説明

包装用容器及び包装食品

【課題】本発明は、プラスチック材料の使用量の低減を図りつつ不正行為の防止に有効な包装用容器と包装食品との提供を課題としている。
【解決手段】前記課題を解決すべく、傾斜面部などを有する蓋体と、外周縁からの高さが角部に相当する箇所の方が四辺中央部に相当する箇所よりも高くなるように形成された鍔部などを有する容器本体とを備えた包装用容器を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体と該容器本体に外嵌される蓋体とを有する包装用容器、及び該包装用容器によって食品が包装されてなる包装食品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品を包装するための包装用容器として、合成樹脂シートを熱成形した容器が知られている。この合成樹脂シートを熱成形した容器は、軽量でありながらも優れた強度を有し、使用するプラスチック材料の使用量をできるだけ削減して包装を簡素化するという要望に適した包装用容器であるといえる。
このような合成樹脂シートを熱成形した包装用容器としては、容器本体に蓋体を外嵌させるように形成された外嵌合方式の容器が知られている(例えば、下記特許文献1)。
このような外嵌合容器は、蓋体を容器本体に嵌合させやすく、蓋体が不用意に外れるおそれが低減されつつも、蓋体を外す意図を持って操作した際に蓋体を容易に外すことができる優れた容器であり、このような包装用容器に食品が収容された包装食品がコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの店頭に陳列されて販売されている。
【0003】
一方で、このような外嵌合方式の包装用容器は、店頭などにおいて蓋体と容器本体との間に指を差し入れるなどして内部に収容されている食品に悪戯やその他の不正行為がなされるおそれを有している。
このような不正行為を防止するために、食品を容器本体に収容して蓋体を外嵌させた後に、さらに、全体をラップフィルムなどで包み込むことが行われている。
上述のように包装用容器あるいは包装食品には、包装を簡素化することが従来求められており、全体をラップフィルムなどで包み込む構成ではこのような要望を満足させることが困難である。
【0004】
【特許文献1】特開平10−338254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑み、プラスチック材料の使用量の低減を図りつつ不正行為の防止に有効な包装用容器と包装食品との提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための包装用容器にかかる本発明は、上端に食品を収容するための開口が形成された容器本体と、該容器本体に上側から外嵌される蓋体とが備えられ、容器本体は、底部と該底部の外周から起立して前記開口を画定する周壁と、該周壁の上端部から外方に向けて延出した鍔部とを備え、蓋体が鍔部の外周縁全周を覆った状態で容器本体に固定されるべく、蓋体の外周部には、容器本体に外嵌された際に、その下端縁が鍔部の外周縁よりも下方にまで垂下する垂下部が形成されており、該垂下部に鍔部と係合可能な係合凸部が形成されている包装用容器であって、蓋体が、その中央部を外周部よりも上側に突出させており、外周部から中央部に向けて傾斜する傾斜面部を有するとともに該傾斜面部よりも内側に凹入している凹入部を有し、容器本体の前記開口が上面視略矩形状に形成され、蓋体を容器本体に外嵌させた際に、傾斜面部が前記開口の輪郭をなす四辺の内の少なくとも対向する一対の辺の中央部に位置し且つその外端縁を前記開口よりも外側に位置させ、凹入部が開口の角部に相当する箇所と前記傾斜面部との間に位置し、その下端縁を開口の内側且つ周壁の上端縁よりも下方に位置させて垂下部との間に鍔部を挟む状態となるように形成されており、しかも、前記鍔部は、その外周縁からの高さが、開口の四辺中央部に相当する箇所よりも角部に相当する箇所の方が高くなるように形成されていることを特徴としている。
【0007】
また、包装食品に係る本発明は、上記のような包装用容器によって食品が包装されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
上面視略矩形状の開口を有する容器本体に対して、蓋体を外嵌させた際には、通常、開口の輪郭をなす四辺の中央部に相当する箇所に不正操作のための隙間を形成させやすくなるが、本発明の包装用容器においては、従来隙間が形成されやすかった当該辺中央部において蓋体に傾斜面部が形成されており、しかも、その外端縁を開口よりも外側に位置させるように前記傾斜面部が形成されていることから、この傾斜面部をテープ止めに利用することで、不正行為を防止することができる。
