説明

包装袋及びその製造方法

【課題】 側面部の上部に舌部の設けられたガゼットタイプの包装袋に関し、舌部による他の包装袋等への干渉がなく、しかも、舌部の存在を目立たなくする。
【解決手段】 側面部の上部に舌部の設けられたガゼットタイプの包装袋に関し、舌部を、側面部について、その中央の折り線上におけるこの側面部の上端点から一定の距離だけ内側に隔てた位置を基点とし、折り線を、前記基点よりも上側の範囲について、この折り線の折り込みとは逆側に折り返すと共に、前記基点とこの側面部における上端側の両頂点とを結ぶ2本の線を前記折り線の折り込み方向と同方向に折り込むことで形成する。そして、この舌部を包装袋の前面側又は背面側に寄せ、寄せられた側にて平面部における側端縁にシールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側面部が襞折りされたガゼットタイプの包装袋であって、側面部の上部が包装袋の外側方に引き出された、舌部を有する包装袋及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、側面部の中心部に折り線を形成し、この折り線を包装袋の内方へ折り込んだガゼットタイプの包装袋が知られている。このガゼット袋は、通常の平袋に比べ、奥行きを大きく形成できるため、内容物の収容量を大きくすることができる。その一方で、内容物を収容する前は、折り線で折り畳んでおくことで、平坦にでき、嵩張ることを防止できる。
【0003】
さらに、奥行きを大きく形成できることから開口部を広くでき、効率よく包装袋に内容物を充填することできる。
【0004】
しかしながら、例えば、開口部を再密封するファスナを包装袋の内部に設けた場合、内方に折り込まれた側面部をファスナで平面部の一方に押し寄せる等の工夫が必要となることがある。このような形態の包装袋では、開口部の近傍に関し、側面部が内方に折り込まれたままの状態となる。このため、内容物を充填する際に、折り込まれた側面部が邪魔となるばかりか、開口部を大きく広げることができないことがある。
【0005】
この不都合を防止するために、本願の特許出願人は、特許文献1にて、開口部の近傍には折り込まれた側面部が存在せず、しかも開口部を大きく広げることが可能な包装袋に関する発明を既に開示している。
【0006】
この特許文献1で開示した包装袋は、側面部の上端が平面部の上端より下方に位置されており、再密封するためのファスナが平面部のみに、取り付けられている。そして、側面部の上端に形成された開口部分を閉鎖するため、側面部の上部に、包装袋の外側方に引き出された舌部を設け、舌部においてフィルム材の内面同士を相互にシールしている。
【0007】
このようにガゼットタイプの包装袋を形成することで、たとえ開口部にファスナを設けた場合でも開口部を広く広げることができるだけでなく、開口部の近傍に折り込まれた側面部が存在せず、内容物の充填を効率よく行える包装袋を構成できる。
【0008】
【特許文献1】特開2002−347141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
他方、この特許文献1に開示した包装袋は舌部を備えているため、多数の包装袋をまとめて箱詰めした状態で搬送などを行うと、この舌部が他の包装袋に干渉する等の不都合な点がある。また、舌部がある包装袋をデザイン的に好まない者もいる。
【0010】
そこで、本発明では、開口部を広く広げること、及び側面部が内容物の充填の阻害とならないことといった利点を維持しつつ、舌部による他の包装袋等への干渉がなく舌部の存在がほとんど目立たない包装袋及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では上記課題を解決するために、以下の包装袋及びこの包装袋の製造方法を採用した。
【0012】
第1に包装袋としては、対向する一対の平面部と、これら平面部の間に介在されて前記平面部の側縁同士を連絡する一対の側面部とを具備し、前記側面部は、矩形状のフィルム材がその中心の折り線で折り込まれて襞状に形成され、前記折り線が内方に折り込まれ、前記側面部の上端が前記平面部の上端よりも下方に位置されて、前記側面部の上部には、この包装袋の外側方に向けて引き出された三角状の舌部が形成されたガゼットタイプの包装袋であって、前記舌部は、前記側面部について、前記折り線上におけるこの側面部の上端点から一定の距離だけ内側に隔てた位置を基点とし、前記折り線を、前記基点よりも上側の範囲について、この折り線の折り込みとは逆側に折り返すと共に、前記基点とこの側面部における上端側の両頂点とを結ぶ2本の線を前記折り線の折り込み方向と同方向に折り込むことで形成されており、この舌部が当該包装袋の前面側又は背面側に寄せられ、
