説明

包装箱

【課題】すべての箱を同じ形態で積みあげて店頭陳列することができ、最上段の商品が無くなったら空になった最上段の包装箱を撤去するだけで済み、商品陳列に手間がかからず、しかも中仕切板で隔てられた反対側の商品も中仕切板に邪魔されることなく取り出すことができる包装箱を提供する。
【解決手段】中仕切板15によって箱内を前後2つの収容空間に区画された包装箱において、前壁2または後壁3の少なくともいずれか一方の面に、当該前壁または後壁の下部寄り位置から上部メインフラップ6,7にかけて窓状に切除可能な解放部16,18を形成するともに、中仕切板15には、中仕切板によって区画された前後2つの収容空間を連通可能な切除部21を形成した。また、解放部16,18と重なる上部サイドフラップ9,10の先端部分を切り取って切欠部24とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を収容する包装箱に関し、特にスタンディングパウチなどの柔軟で変形しやすい商品の収容並びに店頭陳列に用いて好適な包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スタンディングパウチなどの柔軟で変形しやすい商品は、周壁と一体の中仕切り板を有する通称「Hボックス」と呼ばれる包装箱、あるいはこれに類似の箱に収容して流通され、店頭ではそのまま陳列用の箱として利用している。この店頭陳列に際しては、商品を収容した包装箱を何段か上下に積み重ね、最上段の包装箱については箱上部側の不要部分を切除してトレー状とし、このトレー状の箱内に商品を起立状態で陳列しているのが一般的である。
【0003】
収容された商品がスタンディングパウチなどの柔軟で変形しやすい商品の場合、下側に位置する包装箱は、上側に積み上げられた包装箱の重量を支える必要があるため、トレー状にすることができず、最上段を除く下側の包装箱については、そのまま積み上げたり、あるいは周壁面の一部を除去して窓状に開口し、該窓から内部を見ることができるように陳列しているのが一般的である。そのため、トレー状とした最上段の包装箱の商品が無くなる度に、最上段のトレー状の包装箱を取り去ってその下側の包装箱を新しくトレー状に加工しており、商品陳列に際して手間を要していた。
【0004】
また、トレイ状とすることなく前壁面または後壁面に窓を開けた下側の包装箱は、中仕切板を中に挟んで反対側にある商品を手前側から取り出すことができず、不便であった。そのため、中仕切板を工夫して強度を維持しながら店頭展示性を確保しつつ、商品を取り出しやすくした包装箱(特許文献1,2参照)も提案されているが、この包装箱の場合でも、商品取り出しの際に中仕切板が邪魔をし、中仕切板を中に挟んで反対側にある商品を取り出すことができなかった。したがって、この場合も最上段の包装箱はトレー状とせざるを得ず、最上段の包装箱の商品がなくなると、その都度最上段の包装箱を取り除いてその下側の包装箱をトレー状に加工しているのが現状であった。
【0005】
【特許文献1】特開2003−81260号公報(全頁、全図)
【特許文献2】特開2004−99076号公報(全頁、全図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、流通性と展示性を兼ね備えた包装箱においては、店頭陳列時に最上段の包装箱はトレー状に加工され、消費者が購買しやすい状態にしているのがほとんである。そのため、最上段のトレーが空になると、その都度その下側の包装箱をトレー状に加工する必要があり、商品陳列の管理と作業に手間がかかっていた。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、最上段の包装箱を含め、すべての箱を同じ形態で積みあげて店頭陳列することができ、最上段の商品が無くなったら空になった最上段の包装箱を撤去するだけで済み、商品陳列に手間がかからず、しかも中仕切板で隔てられた反対側の商品も中仕切板に邪魔されることなく取り出すことができる包装箱を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は次のような手段を採用した。
すなわち、請求項1記載の包装箱は、前・後壁と左右一対の端壁とによって四周を囲まれ、その上下面を前・後壁から延設された上下のメインフラップと左右の端壁から延設された上下のサイドフラップとによってそれぞれ閉鎖され、前記左右一対の端壁のうち、一方の端壁は前・後壁から延設された左右一対の端壁形成片を継ぎ合わせて形成され、いずれか一方の端壁形成片の端縁から延設された中仕切板の先端を他方の端壁に固着することにより、箱内を前後2つの収容空間に区画した包装箱において、前壁側または後壁側の少なくともいずれか一方に、当該前壁または後壁の下部寄り位置から上部メインフラップにかけて窓状に切除可能な解放部を形成するともに、前記中仕切板には、中仕切板によって区画された前後2つの収容空間を連通可能な切除部を形成したものである。
