説明

包装袋、内容物入り包装袋、および包装袋の製造方法

【課題】引き裂き性を低下させることなく、手への不快感を抑制して作業性を向上させる包装袋、内容物入り包装袋、および包装袋の製造方法を実現する。
【解決手段】筒状のフィルム11の側部12に、長さ方向に沿ってヒートシールされた融着部13により仕切られた、複数の筒部14により主筒部14aと副筒部14bとが形成された包装袋10であって、開封開始部18が、前記副筒部14bの側縁部17を含み前記融着部13に向かって設けられたことを特徴とする包装袋10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋、内容物入り包装袋、および包装袋の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液状や粉末状の薬剤や食品などを収容する袋状の容器としては、3方シール形包装袋、4方シール形包装袋、1枚のフィルムの両端をヒートシールして形成した接合部を袋の背面に備えたピロー形または封筒形の包装袋、インフレーション法により製造した筒状フィルムの開口部をヒートシールした2方シール形包装袋などが一般的に用いられている。
【0003】
ところで、袋状の容器には、開封が容易にできるように開口部に近い両方の側部の一方または両方にノッチなどの開封開始部が設けられる場合が多い。3方シール形包装袋の場合は、両方の側部がヒートシールされているので、開封開始部を容易に設けることが可能である。
しかし、3方シール形包装袋は、ヒートシールした接合部の剛性が増し、鋭利になるため、接合部に指先などが触れると不快に感じる場合があり、持ち運びや開封などの作業性が低下することがあった。また、場合によっては、手指を切創することもあった。
【0004】
そこで、指先が不快に感じることなく、袋を容易に切り裂いて開封できる袋が提案されている。例えば特許文献1には、周囲をヒートシールする段階の前段階において所定位置に形成したノッチに、ヒートシールを施して形成された擬似ノッチを備えたノッチ付き包装袋が開示されている。
【0005】
しかし、特許文献1に記載のような包装袋では、開封時における指先の不快感を抑制することはできるものの、擬似ノッチが備わる領域以外の周囲、特に両方の側部はヒートシールされているので、剛性が増している。
従って、例えば、粉末状の内容物が収容された包装袋を開封する際に、内容物の飛散を防ぐ目的で内容物を鉛直方向の下方に寄せ集めるために、包装袋の両方の側部を手で掴み、包装袋の底部を机などの対象物に数回衝突させる操作を行う場合があるが、剛性の高い両方の側部が手に当たるため、不快に感じることがあり、作業性が低下しやすかった。
また、袋に収容する内容物として、例えば人工腎臓用透析用の粉末剤などの粉末状の薬剤を収容する場合、多量の内容物を収容することもあるため、袋を形成するフィルムの厚さを厚くすることがある。フィルムの厚さが厚くなるほど、袋の両方の側部の剛性は増すこととなる。しかし、特許文献1に記載のような包装袋を製造する際に、厚手のフィルムを用いた場合は特に、手が不快に感じやすくなり、作業性が低下しやすかった。
【0006】
そこで、例えば特許文献2には、図6に示すように1枚の積層フィルム41がその対向する面においてガセット折りされて、被収容体を収容することにより袋状の容器を構成する本体42を備えたパウチ容器が開示されている。該パウチ容器によれば、1枚の積層フィルム41をガセット折りすることにより、本体42の外側に形成される角部43に中空が形成され、角部43における手触り感を柔らかくすることができる。
【0007】
また、両方の側部がヒートシールされた袋としては、例えば特許文献3に、シール部がフィルムの外縁から離れた位置に形成され、該シール部よりも外側に位置する二つの非接着のフィルム外辺部に、多数の傷痕を有する傷痕群が形成された易開封密封袋が開示されている。
【特許文献1】特開2007−1596号公報
【特許文献2】特開2007−99364号公報
【特許文献3】特開平5−178352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載のようなパウチ容器には口栓が設けられ、パウチ容器を開封する際は、開栓することで内容物を取り出すことができる。従って、上記パウチ容器は開封手段としては口栓専用の容器であり、ノッチなどの開封開始部を用い、引き裂いて開封するものではない。何故ならば、上記パウチ容器は図6に示すように側部44がガセット折りになっているので、1つの側部44に2つの角部43が形成されることとなる。例えば2つの角部43のうち一方の角部43aにノッチなどの開封開始部を設けて開封すると、図6に示すようにガセットの折り部45までは、側面を形成するフィルム41aと側部を形成するフィルム41bを同一方向に引き裂きことができるが、ガセットの折り部45を過ぎるとフィルム41aを引き裂く方向とフィルム41bを引き裂く方向が逆になるため、円滑に引き裂くことが困難であり、引き裂き性が低下しやすかった。
