説明

包装体

【課題】 蓋ラベルを保型性シートより剥離することにより開口部、取出し口が形成でき、製品保管中に蓋ラベルが自然に剥れることがない包装体を提供することにある。
【解決手段】 内容物を密封包装する軟質の積層シートから形成された包装袋と、一方の面に感圧接着剤層が設けられ、積層シートより硬質の保型性シートと、一方の面に粘着剤層が設けられた蓋ラベルを備え、包装袋の外面に保型性シートを固着させ、保型性シートに蓋ラベルを貼設させた包装体であって、保型性シートには、蓋ラベルが接着された領域内に切目線が閉じた形状で形成されると共に当該領域内の一部に感圧接着剤層面に遮蔽層が形成され、積層シートには、切目線で囲まれた領域と対向する領域内にハーフカットからなる分断線が閉じた形状で形成され、保型性シートの切目線で囲まれた領域と積層シートの分断線で囲まれた部分が蓋ラベルと一体化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットティッシュまたはキャンディ、チョコレート等の菓子類等の包装体に関し、詳しくは、蓋ラベルを開けたときに開口部が形成され、ウェットティッシュまたはキャンディ、チョコレート等の菓子類等を取り出すことができ、取り出し後は蓋ラベルを閉めることにより密封状態に保持できる蓋ラベルが開閉自在に構成された包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばウェットティッシュ等を収容するための包装体として、被包装物を、非通気性のシート状包装材をもって密封包装するとともに、該包装材の上片に、ほぼU字状の切込み線を付設し、かつその上方に、前記包装材より硬質のシート材料よりなり、かつ中央部に前記U字状の切込み線の端末部を除く部分より大寸の開口が形成された硬質シートを固着し、さらにその上方より、前記開口を覆う寸法のシート状外蓋を、接着剤をもって、前記硬質シートの上面及び硬質シートの開口より上方に臨む包装材の上面に、剥離可能でかつ再接着可能な程度に接着することにより、前記外蓋の剥離時に、前記切込み線の内部領域たる内蓋が、包装材との連設部分を残して、外蓋とともに包装材から引き剥がされ、その後に被包装物取り出し用の開口が形成されるようにした密封包装体が、知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような密封包装体は、プラスチック容器に収納されたものに比べ、嵩張ることもなく携帯用に適した便利な形態である。しかしながら、近年、商品の多様化に伴い、含浸させるアルコール等の薬液量を多くしたウェットティッシュ等も商品化され、これらの商品の場合には特許文献1に開示された技術では、包装材の上片に付設された切込み線は完全に切断された切断線、又は易断性の線とされているために該切込み線からアルコール成分が浸透し、製品保管中に蓋ラベルが自然に剥れることが稀にあるという問題がある。
【特許文献1】特開平6−48475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、蓋ラベルを保型性シートより剥離することにより開口部、取出し口が形成でき、製品保管中に蓋ラベルが自然に剥れることがない包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、内容物を密封包装する合成樹脂を主体とする軟質の積層シートから形成された包装袋と、保型性基材層の一方の面に感圧接着剤層が設けられ、前記積層シートより硬質の保型性シートと、蓋基材層の一方の面に再剥離再接着可能な粘着剤層が設けられた蓋ラベルを備え、前記包装袋の外面に前記保型性シートの前記感圧接着剤層面を当接させて前記保型性シートを固着させ、前記保型性シートに前記蓋ラベルの前記粘着剤層面を当接させて前記蓋ラベルを貼設させた包装体であって、前記保型性シートには、前記蓋ラベルが接着された領域内に開口部を形成するための前記保型性シートを貫通する切目線が閉じた形状で形成されると共に当該領域内の一部に前記感圧接着剤層面に遮蔽層が形成され、前記積層シートには、前記保型性シートの前記切目線で囲まれた領域と対向する領域内に前記積層シート側から前記保型性シート側に向って前記積層シートを半抜きするハーフカットからなる分断線が閉じた形状で形成され、当該分断線で囲まれた部分が取出し口部とされると共に前記保型性シートの前記切目線で囲まれた領域と前記積層シートの前記分断線で囲まれた部分が前記蓋ラベルと一体化されていることを特徴とする包装体である。
