説明

包装機でブリスタフィルムウェブへ印刷する方法

【課題】ブリスタフィルムへの印刷位置の精度を乱す影響を減らす。
【解決手段】ブリスタ成形シェル(24)をブリスタフィルムでふさぐ包装機(22)で、ブリスタフィルムウェブ(26)へ印刷する方法が開示されている。この方法では、ブリスタフィルムウェブ(26)を第1の搬送システムによってシール装置(28)へ供給し、ブリスタ成形シェル(24)を第2の搬送システムによってシール装置(28)へ供給する。ブリスタ成形シェル(24)のうちの1つの位置を検出し、ブリスタ成形シェル(24)をふさぐシール装置(28)の作用時間と作用時間との間の1回または複数回のタイミングで、少なくとも1つの検出信号を生成する。この検出に応じて印刷装置(40)に対するトリガ信号を生成し、ブリスタフィルムウェブ(26)に沿ってシール装置(28)の前方の位置で、印刷装置(40)によってブリスタフィルムウェブ(26)へ視覚情報を塗布する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提項に記載のステップを有し、ブリスタ成形シェルをブリスタフィルムでふさぐ包装機で、ブリスタフィルムウェブへ印刷する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
さまざまな数多くの物品や製品がブリスタ包装に包まれ、および/または潜在的な顧客や消費者に提供される。この目的のために、ブリスタ包装は、1つまたは複数の物品を収容可能な、シェル状で凹形状の、安定した少なくとも1つの成形部を有するブリスタ成形シェルを含んでいる。通常、広く用いられているブリスタ成形シェルは、透明または半透明のプラスチックからなる。物品を入れたブリスタ成形シェルは、ブリスタフィルムによってふさがれる。通常、広く知られているブリスタフィルムは、1つまたは複数の層を有しており、材料としてポリマー、紙、厚紙、または金属、特にアルミニウムなどが用いられる。ブリスタ包装において、特に普及しているのは、たとえば錠剤、糖衣錠、カプセルなどの医薬品の包装である。このような医薬品包装のブリスタフィルムには、しばしば印刷が施されている。
【0003】
特にウェブの形態をした、このように印刷されたブリスタフィルムの大多数は、こんにち、本来の包装設備や包装機の外部で印刷が施されており、特にフレキソ印刷機で製造されている。その場合、包装機の内部でブリスタ成形シェルをふさぐときに、予め施されたブリスタフィルムウェブの印刷の長さが、ブリスタ成形シェルの長さと必ず正確に一致しなくてはならないという問題がある。そのため、ブリスタフィルムをブリスタ成形シェルと結合させる前に所要の長さになるまで引っ張る延伸装置が必要となる。
【0004】
これとは別に、印刷されていないブリスタフィルムウェブへまず印刷を行ってから、ふさがれるべきブリスタ成形シェルへブリスタフィルムウェブを供給するため、印刷装置を包装機に組み込むことも知られている。このような構成は、たとえば特許文献1に開示されている。ブリスタフィルムウェブへの印刷と、シールローラの形態をしたシール装置へのブリスタ成形シェルの供給と、を関連づけるために、この印刷装置は、供給されるブリスタ成形シェルの、センサで検知された位置に応じて始動するように制御される。さらに、ブリスタフィルムウェブのシール工程中の動作を印刷中の動作から分離するために、印刷装置の位置とシールローラの位置との間に、ブリスタフィルムウェブのウェブ蓄積部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許明細書6,164,200号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現実問題として、包装機内部での印刷は、印刷位置の精度を低下させる作用、特に品質を低下させる作用を含む種々の影響を受けることが示されている。たとえば、ブリスタフィルムの供給における速度変化や速度のばらつき、あるいはシール装置へのブリスタ成形シェルの供給における速度変化や速度のばらつきが起こり、そのため、トリガ信号が生成されるタイミングに誤差が含まれることになる。また、ウェブ蓄積部も更なる不正確さを引き起す。そのうえ、ブリスタ成形シェルの実際の長さは、製造上、理想的な論理上の長さに対して変動する。したがって、現実的には、ブリスタフィルムへの印刷位置の精度を高めるために、別の対策を講じることが必要である。
【0007】
本発明の目的は、ブリスタ成形シェルに対して相対的な、ブリスタフィルムへの印刷位置の精度を乱す影響、特に機械的に引き起される影響を低下させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、請求項1に記載された特徴を有し、包装機でブリスタフィルムウェブへ印刷する本発明による方法によって達成される。本発明の好ましい発展例は、従属請求項で特徴づけられている。
