説明

包装体

【課題】 本発明の課題は、不正行為が行われたことを容易に判別するために封緘ラベルが貼付された包装体であって、封緘ラベルを剥離し易く且つ剥離後に残存する封緘ラベルの一部を容易に除去できるように工夫することである。
【解決手段】 本発明の包装体1は、物品を包装し且つ取出口31が開口され得るフィルム袋3と、取出口31を覆ってフィルム袋3に剥離可能に貼付された蓋材5と、フィルム袋3と蓋材5に跨って貼付された封緘ラベル7と、を備え、封緘ラベル7の一端部に摘み部72が設けられ、封緘ラベル7の面内に有端状の切込み線74が形成されており、封緘ラベル7の摘み部72を起点にして封緘ラベル7を他端部方向へ引き剥がし且つ封緘ラベル7が蓋材5又はフィルム袋3の少なくとも何れか一方から剥がれるまでの間に、切込み線74の端部から封緘ラベル7が破断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品をフィルム袋で包装した包装体に関し、特に、薬剤、アルコールなどの液体が含浸されたウェットシートをフィルム袋で包装したウェットシート包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコールなどの液体が含浸されたウェットシートを折り畳んで複数枚積層したシート積層体を、柔軟なフィルム袋で包装したウェットシート包装体が知られている(例えば、特許文献1)。
かかるフィルム袋には、包装したウェットシートを個々に取り出すための取出口が形成されている。さらに、取出口から液体の揮発を防ぐため、フィルム袋の表面に、前記取出口を密封状に覆う蓋材が貼付されている。
【0003】
上記ウェットシート包装体は、蓋材を剥がし、取出口からウェットシートを取り出した後、蓋材をフィルム袋の表面に再貼付することにより、フィルム袋内に残ったウェットシートの乾燥を防止できる。
【特許文献1】特開平10−24972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように蓋材は、容易に剥離でき且つ再貼付できる。このため、悪意者が、ウェットシート包装体に不正行為を行うことも考えられる。
不正行為としては、例えば、悪意者が、蓋材を剥がし、取出口からフィルム袋内に異物などを混入した後、蓋材を元の通りフィルム袋に再貼付する、或いは、悪意者が、蓋材を剥がし、取出口からウェットシートを抜き取った後、蓋材を元の通りフィルム袋に再貼付する、などの行為が挙げられる。
このような不正行為が行われたウェットシート包装体は、正規な消費者に提供される前に発見されなければならない。
【0005】
上記悪意者の不正行為の抑止及び発見のためには、蓋材に封緘ラベルを貼付することが考えられる。該封緘ラベルを蓋材に貼付することにより、封緘ラベルを剥離したときに封緘ラベルが無秩序に破断し、その一部が蓋材に残存して剥離の有無を判別できる。
しかしながら、従来公知の封緘ラベルは、不正行為の抑止のために貼付されるので、剥がし難くなっている。このため、正規な消費者にとっては、封緘ラベルは本来不要であるにも拘わらず、封緘ラベルの面倒な剥離作業が必要となる。
さらに、ウェットシート包装体の蓋材は、ウェットシートを取り出した後に再封され、再び剥離される。このため、蓋材に封緘ラベルの一部が残存していると、蓋材の再封や、再びウェットシートを取り出すときに蓋材を剥離し難く、更に、蓋材の外観も悪い。
【0006】
本発明の目的は、不正行為が行われたことを容易に判別するために封緘ラベルが貼付されており、該封緘ラベルを剥離し易く且つ剥離後に残存する封緘ラベルの一部を容易に除去できる包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の包装体は、物品を包装するフィルム袋であって前記物品を取り出すための取出口が開口され得るフィルム袋と、前記取出口を覆って前記フィルム袋に剥離可能に貼付された蓋材と、前記フィルム袋と前記蓋材に跨って剥離可能に貼付された封緘ラベルと、を備え、前記封緘ラベルの一端部に摘み部が設けられ、前記封緘ラベルの面内に有端状の切込み線が形成されており、前記有端状の切込み線が、その両端部を結んだ仮想直線よりも前記封緘ラベルの摘み部側へ膨らんだ部分を有し、前記封緘ラベルの摘み部を起点にして封緘ラベルを他端部方向へ引き剥がし且つ前記封緘ラベルが前記蓋材又は前記フィルム袋の少なくとも何れか一方から剥がれるまでの間に、前記切込み線の端部から封緘ラベルが破断することを特徴とする。
【0008】
上記本発明の包装体は、フィルム袋と蓋材に跨って封緘ラベルが貼付されている。よって、封緘ラベルのうち、蓋材又はフィルム袋に貼付されている部分を少なくとも剥離しなければ、蓋材を剥離して取出口を開放できない。
この封緘ラベルの一端部には摘み部が設けられているので、この部分を摘んで封緘ラベルを容易に引き剥がすことができる。従って、正規な消費者にとっては、本来不要な封緘ラベルが貼付されていても、摘み部を利用することにより、封緘ラベルを容易に引き剥がすことができる。
【0009】
さらに、上記封緘ラベルの面内には、摘み部側へ膨らんだ部分を有する切込み線が形成されている。このため、封緘ラベルの摘み部を摘み、これを起点として封緘ラベルをその他端部方向へ引き剥がしたときに、切込み線で囲われた貼付部分は剥がれないので、切込み線の端部から封緘ラベルが破断する。
