説明

包装袋

【課題】開封後の内部への外気侵入を防止しながら、内容物の漏れを防止する包装袋を提供する。
【解決手段】前面を形成する積層体4と後面を形成する積層体5の縁部の一部に前記包装袋内部に導通する蓋体8付きの取出口3を設け、第1領域9aと第2領域9bの2つの領域に仕切る仕切部22を形成し、仕切部22に、第2領域9bの内容物を第1領域9aに流出させるが、第1領域9aから第2領域9bへ内容物及び空気を流入させない逆止弁26を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液状又はゲル状の流動物を包装する包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に液状又はゲル状の流動物を包装袋で密封する場合、内面側に熱接着性樹脂層が積層された積層フィルムを用いる。積層フィルムは縁部で対向する熱接着性樹脂層を接合して収納部を形成する。収納部に内容物を充填した後、充填口をシールして内容物を密封する。また、包装袋の端縁のシール部に開封用の切り込み(ノッチ)を予め形成する。これにより、開封用ノッチから積層フィルムを引き裂くことで内容物を取り出すことができる。
【0003】
このような包装形態において、開封により包装袋の一端が開口した後、外気が包装袋内部に侵入する。このため、包装袋内に醤油などの液体調味料を封入した場合、開封後内容物が酸化して品質劣化することが問題となっていた。特許文献1では取出口に逆止弁を設けた包装袋が開示されている。これにより、逆止弁が外気の侵入を防止し、包装袋の開封後も内容物の鮮度を保つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−159087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の包装袋によると、逆止弁は内部から外部への内容物の流出に対して弁機能を有さない。このため、包装袋が転倒した場合に取出口から内容物が漏れ出すことがあった。また、逆止弁のみでは外気の侵入を抑えきれない虞もあった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、開封後の内部への外気侵入を防止しながら、内容物の漏れを防止する包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、基材層と最内層である熱接着性樹脂層とを少なくとも含む積層体により形成され、前面を形成する積層体と後面を形成する積層体の対向する縁部を前記熱接着性樹脂層で接合して内容物を封入する包装袋であって、前記縁部の一部に前記包装袋内部に導通する蓋体付きの取出口を設け、前記取出口と導通する第1領域と内容物を収納する第2領域の2つの領域に前記包装袋内部を仕切る仕切部を形成し、前記仕切部に前記第2領域から前記第1領域の一方向に開く逆止弁を設けたことを特徴としている。
【0008】
また本発明は、上記構成の包装袋において、前記第2領域に開口する前記逆止弁の流入口の両側から前記仕切部が前記第2領域方向に突出することを特徴としている。
【0009】
また本発明は、上記構成の包装袋において、前記第1領域に開口する前記逆止弁の流出口を前記第1領域の最下部近傍に設けたことを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の包装袋において、前記第1領域側に開口する前記逆止弁の流出口から前記取出口に連通する流路を形成したことを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の包装袋において、前記逆止弁の流出口を前記取出口の径中心を通り径方向に直交する軸からずらして設けたことを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の包装袋において、前記第1領域に目盛りが付されたことを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の包装袋において、前記逆止弁は、2枚の外装シートと前記外装シートの一方の前記第2領域側に基端部が固定され、前記外装シートの他方の前記第1領域側に先端部が接触又は離反する弁体シートとを有し、前面を構成する積層体と後面を構成する積層体の間に前記逆止弁を介在させ、前記外装シートと対向する前記熱接着性樹脂層を接合することを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の包装袋において、前記逆止弁が弁体シートを有し、前面を構成する積層体と後面を構成する積層体の間に弁体シートを介在させ、前記弁体シートの両側端を対向する前記熱接着性樹脂層で挟持しながら接合して形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の構成によれば、第2領域に収納された内容物は逆止弁を介して第1領域に流入し、取出口から注出される。一方、取出口を蓋体で閉口することにより、外気が第2領域に侵入するのを蓋体及び逆止弁で2重に防ぐことができる。これにより、第2領域に収納された内容物の酸化を防止して鮮度の低下を防ぐことができる。また、包装袋が転倒した場合でも蓋体で取出口を閉口することにより内容物が漏れ出すことを防止することができる。
