁気攪拌棒を装備したガラスバイアルに加えた。次いで、1−アダマンタン−メチルアミン10当量(1.5mモル、Aldrich)をジクロロメタン3mL中に溶解して加え、溶液を一晩室温で攪拌した。溶媒を真空で除き、残留する溶液に水を加えてPEG生成物を溶解した。溶液を20K rcfで10分間遠心分離し、その際にアダマンタン−メチルアミンが一層濃密な液として相分離した。水性層を収集し、水を真空で除いた。残留する粘稠な液をFMOC脱保護のためにDMF中ピペリジン20%中に再溶解し、室温で30分間攪拌した。溶媒を真空で除き、DMFで何回か洗浄し、水に再溶解し、アニオン性交換カラム上でランして未反応のPEGを除いた。初めの画分を収集し、凍結乾燥させて所望の生成物の白色の毛羽の粉末222mg(収率76%)を生じ、これをMALDI-TOF分析によって確認した。
【実施例25】
【0134】
アダマンタン−PEG3400−ラクトース(Ad−PEG3400−Lac)
【0135】
例24で調製した通りのAd−PEG3400−NH260mg(16.8μモル)、及びラクトース−モノスクシドイミル5当量(50mg、Pierce、イリノイ、ロックフォード)を攪拌棒を装備したガラスバイアルに加えた。50mM NaHCO32mLを加え、生成した溶液を一晩攪拌した。アミンの反応をTNBSアセイによってモニターした、これはアミン濃度を求めるものである。アミンが完全に反応した際に(アミン99%が反応した)、溶液を透析チュービング(Slide-A-Lyzer, MWCO=3500, Pierce)に移し、水に対して24時間の間透析し、凍結乾燥させて毛羽の白色粉末65.1mg(収率93%)を生じた。
【実施例26】
【0136】
Ad−PEG5000の合成
【0137】
PEG5000−NHS279mg(0.053mモル、Shearwater Polymers)を攪拌棒を装備したガラスバイアルに加えた。これに、1−アダマンタン−メチルアミン46μL(0.42mモル、Aldrich)をジクロロメタン3mLに溶解して加え、溶液を一晩室温で攪拌した。翌日に、溶液をろ過してn−ヒドロキシスクシドイミド副生物を除き、ジクロロメタンを真空で除いた。残分を水に溶解し、遠心分離した。過剰の1−アダマンタンメチルアミが相分離し、上部水性相を除き、MWCO=3500を有するPierce's Slide-A-Lyzerにおいて一晩透析した。次いで、溶液を凍結乾燥させてAd−PEG5000の白色の毛羽の固体253mgをもたらした。生成物を、Richards Scientific ELS検出器及びC18カラムを装備したBeckman Gold HPLCシステム上で分析し、純粋である(PEG5000−NHSの保持時間:10.7分;生成物の保持時間:12.0分;アセトニトリル/水勾配)ことを実測した。
アダマンタン−PEG5000(Ad−PEG5000)の代わりの合成
【0138】
PEG5000−NHS674mg(135μモル、Shearwater Polymers)を磁気攪拌棒を装備したガラスバイアルに加えた。1−アダマンタン−メチルアミン5当量(675μモル、Aldrich)をジクロロメタン10mL中に溶解して加え、溶液を一晩室温で攪拌した。溶媒を真空で除き、残留する溶液に水を加えた。溶液を20K rcfで10分間遠心分離し、その際にアダマンタン−メチルアミン相が一層濃密な液として相分離した。水性部分を収集し、水に対して24時間の間透析した(Slide-A-Lyzer, MWCO=3500)。溶液を凍結乾燥させて白色の毛羽の粉末530mg(収率75%、生成物の略図を下記に示す)を生じた。生成物を、Richards Scientific ELS検出器及びC18カラムを装備したBeckman Gold HPLCシステム上で分析し、純粋である(PEG5000−NHSの保持時間:10.7分;生成物の保持時間:12.0分;アセトニトリル/水勾配)ことを実測した。Ad−PEG3400を同様のプロトコルを用いて合成した(収率56%、生成物をMALDI-TOF分析によって確認した)。
【化31】
【実施例27】
【0139】
アダマンタン−(PEG5000)2(Ad−(PEG5000)2)
【0140】
(PEG5000)2−NHS315mg(30μモル、Shearwater Polymers)を磁気攪拌棒を装備したガラスバイアルに加えた。次いで、1−アダマンタン−メチルアミン10当量(300μモル、Aldrich)をDCM3mLに溶解して加え、溶液を一晩室温で攪拌した。溶媒を真空で除き、残留する溶液に水を加えてPEG生成物を溶解した。溶液を20K rcfで10分間遠心分離し、その際にアダマンタン−メチルアミンが一層濃密な液として相分離した。水性層を収集し、水に対して24時間の間透析した(Slide-A-Lyzer, MWCO=3500)。溶液を凍結乾燥させて白色の毛羽の粉末286mg(収率91%)を生じた。
【実施例28】
【0141】
アダマンタン−PEG3400−フルオレセイン(Ad−PEG3400−FITC)
【0142】
Ad−PEG3400−NH220mgを磁気攪拌棒を装備したガラスバイアル中の0.1M NaHCO33mL中に溶解した。この溶液に、DMSO中のフルオレセインイソチオシアネート(FITC,Sigma)3当量(4mg/mL、1.6mL)を加え、生成した溶液を暗がりで一晩攪拌した後に、透析チュービング(MWCO=3500)に移し、暗がりで水に対して48時間の間透析した。溶液を収集し、凍結乾燥させて黄色の毛羽の固体23mgを生じた。PEG3400−FITCをPEG3400−NH2(Shearwater Polymers)から同じプロトコルを用いて対照ポリマーとして合成して23mgを生じた。
【実施例29】
【0143】
GALAペプチドの合成
【0144】
自動合成装置を使用してBiopolymer Synthesis Facility (Beckman Institute, California Institute of Technology)によって、GALAペプチド(配列:W-E-A-A-L-A-E-A-L-A-E-A-L-A-E-H-L-A-E-A-L-A-E-A-L-E-A-L-A-A, MW 3032)を合成した。ペプチドを樹脂から開裂する前に、アダマンタン接合のために樹脂の三分の一を取って置いた。HPLCによるペプチドの分析は、純度が95%よりも大きいことを示した。1−アダマンタン−カルボン酸(Aldrich)をDDCカップリングケミストリーによってGALA−ペプチドのN−末端に接合させた。生成したペプチド(GALA−Ad、Mw3194)を樹脂から開裂した。HPLCによるペプチドの分析は、純度が90%よりも大きいことを示した。ペプチドの身元は、MALDI-TOF分析(Biopolymer Analysis Facility, Beckman Institute, California Institute of Technology)によって確認した。
【実施例30】
【0145】
GALAペプチドを用いた発明の組成物の調製
【0146】
プラスミド及びオリゴヌクレオチド。ルシフェラーゼ遺伝子をSV40プロモーターの制御下で含有するプラスミドpGL3-CV (Promega,ウイスコンシン、マディソン)をEsherichia Coliによって増幅しかつQiagen's Endotoxin-free Megaprepキット(カリフォルニア、バレンシア)を使用して精製した。フルオレセイン標識付けしたオリゴヌクレオチド(FITColigos, 25-mer, 5'-FITC-ACT GCT TAC CAG GGA TTTCAG TGC A-3')をBiopolymer Synthesis Facility (California Institute of Technology)によって合成した。
【0147】
粒子形成及び特性表示。発明の組成物を、等しい容積の12(dH2Oに溶解した)をDNA(dH2O中0.1mg/mL)と適当な電荷比で混合することによって調製した。次いで、50mMホスフェート緩衝サリーン(PBS、pH7.2)に溶解した同じ容積のGALA又はGALA−Adを複合体に加えた。例えば、粒子特性研究によって、プラスミドDNA2μg(20μL)を12(20mL)と電荷比5+/−で複合化した。次いで、GALA溶液、GALA−Ad溶液又は50mM PBS(対照サンプルについて)20μLを複合体に加えた。次いで、溶液を、1.2mL dH2Oを加えることによって希釈した。粒子のサイズ及び電荷を、ZetaPals動的光散乱検出器(Brookhaven Instruments Corporation,ニューヨーク、ホルツビル)を使用してそれぞれ動的光散乱法及びゼータ電位測定によって求めた。結果を、これらの測定値の平均±標準偏差として提示して図2に示す。電荷比5+/−で調製した12/pGL3-CV組成物の流体力学的径を動的光散乱法によって測定して260nmであるのを実測した。20μL中のプラスミドDNA2μgを等しい容積の12と電荷比5+/−で混合した。次いで、GALA又はGALA−Adを種々の比で粒子に加えた。流体力学的径を光散乱法測定によって求めた。結果を、これらの測定値の平均±標準偏差として提示する。GALAペプチドは、pH7.5における水溶性ランダムコイルコンフォメーションからpH5における水不溶性らせんへの転移を受ける。GALA及びアダマンタン改変されたGALA(GALA−Ad)ペプチドを50mM PBS(pH7.2)に溶解し、治療組成物に種々のペプチド/シクロデキストリン比で加えた。混合物をdH2Oで希釈し、粒子サイズを動的光散乱法によって求めた(図2)。図2は、GALA(破線)及びGALA−Ad(実線)改変されたペプチドの流体力学的径を示す。
【0148】
結果。粒子カウントレートは、加えたペプチドのすべての濃度について同じままであることから、ペプチドの添加は、組成物を乱さないようである。GALA及びGALA−Adの添加の関数としての粒子サイズプロフィルは、極めて類似している。流体力学的径は、250nm(GALA又はGALA−Ad1%)から400nm(GALA又はGALA−Ad10%)に増大する。ペプチドを一層多く加えるにつれて、粒子サイズは、再び減少して未改変の治療組成物の粒子サイズになる。径は、30%以上のGALA−Ad及び50%以上のGALAを加えることによりおよそ250nmに戻る。図2を参照。
【実施例31】
【0149】
GALA改変された組成物のBHK−21細胞への取込み
【0150】
細胞培養。BHK−21細胞をATCC(メリーランド、ロックビル)から購入し、HUH−7細胞は、Valigen(ペンシルバニア、ニュータウン)から惜しげもなく与えられた。両方の細胞系統を、37℃及びCO25%で作動させかつ4〜5日毎に通過させた給湿されたインキュベーター中で牛胎児血清10%、ペニシリン100単位/mL、ストレプトマイシン100μg/mL、及びアンホテリシン0.25μg/mLを補ったDMEM中で培養した。媒体及び栄養補給剤は、Gibco BRL(メリーランド、ガイザースバーグ)から購入した。