上記包装体は、封緘ラベルが蓋材又は前記フィルム袋の少なくとも何れか一方から剥がれるまでの間に、切込み線の端部から封緘ラベルが破断するように、封緘ラベルが貼付されているので、この破断の有無を確認することによって、封緘ラベルが剥離されたか否かを判別できる。
このように上記包装体は、蓋材を剥離する際には、先ず封緘ラベルを蓋材から剥離しなければならず、封緘ラベルを蓋材から剥離すると、封緘ラベルに破断が生じるので、不正行為を発見できる。
【0010】
また、切込み線から破断した封緘ラベルの一部分は蓋材などに残存するが、この残存部分は切込み線の縁形状を含む封緘ラベルの一部分なので、この縁から残存部分を捲り、これを容易に除去することができる。
【0011】
本発明の好ましい包装体は、前記封緘ラベルの他端部の縁の複数箇所に、切り目が形成されている。
封緘ラベルは、剥離可能に貼付されているので、封緘ラベルの一端部に設けられた摘み部を利用せず、悪意者が、封緘ラベルの他端部の縁を爪で捲り、封緘ラベルを他端部から剥離することも考えられる。
上記好ましい包装体は、封緘ラベルの他端部の縁に切り目が複数形成されているので、悪意者が、封緘ラベルの他端部から剥離しようとすると、前記切り目から封緘ラベルが破断する。このため、この破断の有無を確認することによって、封緘ラベルが剥離されたか否かを判別できる。
【0012】
本発明の他の好ましい包装体は、前記蓋材の一端部に、摘み部が設けられており、前記封緘ラベルが、前記蓋材の摘み部を含んで貼付されている。
上記他の好ましい包装体は、蓋材の摘み部を含む蓋材とフィルム袋に跨って封緘ラベルが貼付されているので、封緘ラベルを剥離しなければ蓋材を剥離することが困難である。従って、上記他の好ましい包装体によれば、悪意者が、蓋材の摘み部から蓋材の一部分を剥離し、取出口を少しだけ開放して不正行為を行うことを防止できる。
【0013】
本発明の他の好ましい包装体は、前記封緘ラベルの摘み部が蓋材の他端部側に位置し且つ封緘ラベルの他端部が蓋材の摘み部側に位置するように、前記封緘ラベルが貼付されている。
上記他の好ましい包装体は、封緘ラベルの引き剥がし方向(封緘ラベルの一端部から他端部への方向)と、蓋材の引き剥がし方向(蓋材の一端部から他端部への方向)とが対向している。このため、封緘ラベルを引き剥がしたときに、蓋材が封緘ラベルと共に剥がれる虞がない。
【発明の効果】
【0014】
本発明の包装体は、封緘ラベルの破断の有無を確認することにより、封緘ラベルが既に剥離されたか否かを判別できる。よって、本発明の包装体によれば、不正行為を容易に発見でき、引いては、不正行為を抑止できる。
さらに、本発明の包装体は、封緘ラベルに摘み部が設けられているので、封緘ラベルを容易に引き剥がすことができる。また、引き剥がした封緘ラベルは無秩序に破断せず、切込み線の端部から破断して封緘ラベルの一部分が蓋材などに残存するので、該残存した封緘ラベルの一部分を容易に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1及び図2に於いて、包装体1は、液体が含浸された複数枚のウェットシート(物品の1種。図示せず)と、前記ウェットシートを包装し且つ取出口31が形成された柔軟なフィルム袋3と、前記取出口31を覆って前記フィルム袋3に剥離可能に貼付された蓋材5と、前記フィルム袋3と蓋材5に跨って剥離可能に貼付された封緘ラベル7と、を備える。ウェットシートを包装した包装体1は、ウェットシート包装体と呼ばれる。
以下、具体的に各構成要素毎に分説して、本発明の包装体1を説明する。
【0016】
上記ウェットシートに含浸させる液体は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択される。例えば、水、アルコール、界面活性剤、除菌剤、抗菌剤、防腐剤、香料などの液体が挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上混合して用いることができる。包装体1は、フィルム袋3と蓋材5によってウェットシートが密封されているので、極めて揮発し易い液体(例えば、アルコール濃度30%以上、好ましくはアルコール濃度50%以上のアルコール水溶液など)を用いても、ウェットシートの早期乾燥を防止できる。
【0017】
上記ウェットシートは、吸液性(吸水性及び/又は吸油性)を有していれば特に限定されず、例えば、吸液性を有する材料を含む不織布、織布、紙、多孔質フィルムなどを用いることができる。前記吸液性を有する材料としては、綿などの天然繊維、パルプ、アクリル系、オレフィン系、セルロース系、PVA系などの合成繊維又は合成樹脂フィルムなどを例示できる。
上記ウェットシートは、適宜の形状に折り畳まれ、その複数枚が重ね合わされた態様で(シート積層体で)、フィルム袋3内に収納されている。
【0018】
フィルム袋3は、柔軟性及び耐液性を有するフィルムから構成されている。なお、本発明において、フィルムとは、一般にシートと呼ばれている枚葉体が含まれる。
フィルム袋3を構成するフィルムの材質は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。代表的には、金属薄膜などのガスバリア層が積層されたベースフィルムとシーラント層とを有する積層フィルムなどが挙げられる。前記ベースフィルムとしては、例えば、アルミニウムを蒸着した合成樹脂フィルム(例えばアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム)などが挙げられる。前記シーラント層としては、ポリエチレン層などが挙げられる。