【0009】
ブリスタ成形シェルをブリスタフィルムによってふさぐ包装機でブリスタフィルムウェブに印刷する本発明の方法は、次のステップを含んでいる。ブリスタフィルムウェブを第1の搬送システムによってシール装置へ供給するステップ。ブリスタ成形シェルを第2の搬送システムによってシール装置へ供給するステップ。特に光学式または音響式に測定を行うことができるセンサによって、ブリスタ成形シェルの少なくとも1つの位置を検出するステップ。ブリスタ成形シェルをふさぐシール装置の作用時間と作用時間との間の1回または複数回のタイミングで、少なくとも1つの検出信号を生成するステップ。印刷装置のためのトリガ信号を、その検出に応じて生成するステップ。ブリスタフィルムウェブに沿った、シール装置の前方の位置で、特に印刷画像や印刷である視覚情報を印刷装置によってブリスタフィルムウェブに塗布するステップ。
【0010】
本発明によると、少しの速度変化または量的にわずかな速度変化しか生じていない時間周期で検出信号が生成されるという利点があり、それにより、いっそう正確なトリガ信号の生成が可能となる。このことは、少しの速度変化または量的にわずかな速度変化しか生じていないときに、ブリスタ成形シェルが検出位置を通過するように、検出位置すなわち例えばセンサの位置が決められることによって実施されても良い。このようにして、好ましい結果として、包装機内の印刷装置によって、ブリスタフィルムへ正確に目標とする印刷を行うことができる。すなわち、シール装置に供給されるブリスタフィルムウェブへの印刷を、ブリスタ成形シェルの供給と同期化または相関化(特に同位相に)することができる。画像の印刷は、搬送システムでの機械的な乱れの影響を最低限に抑えるように開始される。
【0011】
特に、包装機は、たとえば錠剤、糖衣錠、カプセルなどのための医薬品包装機であってよい。包装機はブリスタ機と呼ばれることもある。印刷は、ブリスタフィルムウェブの片面または両面に行うことができる。後に外面になるほうのブリスタ包装のブリスタフィルムへの片面印刷は、広く普及している。シール装置は、サイクルごと、および/または周期的に作動することができる。ブリスタ成形シェルは、特に融着または接着によってふさがれることができる。印刷装置は、デジタル式の印刷装置であってよい。それによって印刷を可変に行うことができ、特に、その内容に関しても大きさや形に関しても可変に行うことができる。すなわち、デジタル式の印刷装置で行われる印刷の長さおよび/または位置は、自由に制御可能である。印刷装置は、非接触式でブリスタフィルムウェブに印刷することもできる。特に、第2の搬送装置によってシール装置に搬送されるブリスタ成形シェルを、シール装置の手前で検出することができる。センサは反射式の光電ビームであってよい。トリガ信号の生成は、特に閾値法を用いて行うことができる。ブリスタ成形シェルは、互いにつながったウェブの状態、もしくは相互に連結された状態で、第2の搬送装置によってシール装置へ供給することができる。これに代えて、一実施形態では、個々のブリスタ成形シェルをシール装置へ供給することもできる。一片のブリスタフィルムによってブリスタ成形シェルをふさぐ目的のために、シール装置の手前でブリスタフィルムウェブの一区域を切り離すことができる。これに代えて、まず、ブリスタフィルムウェブの一片が、シール装置によって、互いにつながったブリスタ成形シェルのウェブの一片と結合され、次いで、ふさがれたブリスタ成形シェルをウェブから切り離すこともできる。ブリスタフィルムウェブは、先に述べた材料からなっていてよく、たとえばアルミニウム層を有していて良い。視覚情報は、特に目で見ることができ、すなわち可視的であってよい。
【0012】
本発明による方法では、印刷装置はインクジェット印刷システム(Inkjet)であるのが特に好ましい。特に、インクジェット印刷システムは、1つまたは複数のモジュールのドロップオンデマンド式インクジェット印刷装置(Drop-on-demandインクジェット印刷装置)を有していて良い。すなわち、インクジェット印刷システムを採用することが好ましい。インクジェット印刷装置は、特にライン状に配置された複数の吐出ノズルを有していて良い。インクジェット印刷システムは、600dpi(dots per inch)よりも高い解像度、たとえば720dpiの解像度を有しているのが好ましい。インクジェット印刷システムは、ブリスタフィルムウェブの幅全体に印刷するために、広い幅で製作されていてよい。
【0013】
この好ましい実施形態の1つの発展例では、紫外放射によって乾燥可能なインクが用いられ、ブリスタフィルムウェブの一区域にインクジェット印刷システムによって印刷された当該インクは、当該区域がシール装置に到達する前に乾かされる。特に包装機は、この目的のために、包装機を通るブリスタフィルムウェブの経路に沿って印刷装置の後方に配置されたUV乾燥機を有していて良い。