【0006】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の包装体において、前記遮蔽層が前記切目線と前記分断線とで囲まれた領域に形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
また、請求項3記載の本発明は、請求項1又は2に記載の包装体において、前記積層シートの前記保型性シート側の面に易接着手段が施されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の包装体は、内容物を密封包装する合成樹脂を主体とする軟質の積層シートから形成された包装袋と、保型性基材層の一方の面に感圧接着剤層が設けられ、積層シートより硬質の保型性シートと、蓋基材層の一方の面に再剥離再接着可能な粘着剤層が設けられた蓋ラベルを備え、包装袋の外面に保型性シートの感圧接着剤層面を当接させて保型性シートを固着させ、保型性シートに蓋ラベルの粘着剤層面を当接させて蓋ラベルを貼設させた包装体であって、保型性シートには、蓋ラベルが接着された領域内に開口部を形成するための保型性シートを貫通する切目線が閉じた形状で形成されると共に当該領域内の一部に感圧接着剤層面に遮蔽層が形成され、積層シートには、保型性シートの切目線で囲まれた領域と対向する領域内に積層シート側から保型性シート側に向って積層シートを半抜きするハーフカットからなる分断線が閉じた形状で形成され、当該分断線で囲まれた部分が取出し口部とされると共に保型性シートの切目線で囲まれた領域と積層シートの分断線で囲まれた部分が蓋ラベルと一体化されている構成とすることにより、蓋ラベルの一端部側より保型性シートとの間で剥離でき、保型性シートの切目線で囲まれた領域と積層シートの分断線で囲まれた部分が蓋ラベルと一体化されているために切目線に囲まれた領域の保型性シートは切目線に沿って切取られ、分断線に囲まれた部分の積層シートは分断線に沿って切取られて蓋ラベルに接着したままとなって、保型性シートには開口部が形成され積層シートには取出し口が形成され、保型性シートの開口部を介して積層シートの取出し口より内容物を容易に取り出せるという効果を奏するものである。また、積層シートに形成された分断線がハーフカットであること、さらには分断線の上には保型性シートが固着されており、内容物に含有される例えばアルコール成分が分断線から浸透することを防止でき、例え、浸透したとしても保型性シートで遮断されるために蓋ラベルの粘着剤層の接着力低下がなく、製品保管中に蓋ラベルの自然剥離を防止することができるものである。また、蓋ラベルは再剥離再接着可能な粘着剤層が設けられており、蓋ラベルは保型性シートの開口部を除く部分で蓋ラベルが保型性シートと剥離可能で且つ、剥離した部分が再接着可能な開閉自在な構成となり、内容物の乾燥、吸湿あるいは外部からの異物混入を防ぐことができる。
【0009】
また、請求項2記載の本発明は、遮蔽層が切目線と分断線とで囲まれた領域に形成されていることにより、当該領域の保型性シートの感圧接着剤層の粘着力を無効にすることができ、積層シートと接着しないために蓋ラベルを一端部側より保型性シートとの間で剥離した際に、分断線に囲まれた部分の積層シートを分断線に沿って切取り易く、また、積層シートの開口部と対向する位置から取出し口まで延出した部分にシワが発生することがなく、美麗な開口部とできる。
【0010】
また、請求項3記載の本発明は、積層シートの保型性シート側の面に易接着手段が施されていることにより、蓋ラベルの粘着剤層との接着が向上するので、積層シートに形成された切目線を容易に切り取ることができ取出し口を簡単に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に説明する。
図1は本発明にかかる包装体の一実施形態を示す斜視図、図2は図1のA−A線断面図、図3は本発明にかかる包装体の蓋部構成を示す分解図、図4は本発明にかかる包装体の蓋ラベルの開封状態を示す斜視図、図5は図4のB−B線部分断面図であり、図中の符号1は包装体、2は包装袋、3は保型性シート、4は蓋ラベル、5は内容物、6は取出し口、7は開口部、8は蓋部、20は積層シート、20aは基材層、20bは中間層、20cは熱接着性樹脂層、21は上端熱接着部、22は下端熱接着部、23はガセット部、24は分断線、25取出し口予定部、25a、30aは切取り片、30は開口部、31は保型性基材層、32は感圧接着剤層、33は遮蔽層、34は切目線、40は摘み部、41は切刃、42は蓋基材層、43は粘着剤層をそれぞれ示す。