【0016】
本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の包装袋において、逆止弁の流入口の両側から第2領域方向に仕切部が突出することにより、突出する仕切部の間を通って内容物が流入口へ導かれる。これにより、第2領域内の内容物を円滑に逆止弁へ導き、第1領域側へ送り出すことができる。
【0017】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の包装袋において、逆止弁の流出口を第1領域の最下部近傍に設けることにより、流出口から第1領域に流入した内容物が第1領域の下方に溜まり難い。これにより、取出口から内容物を注出した後、第1領域に内容物が残滓するのを防ぐことができる。
【0018】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1又は第2の構成の包装袋において、第1領域側に開口する逆止弁の流出口から取出口に連通する流路を形成することにより、逆止弁の流出口から取出口へ内容物を円滑に導き、取出口から内容物を注出し易くなる。
【0019】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1の構成〜第4の構成のいずれかの包装袋において、逆止弁の流出口を取出口の径中心を通り径方向に直交する軸からずらして設けることにより、取出口の径の広がりに従って前面の積層体と後面の積層体が乖離したときに、逆止弁の流出口の弁が開くのを防止することができる。
【0020】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1の構成〜第5の構成のいずれかの包装袋において、第1領域に目盛りを付すことにより、第1領域に流入した内容物を計量して取出口から注出することができる。
【0021】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第1の構成〜第6の構成のいずれかの包装袋において、2枚の外装シートと外装シートの一方の第2領域側に基端部が固定され、外装シートの他方の第1領域側に先端部が接触または離反する弁体シートとを有する逆止弁を用い、前面を構成する積層体と後面を構成する積層体の間に逆止弁を介在させてヒートシールすることにより仕切部に逆止弁を容易に設けることができる。
【0022】
また、本発明の第8の構成によれば、上記第1の構成〜第6の構成のいずれかの包装袋において、弁体シートを前面を構成する積層体と後面を構成する積層体の間に介在させ、弁体シートの両端を対向する熱接着性樹脂層で挟持しながら接合することにより、弁体シートと前面を構成する積層体の間及び弁体シートと後面を構成する積層体の間に第1領域と第2領域を連通する流路が形成される。この流路上では内容物を介して弁体シートと積層体が密着し第1領域から第2領域への外気の侵入を防ぐことができる。これにより、弁体シートのみで簡易な逆止弁を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る包装袋の概略斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る包装袋の断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る包装袋における逆止弁の断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る包装袋における逆止弁付近の部分拡大図である。
【図5】本発明の実施形態に係る包装袋における逆止弁の断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る包装袋の変形例における逆止弁付近の部分拡大図である。
【図7】本発明の実施形態に係る包装袋の変形例における逆止弁付近の部分拡大図である。
【図8】本発明の実施形態に係る包装袋の変形例における逆止弁付近の部分拡大図である。
【図9】本発明の実施形態に係る包装袋を構成する前面フィルムの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の包装袋について説明する。図1は本発明の実施形態に係る包装袋の概略斜視図であり、図2は本発明の実施形態に係る包装袋の断面図である。なお、図1に示す包装袋1は自立性袋(スタンディングパウチ)を例示している。
【0025】