この舌部の側端縁は、寄せられた側にて前記平面部の側端縁にシールされている包装袋を採用している。
【0013】
本発明では、かかる包装袋に関し、前記折り線を境としてこの舌部が寄せられる側の前記舌部の側縁の範囲、及び前記舌部が寄せられる側の前記側面部の側縁には、前記平面部と前記舌部の側縁のうち前記折り線を境として寄せられる側とは逆側の範囲とを直に密着させるためのシール孔又はシール切欠部が形成されていることを特徴としている。
【0014】
また、本発明では上記包装袋において、前記舌部は、前記折り線と、前記基点とこの側面部における上端側の両頂点とを結ぶ線とのなす角度が、45度よりも小さな鋭角となされると共に、前記折り線における前記基点よりも上側の範囲が、基点から上側に向かうにつれて包装袋の外側方に位置されるように斜辺となされるように包装袋を構成することも特徴事項とする。
【0015】
第2に、本発明では上記の包装袋を製造するに当たり、次の製法を採用した。
【0016】
対向する一対の平面部と、これら平面部の間に介在されて前記平面部の側縁同士を連絡する一対の側面部とを具備し、前記側面部は、矩形状のフィルム材がその中心の折り線で折り込まれて襞状に形成され、前記折り線が内方に折り込まれ、前記側面部の上端が前記平面部の上端よりも下方に位置されて、前記側面部の上部には、この包装袋の外側方に向けて引き出された三角状の舌部が形成されたガゼットタイプの包装袋を製造する方法であって、前記側面の上部に、この包装袋の外側方に向けて引き出された三角状の舌部を形成する舌部形成工程と、前記平面部の側縁と前記側面部の側縁とを相互にシールして製袋するシール工程とを備え、前記舌部形成工程では、前記側面部について、前記折り線上におけるこの側面部の上端点から一定の距離だけ内側に隔てた位置を基点とし、前記折り線を、前記基点よりも上側の範囲について、この折り線の折り込みとは逆側に折り返すと共に、前記基点とこの側面部における上端側の両頂点とを結ぶ2本の線を前記折り線の折り込み方向と同方向に折り込むことで前記舌部を形成し、前記シール工程では、形成された前記舌部を当該包装袋の前側又は後側に寄せ、この舌部の側端縁を、寄せられた側にて前記平面部の側端縁にシールする包装袋の製造方法である。
【0017】
本発明では、この製造方法に関し、前記折り線を境としてこの舌部が寄せられる側の前記舌部の側縁の範囲、及び前記舌部が寄せられる側の前記側面部の側縁の双方にシール孔又はシール切欠部を予め形成しておき、前記シール工程にて、前記シール孔又は前記シール切欠部を通して、前記平面部と前記舌部の側縁のうち前記折り線を境として寄せられる側とは逆側の範囲とを直に密着させることを特徴としている。
【0018】
さらに、前記舌部形成工程では、前記上端点を、前記折り線で折り畳まれた前記側面部の側縁よりも当該包装袋の外側方、かつ、前記基点よりも上側に引き出し、一旦、前記側面部の側縁からはみ出すはみ出し部を形成し、その後、前記側面部の側縁からはみ出すはみ出し部を切除して前記舌部を形成し、これにより、形成された前記舌部に関し、前記折り線と、前記基点とこの側面部における上端側の両頂点とを結ぶ線とのなす角度を45度よりも小さな鋭角とすると共に、前記折り線における前記基点の上側の範囲を、基点から上側に向かうにつれて包装袋の外側方に位置されるように斜辺に形成している。
【0019】
なお、上記の舌部形成工程を次のように設けることもできる。
【0020】
