説明

包装容器および包装用袋体

【目的】内袋を外箱から引出す操作に伴って内袋を開封することができるようにする。
【構成】包装容器は,外箱30とこの外箱内に収容される内袋10Cとを備える。内袋10Cには,その開封側端部のトップシール部12Aから外方に延びる未シール部11a,11bが設けられる。外箱内に収容された内袋の未シール部の表裏のフィルムのうちの一方11aが外側に折り返され,外箱の内袋引出し側端部の外面に接着される。未シール部のフィルムのうちの他方11bを外箱から引出すと,内袋の開封側端部のトップシール部12Aが剥れ,内袋は開封されていく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は外箱とこの外箱内に収容される内包装体(内袋,トレーなど)とを備える包装容器,および内袋(包装用袋体)に関する。
【背景技術】
【0002】
衛生,安全,外力からの保護,密封等の目的で,菓子等の食品類,半導体装置,その他の比較的小さな商品等を内袋に入れて封(シール)をし,その内袋を外箱に収容する形態の包装がある。このような,内袋を外箱に収容する形態の二重の包装容器では,その内部の物品を取出すためには,まず外箱を開封し,次に外箱から内袋を取出し,内袋を開封するという手順を踏まなければならず,やや煩雑である感を免れない。
【0003】
そこで,外箱の開封と同時に内袋も開封できる構造の包装容器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−182768
【0005】
しかしながらこの構造では,外箱を開封したときに内包も開封されるから,いきおい内容物がこぼれ落ちてしまうおそれがある。
【発明の開示】
【0006】
この発明は,内袋(内包装体)を外箱から引出す操作に伴って内袋を開封することができる包装容器を提供することを目的とする。
【0007】
この発明はまた,製造が比較的容易でかつ確実に開封できる包装用袋体を提供することを目的とする。
【0008】
第1の発明による包装容器は,外箱とこの外箱内に収容される内袋とを備える。内袋には,その開封側端部のトップシール部から外方に延びる未シール部が設けられる。外箱内に収容された内袋の未シール部の表裏のフィルムのうちの少なくとも一方が外側に折り返され,外箱の内袋引出し側端部の外面に接着される。
【0009】
外箱内に収容された内袋の未シール部のフィルムのうちの一方が外箱の外側に折り返されて接着されているから(すなわち外箱に固定されているから),未シール部のフィルムのうちの他方を外箱から引出すと,内袋の開封側端部のトップシール部が剥れ,内袋は開封されていく。
【0010】
このようにして,内袋を外箱から引出す操作により,内袋の開封が行なわれる。少なくともトップシール部は易剥離性(弱接着状態)であることが好ましい。
【0011】
第2の発明による包装容器は,外箱とこの外箱内に収容される内袋とを備える。内袋には,その開封側端部のトップシール部から外方に延びる未シール部が設けられ,この未シール部の表裏のフィルムのうちの少なくとも一方に,内袋の中央の方向に向う2本の切込みが間隔をあけて形成されている。外箱内に収容された内袋の未シール部の表裏のフィルムのうちの少なくとも一方が外側に折り返され,外箱の内袋引出し側端部の外面に接着される。
【0012】
切込みは内袋の未シール部の表裏のフィルムの一方に形成しても,両方に形成してもどちらでもよい。切込みが内袋の未シール部の表裏のフィルムの一方に形成されている場合に,切込みが形成されている未シール部を外箱の外面に接着しても(この場合に,2つの切込みの間の部分を接着しても,2つの切込みを超えてその外側の部分も接着してもどちらでもよい),切込みが形成されていない未シール部を外箱の外面に接着してもよい。
【0013】
外箱内に収容された内袋の未シール部の表裏のフィルムのうちの少なくともいずれか一方に2本の切込みが形成され,いずれか一方が外箱の外側に折り返されて接着されているから,未シール部のフィルムのうちの他方を外箱から引出すと,2本の切込みの延長方向に内袋のフィルムが裂けるとともに内袋の開封側端部のトップシール部が剥れ,内袋は開封されていく。
【0014】
このようにして,内袋を外箱から引出す操作により,内袋の開封が行なわれる。内袋を構成するフィルムは上記の2本の切込みの方向に引き裂き性を持つものであることが好ましく,また,トップシール部の少なくとも2本の切込みの間に相当する部分は易剥離性(弱接着状態)であることが好ましい。
【0015】
好ましい実施態様では,2本の切込みは未シール部の先端からトップシール部の手前まで延びて形成されている。すなわち,2本の切込みはトップシール部までは達していない。切込みがトップシール部に達している場合に比べると,不用意にトップシール部が剥離したり破れたりする事故を防止できる。
【0016】
他の実施態様では,内袋の中央の方向に向う2本の切込みの一端はトップシール部の手前で止まり,他端は互いの方向に延びて,未シール部の端部に達することなく,つながっている。切込みは未シール部の端部まで形成されていないから,未シール部の端部を内袋の引出しのために利用することが可能となる。この実施態様のものでは2本の互いにつながった切込みを未シール部の表裏両フィルムに形成しても内袋の引出しのための不便はないので,製造が容易となる。
【0017】
第3の発明による包装容器は,外箱とこの外箱内に収容される内包装体とを備える。内包装体は基体側部分と,これに剥離可能にシールされた開封用フィルム部分と,少なくとも基体側部分に設けられ開封用フィルム部分とのシール部よりも外方に延びる摘み部分とを有する。外箱は内包装体引出し側端部に連続するトップフラップを有し,このトップフラップは外箱の内側に折返され,外箱内に収容された内包装体のシール部またはこれよりも外方に延長された部分が,外箱の内側に折り返されたトップフラップに接着される。
【0018】
この包装容器においては,摘み部分をもって,内包装体を外箱から引出していくとトップフラップが反転するとともに開封用フィルム部分が基体側部分から剥れ,内包装体が開封されていく。
