説明

包装箱

【課題】 組み立て時の手間を少なくした改ざん防止用の包装箱を提供する。
【解決手段】 開封時に天面21を持ち上げることによって差込フラップ30を切断するようにした包装箱1であって、天面21に所定形状の切欠きからなる取付部22を形成し、この取付部22内に取付片31を設けるとともに当該取付片31の先端に幅広の差込片32を設けて差込フラップ30を構成する。また、取付片31を係止させるために、左右の内フラップ41(42)の前縁に所定形状の切欠きからなる係止部45を設けるとともに、例えば、取付片31の差込片32への取付線18上に破断線12を設ける。封緘時には、内フラップ41(42)の上方から下方に取付片31を交差させて取付片31を係止部45に係止させ、差込片32の後端縁32aを内フラップ41(42)の下面に位置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱、より具体的に言うと、購入時に開封したことが一見して判別することができる包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商品売り場等において、異物を混入し、あたかも未開封のように見せかけるという事態が生じている。これを防ぐため、種々の改ざん防止用包装箱が提案されている。
【0003】
例えば、特開2003−137277号公報(特許文献1)には、左右の内フラップが切断可能に箱本体上部の開口に備えられ、両内フラップが天面裏面に接着された構造の包装箱が開示されている。この包装箱では、天面を開くと左右の内フラップが切断される。
【0004】
特開2003−327242号公報(特許文献2)には、天面と差込フラップを仕切る折り目線上に切れ目が備えられるとともに、箱本体正面に破断線が設けられ、この破断線で囲まれた部分から上方に延設した差し込み片が設けられた包装箱が開示されている。この包装箱では、天面と差込フラップを仕切る折り目線上の切れ目に差み込み片が挿入されるので、天面を開く際に破断線が破られる。
【0005】
特開2004−269031号公報(特許文献3)には、差込プラップが天面に切断可能に備えられるとともに、天面と差込フラップの接続部分に切れ目が設けられ、左右の内プラップの一方に当該切れ目に差し込み可能な突起が設けられた包装箱が開示されている。この包装箱では、内フラップの突起が切れ目に挿入されているので、天面を開く際に差込フラップが切り取られる。
【0006】
特開2003−137274号公報(特許文献4)には、箱本体上部の開口を閉じる天面と、当該天面の裏面と糊付けされる外受けフラップを有し、天面に切断予定部が備えられた包装箱が開示されている。この包装箱では、切断予定部を切断して開封する。
【0007】
特開2003−165529号公報(特許文献5)には、天面と差込フラップを仕切る折り目線上の両端近傍及びその中央に切り目が設けられ、左右の内フラップに前記両端の切れ目に挿入される突起が備えられるとともに、前記折り目線の中央切れ目に挿入される差込片が箱本体の開口に延設された包装箱が開示されている。
【0008】
この包装箱では、左右内フラップに設けられた突起が切れ目に挿入されるので蓋がしっかりと固定され、開封時には差込片が損傷されるか、箱がくずれ、改ざんが容易に判別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−137277号公報
【特許文献2】特開2003−327242号公報
【特許文献3】特開2004−269031号公報
【特許文献4】特開2003−137274号公報
【特許文献5】特開2003−165529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の包装箱では天面と内フラップを、特許文献4の包装箱では天面と外受けフラップをそれぞれ糊付けする必要があり、組み立てが面倒である。
【0011】
一方、特許文献2や特許文献3、特許文献5の包装箱ではそれぞれ切れ目に差込片を挿入する必要があり、やはり組み立てに手間を要するという問題点があった。
【0012】
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は組み立て時の手間を少なくした改ざん防止用の包装箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、本発明では、天面に所定形状の切欠きからなる取付部を形成し、当該取付部内において天面に備えられる取付片と、当該取付片の先端に備えられかつ当該取付片の先端両側において前記天面と切り離された差込片とからなる差込フラップを備えた上で、前記取付片の左右の縁上の点を端点とする破断線を差込フラップに形成すると共に、前記差込フラップの取付片を係止部の上方から下方に交差させて、差込フラップの取付片の後端縁を当該内フラップの下面に位置させる切欠きからなる係止部を内フラップに設けている。