即ち、前記舌部形成工程では、前記折り線上における前記基点と前記上端点との間に位置する所定の切断点を決定し、この切断点とこの側面部における上端側の両頂点とを結ぶ切断線に沿って、側面部を切断し、次いで、前記基点よりも上側の範囲について、この折り線の折り込みとは逆側に折り返すと共に、前記基点とこの側面部における上端側の両頂点とを結ぶ2本の線を前記折り線の折り込み方向と同方向に折り込んで前記舌部を形成し、この際に、前記切断線をこの側面部の側縁とそれぞれ一致させて折り込むことで、形成された前記舌部に関し、前記折り線と、前記基点とこの側面部における上端側の両頂点とを結ぶ線とのなす角度を45度よりも小さな鋭角とすると共に、前記折り線における前記基点の上側の範囲を、基点から上側に向かうにつれて包装袋の外側方に位置されるように斜辺に形成する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、まず、側面部の上部に舌部を形成することにより、包装袋の上部に形成された開口部から内容物を充填する際に、開口部を大きく広げることができ、しかも、折り込まれた側面部により内容物の充填が阻害されず、円滑に充填できる。
【0022】
そして、これらの機能を維持しつつも、舌部により、周りの他の包装袋等を傷つけることが無い。また、舌部の存在が目立たず、デザイン的にも良好な包装袋を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1〜図3は、本発明の1実施形態にかかるガゼット袋1を示している。
【0025】
このガゼット袋1は、対向する一対の平面部2と、これら平面部2の間に介在して平面部2の側縁同士を連絡している側面部3と、フラットな底面部5とから構成されている。
【0026】
平面部2は、積層フィルムが矩形状にそれぞれ形成されたものである。一方、側面部3も矩形状の積層フィルムが使用されている。この側面部3は、当該ガゼット袋1の奥行き方向の中央部に上下に延びる折り線4が形成され、側面部3はこの折り線4がガゼット袋1の内方に折り込まれるように構成されている。なお、このガゼット袋1では、図3に示すように、平面部2の上端よりも側面部3の上端が下方に位置されており、ガゼット袋1の上部では平面部2のみにより構成されている。
【0027】
側面部3の上端よりも下側の部分では、平面部2の側縁2aと側面部3の側縁3aとが相互にヒートシールされて接続されている一方で、側面部3の上端よりも上側の部分では、平面部2の側縁2a同士が相互にヒートシールされている。また、ガゼット袋1の上端では、平面部2の上端縁2b同士がヒートシールされ、ガゼット袋1の上端が密閉されている。
【0028】
さらに、側面部3の上端よりも上側の部分には、ガゼット袋1の端を開封した後に、開封された部分を再密封するためのファスナ6が設けられている。ファスナ6は、その長手方向がガゼット袋1の幅方向に延びるように配されて、各平面部2の内面に雄ファスナと雌ファスナとのいずれかがそれぞれ取り付けられている。なお、このガゼット袋1では、このファスナ6の設けられている上部は、側面部3が存在せず平面部2のみで構成されるため、折り込まれた側面部3をファスナ6で平面部2に押し寄せるなどの構成を採用せずとも、平面部2の内面にファスナ6を取り付けるだけで、雄ファスナと雌ファスナとを係脱自在に設けることができる。
【0029】
一方、ガゼット袋1の底部では、矩形状の底面部5の周縁が、これら平面部2の下端縁及び側面部3の下端縁にそれぞれヒートシールされており、この底面部5によりガゼット袋1の底部が閉鎖されている。
【0030】
そして、このガゼット袋1では、側面部3の上部がガゼット袋1の外側方へ引き出された三角状の舌部10が形成され、しかも、この舌部10がガゼット袋1の前面又は背面のいずれか側に寄せられて、寄せられた側にシールされている(図1及び図2参照)。
【0031】
以下では、この舌部10の形態及びその形成方法について詳述する。
【0032】
図4は、舌部10の一態様を示している。この舌部10は、側面部3の上部をガゼット袋1の外側方に向けて引き出された三角状に形成した部分である。
【0033】
この舌部10は、次のようにして形成される。
【0034】
まず、側面部3について、折り線4上におけるこの側面部3の上端点Pから一定の距離Lだけ内側に隔てた位置を基点Oとする。そして、折り線4における基点Oよりも上側の範囲について、この折り線4の折り込みの方向とは逆の方向側に折り返す。また、これと同時に、基点Oとこの側面部3における上端側の両頂点Qとを結ぶ2本の線20について、折り線4の折り込み方向と同方向に折り込む。このように側面部3の上部を折り込むことで、側面部3の上部がガゼット袋1の外側方に向けて三角状に引き出されて舌部10が形成される。
【0035】
