説明

包装用紙箱

【課題】簡単に展開が可能で、強度的にも問題のない,特に、化粧品や医薬品等の収納に適した包装用紙箱を提供すること。
【解決手段】糊代部(11)、第1側面パネル(12)、第2側面パネル(13)、第3側面パネル(14)、第4側面パネル(15)が順次縦方向の折り曲げ線(a) を介して連設され、第1側面パネル、第2側面パネル、第3側面パネル、第4側面パネルの下端縁には横方向の折り曲げ線(b) を介して底部を形成する底片が連設されてなる角筒状の包装用紙箱であって、第4側面パネルには切断可能部(16)が設けられ、第1側面パネルに連設する糊代部の先に、切断可能部を内側から支える補強部(17)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品や医薬品等を収納する包装用紙箱に関し、特には、一度組み立てた包装用紙箱を容易に分解することが可能で、紙箱の内面側に情報表示部を設けた包装用紙箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装用紙箱は、板紙等で構成された6面体のものが一般的である。すなわち、4面の側面板を糊代片等で貼着した筒状体の天面と底面を閉塞して形成されている。そして、この包装用紙箱を展開するには、糊代片を剥がしたり、ジッパーと称する帯状の開封構造を設けておき、その開封構造を引き裂く等しなければならなかった。
【0003】
一方、包装用紙箱の外側面には、商品名や製造者の名称等が印刷されており、これらが、その包装用紙箱の中身である商品についての情報を我々に提供している。
【0004】
ところが、特に化粧品や医薬品等を収納する包装用紙箱においては、紙箱の外側面に印刷された情報だけでは、その商品について十分に説明することができない場合がある。例えば、医薬品の包装紙箱の中には、その医薬品の性能や用法,容量、服用する際の注意等が書かれた取扱い説明書が同封されている。これは、この取扱い説明書の持つ情報により、包装用紙箱の外側面の持つ情報の不足分を補うものである。
【0005】
しかし、上述のように包装用紙箱とは別個に存在する取扱い説明書は、往々にして紛失し易いという問題がある。また、近年の環境に優しい包装技術の観点から過剰包装が見直されるようになっており、取扱い説明書を同封せずに紙箱に表示する方法が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
上記先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開2001−58632号公報。
【0007】
しかし、この発明においても、側板の上端縁から下端縁に帯状に分離線を設けているため、押圧強度が弱くなったり、箱を展開する際には、天部や底部の蓋片を一々開けなければならず、煩雑であるという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、組み立てが完成している包装箱を再び展開して使用しようとする包装用紙箱に関する以上のような問題に鑑みてなされたもので、強度的にも問題がなく、簡単に展開が可能で、別刷の商品取扱い説明書等を必要としない、特に、化粧品や医薬品等の収納に適した包装用紙箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1の発明は、糊代部、第1側面パネル、第2側面パネル、第3側面パネル、第4側面パネルが順次縦方向の折り曲げ線を介して連設され、第1側面パネル、第2側面パネル、第3側面パネル、第4側面パネルの下端縁には横方向の折り曲げ線を介して底部を形成する底片が連設されてなる角筒状の包装用紙箱であって、前記第4側面パネルには切断可能部が設けられ、前記第1側面パネルに連設する糊代部の先端に、切断可能部を内側から支える補強部が設けられていることを特徴とする、包装用紙箱である。
【0010】
このように請求項1記載の発明によれば、第4側面パネルには切断可能部が設けられ、第1側面パネルに連設する糊代部の先端に、切断可能部を内側から支える補強部が設けられているので、切断可能部を切断することにより容易に包装用紙箱を展開することができ、また、切断可能部に加わった圧力を補強部により分散することができる。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記切断可能部は、第4側面パネルの表面と裏面の両面から半切れ線を形成させ、かつ、表面から形成させた半切れ線と裏面から形成させた半切れ線とは位置を変えて平行に設けられることにより切断可能とすることを特徴とする、包装用紙箱である。
【0012】