【0151】
培養された細胞による治療組成物の取込み。BHK−21細胞を6−ウエルプレート中で細胞15,000/ウエルで平板培養し、37℃で24時間の間インキュベートした。FITC-oligo5μgを12と電荷比5+/−で複合化した。5分の複合化時間の後に、50mM PBS(pH7.2)中のGALA又はGALA−Ad50μLを複合体に加えた。媒体を細胞から除き、細胞をPBSで洗浄した。トランスフェクトするために、Optimem900μLを各々の治療組成物溶液に加え、溶液全体を細胞に移した。細胞をトランスフェクション混合物と5時間の間インキュベートした後に、媒体を除き、細胞をPBSで2度洗浄した。細胞をトリプシン処理することによって収集しかつFACS分析のために準備した。細胞を洗浄緩衝剤(DNase及びMgCl2を含有するHank's Balanced Salt Solution)で2度洗浄し、500μL FACS緩衝剤(Hank's Balanced Salt Solution、牛血清アルブミン2.5mg/mL、プロピジウムヨージド10μg/mL)中に再懸濁させた。FACS分析は、FACS Caliburフローサイトメーター(Becton Dickinson, カリフォルニア、サンホセ)及びCellQuestソフトウエアを使用して行った。結果を図4に示す。図4a−dに示す通りに、BHK−21細胞(4a)を12/FITC-Oligo (4b), 12/FITC-Oligo/50% GALA (4c)及び12/FITC-Oligo/50% GALA-Ad (4d)でトランスフェクトした。取込みをフローサイトメトリー分析によって求めた。データを蛍光プロフィルとして提示し、細胞カウント数をy軸に沿ってプロットし、フルオレセイン蛍光強度をx軸に沿ってプロットする。
【実施例32】
【0152】
改変された複合体のゼータ電位
【0153】
20μL中のプラスミドDNA2μgを等容量の12と電荷比5+/−で混合した。次いで、GALA又はGALA−Adを種々の比で粒子に種々のペプチド/CD比で加えた後に、dH2Oで希釈した。粒子電荷は、電気泳動モービリティー測定によって求め、mVで表わす粒子ゼータ電位として提示した。12/pGL3-CV組成物の電荷比5+/−における粒子電荷をゼータ電位測定によって求めて+13mVであるのを実測した。ペプチドの存在における粒子のゼータ電位を求めて3つの測定値の平均±標準偏差として図3に提示した。
【0154】
結果。GALAペプチドは、pH7.2でアニオン性ペプチド(いくつかのグルタミン酸残基を含有する)であることから、GALA及びGALA−Adと組成物との会合は、それらのゼータ電位を減少させる。組成物は、GALA(−11mV)又はGALA−Ad(−23mV)30%によって負に荷電されるようになる。GALA+治療組成物溶液のゼータ電位は、この点で横ばい状態になり;GALAを一層多く加えるても、ゼータ電位をわずかに増大させるにすぎない(GALA150%において−15mV)。しかし、GALA−Ad濃度が大きくなると、粒子は、一層負に荷電されるようになる。GALA150%を加えた組成物は、ゼータ電位−42mVを有する。図3を参照。
【実施例33】
【0155】
組成物のDNA送達効率。
【0156】
HUH−7細胞:肝細胞癌系統HUH−7もまた12/FITC-Oligoにより電荷比5+/−及び12/FITC-Oligo/50% GALA-Ad組成物でトランスフェクトした。DNA取込みをBHK−21細胞について記載する通りにしてモニターした。トランスフェクトされていないHUH−7細胞についての蛍光プロフィルは、最初の十分位数に存在する(図5a)。FITC-Oligoを、12によりHUH−7細胞95%に送達するのに良好な結果が得られた(図5b)。GALA−Ad50%を組成物に加えると、BHK−21細胞によって観測される通りにFITC-Oligo取込みを2オーダーの大きさで抑制する(図5c)。
【実施例34】
【0157】
発明組成物のルシフェラーゼトランスフェクション効率
【0158】
GALA及びGALA−Ad改変された組成物のトランスフェクション能力を、ルシフェラーゼレポーター遺伝子を培養された細胞に送達することによって求めた。BHK−21細胞を24−ウエルプレート中で平板培養し、12と複合化したpGL-CV3(ルシフェラーゼ遺伝子を含有するプラスミド)1μgにより電荷比5+/−でトランスフェクトして粒状複合体を形成した。これらの粒状複合体を、GALA又はGALA−Adを種々のペプチド/シクロデキストリン比で加えることによって改変した。細胞は、トランスフェクトして48時間した後に溶解され、これらをルシフェラーゼ活性について分析し、結果を図6に示し、相対的光単位(RLU)で報告する。データを3つのサンプルの平均±SDとして報告する。バックグラウンド=300RLV。
【0159】
細胞は、12/pGL-CV3組成物によりトランスフェクトされて良好な結果が得られ、RLUは〜1×105であった。GALAの添加はトランスフェクション効率に大きな影響を与えなかった。しかし、GALA−Adによる組成物改変はトランスフェクションを大きく改変した。GALA1%を加えると、トランスフェクションを2倍増大させて2×105RLUにし、12/FITC-Oligo/10% GALAもまたトランスフェクションのわずかな増大(1.5×105RLU)を生じた。GALA100%を加えると、トランスフェクションを50%減小させて5×104RLUにした。
【実施例35】
【0160】
GALA及びGALA−Ad組成物の毒性。
【0161】
GALA及びGALA−Ad改変された組成物の毒性を、トランスフェクション実験で得られた溶解産物のタンパク質濃度を測定することによって求めた。BHK−21細胞を、12と複合化したpGL-CV3 1μgにより電荷比5+/−でトランスフェクトした。トランスフェクトする前に、GALA及びGALA−Adを種々の比で複合体に加えた。GALA(実棒)及びGALA−Ad(白棒)の存在におけるトランスフェクションについての細胞生存率を、トランスフェクトして48時間した後の合計のタンパク質濃度についてアセイしかつ各々のサンプルをトランスフェクトされていない細胞についてのタンパク質レベルによって標準化することによって求めた。タンパク質濃度を、3つの反復試験を平均しかつ12/pGL-CV3組成物単独によってトランスフェクトされた細胞の平均タンパク質濃度で割り、細胞生存分率として報告し、平均±SDとして報告する(図7)。GALA及びGALA−Adをトランスフェクション溶液に加えると、BHK−21細胞への観測し得る毒性を生じなかった。
【実施例36】
【0162】
ラクトース−β−シクロデキストリン−DMSコポリマー20(Lac−β−シクロデキストリン−DMSコポリマー20)
【0163】
12(20.5mg、3μモル)、α−ラクトース10当量(21mg、60μモル、Sigma)、及びナトリウムシアノボロヒドリド18.6mg(300μモル)をガラスバイアルに加えた。pH8.5のボレート緩衝剤1mLを固形分に加え、生成した溶液を短時間渦回転させた後に、37℃水浴中で30時間の間インキュベートした。溶液を、1M HClを加えることによって酸性にしてpH6.0にし、水に対して24時間の間透析した。ポリマーアミンについてのTNBSアセイは、接合87%を示した。化合物20の構造。
【実施例37】
【0164】
ラクトース−(CH2)6−β−シクロデキストリン−DMSコポリマー21(Lac−C6−β−シクロデキストリン−DMSコポリマー21)
【0165】
12(43.2mg、7.4μモル)及びモノ(ラクトシルアミド)モノ(スクシンイミジル)スベラート5.6当量(50mg、84μモル、Pierce)を、磁気攪拌棒を装備したガラスバイアルに加え、50mM NaHCO32mLに溶解した。反応を、ポリマーアミン末端基の消失をTNBSアセイによりモニターすることによってたどり、接合90%を示した。溶液を、1M HClを加えることによって酸性にしてpH5.0にし、生成した溶液をPierce MWCO 3500 Slide-A-Lyzerにおいて水に対して2日間透析した後に凍結乾燥させた。白色の毛羽粉末が収率70%で得られた。21の構造を図12に示す。
【実施例38】
【0166】
PEG3400を末端基とするβ−シクロデキストリン−DMSコポリマー22;Pre−DNA複合化ペグ化
【0167】
20.3mgの12(3μモル)及びFMOC−PEG3400−NHS10当量(190mg、60μモル)を磁気攪拌棒を装備したガラスバイアルに加え、pH8.5の50mM NaHCO31mLに溶解した。溶液を暗がりで室温において20時間の間攪拌し、次いで凍結乾燥させた。固体をDMF中ピペリジン20%0.5mL中に溶解し、30分間攪拌してFMOC脱保護した。溶媒を真空で除き、生成した粘稠な液を水に溶解し、0.1M HClを加えることによってpHを6.0よりも低くもたらした。ポリマーをアニオン交換クロマトグラフィーによって未反応のPEGから分離し、凍結乾燥させて白色の毛羽の粉末を生じた。22の構造を下記に示す。
【化32】
【0168】
Prep−DNA複合化ペグ化。12及び22の両方を、粒子サイズ測定のためにプラスミドDNAと混合した。βCDP6 12はプラスミドDNAを凝縮して流体力学的径;130nmを有する均一な粒子にするが、ペグ化された22はDNAを凝縮することができない。ポリマー末端にPEGが存在するとDNA凝縮を妨害する。
【実施例39】
【0169】
グラフトによるPost−DNA−複合化ペグ化
【0170】
使用する手順をOgris等、Gene Therapy, 6, 595-605 (1999)から変更した。dH2O500μL中のpGL3-CV5μgを等容量のPEI(dH2O中)と電荷比3+/−又は6+/−で混合した。12/DNA粒状複合体を電荷比5+/−で同じようにして調製した。粒状複合体の粒子直径を動的光散乱法(DLS)によって求めた。粒状複合体形成後、室温で2時間の間混合した溶液に、PEG5000−SPA(DMF中10mg/mL)を加えた。第二段階として、粒子サイズ測定後、pH7.2のPBS500μLを溶液に加えた。溶液を室温で30分間インキュベートした後に、最終の粒子サイズをDLSによって求めた。概略表示について図8を参照。
【0171】
ステージ1で、PEI/DNA又は12/DNA粒状複合体をdH2O1.2mL中で形成した。粒子のサイズを動的光散乱法(DLS)によって求めた。ステージ2で、PEG5000−SPAを粒状複合体溶液に加え、ポリマー第一級アミノ基と1時間の間反応させた。「ペグ化された」サンプルのサイズをDLSによって求めた。ステージ3について、pH7.2のPBS600μLを各々のサンプルに加えてペグ化された粒子の塩安定性をテストした。塩添加して30分した後に粒子サイズを求めて粒子凝集の程度を求めた。
【0172】