【0019】
一実施態様では,内包装体は,少なくともトップシール部および両サイドシール部により接着された2枚のフィルムにより構成される内袋である。表裏両面を構成する一方のフィルムが基体側部分に,他方が開封用フィルム部分にそれぞれ相当する。そして,内袋はトップシール部から延長して設けられた未シール部を備え,この未シール部の表裏のフィルムのうちの一方がトップフラップに接着され,他方が摘み部に相当するものである。このような内袋を備えた包装容器は,次のように表現できる。すなわち,この包装容器は,外箱とこの外箱内に収容される内袋とを備え,上記内袋は,少なくともその開封側端部のトップシール部および両サイドシール部により接着された表裏フィルムにより構成され,かつ上記トップシール部から外方に延びる未シール部が設けられ,上記外箱は内袋引出し側端部に連続するトップフラップを有し,このトップフラップは外箱の内側に折返され,上記外箱内に収容された上記内袋の未シール部の表裏のフィルムの一方が,上記外箱の内側に折り返された上記トップフラップに接着されているものである。
【0020】
他の実施態様では内包装体は,基体側部分に相当するトレーと,このトレーの上面開口を閉鎖する開封用フィルム部分に相当するカバーシートと,トレーから延びる摘みとを有するものである。
【0021】
第4の発明による包装容器は,外箱とこの外箱内に収容される内袋とを備える。内袋には,その開封側端部のトップシール部から外方に延びた未シール部が設けられ,この未シール部の表裏のフィルムのうちの少なくとも一方に,内袋の中央の方向に向う2本の切込みが間隔をあけて形成される。外箱は内袋引出し側端部に連続するトップフラップを有し,このトップフラップは外箱の内側に折返され,外箱内に収容された内袋の未シール部の表裏のフィルムの一方が,外箱の内側に折り返されたトップフラップに接着される。
【0022】
切込みは内袋の未シール部の表裏のフィルムの一方に形成しても,両方に形成してもどちらでもよい。切込みが内袋の未シール部の表裏のフィルムの一方に形成されている場合に,切込みが形成されている未シール部を外箱のトップフラップに接着しても(この場合に,2つの切込みの間の部分を接着しても,2つの切込みを超えてその外側の部分も接着してもどちらでもよい),切込みが形成されていない未シール部をトップフラップに接着してもよい。
【0023】
外箱内に収容された内袋の未シール部の表裏のフィルムのうちの少なくともいずれか一方に2本の切込みが形成され,いずれか一方が,外箱に連続して設けられかつ内側に折返されたトップフラップに接着されているから(すなわち,固定されているから),未シール部のフィルムのうちの他方を外箱から引出していくと,内側に折返されたトップフラップが反転し,さらに内袋を引張ると,2本の切込みの延長方向に内袋のフィルムが裂けるとともにトップシール部が剥れ,内袋は開封されていく。このようにして,内袋を外箱から引出す操作に伴って内袋の開封が達成される。
【0024】
外箱の内側に折返されたトップフラップの反転を容易にするために,外箱のトップフラップが連続している内袋引出し側端部の両側に切込みを入れ,かつ切込みの終端で外方に折曲るようにしておくとよい。
【0025】
第5の発明は包装用袋体を提供している。この包装用袋体は,少なくとも開封側端部のトップシール部により閉じられる包装用袋体であり,トップシール部から延長して未シール部が設けられ,未シール部の表裏のフィルムにはその先端部分を除いて開封用の切込みが形成されており,この切込みは,その2つの部分の端が,包装用袋体の中央部の方向に向い,他端が互いの方向に向って相互につながっている形状を有するものである。
【0026】
この包装用袋体では,未シール部の先端部分には切込みが形成されていないから,この先端部分を持ち,切込みにより囲まれる部分を上記先端部分から離れる方向に引っ張れば,包装用袋体の中央部に向う切込みの2つの部分の延長方向に包装用袋体のフィルムが裂かれるとともにトップシール部が剥れるので,容易にかつ確実に開封することができる。切込みの2つの部分をトップシール部に達しないようにすると,トップシール部が不用意に破れるような事故を防止できる。また,切込みを未シール部の2枚のフィルムの両方に形成しても支障がないので製造が容易である。包装用袋体を構成するフィルムは切込みの2つの部分の方向に引き裂き性を持つものであることが好ましく,また,トップシール部の少なくとも2本の切込みの間に相当する部分は易剥離性(弱接着状態)であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】四方シールの内袋の例を示す斜視図である。
【図2】四方シールの内袋の例を示す縦断面図である。
【図3】四方シールの内袋の他の例を示す斜視図である。
【図4】四方シールの内袋のさらに他の例を示す斜視図である。
【図5】四方シールの内袋のさらに他の例を示す斜視図である。
【図6】三方シールの内袋の例を示す斜視図である。
【図7】三方シールの内袋の他の例を示す斜視図である。
【図8】三方シールの内袋のさらに他の例を示す斜視図である。
【図9】三方シールの内袋のさらに他の例を示す斜視図である。
【図10】ガセット・タイプの内袋の例を示す表からみた斜視図である。
【図11】ガセット・タイプの内袋の例を示す裏からみた斜視図である。
【図12】ガセット・タイプの内袋の他の例を示す斜視図である。
【図13】ピロー・タイプの内袋の例を示す斜視図である。
【図14】ピロー・タイプの内袋の他の例を示す斜視図である。
【図15】第1実施例を示す外箱の斜視図である。
【図16】第1実施例を示すもので外箱を開封した状態を示す斜視図である。
【図17】第1実施例を示すもので外箱を開封し内袋を引出した状態を示す斜視図である。
【図18】第2実施例を示す外箱の斜視図である。
【図19】第2実施例を示すもので外箱を開封した状態を示す斜視図である。
【図20】第2実施例を示すもので外箱を開封し内袋を引出した状態を示す斜視図である。
【図21】第2実施例の包装容器の製造過程を示す斜視図である。