【0014】
本発明による方法は、ブリスタ成形シェルをブリスタフィルムウェブの一区域と結合してブリスタ成形シェルをふさぐように、シール装置によってブリスタ成形シェルおよびブリスタフィルムウェブの一区域に対して作用させる、追加のステップを含んでもよい。そのために、ブリスタ成形シェルとブリスタフィルムウェブの一区域とは、たとえば接着を実施もしくは補助するために、互いに押し合わされる。
【0015】
本方法の好ましい一実施態様では、検出されるブリスタ成形シェルの位置からシール装置の位置までの、第2の搬送装置の経路に沿った距離は、印刷装置がブリスタフィルムウェブに印刷する位置からシール装置の位置までの、ブリスタフィルムウェブに沿った距離と実質的に等しい。このようにして、測定と印刷装置の制御が、むだな時間すなわち遅延なく行われ、最新に検出されたブリスタ成形シェルに対してシール装置によって結合されるブリスタフィルムウェブの区域に、最新の印刷が行われることになる。したがって、その好ましい結果として、供給されるブリスタ成形シェルの位置の個々の変化や変動を、印刷のために考慮に入れることができる。検出されたブリスタ成形シェルからシール装置の位置までの、第2の搬送装置の経路に沿った距離が、印刷装置がブリスタフィルムウェブに印刷する位置からシール装置の位置までの、ブリスタフィルムウェブに沿った距離より大きい場合にも、同じ目的を達成できることは当業者にとって自明である。ただしその場合には、通知される印刷開始のタイミングよりも前のタイミングで検出が行われるので、これらの2つのタイミングの時間差を、印刷装置の制御部で考慮しなければならない。この時間差は、供給速度および距離差から、当業者にとっては基本的な方法で算出することができる。
【0016】
包装機の具体的な一実施態様では、包装機には、ブリスタフィルムウェブに沿う経路上の、印刷装置がブリスタフィルムウェブに印刷する位置とシール装置の位置との間に、動作を分離するためのダンサーローラシステムが配置されている。本発明による方法は、このような種類の包装機の実施態様においても実施することができる。この実施態様については、次のような追加の方法ステップがあることが好ましい。それは、ダンサーローラシステムの運動を検出するステップである。印刷装置の位置からシール装置までの、ブリスタフィルムウェブに沿った距離の変化が、検出されたダンサーローラシステムの運動から算出される。印刷装置に対するトリガ信号のタイミングは、算出された距離変化に応じて修正される。
【0017】
本発明による方法の好ましい一発展例では、1つまたは複数の平均値を利用して、誤差が取り除かれることが好ましい。それは、連続する検出信号同士の時間差を示す一連の時間差値が処理され、特に保存される。複数の時間差値の少なくとも一部から、平均値、たとえば算術平均が算出される。最終的に、算出された平均値に基づいて生成されるトリガ信号によって、印刷装置が制御される。
【0018】
本発明による方法は、特に、物品を収容するための複数のシェル状の成形部をそれぞれ有するブリスタ成形シェルに適用することができる。医薬品包装の分野におけるその一例は、錠剤、糖衣錠、またはカプセルなどのためのブリスタ包装である。すなわち、本発明による方法の一実施態様では、物品を収容するためのシェル状の成形部をそれぞれ複数備え、複数のシェル状の成形部の位置が検出される、ブリスタ成形シェルを使用することができる。
【0019】
本方法のこの実施態様において、一方では、ブリスタ成形シェルのシェル状の成形部の各々の検出結果に基づいてトリガ信号を生成することができる。他方では、複数のシェル状の成形部の位置の検出結果をカウントし、それが所定の境界値を越えたときにトリガ信号を生成することができる。特に、境界値を越えたときに初めてトリガ信号を生成し、それ以外の場合にはトリガ信号を生成しない。この境界値は、たとえば所定の最大数であってよい。これに代えて、検出結果の頻度、または個々の検出結果同士の間の時間間隔を決定することができ、それらが所定の境界値を越えたときにトリガ信号を生成しても良い。境界値は、所定の最小頻度または所定の最大の時間間隔であってよい。上述した「越える」とは、たとえば最新の値が境界値よりも大きいことを意味してよく、境界値を下回るときにはトリガ信号の生成が行われない。または、上述した「越える」とは最新の値が境界値よりも小さいことを意味してよく、境界値を上回るときにはトリガ信号の生成が行われない。
【0020】
本発明による方法の一発展例では、ブリスタ成形シェルの位置の検出に代えて、印刷装置によって行われるブリスタフィルムウェブへの印刷を、特にシール装置の後、すなわちブリスタ成形シェルがふさがれた後でカメラによって検出し、検出した画像を分析し、その分析結果に応じて印刷装置に対するトリガ信号を生成する。このようにして、同様に、ブリスタ成形シェルに対する印刷の位置の誤差を検出することができるため、ブリスタ成形シェルの位置に合わせて印刷装置を同期化することができる。