包装袋1はポリオレフィン樹脂から成る基材層と熱接着性樹脂層を含む積層フィルムにより形成された包装袋本体2と、この包装袋本体2の一方の肩部に取り付けられた合成樹脂製の筒状の取出口3とを備える。
【0026】
包装袋本体2は前面フィルム4と後面フィルム5と底面フィルム6とで構成される。包装袋本体2の製造工程は、まず、前面フィルム4を形成する矩形状のフィルムと後面フィルム5を形成する矩形状のフィルムを熱接着性樹脂層が内側となるように対向させる。次に、底面フィルム6の熱接着性樹脂層が外側となるように折り返して前面フィルム4と後面5フィルムの下部の間に挿入する。そしてこれらフィルムの対向する周縁部を相互にヒートシールすることにより包装袋本体2の収納部が形成される。この包装袋本体2は、一対の側辺13、15と、これらに交差する頂辺10及び底辺16を有している。
【0027】
取出口3は取出口本体7と蓋体8とから構成される。取出口本体7は両端が開口する筒状であり、径方向に張り出したフランジを有する。また、蓋体8は内周面に雌ネジ部が形成された有頂筒状であり、取出口本体7の上端外周部に形成された雄ネジ部に螺合して取り付けられる。
【0028】
取出口本体7は包装袋本体2の一方の側辺13と頂辺10の間に形成される肩部を斜めにカットすることにより形成された斜辺11の中間部において、前面フィルム4と後面フィルム5の間に挟み込まれた状態でヒートシールされ取り付けられる。これにより、取出口本体7は斜め上方に向けて突出するとともに包装袋本体2内部と導通した状態となる。取出口本体7の開口部は蓋体8の取り付け又は取り外しにより開口又は閉口することができる。
【0029】
包装袋本体2にはその内部を第1領域9aと第2領域9bの2つの領域に仕切る仕切部22が設けられる。第1領域9aは取出口3を介して外気と連通する空間であり、第2領域9bは内容物を収納する空間である。仕切部22には逆止弁26が設けられている。
【0030】
逆止弁26は第2領域9bの内容物を第1領域9aに流出させるが、第1領域9aから第2領域9bへ内容物及び空気を流入させない。内容物を取出口3から注出する際、蓋体8を取出口本体7から取り外し、包装袋1を傾けながら第2領域9bの前面フィルム4と後面フィルム5を挟みながら内容物を押出す。これにより、内容物は第2領域9bから逆止弁26を通り第1領域9aへ流出する。第1領域9aで溜まった内容物は取出口3から注出される。一方、内容物の注出が終わると取出口3に蓋体8を取り付け、包装袋1をスタンディング状態に戻す。
【0031】
本実施形態によると、取出口3を蓋体8で閉口することにより、第2領域9bへの外気の侵入を蓋体8と逆止弁26で2重に防ぐことができる。これにより、第2領域9bに収納された内容物の酸化を防止して鮮度の低下を防ぐことができる。また、包装袋1が転倒した場合でも蓋体8により内容物が漏れ出すことを防止することができる。
【0032】
図3は逆止弁の断面図であり、逆止弁26は矩形状の外装シート26a、26bの間に弁体シート26cを挟持して構成される。外装シート26a、26bの間は内容物及び気体の流路が形成され、その流路上に弁体シート26cが配置される。弁体シート26cは基端部が外装シート26aと固着している。弁体シート26cの先端は可動性を有し、外装シート26bと離反又は密着する。第2領域9bに開口する流入口26dから気体と内容物が流入したとき弁体シート26cの先端が外装シート26bと離反して流出口26eへの流路が開通する。一方、第1領域9aに開口する流出口26eから内容物及び空気が逆流した場合、弁体シート26cの先端が外装シート26bに密着して流入口26dへの流路が閉鎖される。
【0033】
図4は本発明の実施形態に係る包装袋における逆止弁付近の部分拡大図である。逆止弁26は前面フィルム4と後面フィルム5の間に介在させて逆止弁26上を所定幅で帯状にヒートシールして仕切部22と同時に形成する。このとき、前面フィルム4の熱接着性樹脂層と外装シート26aの外面が接合し、後面フィルム5の熱接着性樹脂層と外装シート26bの外面が接合する。これにより、第1領域9aと第2領域9bは仕切部22で仕切られ、逆止弁26の流路のみで第1領域9aと第2領域9bが導通する。
【0034】
仕切部22は斜辺11と略平行な第1ヒートシール帯22aと側辺13と略平行な第2ヒートシール帯22bにより形成される。また、逆止弁26の第2領域9bに開口する流入口26dの両側から仕切部22が第2領域9b方向に突出し、第1シール領域24及び第2シール領域25が形成される。これにより、第1シール領域24及び第2シール領域25の間に流入路27が形成される。第2領域内9bで押出された内容物は流入路27から流入口26dへ流入する。このとき、押出される内容物にかかる圧力は流入路27方向へ集中するため、内容物が流入路27から流入口26dへ強く押出される。これにより、内容物が弁体シート26cの先端を外装シート26bから離反させ、逆止弁26における内容物の通りが円滑になる。なお、斜辺11と第1ヒートシール帯22aの幅は30〜40mm程度離して設けることが望ましい。