【0012】
図1は本発明にかかる包装体の一実施形態を示す斜視図であって、本発明の包装体1は、内容物を密封包装する合成樹脂を主体とする軟質の積層シート20から形成された包装袋2と、保型性基材層の一方の面に感圧接着剤層が設けられ、積層シート20より硬質の保型性シート3と、蓋基材層の一方の面に再剥離再接着可能な粘着剤層が設けられた蓋ラベル4を備え、包装袋2の外面に保型性シート3の感圧接着剤層面を当接させて保型性シート3を固着させ、保型性シート3に蓋ラベル4の粘着剤層面を当接させて蓋ラベル4を貼設させた構成である。蓋ラベル4は略矩形状で一端部側に外方に延設した摘み部40が設けられている。蓋ラベル4には摘み部40を摘み、蓋ラベル4を剥離した際に、後述するように蓋ラベル4が保型性シート3から剥離されて保型性シート3から完全に分離されることを防ぐためのストッパーとして切刃41、41が剥離方向の蓋ラベル4の両端辺から設けられている。また、蓋ラベル4の表面には絵柄、文字や剥離方向を示す記号等が印刷されている。包装袋2は、内容物を密封包装する背貼り熱接着部(図示しない)と上端熱接着部21と下端熱接着部22を備え両側部にガセット部23を有するガセット袋の形態である。なお、包装袋2の形態はピロー袋、三方シール袋、四方シール袋等の任意の形態とすることができるが、内容物の収納量を多くできると共に内容物が取り出しやすいガセット袋が好ましい形態である。
【0013】
図2は図1のA−A線断面図であって、包装袋2は、基材層20a、中間層20b、熱接着性樹脂層20cが順次積層された合成樹脂を主体とする軟質の積層シート20からなり、積層シート20の熱接着性樹脂層20c面同志を対向させて周縁を熱接着し内容物5たとえば、所定枚数載置されたウェットティッシュを密封包装したものである。包装袋2の外面には保型性基材層31の一方の面に感圧接着剤層32が設けられた保型性シート3の感圧接着剤層32面を当接させて保型性シート3が固着されている。さらに蓋基材層42の一方の面に再剥離再接着可能な粘着剤層43が設けられた蓋ラベル4が、粘着剤層43面を保型性シート3の保型性基材層31に当接させて貼設されている。図1、2は包装体1を使用時の状態、すなわち、蓋ラベル4が上側に位置するように置いた状態を示す。
【0014】
図3は本発明にかかる包装体1の蓋部8の構成を示す分解図である。図2、図3を参照しながら蓋部8を詳細に説明する。図2、図3に示すように保型性シート3には、蓋ラベル4が接着された領域内に開口部を形成するための保型性シート3を貫通する切目線34が閉じた形状、例えば長穴状に形成されている。切目線34には刃止め(図示しない)が複数設けられている。刃止めは積層シート20に固着する際に切目線34で囲まれた部分が脱落することなく、固着できるので刃止めを設けるほうが好ましい。さらに刃止めを設ける位置は開封開始側(図3においては下端熱接着部22側)を除き開封終了側(上端熱接着部21側)近傍に設けるほうが容易に開口部を形成できるので好ましい。また、設ける刃止めの数も少ない方がより開口部の形成が容易となり好ましい。
【0015】
包装袋2を構成する積層シート20には、保型性シート3の切目線34で囲まれた領域と対向する領域内で切目線34より少し内側の位置に積層シート20側から保型性シート3側に向って積層シート20を半抜きするハーフカットからなる分断線24が閉じた形状、例えば長穴状に形成され、この分断線24で囲まれた部分が取出し口予定部25となるものである。さらに、保型性シート3の感圧接着剤層32面には遮蔽層33が、切目線34と分断線24に対応する位置とで囲まれた領域に形成されている。遮蔽層33は、感圧接着剤層32の粘着力を無効にすることができ、遮蔽層33が形成された領域において、保型性シート3は積層シート20と接着しないために蓋ラベル4を一端部側より保型性シート3との間で剥離した際に、容易に保型性シート3を切目線34に沿って切取ることができ、さらに分断線24に囲まれた部分の積層シート20を分断線24に沿って切取ることができる。而して後述するように蓋ラベル4を保型性シート3より剥離すると保型性シート3の切目線34で囲まれた領域と積層シート20の分断線24で囲まれた領域が蓋ラベル4と一体となって接着されたままの状態となる。遮断層33は分断線24と対向する位置より少し内側にはみだしても許容されるが、はみだし長さは2mm以内が好ましい。2mmを超えると積層シート20の分断線24の内側が保型性シート3と未接着となり、取出し口周縁にシワ、タルミが発生しやすく外観が劣るので好ましくない。また、分断線24および切目線34の形状は、円形、楕円形等の曲線状や、長方形、六角形等の角形状やあるいはこれらの組合せ等、任意であるが、分断線24と切目線34は相似形であることが好ましい。