このように請求項2記載の発明によれば、切断可能部は、第4側面パネルの表面と裏面の両面から半切れ線を形成させ、かつ、表面から形成させた半切れ線と裏面から形成させた半切れ線とは位置を変えて平行に設けられることにより切断可能としているので、切断可能部を引き裂くことにより容易に第4パネルを切断することができる。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記表面から形成させた半切れ線は、つなぎ部分を介在させて設けられていることを特徴とする、包装用紙箱である。
【0014】
このように請求項3記載の発明によれば、表面から形成させた半切れ線は、つなぎ部分を介在させて設けられているので、半切れ線に力が加わっても簡単に半切れ線が折れたりすることはない。
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項1、2又は3の発明において、前記糊代部、補強部、第1側面パネル、第2側面パネル、第3側面パネル、第4側面パネルの内面側には情報表示部が形成されていることを特徴とする、包装用紙箱である。
【0016】
このように請求項4記載の発明によれば、前記糊代部、補強部、第1側面パネル、第2側面パネル、第3側面パネル、第4側面パネルの内面側には情報表示部が形成されているので、商品の取扱い説明書を別途包装用紙箱に挿入する必要がない。
【0017】
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4の発明において、前記補強部の先端縁は切り落とされていることを特徴とする、包装用紙箱である。
【0018】
このように請求項5記載の発明によれば、補強部の先端縁が切り落とされているので、第4側面パネルに形成された切断可能部の先端から切断部のみを容易につかむことができる。
【0019】
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4又は5の発明において、前記横方向の折り曲げ線がミシン目状の切れ目線から形成されていることを特徴とする、包装用紙箱である。
【0020】
このように請求項6記載の発明によれば、横方向の折り曲げ線がミシン目状の切れ目線から形成されているので、組み立てられた紙箱を第4側面パネルの切断部から切断することにより、底部を形成する底片を簡単に各側面パネルから分離させることができ、また、容易に紙箱を展開することができ、すばやく情報表示部に記載されている情報を読み取ることができる。
【発明の効果】
【0021】
このように本発明の包装用紙箱は、糊代部を延長することで補強部を設け、切断可能部を設けた第4側面パネルが二重になって半切れ線による強度不足を補っている。
また、底部がミシン目状の切れ目線で容易に切り離すことができ、4面の側面パネルが一枚のフラットな面になり、大きな情報表示部をとることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
【0023】
本発明の包装用紙箱は、例えば、図1、図2、図3に示すように、糊代部(11)、第1側面パネル(12)、第2側面パネル(13)、第3側面パネル(14)、第4側面パネル(15)が順次縦方向の折り曲げ線(a)を介して連設されており、第1側面パネル(12)、第2側面パネル(13)、第3側面パネル(14)、第4側面パネル(15)の下端縁には横方向の折り曲げ線(b)を介して底部を形成する底片が連設されてなる角筒状の包装用紙箱(1)である。
【0024】
そして、第4側面パネル(15)の略中央部分には、上端から下端まで連続する切断可能部(16)が設けられており、また、第1側面パネル(12)に連設する糊代部(11)の先端には、切断可能部(16)を内側から支える補強部(17)が設けられている。
【0025】
切断可能部(16)は、第4側面パネル(15)の表面と裏面の両面に上端縁から下端縁まで連続して半切れ線を形成させ、かつ、表面から形成させた半切れ線(c)と裏面から形成させた半切れ線(d)とは位置を変えて平行に設けられてなるものである。
【0026】
また、糊代部(11)を第4側面パネル(15)に貼着してブランクを角筒状に組み立てた際、半切れ線(c,d)が糊代部(11)に重ならないように考慮して配置する必要がある。
【0027】
表面から形成させた半切れ線(c)は、適宜の位置に複数個のつなぎ部分(e)を介在させて設けることが好ましい。こうすることにより、半切れ線部分に力が加わっても簡単に半切れ線が折れたりすることはない。
【0028】
また、表面と裏面の両面に上端縁から下端縁まで連続して設ける半切れ線は、一般的には図示のように、一定間隔をおいて2本平行に設けて帯状の切断可能部(16)を形成させることが好ましい。
【0029】
糊代部(11)、補強部(17)、第1側面パネル(12)、第2側面パネル(13)、第3側面パネル(14)、第4側面パネル(15)の内面側には情報表示部(21)が形成されている(図4の斜線部分)。
【0030】