【0035】
逆止弁26の流入口26dは第1ヒートシール帯22aから第2領域9bへ大きく突出して設けないほうが好ましい。図5に示すように、外装シート26a、26bの端部が第1ヒートシール帯22aから第2領域9bへ大きく突出すると、内容物が外装シート26a、26bの端部を流入路27側(図の白矢印方向)に巻き込みながら流入する場合がある。このとき、外装シート26a、26bの先端が流入路27を塞ぐおそれがある。なお、外装シート26a、26bの端部は第1ヒートシール帯22aから0〜5mm程度突出させることが望ましい。5mm以上の場合には、外装シート26a、26bの端部が流入口26dを塞がないよう外装シート26a、26bの第2領域9bへ突出する端部付近を対向する前面フィルム4または後面フィルム5に部分的に接合することが望ましい。これにより、外装シート26a、26bの先端が流入路27を塞ぐのを防止することができる。
【0036】
また、第1領域9a内において、側辺13と第1ヒートシール帯22aの交点を含む角部にシール領域23が形成されている。シール領域23は逆止弁26の流出口26eより下方の空間を含む。これにより、流出口26eが第1領域9aの最下部近傍に配置される。従って、包装袋1を傾けて取出口3から内容物を注出した後、包装袋1をスタンディング状態に戻したとき、第1領域9a内に内容物が残滓し難い。
【0037】
また、図6に示すように、第1領域9a内において、逆止弁26の流出口26eと取出口3を連通する流路を形成してもよい。これにより、包装袋1を傾けて第1領域9aに溜まった内容物のほぼ全量が取出口3から注出される。従って、包装袋1をスタンディング状態に戻した際、第1領域9aに内容物がいっそう残り難い。
【0038】
また、第1領域9aに目盛りを付してもよい。これにより、第1領域9aに流入した内容物を計量して取出口3から注出することができる。
【0039】
また、逆止弁26の流出口26eは取出口3の径中心を通り径方向に直交する軸Yから所定幅dだけ側辺13方向にずらして配置される。取出口3の周辺は取出口3の径の広がりに従って前面フィルム4と後面フィルム5が乖離している。このため、軸Y上に逆止弁26を設けた場合、前面フィルム4と後面フィルム5に接合する逆止弁26の外装シート26a、26bが乖離することがある。このとき、弁体シート26cの先端が外装シート26bと離反し、流出口26eへの流路が開通する虞がある。そこで、流出口26eを軸Yから所定幅dずらして設け、逆止弁26の開弁を防ぐ。これにより、第2領域9bへの空気および内容物の逆流を防ぐことができる。なお、所定幅dは5〜14mm程度が望ましい。
【0040】
なお、本実施形態の逆止弁26は上記形状に限定されない。例えば、図7に示すように矩形状の弁体シート26cを前面フィルム4と後面フィルム5の間に挟み込んだ状態でヒートシールしてもよい。このとき、弁体シート26cの両端をヒートシールすることにより、弁体シート26cの未シール領域に流路が形成される。流路は弁体シート26cと前面フィルム4の間及び弁体シート26cと後面フィルム5の間に形成される。流路は内容物を介して弁体シート26cと前面フィルム4又は後面フィルムが毛細管作用により密着して閉鎖される。これにより、第1領域9aから第2領域9bへの外気の侵入を防止することができる。従って、弁体シート26cのみで簡易な逆止弁26を設けることができる。また、図8に示すように、側辺13、15にまたがる帯状の弁体シート26cを前面フィルム4と後面フィルム5の間に介在させてもよい。弁体シート26cは側辺13、15、第1ヒートシール帯22a、第2シール領域25、シール領域23においてヒートシールされ、仕切部22上に未シール領域22cを有する。このような、形態とすることにより、包装袋1を製袋する際に前面フィルム4、後面フィルム5及び弁体シート26cのそれぞれをロールから引き出し供給することができる。このとき、弁体シート26cを前面フィルム4と後面フィルム5との間に介在させた状態でヒートシールすることにより生産性を落とすことなく逆止弁26付き包装袋を製造することができる。また、弁体シート26cの位置決めが容易になり、より簡易に逆止弁26を設けることができる。
【0041】
図9は、本発明の実施形態に係る包装袋を構成する前面フィルムの一例を示す断面図である。前面フィルム4は、最外層である基材層51と中間層52と最内層である熱接着性樹脂層53を順次積層した積層体である。基材層51と中間層52との間、中間層52と熱接着性樹脂層53との間には、それぞれドライラミネート層54が形成されている。なお、後面フィルム5及び底面フィルム6(いずれも図1参照)についても全く同様の構成であるため説明を省略する。
【0042】
基材層51は、包装袋1を構成する基本素材となること、包装袋の製造に際し、加工作業性、耐熱性、滑り性、耐ピンホール性、水蒸気またはガスバリア性、その他の諸物性において優れたものであることが好ましい。