なお、この舌部10では、図3及び図4に示すように、折り線4が水平となるように引き出され、この折り線4と、基点Oと両頂点Qとを結ぶ2本の線とのなす角度θ1が、約45度に形成されている。
【0036】
図4において、舌部10の側縁11と側面部3の側縁3aとに形成された4連の孔は、この舌部10を図4における奥側平面部2にシールする際に用いられるシール孔14,15である。
【0037】
シール孔14は、舌部10において、折り線4を境として、当該舌部10が寄せられる側をなす部分の側縁13に沿って並べられるようにして設けられている。さらに、側面部3における、平面部2とヒートシールされる側縁3aのうち、舌部10が寄せられる側の側縁3aにも4つのシール孔15が並べられるようにして形成されている。なお、これらシール孔14,15は、側面部3の上部が折り重ねられた際に、それぞれ対応する部位のものが相互に一致される。
【0038】
このようにシール孔14,15が形成されることにより、側面部3の側縁3aと平面部2の側縁2aとを位置合わせして、各平面部2の外側から矢印Aに示すようにシールバーで挟み込んで側面部3と平面部2とをヒートシールすると、二点鎖線に示す矢印のように、舌部10の側縁11のうち、折り線4を境として、寄せられる側とは逆側に位置する側縁12が、シール孔14,15を通して平面部2の側縁2aと直に密着されてヒートシールされる。これにより、舌部10は、図1及び図2に示すように、前面側又は背面側に寄せられた状態で、平面部2にシールされる。
【0039】
このように舌部10が平面部2と一体となるようにシールされることで、舌部10が目立たなくなり、良好なデザインとなる。また、複数のガゼット袋1をまとめて箱詰めする等、ガゼット袋1同士が互いに干渉するような状態おいても、舌部10が他のガゼット袋を傷つけることがない。
【0040】
このように舌部10を処理するための構成は、シール孔14,15を形成するものには限定されず、図5に示すようにシール用切欠部16,17を形成してもよい。
【0041】
この図5に示す実施形態では、舌部10の側縁11において、折り線4を境として、当該舌部10が寄せられる側の側縁13に沿って細長いシール用切欠部16が形成されている。さらに、側面部3における、平面部2とヒートシールされる側縁3aのうち、舌部10が寄せられる側の側縁3aにも細長いシール用切欠部17が側縁に沿って形成されている。これらシール用切欠部16,17はその形状が同一に形成されており、折り重ねられた際に、両者の位置が一致するように設けられている。
【0042】
かかるシール用切欠部16,17によっても、図5において、各平面部2の外側から矢印Bに示すようにシールバーで挟み込んで側面部3と平面部2とをヒートシールすると、二点鎖線に示す矢印のように、舌部10の側縁11のうち、折り線4を境として、寄せられる側とは逆側に位置する側縁12が、シール用切欠部16,17を通して平面部2の側縁2aとヒートシールされる。これにより、舌部10は、図1及び図2に示すように、前面側又は背面側に寄せられた状態で、平面部2にシールされる。
【0043】
以上、折り線4が水平をなすように引き出され、この折り線4と、基点Oと両頂点Qとを結ぶ2本の線20とのなす角度が、約45度に形成されものを例に説明したが、これには限定されない。
【0044】
図6は、図1〜図3に示したガゼット袋1とは別の実施形態にかかるガゼット袋1である。なお、この図6に示すガゼット袋1の基本構成は、図1〜3に示すガゼット袋1と同一であるので、同一部材については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0045】
この図6に示すガゼット袋1では、その側面部3の上部に形成された舌部30に関し、折り線4と、基点Oとこの側面部3における上端側の両頂点Qとを結ぶ線20とのなす角度θ2が、45度よりも小さな鋭角となされている。具体的には、25度〜35度程度に形成され、好ましくは、30度に形成されている。また、折り線4における基点Oよりも上側の範囲は、基点Oから上側に向かうにつれてガゼット袋1の外側方に位置されるように斜辺となされている。
【0046】
この図6の実施形態にかかるガゼット袋1では、図1〜図3に示す実施形態にかかるガゼット袋1に比べ、開口部への広がりの程度がなだらかである。このため、円滑に開口部を広げることができる。また、内容物を開口から充填する際に、この舌部30で内容物が止まることを極力防止でき、効率よく内容物を底部へ導かせることができる。