【0014】
この包装箱において、天面と取付片の接続位置において山折りされる折り目線を設け、この折り目線で山折りすれば、当該係止部内で取付片と内フラップを交差させて封緘できる。そうすると、内フラップの下面に差込フラップの差込片の後端縁が位置した状態で包装箱が封緘される。
【0015】
また、取付片と差込片の接続位置において山折りされる折り目線を設け、この折り目線で山折りすれば、改ざん防止措置がなされていない通常の包装箱と同じように封緘できる。そして、封緘した後に、取付片の前方位置を押し下げるようにすると、内フラップの下面に差込フラップの差込片の後端縁が位置した状態で包装箱が封緘される。
【0016】
そして、開封のために天面を持ち上げると、差込片は上方に移動しようとするが内フラップの開く角度が天面の持ち上がり角度より小さいので、差込片の上方への移動が制限される。一方、取付片は天面と共に持ち上げられるので、破断線には取付片による上向きの力が働き、差込片による下向きの力が働く。この結果、差込フラップに形成された破断線が破断される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の包装箱では、組み立て時に糊付けしたり、差込片を切れ目に挿入したりすることなく、簡単に組み立てられる。また、開封時には天面を開封すれば、差込フラップが切断され、開封されたことがすぐにわかる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明の包装箱の斜視図である。
【図2】図2は図1の包装箱の展開図である。
【図3】図3は封をした包装箱の平面図である。
【図4】図4は図3のAA線断面図である。
【図5】図5は図3のBB線断面図である。
【図6】図6は図1の包装箱を開封する様子を示す説明図である。
【図7】図7は本発明の別の実施形態に係る包装箱を一部破断した展開図である。
【図8】図8は本発明のさらに別な実施形態に係る包装箱を一部破断した展開図である。
【図9】図9は本発明のさらに別な実施形態に係る包装箱を一部破断した展開図である。
【図10】図10は本発明のさらに別な実施形態に係る包装箱を一部破断した展開図である。
【図11】図11は本発明のさらに別な実施形態に係る包装箱の展開図である。
【図12】図12は本発明のさらに別な実施形態に係る包装箱の斜視図である。
【図13】図13は本発明のさらに別な実施形態に係る包装箱の斜視図である。
【図14】図14は図13の包装箱を一部破断した展開図である。
【図15】図15は封をした包装箱の平面図である。
【図16】図16は図15のBB線断面図である。
【図17】図17は本発明のさらに別な実施形態に係る包装箱を一部破断した展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の包装箱は、内フラップの前縁と箱本体上部の開口前縁との間に差込フラップを差し込むタイプの包装箱において、開封時に天面を持ち上げることによって差込フラップを切断するようにした包装箱である。この包装箱は内フラップに所定形状の切欠きが備えられ、この切欠きを利用することにより内フラップ下面に差込フラップの端面を位置させ、開封動作により差込フラップを切断する構造を有する。
【0020】
具体的には、本発明の包装箱は、箱本体の開口を塞ぐ天面と、天面が備えられた開口縁に隣接する左右開口縁の少なくとも一方の開口縁に備えられた内フラップと、当該内フラップの前縁と前記開口の前縁との間に差し込まれる差込フラップとを備えた包装箱であって、前記天面は、前縁から当該天面と前記開口縁の折り目線に向かう左右一対の切断線の少なくとも一部を周縁の一部とする切欠きからなる取付部を有し、前記差込フラップは、前記開口の前縁と略平行となる接続線によって前記取付部内において前記天面に備えられた取付片と、当該取付片の先端に備えられ、前記取付部の前縁幅よりも広い幅を有し、前記取付片の先端両側において前記天面と切り離された差込片とを有し、かつ、当該差込フラップは前記取付片の左右の縁上の点を端点とする破断線を備え、前記内フラップは、前記取付片を当該内フラップの上方から下方に交差させ、前記差込片の後端縁(山折りされた後には上端縁となる。)を当該内フラップの下面に位置させる切欠きからなる係止部を有する。
【0021】