このことを特許文献1記載の包装用容器を例にして、より具体的に説明すると、この特許文献1において図示されているような、天井壁の外周部から容器本体の開口縁に向けてほぼ垂直に垂下する周側壁が設けられている包装用容器においては、蓋体を容器本体に外嵌させた状態で締着テープを巻回させると締着テープが天面の外周縁と外折れ部の上端縁とを結ぶ直線状態に配されて周側壁と締着テープとが殆ど接触されず締着テープによる規制を周側壁に有効に作用させることが困難である。このことは、粘着テープの一端部を周壁や天面に接着させ、他端部を容器本体に接着させる場合も同様である。
【0009】
一方で、本発明においては、テープ止めされる箇所が傾斜しており、しかも、外端縁を開口よりも外側に位置させていることからテープ材と蓋体との間における隙間の形成を抑制しつつ蓋体を容器本体にテープ止めすることができる。
したがって、辺中央部において、蓋体を外したり、変形させたりすることによる隙間の形成がテープ止めによって防止されることとなる。
【0010】
また、本発明の包装用容器は、鍔部の外周縁からの高さが、開口の四辺中央部に相当する箇所よりも角部に相当する箇所の方が高くなるように形成されている。
すなわち、収容させた食品に通じる隙間を形成させようとした場合に蓋体の角部をより高い位置まで持ち上げなければならないようにして不正操作の実施をより困難にさせている。
より詳しく説明すると、通常、角部に相当する箇所は、辺中央部に相当する箇所よりも不正操作が行われ難い箇所ではあるが、本発明においては、この角部における鍔部の高さが高く形成されていることにより、隙間を形成させるために必要となる蓋体又は容器本体の変形量を増大させて容器本体に収容させた食品に外部から不正な操作がなされるおそれを低減させている。
【0011】
さらには、本発明の包装用容器は、蓋体に傾斜面部よりも内側に凹入した凹入部が形成されており、該凹入部が蓋体を容器本体に外嵌させた際に、その下端縁を開口の内側且つ周壁の上端縁よりも下方に位置させて垂下部との間に鍔部を挟む状態となるように形成されている。
したがって、この凹入部が形成されている箇所においても隙間形成が規制され不正操作が抑制されることとなる。
【0012】
以上のように、辺中央部、角部、及び辺中央部と角部との間において不正行為のための隙間形成が防止されることとなる。
しかも、この不正行為の防止が傾斜面部のテープ止めなどによって実施可能であることから全体をラップフィルムなどで包み込むような場合に比べてプラスチック材料の使用量の低減を図ることができる。
【0013】
すなわち、本発明によれば、プラスチック材料の使用量の低減を図りつつ不正行為の防止に有効な包装用容器と包装食品とを提供しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の好ましい実施の形態について図を例示しつつ説明する。
図1及び図2は、本実施形態の包装用容器を構成する容器本体と蓋体との上面図であり、図3は、これらを組み合わせて用いる様子を示した斜視図である。
【0015】
この図にも示されているように、本実施形態に係る包装用容器1は、上端に食品を収容するための開口100が形成された容器本体10と、容器本体10に上側から外嵌される蓋体20とを備えている。
【0016】
本実施形態に係る容器本体10は、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂を単独又は2種以上混合したものを発泡状態又は非発泡状態となるようにシート化した合成樹脂シートが用いられて形成されており、該合成樹脂シートを用いた熱成形法によって成形されたものである。また、本実施形態に係る容器本体10は、上記樹脂等に加えてタルク、炭酸カルシウム等の無機化合物が含有されている樹脂組成物をシート化した合成樹脂シートを用いることもできる。ここで、熱成形法とは、熱可塑性樹脂シートを加熱して軟化させた状態で、所定形状に熱成形して冷却することで成形品を形成する製法で、例えば、真空成形や圧空成形、真空圧空成形等を含む概念である。従って、本実施形態の容器本体10は、合成樹脂シートを加熱しつつ真空や圧空、或いはこれらの組み合わせで金型に押し付け、該合成樹脂シートを少なくとも一方の面側の形状となるように成形させた後に冷却し、成形された周囲を切断する(打ち抜く)ことで作製される。