フィルム袋3のフィルム厚は、通常、30μm〜100μm程度である。
【0019】
上記フィルムにてシート積層体を包み、該フィルムの端部を接着(熱シールなど)することにより、上記フィルム袋3が形成されている。該フィルム袋3の形態は、通常、ピロー包装であるが、他の包装形態でも構わない。
かかるフィルム袋3の一面には、前記シート積層体の各ウェットシートを取り出すための取出口31が開口され得る。
【0020】
取出口31は、フィルム袋3に形成された平面視環状の切込み線32から形成されている。該切込み線32で囲われた部分を取り除くことによって、取出口31が開口される。
【0021】
ここで、本発明において、切込み線とは、フィルム又はシートの厚み方向に貫通した線を意味する。
上記平面視環状の切込み線32は、実質的に端部のない無端状の切込み線であり、図示したような平面視略楕円形状のほか、平面視略円形状、平面視略矩形状、平面視略三角形状、その他任意の形状に形成できる。
なお、平面視環状の切込み線32は、完全な無端状ではなく(実質的に端部のない無端状)、一部分において厚み方向に貫通していない部分を有する。フィルム袋3の面内に完全な無端状の切込み線を形成した場合には、その切込み線で囲われた部分が打ち抜かれた開口部(孔)となる。上記切込み線32は、切込み線形成時に切込み線32で囲われた部分が抜けず、蓋材5の剥離時に該切込み線32で囲われた部分が蓋材5と共に切り取られる。
【0022】
なお、取出口31は、上記平面視環状の切込み線32から形成されている場合に限られず、例えば、フィルム袋3に形成された有端状の切込み線(例えば、平面視直線状、平面視ジグザグ状などの切込み線)から構成されていてもよい。また、取出口31は、フィルム袋3に形成された孔から構成されていてもよいし、或いは、フィルム袋3に形成されたミシン目線(ミシン針の縫い目跡のように、フィルム袋3の厚み方向に貫通した短い切り目が断続的に形成された線)から構成されていてもよい。
【0023】
上記取出口31を覆うように、上記フィルム袋3の表面には、蓋材5が剥離可能に貼付されている。
図3(a)は、蓋材5が貼付されたフィルム袋3の斜視図である。換言すると、図3(a)は、封緘ラベル7が貼付されていない状態のフィルム袋3の斜視図である。
【0024】
図1〜図3(a)において、蓋材5は、例えば、所定の平面形状のシートから形成されている。
蓋材5は、フィルム袋3の表面に剥離可能に貼付される貼付部51(蓋材5の貼付部51を「蓋材貼付部51」という場合がある)と、蓋材5の一端部5aに設けられた摘み部52(蓋材5に設けられた摘み部52を「蓋材摘み部52」という場合がある)と、を有する。
なお、図3(a)において、蓋材貼付部51と蓋材摘み部52の形成範囲を判りやすく図示するため、蓋材貼付部51の形成範囲を薄墨塗りで表し、蓋材摘み部52の形成範囲を網掛けで表している。
【0025】
具体的には、蓋材5は、例えば、略矩形状、略三角形状、略円形状、略楕円形状などの任意の平面視形状に形成することができる。
本実施形態では、蓋材5は、平面視略矩形状に形成されている。この蓋材5の一端部5a(略矩形状の長手方向一端部)には、蓋材摘み部52が延設され、前記蓋材摘み部52以外の部分が、蓋材貼付部51とされている。蓋材摘み部52は、例えば、山型状の縁を有する平面視形状に形成されている。
【0026】
蓋材貼付部51は、人力で剥離できる程度の接着力を以て、フィルム袋3に対して接着可能な部分である。
蓋材摘み部52は、フィルム袋3に対して非接着又は弱接着な部分である。なお、弱接着とは、僅かな力で簡単に剥離する程度に極めて弱い接着力で接着していることをいう。
【0027】
前記蓋材貼付部51及び蓋材摘み部52を有する蓋材5は、例えば、シートの裏面全体に粘着剤(室温下、人力で剥がすことができる程度の接着力で接着可能な粘着剤)を塗工し且つ前記シートの一端部において粘着剤に重ねてマスキング剤を塗工することによって形成することができる。このように形成された蓋材5は、前記マスキング剤が塗工された部分が蓋材摘み部52となり、前記マスキング剤が塗工されていない部分(つまり、前記粘着剤が露出した部分)が蓋材貼付部51となる。
マスキング剤とは、粘着剤の粘着力を隠蔽する性質を有するものである。マスキング剤としては、例えば、紫外線硬化型インキなどが挙げられる。
【0028】
なお、上記蓋材5は、シートの一端部(蓋材摘み部52の形成予定部分)の粘着剤にマスキング剤を積層することによって形成されているが、次のような方法で形成することもできる。
例えば、上記蓋材貼付部51及び蓋材摘み部52を有する蓋材5は、シートの裏面のうち、その一端部(蓋材摘み部52の形成予定部分)を除いた裏面に前記粘着剤を塗工することによって形成することもできる。この場合、前記粘着剤が塗工された部分が蓋材貼付部51となり、前記粘着剤が塗工されなかった部分が蓋材摘み部52となる。
【0029】
さらに、例えば、上記蓋材5を構成するシートの裏面のうち、その一端部(蓋材摘み部52の形成予定部分)を除いた裏面に、上記粘着剤(室温下、人力で剥がすことができる程度の接着力で接着可能な粘着剤)よりも接着力の強い粘着剤(以下、強粘着剤という)を塗工し、他方、フィルム袋3の表面のうち蓋材貼付部51が重なる範囲に、易剥離層(例えば、シリコーン樹脂などを塗工)を設けてもよい。このように強粘着剤を使用した場合であっても、蓋材貼付部51が重なるフィルム袋3の表面に易剥離層を設けることによって、蓋材5は人力で剥離可能となる。