また、2つの角部43の両方の角部43a、43bに開封開始部を設けて開封したとしても、ガセットの折り部45までは4枚のフィルムを重ねて引き裂くことになるので、より大きな力で引き裂く必要があった。
従って、特許文献2に記載のような構成を適用した包装袋では、開封開始部を設けて開封することは困難である。
【0009】
また、特許文献3に記載のような易開封密封袋は、プラスチックのフィルムからなる密封袋を任意の位置から容易に引き裂くことを目的としたものであるが、上述のようにフィルムの外縁から離れた位置にシール部を設けることで、手への不快感を抑制することもできると推測される。
しかしながら、包装袋においては、手への不快感をより低減できるものが求められており、特許文献3に記載のような易開封密封袋では、必ずしも手への不快感を抑制することは十分ではなかった。
【0010】
ところで、ピロー形または封筒形の包装袋は、接合部を側部に有さず袋の背面に備えるため、また、2方シール形包装袋も接合部を側部に有さないため、これらの包装袋は3方シール形包装袋や4方シール形包装袋に比べて持ち運びや開封などの作業時はもちろんのこと、包装袋の両方の側部を手で掴み、包装袋の底部を机などの対象物に数回衝突させる操作を行う場合において、手が不快に感じにくい。
しかしながら、ピロー形または封筒形の包装袋、および2方シール形包装袋は筒状に形成されているので、包装袋の側部に開封開始部を設けると、内容物を収容する収容部に開封開始部が設けられることになるので、内容物が漏れてしまい、包装袋の側部に開封開始部を設けることは困難であった。
【0011】
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、引き裂き性を低下させることなく、手への不快感を抑制して作業性を向上させる包装袋、内容物入り包装袋、および包装袋の製造方法を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の包装袋は、筒状のフィルムの側部に、長さ方向に沿ってヒートシールされた融着部により仕切られた、複数の筒部により主筒部と副筒部とが形成された包装袋であって、開封開始部が、前記副筒部の側縁部を含み前記融着部に向かって設けられたことを特徴とする。
ここで、前記開封開始部が、前記副筒部の側縁部を含み前記融着部にかけて設けられたことが好ましい。
【0013】
また、前記開封開始部がノッチであることが好ましい。
さらに、前記融着部の厚さが100〜400μmであっても、手への不快感を抑制し、作業性を向上できる。
また、本発明の内容物入り包装袋は、前記包装袋に、粉末状の内容物が収容されたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の包装袋の製造方法は、筒状のフィルムの側部に、長さ方向に沿ってヒートシールした融着部により仕切られた、複数の筒部により主筒部と副筒部とを形成し、開封開始部を、前記副筒部の側縁部を含み前記融着部に向けて形成することを特徴とする。
ここで、前記開封開始部を、前記副筒部の側縁部を含み前記融着部にかけて形成することが好ましい。
【0015】
また、インフレーション法により筒状のフィルムを形成することが好ましい。
さらに、ドライラミネーションにより作製され、かつ厚さが50〜200μmのフィルムを用いたとしても、手への不快感を抑制し、作業性を向上し、バリア性などの機能性を付与できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の包装袋、内容物入り包装袋、および包装袋の製造方法によれば、引き裂き性を低下させることなく、手への不快感を抑制して作業性を向上できる。
また、本発明の包装袋であれば、多量の内容物を収容するために厚手のフィルムを用いたとしても、手への不快感を抑制し、作業性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図を用いて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の包装袋10の一例を示す斜視図である。
この例の包装袋10は、筒状のフィルム11の側部12に、長さ方向に沿ってヒートシールして融着部13と複数の筒部14とを形成し、底部15をヒートシールして袋状に形成されている。
【0018】
本発明に用いられる筒状のフィルム11は、単層フィルムまたは、複数の層が積層した積層フィルムである。
筒状のフィルム11の厚さとしては特に制限されず、本発明では、例えば50〜200μmの厚さの筒状のフィルム11を用いることも可能である。
【0019】
