説明

包装箱

【課題】 1枚の圧紙素材から組立成形されて補強柱を備える蓋付き包装箱において、製函性を向上すること。
【解決手段】 包装箱10であって、方形の底板11の相対する辺のそれぞれに折線を介して同一高さをなす正面板12と背面板13を連設し、正面板12と背面板13のそれぞれにおける底板11に対する反対側の辺に折線を介して蓋板14を連設し、底板11の両側にそれぞれ前記正面板12及び背面板13と同一高さの側板15を折線を介して連設し、各側板15における底板11に対する反対側の辺に折線を介して接合フラップ16を連設し、各側板15の両縁に折線を介して複数条の折曲フラップ21、22、23からなる補強板20を連設してなるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
ダンボール等の厚紙素材からなる包装箱として、特許文献1に記載の如く、方形の底板1の相対する辺に夫々側板2と、該一方の側板2に蓋板3と、更に該蓋板3に接合板4とを夫々折線を介して連設し、底板1と蓋板3の各両側に夫々前記側板2に対し半幅以下の狭幅の側板5を折線を介して連設すると共に、広幅の両側板2には3条の平行な折線を介して適当幅の袖板6Aと補強板6Bと接着板6Cとを連設し、底板1に対し両側の広幅側板2を垂直に起立させると共にその各両側の袖板6Aと補強板6Bを内方に屈折して接着板6Cを広幅側板2の内面に接着することにより両広幅側板2の両縁に沿って柱状の補強部6を形成し、蓋板3を起立した両広幅側板2の上面に亘り折曲げて接合板4を一方の広幅側板2の外面に接着し、又底板1と蓋板3の狭幅側板5を両側の袖板6Aの外面に接着してなるものである(図9)。
【0003】
特許文献1に記載の包装箱によれば、1枚の厚紙素材から組立成形される蓋付き箱体の各コーナーに柱状の補強部6を形成でき、積重ね強度を向上できる。
【特許文献1】実開昭62-17513
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の包装箱では、底板1に対する一側辺に1枚の側板2を連設し、底板1に対するその反対の側辺に1枚の側板2及び蓋板3を連設するものであり、図9に示すように、底板1、側板2、蓋板3と連設する方向において展開形状が非対称をなし、製函機等による製函性が悪い。
【0005】
特に、柱状の補強部6を形成する袖板6Aと補強板6Bと接着板6Cが、底板1と蓋板3に連設されているそれぞれの狭幅側板5に挟まれるから、この柱状の補強部6を形成する工程で、袖板6Aを直角に内方に屈折し更にこれに続く補強板6Bを内方に折曲げて更にこれに続く接着板6Cを広幅側板2の内面に接着することにより該側板2の両側縁に沿う断面3角形状の空間を有する補強部6を折曲げ接着する煩雑な作業を、底板1に連設されている狭幅側板5と蓋板3に連設されている狭幅側板5に両側から挟まれる狭小スペースで行なうものになり、製函性は極めて悪い。
【0006】
本発明の課題は、1枚の圧紙素材から組立成形されて補強柱を備える蓋付き包装箱において、製函性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、方形の底板の相対する一対の辺のそれぞれに折線を介して同一高さをなす正面板と背面板を連設し、正面板と背面板のそれぞれにおける底板に対する反対側の辺に折線を介して蓋板を連設し、底板の両側にそれぞれ前記正面板及び背面板と同一高さの側板を折線を介して連設し、各側板における底板に対する反対側の辺に折線を介して接合フラップを連設し、各側板の両縁に折線を介して複数条の折曲フラップからなる補強板を連設し、両側の側板の各両縁の補強板の折曲フラップを折曲げて先端側の折曲フラップを側板の内面に接着することにより側板の両縁に沿う補強柱を形成するとともに、底板に対し両側の側板を起立させ、正面板と背面板を底板に対し起立させて両側板の各両縁に沿う補強柱の外面に接着し、正面板と背面板に対し各蓋板を折曲げ、各蓋板を補強柱の上端の側に折込まれる各接合フラップの上面に接着してなるようにしたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1に示した包装箱10は、一枚のダンボール(他の板紙等の厚紙でも可)を素材として組立成形されるものであり、特にパウチ等、製品自身で強度を持たない物品を収容することができる。また、包装箱10を複数個上下に段積みされて保管され、又は図2に示す如くに開封されて陳列に供される。
