説明

包装充填装置

【課題】包装充填装置の長時間運転を保証する充填ポンプを備える包装充填装置を提供する。
【解決手段】包装充填装置は、屋根型用容器を搬送する搬送装置、充填ポンプ、充填管、ノズルを有し、充填ポンプ4は、シリンダ2とピストン1とダイアフラム3とを備え、ダイアフラム3は、シームレス網で形成された補強中心層とゴム状弾性層とからなる。好ましい態様においては、ダイアフラム3は、ピストン側の端部に支持部材を内蔵する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ュース、牛乳、ミネラルウォータ、緑茶、ドレッシング、スープ、ソース、ジャム、果肉入りジュース、菓子、砂糖、塩、化学調味料などを充填する包装充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ジュース、牛乳、ミネラルウォータ、緑茶など低粘性液体食品、流動食品などの包装充填容器は、例えば、基材(例えば、紙などの繊維質及びプラスチック)/必要に応じてアルミ箔などのバリア層/ヒートシール層の積層体に、外観デザインが印刷されたウェブ状包装材料などの包装積層材料から得られる。
包装充填容器には、レンガ型包装充填、屋根型包装容器、紙製本体と本体端にインジェクション成形された蓋とからなる複合容器、及び紙製本体と本体端に接合されたプラスチック頂部とからなる複合容器などがある。
【0003】
屋根型包装容器では、表面に製品の外観デザインが印刷された包装材料を所定の形状に裁断し、容器縦方向にシールしたブランクスを得、充填機内でブランクスの底をシールした後に上部開口から牛乳、ジュースの飲料を充填し、上部をシールして得られる。
例えば、図5に示す態様の屋根型(ゲーブトップ)紙容器用包装充填機では、平行する2の包装充填ラインからなり、折目線が付けられた印刷済み積層包装材料が所定形状に裁断され、容器縦方向に縦シールした容器ブランクス31を得る。ブランクスの底が底部シール手段32でシールされ、充填ステーション34aで容器33の上部の開放口から流動性製品が充填手段34でヘッドスペースを残して充填され、上部開放口が折目線に沿って内側に折り込んで、順次閉鎖され、予熱ステーション35a及びトップシールステーション35bで容器33の上端がトップシール手段35でヒートシールされて、部分拡大図に示すような屋根型包装充填容器36を得る。
【0004】
上記包装充填装置の充填手段34は、タンク、充填ポンプ、充填管、ノズル、容器の底内側近傍の第1位置と容器開口の外の第2位置との間で容器/ノズルを相対的に移動させる移動装置(ノズルの挿入引出し装置)を有する。充填ポンプは流動性製品を給送する。充填管は加圧された流動性製品を充填ポンプからうけ入れる入口および容器の上方にある出口を有する。ノズルは充填管の出口端上に配置される。充填ポンプによって容器が充填される。ポンプは連結された充填管に対して所望量の流動性製品を排出し、この充填管がその流動性製品をこれから充填されるべき包装容器内に導入する。
【0005】
充填製品がジュース、牛乳、ミネラルウォータ、緑茶など液体食品の場合、液体の表面張力によって液体の重力による流下を防止するために、出口端に網状体を設けた液体充填ノズル、スリットを有するゴム製ノズルがある。(特許文献1及び2参照。)
充填製品がドレッシング、スープ、ソース、ジャム、果肉入りジュース、菓子、砂糖、塩、化学調味料などである場合、液体の表面張力によって流下防止ができないので、ノズル出口端にこの出口端を覆うバルブが設けられている。
【特許文献1】特許第3393151号公報
【特許文献2】実開昭63−164499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
包装充填装置は長時間運転される。しかしながら、充填ポンプに不調が生じて運転の中止若しくは中断を余儀なくされる恐れがある。
この発明は、上記の不都合を解消し、包装充填装置の長時間運転を保証する充填ポンプを備える包装充填装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の包装充填装置は、側壁と側壁に結合した閉鎖部と閉鎖部の反対端の開放部とによって画定された容器を搬送する搬送装置、入口バルブと出口バルブとを有し、タンクから充填管へ流動性製品の流量を制御する充填ポンプ、流動性製品を出口バルブから受け入れる入口および出口を有する充填管、充填管の出口に配置されたノズル、ノズルが容器の閉鎖部内側近傍に配置される第1位置とノズルが開放部から離れて配置される第2位置との間で容器及び/又はノズルを相対的に移動させる移動装置を有する包装充填装置において、
