包装容器
【課題】背面板に商品を容易に取り出すための切欠開口を簡単かつ確実に形成する。
【解決手段】包装容器1を構成する背面板5の表面側に左右各側端縁の上端縁から設定長さの半切部が形成され、裏面側に表面側半切部の各上端縁を始端とし、その長さに対応する高さの台形状の半切部nが形成される。このため、天板8を背面板5との連設部回りに下方に向けて回動すると、背面板5の上端部が撓ませられ、背面板5の表面側に形成された直線状の半切部mとその裏面側に形成された台形状の半切部nの傾斜部n1によって区画された三角形状部分51が厚み方向略半分の位置で剥離される。そして、三角形状部分51の剥離が背面板5の裏面側の半切部nの水平部n2に達すると、該水平部n2が折り目となり、天板8および背面板5の上端部が一体となって裏面側の半切部nの水平部n2に沿って回動し、背面板5の上端部に台形状の切欠開口が形成される。
【解決手段】包装容器1を構成する背面板5の表面側に左右各側端縁の上端縁から設定長さの半切部が形成され、裏面側に表面側半切部の各上端縁を始端とし、その長さに対応する高さの台形状の半切部nが形成される。このため、天板8を背面板5との連設部回りに下方に向けて回動すると、背面板5の上端部が撓ませられ、背面板5の表面側に形成された直線状の半切部mとその裏面側に形成された台形状の半切部nの傾斜部n1によって区画された三角形状部分51が厚み方向略半分の位置で剥離される。そして、三角形状部分51の剥離が背面板5の裏面側の半切部nの水平部n2に達すると、該水平部n2が折り目となり、天板8および背面板5の上端部が一体となって裏面側の半切部nの水平部n2に沿って回動し、背面板5の上端部に台形状の切欠開口が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、菓子や薬品などの包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、板状やスティック状の商品、例えば、チョコレート菓子や顆粒状の薬品などを容易に取り出すことができる包装容器が提案されている。例えば、包装容器100は、図11および図12に示すように、上端開口を開閉可能な天板101にオーバーフラップ102を連設する一方、正面板103の上端部にその上端縁から略コ字状の切り裂き目xを形成し、また、背面板104の上端部にその左右の上方隅角部を始端として内方下部に向かって延びる切り裂き目yをそれぞれ形成するとともに、左右の切り裂き目y,yの終端を結んで折り目zを形成し、包装容器100を組み立てて菓子などを収容した後、正面板103の切り裂き目xとその上端縁とによって区画された部分をオーバーフラップ102の裏面に貼着して構成されている。そして、オーバーフラップ102の引上操作により、正面板103に形成された切り裂き目xに沿って切り裂き、正面板103に略コ字状の切れ目xに対応する方形状の切欠開口を形成するとともに、天板101の引下操作により、背面板104に形成された切り裂き目yに沿って切り裂き、さらに、折り目zに沿って折り曲げて、背面板104に切り裂き目yおよび折り目zに対応する台形状の切欠開口を形成する。これにより、正面板103および背面板104にそれぞれ形成された切欠開口を通して包装容器100に収容された板状やスティック状の商品を前後方向から摘んで引き出すことができる。
【0003】
包装容器の厚みが薄い場合、指が入りにくく商品を取り出し難いことから、前述した前後に切欠開口を形成した包装容器は、商品を容易に取り出すことができ、有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−225007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した包装容器においては、背面板に形成される切り裂き目は、背面板の左右の上方隅角部からわずかに離して始端が設定されている。すなわち、背面板の上方隅角部に切り裂き目の始端が設定されると、わずかな力によっても切り裂き目に沿って切り裂きが連続して生じ、背面板が切り裂き目に沿って一部切り裂かれた商品は、消費者に品質上の疑義を生じさせることとなり、出荷し、あるいは、店頭に陳列することができないものとなる。
【0006】
一方、背面板の切り裂き目が、上方隅角部からわずかに離して開始されることにより、消費者が商品を購入し、開封しようとして天板を引き下げた場合、必ずしも背面板の上方隅角部を始端として切り裂き目に沿って切り裂かれるとは限らず、背面板の意図しない上端縁から切り裂かれるおそれがある。このような意図しない位置から背面板が切り裂かれると、見栄えが低下し、商品の購買意欲を低下させるものとなる。また、目立たない背面板に切り裂き目が形成されていることにより、切り裂き目に気付かず、背面板の切欠開口を形成しないまま商品を取り出そうとして、円滑に取り出すことができない場合も認められる。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、背面板に商品を容易に取り出すための切欠開口を簡単かつ確実に形成することのできる包装容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、正面板、左右の側面板および背面板によって周囲四面を包囲するとともに、下端開口を底面板によって閉鎖する一方、上端開口を背面板に連設された天板によって開閉自在に閉鎖し、天板の開放操作時に背面板の上端部に方形状の切欠開口が形成される包装容器において、背面板の表面側に左右各側端縁の上端縁から設定長さの半切部が形成される一方、背面板の裏面側に表面側半切部の各上端縁を始端とし、その長さに対応する高さの台形状の半切部が形成されることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、天板を回動すると、天板に連設された背面板の厚み方向表面側半部が表面側の半切部に沿って切り開かれるとともに、その厚み方向裏面側半部が裏面側の半切部に沿って切り開かれる。すなわち、背面板の上端部が天板を回動して撓ませられることにより、背面板の表面側に形成された直線状の半切部とその裏面側に形成された台形状の半切部の傾斜部によって区画された三角形状部分が厚み方向略半分の位置で剥離され、三角形状部分の厚み方向表面側半部が背面板の半切部によって区画された台形状部分に連設されて天板とともに回動し、また、その厚み方向裏面側半部が背面板の台形状の半切部と上端縁とによって区画された部分を除いて背面板に残される。そして、三角形状部分が背面板の裏面側の半切部の水平部に達するまで剥離されると、該水平部が折り目として機能し、天板および天板に連設された背面板の上端部が一体となって裏面側の半切部の水平部に沿って回動する。