【0021】
本発明による方法の特定の発展例では、シール装置のシールローラに設けられたタイミングディスクを、ブリスタ成形シェルの位置に対する検出器として利用することが意図される。
【0022】
本明細書の内容に携わる当業者にとっては、ただちに明らかなように、上述した各特徴は、単独、およびこれらが組み合わされた特徴として開示されるものであり、本発明の方法として意図されていてよい。特に、個々の特徴の記述の順序に基づいて、最初に挙げた特徴が、特定の特徴の組み合わせにも必ず含まれなくてはならないと推定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明による方法の好ましい実施形態を実施可能なようにセットアップされた包装機の一実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、包装機でブリスタフィルムウェブに印刷する本発明の方法のフローチャートを示している。ブリスタ成形シェルは、ブリスタフィルムによってふさがれる。本発明によると、一連の個々の処理が行われ、これらの処理は、少なくとも部分的に、時間的にも少なくとも部分的に重なり合って実施、もしくは同時に実施することができる。第1のステップ10では、第1の搬送システムによってシール装置へブリスタフィルムウェブを供給する。第2のステップ12では、第2の搬送システムによってシール装置へブリスタ成形シェルを供給する。第3のステップ14では、ブリスタ成形シェルのうちの1つの位置を検出する。第4のステップ16では、ブリスタ成形シェルをふさぐシール装置の作用時間と作用時間との間の1回または複数回のタイミングで、少なくとも1つの検出信号を生成し、それにより第5のステップ18で、この検出に応じて印刷装置に対するトリガ信号を生成する。最後に、第6のステップ20では、ブリスタフィルムウェブに沿った、シール装置の前方の位置で、印刷装置によってブリスタフィルムウェブに視覚情報を塗布する。
【0026】
本発明による方法では、供給されるブリスタ成形シェルの複数または全部を検出することができるので、複数または全部のブリスタ成形シェルについて、それぞれのブリスタ成形シェルごとに少なくとも1つのトリガ信号を生成することができる。
【0027】
図2は、本発明による方法の好ましい実施形態を実施可能にセットアップされた包装印刷機の一実施形態の概略図である。ここでは、医薬品包装機である包装印刷機22によって、ブリスタ成形シェル24がブリスタフィルムでふさがれる。ブリスタ成形シェル24は、ウェブの各区域から形成されている。ブリスタフィルムは、ブリスタフィルムウェブ26として包装機22で処理される。ブリスタ成形シェル24とブリスタフィルムウェブ26は、シールローラ30と圧力ローラ32とを含むシール装置28へ供給される。シール装置28の作用、具体的には、シールローラ30の機械的な力の作用を利用して、ブリスタフィルムウェブ26はブリスタ成形シェル24と結合される。当初印刷されていないブリスタフィルムウェブ26は、ロール(巻き出し部34)から巻き出される。ブリスタフィルムウェブ26の動作は、シールローラ30の駆動装置および巻き出し部34の別の駆動装置によって行われる。いくつかのウェブガイドロールを介して、包装機22を通る経路に沿って、ブリスタフィルムウェブ26はまず、可動のダンサーローラ(両矢印によって動きが図示されている)を備える第1のダンサーシステム36を通過する。実質的に水平方向に延びるウェブ区域が、可動のダンサーローラ(同じく両矢印で動きが図示されている)を備える第2のダンサーシステム38の前にあり、ここでブリスタフィルムウェブ26は、印刷装置40によって、ブリスタ成形シェル24がふさがれた後に外面となる側に印刷を施される。
【0028】
この好ましい実施形態において、具体的には、印刷装置40はドロップオンデマンド技術に基づく単色のインクジェット印刷システムであってよい。この印刷システムは、それぞれ個別に制御可能な複数の吐出ノズルを有する複数のインクジェット印刷モジュールを含んでいる。それは、600dpiの解像度に達していて良い。印刷装置40、具体的には吐出ノズルは、印刷装置40の位置を変えることなくブリスタフィルムウェブ26への(搬送方向に対して垂直な横方向に)幅広い印刷が行えるように配置されている。
【0029】