ステージ1について、PEI粒状複合体を電荷比3+/−又は6+/−で配合し、12/DNA粒状複合体プレックスを電荷比5+/−で配合した。PEG5000−SPAをPEIにOgris等、Gene Therapy, 6, 595-606, 1999によって公表された手順に従って10:1w/wで加えた。12をPEG100%、150%及び200%:アミン(モル%)でペグ化した。対照として、未反応のPEGもまた12に100%で加えた。各々のステージにおける粒子直径を図9の表に提示する。PEI粒状複合体は、ペグ化した際にサイズがわずかに増大した(電荷比3+/−について58nmから65nmに及び電荷比6+/−について55nmから60nmに)。ペグ化は、PEI粒状複合体を塩誘発される凝集に対して保護した。未改変のPEI粒子は、塩添加後に直径が800nmに増大し、ペグ化されたPEI粒状複合体は、サイズが78nm(電荷比6+/−について)及び115nm(電荷比3+/−について)にわずかに増大した。
【0173】
PEG5000−SPA150%及び200%を12ベースの粒状複合体に加えると、粒子直径を破壊を生じ;粒子カウントは激しく減少し、一貫した相関関数が観測されなかった。12をペグ化すると、同様にポリマー/DNA結合を妨げる。PEG5000−SPA100%でペグ化した後に、粒子サイズは67nmに保たれる。しかし、粒子サイズを時間の関数としてモニターすると、粒子がPEGを添加しておよそ30秒した後に崩壊され、その後、小さい粒子が再び観測されることを示した。従って、PEG5000−SPA100%を加えると、12の画分をペグ化し得る。ポリマー12をDNAに対して過剰に加える(電荷比5+/−で)ことから、粒子がそこで再配列し、それで未改変のポリマーがプラスミドDNAとポリプレックスを形成し、ペグ化されたポリマーの大部分が溶液中に遊離のままであるようになり得る。これらの粒子に塩添加すると、粒子凝集(300nm)を生じるが、未改変の12粒状複合体(700nm)程にはならない。要するに、DNA複合化ペグ化後にポリマー第一級アミノ基と反応させることは、高い電荷密度を有する高いMWポリマーについて有効であるようである。しかし、12との反応は、DNA複合化後でさえ、PEG5000−SPA100%添加における塩安定化の欠如及び一層高いPEG5000−SPA濃度による粒子破壊を生じる。
【実施例40】
【0174】
包接複合体形成によるpost−DNA−複合化ペグ化
【0175】
下記の手順を用いて、アダマンタン−PEG(Ad−PEG)分子を、予備形成した組成物の溶液にアダマンタン100%対シクロデキストリン(モル%)で加えた。次いで、PBSを溶液に加え、粒子サイズをDLSによって2分間隔でモニターした。結果を図10に示す。
【0176】
手順:dH2O600μL中のpGL3-CV2μgを等容量の12(dH2O中)と電荷比5+/−で混合した。所望の量のAd−PEG(dH2O中10mg/mL)を加え、粒子サイズをDLSによって求めた。pH7.2のPBS600μLを溶液に加え、粒子サイズを2分間隔で8分間モニターした。
【0177】
ペグ化されない12粒子の平均直径は、塩添加後8分以内で58nmから250nmに増大した。溶液中に遊離のPEGが存在することは、凝集を妨げなかった(塩添加後平均直径240nm)。しかし、線状Ad−PEG分子との包接複合体を経たペグ化は、長さ依存様式で粒子凝集を低減させた。塩添加して8分した後に、Ad−PEG3400でペグ化した粒子は、凝集して直径210nmになり、Ad−PEG3400−Lacでペグ化した粒子は、凝集して直径200nmになる。Ad−PEG5000でペグ化した粒子は、塩添加して8分した後に、直径が90nmに、塩添加して2時間した後に160nmに増大するにすぎない。Ad−(PEG5000)2で改変すると、凝集に与える影響は小さかった(塩添加後粒子直径200nm)。
【0178】
安定化もまたPEG密度依存様式で行われる(図10A)。塩添加して10分した後に測定した平均粒子直径は、未改変のポリプレックスについて4.7倍(58nmから272nmに)増大するが、アダマンタン150%又200%をシクロデキストリンに加えることによって改変したポリプレックスについては1.2倍増大するにすぎない。
【実施例41】
【0179】
post−複合化ペグ化による細胞取込みの低減
【0180】
工程1:トランスフェクション混合物を下記の通しにして調製した:等容量のカチオン性12をFITC-Oligo(水中0.1μg/μL)3μgにポリマー対DNAの電荷比3+/−で加えた。複合体に遊離のPEG又はAd−PEG5000(例40で調製した通り)をPEG:シクロデキストリン比1:1で加えた。
【0181】
工程2:HUH−7細胞を6−ウエルプレート中で細胞3×105/ウエルで平板培養し、DMEM4mL+FBS10%+抗生物質/抗真菌性4mL中に24時間の間保った。24時間した後に、細胞をPBSで洗浄し、工程1のトランスフェクション混合物を含有するOptimem1mLを細胞に加えた。15分インキュベートした後に、トランスフェクション媒体を除き、細胞をPBSで洗浄し、Optimem1mLを各々のウエルに加えた。細胞を37℃で更に30分間インキュベートした。次いで、細胞をCell Scrub Buffer (Gene Therapy Systems)で洗浄して表面会合された複合体及びPBSを除き、次いでトリプシン処理することによってウエルから引き離した。次いで、細胞をFITC-Oligo取込みについて準備しかつFACS分析によって分析した。結果を下記の表1に記載する。複合体をAd−PEG5000で改変すると、FITC-Oligo/ポリマー複合体の取込みを低減させる。
【0182】
【表1】
【実施例42】
【0183】
12/Ad−PEG3400−FITC組成物形成及び培養した細胞への送達
【0184】
BHK−21細胞を6−ウエルプレート中で細胞200,000/ウエルで平板培養し、37℃で24時間の間インキュベートした。oligo(dH2O中0.1mg/mL)3μgを等容量の12(dH2O中2mg/mL)と電荷比5+/−で複合化した。5分の複合化時間の後に、PEG−FITC又はAd−PEG−FITC(dH2O中10μg/mL)1.μLを複合体に加えた。媒体を細胞から除き、細胞をPBSで洗浄した。トランスフェクトするために、Optimem940μLを各々の治療組成物溶液に加え、溶液全体を細胞に移した。細胞をトランスフェクション混合物と4時間の間インキュベートした後に、媒体を除き、細胞をPBSで洗浄し、完全な媒体4mL中に加えた。細胞を37℃で更に24時間の間インキュベートした後に、媒体を除き、細胞をPBSで2度洗浄した。細胞をトリプシン処理することによって収集しかつFACS分析のために準備した。細胞を洗浄緩衝剤(DNase及びMgCl2を含有するHank's Balanced Salt Solution)で2度洗浄し、FACS緩衝剤(Hank's Balanced Salt Solution、牛血清アルブミン2.5mg/mL、プロピジウムヨージド10μg/mL)500μL中に再懸濁させた。FACS分析は、FACS Caliburフローサイトメーター(Becton Dickinson, カリフォルニア、サンホセ)及びCellQuestソフトウエアを使用して行った。図11は結果を示す。
【0185】
Ad−PEG3400−FITCにより包接複合体を形成すると、フルオレセイン取込みをAd−PEG3400−FITCでインキュベートした12にまさって増大した(43%対14%、図11)。媒体中の遊離のAd−PEG3400−FITCは、細胞中にピノサイトチック又はエンドサイトチック通路の一部として取り入れられ得る。しかし、Ad−PEG3400−FITCは、また、12に複合化される時に、細胞に入ることができる。12粒状複合体の低い比(10%)におけるAd−PEG3400−FITC改変は、インターナリゼーションを抑制しそうもない。むしろ、12粒状複合体は、容易に細胞表面に結合し、それらが内在化されると、Ad−PEG3400−FITCを細胞に共送達する。12粒状複合体補助(assisted)送達は、12/Ad−PEG3400−FITCトランスフェクトされる細胞において観測される一層高いフルオレセイン蛍光を生じる。この方法は、また、小分子治療剤を関心のある遺伝子と共に共送達するために適応させることもできる。
【実施例43】
【0186】
HU47細胞のトランスフェクション
【0187】
ルシフェラーゼトランスフェクション。HUH−7細胞を24−ウエルプレート中で細胞50,000/ウエルで平板培養し、37℃で24時間の間インキュベートした。pGL3-CVプラスミド(dH2O中0.1mg/mL)3μgを等容量の12又は21(図13を参照)と種々の電荷比で複合化した。媒体を細胞から除いた後にトランスフェクトし、細胞をPBSで洗浄した。Optimem600μLを各々の治療組成物溶液に加えてトランスフェクション溶液を形成し、それの230μLを3ウエルの各々に4時間の間加えた。4時間した後に、完全な媒体800μLを各々のウエルに加えた。トランスフェクトして24時間した後に、媒体を変え、トランスフェクトして48時間した後に、細胞をCell Culture Lysis Buffer (Promega,ウイスコンシン、マディソン)50μL中に溶解した。Promegaのルシフェラーゼアセイ試薬を用いてルシフェラーゼ活性を分析した。結果を図13に示す。
【実施例44】
【0188】
アダマンタン−誘導体化PEI(Ad−PEI)の合成
【0189】
ポリエチレンイミン(PEI)及びアダマンタンカルボン酸を乾燥したCH2Cl2中で混合しかつ冷却して0℃にする。DCC(1当量)、1−ヒドロキシベンゾイルトリアゾール(1当量)、及びトリエチルアミン(1当量)を混合物に加える。溶液をゆっくり温めて室温にし、16時間の間攪拌した。沈殿をろ過によって除き、次いで、溶媒を真空によって除く。残留する黄色がかった固体に水を加える。不溶性の固体を遠心分離によって除く。水溶液を透析バッグに注意深く移し、水に対して24時間の間透析する。凍結乾燥させた後に生成したPEI−CDが得られる。
【実施例45】
【0190】
シクロデキストリン−PEG(CD−PEG)の合成
【0191】
PEG−スクシンイミジルプロピオ酸(SPA)(Shearwater Polymers)及びシクロデキストリン−モノアミン(1.2当量)をDMSO中に溶解して室温で24時間の間攪拌する。シクロデキストリン−PEG生成物を透析によって精製する。
【実施例46】
【0192】
Ad−PEI/DNA粒状複合体の配合及び続くCD−PEGによる変性
【0193】
プラスミドDNA(dH2O中0.1μg/μL)1μgを実施例42のAd−PEIと電荷比5+/−で混合する。次いで、実施例46のCD−PEG(dH2O中に溶解した)を複合体に所望のCD:Ad比で加える。
【実施例47】
【0194】
ペグ化による安定化:高い濃度における配合
【0195】
