説明

包装用ポリエステル物品を直接製造する方法及びそれから得られる物品

本発明は、包装用ポリエステル物品を直接製造する方法、特に中空体、熱成形シート及びフィルムを製造する方法であって、前記物品が10ppm未満の量のアセトアルデヒドを含有する方法に関する。この方法は、ポリマー溶融物中の末端基合計の初期レベルSEが、少なくとも1種の不活性物質、及び少なくとも1種の反応性物質の混合物を前記ポリマー溶融物に添加することにより第2レベルSEに増加するステップと、そのようにして得られたポリマー溶融物を直接所望の物品に変換する前に、取得済みのポリマー溶融物に本質的に真空を適用して、既存及び形成低分子量物質、先行ステップ中に添加された未反応の反応性物質並びに不活性物質を除去する脱気ステップとを本質的に含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、包装分野に関し、より特定すれば食品及び飲料の包装に関する。
【0002】
本発明は、溶融重縮合工程後に、そのままポリエステル溶融物を包装用物品に直接変換する方法、特に中空体、熱成形シート及びフィルムを製造する方法であって、前記物品が10ppm未満の量のアセトアルデヒドを含有する方法に関する。
【0003】
本発明は、本工程により得られる包装用物品も対象にする。
【0004】
中空体、熱成形シート及びフィルムのような、成形されたポリエチレンテレフタレート食品包装製品の製造のためのポリエステルの作製は、例えば、米国特許第4340721号明細書に詳細に記載されている。この特許の主な教示の要約は、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸及び/又はセバシン酸、及び/又はそれらのエステル形成誘導体のようなコモノマーの存在下のポリエステルの溶融相重縮合であり、前駆体溶融物の粒状物への変換が続く。アセトアルデヒド(以下、AAと称する)の含有量がより高く、0.55〜0.70dl/gの間の固有粘度(以下、IVと称する)を与えるこの粒状物は、公開された仏国追加特許公開第425、455号明細書に従った固相重縮合で処理され、固有粘度を0.65〜1.0dl/gの間の範囲に増加させ、アセトアルデヒドの含有量を1.25ppm未満に低減する。
【0005】
溶融相重縮合、固相重縮合、予備乾燥及び包装製品の成形を含む、この複数ステップ法の欠点を克服するために、工程の複雑さ、エネルギー消費、材料ロス及び投資コストを低減する多数の方法がすでに提案されている。
【0006】
米国特許第5656221号明細書は、重縮合反応器から排出された直後に、不活性ガスをポリエステル溶融物に導入し、溶融物中に均一に分配する、熱可塑性ポリエステル製の成形包装材料の直接製造法を記載している。この方法では、ガス導入口の直ぐ隣から、MDX6ナイロンのような低揮発度のアミド化合物が0.05〜1.0重量%、ポリエステル溶融物に添加される。最終的に、成形の直前にポリエステル溶融物は真空脱気される。
【0007】
米国特許第5656719号明細書は、ポリエチレンテレフタレート及び/又はそのコポリエステルの溶融物からボトル予備成形物を製造する方法を記載しており、前記方法は0.5〜0.75dl/gの間の固有粘度を有する重縮合からのポリエステル溶融物の連続流又は部分流への不活性ガスの選択的な導入を含み、次いで溶融物を溶融後段の重縮合反応器内で10ppm未満のアセトアルデヒド含有量にして、固有粘度を0.75〜0.95dl/gにし、その後溶融物を射出成形機に誘導し、溶融物を加工する。
【0008】
国際公開第97/31968号パンフレットは、a)少なくとも1種のグリコールと少なくとも1種のジカルボン酸を溶融反応させ、少なくとも約0.50dl/gのIVを有するポリエステルを形成するステップで、前記の少なくとも1種のグリコールは、10までの炭素原子を有するグリコール、及びその混合物からなる群から選択され、前記ジカルボン酸は、2〜16の炭素原子を有するアルキルジカルボン酸、8〜16の炭素原子を有するアリールジカルボン酸、及びその混合物からなる群から選択されるステップと、b)前記ポリエステルを、ステップa)から直接成形物品に形成するステップであって、ポリエステル物品を形成するための直接溶融物成形方法の前に真空脱気ステップを含んだステップとを含む方法を記載している。
【0009】
