説明

包装用容器

【課題】構成が簡単で、かつ、使用者が被包装物の正確な切断位置を容易に視認することができる包装用容器を得る。
【解決手段】透明又は半透明の被包装物10を通じて被包装物10を収容する容器本体部2と、容器本体部2の後面縁部に回動可能に一体に設けられた蓋部3と、蓋部3に設けられた被包装物10を切断するためのカッタ4とを備えた包装用容器1であって、蓋部3には、視認用開口部9が形成されており、容器本体部2の容器本体前面部7には、視認部30が形成されており、蓋部3が、容器本体部2に対し、カッタ4による被包装物10の切断位置まで閉じられたときに、視認用開口部9内に視認部30が収まるようになっており、これによって、使用者は被包装物10の正確な切断位置を容易に視認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻回されたラップフィルム等の透明又は半透明の被包装物を収容する包装用容器に関するものであり、特に、該被包装物の正確な切断位置を容易に視認可能な包装用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
円筒状の紙管にロール状に巻回された、ラップフィルム等の被包装物は、蓋を一体に有する直方体形状の紙製容器内に収容されている。そして、使用者は、紙製容器内から被包装物を取り出すことなく、蓋を閉じた状態で必要長さだけ外部に取り出し、紙製容器の蓋に設けられたカッターで切断して使用することができるようになっている。
【0003】
被包装物を所望の長さ寸法で切断する際、蓋を紙製容器に対して所定位置まで閉じた状態で行わなければ、被包装物を良好に切断することができず、ラップフィルムの巻き戻り等の不具合が発生していた。そこで、従来においては、被包装物を良好に切断することができるように改良された包装用容器が種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平4−102543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は、蓋の長手方向中心部に設けられた舌片を容器側に設けられたスリットに挿入したとき、巻回フィルムに切断開始用の穿孔が生じたことを確認する手段を有している。この手段は、蓋に舌片を中心にして左右一対の開口を設けると共に、容器側に左右一対の目玉状着色部が設けられ、巻回フィルムに切断開始用の穿孔が生じた際には、この一対の目玉状着色部が蓋に設けられた一対の開口内に収まり、顔が形成されるというものである。従って、この一対の目玉状着色部が蓋に設けられた一対の開口内に収まることによって使用者は切断位置を視認することができる。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1は、蓋に舌片を設け、この舌片で巻回フィルムに穿孔を形成するようにし、さらに、この舌片によって切断開始用の穿孔が生じたことを確認する手段を設けていた。しかし、舌片により穿孔を生じさせフィルムを切断する方法では、フィルムの切断線が直線状になりにくい等の不具合があった。また、開口部から、粉塵異物等が容器内に侵入してしまう欠陥があった。また、従来の包装用容器では、被包装物の正確な切断位置を視認させるために、切断時にカッタの先端縁が所定の位置に達するようにその到達位置を線や文字で印をつけているものもあるが、この線や文字等の印では、使用者が到達位置を容易に視認することは困難である。
【0006】
本発明は、上述のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、フィルムの切断線が直線状となり、かつ、使用者が被包装物の正確な切断位置を容易に視認することができ、開口部から粉塵異物等が容器内に侵入しにくい包装用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、透明又は半透明の被包装物を収容する容器本体部と、該容器本体部の後面縁部に回動可能に一体に設けられた蓋部と、該蓋部に設けられた前記被包装物を切断するためのカッタとを備えた包装用容器であって、前記蓋部には、視認用開口部が形成されており、前記容器本体部の容器本体前面部には、視認部が形成されており、前記蓋部が、前記容器本体部に対し、前記カッタによる前記被包装物の切断位置まで閉じられたときに、前記視認用開口部内に前記視認部が収まるようになっていることを特徴とする包装用容器を提供する。
【0008】
また、前記視認部は、文字、模様、色付マーク、写真、イラスト又はこれらの組み合わせであることを特徴とする。また、前記視認用開口部は、前記包装用容器の長手方向に伸びた楕円形状または円形状であることを特徴とする。また、前記視認部には、凸状のエンボス加工が施されていることを特徴とする。
【0009】