プラスミドDNA4μgを等容量のポリマー混合物(シクロデキストリンポリマー12を電荷比2.5+/−で及びいくつかの場合では、アダマンタン−PEG5000又はPEG5000を1CD:1PEGで含有する)と0.1mg/mL〜4mg/mLの範囲の種々の最終DNA濃度で混合した(図14を参照)。溶液の半分を水1.2mLで希釈し、直径を動的光散乱法によって求めた。溶液の他の半分をQiagen Qiaquickカラムを通過させて溶液中に残留するDNAを抽出した。DNA濃度をλ=260におけるUV吸光度によって求めた。
【0196】
結果(図15及び16):アダマンタン−PEG5000で改変した小さくかつ均一な粒状複合体(直径<100nm)をDNA4mg/mLまで及びDNA4mg/mLを含む濃度で沈殿しないで配合することができる。未改変のポリプレックスは、0.2mg/mLよりも大きい濃度で大きな粒子(>300nm)を形成し、すべての配合濃度で広範な沈殿が観測される(>50%DNA損失)。
【実施例48】
【0197】
ポリプレックス表面改変による非特異的取込みの抑制
【0198】
BHK−21細胞を6−ウエルプレート中で平板培養した。細胞を、等容量の12により複合化したFITC-Oligo(トランスフェクション混合物の最終濃度:DNA0.05mg/mL)3μgで12/DNA電荷比2.5+/−でトランスフェクトした。次いで、粒状複合体を下記のリンカーで改変した:
アニオン性リンカー: WEAALAEALAEALAEAC
Ad-アニオン性リンカー: Ad-WEAALAEALAEALAEAC
Ad-PEG Ad-PEG5000
Ad-アニオン性リンカー-PEG Ad-WEAALAEALAEALAEAC-PEG5000
【0199】
Optimem1mLをトランスフェクション混合物に加え、全溶液を予備洗浄したBHK−21細胞(PBSですすいだ)に15分間移した。次いで、媒体を除き、細胞をCellScrubで洗浄し、トリプシン処理しかつFACS分析のために準備した。
【0200】
結果:包接ゲスト(アダマンタン)、スペーサー(アニオン性リンカー)、及び官能基(PEG5000)は、12/DNA粒状複合体を改変しかつ培養した細胞中への非特異的取込みを抑制する働きをする。図17を参照。最適な抑制は、3つすべての成分の組合せによって達成される。
【実施例49】
【0201】
肝癌細胞中へのガラクトース媒介される取込み
【0202】
HepG2細胞を24−ウエルプレート中で細胞50,000/ウエルで平板培養した。pCMV-Luc1μgを等容量の12と接触させ、下記に示す通りにして改変した。PEG含有複合化剤による改変をCD:PEG比2:1で実施し、ここで、CDは、12におけるシクロデキストリンを表わす。
【0203】
12/pCMV-Luc複合体 改変無し
Glu-PEG-Pep-Ad グルコース-PEG3400-CAEAEAEAE-Ad, 2 CD: 1 PEG
Gal-PEG-Pep-Ad ガラクトース-PEG3400-CAEAEAEAE-Ad, 2 CD: 1 PEG
PEG-Pep-Ad PEG5000-CAEAEAEAE-Ad, 2 CD: 1 PEG
【0204】
Optimem200μLを各々のトランスフェクション混合物に加え、各々のウエルの細胞に移した。トランスフェクトして4時間した後に、完全な媒体800μLを各々のウエルに加えた。媒体を除き、細胞をPBSで洗浄し、トランスフェクトして24時間した後に、完全な媒体1mLを各々のウエルに加えた。トランスフェクトして48時間した後に、細胞をPBSで洗浄し、溶解し、ルシフェラーゼ活性について分析した。記載したトランスフェクション手順をまた競合抑制剤としての1mMグルコース又は1mMガラクトースの存在において実施した。
【0205】
結果:Glu−PEG−Pep−Ad又はPEG−Pep−Adで改変した粒状複合体は、負のゼータ電位を有し、従って容易に細胞をトランスフェクトしない。しかし、Gal−PEG−Pep−Adで改変したポリプレックスは、遊離のガラクトースの存在において抑制される高いトランスフェクションを示し、これより肝癌細胞中へのガラクトース媒介されるトランスフェクションを立証する。図18を参照。
【実施例50】
【0206】
ジアダマンタン化合物の合成
【0207】
参考文献:Breslow等、JACS (1996) 118巻 8495-8496頁.
Zhang等、JACS (1993) 115巻 9353-9354頁
無水ピリジン(5mL)を、小さい磁気攪拌棒を収容する反応装置に入れ、氷浴中で冷却した。メチルジクロロホスフェート(1.0mL)を滴下して加えた。混合物を更に15分間冷たいままに保ち、その間にN−メチルピリジニウムジクロロホスフェートが形成した。アダマンタンエタノールをピリジン5mLに溶解して反応装置に加え、反応混合物を凍結させた後に反応装置をシールした。生成した混合物を一晩室温で攪拌した。次いで、シールした反応装置を開放し、生成した混合物を10%炭酸水素ナトリウム(50mL)中に注いだ。次いで、生成した溶液を真空で蒸発させた。残留する固体に水800mLを加え、生成物をエーテル150mLで抽出した。水性相を2N HClで酸性にしてpH=1.4にし、次いで3×150mLのCHCl3:nBuOH(7:3)で抽出した。有機層を水で洗浄し、混合した溶媒を真空で蒸発させて固体相を形成した。この固体をアセトン/ヘキサンで再結晶させ、白色固体を収率27%でもたらした。電気泳動質量分光分析は、純粋の所望の生成物を示した。
【実施例51】
【0208】
ジアダマンタン−PEG5000の合成
【化33】
ジクロロメタンをCaH2上で還流において一晩乾燥させ、次いで新たに蒸留た後にそれを反応において使用した。新たに蒸留したジクロロメタン(0.2mL)中のPEG−エポキシド(MW5000)の攪拌された溶液に、ジクロロメタン0.4mL中のビス(2−(1−アダマンチル)エチルホスフェート(例51に記載するジアダマンタン化合物)の溶液をゆっくり加えた。生成した溶液を35℃で4日間攪拌した。溶媒を真空で乾燥するまで除いた。形成された固体に水6mLを加え、沈殿を発生した。生成した混合物を室温で半時間の間攪拌し、次いで遠心分離して固体(未反応のジアダマンタン化合物)を除いた。上澄みを、水中で3500 MWCO膜に対して一晩透析し、凍結乾燥乾固させて白色固体を収率99%でもたらした。MaldiTof分析は、所望の生成物を示した。
【実施例52】
【0209】
Ad−PEG3400とジアダマンタン−PEG5000との間の競合置換実験
【0210】
競合吸着実験を、ジAd−PEG5000の溶液を、AdPEG3400と、ポリマーと、DNAとの予備成形した組成物に加えることによって行った。次いで、塩溶液を加え、粒子サイズを時間の関数として測定した。
【0211】
初めを、12溶液(水16.6μL+5mg/mLの12 2.61μL+12.5mg/mLのAdPEG34002.37μL)を加えることによって形成した。この組成物溶液の特性は、下記の通りである:
[DNA] = 0.05 mg/mL
AdPEG3400: CDのモル比 = 1 : 1
電荷比=3+/−
合計の配合容積 = 40 uL
【0212】
この組成物を10分インキュベートさせた後に、ジ−AdPEG5K溶液(10mg/mL)を加えた。この溶液の容積を、ジAdPEG5000とAdPEG3400とのモル比が1:1、1:2、1:4、又は1:6になるように決めた。例えば、比が1:2であった時は、ジAdPEG5000溶液2.38μLを加えた。
【0213】
更に10分インキュベートした後に、水1.2mLを加えて希釈し、それでDLS計測器によって読むことができるようにした。粒子サイズを10分間測定し、次いで600μLの1×PBSを組成物溶液に中に急速に混入した。次いで、粒子サイズを次の30分間1分毎に観測した。
【0214】
比較のために、他の2つの組成物溶液を配合した。1つの場合では、ジAdPEG5000を加えなかった。他の場合では、AdPEG3400を加えなかった。これらの条件下で、AdPEG3400を使用することによって、粒状複合体サイズは安定化されないことを見ることができる。塩は、平均粒子直径を30分の過程にわたり70nmから350nmに増大させる。しかし、ジAdPEG5000単独では塩への安定化を示さない。塩溶液を加えた後に、粒子サイズは一定のままである。これは、ジAdPEG5KがジAdPEG3400の量の1/6で存在する時でさえ、変わらない。結果を図19に示す。
【実施例53】
【0215】
pH感応性アダマンタン−PEG改変剤
【化34】
包接化合物ゲスト及びホストの間の会合定数は、ゲスト又はホストのいずれかを荷電する時に減少する。例えば、アダマンタンカルボン酸のプロトン化された形態(中性の形態)は、会合定数〜500,000を有するのに対し、アダマンタンカルボン酸のプロトン化されない(アニオン性)形態は、会合定数〜30,000を有する。これは、包接化合物を含有する物質にpH感応性挙動を組み込むのに使用することができる。例えば、を、アダマンタンに近い第二級を含有するアミンアダマンタン−PEG(Ad−PEG)で改変することができる。Ad−PEG化合物は、細胞エンドソーム内部で経験されるであろう通りに、について生理的pHで高い親和性を有するであろうが、酸性pHで一層容易に放出されるであろう。エンドソームにおける助成されたアンパッケージングは、ポリプレックスの細胞インターナリゼーションを有するDNA送達を助成するであろう。
【実施例54】
【0216】
pH感応性、加水分解性アダマンタン−PEG改変剤の合成
【0217】
PEG5k−NH2(132mg、0.0264mモル)を水に溶解し、冷却して0℃にした。混合物に、NaOH溶液(5N、0.053mL、0.264mモル、10当量)及び1−アダマンチルフルオロホルメート(52mg、0.264mモル、10当量)THF溶液(3mL)を加えた。混合物をそのような温度で5分間攪拌し、次いで温めて室温にし、2時間の間攪拌した。THFを真空下で除いた。不溶性固体を遠心分離によって除いた。残留する水溶液をSpectra/Por 7 MWCO 3,500膜に移し、水に対して1日間透析した。凍結乾燥させた後に、生成したアダマンタン−カルバメート−PEG5K(80mg)が得られた。この化合物の構造を1H NMR, HPLC及びMALDI TOF MSによって確認した。
加水分解性アダマンタン−シッフ塩基−PEGの合成
【0218】
PEG5K−ALD及び1−アダマンタンメチルアミン(1当量)をメタノール中に混入する。ギ酸数滴を、シッフ塩基を形成するための触媒として混合物に加える。混合物を60℃で12時間の間攪拌し、次いで溶媒を真空下で除く。混合物を水中で透析して所望のアダマンタン−シッフ塩基−PEG5kを生じる。
【実施例55】
【0219】
アダマンタン−PEG−トランスフェリン(Ad−PEG−Tf)の合成、図20
【0220】
1.炭水化物基を経たトランスフェリンカップリング
工程1:Ad−PEG−NH−NH2の合成