【0047】
この舌部30を有する側面部3を形成する方法には、以下に説明するように2種類ある。
【0048】
図7及び図8は、第1の形成方法を示している。
【0049】
この形成方法は、図7に示すように、まず、側面部3について、折り線4上におけるこの側面部3の上端点から一定の距離だけ内側に隔てた位置を基点Oとして定める。そして、折り線4を、基点Oよりも上側の範囲について、この折り線4の折り込みとは逆側に折り返すと共に、基点Oとこの側面部3における上端側の両頂点Qとを結ぶ2本の線20を前記折り線4の折り込み方向と同方向に折り込む。
【0050】
この際、上端点Pを、折り線4で折り畳まれた側面部3の側縁よりも当該ガゼット袋1の外側方まではみ出させる。加えて、この上端点Pを基点Oよりも上側に位置させる。このように引き出して、一旦、側面部3の側縁からはみ出すはみ出し部32を形成する(図8参照)。
【0051】
次いで、平面部2の側縁2aと側面部3の側縁3aとをヒートシールして製袋する。その後、側面部3の側縁3aからはみ出した、はみ出し部32を切除して舌部30を形成する。
【0052】
なお、このガゼット袋1の側面部3を構成するフィルム材には、はみ出し部32を切除した後に舌部30の側縁となる位置のうち、折り線4を境として、当該舌部30が寄せられる側に前述したシール孔14が形成される(図8参照)。さらに、側面部3における、平面部2とヒートシールされる側縁3aのうち、舌部30が寄せられる側の側縁3aにもシール孔15が並べられるようにして形成される。
【0053】
このため、平面部2の側縁2aと側面部3の側縁3aとをヒートシールする際に、シール孔14,15を通して、平面部2の側縁2aと舌部30のうち、折り線4を境として寄せられる側と逆側の範囲とが直に密着される。これにより、形成された舌部30を当該ガゼット袋1の前側又は後側に寄せ、この舌部30の側端縁を、寄せられた側にて平面部2と一体に形成できる。
【0054】
次に図9を参照して、第2の形成方法について説明する。
【0055】
まず、図9(a)に示すように、側面部3として形成される矩形状のフィルム材40を用意し、このフィルム材40の両側縁41をフィルム材40の中心線CLに一致させるようにしてフィルム材40の両側を中心線CLに向けて折り込む。この状態において、折り込まれた後の両側部分は、後に側面部3の中心に位置する折り線4として構成される。
【0056】
次に、この折り線4上におけるフィルム材40の長手方向の両端縁の点Pから長手方向の中心側に所定の距離だけ隔てた点を基点Oとしてそれぞれ定める。そして、これら基点Oと、各端縁の点Pとの間の所定位置の点Rを別途定める。この別途定めた点Rと、フィルム材40の中心線CL上における各端縁部分の点Qと結ぶ線を切断線42として定める。同様に、別途定めた点Rと、折り込まれて中心線CLと一致されている頂点Qとを結ぶ線を切断線42とする。即ち、別途定めた、折り線4上の点Rは、切断線42の端部をなす切断点Rとなる(以下同様に点Rを切断点Rとして説明する)。
【0057】
次いで、このように定められた切断線42に沿ってこのフィルム材40から、点PQRで囲まれた部分を4カ所切断する。
【0058】
その後、切断点Rをフィルム材40の内側に入り込ませるようにして、折り線4における基点Oと切断点Rの範囲を、折り線4の折り込み方向と逆側の向きに折り込む。そして、図9(b)の矢印Cに示すように、切断線42をフィル材の中心線CL、及び折り込まれて中心線CLに一致されている元のフィルム材40の側縁41とそれぞれ一致させる(図9(c)に示す状態)。
【0059】
この内側に入り込まされるようにして折り込まれた部分が、後に、ガゼット袋の側面部3に設けられる舌部30として構成される。
【0060】
かかる方法にあっては、切断線42でフィルム材40が予め切断されているので、この形成された舌部30では、折り線4と、基点Oと中心線CLの端部の点Q及び頂点Qとを結ぶ線とのなす角度θ2が45度よりも小さな鋭角に形成される。また、折り線4における基点Oよりもフィルム材40の端部側の範囲は、基点Oから端部に向かうにつれてフィルム材40の中心線CL側に位置されるように斜辺に形成される。
【0061】