【0009】
また、請求項2記載の包装箱は前記請求項1記載の包装箱において、天面を閉鎖する上部サイドフラップの前記切除可能な解放部と重なる部分を切り欠いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の包装箱によれば、店頭陳列時に解放部を切り取って窓部を形成し、この窓部を形成した状態の包装箱を積み重ねて陳列することにより、すべての包装箱を同じ形態で陳列することができる。このため、最上段の包装箱内の商品が無くなったらその空となった最上段の包装箱のみ撤去するだけで済み、従来の包装箱のようにその都度下側の包装箱をトレー状に加工する必要がなくなり、商品陳列の管理と作業が極めて簡単となる。
【0011】
また、窓部を形成するための解放部は、前・後壁の下端寄り位置から上部メインフラップにまで達する大きな切り取り形状とされているので、解放部を切り取った跡にできる窓部の開口面積を大きく取ることができ、包装箱内の商品の取り出しが極めて容易となる。
【0012】
また、中仕切板の切除部を切り取ることにより、中仕切板によって前後2つに区画されている収容空間を連通することができるので、中仕切り板を間に挟んで反対側の収容空間内にある商品も簡単に取り出すことができるようになる。このため、一方の収容空間内の商品が無い場合でも、わざわざ包装箱の反対側に回り込んで他方の窓部から商品を取り出す必要がなくなり、商品の取り出し勝手が格段に向上する。
【0013】
さらに、従来の包装箱のように窓部を前・後壁の部分にのみ開けた場合には、前・後壁面と上部メインフラップとが交わる稜線部分(いわゆる折り線部分)に窓部を切り取りのためのミシン目などを入れる必要があり、この稜線部分のミシン目によって流通時の箱強度が低下するおそれがあったが、本発明の包装箱の場合、窓部の開口位置を上部メインフラップの部分まで広げているので、稜線部分にミシン目などを入れる必要がなく、流通時における箱強度の低下の心配もない。
【0014】
請求項2記載の包装箱によれば、切除可能な解放部と重なる上部サイドフラップの部分を切り欠いたので、窓部を形成した際に、上部サイドフラップが窓部内に飛び出して邪魔をするようなことがなくなる。このため、窓部の開口面積を最大限に取ることができ、商品の取り出しが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は実施の形態に係る包装箱の展開図、図2はその組み立て途中の斜視図、図3は組み立て完成図であって、この実施の形態に係る包装箱1は、その全体を段ボール紙で構成されており、前壁2,後壁3と左右一対の端壁4,5とによって四周が囲まれている。
【0016】
そして、その天面は、前壁2,後壁3の上縁から延設された上部メインフラップ6,7と、左右の端壁4,5の上縁から延設された上部サイドフラップ9(9a,9b),10を折り返すことによって閉鎖可能とされ、これによって上蓋部が形成されている。一方、下面は、前壁2,後壁3の下縁から延設された下部メインフラップ11,12と、左右の端壁4,5の下縁から延設された下部サイドフラップ13(13a,13b),14を折り返すことによって閉鎖可能とされ、これによって底蓋部が形成されている。
【0017】
前記左右一対の端壁4,5のうち、一方の端壁4は、前壁2と後壁3の端縁からそれぞれ延設された端壁形成片4a,4bを継ぎ合わせることにより形成されている。また、糊付け時に内側となる端壁形成片4bの端縁には中仕切板15が延設されており、この中仕切板15の先端の糊代15aを他方の端壁5に糊付けすることにより、包装箱1内を前後2つの収容空間に区画している。
【0018】
前記上部サイドフラップ9と下部サイドフラップ13は、端壁形成片4a,4bの上下縁からそれぞれ延設された上下のサイドフラップ形成片9a,9b、13a,13bをそれぞれ継ぎ合わせることにより形成されている。
【0019】
包装箱1の下端寄り位置には、周壁を一周してカットテープ(切離手段)20が貼着されている。また、このカットテープ20の所定の位置には、カットテープ20を引き出して周壁を規定の位置まで切り裂くためのカットテープ掴み片26a〜26c、27が切り込まれている。
【0020】