【0016】
図3に示すように、分断線24は、積層シート20側から保型性シート3側に向かって積層シート20の熱接着性樹脂層20cと中間層20bを貫通し、基材層20aを半抜きするハーフカットである。ハーフカットの深さは、深いほうがよく、基材層20aの厚さにおいて非貫通部分の厚さが0.5〜5μm以下となるように施すのが好ましい。ハーフカットの深さが基材層20aの非貫通部分の厚さが5μmを超えるとハーフカットの深さが十分でなく蓋ラベル4を剥離した際に、分断線24に沿って積層シート20が切取られず取出し口が形成されないことがあり、0.5μm未満では、ハーフカットの深さが深すぎて内容物に含有される例えばアルコール成分が多い場合には、アルコール成分が分断線24から浸透し、蓋ラベル4の粘着剤層43の接着力低下を招き、製品保管中に蓋ラベル4の自然剥離が発生することがある。なお、本発明における蓋部8とは、保型性シート3が接着された領域の積層シート20、保型性シート3、蓋ラベル4で構成される部分を指す。
【0017】
上記の分断線24は、例えば、所定の分断線24の切刃を備えた打抜き型を搭載した打抜き機で積層シート20に施してもよい。また、内容物を充填包装する包装機械に分断線24の切刃を備えた打抜き装置を搭載して内容物を充填する直前に積層シート20に施してもよい。また、蓋ラベル4の摘み部40には、粘着剤層43を除くか、もしくは粘着剤層43の粘着力を無効にする遮蔽層(のり殺し)を設けることが好ましい。また、積層シート20の基材層20aには、保型性シート3側の面に易接着手段を施してもよい。易接着手段としては、コロナ放電処理等により表面濡れ性を向上させる方法や、有機チタネート系、イミン系等のアンカーコート剤、あるいはウレタン系、アクリル系、ゴム系等の樹脂からなるプライマーコート剤をグラビアコート法、ロールコート法等の周知の手法でコーティングする方法を挙げることができる。
【0018】
次に、本発明の包装体1を構成する各材料について説明する。まず、包装袋2の積層シート20は、基材層20aと中間層20bと熱接着性樹脂層20cが順次積層されて構成される。基材層20aに用いる基材としては、印刷適性があって機械的強度を有する材料が用いられ、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチックフィルムやこれらのプラスチックフィルムに酸化アルミニウム、酸化珪素等の金属酸化物を蒸着したフィルムあるいは、これらの積層体等が使用できる。中間層20bは、遮光性あるいはガスバリアー性等が要求される場合に設けるものであり、基材層20aに用いるプラスチックフィルム、それらにアルミニウム等の金属物を蒸着したフィルム、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物あるいはアルミニウム箔等が使用できる。また、熱接着性樹脂層20cとしては、熱により溶融して相互に溶着し得る熱接着性樹脂から形成された層であればよく、包装袋に要求される諸条件により適宜選択して用いればよいものであるが、たとえば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等で形成することができる。各層の積層方法としては、サンドイッチラミネーション法、ドライラミネーション法等の周知の積層方法を適宜用いて積層すればよい。当然のことであるが、内容物、包装条件、製品の輸送条件、経済性等の諸条件により積層シート20に要求される性能は異なるので、諸条件を満足すれば、中間層を省くこともできるし、あるいはさらに中間層を積層して多層にすることもできる。
【0019】
次に、蓋ラベル4について説明する。蓋基材層42に用いる基材としては、印刷適性があって機械的強度を有する材料が用いられ、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン等のプラスチックフィルムや合成紙、あるいは、これらの積層体ないしはこれらとアルミニウム箔や蒸着を施したプラスチックフィルムを適宜組合わせた積層体等、あるいは、これらに紙等を適宜組み合わせた積層体等を用いることができる。また、蓋基材層42上に例えば印刷を設ける場合には印刷面の保護と表面光沢付与のためにポリプロピレンフィルム等の表面保護層を設けてもよい。蓋ラベルの構成例を次に例示する。