【0043】
基材層51としては、2軸延伸ナイロンフィルム、2軸延伸ポリプロピレンフィルム、2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム等の単体ないしそれらの積層体が用いられ、2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムが特に好適に用いられる。2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムの具体的な材質としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン−2、6−ナフタレート樹脂、ポリブチレン−2、6−ナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂等の各種のポリエステル系樹脂を使用することができる。
【0044】
2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムは、例えば、上記のポリエステル系樹脂の1種ないし2種以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、或いは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を製膜化する前に予め混合して製膜化する方法等により、ポリエステル系樹脂フィルムを製造し、更に、例えばテンター方式、或いはチューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してなる2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムを使用することができる。基材層51の膜厚としては、3〜50μm程度、より好ましくは、5〜30μm程度が望ましい。
【0045】
なお、基材層51の製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、ごく微量から数十%まで、その目的に応じて任意に添加することができる。上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
【0046】
なお、静電気の発生に伴う不具合を防止して、ラミネート適性、製袋性、充填包装適性等を向上させるために、基材層51の表面に帯電防止コート層を設けても良い。帯電防止コート層の形成方法としては、例えば、樹脂をビヒクルの主成分とし、これに帯電防止剤の1種ないし2種以上を添加し、更に、必要に応じて可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、充填剤、着色剤等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、溶剤・希釈剤等で十分に混練して樹脂組成物を調製する。次いで、該樹脂組成物を使用し、これを基材層51の表面に、通常のコーティング法、或いは、印刷法等を用いて、コーティングないし印刷して、帯電防止コート層を形成する。
【0047】
熱接着性樹脂層53は、熱によって溶融して前面フィルム4と後面フィルム5と底面フィルム6とを相互に融着し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒(シングルサイト触媒)を使用して重合したエチレン・α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂等から選ばれた1種ないし2種以上を使用することができる。好ましいものとしては、直鎖状低密度ポリエチレンを挙げることができる。熱接着性樹脂層53の厚さとしては、ヒートシール性等を考慮すると、10μm〜100μm程度、特に15μm〜50μm程度であることが好ましい。
【0048】
中間層52は、包装袋1は物理的及び化学的に過酷な条件におかれる場合、包装袋1に高い密封性、耐突き刺し(耐ピンホール)性、耐熱性、耐光性、品質保全性、作業性、衛生性等を付与するものである。
【0049】
中間層52としては、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエンスチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース等の公知の樹脂フィルムないしシートを任意に選択して使用することができる。
【0050】
上記のフィルムないしシートは、未延伸、1軸ないし2軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。好ましいものとしては、延伸ナイロンフィルムを挙げることができる。その他、着色剤や紫外線吸収剤等の所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性フィルムないしシート等を使用することもできる。また、中間層52の厚さは任意であるが、数μm〜300μm程度の範囲から選択して使用することができる。
