説明

包装体

【課題】再封用チャック付き包装体において、開封後に袋口を開ける際には、前後のフィルム上端が一致している為、前後のフィルムを左右の指で摘んで開封するのが困難である。開封後に摘み部が大きくて摘み易く、容易に袋口を開けることができるようにする。
【解決手段】表側フィルム12a、及び裏側フィルム12bのアッパーシール14aの外縁の同一位置にノッチ17を形成し、ノッチ17と対応する位置から下方に伸びるミシン目を表側フィルム18a、及び裏側フィルム18bの同一位置に形成し、アッパーシール14aの下方であって、再封用のチャック15の上方の未シール部16の表側フィルム12a、及び裏側フィルム12bに横方向のミシン目19a,19bを下方に伸びるミシン目18a,18bの端部と交差するように交差するように形成し、横方向のミシン目は反対側のフィルムと逆方向に伸びるミシン目である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品や医薬品等の製品を包装する場合に用いられる再封用チャック付き包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内容物を反復して密閉収納したり、取り出したりすることのできる、再封用チャック付き包装体があり、この包装体は、表面部材と裏面部材とが袋状にシールされ、包装体の両側、上部、下部にはサイドシール、アッパーシール、アンダーシールを有しており、包装体の上方には再封用チャックが両サイドシールにわたって設けられている。再封用チャックの上方の未シール部の位置の少なくとも一方のサイドシールの外縁にはノッチが形成してあり、開封の際にはノッチより包装体の幅方向に引き裂き、袋上部を取り除いて開封を行う。
【0003】
開封後に再封用チャックの咬み合わせを外して袋口を開ける際には、前後のフィルム上端が一致している為、前後のフィルムを左右の指で摘んで開封するのが困難である。そこで特許文献1にある包装体では、表側フィルムと裏側フィルムのサイドシール部の未シール部に設けたノッチが相対的な高低差のある段違い状に形成することによって、開封したときに一対の段違い細幅片が袋上部に生じるようにして、開封後に袋口を開けるために両細幅片を掴みやすくしている。
【先行技術文献】
【0004】
【特許文献】
【特許文献1】特許第3600442号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にある包装体は、開封後に再封用チャックの咬み合わせを外して袋口を開ける際において摘む部分が狭いために摘み難く、力が入れずらいので開封に手間取ってしまうという問題がある。この問題を改善する方法としては段違い状の長さを長くすることにより改善されるが、そのためには余計にフィルムを使用しなくてはならないのである。
【0006】
よって本発明の目的としては、開封後に再封用チャックの咬み合わせを外して袋口を容易に開けることのできる再封用チャック付き包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る再封用チャック付き包装体は所期の目的を達成するために下記の問題解決手段を特徴とする。すなわち請求項1に記載の再封用チャック付き包装体は、サイドシールと、アッパーシールと、再封用チャックとを備えた包装体であって、表側フィルム、及び裏側フィルムのアッパーシールの外縁の同一位置にノッチを形成し、前記表側フィルム、及び前記裏側フィルムの前記ノッチと対応する位置から少なくとも下方に伸びるミシン目を前記表側フィルム、及び前記裏側フィルムの同一位置に形成し、アッパーシールの下方であって、かつ再封用チャックの上方の未シール部の表側フィルム、及び裏側フィルムに横方向のミシン目を前記下方に伸びるミシン目の端部と交差するように形成し、前記横方向のミシン目は反対側のフィルムと逆方向に伸びるミシン目であることを特徴とする
【0008】
本発明の請求項2に記載の再封用チャック付き包装体は、サイドシールと、アッパーシールと、再封用チャックとを備えた包装体であって、包装体のフィルムは縦方向の引き裂き性を有し、表側フィルム、及び裏側フィルムのアッパーシールの外縁の同一位置にノッチを形成し、
アッパーシールの下方であって、かつ再封用チャックの上方の未シール部の前記表側フィルム、及び前記裏側フィルムに横方向のミシン目を前記ノッチの垂直方向線上の位置から形成し、