【0010】
これにより、背面板の上端部に裏面側の半切部の水平部に沿って折り曲げられた、裏面側の半切部に対応する台形状の切欠開口が形成され、包装容器に収容された商品の上端部を該切欠開口を通して摘んで容易に引き出すことができる。
【0011】
本発明において、前記天板に舌片を有するオーバーフラップが連設され、また、正面板にオーバーフラップの舌片を差込可能な切れ目が形成されるとともに、その上端縁から下方に向かって略コ字状の切り裂き目が形成され、正面板の上端縁および略コ字状の切り裂き目によって区画された部分がオーバーフラップの裏面に貼着されることが好ましい。これにより、オーバーフラップの引き出しに際して、正面板の上端部が略コ字状の切り裂き目に沿って切り裂かれて、正面板の上端縁および略コ字状の切り裂き目によって区画された部分を切欠開口に形成することができる。したがって、背面板に形成される切欠開口と相俟って包装容器に収容された商品を前後の切欠開口を通して摘んで容易に引き出すことができる。また、商品の引き出しが終われば、オーバーフラップの舌片を正面板の切れ目に差し込むことにより、背面板自ら切欠開口を閉鎖するとともに、天板が上端開口を閉鎖し、さらに、オーバーフラップが正面板の切欠開口を閉鎖した状態に保持することができる。
【0012】
本発明において、前記天板に差込フラップが連設され、また、正面板にその上端縁から下方に向かってコ字状の切り裂き目が形成され、正面板の上端縁および略コ字状の切り裂き目によって区画された部分が差込フラップの表面に貼着されることが好ましい。これにより、差込フラップの引き出しに際して、正面板の上端部がコ字状の切り裂き目に沿って切り裂かれて、正面板の上端縁およびコ字状の切り裂き目によって区画された部分を切欠開口に形成することができる。したがって、背面板に形成される切欠開口と相俟って包装容器に収容された商品を前後の切欠開口を通して摘んで容易に引き出すことができる。また、商品の引き出しが終われば、差込フラップを正面板の裏面に沿って差し込むことにより、背面板自ら切欠開口を閉鎖するとともに、天板が上端開口を閉鎖し、さらに、差込フラップが正面板の切欠開口を閉鎖した状態に保持することができる。
【0013】
本発明において、前記天板に差込フラップが連設され、また、正面板に差込フラップを差込可能な切れ目が形成されるとともに、その上端縁から下方に向かって略コ字状の切り裂き目が形成され、正面板の上端縁および略コ字状の切り裂き目によって区画された部分が差込フラップの表面と貼着されることが好ましい。これにより、差込フラップの引き出しに際して、正面板の上端部が略コ字状の切り裂き目に沿って切り裂かれて、正面板の上端縁および略コ字状の切り裂き目によって区画された部分を切欠開口に形成することができる。したがって、背面板に形成される切欠開口と相俟って包装容器に収容された商品を前後の切欠開口を通して摘んで容易に引き出すことができる。また、商品の引き出しが終われば、差込フラップを正面板の切れ目に差し込むことにより、背面板自ら切欠開口を閉鎖するとともに、天板が上端開口を閉鎖し、さらに、差込フラップが正面板の切欠開口を閉鎖した状態に保持することができる。
【0014】
本発明において、前記天板にその幅方向の垂直二等分線に関して左右対称に略く字状の切り裂き目が上端縁略中間部から左右各側端縁下端部にかけてそれぞれ形成され、また、正面板の上端縁にガイドフラップが連設されるとともに、天板の切り裂き目に沿って切り裂かれた先端部を差込可能な切れ目が形成され、天板の切り裂き目によって区画された左右の隅角部の裏面がガイドフラップと貼着されることが好ましい。これにより、天板における対称な略く字状の切り裂き目によって区画された先端縁部を摘んで引き上げると、切り裂き目に沿って切り裂かれる。そして、天板を介して背面板の上端部を撓ませることにより、背面板の表面側に形成された直線状の半切部とその裏面側に形成された台形状の半切部の傾斜部によって区画された三角形状部分が厚み方向略半分の位置で剥離されて、裏面側の半切部に相当する台形状の切欠開口を形成することができる。また、商品の引き出しが終われば、切り裂き目に沿って切り裂かれた天板の先端部をガイドフラップの切れ目に差し込むことにより、背面板自ら切欠開口を閉鎖するとともに、ガイドフラップに天板を係止して上端開口を閉鎖した状態に保持することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、背面板に商品を容易に取り出すための切欠開口を簡単かつ確実に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の包装容器の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の包装容器の展開図および一部省略して示す裏面図である。
【図3】図1の包装容器の組立状態を示す斜視図である。
【図4】図1の包装容器の開封状態を説明する斜視図である。
【図5】図1の包装容器の変形例を示す展開図である。
【図6】図5の包装容器の開封状態を説明する斜視図である。
【図7】図1の包装容器の他の変形例を示す展開図である。
【図8】図7の包装容器の開封状態を説明する斜視図である。
【図9】図1の包装容器のもう一つの変形例を示す展開図である。
【図10】図9の包装容器の開封状態を説明する斜視図である。
【図11】従来の包装容器の展開図である。
【図12】図11の包装容器の開封状態を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1には、本発明の包装容器1の一実施形態が示されている。
【0019】