FMOC−NH−PEG5000−NHS(Shearwater Polymers、0.2mモル、1g)を攪拌棒を装備した丸底フラスコに加えた。これに、t−ブチルカルバゼート(Aldrich、1.5mモル、0.2112g)をジクロロメタン/エチルアセテート(1:1)7mLに溶解して加えた。生成した溶液を一晩室温で攪拌した。翌日に、溶媒を真空で除いた。生成した固体をジメチルホルムアミド中20%ピペリジン10mL中に5時間の間溶解することによってFMOC基を除いた。溶媒を真空で除き、残分を水に再溶解した。生成した溶液を遠心分離して未溶解のFMOCを除き、次いで、Pierce's Slide-A-Lyzer, 3500 MWCOにおいて一晩透析した。次いで、溶液を凍結乾燥させてH2N−PEG5000−NH−NH−CO−OtBu790mgをもたらした。
【0221】
次いで、N−ヒドロキシスクシンイミド(Aldrich、0.24mモル、27.3mg)及びアダマンタンカルボン酸(Aldrich、0.39mモル、71.2mg)を、ジクロロメタン7mL中に溶解したH2N−PEG5000−NH−NH−CO−OtBu(2)(0.16mモル、790mg)に加えた。この生成した溶液に、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(Aldrich、1.6mモル、0.326g)をジクロロメタン3mLに溶解して加えた。生成した溶液を一晩室温で攪拌した。翌日に、形成された固体を微細なガラスフリット上でろ過し、ろ液を回転蒸発器で真空下で濃縮した。残分を水10mLに溶解し、遠心分離して未反応のアダマンタンカルボン酸を除いた。溶媒を真空で除き、t−ブトキシカルボニル基を脱保護するために残分を4M HCl6mL中に再溶解した。生成した溶液を室温で4時間の間攪拌した。溶媒を真空で除き、残分を水に再溶解した。生成した溶液をPierce's Slide-A-Lyzer, 3500 MWCOにおいて一晩透析し、凍結乾燥させてAd−PEG5000−NH−NH2635mgをもたらした。
【0222】
工程2:トランスフェリン−PEG−Ad共役合成
30mMナトリウムアセテート緩衝剤(pH5)1mL中Human Transferrin(鉄が少ない)(Sigama−Aldrich)100mg(1.28μモル)の溶液にSephadex G-25 (Supelco)カラム上のゲルろ過を施した。生成したTransferrinを含有する溶液(280nmにおけるUV吸収をモニターする)4mLを冷却して0℃にし、過ヨウ素酸ナトリウム4mg(19μモル)を含有する30mMナトリウムアセテート緩衝剤(pH5)80μLを加えた。混合物を氷浴中かつ暗がりに2時間の間保った。低分子生成物を除くために、更なるゲルろ過(Sephadex G-25,30mMナトリウムアセテート緩衝剤(pH5)) を行った。これは、酸化されたTransferrin約85mg(1.09μモル)を含有する溶液を生じた。改変されたTransferrin溶液を、迅速に100mMナトリウムアセテート緩衝剤(pH5)1mL中Ad−PEG5000−NH−NH254.5mg(10.9μモル)を含有する溶液に加えた。生成した溶液を一晩室温で攪拌した。次いで、1M 炭酸水素ナトリウムを加えることによってpHを7.5にもたらし、ナトリウムシアノボロヒドリド9.5mg(150μモル)の4分割分を各々1時間の間隔で加えた。18時間した後に、ペグ化されたTransferrinを、Centricon YM-50,000 NMWI装置(Millipore)を使用して精製しかつ濃縮した。トランスフェリン、酸化緩衝剤(ナトリウムアセテートpH5)中のトランスフェリン及び新たに酸化したトランスフェリンについての鉄ローディング効率を求め、図21に示す。トランスフェリンを酸化すると、タンパク質の鉄ローディング効率を低下させる。
【0223】
工程3:トランスフェリン酸化によって合成したTransferrin−PEG−Adの鉄ローディング
アポ−トランスフェリンベースの化合物(アポ−トランスフェリン又はアポ−トランスフェリン−PEG−Ad)40mgをdH2O700μL中に溶解した。この溶液に、5mMクエン酸鉄200μL及び84mg/mLのNaHCO3100μLを加えた。この溶液を2〜3時間の間静置させ、次いでPBSに対して一晩透析した。鉄ローディング効率を、465nmにおける吸光度の比(酸化された鉄から)対280nmにおける吸光度の比(タンパク質中のトリプトファン残分から)を求めかつ市販されているホロ−トランスフェリンのA465/A280比に標準化することによって計算した。
【0224】
工程4:トランスフェリン−PEG−Ad(トランスフェリン酸化によって合成した)のPC3細胞上のトランスフェリンレセプターへの結合親和力
PC3細胞を種々の量の未標識のトランスフェリン及びトランスフェリン−PEG−Adを有する250nMフルオレセイン−トランスフェリン(FITC−TF)と共にインキュベートした。FITC−hTF細胞会合をFACS分析によって評価した。未標識のトランスフェリンは、FITC−hTFと極めて効率的に競合するのに対し、トランスフェリン−PEG−Adは、最もおそらくレセプターについての結合親和力の低減により、FITC−hTFとの競合が極めて不良である。結果を図22に示す。
【実施例56】
【0225】
リシン基を経たトランスフェリンカップリング、図23
【0226】
工程1:VS−PEG3400−Adの合成
ビニルスルホン−PEG3400−NHS(Shearwater Polymers、0.147mモル、0.5g)を攪拌棒を装備した丸底フラスコに加え、DMSO5mL中に溶解した。これに、アダマンタンメチルアミン(Aldrich、0.147mモル、0.0243g)を加えた。生成した溶液を室温で1時間攪拌した。溶媒を真空で除き、残分を水に再溶解した。生成した混合物を1000 MWCO膜(Spectra Por)に対して一晩透析した。次いで、溶液を凍結乾燥させてビニルスルホン−PEG3400−Ad0.49gをもたらした。
【0227】
工程2:トランスフェリン−PEG−Ad(Tf−PEG−Ad)共役合成
0.1Mナトリウムテトラボレート緩衝剤(pH9.4)10mL中Human Transferrin(鉄が少ない)(Sigama−Aldrich)250mg(3.21μモル)の溶液をビニルスルホン−PEG3400−Ad109mg(32.1μモル)に加えた。生成した溶液を室温で2時間の間攪拌した。ペグ化されたTransferrinを、未反応のビニルスルホン−PEG3400−AdからCentricon YM-50,000 NMWI装置(Millipore)を使用しかつ未反応のTransferrinからHydrophobic Interaction Column Butyl-650S (Tosoh Biosep) を使用して精製した(HPLC及びMALI-TOF分析によって確認した)。
【0228】
工程3:リシン基を経るカップリングによって合成したTransferrin−PEG−Adの鉄ローディング
アポ−トランスフェリン及びTf−PEG−Adを例55に記載した手順に従って鉄添加した。鉄ローディングの程度を記載した通りにして定量化した。リシン基を経るカップリングによって合成したTf−PEG−Adの鉄ローディング効率は、100%近かった。
【実施例57】
【0229】
Transferrin−PEG−Ad(リシン基を経るカップリングによって合成した)のPC3細胞上のトランスフェリンレセプターへの結合親和力
【0230】
PC3細胞を6−ウエルプレート中で細胞125,000/mlで平板培養した。24時間した後に、細胞を、種々の濃度のhTF、hTF−PEG−Ad(hTFを酸化することによって合成した)、hTF−PEG−Ad(VS−リシン反応によって合成しかつ精製した)及びhTF−(PEG−Ad)2(VS−リシン反応によって合成しかつ精製した)を混合した250nM FITC−Tfに暴露した。20分暴露した後の取込みをFACSによって求めた。リシン基カップリングによって合成したTf−PEG−Ad化合物は、トランスフェリン酸化によって合成したTf−PEG−ADと異なり、PC3細胞表面上のレセプターについてFITC−Tfと有効に競合する。結果を図24に示す。
【実施例58】
【0231】
Tf改変されたポリプレックスのゼータ電位
【0232】
12の等容量アリコートをプラスミドDNAのアリコート(DNA2μg、水中0.1mg/mL)に電荷比3+/−で加えて粒状複合体を形成した。次いで、ホロ−トランスフェリン又はholo−Tf−PEG−Ad(水中17mg/mL)を粒状複合体に加えた。粒子を、水1.2mLを加えることによって希釈し、ゼータ電位を、ZetaPals動的光散乱検出器(Brookhaven Instruments)で測定することによって求めた。結果を図25に示す。未改変のホロ−トランスフェリンは、粒状複合体と静電相互作用によって会合する。Tf2nモル/DNA1μgを加える時に、粒状複合体は中性に近づく。ホロ−Transferrin−PEG−Ad(図25においてTf−PEG−Adと表示する)は、粒状複合体に静電相互作用及び包接化合物相互作用の両方によって会合しそうである。従って、holo−Tf−PEG−Adの濃度が高くなるにつれて改変された粒子のゼータ電位が連続して減少することによって立証される通りに、holo−Tf−PEG−Adと粒子との会合が大きくなる。holo−Tf−PEG−Adで改変された粒状複合体は、Tf2nモル/1μgにおいて、負に荷電される(ゼータ電位〜7mV)。
【実施例59】
【0233】
Ad−Phos−PEG5000−ガラクトースの合成
【化35】
下記の化合物番号は、上記のスキームを参照する。
I.アダマンタンホスホン酸の合成。2.ジベンジルホスフィット(0.712g、2.71mモル)を乾燥CCl4中のアルゴン保護された1−アダマンタンメチルアミン(0.493g、2.98mモル)中に注射した。ジベンジルホスフィットを加えたほとんど直後に、白色沈殿が観察された。溶液を12時間の間攪拌した。混合物に、CH2Cl2(30mL)を加えた。有機相を希酸性水(pH4)で2度(2×mL)洗浄した。次いで、有機相をMgSO4で乾燥させた。溶媒を真空下で蒸発させた。生成した白色固体を、CH2Cl2とヘキサンとの溶媒混合物を用いて結晶させた。針結晶(0.69g)1が収率60%で得られた。結晶に、エタノール(40mL)中で10%Pd/C(200mg)を使用し圧力15psiの水素による水素化を16時間の間施した。結晶をろ過することによって除いた。ろ液溶媒を真空にすることによって除いた。2が定量的な収率で得られた。生成した化合物2を更に精製しないで用いた。
【0234】