【図22】第2実施例の包装容器の製造過程を示す斜視図である。
【図23】第2実施例の包装容器の製造過程を示す斜視図である。
【図24】第2実施例の変形例を示すもので外箱を開封した状態を示す斜視図である。
【図25】第3実施例を示すもので外箱を開封した状態を示す斜視図である。
【図26】第3実施例を示すもので外箱を開封し内袋を引出した状態を示す斜視図である。
【図27】第4実施例の包装容器の製造過程を示す斜視図である。
【図28】第4実施例の包装容器の製造過程を示す斜視図である。
【図29】第4実施例の包装容器の製造過程を示す斜視図である。
【図30】第4実施例の包装容器の製造過程を示す斜視図である。
【図31】第4実施例の包装容器の製造過程を示す斜視図である。
【図32】第4実施例の包装容器の製造過程を示す斜視図である。
【図33】第4実施例の包装容器の製造過程を示す斜視図である。
【図34】第4実施例における開封過程を示す断面図である。
【図35】第4実施例における開封過程を示す断面図である。
【図36】第4実施例における開封過程を示す断面図である。
【図37】第4実施例における開封過程を示す断面図である。
【図38】第4実施例の変形例を示す斜視図である。
【図39】第4実施例の変形例における開封過程を示す断面図である。
【図40】第5実施例におけるトレーを示す平面図である。
【図41】図40のA−A線に沿う拡大断面図である。
【図42】図40のB−B線に沿う拡大断面図である。
【図43】第5実施例における開封過程を示す断面図である。
【図44】第5実施例における開封過程を示す断面図である。
【図45】第5実施例における開封過程を示す平面図である。
【図46】第5実施例における開封過程を示す断面図である。
【図47】第5実施例における開封過程を示す断面図である。
【図48】第5実施例における開封過程を示す断面図である。
【図49】外箱の他の例を示す斜視図である。
【図50】外箱のさらに他の例を示す斜視図である。
【図51】外箱のさらに他の例を示す斜視図である。
【図52】包装用袋の他の例を示す斜視図である。
【図53】包装用袋の他の例を示す斜視図である。
【図54】包装用袋の他の例を示す斜視図である。
【図55】包装用袋のさらに他の例を示す斜視図である。
【図56】包装用袋を開封する様子を示す斜視図である。
【図57】包装用袋を開封する様子を示す斜視図である。
【実施例】
【0028】
(1) 内袋
この発明による包装容器は,外箱と外箱内に収容される内袋とを備える。特に内袋はさまざまな形態がありうるので,その代表的なものをまずまとめておく。外箱の構造については,実施例において必要に応じて触れることにする。
【0029】
内袋は一般に合成樹脂フィルム(単に「フィルム」という)によりつくられる。合成樹脂フィルムは紙,金属箔(アルミニウム箔など),その他の合成樹脂以外の材料よりなるフィルム層,または他の種類の合成樹脂フィルム層が積層されたものも含む。
【0030】
図1および図2は,四方シールの内袋(パウチ)を示す。四方シール内袋10Aは,表裏2枚の方形のフィルム11A,11Bをその四辺で接着(溶着等を含む。以下同じ)したものである(後述するように,開封側の一辺については未シール部11a,11bを残す)。接着されている部分を方向の異なる二重のハッチングで示す。開封側端部の接着部分をトップシール部12A,その反対側端部の接着部分をエンドシール部12B,両側の接着部分をサイドシール部12C,12Dということにする。
【0031】
開封側端部にはトップシール部12Aから外方に連続的に延びる未シール部11a,11bがある。未シール部11a,11bとは接着していない部分である。換言すれは,2枚のフィルム11A,11Bの開封側端部にあたる部分11a,11bを未シール部として残して,その内側を接着してトップシール部12Aとする。
【0032】
この四方シールの内袋10Aは未シール部11aと11bを離れる方向に引張ることにより,トップシール部12Aの接着を剥し(剥離し),続いてサイドシール部12C,12Dの少なくとも一部の接着を剥して開封する。
【0033】
図2において,内袋10Aの内容物は図示されていないが,少なくとも一辺は内容物を入れてから接着して内袋を作るのはいうまでもない。このことは,後述する他の形態の内袋においても同じである。また,表裏のフィルム11A,11B,各シール部12A〜12D,未シール部11a,11bの名称と符号は以下に示す他の形態の内袋についても同じように用いることとする。
【0034】
図3は四方シールの内袋の他の例を示すものである。この内袋10Bにおいては,未シール部11aと11bの両側が接着されている(この接着部分をシール部12Eとして示す)。
【0035】
図4は四方シール内袋のさらに他の例を示すものである。この四方シール内袋10Cにおいては,トップシール部12Aが両側から中央部にいくにしたがって外方(先端方向)に向うように斜めに形成され,中央部で最も突出している(鈍角であるが尖っている)。未シール部11aと11bを引っ張ってトップシール部12Aを剥すときに応力がその尖った部分に集中するので剥離が容易である。この四方シール内袋10Cにおいても,図3に示すように未シール部11a,11bの両側部を接着してもよい。
【0036】
図5は四方シール内袋のさらに他の例を示すものである。この四方シール内袋10Dは,図3に示す形態の四方シール10Bにおいて,未シール部11aに,間隔をあけて2つの開封用切込み13を内袋の側辺に平行に形成したものである。切込み13は未シール部11aの先端から内袋10Dの中央に向って進み,トップシール部12Aに至る手前で止っている。未シール部11aの2つの切込み13の間の部分(符号15で示す)を内袋10Dのエンドシール部12Bの方向に引張ることにより,切込み13の延長線上(破線13Aで示す)に沿って表側のフィルム11A(11A,11Bのうちのどちらを表としてもよい)が裂かれる(破ける)とともにトップシール部12Aが剥れる。これが内袋10Dの開封である。未シール部11bを折返して外箱に接着した形態では,外箱から内袋を引出すときに未シール部11aの2つの切込み間の部分15を引張っると上記のように表側のフィルム11Aが破ける。切込み13の間の部分15が外箱に接着されている形態では,外箱から内袋を引出すときには,他方の未シール部11bを相対的に引張ることになる。