積層フィルムを形成する内層、すなわち筒状のフィルム11の内側に位置する層、または単層フィルムを構成する材料としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンからなるシーラントフィルムが好ましい。中でも、衝撃強度物性に優れる点でポリエチレンが好ましく、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
内層を構成するシーラントフィルムの厚さは、40〜100μmが好ましい。
【0020】
積層フィルムを形成する外層、すなわち外気と接する側に位置する層を構成する材料としては、例えば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系、ポリカーボネート系、ポリアセタール系などの合成樹脂からなるフィルムを用いることができる。なお、外層には、通常、印刷が施される場合が多い。
外層を構成するフィルムの厚さは、15〜40μmが好ましい。
【0021】
また、積層フィルムには、ガスバリア性フィルムをさらに設けてもよい。ガスバリア性フィルムを設けることで、酸素などで変質しやすい薬剤の収容に好適な包装袋が得られる。
ガスバリア性フィルムとしては、例えば、ポリエステルまたはポリアミドからなるフィルムに、シリカ、アルミニウム、アルミナ等を蒸着させたフィルム、アルミニウム箔、ポリビニルアルコールからなるフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンからなるフィルム等が挙げられる。
ガスバリア性フィルムの厚さは、7〜40μmが好ましい。
【0022】
ここで、本発明の包装袋の製造方法を説明しながら、包装袋10の構成について詳述する。
まず、インフレーション法、または1枚のフィルムをフィルムの両端が重なるようにヒートシールして形成した接合部を筒の背面とすることにより、筒状のフィルム11を成形する。インフレーション法により筒状のフィルム11を成形する場合は、筒状のフィルム11は単層フィルムであってもよく、積層フィルムであってもよいが、成形のしやすさを考慮すると、単層フィルムであることが好ましい。ただし、包装袋に強度を付与させたり嫌気性の内容物を収容したりする場合は、多層インフレーション法により筒状のフィルムを成形するか、またはインフレーション法により得られる筒状のフィルムを押し潰し、扁平の状態にした後に、ドライラミネート等により他の層を積層させることにより、上述した積層フィルムとするのが好ましい。
一方、1枚のフィルムをフィルムの両端が重なるようにヒートシールする場合は、単層フィルムを用いてもよく、積層フィルムを用いてもよいが、包装袋に強度を付与させたり嫌気性の内容物を収容したりする場合は、ドライラミネートにより作製した積層フィルムを用いるのが好ましい。
【0023】
そして、図1に示すように筒状のフィルム11の側部12に、長さ方向に沿ってヒートシールして融着部13と複数の筒部14を形成させる。複数の筒部14は融着部13により仕切られており、複数の筒部14により主筒部14aと、副筒部14bとが形成される。主筒部14aは、融着部13の内側、すなわち筒状のフィルム11の中央部に位置し、副筒部14bは融着部13の外側、すなわち筒状のフィルム11の側部に位置する。また、主筒部14aは、内容物を収容する収容部として用いる。
なお、図1に示す筒状のフィルム11は、インフレーション法により成形させたものである。
【0024】
この際、図2に示すように、融着部13の幅d1が3〜15mmになるように、また、副筒部14bを押し潰し、扁平状にした際の長さd2が2〜10mmになるように、筒状のフィルム11の側部12をヒートシールするのが好ましく、より好ましくは、融着部13の幅d1が5〜10mmであり、副筒部14bの長さd2が3〜8mmである。
融着部13の幅d1が3mm以上であれば、融着部13の一部が何らかの要因で剥離するようなことがあったとしても、それ以外の部分にてフィルム同士を接着させておくことができるので、主筒部14a、すなわち収容部を保持できる。一方、融着部13の幅d1が15mm以下であれば、十分な容量の主筒部14aを確保できる。
また、副筒部14bの長さd2が2mm以上であれば、側部12を手で掴んだ際に、指先も融着部13に触れにくくなるので、手への不快感をより抑制できる。一方、副筒部14bの長さd2が10mm以下であれば、内容物の収容に関与しないフィルムの割合を低減できるので、コストを削減できる。
【0025】
なお、本発明においては、筒状のフィルム11の側部12をヒートシールする際は、図1に示すように、筒状のフィルム11の両側の側部12に、長さ方向に沿ってヒートシールして融着部13と複数の筒部14を形成させてもよく、図5に示すように一方の側部12のみをヒートシールしてもよい。前者の包装袋10の場合は、1つの主筒部14aに対して2つの副筒部14bが、融着部13を介して主筒部14aの両側に形成される。一方、後者の包装袋20の場合は、1つの主筒部14aに対して1つの副筒部14bが、融着部13を介して主筒部14aの片側に形成される。