II.NH2−PEG5000−ガラクトース4の合成。FMOC−NH−PEG5000−NHS(Shearwater、760mg、0.152mモル)をDMSO(3.7mL)中に溶解した。この溶液に、DMSO(14mL)中のガラクトサミン(385mg、1.52mモル)及びジイソプロピルアミン(0.264mL、1.52mモル)の溶液を加えた。溶液を20分間攪拌し、次いで3500 MWCO膜(Spectra/Por 7, Spectrum Lab, Inc.) を使用して水(4×4L)中で24時間の間透析した。次いで、溶液を凍結乾燥させてFMOC−NH−PEG5000−ガラクトース3 745mgをもたらした。3を、ピペリジン(3mL)を含有するDMF(12mL)中に溶解した。溶液を16時間の間攪拌した。次いで、DMFを高い真空下で除いた。生成した固体に、水40mLを加えた。白色固体を遠心分離することによって除いた。水溶液を、3500 MWCO膜(Spectra/Por 7, Spectrum Lab, Inc.) を使用して水(4×4L)中で24時間の間透析した。溶液を凍結乾燥させてNH2−PEG5000−ガラクトース4 625mgをもたらした。
【0235】
III.アダマンタン−Phos−PEG5000−ガラクトース5の合成。4(63mg、0.013mモル)をイミダゾール緩衝溶液(1mL、0.1N、pH=6.5)中に溶解する。この溶液に、CH3CN(4mL)中の2の溶液を加えた後に、次いで、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(EDC、100mg、40当量)を加える。溶液を室温で16時間の間攪拌する。溶液を、3500 MWCO膜(Spectra/Por 7, Spectrum Lab, Inc.) を使用して水(4×4L)中で透析し、次いで凍結乾燥させて5を生じる。
【実施例60】
【0236】
Ad−Glu−Glu−PEG5000−ガラクトースの合成
【化36】
下記の化合物番号は、上記のスキームを参照する。
I.H−Glu−Glu−アダマンタン7の合成。H−Glu(Bn)−OH(3.55g、15mモル)を、炭酸水素ナトリウム(1.26g、15mモル)を含有する水(16mL)中に溶解した。混合物に、THF(30mL)中のZ−Glu(Bn)−OSu(4.68g、10mモル)を加えた。混合物に、別のTHF30mL、CH3CN20mL、次いで2N NaOH10mLを加えた。溶液を室温で16時間の間攪拌した。THF及びCH3CNを高い真空下で蒸発させた。水性混合物に、1N HClを加えてpHを3に調整した。沈殿が観察された。混合物をクロロホルム(3×30mL)で抽出した。有機相をMgSO4で乾燥させた。MgSO4をろ過することによって除いた。有機溶媒を蒸発させて白色粘着性固体6をもたらした。6を次の工程反応用に精製しないで用いた。
【0237】
6(3.51mg、6.1mモル)を乾燥THF(40mL)中に溶解した。この溶液に、1−アダマンタンメチルアミン(1.007g、6.1mモル)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.93g、6.1mモル)、DCC(1.32g、6.4mモル)及びジイソプロピルエチルアミン(1.06mL、6.1mモル)をアルゴン下0℃で加えた。次いで、混合物を温めて室温にし、一晩の間攪拌した。沈殿をろ過した。次いで、THFを真空下で除いて黄色固体を生じた。黄色固体をメタノール中で結晶させて皿結晶6(2.1g、49%)をもたらした。次いで、6をメタノール40mL中に溶解し、水素化装置内で10%Pd/C200mgの存在において25〜30psiの水素下で振盪した。触媒を24時間の間ろ別した。メタノールを真空下で除いた後に、H−Glu−Glu−Ad7が定量的な収率で得られた。7を更に精製しないで用いた。
【0238】
II.Ad−Glu−Glu−PEG5000−ガラクトース9の合成。ビニルスルホン(VS)−PEG5000−NHS(Shearwater、423mg、0.085mモル)及びガラクトサミン(216mg、0.85mモル)をPBS溶液(2.25mL、1×、pH7.2)に加えた。溶液を1時間の間攪拌し、次いで3500 MWCO膜(Spectra/Por 7, Spectrum Lab, Inc.) を使用して水(4×4L)中で24時間の間透析した。次いで、溶液を凍結乾燥させた。生成物8を、MALDI−TOF及びHPLCを使用して分析した。8をホウ砂緩衝剤溶液(6mL、0.1N、pH9.4)中に溶解した。化合物7(121mg)をDMSO溶液(2mL)中に溶解し、次いでポリマー溶液に加えた。混合物を35℃で16時間の間攪拌し、次いで50℃で7時間の間攪拌した。HPLCを使用してこの反応をモニターした。ポリマーを、3500 MWCO膜を使用して透析しかつ凍結乾燥させてAd−Glu−Glu−PEG5000−ガラクトース9 419mgを収率90%でもたらした。
【実施例61】
【0239】
Ad−Glu−Glu−PEG5000の合成
【化37】
Ad−Glu−Glu−mPEG500010の合成。mPEG5000−SPA(Shearwater、300mg、0.06mモル)及び7、実施例60をDMSO(2mL)及びCH3CN(1mL)中に溶解した。混合物を室温で24時間の間攪拌した。次いで、溶液を、3500 MWCO膜(Spectra/Por 7, Spectrum Lab, Inc.) を使用して水(4×4L)中で24時間の間透析した。次いで、溶液を凍結乾燥させてAd−Glu−Glu−mPEG500010 276mgをもたらした。10をMALDI-TOF MS, HPLC及び1H NMRによって確認した。
【実施例62】
【0240】
トランスフェリン及びPEG−改変されたポリプレックスの配合
【0241】
Tf−PEG−AD(又はTf−(PEG−AD)2)及びPEG−AD(又はPEG−Glu−Glu−AD)で改変したポリプレックス(ポリマー対DNA電荷比3+/−)を下記の通りにして配合することができる。すべての成分を等容量で使用する。水中のTf−PEG−AD(又はTf−(PEG−AD)2)を水中の12の溶液に加える。この混合した溶液にPEG−AD(又はPEG−Glu−Glu−AD)のアリコートを加える。次いで、ポリマーの三成分混合物をDNA溶液に加える。溶液をピペットで取るによって穏やかに混合し、粒子サイズ、ゼータ電位、及び塩安定性を先に記載した通りにして求める。粒子のゼータ電位を、Tf−PEG−AD(又はTf−(PEG−AD)2)対PEG−AD(又はPEG−Glu−Glu−AD)の相対比を変えることによって調和させることができる。ゼータ電位変動及び粒子サイズの粒子改変の関数としてのいくつかの例を図26、27、及び28に示す。
【実施例63】
【0242】
アダマンタン−アニオン性ペプチド−PEG3400−ガラクトース/グルコース(Ad−pep−PEG−gal/glu)。自動合成装置を使用してBiopolymer Synthesis Facility (Beckman Institute, California Institute of Technology)によって、アニオン性ペプチド(配列:E-A-E-A-E-A-E-A-C)を合成した。ペプチドを樹脂から開裂する前に、アダマンタンカルボン酸(ACA,Aldrich)をDDCカップリングケミストリーによってペプチドのN−末端に接合させた。生成したペプチド(ACA-E-A-E-A-E-A-E-A-C,分子量1084)を樹脂から開裂し、MALDI-TOFによって分析した。
【0243】
NHS−PEG3400−VS(Shearwater Polymers)をグルコサミン又はガラクトサミン(Sigma)20当量とpH7.2のホスフェート緩衝サリーン中で室温で2時間の間反応させることによって、ガラクトース−及びグルコース−PEG3400−ビニルスルホン(gal/glu−PEG3400−VS)を調製した。溶液を水に対して広範囲に透析し、次いで凍結乾燥させた。アニオン性ペプチドのチオール(2当量)を、10mM TCEPを含有する50mM硼酸ナトリウム緩衝剤(pH9.5)中でガラクトース−PEG3400−VS又はグルコース−PEG3400−VSと反応させた。溶液を酸性にし、沈殿されたペプチド(pH9.0よりも下で不溶性)を遠心分離によって除いた。上澄みを捕集し、広範囲に透析し、かつ凍結乾燥させた。所望の生成物をMALDI-TOF分析によって確認した(略図を下記に示す)。
【化38】
【実施例64】
【0244】
ナフタレン−PEG5000の合成
【化39】
PEG5000−NHS500mg(0.1mモル、Shearwater Polymers)を攪拌棒を装備したガラスバイアルに加える。これに、1−ナフタレンメチルアミン146μL(1mモル、10当量、Aldrich)をジクロロメタン8mLに溶解して加え、溶液を16時間の間攪拌する。次いで、溶媒を真空下で除く。混合物に水20mLを加える。不溶性残分を遠心分離によって除く。水溶液を、Spectra/Por 3500 MWCO透析膜において24時間の間透析する。次いで、溶液を凍結乾燥させてナフタレン−PEG5000の白色の毛羽の固体をもたらす。生成物を、1H NMR, MALDI TOF MS,及び逆相HPLCを使用して分析する。ナフタレン−PEG3400を、同じプロトコルを用いて合成する(収率56%;生成物をMALDI-TOF分析によって確認する)。
【実施例65】
【0245】
ナフタレン−PEG5000−ガラクトースの合成
【化40】
ビニルスルホン(VS)−PEG5000−NHS(Shearwater Polymers、423mg、0.085mモル)及びガラクトサミン(216mg、0.85mモル)をPBS溶液(2.25mL、1×、pH7.2)に加えた。溶液を1時間の間攪拌し、次いで3500 MWCO膜(Spectra/Por 7, Spectrum Lab, Inc.) を使用して水(4×4L)中で24時間の間透析した。次いで、溶液を凍結乾燥させてビニルスルホン−PEG5000−ガラクトースを生じた。生成物を、MALDI−TOF及びHPLCを使用して分析した。ビニルスルホン−PEG5000−ガラクトース300mg(0.06mモル)をホウ砂緩衝剤溶液(3mL、0.1N、pH9.4)中に溶解する。1−ナフタレンメチルアミン(8.8μL、0.06mモル)をDMSO溶液(3mL)中に溶解し、次いでポリマー溶液に加える。混合物を55℃で36時間の間攪拌する。ポリマーを、3500 MWCO膜を使用して透析しかつ凍結乾燥させてナフタレン−PEG5000−ガラクトースをもたらす。
【0246】
上記の検討及び例は、単に所定の好適な実施態様の詳細な記述を提示するにすぎないと理解されるべきである。当業者にとり、種々の変更及び均等物を発明の精神及び範囲から逸脱しないでなすことができることは明らかであると思う。上に検討又は引用した特許、ジャーナル論文及びその他の文献をそれらのそっくりそのままの状態で本明細書中に援用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式の化合物:
【化1】
式中