・二軸延伸ポリプロピレン/印刷/二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム/粘着剤/離型紙
・二軸延伸ポリプロピレン/印刷/乳白色二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム/粘着剤/離型紙
・二軸延伸ポリプロピレン/印刷/合成紙(例えば、ユポ)/粘着剤/離型紙
【0020】
蓋基材層42の一方の面に設けられる粘着剤層43としては、再剥離再接着可能な粘着剤が用いられ、天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックスあるいはアクリル系樹脂、ゴム系樹脂等にテルペン樹脂やロジン等の粘着付与剤を配合した合成樹脂等の従来から使用されている粘着剤の中から適宜選んで、グラビアコート法、ロールコート法、あるいは、加熱溶融押し出し法等の周知の塗布方法で塗布することにより形成することができ、必要により増粘剤、分散剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤等の添加剤を加えてもよい。粘着剤の塗布量は、固形分として10〜30g/m2 が適当である。また、粘着剤層43の粘着剤には、シリカ等の粘着阻害剤等の添加剤を添加してもよい。
【0021】
保型性シート3としては、包装袋2を構成する積層シート20よりも剛性があり硬質のシートが用いられ、このような構成とすることにより、蓋ラベル4の開閉が容易となると共に、繰返し開閉しても包装袋2の取出し口の縁に波打ちやシワが発生することが防止できる。保型性シート3には、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、アクリル、塩化ビニル、ポリカーボネート、アセテート等が使用でき、厚さは50〜150μmである。また、保型性シート3は、感圧接着剤層32面に遮蔽層33を形成した後、所定の形状を有する切刃および刃止めを備えた打抜き型で打抜いて開口予定部30を設けた後、積層シート20に固着する。
【0022】
保型性基材層31の一方の面に設けられる感圧接着剤層32としては、天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックスあるいはアクリル系樹脂、ゴム系樹脂等にテルペン樹脂やロジン等の粘着付与剤を配合した合成樹脂等の従来から普通に使用されている粘着剤の中から任意に選んで、グラビアコート法、ロールコート法、あるいは、加熱溶融押し出し法等の周知の塗布方法で塗布することにより形成することができ、必要に応じて増粘剤、分散剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤等の添加剤を加えてもよく、塗布量は固形分として10〜30g/m2 が適当である。また、感圧接着剤層32面に形成される遮蔽層33は、感圧接着剤層32の接着性を無効にするものであり、いわゆる糊殺しと称するものである。遮蔽層33には印刷インキやメジュームを用いることができ、凸版を使って感圧接着剤層32上に印刷して形成される。なお、印刷インキやメジュームにシリコーン化合物などの剥離剤を混合したものを使用して感圧接着剤層32の接着性、粘着性を無効にする効果を高めることもできる。
【0023】
次に図1、図4、図5を参照しながら包装体1の開閉方法について説明する。図1に示すように、蓋ラベル4の摘み部40を摘み、包装袋2の下端熱接着部22から上端熱接着部21に向かって引張り上げると先ず、蓋ラベル4は保型性シート3との間で剥離し、切目線34に達すると保型性シート3は切目線34に沿って開口予定部30が切取られ、積層シート20の分断線24に達すると分断線24に沿って積層シート20の取出し口予定部25が切取られ、当該切取られた保型性シート3の切目線34で囲まれた領域(開口予定部30に相当)と積層シート20の分断線24で囲まれた領域(取出し口予定部25に相当)が蓋ラベル4と一体化された状態で切取り片30aと切取り片25aがそれぞれ形成され、それ以外の領域は保型性シート3と蓋ラベル4および保型性シート3の遮蔽層33と積層シート20との間で剥離し、包装袋2の上面には分断線24で囲まれた取出し口予定部25が積層シート20から切取られて取出し口6が形成され、保型性シート3には切目線34で囲まれた開口予定部30が保型性シート3から切取られて開口部7が形成され、開口部7を介して取出し口6より内容物5であるウェットティッシュを取り出すことができる。必要枚数を取り出した後に、開けた蓋ラベル4を元に戻すと蓋ラベル4に一体化された切取り片30aおよび切取り片25a以外の部分は保型性シート3に再接着されて図1に示す状態になり閉口できるものである。