【0037】
トップシール部12Aのうち,少なくとも2つの破線13Aの間の部分(および,必要ならその近傍)を易剥離性(弱接着状態)としておくことが好ましい。また,使用するフィルムとしては,破線13Aで示す方向に引き裂き性をもつものが好ましい(フィルム製造工程における延伸方向を引き裂き方向と一致させる)。他方の未シール部11bにも未シール部11aの切込み13と同じところに同じような切込みを形成してもよい(両未シール部11aと11bに同じ切込みを形成した方が加工が容易となる)。切込み13はトップシール部12Aに少し入り込んでいてもよいが,図5に示すように,トップシール部12Aには達することなく途中で止っている方が好ましい。これらの点は,切込みが形成された他の内袋および包装用袋体についても同じようにあてはまる。
【0038】
図6は三方シールの内袋を示すものである。三方シールの内袋10Eは,細長い1枚のフィルムをその中央で折り曲げ,両側部(12D,12C)および開封側端部(12A)をシールし,折り曲げた部分を底部としたものである。底部はシールをする必要はない。このタイプの三方シール内袋は図1,図2に示すタイプの四方シールと同じようにシール部を剥離して開封することができる。もちろん,未シール部11a(11b)に切込みを入れてもよい。図6においてトップシール部12Aを図4に示すように先端方向に向う2つの斜めの線で形成してもよい。
【0039】
図7は未シール部11a,11bの両側にシール部12Eを形成するとともに,未シール部11aに切込みを入れた三方シールの内袋10Fを示す。
【0040】
図8も三方シールの内袋の例を示すものである。1枚のフィルムを内袋の側縁に相当する線で折り返して重ね,トップシール部12A,エンドシール部12B,一方のサイドシール部12Dを形成したものである。他方の側縁にサイドシール部はない。サイドシール部12Dの延長上にシール部12Eが設けられている。未シール部11aに2つの切込み13が形成される。
【0041】
図9に示す三方シールの内袋10Hにおいては,未シール部11a,11bの両側にシール部12Eが設けられている。
【0042】
図10および図11はガセット・タイプ(まち付き)の内袋を示すものである。この内袋10Kは側面11C,11Dと背シール部12Fを有する。すなわち,1枚のフィルムを断面が方形の角筒状に折り,裏面(背面)11Bの中央部でフィルムの両側縁を接着し(この部分が背シール12Fである),フィルムの下端部を接着してエンドシール部12Bを形成し,そして上端部については未シール部11a,11bを残して表裏のフィルムを接着してトップシール部12Aを形成するものである。背シール部12Fはその一方ではトップシール部12Aを経て未シール部11bに延び,他方はエンドシール部12Bに達している。未シール部11a,11bの両側部にシール部12Eが設けられ,未シール部11aには2つの切込み13が形成される。切込み13は未シール部11bにも形成してもよいのはいうまでもない。
【0043】
図12に示すガセット・タイプ(背シール)の内袋10Lにおいては未シール部11aと11bに,上述した切込み13とは形の異なる開封用の切込み14が形成されている。この切込み14は,上述した2つの切込み13に相当する切込み部分14Bと,切込み部分14Bをつなぐ切込み部分14Aとからなる。切込み部分14Bの一端は未シール部11a,11bの端部(先端)には達しておらず,他端もトップシール部12Aに達してはいない。切込み部分14Aは未シール部11a,11bの先端縁に平行に延びている。したがって,未シール部11aと11bの端部(符号11aAで示す)は両側部間で(図においては左から右まで)つながっている。この部分11aAを未シール部11a,11bの天部という。また,未シール部11a,11bのフィルムの切込み14(14Aと14B)によって囲まれた部分(符号11aBで示す)を舌片部という。好ましくは,2つの切込み部分14B間を内袋10Lの中央部の方向に延長した部分においてトップシール部12Aは易剥離性(弱接着状態)を有している。またフィルムは切込み部分14Bの方向に引き裂き性を有していることが好ましい。
【0044】
図13はピロー・タイプの内袋を示すものである。この内袋10Mも背シール部を有する。すなわち,内袋10Mはフィルムを丸めて円筒(楕円筒)状に形成して背面(裏面)の中央部でその両側縁を接着して背シール部を形成し,両端部を接着してトップシール部12A,エンドシール部12Bを形成したものである。トップシール部12Aから外方に延びる未シール部11a(12b)が設けられ,その両側がシールされ(シール部12E),未シール部12aに切込み13が形成される。
【0045】
図14はピロー・タイプの内袋の他の例を示すものである。この内袋10Maにおいては,2つの切込み13の一端は未シール部11aの端部に達していない。このような切込み13を有する内袋は2つの切込み13の間の部分15が外箱(引出し側端部の外面または折返されたトップフラップ)に接着される。
【0046】
(2) 第1実施例
図15から図17は第1実施例を示すものである。ここでは図4に示す四方シールの内袋10Cが用いられている。
【0047】
外箱30は直方体状のものであり,一般的には厚紙(合成樹脂フィルムや金属箔が積層されたものを含む)を折りかつ所要箇所を接着することにより作られる(展開図については後述する)。外箱30の6面はそれぞれ面部(フラップ)により閉鎖されている。図15においては,背面(裏面)部(背面(裏面)フラップ)32,外側面部(外側面フラップ)35および開封面(カバーフラップ41)が図示されている。外箱の内袋引出し側端部はカバーフラップ41によって覆われている。すなわち,カバーフラップ41は,表面フラップ(背面フラップ32の反対側の面)に連続し,折り曲げられて開封端面を覆う部分41Aと,これに連続し背面に重ねられる部分41Bとを備えている。カバーフラップの部分41Bの先端部は,切れ目(破断線,切断線)45によって,両側の接着部41Cと中央の摘み部41Dとに分けられている。接着部41Cが背面フラップ32に接着され(接着箇所を破線46で示す),カバーフラップ41が固定されている。