【0017】
そして、本実施形態に係る容器本体10は、底部101と、該底部101の外周から起立して前記開口100を画定する周壁102と、該周壁102の上端部から外方に向けて延出した鍔部103とを備えている。
【0018】
本実施形態に係る底部101は、内部を仕切るための仕切用リブ101aを隆起させている点を除いて平坦に形成されており、その外縁は、上面視略矩形状に形成されており、より詳しくは、角部に切欠が設けられた長方形に形成されている。これに伴い、周壁102は、底部101に対応して角筒状に形成されている。本実施形態に周壁102は、内部空間が下端から上端に向けて拡大するようにテーパー状に形成されている。より具体的には、本実施形態に係る容器本体10の周壁102は、上下方向に延びる中心線(図示しない)に対して外側に所定角度で傾斜し、下端から上方に向けて内部空間を拡大させる第一拡大部102aと、第一拡大部102aの上端縁よりもわずかに外側に延出した後に、その地点から垂直(前記中心線に対して平行)に起立する第二拡大部102bとで構成されており、第一拡大部102aと第二拡大部102bとが連続するように形成されている。
そして、第一拡大部102aが角部に切欠が設けられた長方形であったのに対して、この第二拡大部102bの上面視における形状は、角部に丸みが設けられた長方形となっており、この第二拡大部102bの上端縁によって略矩形状に前記開口100が画定されている。
また、第一拡大部102aにおける底部101から上端縁までの高さは周方向に略均一であるのに対して、第二拡大部102bの上端縁までの高さは開口100の角部に相当する箇所(Ca1,Ca2,Ca3,Ca4)の方が、開口100の輪郭をなす四辺の中央部に相当する箇所(La1,La2,La3,La4)よりも高くなるように形成されている。
【0019】
本実施形態に係る鍔部103は、周壁102の上端全周に亘って連続的に形成されている。これにより、鍔部103は、上面視環形状に形成されている。また、この鍔部13が、角部に丸みが設けられた長方形の開口100を囲む状態に形成されることによって本実施形態に係る容器本体10は、開口100の四つの角部に相当する箇所(Ca1,Ca2,Ca3,Ca4)が丸みをもって形成されており、開口100の四辺中央部に相当する箇所(La1,La2,La3,La4)が直線的に形成されている。
本実施形態に係る鍔部103は、図4(図1におけるX−X線断面図)に示すごとく、周壁102の上端(開口100の外縁)から外方に延出した開口縁部104と、該開口縁部104の外周から垂下した鍔垂下部105とを備えている。
【0020】
前記鍔垂下部105は、開口縁部104の外縁から周壁102の第一拡大部102aの上端よりもわずかに上側となる位置まで垂下する第一鍔垂下部105aと、該第一鍔垂下部105aの下端縁からわずかに外側の地点から第一拡大部102aの上端と底部101からの高さが略同等となる位置まで垂下する第二鍔垂下部105bと、該第二鍔垂下部105bの下端部から外方に延出し、その延出方向先端部が鍔部103の外周縁を画成する鍔外縁部106とを備えており、本実施形態に係る鍔部103は、第一鍔垂下部105aと、その下端縁から第二鍔垂下部105bの上端縁まで外側に延出する部分と、第二鍔垂下部105bと、鍔外縁部106とが連続するように形成されている。
【0021】
前記鍔外縁部106は、第二鍔垂下部105bから外側に延出する長さが全周において略均一となるように形成されており、このことによって当該鍔外縁部106の先端部によって画成される容器本体10の上面視における輪郭が開口100に相似する角部に丸みを持たせた長方形となっている。
また、前記鍔外縁部106は、底部101からの高さが周方向に略均一となるように形成されており、上述の如く、第二拡大部102bの底部101からの高さが辺中央部(La1,La2,La3,La4)よりも角部(Ca1,Ca2,Ca3,Ca4)の方が高くなるように形成されている。すなわち、鍔部103は、図4、図5(図1におけるY−Y線断面図)に示す如く、その外周縁からの高さが、開口100の四辺中央部(La,La2,La3,La4)よりも角部(Ca1,Ca2,Ca3,Ca4)の方が高くなるように形成されている。
【0022】
より具体的には、鍔外縁部106からの高さは、四つの角部(Ca1,Ca2,Ca3,Ca4)の高さ(図3の「h1」)が最も高くなり、四辺中央部(La1,La2,La3,La4)の高さ(図3の「h2」)が最も低くなっている。しかも、これら四つの角部と四辺中央部とはそれぞれ略同一高さとなるように形成されている。