充填ポンプは、シリンダと、シリンダに嵌合し前進後退自在なピストンと、ピストンとシリンダとの間隙にはられた分離用薄膜状転動形ダイアフラムとを備え、
ダイアフラムは、繊維質シームレス網で形成された補強中心層と、中心層を被覆して密封するゴム状弾性層とからなる、ことを特徴とする。
【0008】
この発明の好ましい態様の包装充填装置において、流動性製品が、低粘性液体食品、粘稠性液体食品、固形物含有液体食品、粉状食品又は粒状食品である。
【0009】
この発明の好ましい上記態様の包装充填装置において、ダイアフラムは、ピストン側の端部に支持部材を内蔵する。
【0010】
この発明の好ましい態様の包装充填装置において、充填ポンプは、充填時に出口バルブが開口し、ピストンを前進させて流動性製品を出口バルブから押出し、ピストンの前進ストロークの終点位置で出口バルブが閉鎖し、補給時に入口バルブが開口し、ピストンを後退させて流動性製品をタンクから入口バルブを経て補給し、ピストンの後退ストロークの終点位置で入口バルブが閉鎖する。
【発明の効果】
【0011】
上記構成を有するこの発明は、以下の様に作用機能し、効果を奏する。
この発明の包装充填装置は、容器を搬送する搬送装置、充填ポンプ、充填管、ノズル、移動装置を有する。
容器は、側壁と側壁に結合した閉鎖部と閉鎖部の反対端の開放部とによって画定されている。側壁と閉鎖部とで囲まれた空間に、開放部から流動性製品を充填することができる。
充填ポンプは、タンクに連通する入口バルブと充填管に連通する出口バルブとを有し、タンクから充填管へ流動性製品の流量を制御する。
充填管は、その入口から流動性製品を受け入れ、管内部を通過して、出口から流動性製品をノズルに出すことができる。
移動装置は、容器及び/又はノズルを、容器の閉鎖部内側近傍に配置される第1位置と、開放部から離れて配置される第2位置との間で相対的に移動させる。
【0012】
この発明の包装充填装置の特徴においては、充填ポンプは、シリンダと、シリンダに嵌合し前進後退自在なピストンと、ピストンとシリンダとの間隙にはられた分離用薄膜状転動形ダイアフラムとを備える。
縦断面図の図2(a)を参照して充填ポンプの例を示す。充填ポンプ4は、シリンダ2と、シリンダに嵌合し前進後退自在なピストン1と、2個の分離用薄膜状転動形ダイアフラム3、3とを備える。
ダイアフラムは、運動する部品と静止している部品のすきまにはられた分離用の薄膜であり、これによって2つの領域や室にある液体や媒体がお互いに混ざり合うのを防ぐ。転動形ダイアフラム(Rolling diaphragm)は、180度折り返され、シリンダ2とピストン1が相対運動するとき、ダイアフラム3の一方の面はシリンダ2またはピストン1の側壁から転がり接触しながら離れ、もう一方の面は側壁と転がり接触し始めるような構造を有する。
【0013】
この発明の包装充填装置の特徴においては、ダイアフラムは、繊維質であってシームレスな均一な網で形成された補強中心層と、中心層を被覆して密封するゴム状弾性層とからなる。
横断面図の図2(b)及び(c)を参照して充填ポンプのダイアフラムの不都合を示す。縦断面図の図2(a)のA−A横断面を示す図2(b)に示すように、ダイアフラムに数カ所、図示する例では、4箇所のたるみ3aが生じる不都合がある。これは、ダイアフラムの補強中心層が、シームレスな均一な網でない場合に生じる不都合である。また、図2(c)に示すように、1枚のシートから型絞り成形して得た補強中心層用の網では、成型時に生じた不均一な網部分3bになり、それから得られたダイアフラムでは、部分的に機械的強度不足が生じる不都合がある。
この発明のダイアフラムでは、繊維質であってシームレスな均一な網で形成された補強中心層とからなるので、たるみが生じず、また、均一な強度を持ち、耐久性に優れたいる。
この発明のダイアフラムは、補強中心層を被覆して密封するゴム状弾性層とからなるので、ダイアフラムは、運動するピストンと静止しているシリンダのすきまにはられて密封分離することができる。
【0014】