【0024】
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0025】
<保型性シート用部材と蓋ラベルの作製>
保型性シート3に厚さ100μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を用いて、その片面に強接着性のアクリル系粘着剤を固形分で25g/m2 コートして感圧接着剤層を設け、グラシン紙40g/m2 の片面に厚さ20μmのポリエチレンをラミネートして、ポリエチレン面に離型処理をした離型紙の離型処理面と貼り合せた基材を用い、既存のラベル印刷機で離型紙を剥離して、感圧接着剤層面の余白となる部分に光電管マークを、所定位置に遮蔽層33を各々見当を合せてポリエステル系樹脂をバインダーとするメジュームインキを用いて凸版で印刷し、再び剥離した離型紙を貼り合せた後、所定の切目線の形状を備えた抜き型で遮蔽層33に見当を合せて所定位置にPETを貫通する切目線34を形成すると共に所定寸法に打抜いて長穴状の開口予定部を備えた矩形状の保型性シート用部材を作製した。次いで、蓋基材層に厚さ80μmのポリプロピレン系の合成紙(株式会社ユポ・コーポレーション製)の片面に再剥離再接着可能な弱接着性のアクリル系粘着剤をコートして粘着剤層を形成し、グラシン紙の片面にポリエチレンをラミネートして、ポリエチレン面に離型処理をした離型紙の離型処理面と貼り合せた基材(リンテック株式会社製、商品名:ユポ80(UV)MW2)を用い、該基材の合成紙面に厚さ40μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを貼り合せた後、所定寸法に打抜いて離型紙付の蓋ラベル4を作製した。
【0026】
<包装体の作製>
次いで基材層に厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を用いて、一方の面に絵柄や光電管マーク等をグラビア印刷し、当該印刷面に中間層に厚さ7μmのアルミニウム箔(Al)、熱接着性樹脂層に厚さ40μmの線状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)を用いて、順次ドライラミネーション(DL)法で積層し、PET/印刷/DL/Al/DL/LLDPEなる構成の積層シート20を作製した。次いで積層シート20の光電管マークに同調させて所定位置に積層シート側から保型性シート側に向って所定寸法の長穴形状の切刃を備えた打抜き型でLLDPEとAlを貫通し、PETを半抜きするハーフカットからなる切目線を形成した。次いで積層シート20の光電管マークに同調させてPET面の所定位置に上記で作製した開口部を設けた保型性シート用部材の離型紙を剥離して取り除き露出した強接着性の粘着剤面を当接して保型性シートを固着した。その後、上記で作製した離型紙付の蓋ラベル4の離型紙を剥離して取り除き、露出した粘着剤層面を保型性シート面に当接させ、開口部を被覆するように接着すると共に開口部と対向する領域内において当該開口部を介して積層シート20のPET面と直接接着して、ガセット袋形態の包装袋を作製し、ウェットティッシュを密封包装して図1に示すような直方体状の包装体1を作製した。
包装体の外寸 :高さ60mm×幅80mm×長さ100mm
長さは上端熱接着部、下端熱接着部の方向を示す。
保型性シート外寸 :幅60mm×長さ80mm
保型性シートの開口予定部 :幅25mm×長さ50mmの長穴状
積層シートの取出し口予定部外寸:幅20mm×長さ45mmの長穴状
蓋ラベル外寸 :幅40mm×長さ80mm(摘み部の長さ10mm含む)
なお、ハーフカット深さは、顕微鏡で切目線部分の断面を撮影して4辺部分の非貫通部の厚さを測定して表すこととし、積層シートのLLDPE、Alを貫通し、PETの非貫通部分の厚さを1〜2μmとした。
【実施例2】
【0027】
実施例1の切目線を構成するハーフカット深さを変更し、保型性シートの非貫通部分の厚さを2〜3μmとした。その他は実施例1と同じ包装体を作製した。
【0028】