この包装箱にあっては、2つの態様が考えられる。一つは、取付部内において、天面と取付片の接続位置において山折りする折り目線を設け、この山折り線で山折りして封緘し、差込片の後端縁を内フラップの下面に位置させる。もう一つは、取付片と差込片の接続位置において山折りする折り目線を設け、この山折り線で山折りして封緘する。この状態では、これまで一般的に用いられている差込フラップを備えた包装箱と同じである。この状態から、取付片の前方位置を下に押し込むようにして、差込片の後端縁を内フラップの下面に位置させる。このように本発明の包装箱は2つの態様がある。以下、本発明について図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は本発明の一実施形態である包装箱1の斜視図、図2は当該包装箱1の展開図である。図1に示す包装箱1は、本発明の第1の実施形態について示すものであり、取付片31と天面21の接続位置で山折りされる。展開図には原則として紙面の裏面側に山折りされる山折り線が一点鎖線で示され、破断線と重複する場合には破線で示されている。この包装箱1は、箱本体10と、箱本体10の上部開口11の蓋となる天面21と、天面21が備えられた開口縁に隣接する開口縁に備えられた2つの内フラップ、つまり左内フラップ41及び右内フラップ42と、箱本体10の下部開口11の蓋となる4つの底フラップ27を有している。箱本体10は、連続する4つの側面26と一つののりしろ片28とから構成される。包装箱1は、打ち抜き加工等によって展開図に示す状態で作製された一枚の紙状片20から組み立てられる。この紙状片20は、可撓性を有する紙やプラスチックシートから作製される。なお、以下においては、組み立てた際に山折りされた差込片32の正面が見える面を前面とし、前面側に位置する方を前方、前面に対して左右の方向を幅方向、この幅方向に対して垂直な方向(前後方向、鉛直方向を問わず)を長さ方向として説明する。また、各内フラップ41(42)については、箱本体10との折り目線14から離れた位置にある縁を前縁として説明する。
【0023】
天面21は、組み立て時に背面に位置する側面26の上辺(開口11の背面側にある開口縁)に備えられ、折り目線14で山折りされる。天面21には、開口11の前面側にある開口縁のほぼ中央付近に位置する等脚台形状の切り欠きからなる取付部22が形成されている。この取付部22は、天面21の先端(前縁)から折り目線14に向けて略ハの字形状をなす長さの等しい左右の一対の切断線23と、天面21と開口縁との折り目線14側の端点、つまり一対の切断線23の終点イを結ぶ線15で囲まれ、左右一対の切断線23が取付部22の周縁の一部となっている。また、前記切断線23の終点イを結ぶ線15は、前面側の開口縁と略平行であり、天面21との接続線となっている。この終点イを結ぶ線15は、山折りされる折り目線16として利用される。
【0024】
差込フラップ30は、天面21の取付部22内に備えられた取付片31と、取付部22の前縁位置に相当する取付片31の先端に備えられた差込片32とからなる。取付片31は左右一対の切断線23の終点イを結ぶ線15(折り目線16)を取り付け位置として天面21に備えられている。取付片31の形状は取付部22の形状とほぼ同じであり、取付部22の周縁をなす切断線23によって天面21と取付片31が切り離された形状となっている。
【0025】
差込片32はほぼ矩形状をしており、その幅は開口11の内法長さとほぼ同じである。差込片32は、取付片31の先端において取付片31と連接され、取付片31への取付線18の両側に伸びる切断線17によって天面21の先端と切り離されている。
【0026】
言い換えると、実施例1の包装箱1は、天面の前縁の幅方向とほぼ等しい幅を有する差込フラップを有する一般的によく知られている構造をした包装箱において、天面と差込フラップの折り目線上にその左右両側から、差込フラップが切断されないように切れ込みを入れ、当該切れ込みの終端から天面に略ハの字形状をした左右一対の切断線23を設けたのと同様である。そして、この切断線23の終点イを結ぶ線15で山折りしている。
【0027】
差込フラップ30は開封時に切断される破断線12を有している。この破断線12は、開封されることにより切断され、開封されたことが分かる目印となる。破断線12は取付片31の左右の周縁上の点、つまり天面21と取付片31とを切断する左右の切断線23上の点を端点とする。本発明では、破断線12は以下の実施例において示すように取付片31の左右の周縁上の点を端点としていればよく、直線状、曲線状、蛇行状など任意の態様に設けることができるが、切断されやすさの観点からすると、開口11の前面開口縁と平行な直線部を有する態様にするのが好ましい。実施例1の破断線12は、取付片31と差込片32との取付線18上に設けられている。
