説明

包装容器

【課題】再封止後の密閉性を保持しやすい包装容器を提供する。
【解決手段】容器本体101の開口部102をテープ材103で覆った包装容器100であって、開口部を有する容器本体と、粘着層および離型紙層を含み、容器本体の開口部の周縁部の外面に、当該開口部を取り囲んで当該粘着層が貼り付けられる粘着テープ材と、容器本体の開口部の周縁部の内面に熱溶着され、当該開口部を覆う窓貼り材と、容器本体の外面に熱溶着され、粘着テープ材および開口部の全体を覆うテープ材とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部を備え、当該開口部を覆うテープ材によって再封止可能な包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、包装容器として、開口部の周縁にテープ材を貼り付け、開口部を覆って封止部を形成した包装容器が知られている。このような包装容器では、保存時は密閉性を保持することができ、内容物を取り出す時はテープ材を剥がし開口部を露出させ、開封することができる。
【0003】
このような封止部の例を以下に示す。特許文献1は、図6に示す断面を持つ封止部610を開示している。封止部610では、容器本体601の開口部602の周縁部の外面側に、紙むけ防止部材611が開口部602を取り囲んで貼り付けられている。さらに、紙むけ防止部材611に、開口部602を覆うテープ材603が貼り付けられている。また、開口部602の周縁部の内面側に、窓貼り材605が開口部602を覆うように貼り付けられ、開口部602を封止している。テープ材603の開口部602を覆う部分は、窓貼り材605に接着されている。テープ材603を剥がすと、これにともなって、窓貼り材605が、開口部602の周縁等に沿って切断され、テープ材603と一体となって、容器本体601から除去され、封止部610を開封することができる。
【0004】
また、特許文献2は、図7に示す断面を持つ封止部710を開示している。封止部710では、容器本体701の開口部702の周縁部の外面側に、第1の窓貼り材7051および第2の窓貼り材7052が、開口部702を取り囲んで貼り付けられている。さらに、第2の窓貼り材7052に、開口部を覆うテープ材703が貼り付けられ開口部702を封止している。テープ材703を引っ張ると、テープ材703が貼り付けられている第2の窓貼り材7052が層間剥離する。これによって、テープ材703が第2の窓貼り材7052の剥離層とともに容器本体701から除去され、封止部710を開封することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平1−10354号公報
【特許文献2】特開平9−110037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
封止部610を備える包装容器から内容物を一部のみ取り出し、残りを包装容器内に保存したい場合、テープ材を再度、開口部の周縁部に貼り付けて、再封止する。しかしながら、内容物が粉体状あるいは顆粒状の物質である場合、取り出し時に、内容物の一部が接着面に付着するため、粘着力の低下が発生しやすく、再封止後の包装容器の密閉性の保持が困難であった。また、封止部710を備える包装容器は、一度開封すると窓貼り材7052の剥離面に粘着力がなく、再度の封止は不可能であった。
【0007】
それ故に、本発明の目的は、粉体状あるいは顆粒状の物質を包装するために好適に用いられ、再封止後の密閉性を確保できる包装容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、容器本体の開口部をテープ材で覆った包装容器であって、開口部を有する容器本体と、粘着層および離型紙層を含み、容器本体の開口部の周縁部の外面に、当該開口部を取り囲んで当該粘着層が貼り付けられる粘着テープ材と、容器本体の開口部の周縁部の内面に熱溶着され、当該開口部を覆う窓貼り材と、容器本体の外面に熱溶着され、粘着テープ材および開口部の全体を覆うテープ材とを備える。
【0009】
また、本発明は、容器本体の開口部をテープ材で覆った包装容器であって、開口部を有する部材に、当該開口部を覆う窓貼り層を内面側に積層したシート材からなる容器本体と、粘着層および離型紙層を含み、容器本体の開口部の周縁部の外面に、当該開口部を取り囲んで当該粘着層が貼り付けられる粘着テープ材と、容器本体の外面に熱溶着され、粘着テープ材および開口部の全体を覆うテープ材とを備えてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、再封止後の密閉性を保持しやすい包装容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る包装容器の斜視図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る包装容器の上面図および断面図
【図3】本発明の第1の実施形態に係る包装容器の加熱加工の範囲を示す図
【図4】本発明の第1の実施形態に係る包装容器の開封および再封止の手順を示す図
【図5】本発明の第2の実施形態に係る包装容器の断面図
【図6】従来の包装容器の封止部の断面図
【図7】従来の包装容器の封止部の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下に本発明の第1の実施形態について、説明する。図1は、本実施形態に係る包装容器100の外観を示す斜視図である。容器本体101には開口部102が設けられており、開口部102を覆うように、容器本体101にテープ材103が貼り付けられ、封止部110が形成されている。