また、前記容器本体部の容器本体前面部には、被包装物の先端を浮かせて該先端を容易に摘むことを可能とするためのフラップが設けられており、前記視認部は、該フラップ上に形成されていることを特徴とする。さらに、この場合において、前記視認用開口部は、前記フラップよりも小さく形成されていることを特徴とする。また、前記包装用容器の使用前の状態では、前記視認用開口部は、取り外し可能な蓋体で塞がれていることを特徴とする。また、前記蓋部には、前記視認用開口部を塞ぐための透明部材が設けられていることを特徴とする。この場合において、前記透明部材は、前記蓋部の外面に設けられ、又は前記蓋部の内面に設けられていることを特徴とする。さらには、前記透明部材は、前記蓋部の外面及び内面の両面に設けられていることを特徴とする。また、前記透明部材は、フィルムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、透明又は半透明の被包装物を収容する容器本体部と、該容器本体部の後面縁部に回動可能に一体に設けられた蓋部と、該蓋部に設けられた前記被包装物を切断するためのカッタとを備えた包装用容器であって、前記蓋部には、視認用開口部が形成されており、前記容器本体部の容器本体前面部には、視認部が形成されており、前記蓋部が、前記容器本体部に対し、前記カッタによる前記被包装物の切断位置まで閉じられたときに、前記視認用開口部内に前記視認部が収まるようになっているため、従来よりも被包装物の切断線が直線状となり使用しやすく、かつ、使用者は前記被包装物の切断位置を容易に視認することができる。更には、本包装用容器使用前において、本包装容器内への異物の侵入を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明にかかる包装用容器を実施するための最良の形態について図面を参照しながら述べる。図1及び図2には、円筒状の紙管にロール状に巻回された、ラップフィルム等の透明又は半透明の被包装物10を収容する包装用容器1を示す。以後、本明細書においては、「前」は図1に示す容器本体部2の内部から見た場合の容器本体前面部7側を指し、「後」はその反対方向を指す。また、「上」について、開口部20から見て、蓋部3側を指し、「下」はその反対方向を指すものとする。
【0012】
包装用容器1は、被包装物10(巻回フィルム)を収容する容器本体部2と、蓋部3と、該蓋部3に設けられた前記被包装物10を切断するためのカッタ4とを備えている。容器本体部2は、略直方体形状をなしており、上部に開口部20が設けられており、この開口部20を介して被包装物10の収容または取り出しを行うことができる。
【0013】
一方、蓋部3は、この容器本体部2の後面上縁部に回動可能に一体に設けられており、容器本体部2の開口部20を覆うことができるようになっている。蓋部3の蓋前面部5(外面)の裏面(内面)には、使用者によって引き出された被包装物10を切断するための鋸刃状のカッタ4が設けられている。図示のものは、蓋部3の前面部5の先端は、略V字状に形成されており、カッタ4もこの形状に合わせて略V字状に形成されている。
【0014】
また、蓋部3の蓋前面部5の中央には、被包装物10を所望の長さで切断する際に使用者の親指を当てる親指マーク6が設けられている。使用者は、自身の親指をこの親指マーク6に当てた状態で包装用容器1を把持し(図3参照)、被包装物10を所望の長さに切断することができる。
【0015】
また、容器本体部2の容器本体前面部7には、容器本体部2の長手方向(図1において左右方向)の中心位置から外れた位置に、被包装物10の先端を浮かせて該先端を容易につまむためのフラップ8が設けられている。このフラップ8によって、被包装物10の先端を浮かすことができ、使用者は、被包装物10の先端を容易につまむことができる。
【0016】
次に、本発明の特徴について説明する。蓋部3の蓋前面部5には、視認用開口部(開口窓)9が形成されている。また、容器本体部2の容器本体前面部7には、上記フラップ8上に視認部30(図において斜線で示す)が形成されている。この視認部30は、例えば、文字、模様、色付マーク、写真等に加え、顔、文字、模様、写真等を図案化したイラスト等又はこれらの組み合わせにすることができる。また、この視認部30には、凸状のエンボス加工を施すことができる。蓋部3が容器本体部2に対し、カッタ4による被包装物10の切断位置まで閉じられた状態になると、フラップ8上の視認部30は、蓋部3の蓋前面部5に形成された視認用開口部9内に収まるようになっている。すなわち、この状態で、使用者は、視認用開口部9から透明又は半透明の被包装物10を通じて視認部を視認することができ、もって、被包装物10の正確な切断位置を視認することができる。また、視認用開口部9は、フラップ8よりも小さく形成することができ、また形状は、円形状、楕円形状、矩形状などにすることができる。ここで、円形状、楕円形状、矩形状とは、例えば、視認用開口部9の形状の印象が全体として円形、楕円形、矩形に近い場合も含め円形状、楕円形状、矩形状と称している。例えば、矩形状とは、矩形の角を直角から丸みを帯びた形状に変更したものをも含むとする。