センサ42によってブリスタ成形シェル24が検出され、それによって検出信号を制御ユニット44へ送ることができる。ブリスタフィルムウェブ26の区域へ印刷をするために、ブリスタ成形シェル24の存在または位置が検出される。特に印刷開始を指示する目的としての、印刷装置40の制御は、制御ユニット44で生成されるトリガパルスによって行われる。制御ユニット44では、検出信号に対してトリガ信号を遅らせても良い。原則として、センサ42は、ブリスタ成形シェル24のウェブに沿ったシールローラ30からの距離が、シールローラ30から印刷装置40までの、ブリスタフィルムウェブ26に沿った距離よりも大きいか、または等しくなるように配置されている。それにより、ブリスタフィルムウェブ26の区域へ印刷するためのトリガ信号を生成するために、当該区域によってふさがれるブリスタ成形シェル24が検出されることになる。しかしながら一般的には、一連のブリスタ成形シェル24の検出または検知に応じて、一連のトリガ信号が生成される。ブリスタ成形シェル24の長さのばらつきが許容可能な範囲内に収まっているという前提のもとで、ブリスタ成形シェル24のウェブに沿ったシールローラ30までの距離が、シールローラ30から印刷装置40までの、ブリスタフィルムウェブ26に沿った距離よりも短い位置で、検出を行うこともできる。これにより、ブリスタフィルムウェブ26の前回印刷された区域でふさがれるべきブリスタ成形シェル24に応じて、印刷開始が指示されることになる。本発明によると、ブリスタ成形シェル24をふさぐブリスタフィルムウェブ26の区域に合わせて、前述したように印刷が修正される。
【0030】
包装印刷機22に印刷システム40を統合するには、包装印刷機22から印刷システム40を十分良好に機械的に分離することが必要である。図2に示す構成では、シールローラ30の位置でのブリスタフィルムウェブ26の速度の測定は、規則的な時間間隔で生じる速度変化において、シール装置のサイクル式または周期的な作業によって引き起される大きな振幅を示す。本発明によると、シールローラから適切な間隔をおいた場所にあるセンサがブリスタ成形シェルを検出し、作用時間の範囲外において小さい速度変化または量的にわずかな速度変化が生じているときに検出信号が生成されることによって、本方法による精度の低下の影響が低減または除去される。すなわち、検出を乱して精度を下げる要因を回避するように、シール装置の周期的動作に関連づけて検出が行われ、特にシール装置の周期的動作に対して同相で検出が行われる。
【0031】
包装機40を通ってブリスタフィルムウェブ26の経路に沿った、印刷装置40のすぐ後方に配され、本実施形態ではUVランプを有するUV乾燥機46が設けられている。それにより、ブリスタフィルムウェブ26の印刷面がウェブ案内部材に接触することで、印刷の品質低下の虞が生じる前に、紫外線硬化可能なインクが乾かされる。
【0032】
さらに図示した実施形態では、測定装置48が第1のダンサーローラシステム38の運動を検出する。それにより、ダンサーローラシステム38に貯えられたウェブ区域の長さの変化に基づいて、シール装置28から印刷装置40の位置までの、ブリスタフィルムウェブ26に沿った距離の変化を、検出された運動から算出することができ、印刷装置40に対するトリガ信号のタイミングを、算出された距離の変化に応じて修正することができる。
【符号の説明】
【0033】
10 ブリスタフィルムウェブを供給するステップ
12 ブリスタ成形シェルを供給するステップ
14 ブリスタ成形シェルのうちの1つの位置を検出するステップ
16 少なくとも1つの検出信号を生成するステップ
18 トリガ信号を生成するすステップ
20 視覚情報を塗布するステップ
22 包装機
24 ブリスタ成形シェル
26 ブリスタフィルムウェブ
28 シール装置
30 シールローラ
32 圧力ローラ
34 巻き出し部
36 第1のダンサーシステム
38 第2のダンサーシステム
40 印刷装置
42 センサ
44 制御ユニット
46 UV乾燥機
48 測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブリスタ成形シェル(24)をブリスタフィルムによってふさぐ包装機(22)でブリスタフィルムウェブ(26)へ印刷する方法であって、
前記ブリスタフィルムウェブ(26)を第1の搬送システムによってシール装置(28)へ供給するステップと、
前記ブリスタ成形シェル(24)を第2の搬送システムによって前記シール装置(28)へ供給するステップと、
前記ブリスタ成形シェル(24)のうちの1つの位置を検出するステップと、
前記検出に応じて印刷装置(40)に対するトリガ信号を生成するステップと、
前記ブリスタフィルムウェブ(26)に沿った、前記シール装置(28)の前方の位置で、前記印刷装置(40)によって前記ブリスタフィルムウェブ(26)へ視覚情報を塗布するステップと、を有する、前記方法において、
前記ブリスタ成形シェル(24)をふさぐ前記シール装置(28)の作用時間と作用時間との間の1回または複数回のタイミングで、少なくとも1つの検出信号を生成するステップを有していることを特徴とする、包装機でブリスタフィルムウェブへ印刷する方法。