【0028】
この包装箱1には、左の開口縁に備えられる左内フラップ41と、右の開口縁に備えられる右内フラップ42の2つの内フラップ41(42)が備えられている。左内フラップ41は開口縁への取付部位である折り目線43にて山折りされ、右内フラップ42は開口縁への取付部位である折り目線44にて山折りされる。左内フラップ41と右内フラップ42はほぼ同じ大きさを有し、左内フラップ41の先端縁41aの長さが折り目線43の長さに比べて短く、また右内フラップ42の先端縁42aの長さが折り目線44の長さに比べて短くなった略台形状に作製されている。このとき、その前縁における幅は開口11の幅よりもわずかに短く、両内フラップ41(42)の前縁において幅方向のほぼ全域が重なるように両内フラップ41(42)が作製されている。左右の内フラップ41(42)の前方側にある側縁は箱本体10の前方開口縁の近傍に位置し、当該側縁と箱本体10の前方開口縁との間に前記差込フラップ30の差込片32が差し込まれる。
【0029】
左内フラップ41と右内フラップ42の両者が重なる領域には、それぞれその前縁中央に切欠きからなる係止部45が形成されている。この係止部45は、組み立て時に差込フラップ30の取付片31を上方から下方に交差させる役目を有する。この係止部45があるので、両内フラップ41(42)の下面に差込片32を位置させることができる。従って、組み立て時において、左内フラップ41の切欠き位置と右フラップ42の切欠き位置はほぼ重なる位置にあり、2つの切欠きの前縁は、箱本体10の幅方向においては、取付片31の差込片32への取り付け位置とほぼ同じ位置にある。
【0030】
図1に示す係止部45となる切欠きは、前縁から天面21と開口縁の折り目線14方向に向かって間隔が広がる略逆ハの字形状をなす長さの等しい左右一対の切断線47を周縁の一部とする等脚台形状に作製されている。図示された係止部45は、左右の内フラップ41(42)の前縁における切欠き幅(図2のL1で示される)は、取付片31の差込片32への取り付け幅(図2のL3で示される)よりも大きく(L1>L3)、切断線47の端点(終点)同士を結ぶ直線48の長さ(幅)(L2)は、差込片32の取り付け幅(L3)よりもわずかに大きく形成されている(L2>L3)。従って、内フラップの前縁における切欠き幅(L1)と、切断線47の端点(終点)同士を結ぶ直線48の長さ(幅)(L2)と、差込片32の取り付け幅(L3)の関係は、L2>L1>L3となる。また、取付片31の天面22への取り付け幅(図2のLAで示される)は、左右の内フラップ41(42)の前縁における切欠き幅(L1)よりも小さければよい(L1>LA)。
【0031】
もっとも、係止部45は、取付片31を内フラップ41(42)の上方から下方に交差させ、差込片32の後端縁32aを内フラップ41(42)の下面に位置させておくことができればよい。そこで、係止部45の前縁における幅は、取付片31の幅、さらに具体的に言えば、内フラップ41(42)を交差させることができる幅を有しさえすればよい。言い変えると、前縁から天面21と開口縁の折り目線14方向に向かって左右の切断線47の幅が広がるか若しく切断線45が平行である係止部45の領域内において、取付片31の折り目線15で山折りされる前の状態において、当該取付片31が収まりさえすればよい。従って、取付部22の形状は、図示されたように略ハの字形状に限られず、図示はしないが、逆ハの字形状になった切断線23や平行となった切断線23、円弧状になった切断線23から取付部22を構成できる。また、切断線47の端点(終点)同士を結ぶ直線48の長さ(幅)(L2)と、差込片32の取り付け幅(L3)がほぼ同じであってもよい。
【0032】
差込片32の取り付け幅、つまり破断線12(取付線18)の幅が、絶対的な意味において(内フラップ41(42)の前縁における切欠き幅(L1)に関係なく)狭い場合には破断線12が容易に切除されてしまい包装箱1としての体をなさない虞がある。このため、係止部45の内フラップ41(42)前縁における切欠き幅(幅L1)やその他切断線47の方向など、係止部45の大きさ、形状はこのような虞がないよう、紙状片20の厚さ等を考慮しながら適宜設計される。
【0033】
係止部45における切欠きの奥行き、すなわち、天面21と開口縁の折り目線14方向に向かう長さ(切欠きの形状である台形の高さに相当)は特に制約はないが、少なくとも山折りされた差込片32の後端縁32aが内フラップ41(42)の下面に確実に位置する程度、少なくとも差込片32の厚み以上の長さは必要である。一方、この奥行きはできるだけ小さい方が好ましい。大きくなると包装箱1を平面視した場合に天面21に大きく穴が開くことになってしまうからである。また、奥行きが大きくなると開封時に破断線12が破断されない場合を生じるおそれが強くなる。