【0017】
次に、上記実施の形態の動作について説明する。使用者が、被包装物10を所望の長さに切断するときには、被包装物10を所望の長さまで引き出し、図3に示すように、自身の親指をこの親指マーク6に当てた状態で包装用容器1を把持し、視認部30が視認用開口部9内に完全に収まるように蓋部3を容器本体部2に対して閉じた状態で、カッタ4によって被包装物10を切断する。上述のように、視認部30が視認用開口部9内に完全に収まる状態は、蓋部3が容器本体部2に対してカッタ4による被包装物10の正確な切断位置まで閉じられた状態であるため、視認部30が視認用開口部9内に完全に収まった状態で被包装物10を所定の切断位置で切断することができると共に、視認用開口部9から透明又は半透明の被包装物10を通じて視認部30を視認することで、被包装物10の切断位置を容易に確認することができる。なお、図2に示すように、蓋部3の蓋前面部5の視認用開口部9の近傍に「カチッとしめて次もOK!確認ウィンドウ」などの文字やイラスト31を追加することもできる。これによって、使用者の切断位置に対する確認の程度をより高めることができる。
【0018】
図1乃至図3に示す包装用容器1は、視認部30が容器本体部2の容器本体前面部7のフラップ8上に設けられ、一方、視認用開口部9は、この視認部30に対応するように蓋部3の蓋前面部5において親指マーク6の右側に形成されているが、これに限定されない。例えば、図4に示す包装用容器1は、視認部40を容器本体部2の容器本体前面部7の左側に設け、この視認部40に対応するように、視認用開口部41を蓋部3の蓋前面部5の左側に形成することができる。また、図4及び図5に示す包装用容器1がフラップを有するものであっても、図示のようにフラップ上でない容器本体前面部7上に視認部40を形成することができる。なお、符号42に示す領域は、再剥離可能な粘着剤が塗布されている粘着剤塗布部である。この粘着剤により、被包装物であるラップフィルムの先端が固定されることで、ラップフィルムの意図しない引き出しや巻き戻りを防止することができる。
【0019】
また、図4及び図5に示す視認用開口部41は、包装用容器1の長手方向に伸びた楕円形状であるが、これに限らず、円形状、矩形状などにすることができる。また、視認部40は、図5によく示すように、凸状のエンボス加工を施すことができる。視認部40に凸状のエンボス加工を施すことにより、視認部40が視認用開口部41に係合し、視認用開口部41から包装用容器1内に粉塵等が入るのを防止することができる。特に、包装用容器1の使用前の状態(例えば販売時の陳列状態)における粉塵等の進入を防止することができ、衛生上有益である。また、図6に示すように、視認用開口部41は、包装用容器1の使用前の状態では蓋部3に対して取り外し可能な蓋体51で塞ぐことができる。例えば、ミシン目あるいは切り目52等で蓋部3に取り外し可能な蓋体51を形成し、使用時に使用者がこの取り外し可能な蓋体51を取り外すようにする。このようにしておけば、包装用容器1の使用前の状態(例えば販売時の陳列状態)において視認用開口部41から包装用容器1内に粉塵等が入るのを確実に防止することができる。なお、この場合においても視認部40は、凸状のエンボス加工を施すことも可能である。
【0020】
また、図6に示すものは、視認用開口部41が、包装用容器1の使用前の状態において取り外し可能な蓋体51で塞がれているが、取り外し可能な蓋体51に代えて、図7に示すように、蓋部3に、視認用開口部41を塞ぐためのフィルム等の透明部材55を貼り付けることができる。透明部材55を設けることにより、使用時において使用者が取り外し可能な蓋体51を取り外す必要がないため、使用者にとって便利である。また、透明部材55によって視認用開口部41が完全に塞がれているため、粉塵等の進入を確実に防止することができる。
【0021】
図7に示す透明部材55は、フィルムであり、接着剤等の手段によって蓋部3の外面56に貼り付けられているが、逆に蓋部3の内面(図8において符号57)に貼り付けることが可能である。あるいは、蓋部3の外面56及び内面57の両面に透明部材55を貼り付けることができる。
【0022】
また、透明部材は、図8(a)に示すように、蓋部3の厚みをほぼ同じ厚さを有し、かつ視認用開口部41の開口形状と同じ外形を有する透明部材65を視認用開口部41内に嵌合させて接着剤等の適当な手段によって固着させることも可能である。この場合、透明部材65の蓋部3に対する固着を容易にするために、図8(b)に示すように、透明部材65を蓋部3の内面57側にフランジ部66を有するように形成することができるし、図8(c)に示すように、透明部材65を蓋部3の外面56側にフランジ部67を有するように形成することができる。
【0023】