前記横方向のミシン目は反対側のフィルムと逆方向に伸びるミシン目であることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3に記載の再封用チャック付き包装体は、請求項1、及び請求項2に記載の再封用チャック付き包装体が四方シール包装体であることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項4に記載の再封用チャック付き包装体は、請求項1に記載の再封用チャック付き包装体の縦方向のミシン目が形成されている近傍に開封時の方向性を視覚的に案内する表示が施されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項5に記載の再封用チャック付き包装体は、請求項2に記載の再封用チャック付き包装体の少なくともノッチと横方向のミシン目との間であって、ノッチの縦方向延長領域の近傍に開封時の方向性を視覚的に案内する表示が施されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項6に記載の再封用チャック付き包装体は、アッパーシールに吊り下げ用パンチ穴を形成し、ノッチが垂直方向において吊り下げ用パンチ穴と干渉しない位置に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る再封用チャック付き包装体は、従来の再封用チャック付き包装体に比べて摘み部が大きくて摘み易いので、容易にチャックの咬み合いを外して袋口を開けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態による再封用チャック付き包装体の正面図
【図2】本発明の第1実施形態による再封用チャック付き包装体を開封したところの斜視図
【図3】本発明の第2実施形態による再封用チャック付き包装体の正面図
【図4】本発明の第3実施形態、第4実施形態による再封用チャック付き包装体の正面図
【図5】本発明の第5実施形態による再封用チャック付き包装体の正面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下に、本発明に係る再封用チャック付き包装体について、その好ましい実施の形態を添付図面を参照して記述する。
図1は本発明の請求項1に係る再封用チャック付き包装体の実施形態を例示している。再封用チャック付き包装体11aは表面部材12a、裏面部材12bとが周知手段によって袋状にシールされており、再封用チャック付き包装体11aには、両側部にサイドシール13a、13b、上部にアッパーシール14a、下部にアンダーシール14bを有しており、再封用チャック付き包装体11aの上部のアッパーシール14aの下方に、サイドシール13a、13bにわたって再封用チャック15が設けてある。
【0016】
包装体のフィルムは、複合フィルムであって、熱溶着性のあるプラスチックフィルムが、その溶着面を内側にされて使用されていれば良く、外層または中間層は、紙層やアルミ層であっても良い。
【0017】
表面部材12aと裏面部材12bのアッパーシール14aの外縁の中央部分の同一位置に、ノッチ17を形成し、表面部材12aと裏面部材12bにノッチ17に対応する位置から少なくとも下方に延びる縦方向のミシン目18a、18bを形成し、アッパーシールの下方であって、かつ再封用チャックの上方の未シール部分の表側フィルム、及び裏側フィルムに横方向のミシン目19a、19bを縦方向のミシン目18a、18bの端部と交差するように形成する。前記横方向のミシン目19a、19bは、反対側のフィルムと逆方向に伸びるように形成する。実施例では、ノッチ15をVノッチとしたが、これに限らず、Iノッチであっても良い。また、実施例の縦方向のミシン目18a、18bを垂直方向に略同一位置に形成したが、同一方向に傾斜させた縦方向のミシン目18a、18bであっても良く、また、反対側のフィルムとは逆方向に傾斜させた縦方向のミシン目18a、18bであっても良い。
【0018】
請求項1に係る再封用チャック付き包装体11aを開封する方法は、まずノッチ17から縦方向のミシン目18a、18bに沿って破断していく。縦方向のミシン目18a、18bの終点、及び横方向のミシン目19a、19bと交差部まで破断が進行すると、今度は横方向のミシン目19a、19bに沿って破断が進行していく。ここで横方向のミシン目19a、19bは、反対側のフィルムと逆方向に伸びるように形成されているので、表面部材12aに形成された横方向のミシン目19aに沿って進行する破断と、裏面部材12bに形成された横方向のミシン目19bに沿って進行する破断は、互いに反対方向に進行していく。前記破断が進行し、十分な開口が得られたならば包装体から内容物を取り出すことができる。そして、開封後はアッパーシール14aは左右に分断され、再封用チャック15の咬み合わせを外して袋口を開ける際の摘み部20a、20bとして機能する。従来の再封用チャック付き包装体では開封時に取り除かれていた部分が、本発明の包装体では摘み部20a、20bとなるので、従来の包装体と比べて摘み部分が大きく摘み易いので容易に袋口を開けることができる。