【0048】
外箱30を開封するときには摘み部41Dを引っ張れば,切れ目45から切断されて,接着部41Cを除くカバーフラップ41が開いて図16に示す状態となる。
【0049】
図16において,外箱30内には上述したように図4に示す内袋10Cが収容されている。そして,未シール部11a,11bのうちの一方のフィルム11aが外側に折り返されて外箱30の背面フラップ32の内袋引出し側端部の外面に接着されている(接着箇所を符号21で示す)。この実施例では,背面フラップ32の内袋引出し側端部には図27に示すようなトップフラップ43は設けられていない。カバーフラップ41が外箱30の内袋引出し側端部を覆っている状態(図15に示す状態)では,他方の未シール部11bのフィルムは背面フラップ32に接着された一方の未シール部11aのフィルムの上に重ねられ,その上をカバーフラップ41が覆っている。
【0050】
次に図17に示すように,未シール部11a,11bのうちの他方のフィルム11bを外方に引っ張っていくと(たとえば外箱を一方の手で持ち,他方の手で未シール部フィルム11bを引っ張る),トップシール部12Aが剥れ,さらにサイドシール部12C,12Dも開封側から剥離していき,内袋11C内の内容物が取り出せるようになる。
【0051】
このようにして,外箱を開封し,外箱から内袋を引き出していく過程で内袋を開封することができる。
【0052】
(3) 第2実施例
図18から図23は第2実施例を示している。この実施例では図10,11に示すガセット・タイプの内袋10Kが外箱内に収容されている。
【0053】
図18に示す外箱を開封しない前の状態では図15に示すものと同じようにみえる。第1実施例の場合と同じように,カバーフラップ41の摘み部41Dを引っ張ってカバーフラップ41を開封すると,図19に示す状態となる。
【0054】
図19の状態から次に説明するようにして内袋10Kを引出すと図20に示す開封状態となる。これらの両図を参照して開封操作を説明する。
【0055】
内袋10Kの未シール部11a,11bのうちの一方のフィルム11aの2つの切込み13の間の部分15(図10参照)が,外側に折り返され,外箱30の背面フラップ32の内袋引出し側端部の外面に接着されている(接着箇所を符号22で示す)。他方の未シール部11bは一方の未シール部11aの上に重なるように折り曲げられた状態でカバーフラップ41によって覆われていることになる。カバーフラップ41が開封されると,他方の未シール部11bはその弾性によりやや浮き上る。
【0056】
この状態から他方の未シール部11bのフィルムを引っ張って内袋10Kを外方に引き出していくと,それに伴って,切込み13の延長上から未シール部11aが引き裂れ,続いてトップシール部12Aが剥離し,さらに内袋11aの表面フィルム11Aが切込み13の延長線上にほぼ沿って裂けていく。これによって内袋10Kが開封される。
【0057】
図21から図23は第2実施例の包装容器(外箱内に内袋が収容されたもの)の製造過程を示している。
【0058】
図21において,外箱30の開封側端部(内袋引出し側端部)は開いた状態にある。カバーフラップ41,サイドフラップ42,44は外方に広げられている。上述したように,外箱30の背面フラップ32の開封側端部にはフラップは設けられていない。背面フラップ32の開封側端部の外面に接着箇所22がある。
【0059】
図21と図22を参照して,内容物が詰められ,封をされた内袋10Kが外箱30内にその内袋引出し側端部(開封側端部)の開口に挿入されていく。
【0060】
そして,図23に示すように,内袋10Kの未シール部11a,11bの部分を外箱30の背面フラップ32の開封側端部の外面に接するように折り曲げて,未シール部12aの2つの切込み13の間の部分15を背面フラップ32の外面に接着する。接着剤を背面フラップ32または未シール部11aの少なくともいずれか一方に塗布しておいて接着するか,これらの接着面を熱により溶融して接着する。この後,サイドフラップ42,44を内側に折り曲げ,さらにカバーフラップ41を折り曲げて外箱30の開口を覆い,その接着部41Cを外箱30の背面フラップ32に接着する。
【0061】
他の方法として,内袋10Kの未シール部11bをカバーフラップ41の内面に仮接着しておき,カバーフラップ41の折り曲げ接着と同時に未シール部11aを外箱の背面フラップ32に接着するようにすることも可能である。
【0062】
図24は変形例を示している。この変形例では,内袋10Kの背シール部12Fが設けられている裏面の未シール部11bに2つの切込み13が入れられ,表面の未シール部11aが折返されて外箱の内袋引出し側端部の外面に接着(符号21で示す)されている。未シール部11bの切込み13の間の部分15を持って内袋10Kを引出していけば,内袋10Kは切込み13の延長上に沿って裂かれ,開封されることになる。このように,切込み13が形成されている未シール部を持つ内袋についてはどちら側のフィルムを外箱に接着してもよい。未シール部の表裏両フィルムに切込みが形成されている内袋についてもどちら側のフィルムを接着してもよい。切込み13が形成されたフィルムを外箱に接着する場合に,切込み13の間の部分15のみならず,その外側の部分も接着してもよい(たとえば図19において接着部分22は切込み13の位置を超えて両側方にのびていてもよい)。
【0063】
(4) 第3実施例
図25および図26は第3実施例を示すものである。この実施例は図12に示す内袋10Lを用いるものである。
【0064】
未シール部11a,11bのうちの未シール部11aの切込み14によって囲まれた舌片部11aBのみが外箱30の背面フラップ32の内袋引出し側端部の外面に接着されている。
【0065】