【0030】
また、蓋材5(蓋材貼付部51)の他端部5bが、フィルム袋3の表面に強く接着されていてもよい。蓋材5(蓋材貼付部51)の他端部5bを、フィルム袋3の表面に強く接着する方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。
(a)蓋材貼付部51の裏面全体に前記強粘着剤を塗工し、且つその他端部5bの裏面を除く蓋材貼付部51の裏面であって前記強粘着剤の裏面に易剥離層を薄く塗工する方法、(b)蓋材5の他端部5bの裏面に強接着剤を塗工し、且つ前記他端部5bの裏面を除く蓋材貼付部51の裏面に上記粘着剤を塗工する方法、(c)蓋材貼付部51の裏面全体に強粘着剤を塗工し、且つフィルム袋3の表面のうち蓋材貼付部51が重なる範囲(但し、他端部5bが重なる範囲を除く)に、易剥離層を薄く塗工する方法、などが挙げられる。
【0031】
蓋材5(蓋材貼付部51)の他端部5bをフィルム袋3に強く接着させることによって、蓋材5を引き剥がしたときに、図3(b)に示すように、蓋材5がフィルム袋3から完全に分離しなくなる。このため、蓋材5の再貼付を容易に行える。さらに、蓋材5(蓋材貼付部51)の他端部5bをフィルム袋3に強く接着させることによって、その他端部5bから蓋材5が引き剥がされることを防止できる。
【0032】
上記蓋材5を形成するシートは、特に限定されず、例えば、ポリエステルフィルムなどの合成樹脂フィルム、合成紙などのフィルム、及び2枚以上のフィルムが積層された積層フィルム、及び金属薄膜などのガスバリア層が積層された積層フィルムなどを用いることができる。
蓋材5を形成するシートの厚みは、その材質によって異なるものの、通常、20μm〜200μm程度である。また、該シートには、必要に応じて、商品名などの意匠印刷が施されていてもよい。
【0033】
蓋材5の蓋材貼付部51は、取出口31を覆うようにフィルム袋3の表面に貼付されている。
図3(b)に示すように、貼付された蓋材5の蓋材摘み部52を摘み、これを起点として蓋材5の他端部5b方向(蓋材5の一端部5aに対して略180度の方向)へ蓋材5を引き剥がすことにより、蓋材5をフィルム袋3から剥離できる。蓋材5を剥離したとき、フィルム袋3から切込み線32で囲われた部分が蓋材5と共に切り取られることによって、取出口31を開放できる。また、剥離した蓋材5を元の通りにフィルム袋3の表面に再貼付することによって、取出口31を再封できる。
【0034】
次に、封緘ラベル7は、例えば、所定の平面形状のシートから形成され、フィルム袋3の表面と蓋材5の表面に跨って剥離可能に貼付されている。
図4は、封緘ラベル7の背面図である。
封緘ラベル7は、図1、図2及び図4に示すように、蓋材5及びフィルム袋3に剥離可能に貼付される貼付部71(封緘ラベル7の貼付部71を「ラベル貼付部71」という場合がある)と、封緘ラベル7の一端部7aに設けられた摘み部72(封緘ラベル7に設けられた摘み部72を「ラベル摘み部72」という場合がある)と、を有する。
なお、図4において、ラベル貼付部71とラベル摘み部72の形成範囲を判りやすく図示するため、ラベル貼付部71の形成範囲を薄墨塗りで表し、ラベル摘み部72の形成範囲を網掛けで表している。
【0035】
具体的には、封緘ラベル7は、例えば、略矩形状、略三角形状、略円形状、略楕円形状などの任意の平面視形状に形成することができる。
本実施形態では、封緘ラベル7は、略円形状と略三角形状が組み合わされた平面視形状に形成されている。この封緘ラベル7の一端部7aには、ラベル摘み部72が延設され、前記ラベル摘み部72以外の部分が、ラベル貼付部71とされている。ラベル摘み部72は、例えば、山型状の縁を有する平面視形状に形成されている。
【0036】
ラベル貼付部71は、蓋材貼付部51と同様に、人力で剥離できる程度の接着力を以て、フィルム袋3及び蓋材5に対して接着可能な部分である。
ラベル摘み部72は、蓋材摘み部52と同様に、フィルム袋3及び/又は蓋材5に対して非接着又は弱接着な部分である。
【0037】
ラベル摘み部72及びラベル貼付部71を有する封緘ラベル7は、上記蓋材5と同様に、シートの裏面全体に上記粘着剤を塗工し、且つシートの一端部にマスキング剤を重ね塗工することによって形成することができる。また、前記封緘ラベル7は、上記蓋材5と同様に、シートの裏面のうち、その一端部(ラベル摘み部72の形成予定部分)を除いた裏面に粘着剤を塗工することによって形成することもできる。
ラベル摘み部72及びラベル貼付部71を有する封緘ラベル7は、上記蓋材5の他の形成方法に準じて作製することもできる。
【0038】
上記封緘ラベル7を形成するシートは、特に限定されず、例えば、ポリエステルフィルムなどの合成樹脂フィルム、紙、合成紙などのフィルム、及び2枚以上のフィルムが積層された積層フィルムなどを用いることができる。中でも、封緘ラベル7を形成するシートは、比較的破断し易く且つ綺麗に剥がせることから、例えば、合成樹脂の延伸フィルムを用いることが好ましい。
封緘ラベル7を形成するシートの厚みは、余りに薄いと引き剥がし難いため、通常、30μm以上が好ましく、さらに、30μm〜300μmがより好ましい。また、該シートには、必要に応じて、商品名などの意匠印刷が施されていてもよい。
【0039】