【0019】
縦方向のミシン目18a、18b、及び横方向のミシン目19a、19bは貫通していないため包装体は密封が保たれる。
【0020】
横方向のミシン目19a、19bは、縦方向のミシン目18a、18bを越えて形成しない。これは開封、及び再封用チャックの咬み合いを外して袋口を開ける際、摘み部20a、20bには横方向の力が働く。縦方向のミシン目18a、18bを越えて横方向ミシン目19a、19bを形成した場合、縦方向のミシン目18a、18bを越えた横方向ミシン目19a、19bの端部を基点にして横方向に破断が進行し、摘み部20a、20bが切断されてしまうのを防止するためである。
【0021】
横方向のミシン目19aは、サイドシール13aまで、及び横方向のミシン目19bはサイドシール13bに達するまで形成すると良い。開封の際に曲がって破断してしまった場合、摘み部20a、20bが切断されてしまうという問題を防止することができる。
【0022】
また、前記横方向のミシン目19a、19bをサイドシール13a、13bまで形成する代わりに横方向に易引き裂き性を有するフィルムを使用することでも、開封時に摘み部20a、20bが切断されてしまうという問題を解決することができる。
【0023】
横方向のミシン目19a、19bは、再封用チャック15の上方直近に設けると良い。包装体を開封する際に縦方向に引き裂き、破断が再封用チャック15まで進行すると破断は再封用チャック15で停止した後、横方向のミシン目19a、19bに沿って横方向の破断が開始され、横方向への引き裂きをスムーズに行うことができる。横方向のミシン目19a、19bと再封用チャック15とがある程度(例えば、10mm程度)離れて形成された場合、縦方向の引き裂きから、横方向の引き裂きに移行する事ができず、スムーズに横方向に引き裂くことができないという問題が起こりうるのである。
【0024】
また、縦方向のミシン目の端部と横方向のミシン目の端部とを直角に連結させるのではなく、曲線で連結するようにすると良い。再封用チャックの咬み合いを外して袋口を開封の際に摘み部20a、20bの根元の角部に応力が集中して摘み部20a、20bが切断されてしまうのを防止することができる。
【0025】
(第2実施形態)
図3は請求項2に係る再封用チャック付き包装体11bの実施形態を例示している。請求項2に係る再封用チャック付き包装体11bは、請求項1に係る包装体の表側フィルム、及び裏側フィルムに縦方向のミシン目18a、18bを形成する代わりに、縦方向に引き裂き性のある一軸延伸性フィルムを使用し、再封用チャック15の上方の未シール部16であって包装体の表側フィルム、及び裏側に横方向のミシン目19a、19bをノッチの垂直方向線上の位置から形成し、横方向のミシン目19a、19bは反対側のフィルムとが逆方向bに伸びるように形成されている。
【0026】
請求項2に係る再封用チャック付き包装体11bをノッチ17から開封した場合、縦方向に引き裂き性のある一軸延伸性フィルムを使用しているため、縦方向のミシン目18a、18bが無くても垂直方向にフィルムを直線的に破断することができ、その垂直方向線上には横方向のミシン目19a、19bの破断が開始される。
【0027】
(第3実施形態、第4実施形態)
図4は請求項4、及び請求項5に係る再封用チャック付き包装体11c、11dの実施形態を例示している。本発明に係る再封用チャック付き包装体11c、11dには開封、及び再封用チャックの咬み合わせを外して袋口を開ける場合において方向性を有する。すなわち、横方向のミシン目19a、19bの形成の仕方によって開封方法が異なる。具体的には、本発明に係る包装体の右側に位置する摘み部20aを右手で摘んで手前側に引き、かつ本発明に係る包装体の左側に位置する摘み部20bを左手で摘んで奥側に押し、左右の摘み部20a、20bを相対的に離反させる事によって開封を行う場合と、前記操作とは反対に本発明に係る包装体の右側に位置する摘み部20aを右手で摘んで奥側に押し、かつ本発明に係る包装体の左側に位置する摘み部20bを左手で摘んで手前側に引き、左右の摘み部20a、20bを相対的に離反させる事によって開封を行う場合とがある。従って使用者は開封を行う際にどちらの方法で開封を行うのかを事前に知っておかなくてはならない。そこで使用者が本発明の包装体を開封する際に迷わないように本発明の包装体11c、11dには、包装体の開封方向を示す表示21が施されている。表示21は、使用者が本発明の包装体の開封の方向性が一目で分かるものであれば、デザインについてはこれに限らない。または、図4には図示されていないが開封方法を説明する表示を行っても良い。なお、図4では、縦方向のミシン目18a、18b、横方向のミシン目19a、19bは省略してある。