【0034】
実施例1の係止部45は、左内フラップ41、右内フラップ42共に、各内フラップ41(42)の前縁と平行であって、係止部45の周縁をなす左右の切断線47の端点同士を結ぶ線48から、天面21と開口縁の折り目線14方向に向かって膨らむ略等脚台形状をした第2の切欠き46を有する。この第2の切欠き46のために、開封時に指が入り易くなり、開封しやすくなっている。この第2の切欠き46は任意的なものであり、その形状も略等脚台形状に限られず、例えば半円状乃至半楕円状の切欠き46であっても差し支えない。
【0035】
この包装箱1の組み立て方は一般的な包装箱1の組み立て方とほとんど変わらず、箱本体10の開口11を塞ぐように、左内フラップ41及び右内フラップ42を山折りした後、天面21を山折りし、さらに差込フラップ30を取付片31の天面21への取り付け位置(折り目線16)にて山折りし(図6(a))、左右の内フラップ41(42)の前方側側縁と箱本体10正面の開口縁との間に差し込む。そうすると、取付片31と天面21が折り目線16で山折りされているので、特に困難無く係止部45に取付片31が入り込み、包装箱1が封緘される(同図(b))。
【0036】
そうして組み立てられた包装箱1を開封する場合には、図6(b)に示す状態から、天面21を持ち上げると、差込片32の後端縁32aが持ち上げられ、それと共に2つの内フラップ41(42)が持ち上げられる。しかしながら、内フラップ41(42)の持ち上がり角度は天面21の持ち上がり角度に比べて抑えられるので、破断線12には取付片31による上向きの力と差込片32による下向きの力が加えられる。そして、その両者の均衡が破られる結果、破断線12が破断され、同図(c)(d)に示されるように差込片32が切り離されて開封される。このように一度開封されると、差込フラップ30が切断された状態になるので、開封されたことが一目で判別できる。
【0037】
このように本発明の包装箱1では、内フラップ41(42)に切欠きからなる係止部45が備えられているので、組み立て時には差込フラップ30の取付片31が係止部45に入り込み、差込フラップ30の差込片32の後端縁32aを内フラップ41(42)の下面に位置させることができる。その結果、天面21を持ち上げると、破断線12には取付片31による上向きの力と差込片32による下向きの力が働き、両者のバランスが崩れることによって差込フラップ30に備えられた破断線12が破断される。
【0038】
以上のように、本発明の包装箱1では、内フラップ41(42)の切欠きである係止部45と、それと係止可能に構成された差込フラップ30との組み合わせにより、開封操作によって差込フラップ30を切断可能にしている。このような機能を果たすように、天面21の切断線12の方向や長さ、破断線12の長さ、係止部45の形状や大きさが適宜設定される。
【実施例2】
【0039】
図7は本発明の第2の実施形態である包装箱1を一部破断した展開図である。この包装箱1は実施例1の包装箱1とほぼ同様な構造を有しているが、破断線12は天面21の取付部22の周縁をなす2本の切断線23の終点イを結ぶ線15、すなわち、天面21と取付片31の折り目線16上に設けられている。この包装箱1では、開封時には差込フラップ30全体が切断される。このように破断線12を2本の切断線23の終点イを結ぶ線15上に設け、差込フラップ30全体を切断させてもよい。この終点イを結ぶ線15も箱本体10前面の開口縁と平行となっており、破断されやすい構造となっている。
【実施例3】
【0040】
図8は本発明の第3の実施形態である包装箱1を一部破断した展開図である。この包装箱1も実施例1の包装箱1とほぼ同様な構造を有しているが、破断線12は天面21の取付部22の周縁をなす2本の切断線23上の中間点ロを結ぶ線であってかつ箱本体10前面の開口縁と平行となっている点で異なる。この包装箱1では、取付片31の一部が差込片32とともに切断される。
【実施例4】
【0041】
図9は本発明の第4の実施形態である包装箱1を一部破断した展開図である。この包装箱1は、天面21の取付部22の周縁をなす2本の切断線23の始点ハを結ぶ線であって、差込片32の先端側に膨らむ略等脚台形状を形成する線上に破断線12が備えられている。この破断線12も破断線12の一部に箱本体10前面の開口縁と平行な部分12aを有している。この包装箱1では、差込片32の一部が取付片31に残り、差込片32の残る部分が切除される。
【実施例5】
【0042】