上記封緘ラベル7の他端部7bの縁には、複数の切り目73が形成されている。該切り目73は、封緘ラベル7の他端部7bの縁から中心方向へ僅かに延びる、短い切込み線である。該切り目73は、封緘ラベル7の他端部7bにおいて、所定間隔を開けて複数並設されている。切り目は、封緘ラベル7の一端部7a側(例えば、ラベル摘み部72の近傍)には形成されていないことが好ましい。封緘ラベル7の一端部7a側に切り目が形成されていると、ラベル摘み部72を摘んで封緘ラベル7を引き剥がしたときに、封緘ラベル7が切り目から分断され、正規な消費者が封緘ラベル7を剥がし難くなるからである。本実施形態のように、封緘ラベル7の他端部7bの縁形状が円弧状である場合には、前記切り目73は、封緘ラベル7の引き剥がし方向(封緘ラベル7の一端部7aから他端部7bへの方向)を0度とした場合、中心角−75度〜+75度程度の範囲に形成されていることが好ましい。
【0040】
この切り目73は、封緘ラベル7の他端部7bを起点として封緘ラベル7を剥離した場合、封緘ラベル7の剥離の有無を判別するために設けられている。
すなわち、封緘ラベル7のラベル貼付部71は、粘着剤を介して剥離可能に貼付されているので、封緘ラベル7の一端部7aに設けられたラベル摘み部72を利用せず、封緘ラベル7の他端部7bの縁を爪で捲り、封緘ラベル7を他端部7bから剥離することも可能である。このように爪で捲った場合には、通常、封緘ラベル7に皺が生じるので、該皺の有無を確認することによって、封緘ラベル7が剥離されたか否かを判別できる。
【0041】
しかしながら、悪意者が、前記皺が生じないように、極めて繊細にこれを捲ることも考えられる。
この点、上記のように封緘ラベル7の他端部7bの縁に切り目73が形成されていることによって、封緘ラベル7の他端部7bから剥離した場合、前記切り目73から封緘ラベル7の面内に破断が生じる。よって、この破断の有無を確認することによって、封緘ラベル7が剥離されたか否かを判別できる。
【0042】
次に、封緘ラベル7のラベル貼付部71の面内には、平面視非直線且つ有端状の切込み線74が形成されている。該切込み線74は、1箇所でもよいし、複数箇所形成されていてもよい。
この非直線且つ有端状の切込み線74は、その両端部74a,74aを結んだ仮想直線を基準にして、該仮想直線よりもラベル摘み部72側へ膨らんだ部分を有する。本実施形態では、切込み線74は、両端部74a,74aからラベル摘み部72方向へ半円弧状に膨らんだ平面視略U字状に形成されている。
上記切込み線74で囲われた部分を含むラベル貼付部71は、粘着剤を介してフィルム袋3及び蓋材5の表面に貼付可能である。
【0043】
好ましくは、図4に示すように、切込み線74で囲われた部分の一部分に、ラベル摘み部72と同様に、非接着又は弱接着となる易剥離部79を形成してもよい。例えば、切込み線74で囲われた部分に塗工された粘着剤の一部分に、マスキング剤を重ね塗工することによって、切込み線74で囲われた部分の一部分に、非接着又は弱接着な易剥離部79を形成することができる。なお、図4において、易剥離部79が設けられた部分を斜線で示す。
切込み線74で囲われた部分の一部分に易剥離部79が形成されていることにより、封緘ラベル7を剥離した後に残存する残存部分(この残存部分については後述する)が捲り易くなる。このため、前記残存部分の除去を容易に行える。
【0044】
上記封緘ラベル7のラベル貼付部71は、蓋材5とフィルム袋3に跨るように粘着剤を介して貼付されている。
該封緘ラベル7は、ラベル摘み部72を摘み、これを起点にして封緘ラベル7の他端部7b方向(封緘ラベル7の一端部7aに対して略180度の方向)へ封緘ラベル7を引き剥がしたときに、封緘ラベル7が蓋材5又はフィルム袋3の少なくとも何れか一方の表面から完全に剥がれるまでの間に、切込み線74の端部74aから封緘ラベル7が破断するように、貼付されている。
【0045】
本実施形態では、封緘ラベル7は、下記(1)〜(4)の条件を満たして、フィルム袋3と蓋材5とに跨って貼付されている(図2参照)。
【0046】
(1)ラベル摘み部72の位置
封緘ラベル7のラベル摘み部72が蓋材5に重なる(蓋材5の範囲内に位置する)ように、封緘ラベル7が貼付されている。
(2)ラベル貼付部71の位置
封緘ラベル7のラベル貼付部71が蓋材摘み部52を実質的に覆うように、封緘ラベル7が蓋材摘み部52の表面を含む範囲に貼付されている。
(3)切込み線74の位置
封緘ラベル7の切込み線74が蓋材5に重なる(蓋材5の範囲内に位置する)ように、封緘ラベル7が貼付されている。
(4)封緘ラベル7の向き
封緘ラベル7のラベル摘み部72(一端部7a)が蓋材5の他端部5b側に位置し、且つ封緘ラベル7の他端部7bが蓋材5の蓋材摘み部52側(一端部5a側)に位置するように、封緘ラベル7が貼付されている。
【0047】
上記包装体1は、フィルム袋3と蓋材5に跨って封緘ラベル7が貼付されている。このため、封緘ラベル7のラベル貼付部71のうち、少なくとも蓋材5又はフィルム袋3に貼付されている部分を剥離しなければ、蓋材5を剥離して取出口31を開放できない。
【0048】
上記封緘ラベル7には、ラベル摘み部72が設けられているので、封緘ラベル7は、ラベル摘み部72を摘んで容易に引き剥がすことができる。
そして、ラベル摘み部72を摘み、このラベル摘み部72を起点として封緘ラベル7の他端部7b方向へ引き出すと、ラベル貼付部71が徐々に引き剥がれていく。しかし、封緘ラベル7の面内には、上記切込み線74が蓋材5に重なるように形成されているので、ラベル貼付部71が蓋材5の表面から完全に離れる前に、ラベル貼付部71は、切込み線74を境にして、剥離していく部分と剥離しない部分に分かれる。さらに、封緘ラベル7を他端部7b方向へ引き出すと、封緘ラベル7の面内において、切込み線74の端部74aから他端部7b方向へ破断が生じる。