ただし、図1に示すような包装袋10であれば、後述する開封開始部18を両方の副筒部14bに設けることが可能となるので、仮に一方の開封開始部からの開封が円滑に行われない場合であっても、反対側から開封することができるため、2つの副筒部14bを有することが好ましい。
【0026】
このように、筒状のフィルム11の側部12に、長さ方向に沿ってヒートシールすることで、融着部13では、剛性が高まるものの、筒部14はヒートシールされないので剛性が高まる恐れがなくなり、鋭利になりにくくなるので、手が触れても不快に感じにくくなる。
従って、例えば、粉末状の内容物が収容された包装袋、すなわち内容物入り包装袋を開封する際に、包装袋の両方の側部を手で掴み、包装袋の底部を机などの対象物に数回衝突させる操作を行う場合であっても、手が直接触れるのは融着部13に比べて剛性の低い副筒部14bや主筒部14aなどの筒部14であるため、手が不快に感じにくくなる。
【0027】
底部については、底部15をヒートシールして、筒部14を袋状に形成する。底部15をヒートシールする際は、底部15の底辺15’からヒートシールしてもよく、底辺15’より内側でヒートシールしてもよいが、主筒部14aの容積を考慮すると、図1に示すように、底辺15’からヒートシールして、底融着部16を形成させるのが好ましい。
また、主筒部14aに相当する箇所の底部のみをヒートシールしてもよく、主筒部14aと副筒部14bの両方に相当する箇所の底部をヒートシールしてもよいが、図1に示すように、主筒部14aに相当する箇所の底部のみをヒートシールして、底融着部16を形成させるのが好ましい。これにより、副筒部14bの底部はヒートシールされないので、副筒部14bの周面の全てが筒状を維持し、副筒部14bの底部に手が触れたとしても、不快に感じにくくなる。
【0028】
側部12には、図1に示すように、副筒部14bの側縁部17を含み融着部13に向けて開封開始部18を形成する。図1に示すように、1つの主筒部14aに対して2つの副筒部14bが備わる包装袋10の場合は、少なくとも一方の副筒部14b’に開封開始部18が設けられていればよく、一方の副筒部14b’に設けられる開封開始部18の個数としては1〜2個が好ましい。なお、開封開始部18を2個設ける場合は、副筒部14b’の上下端側、すなわち底部15に対向する口部19側と底部15側に各々設けてもよく、これにより、口部19および底部15のいずれかからも開封することができる。また、上述したように2つの副筒部14bに開封開始部18が設けられれば、仮に一方の開封開始部からの開封が円滑に行われない場合であっても、反対側から開封することができる。
このように開封開始部18を設けることで、開封開始部18を開封基点として包装袋10を幅方向に引き裂くことができるようになる。
なお、本発明において「副筒部の側縁部」とは、副筒部14bの周面において、副筒部14bと融着部13との境界13aから最も遠い位置となる部分をいう。
【0029】
本発明においては、上述したように、筒状のフィルム11の側部に長さ方向に沿ってヒートシールして、融着部13と複数の筒部14とを形成させているので、包装袋の側部、すなわち副筒部14bの側縁部17を含み融着部13に向けて開封開始部18を形成させても、主筒部14a、すなわち収容部には開封開始部18が設けられないので、包装袋に収容した内容物が漏れる恐れがない。
このように、本発明によれば、ピロー形または封筒形の包装袋、および2方シール形包装袋のように側部に接合部を有さない袋であっても、側部に開封開始部を設けることができる。従って、これらの包装袋を用いて、手への不快感を抑制しつつ、かつ容易に開封可能な包装袋を得ることができる。
【0030】
また、本発明においては、開封開始部18が副筒部14bの側縁部17を含み融着部13に向けて設けられている。すなわち、図2に示すように、開封開始部18は、起点18aが副筒部14bの側縁部17に、終点18bが副筒部14bと融着部13との境界13aを超えない副筒部14b内に位置するように設けられている。
【0031】
開封開始部18としては、ノッチ、部分傷痕、微細な半貫通孔、弱化線などが挙げられるが、ノッチが好ましい。ノッチの形状としては特に制限されず、例えば、図1、2に示すようなペンタゴン型、図3(a)に示すようなI型、図3(b)に示すようなV字型、図3(c)に示すようなU字型、図3(d)に示すような半円型などが挙げられる。なお、微細な半貫通孔とは、以下に示す状態を意味する。側部の開封開始部18が設けられる箇所に無作為に微細な貫通孔を穿孔することで、副筒部を押し潰し扁平状にした際に、微細な貫通孔同士が重なり合いにくく、フィルム全体としては貫通した状態よりも半貫通の状態になりやすくなる。なお、貫通しない程度に無作為に穿孔する場合も含む。半貫通孔を形成する方法としては、フィルムの所定の位置にレーザー光線を照射したり、紙やすりなどで物理的に傷をつけたりして半貫通加工を施す方法が挙げられる。