この実施例においては,未シール部11a,11bの両方の天部11aAを引っ張って内袋10Lを外箱30から引出すことができるので,内袋10Lの引出しが容易である。この実施例においても,内袋10Lが外方に引出されると,これに伴って切込み14のうちの平行な2本の切込み部分14Bの延長方向に内袋の未シール部11a,表面フィルム11Aが引き裂れるとともに,トップシール部12Aが剥離される。
【0066】
(5) 第4実施例
第4実施例は図27から図39に示されている。この実施例は外箱内に内袋を収容した包装容器を製造する工程を示す方が分りやすいので,まず製造工程を説明する。
【0067】
図27は外箱の展開図である。この実施例の外箱30Aと上述した実施例の外箱30との違いは,外箱30Aでは内袋引出し側端部にトップフラップ43が設けられている点である。
【0068】
外箱30Aを作るためのブランク材(型紙)は側面フラップ33,背面フラップ32,側面フラップ34,表面フラップ31および外側面フラップ35が連続的につながって形成されている。これらのフラップの内袋引出し側端部に,サイドフラップ44,トップフラップ43,サイドフラップ42およびカバーフラップ41が連続的に形成され,同様に反対側の端部にもフラップ54,53,52,51が連続的に形成されている。各フラップの間の折り線は破線で示され,外箱をつくるときにはいずれも谷折りにされる。背面フラップ32には,開封後にカバーフラップ41の摘み部41Dを挿入してカバーを閉じた状態に保持するスリット32Aが形成されている。
【0069】
外箱30Aの組立ては次のように行なわれる。まず,図28に示すように背面フラップ32に連続するフラップ33,34,42,44,52,54が直角に折り曲げられる。
【0070】
次に図29に示すように,フラップ53が直角に折り曲げられ,フラップ52,54と接着される。また,トップフラップ43が内側に折り返される。これにより,背面側の箱形が形成される。
【0071】
そして,図30に示すように,内容物が詰められた図10,図11に示すガセット・タイプの内袋10Kが背面側の箱形内に収容される(この実施例は,上述したすべてのタイプの内袋を使用することが可能である)。このとき,内側に折返されたトップフラップ43に,内袋10Kの未シール部11aの2つの切込み13の間の部分15が接着される(接着箇所を符号23で示す)。上述したように,接着箇所23は切込み13の間のみならず,切込み13を超えてその外側にも及んでもよい。
【0072】
この後,図31に示すようにフラップ42,44を直角に曲げ,さらに表面フラップ31を背面側箱形に蓋をするように折り曲げ,さらにフラップ51を直角に曲げてフラップ53の外箱に接着し,外側面フラップ35をサイドフラップ33の外面に接着する。
【0073】
最後に,図32に示すように,カバーフラップ41を表面フラップ31に対して直角に折り曲げ,さらに図33に示すように,その部分41B,41C,41Dを背面フラップ32側に折り,部分41Cを背面フラップ32に接着する(接着箇所を符号46で示す)。
【0074】
図34から図37は上記のようにして作製された包装容器を開封する手順を示すものである。これらの図において,背面側が上になるように描かれている(図33とは表裏が逆である)。
【0075】
まず,図34に示すように,カバーフラップ41が開封される。内袋10Kの未シール部11aの中央部分15(接着部)(2つの切込み13の間の部分)は外箱30Aの内側に折返されたトップフラップ43に接着されている。トップフラップ43の幅は外箱30Aの厚さ(サイドフラップ33,34等の幅)よりも狭い。
【0076】
図35に示すように,外箱30Aを押えて,内袋10Kの未シール部11bの部分を外方に引っ張る。トップフラップ43は外方に向って回転(反転)していき,図36,図37に示すように,遂には外箱30Aの外に出て,背面フラップ32とほぼ一直線状になる。未シール部11bをさらに外方に引き出していけば,切込み13から未シール部11aが破け,トップシール部12Aが剥れ,さらに表面フィルム11Aが裂けていき,内袋10Kが開封される。
【0077】
図38および図39は変形例を示している。外箱30Bのトップフラップ43が折り返される背面フラップ32の内袋引出し側端部において,背面フラップ32と両サイドフラップ33,34との境界(直角に折られている部分)に,先端から少し切込み48を形成するとともに切込み48の終端間を結ぶように谷折りの折り罫(折り線)49をつけておく(背面フラップ32の折り罫49よりも先端の部分を符号32Aで示す)。
【0078】
このような構造にすると,図39に示すように,内袋10Kを引出すときに,背面フラップ32の先端部分32Aが折り罫49の位置で外方に折れ曲り,トップフラップ43の反転が容易となる。また,トップフラップ43の幅を広くとることができるようになる。
【0079】
この実施例は切込みが形成されたすべてのタイプの内袋(図5,図7〜図14)および次に示すように切込みのない内袋に適用するこができる。
【0080】
(6) 第5実施例
トップフラップを内側に折返した構造の外箱は,図1から図4,図6に示すような切込みが形成されていない剥離して開封するタイプの内袋にも適用することができる。また,上面開口が周囲のフランジに接着されたカバーシートにより覆われているトレーにも適用することができる。これらの内袋とトレーとを含む包装体を外箱との関連で内包装体という。内包装体の例としてトレーをとりあげた実施例について以下に詳述する。
【0081】
図40から図42において,内包装体(トレー)60は,トレー61とカバーシート69とから構成される。トレー61は上端縁を一巡するフランジ62を有し,このフランジ62にカバーシート69の剥離を容易にするための凸条63が形成されている。トレー61の引出し側端部において,フランジ62の幅は広くなっており(符号62Aで示す),凸条63は特に剥離しやすくするためにやや突出した形状の部分63Aを有している。さらに引出し側において摘み64がフランジ62に連続して突出状に形成されている。カバーシート69はトレー61の上面開口の全面を覆うように設けられ,その周囲がトレー61のフランジ62に接着されている。トレー61の中には内容物が入っているのはいうまでもない。