また、本実施形態に係る鍔部103は、この四つの角部の内の一つの角部から、該角部に隣接する角部にいたる区間において、一旦なだらかな曲線状にその高さを低下させ、中間地点を最低点として、次いで曲線状に高さを上昇させる形状を有しており、この区間における稜線の側面視形状が略懸垂線形状となっている。
さらに、前記第一鍔垂下部105aが下端部においてやや外向きに傾斜して垂下されていることから、該第一鍔垂下部105aと第二拡大部102bとの間を形成している開口縁部104は、角部において狭幅となり、辺中央部において広幅となるように形成されている。
【0023】
なお、本実施形態に係る容器本体10は、上述の如く、合成樹脂シートを用いた熱成形法によって成形されたものであるので、合成樹脂シートに容器本体の各部形状を形成させた後に、その外周を、余裕代を残して打ち抜くことによって形成することができ該余裕代をそのまま残存させることによって鍔外縁部106とすることができる。
【0024】
本実施形態に係る蓋体20も容器本体10同様に合成樹脂シートを用いて、容器本体10と同様に熱成形法によって成形されたものが用いられており、透明な合成樹脂シートが用いられて形成されている。従って、本実施形態の蓋体20についても、容器本体10と同様に合成樹脂シートを加熱しつつ真空や圧空、或いはこれらの組み合わせで金型に押し付け、該合成樹脂シートを少なくとも一方の面側の形状(以下に説明する形態)となるように成形させた後に冷却し、成形された周囲を切断する(打ち抜く)ことで作製されうる。
【0025】
ここで、蓋体20を成形するための透明の合成樹脂シートとしては、厚みが、通常、0.1mm以上、2.0mm以下のものでポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、等を単独、又は、任意比率で複数混合した熱可塑性樹脂を用いて形成されたものを採用することができる。
更に、蓋体20としての特性を調整するための配合原料が熱可塑性樹脂に併用されて形成された合成樹脂シートを用いることも可能であり、この配合原料としては、充填材や相溶化剤、添加剤、着色料等を単独、又は複数混合して使用することができる。
【0026】
そして、本実施形態に係る蓋体20は、上記熱成形法によって成形されることにより、外面側と内面側とが対応した形態となっている。すなわち、蓋体20は、外面側が突出した形状になる一方で、内面側が窪んだ形状に形成されている。
【0027】
具体的には、蓋体20は、図2、3に示す如く、容器本体10の開口100と対向する蓋本体部200と、蓋本体部200の外周から外方に向けて形成され、前記鍔部103上に載置可能な延出部201とを備えている。
【0028】
前記蓋本体部200は、本実施形態においては、容器本体10の底部101よりも小さなサイズで該底部101と略相似形に形成された天部200aと、該天部200aの外周から外向きに広がった状態で垂下する蓋壁部200bとで構成されており、該蓋壁部200bの下端縁(外端縁)に連続して前記延出部201が形成されている。
すなわち、本実施形態に係る蓋体20は、容器本体1に外嵌させた際には、その平面方向中央部に形成されている天部200aが、その外周部に形成されている延出部201よりも上側に位置するように形成されており、中央部を外周部よりも上側に突出させた状態に形成されている。
【0029】
前記天部200aは、上述の如く、容器本体10の底部101と略相似形に形成されるため、本実施形態においては上面視略矩形状に形成されている。
そして、本実施形態に係る前記延出部201は、蓋壁部200bの下端から外方に延出している。該延出部201は、蓋壁部200bの下端全周に亘って連続するように形成されている。すなわち、該延出部201は、上面視における形状が、容器本体10の鍔部103と略同一の環状となっており、前記鍔部103における角部(Ca1,Ca2,Ca3,Ca4)に相当する該延出部201の角部(Cb1,Cb2,Cb3,Cb4)が丸みを帯びた状態に形成されており、この角部の間の辺中央部(Lb1,Lb2,Lb3,Lb4)が直線状となるように形成されている。
【0030】
前記蓋壁部200bは、天部200aの矩形状の輪郭線における四辺の各中央部から延出部201に向けて延びる傾斜面部200b1を有しており、この傾斜面部200b1の両脇、すなわち、天部200aの矩形状の輪郭線における四辺の各中央部と角部との間から延出部201にかけての領域を前記傾斜面部200b1よりも内側に凹入させている。