【0051】
ドライラミネート層54は、積層体を構成する基材層51、中間層52、熱接着性樹脂層53を強固に密着させて層間剥離(デラミネーション)の発生を防止するものである。ドライラミネート層54を構成するラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、或いは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等を使用することができる。
【0052】
また、本発明の包装袋1は、図1に示したようなスタンディングパウチに限られず、例えば三方シール、四方シール等のヒートシール形態によりヒートシールして種々の形態の包装袋1を製造することができる。さらに、一枚の積層体のみで包装袋1を製造することも可能である。即ち、基材層51と最内層に熱接着性樹脂層53を有する積層体フィルムを折り曲げて三方シール、封筒貼りシール、合掌貼りシール(ピローシール)等のヒートシール形態により収納部を形成すれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、内容物として液状、ゲル状等の食品や医薬製剤を包装する包装袋に利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 包装袋
2 包装袋本体
3 取出口
4 前面フィルム
5 後面フィルム
6 底面フィルム
7 取出口本体
8 蓋体
9a 第1領域
9b 第2領域
10 頂辺
13、15 側辺
16 底辺
22 仕切部
22a 第1ヒートシール帯
22b 第2ヒートシール帯
26 逆止弁
26a、26b 外装シート
26c 弁体シート
26d 流入口
26e 流出口
51 基材層
52 中間層
53 熱接着性樹脂層
54 ドライラミネート層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と最内層である熱接着性樹脂層とを少なくとも含む積層体により形成され、前面を形成する積層体と後面を形成する積層体の対向する縁部を前記熱接着性樹脂層で接合して内容物を封入する包装袋であって、
前記縁部の一部に前記包装袋内部に導通する蓋体付きの取出口を設け、
前記取出口と導通する第1領域と内容物を収納する第2領域の2つの領域に前記包装袋内部を仕切る仕切部を形成し、
前記仕切部に前記第2領域から前記第1領域の一方向に開く逆止弁を設けたことを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記第2領域に開口する前記逆止弁の流入口の両側から前記仕切部が前記第2領域方向に突出することを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記第1領域に開口する前記逆止弁の流出口を前記第1領域の最下部近傍に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記第1領域側に開口する前記逆止弁の流出口から前記取出口に連通する流路を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項5】
前記逆止弁の流出口を前記取出口の径中心を通り径方向に直交する軸からずらして設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項6】
前記第1領域に目盛りが付されたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項7】
前記逆止弁は、2枚の外装シートと前記外装シートの一方の前記第2領域側に基端部が固定され、前記外装シートの他方の前記第1領域側に先端部が接触又は離反する弁体シートとを有し、前面を構成する積層体と後面を構成する積層体の間に前記逆止弁を介在させ、前記外装シートと対向する前記熱接着性樹脂層を接合することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項8】
前記逆止弁は、前面を構成する積層体と後面を構成する積層体の間に弁体シートを介在させ、前記弁体シートの両側端を対向する前記熱接着性樹脂層で挟持しながら接合して形成されることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の包装袋。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−153405(P2012−153405A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14505(P2011−14505)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】