米国特許出願公開第2005/0161863号明細書は、高度に縮合したポリエステル溶融物からの成形品、並びに食品及び特に飲料容器の特にブロー成形用予備成形物を作製する方法を記載しており、溶融物は、重縮合反応器から連続して回収され、最終反応器と射出成形機の間で固化せず、及び最終反応器と射出成形機の間で脱気せずに、形状付与装置、特に多数の射出成形装置に供給される。ポリエステル溶融物のアセトアルデヒド含有量を低減させるため、前記溶融物が成形装置に入る前に、固体形状で又はスラリーとしてリン含有物質又はアセトアルデヒド低減物質又はこれらの物質の混合物を添加することが提案されている。
【0010】
これらの発明の教示は、重縮合反応器後のポリエステル溶融物への不活性ガスの注入、溶融物のパージ及びそれに続く真空脱気装置を適用する脱揮発成分、アセトアルデヒド捕捉物質の添加、又は両方の方法の組合せによるアセトアルデヒドの除去を含む。特に、最近十年の間に、低分子量のアセトアルデヒド捕捉剤が容器壁から移動する可能性を有することが発見されている。一方、MDX6ナイロンのような高分子量アセトアルデヒド捕捉剤又はそのオリゴマーは活性がより低く、その結果として適用濃度が多くなる。いずれの場合でも、アセトアルデヒド捕捉剤を使用すると付加的なコストがかかる。
【0011】
アセトアルデヒドはポリエステル溶融物中に、第1に遊離のアセトアルデヒドとして溶解しており、第2にビニルエステル末端基として化学的に結合している、2種の構造で存在することが知られている。ビニルエステル末端基は遊離OH末端基の脱水により選択的に生成することも知られている。
【0012】
遊離OH末端基数、及びこれと共に、溶融重縮合及びSSPで製造される最先端のボトル用PETの押出成形及び射出成形の間のアセトアルデヒドの再形成速度を低下させるため、米国特許第4361681号明細書は、溶融縮重合後から射出成形前の任意の時間に無水フタル酸又は無水コハク酸を添加することを提案している。この方法の欠点は、未反応の無水物が飲料容器の壁に存在することを避けるため、反応性がある無水物を正確な量で投入する必要があり、反応温度及び時間を正確に調整して、OH末端基と無水物の100%の転化率を保証せねばならないことである。
【0013】
米国特許出願公開第2005/0049391号明細書に記載されている、溶融重縮合の間のアセトアルデヒド含有量を低減する別の方法では、ビニルエステル末端基のアセトアルデヒドへの転化を触媒する、活性ビニルエステルのエステル交換触媒のような特別な触媒物質を添加し、ポリエステルを加熱し、ポリエステルからアセトアルデヒドを排出させることを提案している。これらのエステル交換触媒は、Ia族及びIIa族の金属からなる群から選択可能である。この方法の欠点は、ビニルエステル末端基の発生源となるOH末端基が低減されないことである。
【0014】
アセトアルデヒド捕捉剤のみならず、ガスパージや揮発分除去も遊離のアセトアルデヒドを除去するか吸収するだけである。アセトアルデヒド捕捉剤の欠点は、添加のコストが高く、潜在的に包装材壁から移動することである。二無水物の添加は、OH末端基を低減するが、未反応の二無水物が最終的な飲料壁に存在しないことを保証しない。
【0015】
ビニルエステル末端基を変換するエステル交換触媒の添加は、続くアセトアルデヒド再形成の発生源を低減するが、OH末端基の数を減らすことはないであろう。
【0016】
このため、前記製造方法の欠点がない、包装用ポリマーを所望の低アセトアルデヒド含有量で提供可能である、重縮合反応器から取り出されるポリエステル溶融物から包装用のポリエステルを直接製造する方法への要求が依然としてある。
【0017】
本発明の問題を、請求項1に記載されるような方法により解決する。
【0018】
特定の実施形態及び利点は、従属請求項に提示されている。
【0019】
本発明では、請求項10に記載されるような、低アセトアルデヒド含有量の包装用物品も提供する。
【0020】
本発明によれば、包装用ポリエステル物品、特に中空体、熱成形シート及びフィルムを直接製造する方法であって、前記物品が10ppm未満の量のアセトアルデヒドを含有する方法が提案されている。
【0021】
本発明による方法は本質的に以下のステップ、
a)テレフタル酸又はテレフタル酸ジメチル及びエチレングリコールの転化が、90重量%を超えることにより直接製造されるポリエチレンテレフタレートベースのポリマー溶融物を提供するステップであり、前記ポリマー溶融物が、縮重合反応器の出口で0.5dl/g〜0.90dl/gの範囲、好ましくは0.6〜0.7dl/gの間の固有粘度(IV)を有するステップと、
b)前記ポリマー溶融物に、少なくとも1種の不活性物質と少なくとも1種の反応性物質との混合物を添加するステップであって、前記反応性物質は−COOH及び/又は−OH及び/又は−COO−CH=CHのポリエステル末端基、並びに/或いはポリエステル鎖のエステル結合と反応することにより、加水分解及び/又は酸分解及び/又は加アルコール分解及び/又は加アンモニア分解及び/又はヒドラジン分解及び/又は酸分解と組み合わさった前記末端基への付加反応及び/又はこれらの反応の組合せを少なくとも部分的に起こし、それによりステップa)の終了時の初期レベルSEから本ステップの終了時の第1レベルSEに末端基合計を増加させるステップと、