前壁2側には、前記カットテープ20の位置から上部メインフラップ6の中間位置辺りまで達する窓状の解放部16が片ジッパー構造の断続切れ目線17によって切除可能に形成され、同じく後壁3側には、カットテープ20の位置から上部メインフラップ7の中間位置辺りまで達する窓状の解放部18が片ジッパー構造の断続切れ目線19によって切除可能に形成されている。
【0021】
一方、中仕切板15には、中仕切板15によって区画された前後2つの収容空間を連通するための切除部21が、カッター切り込み線からなる断続切れ目線22によって切除可能に形成されている。また、この切除部21の上縁中央部には、切除部21を切除する際の指掛け凹部23が形成されている。
【0022】
前記上部サイドフラップ9,10の先端両側部は、解放部16,18を切り取って窓部を開口した際に上部サイドフラップ9,10が窓部内に突出することがないようにするため、切欠部24によって解放部16,18と重なる部分が切除されている。
【0023】
上記包装箱を組み立てるには、前・後壁2,3および端壁5、端壁形成片4a,4bを順次折り曲げ、図2に示すように、端壁形成片4bを内側にした状態で、端壁形成片4a,4b、サイドフラップ形成片9a,9b、13a,13bをそれぞれ継ぎ合わせて周壁を形成するとともに、端壁形成片4aの端縁から延設された中仕切板15の先端の糊代15aを反対側の端壁5に固着する。次いで、下部サイドフラップ形成片13a,13b、下部サイドフラップ14、下部メインフラップ11,12をそれぞれ折り返して貼り合わせることにより下面を閉鎖し、下蓋部とする。
【0024】
そして、中仕切板15によって前後2つの収容空間に区画された包装箱1内に、例えばスタンディングパウチなどの商品を収容した後、図3に示すように、上部メインフラップ6,7、上部サイドフラップ9,10をそれぞれ折り返して貼り合わせることにより上面を閉鎖し、上蓋部とする。
【0025】
このようにして組み立てられた包装箱1は、箱内が中仕切板15によって前後2つの収容空間に仕切られた状態となる。そのため、箱内に収容された商品はその移動が規制され、搬送時における商品の破損や重心の移動に伴う荷ずれなどを防止できる。
【0026】
一方、店頭における商品陳列に際しては、図3の状態において、まず前壁2の下部側に形成されているカットテープ掴み片26aを引き起こし、その裏側に貼られたカットテープ20を断続切れ目線17の端部17aの位置まで引っ張り出していく。これにより、前壁2がカットテープ掴み片26aの位置から断続切れ目線17の端部17aの位置まで切断されるので、この切断部分に指を入れて解放部16を断続切れ目線17に沿って上方へ破り取っていく。
【0027】
断続切れ目線17に沿って解放部16の全部が切除されると、図4に示すように、切除された解放部16の跡には前壁2の下部側から上部メインフラップ6の中間位置まで達する大きな窓部28aが形成される。同様に、後壁3についても断続切れ目線19に沿って解放部18を切除し、窓部28bを形成する。なお、この窓部28a,28bは、包装箱1の陳列状況に応じて、いずれか一方のみを形成してもよい。
【0028】
上記のようにして窓部28a,28bを開けられた包装箱1を、図5に示すように、所要個数上下方向に積み上げて陳列する。積み上げられた各包装箱1は、前・後壁面に開口した窓部28a,28bから箱内に収容されているスタンディングパウチPなどの商品を直接視認することができるので、優れた広告宣伝効果を発揮することができ、消費者の購買意欲を喚起して販売促進を図ることができる。
【0029】
また、窓部28a,28bは、前後壁2,3の部分だけでなく上部メインフラップ6,7の位置まで大きく開口かれ、しかも上部サイドフラップ9,10は切欠部24によって窓部28a,28b内に突出することがないようにされている。このため、窓部28a,28bの開口面積を最大限に取ることができ、最上段の包装箱1はこの天面まで開いた大きな窓部28a,28bから簡単に商品を取り出すことができる。
【0030】
また、包装箱1内の中央部には、箱内を横切って中仕切板15が配置されているため、上下方向の座屈強度も十分に取ることができ、包装箱を積み重ねても十分に耐えることができ、胴膨れが起こったり、潰れたりするようなこともない。
【0031】
箱内の商品購入が進み、例えば最上段の包装箱1について中仕切り板15によって仕切られたいずれかの側の収容空間の商品が無くなったら、中仕切板15の上縁中央部に形成されている指掛け凹部23に指を引っ掛けて引っ張ることにより、中仕切板15に形成されている切除部21を断続切れ目線22に沿って切り取る。これにより、図6に示すように、切り取られた切除部21の跡にできた開口部によって前後の2つの収容空間が連通される。したがって、図7に示すように、この開口部を通じて反対側の空間に収容されている商品を取り出すことができるようになる。