【0009】
包装箱10は、ダンボール原紙から抜き型により打ち抜かれた図3に示す如くの板紙の展開素材から製作される。包装箱10の板紙は、方形の底板11の相対する一対の辺のそれぞれに折線12A、13Aを介して同一高さ(h)をなす正面板12と背面板13を連設し、正面板12と背面板13のそれぞれにおける底板11に対する反対側の辺に折線14A、14Aを介して蓋板14、14を連設する。本実施例では、各蓋板14の折線14Aから反対側の辺14Bまでの長さを底板11の概ね半幅とした。
【0010】
包装箱10は、底板11の前記正面板及び背面板に連設する辺とは異なる他の一対の辺のそれぞれに正面板12及び背面板13と同一高さの側板15、15を折線15A、15Aを介して連設し、各側板15における底板11に対する反対側の辺に折線16A、16Aを介して接合フラップ16、16を連設し、各側板15の前後の両縁に折線20Aを介して補強板20を連設する。補強板20は、複数条(本実施例では3条)をなす適宜幅の折曲フラップ21、22、23を順に連設してなり、折曲フラップ21と折曲フラップ22を折曲線22Aを介して連設し、折曲フラップ22と折曲フラップ23を折曲線23Aを介して連設する。補強板20は、後述する補強柱24(図1(B)の丸で囲った部分)を形成する。
【0011】
また、包装箱10は、正面板12と背面板13のそれぞれに、高さ(h)の間に直交する方向で、底板側の折線(12A,13A)もしくは蓋板側の折線(14A,14A)に平行な開封用の切断誘導部31、31を設け、各接合フラップ16の各側板15との連設部(接合フラップ16の側)に開封用の切断誘導部32(図1の(A)の斜線部で示す)を設けている。包装箱10は、切断誘導部32により正面板12及び背面板13の各上部12U、13U並びに各蓋板14を切除し開封される(図2(A)の蓋体)とともに、正面板12及び背面板13の各下部12L、13Lを袖壁として残す(図2(B)の蓋体)。切断誘導部31は例えばジッパー又はテアテープからなる。切断誘導部32は例えばジッパー又はミシン目からなる。
【0012】
更に、包装箱10は、ダンボール原紙又はダンボール素材の段階で、例えば図4に斜線で示す範囲、即ち、包装箱を組み立てた際に表面に現れる部分全域に印刷柄を付与することができる。印刷柄を付された正面板12及び背面板13の各上部12U、13U並びに各蓋板14は開封時に箱体から切除される。印刷柄を付された正面板12及び背面板13の各下部12L、13L並びに各側板15が開封後も箱体に残る。従って、デザイン上の制約が少なくなり、印刷効率が良い。
【0013】
包装箱10は、以上のダンボール素材により以下の工程で組立てられて箱体を成形する(図5、図6)。
(1)包装箱10の展開素材(図5(A))の両側の側板15、15の各両縁の補強板20の折曲フラップ21、22、23を折曲げて先端側の折曲フラップ23を側板15の内面に接着する(図5(B)、図5(B)の斜線部が糊付部を示す)。本実施例では、各側板15の縁における折曲フラップ21を直角に内方に折曲げ、更に折曲フラップ22を内方に折曲げ、更に折曲フラップ23を側板15の内面に接着する。これにより、各側板15の両縁に沿う補強柱24が形成される。補強柱24の下端は底板11の上面に載り、補強柱24の全高さは正面板12及び背面板13並びに側板15の全高さに一致するものになる。尚、直角に折り曲げられた折曲げフラップ21の外側の面のそれぞれは、正面板12及び背面板13を起立させ時に接着される(図6(B)の斜線部)。
【0014】
(2)底板11に対し両側の側板15を補強柱24とともに起立させる(図6(A))。
【0015】