図10は本発明の第5の実施形態である包装箱1を一部破断した展開図である。この包装箱1は、取付片31と差込片32の取付線18上に破断線12が設けられているが、取付線18の中央部分のみが破断線12となり、破断線12の両側においては取付片31と差込片32とを切り離す切断線17となっている。このため、実施例2の包装箱1よりも破断線12が確実に破断される。このように、天面21の前縁から当該天面21と前記開口縁の折り目線14に向かって設けられた左右一対の切断線23を周縁の一部とする取付部22内に取付片31を設け、取付片31の先端に差込片32を形成する限り、取付部22の前縁幅(L5)と差込片32の取付片31への取付線18の幅(L4)が必ずしも等しくなくてよい。
【実施例6】
【0043】
上記実施例1の包装箱1は左右の内フラップ41(42)に一つの係止部45を備えているが、本発明においては、複数の係止部45を設けることもできる。図11は第6の実施形態である包装箱1の展開図である。この包装箱1の左右の両内フラップ41(42)はそれぞれ2つの係止部45を有している。組み立て時には左内フラップ41(42)が備えられた開口縁に近い位置にある係止部45と、右内フラップ41(42)が備えられた開口縁から遠い位置にある係止部45が重なり、左内フラップ41(42)が備えられた開口縁に遠い位置にある係止部45と右内フラップ41(42)が備えられた開口縁に近い位置にある係止部45が重なる。また、天面21は2つの取付部22を有しており、当該2つの取付部22内にそれぞれ差込フラップ30の取付片31が備えられている。そして、破断線12は、差込片32の取付片31への取付線18上にそれぞれ設けられている。この包装箱1においても、実施例1と同様に、2つの取付片31はそれぞれ対応する係止部45に係止され、開封時に2つの破断線12が切断され、差込片32が切り離される。
【実施例7】
【0044】
図12は本発明の第7の実施形態である包装箱1の斜視図である。この包装箱1は右内フラップ42のみを有している。係止部45は、この右内フラップ42の開口縁への折り目線44の近傍に形成されており、その位置に合わせて天面21に取付部22が形成されている。
【0045】
本発明においては、左右の内フラップ41(42)が、その下面に位置する差込片32が開封動作により上方に移動するのを抑えることができればよい。従って、このような作用を発揮する限りにおいては、係止部45の位置や天面21の取付部22の位置は、箱本体10の大きさ、内フラップ41(42)の形状などに基づいて適宜設定される。
【0046】
これらの機能を果たすことができれば、この実施例7に示すように左内フラップ41又は右内フラップ42の何れか一方に係止部45を設けることでも差し支えない。しかしながら、この場合には、当該内フラップ41(42)がたやすく開き、差込片32を抑える力を発揮できず、差込フラップ30を切断できない場合がある。このような観点から、前記各実施例のように左内フラップ41と右内フラップ42を重ね、この重なる位置に係止部45を設けるのが好ましい。
【0047】
また、左内フラップ41と右内フラップ42は通例、図1に示されたように左右対称の形状に作製されるので、左内フラップ41と右内フラップ42は、箱本体10のほぼ中央位置において重なることになり、開封時における左右のバランスが取りやすくなる。さらに、この重なり部分に差込片32の後端縁32aが位置するので、内フラップ41(42)によって加わる力が効果的に破断線12に加わり、破断線12が破断されやすくなる。
【0048】
このように本発明の包装箱1は、天面21に形成された切欠きからなる取付部22内に差込フラップ30の取付片31を備えるとともに、この取付片31を内フラップ41(42)の上方から下方に交差させる切欠きからなる係止部45を左内フラップ41及び/又は右内フラップ42を備えている。このために、封緘時に、取付片31を係止部45に挿通させ、取付片31の先端に備えられた幅広の差込片32の後端縁32aを内フラップ41(42)の下面に位置させることができる。そして、開封時には、差込フラップ30に設けられた破断線12に上向きの力と下向きの力が加わるので破断線12が破断される。その結果、開封されたことが直ちに認識される。
【実施例8】
【0049】
図13は本発明の第8の実施形態である包装箱1の斜視図、図14は当該包装箱1を一部破断した展開図、図15は当該包装箱1の平面図、図16は図15のBB線断面図である。この包装箱1は本発明の第2の実施態様に対応するものであって、差込片32を取付片31との取付位置にて予め山折りしておき、前方の開口縁と内フラップ41(42)の先端縁との間に差込片32を差し込んだ後に、取付片31を係止部45に係止させるようにしたものである。この態様によると、取付片31の天面21への取付位置において明確な折り目線16がなく、しなるようにして取付片31が係止部45に係止される。この結果、天面21に大きな穴が開くことなく封することができる。