【0032】
開封開始部18を形成する方法としても、特に制限されず、例えばノッチの場合、融着部13を形成する前、または形成した後に、剃刀などを用いて所望の形状に形成する方法などが挙げられる。
【0033】
また、開封開始部18は、引き裂きを開始したい位置に設定すればよく、例えば図2に示すように、口部19の口部辺19’、または底部の底辺から開封開始部18の中心までの距離d3が10〜40mmになるような位置に設けるのが好ましい。距離d3が10mm以上であれば、内容物の充填後、ヒートシールして口部19を封止した後に、両手の指先で副筒部14bを摘まんで、互いに逆方向に手を動かして包装袋を引き裂く際に、摘まみ代が十分な大きさとなるので、引き裂きやすくなる。一方、距離d3が40mm以下であれば、包装袋を引き裂く際に、内容物が飛散するのを抑制できる。なお、距離d3が10mm未満となると、包装袋を引き裂く際の引裂軌跡が蛇行した際に、包装袋の口部19が全開しない場合がある。
【0034】
また、開封開始部18は、上述したように起点18aが副筒部14bの側縁部17に位置している。一方、開封開始部18の終点18bは、起点18aから終点18bまでの距離d4が、例えば1mm以上になるように位置するのが好ましい。距離d4が1mm以上であれば、副筒部14bに設けられる開封開始部18の長さが十分であるため、包装袋10を容易に引き裂くことができる。
【0035】
また、本発明においては、図4に示すように、開封開始部18を副筒部14bの側縁部17を含み融着部13にかけて形成させてもよい。すなわち、図4に示すように、開封開始部18は副筒部14bの幅方向の領域の全て、すなわち副筒部14bの側縁部17から、副筒部14bと融着部13との境界13aまでと、融着部13の幅方向の領域の一部、すなわち境界13aから融着部13の領域を超えない範囲までとに設けてもよい。これにより、開封開始部18の一部が融着部13にも形成されるので、境界13aにおいて引き裂き強度が増大するのを抑制することができるので、一定の力で円滑に包装袋を引き裂くことができる。
【0036】
上述したように、副筒部14bの側縁部17を含み融着部13にかけて開封開始部18を形成させる場合、開封開始部18の終点18bは、境界13aから終点18bまでの距離d5が、3mm以下になるように位置するのが好ましく、より好ましくは2〜3mmである。距離d5が2mm以上であれば、より一定の力で融着部13を引き裂くことができる。一方、距離d5が3mm以下であれば、内容物の充填時や搬送時に、何らかの要因で包装袋の側部、特に開封開始部に外部応力が加わり、包装袋が引き裂かれるようなことがあっても、引き裂きを融着部13内に留めることができる。
【0037】
なお、本発明においては、開封開始部18の形状が微細な半貫通孔や弱化線となるように開封開始部18を形成する場合も、副筒部14bの側縁部17から容易に包装袋を開封することができるので、実質的に開封開始部18の起点18aが副筒部14bの側縁部17に位置するものとみなす。
また、開封開始部18を副筒部14bの側縁部17を含み融着部13にかけて形成させる場合、開封開始部18の終点18bは、融着部13に位置するものであり、融着部13を超えた主筒部14aにまで位置するものではない。
【0038】
本発明においては、包装袋10の口部19の封止方法については特に制限されず、例えば内容物を充填した後に口部19をヒートシールして封止すればよい。
【0039】
また、本発明の包装袋10の主筒部14aに収容する内容物についても特に制限されず、薬剤や食品などを収容できる。また、これら内容物の形状は、液状であってもよく粉末状であってもよく、特に制限されない。特に、内容物が粉末状の場合には、内容物の飛散を防ぐ目的で内容物を鉛直方向の下方に寄せ集めるために、包装袋の両方の側部を手で掴み、包装袋の底部を机などの対象物に数回衝突させる操作を行う機会が多いので、本発明の効果が発現されやすい。従って、本発明の扁平袋は、粉末状の内容物を収容するのに特に適している。
これらの中でも特に、人工腎臓用透析用の粉末剤などの粉末状の薬剤を収容する場合に好適である。
【0040】
粉末状の薬剤を収容する場合、多量の薬剤を収容することも多く、袋の耐久性を考慮してフィルムの厚さを厚くする場合がある。従来の袋状の容器では、開封開始部が設けられる両方の側部は外縁からヒートシールされて融着しているので、この側部の厚さはフィルムの厚さの2倍になる。従って、フィルムの厚さが厚くなるほど側部の剛性が増して鋭利になり、側部に手などが触れると不快に感じやすくなる。
【0041】