このことによって蓋壁部200bには、延出部201から所定の仰角で天部200aに向けて傾斜する傾斜面部200b1が4面形成されており、各傾斜面部200b1の両側計8箇所に、傾斜面部200b1よりも内側に凹入する凹入部200b2が形成されている。
【0031】
前記傾斜面部200b1は、その外端縁200b1a(下端縁)を凹入部200b2の外端縁よりも外側に膨出させて形成されている。
すなわち、上述のように、本実施形態に係る延出部201の上面視形状は、容器本体10の鍔部103と略同一の環形状となっているものの鍔部103の内周縁が開口100の輪郭を形成している一方で、延出部201の内周縁は、傾斜面部200b1との境界部において開口100よりも外側を通る輪郭が形成されている。
したがって、図6に示すように本実施形態の蓋体20を容器本体10に外嵌させた際には、前記傾斜面部200b1が前記開口100の輪郭をなす四辺の中央部に位置し、且つ、図7(図6におけるA−A線断面図)にも示すように、その外端縁200b1aを前記開口100よりも外側の鍔部103の上側に位置させることになる。
なお、延出部201は、この傾斜面部200b1以外の箇所においては、内周縁を開口100に沿わせた状態となっている。
【0032】
前記凹入部200b2は、本実施形態の蓋体20を容器本体10に外嵌させた際に、図6、及び図8(図6におけるB−B線断面図)に示されているように、前記鍔部103における開口100の角部に相当する箇所(Ca1,Ca2,Ca3,Ca4)と前記傾斜面部200b1が位置する辺中央部に相当する箇所(La1,La2,La3,La4)との間に配置され、しかも、その下端縁200b2aを開口100の内側且つ周壁102の上端縁よりも下方に位置させるように形成されている。
【0033】
前記延出部201は、上述のように鍔部103上に載置可能に形成されており、蓋壁部200bの下端から外方に延出し開口縁部104上に載置される蓋本体縁部201aと、蓋本体縁部201aの外周から垂下する垂下部とを有している。
そして、該垂下部は、蓋本体縁部201aの外周から下方に向けて延出するように形成されている。該垂下部は、外周全周に亘って連続するように無端環状に形成されており、後述する係合凸部201f1以外の殆どの部位が鍔部103の外周に対して僅かな隙間を形成した状態、或いは、鍔部103の外周に対して摺接した状態で、鍔部103の外周縁全周を覆うように鍔部103に外嵌できるように設計寸法が設定されている。
【0034】
該垂下部は、蓋本体縁部201aに連続してその外周から垂下し、第一鍔垂下部105aを外側から包囲可能に垂下する第一蓋垂下部201bと、該第一蓋垂下部201bの下端から外方に延出した第一拡張部201cと、該第一拡張部201cの外周から第二鍔垂下部105bを外側から包囲可能に垂下された第二蓋垂下部201dと、該第二蓋垂下部201dの下端から外方に延出し鍔外縁部106上に載置される第二拡張部201eと、該第二拡張部201eの外周からその下端部を鍔外縁部106よりも下方に垂下させ得るように形成された第三蓋垂下部201fと、第三蓋垂下部201fの下端から外方に延出し、その延出方向先端部により蓋体20の外縁を画成する蓋外縁部201gとを有している。
【0035】
本実施形態に係る蓋体20は、容器本体10と同様に合成樹脂シートを用いた熱成形法によって成形されたものであるので、この蓋外縁部201gも鍔外縁部106と同様にして形成することができ、打ち抜き時の余裕代を蓋外縁部201gとすることができる。
なお、該蓋外縁部201gを、上述の如く余裕代とする場合には、打ち抜きによってその外端縁が切断されることから、蓋外縁部201gの先端部が鋭利に形成されやすい。したがって、包装用容器1の取り扱い時に指先を傷つけてしまうおそれを抑制すべく、蓋外縁部201g全体、又は、少なくともその外端縁を上下方向に波打つ状態となるように形成させることが好ましい。形成させる波形状は、特に限定されず、矩形波、三角波、正弦波などから適宜選択することができ、波ピッチは、0.3〜3mm程度とすることが好適である。この余裕代の波形状は、合成樹脂シートを熱成形することによって形成させることができる。
また、このような上下方向の波打ち形状は、容器本体10の外周縁に設けた場合においても蓋体20に設けた場合と同様の効果を奏し、包装用容器1の取り扱い時に指先を傷つけるおそれを抑制させることができる。
【0036】