【0050】
この包装箱1の展開図は、実施例1に示す包装箱1の展開図とほぼ同じであり、図14に示すように、差込片32の取付片31への取付線18上で山折りされる折り目線13が設けられ、破断線12が折り目線13となっている点で異なる。また、天面21の取付部22の周縁をなす2本の切断線23の終点イを結ぶ線(図示されていない)上には、折り目線が付されていない。
【0051】
この包装箱1の係止部45は、取付片31を確実に係止させておく必要があるので、内フラップ41(42)の前縁の切欠き幅(L1:図示せず)は、差込片32の取付片31への取付幅(L3)よりもわずかに狭い必要がある。また、差込片32の上端縁32aを、内フラップ41(42)の下面に位置させる必要があるので、係止部45を形成する両側縁(切断線47)は逆ハの字形状に形成するのが望ましい。従って、上記実施例と異なり、内フラップの前縁における切欠き幅(L1)と、差込片32の取り付け幅(L3)の関係はL3>L1となるが、これらと切断線47の端点(終点)同士を結ぶ直線48の長さ(幅)(L2)との関係はL2>L3>L1である必要はなく、L3>L2>L1となっても差し支えない。
【0052】
包装箱1の組み立て時には予め折り目線13(破断線12)上で山折りされる。そして差込片32を差し込んだ後に、取付片31の前方位置を押し下げることによって、取付片31を係止部45に係止させて包装箱1を封する。この態様によっても、係止部45に挿通させた取付片31の先端に備えられた幅広の差込片32の後端縁32aが内フラップ41(42)の下面に位置するので、開封時には、差込フラップ30に設けられた破断線12に上向きの力と下向きの力が加わり、破断線12が破断される。
【0053】
実施例8の包装箱1では、破断線12は差込片32と取付片31の折り目線13上に設けられているが、破断線12の位置はこの位置でなくてもよい。例えば、図7の実施例2に示すように取付部22の周縁を形成する切断線23の終点イを結ぶ線15を破断線12としたり、図9の実施例4に示すように差込片31に破断線12を設けるなど、取付片31の左右の縁(天面21と取付片31とを切断する切断線23)上の点を端点とする任意の破断線12を設けることができる。
【実施例9】
【0054】
図17は本発明の第9の実施形態である包装箱1を一部破断した展開図である。この包装箱1は、上記第2の実施態様とほぼ同様な構造をしているが、天面21の取付部22の周縁は、前縁から天面21と開口縁の折り目線14に向けて平行となった左右一対の切断線23と、さらに両切断線23の終点イから、さらに天面21と開口縁の折り目線14に向けて、幅方向外側に膨らむ円弧状の切断線24を備え、この切断線24の終点ニを結ぶ線が天面21と取付片31との接続線(図では現れない)となっている。つまり、左右一対の平行となった切断線23と、それに続く左右一対の円弧状の切断線24と、取付部22の前縁と、円弧状の切断線24の両終点ニを結ぶ線(図では現れない)によって天面21の取付部22が形成され、左右一対の平行となった切断線23が取付部22の周縁の一部となっている。
【0055】
また、取付片31の左右縁31aと左右一対の平行線となった切断線23の間に隙間が形成され、取付片31は天面21の取付部22よりも小さく作製されている。また、差込片32は他の実施例と同じように、取付部22の前縁幅よりも広い幅を有する略矩形状に作製されている。この包装箱1において、内フラップ41(42)に形成された係止部45の前縁における切欠き幅(L1)と、差込片32の取付片31への取り付け幅(L3)の関係がL3>L1となるようにしておくと、取付片31を係止部45に係止させることができる。
【0056】
以上各実施例について説明したように、天面21に設けた切欠きからなる取付部22に、差込フラップ30を構成する取付片31を設け、当該取付片31を内フラップ41(42)の下面に位置させることができる切欠きからなる係止部45を内フラップ41(42)の前縁に設けているので、天面21との取付部分において取付片31を山折りすることにより、封をすることができる。また、予め差込片32を取付片31との取付部分において山折りした差込フラップ30を差し込み、その後取付片31の前方位置を下方に押さえることにより、封をすることができる。こうして天面21で開口11を塞ぐことにより、いずれの場合にも、差込片32の上端縁32aが内フラップ41(42)の下面に位置する。その結果、開封した際には、差込フラップ20に設けられた破断線12が切断され、開封したことがすぐに判別される。