各パネル等の内面側に情報表示部(21)を形成することにより、商品の詳しい取扱い方法等が表示でき、商品の取扱い説明書を別途包装用紙箱に挿入する必要はなくなり、省資源対策として有効である。
【0031】
糊代部(11)の先端縁に設けられる補強部(17)の先端(171)は切り落とされている。補強部の先端縁が切り落とされていることにより、第4側面パネル(15)に形成された切断可能部(16)の先端(161)から切断部のみを容易につかむことができる。
【0032】
第1側面パネル(12)、第2側面パネル(13)、第3側面パネル(14)、第4側面パネル(15)の下端縁に設けられる横方向の折り曲げ線(b)をミシン目状の切れ目
線にすることにより、組み立てられた紙箱を第4側面パネルの切断部から切断する際、底部を形成する底片は簡単に各側面パネルから分離して、容易に紙箱を展開することができ、すばやく情報表示部(21)に記載されている情報を読み取ることができる。
【0033】
なお、第1側面パネル(12)の下端縁には横方向の折り曲げ線(b)を介して底片(121)が連設され、第2側面パネル(13)の下端縁には横方向の折り曲げ線(b)を介して底片(131)が連設され、第3側面パネル(14)の下端縁には横方向の折り曲げ線(b)を介して底片(141)が連設され、第4側面パネル(15)の下端縁には横方向の折り曲げ線(b)を介して底片(151)が連設されている。
【0034】
また、第1側面パネル(12)の上端縁には横方向の折り曲げ線を介して折り込み片(122)が連設され、第2側面パネル(13)の上端縁には横方向の折り曲げ線を介して蓋片(132)、差し込み片(133)が順次連設され、第3側面パネル(14)の上端縁には横方向の折り曲げ線を介して折り込み片(142)が連設されている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の包装用紙箱のブランクの一実施例を示す、展開説明図である。
【図2】図1を組み立て、包装用紙箱として密閉した状態と蓋を開けて一部開封した状態の一実施例を示す、斜視説明図である。
【図3】図2のA−A’線断面説明図である。
【図4】図2の分解後の展開説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1‥‥包装用紙箱
10‥‥ブランク
11‥‥糊代部
12‥‥第1側面パネル
13‥‥第2側面パネル
14‥‥第3側面パネル
15‥‥第4側面パネル
16‥‥切断可能部
17‥‥補強部
21‥‥情報表示部
121‥‥底片
122‥‥折り込み片
131‥‥底片
132‥‥蓋片
133‥‥差し込み片
141‥‥底片
142‥‥折り込み片
151‥‥底片
161‥‥切断可能部の先端
171‥‥補強片の先端
a‥‥縦方向の折り曲げ線
b‥‥横方向の折り曲げ線
c‥‥表面から形成させた半切れ線
d‥‥裏面から形成させた半切れ線
e‥‥つなぎ部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糊代部、第1側面パネル、第2側面パネル、第3側面パネル、第4側面パネルが順次縦方向の折り曲げ線を介して連設され、第1側面パネル、第2側面パネル、第3側面パネル、第4側面パネルの下端縁には横方向の折り曲げ線を介して底部を形成する底片が連設されてなる角筒状の包装用紙箱であって、
前記第4側面パネルには切断可能部が設けられ、前記第1側面パネルに連設する糊代部の先に、切断可能部を内側から支える補強部が設けられていることを特徴とする、包装用紙箱。
【請求項2】
前記切断可能部は、第4側面パネルの表面と裏面の両面から半切れ線を形成させ、かつ、表面から形成させた半切れ線と裏面から形成させた半切れ線とは位置を変えて平行に設けられることにより切断可能とすることを特徴とする、請求項1記載の包装用紙箱。
【請求項3】
前記半切れ線は、つなぎ部分を介在させて設けられていることを特徴とする、請求項1又は2記載の包装用紙箱。
【請求項4】
前記糊代部、補強部、第1側面パネル、第2側面パネル、第3側面パネル、第4側面パネルの内面側には情報表示部が形成されているとを特徴とする、請求項1、2又は3記載の包装用紙箱。
【請求項5】
前記補強部の先端縁は切り落とされていることを特徴とする、請求項1、2、3又は4記載の包装用紙箱。
【請求項6】
前記横方向の折り曲げ線がミシン目状の切れ目線から形成されていることを特徴とする、請求項1、2、3、4又は5記載の包装用紙箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−62713(P2006−62713A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−247869(P2004−247869)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】