この包装容器1は、菓子などを収容して包装するものであり、コートボールを図2に示す展開図にしたがって打ち抜いた後、折り目に沿って折り込むとともに、所定部分を貼着して組み立てられる。そして、包装容器1に菓子などを収容した後、出荷される。
【0020】
この包装容器1は、図2の展開図において、右側面板2の側端縁に、正面板3、左側面板4、背面板5および糊代6が折り目a,b,c,dを介して順に連設され、また、正面板3の下端縁に底面板7が折り目eを介して連設される一方、背面板5の上端縁に天板8およびオーバーフラップ9が折り目f,gを介して順に連設されるとともに、その下端縁に糊代10が折り目hを介して連設され、さらに、左右の側面板2,4の上下各端縁にフラップ11が折り目iを介してそれぞれ連設されて構成されている。そして、正面板3には、その左右の上方隅角部近傍の上端縁からわずかに離れた位置をそれぞれ始端として略コ字状の切り裂き目jがオーバーフラップ9の高さに対応して形成されるとともに、その下方に位置して、オーバーフラップ9の上端縁から突出して形成された舌片91を差込可能な下方に向かって凸の円弧状の切れ目kが形成されている。また、背面板5の表面側には、背面板5と左側面板4との折り目cに沿って、および、背面板5と糊代6との折り目dに沿ってその上端縁から設定長さの半切部m,m(図2(a)参照)がそれぞれ形成されている。さらに、背面板5の裏面には、その左右の上方隅角部をそれぞれ始端として、内方下部に向かって延びる設定長さの傾斜部n1および該傾斜部n1の各終端を結ぶ水平部n2からなる台形状の半切部n(図2(b)参照)が形成されている。すなわち、両半切部m,nは、背面板5の左右の上方隅角部を共通の始端として形成されている。
【0021】
この場合、背面板5の裏面側の台形状の半切部nの水平部n2の高さ(背面板5の上端縁(天板8との折り目f)から水平部n2迄の高さ)は、その表面側の直線状半切部mの長さよりも若干小さいか、等しく設定されている。
【0022】
このような包装容器1を組み立てるには、図2に示す展開図にしたがってコートボールを打ち抜いた後、表裏を反転し、糊代6を背面板5に対して折り目dに沿って谷折りするとともに、糊代6の表面に接着剤を塗布し、次いで、正面板3を右側面板2とともに左側面板4に対して折り目bに沿って谷折りし、右側面板2の裏面を糊代6に貼着する(図3参照)。次いで、背面板5に対して左側面板4を折り目cに沿って、正面板3に対して右側面板2を折り目aに沿ってそれぞれ起こした後、右側面板2および左側面板4に対して底面板7側の各フラップ11をそれぞれ折り目iに沿って谷折りする。さらに、背面板5に対して糊代10を折り目hに沿って谷折りした後、糊代10の表面に接着剤を塗布し、正面板3に対して底面板7を折り目eに沿って山折りし、底面板7の裏面を糊代10に貼着して箱状体を形成する。
【0023】
そして、上端開口を通して商品を収容した後、背面板5に対して天板8を折り目fに沿って谷折りするとともに、天板8に対してオーバーフラップ9を折り目gに沿って谷折りする。次いで、正面板3に形成された略コ字状の切り裂き目jとその上端縁とによって区画された方形状の部分に接着剤を塗布し、天板8およびオーバーフラップ9をそれぞれ折り目f,gに沿って順に折り込む際に、オーバーフラップ9の裏面を貼着すると同時に、オーバーフラップ9の舌片91を正面板3の切れ目kに差し込む。
【0024】
これにより、商品を収容した包装容器1を形成することができる。その後、包装容器1は、スーパーやコンビニエンスストアなどに出荷される。
【0025】
商品を購入した消費者が包装容器1を開封する場合は、正面板3の切れ目kよりオーバーフラップ9の舌片91を抜くように引き出すと、オーバーフラップ9の引き出しに伴って切り裂き目jに沿って切り裂かれ、オーバーフラップ9と接着剤を介して貼着された正面板3の略コ字状の切り裂き目jとその上端縁とによって区画された部分が切り離され、オーバーフラップ9と一体に引き出される。次いで、オーバーフラップ9を跳ね上げるように持ち上げると、天板8も折り目fに沿って回動し、なおも、オーバーフラップ9を押し下げるように回動させると、天板8を背面板5の後方に向けて撓ませることができる。この際、背面板5の表面側が半切部mに沿って切り開かれるとともに、その裏面側が半切部nの傾斜部n1に沿って切り開かれる。
【0026】
すなわち、コートボールなどは、新聞紙などの古紙を有効に利用するため、古紙をサンドイッチ状に挟んだ複数層の積層構造で形成されており、半切部m,nによって形成された深さの積層部分のみを剥離することができる。具体的には、図4に示すように、背面板5の上端部が天板8およびオーバーフラップ9を介して後方側へ撓ませられることにより、背面板5の表面側に形成された直線状の半切部mとその裏面側に形成された半切部nの傾斜部n1によって区画された三角形状部分51が厚み方向略半分の位置で剥離され、該三角形状部分51の厚み方向表面側半部511が背面板5の半切部nによって区画された台形状部分に連設されて天板8およびオーバーフラップ9とともに回動する一方、その厚み方向裏面側半部512が背面板5の半切部nと上端縁とによって区画された部分を除いて背面板5に残される。そして、背面板5の上端部が裏面側の半切部nの水平部n2まで剥離されると、該水平部n2が折り目として機能し、オーバーフラップ9、オーバーフラップ9に折り目gを介して連設された天板8および天板8に折り目fを介して連設された背面板5の上端部が一体となって半切部nの水平部n2に沿って回動する。
【0027】
この結果、正面板3の上端部に切り裂き目jに沿って切り裂かれた方形状の切欠開口が形成されるとともに、背面板5の上端部に半切部nの水平部n2に沿って折り曲げられた、半切部nに対応する台形状の切欠開口が形成されることにより、包装容器1に収容された商品、特に、指が入らないような薄い包装容器1に収容された商品であっても、商品の上端部を正面板3の切欠開口および背面板5の切欠開口を通して前後方向から摘んで容易に引き出すことができる。
【0028】