c)真空度0.05〜800mbarの適用が本質である脱気ステップにポリマー溶融物を通し、部分的重縮合を起こすことによって、分子量≦500g/molの既存及び形成低分子量モノマー物質、先行ステップb)中に添加された未反応の反応性物質並びに不活性物質を、反応時間>1秒及び<3600秒の後に除去するステップであって、これにより前記第1レベルSEから第2の末端基合計レベルSEに、このステップの終了時に末端基合計を減少させるステップと、
d)取得済みのポリマー溶融物を直接、所望の物品に変換するステップと
を含む。
【0022】
本発明による工程のポリエステル溶融物は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、シクロヘキサンジメタノール、ピロメリット酸、トリメリット酸、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールにある群から選択されるコモノマーの1種又は混合物を10重量%まで含む。
【0023】
本発明の第1の特徴によれば、重縮合反応器出口のポリマー溶融物中に含有されるアセトアルデヒド又はAAの量は、1〜150ppmの間で含まれる。
【0024】
ステップb)の間の反応性物質の添加量は、この処理の後に末端基合計の第1レベルSEに達するのに十分であり、前記レベルがステップa)終了時のポリマー溶融物の末端基合計レベルSEと比較して、≧1%及び30%≦増加し、好ましくは≧4%及び8%≦増加する。
【0025】
前記反応性物質の添加の目的は、ビニルエステル末端基を除去し、ビニルエステル末端基の発生源である末端基の数を低減する内部洗浄法を提供することである。
【0026】
本発明によれば、ステップb)の間の縮重合反応器の後のポリマー溶融物への反応性物質又は物質の混合物の添加は、連続的に実施される。
【0027】
有利には、ステップb)の間に添加される前記反応性物質又は物質の混合物は、反応時間>1秒及び<3600秒以内に末端基と反応可能であり、及び/又はポリエステル鎖のエステル結合を終端することが可能である。
【0028】
別の特徴によれば、前記の添加された反応性物質又は物質の混合物は、ステップb)の間に不活性ガスキャリアーと共に適用され、前記不活性ガスは、好ましくは窒素、水素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、エタン、プロパン、ブタン、n−へキサン、シクロヘキサン又はこれらの物質からの混合物からなる群から選択される。
【0029】
本発明によれば、ステップb)の間に添加される反応性物質又は物質の混合物は
−加水分解のための水、及び/又は、
−加アルコール分解のための、好ましくはメタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールからなる群で選択される、少なくとも1種の単官能性又は多官能性アルコール、及び/又は、
−酸分解のための、好ましくはギ酸、酢酸及び/又はプロピオン酸である、少なくとも1種の単官能性又は多官能性炭酸、及び/又は、
−加アルコール分解及び酸分解の組合せのための、グリコール酸のような少なくとも1種のヒドロキシ炭酸、及び/又は、
−加アンモニア分解のための、アンモニア、モノメチルアミン、及びジメチルアミンのような少なくとも1種の一級、二級又は三級アミン又はこれらの混合物、及び/又は、
−ヒドラジン分解のための、ヒドラジン及び/又は1,1−ジメチルヒドラジンのようなその誘導体、及び/又は、
−ポリエステル溶融物内に存在している条件下で、前記反応性物質に崩壊する物質、好ましくは炭酸エチレン、炭酸プロピレン及び/又は酢酸メチル、及び/又は、
−第1ステップで、OH末端基とこれらの基のエンドキャッピング下で反応し、この反応から更なる酸分解のために、1個のOH末端基につき1分子の炭酸分子を供与する、好ましくは無水酢酸、無水イソ酪酸又は無水酪酸である少なくとも1種のモノカルボン酸の無水物、からなる群で選択され、
上記の反応性物質又は物質の混合物の凝集の条件は、液体及び/又はガス状の及び/又は超臨界性である。
【0030】
ステップb)の間に添加される反応性物質又は物質の混合物は、末端基合計数の増加、及び/又は部分的なポリマー鎖の破壊、及び/又はエンドキャッピング下でのOH末端基との反応、及び/又はビニルエステル末端基の交換が可能である。
