説明

包装袋の内容物充填方法及び包装袋

【課題】各収容部を確実に開口させることができ、見栄えを良好にすることができる包装袋の内容物充填方法及び包装袋を提供する。
【解決手段】包装袋1は、一方の外面シート2の開口縁部近傍に、スリット2aを備え、仕切りシート4の開口縁部と反開口縁部とを、外面シート2の開口縁部と反開口側に接着する。外面シート2,3のスリット2aよりも開口側を吸引して第1収納部5を開口させる第1収納部開口工程14と、第1収納部5に第1内容物23を充填する第1充填工程12と、スリット2aよりも開口側の外面シート2,3と仕切りシート4とをスポットシールする接着工程13と、外面シート2,3のスリット2aよりも反開口側を吸引して第2収納部6を開口させる第2収納部開口工程14と、第2収納部6に第2内容物26を充填する第2充填工程15と、開口側の外面シート2,3と仕切りシート4とを封止する封止工程16とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋の内容物充填方法及び包装袋に関し、詳しくは、仕切りシートによって袋内を2つの収納部に分割した包装袋に内容物をそれぞれ充填する方法及び包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対向する一対の外面シートの間に仕切りシートを介在させ、袋内を2つの収納部に分割した包装袋が知られている。この包装袋として、一対の外面シートの双方に吸着穴をそれぞれ形成し、前記吸着穴を介していずれか一方の外面シート側に仕切りシートを交互に吸引吸着させることにより、2つの収納部のいずれか一方の開口部を開口して内容物をそれぞれ充填するものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3739925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のものでは、一対の外面シートの双方に、少なくとも1箇所ずつ吸着穴を形成することから、各収納部に内容物をそれぞれ充填した後に開口部を封止すると、封止した部分に複数の吸着穴が残ることから見栄えが悪くなっていた。また、仕切りシートは、薄く且つ柔軟性を備えたものを用いる場合が多いことから、一方の収納部に内容物を充填すると、内容物の重量や形状によっては仕切りシートの開口部側が波状となることがある。このため、次の工程で仕切りシートを他方の外面シートに吸引吸着させて他方の収納部を開口させる際に、波状となった仕切りシートを他方の外面シート側に吸引吸着させるために高い吸引力が必要になったり、内容物によっては仕切りシートを外面シート側に充分に吸引吸着できなかったりすることもあった。さらに、吸着穴を抜く際に発生する抜き滓が外面シート等に付着したまま内容物の充填作業が行われる虞があり、歩留まりの低下を招く虞があった。
【0005】
そこで本発明は、各収容部を確実に開口させることができると共に、内容物充填後の見栄えを良好にすることができる包装袋の内容物充填方法及び包装袋を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の包装袋の内容物充填方法は、対向する一対の外面シートの間に、袋内を2つの収納部に分割する仕切りシートを介在させた包装袋の各収納部に、内容物をそれぞれ充填する包装袋の内容物充填方法において、前記包装袋は、前記外面シートの何れか一方の外面シートの開口縁部近傍に、該開口縁部と平行な切断部を備えると共に、前記仕切りシートの開口縁部が前記一方の外面シートの開口縁部に、前記仕切りシートの反開口縁部が前記外面シートの反開口側にそれぞれ接着されており、両外面シートの前記切断部よりも開口側を一対の吸引手段にて開口方向にそれぞれ吸引し、他方の外面シートと前記仕切りシートとの間に形成される第1収納部を開口させる第1収納部開口工程と、第1収納部開口工程によって開口した前記第1収納部に第1内容物を充填する第1充填工程と、第1充填工程終了後の前記切断部よりも開口側の両外面シートと仕切りシートとを接着する接着工程と、接着工程終了後の両外面シートの前記切断部よりも反開口側を一対の吸引手段にて開口方向にそれぞれ吸引し、一方の外面シートと仕切りシートとの間に形成される第2収納部を前記切断部の部分で開口させる第2収納部開口工程と、第2収納部開口工程によって開口した前記第2収納部に第2内容物を充填する第2充填工程と、第2充填工程終了後に前記切断部形成部分を含めた開口側の両外面シートと仕切りシートとを一体に封止する封止工程とを備えていることを特徴としている。
【0007】