【0013】
図2の(a)および(b)に、それぞれ、封止部110の上面図および当該上面図のA−A´線に沿った断面図を示す。容器本体101の開口部の周縁部の外面に、粘着テープ材104が開口部102を取り囲んで貼り付けられている。さらに、粘着テープ材104および開口部102の全体を覆うように、テープ材103が容器本体101の外面に熱溶着されている。また、開口部102の周縁部の内面側に、窓貼り材105が開口部102を覆うように熱溶着されて、開口部102を封止している。テープ材103の開口部102を覆う部分と、窓貼り材105の開口部102を覆う部分とは、熱溶着されている。また、粘着テープ材104は、容器本体101に貼り付けられる粘着層106と、粘着層106に剥離可能に積層される離型紙107を含む。
【0014】
このような包装容器100の各部材の層構成の一例を以下に示す。容器本体101を構成するシート材は、外面となる層から順に、PE(ポリエチレン)/紙/PE/アルミ箔/PET(ポリエチレンテレフタレート)/PEの層構成を有する。テープ材103は、容器本体101に熱溶着される側から順に、PE/アルミ箔/PETの層構成を有する。あるいは、同様の順に、PE/GL(透明蒸着フィルム)の層構成を有してもよい。また、窓貼り材105は、容器本体101の内面に熱溶着される側から順に、PE/アルミ箔/PEの層構成を含む。また、粘着テープ材104の粘着層106は、強粘着性のアクリル系エマルジョン型の粘着剤を用いている。
【0015】
各部材の形状の一例を以下に示す。本例では、容器本体101は、30mm×180mm×80mmの直方体である。また、開口部102は、容器本体101の30mm×80mmの面の1短辺の近傍に、長径25mm、短径15mmの楕円形の形状で設けられている。粘着テープ材104は、24mm×45mmの長方形の形状である。また、粘着テープ材104は、容器本体101に貼り付けられる際、開口部102を塞ぐことのないよう、内部に長径28mm、短径18mmの楕円形の孔108を設けてある。
【0016】
容器本体101のシート材は、ロール抜き加工によって、開口部102の穴あけを含む型抜き加工が行われる。型抜き加工されたシート材に、粘着テープ材104を貼り付けた後、窓貼り材105およびテープ材103を熱板により熱溶着する。その後、容器本体101を成形し、内容物を充填し、封緘することで、包装容器100が製造される。
【0017】
各部材を重ね合わせる位置関係について説明する。環状の粘着テープ材104は、容器本体101の開口部102周縁を取り囲むように、容器本体101の外面に貼り付けられる。窓貼り材105は、開口部102を覆うように、容器本体101の内面に貼り付けられる。テープ材103は、粘着テープ材104を完全に覆うことができるサイズを有し、粘着テープ材104全体を覆っている。
【0018】
図3は、図2に対応する包装容器100の封止部110の上面図である。熱溶着のため熱板により加熱処理を行う領域を、図3に太線で囲んで示す。また、テープ材103と容器本体101とが熱溶着される領域を斜線で示す。図3に示すように、テープ材103は、開封開始位置(図3の左端)を除く周縁が、容器本体101と熱溶着される。このように、開封開始位置の周縁を溶着しないことによって、開封時にテープ材103をつまみやすくすることができる。なお、テープ材103と、粘着テープ材104とが重なる領域は、離型紙107が存在するため、テープ材103と粘着テープ材104とは、熱溶着されていない。また、テープ材103の開封開始位置側の周縁の一部にも熱溶着が行われる。本実施形態では直径3mmの円形の溶着領域109を熱溶着している。流通時等に悪戯で包装容器100が開封された場合に、溶着領域109の溶着が剥がされていることで、開封されたことが検知できるので、不正開封等が行われた場合に開封した証拠を残すことにより、改ざん防止を図る、あるいは、開封されてはいないことを証明するという、タンパーエビデント機能(開封履歴明示機能)を得ることができる。
【0019】
包装容器100の開封の手順を図4を参照して説明する。図4の(a)は図2に対応する包装容器100の断面図であり、未開封時の封止部110の状態を示す。テープ材103を、矢印で示す開封方向に沿ってめくると、テープ材103と容器本体101との熱溶着部分が剥がれる。テープ材103を、所定の位置までめくると、開口部102が露出するとともに、窓貼り材105の開口部102を覆う部分が、テープ材103に付随して他の部分から切断されることにより、包装容器100が開封される(図4の(b))。
【0020】
次に、包装容器101の再封止の手順を図4を継続して参照して、説明する。内容物を必要量取り出した後、粘着テープ材104の離型紙107を剥離して除去し、粘着層106を露出させる(図4の(c))。テープ材103を元の位置に戻し開口部102を覆うと、テープ材103が粘着層106に粘着し、包装容器100を再封止することができる(図4の(d))。テープ材103を、開封方向に向かって再度めくると、テープ材103が、粘着層106から剥離して、開口部102が露出し、包装容器100を再開封することができる。
【0021】
このように、包装容器100を再封止する際に、離型紙107を剥離して粘着層106を露出させることで、再封止するまでに、粘着層106に内容物が付着することを防止でき、再封止時の密閉性を維持しやすくすることができる。
【0022】
(第2の実施形態)