【0082】
図43を参照して,外箱30Cの構造は基本的には上述した外箱30Bと同じであるが,やや簡略化して描かれている。
【0083】
外箱30C内にカバーシート69で上面開口が閉鎖されたトレー61が収容されている。外箱30Cの背面フラップ32の先端につながるトップフラップ43が背面フラップ32の内側に折返され,トレー61の幅広のフランジ部分62Aの位置においてカバーシート69の上面が折返されたトップフラップ43に接着されている。トレー61の摘み部64は下方に折り曲げられている。外箱30Cの開封側端部はカバーフラップ41によって閉鎖され,その先端部分41Bの一端が背面フラップ32に接着されている(表面と背面は相対的なもので,背面フラップを表面フラップと呼んでもよい)。
【0084】
カバーフラップ41の接着を外してカバーフラップ41を解放すると,図44,図45に示すようになる。トレー61の摘み部64はその弾性により若干外箱30Cの外に出る。この実施例でも背面フラップ32の開封側端部の両側には切込み48が入れられ,切込み48の終端間を結ぶように背面フラップ32に折り罫49が形成されている。
【0085】
図46に示すように,摘み部46を持ってトレー61を引出していくと,背面フラップ32の前端部分32Aが折り罫49の位置で上方に折曲り,トップフラップ43が反転しながらこれに接着されているカバーシート69がトレー69のフランジ62Aの部分から剥離されていく。
【0086】
図47,図48に示すように,さらにトレー61を引出していくと,トップフラップ34はほぼ完全に反転し,カバーシート69はさらに剥れていく。このようにして,トレーを引出しながらそのカバーシートを剥して開封することができる。
【0087】
図1から図4,図6に示すような内袋10A,10B,10C,10Eをトップフラップ43を有する上述した外箱30A,30B,30C等に収容することもできる。この場合には,内袋の一方の未シール部11aまたは10bが外箱の内側に折返されたトップフラップ43に接着される。外箱を開封して内袋を他方の未シール部11bまたは11aを持って外に引出していくと,トップフラップ43が反転しながら互いにシールされている内袋を構成するフィルム11Aと11Bが剥がされていき,内袋は開封される。
【0088】
(7) 外箱
上記の実施例では,6面を持つ外箱が示されているが,最も簡単には,外箱は図49に示される外箱30Dのように,表裏の面31,32と,内部に収容した内包装体を引出す開口とを備えていればよい。側面という面は必ずしも必要なく,端面も必ずしも閉鎖されていなくてもよい。内側に折返されたトップフラップを利用するタイプのものでは,表,裏の面31,32のいずれか一方に,その引出し側開口にのぞんで連続的にトップフラップを設ければよい。外箱の断面形状は内包装体の形状に応じて定めればよい。
【0089】
図50に示す外箱30Eにおいては,内側に折返されるトップフラップ43の幅(長さ)が外箱30Eの幅よりも小さく,トップフラップ43の両側(両端)の位置において外箱30Eの背面フラップ32に切込み48が形成されている。このように,切込み48は外箱の角部でなくてもよく,トップフラップ43も外箱の全幅にわたっていなくてもよい。必要ならば,外箱30Eにもカバーフラップ等を設けることができる。
【0090】
また,図51に示すように,外箱30Fの背面フラップ32の先端部分32Aのみを引出し側に張出す形とし,この先端部分32Aにトップフラップ43を連続的に形成して内側に折返す構成としてもよい。
【0091】
(8) 包装用袋体
図52から図55は包装用袋体(内袋)の他の例を示すものであり,これらは図12に示す内袋と同じような切込み14を備えているものである。いずれも三方シールタイプの袋体として示されているが,四方シール,ガセット・タイプ,ピロー・タイプにも適用可能であることはいうまでもない。上記実施例では外箱との関連で内袋という用語が用いられているが,単独で使用されるときには袋,包装袋または包装用袋体と呼ばれる。
【0092】
図52に示す袋体10Nにおいては,未シール部11a,11bの両方に,同じ位置に,逆U字状の切込み14が形成されている。この切込み14は図12に示すものと同じであり,ほぼ平行な2つの部分14Bとこれらをつなぐ部分14Aとからなり,これらにより舌片部11aBが区画されている。未シール部11a,11bの先端と切込み部分14Aとの間には天部11aAがある。
【0093】
図53に示す切込み14は,いわば逆V字状ともいうべきもので,斜めの2つの部分14Cが未シール部11a,11bの端部に互いに向って近づき,なめらかにつながっている。部分14Cの反対側の端部は互いに離れる方向に広がっているが,どちらかといえば(未シール部11a,11bの先端部とは反対方向に向っているので)包袋10Pの中央部の方向に向っているということができる。部分14Cの端(トップシール部12Aには達していない)から包袋10Pを構成するフィルムの裂けが始まる。ここでも天部11aAがあり,かつ切込み14によって舌部11aBが区画されている。
【0094】
図54に示す包袋10Qにおいては,切込み14はほぼ円形(一部が欠如されている)の切込み部分14Dと,切込み部分14Dの両端からトップシール部12Aの方向に向う2つの切込み部分14Eとからなる。切込み部分14Eの端はトップシール部12Aに達していない。この実施例でも未シール部11a,11bには天部11aAがあり,かつ切込み14によって舌部11aBが区画されている。
【0095】
このような包袋においては,切込み14が未シール部11a,11bの表裏のフィルムの両方に同位置,同形で形成されているから,その形成が容易である。また切込み14はトップシール部12Aに達していないので,トップシール部12Aが不用意に破けてしまうという危険性が少い(もちろん,切込みをトップシール部12Aの一部にまで入って形成してもよい)。