上記実施例1、2の包装体を室温(20℃)で2日間放置し、蓋ラベルの接着力を定着させた後、蓋ラベルの開閉性、耐内容物性を下記の方法で評価した。
(1)開閉性
包装体の蓋部を上にして蓋ラベルの摘み部を指で摘み、該摘み部と対向する他方の端部に向かって引張り上げてその開口状況と再び蓋ラベルを元に戻し閉口状況を観察した。
(2)耐内容物性
蓋ラベルのみ接着する前の状態で包装体の蓋部を下にして、上になった包装体の一部を切取り染料で着色した薬液を注入し、積層シートの取出し口予定部を薬液でディッピング状態にして7日間、静置して薬液の浸透状況を観察した。なお、エタノール40重量%、水50重量%、保湿剤(エチレングリコール)9重量%、添加剤(界面活性剤、殺菌剤、防腐剤、PH調整剤、香料清涼剤)1重量%を混合した混合液にメチレンブルーで着色して薬液とした。
【0029】
実施例1、2の包装体は、蓋ラベルの摘み部を摘み、容易に開封することができ、保型性シートの開口予定部が切取られ、積層シートの取出し口予定部が切取られ、切取られて形成された切取り片は蓋ラベルと一体化されて、包装袋の上面には取出し口が形成され、保型性シートには開口部が形成され、開口部を介して取出し口より内容物であるウェットティッシュを取り出すことができた。また、開けた蓋ラベルを元に戻すと蓋ラベルに一体化された切取り片以外の部分は保型性シートに再接着することができ、閉口できた。また、耐内容物性についても実施例1、2のいずれも薬液の浸透が発生せず良好であった。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明にかかる包装体の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明にかかる包装体の蓋部構成を示す分解図である。
【図4】本発明にかかる包装体の蓋ラベルの開封状態を示す斜視図である。
【図5】図4のB−B線部分断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 包装体
2 包装袋
3 保型性シート
4 蓋ラベル
5 内容物
6 取出し口
7 開口部
8 蓋部
20 積層シート
20a 基材層
20b 中間層
20c 熱接着性樹脂層
21 上端熱接着部
22 下端熱接着部
23 ガセット部
24 分断線
25 取出し口予定部
25a、30a 切取り片
30 開口予定部
31 保型性基材層
32 感圧接着剤層
33 遮蔽層
34 切目線
40 摘み部
41 切刃
42 蓋基材層
43 粘着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を密封包装する合成樹脂を主体とする軟質の積層シートから形成された包装袋と、保型性基材層の一方の面に感圧接着剤層が設けられ、前記積層シートより硬質の保型性シートと、蓋基材層の一方の面に再剥離再接着可能な粘着剤層が設けられた蓋ラベルを備え、前記包装袋の外面に前記保型性シートの前記感圧接着剤層面を当接させて前記保型性シートを固着させ、前記保型性シートに前記蓋ラベルの前記粘着剤層面を当接させて前記蓋ラベルを貼設させた包装体であって、前記保型性シートには、前記蓋ラベルが接着された領域内に開口部を形成するための前記保型性シートを貫通する切目線が閉じた形状で形成されると共に当該領域内の一部に前記感圧接着剤層面に遮蔽層が形成され、前記積層シートには、前記保型性シートの前記切目線で囲まれた領域と対向する領域内に前記積層シート側から前記保型性シート側に向って前記積層シートを半抜きするハーフカットからなる分断線が閉じた形状で形成され、当該分断線で囲まれた部分が取出し口部とされると共に前記保型性シートの前記切目線で囲まれた領域と前記積層シートの前記分断線で囲まれた部分が前記蓋ラベルと一体化されていることを特徴とする包装体。
【請求項2】
前記遮蔽層が前記切目線と前記分断線とで囲まれた領域に形成されていることを特徴とする請求項1記載の包装体。
【請求項3】
前記積層シートの前記保型性シート側の面に易接着手段が施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−249031(P2009−249031A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103275(P2008−103275)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】