Jは、-NH-,-C(=O)NH-(CH2)d-,-NH-C(=O)-(CH2)d-,-CH2SS-,-C(=O)O-(CH2)e-O-P(=O)(O-(CH2)e-Y)O-,
【化2】
ペプチドもしくはポリペプチド残基、又は-NH-(C=O)-CH(R1)-NH-(C=O)-CH(R1)-NH-であり;
Yは、更なるホスト/ゲスト機能を有し;
R1は、-(CH2)a-CO2H,エステルもしくはその塩;又は-(CH2)a-CONH2であり;
PEGは、-O(CH2CH2O)m- (式中、mは2〜500の範囲である)であり;
Lは、-NH-,-NH-(C=O)-(CH2)e-(C=O)-CH2-,-S(=O)2-HC=CH2-,-SS-,-C(=O)O-又は炭水化物残基であり;
官能基は、リガンド、核局在化シグナル、エンドソーム放出ペプチド、エンドソーム放出ポリマー、膜透過剤又はこれらの混合物から選択され、
aは0又は1であり;
bは0又は1であり;
dは0〜6の範囲であり;
eは1〜6の範囲であり;
nは0〜6の範囲であり;
qは1〜5の範囲であり;
wは1〜5の範囲であり;
yは1であり;
xは1であり;及び
zは1〜5の範囲である。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、
qは1、
wが1、及び
zが1である化合物。
【請求項3】
ホスト/ゲストをアダマンチル、ナフチル、コレステロール、シクロデキストリン、及びこれらの混合物からなる群より選ぶ請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
【化3】
が
【化4】
であり、
Yがアダマンチルである、請求項1〜3の何れか一項に記載の化合物。
【請求項5】
ポリマー及び治療剤の粒状複合体と、
該ポリマー及び錯生成剤の包接複合体とを含む組成物であって、
錯生成剤は、ゲスト機能を有し、官能基を含み、
該官能基は、リガンド、核局在化シグナル、エンドソーム放出ペプチド、エンドソーム放出ポリマー、膜透過剤、第2の治療剤又はこれらの混合物から選択され、
該ポリマーがホスト機能を有する組成物。
【請求項6】
前記錯生成剤がホスト機能を有する請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
ゲスト及びホスト機能を有する錯生成剤の混合物を含み、前記ポリマーがホスト及びゲスト機能を有する請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記ホスト機能をシクロデキストリン、カルセロンド、キャビタナール、クラウンエーテル、クリプタンド、ククルビツリル、カリキセラン、スフェロンド又はこれらの混合物からなる群より選ぶ請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
前記錯生成剤が更にスペーサー基を含む請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記包接ゲストをアダマンタン、ジアダマンタン、ナフタレン、及びコレステロールからなる群より選ぶ請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ホスト機能がシクロデキストリンであり、前記ゲスト機能がアダマンタン又はジアダマンタンである請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記スペーサー基を直接結合、ホスフェート基、及びポリエチレングリコール及び短いアニオン性ペプチド配列からなる群より選ぶ請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリマーがシクロデキストリンを含有し、
錯生成剤がアダマンタン及びジアダマンタンから選ぶ包接ゲストをさらに含有する
請求項5に記載の組成物。
【請求項14】
前記錯生成剤が下記式の化合物:
【化5】
(式中
Jは、-NH-,-C(=O)NH-(CH2)d-,-NH-C(=O)-(CH2)d-,-CH2SS-,-C(=O)O-(CH2)e-O-P(=O)(O-(CH2)e-Ad)O-,
【化6】
又は-NH-(C=O)-CH(R1)-NH-(C=O)-CH(R1)-NH-であり;
Adはアダマンチルであり;
R1は、-(CH2)a-CO2H,エステルもしくはその塩;又は-(CH2)a-CONH2であり;
PEGは、-O(CH2CH2O)z- (式中、zは2〜300の範囲である)であり;
Lは、-NH-,-NH-(C=O)-(CH2)e-(C=O)-CH2-,-S(=O)2-HC=CH2-,-SS-,-C(=O)O-又は炭水化物残基であり;
aは0又は1であり;
bは0又は1であり;
dは0〜6の範囲であり;
eは1〜6の範囲であり;
nは0〜6の範囲であり;
yは1であり;及び
xは1である)
である請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記ポリマーがシクロデキストリン含有ポリマーを含有し、
錯生成剤がさらに包接ゲストを含有し、
錯生成剤が請求項1〜4に記載の化合物である請求項5の組成物。
【請求項16】
前記治療剤を抗生物質、ステロイド、ポリヌクレオチド、小分子医薬品、ウイルス、プラスミド、ペプチド、ペプチド断片、キレート剤、生物学的に活性な巨大分子、及びこれらの混合物からなる群より選ぶ請求項5〜8及び13の何れか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記治療剤がポリヌクレオチドである請求項16記載の組成物。
【請求項18】
官能基が生物学的条件下でポリマー及び治療剤のみの組成物と比較して組成物を安定化させる部分を含んでいる請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項19】
官能基が錯生成剤に可逆的に結合する治療剤を含む請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記ポリマーが、錯生成剤の少なくとも一つのゲスト機能部分と包接複合体を形成できる少なくとも一つのホスト機能部分を有する請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記ポリマーが、錯生成剤の少なくとも一つのホスト機能部分と包接複合体を形成できる少なくとも一つのゲスト機能部分を有する請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記ポリマーが、シクロデキストリン含有ポリマーである請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
シクロデキストリン含有ポリマーが、線状シクロデキストリン含有ポリマーであり、ポリマー骨格にシクロデキストリンが存在する請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
シクロデキストリン含有ポリマーが、該ポリマーのペンダントもしくは枝分れ鎖中に少なくとも一つのシクロデキストリン部分を含む請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
前記錯生成剤が、少なくともの一つのポリマー部分を有する請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項26】
錯生成剤の少なくとも一つのポリマー部分がPEG又はその誘導体を含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
官能基が少なくとも一つのポリマー部分を有する請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項28】
ポリマー、治療剤、及び錯生成剤が別個の分子である請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項29】
医薬用途に使用する請求項1〜4の何れか一項に記載の化合物又は請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項30】
必要性が認められるヒトを除く動物に投与するために使用する請求項1〜4の何れか一項に記載の化合物又は請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項31】
官能基がリガンドである請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
リガンドが細胞ターゲティング及び/又は送達を促進する請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
リガンドがトランスフェリンである請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
下記:
治療剤、ポリマー、及び錯生成剤を組み合わせて組成物を形成する工程を含み、該ポリマー及び該治療剤は粒状複合体を形成し、該ポリマー及び該錯生成剤は包接複合体を形成する請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物を調製する方法。
【請求項35】
前記治療剤を初めに前記ポリマーと組み合わせて粒状複合体を形成し、該粒状複合体を次いで前記錯生成剤と組み合わせて該ポリマー及び該錯生成剤が包接複合体を形成するようにする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ポリマーを初めに前記錯生成剤と組み合わせて包接複合体を形成し、該包接複合体を前記治療剤と組み合わせて該ポリマー及び該治療剤が前記粒状複合体を形成するようにする請求項34に記載の方法。
【請求項37】
必要性が認められるヒトに投与するために使用する請求項1〜4の何れか一項に記載の化合物又は請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項1】
下記式の化合物:
【化1】
式中
Jは、-NH-,-C(=O)NH-(CH2)d-,-NH-C(=O)-(CH2)d-,-CH2SS-,-C(=O)O-(CH2)e-O-P(=O)(O-(CH2)e-Y)O-,
【化2】
ペプチドもしくはポリペプチド残基、又は-NH-(C=O)-CH(R1)-NH-(C=O)-CH(R1)-NH-であり;
Yは、更なるホスト/ゲスト機能を有し;
R1は、-(CH2)a-CO2H,エステルもしくはその塩;又は-(CH2)a-CONH2であり;
PEGは、-O(CH2CH2O)m- (式中、mは2〜500の範囲である)であり;
Lは、-NH-,-NH-(C=O)-(CH2)e-(C=O)-CH2-,-S(=O)2-HC=CH2-,-SS-,-C(=O)O-又は炭水化物残基であり;
官能基は、リガンド、核局在化シグナル、エンドソーム放出ペプチド、エンドソーム放出ポリマー、膜透過剤又はこれらの混合物から選択され、