【0096】
このような包袋(図12に示すものも含めて)は,外箱を用いることなく,単独で,図56に示すように,片手で未シール部11a,11bの天部11aAを持ち,または図57に示すように舌部11aBを曲げることにより形成される穴に指を入れ,他方の手で(好ましくは一方のフィルムの)舌部11aBを引っ張ることにより,袋体(表面または裏面のフィルム)を裂くとともにトップシール部12Aを剥して開封することができる。図55に示すように,未シール部11a,11bの先端部にシール部12Gを形成すると天部11aAを引っ張ることが一層容易となる。
【0097】
この袋体のフィルムは切込みの袋体中央部に向う部分の方向に引き裂き性を有することが望ましく,また,トップシール部12Aの少なくとも剥離される部分は易剥離性(弱接着状態)となっていることが好ましい。
【符号の説明】
【0098】
10A,10B,10C,10D 四方シール内袋
10E,10F,10G,10H,10N,10P,10Q,10R 三方シール内袋
10K,10L ガセット・タイプの内袋
10M,10Ma ピロー・タイプの内袋
11a,11b 未シール部
11aA 天部
11aB 舌片部
11A,11B 表,裏面フィルム(フィルム部分)
11C,11D 側面
12A トップシール部
12B エンドシール部
12C,12D サイドシール部
12E シール部
12F 背シール部
13,14 切込み
14A,14B,14C,14D,14E 切込み部分
15 切込みの間の部分
21,22,23 接着箇所
30,30A,30B,30C,30D,30E,30F 外箱
31 表面(フラップ)
32 背面(裏面)(フラップ)
41 カバーフラップ
43 トップフラップ
48 切込み
49 折り罫(折り線)
60 内包装体
61 トレー
62 フランジ
69 カバーシート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱とこの外箱内に収容される内袋とを備え,
上記内袋には,その開封側端部のトップシール部から外方に延びる未シール部が設けられ,
上記外箱内に収容された上記内袋の上記未シール部の表裏のフィルムのうちの少なくとも一方が外側に折り返され,上記外箱の内袋引出し側端部の外面に接着されている,
包装容器。
【請求項2】
外箱とこの外箱内に収容される内袋とを備え,
上記内袋には,その開封側端部のトップシール部から外方に延びる未シール部が設けられ,この未シール部の表裏のフィルムのうちの少なくとも一方に,内袋の中央の方向に向う2本の切込みが間隔をあけて形成されており,
上記外箱内に収容された上記内袋の未シール部の表裏のフィルムのうちの少なくとも一方が外側に折り返され,上記外箱の内袋引出し側端部の外面に接着されている,
包装容器。
【請求項3】
内袋の中央の方向に向う上記2本の切込みの一端は上記未シール部の端部に達することなく,つながっている,請求項2に記載の包装容器。
【請求項4】
上記切込みが上記未シール部の表裏両フィルムに形成されている,請求項2に記載の包装容器。
【請求項5】
外箱とこの外箱内に収容される内包装体とを備え,
上記内包装体は基体側部分と,これに剥離可能にシールされた開封用フィルム部分と,少なくとも基体側部分に設けられ開封用フィルム部分とのシール部よりも外方に延びる摘み部分とを有し,
上記外箱は内包装体引出し側端部に連続するトップフラップを有し,このトップフラップは外箱の内側に折返され,
上記外箱内に収容された上記内包装体の上記シール部またはこれよりも外方に延長された部分が,上記外箱の内側に折り返されたトップフラップに接着されている,
包装容器。
【請求項6】
上記内包装体が,少なくともトップシール部および両サイドシール部により接着されたフィルムにより構成される内袋であり,表裏両面を構成する一方のフィルムが基体側部分に,他方が開封用フィルム部分にそれぞれ相当し,上記内袋はトップシール部から延長して設けられた未シール部を備え,未シール部の表裏のフィルムのうちの一方が上記トップフラップに接着され,他方が上記摘み部に相当する,
請求項5に記載の包装容器。
【請求項7】
上記内包装体が基体側部分に相当するトレーと,このトレーの上面開口を閉鎖する開封用フィルム部分に相当するカバーシートと,上記トレーから延びる摘みとを有する,請求項5に記載の包装容器。
【請求項8】
外箱とこの外箱内に収容される内袋とを備え,
上記内袋には,その開封側端部のトップシール部から外方に延びる未シール部が設けられ,この未シール部の表裏のフィルムのうちの少なくとも一方に,内袋の中央の方向に向う2本の切込みが間隔をあけて形成されており,
上記外箱は内袋引出し側端部に連続するトップフラップを有し,このトップフラップは外箱の内側に折返され,
上記外箱内に収容された上記内袋の未シール部の表裏のフィルムの一方が,上記外箱の内側に折り返された上記トップフラップに接着されている,
包装容器。
【請求項9】
内袋の中央の方向に向う上記2本の切込みの一端は上記未シール部の端部に達することなく,つながっている,請求項8に記載の包装容器。
【請求項10】
上記切込みが上記未シール部の表裏両フィルムに形成されている,請求項8に記載の包装容器。
【請求項11】
少なくとも開封側端部のトップシール部により閉じられる包装用袋体であり,上記トップシール部から延長して未シール部が設けられ,未シール部の表裏のフィルムにはその先端部分を除いて開封用の切込みが形成されており,この切込みは,その2つの部分の端が,包装用袋体の中央部の方向に向い,他端が互いの方向に向って相互につながっている形状を有する,包装用袋体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【公開番号】特開2012−76757(P2012−76757A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221230(P2010−221230)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】