前記第三蓋垂下部201fには、蓋体20の四つの角部(Cb1,Cb2,Cb3,Cb4)に位置する箇所にそれぞれ周方向に所定長さとなるように2箇所ずつ係合凸部201f1が形成されているとともに、四辺中央部(Lb1,Lb2,Lb3,Lb4)にそれぞれ1箇所ずつ係合凸部201f1が形成されている。
該係合凸部201f1は、第三蓋垂下部201fをなす合成樹脂シートを内側に向けて突出させて形成されており、蓋体20を容器本体10に上方から外嵌させる際に第二鍔垂下部105bの外周に対向しつつ下方に移動し、鍔外縁部106を乗り越えて該鍔外縁部106と係合して蓋体20が容器本体10から不用意に外れない状態となるように設けられている。
また、蓋体20を容器本体10に外嵌させた際には、図8に示すように、前記凹入部200b2が、その下端縁を開口100の内側且つ周壁102の上端縁よりも下方に位置させることから、凹入部200b2の外端部が第二拡張部201eの表面に当接されるとともに、垂下部が鍔部103に外周側から当接されることから、凹入部200b2と垂下部とによってそれらの間に鍔部103を挟んだ状態となって、当該箇所においても不用意な力の作用によって蓋体20が容器本体10から外れ難いように形成されている。
【0037】
また、本実施形態の包装用容器1は、容器本体10の鍔外縁部106と、蓋体20の係合凸部201f1との係合のみならず粘着テープや締着テープなどのテープ材による固定が可能となっている。
本実施形態の包装用容器1は、蓋壁部200bに傾斜面部200b1が形成されており、その外端縁を鍔部103の上にまで膨出させていることから、テープ材が接着される蓋体20の上部側エッジ(第一拡張部該201cと第二蓋垂下部201dとの境界)が前記傾斜面部200b1の略延長線上に位置される。したがって、同じ長さの粘着テープを蓋体20から容器本体10に掛け回した場合であっても、蓋壁部が起立状態となっている場合に比べての粘着テープを大きな接着面積で傾斜面部200b1の表面に接着させることができる。
このことについて図7と同じく、嵌合された容器本体10と蓋体20との傾斜面部200b1における断面図である図9を参照しつつさらに説明すると、粘着テープT1の一端部を傾斜面部200b1に接着し、他端部を包装用容器1の外表面に接着させた場合、粘着テープT1は、傾斜面部200b1における接着箇所から蓋体20の上部側エッジに掛けて直線的に張り渡されることとなる。
このとき粘着テープT1に加わる張力の内の傾斜面部200b1の法線方向へのベクトル成分が粘着テープT1を傾斜面部200b1の表面から剥離させる力となって作用することから傾斜面部200b1の水平面Hに対する傾斜角θ1と、テープの張り渡される角度θ2との差が少ないほど粘着テープT1が剥離しにくく、大きな接着面積で粘着テープT1が傾斜面部200b1に接着されることとなる。すなわち、蓋壁部が起立状態となっている場合に比べての粘着テープを大きな接着面積で傾斜面部200b1の表面に接着させることができる。
なお、この傾斜面部200b1の傾斜角度(θ1)は、通常、30度〜60度の範囲の内のいずれかの値とされる。
【0038】
また、粘着テープT1に代えて締着テープを用いる場合も同種の効果を得ることができる。
例えば、図10に示すように傾斜面部200b1を通るように締着テープT2を蓋体20と容器本体10とに巻回して締着する場合には締着テープT2と傾斜面部200b1との接触面積を大きくすることができ、より信頼性の高い締結を行うことができる。
なお、この図10においては、一方向にのみ締着テープを巻回させている場合を例示しているが、これに直交する方向にさらに締着テープを巻回させて締着テープどうしを十字にクロスさせるようにしてもよい。
【0039】
このような固定を一般的に用いられている粘着テープや締着テープによって実施するためには、傾斜面部200b1の周方向の長さが一定以上に形成されることが好ましく、10〜100mmとされることが好ましい。
また、粘着テープによる固定を行う際に、延出部201側から天部200a方向に向けた傾斜面部200b1の奥行きが狭いと、十分な接着スペースを確保することができなくなるおそれを有する。また、粘着テープを貼着する作業性も低下させるおそれもある。
これらの点において、延出部201側から天部200a方向に向けた傾斜面部200b1の奥行きは、10〜100mmであることが好ましい。
さらには、傾斜面部200b1の外端縁200b1aから蓋体20の上部側エッジ(第一拡張部該201cの外周縁)までの距離が短いほど、通常、テープ材と傾斜面部200b1との接触面積を増大させうる。
【0040】