また、前記切断部は、レーザー加工によるハーフカット線又はミシン線で形成され、前記第2収納部開口工程の際に、前記一方の外面シートが前記切断部に沿って切り離されると好適であり、さらに、前記包装袋は、前記一対の外面シートの反開口側の内側面に開閉可能なチャックを備える共に、前記一方の外面シートの前記チャックよりも前記開口縁部側に、前記仕切りシートの反開口縁部が接着されているものでも良い。
【0008】
さらに、本発明の包装袋は、上述の内容物充填方法によって2つの収納部に内容物をそれぞれ充填させる包装用袋であって、対向する一対の外面シートの間に、袋内を2つの収納部に分割する仕切りシートを備え、前記外面シートの何れか一方の外面シートの開口縁部近傍に、該開口縁部と平行な切断部を備えると共に、前記仕切りシートは開口縁部と反開口縁部が、前記一方の外面シートの開口縁部と反開口側とにそれぞれ接着されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1収納部を開口させる際には、一方の外面シートに形成した切断部よりも開口側の両外面シートを一対の吸着手段で吸引することにより、一方の外面シートの開口縁部に接着されている仕切りシートを、一方の外面シートと共に一方の吸着手段側に確実に引き寄せることができ、第1収納部を確実に開口させることができる。また、第1収納部に内容物を充填した後に、前記切断部よりも開口側の両外面シートと仕切りシートとを接着させた後、前記切断部よりも反開口側の両外面シートを吸引することにより、接着後に一体化した切断部よりも開口側の両外面シートと仕切りシートとを一方の吸着手段側に、切断部よりも反開口側の一方の仕切りシートを他方の吸着手段側にそれぞれ吸着させ、切断部の部分で第2収納部を確実に開口させることができる。これにより、両方の収納部に内容物をそれぞれ良好に充填することができる。
【0010】
さらに、両方の収納部に内容物をそれぞれ充填した後に、切断部形成部分を含めた開口側の両外面シートと仕切りシートとを一体に封止することにより、切断部の痕が目立ちにくくなり、封止後の包装袋の見栄えを良好にできる。さらに、製品名の表示や製品情報等を印刷した一対の外面シートの、陳列する際に裏側となるシートに切断部を形成することにより、商品を陳列した際に切断部の痕が視認されることがない。また、従来のように、外面シートに吸着穴を抜く必要がないことから、第1収納部や第2収納部に内容物を充填する際に外面シートの抜き滓が混入する虞がない。
【0011】
さらに、前記切断部をレーザー加工によるハーフカット線又はミシン線で形成し、前記第2収納部開口工程の際に、前記一方の外面シートが前記切断部に沿って切り離されるようにすることにより、第2収納部開口工程以前の状態で、切断部から袋内に異物が混入する虞がない。
【0012】
また、一対の外面シートの反開口側にチャックを設ける共に、一方の外面シートのチャックよりも開口縁部側に仕切りシートの反開口縁部を接着することにより、チャックを開いても仕切りシートを接着した仕切りシート側の収納部が開口しないので、仕切りシートを接着していない仕切りシート側の収納部に充填した内容物のみを出し入れすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の内容物充填方法の第1充填工程までを示す説明図である。
【図2】同じく接着工程までを示す説明図である。
【図3】同じく第2収納部開口工程までを示す説明図である。
【図4】同じく封止工程までを示す説明図である。
【図5】本発明の一形態例を示す包装袋の一部断面斜視図である。
【図6】同じく包装袋の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図5及び図6は本発明の一形態例を示す包装袋1で、この包装袋1は、対向する一対の外面シート2,3の間に仕切りシート4を介在させ、袋内を外面シート3と仕切りシート4との間に形成される第1収納部5と、外面シート2と仕切りシート4との間に形成される第2収納部6とに分割している。一対の外面シート2,3は、比較的硬度を有する複層合成樹脂シートが用いられ、外面には製品名や製品情報等がそれぞれ印刷されている。
【0015】
製品を陳列する際に裏側となる一方の外面シート2の開口縁部近傍には、開口縁部と平行に、切断部となるスリット2aが形成され、また、一対の外面シート2,3の反開口側の内側面には、雌雄爪型のチャック7が設けられている。さらに、一方の外面シート2は、開口縁部に前記仕切りシート4の開口縁部が、チャック7よりも開口部側に、仕切りシート4の反開口縁部がそれぞれ接着されると共に、双方の外面シート2,3の両側縁部は、仕切りシート4と共に接着されている。外面シート2,3には、比較的硬度を有し、通気性の無い複層合成樹脂シートが用いられ、仕切りシート4は、通気性を備えた薄い合成樹脂シートが用いられている。