【0031】
本発明の別の特徴によれば、ステップc)で実施される脱気ステップは、0.05ミリバール〜800ミリバール、好ましくは0.1〜10ミリバールの間の環境内で実施され、前記の添加された不活性物質、過剰量の可能性がある反応性物質、ポリエステル製造の間に起こる可能性がある、前記の反応性化合物により起こる分解生成物、及び通常の分裂生成物及び副生成物を除去し、前記脱気ステップの後のポリマー溶融物の末端基合計SEが前記脱気ステップの始めに存在する末端基レベルSEと等しいか小さい。
【0032】
真空脱気で分子量向上が達成されない場合は、SEはSEと等しくなることができる。
【0033】
例として、ポリマー溶融物を、例えば二軸又は多軸押出機又はらせん状反応器のような装置に入れ、溶融物を真空環境を含む脱気ゾーンに分配し暴露して、上記に示したような非反応の不活性物質、過剰量の反応性物質、前記反応性物質により引き起こされる上記の分解生成物、及び通常の分裂生成物及び副生成物を除去する。
【0034】
好ましくは、ポリマー溶融物中の末端基合計レベルは
SE<SE及び、SE<SE、及びSE<1.3SEを満足し、
式中、SE=ステップa)終了時の末端基合計レベル
SE=ステップb)終了時の末端基合計レベル
SE=ステップc)終了時の末端基合計レベル
である。
【0035】
有利には、前記ステップb)は、着色剤、安定剤、アセトアルデヒド捕捉剤、酸素捕捉剤、UV吸収剤、蛍光増白剤、帯電防止剤及び/又は表面改質剤のような通常の添加剤のための少なくとも1種の投入システムの操作により実行される。
【0036】
これらのシステムは当業者には良く知られており、ここで、これ以上詳しく述べる必要はない。脱気装置から出た後、ポリエステル溶融物は、予備成形物、ボトル又はキャストフィルムのような包装用の所望の物品に直ちに変換される。
【0037】
本発明は、10ppm未満のアセトアルデヒド含有量を有する、包装用ポリエステル物品、特に中空体、とりわけボトル、熱成形シート及びフィルム、とりわけキャストフィルムであって、これらが本発明による方法により得られるという事実を特徴とするポリエステル物品を包含する。
【0038】
本発明によれば、前記脱気装置は、普通に使用される投入システムを含むことができ、前記投入システムは、ポリマー溶融物に対して通常に適用される着色剤、安定剤、アセトアルデヒド捕捉剤、酸素捕捉剤、UV吸収剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、表面改質を供給する。これらのシステムは、当業者には良く知られており、ここで、これ以上詳しく述べる必要はない。脱気装置から出た後、ポリエステル溶融物は、予備成形物、ボトル及びキャストフィルムに直ちに変換される。
【0039】
本発明は、その制限的な例として与えられる、前記発明の好ましい実施形態の以下の説明及び図面により、更に深く理解されよう。
【0040】
この特異な図は、本発明による方法の概略的な機能の表現である。
【0041】
前記図に示すように、ペースト調製、エステル化、予備重縮合の操作が実施可能で、テレフタル酸、モノエチレングリコール及びイソフタル酸を下記仕様のベース樹脂に転化可能な(溶融物仕上げ機又は反応器1の出口で)、日産量220tの、ボトルグレードのポリエステル溶融物の最先端の縮重合プラント又は反応器1を選択した。
IV: 0.65dl/g
DEG(ジエチレングリコール): 1.2重量%
IPA(イソフタル酸): 1.5重量%
アセトアルデヒド 20ppm
溶融物中のCOOH末端基 26mequ/kg
色調L、a、b(C−Lab) 85/−1.2/−3
DSC Tg=79℃、Tk=151℃、
Tm=251℃
溶融物出口温度 281℃
【0042】
固有粘度IVを以下の条件で測定する。ポリエステル0.5gをフェノール及び1,2−ジクロロベンゼン(3:2重量部)からなる溶媒0.1lに溶解し、ウベローデ法を適用して、この溶液の相対粘度を25℃で分析する。0%へ外挿した相対粘度から、固有粘度を計算する。
【0043】
カルボキシル末端基(−COOH)を以下の方法で分析する。
【0044】
ポリエステルを、加熱しながら、70重量%のo−クレゾールとクロロホルム(70:30重量部)からなる溶媒に溶解し、ブロモチモールブルーに対する0.05nのエタノール性水酸化カリウムを用いて−COOH基の含有量を測光的に決定する。
【0045】
アセトアルデヒドを以下のように分析する。
【0046】
PET包装材(樹脂、予備成形物、ボトル)中の残留AA分析は、密閉バイアル内で粉砕した材料を高温で加熱することによって生成されるヘッドスペースGC−水素炎イオン化検出器により実施される。