以下に本発明の第2の実施形態について、説明する。本実施形態に係る包装容器200は、第1の実施形態に係る包装容器100と同様の外観を呈するので図示を省略する。包装容器200の封止部210の断面図を、図2と同様、図5に示す。第1の実施形態に係る包装容器100では、容器本体101の開口部102の周縁部の内面側に、窓貼り材105が開口部102を覆うように溶着されて、開口部102を封止しているのに対して、本実施形態に係る包装容器200では、容器本体201のシート材の最内層が、開口部202を封止し、窓貼り材105の代わりとなっている。
【0023】
容器本体201のシート材の層構成の一例として、包装容器200の外面側から内面側に向かって、PE/紙/PE/アルミ箔/押出し成形PEとしたものが挙げられる。容器本体201のシート材は、PE/紙/PE/アルミ箔を積層した状態で、開口部202の抜き加工を行った後、内面側に押出し成形したPEを積層し、ロール抜き加工によって型抜きされる。この押出し成形したPE層205によって、開口部202が覆われた状態となる。テープ材203および粘着テープ材204の層構成は、第1の実施形態におけるテープ材103および粘着テープ材104とそれぞれ同様である。
【0024】
容器本体201、テープ材203および粘着テープ材204の形状および重ね合わせの位置、熱溶着の範囲は、第1の実施形態における包装容器100と同様である。型抜き加工された容器本体201のシート材に、粘着テープ材204を貼り付けた後、テープ材203を熱板により熱溶着する。その後、容器本体201を成形し、内容物を充填し、封緘することで、包装容器200が製造される。
【0025】
また、包装容器200の開封、再封止および再開封の手順も、包装容器100と同様である。すなわち、テープ材203を、開封方向に沿ってめくると、テープ材203と容器本体201との熱溶着部分が剥がれるとともに、容器本体201の押出し成形したPE層205の開口部202を覆う部分が、テープ材203に付随して他の部分から引きちぎられるため、包装容器200が開封される。また、内容物を取り出した後、粘着テープ材204の離型紙207を剥離して除去し、粘着層206を露出させ、テープ材203を元の位置に戻し開口部202を覆うと、テープ材203が粘着層206に粘着し、包装容器200を再封止することができる。テープ材203を、開封方向に向かって再度めくると、テープ材203が、粘着層206から剥離して、開口部202が露出し、包装容器200を再開封することができる。
【0026】
このように、包装容器200を再封止する際に、離型紙207を剥離して粘着層206を露出させることで、再封止するまでに、粘着層206に内容物が付着することを防止でき、再封止時の密閉性を維持しやすくすることができる。
【0027】
以上のように、本発明によれば、再封止後の密閉性を確保できる包装容器を提供することができる。とくに、紛体状あるいは顆粒状の物質を内容物とする場合に、その効果は大きい。また、容器本体として、各実施形態では、直方体の形状のものを挙げたが、筒形状など、多様な形状の容器本体に対して、本発明の封止部を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、開口部を備え、当該開口部を覆うテープ材によって再封止可能な包装容器等に有用である。
【符号の説明】
【0029】
100、200 包装容器
101、201、601、701 容器本体
102、202、602、702 開口部
103、203、603、703 テープ材
104、204 粘着テープ材
105、605 窓貼り材
106、206 粘着層
107、207 離型紙
108 孔
109 溶着領域
110、210、610、710 封止部
205 PE層
611 紙むけ防止部材
7051 第1の窓貼り材
7052 第2の窓貼り材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の開口部をテープ材で覆った包装容器であって、
開口部を有する容器本体と、
粘着層および離型紙層を含み、前記容器本体の開口部の周縁部の外面に、当該開口部を取り囲んで当該粘着層が貼り付けられる粘着テープ材と、
前記容器本体の開口部の周縁部の内面に熱溶着され、当該開口部を覆う窓貼り材と、
前記容器本体の外面に熱溶着され、前記粘着テープ材および前記開口部の全体を覆うテープ材とを備える、包装容器。
【請求項2】
容器本体の開口部をテープ材で覆った包装容器であって、
開口部を有する部材に、当該開口部を覆う窓貼り層を内面側に積層したシート材からなる容器本体と、
粘着層および離型紙層を含み、前記容器本体の開口部の周縁部の外面に、当該開口部を取り囲んで当該粘着層が貼り付けられる粘着テープ材と、
前記容器本体の外面に熱溶着され、前記粘着テープ材および前記開口部の全体を覆うテープ材とを備える、包装容器。
【請求項3】
前記テープ材の周縁部の一部が前記容器本体に熱溶着されないことによって、開封開始時に把持される持ち手部が形成されている、請求項1または2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記持ち手部の一部が、前記容器本体に熱溶着されている、請求項3に記載の包装容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−201382(P2012−201382A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66399(P2011−66399)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】