aは0又は1であり;
bは0又は1であり;
dは0〜6の範囲であり;
eは1〜6の範囲であり;
nは0〜6の範囲であり;
qは1〜5の範囲であり;
wは1〜5の範囲であり;
yは1であり;
xは1であり;及び
zは1〜5の範囲である。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、
qは1、
wが1、及び
zが1である化合物。
【請求項3】
ホスト/ゲストをアダマンチル、ナフチル、コレステロール、シクロデキストリン、及びこれらの混合物からなる群より選ぶ請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
【化3】
が
【化4】
であり、
Yがアダマンチルである、請求項1〜3の何れか一項に記載の化合物。
【請求項5】
ポリマー及び治療剤の粒状複合体と、
該ポリマー及び錯生成剤の包接複合体とを含む組成物であって、
錯生成剤は、ゲスト機能を有し、官能基を含み、
該官能基は、リガンド、核局在化シグナル、エンドソーム放出ペプチド、エンドソーム放出ポリマー、膜透過剤、第2の治療剤又はこれらの混合物から選択され、
該ポリマーがホスト機能を有する組成物。
【請求項6】
前記錯生成剤がホスト機能を有する請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
ゲスト及びホスト機能を有する錯生成剤の混合物を含み、前記ポリマーがホスト及びゲスト機能を有する請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記ホスト機能をシクロデキストリン、カルセロンド、キャビタナール、クラウンエーテル、クリプタンド、ククルビツリル、カリキセラン、スフェロンド又はこれらの混合物からなる群より選ぶ請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
前記錯生成剤が更にスペーサー基を含む請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記包接ゲストをアダマンタン、ジアダマンタン、ナフタレン、及びコレステロールからなる群より選ぶ請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ホスト機能がシクロデキストリンであり、前記ゲスト機能がアダマンタン又はジアダマンタンである請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記スペーサー基を直接結合、ホスフェート基、及びポリエチレングリコール及び短いアニオン性ペプチド配列からなる群より選ぶ請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリマーがシクロデキストリンを含有し、
錯生成剤がアダマンタン及びジアダマンタンから選ぶ包接ゲストをさらに含有する
請求項5に記載の組成物。
【請求項14】
前記錯生成剤が下記式の化合物:
【化5】
(式中
Jは、-NH-,-C(=O)NH-(CH2)d-,-NH-C(=O)-(CH2)d-,-CH2SS-,-C(=O)O-(CH2)e-O-P(=O)(O-(CH2)e-Ad)O-,
【化6】
又は-NH-(C=O)-CH(R1)-NH-(C=O)-CH(R1)-NH-であり;
Adはアダマンチルであり;
R1は、-(CH2)a-CO2H,エステルもしくはその塩;又は-(CH2)a-CONH2であり;
PEGは、-O(CH2CH2O)z- (式中、zは2〜300の範囲である)であり;
Lは、-NH-,-NH-(C=O)-(CH2)e-(C=O)-CH2-,-S(=O)2-HC=CH2-,-SS-,-C(=O)O-又は炭水化物残基であり;
aは0又は1であり;
bは0又は1であり;
dは0〜6の範囲であり;
eは1〜6の範囲であり;
nは0〜6の範囲であり;
yは1であり;及び
xは1である)
である請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記ポリマーがシクロデキストリン含有ポリマーを含有し、
錯生成剤がさらに包接ゲストを含有し、
錯生成剤が請求項1〜4に記載の化合物である請求項5の組成物。
【請求項16】
前記治療剤を抗生物質、ステロイド、ポリヌクレオチド、小分子医薬品、ウイルス、プラスミド、ペプチド、ペプチド断片、キレート剤、生物学的に活性な巨大分子、及びこれらの混合物からなる群より選ぶ請求項5〜8及び13の何れか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記治療剤がポリヌクレオチドである請求項16記載の組成物。
【請求項18】
官能基が生物学的条件下でポリマー及び治療剤のみの組成物と比較して組成物を安定化させる部分を含んでいる請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項19】
官能基が錯生成剤に可逆的に結合する治療剤を含む請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記ポリマーが、錯生成剤の少なくとも一つのゲスト機能部分と包接複合体を形成できる少なくとも一つのホスト機能部分を有する請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記ポリマーが、錯生成剤の少なくとも一つのホスト機能部分と包接複合体を形成できる少なくとも一つのゲスト機能部分を有する請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記ポリマーが、シクロデキストリン含有ポリマーである請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
シクロデキストリン含有ポリマーが、線状シクロデキストリン含有ポリマーであり、ポリマー骨格にシクロデキストリンが存在する請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
シクロデキストリン含有ポリマーが、該ポリマーのペンダントもしくは枝分れ鎖中に少なくとも一つのシクロデキストリン部分を含む請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
前記錯生成剤が、少なくともの一つのポリマー部分を有する請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項26】
錯生成剤の少なくとも一つのポリマー部分がPEG又はその誘導体を含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
官能基が少なくとも一つのポリマー部分を有する請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項28】
ポリマー、治療剤、及び錯生成剤が別個の分子である請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項29】
医薬用途に使用する請求項1〜4の何れか一項に記載の化合物又は請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項30】
必要性が認められるヒトを除く動物に投与するために使用する請求項1〜4の何れか一項に記載の化合物又は請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【請求項31】
官能基がリガンドである請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
リガンドが細胞ターゲティング及び/又は送達を促進する請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
リガンドがトランスフェリンである請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
下記:
治療剤、ポリマー、及び錯生成剤を組み合わせて組成物を形成する工程を含み、該ポリマー及び該治療剤は粒状複合体を形成し、該ポリマー及び該錯生成剤は包接複合体を形成する請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物を調製する方法。
【請求項35】
前記治療剤を初めに前記ポリマーと組み合わせて粒状複合体を形成し、該粒状複合体を次いで前記錯生成剤と組み合わせて該ポリマー及び該錯生成剤が包接複合体を形成するようにする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ポリマーを初めに前記錯生成剤と組み合わせて包接複合体を形成し、該包接複合体を前記治療剤と組み合わせて該ポリマー及び該治療剤が前記粒状複合体を形成するようにする請求項34に記載の方法。
【請求項37】
必要性が認められるヒトに投与するために使用する請求項1〜4の何れか一項に記載の化合物又は請求項5〜8の何れか一項に記載の組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図10A】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2010−31284(P2010−31284A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212206(P2009−212206)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【分割の表示】特願2002−551013(P2002−551013)の分割
【原出願日】平成13年12月19日(2001.12.19)
【出願人】(301038689)カリフォルニア インスティテュート オブ テクノロジー (4)
【出願人】(503220244)カランド・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (4)
【復代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【分割の表示】特願2002−551013(P2002−551013)の分割
【原出願日】平成13年12月19日(2001.12.19)
【出願人】(301038689)カリフォルニア インスティテュート オブ テクノロジー (4)
【出願人】(503220244)カランド・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (4)
【復代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
【Fターム(参考)】
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