【0047】
測定を仏国厚生省により定められた、XP T90−210標準のAFNOR法(参考文献DGS/PGE/1.D.−n°1526(1999、12月)により実施する。
【0048】
図1に示すように、溶融物をカッターに導く主溶融物パイプを、約500kg/hの溶融物を直接予備成形法に供給する計量ポンプを備えた出口に接続した。不活性物質貯蔵器2及び反応性物質貯蔵器3からの、及び前記パイプへの適用した供給手段(表示せず)による反応性物質と不活性物質の添加を、表1に示した数量に従って実行する。溶融物パイプ4へ反応性及び不活性物質を供給した後、14の要素を含む静的混合塔5が前記の添加された物質を均一に分配する。混合塔5における60秒の滞留時間の後、溶融物は、真空装置7から適用される真空が任意の望ましくない揮発性不活性物質8、残留反応性物質9及び/又はアセトアルデヒドやエチレングリコールのような通常のポリエステル製造の副生成物10を除去する多軸押出機6に入る。脱気装置の役割をする前記多軸6からの溶融物は、直ちに成形機11に供給され、成形物品12に変換される。
【0049】
表1に、従来の予備成形物である包装用のポリエステル物品に関する実施例1〜7及び比較例V1〜V2の結果を記載する。
【表1】

【0050】
表1の全ての実施例は、同一のSE=26mequ/kgを有する。
【0051】
表1から明確に分かるように、本発明の予備成形物は、比較例V1及びV2の予備成形物に比べて、最低で1/5まで低いAAを含む。
【0052】
本発明は、当然ながら、本明細書で説明して表現した好ましい実施形態に限られることはなく、請求項により規定された本発明の範囲から逸脱することなく、変更は可能であり、又等価物は使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明による方法の概略的な機能の表現である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装用ポリエステル物品、特に中空体、熱成形シート及びフィルムを直接製造する方法であって、前記物品は10ppm未満の量のアセトアルデヒドを含有し、前記方法は本質的に以下のステップ、
a)テレフタル酸又はテレフタル酸ジメチル及びエチレングリコールの転化が、90重量%を超えることにより直接製造されるポリエチレンテレフタレートベースのポリマー溶融物を提供するステップであり、前記ポリマー溶融物が、縮重合反応器の出口で0.5dl/g〜0.90dl/gの範囲、好ましくは0.6〜0.7dl/gの間の固有粘度(IV)を有するステップと、
b)前記ポリマー溶融物に、少なくとも1種の不活性物質と少なくとも1種の反応性物質との混合物を添加するステップであって、前記反応性物質は−COOH及び/又は−OH及び/又は−COO−CH=CHのポリエステル末端基、並びに/或いはポリエステル鎖のエステル結合と反応することにより、加水分解及び/又は酸分解及び/又は加アルコール分解及び/又は加アンモニア分解及び/又はヒドラジン分解及び/又は酸分解と組み合わさった前記末端基への付加反応及び/又はこれらの反応の組合せを少なくとも部分的に起こし、それによりステップa)の終了時の初期レベルSEから本ステップの終了時の第1レベルSEに末端基合計を増加させるステップと、
c)真空度0.05〜800mbarの適用が本質である脱気ステップにポリマー溶融物を通し、部分的重縮合を起こすことによって、分子量≦500g/molの既存及び形成低分子量モノマー物質、先行ステップb)中に添加された未反応の反応性物質並びに不活性物質を、反応時間>1秒及び<3600秒の後に除去するステップであって、これにより前記第1レベルSEから第2の末端基合計レベルSEに、このステップの終了時に末端基合計を減少させるステップと、
d)取得済みのポリマー溶融物を直接、所望の物品に変換するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記ポリエステル溶融物が、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、シクロヘキサンジメタノール、ピロメリット酸、トリメリット酸、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールにある群から選択されるコモノマーの1種又は混合物を10重量%まで含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