【0028】
(第5実施形態)
図5は請求項6に係る再封用チャック付き包装体11eの実施形態を例示している。請求項6に係る再封用チャック付き包装体は、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、または請求項5に記載の本発明に係る再封用チャック付き包装体11eのアッパーシール14aに吊り下げ用パンチ穴22を設け、巾方向において前記吊り下げ用パンチ穴22と干渉しない位置にノッチ17を形成している。請求項5に係る再封用チャック付き包装体11eは、店頭において吊り下げられて陳列して販売することができ、包装体を開封後においても吊り下げ用パンチ穴22を含むアッパーシール14aが残っているので、包装体を吊り下げて保存することが可能であるという新たな効果を有している。
【0029】
なお、第4実施形態の実施例では吊り下げ用パンチ穴22を抜き穴としたが、これに限らずパンチ穴の一部が繋がった馬蹄形状であっても良い。
【0030】
(その他の実施形態)
実施例では、本発明に係る再封用チャック付き包装体11a、11b、11c、11d、11eを四方シール包装体とて説明したが、これに限らず、底部に内側に折り込まれた底部折込部を有し、天部側内面に開口部に再封用チャックを設け、両側端部と前記底部とを熱接着し、前記底部折込部を開く事により自立するように構成した再封用チャック付きスタンディングパウチであっても良い。
【0031】
また、実施例では、本発明に係る再封用チャック付き包装体11a、11b、11c、11d、11eを縦方向の寸法が長い形状の包装形態としたが、これに限らず横方向の寸法が長い包装形態であっても、もちろん良い。
【符号の説明】
【0032】
11a、11b、11c、11d、11e 再封用チャック付き包装体
12a 表面部材
12b 裏面部材
13a、13b サイドシール
14a アッパーシール
14b アンダーシール
15 再封用チャック
16 未シール部
17 ノッチ
18a、18b 縦方向のミシン目
19a、19b 横方向のミシン目
20a、20b 摘み部
21 表示
22 吊り下げ用パンチ穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドシールと、アッパーシールと、再封用チャックとを備えた包装体であって、
表側フィルム、及び裏側フィルムのアッパーシールの外縁の同一位置にノッチを形成し、
前記表側フィルム、及び前記裏側フィルムの前記ノッチに連続して少なくとも下方に伸びるミシン目を前記表側フィルム、及び前記裏側フィルムに形成し、
アッパーシールの下方であって、かつ再封用チャックの上方の未シール部の表側フィルム、及び裏側フィルムに横方向のミシン目を前記下方に伸びるミシン目の端部と連続するように形成し、
前記横方向のミシン目はそれぞれ互いに逆方向に伸びるミシン目であることを特徴とする再封用チャック付き包装体。
【請求項2】
サイドシールと、アッパーシールと、再封用チャックとを備えた包装体であって、包装体のフィルムは縦方向の引き裂き性を有し、表側フィルム、及び裏側フィルムのアッパーシールの外縁の同一位置にノッチを形成し、
アッパーシールの下方であって、かつ再封用チャックの上方の未シール部の前記表側フィルム、及び前記裏側フィルムに横方向のミシン目を前記ノッチの縦方向延長領域から形成し、
前記横方向のミシン目はそれぞれ互いに逆方向に伸びるミシン目であることを特徴とする再封用チャック付き包装体。
【請求項3】
前記包装体が四方シール包装体であることを特徴とする請求項1または2に記載の包装体。
【請求項4】
前記少なくとも下方に伸びるミシン目が形成されている近傍に開封時の方向性を視覚的に案内する表示が施されていることを特徴とする請求項1に記載の包装体。
【請求項5】
少なくとも前記ノッチと横方向のミシン目との間であって、前記ノッチの縦方向延長領域の近傍に開封時の方向性を視覚的に案内する表示が施されていることを特徴とする請求項2に記載の包装体。
【請求項6】
前記アッパーシールに吊り下げ用パンチ穴を設け、前記ノッチが縦方向において吊り下げ用パンチ穴と干渉しない位置に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−86892(P2012−86892A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249119(P2010−249119)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】