(3)正面板12と背面板13を底板11に対し起立させて両側板15、15の各両縁に沿う補強柱24の外面に接着する(図6(B)、斜線部が糊付部を示す)。
【0016】
(4)上述(3)の箱体の内部に物品を収容した後、正面板12と背面板13に対し各蓋板14を折曲げ、各蓋板14を補強柱24の上端の側に折込まれる各接合フラップ16の上面に接着する(図6(C)及び(D)、図6(C)の斜線部が糊付部を示す)。
【0017】
包装箱10は、上述(4)の物品収納状態で段積み保管され、ひいては店頭で図2に示す如くに開封されて段積み陳列される。開封作業は、正面板12及び背面板13の各切断誘導部31、31を切除し、正面板12の上部12Uの切断誘導部31が切り開かれた下縁に手を掛けて一連の正面板12の上部12Uの部分、両蓋板14、14及び接合フラップ16の接合体の部分、並びに背面板13の上部13Uの部分を引き剥がして開封し、引き剥がされた正面板12、背面板13及び蓋板14等を持ち上げ除去する。このとき、両蓋板14、14をつないでいる各接合フラップ16は各切断誘導部32によって容易に各側板15の上縁から接離される。包装箱10は、上述の切断誘導部31等の切除、開封、蓋板14等の持ち上げの3動作により簡易に開封され、開封性は良い。包装箱10は、開封後も各側板15の前後の両縁に補強柱24を備え、段積み強度を維持する。
【0018】
包装箱10は、ダンボール素材の中芯101の各凸部(又は各凹部)の延在方向を、図7に示す載置状態で、正面板12及び背面板13において水平方向(横目)とすることにより、箱体の内側から作用する圧力に対する変形強度を強くできる。他方、ダンボール素材の中芯101の各凸部(又は各凹部)の延在方向を、図8に示す載置状態で、正面板12及び背面板13において鉛直方向(縦目)とすることにより、箱体の上側から作用する圧力(縦荷重)に対する変形強度を強くできる。
【0019】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)包装箱10の板紙は、底板11に対する前側に正面板12と蓋板14を連設し、後側に背面板13と蓋板14を連設し、この前後で対称をなす。また、底板11に対する左右のそれぞれに側板15、接合フラップ16及び補強板20を連設し、この左右で対称をなす。従って、展開形状が前後左右で対称をなし、製函機等による製函性が良い。
【0020】
特に、補強板20の複数条の折曲フラップ21、22、23が正面板12又は背面板13に対する反対側を開放されているから、補強柱24を形成する工程で、補強板20の複数条の折曲フラップ21、22、23を折曲げ接着する煩雑な作業を、広く開放されたスペースで行なうものになり、製函性は良い。
【0021】
(b)包装箱10は1枚の板紙素材から組立成形されかつ補強柱24を備える。補強柱24は箱体の各コーナーに形成され、積重ね強度を確保できる。
【0022】
(c)包装箱10は、箱体の外寸法を同じにしながら、複数条の折曲フラップ21、22、23からなる補強板20の板幅又はフラップ幅を変更することにより、補強柱24の断面寸法を変更して箱体の物品収容スペースを拡縮調整できる。従って、同一外寸法の板紙素材を、容量の異なるパウチ等のための包装箱10の素材として共用できる。
【0023】
(d)包装箱10は、1枚の板紙素材のみから組立成形されるから、素材の抜き型が1個で足りるし、廃棄時の手間も少ない。
【0024】
(e)包装箱10は、1枚の板紙素材のみから組立成形されるから、箱本体用素材と蓋用素材に分離される場合の素材間での印刷柄合せが不要になり、印刷性が向上する。
【0025】
(f)正面板12と背面板13の高さ(h)の間の位置に切断誘導部31を設け、各接合フラップ16の各側板15との連設部に切断誘導部32を設けることにより、包装箱10の開封性が向上する。包装箱10は、開封された箱体の四周の正面板12及び背面板13の各下部12L、13L並びに各側板15により、収納物品を囲み保持しながら外から、陳列性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は包装箱を示し、(A)は組立状体の斜視図、(B)は組立過程を示す斜視図である。