【0049】
このため、図5に示すように、引き剥がした封緘ラベル7は分断され、切込み線74で囲われた部分及びその端部74aから破断した部分(図5において符号Aで示す)が、蓋材5とフィルム袋3に跨って貼付されたままで残存する。
このように封緘ラベル7を引き剥がそうとすると、ラベル貼付部71が蓋材5の表面から完全に離れる前に、封緘ラベル7の面内に破断が生じるので、この破断の有無を確認することによって、封緘ラベル7が剥離されたか否かを判別できる。
【0050】
さらに、封緘ラベル7を剥離した後においても、封緘ラベル7から破断した残存部分Aが、蓋材5とフィルム袋3に跨って残存するので、更に、この残存部分Aを剥離しなければ蓋材5を引き剥がすことが困難である。また、残存部分Aと、剥離し且つ部分的に破断した封緘ラベル7とを、その破断線が外観上判別できないように組み合わせて、封緘ラベル7を再貼付することはできない。
正規な消費者は、この残存部分Aを更に剥離除去することによって、蓋材5の剥離、再封を行うことができる。上記残存部分Aは、切込み線74で囲われた部分及びその端部74aの縁形状を含む封緘ラベルの一部分なので、切込み線74の縁等から残存部分Aを捲り、残存部分Aを容易に除去することができる。残存部分Aを除去すれば、蓋材5の再封や再剥離を行い易く、更に、蓋材5の外観も良好となる。
【0051】
本発明の包装体1は、上述のように、封緘ラベル7のラベル貼付部71が蓋材5又はフィルム袋3の少なくとも何れか一方から完全に剥がれるまでの間に、切込み線74の端部74aから封緘ラベル7が破断する。このため、不正行為を容易に発見できる。
例えば、悪意者が、封緘ラベル7を剥離する際、蓋材5の表面に貼付された部分のみを剥離すれば、蓋材5を剥離して取出口31を開放することもできる。同様に、悪意者が、封緘ラベル7を剥離する際、フィルム袋3に貼付された部分のみを剥離すれば、蓋材5を剥離して取出口31を開放することもできる。
本発明の包装体1は、封緘ラベル7を剥離する際、封緘ラベル7が蓋材5又はフィルム袋3の少なくとも何れか一方から完全に剥がれるまでの間に、封緘ラベル7に破断が生じる。このため、悪意者の不正行為を容易に発見でき、さらに、不正行為を抑止できる。
【0052】
さらに、上記包装体1は、封緘ラベル7が蓋材摘み部52の表面を含む蓋材5とフィルム袋3とに跨って貼付されているので、封緘ラベル7を剥離しなければ、蓋材摘み部52を摘むことができない。つまり、封緘ラベル7を剥離しなければ、蓋材5を剥離することが困難である。このため、上記包装体1は、封緘ラベル7を剥離せずに、蓋材摘み部52から蓋材5の一端部5a及びその近傍を部分剥離し、取出口31を少しだけ開放することができない。よって、上記包装体1によれば、悪意者が、封緘ラベル7を剥離せずに、取出口31を少し開放してここから不正行為を行うことを防止できる。
【0053】
また、上記包装体1は、ラベル摘み部72が蓋材5の他端部5b側に位置し且つ封緘ラベル7の他端部7bが蓋材摘み部52側に位置するように、封緘ラベル7が貼付されている。従って、封緘ラベル7の引き剥がし方向(封緘ラベル7の一端部7aから他端部7bへの方向)と、蓋材5の引き剥がし方向(蓋材5の一端部5aから他端部5bへの方向)とが対向している。よって、上記包装体1は、ラベル摘み部72を摘んで封緘ラベル7を引き剥がしたときに、蓋材5が封緘ラベル7と共に剥がれることを防止できる。
【0054】
なお、本発明の包装体1は、上記実施形態に限られず、本発明の意図する範囲で、適宜変更することができる。以下、本発明の包装体1の他の実施形態を説明する。ただし、他の実施形態の説明においては、上記実施形態と異なる事項について主として説明し、上記実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し且つ用語及び図番を援用する場合がある。
【0055】
上記実施形態では、封緘ラベル7は、上記(1)〜(4)の条件を満たして、フィルム袋3と蓋材5とに跨って貼付されているが、封緘ラベル7は、上記(1)〜(4)から選ばれる少なくとも1つの条件を満たすように貼付されていてもよい。また、封緘ラベル7は、上記(1)〜(4)の何れの条件も満たしていなくてもよい。
封緘ラベル7は、フィルム袋3と蓋材5とに跨って貼付されており、さらに、ラベル摘み部72を起点にして封緘ラベル7をその他端部7b方向へ引き剥がし且つ封緘ラベル7が蓋材5又はフィルム袋3の少なくとも何れか一方から剥がれるまでの間に、切込み線74の端部から封緘ラベルに破断が生じるように貼付されていればよい。
【0056】
また、上記実施形態では、封緘ラベル7は、略円形状と略三角形状が組み合わされた平面視形状に形成されているが、これに限定されず、様々な平面視形状に形成できる。
さらに、上記実施形態では、封緘ラベル7に形成された切込み線74は、平面視略U字状に形成されているが、これに限定されず、平面視略V字状、平面視略コの字状などの様々な形状に形成できる。
【0057】
次に、封緘ラベル7の蓋材5に対する貼付位置、封緘ラベル7の平面視形状、切込み線74の形成位置及び平面視形状に関する様々な実施形態を、図面を参照しつつ説明する。下記何れの実施形態においても、封緘ラベル7は、フィルム袋3と蓋材5とに跨って貼付されており、さらに、ラベル摘み部72を起点にして封緘ラベル7をその他端部7b方向へ引き剥がし且つ封緘ラベル7が蓋材5又はフィルム袋3の少なくとも何れか一方から剥がれるまでの間に、切込み線74の端部74aから封緘ラベル7に破断が生じる。