【0057】
もっとも、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形例が考えられるのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によると、差込フラップを備えた従来の一般的な包装箱と同じ組み立て方で組み立てることができる改ざん防止用の包装箱が提供される。特に、本発明によると天面と内フラップを糊付けしたり、差込片を差し込んだりする手間を省くことができる。
【符号の説明】
【0059】
1 包装箱
10 箱本体
11 箱本体上部の開口
12 差込フラップを切断する破断線
14 天面と開口縁との折り目線
21 天面
22 天面の取付部
23 天面の切欠きの周縁の一部を構成する切断線
30 差込フラップ
31 天面の取付部内に備えられる差込フラップの取付片
32 取付片の先端に備えられる差込片
41 左内フラップ
41a 左内フラップの先端縁
42 右内フラップ
45 切欠きからなる係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱本体の開口を塞ぐ天面と、天面が備えられた開口縁に隣接する左右開口縁の少なくとも一方の開口縁に備えられた内フラップと、当該内フラップの前縁と前記開口の前縁との間に差し込まれる差込フラップとを備えた包装箱であって、
前記天面は、前縁から当該天面と前記開口縁の折り目線に向かう左右一対の切断線の少なくとも一部を周縁の一部とする切欠きからなる取付部を有し、
前記差込フラップは、前記開口の前縁と略平行となる接続線によって前記取付部内において前記天面に備えられた取付片と、当該取付片の先端に備えられ、前記取付部の前縁幅よりも広い幅を有し、前記取付片の先端両側において前記天面と切り離された差込片とを有し、かつ、当該差込フラップは前記取付片の左右の縁上の点を端点とする破断線を備え、
前記内フラップは、前記取付片を当該内フラップの上方から下方に交差させ、前記差込片の後端縁を当該内フラップの下面に位置させる切欠きからなる係止部を有することを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記天面と前記取付片の接続線において山折りされたことを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記係止部の両端縁は前記内フラップの前縁から天面と開口縁の折り目線方向に向かって間隔が広がる略逆ハの字形状となったことを特徴とする請求項2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記係止部の前縁位置における切欠き幅は前記取付片と前記差込片の接続幅よりも広いことを特徴とする請求項3に記載の包装箱。
【請求項5】
前記破断線が前記取付片と前記差込片の接続位置に設けられたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の包装箱。
【請求項6】
前記破断線が前記取付片に設けられたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の包装箱。
【請求項7】
前記破断線が前記差込片に設けられたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の包装箱。
【請求項8】
前記内フラップの係止部は、当該内フラップが備えられた開口縁の近傍に設けられたことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の包装箱。
【請求項9】
天面が備えられた開口縁に隣接する左右の開口縁に、前縁の一部が重なるように左右の内フラップが備えられ、当該重なる領域に前記係止部が形成されたことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の包装箱。
【請求項10】
前記係止部は、当該係止部の前縁から天面と開口縁の折り目線方向に向かって膨らむ第2の切欠きを有することを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−215263(P2010−215263A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63624(P2009−63624)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(591230619)株式会社ナリス化粧品 (200)
【Fターム(参考)】