商品の引き出しが終われば、オーバーフラップ9を押し上げ、正面板3側に回動させることにより、天板8に折り目fを介して連設された背面板5の上端部が背面板5の上端部に形成された切欠開口を閉鎖するとともに、天板8が包装容器1の上端開口を閉鎖し、さらに、オーバーフラップ9が、正面板3の上端部に形成された切欠開口を閉鎖する。この状態で、オーバーフラップ9の舌片91を正面板3の切れ目kに差し込んで係止すれば、オーバーフラップ9の抜け出しが防止され、包装容器1の上端開口を閉鎖した状態に保持することができる(図1参照)。
【0029】
このように、背面板5の表面側および裏面側にそれぞれ形成された半切部m,nは、背面板5の上方隅角部端縁に連続して形成されていることにより、背面板5の上端部を天板8およびオーバーフラップ9を利用して撓ませることにより、簡単かつ確実に背面板5に裏面側の半切部nに対応する形状の切欠開口を形成することができる。換言すれば、商品を取り出すために、オーバーフラップ9および天板8を跳ね上げる操作によって背面板5の上端部が撓ませられると、半切部m,nに沿って剥離が簡単に発生することから、剥離を把握することができ、また、半切部m,nによって確実に切欠開口を形成することができる。
【0030】
ところで、前述した実施形態においては、オーバーフラップ9を設けるとともに、正面板3に切れ目kを形成し、オーバーフラップ9を正面板3の表面側に配置し、その舌片91を切れ目kに差し込んで係止し、上端開口を閉鎖する場合を説明したが、オーバーフラップ9に限定するものではない。
【0031】
以下、上端開口を閉鎖する他の変形例について説明する。
【0032】
なお、以下の変形例において、先に説明した包装容器1と同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0033】
図5および図6に示すように、背面板5の上下各端縁に天板8および底面板7をそれぞれ連設するとともに、天板8および底面板7に差込フラップ12をそれぞれ連設し、差込フラップ12を正面板3の裏面側上端部および裏面側下端部にそれぞれ差し込んで、天板8による上端開口の閉鎖および底面板7による下端開口の閉鎖を保持するようにしてもよい。
【0034】
この場合、天板8に連設された差込フラップ12の表面に、正面板3の上端部に形成されたコ字状の切り裂き目jとその上端縁とによって区画された方形状の部分を接着剤を介して貼着する。
【0035】
また、図7および図8に示すように、背面板5の上下各端縁に天板8および底面板7をそれぞれ連設するとともに、天板8および底面板7に差込フラップ12をそれぞれ連設し、天板8に連設された差込フラップ12を正面板3に形成した切れ目qに差し込んで、天板8による上端開口の閉鎖状態を保持するようにしてもよい。
【0036】
この場合も、差込フラップ12の表面に、正面板3の上端部に形成された略コ字状の切り裂き目jとその上端縁とによって区画された方形状の部分を接着剤を介して貼着する。
【0037】
さらに、前述した実施形態においては、正面板3および背面板5に切欠開口をそれぞれ形成する場合を説明したが、図9および図10に示すように、半切部n,mによる切欠開口のみを背面板5に形成するようにしてもよい。
【0038】
すなわち、図9および図10において、正面板3の上端縁にガイドフラップ13を連設するとともに、ガイドフラップ13に後述する天板8の先端部を差込可能な切れ目rを形成する一方、天板8に幅方向垂直二等分線に関して左右対称な略く字状の切り裂き目sを上端縁略中央部から左右各側端縁下端部にかけてそれぞれ形成する。そして、ガイドフラップ13の表面に天板8の切り裂き目s、上端縁および側端縁によって区画された左右の隅角部を接着剤を介して貼着する。
【0039】
この包装容器1を開封するには、天板8の先端縁略中間部を摘んで上方に引き上げ、天板8を切り裂き目sに沿って切り裂き、該切り裂き目s、上端縁および側端縁によって区画された左右の隅角部をガイドフラップ13に残して背面板5との連設部回りに回動させるとともに、ガイドフラップ13を正面板3との連設部回りに回動させることにより、上端開口を開口することができる。一方、上端開口を閉鎖する場合は、ガイドフラップ13を折り込んで上端開口を閉鎖した後、天板8をガイドフラップ13の表面に沿って移動させ、その先端部を切れ目rに差し込んで係止すればよい。
【符号の説明】
【0040】
1 包装容器
2 右側面板
3 正面板
4 左側面板
5 背面板
7 底面板
8 天板
9 オーバーフラップ
12 差込フラップ
13 ガイドフラップ
a,b,c,d,e,f,g,h,i 折り目
j,s 切り裂き目
k,q,r 切れ目
m,n 半切部
【技術分野】
【0001】
この発明は、菓子や薬品などの包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、板状やスティック状の商品、例えば、チョコレート菓子や顆粒状の薬品などを容易に取り出すことができる包装容器が提案されている。例えば、包装容器100は、図11および図12に示すように、上端開口を開閉可能な天板101にオーバーフラップ102を連設する一方、正面板103の上端部にその上端縁から略コ字状の切り裂き目xを形成し、また、背面板104の上端部にその左右の上方隅角部を始端として内方下部に向かって延びる切り裂き目yをそれぞれ形成するとともに、左右の切り裂き目y,yの終端を結んで折り目zを形成し、包装容器100を組み立てて菓子などを収容した後、正面板103の切り裂き目xとその上端縁とによって区画された部分をオーバーフラップ102の裏面に貼着して構成されている。そして、オーバーフラップ102の引上操作により、正面板103に形成された切り裂き目xに沿って切り裂き、正面板103に略コ字状の切れ目xに対応する方形状の切欠開口を形成するとともに、天板101の引下操作により、背面板104に形成された切り裂き目yに沿って切り裂き、さらに、折り目zに沿って折り曲げて、背面板104に切り裂き目yおよび折り目zに対応する台形状の切欠開口を形成する。これにより、正面板103および背面板104にそれぞれ形成された切欠開口を通して包装容器100に収容された板状やスティック状の商品を前後方向から摘んで引き出すことができる。
【0003】