【請求項2】
前記印刷装置(40)はインクジェット印刷システムである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
紫外放射によって乾燥可能なインクが用いられ、前記インクジェット印刷システムで前記ブリスタフィルムウェブ(26)の一区域に塗布されたインクを、該区域が前記シール装置(28)へ達する前に乾かす、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ブリスタ成形シェル(24)が前記ブリスタフィルムウェブ(26)の一区域と結合されて前記ブリスタ成形シェル(24)がふさがれるように、前記シール装置(28)によって、前記ブリスタ成形シェル(24)および前記ブリスタフィルムウェブ(26)の該区域に作用させる、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
検出される前記ブリスタ成形シェル(24)の位置から前記シール装置(28)の位置までの、前記第2の搬送装置の経路に沿った距離は、前記印刷装置が前記ブリスタフィルムウェブ(26)へ印刷する位置から前記シール装置(28)の位置までの、前記ブリスタフィルムウェブ(26)に沿った距離と比べて、実質的に等しいまたは大きい、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記包装機(22)には、前記印刷装置(40)が前記ブリスタフィルムウェブ(26)へ印刷する位置と前記シール装置(28)の位置との間の、前記ブリスタフィルムウェブ(26)に沿った位置に、動作を分離するためのダンサーローラシステム(38)が配置されている、方法であって、
前記ダンサーローラシステム(38)の運動を検出し、前記シール装置(28)から前記印刷装置の位置までの、前記ブリスタフィルムウェブ(26)に沿った距離の変化を、検出された前記運動から算出し、算出した前記距離の変化に応じて前記印刷装置(40)に対するトリガ信号のタイミングを修正する、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
連続する検出信号同士の時間差を示す一連の時間差値を処理し、複数の該時間差値の少なくとも一部から平均値を算出し、算出された該平均値に基づいて生成されるトリガ信号によって前記印刷装置を制御する、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
物品を収容するための多数のシェル状の成形部をそれぞれ備えるブリスタ成形シェル(24)が用いられ、複数のシェル状の前記成形部の位置を検出する、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ブリスタ成形シェル(24)のシェル状の前記成形部の各々の検出結果からトリガ信号を生成する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
複数のシェル状の前記成形部の位置の検出結果をカウントし、所定の境界値を越えたときにトリガ信号を生成する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
検出結果の頻度または個々の検出結果の間の時間間隔を判定し、所定の境界値を越えたときにトリガ信号を生成する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記印刷装置によって行われた前記ブリスタフィルムウェブへの印刷をカメラで検出し、検出された画像を分析し、該分析の結果に応じて前記印刷装置に対するトリガパルスを生成する、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記シール装置(28)のシールローラ(30)に設けられたタイミングディスクが、ブリスタ成形シェル(24)の位置についての検出器として利用される、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−255984(P2009−255984A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89962(P2009−89962)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(390009232)ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト (347)
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
【住所又は居所原語表記】Kurfuersten−Anlage 52−60, Heidelberg, Germany
【Fターム(参考)】