なお、図6〜図8において、便宜上、ラベル摘み部72の形成範囲を網掛けで表している。
【0058】
図6(a)及び(b)に示す封緘ラベル7は何れも、ラベル摘み部72が蓋材5に実質的に重なるような位置に貼付されている。つまり、これらの封緘ラベル7は、何れも上記(1)の条件を満たして貼付されている。
ラベル摘み部72が蓋材5に実質的に重なるような位置に貼付されている場合、切込み線74が、蓋材5に重なる位置、又は蓋材5とフィルム袋3に跨るような位置に、封緘ラベル7が貼付されていることが好ましい。
【0059】
図6(a)に示す封緘ラベル7は、略矩形状と略三角形状が組み合わされた平面視形状に形成されている。この封緘ラベル7は、上記(2)及び(4)の条件を満たして貼付されている。この封緘ラベル7は、切込み線74が蓋材5とフィルム袋3に跨るような位置に貼付されている。換言すると、切込み線74の一方の端部74aが蓋材5に重なり且つ切込み線74の他方の端部74aがフィルム袋3に重なるような位置に、封緘ラベル7が貼付されている。
【0060】
図6(b)に示す封緘ラベル7は、上記(4)の条件を満たして貼付されている。切込み線74は、両端部74a,74aからS字状にカーブする平面視形状に形成されている。かかる切込み線74も、両端部74a,74aを結んだ仮想直線よりもラベル摘み部72側へ膨らんだ部分を有する形状である。この封緘ラベル7は、前記S字状の切込み線74が蓋材5とフィルム袋3に跨るような位置に貼付されている。また、ラベル貼付部71が蓋材摘み部52の一部分を覆うように、封緘ラベル7が貼付されている。
【0061】
次に、図7(a)〜(c)に示す封緘ラベル7は何れも、ラベル摘み部72がフィルム袋3に重なるような位置に貼付されている。つまり、これらの封緘ラベル7のラベル摘み部72は何れも、蓋材5に重なっておらず、蓋材5の外側に位置している。
ラベル摘み部72がフィルム袋3に重なるような位置に貼付されている場合、切込み線74が、ラベル摘み部72と蓋材5の一方の側部の間におけるフィルム袋3とに重なるような位置、又は蓋材5とフィルム袋3に跨るような位置に、封緘ラベル7が貼付されていることが好ましい。
【0062】
図7(a)に示す封緘ラベル7は、平面視略楕円形状に形成されている。この封緘ラベル7は、上記(3)の条件を満たして貼付されている。封緘ラベル7は、切込み線74が蓋材5とフィルム袋3に跨るような位置に貼付されている。この封緘ラベル7は、ラベル摘み部72(一端部7a)が蓋材5の一方の側部側に位置し、且つ封緘ラベル7の他端部7bが蓋材5の他方の側部側に位置するように貼付されている。つまり、封緘ラベル7の引き剥がし方向と蓋材5の引き剥がし方向とが略直交する又は鈍角となるように、封緘ラベル7が貼付されている。
【0063】
図7(b)に示す封緘ラベル7は、平面視略三角形状に形成されている。この封緘ラベル7は、上記(2)及び(4)の条件を満たして貼付されている。さらに、切込み線74はラベル摘み部72の近傍に形成されている。この切込み線74が(蓋材5に重ならず)フィルム袋3に重なり、且つ、前記切込み線74の少なくとも一方の端部74aが蓋材5の一方の側部近傍に位置するように、封緘ラベル7が貼付されている。
【0064】
図7(c)に示す封緘ラベル7は、平面視略円形状に形成されている。この封緘ラベル7は、ラベル摘み部72(一端部7a)が蓋材5の一方の側部側に位置し、且つ封緘ラベル7の他端部7bが蓋材5の他方の側部側に位置するように貼付されている。
さらに、切込み線74はラベル摘み部72の近傍に形成されている。該切込み線74がラベル摘み部72と蓋材5の一方の側部の間におけるフィルム袋3に重なるような位置に、封緘ラベル7が貼付されている。
【0065】
次に、図8(a)〜(c)に示す封緘ラベル7は何れも、ラベル摘み部72が蓋材5及びフィルム袋3に跨って重なるような位置に貼付されている。
【0066】
図8(a)に示す封緘ラベル7は、上記(2)〜(4)の条件を満たして貼付されている。この封緘ラベル7の切込み線74は、両端部74a,74aからコの字状に屈曲する平面視形状に形成されている。かかる切込み線74も、両端部74a,74aを結んだ仮想直線よりもラベル摘み部72側へ膨らんだ部分を有する形状である。
【0067】
図8(b)に示す封緘ラベル7は、平面視略円形状に形成されている。この封緘ラベル7は、上記(4)の条件を満たして貼付されている。さらに、この封緘ラベル7は、切込み線74が蓋材5とフィルム袋3に跨るような位置に貼付されている。また、ラベル貼付部71が蓋材摘み部52の一部分を覆うように、封緘ラベル7が貼付されている。
【0068】
図8(c)に示す封緘ラベル7は、平面視略楕円形状に形成されている。この封緘ラベル7は、上記(4)の条件を満たして貼付されている。この封緘ラベル7のラベル貼付部71の面内には、切込み線74が複数箇所(例えば2箇所)形成されている。その一部の切込み線74がフィルム袋3に重なり且つ前記切込み線74の少なくとも一方の端部74aが蓋材5の側部近傍に位置し、残る切込み線74が蓋材5に重なるような位置に、封緘ラベル7が貼付されている。また、ラベル貼付部71が蓋材摘み部52の一部分を覆うように、封緘ラベル7が貼付されている。
【0069】