【0016】
次に、上述の包装袋1の各収納部5,6に、自動充填機にて内容物を順次充填する工程を図1乃至図4に基づいて説明する。包装袋1は、開口部を上方に向けて自動充填機に導入され、まず、図1(A),(B)に示す第1収納部開口工程11により、外面シート2,3のスリット2aよりも開口側に向けて、吸着板21a,21bをそれぞれ進出させ、仕切りシート4の開口縁部が接着している一方の外面シート2と他方の外面シート3とを開口方向に吸引して、他方の外面シート3と仕切りシート4との間に形成される第1収納部5を開口させる。
【0017】
次いで、図1(C)に示す第1充填工程12により、例えば、食品や雑貨等の第1内容物を導入するホッパ22が下降し、前記第1収納部5の開口内に挿入され、第1収納部5に第1内容物23が充填される。
【0018】
第1収納部5に第1内容物23が充填された包装袋1は、図2(A),(B)に示す接着工程13により、一方の外面シート2のスリット2aよりも開口側で、袋幅方向中央部に向けてヒータヘッド24を、該ヒータヘッド24に対向する位置の他方の外面シート3に向けて押え板25をそれぞれ進出させ、両外面シート2,3と仕切りシート4とをスポットシールし、スリット2aよりも開口側の外面シート2,3と仕切りシート4とを接着させる。
【0019】
次に、図3(A)に示す第2収納部開口工程14により、スリット2aよりも反開口側の両外面シート2,3に向けて吸着板21c,21dをそれぞれ進出させ、双方の外面シート2,3を開口方向に吸引する。これにより、接着工程13により一体化されたスリット2aよりも開口側の双方の外面シート2,3と仕切りシート4とが一方の吸着板21dに、スリット2aよりも反開口側の一方の外面シート2が他方の吸着板21cに吸引され、スリット2aの部分で、一方の外面シート2と仕切りシート4とによって形成される第2収納部6が開口する。
【0020】
次いで、図3(B)に示す第2充填工程15により、例えば、乾燥剤や保存料や保冷剤等の第2内容物25を導入するホッパ(図示せず)が下降し、前記第2収納部6の開口内に挿入され、第2収納部6に第2内容物26が充填される。
【0021】
最後に、図4(A),(B)に示す封止工程16によって、スリット形成部分を含めた開口側の一方の外面シート2に向けてヒートバー27を、該ヒートバー27に対向する位置の他方の外面シート側に向けて押え板28をそれぞれ進出させ、両外面シート2,3と仕切りシート4とをヒートシールする。
【0022】
本形態例の包装袋1は、袋の裏側となる一方の外面シート2にのみスリット2aを形成すると共に、スリット2aの位置は封止工程16によってヒートシールされることにより痕が目立ちにくくなり、封止後の包装袋の見栄えを良好にできる。さらに、製品名の表示や製品情報等を印刷した一対の外面シート2,3の、陳列する際に裏側となる外面シート2にスリット2aを形成することにより、商品を陳列した際に切断部の痕が視認されることがない。
【0023】
さらに、包装袋1は、一方の外面シート2にスリット2aを形成すると共に、仕切りシート4を予め一方の外面シート3に接着しておけばよいことから、加工精度を上げることなく、歩留まりを上げることができ、製造コストを低減化させることができる。
【0024】
また、スリット2aの形成にあたっては、従来の吸着穴の形成のように抜き滓が発生することがなく、第1収納部5や第2収納部6に内容物23,26を充填する際に外面シートの抜き滓が混入する虞がない。
【0025】
さらに、一対の外面シート2,3の反開口側にチャック7を設ける共に、一方の外面シート2のチャック7よりも開口縁部側に仕切りシート4の反開口縁部を接着することにより、チャック7を開いても仕切りシート4を接着した仕切りシート側の収納部6が開口しないので、仕切りシート4を接着していない仕切りシート側の収納部5に充填した内容物のみを出し入れすることができる。
【0026】
また、本発明の内容物充填方法では、仕切りシート4は吸引される際には、外面シート2,3のいずれかに接着された状態であり、従来のように吸着孔を介して吸引されることがないことから、通気性を備えた薄い合成樹脂シートで仕切りシート4を形成しても、仕切りシート4を確実に一方の外面シート側に引き寄せることができる。
【0027】