この発明の好ましい態様において、ダイアフラムは、ピストン側の端部に支持部材を内蔵する。この態様において、運動するピストン側の端部に最も負担がかかりその部分に補強用の支持部材が設けられているので、ダイアフラムに耐久性を付与する。
【0015】
この発明の好ましい態様において、充填ポンプは、充填時に出口バルブが開口し、ピストンを前進させて流動性製品を出口バルブから押出し、ピストンの前進ストロークの終点位置で出口バルブが閉鎖し、補給時に入口バルブが開口し、ピストンを後退させて流動性製品をタンクから入口バルブを経て補給し、ピストンの後退ストロークの終点位置で入口バルブが閉鎖する。
この態様に充填ポンプによって、ポンプに連結された充填管に対して所望量の流動性製品を正確に排出し、流動性製品を定量的に包装容器内に充填することができる。
この発明によっては、包装充填装置の長時間運転を保証することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、この発明による包装充填装置の充填ポンプ例を分解した一部分解図である。
図2は、包装充填装置の充填ポンプ例における不都合を説明する参考図である。
図3は、この発明による充填ポンプのダイアフラム例を示す外観図及び断面図である。
図4は、この発明による包装充填装置の充填手段の一実施例を示す断面図である。
図5は、屋根型容器の包装充填装置を示す概略外観斜視図である。
【0017】
図5に示すように、屋根型容器の包装充填装置の例では、底部シール手段32、充填ステーション34a、充填手段34、予熱ステーション35a、トップシールステーション35b、トップシール手段35を有する。
この装置の例では、平行する2列の包装充填ラインからなり、ウェブ状の包装材料が容器1個分の所定形状に裁断され、容器縦方向に縦シールした容器ブランクス31を得る。ブランクスの底が底部シール手段32でシールされ、充填ステーション34aで容器(31、33)の上部の開放口から流動性製品が充填手段34でヘッドスペースを残して充填され、上部開放口が折目線に沿って内側に折り込んで、順次閉鎖され、予熱ステーション35a及びトップシールステーション35bで容器33の上端がトップシール手段35でヒートシールされて、部分拡大図に示すような屋根型包装充填容器36を得る。
【0018】
この態様の包装充填装置を図4に示す。この態様では、側壁と側壁に結合した閉鎖部と閉鎖部の反対端の開放部とによって画定された容器31を搬送する搬送装置30、充填手段34を有する。
この充填手段34は、入口バルブ34aと出口バルブ34bとを有し、タンク34cから充填管34dへ流動性製品40の流量を制御する充填ポンプ4と、流動性製品を出口バルブ34bから受け入れる入口および出口を有する充填管34dと、充填管の出口に配置されたノズル34eと、ノズルが容器の閉鎖部内側近傍に配置される第1位置とノズルが開放部から離れて配置される第2位置との間で容器及び/又はノズルを矢印方向(相対的に)移動させる移動装置(図示せず)とを有する。
充填ポンプ4が、流動性製品40をタンク34cから充填管34d、ノズル34eを経て、包装容器31内に充填する。
【0019】
この態様においては、充填ポンプは、シリンダと、シリンダに嵌合し前進後退自在なピストンと、ピストンとシリンダとの間隙にはられた分離用薄膜状転動形ダイアフラムとを備える。
分解斜視図の図1を参照して充填ポンプの態様を示す。充填ポンプ4は、シリンダ2と、シリンダに嵌合し前進後退自在なピストン1と、2個の分離用薄膜状転動形ダイアフラム3、3とを備える。
ダイアフラム3の大径端部はシリンダ2の端部に、ダイアフラム3の小径端部はピストン1の端部に、それぞれ固定されて組み立てられる。
ローリングダイアフラムは、シリンダ2内をピストン1が前進後退運動するとき、ダイアフラム3の一方の面はシリンダ2またはピストン1の側壁から転がり接触しながら離れ、もう一方の面は側壁と転がり接触し始める。
【0020】
この態様においては、ダイアフラム3は、繊維質であってシームレスな均一な網で形成された補強中心層3dと、中心層3dを被覆して密封するゴム状弾性層3eとからなる。
図1(a)、(b)及び(c)を参照して充填ポンプのダイアフラムを示す。図1(a)に、繊維質であってシームレスな(継ぎ目のない)均一な網で形成された補強中心層3dを示す。なお、網目は図示せず。このダイアフラムでは、シームレスな均一な網で形成された補強中心層とからなるので、たるみが生じず、また、均一な強度を持ち、耐久性に優れたいる。