また、図8(b)に示すフランジ部66を有する透明部材65に対し、図9(a)に示すように蓋部3の内面57側にこのフランジ部66に対応する溝部68を形成しておけば、フランジ部66が蓋部3の内面57から内方に突出しない状態で透明部材65を視認用開口部41内に配置させることができる。同様に、図8(c)に示すフランジ部67を有する透明部材65に対し、図9(b)に示すように蓋部3の外面56側にこのフランジ部67に対応する溝部69を形成しておけば、フランジ部67が蓋部3の外面56から外方に突出しない状態で透明部材65を視認用開口部41内に配置させることができる。
【0024】
また、図7乃至図9に示すように透明部材を設けた場合においても、視認部40(図7等参照)は、凸状のエンボス加工を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明にかかる包装用容器の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す実施の形態を示す別の斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す実施の形態を示すさらに別の部分斜視図である。
【図4】図4は、別の実施の形態を示す斜視図である。
【図5】図5は、図4に示す実施の形態を示す別の部分斜視図である。
【図6】図6は、さらに別の実施の形態を示す部分斜視図である。
【図7】図7は、さらに別の実施の形態を示す部分斜視図である。
【図8】図8は、さらに別の実施の形態を示す部分断面図である。
【図9】図9は、さらに別の実施の形態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 包装用容器
2 容器本体部
3 蓋部
4 カッタ
5 蓋前面部
6 親指マーク
7 容器本体前面部
8 フラップ
9 視認用開口部
10 被包装物
20 開口部
30 視認部
31 文字又はイラスト
40 視認部
41 視認用開口部
42 粘着剤塗布部
51 取り外し可能な蓋体
52 ミシン目(切り目)
55 透明部材
56 外面
57 内面
65 透明部材
66 フランジ部
67 フランジ部
68 溝部
69 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明又は半透明の被包装物を収容する容器本体部と、該容器本体部の後面縁部に回動可能に一体に設けられた蓋部と、該蓋部に設けられた前記被包装物を切断するためのカッタとを備えた包装用容器であって、
前記蓋部には、視認用開口部が形成されており、
前記容器本体部の容器本体前面部には、視認部が形成されており、
前記蓋部が、前記容器本体部に対し、前記カッタによる前記被包装物の切断位置まで閉じられたときに、前記視認用開口部内に前記視認部が収まるようになっていることを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記視認部は、文字、模様、色付マーク、写真、イラスト又はこれらの組み合わせである請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記視認用開口部は、前記包装用容器の長手方向に伸びた楕円形状または円形状である請求項1又は2に記載の包装用容器。
【請求項4】
前記視認部には、エンボス加工が施されている請求項1乃至3のいずれか一つに記載の包装用容器。
【請求項5】
前記容器本体部の容器本体前面部には、被包装物の先端を浮かせて該先端をつまむためのフラップが設けられており、前記視認部は、該フラップ上に形成されている請求項1乃至4のうちのいずれか一つに記載の包装用容器。
【請求項6】
前記視認用開口部は、前記フラップよりも小さく形成されている請求項5に記載の包装用容器。
【請求項7】
前記包装用容器の使用前の状態では、前記視認用開口部は、取り外し可能な蓋体によって塞がれている請求項1乃至6のいずれか一つに記載の包装用容器。
【請求項8】
前記蓋部には、前記視認用開口部を塞ぐための透明部材が設けられている請求項1乃至6のいずれか一つに記載の包装用容器。
【請求項9】
前記透明部材は、前記蓋部の外面に設けられている請求項8に記載の包装用容器。
【請求項10】
前記透明部材は、前記蓋部の内面に設けられている請求項8に記載の包装用容器。
【請求項11】
前記透明部材は、前記蓋部の外面及び内面の両面に設けられている請求項8に記載の包装用容器。
【請求項12】
前記透明部材は、フィルムである請求項8乃至11のいずれか一つに記載の包装用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−62999(P2008−62999A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284526(P2006−284526)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【Fターム(参考)】