図6〜図8に示した封緘ラベル7は、その他端部7bに切り目73を図示していないが、これらの封緘ラベル7の他端部7bに、必要に応じて、切り目73を形成してもよい。
また、上記図6〜図8に様々な他の実施形態を示したが、これら各図に示した一部の形態を適宜、置換、変更、付加などしてもよい。例えば、図8(a)の封緘ラベル7の切込み線74を、図6(a)に示すような複数の切込み線74に置換してもよい。
【0070】
次に、上記実施形態においては、剥離可能な蓋材5は、その他端部5bにおいてフィルム袋3に強く接着されることによってフィルム袋3から完全に分離しないが、例えば、図9(a)に示すように、蓋材5の周囲に、フィルム袋3の表面に対して蓋材5を連結するための連結部8を設け、該連結部8に蓋材5の端部が連結されていてもよい。なお、図9(a)において、便宜上、蓋材摘み部52の形成範囲を網掛けで表している。
【0071】
このような連結部8と蓋材5は、例えば、裏面全体に粘着剤が塗工された1枚のシートの面内に、平面視略コの字状の切込み線81を形成することによって得ることができる。かかる切込み線81が形成されたシートは、前記略コの字状の切込み線81で囲われた部分が、本発明の蓋材5となり、前記切込み線81の外側の部分が連結部8となる。図9(b)に示すように、前記切込み線81に沿って蓋材5を連結部8から離し、前記蓋材5をフィルム袋3から剥離しても、連結部8はフィルム袋3から剥がれない。他方、略コの字状の切込み線81で囲われた部分からなる蓋材5は、その他端部において連結部8に繋がっているので、剥離した蓋材5は、フィルム袋3から完全に分離しない。このため、蓋材5の再貼付を容易に行える。
【0072】
なお、このように連結部8に連結された蓋材5を用いる場合、前記連結部8は、フィルム袋3の一部を構成している。従って、この蓋材5を用いる場合には、図9(a)の二点鎖線で示すように、封緘ラベル7は、蓋材5の表面と連結部8の表面(すなわちフィルム袋3)に跨って貼付される。
【0073】
また、上記実施形態では、フィルム袋3に包装される物品としてウェットシートを例示しているが、物品は、ウェットシートに限られない。例えば、本発明の包装体1は、物品として、ティシュなどの乾燥シート、お菓子などの食品、おもちゃ、文房具類、化粧品類などが包装されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の1つの実施形態に係る包装体の斜視図。
【図2】同包装体の平面図。
【図3】図3(a)は、蓋材が貼付されたフィルム袋の斜視図、図3(b)は、図3(a)に示す蓋材を剥離して取出口を開放したフィルム袋の斜視図。
【図4】封緘ラベルの背面図。
【図5】包装体の封緘ラベルを剥離した状態を示す参考斜視図。
【図6】図6(a)及び(b)は、他の実施形態に係る包装体の封緘ラベルの貼付位置などを示す平面図。ただし、包装体のフィルム袋は省略し、封緘ラベル及び蓋材のみを図示している(図7及び図8も同じ)。
【図7】図7(a)〜(c)は、他の実施形態に係る包装体の封緘ラベルの貼付位置などを示す平面図。
【図8】図8(a)〜(c)は、他の実施形態に係る包装体の封緘ラベルの貼付位置などを示す平面図。
【図9】図9(a)は、他の実施形態に係る蓋材が貼付されたフィルム袋の斜視図、図9(b)は、図9(a)に示す蓋材を剥離して取出口を開放したフィルム袋の斜視図。
【符号の説明】
【0075】
1…包装体、3…フィルム袋、31…取出口、32…切込み線、5…蓋材、5a…蓋材の一端部、5b…蓋材の他端部、51…蓋材の貼付部、52…蓋材の摘み部、7…封緘ラベル、7a…封緘ラベルの一端部、7b…封緘ラベルの他端部、71…封緘ラベルの貼付部、72…封緘ラベルの摘み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を包装するフィルム袋であって前記物品を取り出すための取出口が開口され得るフィルム袋と、前記取出口を覆って前記フィルム袋に剥離可能に貼付された蓋材と、前記フィルム袋と前記蓋材に跨って剥離可能に貼付された封緘ラベルと、を備え、
前記封緘ラベルの一端部に摘み部が設けられ、前記封緘ラベルの面内に有端状の切込み線が形成されており、
前記有端状の切込み線が、その両端部を結んだ仮想直線よりも前記封緘ラベルの摘み部側へ膨らんだ部分を有し、
前記封緘ラベルの摘み部を起点にして封緘ラベルを他端部方向へ引き剥がし且つ前記封緘ラベルが前記蓋材又は前記フィルム袋の少なくとも何れか一方から剥がれるまでの間に、前記切込み線の端部から封緘ラベルが破断することを特徴とする包装体。
【請求項2】
前記封緘ラベルの他端部の縁の複数箇所に、切り目が形成されている請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記蓋材の一端部に摘み部が設けられており、
前記封緘ラベルが、前記蓋材の摘み部を含んで貼付されている請求項1または2に記載の包装体。
【請求項4】
前記封緘ラベルの摘み部が蓋材の他端部側に位置し且つ封緘ラベルの他端部が蓋材の摘み部側に位置するように、前記封緘ラベルが貼付されている請求項3に記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−58837(P2010−58837A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229349(P2008−229349)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】