なお、先述の如く蓋外縁部201gの先端部に波形状を付与する場合には粘着テープT1や締着テープT2のようなテープ材による蓋体20と容器本体10との固定において、蓋外縁部201gの先端部で不用意にテープ材が切断されてしまうおそれも低減させることができる。
【0041】
このようにして本実施形態の包装用容器1に食品を収容させてテープ材で傾斜面部を固定させることにより内部に収容させた食品に対する外部からの不正行為をより確実に防止することができる。
例えば、図11に示す包装食品のように蓋体20の四辺中央部(Lb1,Lb2,Lb3,Lb4)に設けられたそれぞれの傾斜面部200b1に対して、粘着テープT1による固定を行った場合、図中の矢印(1)方向、すなわち、四辺中央部(Lb1,Lb2,Lb3,Lb4)においては、このテープ止めによって蓋体20と容器本体10との間に不正行為を可能にする隙間の形成が防止される。
次いで、図中の矢印(2)で示されているテープ止め箇所の両脇の部分においては、蓋体20と容器本体10との間に隙間を形成させるべく蓋体20の延出部201をめくり上げる方向(外向き斜め上)に持ち上げたとしても、凹入部200b2の下端縁200b2aが開口100よりも下方に位置し、凹入部200b2の外端部と第二拡張部201eとが係合された状態となっている。
この凹入部200b2と第二拡張部201eとの係合は、容器本体10を外側に変形させることにより容易に解除可能ではあるが、テープ止めがなされていることによって、容器本体10を外側に変形させること自体が規制されていることから、この係合状態を解除するためには過大な力を作用させなければならないこととなる。
さらに、図中の矢印(3)で示されている四つの角部(Cb1,Cb2,Cb3,Cb4)においては、図12に示すように、鍔部103の外周縁(蓋外縁部201g)からの高さが、四辺中央部(Lb1,Lb2,Lb3,Lb4)に相当する箇所よりも高くなるように形成されている。
したがって、蓋体20と容器本体10との間に不正行為を可能とする隙間を形成させるためには、四辺中央部(Lb1,Lb2,Lb3,Lb4)に比べてかなり高い位置にまで蓋体20を持ち上げなければならないこととなる。
【0042】
すなわち、本実施形態に係る包装用容器1を用いた包装食品は、不正な行為に対する対策が全周においてなされており、しかも、この不正行為の防止がテープ材によって実施可能であることから全体をラップフィルムなどで包み込むような場合に比べてプラスチック材料の使用量の低減を図ることができる。
なお、包装食品を開封する際には、テープ材を取り去って、例えば、蓋体20の辺中央部のいずれか一箇所において延出部201を外向き斜め上に持ち上げることにより、係合凸部201f1と鍔外縁部106との係合を容易に解除させることができ、引き続き、凹入部200b2と第二拡張部201eとの係合も容易に解除させることができる。
したがって、テープ止めを解除することによって容易に包装食品を開封することができる。
【0043】
さらには、本実施形態の包装用容器1は、鍔部103の外周縁(蓋外縁部201g)からの高さを高くする必要性の低い、四辺中央部(La1,La2,La3,La4)において四つの角部(Ca1,Ca2,Ca3,Ca4)よりも低く形成させていることから、蓋体20の材質として透明な合成樹脂シートを用いることにより、内部に収容させた食品をより見やすく展示させ得るという効果も発揮される。
【0044】
なお、本実施形態においては、より堅実に不正を防止しうる点において四辺中央部の全てに傾斜面部を形成させた蓋体を例示しているが、少なくとも、対向する二対の辺の内、いずれか一対の辺中央部に傾斜面部を設けることにより、この傾斜面部を通るように締着テープを巻回させることができ、本実施形態と同種の効果を得ることができる。
【0045】
なお、本発明の包装用容器及び包装食品は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係る包装用容器の容器本体を示す上面図。
【図2】同実施形態に係る包装用容器の蓋体を示す上面図。
【図3】同実施形態に係る包装用容器の斜視図であって、容器本体から蓋体を取り外した状態を示す。
【図4】図1のX−X断面を示す断面図。
【図5】図1のY−Y断面を示す断面図。
【図6】図1の容器本体に図2の蓋体を外嵌させた様子を示す上面図。
【図7】図6のA−A断面を示す断面図。
【図8】図6のB−B断面を示す断面図。
【図9】本発明に係る包装用容器の蓋体を粘着テープで容器本体に固定した様子を示す断面図。