このように舟形状に形成されたフィルム材40を、図10に示すように帯状フィルム50の長手方向の所定の間隔ごとに、帯状フィルム50の幅方向に一致させて配置する。また、雄ファスナと雌ファスナとが嵌合されたファスナテープ51を帯状フィルム50の長手方向に一致させ、帯状フィルムの幅方向の端部と、フィルム材40の端部との間の領域にそれぞれ配置する。
【0062】
その後、図11に示すように、帯状フィルム50をさらにフィルム材40の上から重ね、一対の帯状フィルム50で当該フィルム材40を挟み込む。
【0063】
そして、フィルム材40の中心線CLの位置(図11のL1の部分)でフィルム材40と帯状フィルム50とを挟み込むようにして一定の幅でヒートシールする。このヒートシールの工程が終了した後、帯状フィルム50をその幅方向の中心線L2の位置で切断する。
【0064】
その後、図12に示すように、切断された中心線L2の位置にて重ね合わされた帯状フィルム50を相互に分離するように広げて、底面部に対応する部位55を形成する。そして、この底面部に対応する部分55に帯状の底面フィルム60を重ね合わせてシールする。その後、広げられた底面部に対応する部位55を再び閉じて、L1の部分で順次切断する。このような工程を経て、上端の開口された、図6に示すガゼット袋と同タイプのガゼット袋が完成される。なお、上述したフィルム材40の中心線CL及び側縁41は、完成されたガゼット袋においては、その側面部3の側縁3aとなる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の1実施形態にかかる包装袋の斜視図。
【図2】図1に示す包装袋の縦断面図。
【図3】図1に示す包装袋の平面図。
【図4】側面図の上部に舌部を形成する工程の1実施形態を示す舌部の斜視図。
【図5】図4とは別の実施形態にかかる舌部の斜視図。
【図6】図1〜図3に示す包装袋とは別の実施形態にかかる包装袋の斜視図。
【図7】図6に示す包装袋の舌部を形成する工程の1実施形態を示す舌部の斜視図。
【図8】図7の工程の後の状態を示す包装袋の平面図。
【図9】図6及び図7とは別の手法で側面部に舌部を形成する工程を示す説明図。
【図10】図9に示す手法で形成された側面部を使用して包装袋を製造する工程を示す説明図。
【図11】図10の工程の後の工程を示す説明図。
【図12】さらに、図11の後の工程を示す説明図。
【符号の説明】
【0066】
1・・・・・・・包装袋
2・・・・・・・平面部
3・・・・・・・側面部
4・・・・・・・折り線
10,30・・・舌部
14,15・・・シール孔
16,17・・・シール用切欠部
42・・・・・・切断線
O・・・・・・・基点
P・・・・・・・端点
Q・・・・・・・頂点
R・・・・・・・切断点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の平面部と、これら平面部の間に介在されて前記平面部の側縁同士を連絡する一対の側面部とを具備し、
前記側面部は、矩形状のフィルム材がその中心の折り線で折り込まれて襞状に形成され、前記折り線が内方に折り込まれ、
前記側面部の上端が前記平面部の上端よりも下方に位置されて、
前記側面部の上部には、この包装袋の外側方に向けて引き出された三角状の舌部が形成されたガゼットタイプの包装袋であって、
前記舌部は、前記側面部について、前記折り線上におけるこの側面部の上端点から一定の距離だけ内側に隔てた位置を基点とし、前記折り線を、前記基点よりも上側の範囲について、この折り線の折り込みとは逆側に折り返すと共に、前記基点とこの側面部における上端側の両頂点とを結ぶ2本の線を前記折り線の折り込み方向と同方向に折り込むことで形成されており、
この舌部が当該包装袋の前面側又は背面側に寄せられ、
この舌部の側端縁は、寄せられた側にて前記平面部の側端縁にシールされていることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記折り線を境としてこの舌部が寄せられる側の前記舌部の側縁の範囲、及び前記舌部が寄せられる側の前記側面部の側縁には、前記平面部と前記舌部の側縁のうち前記折り線を境として寄せられる側とは逆側の範囲とを直に密着させるためのシール孔又はシール切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記舌部は、前記折り線と、前記基点とこの側面部における上端側の両頂点とを結ぶ線とのなす角度が、45度よりも小さな鋭角となされると共に、