包装容器の厚みが薄い場合、指が入りにくく商品を取り出し難いことから、前述した前後に切欠開口を形成した包装容器は、商品を容易に取り出すことができ、有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−225007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した包装容器においては、背面板に形成される切り裂き目は、背面板の左右の上方隅角部からわずかに離して始端が設定されている。すなわち、背面板の上方隅角部に切り裂き目の始端が設定されると、わずかな力によっても切り裂き目に沿って切り裂きが連続して生じ、背面板が切り裂き目に沿って一部切り裂かれた商品は、消費者に品質上の疑義を生じさせることとなり、出荷し、あるいは、店頭に陳列することができないものとなる。
【0006】
一方、背面板の切り裂き目が、上方隅角部からわずかに離して開始されることにより、消費者が商品を購入し、開封しようとして天板を引き下げた場合、必ずしも背面板の上方隅角部を始端として切り裂き目に沿って切り裂かれるとは限らず、背面板の意図しない上端縁から切り裂かれるおそれがある。このような意図しない位置から背面板が切り裂かれると、見栄えが低下し、商品の購買意欲を低下させるものとなる。また、目立たない背面板に切り裂き目が形成されていることにより、切り裂き目に気付かず、背面板の切欠開口を形成しないまま商品を取り出そうとして、円滑に取り出すことができない場合も認められる。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、背面板に商品を容易に取り出すための切欠開口を簡単かつ確実に形成することのできる包装容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、正面板、左右の側面板および背面板によって周囲四面を包囲するとともに、下端開口を底面板によって閉鎖する一方、上端開口を背面板に連設された天板によって開閉自在に閉鎖し、天板の開放操作時に背面板の上端部に方形状の切欠開口が形成される包装容器において、背面板の表面側に左右各側端縁の上端縁から設定長さの半切部が形成される一方、背面板の裏面側に表面側半切部の各上端縁を始端とし、その長さに対応する高さの台形状の半切部が形成されることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、天板を回動すると、天板に連設された背面板の厚み方向表面側半部が表面側の半切部に沿って切り開かれるとともに、その厚み方向裏面側半部が裏面側の半切部に沿って切り開かれる。すなわち、背面板の上端部が天板を回動して撓ませられることにより、背面板の表面側に形成された直線状の半切部とその裏面側に形成された台形状の半切部の傾斜部によって区画された三角形状部分が厚み方向略半分の位置で剥離され、三角形状部分の厚み方向表面側半部が背面板の半切部によって区画された台形状部分に連設されて天板とともに回動し、また、その厚み方向裏面側半部が背面板の台形状の半切部と上端縁とによって区画された部分を除いて背面板に残される。そして、三角形状部分が背面板の裏面側の半切部の水平部に達するまで剥離されると、該水平部が折り目として機能し、天板および天板に連設された背面板の上端部が一体となって裏面側の半切部の水平部に沿って回動する。
【0010】
これにより、背面板の上端部に裏面側の半切部の水平部に沿って折り曲げられた、裏面側の半切部に対応する台形状の切欠開口が形成され、包装容器に収容された商品の上端部を該切欠開口を通して摘んで容易に引き出すことができる。
【0011】
本発明において、前記天板に舌片を有するオーバーフラップが連設され、また、正面板にオーバーフラップの舌片を差込可能な切れ目が形成されるとともに、その上端縁から下方に向かって略コ字状の切り裂き目が形成され、正面板の上端縁および略コ字状の切り裂き目によって区画された部分がオーバーフラップの裏面に貼着されることが好ましい。これにより、オーバーフラップの引き出しに際して、正面板の上端部が略コ字状の切り裂き目に沿って切り裂かれて、正面板の上端縁および略コ字状の切り裂き目によって区画された部分を切欠開口に形成することができる。したがって、背面板に形成される切欠開口と相俟って包装容器に収容された商品を前後の切欠開口を通して摘んで容易に引き出すことができる。また、商品の引き出しが終われば、オーバーフラップの舌片を正面板の切れ目に差し込むことにより、背面板自ら切欠開口を閉鎖するとともに、天板が上端開口を閉鎖し、さらに、オーバーフラップが正面板の切欠開口を閉鎖した状態に保持することができる。
【0012】
本発明において、前記天板に差込フラップが連設され、また、正面板にその上端縁から下方に向かってコ字状の切り裂き目が形成され、正面板の上端縁および略コ字状の切り裂き目によって区画された部分が差込フラップの表面に貼着されることが好ましい。これにより、差込フラップの引き出しに際して、正面板の上端部がコ字状の切り裂き目に沿って切り裂かれて、正面板の上端縁およびコ字状の切り裂き目によって区画された部分を切欠開口に形成することができる。したがって、背面板に形成される切欠開口と相俟って包装容器に収容された商品を前後の切欠開口を通して摘んで容易に引き出すことができる。また、商品の引き出しが終われば、差込フラップを正面板の裏面に沿って差し込むことにより、背面板自ら切欠開口を閉鎖するとともに、天板が上端開口を閉鎖し、さらに、差込フラップが正面板の切欠開口を閉鎖した状態に保持することができる。
【0013】
本発明において、前記天板に差込フラップが連設され、また、正面板に差込フラップを差込可能な切れ目が形成されるとともに、その上端縁から下方に向かって略コ字状の切り裂き目が形成され、正面板の上端縁および略コ字状の切り裂き目によって区画された部分が差込フラップの表面と貼着されることが好ましい。これにより、差込フラップの引き出しに際して、正面板の上端部が略コ字状の切り裂き目に沿って切り裂かれて、正面板の上端縁および略コ字状の切り裂き目によって区画された部分を切欠開口に形成することができる。したがって、背面板に形成される切欠開口と相俟って包装容器に収容された商品を前後の切欠開口を通して摘んで容易に引き出すことができる。また、商品の引き出しが終われば、差込フラップを正面板の切れ目に差し込むことにより、背面板自ら切欠開口を閉鎖するとともに、天板が上端開口を閉鎖し、さらに、差込フラップが正面板の切欠開口を閉鎖した状態に保持することができる。