重縮合反応器出口のポリマー溶融物中に含有されるアセトアルデヒド量が、1〜150ppmの間で含まれる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップb)の間の反応性物質の添加量が、この処理の後に末端基合計の第1レベルSEに達するのに十分であり、前記レベルが、ステップa)終了時のポリマー溶融物の末端基合計レベルSEと比較して、≧1%及び30%≦増加し、好ましくは≧4%及び8%≦増加する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップb)の間の縮重合反応器の後のポリマー溶融物への反応性物質又は物質の混合物の添加が、連続的に実施される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記添加された反応性物質又は反応性物質の混合物が、ステップb)の間に不活性ガスキャリアーと共に適用され、前記不活性ガスキャリアーが、好ましくは、窒素、水素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、エタン、プロパン、ブタン、n−へキサン、シクロヘキサン又はこれらの物質からの混合物からなる群で選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップb)の間に添加される反応性物質又は物質の混合物が
−加水分解のための水、及び/又は、
−加アルコール分解のための、好ましくはメタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールからなる群で選択される、少なくとも1種の単官能性又は多官能性アルコール、及び/又は、
−酸分解のための、好ましくはギ酸、酢酸及び/又はプロピオン酸である、少なくとも1種の単官能性又は多官能性炭酸、及び/又は、
−加アルコール分解及び酸分解の組合せのための、グリコール酸のような少なくとも1種のヒドロキシ炭酸、及び/又は、
−加アンモニア分解のための、アンモニア、モノメチルアミン、及びジメチルアミンのような少なくとも1種の一級、二級又は三級アミン又はこれらの混合物、及び/又は
−ヒドラジン分解のための、ヒドラジン及び/又は1,1−ジメチルヒドラジンのようなその誘導体、及び/又は、
−ポリエステル溶融物内に存在している条件下で、前記反応性物質に崩壊する物質、好ましくは炭酸エチレン、炭酸プロピレン及び/又は酢酸メチル、及び/又は、
−第1ステップで、OH末端基とこれらの基のエンドキャッピング下で反応し、この反応から更なる酸分解のために、1個のOH末端基につき1分子の炭酸分子を供与する、好ましくは無水酢酸、無水イソ酪酸又は無水酪酸である少なくとも1種のモノカルボン酸の無水物、からなる群で選択され、
上記の反応性物質又は物質の混合物の凝集の条件は、液体及び/又はガス状の及び/又は超臨界性である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップc)で実施される脱気ステップが、0.1〜10ミリバールの環境内で実施される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ポリマー溶融物中の末端基合計レベルが、
SE<SE及び、SE<SE、及びSE<1.3SEを満足し、
式中、SE=ステップa)終了時の末端基合計レベル
SE=ステップb)終了時の末端基合計レベル
SE=ステップc)終了時の末端基合計レベル
である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
10ppm未満のアセトアルデヒド含有量を有し、特に中空体、とりわけボトル、熱成形シート及びフィルム、とりわけキャストフィルムであって、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法により得られるという事実を特徴とする包装用ポリエステル物品。

【図1】
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【公表番号】特表2009−532515(P2009−532515A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502083(P2009−502083)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052999
【国際公開番号】WO2007/110443
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(504143016)ネスレ ウォーターズ マネッジメント アンド テクノロジー (5)
【Fターム(参考)】