前記折り線における前記基点よりも上側の範囲が、基点から上側に向かうにつれて包装袋の外側方に位置されるように斜辺となされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の包装袋。
【請求項4】
対向する一対の平面部と、これら平面部の間に介在されて前記平面部の側縁同士を連絡する一対の側面部とを具備し、
前記側面部は、矩形状のフィルム材がその中心の折り線で折り込まれて襞状に形成され、前記折り線が内方に折り込まれ、
前記側面部の上端が前記平面部の上端よりも下方に位置されて、前記側面部の上部には、この包装袋の外側方に向けて引き出された三角状の舌部が形成されたガゼットタイプの包装袋を製造する方法であって、
前記側面の上部に、この包装袋の外側方に向けて引き出された三角状の舌部を形成する舌部形成工程と、
前記平面部の側縁と前記側面部の側縁とを相互にシールして製袋するシール工程と、を備え、
前記舌部形成工程では、前記側面部について、前記折り線上におけるこの側面部の上端点から一定の距離だけ内側に隔てた位置を基点とし、前記折り線を、前記基点よりも上側の範囲について、この折り線の折り込みとは逆側に折り返すと共に、前記基点とこの側面部における上端側の両頂点とを結ぶ2本の線を前記折り線の折り込み方向と同方向に折り込むことで前記舌部を形成し、
前記シール工程では、形成された前記舌部を当該包装袋の前側又は後側に寄せ、この舌部の側端縁を、寄せられた側にて前記平面部の側端縁にシールすることを特徴とする包装袋の製造方法。
【請求項5】
前記折り線を境としてこの舌部が寄せられる側の前記舌部の側縁の範囲、及び前記舌部が寄せられる側の前記側面部の側縁の双方にシール孔又はシール切欠部を予め形成しておき、
前記シール工程にて、前記シール孔又は前記シール切欠部を通して、前記平面部と前記舌部の側縁のうち前記折り線を境として寄せられる側とは逆側の範囲とを直に密着させることを特徴とする請求項4に記載の包装袋の製造方法。
【請求項6】
前記舌部形成工程では、前記上端点を、前記折り線で折り畳まれた前記側面部の側縁よりも当該包装袋の外側方、かつ、前記基点よりも上側に引き出し、一旦、前記側面部の側縁からはみ出すはみ出し部を形成し、
その後、前記側面部の側縁からはみ出すはみ出し部を切除して前記舌部を形成し、
これにより、形成された前記舌部に関し、前記折り線と、前記基点とこの側面部における上端側の両頂点とを結ぶ線とのなす角度を45度よりも小さな鋭角とすると共に、
前記折り線における前記基点の上側の範囲を、基点から上側に向かうにつれて包装袋の外側方に位置されるように斜辺に形成していることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の包装袋の製造方法。
【請求項7】
前記舌部形成工程では、前記折り線上における前記基点と前記上端点との間に位置する所定の切断点を決定し、この切断点とこの側面部における上端側の両頂点とを結ぶ切断線に沿って、側面部を切断し、
次いで、前記基点よりも上側の範囲について、この折り線の折り込みとは逆側に折り返すと共に、前記基点とこの側面部における上端側の両頂点とを結ぶ2本の線を前記折り線の折り込み方向と同方向に折り込んで前記舌部を形成し、
この際に、前記切断線をこの側面部の側縁とそれぞれ一致させて折り込むことで、形成された前記舌部に関し、前記折り線と、前記基点とこの側面部における上端側の両頂点とを結ぶ線とのなす角度を45度よりも小さな鋭角とすると共に、
前記折り線における前記基点の上側の範囲を、基点から上側に向かうにつれて包装袋の外側方に位置されるように斜辺に形成していることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の包装袋の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−225025(P2006−225025A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−44672(P2005−44672)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】