【0014】
本発明において、前記天板にその幅方向の垂直二等分線に関して左右対称に略く字状の切り裂き目が上端縁略中間部から左右各側端縁下端部にかけてそれぞれ形成され、また、正面板の上端縁にガイドフラップが連設されるとともに、天板の切り裂き目に沿って切り裂かれた先端部を差込可能な切れ目が形成され、天板の切り裂き目によって区画された左右の隅角部の裏面がガイドフラップと貼着されることが好ましい。これにより、天板における対称な略く字状の切り裂き目によって区画された先端縁部を摘んで引き上げると、切り裂き目に沿って切り裂かれる。そして、天板を介して背面板の上端部を撓ませることにより、背面板の表面側に形成された直線状の半切部とその裏面側に形成された台形状の半切部の傾斜部によって区画された三角形状部分が厚み方向略半分の位置で剥離されて、裏面側の半切部に相当する台形状の切欠開口を形成することができる。また、商品の引き出しが終われば、切り裂き目に沿って切り裂かれた天板の先端部をガイドフラップの切れ目に差し込むことにより、背面板自ら切欠開口を閉鎖するとともに、ガイドフラップに天板を係止して上端開口を閉鎖した状態に保持することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、背面板に商品を容易に取り出すための切欠開口を簡単かつ確実に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の包装容器の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の包装容器の展開図および一部省略して示す裏面図である。
【図3】図1の包装容器の組立状態を示す斜視図である。
【図4】図1の包装容器の開封状態を説明する斜視図である。
【図5】図1の包装容器の変形例を示す展開図である。
【図6】図5の包装容器の開封状態を説明する斜視図である。
【図7】図1の包装容器の他の変形例を示す展開図である。
【図8】図7の包装容器の開封状態を説明する斜視図である。
【図9】図1の包装容器のもう一つの変形例を示す展開図である。
【図10】図9の包装容器の開封状態を説明する斜視図である。
【図11】従来の包装容器の展開図である。
【図12】図11の包装容器の開封状態を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1には、本発明の包装容器1の一実施形態が示されている。
【0019】
この包装容器1は、菓子などを収容して包装するものであり、コートボールを図2に示す展開図にしたがって打ち抜いた後、折り目に沿って折り込むとともに、所定部分を貼着して組み立てられる。そして、包装容器1に菓子などを収容した後、出荷される。
【0020】
この包装容器1は、図2の展開図において、右側面板2の側端縁に、正面板3、左側面板4、背面板5および糊代6が折り目a,b,c,dを介して順に連設され、また、正面板3の下端縁に底面板7が折り目eを介して連設される一方、背面板5の上端縁に天板8およびオーバーフラップ9が折り目f,gを介して順に連設されるとともに、その下端縁に糊代10が折り目hを介して連設され、さらに、左右の側面板2,4の上下各端縁にフラップ11が折り目iを介してそれぞれ連設されて構成されている。そして、正面板3には、その左右の上方隅角部近傍の上端縁からわずかに離れた位置をそれぞれ始端として略コ字状の切り裂き目jがオーバーフラップ9の高さに対応して形成されるとともに、その下方に位置して、オーバーフラップ9の上端縁から突出して形成された舌片91を差込可能な下方に向かって凸の円弧状の切れ目kが形成されている。また、背面板5の表面側には、背面板5と左側面板4との折り目cに沿って、および、背面板5と糊代6との折り目dに沿ってその上端縁から設定長さの半切部m,m(図2(a)参照)がそれぞれ形成されている。さらに、背面板5の裏面には、その左右の上方隅角部をそれぞれ始端として、内方下部に向かって延びる設定長さの傾斜部n1および該傾斜部n1の各終端を結ぶ水平部n2からなる台形状の半切部n(図2(b)参照)が形成されている。すなわち、両半切部m,nは、背面板5の左右の上方隅角部を共通の始端として形成されている。
【0021】
この場合、背面板5の裏面側の台形状の半切部nの水平部n2の高さ(背面板5の上端縁(天板8との折り目f)から水平部n2迄の高さ)は、その表面側の直線状半切部mの長さよりも若干小さいか、等しく設定されている。
【0022】
このような包装容器1を組み立てるには、図2に示す展開図にしたがってコートボールを打ち抜いた後、表裏を反転し、糊代6を背面板5に対して折り目dに沿って谷折りするとともに、糊代6の表面に接着剤を塗布し、次いで、正面板3を右側面板2とともに左側面板4に対して折り目bに沿って谷折りし、右側面板2の裏面を糊代6に貼着する(図3参照)。次いで、背面板5に対して左側面板4を折り目cに沿って、正面板3に対して右側面板2を折り目aに沿ってそれぞれ起こした後、右側面板2および左側面板4に対して底面板7側の各フラップ11をそれぞれ折り目iに沿って谷折りする。さらに、背面板5に対して糊代10を折り目hに沿って谷折りした後、糊代10の表面に接着剤を塗布し、正面板3に対して底面板7を折り目eに沿って山折りし、底面板7の裏面を糊代10に貼着して箱状体を形成する。
【0023】
そして、上端開口を通して商品を収容した後、背面板5に対して天板8を折り目fに沿って谷折りするとともに、天板8に対してオーバーフラップ9を折り目gに沿って谷折りする。次いで、正面板3に形成された略コ字状の切り裂き目jとその上端縁とによって区画された方形状の部分に接着剤を塗布し、天板8およびオーバーフラップ9をそれぞれ折り目f,gに沿って順に折り込む際に、オーバーフラップ9の裏面を貼着すると同時に、オーバーフラップ9の舌片91を正面板3の切れ目kに差し込む。
【0024】
これにより、商品を収容した包装容器1を形成することができる。その後、包装容器1は、スーパーやコンビニエンスストアなどに出荷される。
【0025】