【図2】図2は包装箱の開封状態を示し、(A)は開封した蓋体の斜視図、(B)は陳列状態の箱体の斜視図である。
【図3】図3は包装箱の展開素材を示す平面図である。
【図4】図4は包装箱の印刷範囲を示す平面図である。
【図5】図5は包装箱の組立工程を示す斜視図である。
【図6】図6は包装箱の組立工程を示す斜視図である。
【図7】図7は包装箱の素材を構成するダンボールの中芯方向を示し、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
【図8】図8は包装箱の素材を構成するダンボールの中芯方向の変形例を示し、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
【図9】図9は従来例の包装箱を示し、(A)は展開素材を示す平面図、(B)は組立過程を示す斜視図、(C)は組立状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
10 包装箱
11 底板
12 正面板
13 背面板
14 蓋板
15 側板
16 接合フラップ
20 補強板
21、22、23 折曲フラップ
24 補強柱
31、32 切断誘導部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形の底板の相対する一対の辺のそれぞれに折線を介して同一高さをなす正面板と背面板を連設し、正面板と背面板のそれぞれにおける底板に対する反対側の辺に折線を介して蓋板を連設し、
底板の両側にそれぞれ前記正面板及び背面板と同一高さの側板を折線を介して連設し、各側板における底板に対する反対側の辺に折線を介して接合フラップを連設し、各側板の両縁に折線を介して複数条の折曲フラップからなる補強板を連設し、
両側の側板の各両縁の補強板の折曲フラップを折曲げて先端側の折曲フラップを側板の内面に接着することにより側板の両縁に沿う補強柱を形成するとともに、底板に対し両側の側板を起立させ、
正面板と背面板を底板に対し起立させて両側板の各両縁に沿う補強柱の外面に接着し、
正面板と背面板に対し各蓋板を折曲げ、各蓋板を補強柱の上端の側に折込まれる各接合フラップの上面に接着してなる包装箱。
【請求項2】
前記正面板と背面板のそれぞれに、底板側の折線と蓋板側の折線の間に位置して各折れ線と平行をなす切断誘導部を設け、前記各接合フラップの各側板との連設部に切断誘導部を設けてなる請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
方形の底板の相対する一対の辺のそれぞれに折線を介して同一高さをなす正面板と背面板を連設し、正面板と背面板のそれぞれにおける底板に対する反対側の辺に折線を介して蓋板を連設し、
底板の両側にそれぞれ前記正面板及び背面板と同一高さの側板を折線を介して連設し、各側板における底板に対する反対側の辺に折線を介して接合フラップを連設し、各側板の両縁に折線を介して複数条の折曲フラップからなる補強板を連設された包装箱用板紙。
【請求項4】
請求項3の包装箱用板紙から組立てられる包装箱であって、
該板紙の両側の側板の各両縁の補強板の折曲フラップを折曲げて先端側の折曲フラップを側板の内面に接着することにより側板の両縁に沿う補強柱を形成するとともに、底板に対し両側の側板を起立させ、
正面板と背面板を底板に対し起立させて両側板の各両縁に沿う補強柱の外面に接着し、
正面板と背面板に対し各蓋板を折曲げ、各蓋板を補強柱の上端の側に折込まれる各接合フラップの上面に接着してなる包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−143634(P2010−143634A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326096(P2008−326096)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】