しかし、本発明であれば、筒状のフィルムの側部に、長さ方向に沿ってヒートシールされて融着部と複数の筒部とを形成させているので、筒部はヒートシールされていないので、剛性が高まる恐れがない。従って、筒部は鋭利になりにくいので、筒部に手が触れても不快に感じにくくなる。特に厚さが50μm以上のフィルムを用い、融着部の厚さが100μm以上になったとしても、本発明の構成であれば筒部に手が触れても不快に感じにくい。また、手指を切創することも抑制できる。よって、例えば3kg程度の多量の薬剤を収容する場合であっても、袋の耐久性を保持しつつ、手への不快感を抑制し、作業性を向上できる。
【0042】
以上説明したように、筒状のフィルムの側部に、長さ方向に沿ってヒートシールされて融着部と複数の筒部とを形成させることで、融着部の外側に形成される筒部の剛性が高まるのを抑えることが可能となる。この箇所は鋭利になりにくく、手などが触れても不快に感じにくい。従って、特に、本発明の包装袋を用いて粉末状の内容物を収容した、内容物入り包装袋であれば、開封する際に内容物入り包装袋の両方の側部を手で掴み、内容物入り包装袋の底部を机などの対象物に数回衝突させる操作を行う場合であっても、手への不快感を抑制できるので、作業性を向上できる。
【0043】
また、本発明の包装袋によれば、手への不快感を抑制しつつ、包装袋の側部に開封開始部を設けることができるので、容易に包装袋を開封できる。また、開封開始部が副筒部の側縁部を含み融着部に向けて設けられているので、包装袋を開封する際は2枚分のフィルムを引き裂くだけの力を用いればよい。さらに、開封開始部を、副筒部の側縁部を含み融着部にかけて設ければ、融着部を一定の力でより円滑に引き裂くことができる。
【0044】
よって本発明によれば、引き裂き性を低下させることなく、手への不快感を抑制して作業性を向上させる包装袋が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の包装袋の一例を示す斜視図である。
【図2】開封開始部の一例を示す部分拡大図である。
【図3】開封開始部の他の例を示す部分拡大図である。
【図4】包装袋の側部の他の例を示す部分拡大図である。
【図5】包装袋の他の例を示す斜視図である。
【図6】従来のパウチ容器を示す断面図である。
【符号の説明】
【0046】
10:包装袋、20:包装袋、11:筒状のフィルム、12:側部、13:融着部、14:筒部、14a:主筒部、14b:副筒部、17:側縁部、18:開封開始部。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のフィルムの側部に、長さ方向に沿ってヒートシールされた融着部により仕切られた、複数の筒部により主筒部と副筒部とが形成された包装袋であって、
開封開始部が、前記副筒部の側縁部を含み前記融着部に向かって設けられたことを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記開封開始部が、前記副筒部の側縁部を含み前記融着部にかけて設けられたことを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記開封開始部がノッチであることを特徴とする請求項1または2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記融着部の厚さが100〜400μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の包装袋。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の包装袋に、粉末状の内容物が収容されたことを特徴とする内容物入り包装袋。
【請求項6】
筒状のフィルムの側部に、長さ方向に沿ってヒートシールした融着部により仕切られた、複数の筒部により主筒部と副筒部とを形成し、
開封開始部を、前記副筒部の側縁部を含み前記融着部に向けて形成することを特徴とする包装袋の製造方法。
【請求項7】
前記開封開始部を、前記副筒部の側縁部を含み前記融着部にかけて形成することを特徴とする請求項6に記載の包装袋の製造方法。
【請求項8】
インフレーション法により筒状のフィルムを形成することを特徴とする請求項6または7に記載の包装袋の製造方法。
【請求項9】
ドライラミネーションにより作製され、かつ厚さが50〜200μmのフィルムを用いることを特徴とする請求項6または7に記載の包装袋の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−78859(P2009−78859A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251473(P2007−251473)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】