商品を購入した消費者が包装容器1を開封する場合は、正面板3の切れ目kよりオーバーフラップ9の舌片91を抜くように引き出すと、オーバーフラップ9の引き出しに伴って切り裂き目jに沿って切り裂かれ、オーバーフラップ9と接着剤を介して貼着された正面板3の略コ字状の切り裂き目jとその上端縁とによって区画された部分が切り離され、オーバーフラップ9と一体に引き出される。次いで、オーバーフラップ9を跳ね上げるように持ち上げると、天板8も折り目fに沿って回動し、なおも、オーバーフラップ9を押し下げるように回動させると、天板8を背面板5の後方に向けて撓ませることができる。この際、背面板5の表面側が半切部mに沿って切り開かれるとともに、その裏面側が半切部nの傾斜部n1に沿って切り開かれる。
【0026】
すなわち、コートボールなどは、新聞紙などの古紙を有効に利用するため、古紙をサンドイッチ状に挟んだ複数層の積層構造で形成されており、半切部m,nによって形成された深さの積層部分のみを剥離することができる。具体的には、図4に示すように、背面板5の上端部が天板8およびオーバーフラップ9を介して後方側へ撓ませられることにより、背面板5の表面側に形成された直線状の半切部mとその裏面側に形成された半切部nの傾斜部n1によって区画された三角形状部分51が厚み方向略半分の位置で剥離され、該三角形状部分51の厚み方向表面側半部511が背面板5の半切部nによって区画された台形状部分に連設されて天板8およびオーバーフラップ9とともに回動する一方、その厚み方向裏面側半部512が背面板5の半切部nと上端縁とによって区画された部分を除いて背面板5に残される。そして、背面板5の上端部が裏面側の半切部nの水平部n2まで剥離されると、該水平部n2が折り目として機能し、オーバーフラップ9、オーバーフラップ9に折り目gを介して連設された天板8および天板8に折り目fを介して連設された背面板5の上端部が一体となって半切部nの水平部n2に沿って回動する。
【0027】
この結果、正面板3の上端部に切り裂き目jに沿って切り裂かれた方形状の切欠開口が形成されるとともに、背面板5の上端部に半切部nの水平部n2に沿って折り曲げられた、半切部nに対応する台形状の切欠開口が形成されることにより、包装容器1に収容された商品、特に、指が入らないような薄い包装容器1に収容された商品であっても、商品の上端部を正面板3の切欠開口および背面板5の切欠開口を通して前後方向から摘んで容易に引き出すことができる。
【0028】
商品の引き出しが終われば、オーバーフラップ9を押し上げ、正面板3側に回動させることにより、天板8に折り目fを介して連設された背面板5の上端部が背面板5の上端部に形成された切欠開口を閉鎖するとともに、天板8が包装容器1の上端開口を閉鎖し、さらに、オーバーフラップ9が、正面板3の上端部に形成された切欠開口を閉鎖する。この状態で、オーバーフラップ9の舌片91を正面板3の切れ目kに差し込んで係止すれば、オーバーフラップ9の抜け出しが防止され、包装容器1の上端開口を閉鎖した状態に保持することができる(図1参照)。
【0029】
このように、背面板5の表面側および裏面側にそれぞれ形成された半切部m,nは、背面板5の上方隅角部端縁に連続して形成されていることにより、背面板5の上端部を天板8およびオーバーフラップ9を利用して撓ませることにより、簡単かつ確実に背面板5に裏面側の半切部nに対応する形状の切欠開口を形成することができる。換言すれば、商品を取り出すために、オーバーフラップ9および天板8を跳ね上げる操作によって背面板5の上端部が撓ませられると、半切部m,nに沿って剥離が簡単に発生することから、剥離を把握することができ、また、半切部m,nによって確実に切欠開口を形成することができる。
【0030】
ところで、前述した実施形態においては、オーバーフラップ9を設けるとともに、正面板3に切れ目kを形成し、オーバーフラップ9を正面板3の表面側に配置し、その舌片91を切れ目kに差し込んで係止し、上端開口を閉鎖する場合を説明したが、オーバーフラップ9に限定するものではない。
【0031】
以下、上端開口を閉鎖する他の変形例について説明する。
【0032】
なお、以下の変形例において、先に説明した包装容器1と同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0033】
図5および図6に示すように、背面板5の上下各端縁に天板8および底面板7をそれぞれ連設するとともに、天板8および底面板7に差込フラップ12をそれぞれ連設し、差込フラップ12を正面板3の裏面側上端部および裏面側下端部にそれぞれ差し込んで、天板8による上端開口の閉鎖および底面板7による下端開口の閉鎖を保持するようにしてもよい。
【0034】
この場合、天板8に連設された差込フラップ12の表面に、正面板3の上端部に形成されたコ字状の切り裂き目jとその上端縁とによって区画された方形状の部分を接着剤を介して貼着する。
【0035】
また、図7および図8に示すように、背面板5の上下各端縁に天板8および底面板7をそれぞれ連設するとともに、天板8および底面板7に差込フラップ12をそれぞれ連設し、天板8に連設された差込フラップ12を正面板3に形成した切れ目qに差し込んで、天板8による上端開口の閉鎖状態を保持するようにしてもよい。
【0036】
この場合も、差込フラップ12の表面に、正面板3の上端部に形成された略コ字状の切り裂き目jとその上端縁とによって区画された方形状の部分を接着剤を介して貼着する。
【0037】
さらに、前述した実施形態においては、正面板3および背面板5に切欠開口をそれぞれ形成する場合を説明したが、図9および図10に示すように、半切部n,mによる切欠開口のみを背面板5に形成するようにしてもよい。
【0038】
すなわち、図9および図10において、正面板3の上端縁にガイドフラップ13を連設するとともに、ガイドフラップ13に後述する天板8の先端部を差込可能な切れ目rを形成する一方、天板8に幅方向垂直二等分線に関して左右対称な略く字状の切り裂き目sを上端縁略中央部から左右各側端縁下端部にかけてそれぞれ形成する。そして、ガイドフラップ13の表面に天板8の切り裂き目s、上端縁および側端縁によって区画された左右の隅角部を接着剤を介して貼着する。
【0039】