【図10】本発明に係る包装用容器の蓋体を締着テープで容器本体に固定した様子を示す斜視図。
【図11】本発明に係る包装用容器の使用態様(包装食品)を示す上面図であって、4箇所に設けられた傾斜面部全てにおいて粘着テープによるテープ止めを施した様子を示す上面図。
【図12】図6のC−C断面を示す断面図。
【符号の説明】
【0047】
1:包装用容器、10:容器本体、13:鍔部、20:蓋体、100:開口、101:底部、101a:仕切用リブ、102:周壁、102a:第一拡大部、102b:第二拡大部、103:鍔部、104:開口縁部、105:鍔垂下部、105a:第一鍔垂下部、105b:第二鍔垂下部、106:鍔外縁部、200:蓋本体部、200a:天部、200b:蓋壁部、200b1:傾斜面部、200b1a:外端縁、200b2:凹入部、200b2a:下端縁、201:延出部、201a:蓋本体縁部、201b:第一蓋垂下部、201c:第一拡張部、201d:第二蓋垂下部、201e:第二拡張部、201f:第三蓋垂下部、201f1:係合凸部、201g:蓋外縁部、Ca1,Ca2,Ca3,Ca4,Cb1,Cb2,Cb3,Cb4:角部、La1,La2,La3,La4,Lb1,Lb2,Lb3,Lb4:辺中央部、T1:粘着テープ、T2:締着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に食品を収容するための開口が形成された容器本体と、該容器本体に上側から外嵌される蓋体とが備えられ、容器本体は、底部と該底部の外周から起立して前記開口を画定する周壁と、該周壁の上端部から外方に向けて延出した鍔部とを備え、蓋体が鍔部の外周縁全周を覆った状態で容器本体に固定されるべく、蓋体の外周部には、容器本体に外嵌された際に、その下端縁が鍔部の外周縁よりも下方にまで垂下する垂下部が形成されており、該垂下部に鍔部と係合可能な係合凸部が形成されている包装用容器であって、
蓋体が、その中央部を外周部よりも上側に突出させており、外周部から中央部に向けて傾斜する傾斜面部を有するとともに該傾斜面部よりも内側に凹入している凹入部を有し、容器本体の前記開口が上面視略矩形状に形成され、蓋体を容器本体に外嵌させた際に、傾斜面部が前記開口の輪郭をなす四辺の内の少なくとも対向する一対の辺の中央部に位置し且つその外端縁を前記開口よりも外側に位置させ、凹入部が開口の角部に相当する箇所と前記傾斜面部との間に位置し、その下端縁を開口の内側且つ周壁の上端縁よりも下方に位置させて垂下部との間に鍔部を挟む状態となるように形成されており、しかも、前記鍔部は、その外周縁からの高さが、開口の四辺中央部に相当する箇所よりも角部に相当する箇所の方が高くなるように形成されていることを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
容器本体の開口の輪郭をなす四辺全ての中央部に位置する箇所に前記傾斜面部が形成されている請求項1記載の包装用容器。
【請求項3】
容器本体又は蓋体の外周縁が上下方向に波打つ状態となるように形成されている請求項1又は2記載の包装用容器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の包装用容器が用いられ、食品が収容された容器本体に蓋体が外嵌されて前記食品が包装されている包装食品であって、
粘着テープがさらに用いられており、該粘着テープの一端部が前記傾斜面部に貼着され、他端部が容器本体のいずれかの箇所に貼着されて前記蓋体と前記容器本体とがさらに固定されていることを特徴とする包装食品。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の包装用容器が用いられ、食品が収容された容器本体に蓋体が外嵌されて前記食品が包装されている包装食品であって、
締着テープがさらに用いられており、前記傾斜面部を通るように締着テープが蓋体と容器本体とに巻回されて締着されることにより前記蓋体と前記容器本体とがさらに固定されていることを特徴とする包装食品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−1057(P2010−1057A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162105(P2008−162105)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000239138)株式会社エフピコ (98)
【Fターム(参考)】