補強中心層3dが弾性ゴム状物質で全体的に被覆されて所定形状に成形されたム状弾性層3eを、図1(b)に示す。ダイアフラムは、運動するピストンと静止しているシリンダのすきまにはられ密封分離する。
【0021】
図1(c)に示す好ましい態様において、ダイアフラム3は、ピストン側の端部に支持部材3fを内蔵する。この態様において、最も負担がかかる部分に補強用の支持部材3fが、ダイアフラムに耐久性を付与する。
【0022】
図4に示す態様においては、充填ポンプ4は、充填時に出口バルブ34bが開口し、ピストン1を前進させて流動性製品40を出口バルブ34bから押出し、ピストン1の前進ストロークの終点位置で出口バルブ34bが閉鎖し、補給時に入口バルブ34aが開口し、ピストン1を後退させて流動性製品40をタンク34cから入口バルブ34aを経て補給し、ピストン1の後退ストロークの終点位置で入口バルブ34aが閉鎖する。
この充填ポンプ4によって、ポンプ34cに連結された充填管34dに対して所望量の流動性製品40を正確に排出し、流動性製品40を定量的に包装容器31内に充填する。
【0023】
なお、本発明は該実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明は、流動性食品を包装充填する包装容器の製造に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明による包装充填装置の充填ポンプ例を分解した一部分解図である。
【図2】包装充填装置の充填ポンプ例における不都合を説明する参考図である。
【図3】この発明による充填ポンプのダイアフラム例を示す外観図及び断面図である。
【図4】この発明による包装充填装置の充填手段の一実施例を示す断面図である。
【図5】屋根型容器の包装充填装置を示す概略外観斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 ・・・ピストン
2 ・・・シリンダ
3 ・・・ダイアフラム
4 ・・・充填ポンプ
31 ・・・容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁と該側壁に結合した閉鎖部と該閉鎖部の反対端の開放部とによって画定された容器を搬送する搬送装置、入口バルブと出口バルブとを有し、タンクから充填管へ流動性製品の流量を制御する充填ポンプ、流動性製品を該出口バルブから受け入れる入口および出口を有する充填管、該充填管の出口に配置されたノズル、該ノズルが該容器の該閉鎖部内側近傍に配置される第1位置と該ノズルが該開放部から離れて配置される第2位置との間で該容器及び/又はノズルを相対的に移動させる移動装置を有する包装充填装置において、
該充填ポンプは、シリンダと、該シリンダに嵌合し前進後退自在なピストンと、該ピストンと該シリンダとの間隙にはられた分離用薄膜状転動形ダイアフラムとを備え、
該ダイアフラムは、繊維質シームレス網で形成された補強中心層と、該中心層を被覆して密封するゴム状弾性層とからなる、
ことを特徴とする包装充填装置。
【請求項2】
流動性製品が、低粘性液体食品、粘稠性液体食品、固形物含有液体食品、粉状食品又は粒状食品である、請求項1記載の包装充填装置。
【請求項3】
該ダイアフラムは、該ピストン側の端部に支持部材を内蔵する、請求項1記載の包装充填装置。
【請求項4】
該充填ポンプは、充填時に該出口バルブが開口し、該ピストンを前進させて流動性製品を該出口バルブから押出し、該ピストンの前進ストロークの終点位置で該出口バルブが閉鎖し、補給時に該入口バルブが開口し、該ピストンを後退させて流動性製品を該タンクから該入口バルブを経て補給し、該ピストンの後退ストロークの終点位置で該入口バルブが閉鎖する、請求項1記載の包装充填装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−161219(P2009−161219A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341582(P2007−341582)
【出願日】平成19年12月31日(2007.12.31)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】