この包装容器1を開封するには、天板8の先端縁略中間部を摘んで上方に引き上げ、天板8を切り裂き目sに沿って切り裂き、該切り裂き目s、上端縁および側端縁によって区画された左右の隅角部をガイドフラップ13に残して背面板5との連設部回りに回動させるとともに、ガイドフラップ13を正面板3との連設部回りに回動させることにより、上端開口を開口することができる。一方、上端開口を閉鎖する場合は、ガイドフラップ13を折り込んで上端開口を閉鎖した後、天板8をガイドフラップ13の表面に沿って移動させ、その先端部を切れ目rに差し込んで係止すればよい。
【符号の説明】
【0040】
1 包装容器
2 右側面板
3 正面板
4 左側面板
5 背面板
7 底面板
8 天板
9 オーバーフラップ
12 差込フラップ
13 ガイドフラップ
a,b,c,d,e,f,g,h,i 折り目
j,s 切り裂き目
k,q,r 切れ目
m,n 半切部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面板、左右の側面板および背面板によって周囲四面を包囲するとともに、下端開口を底面板によって閉鎖する一方、上端開口を背面板に連設された天板によって開閉自在に閉鎖し、天板の開放操作時に背面板の上端部に方形状の切欠開口が形成される包装容器において、背面板の表面側に左右各側端縁の上端縁から設定長さの半切部が形成される一方、背面板の裏面側に表面側半切部の各上端縁を始端とし、その長さに対応する高さの台形状の半切部が形成されることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
請求項1記載の包装容器において、前記天板に舌片を有するオーバーフラップが連設され、また、正面板にオーバーフラップの舌片を差込可能な切れ目が形成されるとともに、その上端縁から下方に向かって略コ字状の切り裂き目が形成され、正面板の上端縁および略コ字状の切り裂き目によって区画された部分がオーバーフラップの裏面に貼着されることを特徴とする包装容器。
【請求項3】
請求項1記載の包装容器において、前記天板に差込フラップが連設され、また、正面板にその上端縁から下方に向かってコ字状の切り裂き目が形成され、正面板の上端縁およびコ字状の切り裂き目によって区画された部分が差込フラップの表面に貼着されることを特徴とする包装容器。
【請求項4】
請求項1記載の包装容器において、前記天板に差込フラップが連設され、また、正面板に差込フラップを差込可能な切れ目が形成されるとともに、その上端縁から下方に向かって略コ字状の切り裂き目が形成され、正面板の上端縁および略コ字状の切り裂き目によって区画された部分が差込フラップの表面と貼着されることを特徴とする包装容器。
【請求項5】
請求項1記載の包装容器において、前記天板にその幅方向の垂直二等分線に関して左右対称に略く字状の切り裂き目が上端縁略中間部から左右各側端縁下端部にかけてそれぞれ形成され、また、正面板の上端縁にガイドフラップが連設されるとともに、天板の切り裂き目に沿って切り裂かれた先端部を差込可能な切れ目が形成され、天板の切り裂き目によって区画された左右の隅角部の裏面がガイドフラップと貼着されることを特徴とする包装容器。
【請求項1】
正面板、左右の側面板および背面板によって周囲四面を包囲するとともに、下端開口を底面板によって閉鎖する一方、上端開口を背面板に連設された天板によって開閉自在に閉鎖し、天板の開放操作時に背面板の上端部に方形状の切欠開口が形成される包装容器において、背面板の表面側に左右各側端縁の上端縁から設定長さの半切部が形成される一方、背面板の裏面側に表面側半切部の各上端縁を始端とし、その長さに対応する高さの台形状の半切部が形成されることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
請求項1記載の包装容器において、前記天板に舌片を有するオーバーフラップが連設され、また、正面板にオーバーフラップの舌片を差込可能な切れ目が形成されるとともに、その上端縁から下方に向かって略コ字状の切り裂き目が形成され、正面板の上端縁および略コ字状の切り裂き目によって区画された部分がオーバーフラップの裏面に貼着されることを特徴とする包装容器。
【請求項3】
請求項1記載の包装容器において、前記天板に差込フラップが連設され、また、正面板にその上端縁から下方に向かってコ字状の切り裂き目が形成され、正面板の上端縁およびコ字状の切り裂き目によって区画された部分が差込フラップの表面に貼着されることを特徴とする包装容器。
【請求項4】
請求項1記載の包装容器において、前記天板に差込フラップが連設され、また、正面板に差込フラップを差込可能な切れ目が形成されるとともに、その上端縁から下方に向かって略コ字状の切り裂き目が形成され、正面板の上端縁および略コ字状の切り裂き目によって区画された部分が差込フラップの表面と貼着されることを特徴とする包装容器。
【請求項5】
請求項1記載の包装容器において、前記天板にその幅方向の垂直二等分線に関して左右対称に略く字状の切り裂き目が上端縁略中間部から左右各側端縁下端部にかけてそれぞれ形成され、また、正面板の上端縁にガイドフラップが連設されるとともに、天板の切り裂き目に沿って切り裂かれた先端部を差込可能な切れ目が形成され、天板の切り裂き目によって区画された左右の隅角部の裏面がガイドフラップと貼着されることを特徴とする包装容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−140172(P2012−140172A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1068(P2011−1068)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000106885)シグマ紙業株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000106885)シグマ紙業株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
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