尚、本発明の切断部は、レーザー加工によるハーフカット線又はミシン線で形成することもでき、包装袋1は、第2収納部開口工程14が行われるまで、切断部の部分が繋がっている状態を保持し、第2収納部開口工程14の際に、吸着板で一方の外面シート2の切断部よりも反開口側が吸引されると、一方の外面シート2が切断部に沿って切り離され、切断線の部分で第2収納部が開口する。これにより、第2収納部開口工程以前の状態では、切断部から袋内に異物が混入することがない。
【0028】
また、接着工程は、一方の外面シートのスリットよりも開口側に線シールバーを、線シールバーに対向する位置の他方の外面シートに向けて押え板をそれぞれ進出させて、切断線よりも開口側の両外面シートと仕切りシートの全面を接着させるものでも良い。
【0029】
また、第1収納部や第2収納部に充填する内容物は任意であり、ホッパを用いて充填できるものであれば、固体でも液体でも良く、粉状・粒状・ゲル状等どのような状態のものでも充填することができる。さらに、仕切りシートの反開口縁部と外面シートとは非接着状態でも実施でき、また、チャックを備えていない包装用袋にも適用することもできる。
【符号の説明】
【0030】
1…包装袋、2,3…外面シート、2a…スリット、4…仕切りシート、5…第1収納部、6…第2収納部、7…チャック、11…第1収納部開口工程、12…第1充填工程、13…接着工程、14…第2収納部開口工程、15…第2充填工程、16…封止工程、21a,21b,21c,21d…吸着板、22…ホッパ、23…第1内容物、24…ヒータヘッド、25…押え板、26…第2内容物、27…ヒートバー、28…押え板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の外面シートの間に、袋内を2つの収納部に分割する仕切りシートを介在させた包装袋の各収納部に、内容物をそれぞれ充填する包装袋の内容物充填方法において、前記包装袋は、前記外面シートの何れか一方の外面シートの開口縁部近傍に、該開口縁部と平行な切断部を備えると共に、前記仕切りシートの開口縁部が前記一方の外面シートの開口縁部に、前記仕切りシートの反開口縁部が前記外面シートの反開口側にそれぞれ接着されており、
両外面シートの前記切断部よりも開口側を一対の吸引手段にて開口方向にそれぞれ吸引し、他方の外面シートと前記仕切りシートとの間に形成される第1収納部を開口させる第1収納部開口工程と、
第1収納部開口工程によって開口した前記第1収納部に第1内容物を充填する第1充填工程と、
第1充填工程終了後の前記切断部よりも開口側の両外面シートと仕切りシートとを接着する接着工程と、
接着工程終了後の両外面シートの前記切断部よりも反開口側を一対の吸引手段にて開口方向にそれぞれ吸引し、一方の外面シートと仕切りシートとの間に形成される第2収納部を前記切断部の部分で開口させる第2収納部開口工程と、
第2収納部開口工程によって開口した前記第2収納部に第2内容物を充填する第2充填工程と、
第2充填工程終了後に前記切断部形成部分を含めた開口側の両外面シートと仕切りシートとを一体に封止する封止工程とを備えていることを特徴とする包装袋の内容物充填方法。
【請求項2】
前記切断部は、レーザー加工によるハーフカット線又はミシン線で形成され、前記第2収納部開口工程の際に、前記一方の外面シートが前記切断部に沿って切り離されることを特徴とする請求項1記載の包装袋の内容物充填方法。
【請求項3】
前記包装袋は、前記一対の外面シートの反開口側の内側面に開閉可能なチャックを備える共に、前記一方の外面シートの前記チャックよりも前記開口縁部側に、前記仕切りシートの反開口縁部が接着されていることを特徴とする請求項1又は2記載の包装袋の内容物充填方法。
【請求項4】
前記請求項1乃至3のいずれかの内容物充填方法によって2つの収納部に内容物をそれぞれ充填させる包装用袋であって、対向する一対の外面シートの間に、袋内を2つの収納部に分割する仕切りシートを備え、前記外面シートの何れか一方の外面シートの開口縁部近傍に、該開口縁部と平行な切断部を備えると共に、前記仕切りシートは開口縁部と反開口縁部が、前記一方の外面シートの開口縁部と反開口側とにそれぞれ接着されていることを特徴とする包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−131906(P2011−131906A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291741(P2009−291741)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000147316)株式会社生産日本社 (34)
【Fターム(参考)】