【0032】
なお、上記の例では、最上段の包装箱1について中仕切板15の切除部21を切除し、中仕切板15で区画された前後2つの収容空間を連通するようにしたが、商品の販売状況に応じて、下側の包装箱1であっても中仕切板15の切除部21を切り取ればよい。この下側の包装箱1の切除部21を切り取っても、中仕切板15はそのまま残っているので、上下方向の座屈強度が低下するようなことはない。
【0033】
また、上記の例では、すべての包装箱について窓部28a,28bを開けて店頭陳列する場合について説明したが、段積みした包装箱のどの箱について窓部を開けるかは自由である。さらに、上記の例では、最上段の包装箱についても窓部を開けた状態としたが、最上段の包装箱については従来と同様にトレー状に加工して陳列することもできる。トレー状とする場合には、カットテープ掴み片26a〜26c、27を利用して、周壁を一周して貼られているカットテープ20を
引っ張り出していくことにより、カットテープ20に沿って包装箱1の上部側不要部分を切り離せばよい。これにより、図8に示すように、従来と同様のトレー形式で陳列することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の包装箱は、スタンディングパウチなどの柔軟で変形しやすい商品だけでなく、例えば洗剤やシャンプーなどのボトル容器など、少なくとも包装箱に収容した状態で流通され、店頭でそのまま段積みされて商品陳列されるような商品であれば利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施の形態に係る包装箱の展開図である。
【図2】図1の包装箱の組み立て途中の斜視図である。
【図3】図1の包装箱の組み立て完成図である。
【図4】前後の解放部を切除して窓部を形成した状態の斜視図である。
【図5】窓部を形成した包装箱を上下に積み上げて店頭陳列した状態の略示斜視図である。
【図6】中仕切板の切除部を切り取った状態の斜視図である。
【図7】最上段の包装箱について中仕切板の切除部を切り取った状態の陳列斜視図である。
【図8】カットテープによって包装箱の上部側不要部分を切り離してトレイ状とした場合の斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
1 包装箱
2 前壁
3 後壁
4,5 端壁
4a,4b 端壁形成片
6,7 上部メインフラップ
9,10 上部サイドフラップ
9a,9b 上部サイドフラップ形成片
11,12 下部メインフラップ
13,14 下部サイドフラップ
13a,13b 下部サイドフラップ形成片
15 中仕切板
15a 指掛け凹部
16,18 解放部
17,19 断続切れ目線
17a,19a 断続切れ目線の端部
20 カットテープ
21 切除部
22 断続切れ目線
23 指掛け凹部
24 切欠部
26a〜26c、27 カットテープ掴み片
27 カットテープ掴み片
28a,28b 窓部
P スタンディングパウチ(商品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前・後壁と左右一対の端壁とによって四周を囲まれ、その上下面を前・後壁から延設された上下のメインフラップと左右の端壁から延設された上下のサイドフラップとによってそれぞれ閉鎖され、前記左右一対の端壁のうち、一方の端壁は前・後壁から延設された左右一対の端壁形成片を継ぎ合わせて形成され、いずれか一方の端壁形成片の端縁から延設された中仕切板の先端を他方の端壁に固着することにより、箱内を前後2つの収容空間に区画した包装箱において、
前壁側または後壁側の少なくともいずれか一方に、当該前壁または後壁の下部寄り位置から上部メインフラップにかけて窓状に切除可能な解放部を形成するともに、前記中仕切板には、中仕切板によって区画された前後2つの収容空間を連通可能な切除部を形成したこと特徴とする包装箱。
【請求項2】
天面を閉鎖する上部サイドフラップの前記切除可能な解放部と重なる部分を切り欠いたことを特徴とする請求項1記載の包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−168804(P2007−168804A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−364744(P2005−364744)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】